JP5689297B2 - 半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents
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図1は、この発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子の構成を説明するための斜視図であり、図2は、図1のII−II線に沿う縦断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う横断面図である。
この半導体レーザ素子70は、基板1と、基板1上に結晶成長によって形成されたIII族窒化物半導体積層構造2と、基板1の裏面(III族窒化物半導体積層構造2と反対側の表面)に接触するように形成された裏面電極としてのn側電極3と、III族窒化物半導体積層構造2の表面に接触するように形成された表面電極としてのp側電極4とを備えたファブリペロー型のものである。p側電極4は、p側オーミック電極4Aと、p側パッド電極4Bとを含む。この実施形態では、基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2によって、半導体レーザダイオード構造を構成する半導体積層構造が形成されている。
GaNのa軸格子定数は、3.189Åであり、c軸格子定数は、5.185Åである。一方、無歪み(strain-free)の状態でのAlNのa軸格子定数は3.112Åであり、c軸格子定数は、4.982Åである。したがって、AlGaNのa軸格子定数およびc軸格子定数は、Al組成が大きいほど小さい。また、Al組成の増加に対する増加率は、c軸格子定数の方がa軸格子定数よりも大きい。よって、GaN基板上にAlGaN結晶をコヒーレントに成長させると、AlGaN結晶にはc軸方向およびa軸方向に引っ張り歪み(内部応力)が生じ、その大きさは、c軸方向の方が大きい。
発光層10は、たとえばInGaNを含むMQW(多重量子井戸:multiple-quantum well)構造を有しており、電子と正孔とが再結合することにより光が発生し、その発生した光を増幅させるための層である。
半導体レーザ素子70を製造するには、まず、図4に図解的に示すように、GaN単結晶基板からなるIII族窒化物半導体基板1を構成する元基板であるウエハ5の上に、半導体レーザ素子70をそれぞれ構成する複数の個別素子80(半導体レーザ素子領域)が行列状に配列されて形成される。
III族窒化物半導体積層構造2が形成された後には、たとえばドライエッチングによりリッジ20および土台部31(受け部30の一部)が形成される。このドライエッチングに先立って、リッジ20および土台部31の形成領域には、ドライエッチングのためのハードマスクとして絶縁膜33(たとえば、酸化シリコン膜)が選択的に形成される。この絶縁膜33は、ドライエッチングの後に選択的に除去される。具体的には、土台部31上には絶縁膜33が残され、リッジ20の頂面上の絶縁膜33は除去される。こうして、土台部31上に薄膜部32を構成する一層目の絶縁膜33が形成される一方で、リッジ20の頂面は露出させられる。
この後、p側オーミック電極4A、p側パッド電極4B、およびn側電極3が形成される。p側オーミック電極4Aおよびp側パッド電極4Bは、パターニングにより、受け部30およびその周辺の領域を除いて形成される。これにより、p側オーミック電極4Aおよびp側パッド電極4Bは、受け部30を全く覆わず、p側電極4の周縁は、受け部30から間隔を開けて位置することになる。p側電極4の形成は、たとえば、抵抗加熱または電子線ビームによる金属蒸着装置によって行うことができる。
各個別素子80は、ウエハ5上に仮想される碁盤目状の切断ライン7(仮想的な線)によって区画される各矩形領域に形成されている。切断ライン7は、a軸に沿う(c面に沿う)端面切断ライン7aと、c軸に沿う(a面に沿う)側面切断ライン7bと、を有することになる。
次に、ウエハ5を個別素子80に分割する方法について、具体的に説明する。
図5A、図5Bおよび図5Cは、ウエハ5を個別素子80に分割する手順の概略を説明するための図解的な斜視図である。ウエハ5は、まず、共振器長方向(c軸方向)に直交する(すなわち、c面に平行な)端面切断ライン7aに沿って劈開される。これを以下「一次劈開」ということにする。この一次劈開により、図5Bに示すバー状体90が複数本得られる。各バー状体90の両側面91は、レーザ共振面21,22となる結晶面である。このバー状体90の側面91に、前述の絶縁膜23,24(反射率調整用の端面コート膜。図2参照)が形成される。
図6は、ウエハ5の表面におけるp側電極4および受け部30の配置を説明するための部分拡大平面図である。ウエハ5上には、複数本のリッジ20がストライプ状に形成されている。すなわち、複数本のリッジ20は、一定の間隔を開けて互いに平行に形成されている。各リッジ20は、一方向に整列した複数個の個別素子80を通るように形成されている。各リッジ20に直交する方向に沿って、端面切断ライン7aが設定されている。端面切断ライン7aは、リッジ20に平行な方向(共振器長方向)に沿って、共振器長に等しい間隔で設定されている。
裏面スクライブ工程は、図8Aに示すように、ウエハ5の裏面から端面切断ライン7aに沿ってスクライブ加工を施す工程である。ウエハ5の表面はリッジ20が形成されている主面であり、その反対の主面がウエハ5の裏面である。スクライブ加工は、レーザ加工機(レーザスクライバ)によって行ってもよいし、ダイヤモンドスクライバによって行ってもよい。スクライブ加工によって、ウエハ5の裏面側には、端面切断ライン7aに沿って、連続した端面加工痕8が形成されることになる。この端面加工痕8は、各個別素子80(半導体レーザ素子70)において、レーザ共振面21,22の幅方向全域に渡って連続することになる。端面加工痕8は、溝形状(分割ガイド溝)であってもよい。スクライブ加工の深さは、端面切断ライン7aにおけるウエハ5の厚さ(より正確には基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造の厚さ)の10%以上であることが好ましい。したがって、端面加工痕8は、ウエハ5(基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2)の裏面から、その厚さの10%以上の深さの範囲に至る下縁領域に形成されることになる。
裏面スクライブ工程は、図9Aに示すように、ウエハ5の裏面から側面切断ライン7bに沿ってスクライブ加工を施す工程である。このスクライブ加工は、一次劈開のブレーキング工程の前に行うことが好ましいが、一次劈開のスクライブ加工(端面切断ライン7aに沿ったスクライブ加工)の前であっても後であってもよい。スクライブ加工は、レーザ加工機(レーザスクライバ)によって行ってもよいし、ダイヤモンドスクライバによって行ってもよいが、一次劈開のスクライブ加工と同じ加工方法が好ましい。スクライブ加工によって、ウエハ5の裏面側には、側面切断ライン7bに沿って、側面加工痕28が形成されることになる。側面加工痕28は、溝形状(分割ガイド溝)であってもよい。スクライブ加工の深さは、側面切断ライン7bにおけるウエハ5の厚さ(より正確にはリッジ20および受け部30以外の部分における基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2の合計の厚さ)の80%以上であることが好ましい。したがって、側面加工痕28は、ウエハ5(基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造)の裏面から、その厚さの80%以上の深さの範囲に至る下縁領域に形成されることになる。
表面スクライブ工程は、図10Aに示すように、ウエハ5の表面から側面切断ライン7bに沿ってスクライブ加工を施す工程である。このスクライブ加工は、一次劈開のブレーキング工程の前に行うことが好ましいが、一次劈開のスクライブ加工(端面切断ライン7aに沿ったスクライブ加工)の前であっても後であってもよい。スクライブ加工は、レーザ加工機(レーザスクライバ)によって行ってもよいし、ダイヤモンドスクライバによって行ってもよい。スクライブ加工によって、ウエハ5の表面側には、側面切断ライン7bに沿って、側面加工痕38が形成されることになる。側面加工痕38は、溝形状(分割ガイド溝)であってもよい。スクライブ加工の深さは、側面切断ライン7bにおけるウエハ5の厚さ(より正確にはリッジ20および受け部30以外の部分における基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2の合計の厚さ)の80%以上であることが好ましい。したがって、側面加工痕38は、ウエハ5(基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造)の表面から、その厚さの80%以上の深さの範囲に至る上縁領域に形成されることになる。
図13Aは前述の比較例に係る複数の試料について動作電流Iopを測定した結果を示すヒストグラムであり、図13Bは前述の実施例に係る複数の試料について動作電流Iopを測定した結果を示すヒストグラムである。これらの比較から、実施例は比較例よりも動作電流Iopが約4割減少したことが分かる。
また、この明細書および図面の記載から、抽出される特徴を以下に示す。
(項1)発光層と、この発光層の一方側に配置されたp型ガイド層と、前記発光層の他方側に配置されたn型ガイド層と、前記p型ガイド層の前記発光層とは反対側に配置されたp型クラッド層と、前記n型ガイド層の前記発光層とは反対側に配置されたn型クラッド層とを有する半導体積層構造を含み、前記半導体積層構造が、表面側に形成された直線状のリッジと、このリッジの長手方向両端に前記リッジに直交するように形成された一対のレーザ共振面と、この一対のレーザ共振面において前記半導体積層構造の裏面に連なる下縁領域に形成された端面加工痕とを含む、半導体レーザ素子。
この構成によれば、レーザ共振面は、半導体積層構造の裏面(リッジとは反対の面)に連なる下縁領域に端面加工痕を有している。すなわち、この半導体レーザ素子は、半導体積層構造の裏面側から加工を施して端面加工痕を形成し、半導体積層構造の表面側(リッジが形成された側)からブレードをあてがって外力を加えることで元基板を劈開し、その劈開面によってレーザ共振面を形成できる。端面加工痕は、リッジが形成されていない裏面側に形成されるので、リッジ付近に不連続部を有する不連続パターンに形成する必要がないから、連続パターンに形成できる。そのため、表面側から加える外力による劈開を安定に行うことができるので、良好な劈開面を得ることができる。より具体的には、リッジに垂直な結晶面が、劈開性の十分でない結晶面であったとしても、このような結晶面に沿って半導体積層構造を良好に劈開できる。これにより、半導体積層構造を形成するための結晶成長面、およびリッジ方向の選択自由度が大きくなるので、半導体レーザ素子の設計自由度が大きくなる。したがって、必要な仕様の半導体レーザ素子を実現しやすくなる。また、良好な劈開面でレーザ共振面を形成できるから、半導体レーザ素子の特性を向上できる。より具体的には、しきい値電流の低下、スロープ効率の増大、動作電流の低減などを図ることができる。
(項2)前記端面加工痕が、前記半導体積層構造の幅方向全域に渡って連続している、項1に記載の半導体レーザ素子。
「幅方向」とは、リッジの長手方向(共振器長方向)に直交し、半導体積層構造の結晶成長面に平行な方向(共振器幅方向)をいう。この構成によれば、半導体積層構造の幅方向全域に渡ってその裏面側から加工を行い、その後に、半導体積層構造の表面側からブレードをあてがって外力を加えることにより、元基板を分割(劈開)できる。これにより、リッジに垂直な結晶面が劈開性の良くない結晶面であっても、良好な劈開面からなるレーザ共振面を提供できる。
(項3)前記端面加工痕の厚さが、前記半導体積層構造の厚さの10%以上である、項1または2に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、端面加工痕が十分な厚さを有しているので、レーザ共振面は、一層良好な劈開面で形成できる。これにより、半導体レーザ素子の特性を向上できる。「端面加工痕の厚さ」とは、半導体積層構造の積層方向(結晶成長面に垂直な方向)に沿う長さである。
(項4)前記半導体積層構造が、m面を結晶成長面とするIII族窒化物半導体からなっており、前記レーザ共振面がc面である、項1〜3のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成では、半導体積層構造がm面を結晶成長面とするIII族窒化物半導体からなっている。この場合、c軸方向にリッジの長手方向(導波路の方向。共振器長方向)をとることによって、TEモードのレーザ発振を効率良く生じさせることができる。リッジの長手方向がc軸方向であるので、レーザ共振面はc面となる。半導体積層構造の裏面側から連続パターンの端面加工痕を形成しておくことによって、c面に沿うIII族窒化物半導体結晶(半導体積層構造)の劈開を安定に行うことができる。よって、良好な劈開面からなるレーザ共振面を提供できる。
III族窒化物半導体とは、III-V族半導体においてV族元素として窒素を用いた半導体である。窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)が代表例である。一般には、Al X In Y Ga 1-X-Y N(0≦X≦1,0≦Y≦1,0≦X+Y≦1)と表わすことができる。
(項5)前記半導体積層構造の表面に形成された表面電極と、前記半導体積層構造の前記表面において前記リッジの長手方向と直交する幅方向へ離れた位置に配置され、前記リッジと等しいかそれ以上の高さを有し、前記幅方向の長さが前記リッジの幅よりも大きく、かつ前記表面電極から間隔を開けて形成された受け部とをさらに含む、項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、半導体積層構造の表面側にブレードをあてがって外力を加えるときに、この外力を受け部に作用させることができる。これにより、リッジを保護しながら元基板を分割(劈開)して、良好な劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。しかも、受け部は、半導体積層構造の幅方向(劈開面および結晶成長面に平行な方向。共振器幅方向)の長さがリッジの幅よりも大きいので、外力を確実に受けることができる。また、受け部は、表面電極から間隔を開けて形成されているので、外力を受けるときに表面電極を傷付けることがない。したがって、電流リーク等の不具合を回避できる。
(項6)前記半導体積層構造の裏面に形成され、前記一対のレーザ共振面から内方に後退した端面後退部を周縁に有する裏面電極をさらに含む、項5に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、裏面電極の周縁が、レーザ共振面から内方に後退した端面後退部を有しているので、この端面後退部を目印にして半導体積層構造の裏面側からの加工を行うことができる。
(項7)前記半導体積層構造が、前記リッジの長手方向に平行な一対の側面と、前記一対の側面において前記半導体積層構造の裏面に連なる下縁領域に形成された側面加工痕とをさらに含む、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、リッジに平行な側面に関する分割は、半導体積層構造の裏面側から元基板の加工を行い、その後、半導体積層構造の表面側からブレードをあてがって元基板に外力を加えることによって行うことができる。裏面側からの加工は、連続パターンで施すことができ、また、導波路を傷付けるおそれがないので、必要に応じて深い加工を施すことができる。これにより、半導体積層構造の側面に沿う元基板の分割を安定に行える。
(項8)前記半導体積層構造の裏面に形成された裏面電極が、前記一対の側面から内方に後退した側面後退部を周縁に有している、項7に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、裏面電極が、側面から内方に後退した側面後退部を有しているので、この側面後退部を目印にして、半導体積層構造の裏面側からの加工を行うことができる。
(項9)前記半導体積層構造が、前記リッジの長手方向に平行な一対の側面と、前記一対の側面において前記半導体積層構造の表面に連なる上縁領域に形成された側面加工痕とをさらに含む、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、リッジに平行な側面に関する分割は、半導体積層構造の表面側から元基板の加工を行い、その後、半導体積層構造の裏面側から元基板にブレードをあてがって外力を加えることによって行うことができる。側面に関しては、リッジを回避する必要がないので、表面側からでも連続パターンの加工を施すことができ、また、導波路を傷付けるおそれがないので、必要に応じて深い加工を施すことができる。これにより、半導体積層構造の側面に沿う元基板の分割を安定に行える。
(項10)前記側面加工痕が前記半導体積層構造の長手方向の全域に渡って連続している、項7〜9のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、半導体積層構造の長手方向(リッジの長手方向に平行な方向)の全域に渡る加工を施してから、リッジに平行な方向に沿って元基板を分割できる。これにより、半導体積層構造の側面に関する分割を一層安定に行える。
(項11)前記側面加工痕の厚さが、前記半導体積層構造の80%以上である、項7〜10のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、側面加工痕の厚さが十分に厚いので、元基板を確実に側面加工痕に沿って分割できる。これにより、半導体積層構造の側面に関する分割を一層安定に行える。「側面加工痕の厚さ」とは、半導体積層構造の結晶成長面に垂直な方向の長さである。
(項12)複数の半導体レーザ素子領域が行列状に配列され、一方向に整列した複数の半導体レーザ素子領域をそれぞれ通るようにストライプ状に形成された複数のリッジを有する元基板を準備する工程と、前記リッジが形成された表面とは反対側の裏面から、前記複数の半導体レーザ素子領域の境界線に沿って設定された切断ラインに沿うスクライブ加工を前記元基板に施すスクライブ工程と、前記元基板の表面から前記切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記切断ラインに沿って前記元基板を分割する分割工程とを含む、半導体レーザ素子の製造方法。
この方法によれば、元基板の裏面からスクライブ加工を行い、その後に元基板の表面からブレードをあてがって元基板の表面に交差する方向(より具体的には垂直な方向)の外力を加えることによって元基板が分割(劈開)される。このようなスクライブ加工および分割(劈開)をリッジに直交する切断ラインに沿って行えば、リッジに垂直な劈開面からなるレーザ共振面が得られる。スクライブ加工は、リッジが形成されていない裏面側から行われるので、リッジ付近に不連続部を有する不連続パターンに形成する必要がなく、連続パターンのスクライブ加工を施すことができる。そのため、表面側からブレードをあてがって行う劈開を安定に行うことができるので、良好な劈開面を得ることができる。より具体的には、リッジに垂直な結晶面が、劈開性の十分でない結晶面であったとしても、このような結晶面に沿って元基板を良好に劈開できる。これにより、半導体レーザダイオード構造をなす半導体積層構造を形成するための結晶成長面、およびリッジ方向の選択自由度が大きくなるので、半導体レーザ素子の設計自由度が大きくなる。したがって、必要な仕様の半導体レーザ素子を実現しやすくなる。また、良好な劈開面からなるレーザ共振面を提供できるから、半導体レーザ素子の特性向上に寄与できる。
(項13)前記スクライブ加工が、前記切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、項12に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法では、連続パターンのスクライブ加工が行われるので、元基板の安定した分割(劈開)が可能であり、それに応じて、良好な劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。
(項14)前記切断ラインが、前記リッジに直交する方向に沿って設定された端面切断ラインを含み、前記端面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに直交する劈開面からなるレーザ共振面が形成される、項12または13に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法により、リッジと直交する端面切断ラインに関して、裏面側からのスクライブ加工および表面側から加える外力による元基板の分割が行われる。これにより、安定した劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。前記端面切断ラインに沿うスクライブ加工の深さは、元基板の厚さの10%以上であることが好ましい。
(項15)前記切断ラインが、前記リッジの長手方向に沿って設定された側面切断ラインを含み、前記側面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに平行な側面が形成される、項12〜14のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法により、リッジと平行な側面切断ラインに関して、裏面側からのスクライブ加工および表面側から加える外力による元基板の分割が行われる。これにより、半導体レーザ素子の側面に関する元基板の分割を安定に行える。この分割をさらに安定に行うためには、側面切断ラインに関するスクライブ加工の深さを、元基板の厚さの80%以上とすることが好ましい。
(項16)前記元基板の表面から、前記複数の半導体レーザ素子の境界に沿って前記リッジの長手方向に平行に設定された側面切断ラインに沿う側面スクライブ加工を前記元基板に施す工程と、前記元基板の裏面から、前記側面切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記側面切断ラインに沿って前記元基板を分割する工程とをさらに含む、項14に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
この方法では、リッジと直交する端面切断ラインに関しては、裏面側からのスクライブ加工および表面側から加える外力による元基板の分割が行われる。これにより、安定した劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。その一方で、リッジと平行な側面切断ラインに関しては、表面側からのスクライブ加工および裏面側から加える外力による元基板の分割が行われる。側面切断ラインに関しては、リッジを回避する必要がないから、表面側からであっても連続パターンでの加工が可能である。したがって、半導体レーザ素子の側面に関する元基板の分割を安定に行える。
(項17)前記側面スクライブ工程が、前記側面切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、項16に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法により、側面切断ラインに関する元基板の分割を一層安定に行える。この分割をさらに安定に行うためには、側面切断ラインに関するスクライブ加工の深さを、元基板の厚さの80%以上とすることが好ましい。
2 III族窒化物半導体積層構造
3 n側電極
3a 端面後退部
3b 側面後退部
3c 端面後退部
4 p側電極
4A p側オーミック電極
4B p側パッド電極
5 ウエハ
6 絶縁層
7 切断ライン
7a 端面切断ライン
7b 側面切断ライン
8 端面加工痕
9 ブレード
10 発光層
11 n型半導体層
12 p型半導体層
13 n型GaNコンタクト層
14 n型AlInGaNクラッド層
15 n型InGaNガイド層
16 p型AlGaN電子ブロック層
17 p型InGaNガイド層
18 p型AlInGaNクラッド層
19 p型GaNコンタクト層
20 リッジ
21 レーザ共振面
22 レーザ共振面
23 絶縁膜
24 絶縁膜
25 側面
28 側面加工痕
29 ブレード
30 受け部
31 土台部
32 薄膜部
33 絶縁膜
34 絶縁膜
37 ノッチ
38 側面加工痕
39 ブレード
70 半導体レーザ素子
80 個別素子(半導体レーザ素子領域)
90 バー状体
91 バー状体の側面
Claims (8)
- 複数の半導体レーザ素子領域が行列状に配列され、一方向に整列した複数の半導体レーザ素子領域をそれぞれ通るようにストライプ状に形成された複数のリッジと、前記リッジの長手方向と直交する幅方向へ前記リッジから離れた位置において、前記複数の半導体レーザ素子領域の境界線に沿って設定された切断ラインを跨ぐように形成され、前記リッジと等しいかそれ以上の高さを有する受け部を有する元基板を準備する工程と、
前記リッジが形成された表面とは反対側の裏面から、前記切断ラインに沿うスクライブ加工を前記元基板に施すスクライブ工程と、
前記受け部に当接するように、前記元基板の表面から前記切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記切断ラインに沿って前記元基板を分割する分割工程とを含む、半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記スクライブ加工が、前記切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、請求項1に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
- 前記切断ラインが、前記リッジに直交する方向に沿って設定された端面切断ラインを含み、
前記端面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに直交する劈開面からなるレーザ共振面が形成される、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記切断ラインが、前記リッジの長手方向に沿って設定された側面切断ラインを含み、
前記側面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに平行な側面が形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記元基板の表面から、前記複数の半導体レーザ素子の境界に沿って前記リッジの長手方向に平行に設定された側面切断ラインに沿う側面スクライブ加工を前記元基板に施す工程と、
前記元基板の裏面から、前記側面切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記側面切断ラインに沿って前記元基板を分割する工程とをさらに含む、請求項3に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 前記側面スクライブ工程が、前記側面切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、請求項5に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
- 前記受け部は、前記元基板の表面において、前記端面切断ラインと前記側面切断ラインとの交差点を共有する4つの前記半導体レーザ素子領域に属するように形成されている、請求項3に係る請求項4〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
- 前記受け部の前記幅方向の長さは、前記リッジの幅よりも大きい、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
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