JP5687915B2 - 車両のホイール支持構造 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、車両のホイールの支持構造において、ホイールの回転ロスを増やさないようにシール部材を設けるとともに、ハブ部側から水や埃を排出できるようにすることを目的とする。
この構成によれば、ホイールは円管状のハブ部でベアリングを介して車軸に軸支され、ハブ部の内壁と車軸との間に締め代を有するシール部材が設けられ、ハブ部の幅内に一部が収容され、この部分から径方向外側に延びる複数のヒレ部を有するラビリンス部材が設けられるため、ハブ部に水や埃が侵入することをラビリンス部材によって抑制でき、締め代によって生じるシール部材の緊迫力を高めなくともベアリングへの水や埃の侵入を抑制できる。このため、ホイールの回転ロスを増やさないように、車軸とハブ部との間にシール部材を設けることができ、低燃費化を図ることができる。さらに、ラビリンス部材のヒレ部の内で最も外側のヒレ部の下部が切り欠かれて水抜き部とされるため、ヒレ部の下部から水や埃を速やかに排出できるとともに、最も外側のヒレ部より内側のヒレ部で水や埃の侵入を抑制できる。このため、水や埃がベアリングの性能に影響することを防止できる。また、ラビリンス部材の係止部を、車軸保持部材に設けられる回り止め部で回り止めできるため、水抜き部の位置を下方に規制でき、ラビリンス部材から水を効率良く排出できる。
この場合、ラビリンス部材のヒレ部とホイールのハブ部の内壁との径方向の隙間が、複数のヒレ部間の溝よりも小さいため、ヒレ部間の溝に侵入した埃は、隙間が前記溝よりも小さいヒレ部とハブ部の内壁との間には入りにくく、ヒレ部間の溝を通って排出されることになるため、シール部材側への埃の侵入を抑制できる。
この場合、ハブ部よりも軸方向外側にラビリンス部材の外カバー部が設けられるため、外カバー部によってハブ部側への水や埃の侵入をより低減できるとともに、外カバー部とハブ部の軸方向外側端部との隙間がヒレ部間の寸法よりも小さく設けられるため、外カバー部とハブ部の軸方向外側端部との隙間からヒレ部間に侵入する埃の大きさは小さくなり、この埃はヒレ部間を通って落ち易くなる。このため、シール部材側への埃の侵入を抑制できる。
この場合、外カバー部の水抜き孔から水や埃を効率良く排出できるとともに、水抜き孔の側方を覆う側方膨出部によって水抜き孔から水や埃が侵入することを抑制できる。
この場合、ヒレ部間の溝の断面積よりも、水抜き孔の面積の方が大きいため、水抜き孔から水や埃を効率良く排出できる。
また、前記複数のヒレ部(45A,45B)の内、最外側の2つ以上に下部の切り欠きが設けられるとともに、前記複数のヒレ部(45A,45B)の内、内側のヒレ部は、前記ハブ部(25)との隙間を一定にされる構成としても良い。
この場合、複数のヒレ部の内、最外側の2つ以上に下部の切り欠きが設けられるため、水抜き部から効率良く水や埃を排出できるとともに、複数のヒレ部の内、内側のヒレ部は、ハブ部との隙間を一定にされるため、この内側のヒレ部によってシール部材側への水や埃の侵入を抑制できる。
この場合、ベアリングの外側方に隣接して配されるカラー部材の係止凹部をラビリンス部材の係止凸部に係止することで、ラビリンス部材を簡単に固定できる。このため、ラビリンス部材を低コストかつ軽量に設けることができるとともに、ラビリンス部材とホイールとのクリアランスを容易に確保できる。
また、ハブ部よりも軸方向外側に外カバー部が設けられるため、ハブ部側への水や埃の侵入をより低減できるとともに、外カバー部とハブ部の軸方向外側端部との隙間がヒレ部間の寸法よりも小さく設けられるため、この隙間からヒレ部間に侵入する埃の大きさは小さくなり、この埃はヒレ部間を通って落ち易くなる。このため、シール部材側への埃の侵入を抑制できる。
また、外カバー部の水抜き孔から水や埃を効率良く排出できるとともに、水抜き孔の側方を覆う側方膨出部によって水抜き孔から水や埃が侵入することを抑制できる。
また、複数のヒレ部の内、最外側の2つ以上に下部の切り欠きが設けられるため、水抜き部から効率良く水や埃を排出できるとともに、複数のヒレ部の内、内側のヒレ部は、ハブ部との隙間を一定にされるため、この内側のヒレ部によってシール部材側への水や埃の侵入を抑制できる。
さらに、カラー部材の係止凹部をラビリンス部材の係止凸部に係止することで、ラビリンス部材を簡単に固定できる。このため、ラビリンス部材を低コストかつ軽量に設けることができるとともに、ラビリンス部材とホイールとのクリアランスを容易に確保できる。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るホイール支持構造が適用された自動二輪車の前部を示す正面断面図である。
自動二輪車1(車両)は、前輪10と後輪(不図示)との間に車体を備える鞍乗型の自動二輪車であり、上記車体は、車体フレーム(不図示)、この車体フレームに支持されるエンジン(不図示)、上記車体フレームの後部に設けられ、上記後輪を回転自在に支持するスイングアーム(不図示)、及び、上記車体フレームの前部において左右に転舵自在に支持されるとともに前輪10を回転自在に軸支するチューブ状のフロントフォーク11(車軸保持部材)を備えている。フロントフォーク11は左右一対で設けられるが、ここでは車両右側のフロントフォークは図示を省略されている。
フロントフォーク11は、上下2分割のチューブを組み合わせて構成されるものであり、下部チューブ11Aの下端にはブロック状の軸支持部11Bが設けられ、軸支持部11Bには、車幅方向に貫通する車軸支持孔11Cが形成され、車軸12は車軸支持孔11Cに挿通される。
ハブ部25においてベアリング収容部27,28の間には、ベアリング収容部27,28よりも小径の空間部33が形成され、この空間部33には、車軸12が挿通されるガイドパイプ29が配置される。
図1及び図2に示すように、ベアリング15,16はボールベアリングであり、ベアリング収容部27,28に圧入されるアウタレース15A,16Aと、車軸12が挿通されるインナレース15B,16Bと、アウタレース15A,16Aとインナレース15B,16Bとの間に設けられるボール15C,16Cとを備えて構成されている。
前輪10は、車軸12が左右のフロントフォーク11及びハブ部25に挿通された状態で、左側の軸支持部11Bの外側面に当接するボルト頭部12Bと右側のフロントフォークの下部の軸支持部(不図示)の外側面に当接する上記ナットとの間の締結力によってフロントフォーク11に固定される。詳細には、車軸12の締結力によって、右側のフロントフォークの上記軸支持部、インナレース15B、ガイドパイプ29、インナレース16B、カラー部材32及び軸支持部11Bは、車軸12の軸方向に圧縮力を受けて固定されて一体となり、これにより、インナレース15B、ガイドパイプ29、インナレース16B及びカラー部材32は、ハブ部25内で回転不能となる。そして、車軸12側に固定されたインナレース15B,16Bに対してボール15C,16Cを介してアウタレース15A,16Aとともにハブ20が相対回転することで、ホイール14が車軸12に対して回転することになる。
ダストシール30は、ゴム状の弾性体の内部に金属環35Aが埋設されて形成されるリング状のシール本体35と、シール本体35の内周面に設けられる環状のリップ部36とを有している。リップ部36はダストシール30の軸方向の両端部から径方向の内側に突出して一対で設けられ、一対のリップ部36間の溝には、グリスが充填される。
図2及び図3に示すように、フロントフォーク11はキャスター角の分だけ後傾して設けられ、下部チューブ11Aの下端には、ラビリンス部材40側に突出する回り止め部17が設けられている。
外カバー部43における外面部43Bの上部には、下部チューブ11Aに対向するように溝状の係止部49が形成されており、ラビリンス部材40は、外カバー部43の係止部49が下部チューブ11Aの回り止め部17に係合されることで周方向に係止され、回り止めされる。
また、外カバー部43の外面部43Bの下部には、下部チューブ11A側に膨出する側方膨出部50が形成されている。
また、水抜き孔52は外カバー部43によって側方を覆われており、下方のみに開口しているため、側方からの水や埃が水抜き孔52に侵入することを防止できる。
水や埃は、ラビリンス部材40とベアリング収容部28の開口端28Aとの間から侵入するが、第1の実施の形態では、開口端28Aをラビリンス部材40の外カバー部43で覆っているため、水や埃が外側からベアリング収容部28に侵入することを抑制できる。また、水や埃がベアリング収容部28に侵入したとしても、ヒレ部45A,45Bによって構成されるラビリンス構造によって、水や埃のダストシール30及びベアリング16側への侵入を防止でき、ヒレ部45A,45Bによって捕集された水や埃は、ヒレ部45A,45Bの溝P,Sを通って下方に落下し、ラビリンス部材40の下部に形成された水抜き部51に到達し、その後、水抜き孔52を通って外側に排出される。
さらに、隙間Rの軸方向の大きさが溝S,Pの軸方向の長さよりも小さく形成されているため、隙間Rからヒレ部45A,45Bの溝S,Pに侵入する埃の大きさは溝S,Pの長さに比して小さくなり、この埃は溝S,Pを通って落ち易くなる。このため、ベアリング16側へ埃の侵入を抑制できる。
また、下方から見た場合の水抜き孔52の面積(図4)は、側面から見た場合の溝Sの断面積(図2)よりも大きく形成されているため、水や埃を水抜き孔52から効率良く排出できる。
そして、ラビリンス部材40によってベアリング収容部28への水や埃の侵入を抑制できるため、車軸12側のカラー部材32に対するダストシール30の緊迫力を小さく設定できる。このため、ダストシール30とカラー部材32との間のフリクションが小さくなり、自動二輪車1の低燃費化を図ることができる。
また、ラビリンス部材40は隙間R及び隙間Qを有してベアリング収容部28に設けられており、ラビリンス部材40がホイール14に非接触であるため、ホイール14の回転を妨げることなく水や埃の侵入を低減できる。
また、ハブ部25よりも軸方向外側にラビリンス部材40の外カバー部43が設けられるため、外カバー部43によってハブ部25側への水や埃の侵入をより低減できるとともに、外カバー部43とハブ部25の開口端28Aとの隙間Rがヒレ部45A,45B間の溝Pよりも小さく設けられるため、隙間Rからヒレ部45A,45B間の溝Pに侵入する埃の大きさは小さくなり、この埃は隙間Qを通過するよりも溝Pを通って落ち易くなる。このため、ダストシール30及びベアリング16側への埃の侵入を抑制できる。
さらにまた、外カバー部43の水抜き孔52から水や埃を効率良く排出できるとともに、水抜き孔52の側方を覆う側方膨出部50によって水抜き孔52から水や埃が侵入することを抑制できる。
また、ベアリング16の外側方に隣接して配されるカラー部材32の係止凹部34をラビリンス部材40の係止凸部41Bに係止することで、ラビリンス部材40を簡単に固定できる。このため、ラビリンス部材40を低コストかつ軽量に設けることができるとともに、ラビリンス部材40とホイール14との間のクリアランスを容易に確保できる。
上記第1の実施の形態では、ラビリンス部材40が左側のベアリング収容部28に設けられる構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、右側のベアリング収容部27をベアリング収容部28と同様に構成し、ベアリング収容部27にラビリンス部材40を設けても良い。
また、上記第1の実施の形態では、前輪10を支持するホイール支持構造を例に挙げて説明したが、本発明は車輪が支持される位置に限定されるものではなく、例えば、後輪を支持するホイール支持構造に本発明を適用しても良い。
以下、図5及び図6を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態では、主に、上記第1の実施の形態の外カバー部43が設けられていない点が第1の実施の形態と異なる。
図5に示すように、ベアリング収容部28には、ベアリング16、ダストシール30、カラー部材32、及び、カラー部材32の外周面に嵌合するラビリンス部材240が設けられている。
カラー部材32は、ラビリンス部材240が嵌合する大径部232Bを有し、大径部232Bの外周面には、周方向に間隔をあけて複数配置される凹部234が設けられている。
筒部44には、ダストシール30側から軸方向に順に、ヒレ部45A,45B,245Cが形成されている。ヒレ部245Cは、ヒレ部45Bよりも外側に位置し、軸方向の最も外側に位置するヒレ部であり、ヒレ部245Cの軸方向の端面は、開口端28Aの軸方向の位置に略一致している。ヒレ部245Cは、外周面44Aを一周する鍔状の凸部である。
ヒレ部45A,45B,245Cの高さは略同一に形成され、ヒレ部45A,45B,245Cの先端とベアリング収容部28の内壁28Bとの間には、径方向に隙間Qが形成されており、ヒレ部45A,45B,245Cは内壁28Bに接触しない。
隙間Qの径方向の大きさは、溝P,Tの軸方向の長さよりも小さく形成されている。このように、溝P,Tの長さより小さな隙間Qを有するヒレ部245Cを開口端28Aの内側に設けることで、ラビリンス部材240内への水や埃の侵入を抑制できるとともに、溝P,Tに水や埃が侵入したとしても、水や埃はヒレ部45A,45Bの隙間Qを通るよりも溝P,T内を通り易いため、ダストシール30及びベアリング16側への水や埃の侵入を抑制できる。
図5及び図6に示すように、ラビリンス部材240は、カラー部材32に沿って外側に延びる管状の外側延出部243を有し、外側延出部243の下部には、245Cを越えて下方に延びる側方カバー部250が形成されている。側方カバー部250は、開口端28Aの下部に対して隙間をあけた状態で開口端28Aの下部を側方から覆っている。側方カバー部250の下部には、最も外側に位置する溝Tを側方カバー部250の下方の外側に連通させる水抜き孔253が形成されている。水抜き孔253は、側方カバー部250の内面側の一部を切り欠くようにして形成される。
また、水抜き孔253は側方カバー部250によって側方を覆われており、下方のみに開口しているため、側方からの水や埃が水抜き孔253に侵入することを防止できる。
上記第2の実施の形態では、3つのヒレ部の内、最外側の2つのヒレ部45B,245Cに下部の切り欠きが形成されて水抜き部251,252が設けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数のヒレ部を4つ以上設け、最外側の2つ以上のヒレ部に下部の切り欠きを設け、最も内側のヒレ部をベアリング収容部28の内壁28Bとの隙間Qが一定になるように形成しても良い。
以下、図7及び図8を参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第3の実施の形態では、本発明のホイール支持構造が不整地走行車両であるATV(All Terrain Vehicle)に適用されている。
不整地走行車両300(以下、車両と呼ぶ)は、車体の前後左右にそれぞれ車輪を有する4輪車であり、図7は、車両300の左側の前輪310の支持構造を後方から見た断面図である。
車両300のホイール支持構造は、車体側に設けられる車軸保持部材311、車軸保持部材311に固定される車軸312、及び、車軸312に軸支される前輪310を備えている。
ハブ320は、車軸312に沿うように車幅方向に延出する円管状のハブ部325と、ハブ部325から径方向に延びるリム連結部326とを有している。
ハブ部325の内部において軸方向の両端には、ベアリング15,16が収容される円筒状のベアリング収容部327,328がそれぞれ形成されている。
ベアリング収容部327,328の間には、空間部333が形成され、この空間部33には、テーパー状のガイドパイプ329が配置される。
ダストシール30とカラー332との間には、径方向に締め代が設けられ、この締め代に応じてリップ部36,36が変形する。
図7及び図8に示すように、ラビリンス部材340は、ベアリング収容部328の軸方向の開口端328Aを塞ぐようにして設けられ、ベアリング収容部328への水や埃の侵入を抑制する。
ラビリンス部材340は、円筒状に形成されてベアリング収容部328内に突出する筒部344と、筒部344の外周面344Aから径方向外側に延びる複数のヒレ部345A,345Bが形成されている。ヒレ部345A,345Bは、外周面344Aの周方向に沿って延びる鍔状の凸部であり、外周面344Aを一周するように形成されている。筒部344は、車軸保持部材311の車幅方向の側壁部311Aから突出してベアリング収容部328内に収容される被収容部である。
カラー332は、インナレース16Bと筒部344との間に狭持され、筒部344とダストシール30との間には隙間が設けられる。
ヒレ部345A,345Bの高さは略同一に形成され、ヒレ部345A,345Bの先端とベアリング収容部328の内壁328Bとの間には、径方向に隙間Wが形成されており、ヒレ部345A,345Bは内壁328Bに接触しない。隙間Wの大きさは、溝U及び溝Vの軸方向の長さよりも小さく形成されている。これにより、水や埃は隙間Wよりも溝U及び溝Vを通り易くなるため、ダストシール30側への埃の侵入を抑制できる。
ラビリンス部材340は、車軸保持部材311の筒部344に溝U,Vを形成して構成されており、車軸保持部材311と一体に設けられている。
上記第3の実施の形態では、ラビリンス部材340は車軸保持部材311と一体に設けられているものとして説明したが、これに限らず、ラビリンス部材340を車軸保持部材311とは別部材として形成し、車軸保持部材311に結合しても良い。
以下、図9及び図10を参照して、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
第4の実施の形態では、本発明のホイール支持構造が不整地走行車両であるATV(All Terrain Vehicle)に適用されているとともに、ラビリンス部材がホイール側に設けられる点が上記第1の実施の形態と異なっている。
不整地走行車両400(以下、車両と呼ぶ)は、車体の前後左右にそれぞれ車輪を有する4輪車であり、図9は、車両400の左側の前輪410の支持構造を後方から見た断面図である。
車両400のホイール支持構造は、車体側に設けられる車軸保持部材411、車軸保持部材411に軸支される前輪410を備えている。
車軸保持部材411は、車幅方向に延びる円筒状のベアリング収容部428(軸支持部)を有し、ベアリング収容部428内の車幅方向の内端には、ベアリング416が圧入されている。ベアリング収容部428内においてベアリング416の外側には、ダストシール30が圧入されており、ダストシール30とベアリング416との間には、ベアリング416を軸方向に係止するクリップ415が係合されている。
車軸保持部材411の下部には、車軸保持部材411を転舵操作するためのナックル405が連結されている。
軸部412は先端にかけて細くなる段付き形状に形成され、先端側でベアリング416のインナレース416Bの内周面に嵌合する連結軸部406と、連結軸部406より大径に形成されてダストシール30に嵌合するシール部407と、シール部407より大径に形成されてベアリング収容部428の開口端428Aを塞ぐラビリンス部440とを有している。
ダストシール30とシール部407との間には、径方向に締め代が設けられ、この締め代に応じてリップ部36,36が変形する。ホイール414が回転する際には、シール部407はダストシール30に対して相対回転し、締め代に応じてフリクションが発生する。
図9及び図10に示すように、ラビリンス部440は、ベアリング収容部428の幅内に収容された軸部412の外周面412Aから径方向外側に延びる複数のヒレ部445A,445B,445Cを有している。ヒレ部445A,445B,445Cは、軸部412の周方向に沿って延びる鍔状の凸部であり、外周面412Aを一周するように形成されている。ラビリンス部440は、ベアリング収容部428内に収容される被収容部である。また、ラビリンス部440は軸部412に一体に形成される。
ヒレ部445A,445B,445Cの高さは略同一に形成され、ヒレ部445A,445B,445Cの先端とベアリング収容部428の内壁428Bとの間には、径方向に隙間Gが形成されており、ヒレ部445A,445B,445Cは内壁428Bに接触しない。
また、回転する軸部412にラビリンス部440を設ける構成では、ラビリンス部440部に水抜き部を設けると、この水抜き部もラビリンス部440とともに回転してしまい、下部に水抜き部を位置させておくことができないが、上記のように、回転しないベアリング収容部428に水抜き部451を設けることで、下部に水抜き部451を形成できるため、水や埃を効率良く排出できる。
上記第4の実施の形態では、ラビリンス部440は軸部412に一体に形成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、軸部412と別部材でラビリンス部を形成し、このラビリンス部を軸部412に装着する構成としても良い。
11 フロントフォーク(車軸保持部材)
12,312 車軸
12A 軸部
14,314 ホイール
16 ベアリング
17 回り止め部
25,325 ハブ部
28A 開口端(軸方向外側端部)
28B,328B 内壁
30 ダストシール(シール部材)
32 カラー部材
34 係止凹部
40,240,340 ラビリンス部材
41B 係止凸部
43 外カバー部
45A,45B,245C,345A,345B ヒレ部
49 係止部
50 側方膨出部
51,252,351 水抜き部
52 水抜き孔
300,400 車両
311 車軸保持部材
412 軸部
414 ホイール
416 ベアリング
425 ハブ部
428 ベアリング収容部(軸支持部)
428B 内壁
440 ラビリンス部
445A,445B,445C ヒレ部
451 水抜き部
P,T,U 溝(ヒレ部間の溝)
Q,W 隙間(径方向の隙間)
R,X 隙間(軸方向外側端部との隙間)
Claims (7)
- 車体側に固定される車軸(12)と、該車軸(12)に軸支されるホイール(14)とを備え、該ホイール(14)は前記車軸(12)に沿うように延出する円管状のハブ部(25)を有し、前記ホイール(14)は該ハブ部(25)でベアリング(16)を介して前記車軸(12)に軸支され、前記ベアリング(16)の軸方向外側に設けられるとともに、前記ハブ部(25)の内壁(28B)と前記車軸(12)との間に締め代を有するシール部材(30)が設けられる車両のホイール支持構造において、
前記シール部材(30)の軸方向外側に、前記ハブ部(25)の幅内に一部が収容され、この収容される部分から径方向外側に延びる複数のヒレ部(45A,45B)を有するラビリンス部材(40)が設けられ、
前記複数のヒレ部(45A,45B)の内で最も外側のヒレ部の下部が切り欠かれて水抜き部(51)とされ、
前記ラビリンス部材(40)のホイール中央に対して外側には、前記ハブ部(25)よりも軸方向外側に位置する外カバー部(43)が設けられ、
前記車両は、前記車軸(12)を保持する車軸保持部材(11)を有し、前記ラビリンス部材(40)の前記外カバー部(43)に係止部(49)が設けられ、前記車軸保持部材(11)に、前記係止部(49)を係止する回り止め部(17)が設けられることを特徴とする車両のホイール支持構造。 - 前記ラビリンス部材(40)の前記ヒレ部(45A,45B)と前記ホイール(14)の前記ハブ部(25)の内壁(28B)との径方向の隙間(Q,W)が、前記複数のヒレ部(45A,45B)間の溝(P,T,U)よりも小さく設けられることを特徴とする請求項1記載の車両のホイール支持構造。
- 前記外カバー部(43)と前記ハブ部(25)の軸方向外側端部(28A)との隙間が、前記複数のヒレ部(45A,45B)間の溝(P)よりも小さく設けられることを特徴とする請求項1または2記載の車両のホイール支持構造。
- 前記水抜き部(51)に連通する前記ラビリンス部材(40)の水抜き孔(52)が、前記外カバー部(43)に設けられるとともに、該水抜き孔(52)の側方を覆う側方膨出部(50)が前記外カバー部(43)に設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両のホイール支持構造。
- 前記ラビリンス部材(40)の前記複数のヒレ部(45A,45B)間の溝(P)の断面積よりも、前記水抜き孔(52)の面積の方が大きく設けられることを特徴とする請求項4記載の車両のホイール支持構造。
- 前記複数のヒレ部(45A,45B)の内、最外側の2つ以上に下部の切り欠きが設けられるとともに、前記複数のヒレ部(45A,45B)の内、内側のヒレ部は、前記ハブ部(25)との隙間を一定にされることを特徴とする請求項5記載の車両のホイール支持構造。
- 前記車軸(12)は、前記ベアリング(16)の外側方に隣接して配されるカラー部材(32)を有し、該カラー部材(32)は周方向に沿う係止凹部(34)を有し、前記ラビリンス部材(40)に、該係止凹部(34)に係止される係止凸部(41B)が設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両のホイール支持構造。
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