以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、ベクトルにおいて矢印を考慮して起点から終点に向かう進みが向きと表現され、ベクトルにおいて矢印を考慮せずに起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、前側開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10]
図1に示されるように、本発明の画像記録装置の一例である複合機10は、概ね薄型の直方体に形成されている。インクジェット記録方式のプリンタ部11が、複合機10の下部に設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。なお、本実施形態において、複合機10はプリント機能として片面画像記録機能のみ有しているが、複合機10は両面画像記録機能を有していてもよい。
プリンタ部11は筐体14を有する。上下方向7及び左右方向9に拡がる前壁17が、筐体14の前側に形成されている。前壁17に対向して配置された後壁16(図4(B)参照)が、筐体14の後側に形成されている。前側開口13が、前壁17の概ね中央部に形成されている。給紙トレイ20及び排紙トレイ21が、前側開口13から前後方向に挿抜可能である。所望のサイズの記録用紙が給紙トレイ20に載置される。
図2に示されるように、プリンタ部11は、記録用紙を給送する給紙部15と、記録用紙に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)などを備えている。プリンタ部11は、外部機器から受信した印刷データなどに基づいて、記録用紙に画像を記録する。
複合機10は、記録用紙よりも厚みがあるCD−ROMやDVD−ROMなどの記録メディア69(本発明の被記録媒体の一例、図3参照)の盤面上に、記録部24によって画像を記録する機能を有する。この際、記録メディア69は後述するメディアトレイ71(本発明のトレイの一例、図3参照)に載置される。図2に示されるように、メディアトレイ71は、前側開口13に設けられたトレイガイド76に載置されつつ、前側開口13における排紙トレイ21の上側から後述する直線路65(本発明の搬送路の一例)へ、後向き(矢印77の向き)に挿入される。なお、当該機能については後述する。
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の前端部で軸支されている。給紙アーム26は、軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に接離可能である。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合された駆動伝達機構27によって、給紙用モータ101(図5参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙を1枚ずつ分離して湾曲路66へ供給する。
[湾曲路66及び直線路65]
図2に示されるように、湾曲路66及び直線路65が、プリンタ部11の内部に形成されている。湾曲路66は、給紙トレイ20の先端(後側の端部)付近から後方斜め上に延びながら、前方へUターンして第1ローラ対58に至る湾曲状の通路である。記録用紙は、湾曲路66を図2において一点鎖線で示される方向に沿って、図2において一点鎖線に付された矢印の向きに湾曲されて案内される。湾曲路66は、第1ローラ対58による記録用紙の挟持位置において直線路65と連続している。これにより、記録用紙は、湾曲路66を介して直線路65(詳細には直線路65を構成する第1経路65A)に案内される。湾曲路66は、所定間隔を隔てて互いに対向する内側ガイド部材19及び外側ガイド部材22によって区画されている。
直線路65は、前後方向8に延設された直線状の通路であり、第1経路65Aと第2経路65Bとに区分されている。第1経路65Aは、第1ローラ対58から前側開口13における排紙トレイ21の上側に亘って前後方向8に延設された直線状の通路である。第1経路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24及び上側ガイド部材52と、プラテン42及びプラテン42を支持するプラテン支持部材53とによって区画されている。第2経路65Bは、第1ローラ対58から前方に向かって延設された第1経路65Aと逆向き、つまり後方に向かって後側開口87まで延設されている。つまり、第1経路65A及び第2経路65Bは、第1ローラ対58を境界として、連続する一つの直線状の経路を構成している。第2経路65Bは、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材52及び下側ガイド部材51によって区画されている。
記録用紙は、第1経路65Aを搬送向き(図2において2点鎖線に付された矢印の向き)に案内される。記録用紙は、記録部24によって画像を記録された後に排紙トレイ21に排出される。また、前側開口13から挿入されたメディアトレイ71は、第1経路65A及び第2経路65Bを搬送向き(前向き)及び搬送向きと逆向き(後向き)の双方向、つまり搬送方向(本実施形態においては前後方向8、本発明の第1方向の一例)に案内される。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、第1経路65Aの上側に設けられている。つまり、記録部24は、第1経路65Aを搬送される記録用紙及びメディアトレイ71に対向可能な位置に設けられている。記録部24は、記録ヘッド38を搭載したキャリッジ40を備えている。キャリッジ40は、搬送方向と交差し且つ第1経路65Aを搬送されるメディアトレイ71の上面72に沿った第2方向(本実施形態においては左右方向9、本発明の第2方向の一例)に往復移動可能に構成されている。
キャリッジ40は、例えば、プリンタ部11の内部に設けられたフレーム(不図示)に取り付けられた2本のガイドレール(不図示)によって支持されている。2本のガイドレールは、左右方向9に延設されている。また、2本のガイドレールは、前後方向8に所定間隔をあけて配置されている。キャリッジ40は、2本のガイドレールを跨ぐようにして配置されている。これにより、キャリッジ40は、2本のガイドレール上を左右方向9に摺動可能である。ガイドレールの上面に、ベルト駆動機構(不図示)が配設されている。ベルト駆動機構を構成するベルト(不図示)は、キャリッジ40と連結されている。キャリッジ駆動モータ41(図5参照)からベルト駆動機構に駆動力が伝達されることにより、キャリッジ40は左右方向9に摺動される。
キャリッジ40が左右方向9に往復移動することによって、記録ヘッド38が記録用紙に対して走査される。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。これにより、第1経路65Aにおいて記録部24と対向して設けられているプラテン42上を搬送向きに搬送される記録用紙に、画像が記録される。プラテン42は、記録用紙を支持し、プラテン支持部材53に支持されている。なお、後述するように、記録部24は、記録メディア69の盤面上にも画像を記録可能である。
[第1ローラ対58及び第2ローラ対59]
図2に示されるように、直線路65における記録部24よりも搬送向きの上流側には、直線路65の上側に配置された第1搬送ローラ60と、直線路65の下側に第1搬送ローラ60に対向して配置されたピンチローラ61とよりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1ローラ対58は、記録用紙を挟持して前方、つまり搬送向きに搬送し、メディアトレイ71を挟持して後方または前方、つまり搬送方向に搬送する。
直線路65における記録部24よりも搬送向きの下流側には、第1経路65Aの下側に配置された第2搬送ローラ62と、第1経路65Aの上側に第2搬送ローラ62に対向して配置された拍車63よりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、バネなどの弾性部材(不図示)によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2ローラ対59は、記録部24を通過した記録用紙を狭持して排紙トレイ21へ搬送する。また、第2ローラ対59は、メディアトレイ71を挟持して後方または前方、つまり搬送方向に搬送する。以上より、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、本発明の搬送部の一例である。
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ102(図5参照)から駆動伝達機構(不図示)を介して駆動力が伝達されて回転される。駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されている。駆動伝達機構は、搬送用モータ102が正転または逆転の一方(本実施形態では正転とする。)に回転された場合に、記録用紙またはメディアトレイ71を搬送向きに搬送させ、搬送用モータ102が正転または逆転の他方(本実施形態では逆転とする。)に回転された場合に、メディアトレイ71を搬送向きと逆向きに搬送させるように、各ローラ60、62を回転させる。
[第1ローラ対58、第2ローラ対59、及びプラテン42の姿勢変化]
図2に示されるように、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、一対のローラが互いに当接する当接姿勢(図2に実線で示されている。)と、一対のローラが互いに離間する離間姿勢(図2に破線で示されている。)とに姿勢変化可能である。第1ローラ対58及び第2ローラ対59が当接姿勢をとっている場合、記録用紙の挟持が可能である。これにより、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、記録用紙を直線路65に沿って搬送させる。一方、第1ローラ対58及び第2ローラ対59が離間姿勢をとっている場合、各ローラ対の一対のローラ間の間隔は、メディアトレイ71を挟持するのに適した間隔となる。これにより、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、メディアトレイ71を直線路65に沿って搬送させる。本実施形態において、第1ローラ対58及び第2ローラ対59は、ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62が下方へ移動することによって、当接姿勢から離間姿勢へ姿勢変化される。
また、プラテン42も下方に移動可能である。プラテン42が下方に移動していない場合(図2に実線で示されている。)、プラテン42と記録部24の間の間隔は、記録用紙が記録部24の下方を通過可能な間隔である。一方、プラテン42が下方に移動している場合(図2に破線で示されている。)、当該間隔は、メディアトレイ71が記録部24の下方を通過可能な間隔である。
ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方への移動は、例えば、ピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42の下方に設けられた偏心カム140及びプラテン支持部材53によって実行される。偏心カム140は、左右方向9を軸方向として複合機10の筐体14を構成するフレーム(不図示)に回転自在に支持されている。偏心カム140は、軸142からの径が周期的に変化する円盤である。プラテン支持部材53は、偏心カム140に載置されるようにして支持されている。ピンチローラ61及び第2搬送ローラ62は、プラテン支持部材53に回転可能に支持されている。プラテン42は、上述したようにプラテン支持部材53に支持されている。
本実施形態では、偏心カム140は、図示されていないモータから駆動伝達されて回転される。偏心カム140が回転されると、その周面がプラテン支持部材53に対して摺動される。偏心カム140の周面は、軸142からの径が周期的に変化する。これにより、プラテン支持部材53が上下方向7へ移動する。プラテン支持部材53の上下方向7への移動によって、各ローラ61、62及びプラテン42が上下方向7へ移動される。
[メディアトレイ71及び記録メディア69]
図3に示されるように、メディアトレイ71は薄板形状の樹脂板である。図2及び図4に示されるように、メディアトレイ71は、上面72を上側にしてトレイガイド76に載置され、前側開口13から挿入される。メディアトレイ71は、搬送向きと逆向きである矢印77の向きに挿入される。メディアトレイ71は、第1ローラ対58及び第2ローラ対59によって、前側開口13から直線路65に沿って前後方向8に搬送される。なお、図3においては、メディアトレイ71が複合機10に挿入された状態で、上下方向7、前後方向8、及び左右方向9が定義される。
図3に示されるように、メディアトレイ71の上面72(本発明の第1面に相当)側には、記録メディア69を載置可能なメディア載置部70(本発明の載置部の一例)が形成されている。メディア載置部70は、円形状の凹みである。当該凹みの直径は、載置される記録メディア69(円形のCD−ROMやDVD−ROMなど)の直径と同一または少しだけ大きい。
記録メディア69がメディア載置部70に載置されたメディアトレイ71が記録部24と対向した場合、記録メディア69の上面74(図3参照、本発明の第2面に相当)は記録部24と対向する。図3に示されるように、記録メディア69の上面74は、記録部24によって画像が記録される領域である非透明である白色の第1領域67(図3においてハッチングされていない領域、本発明の第1領域に相当)と、透明の第2領域68(図3においてハッチングされている領域、本発明の第2領域に相当)とで構成されている。なお、第1領域67は、白色以外の色であってもよい。また、第2領域68は、第1領域と異なる色であるならば、非透明であってもよい。
[メディアセンサ110]
図2に示されるように、直線路65を搬送される記録メディア69を検知するためのメディアセンサ110(本発明の光センサの一例)が、記録部24のキャリッジ40の下面側における搬送向きの最上流側付近に設けられている。これにより、メディアセンサ110は、キャリッジ40の移動に伴って、移動される。また、メディアセンサ110は、直線路65を搬送されるメディアトレイ71と対向可能な位置に設けられている。
メディアセンサ110は、発光ダイオードなどからなる発光部111(本発明の発光部の一例、図5参照)と、光学式センサなどからなる受光部112(本発明の受光部の一例、図5参照)とを備えている。発光部111は下方、つまりプラテン42側へ向けて光を照射する。照射された光は、メディアトレイ71の上面72または記録メディア69の上面74で反射する。反射された光は受光部112で受光される。受光部112は、受光された反射光の強度に応じた電気信号(本発明の電気信号に相当)を出力する。
[マイクロコンピュータ130]
以下、マイクロコンピュータ130の概略構成が説明される。後述されるように本発明の制御部、第1取得部、第2取得部、第3取得部、及び算出部による処理が、マイクロコンピュータ130によって実行される。マイクロコンピュータ130は、複合機10の全体動作を制御する。図5に示されるように、マイクロコンピュータ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。これらは内部バス137によって接続されている。なお、ROM132、RAM133、及びEEPROM134は、本発明の記憶部の一例である。
ASIC135に設けられた駆動回路には、各モータ41、101、102が接続されている。各モータを駆動させるための駆動信号が、CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転または逆転する。
また、ASIC135には、メディアセンサ110が接続されている。所定レベルの信号が、ASIC135から発光部111に入力されると、発光部111は、当該所定レベルに応じた光量の光を下方へ向けて照射する。照射された光の反射光を受けた受光部112から出力された電気信号が、ASIC135に入力される。
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
[関数]
ROM132またはEEPROM134には、発光部111から照射される複数の光量と、予め定められた複数のオフセット光量(本発明のオフセット光量に相当)とが関係づけられた関数(本発明の関数に相当)が記憶されている。関数は、以下に詳述されるように、図6のフローチャートに従った処理が複数回実行されることによって求められる。
記録メディア69の第1領域67がメディアセンサ110に対向される(SA1)。詳細には、以下の処理が実行される。つまり、記録メディア69がメディアトレイ71に載置される。メディアトレイ71が前側開口13から挿入される。メディアトレイ71は、記録メディア69の第1領域67がメディアセンサ110と対向される位置まで、ローラ対58、59によって直線路65を搬送される。
次に、マイクロコンピュータ130は、発光部111から照射される所定強度の光量である基本光量を取得する(SA2)。詳細には、以下の処理が実行される。発光部111から第1領域67に向けて光が照射される。この際、照射される光の強さは徐々に強くされる。これにより、受光部112から出力される電気信号の信号レベルが徐々に大きくなる。マイクロコンピュータ130は、受光部112より得られた電気信号の信号レベルを、第1閾値81と比較する。ここで、第1閾値81は、記録用紙などの白色の被記録媒体に対して照射される光の光量を決定する際に用いられる値であり、受光部112が出力可能な最大の電気信号(後述される最大出力信号)よりも若干小さい値に設定される。本実施形態においては、第1閾値81は、「720」という値に設定されている(図7参照)。マイクロコンピュータ130は、受光部112より得られた電気信号が第1閾値81よりも大きくなった場合、当該電気信号に対応する発光部111からの光の強度を基本光量として取得する。
次に、マイクロコンピュータ130は、図7に示される特性、つまりメディアトレイ71の位置に対する電気信号の信号レベルの特性を取得する(SA3)。詳細には、以下の処理が実行される。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を前後方向8に搬送させる、或いはキャリッジ40を移動させることによってメディアセンサ110を左右方向9に移動させる。これにより、メディアセンサ110がメディアトレイ71を走査する。マイクロコンピュータ130は、当該走査を実行させながら、発光部111に基本光量の光を照射させる。その結果、マイクロコンピュータ130は、受光部112より、図7において破線で示されるような特性を取得する(SA3)。
次に、図7に示されるように、マイクロコンピュータ130は、ステップSA3において得られた特性に基づいて、電気信号の信号レベルが第2閾値82となる仮エッジ位置を判定する(SA4)。ここで、第2閾値82は、後述される処理によって記録メディア69の両端位置が判定される際に用いられる値であり、第1閾値81よりも小さい値に設定される。本実施形態においては、第2閾値82は、「300」という値に設定されている。本実施形態の場合、仮エッジ位置は、「60」及び「780」であると判定される。
次に、マイクロコンピュータ130は、所定の条件が具備されるまで(SA6)、ステップSA3と同様の処理を繰り返し実行する(SA5)。この際、マイクロコンピュータ130は、ステップSA5が実行される度に、発光部111から照射される光の光量を、徐々に大きくしていく。また、所定の条件とは、ステップSA5において得られた特性において、仮エッジ位置における電気信号の信号レベルが第3閾値83に達することである。ここで、第3閾値83は、使用されているメディアセンサ110の受光部112が出力可能な電気信号の信号レベルの最大値(本発明の最大出力信号に相当、これ以下の説明において最大出力信号と称される。)である。本実施形態においては、第3閾値83は、「840」である(図7参照)。
ここで、最大出力信号は、発光部111から照射される光の光量にかかわらず、受光部112が出力可能な信号レベルの最大値である。換言すると、発光部111から照射される光の光量がいくら大きくされても、受光部112からは最大出力信号を超えるレベルの信号は出力されない。そして、メディアセンサ110は、通常、受光部112が最大出力信号を出力するような状態で使用されることはない。
例えば、本実施形態においては、上述したように、記録用紙などの白色の被記録媒体に対して照射される光の光量を決定する際、最大出力信号(第3閾値83の「840」)よりも若干小さい値である第1閾値81の「720」が使用されている。そして、白色以外の被記録媒体(例えば青い記録用紙)や、紙以外の被記録媒体(例えばCDなどの記録メディア)といった他のあらゆる被記録媒体に対して照射される光の光量を決定する際も、最大出力信号よりも小さい値の閾値が使用される。これにより、受光部112は、最大出力信号よりも小さいレベルの信号のみを出力する。つまり、メディアセンサ110は、受光部112が最大出力信号を出力しない状態で使用される。
上記の所定の条件が具備されたとき、つまり仮エッジ位置における電気信号の信号レベルが第3閾値83に達したときに(SA6:Yes)、発光部111から照射された光の光量と、基本光量との差分が、本発明のオフセット光量として取得される(SA7)。
上述されたステップSA1〜SA7の処理が、様々な種類の記録メディア69(例えば、上面74の色が異なる記録メディア69)、及び様々な種類のメディアセンサ110(例えば、使用される抵抗やトランジスタの種類が異なるメディアセンサ110)を用いて、多数回実行される。これにより、図8に多数のドットとして示されるように、得られた基本光量及びオフセット光量がマッピングされたデータ群91が得られる。そして、データ群91において、オフセット値が若干大きくされることによって、図8に実線で示されるような本発明の関数92が得られる。得られた関数92は、式としてROM132またはEEPROM134に記憶される。なお、関数92は、複数の基本光量及び各基本光量に対応するオフセット光量よりなるテーブルデータとして、ROM132またはEEPROM134に記憶されてもよい。
上述の方法によって取得されたオフセット光量は、ステップSA4〜SA6の処理から明らかなように、ステップSA4において判定された仮エッジ位置の電気信号の信号レベルを、第2閾値82から第3閾値83にオフセットするものである。
つまり、ステップSA3において得られた基本光量の光の照射に対する特性が、第2閾値82よりも大きい信号レベルの部分にノイズを含んでいたとしても、基本光量にオフセット光量を加えた量の光を発光部111から照射すれば、当該ノイズは第3閾値83よりも大きい領域にオフセットされる。ここで、上述したように、受光部112は、第3閾値83よりも大きい電気信号を出力することはできない。つまり、当該ノイズは、受光部112から出力された電気信号の特性に含まれなくなる。
例えば、ステップSA3において得られた基本光量の光の照射に対する特性が、図7に破線で示される特性であったとする。当該特性は、信号レベルが「460」の付近に、ノイズ90を含んでいる。ここで、ステップSA5において、基本光量にオフセット光量を加えた光量の光が照射されると、図7に実線で示されるような特性が得られる。当該特性においては、ノイズ90が最大出力信号(第3閾値83である「840」)を超える信号レベルにオフセットされている。このため、当該特性には、ノイズ90が含まれていない。
以上より、オフセット光量は、後述されるマイクロコンピュータ130による記録メディア69の両端位置の検出制御において、メディアセンサ110が第1領域67及び第2領域68の境界に対向する位置を相対移動されることによって生じる受光部112から出力された電気信号のノイズ部分の信号レベルを、受光部112の最大出力信号よりも大きい信号レベルへオフセット可能な光量である。
[記録メディア69への画像記録]
以下、複合機10にメディアトレイ71が挿入され、メディアトレイ71に載置された記録メディア69に画像が記録される手順が説明される。複合機10の正面上部に設けられた操作パネル18(図1参照)の操作により、記録メディア69へ画像を記録する機能が選択されると、図2に示されるように、偏心カム140が回転してピンチローラ61、第2搬送ローラ62、及びプラテン42が下方へ移動する。
その後、図2及び図4(A)に示されるように、メディアトレイ71は、複合機10のユーザによって、複合機10の前側開口13から直線路65に沿って、矢印77の向きに挿入される。この際、メディアトレイ71は、トレイガイド76に載置されつつ挿入される。操作パネル18の操作によって、記録メディア69への画像記録の開始が指示されると、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62が逆転駆動される。
ユーザによって挿入されたメディアトレイ71が第2ローラ対59に挟持されると、メディアトレイ71は、ユーザの手を離れ、第2ローラ対59によって、矢印77の向きに搬送される。搬送されるメディアトレイ71は、記録部24の下側を通過して、前側から第1ローラ対58に挟持される。
その後、2つのローラ対58、59に挟持されたメディアトレイ71は、更に矢印77の向きに搬送される。これにより、メディアトレイ71に載置された記録メディア69は、記録部24よりも搬送向きの上流側に位置される。このとき、図4(B)に示されるように、メディアトレイ71は、複合機10の最奥まで搬送され、後側開口87を介して複合機10の外部に突出した状態となる。
この状態において、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の回転方向が逆転から正転に切り換えられる。これにより、メディアトレイ71が矢印77と逆向きに搬送され、メディアトレイ71に載置された記録メディア69がプラテン42の上側を通る。このとき、以下で詳述される記録メディア69の両端位置の検出制御が実行される。当該検出制御が実行された後、プラテン42上を搬送される記録メディア69に対して、記録ヘッド38からインク滴が吐出される。これにより、記録メディア69の盤面上に画像が記録される。その後、メディアトレイ71は前側開口13から複合機10の外部に排出される。
[記録メディア69の両端位置の検出制御]
以下、メディアトレイ71に載置されている記録メディア69の両端位置の検出制御が、図9及び図10のフローチャートに基づいて説明される。
記録メディア69への画像記録が指示されると(SB1)、マイクロコンピュータ130は、搬送用モータ102を駆動して、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62を逆転駆動させる。これにより、上述したように、メディアトレイ71が、矢印77の向きに搬送される。マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を、メディア載置部70とメディアセンサ110の移動経路とが対向する位置へ移動させる(SB2)。つまり、マイクロコンピュータ130は、メディア載置部70を、メディアセンサ110と対向可能な位置へ移動させる(SB2)。
本実施形態において、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を、メディア載置部70の前後方向8の中心位置と、メディアセンサ110の移動経路とが対向する位置へ移動させる。ここで、メディア載置部70の前後方向8の中心位置は、例えば、搬送されるメディアトレイ71が直線路65に設けられたセンサ(不図示)によって検知されてからの、搬送用モータ102の回転量によって求めることができる。なお、ステップSB2においてメディアトレイ71が移動される位置は、メディア載置部70とメディアセンサ110の移動経路とが対向する位置であれば、本実施形態における位置に限らない。
マイクロコンピュータ130は、メディア載置部70に記録メディア69が載置されているか否かの判定を行う(SB3)。当該判定は、例えば以下のようにして実行される。マイクロコンピュータ130は、発光部111に、メディア載置部70へ向けて光を照射させる。マイクロコンピュータ130は、当該光の反射光に基づいて、受光部112から出力される電気信号(以下、ステップSB3、SB4の説明において、第1電気信号と記す。)を取得する。マイクロコンピュータ130は、キャリッジ駆動モータ41を駆動してキャリッジ40を移動させることによって、メディアセンサ110を移動させる。詳細には、マイクロコンピュータ130は、メディアセンサ110を、メディアトレイ71の上面72におけるメディア載置部70以外の領域と対向する位置へ移動させる。マイクロコンピュータ130は、発光部111に、上記領域へ向けて光を照射させる。マイクロコンピュータ130は、当該光の反射光に基づいて、受光部112から出力される電気信号(以下、ステップSB3、SB4の説明において、第2電気信号と記す。)を取得する。
マイクロコンピュータ130は、第1電気信号及び第2電気信号の信号レベルを比較する(SB4)。マイクロコンピュータ130は、両信号の信号レベルの差分が予め設定された所定値(ゼロよりも若干大きい値に設定される。)以上である場合、メディア載置部70に記録メディア69が載置されていると判定し(SB4:Yes)、ステップSB6を実行する。一方、マイクロコンピュータ130は、両信号の信号レベルの差分が上記所定値未満である場合、メディア載置部70に記録メディア69が載置されていないと判定する(SB4:No)。この場合、マイクロコンピュータ130は、操作パネル18に、記録メディア69がメディアトレイ71に載置されていない旨のメッセージを表示させて(SB5)、一連の処理を終了する。
ステップSB6において、マイクロコンピュータ130は、図6のステップSA2と同様の処理を実行することによって、第2光量(本発明の第2光量に相当)を取得する。つまり、マイクロコンピュータ130は、メディアセンサ110とメディアトレイ71に載置された記録メディア69とが対向した状態において、発光部111から光量を増加させつつ光を照射させる。そして、マイクロコンピュータ130は、照射された各光量の光に対する受光部112から出力された電気信号が予め設定された上述の第1閾値81(本発明の閾値の一例)を超える光量のうち、最小の光量を第2光量として取得する。以上より、ステップSB6の処理は、本発明の第3取得部による処理に相当する。
次に、マイクロコンピュータ130は、ステップSB6において取得した第2光量を、上述した関数に代入することによって、オフセット光量を算出する。そして、マイクロコンピュータ130は、算出したオフセット光量を第2光量に加算することによって、第1光量(本発明の第1光量に相当)を算出する(SB7)。ここで、上述したように、オフセット光量は、受光部112から出力された電気信号の信号レベルを、第2閾値82から第3閾値83(受光部112の最大出力信号)にオフセットするものである。つまり、第2光量にオフセット光量が加算された第1光量は、発光部111から照射された光に対する受光部112からの出力信号が受光部112によって出力可能な最大出力信号に達する当該光の光量のうちの最小値である。以上より、ステップSB7の処理は、本発明の第1取得部による処理に相当する。
なお、マイクロコンピュータ130は、第2光量を取得してからオフセット光量及び第1光量を算出するのではなく、第2光量を取得することなく第1光量を取得してもよい。つまり、マイクロコンピュータ130は、図6のステップSA2と同様の処理を、比較に用いる閾値を第1閾値81ではなく第3閾値83として実行することによって、第1光量を取得することができる。
ステップSB8においてマイクロコンピュータ130は以下の処理を実行する。マイクロコンピュータ130は、キャリッジ駆動モータ41を駆動して、キャリッジ40を左右方向9に移動させる。本実施形態においては、キャリッジ40は左から右に移動される。なお、キャリッジ40は右から左に移動されてもよいし、左から右及び右から左の両方向に移動されてもよい。また、マイクロコンピュータ130は、キャリッジ40を移動させながら、発光部111に第1光量で光を照射させて、受光部112による反射光の検知を行う。これにより、マイクロコンピュータ130は、受光部112から反射光の光量に応じた電気信号の特性を得る。以上より、ステップSB8の処理は、本発明の第2検知手段による処理に相当する。
ステップSB9においてマイクロコンピュータ130は以下の処理を実行する。マイクロコンピュータ130は、ステップSB8において取得した電気信号の特性の各位置における信号レベルを、第2閾値82と比較する。マイクロコンピュータ130は、電気信号の信号レベルが第2閾値82と等しい位置のうち、最も左の位置及び最も右の位置を、記録メディア69の左右方向9の両端位置である判定する。つまり、マイクロコンピュータ130は、ステップSB8における受光部112による反射光の検知において、受光部112から出力された電気信号に基づいて、メディアトレイ71に載置された記録メディア69の左右方向9の両端位置を取得する。以上より、ステップSB9の処理は、本発明の第2取得部による処理に相当する。
ここで、ステップSB7において算出された第1光量の値や、記録メディア69の上面74の色や材質によっては、発光部111から第1光量の光を照射させた場合に、反射光の光量が多くなり、受光部112から出力された電気信号の信号レベルが全体的に高くなってしまうおそれがある。その結果、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の両端位置の少なくとも一方を取得できないおそれがある。
記録メディア69の両端位置の少なくとも一方を取得できなかった場合(SB10:No)、マイクロコンピュータ130は、両端位置の少なくとも一方を連続して取得できなかった回数をRAM133に記憶する。そして、マイクロコンピュータ130は、RAM133を参照して、両端位置の少なくとも一方を取得できなかったことが所定回数連続して取得できなかったか否かを判定する(SB11)。両端位置の少なくとも一方が所定回数連続して取得できなかった場合(SB11:Yes)、マイクロコンピュータ130は、操作パネル18に、記録メディア69の検出エラーである旨のメッセージを表示させて(SB13)、一連の処理を終了する。
両端位置の少なくとも一方が取得できなかった回数が所定回数に達していない場合(SB11:No)、マイクロコンピュータ130は、ステップSB7において算出した第1光量を、所定量だけ減少させる(SB12)。ここで、所定量は、例えば、第1光量及び第2光量の差分よりも小さい量が設定される。次に、マイクロコンピュータ130は、ステップSB8の処理を実行する。この際、マイクロコンピュータ130は、発光部111に、ステップSB12において所定量減少させた第1光量で光を照射させる。つまり、マイクロコンピュータ130は、ステップSB9の処理において記録メディア69の両端位置の少なくとも一方が取得されなかったことを条件として(SB10:No)、第1光量を所定量だけ減少させた光量の光を、発光部111から照射させる。以上より、ステップSB10、ステップSB12、及びステップSB12の直後に実行されるステップSB8の処理は、請求項4に記載された制御部による処理に相当する。
ステップSB10において両端位置を取得できた場合(SB10:Yes)、マイクロコンピュータ130は、取得した両端位置に基づいて、記録メディア69の左右方向9のサイズを算出する(SB14)。マイクロコンピュータ130は、算出したサイズが所定範囲外である場合(SB15:No)、操作パネル18に、記録メディア69のサイズエラーである旨のメッセージを表示させて(SB13)、一連の処理を終了する。ここで、所定範囲は、記録メディア69の種類に応じて予め登録されており、ROM132またはEEPROM134に記憶されている。一方、マイクロコンピュータ130によって算出されたサイズが所定範囲内である場合(SB15:Yes)、ステップSB16の処理が実行される。
次に、マイクロコンピュータ130は、キャリッジ駆動モータ41を駆動してキャリッジ40を移動させることによって、メディアセンサ110を、メディアトレイ71のメディア載置部70と対向可能な位置へ移動させる(SB16)。換言すると、マイクロコンピュータ130は、メディアセンサ110を、メディア載置部70の搬送経路と対向する位置へ移動させる。
本実施形態において、マイクロコンピュータ130は、メディアセンサ110を、搬送されるメディア載置部70の左右方向9の中心位置と対向する位置へ移動させる。ここで、メディア載置部70の左右方向9の中心位置は、例えば、直線路65を搬送されるメディアトレイ71の直線路65における左右方向9の位置(複合機10の設計において定まる。)、及びメディア載置部70のメディアトレイ71における左右方向9の位置(メディアトレイ71の設計において定まる。)によって求めることができる。なお、ステップSB16においてメディアセンサ110が移動される位置は、メディアセンサ110とメディア載置部70の搬送経路とが対向する位置であれば、本実施形態における位置に限らない。
以上説明したステップSB1〜SB16の処理において、ステップSB12の処理が少なくとも一回実行された場合(SB17:Yes)、ステップSB7において算出された第1光量は減少されている。そこで、マイクロコンピュータ130は、ステップSB7と同様の処理を実行することによって、オフセット光量及び第1光量を算出する(SB18)。なお、ステップSB16の処理は、ステップSB7と同様に、本発明の第1取得部による処理に相当する。一方、ステップSB1〜SB16の処理において、ステップSB12の処理が一回も実行されていない場合(SB17:No)、ステップSB7において算出された第1光量は減少されていないため、マイクロコンピュータ130は、ステップSB18を実行しない。
ステップSB19〜SB26の処理は、ステップSB8〜SB15の処理と同様である。但し、以下の点が異なる。つまり、ステップSB8〜SB15の処理は、記録メディア69の左右方向9の両端位置及びサイズを取得及び算出するための処理であったが、ステップSB19〜SB26の処理は、記録メディア69の前後方向8の両端位置及びサイズを取得及び算出するための処理である。
そのため、ステップSB19においては、ステップSB8と異なり、マイクロコンピュータ130は、搬送用モータ102を駆動して、メディアトレイ71を前後方向8に移動させる。本実施形態においては、メディアトレイ71は前向きに移動される。なお、キャリッジ40は後向きに移動されてもよいし、前向き及び後向きの両方向に移動されてもよい。また、マイクロコンピュータ130は、メディアトレイ71を移動させながら、発光部111に第1光量で光を照射させて、受光部112による反射光の検知を行う。よって、ステップSB19の処理は、本発明の第1検知手段による処理に相当する。
また、ステップSB9に対応するステップSB20の処理は、本発明の第2取得部による処理に相当する。また、ステップSB21、ステップSB23、及びステップSB23の直後に実行されるステップSB19の処理は、請求項4に記載された制御部による処理に相当する。
ステップSB26の処理の後、マイクロコンピュータ130は、ステップSB9において取得された記録メディア69の左右方向9の両端位置、及びステップSB25において取得された記録メディア69の前後方向8の両端位置に基づいて、メディアトレイ71のメディア載置部70に載置された記録メディア69の中心位置を算出する(SB27)。詳細には、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の左右方向9の両端位置の中点を算出することによって、記録メディア69の左右方向9の中心位置を算出する。また、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の前後方向8の両端位置の中点を算出することによって、記録メディア69の前後方向8の中心位置を算出する。そして、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の左右方向9の中心位置、及び記録メディア69の前後方向8の中心位置で構成される座標を、記録メディア69の中心位置として取得する。以上より、ステップSB27の処理は、本発明の算出部による処理に相当する。
[実施形態の効果]
メディアセンサ110においては、発光部111から照射される光の光量が多いほど、当該光の反射光を受けた受光部112から出力される電気信号のレベルは大きくなる。しかし、発光部111から照射される光の光量を一定値だけ多くした場合に、受光部112から出力される電気信号のレベルが大きくなる度合いは、受光部112が受ける反射光の光量によって異なる。詳細には、発光部111から照射される光の光量を一定値だけ大きくした場合に、光を反射し易い面で反射された反射光に基づいて受光部112から出力される電気信号のレベルの増加度合いは大きい。一方、発光部111から照射される光の光量を一定値だけ大きくした場合に、光を反射し難い面で反射された反射光に基づいて受光部112から出力される電気信号のレベルの増加度合いは小さい。つまり、受光部112から出力される電気信号のレベルが大きい場合、上記増加度合いは大きく、受光部112から出力される電気信号のレベルが小さい場合、上記増加度合いは小さい。
また、メディアセンサ110の受光部112は、その性能に応じて電気信号の最大出力値が決まっている。そして、通常、メディアセンサ110は、受光部112から出力される電気信号が最大出力値に達するような状態で使用されることはない。
以上より、受光部112から出力される電気信号のレベルが大きい程、受光部112から出力される電気信号は、最大出力値付近の領域にオフセットされる傾向にある。そして、本実施形態においては、発光部111は、第1光量で光を照射する。ここで、第1光量は、発光部111から照射された光に対する受光部112からの出力信号が最大出力値に達する当該光の光量のうちの最小値である。つまり、本実施形態においては、メディアセンサ110が通常使用されないような状態で使用される。これにより、受光部112から出力される電気信号のレベルが大きいため、受光部112から出力された電気信号にノイズが含まれている場合であっても、当該ノイズは、最大出力値付近の領域にオフセットされている。したがって、受光部112から出力された電気信号のノイズが、マイクロコンピュータ130による記録メディア69の両端位置の取得に悪影響を及ぼす可能性を低くすることができる。よって、本実施形態においては、種々の記録メディア69の両端位置を正確に検出することができる。
また、本実施形態おいては、オフセット光量が発光部111から照射される光の光量と関係づけて記憶されている。これにより、種々のメディアセンサ110や記録メディア69に対して、適切なオフセット光量を設定することができる。
また、発光部111から第1光量の光を照射させた場合、本来は反射し難いメディアトレイ71においても、反射光の光量が多くなり、受光部112から出力された電気信号のレベルが全体的に高くなってしまうおそれがある。すると、マイクロコンピュータ130が記録メディア69の両端位置を取得できないおそれがある。そこで、本実施形態においては、マイクロコンピュータ130によって記録メディア69の両端位置の少なくとも一方が取得されなかった場合に、第1光量を所定量だけ減少させた光量の光を、発光部111から照射させる。これにより、メディアトレイ71における反射光の光量を少なく抑えることができる。その結果、マイクロコンピュータ130が記録メディア69の両端位置を取得する可能性を高くすることができる。
また、本実施形態においては、メディアセンサ110は、記録部24に設けられており、記録部24は、左右方向9へ往復移動可能である。これにより、メディアセンサ110自体を移動可能に構成しなくても、記録部24を移動させることによってメディアセンサ110を移動させることができる。
[実施形態の変形例1]
上述の実施形態において、メディアセンサ110は、キャリッジ40、つまり記録部24に設けられている構成について説明したが、メディアセンサ110は、搬送されるメディアトレイ71と対向可能な位置であるならば、記録部24に設けられていなくてもよい。例えば、メディアセンサ110は、上側ガイド部材52に取り付けられていてもよい。
また、上述の実施形態において、メディアセンサ110は、キャリッジ40が移動することによって移動した。しかし、メディアセンサ110は、モータなどから駆動伝達されることによって、移動可能に構成されていてもよい。この場合、メディアセンサ110を移動させる構成としては、例えば、キャリッジ40を移動させるための構成と同様な構成が挙げられる。
[実施形態の変形例2]
上述の実施形態において、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の左右方向9及び前後方向8の両端位置を取得した。しかし、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の左右方向9または前後方向8の一方の両端位置を取得してもよい。
マイクロコンピュータ130が記録メディア69の左右方向9の両端位置のみを取得する場合、図9のステップSB16〜SB26の処理は実行されなくてもよい。この場合、ステップSB27において、マイクロコンピュータ130は、例えば、記録メディア69の左右方向9の両端位置に基づいて算出された記録メディア69の左右方向9の中心位置、及びメディア載置部70の前後方向8の中心位置に基づいて、記録メディア69の中心位置を算出する。ここで、メディア載置部70の前後方向8の中心位置は、例えば、搬送されるメディアトレイ71が直線路65に設けられたセンサ(不図示)によって検知されてからの、搬送用モータ102の回転量によって求めることができる。
また、マイクロコンピュータ130が記録メディア69の前後方向8の両端位置のみを取得する場合、図9のステップSB8〜〜SB18の処理は実行されなくてもよい。この場合、ステップSB27において、マイクロコンピュータ130は、例えば、記録メディア69の前後方向8の両端位置に基づいて算出された記録メディア69の前後方向8の中心位置、及びメディア載置部70の左右方向9の中心位置に基づいて、記録メディア69の中心位置を算出する。ここで、メディア載置部70の左右方向9の中心位置は、例えば、直線路65を搬送されるメディアトレイ71の直線路65における左右方向9の位置(複合機10の設計において定まる。)、及びメディア載置部70のメディアトレイ71における左右方向9の位置(メディアトレイ71の設計において定まる。)によって求めることができる。
以上より、本発明の制御部は、本発明の第1検知手段または第2検知手段の少なくとも一方を実行する。また、本発明の第2取得部は、メディアトレイ71に載置された記録メディア69の左右方向9または前後方向8の少なくとも一方の両端位置を取得する。
[実施形態の変形例3]
上述の実施形態において、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の左右方向9の両端位置を取得してから、記録メディア69の前後方向8の両端位置を取得した。しかし、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の前後方向8の両端位置を取得してから、記録メディア69の左右方向9の両端位置を取得してもよい。
[実施形態の変形例4]
上述の実施形態では、マイクロコンピュータ130は、両端位置が取得できなかった回数が所定回数に達していない場合(SB11、SB22:No)、第1光量を所定量だけ減少させて(SB12、SB23)、その後、発光部111に減少させた第1光量で光を照射させた(SB8、SB19)。しかし、マイクロコンピュータ130は、ステップSB12、SB23において、第1光量を所定量減少させる代わりに、第1光量を第2光量に置換してもよい。つまり、マイクロコンピュータ130は、記録メディア69の両端位置の少なくとも一方が所定回数連続して取得されなかったことを条件として(SB11、SB22:No)、第2光量の光を、発光部111から照射させてもよい。