JP5689297B2 - 半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子およびその製造方法 Download PDF

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この発明は、半導体レーザ素子およびその製造方法に関する。
半導体レーザ素子は、発光層と、発光層を挟んで配置されたp型ガイド層およびn型ガイド層と、これらを挟んで配置されたp型クラッド層およびn型クラッド層を含む半導体積層構造を有している。この半導体積層構造は、たとえば、直線状に延びたリッジを有しており、このリッジに沿って導波路が形成されている。半導体積層構造は、リッジの両端において、当該リッジに直交する一対の端面を有している。この一対の端面は、劈開によって形成された鏡面であり、導波路を伝搬する光を反射するレーザ共振面を形成している。
半導体レーザ素子は、複数の個別素子領域を行列状に配列した元基板から切り出して作製される。元基板には、複数本のリッジがストライプ状に形成されている。元基板の切断に際しては、特許文献1に記載されているように、まず、半導体レーザ素子の表面(リッジ側の表面)に相当する表面に、レーザ加工によって分割ガイド溝が形成される。その後に、元基板の裏面側からブレードをあてがって外力を加えることにより、元基板が分割される。ストライプ状に形成された複数本のリッジに交差する方向に沿って元基板を分割(劈開)することによって、レーザ共振面が形成される。リッジ(導波路)付近のレーザ共振面に損傷を与えないようにするために、分割ガイド溝は、リッジの近傍部分で不連続になるミシン目状の不連続パターンに形成される。
特開2009−81428号公報(段落0043,0051)
不連続パターンの分割ガイド溝は、劈開性の良好な結晶面に沿う分割には有効であるが、劈開性が必ずしも十分でない結晶面に沿う基板分割を行う場合には、必ずしも良好な劈開面が得られない。したがって、特許文献1の先行技術の適用を前提とすると、レーザ共振面の選択自由度が狭くなる。そのため、必要な仕様に応じて半導体の結晶成長面やリッジ方向を選択しようとしても、良好な劈開面でレーザ共振面を形成することができないから、結局、所要の仕様の半導体レーザ素子を実現することが困難になる。
そこで、この発明の目的は、レーザ共振面の選択自由度を大きくすることができ、それによって設計自由度を増大でき、また、特性向上に寄与できる半導体レーザ素子およびその製造方法を提供することである。
請求項1記載の発明は、複数の半導体レーザ素子領域が行列状に配列され、一方向に整列した複数の半導体レーザ素子領域をそれぞれ通るようにストライプ状に形成された複数のリッジと、前記リッジの長手方向と直交する幅方向へ前記リッジから離れた位置において、前記複数の半導体レーザ素子領域の境界線に沿って設定された切断ラインを跨ぐように形成され、前記リッジと等しいかそれ以上の高さを有する受け部を有する元基板を準備する工程と、前記リッジが形成された表面とは反対側の裏面から、前記切断ラインに沿うスクライブ加工を前記元基板に施すスクライブ工程と、前記受け部に当接するように、前記元基板の表面から前記切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記切断ラインに沿って前記元基板を分割する分割工程とを含む、半導体レーザ素子の製造方法である。
請求項2記載の発明は、前記スクライブ加工が、前記切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、請求項1に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
請求項3記載の発明は、前記切断ラインが、前記リッジに直交する方向に沿って設定された端面切断ラインを含み、前記端面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに直交する劈開面からなるレーザ共振面が形成される、請求項1または2に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
請求項4記載の発明は、前記切断ラインが、前記リッジの長手方向に沿って設定された側面切断ラインを含み、前記側面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに平行な側面が形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
請求項5記載の発明は、前記元基板の表面から、前記複数の半導体レーザ素子の境界に沿って前記リッジの長手方向に平行に設定された側面切断ラインに沿う側面スクライブ加工を前記元基板に施す工程と、前記元基板の裏面から、前記側面切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記側面切断ラインに沿って前記元基板を分割する工程とをさらに含む、請求項3に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
請求項6記載の発明は、前記側面スクライブ工程が、前記側面切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、請求項5に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
請求項7記載の発明は、前記受け部は、前記元基板の表面において、前記端面切断ラインと前記側面切断ラインとの交差点を共有する4つの前記半導体レーザ素子領域に属するように形成されている、請求項3に係る請求項4〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
請求項8記載の発明は、前記受け部の前記幅方向の長さは、前記リッジの幅よりも大きい、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
図1は、この発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子の構成を説明するための斜視図である。 図2は、図1のII−II線に沿う縦断面図である。 図3は、図1のIII−III線に沿う横断面図である。 半導体レーザダイオードを製造するための元基板であるウエハを示す図解的な斜視図である。 図5Aは、ウエハを個別素子(半導体レーザ素子)に分割する手順の概略を説明するための図解的な斜視図である。 図5Bは、ウエハを個別素子(半導体レーザ素子)に分割する手順の概略を説明するための図解的な斜視図である。 図5Cは、ウエハを個別素子(半導体レーザ素子)に分割する手順の概略を説明するための図解的な斜視図である。 図6は、ウエハの表面におけるp側電極および受け部の配置を説明するための部分拡大平面図である。 図7Aは、n側電極の第1の形成パターン例を示す底面図である。 図7Bは、n側電極の第2の形成パターン例を示す底面図である。 図7Cは、n側電極の第3の形成パターン例を示す底面図である。 図8Aおよび図8Bは、一次劈開の具体例を説明するための説明図である。 図9Aおよび図9Bは、二次劈開の具体例を説明するための説明図である。 図10Aおよび図10Bは、二次劈開の他の具体例を説明するための説明図である。 図11Aはウエハの表面側からのスクライブ工程と裏面側からのブレーキング工程とで一次劈開を行った比較例に係る複数の試料(半導体レーザ素子)について、しきい値電流を測定した結果を示すヒストグラムである。図11Bはウエハの裏面側からのスクライブ工程と表面側からのブレーキング工程とで一次劈開を行った実施例に係る複数の試料(半導体レーザ素子)について、しきい値電流を測定した結果を示すヒストグラムである。 図12Aは前記比較例に係る複数の試料についてスロープ効率を測定した結果を示すヒストグラムであり、図12Bは前記実施例に係る複数の試料についてスロープ効率を測定した結果を示すヒストグラムである。 図13Aは前記比較例に係る複数の試料について動作電流を測定した結果を示すヒストグラムであり、図13Bは前記実施例に係る複数の試料について動作電流を測定した結果を示すヒストグラムである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子の構成を説明するための斜視図であり、図2は、図1のII−II線に沿う縦断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う横断面図である。
この半導体レーザ素子70は、基板1と、基板1上に結晶成長によって形成されたIII族窒化物半導体積層構造2と、基板1の裏面(III族窒化物半導体積層構造2と反対側の表面)に接触するように形成された裏面電極としてのn側電極3と、III族窒化物半導体積層構造2の表面に接触するように形成された表面電極としてのp側電極4とを備えたファブリペロー型のものである。p側電極4は、p側オーミック電極4Aと、p側パッド電極4Bとを含む。この実施形態では、基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2によって、半導体レーザダイオード構造を構成する半導体積層構造が形成されている。
基板1は、この実施形態では、GaN単結晶基板で構成されている。この基板1は、この実施形態では、非極性面の一つであるm面を主面としたものであり、この主面上における結晶成長によって、III族窒化物半導体積層構造2が形成されている。したがって、III族窒化物半導体積層構造2は、m面を結晶成長面(主面)とするIII族窒化物半導体からなる。
III族窒化物半導体積層構造2を形成する各層は、基板1に対してコヒーレントに成長されている。コヒーレントな成長とは、下地層からの格子の連続性を保った状態での結晶成長をいう。下地層との格子不整合は、結晶成長される層の格子の歪みによって吸収され、下地層との界面での格子の連続性が保たれる。
GaNのa軸格子定数は、3.189Åであり、c軸格子定数は、5.185Åである。一方、無歪み(strain-free)の状態でのAlNのa軸格子定数は3.112Åであり、c軸格子定数は、4.982Åである。したがって、AlGaNのa軸格子定数およびc軸格子定数は、Al組成が大きいほど小さい。また、Al組成の増加に対する増加率は、c軸格子定数の方がa軸格子定数よりも大きい。よって、GaN基板上にAlGaN結晶をコヒーレントに成長させると、AlGaN結晶にはc軸方向およびa軸方向に引っ張り歪み(内部応力)が生じ、その大きさは、c軸方向の方が大きい。
III族窒化物半導体積層構造2は、発光層10と、n型半導体層11と、p型半導体層12とを備えている。n型半導体層11は発光層10に対して基板1側に配置されており、p型半導体層12は発光層10に対してp側オーミック電極4A側に配置されている。こうして、発光層10が、n型半導体層11およびp型半導体層12によって挟持されていて、ダブルヘテロ接合が形成されている。発光層10には、n型半導体層11から電子が注入され、p型半導体層12から正孔が注入される。これらが発光層10で再結合することにより、光が発生するようになっている。
n型半導体層11は、基板1側から順に、n型GaNコンタクト層13(たとえば2μm厚)、n型AlInGaNクラッド層14(1.5μm厚以下。たとえば1.0μm厚)およびn型InGaNガイド層15(たとえば0.1μm厚)を積層して構成されている。一方、p型半導体層12は、発光層10の上に、順に、p型AlGaN電子ブロック層16(たとえば20nm厚)、p型InGaNガイド層17(たとえば0.1μm厚)、p型AlInGaNクラッド層18(1.5μm厚以下。たとえば0.4μm厚)およびp型GaNコンタクト層19(たとえば0.3μm厚)を積層して構成されている。
n型GaNコンタクト層13およびp型GaNコンタクト層19は、低抵抗層である。p型GaNコンタクト層19は、p側オーミック電極4Aにオーミック接触している。n型GaNコンタクト層13は、GaNにたとえばn型ドーパントとしてのSiを高濃度にドープ(ドーピング濃度は、たとえば、3×1018cm−3)することによってn型半導体とされている。また、p型GaNコンタクト層19は、p型ドーパントとしてのMgを高濃度にドープ(ドーピング濃度は、たとえば、3×1019cm−3)することによってp型半導体層とされている。
n型AlInGaNクラッド層14およびp型AlInGaNクラッド層18は、発光層10からの光をそれらの間に閉じ込める光閉じ込め効果を生じるものである。n型AlInGaNクラッド層14は、AlInGaNにたとえばn型ドーパントとしてのSiをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、1×1018cm−3)することによってn型半導体とされている。また、p型AlInGaNクラッド層18は、p型ドーパントとしてのMgをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、1×1019cm−3)することによってp型半導体層とされている。n型AlInGaNクラッド層14は、n型InGaNガイド層15よりもバンドギャップが広く、p型AlInGaNクラッド層18は、p型InGaNガイド層17よりもバンドギャップが広い。これにより、良好な閉じ込めを行うことができ、低閾値および高効率の半導体レーザダイオードを実現できる。
n型InGaNガイド層15およびp型InGaNガイド層17は、発光層10にキャリア(電子および正孔)を閉じ込めるためのキャリア閉じ込め効果を生じる半導体層であり、かつ、クラッド層14,18とともに、発光層10への光閉じ込め構造を形成している。これにより、発光層10における電子および正孔の再結合の効率が高められるようになっている。n型InGaNガイド層15は、InGaNにたとえばn型ドーパントとしてのSiをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、1×1018cm−3)することによりn型半導体とされており、p型InGaNガイド層17は、InGaNにたとえばp型ドーパントとしてのMgをドープする(ドーピング濃度は、たとえば、5×1018cm−3)ことによってp型半導体とされている。
p型AlGaN電子ブロック層16は、AlGaNにp型ドーパントとしてのたとえばMgをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、5×1018cm−3)して形成されたp型半導体であり、発光層10からの電子の流出を防いで、電子および正孔の再結合効率を高めている。
発光層10は、たとえばInGaNを含むMQW(多重量子井戸:multiple-quantum well)構造を有しており、電子と正孔とが再結合することにより光が発生し、その発生した光を増幅させるための層である。
発光層10は、たとえば、InGaN層からなる量子井戸層(たとえば3nm厚)とAlGaN層からなる障壁層(バリア層:たとえば9nm厚)とを交互に複数周期繰り返し積層して構成された多重量子井戸(MQW:Multiple-Quantum Well)構造を有していてもよい。この場合に、InGaNからなる量子井戸層は、Inの組成比を5%以上とすることにより、バンドギャップが比較的小さくなり、AlGaNからなる障壁層は、バンドギャップが比較的大きくなる。たとえば、量子井戸層と障壁層とは交互に2〜7周期繰り返し積層されており、これにより、多重量子井戸構造の発光層が構成されている。発光波長は、量子井戸層のバンドギャップに対応しており、バンドギャップの調整は、インジウム(In)の組成比を調整することによって行うことができる。インジウムの組成比を大きくするほど、バンドギャップが小さくなり、発光波長が大きくなる。この実施形態では、発光波長は、量子井戸層(InGaN層)におけるInの組成を調整することによって、たとえば、450nm〜550nm(青色〜緑色)とされている。前記多重量子井戸構造は、Inを含む量子井戸層の数が3以下とされることが好ましい。
図1等に示すように、p型半導体層12は、その一部が除去されることによって、直線状のリッジ20を形成している。より具体的には、p型コンタクト層19、p型AlInGaNクラッド層18およびp型InGaNガイド層17の一部がエッチング除去され、横断面視ほぼ台形形状(メサ形)のリッジ20が形成されている。このリッジ20は、c軸方向に沿って形成されている。
さらに、III族窒化物半導体構造2の表面(リッジ20が形成された側の主面)においてリッジ20の両側には、リッジ20の長手方向に直交する方向に離れた位置に、4つの受け部30が形成されている。より具体的には、リッジ20の一端の両側方に一対の受け部30が配置されており、リッジ20の他端の両側方に別の一対の受け部30が配置されている。各受け部30は、p型半導体層12からなる土台部31と、この土台部31上に形成された薄膜部32とを含む。土台部31は、リッジ20と同様に、p型半導体層12の一部を除去することによって形成されている。すなわち、p型コンタクト層19、p型AlInGaNクラッド層18およびp型InGaNガイド層17の一部がエッチング除去され、横断面視ほぼ台形形状(メサ形)の土台部31が形成されている。薄膜部32は、土台部31の表面に形成された絶縁膜33,34(後述の絶縁層6)を含む。
各受け部30は、この実施形態では、平面視矩形状に形成されている。各受け部30は、リッジ20の長手方向(共振器長方向。この実施形態ではc軸方向)に直交する幅方向(共振器幅方向。この実施形態ではa軸方向)に関する長さが、リッジ20の幅よりも大きく形成されている。たとえば、リッジ20の幅は、2.5μm程度であり、これに対して、受け部30の前記幅方向の長さは数十μm〜数百μmであってもよい。また、各受け部30は、リッジ20に平行な方向の長さがリッジ20の長さ(共振器長)に比較して十分に短く形成されている。たとえば、リッジ20の長さは600μm程度であり、これに対して受け部30の共振器長方向の長さは数十μm程度であってもよい。さらに、各受け部30は、リッジ20から前記幅方向に沿って予め定める距離を開けて配置されている。リッジ20の幅方向中心と、受け部30のリッジ20側の端縁との間の距離は、数μm〜数十μm程度であってもよい。
III族窒化物半導体積層構造2は、リッジ20の長手方向両端における劈開により形成された鏡面からなる一対の端面21,22(劈開面)を有している。この一対の端面21,22は、互いに平行であり、この実施形態では、いずれもc軸に垂直(すなわち、c面)である。こうして、n型InGaNガイド層15、発光層10およびp型InGaNガイド層17によって、端面21,22をレーザ共振面とするファブリペロー共振器が形成されている。すなわち、発光層10で発生した光は、レーザ共振面21,22の間を往復しながら、誘導放出によって増幅される。そして、増幅された光の一部が、レーザ共振面21,22からレーザ光として素子外に取り出される。
レーザ共振面21,22において、裏面側の下縁領域には、レーザ共振面21,22を劈開によって形成する際のスクライブ加工に起因する端面加工痕8が幅方向全域にわたって形成されている。下縁領域とは、基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造の裏面に連なる領域である。また、幅方向とは、III族窒化物半導体積層構造2の結晶成長面に平行であって、リッジ20の長手方向に直交する方向(共振器幅方向)である。
また、基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造は、リッジ20に平行な一対の側面25を有している。これらの一対の側面25には、元基板としてのウエハから半導体積層構造を劈開して分割するときのスクライブ加工に起因する側面加工痕28が長手方向全域に亘って形成されている。長手方向とは、リッジ20の長手方向に平行な方向(共振器長方向)である。スクライブ加工を裏面側から行った場合には、図1に示すように、側面25の下縁領域に側面加工痕28が形成されている。また、スクライブ加工を表面側から行った場合には、図10Bに示すように、側面25の上縁領域に側面加工痕38が形成されている。上縁領域とは、半導体積層構造の表面(リッジ20側の面)に連なる領域である。
n側電極3は、たとえばAlからなり、基板1にオーミック接続されている。また、p側オーミック電極4Aは、たとえばPtからなり、p型コンタクト層19にオーミック接続されている。p側オーミック電極4Aがリッジ20の頂面(帯状の接触領域)のp型GaNコンタクト層19だけに接触するように、p型InGaNガイド層17およびp型AlInGaNクラッド層18の露出面を覆う絶縁層6が設けられている。これにより、リッジ20に電流を集中させることができるので、効率的なレーザ発振が可能になる。また、リッジ20の表面は、p側オーミック電極4Aとの接触部を除く領域が絶縁層6で覆われて保護されているので、横方向の光閉じ込めを緩やかにして制御を容易にすることができるとともに、側面からのリーク電流を防ぐことができる。絶縁層6は、屈折率が1よりも大きな絶縁材料、たとえば、SiOやZrOで構成することができる。p側パッド電極4Bは、たとえば、Ti/Auで形成されている。
絶縁層6は、受け部30の表面および側面を覆っており、その一部は、薄膜部32を構成する絶縁膜34となっている。一方、p側オーミック電極4Aは、受け部30を露出させるパターンで形成されている。より具体的には、受け部30とp側オーミック電極4Aの周縁との間には、予め定める間隔が開けられている。この間隔は、たとえば、10μm程度であってもよい。
リッジ20の頂面にはp側オーミック電極4Aが接しており、一方、受け部30はリッジ20とほぼ同じ高さの土台部31上に、絶縁膜33,34を積層した薄膜部32を配置した構造となっている。薄膜部32の厚さは、p側オーミック電極4Aの厚さと同等か、またはそれよりも厚い。そのため、受け部30の表面の高さ(III族窒化物半導体積層構造2の表面からの距離)は、リッジ20上のp側オーミック電極4Aの表面と同等か、またはそれよりも高い。これにより、後述する分割工程(ブレーク工程)において、リッジ20が劈開用のブレードから大きな外部応力を受けないので、リッジ20を保護できる。
レーザ共振面21,22は、それぞれ絶縁膜23,24(図1では図示を省略した。)によって被覆されている。レーザ共振面21は、+c軸側端面であり、レーザ共振面22は−c軸側端面である。すなわち、レーザ共振面21の結晶面は+c面であり、レーザ共振面22の結晶面は−c面である。+c面であるレーザ共振面21を被覆するように形成された絶縁膜23は、たとえばZrOの単膜からなる。これに対し、−c面であるレーザ共振面22に形成された絶縁膜24は、たとえばSiO膜とZrO膜とを交互に複数回繰り返し積層した多重反射膜で構成されている。絶縁膜23を構成するZrOの単膜は、その厚さがλ/2n(ただし、λは発光層10の発光波長。nはZrOの屈折率)とされている。一方、絶縁膜24を構成する多重反射膜は、たとえば、膜厚λ/4n(ただしnはSiOの屈折率)のSiO膜と、膜厚λ/4nのZrO膜とを交互に積層した構造となっている。
このような構造により、+c軸側レーザ共振面21における反射率は小さく、−c軸側レーザ共振面22における反射率が大きくなっている。より具体的には、たとえば、+c軸側レーザ共振面21の反射率は20%程度とされ、−c軸側レーザ共振面22における反射率は99.5%程度(ほぼ100%)となる。したがって、+c軸側レーザ共振面21から、より大きなレーザ出力が出射されることになる。すなわち、この半導体レーザ素子70では、+c軸側レーザ共振面21が、レーザ出射端面とされている。
このような構成によって、n側電極3およびp側電極4を電源に接続し、n型半導体層11およびp型半導体層12から電子および正孔を発光層10に注入することによって、この発光層10内で電子および正孔の再結合を生じさせ、波長450nm〜550nmの光を発生させることができる。この光は、レーザ共振面21,22の間をガイド層15,16に沿って往復しながら、誘導放出によって増幅される。そして、レーザ出射端面であるレーザ共振面21から、より多くのレーザ出力が外部に取り出されることになる。
次に、この半導体レーザ素子70の製造方法について説明する。
半導体レーザ素子70を製造するには、まず、図4に図解的に示すように、GaN単結晶基板からなるIII族窒化物半導体基板1を構成する元基板であるウエハ5の上に、半導体レーザ素子70をそれぞれ構成する複数の個別素子80(半導体レーザ素子領域)が行列状に配列されて形成される。
より具体的には、ウエハ5(GaN単結晶基板の状態)の上に、n型半導体層11、発光層10およびp型半導体層12がエピタキシャル成長させられることによって、III族窒化物半導体積層構造2が形成される。
III族窒化物半導体積層構造2が形成された後には、たとえばドライエッチングによりリッジ20および土台部31(受け部30の一部)が形成される。このドライエッチングに先立って、リッジ20および土台部31の形成領域には、ドライエッチングのためのハードマスクとして絶縁膜33(たとえば、酸化シリコン膜)が選択的に形成される。この絶縁膜33は、ドライエッチングの後に選択的に除去される。具体的には、土台部31上には絶縁膜33が残され、リッジ20の頂面上の絶縁膜33は除去される。こうして、土台部31上に薄膜部32を構成する一層目の絶縁膜33が形成される一方で、リッジ20の頂面は露出させられる。
次いで、たとえば酸化シリコンからなる絶縁層6が全面に形成された後、リッジ20の頂面上の絶縁層6がエッチングによって除去される。これにより、土台部31には、絶縁膜33上に、2層目の絶縁膜34(絶縁層6)が形成される。
この後、p側オーミック電極4A、p側パッド電極4B、およびn側電極3が形成される。p側オーミック電極4Aおよびp側パッド電極4Bは、パターニングにより、受け部30およびその周辺の領域を除いて形成される。これにより、p側オーミック電極4Aおよびp側パッド電極4Bは、受け部30を全く覆わず、p側電極4の周縁は、受け部30から間隔を開けて位置することになる。p側電極4の形成は、たとえば、抵抗加熱または電子線ビームによる金属蒸着装置によって行うことができる。
こうして、複数の個別素子80が形成された状態のウエハ5が得られる。必要に応じて、n側電極3の形成に先だって、ウエハ5を薄型化するために、その裏面側からの研削・研磨処理(たとえば、化学的機械的研磨)が行われる。
各個別素子80は、ウエハ5上に仮想される碁盤目状の切断ライン7(仮想的な線)によって区画される各矩形領域に形成されている。切断ライン7は、a軸に沿う(c面に沿う)端面切断ライン7aと、c軸に沿う(a面に沿う)側面切断ライン7bと、を有することになる。
このような切断ライン7に沿って、ウエハ5が各個別素子80へと分割される。すなわち、ウエハ5を切断ライン7に沿って劈開して、個別素子80が切り出される。
次に、ウエハ5を個別素子80に分割する方法について、具体的に説明する。
図5A、図5Bおよび図5Cは、ウエハ5を個別素子80に分割する手順の概略を説明するための図解的な斜視図である。ウエハ5は、まず、共振器長方向(c軸方向)に直交する(すなわち、c面に平行な)端面切断ライン7aに沿って劈開される。これを以下「一次劈開」ということにする。この一次劈開により、図5Bに示すバー状体90が複数本得られる。各バー状体90の両側面91は、レーザ共振面21,22となる結晶面である。このバー状体90の側面91に、前述の絶縁膜23,24(反射率調整用の端面コート膜。図2参照)が形成される。
次に、各バー状体90は、共振器長方向(c軸方向)に平行な側面切断ライン7bに沿って切断される。これを以下「二次劈開」ということにする。この二次劈開により、図5Cに示すように、バー状体90が個別素子80毎に分割され、複数のチップが得られる。
図6は、ウエハ5の表面におけるp側電極4および受け部30の配置を説明するための部分拡大平面図である。ウエハ5上には、複数本のリッジ20がストライプ状に形成されている。すなわち、複数本のリッジ20は、一定の間隔を開けて互いに平行に形成されている。各リッジ20は、一方向に整列した複数個の個別素子80を通るように形成されている。各リッジ20に直交する方向に沿って、端面切断ライン7aが設定されている。端面切断ライン7aは、リッジ20に平行な方向(共振器長方向)に沿って、共振器長に等しい間隔で設定されている。
各リッジストライプ20の両側には、端面切断ライン7aの近傍の領域に、端面切断ライン7aを跨ぐように、平面視ほぼ矩形の受け部30が形成されている。一方、側面切断ライン7bは、隣り合うリッジ20からほぼ等距離の中間位置に、リッジ20と平行に設定されている。受け部30は、側面切断ライン7bを跨ぐ領域に渡って形成されている。すなわち、切断前のウエハ5の表面上では、端面切断ライン7aと側面切断ライン7bとの交差点を共有する4つの個別素子80にそれぞれ属する4つの受け部30が一体になっている。
p側オーミック電極4Aは、リッジ20の頂面の全域にわたって形成されている。リッジ20の頂面以外の領域では、p側電極4は、側面切断ライン7bから予め定める距離だけ後退した位置に幅方向周縁が配置される帯状パターンで形成されている。さらに、p側電極4は、リッジ20の長手方向に関して受け部30に対応する領域では幅狭の帯状パターンに形成されていて、受け部30を回避している。より具体的には、この領域では、p側オーミック電極4Aは、リッジ20の頂面付近にのみ形成され、p側パッド電極4Bは形成されていない。
図7Aは、n側電極3の第1の形成パターン例を示す底面図である。この例では、n側電極3は、切断ライン7a,7bによって区画される複数の矩形領域内にそれぞれ矩形パターンで形成されている。個々のn側電極3は、端面切断ライン7aおよび側面切断ライン7bのいずれからも予め定める距離だけ後退した周縁を有している。より具体的には、個々のn側電極3は、半導体レーザ素子70のレーザ共振面21,22に対応する端面切断ライン7aから後退した端面後退部3aと、半導体レーザ素子70の側面25に対応する側面切断ライン7bに対向する側面後退部3bとをその周縁に有している。端面後退部3aは、端面切断ライン7aと平行な直線状に形成されており、側面後退部3bは側面切断ライン7bと平行な直線状に形成されている。したがって、複数のn側電極3が形成されていない部分は、切断ライン7a,7bに整合する細い線状領域をなす。よって、この線状領域を目印として、ウエハ5を切断する際に必要な加工を行うことができる。
図7Bは、n側電極3の第2の形成パターン例を示す底面図である。この例では、n側電極3は、端面切断ライン7aによって区画される複数の帯状領域内にそれぞれ帯状パターンで形成されている。この例のn側電極3は、側面切断ライン7bでは分離されていない。個々のn側電極3は、半導体レーザ素子70のレーザ共振面21,22に対応した端面切断ライン7aから予め定める距離だけ後退した端面後退部3cを周縁に有している。端面後退部3cは、端面切断ライン7aと平行な直線状に形成されている。したがって、複数のn側電極3が形成されていない部分は、端面切断ライン7aに整合する細い線状領域をなす。よって、この線状領域を目印として、ウエハ5を切断する際に必要な加工を行うことができる。
図7Cは、n側電極3の第3の形成パターン例を示す底面図である。この例では、n側電極3は、各端面切断ライン7aの両端に一対のノッチ37を有している。ノッチ37は、n側電極3の内方に向かって後退する形状を有している。この例のn側電極3は、切断ライン7a,7bでは分離されていない。リッジ20に直交する方向に沿って対向する一対のノッチ37を通る直線は、端面切断ライン7aに整合する。そこで、ノッチ37を目印として、ウエハ5を切断する際に必要な加工を行うことができる。
図8Aおよび図8Bは、一次劈開の具体例を説明するための説明図である。一次劈開は、図8Aに示す裏面スクライブ工程と、図8Bに示す表面ブレーキング工程とを含む。
裏面スクライブ工程は、図8Aに示すように、ウエハ5の裏面から端面切断ライン7aに沿ってスクライブ加工を施す工程である。ウエハ5の表面はリッジ20が形成されている主面であり、その反対の主面がウエハ5の裏面である。スクライブ加工は、レーザ加工機(レーザスクライバ)によって行ってもよいし、ダイヤモンドスクライバによって行ってもよい。スクライブ加工によって、ウエハ5の裏面側には、端面切断ライン7aに沿って、連続した端面加工痕8が形成されることになる。この端面加工痕8は、各個別素子80(半導体レーザ素子70)において、レーザ共振面21,22の幅方向全域に渡って連続することになる。端面加工痕8は、溝形状(分割ガイド溝)であってもよい。スクライブ加工の深さは、端面切断ライン7aにおけるウエハ5の厚さ(より正確には基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造の厚さ)の10%以上であることが好ましい。したがって、端面加工痕8は、ウエハ5(基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2)の裏面から、その厚さの10%以上の深さの範囲に至る下縁領域に形成されることになる。
表面ブレーキング工程は、図8Bに示すように、ウエハ5の表面側から、端面切断ライン7aに沿ってブレード9(たとえばセラミックブレード)をあてがって、ウエハ5に外力を加える工程である。これにより、ウエハ5は、端面加工痕8に沿って、ウエハ5の主面に垂直な結晶面で劈開される。こうして、リッジ20に垂直な劈開面からなるレーザ共振面21,22が得られる。これらのレーザ共振面21,22は、裏面側の下縁領域にそれぞれ端面加工痕8を有することになる。端面加工痕8は、たとえば、線状の溝を長手方向に沿って半割した形状(部分溝形状)を有していてもよい。
ブレード9をウエハ5にあてがうとき、ブレード9のエッジは受け部30に当接し、プレート9からの外力の大部分は受け部30で受けられる。これは、受け部30の高さがリッジ20の高さ(より正確にはその頂面に形成されたp側オーミック電極4Aの高さ)以上であり、受け部30のブレード9に沿う方向の長さがリッジ20の幅よりも大きいからである。したがって、ブレード9によってウエハ5に外力を加えるとき、この外力のほとんど(または全部)は受け部30によって受けられ、リッジ20にはほとんど(または全く)作用しない。そのため、リッジ20を外力から保護しながら、ブレード9によるブレーキング工程を行うことができる。したがって、導波路を傷付けることなく一次劈開を行うことができるから、歩留まりがよくなる。
図9Aおよび図9Bは、二次劈開の具体例を説明するための説明図である。この具体例に係る二次劈開は、図9Aに示す裏面スクライブ工程と、図9Bに示す表面ブレーキング工程とを含む。
裏面スクライブ工程は、図9Aに示すように、ウエハ5の裏面から側面切断ライン7bに沿ってスクライブ加工を施す工程である。このスクライブ加工は、一次劈開のブレーキング工程の前に行うことが好ましいが、一次劈開のスクライブ加工(端面切断ライン7aに沿ったスクライブ加工)の前であっても後であってもよい。スクライブ加工は、レーザ加工機(レーザスクライバ)によって行ってもよいし、ダイヤモンドスクライバによって行ってもよいが、一次劈開のスクライブ加工と同じ加工方法が好ましい。スクライブ加工によって、ウエハ5の裏面側には、側面切断ライン7bに沿って、側面加工痕28が形成されることになる。側面加工痕28は、溝形状(分割ガイド溝)であってもよい。スクライブ加工の深さは、側面切断ライン7bにおけるウエハ5の厚さ(より正確にはリッジ20および受け部30以外の部分における基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2の合計の厚さ)の80%以上であることが好ましい。したがって、側面加工痕28は、ウエハ5(基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造)の裏面から、その厚さの80%以上の深さの範囲に至る下縁領域に形成されることになる。
表面ブレーキング工程は、図9Bに示すように、一次劈開におけるブレーキング工程よりも後に行われる。したがって、二次劈開における表面ブレーキング工程は、一次劈開によって得られたバー状体80の表面側から、側面切断ライン7bに沿ってブレード29(たとえばセラミックブレード)をあてがって、ウエハ5(バー状体80)に外力を加える工程である。これにより、ウエハ5(バー状体80)は、側面加工痕28に沿って、ウエハ5の主面に垂直な結晶面で劈開される。こうして、リッジ20に平行な側面25が形成される。これらの側面25は、裏面側の下縁領域にそれぞれ側面加工痕28を有することになる。側面加工痕28は、たとえば、線状の溝を長手方向に沿って半割した形状(部分溝形状)を有していてもよい。
ブレード29をウエハ5(バー状体80)にあてがうとき、ブレード29のエッジは受け部30に当接する。これは、受け部30の高さがp側オーミック電極4Aの高さよりも高いからである。したがって、ブレード29によってウエハ5(バー状体80)に外力を加えるとき、この外力は、最初に受け部30によって受けられる。そのため、受け部30から劈開が始まり、バー状体80の共振器長方向全域へと劈開範囲が広がる。これにより、リッジ20に平行な側面に関する劈開も安定して行うことができる。
図10Aおよび図10Bは、二次劈開の他の具体例を説明するための説明図である。この具体例に係る二次劈開は、図10Aに示す表面スクライブ工程と、図10Bに示す裏面ブレーキング工程とを含む。
表面スクライブ工程は、図10Aに示すように、ウエハ5の表面から側面切断ライン7bに沿ってスクライブ加工を施す工程である。このスクライブ加工は、一次劈開のブレーキング工程の前に行うことが好ましいが、一次劈開のスクライブ加工(端面切断ライン7aに沿ったスクライブ加工)の前であっても後であってもよい。スクライブ加工は、レーザ加工機(レーザスクライバ)によって行ってもよいし、ダイヤモンドスクライバによって行ってもよい。スクライブ加工によって、ウエハ5の表面側には、側面切断ライン7bに沿って、側面加工痕38が形成されることになる。側面加工痕38は、溝形状(分割ガイド溝)であってもよい。スクライブ加工の深さは、側面切断ライン7bにおけるウエハ5の厚さ(より正確にはリッジ20および受け部30以外の部分における基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2の合計の厚さ)の80%以上であることが好ましい。したがって、側面加工痕38は、ウエハ5(基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造)の表面から、その厚さの80%以上の深さの範囲に至る上縁領域に形成されることになる。
裏面ブレーキング工程は、図10Bに示すように、一次劈開におけるブレーキング工程よりも後に行われる。したがって、二次劈開における裏面ブレーキング工程は、一次劈開によって得られたバー状体80の裏面側から、側面切断ライン7bに沿ってブレード39(たとえばセラミックブレード)をあてがって、ウエハ5(バー状体80)に外力を加える工程である。これにより、ウエハ5(バー状体80)は、側面加工痕38に沿って、ウエハ5の主面に垂直な結晶面で劈開される。こうして、リッジ20に平行な側面25が形成される。これらの側面25は、裏面側の上縁領域にそれぞれ側面加工痕38を有することになる。側面加工痕38は、たとえば、線状の溝を長手方向に沿って半割した形状(部分溝形状)を有していてもよい。
図11Aはウエハ5の表面側からのスクライブ工程と裏面側からのブレーキング工程とで一次劈開を行った比較例に係る複数の試料(半導体レーザ素子)について、しきい値電流Ithを測定した結果を示すヒストグラムである。この場合、スクライブ工程は、リッジ20を傷付けないように、端面切断ライン7aに沿って、リッジ20の部分で分断されるミシン目状の不連続パターンで行った。一方、図11Bはウエハ5の裏面側からのスクライブ工程と表面側からのブレーキング工程とで一次劈開を行った実施例に係る複数の試料(半導体レーザ素子)について、しきい値電流Ithを測定した結果を示すヒストグラムである。スクライブ工程は、前述のとおり、端面切断ライン7aに沿って連続線状に行った。図11Aおよび図11Bの比較から、実施例は比較例よりもしきい値電流Ithが約4割低減されたことが分かる。
図12Aは前述の比較例に係る複数の試料についてスロープ効率SEを測定した結果を示すヒストグラムであり、図12Bは前述の実施例に係る複数の試料についてスロープ効率SEを測定した結果を示すヒストグラムである。これらの比較から、実施例は比較例よりもスロープ効率SEが約4割増加したことが分かる。
図13Aは前述の比較例に係る複数の試料について動作電流Iopを測定した結果を示すヒストグラムであり、図13Bは前述の実施例に係る複数の試料について動作電流Iopを測定した結果を示すヒストグラムである。これらの比較から、実施例は比較例よりも動作電流Iopが約4割減少したことが分かる。
以上のように、この実施形態の半導体レーザ素子70においては、基板1およびIII族窒化物半導体積層構造2を含む半導体積層構造が、レーザ共振面21,22の下縁領域に形成された端面加工痕8を有している。すなわち、この半導体レーザ素子70では、半導体積層構造の裏面側から加工を施して端面加工痕8を形成し、半導体積層構造の表面側からブレード9をあてがって外力を加えることで元基板を劈開し、その劈開面によってレーザ共振面21,22を形成できる。端面加工痕8は、リッジ20が形成されていない裏面側に形成されるので、リッジ20の付近に不連続部を有する不連続パターンに形成する必要がないから、連続パターンに形成できる。そのため、表面側から加える外力による劈開を安定に行うことができるので、良好な劈開面を得ることができる。これにより、特性の優れた半導体レーザ素子70を提供できる。具体的には、しきい値電流の低減、スロープ効率の増大、および動作電流の低減を達成できる。
また、半導体レーザ素子70においては、III族窒化物半導体積層構造2の表面においてリッジ20の長手方向と直交する幅方向へ離れた位置に受け部30が配置されており、この受け部30は、リッジ20以上の高さを有し、前記幅方向の長さがリッジ20の幅よりも大きく、かつp側オーミック電極4Aから間隔を開けて形成されている。これにより、ウエハ5の表面側にブレード9をあてがって外力を加えるときに、この外力のほとんどまたは全部を受け部30に作用させることができる。これにより、リッジ20を保護しながら元基板であるウエハ5を分割(劈開)して、良好な劈開面からなるレーザ共振面21,22を形成できる。しかも、受け部30は、幅方向の長さがリッジ20の幅よりも大きいので、外力を確実に受けることができる。また、受け部30は、p側オーミック電極4Aから間隔を開けて形成されているので、外力を受けるときにp側オーミック電極4Aを傷付けることがない。これにより、電流リーク等の不具合の原因となることもない。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、リッジ20の両側に受け部30を設けて、端面切断ライン7aに沿ってウエハ5を分割する際にブレード9がリッジ20に外力をほとんど及ぼさないようになっている。しかし、リッジ20の高さがさほど高くなく、リッジ20が損傷する可能性が低い場合には、受け部30を省いてもよい。また、III族窒化物半導体積層構造2を構成する各層の組成は一例にすぎず、必要な仕様に応じて変更してもよい。さらに、前述の実施形態では、m面を成長主面としたIII族窒化物半導体積層構造2を用いる例を示したが、他の非極性面であるa面、極性面であるc面、または半極性面を主面(結晶成長面)としたIII族窒化物半導体積層構造によって半導体レーザダイオード構造が構成されてもよい。この発明によれば、いずれの結晶面を結晶成長面とする場合であっても、良好な劈開面からなるレーザ共振面を有する半導体レーザ素子を提供できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
また、この明細書および図面の記載から、抽出される特徴を以下に示す。
(項1)発光層と、この発光層の一方側に配置されたp型ガイド層と、前記発光層の他方側に配置されたn型ガイド層と、前記p型ガイド層の前記発光層とは反対側に配置されたp型クラッド層と、前記n型ガイド層の前記発光層とは反対側に配置されたn型クラッド層とを有する半導体積層構造を含み、前記半導体積層構造が、表面側に形成された直線状のリッジと、このリッジの長手方向両端に前記リッジに直交するように形成された一対のレーザ共振面と、この一対のレーザ共振面において前記半導体積層構造の裏面に連なる下縁領域に形成された端面加工痕とを含む、半導体レーザ素子。
この構成によれば、レーザ共振面は、半導体積層構造の裏面(リッジとは反対の面)に連なる下縁領域に端面加工痕を有している。すなわち、この半導体レーザ素子は、半導体積層構造の裏面側から加工を施して端面加工痕を形成し、半導体積層構造の表面側(リッジが形成された側)からブレードをあてがって外力を加えることで元基板を劈開し、その劈開面によってレーザ共振面を形成できる。端面加工痕は、リッジが形成されていない裏面側に形成されるので、リッジ付近に不連続部を有する不連続パターンに形成する必要がないから、連続パターンに形成できる。そのため、表面側から加える外力による劈開を安定に行うことができるので、良好な劈開面を得ることができる。より具体的には、リッジに垂直な結晶面が、劈開性の十分でない結晶面であったとしても、このような結晶面に沿って半導体積層構造を良好に劈開できる。これにより、半導体積層構造を形成するための結晶成長面、およびリッジ方向の選択自由度が大きくなるので、半導体レーザ素子の設計自由度が大きくなる。したがって、必要な仕様の半導体レーザ素子を実現しやすくなる。また、良好な劈開面でレーザ共振面を形成できるから、半導体レーザ素子の特性を向上できる。より具体的には、しきい値電流の低下、スロープ効率の増大、動作電流の低減などを図ることができる。
(項2)前記端面加工痕が、前記半導体積層構造の幅方向全域に渡って連続している、項1に記載の半導体レーザ素子。
「幅方向」とは、リッジの長手方向(共振器長方向)に直交し、半導体積層構造の結晶成長面に平行な方向(共振器幅方向)をいう。この構成によれば、半導体積層構造の幅方向全域に渡ってその裏面側から加工を行い、その後に、半導体積層構造の表面側からブレードをあてがって外力を加えることにより、元基板を分割(劈開)できる。これにより、リッジに垂直な結晶面が劈開性の良くない結晶面であっても、良好な劈開面からなるレーザ共振面を提供できる。
(項3)前記端面加工痕の厚さが、前記半導体積層構造の厚さの10%以上である、項1または2に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、端面加工痕が十分な厚さを有しているので、レーザ共振面は、一層良好な劈開面で形成できる。これにより、半導体レーザ素子の特性を向上できる。「端面加工痕の厚さ」とは、半導体積層構造の積層方向(結晶成長面に垂直な方向)に沿う長さである。
(項4)前記半導体積層構造が、m面を結晶成長面とするIII族窒化物半導体からなっており、前記レーザ共振面がc面である、項1〜3のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成では、半導体積層構造がm面を結晶成長面とするIII族窒化物半導体からなっている。この場合、c軸方向にリッジの長手方向(導波路の方向。共振器長方向)をとることによって、TEモードのレーザ発振を効率良く生じさせることができる。リッジの長手方向がc軸方向であるので、レーザ共振面はc面となる。半導体積層構造の裏面側から連続パターンの端面加工痕を形成しておくことによって、c面に沿うIII族窒化物半導体結晶(半導体積層構造)の劈開を安定に行うことができる。よって、良好な劈開面からなるレーザ共振面を提供できる。
III族窒化物半導体とは、III-V族半導体においてV族元素として窒素を用いた半導体である。窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)が代表例である。一般には、Al X In Y Ga 1-X-Y N(0≦X≦1,0≦Y≦1,0≦X+Y≦1)と表わすことができる。
(項5)前記半導体積層構造の表面に形成された表面電極と、前記半導体積層構造の前記表面において前記リッジの長手方向と直交する幅方向へ離れた位置に配置され、前記リッジと等しいかそれ以上の高さを有し、前記幅方向の長さが前記リッジの幅よりも大きく、かつ前記表面電極から間隔を開けて形成された受け部とをさらに含む、項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、半導体積層構造の表面側にブレードをあてがって外力を加えるときに、この外力を受け部に作用させることができる。これにより、リッジを保護しながら元基板を分割(劈開)して、良好な劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。しかも、受け部は、半導体積層構造の幅方向(劈開面および結晶成長面に平行な方向。共振器幅方向)の長さがリッジの幅よりも大きいので、外力を確実に受けることができる。また、受け部は、表面電極から間隔を開けて形成されているので、外力を受けるときに表面電極を傷付けることがない。したがって、電流リーク等の不具合を回避できる。
(項6)前記半導体積層構造の裏面に形成され、前記一対のレーザ共振面から内方に後退した端面後退部を周縁に有する裏面電極をさらに含む、項5に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、裏面電極の周縁が、レーザ共振面から内方に後退した端面後退部を有しているので、この端面後退部を目印にして半導体積層構造の裏面側からの加工を行うことができる。
(項7)前記半導体積層構造が、前記リッジの長手方向に平行な一対の側面と、前記一対の側面において前記半導体積層構造の裏面に連なる下縁領域に形成された側面加工痕とをさらに含む、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、リッジに平行な側面に関する分割は、半導体積層構造の裏面側から元基板の加工を行い、その後、半導体積層構造の表面側からブレードをあてがって元基板に外力を加えることによって行うことができる。裏面側からの加工は、連続パターンで施すことができ、また、導波路を傷付けるおそれがないので、必要に応じて深い加工を施すことができる。これにより、半導体積層構造の側面に沿う元基板の分割を安定に行える。
(項8)前記半導体積層構造の裏面に形成された裏面電極が、前記一対の側面から内方に後退した側面後退部を周縁に有している、項7に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、裏面電極が、側面から内方に後退した側面後退部を有しているので、この側面後退部を目印にして、半導体積層構造の裏面側からの加工を行うことができる。
(項9)前記半導体積層構造が、前記リッジの長手方向に平行な一対の側面と、前記一対の側面において前記半導体積層構造の表面に連なる上縁領域に形成された側面加工痕とをさらに含む、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、リッジに平行な側面に関する分割は、半導体積層構造の表面側から元基板の加工を行い、その後、半導体積層構造の裏面側から元基板にブレードをあてがって外力を加えることによって行うことができる。側面に関しては、リッジを回避する必要がないので、表面側からでも連続パターンの加工を施すことができ、また、導波路を傷付けるおそれがないので、必要に応じて深い加工を施すことができる。これにより、半導体積層構造の側面に沿う元基板の分割を安定に行える。
(項10)前記側面加工痕が前記半導体積層構造の長手方向の全域に渡って連続している、項7〜9のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、半導体積層構造の長手方向(リッジの長手方向に平行な方向)の全域に渡る加工を施してから、リッジに平行な方向に沿って元基板を分割できる。これにより、半導体積層構造の側面に関する分割を一層安定に行える。
(項11)前記側面加工痕の厚さが、前記半導体積層構造の80%以上である、項7〜10のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
この構成によれば、側面加工痕の厚さが十分に厚いので、元基板を確実に側面加工痕に沿って分割できる。これにより、半導体積層構造の側面に関する分割を一層安定に行える。「側面加工痕の厚さ」とは、半導体積層構造の結晶成長面に垂直な方向の長さである。
(項12)複数の半導体レーザ素子領域が行列状に配列され、一方向に整列した複数の半導体レーザ素子領域をそれぞれ通るようにストライプ状に形成された複数のリッジを有する元基板を準備する工程と、前記リッジが形成された表面とは反対側の裏面から、前記複数の半導体レーザ素子領域の境界線に沿って設定された切断ラインに沿うスクライブ加工を前記元基板に施すスクライブ工程と、前記元基板の表面から前記切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記切断ラインに沿って前記元基板を分割する分割工程とを含む、半導体レーザ素子の製造方法。
この方法によれば、元基板の裏面からスクライブ加工を行い、その後に元基板の表面からブレードをあてがって元基板の表面に交差する方向(より具体的には垂直な方向)の外力を加えることによって元基板が分割(劈開)される。このようなスクライブ加工および分割(劈開)をリッジに直交する切断ラインに沿って行えば、リッジに垂直な劈開面からなるレーザ共振面が得られる。スクライブ加工は、リッジが形成されていない裏面側から行われるので、リッジ付近に不連続部を有する不連続パターンに形成する必要がなく、連続パターンのスクライブ加工を施すことができる。そのため、表面側からブレードをあてがって行う劈開を安定に行うことができるので、良好な劈開面を得ることができる。より具体的には、リッジに垂直な結晶面が、劈開性の十分でない結晶面であったとしても、このような結晶面に沿って元基板を良好に劈開できる。これにより、半導体レーザダイオード構造をなす半導体積層構造を形成するための結晶成長面、およびリッジ方向の選択自由度が大きくなるので、半導体レーザ素子の設計自由度が大きくなる。したがって、必要な仕様の半導体レーザ素子を実現しやすくなる。また、良好な劈開面からなるレーザ共振面を提供できるから、半導体レーザ素子の特性向上に寄与できる。
(項13)前記スクライブ加工が、前記切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、項12に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法では、連続パターンのスクライブ加工が行われるので、元基板の安定した分割(劈開)が可能であり、それに応じて、良好な劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。
(項14)前記切断ラインが、前記リッジに直交する方向に沿って設定された端面切断ラインを含み、前記端面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに直交する劈開面からなるレーザ共振面が形成される、項12または13に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法により、リッジと直交する端面切断ラインに関して、裏面側からのスクライブ加工および表面側から加える外力による元基板の分割が行われる。これにより、安定した劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。前記端面切断ラインに沿うスクライブ加工の深さは、元基板の厚さの10%以上であることが好ましい。
(項15)前記切断ラインが、前記リッジの長手方向に沿って設定された側面切断ラインを含み、前記側面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに平行な側面が形成される、項12〜14のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法により、リッジと平行な側面切断ラインに関して、裏面側からのスクライブ加工および表面側から加える外力による元基板の分割が行われる。これにより、半導体レーザ素子の側面に関する元基板の分割を安定に行える。この分割をさらに安定に行うためには、側面切断ラインに関するスクライブ加工の深さを、元基板の厚さの80%以上とすることが好ましい。
(項16)前記元基板の表面から、前記複数の半導体レーザ素子の境界に沿って前記リッジの長手方向に平行に設定された側面切断ラインに沿う側面スクライブ加工を前記元基板に施す工程と、前記元基板の裏面から、前記側面切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記側面切断ラインに沿って前記元基板を分割する工程とをさらに含む、項14に記載の半導体レーザ素子の製造方法である。
この方法では、リッジと直交する端面切断ラインに関しては、裏面側からのスクライブ加工および表面側から加える外力による元基板の分割が行われる。これにより、安定した劈開面からなるレーザ共振面を形成できる。その一方で、リッジと平行な側面切断ラインに関しては、表面側からのスクライブ加工および裏面側から加える外力による元基板の分割が行われる。側面切断ラインに関しては、リッジを回避する必要がないから、表面側からであっても連続パターンでの加工が可能である。したがって、半導体レーザ素子の側面に関する元基板の分割を安定に行える。
(項17)前記側面スクライブ工程が、前記側面切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、項16に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
この方法により、側面切断ラインに関する元基板の分割を一層安定に行える。この分割をさらに安定に行うためには、側面切断ラインに関するスクライブ加工の深さを、元基板の厚さの80%以上とすることが好ましい。
1 基板(GaN単結晶基板)
2 III族窒化物半導体積層構造
3 n側電極
3a 端面後退部
3b 側面後退部
3c 端面後退部
4 p側電極
4A p側オーミック電極
4B p側パッド電極
5 ウエハ
6 絶縁層
7 切断ライン
7a 端面切断ライン
7b 側面切断ライン
8 端面加工痕
9 ブレード
10 発光層
11 n型半導体層
12 p型半導体層
13 n型GaNコンタクト層
14 n型AlInGaNクラッド層
15 n型InGaNガイド層
16 p型AlGaN電子ブロック層
17 p型InGaNガイド層
18 p型AlInGaNクラッド層
19 p型GaNコンタクト層
20 リッジ
21 レーザ共振面
22 レーザ共振面
23 絶縁膜
24 絶縁膜
25 側面
28 側面加工痕
29 ブレード
30 受け部
31 土台部
32 薄膜部
33 絶縁膜
34 絶縁膜
37 ノッチ
38 側面加工痕
39 ブレード
70 半導体レーザ素子
80 個別素子(半導体レーザ素子領域)
90 バー状体
91 バー状体の側面

Claims (8)

  1. 複数の半導体レーザ素子領域が行列状に配列され、一方向に整列した複数の半導体レーザ素子領域をそれぞれ通るようにストライプ状に形成された複数のリッジと、前記リッジの長手方向と直交する幅方向へ前記リッジから離れた位置において、前記複数の半導体レーザ素子領域の境界線に沿って設定された切断ラインを跨ぐように形成され、前記リッジと等しいかそれ以上の高さを有する受け部を有する元基板を準備する工程と、
    前記リッジが形成された表面とは反対側の裏面から、前記切断ラインに沿うスクライブ加工を前記元基板に施すスクライブ工程と、
    前記受け部に当接するように、前記元基板の表面から前記切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記切断ラインに沿って前記元基板を分割する分割工程とを含む、半導体レーザ素子の製造方法。
  2. 前記スクライブ加工が、前記切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、請求項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  3. 前記切断ラインが、前記リッジに直交する方向に沿って設定された端面切断ラインを含み、
    前記端面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに直交する劈開面からなるレーザ共振面が形成される、請求項またはに記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  4. 前記切断ラインが、前記リッジの長手方向に沿って設定された側面切断ラインを含み、
    前記側面切断ラインに沿って前記分割工程を行うことによって、前記リッジに平行な側面が形成される、請求項のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  5. 前記元基板の表面から、前記複数の半導体レーザ素子の境界に沿って前記リッジの長手方向に平行に設定された側面切断ラインに沿う側面スクライブ加工を前記元基板に施す工程と、
    前記元基板の裏面から、前記側面切断ラインに沿って前記元基板にブレードをあてがい、前記側面切断ラインに沿って前記元基板を分割する工程とをさらに含む、請求項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  6. 前記側面スクライブ工程が、前記側面切断ラインに沿って連続するように前記元基板にスクライブ加工を施す工程を含む、請求項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  7. 前記受け部は、前記元基板の表面において、前記端面切断ラインと前記側面切断ラインとの交差点を共有する4つの前記半導体レーザ素子領域に属するように形成されている、請求項3に係る請求項4〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
  8. 前記受け部の前記幅方向の長さは、前記リッジの幅よりも大きい、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
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