JP5686583B2 - 情報配信システム、配信サーバおよび配信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、移動体上の電子装置に対し通信手段を介して目的地までのルート情報を配信する情報配信システム、配信サーバおよび配信方法に関する。
公衆無線回線網、無線LAN、WiFiなどの通信手段の発達により、移動体上のナビゲーション装置に通信機能が搭載され、インターネット等のネットワークへの接続が容易になっている。通信機能を利用することで、ナビゲーション装置は、サーバなどからリアルタイムの道路交通情報を適宜受信し、この情報を活かした道路案内をユーザに提供することができる。さらに、ナビゲーション装置からサーバに対し、目的地までのルート探索を要求し、サーバ側では、リアルタイムな渋滞情報や交通規制情報を考慮した最適経路(ルート)を探索し、その経路をナビゲーション装置に配信するサービスが実用化されている。
ここで、サーバが保有している地図データと車載器側のナビゲーション装置が保有している地図データのバージョンが一致していれば、ナビゲーション装置は、サーバから配信されたルート情報に適合したルート案内を実施することができる。しかし、ナビゲーション装置側の地図データは、常に最新のバージョンに更新されているとは限らず、仮に両者のバージョンが不一致の場合には、ナビゲーション装置側ではサーバからのルート情報をそのまま利用することができない。
特許文献1や特許文献2は、ナビゲーション装置で探索されたルートとサーバで最新の地図データを利用して探索されたルートとを比較し、ルートに差分があった場合には、ナビゲーション装置の地図データが古いとみなし、サーバで探索されたルートにて経路案内をすることができるように、地図データの差分データを配信し、地図データの更新を可能にしている。さらに特許文献3は、ナビゲーション装置側の最新バージョンに更新されていないリンクデータについては、サーバから当該リンクデータの道路形状の情報を配信している。
特開2006−65246号公報 特開2004−77254号公報 特開2010−127821号公報
特許文献1、2に開示されるように、車載器側のナビゲーション装置が保有する地図データを、サーバから配信された地図データにより更新することも可能であるが、通信速度、バージョン管理コスト等の問題から、全ての地図データを最新状態に更新することや必要部分のみを最新状態に更新することは現実的に難しく実運用に至っていない。また、実際には、主要な道路以外の道路については更新用の差分データが用意されていないこともある。
そこで、サーバ側と車載器側の地図バージョンが異なる場合には、サーバ側は、車載器側が保有する地図データのバージョンと同じ地図データを利用してルート探索を行い、これを配信している。しかし、古い地図データを利用してルートを探索した場合、実際には存在しない道路がルートに含まれてしまうことがあり、車載器側のナビゲーション装置では、実際に存在しない道路の案内をしてしまうことがある。図1は、古い地図データを利用したときの探索されたルートRを例示している。Mは、自車位置マークであり、Lは、最新地図データには存在しない道路、すなわち現実に存在しない道路である。地図データが古いと、ルートRは、現実に存在しない道路Lを探索してしまう。
さらに特許文献3のように、車載器側の地図データが最新でなくとも、更新されていないリンクデータの道路形状を配信することで、ユーザが最適経路を認識することは可能だが、車載器側の地図データとの同期が取れていないため、音声案内・拡大図表示等の案内誘導機能や、道を間違えた場合のリルート機能を利用することができないという制限が生じる。
そこで本発明は、最新の地図データを保有していなくともユーザにとって煩雑とならないルート案内をすることができる情報配信システム、配信サーバ、配信方法を提供することを目的とする。
本発明に係る情報配信システムは、移動体上で利用可能なナビゲーション機能を備えた電子装置と、配信装置と、配信装置と電子装置間のデータ通信を可能にする通信手段とを備えたものであって、電子装置は、自身が保有する地図データのバージョン、移動体の現在地および目的地に関する情報を前記通信手段を介して配信装置へ送信し、配信装置に対して現在地から目的地までのルート情報を要求する要求手段を含む。配信装置は、電子装置から地図データのバージョン、現在地および目的地に関する情報を受け取り、自身が保有する最新の地図データのバージョンと電子装置の地図データのバージョンとが一致しない場合には、電子装置のバージョンに対応する地図データを用いて現在地から目的地までの第1のルートを探索し、かつ最新の地図データを用いて現在地から目的地までの第2のルートを探索する探索手段と、第1のルートと第2のルートとが一致するか否かを比較し、第1および第2のルート上の不一致区間を検出する検出手段と、第1および第2のルートの不一致区間の重複するルートを探索する再探索手段と、第1および第2のルートが一致した場合には第2のルートに関する情報を、第1および第2のルートの不一致区間の重複ルートが探索された場合には当該重複ルートを含む第3のルートに関する情報を、前記要求手段に応じて前記電子装置へ配信するルート情報送信手段とを有する。
好ましくは前記再探索手段は、前記不一致区間において、最新の地図データと電子装置が保有する地図データ間で重複するリンクが存在するか否かを判定する判定手段を含み、重複するリンクが存在しないと判定された場合には、前記ルート情報配信手段は、第2のルートに関する情報を配信する。好ましくは前記再探索手段は、前記不一致区間において、最新の地図データと電子装置が保有する地図データのいずれか一方にしか存在しないリンクがあったとき、当該リンクを通行禁止であることを表す識別情報を設定し、前記ルート情報配信手段は、当該識別情報を電子装置へ配信する。配信装置はさらに、第2のルートによる所要時間と第3のルートによる所要時間とを比較する比較手段を含み、前記ルート情報配信手段は、第2のルートと第3のルートによる所要時間差がしきい値未満であるとき第3のルートに関する情報を配信し、しきい値以上であるとき、第2のルートおよび前記不一致区間に関する情報を配信することができる。電子装置はさらに、前記ルート情報配信手段から配信されたルートに関する情報に基づきルート案内を行う案内手段と、前記ルート案内手段により第2のルートに従う案内を行う場合、前記不一致区間に関する警告を与える警告手段を含むことができる。好ましくは前記案内手段は、前記不一致区間を走行しているとき、不一致区間の終点の方向を示す指標を表示する。
本発明に係る配信サーバは、移動体上の電子装置からの要求に応じて電子装置にルートに関する情報を配信する可能なものであって、電子装置が保有する地図データのバージョン、移動体の現在地および目的地に関する情報を通信手段を介して受信する受信手段と、自身が保有する最新の地図データのバージョンと電子装置の地図データのバージョンとが一致しない場合には、電子装置のバージョンに対応する地図データを用いて現在地から目的地までの第1のルートを探索し、かつ最新の地図データを用いて現在地から目的地までの第2のルートを探索する探索手段と、第1のルートと第2のルートとが一致するか否かを比較し、第1および第2のルート上の不一致区間を検出する検出手段と、第1および第2のルートの不一致区間の重複するルートを探索する再探索手段と、第1および第2のルートが一致した場合には第2のルートに関する情報を、第1および第2のルートの不一致区間の重複ルートが探索された場合には当該重複ルートを含む第3のルートに関する情報を、電子装置へ配信するルート情報送信手段とを有する。
本発明の配信方法は、移動体上の電子装置からの要求に応じて配信サーバがルートに関する情報を電子装置に配信するものであって、電子装置が保有する地図データのバージョン、移動体の現在地および目的地に関する情報を通信手段を介して配信サーバで受信するステップと、電子装置が保有する地図のバージョンと配信サーバが保有する最新の地図データのバージョンが一致しない場合には、電子装置のバージョンに対応する地図データを用いて現在地から目的地までの第1のルートを探索し、かつ最新の地図データを用いて現在地から目的地までの第2のルートを探索するステップと、第1のルートと第2のルートとが一致するか否かを比較し、第1および第2のルート上の不一致区間を検出するステップと、第1および第2のルートの不一致区間の重複するルートを再探索するステップと、第1および第2のルートが一致した場合には第2のルートに関する情報を、第1および第2のルートの不一致区間の重複ルートが探索された場合には当該重複ルートを含む第3のルートに関する情報を、電子装置へ配信するステップとを有する。
本発明によれば、移動体上の電子装置が最新のバージョンの地図データを持たない場合であっても、配信装置側で探索されたルートを問題なく利用することができる。また、移動体上の電子装置の地図データを更新しなくとも、現状存在しない道路を判別することができ、配信装置と通信を行わない状態でも、その情報を再利用することができる。
従来技術の課題を説明する図である。 本発明の実施例に係る道路情報配信システムを説明する図である。 ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。 本実施例のナビゲーション装置のルート情報配信時の基本動作を示すフローチャートである。 サーバの典型的な構成を示す図である。 本実施例のサーバの機能的なブロック図である。 本発明の第1の実施例に係るサーバの動作を説明するフローチャートである。 本実施例のサーバルート、ナビルート、回避ルートの例を説明する図である。 本発明の第2の実施例に係るサーバの動作を説明するフローチャートである。 第2の実施例によるナビゲーション装置の案内動作を説明する図である。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。好ましい実施態様では、移動体として自動車を例示し、自動車上で動作されるナビゲーション装置が通信機能を利用してサーバとの間でデータ通信をする例を説明する。自動車上で動作されるナビゲーション装置は、自動車に固定されるタイプのものであってもよいし、着脱自在なポータブルタイプのものであってもよい。さらに、ナビゲーション装置は、少なくともナビゲーション機能を備えた電子装置であればよく、当該電子装置は、搭乗者が自動車に持ち込むことができる携帯型のもの、例えばスマートフォン、携帯電話機、携帯情報端末であってもよい。
図2は、本発明の実施例に係る道路情報配信システムの概略を説明する図である。本実施例の道路情報配信システム10は、自車に搭載されかつデータ通信機能を備えたナビゲーション装置20と、ナビゲーション装置20に対してルート情報等の道路情報を配信可能なサーバ30と、ナビゲーション装置20とサーバ3間で無線によるデータ通信を可能にするデータ通信手段40とを有する。
ナビゲーション装置20は、基地局42を介してインターネット44に接続し、道路情報を配信するサーバ30にアクセスすることができる。ナビゲーション装置20は、後述するように、サーバ30に対してルート探索を要求し、サーバ30からルート情報を受信し、そのルート案内をすることができる。ナビゲーション装置20のデータ通信機能は、それ自身が通信機能を内蔵するものであってもよいし、他の通信端末を外部接続するものであってもよい。データ通信の態様は、携帯電話機で利用される公衆無線回線網に限らず、無線LAN、WiFiなどの無線ネットワーク通信を用いるものであってもよい。
図3は、ナビゲーション装置20の一般的な構成を示すブロック図である。同図に示すように、ナビゲーション装置20は、データ通信手段40を介してサーバ30と双方向のデータ通信を可能にするデータ通信部100、データ通信部100を介してサーバ30からの道路情報を受信する受信部110、ディスプレイに画像を表示する画像表示部120、スピーカから音声を出力する音声出力部130、ユーザからの指示を受け取る入力部140、自車位置を検出する自車位置検出部150、種々のデータやナビゲーションに関するプログラム等を記憶する記憶部160と、プログラムを実行し各部の動作を制御する制御部170、各部を接続するバス180とを備えている。
自車位置検出部150は、GPS衛星からの電波を測位し自車の絶対座標を測位するGPS測位機、方位センサや車速センサにより自車の相対的位置変化を測位する航法センサを含む。自車位置検出部150により検出された自車位置に基づき、制御部170は自車位置周辺の地図データを記憶部160から読み出し、これを画像表示部120に表示させる。
記憶部160は、ナビゲーション機能に必要な地図データを記憶する。地図データは、そのバージョン情報に加え、リンクデータ、交差点データ、施設データ等を含む。リンクデータは、リンクIDで管理され、対応する道路の座標、種別等の情報を含む。地図データは、サーバ30から配信される更新用の地図データにより更新したり、接続された外部記憶装置(図示省略)に格納された地図データにより更新することが可能であり、更新された場合には、バージョンも同時に更新される。
制御部170は、自車位置(指定された開始位置を含む)から目的地までの最適なルートの探索をサーバ30に要求したり、サーバ30から配信されたルート情報に従い目的地までのルート案内をする機能を備えている。勿論、これ以外にも、自身でルートを探索したり、目的地を検索する機能など、一般にナビゲーション装置に搭載されている機能を有することができる。
図4は、本実施例のナビゲーション装置20によるルート探索要求時の基本動作を説明するフローを示している。入力部140を介してユーザから目的地の設定があると(ステップS101)、制御部170は、データ通信部100を介してサーバ30にアクセスし(ステップS102)、自車位置および目的地に関する位置情報と自身が保有している地図データのバージョン情報をサーバ30へ送信し(ステップS103)、目的地までの最適なルートの配信を要求する(ステップS104)。好ましくは、自車位置および目的地に関する情報は、緯度、経度の座標情報である。
そして、制御部170は、サーバ30で探索されたルート情報を受け取ると(ステップS105)、当該ルート情報に基づき目的地までのルートを道路地図上に描画し、ルート案内を行う(ステップS106)。制御部170は、目的地に到着したとき、ルート案内を終了する。
図5は、サーバ30の典型的な構成を示す図である。サーバ30は、ネットワークを介して種々の電子装置との間でデータ通信を行うためのデータ通信部200と、中央処理部210と、プログラムやデータを記憶する記憶部220とを備えている。記憶部220には、最新の地図データから過去の古い地図データが記憶され、各地図データは、バージョン情報によって管理され、識別される。また、記憶部220には、中央処理部210が実行するためのプログラムが記憶される。
図6は、中央処理部210の機能的な構成を示すブロック図である。同図において、バージョン判定部300は、ナビゲーション装置から送信された地図データのバージョンとサーバ30が保有している最新の地図データのバージョンとを比較し、ナビゲーション装置20の地図データが最新のものか否かを判定する。つまり、バージョンが一致すれば、ナビゲーション装置20が最新の地図データを保有していると判定し、他方、バージョンが一致しなければ、ナビゲーション装置20の地図データが最新でない(古い)と判定する。
ルート探索部310は、バージョン判定部300によりナビゲーション装置20が最新の地図データを保有していると判定された場合には、最新の地図データを用いて現在地から目的地までのルートを探索する。他方、ナビゲーション装置20の地図データが最新でないと判定された場合には、ナビゲーション装置20の古いバージョンの地図データと最新のバージョンの地図データとを用いてそれぞれのルートを探索する。説明の便宜上、最新のバージョンの地図データで探索されたルートを「サーバルート」、古いバージョンの地図データで探索されたルートを「ナビルート」という。
ルート比較部320は、サーバルートとナビルートとを比較し、両者が完全に一致するか否かを判定する。探索されたルートは、リンク(道路)の集合であり、リンクが直列に接続されたリンク列をもって表すことができる。ルート比較部320は、サーバルートを構成するリンク列と、ナビルートを構成するリンク列とを比較し、リンク単位で一致または不一致のリンクを抽出する。
不一致区間検出部330は、ルート比較部320の比較結果を参照し、サーバルートおよびナビルートにおいて、相互にリンクが異なる不一致区間を検出する。不一致区間が生じる理由には、少なくとも次の2つの原因が考えられる。
1つは、ある区間に新たな道路が形成されたことに応じて、最新バージョンの地図データには、新たな道路に対応するリンクが含まれ、サーバルートが当該新たな道路を含むが、古いバージョンの地図データ(ナビゲーション装置側)には、このような新たな道路のリンクが反映されていない場合である。もう1つは、ある区間の道路が存在しなくなったことに応じて、最新バージョンの地図データには、存在しなくなった道路に対応するリンクが削除され、サーバルートは、そのような現実に存在しない道路を含み得ないが、古いバージョンの地図データ(ナビゲーション装置側)には、現実には存在しない道路に対応するリンクが削除されずに残っており、ナビルートがそのようなリンクを含んでいる場合である。
再探索制御部340は、不一致区間検出部330で検出されたサーバルートとナビルートの不一致区間について、不一致区間のリンクが等しくなるようなルートをルート探索部310に再探索をさせる。不一致区間において重複するルートが探索された場合、この重複するルートを含むサーバルートまたはナビルートを、説明の便宜上、回避ルートという。
ルート情報配信部350は、ナビゲーション装置20からの要求に応じて、サーバルートまたは回避ルートの情報をナビゲーション装置20に配信する。回避ルートの情報を配信する場合には、回避した区間(不一致区間)に関する情報を併せた配信し、ユーザに不一致区間を知らせるようにしてもよい。また、後述される他の実施例では、サーバルートの所要時間と回避ルートの所要時間とを比較し、所要時間の差に基づきサーバルートまたは回避ルートを配信するようにしてもよい。
図7は、本実施例のサーバの配信動作を詳細に説明するフローチャートである。先ず、サーバ30は、ナビゲーション装置20から、現在地、目的地およびバージョンに関する情報を受信する(ステップS201)。次に、ルート探索部310は、サーバ30が保有する最新の地図データを用いて現在地および目的地の情報に基づきサーバルートを探索する(ステップS202)。好ましくは、ルート探索部310は、渋滞情報や交通規制情報などのリアルタイムな情報を参照し最適なルートを探索する。
また、バージョン判定部300は、ナビゲーション装置20が保有する地図データのバージョンとサーバ30が保有する最新の地図データのバージョンとを比較し(ステップS203)、両者が一致するか否かを判定する(ステップS204)。一致すると判定された場合には、すなわち、ナビゲーション装置20の地図データが最新のバージョンである場合には、ルート情報配信部350は、サーバルートをナビゲーション装置20へ配信する(ステップS205)。
他方、バージョンが不一致であるとき、すなわち、ナビゲーション装置20の地図データが古いと場合には、ルート探索部310は、ナビゲーション装置20が保有する地図データと同じバージョンの地図データを用いて現在地および目的地の情報に基づきナビルートを探索する(ステップS206)。次に、ルート比較部320は、サーバルートとナビルートとを比較し(ステップS207)、両ルートが一致するか否かを判定する(ステップS208)。バージョンが異なるにもかかわらず、ルートが一致した場合には、サーバルート上の道路に変更が生じていないことになるので、ルート情報配信部350は、サーバルートを配信する(ステップS205)。
サーバルートとナビルートが一致しない場合には(ステップS208)、不一致区間検出部330は、サーバルートおよびナビルート上のそれぞれの不一致区間を検出する(ステップS209)。次に、再探索制御部340は、両ルートの不一致区間について、最新の地図データと古い地図データ間で重複し得るリンクが存在するか否かを判定する(ステップS210)。重複リンクが存在しないと判定された場合には、サーバルートが配信される(ステップS205)。但し、この場合、ナビゲーション装置20は、自身が保有している地図データによってサーバルートの不一致区間の案内を適切に行うことができないので、サーバルートと一緒に不一致区間の位置情報や不一致区間の道路情報を配信し、ユーザに不一致区間の存在を知らせることができる。
重複するリンクが存在すると判定された場合には、最探索制御部340は、不一致区間のリンクが同一となるようなルートを再探索させ、回避ルートを得る(ステップS211)。ルート情報配信部350は、得られた回避ルートをナビゲーション装置20へ配信する(ステップS212)。回避ルートは、最新の地図データと古い地図データの重複から生成されるものであるから、現実に存在する道路を通るルートであり、古い地図データにあるような現実に存在しない道路等を回避することができる。
図8は、サーバルート、ナビルートおよび回避ルートの探索例を説明する図である。図8(a)は、サーバ30が保有する最新の地図データ、図8(b)は、ナビゲーション装置20が保有する古いバージョンの地図データである。最新の地図データは、現在の道路状況を反映したものであり、新しく新設された道路RAが含まれている。他方、古い地図データには、新設された道路RAは反映されておらず、さらには現状で存在しない道路RBが含まれている。図8(c)、(d)は、図8(a)、(b)のリンクデータを表したものである。リンクデータは、道路の始点および終点の座標、他のリンクとの接続情報、その他道路に関する情報を含むものであり、リンクデータは、リンクIDによって管理される。
図8(e)は、サーバ30が保有する最新の地図データ用いて探索されたサーバルートSRの例を表し、図8(f)は、ナビゲーション装置20が保有するバージョンの地図データで探索されたナビルートNRの例を表している。上記したように、サーバルートSRとナビルートNRを比較することで、不一致区間が検出される。サーバルートSRの不一致区間は、リンクL3、L5、L8であり、言い換えれば、不一致区間の始点は、リンクL1の接続端であり、その終点は、リンクL10の接続端である。また、ナビルートNRの不一致区間は、リンクL20、L7のリンク列であり、その始点は、リンクL1の接続端であり、その終点は、リンクL10の接続端である。
再探索制御部340は、サーバルートSR、ナビルートNRの不一致区間について、重複するリンクが存在するか否かを判定する。最新の地図データにおいて不一致区間の始点から終点に到達し得るリンクは、{L3、L4、L5、L6、L8、L9}であり、古い地図データにおいて不一致区間の始点から終点に到達し得るリンクは、{L3、L4、L6、L7、L9、L20}である。両者の論理積から、重複するリンクは、{L3、L4、L6、L9}である。その結果、図8(g)、図8(h)に示すように、不一致区間において一致するルートが探索される。このように重複するリンクを判別することで、回避ルートの探索が容易となり処理時間を短縮することができる。
さらに、2つの地図データ間で重複するリンクの判定を行うとき、いずれか一方にしか存在しない道路(リンク)が存在する場合には、その道路を通行禁止とし、不一致区間のルートを再探索するようにしてもよい。図8の例では、最新の地図データのリンクL5、古い地図データのリンクL20が通行禁止とされ、リンクL5、リンクL20に通行禁止のフラグが立てられる。このフラグ情報は、ルート情報とともにナビゲーション装置20へ配信され、ナビゲーション装置20において利用することができる。さらに上記とは別に、予め事前に2つの地図バージョンの全リンクを比較し、いずれか一方にしか存在しない道路を通行禁止とし、当該通行禁止情報を先にナビゲーション装置に配信するようにしてもよい。
次に、サーバ20からのルート情報の配信について説明する。配信する手法として、次の2つの例がある。
第1の方法として、リンクデータもしくは交差点ノード(交差点ノードは、リンクとリンクの接続である)に付与された識別情報(ID)のいずれかを用いて、サーバルートまたは回避ルートを通過する全ての識別情報を配信する。ナビゲーション装置20は、受信した識別情報を用いて、自身が保有する地図データを用いて道路画面上にサーバルートまたは回避ルートを再現する。
第2の方法として、リンクデータもしくは交差点ノードに付与された識別情報のいずれかを用いて、サーバルートまたは回避ルート上の右左折交差点や高速出入口など、いくつかのポイントを経由地情報として配信する。ナビゲーション装置20は、自車位置、目的地、配信された経由地情報を用い、自身が保有する地図データを用いて再度ルート計算をし、サーバルートまたは回避ルートを再現する。
第2の方法の場合、経由地情報として、ナビゲーション装置側に通行禁止とされた道路のIDを送信する(図8の例でいえば、リンクデータL20)。ナビゲーション装置20は、自身が保有する地図データにおいて、通行禁止に該当するリンクデータの道路規制を通行禁止に書き換え、そのリンクデータの始点位置を経由点として再度経路計算することで、サーバ側で計算したサーバルートを再現することができる。
また、ナビゲーション装置20は、通行禁止とされた道路(最新地図では存在しない道路)をそのままユーザ情報としてメモリに保持し、道路画面上に表示される道路の表示形態を変更して、当該道路は存在しない道路であることをユーザに警告したり、ナビゲーション装置20においてサーバを利用しない経路計算を行う場合にも、通行禁止とされた道路を通らないルートの探索が可能となる。
このように本実施例によれば、古いバージョンの地図データをもったユーザ(ナビゲーション装置)でも、リアルタイムな情報を用いたサーバ側で計算したルートを問題なく利用することができる。さらに地図データの更新を行わなくとも、ユーザは、現状存在しない道路を判別することができ、サーバと通信を行わない状態でも、その情報を再利用することができる。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例は、図7に示したように、重複するリンクの有無等に応じてサーバルートまたは回避ルートを配信する例を示したが、第2の実施例は、サーバルートと回避ルートの所要時間を対比し、それに応じて最適なルート情報を配信する。図9は、第2の実施例に係る配信動作を説明するフローチャートである。先ず、先の実施例で説明したように、不一致区間が検出され、かつ重複するリンクが存在すると判定された場合には、回避ルートが探索される(SステップS301)。次に、ルート情報配信部350は、サーバルートと回避ルートのそれぞれの目的地までの所要時間を計算し(ステップS302)、両者の所要時間差(回避ルートの所要時間−サーバルートの所要時間)を計算する(ステップS303)。
所要時間差がしきい値以上であるとき、回避ルートの所要時間は大きすぎると判定し、サーバルートと古い地図データ上での不一致区間の道路情報を配信する(ステップS305)。不一致区間の道路情報は、少なくとも古い地図データ上での不一致区間の始点、終点に結合されるリンクIDやその接続端、不一致区間内に存在する案内指標などの情報を含み、この道路情報は、ナビゲーション装置20がルート案内を行うときに参照される。一方、所要時間差がしきい値未満であれば、回避ルートを配信する(ステップS306)。
次に、第2の実施例の場合のナビゲーション装置のルート案内動作について説明する。ナビゲーション装置20は、サーバ30からサーバルートまたは回避ルートの情報を受信すると、それに基づきルート案内を開始する。また、ステップS305において、サーバルートと古い地図の不一致区間の道路情報を受信した場合には、次のように動作する。
ナビゲーション装置20は、取得したサーバルートに基づきルート案内を開始し、案内している最中に、サーバから取得した不一致区間に近づいたとき、「この先、地図データと道路形状が異なっています。○○方面に向かうように走行してください」のような音声案内を実行する。「○○」は、方角、方向、方面などの名称、道路名称などである。図10(a)は、この案内様子を説明する図である。画面には、自車位置周辺の道路地図上にサーバルートSRが合成して表示される。不一致区間の始点に到達したときまたはそこから一定距離の手前に自車位置が到達したとき、上記のような案内を行う。また、画面上には、例えば自車位置マークMの前方に、不一致区間の終点方向を示す矢印M1が表示される。
次に、自車位置が不一致区間に進入すると、ナビゲーション装置20は、自立航法以外の自車位置補正(マップマッチングなど)を停止し、自立航法(GPS測位、ジャイロセンサ、加速度センサ)のみで自車位置を決定する。仮に、自車位置が案内していた道路から外れでも再探索はしない。さらに、不一致区間のルート表示の色を変更し、その区間の道路形状が実際と異なることをユーザに警告する。図10(b)は、自車が不一致区間を走行しているときの表示例である。ここでも不一致区間の終点方向を指す矢印M1が表示される。
次に、自車位置が不一致区間の終点に所定距離だけ近づいたとき、通常動作に復帰し、すなわちマップマッチング等の自車位置補正が再開される。自車位置が不一致区間から所定距離だけ遠ざかった後、ルートから逸脱した場合には再探索処理を可能にする。なお、受信した不一致区間の道路情報は、ナビゲーション装置20の地図データが更新されるまでメモリに保持しておき、ナビゲーション装置20における次回のルート探索時に、不一致区間を回避するようなルートが探索されるようにすることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10:道路情報配信システム 20:ナビゲーション装置
30:サーバ 40:データ通信手段
42:基地局 44:インターネット
RA:新設道路 RB:存在しない道路
L1〜L20:リンクデータ SR:サーバルート
NR:ナビルート M:自車位置マーク
M1:不一致区間の終点方向の矢印

Claims (11)

  1. 移動体上で利用可能なナビゲーション機能を備えた電子装置と、配信装置と、配信装置と電子装置間のデータ通信を可能にする通信手段とを備えた情報配信システムであって、
    電子装置は、自身が保有する地図データのバージョン、移動体の現在地および目的地に関する情報を前記通信手段を介して配信装置へ送信し、配信装置に対して現在地から目的地までのルート情報を要求する要求手段を含み、
    配信装置は、
    電子装置から地図データのバージョン、現在地および目的地に関する情報を受け取り、自身が保有する最新の地図データのバージョンと電子装置の地図データのバージョンとが一致しない場合には、電子装置のバージョンに対応する地図データを用いて現在地から目的地までの第1のルートを探索し、かつ最新の地図データを用いて現在地から目的地までの第2のルートを探索する探索手段と、
    第1のルートと第2のルートとが一致するか否かを比較し、第1および第2のルート上の不一致区間を検出する検出手段と、
    第1および第2のルートの不一致区間において、電子装置が保有するバージョンの地図データによるルートと配信装置が保有する最新のバージョンの地図データによるルートとが重複するルートを探索する再探索手段と、
    第1および第2のルートが一致した場合には第2のルートに関する情報を、第1および第2のルートの不一致区間の重複ルートが探索された場合には当該重複ルートを含む第3のルートに関する情報を、前記要求手段に応じて前記電子装置へ配信するルート情報送信手段とを有する、
    情報配信システム。
  2. 前記再探索手段は、前記不一致区間において、最新の地図データと電子装置が保有する地図データ間で重複するリンクが存在するか否かを判定する判定手段を含み、重複するリンクが存在しないと判定された場合には、前記ルート情報配信手段は、第2のルートに関する情報を配信する、請求項1に記載の情報配信システム。
  3. 前記再探索手段は、前記不一致区間において、最新の地図データと電子装置が保有する地図データのいずれか一方にしか存在しないリンクがあったとき、当該リンクを通行禁止であることを表す識別情報を設定し、前記ルート情報配信手段は、当該識別情報を電子装置へ配信する、請求項1または2に記載の情報配信システム。
  4. 配信装置はさらに、第2のルートによる所要時間と第3のルートによる所要時間とを比較する比較手段を含み、
    前記ルート情報配信手段は、第2のルートと第3のルートによる所要時間差がしきい値未満であるとき第3のルートに関する情報を配信し、しきい値以上であるとき、第2のルートおよび前記不一致区間に関する情報を配信する、請求項1に記載の情報配信システム。
  5. 電子装置はさらに、
    前記ルート情報配信手段から配信されたルートに関する情報に基づきルート案内を行う案内手段と、
    前記ルート案内手段により第2のルートに従う案内を行う場合、前記不一致区間に関する警告を与える警告手段を含む、請求項1ないし4いずれか1つに記載の情報配信システム。
  6. 前記案内手段は、前記不一致区間を走行しているとき、不一致区間の終点の方向を示す指標を表示する、請求項5に記載の情報配信システム。
  7. 移動体上の電子装置からの要求に応じて電子装置にルートに関する情報を配信する可能な配信サーバであって、
    電子装置が保有する地図データのバージョン、移動体の現在地および目的地に関する情報を通信手段を介して受信する受信手段と、
    自身が保有する最新の地図データのバージョンと電子装置の地図データのバージョンとが一致しない場合には、電子装置のバージョンに対応する地図データを用いて現在地から目的地までの第1のルートを探索し、かつ最新の地図データを用いて現在地から目的地までの第2のルートを探索する探索手段と、
    第1のルートと第2のルートとが一致するか否かを比較し、第1および第2のルート上の不一致区間を検出する検出手段と、
    第1および第2のルートの不一致区間において、電子装置が保有するバージョンの地図データによるルートと配信装置が保有する最新のバージョンの地図データによるルートとが重複するルートを探索する再探索手段と、
    第1および第2のルートが一致した場合には第2のルートに関する情報を、第1および第2のルートの不一致区間の重複ルートが探索された場合には当該重複ルートを含む第3のルートに関する情報を、電子装置へ配信するルート情報送信手段と、
    を有する配信サーバ。
  8. 前記再探索手段は、前記不一致区間において、最新の地図データと電子装置が保有する地図データ間で重複するリンクが存在するか否かを判定する判定手段を含み、重複するリンクが存在しないと判定された場合には、前記ルート情報配信手段は、第2のルートに関する情報を配信する、請求項7に記載の配信サーバ。
  9. 前記再探索手段は、前記不一致区間において、最新の地図データと電子装置が保有する地図データのいずれか一方にしか存在しないリンクがあったとき、当該リンクを通行規禁止であることを表す識別情報を設定し、前記ルート情報配信手段は、当該識別情報を電子装置へ配信する、請求項7または8に記載の配信サーバ。
  10. 配信サーバはさらに、第2のルートによる所要時間と第3のルートによる所要時間とを比較する比較手段を含み、
    前記ルート情報配信手段は、第2のルートと第3のルートによる所要時間差がしきい値未満であるとき第3のルートに関する情報を配信し、しきい値以上であるとき、第2のルートおよび前記不一致区間に関する情報を配信する、請求項7に記載の配信サーバ。
  11. 移動体上の電子装置からの要求に応じて配信サーバがルートに関する情報を電子装置に配信する配信方法であって、
    電子装置が保有する地図データのバージョン、移動体の現在地および目的地に関する情報を通信手段を介して配信サーバで受信するステップと、
    電子装置が保有する地図のバージョンと配信サーバが保有する最新の地図データのバージョンが一致しない場合には、電子装置のバージョンに対応する地図データを用いて現在地から目的地までの第1のルートを探索し、かつ最新の地図データを用いて現在地から目的地までの第2のルートを探索するステップと、
    第1のルートと第2のルートとが一致するか否かを比較し、第1および第2のルート上の不一致区間を検出するステップと、
    第1および第2のルートの不一致区間において、電子装置が保有するバージョンの地図データによるルートと配信装置が保有する最新のバージョンの地図データによるルートとが重複するルートを再探索するステップと、
    第1および第2のルートが一致した場合には第2のルートに関する情報を、第1および第2のルートの不一致区間の重複ルートが探索された場合には当該重複ルートを含む第3のルートに関する情報を、電子装置へ配信するステップと、
    を有する配信方法。
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