JP5685810B2 - 透明導電膜用焼結体の原料粉末 - Google Patents
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Description
(イ)比表面積が5m2/g以上、15m2/g未満であること
(ロ)周波数が2.45GHzでの原料粉末の誘電損率が0.5以上であること。
(イ)比表面積が5m2/g以上、15m2/g未満、かつ
(ロ)周波数が2.45GHzでの原料粉末の誘電損率が0.5以上。
また本発明は、そのような原料粉末を成形後、電磁波加熱により焼結させることを特徴とする透明導電膜用焼結体の製造方法である。さらに本発明は、そのような方法により得られる透明導電膜用焼結体である。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で製造できる透明導電膜用焼結体は特に限定されるものではないが、具体的には、インジウム、スズ及び酸素を含んでなる焼結体、アルミニウム、亜鉛及び酸素を含んでなる焼結体、ガリウム、亜鉛及び酸素を含んでなる焼結体、インジウム、亜鉛及び酸素を含んでなる焼結体などが挙げられる。
成形方法は、(1)工程で得た粉末を目的とした形状に成形できる成形方法を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。プレス成形法、鋳込み成形法、射出成形法等が例示できる。
次に得られた成形体を電磁波焼成炉内に投入して焼結を行う。電磁波としてはマグネトロンまたはジャイロトロン等から発生する連続またはパルス状の2.45GHz等のマイクロ波、28GHz等のミリ波、またはサブミリ波が利用できる。電磁波の周波数の選択披焼成物の焼結挙動から適切なものを選択することができるが、発振器のコスト等の経済性を考慮すると2.45GHzのマイクロ波が好ましい。
比表面積の測定は自動比表面積・細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社製 トライスター3000)を用い測定した。
成形体密度は成形体重量を長さ、幅、厚みから求めた体積で割って求めた。
アルキメデス法により測定した。なお、相対密度(D)とは、インジウム、スズ及び酸素からなる焼結体の場合、In2O3とSnO2の真密度の相加平均から求められる理論密度(dITO)に対する相対値を示している。相加平均から求められる理論密度(dITO)とは、ターゲット組成において、In2O3とSnO2粉末の混合量をa(g)とb(g)とした時、それぞれの真密度7.18(g/cm3)、6.95(g/cm3)を用いて、
dITO=(a+b)/((a/7.18)+(b/6.95))
により求められる。焼結体の測定密度をd1とすると、その相対密度Dは、D=d1/dITO×100(%)で求められる。
dAZO=(x+y)/((x/5.68)+(y/3.99))
により求めることができる。そして、実際に得られた焼結体の密度をd2とすると、その相対密度Dは、D=d2/dAZO×100で求めることができる。
また、インジウム、亜鉛及び酸素からなる焼結体の場合、同様にしてIn2O3及びZnO粉末の混合量をx(g)及びy(g)としたとき、それぞれの真密度7.18(g/cm3)及び5.68(g/cm3)を用いて、理論密度(dIZO)は
dIZO=(x+y)/((x/7.18)+(y/5.68))
により求めることができる。そして、実際に得られた焼結体の密度をd3とすると、その相対密度Dは、D=d3/dIZO×100で求めることができる。
透明導電膜用焼結体の原料粉末の誘電損率の測定は原料粉末から成形体を作製し、誘電体プローブ法により測定した。成形体の作製は透明導電膜用焼結体の原料粉末を金型に導入し、300kg/cm2の圧力にて加圧成形して得た成形体を、CIP装置にて3ton/cm2の圧力で成形を行い、約長さ30mm×幅30mm×高さ10mmの成形体を得る。この成形体の表面が平坦でない場合は表面を乾式研磨で平坦にする。この成形体に誘電体プローブを接触させ、原料粉末の比誘電率、誘電正接を測定し、誘電損率は比誘電率と誘電正接の積により求めた。
(測定条件)
装置:マイクロ波ネットワークアナライザ(Agilent E8363B)
測定方法:誘電体プローブ法
(Agilent 85070E誘電体プローブ・キット、プローブ;High Temperature Probe使用)
測定周波数:1GHz〜20GHz
測定温度:室温。
125mm×175mm×6mm厚さのターゲット用焼結体をインジウム半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。このターゲットを以下のスパッタリング条件で連続放電させてアーキング発生量を調べた。
(スパッタリング条件)
装置 :DCマグネトロンスパッタ装置
磁界強度 :500Gauss(ターゲット真上、水平成分)
基板温度 :25℃(無加熱)
到達真空度 :3×10−4Pa
スパッタリングガス :Ar+酸素
スパッタリングガス圧 :0.5Pa
DC電力 :300W
ガス圧 :7.0mTorr
酸素ガス濃度(O2/Ar):0.05%
放電時間 :30時間
ここで、酸素ガス濃度は、得られる薄膜の抵抗率が最も低下する値に設定した。
JIS R1601に準拠して、3点曲げ強度を測定した。試験片は長さ40mm、幅4mm、厚さ3mmに加工した。曲げ試験はインストロン万能試験機5582型(ロードセル5kN)を使用し、クロスヘッド速度0.5mm/min、曲げスパン距離30mm、冶具材質SiCにて測定した。各試料10本測定し、平均値を曲げ強度とした。
比表面積15m2/gの酸化インジウム粉末90重量部と比表面積8m2/gの酸化スズ粉末10重量部とをポリエチレン製のポットに入れ、乾式ボールミルにより20時間混合した後、得られた混合粉末を電気炉にて酸素気流中、300℃で加熱処理した。得られた混合粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表1に示す。
昇温速度 :100℃/時間(室温から400℃)
300℃/時間(400℃から1550℃)
最高温度 :1550℃
1550℃での保持時間 :1時間
降温速度 :300℃/時間(最高温度から100℃)
焼成雰囲気 :純酸素ガスを炉内に導入
なお、0〜600℃までの温度の測定は低温用デジタル放射温度計を使用し、600〜1550℃までの温度の測定はファイバ型放射温度計を使用した。
酸化インジウム粉末(比表面積15m2/g)を電気炉にて大気中、400℃にて加熱した。この酸化インジウム粉末90重量部と比表面積が8m2/gの酸化スズ粉末10重量部を秤量し、イオン交換水、ポリカルボン酸系分散剤とともに、ビーズミルを用いて、ジルコニアビーズ(0.3mmφ)にて粉砕・混合し、スラリー化した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥して造粒粉末を得た。噴霧乾燥はスプレードライヤ−の条件としてディスク回転数=15000rpm、送風入口温度=180℃、出口温度=100℃、スラリー供給量=2.5kg/時間で行った。得られた造粒粉末の平均粒径は50μm、かさ密度は1.75g/cm3であった。
得られた造粒粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表1に示す。
酸化インジウム粉末(比表面積15m2/g)を電気炉にて大気中、600℃にて加熱した。この酸化インジウム粉末95重量部と比表面積が8m2/gの酸化スズ粉末5重量部を秤量し、イオン交換水、ポリカルボン酸系分散剤とともに、ビーズミルを用いて、ジルコニアビーズ(0.3mmφ)にて粉砕・混合し、スラリー化した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥して造粒粉末を得た。噴霧乾燥はスプレードライヤ−の条件としてディスク回転数=15000rpm、送風入口温度=180℃、出口温度=100℃、スラリー供給量=2.5kg/時間で行った。得られた造粒粉末の平均粒径は60μm、かさ密度は1.70g/cm3であった。得られた造粒粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表1に示す。
酸化亜鉛粉末(比表面積4m2/g)を電気炉にて大気中、500℃にて加熱した。この酸化亜鉛粉末98重量部と比表面積が10m2/gの酸化アルミニウム粉末2重量部を秤量し、イオン交換水、ポリカルボン酸系分散剤とともに、ビーズミルを用いて、アルミナビーズ(0.4mmφ)にて粉砕し、混合し、スラリー化した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧乾燥して造粒粉末を得た。噴霧乾燥はスプレードライヤ−の条件としてディスク回転数=15000rpm、送風入口温度=200℃、出口温度=120℃、スラリー供給量=2.5kg/時間で行った。得られた造粒粉末の平均粒径は65μm、かさ密度は1.8g/cm3であった。得られた造粒粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表1に示す。
酸化亜鉛粉末(比表面積4m2/g)を電気炉にて窒素気流中、600℃にて加熱した以外は実施例4と同様にして、平均粒径は62μm、かさ密度は1.7g/cm3の混合粉末を得た。得られた混合粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表1に示す。
酸化インジウム粉末(比表面積14m2/g)を電気炉にて大気中、400℃にて加熱した。また、酸化亜鉛粉末(比表面積4m2/g)を電気炉にて水素0.5%含有の窒素気流中、400℃にて加熱した。得られた酸化インジウム粉末90重量部と酸化亜鉛粉末10重量部を使用した以外は実施例2と同様にして、平均粒径は58μm、かさ密度は1.5g/cm3の混合粉末を得た。得られた混合粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表1に示す。
比表面積が15m2/gの酸化インジウム95重量部と比表面積が8m2/gの酸化スズ粉末5重量部を使用した以外は実施例5と同様にして、比表面積18m2/gの混合粉末を得た。得られた混合粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表2に示す。
酸化インジウム粉末(比表面積15m2/g)を電気炉にて大気中、800℃にて加熱した。この酸化インジウム粉末90重量部と比表面積が8m2/gの酸化スズ粉末10重量部を使用し、実施例1と同様にして、平均粒径は58μm、かさ密度は1.5g/cm3の混合粉末を得た。得られた混合粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表2に示す。
比表面積4m2/gの酸化亜鉛粉末98重量部と比表面積4m2/gの酸化アルミニウム粉末2重量部とをポリエチレン製のポットに入れ、乾式ボールミルにより20時間混合し、混合粉末を調製した。得られた混合粉末の比表面積は4m2/gであった。得られた混合粉末の比表面積と誘電損率の測定結果を表2に示す。
比表面積が4m2/gの酸化亜鉛粉末97重量部と比表面積が13m2/gの酸化アルミニウム粉末3重量部を使用し、ビールミルの運転時間を2倍にした以外は実施例4と同様にして、平均粒径は61μm、かさ密度は1.4g/cm3の混合粉末を得た。
Claims (5)
- 以下の物性を有し、加熱処理が施されていることを特徴とする、電磁波加熱による透明導電膜用焼結体製造用原料粉末。
(イ)比表面積が5m2/g以上、15m2/g未満、かつ
(ロ)周波数が2.45GHzでの原料粉末の誘電損率が0.5以上。 - 原料粉末がインジウム、スズ及び酸素を含むことを特徴とする請求項1に記載の原料粉末。
- 原料粉末がアルミニウム、亜鉛及び酸素を含むことを特徴とする請求項1に記載の原料粉末。
- 原料粉末がインジウム、亜鉛及び酸素を含むことを特徴とする請求項1に記載の原料粉末。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の原料粉末を成形後、電磁波加熱により焼結させることを特徴とする透明導電膜用焼結体の製造方法。
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