JP5688888B2 - 機械式駐車場装置 - Google Patents

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本発明は、駐車時間中に電気式自動車の蓄電池の充電を行う機械式駐車場装置に関するものである
近時、環境問題に関する関心の高まりから、排気ガスを発生する従来の化石燃料利用の自動車に代えて、電気式自動車の開発がなされ、今後この傾向はさらに顕著になるものと見込まれている。このような電気式自動車は、排気ガスを発生しないクリーンな特徴がある反面で、エネルギー源としての電力を蓄電池に充電するために比較的長時間を要するという欠点を有しており、この充電作業は自動車を利用しない待ち時間や、夜間等の駐車時間に行うことになる。また、早い時点での電気式自動車の普及が見込まれる都市部等では、狭隘な空間を立体的に利用し空間効率良く自動車を収納する機械式駐車場装置が一般的なものとなっている。そこで、従来、駐車中の時間を活用して自動車の充電作業を行う機械式駐車場装置が提案されている。すなわち自動車が搭載される各トレーに、充電器、及び受電側接点を備えるとともに、これらのトレーが格納される各格納スペースに、電源に接続された給電側接点を備え、トレーが格納スペースに格納されたとき、受電側接点と給電側接点とを接続し、自動車への充電が行われるようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
特2908939号(段落番号0014〜0020、図1)
しかしながら、前述した従来のものは、格納スペース側の給電側接点とトレー側の受電側接点とを接続する際、これらの給電側接点、及び受電側接点が損傷することを防止するために低速でトレーを移動させる、いわゆる接続運転を要し、入庫動作に時間がかかるという問題があった。また、低速にて給電側接点と受電側接点との接続動作を行うとしても、この動作を繰り返すことで経年的に給電側接点、及び受電側接点に劣化が生じることを防ぐことはできず、部品交換を要し、保守コストの向上を招くという問題もあった。さらに、給電側接点、及び受電側接点にほこりや汚れが付着し、接触不良を起こす恐れもあった。更に、給電側接点と受電側接点の接続動作は、その接点の形状が凸と凹の形であるため、動作方向が一方向のみであった。そのため、格納スペースの端部でのみでしか充電ができなかった。
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、給電側と受電側との接続を要することなくトレー上の自動車に備えられる蓄電池の充電を行うことのできる機械式駐車場装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は、自動車が載置される複数のトレーと、これらのトレーを入出庫口と複数の格納スペースとの間で移送する移送手段とを備えたものにあって、駐車中の時間を活用して自動車の充電作業を行う機械式駐車場装置において、前記格納スペースの少なくとも1つに、高周波電磁装置に接続される1次コイルを備えた充電用格納スペースを設けるとともに、前記トレーの少なくとも1つ、前記1次コイルと対向可能な2次コイル、及び一端がこの2次コイル、他端が自動車の蓄電池のソケットに差し込まれるソケットを有する接続可能なケーブルを備えた充電用トレーとし、前記移送手段により、前記充電用トレーを水平面上の縦方向または横方向に駆動して前記充電用スペースに位置させたことを特徴とする。
このように構成した本発明では、駐車中の時間を活用して自動車に備えられる蓄電池の充電作業を行う場合、入庫時に、当該自動車を2次コイルを有するトレーに乗り入れるとともに、一端が2次コイルに接続されるケーブルの他端を自動車側に接続する。次いで、トレーを移送手段により高周波電磁装置に接続される1次コイルを備えた格納スペースに格納し、1次コイルと2次コイルとを対向状態とする。この状態で高周波電磁装置から高周波電力を1次コイルに送り、電磁誘導の原理で2次コイルに電力を伝達し、ケーブルを介して自動車への充電を行う。これによって、給電側と受電側との接続を要することなくトレー上の自動車に備えられる蓄電池の充電を行うことができる。
また、前記1次コイルを、特定の前記格納スペースに備えるとともに、前記2次コイル、及び前記ケーブルを、特定の前記トレーに備え、かつ、前記入出庫口に、前記特定のトレーを呼び出す呼び出し手段を設けたことを特徴としている。
このように構成したものでは、駐車中の時間を活用して自動車の充電作業を行う場合、入庫時に、呼び出し手段により特定のトレー、すなわち充電用トレーを呼び出し、自動車をこのトレーに乗り入れるとともに、ケーブルを自動車側に接続する。この状態で充電用トレーを移送手段により特定の格納スペース、すなわち充電用格納スペースに格納すると、1次コイルと2次コイルとが対向する。この状態で高周波電力を1次コイルに送り、電磁誘導の原理で2次コイルに電力を伝達し、ケーブルを介して自動車への充電を行う。このように、特定のトレー、及び特定の格納スペースにのみ充電設備を設けることで、充電設備の利用効率を高めることができる。
本発明によれば、給電側と受電側との接続を要することなく、すなわち、非接触にてトレー上の自動車に備えられる蓄電池の充電を行うことができ、これによって、非充電トレーの場合と同等のトレー移動速度および移動方向を可能とし、運転効率の向上を図ることができる。また、接続に伴う給電側、及び受電側機器の経年的な劣化がなく、装置の耐久性を高めることができる。さらに、ほこりや汚れの付着に伴う動作不良を低減し、装置の信頼性の向上を図ることもできる。
本発明に係る機械式駐車場装置の一実施例を示す構成図である。 本実施例における機械式駐車場装置の要部拡大斜視図である。 本実施例における機械式駐車場装置の概略構成図である。 本実施例における機械式駐車場装置の概略上面図である。
以下、本発明に係る機械式駐車場装置の実施例を図に基づき説明する。
本実施例の機械式駐車場装置は、図3及び図4に示すように、平面循環式と称されるものであり、地上に入出庫口1、地下スペースに、第1の格納階層A、及び第2の格納階層Bがそれぞれ設置されている。また、第1の格納階層A、及び第2の格納階層Bには、自動車が載置される複数のトレー2がマトリックス状に配置されるとともに、これらのトレー2を格納スペース3に縦送り又は横送りするトレー送り機構4が設置されており、これらのトレー2が、トレー送り機構4により、前後及び左右の4方向、あるいは前後又は左右の2方向に送られるようになっている。さらに、各格納階層A、Bの循環移送路における所定位置との間でトレー2を受け渡し可能な昇降台51を有し、地上の入出庫口1と地下の収納階層A、Bとの間で昇降可能なリフト5が設けられている。
なお、前述したトレー2を入出庫口1と複数の格納スペース3との間で移送する移送手段は、トレー送り機構4およびリフト5とからなっている。また、図2に示すように、トレー2下面の四隅にそれぞれ横方向車輪21、及び縦方向車輪22が近接して軸支されるとともに、格納階層A、Bに、トレー2の横方向、及び縦方向の各車輪21、22が走行可能な横方向レール41、及び縦方向レール42がマトリックス状に敷設される。そして、これら横方向レール41、及び縦方向レール42で区画された複数の格納スペース3上に、それぞれトレー送り機構4の図示しないトレー送り手段が設置される。さらに、複数の格納スペース3のうち少なくとも1箇所(図4では5箇所)にトレー2のない空スペースが設定され、その他の格納スペース上に複数のトレー2が配置される。
そして、例えば格納階層Aに設けられた特定の格納スペース(以下、充電用格納スペース3aと称する)に、図1及び図2に示すように、電源に接続される高周波電磁装置6と、この高周波電磁装置6にケーブル7を介して接続される1次コイル8とが備えられている。
また、特定のトレー(以下、充電用トレー2aと称する)に、1次コイル8と対向可能な2次コイル9と、一端がこの2次コイル9、他端が電気自動車C側に接続可能なケーブル10とが備えられている。なお、ケーブル10の他端にはソケット101が備えられ、電気自動車Cの蓄電池側のソケットに差し込み可能となっている。
さらに、入出庫口1に、図3に示すように、充電用トレー2aを呼び出す呼び出し手段、例えばトレー操作盤11が備えられている。
本実施例にあっては、電気自動車Cを入庫し、充電する場合、トレー操作盤11を操作して充電用トレー2aを、入出庫口1に呼び出す。この呼び出しに応じ、図示されない制御手段に予め格納されたプログラムに従って、トレー送り機構4のトレー送り手段が作動され、トレー2を水平面上の縦方向、又は横方向に送り駆動する。すなわち、トレー2の空スペースに隣接する1箇所、又は複数箇所の格納スペース3のトレー送り手段が起動され、その格納スペース3上の1台、又は複数台のトレー2が横方向、又は縦方向に送られ、トレー2は横方向車輪21、又は縦方向車輪22の横方向レール41上、又は縦方向レール42上の走行により移動される。この移動により新たに空いた空スペースに向けてさらに他のトレー2、又はトレー2群が順次移動される。このように、1台、又は複数台のトレー2がトレー2の空スペースに向けて移動される動作が繰り返されて、充電用トレー2aはリフト5まで移動される。充電用トレー2aがリフト5の昇降台51に載せられると、昇降台51は入出庫口1まで上昇する。この状態で電気自動車Cを充電用トレー2aに乗り入れる。ここで、ケーブル10のソケット101を電気自動車Cの蓄電池側のソケットに差し込み接続する。この後、昇降台51を充電用格納スペース3aのある第1の格納階層Aまで下降し、トレー送り機構4のトレー送り手段が作動され、充電用トレー2aを水平面上の縦方向、又は横方向に送り駆動し、充電用格納スペース3aに位置させる。これに応じて充電用格納スペース3a側の1次コイル8と充電用トレー2a側の2次コイル9とが対向状態となる。この状態で高周波電磁装置6から高周波電力が1次コイル8に送り、電磁誘導の原理で2次コイル9に電力を伝達し、2次コイルに接続されたケーブル10を介して電気自動車Cの蓄電池の充電が行われる。
また、電気自動車Cの出庫要請があったときは、通常の操作と同様に出庫作業が行われる。すなわち、トレー操作盤11の操作に応じ、前述と同様、1台、又は複数台のトレー2が空区画に向けて縦方向、又は横方向に向けて移動するトレー2の送り動作が繰り返されることにより、充電用トレー2aはリフト5まで移動される。そして、充電用トレー2aがリフト5の昇降台51に載せられると、昇降台51は入出庫口1まで上昇し、この後、電気自動車Cは出庫される。
本実施例によれば、給電側と受電側との接触を要することなく、すなわち、非接触にて充電用トレー2a上の電気自動車Cに備えられる蓄電池の充電を行うことができ、これによって、非充電トレーの場合と同等のトレー移動速度と移動方向を可能とし、すなわち、従来のような低速で方向の限定された接続運転を要することがなく、したがって、運転効率の向上を図ることができる。また、接続に伴う給電側、及び受電側機器の経年的な劣化がなく、装置の耐久性を高めることができる。さらに、ほこりや汚れの付着に伴う動作不良を低減し、装置の信頼性の向上を図ることもできる。さらにまた、特定のトレーである充電用トレー2a、及び特定の格納スペースである充電用格納スペース3aにのみ充電設備を設けることで、充電設備の利用効率を高め、電気自動車利用者の利便性を高めるとともに、無駄な設備投資を防ぎ、コストの低減を図ることができる。
なお、前述した実施例では、機械式駐車場装置に1台の充電用トレー2a、及び1つの充電用格納スペース3aを設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、ニーズに応じて任意に充電用トレー、及び充電用格納スペースの数を設定することができる。すなわち、複数の充電用トレー、及び複数の充電用格納スペースを設けてもよいし、機械式駐車場装置のすべてのトレー、及びすべての格納スペースに充電設備を設けてもよい。また、充電用トレーが充電用格納スペースより多くても良い。
1 入出庫口
2 トレー
2a 充電用トレー
3 格納スペース
3a 充電用格納スペース
4 トレー送り機構
5 リフト
6 高周波電磁装置
7 ケーブル
8 1次コイル
9 2次コイル
10 ケーブル
11 トレー操作盤
21 横方向車輪
22 縦方向車輪
41 横方向レール
42 縦方向レール
51 昇降台
101 ソケット
A 第1の格納階層
B 第2の格納階層
C 電気自動車

Claims (2)

  1. 自動車が載置される複数のトレーと、これらのトレーを入出庫口と複数の格納スペースとの間で移送する移送手段とを備えたものにあって、駐車中の時間を活用して自動車の充電作業を行う機械式駐車場装置において、
    前記格納スペースの少なくとも1つに、高周波電磁装置に接続される1次コイルを備えた充電用格納スペースを設けるとともに、前記トレーの少なくとも1つ、前記1次コイルと対向可能な2次コイル、及び一端がこの2次コイル、他端が自動車の蓄電池のソケットに差し込まれるソケットを有する接続可能なケーブルを備えた充電用トレーとし、前記移送手段により、前記充電用トレーを水平面上の縦方向または横方向に駆動して前記充電用スペースに位置させたことを特徴とする機械式駐車場装置。
  2. 前記1次コイルを、特定の前記格納スペースに備えるとともに、前記2次コイル、及び前記ケーブルを、特定の前記トレーに備え、かつ、前記入出庫口に、前記特定のトレーを呼び出す呼び出し手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の機械式駐車場装置。


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