JP4630498B2 - 媒体検出装置および媒体検出装置を備えた画像形成装置 - Google Patents

媒体検出装置および媒体検出装置を備えた画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、媒体の有無を検出する媒体検出装置、および、この媒体検出装置を有する画像形成装置に関し、特に、媒体を検出するために発光部から照射される光の光量の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の画像形成装置は、媒体搬送路に設置する媒体検出手段として主に機械的な検出方法を採用している。機械的な検出方法の代表例として、図10に示す機械的感知レバータイプがある。機械的感知レバータイプは、レバー201が媒体搬送路を遮るように配置されている。
【0003】
機械的感知レバータイプにおける媒体検出の動作について説明する。媒体搬送路を通過する媒体の先端部30がレバー201の一部を押して回転させると、レバー201がその近傍に配置されているフォトカプラ202の光束を遮光する。そして、媒体が通過した直後に、レバー201がばね等の力により元の位置(実線部)に戻る。
【0004】
フォトカプラ202の光束が遮光されたときに、媒体を検出する信号が発生する(信号発生部分は不図示)。その発生した信号により媒体の有無を検出することが可能になる。
【0005】
しかし、レバー201が元の位置に戻る際にばね等の反動の影響があるために、チャタリングが生じる。このチャタリングは、媒体の後端を正確に検出するまでの時間を増大させることになる。特に、媒体を一定の間隔で高速かつ正確に搬送する際には、媒体の先端および後端を正確に検出しなければならないため、チャタリングが大きな影響を及ぼすことになる。
【0006】
機械的な検出方法におけるチャタリングの影響を受けず、媒体の後端を正確に検出するために、光学式センサによる検出方法が利用されてきている。光学式センサは、主に図11に示す反射型と、図12に示す透過型の2種類が知られている。
【0007】
前者の反射型は、図11(A)に示すように発光素子2154と受光素子2155が同一基板にあり、その基板に対して搬送路を挟んだ反対側に反射シート205が貼り付けられている構成である。媒体30が光学式センサを通過しないときは、発光素子2154の照射光を反射シートで反射させ、その反射光を受光素子2155で受光する。媒体30が光学式センサを通過するときは、図11(B)に示すように、照射光(反射光)を遮ることで媒体を検出する。
【0008】
しかし、媒体自体の反射により誤検知を引き起こす場合がある。誤検知を防止するためには、媒体位置がばらつかないように媒体の搬送位置の精度、あるいは、集光用レンズ等により誤検知を防ぐ対策が必要である。
【0009】
後者の透過型は、図12に示すように、発光素子2154と受光素子2155が媒体搬送路を挟んで対向する位置に配置されている。媒体30が発光素子2154の照射光を遮ることにより、媒体の有無を検出する。これにより、媒体自体の反射による誤検知がなくなるが、取付けの際に発光側と受光側の相対位置の精度が必要である。
【0010】
最近、反射型や透過型の光学式センサの改良として、図13に示すように、反射型と透過型の利点を兼ね備えた光学式センサがある。この光学式センサは、発光素子2154と受光素子2155が同一基板上に実装されており、発光素子2154から照射する光軸と受光素子2155で受光する光軸がプリズム等の屈折を介して平行になるように構成されている。この構成は、発光素子2154と受光素子2155における取付け精度の許容範囲を広げ、かつ媒体の反射の影響を減少することができる。
【0011】
図13(A)に示すように、発光素子2154からの照射光は、プリズム2202において入射角45度で2回屈折させてから受光素子2155で受光する。媒体30が通過するときは、光を遮ることにより媒体30が検出される。(図13(B))
光学式センサを利用した媒体検出方法において、発光素子2154に電流を流せば流すほど高輝度となるために、媒体検出のためのダイナミックレンジが大きく取れ、媒体検出の精度が向上する。しかし、発光素子2154に必要以上の電流を流すことは寿命の低減につながる。寿命の低減を考慮して光学式センサのダイナミックレンジが狭く設定すると、媒体やセンサの汚れの影響が大きくなり、誤検知を引き起こす可能性がある。
【0012】
光学式センサを利用した媒体検出方法では、光学式センサの光量調整は重要な問題である。光学式センサの取付け時に適切な初期調整を行なわなくてはならない。しかし、初期に調整を行なったとしても媒体のくず等により発光部ないし受光部が汚れるため、定期的あるいは不定期な光量調整が必要である。光量調整のタイミングは、画像形成装置のスピード、仕様、用途等による光量低減度に準じた間隔を設定する。
【0013】
ここで、従来の光学式センサの光量調整方法を、図14を用いて説明する。図14(A)は、画像形成装置における生産時やサービスマンによる光学式センサの交換時に行なわれる光学式センサの光量調整のグラフである。
【0014】
Vinは、光学式センサの発光素子に対する印加電圧である。Voutは、光学式センサの受光素子が受光した光量を変換した出力電圧である。光学式センサの発光素子に所定の電圧を印加すると、受光素子が電圧変換回路を介して電圧を出力する。このときの出力電圧が、予め設定されたしきい値Vh以上であれば、その値を制御電圧に設定し、光量調整が終了する。
【0015】
図14(A)に示すA1のように、印加電圧Vin1を印加したときに出力電圧がしきい値Vh以上であるため、光量調整は不要であると判断され調整を終了する。Vhは、光学式センサの汚れや寿命による光量の低減を考慮しても、媒体の検出に問題がない出力電圧である。この値は、画像形成装置の特性に合わせて予め設定されている。
【0016】
B1のように、印加電圧Vin1を印加したときに出力電圧がしきい値Vhまで達していないとすると、Vh以上の出力電圧が得られるまで印加電圧をVin1から徐々に上げていく。そして、出力電圧がVh以上になるとき、その印加電圧(Vin2)を制御電圧として設定して光量調整を終了する。
【0017】
C1もB1と同様に、しきい値Vh以上の出力電圧が得られるまで、印加電圧を徐々に上げていく。しかし、印加電圧の上限値であるVinMAXまで印加しても、出力電圧がしきい値Vh以上にならないときは、光学式センサが不良品であると判断される。
【0018】
図14(B)は、コピージョブ等のジョブの間や画像形成装置の電源ON時に行なわれる光学式センサの光量調整のグラフである。
【0019】
図14(B)に示すように、光学式センサの光量が減少してA1からA2になったときに光量調整を行なう。光学式センサに対する印加電圧VinをVin1から上げていき、出力電圧をしきい値Vh以上にする。出力電圧がしきい値に達したときのVin値(A3)を制御電圧として設定し、光量調整を終了する。
【0020】
光学式センサの光量が減少してB2からB3になったときも同様に、光量調整を行なう。光学式センサに対する印加電圧を上げていくが、上限値のVinMAXまで印加しても出力電圧がしきい値Vh以上にならないとき、VinMAX(B4)を制御電圧として設定し、光量調整を終了する。制御電圧をVinMAXとしても光学式センサにおいて媒体の検出が可能であるが、限界値Vsまで光量が減少すると検出不能になる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光学式センサは、媒体のくずや使用環境によって影響を受けやすい箇所での使用を避けていたので、媒体の有無の判定にはある程度のダイナミックレンジを確保できればよかった。しかも、コピージョブとコピージョブとの間などで頻繁に光量調整を行なうことで、光学式センサの光量の減少がわずかなうちに調整が行なえ、わずかな時間で調整を終了することができた。
【0022】
しかし、画像形成装置の性能や使用環境によっては、光学式センサの光量の減少が著しいために、光学式センサのダイナミックレンジを十分に確保しなければならない。しかも、高速で媒体の搬送が可能な画像形成装置においては、大量なコピージョブが行なわれるために、1つのコピージョブにおいて光学式センサの光量の減少幅が大きくなる。
【0023】
このような状況で、従来の光量調整方法を採用すると、光量調整を完了するまでの時間に影響を及ぼすことになる。なぜなら、光学式センサの光量の減少が大きくなり、光量調整のときに印加する電圧の幅が大きくなるためである。
【0024】
さらに、光学式センサの光量の減少が大きいため、比較的早い段階で媒体を検出できなくなり、画像形成装置が画像形成行えない状態になる
【0025】
そこで、本発明は、光学式センサの光量の減少が著しい状態のときに光学式センサの光量のダイナミックレンジを大きく取りつつ、媒体検出の動作が不能になる前に、光学式センサの清掃が必要であることをユーザに知らせることが可能な媒体検出装置および媒体検出装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る媒体検出装置は、印加電圧に応じた発光光量で発光する発光部と、前記発光部から発光される光を受光することで受光光量に応じた出力電圧を出力する受光部と、を有する検出手段を有し、前記受光部から出力される出力電圧がしきい値以上であれば媒体が無い状態に応じた信号を出力し、前記しきい値よりも低ければ媒体が有る状態に応じた信号を出力する媒体検出装置であって、媒体が無い状態で前記発光部を発光させ、前記受光部が出力可能な出力電圧の最大値を出力する印加電圧の最小値を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記印加電圧の最小値で前記発光部を発光させ、媒体が無い状態での前記受光部の出力電圧が前記出力電圧の最大値よりも小さい場合、該出力電圧と、前記特定手段により特定された前記印加電圧の最小値と、前記受光部が出力可能な前記出力電圧の最大値とから、前記発光部に印加する印加電圧を決定する決定手段と、前記決定手段により決定される印加電圧を前記発光部に印加する制御手段と、前記制御手段が前記決定される印加電圧を前記発光部に印加した場合、媒体が無い状態での前記受光部の出力電圧が前記しきい値よりも大きい所定値以下であれば、前記検出手段の清掃を促す報知手段と、を有することを特徴とする
【0028】
また、本発明に係る画像形成装置は、媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記媒体の有無を検出する前記媒体検出装置と、を有することを特徴とする
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、光学式センサを有する媒体検出装置を画像形成装置の媒体搬送路に適用した構成図である。
【0042】
図1の1000は画像形成装置本体である。1001は原稿を露光位置に搬送する自動原稿搬送装置で、1002は原稿載置手段としての原稿台ガラスである。15は給紙カセットであり、媒体30が積載されている。媒体30は主に紙であるが、装置によってはオーバーヘッドプロジェクター用のOHPフィルムでもよい。図示していないが、画像形成装置には画像形成の条件やエラー等を表示する表示部があり、さらにその表示部を制御する表示制御部も備えている。
【0043】
ここで、媒体の搬送の制御について説明する。媒体を搬送するための各種ローラの制御は、画像形成装置内の制御部(不図示)により行なわれる。給紙カセット15に積載された媒体30がピックアップローラ300により送り出されると、分離給紙ローラ100、200により1枚に分離され、搬送経路19に送り出される。さらに、媒体30は、各搬送ローラ114によりレジストローラ113まで搬送される。レジストローラ113の動作は、光学系等の条件が揃ったところで開始する。媒体30は、感光体101に潜像された画像を転写部105で転写され、分離部106で感光体101に巻き付かないように分離されて搬送ベルト102に送り込まれる。そして、媒体30は、定着ローラ103と加圧ローラ104まで運ばれて定着されて、排紙ローラ111、112により機外へ排出される。
【0044】
媒体の両面に画像形成を行なう場合には、媒体30はフラッパ122により機外へ排出されずに下方の両面搬送ユニットに送り込まれる。媒体30は、反転ローラ123の回転によりA方向へ送り込まれ、反転位置124に到達する。到達後に、反転ローラ123の逆回転により媒体30はB方向へ搬送される。媒体30は両面搬送路125を通りレジストローラ113まで搬送される。そして、媒体30の裏面に画像形成されて、前述したように搬送路を通過して機外へ排出される。
【0045】
前述した搬送路の途中には、光学式センサ121、126,127,128,129、130,131が配置されている。これらの光学式センサが媒体30を検出して、媒体の有無を判別する。その判別結果により、画像形成装置内の制御部が媒体搬送を正常に行なうように制御する。
【0046】
光学式センサは、図11、図12、図13に示すように数種類あるが、本実施例では図13に示す光学式センサを用いて説明する。ただし、図13の光学式センサに限られるものではない。
【0047】
光学式センサにおける媒体検出について、図2を用いて詳細に説明する。図2は光学式センサのドライバ回路である。マイコン2108からD/Aコンバーター2106に所定のデジタル信号が送られる。D/Aコンバーター2106はマイコン2108のデジタル信号を電圧に変換する。この電圧は、オペアンプ2101でLED(以後、発光素子と称す)2154を駆動する定電流に変換される。そして、トランジスタQ1をONさせ、LED2154を所定の電流で発光させる。発光された照射光は、図13に示すようにプリズムを介して受光素子2155で受光される。
【0048】
受光素子2155はフォトダイオードであり、所定の波長の光を受光すると電流が流れる。オペアンプ2102は、フォトダイオードに流れる電流を一定にするため、出力電圧を増幅させる。なお、オペアンプ2102で増幅された出力は、A/Dコンバーター2107とコンパレーター2105に分岐される。
【0049】
光量調整を行なうとき、マイコン2108はD/Aコンバーター2106にデジタル信号を出力してからオペアンプ2102の出力をモニターする。そして、コンパレーター2105で媒体の有無の判別をするのに最適である出力が得られるように、マイコン2108はD/Aコンバーター2106へのデジタル信号を制御する。
【0050】
光量調整が行なわれた後のオペアンプ2102の出力は、R10/R11で設定される所定の電圧を基準にしてコンパレーター2105でH/Lレベルの2値化をされ、マイコン2108に送られる。そして、マイコン2108で媒体の有無の判別が行なわれる。
【0051】
例えば、媒体が光学式センサを通過しないとき、照射光はプリズムを介して受光素子2155で受光され、基準値以上の電圧を出力する。コンパレーター2105にてHレベルとなり、マイコン2108において媒体がないと判別される。一方、媒体が光学式センサを通過するとき、照射光は媒体に遮られるため受光素子2155に電流が流れず出力電圧は得られない。コンパレーター2105にてLレベルとなり、マイコン2108において媒体があると判別される。
【0052】
本実施例においては、D/Aコンバーター2106、A/Dコンバーター2107をマイコン2108とは別のものとして説明したが、D/Aコンバーター2106、A/Dコンバーター2107がマイコン2108に内蔵されていてもよい。また、コンパレーター2105を用いて2値化し、媒体の有無の判別を行なうように説明したが、A/Dコンバーター2107の出力により媒体の有無の判別をしてもよい。
【0053】
ここで、光学式センサの発光部に印加する印加電圧(Vin)と受光部で受光した光量を変換した出力電圧(Vout)の関係を図3に示す。図3は、Vin−Vout特性カーブを示すグラフである。このように、VinとVoutの関係は所定の出力電圧になるまでは傾きが直線的である。Vinは、光学式センサの発光素子に対する印加電圧であり、Voutは、光学式センサの受光素子が受光した光量を変換した出力電圧である。発光素子に印加電圧Vin1を印加すると、受光素子が電圧変換回路を介して出力電圧Vout1を出力する。さらに、Vin2>Vin1となる関係の印加電圧Vin2を印加すると、出力電圧Vout2が出力される。同様にVin(N+1)>VinNとなる関係で電圧を印加していくと、印加電圧の増加がそのまま光量の増加となり、出力電圧も上がっていく。
【0054】
マイコン2108やA/Dコンバーター2107等の制御部に対する保護のため、ダイオードD2を用いたダイオードクランプ等により一定の電圧以上にならないようにしている。
【0055】
本実施例の画像形成装置は、光学式センサの光量調整において2つの方法を備えている。1つは、工場での画像形成装置の生産時やサービスマン等による光学式センサの取付け交換時に行なう光量調整であり、光学式センサの長期ノーメンテナンスを実現するために調整の精度が要求されるものである。もう1つは、画像形成装置の電源ON時やコピー等のジョブの間に行なう光量調整であり、画像形成装置の動作に影響がないように短い時間での調整が要求されるものである。画像形成装置が2つの光量調整の方法を有することにより、初期調整で高精度の光量調整を行なえ、その後の調整では光量の減少が著しい場合でも短時間で適正な光量調整が行なえることになる。
【0056】
まず、図4における画像形成装置の生産時や光学式センサの取付け交換時に行なう光量調整の方法について説明する。図2の光学式センサのドライバ回路及び図3のVin−Vout特性カーブのグラフも用いて説明する。
【0057】
S2001において、光学式センサの取付け完了後に、光量調整スタートの指令が入力される。光量調整のスタートは画像形成装置の操作部(不図示)からの入力でも、電源投入等による自動的なものでもどちらでもよい。S2015において、マイコン2108のカウンタNが1にリセットされる。S2002において、マイコン2108から印加電圧VinNに相当する所定のデジタル信号が出力され、発光素子2154を発光させる。光量調整がスタートした時に、発光素子2154に印加する印加電圧はVin1である。図3に示される印加電圧Vin1の値は、光学式センサにおける光量ばらつきの最大値で規定される値である。
【0058】
S2003において、受光素子2155で受光した光量を電圧値(VoutN)に変換してマイコン2108が読み込む。S2008において、マイコン2108が印加電圧Vin1におけるVout1がVMに達しているかどうかを判断する。電圧値VMは、光学式センサのドライバ回路において出力可能な最大値である。
【0059】
S2008において、YESのときは、NGと判断される。光学式センサの光量が多すぎる(LEDが明るすぎる)ので、媒体の影響を受けてしまうために部品不良となる。なお、ここで、NGと判断されると、“部品交換を行なってください”等のメッセージを画像形成装置の表示部に表示する(S2013)。図6は、画像形成装置の表示部を示した図である。図6(A)の表示は、光学式センサ3に対して部品交換が要求された状態を示している。
【0060】
一方、S2008において、Vin1でVMに達していなければ(NOであれば)、S2004に進む。S2004において、マイコン2108の記憶部に出力電圧の値を格納する。例えば、印加電圧Vin1を入力したときは出力電圧Vout1の値を格納する(図3)。マイコン2108の記憶部はマイコン内でなく、アクセス可能な外部素子であってもよい。
【0061】
S2005において、マイコン2108内にあるカウンタNの数値に1を加える。S2006において、マイコン2108が予め設定した10回の出力/入力を行なったかを判断する。図3は、印加電圧Vin10までの10回と設定したグラフであるが、回数は予めマイコンから出力される信号をある範囲内で分割したものであり、8分割や16分割のように自由に設定することができる。但し、回数が大きいほど精度は高くなるが、時間がかかることになる。
【0062】
図3で示される印加電圧Vin10は、機械仕様が許容できる最小値であり、仕様に応じて設定を行なう必要がある。なお、印加電圧Vin10を低めに設定することで、光学式センサの寿命の基準となる印加電圧までの光量調整幅が広くなり、光学式センサのメンテナンス間隔を長くすることができる。
【0063】
S2006において、NOであれば、再びS2002に戻り、マイコン2108から所定のデジタル信号を出力する。
【0064】
S2002からS2006までのルーチンが10回終了したら、S2007に進む。S2007において、マイコン2108が、出力電圧がVMに達したか否かを判断する。VMに達していれば、S2009に進む。S2009において、マイコン2108が、出力電圧Vout1からVout10までの間で変化量が0になる(Vout(N+1)−VoutN=0)ときの最も小さいVinの値を設定する。設定されたVin値は、光学式センサの光学素子に印加する電圧であり、媒体を検出するために必要な光学式センサの光量を得るためのものである。S2010において、画像形成装置の表示部の表示内容を制御する表示制御部が、光学式センサの光量調整が終了したことを示す表示を表示させる。図3(A)をみると、印加電圧Vin8を入力したときに出力電圧は、VMに達している。印加電圧Vin8以上の電圧を印加してもVMが得られ、すなわち出力電圧の変化量が0である。印加電圧Vin8を印加すれば、光学式センサは十分に機能することになる。
【0065】
一方、S2007において、出力電圧がVMに達していない場合(NOの場合)、NGと判断される。S2011において、表示部に“部品及び取付けを確認してください”等のNG表示を行なう。図6は、画像形成装置の表示部を示したものである。図6(A)の表示は、光学式センサがNG判定となり、部品確認、または取付け確認を要求した状態を示している。この表示がされるときは、光学式センサの汚れの付着、取付けミス、部品不良の可能性が高い。
【0066】
S2014において、光学式センサの部品交換あるいは取付け調整の確認が終了すると、再びS2015からの光量調整を開始する。光学式センサの光量調整が正常に行なわれると、画像形成装置の表示制御部が図6(B)のように表示を切り替える。
【0067】
次に、図5の画像形成装置の電源ON時やコピー等のジョブの間に行なう光量調整の方法について説明する。図2の光学式センサのドライバ回路及び図3のVin−Vout特性カーブのグラフも用いて説明する。この調整の方法は、ユーザが画像形成装置の使用を開始してから光学式センサの汚れや劣化等により光量の調整が必要になったときに、有効なものである。なお、光学式センサの汚れは、給紙カセット付近にある光学式センサにおいて顕著である。これは、給紙カセットから媒体を送り出す際に、媒体のくず等が落ちやすいためである。
【0068】
S2300において、画像形成装置の電源ON時あるいは所定回数のジョブの終了を検知すると、S2301に進む。S2301において、マイコン2108が所定の条件を判断して光学式センサの光量調整を自動的にスタートさせる。S2302において、マイコン2108が印加電圧VinNに相当する所定のデジタル信号出力すると、発光素子2154が発光する。S2303において、受光素子2155で受光した光量を電圧値に変換してマイコン2108がVoutNを読み込む。
【0069】
S2304において、光学式センサの汚れ等により減少した光量を補うために発光素子2154に印加する電圧が求められ、その電圧が予め設定された印加電圧の最大値(VinMAX)に達しているかどうかをマイコン2108が判断する。
【0070】
S2304における光学式センサの発光素子2154に印加する電圧の求め方について説明する。光学式センサの初期調整がすでに行なわれた後に光学式センサの光量が減少して、光学式センサの光量調整が行なわれるとする。この光量調整では、光学式センサの光量における減少分のみを補うために、発光素子2154に印加する電圧を求める。VinとVoutが図3に示す関係である光学式センサの場合、発光素子2154に印加する電圧は一般的に、以下の数式で概略的に求められる。
【0071】
VM÷VoutN×VinN
S2304において、演算により求められた発光素子2154に印加する電圧が、予め設定された印加電圧VinMAXに達しているかどうかを、マイコン2108が判断する。
【0072】
S2304においてYESであるとき、S2305に進む。S2304におけるYESの状態を、図8を用いて具体的に説明する。図8に示されるように、光学式センサの光量がAからBに減少したときに、光量調整が行なわれるとする。
そのときのBにおける発光素子2154に印加する電圧VinNはVin8であり、受光素子2155で受光した光量を変換した出力電圧VoutNはVout5である。Bにおける光量調整で、光学式センサの光量の減少分のみを補うための発光素子2154に印加する電圧VinBCは、
VinBC= VM÷Vout5×Vin8
である。求められたVinBCは、VinMAX>VinBCとなる関係が成り立つので、S2305に進む。
【0073】
S2305において、求められた電圧VinBCが光学式センサの光量を制御する電圧値として設定され、設定された電圧に応じた光量が得られる。そして、S2306において光量調整は終了する。光学式センサの光量調整終了後、画像形成装置は通常の動作が可能になる。なお、画像形成装置の表示部は、図7(B)に示すようにデフォルト設定表示のままである。
【0074】
一方、S2304においてNOであるとき、S2307に進む。S2304におけるNOの状態を、図8を用いて具体的に説明する。図8に示されるように、光学式センサの光量がCからDに減少したときに、光量調整が行なわれるとする。そのときのDにおける発光素子2154に印加する電圧VinNはVinBCであり、受光素子2155で受光した光量を変換した出力電圧VoutNはVout5である。Dにおける光量調整で、光学式センサの光量の減少分のみを補うための発光素子2154に印加する電圧VinDEは、
VinDE= VM÷Vout5×VinBC
である。求められたVinDE は、VinDE>VinMAXとなる関係が成り立つので、S2307へ進む。
【0075】
S2307において、求められた電圧がVinMAXを超えているために、発光素子2154に印加可能なVinMAXが光学式センサの光量を制御する電圧値として設定され、VinMAXに応じた光量が得られる。VinMAXを設定して得られる光量でも所定の条件内であれば、媒体を検出することについて光学式センサは使用可能である。しかし、光学式センサの受光素子2155で受光した光量を変換した電圧がしきい値電圧(Vs)以下になると媒体の有無が判別不能となる。この状態になると、画像形成装置の動作は不能になる。
【0076】
S2310において、光学式センサの光量を制御する電圧がVinMAXのとき、受光素子2155で受光する光量を変換した出力電圧が所定の出力電圧の値以下かをどうかをマイコン2108が判断する。所定の出力電圧は、マイコン2108に設定された値である。例えば、図8に示すVhであり、VMとVsの間にある値で、光学式センサが媒体の有無を検出できなくなる可能性が高い状態にあることを示している。S2310におけるVhの値は任意であり、VMに設定することも可能である。その場合は、S2310を省略することを意味することになる。
【0077】
S2310において、NOであれば、光量調整を終了する(S2306)。光量調整終了後、画像形成装置は通常の動作が可能になる。S2310において、YESであれば、画像形成装置の表示部に“清掃してください”という表示を行なう(S2308)。この表示は、画像形成装置通常の動作可能であるが、光学式センサが媒体を検出できなくなる可能性が高い状態あることを示している。図7(A)は、その表示内容を示したものである。
【0078】
さらに、画像形成装置がネットワークに接続されている場合は、サービスマンや管理者に通知することも可能である。図9は、画像形成装置がネットワーク上に接続された構成図である。2411−A、2411−B、2411−C、2411−D、2411−E、2411−Fは画像形成装置であり、2412がホストコンピュータ(サービスマンまたは管理者)、2413はネットワークサーバである。2414はネットワークであり、LAN、インターネット、電話回線など情報を送るための手段を示したものである。画像形成装置2411をネットワーク2414に接続するために、ネットワークカードやモデムを利用している(不図示)。
【0079】
S2309において、光学式センサの光量調整の結果に応じて、画像形成装置2411が光学式センサの発光部に印加する電圧値や出力電圧値等をホストコンピュータ2412へ通知する。これにより、サービスマンや管理者に対して画像形成装置2411のメンテナンスを要求することができ、画像形成装置2411の使用が不可能になることを未然に防止ことができる。表示部での警告表示やホストコンピュータ2412への通知後に、S2306に進み、光量調整を終了する。光量調整終了後、画像形成装置は通常の動作が可能であるが、光学式センサが媒体を検出できなくなる可能性が高い状態ある。なお、S2309は、画像形成装置2411がネットワーク2414に接続されていないときは省略することが可能である。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、光学式センサの光量の減少が著しい状態のときにも、光学式センサの光量のダイナミックレンジを大きく取りつつ、媒体検出の動作が不能になる前に、光学式センサの清掃が必要であることをユーザに知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の構成図である。
【図2】媒体検出手段のドライブ回路である。
【図3】媒体検出手段の光量調整時の入出力特性カーブを示すグラフである。
【図4】画像形成装置の生産時や光学式センサの取付け交換時に行なう光量調整のフローチャートである。
【図5】画像形成装置の電源ON時やコピー等のジョブの間に行なう光量調整のフローチャートである。
【図6】画像形成装置の表示部である。
【図7】画像形成装置の表示部である。
【図8】本発明の実施例に用いられる光学式センサにおける光量調整時の入出力特性カーブを示すグラフである。
【図9】本発明の実施例に用いられるネットワークの構成図である。
【図10】媒体検出手段の機械的な検出方法の代表例である。
【図11】反射型光学式センサの構成図である。
【図12】透過型光学式センサの構成図である。
【図13】本発明の実施例における媒体検出手段の光学式センサである。
【図14】光学式センサにおける従来の光量調整時の入出力特性カーブを示すグラフである。
【符号の説明】
121、126、127、128、129、130、131 光学式センサ
2108 マイコン
2105 コンパレーター
2106 D/Aコンバーター
2107 A/Dコンバーター
2154 発光素子
2155 受光素子
2202 プリズム

Claims (4)

  1. 印加電圧に応じた発光光量で発光する発光部と、前記発光部から発光される光を受光することで受光光量に応じた出力電圧を出力する受光部と、を有する検出手段を有し、
    前記受光部から出力される出力電圧がしきい値以上であれば媒体が無い状態に応じた信号を出力し、前記しきい値よりも低ければ媒体が有る状態に応じた信号を出力する媒体検出装置であって、
    媒体が無い状態で前記発光部を発光させ、前記受光部が出力可能な出力電圧の最大値を出力する印加電圧の最小値を特定する特定手段と、
    前記特定手段により特定された前記印加電圧の最小値で前記発光部を発光させ、媒体が無い状態での前記受光部の出力電圧が前記出力電圧の最大値よりも小さい場合、該出力電圧と、前記特定手段により特定された前記印加電圧の最小値と、前記受光部が出力可能な前記出力電圧の最大値とから、前記発光部に印加する印加電圧を決定する決定手段と、
    前記決定手段により決定される印加電圧を前記発光部に印加する制御手段と、
    前記制御手段が前記決定される印加電圧を前記発光部に印加した場合、媒体が無い状態での前記受光部の出力電圧が前記しきい値よりも大きい所定値以下であれば、前記検出手段の清掃を促す報知手段と、を有することを特徴とする媒体検出装置。
  2. 前記決定手段は、前記出力電圧の最大値と前記印加電圧の最小値との積を、前記媒体が無い状態での前記受光部の出力電圧で除した値に基づき、前記発光部に印加する印加電圧を決定することを特徴とする請求項1記載の媒体検出装置。
  3. 前記制御手段は、前記決定手段により決定される印加電圧が前記発光部に印加できる印加電圧の最大値より大きい場合、前記発光部に前記印加電圧の最大値を印加することを特徴とする請求項1又は記載の媒体検出装置。
  4. 媒体に画像を形成する画像形成手段と、
    前記媒体の有無を検出する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の媒体検出装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。
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