JP6582698B2 - 酸化物焼結体及びスパッタリングターゲット - Google Patents

酸化物焼結体及びスパッタリングターゲット Download PDF

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Description

本発明は、亜鉛、ニオブ及び酸素を構成元素とする酸化物焼結体及び当該焼結体を含んでなるスパッタリングターゲットに関するものである。
近年、携帯型ディスプレイや建材ガラスにおいて屈折率調整用として高屈折率膜が採用されつつある。高屈折率材料として一般的な酸化ニオブターゲットは、常圧焼結法ではDC放電が可能なターゲットの導電性が得られないため、高温、加圧条件下で焼結体を還元することにより、焼結体の導電性を高めている(例えば、特許文献1参照)。
また、酸化ニオブに亜鉛を添加することで、抵抗率が下がることも報告されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、いずれの方法もホットプレス法で製造しなければならないため、大型のターゲットの製造においては巨大なプレス機構が必要となるため、現実的なプロセスではなく、ターゲットサイズは小型品に限定されている。また、ホットプレス法は還元雰囲気下での焼結であるため、ターゲット内の酸素欠損量が多くなる傾向がある。酸素欠損量の多いターゲットでは、高い透過性を得るためにスパッタリング時にスパッタガスとして酸素を導入する必要があり、酸素の導入によって成膜レートが低下するという問題も生じている。
また、高屈折率ターゲットとして、亜鉛、アルミニウム、チタンより成る複合酸化物焼結体も報告されている(例えば、特許文献3参照)。チタンを含有した酸化亜鉛系ターゲットは、屈折率2.0以上の高屈折率を実現すると共に、アーキング発生の少ない、安定なDC放電性能を有する複合酸化物焼結体が得られるとされている。
しかしながら、近年では高パワー負荷を投入可能な円筒ターゲットの採用等が進んでおり、従来想定していなかった高パワーを投入した成膜が主流になりつつある。したがって、高パワー投入時においてもアーキング発生やターゲット割れのない、安定なDC放電が可能な高屈折率ターゲットに対する必要性が高まっている。
特開2005−256175号公報 特開2005−317093号公報 特開2009−298649号公報
本発明の目的は、高パワー成膜時においても異常放電現象が少なく、高成膜レートであり、高屈折率膜を得ることができるスパッタリングターゲットに用いられる酸化物焼結体を提供することである。
本発明者らは、ZnO相とZnNb相よりなる複合酸化物焼結体の導電機構について鋭意検討を行った。複合酸化物を形成する結晶相の内、ZnNb相は導電性の極めて低い材料である一方、ZnO相は微量のニオブがZnO結晶相に固溶置換し、僅かの導電性を示す。本発明者らは、所定の粒径を有するZnO結晶相を複合酸化物相内に適切に配することにより得られた高密度焼結体をスパッタリングターゲットとして用いることにより、スパッタリング中のアーキング発生や薄膜特性のバラツキのない、優れた放電特性を実現するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)構成元素として、亜鉛、ニオブ及び酸素を有する酸化物焼結体において、亜鉛、ニオブの含有量をそれぞれZn、Nbとしたときに、原子比でNb/(Zn+Nb)が0.064〜0.334であり、相対密度が98%を超え、バルク抵抗値が1.0〜5000Ω・cmであることを特徴とする酸化物焼結体。
(2)酸化物焼結体中のZnO結晶相の平均粒径が1.5μm以上6μm以下であることを特徴とする(1)に記載の酸化物焼結体。
(3)酸化物焼結体の酸素欠損量が5%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の酸化物焼結体。
(4)酸化物焼結体の抵抗率のばらつき幅が70%以内であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の酸化物焼結体。
(5)X線回折における入射角(2θ)が、32.3°〜33.8°の間に存在する回折ピークの最大強度をI、35.8°〜37.3°の間に存在する回折ピークの最大強度をIとした時の、回折強度比I/Iの値が0.65以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の酸化物焼結体。
(6)ターゲット面の面積が961cm以上である平板形状であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化物焼結体。
(7)ターゲット面の面積が486cm以上である円筒形状であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の酸化物焼結体。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載の酸化物焼結体をターゲット材として用いることを特徴とするスパッタリングターゲット。
(9)(8)に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリング法で成膜したことを特徴とする薄膜。
に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、構成元素として、亜鉛、ニオブ及び酸素を有する酸化物焼結体において、亜鉛、ニオブの含有量をそれぞれZn、Nbとしたときに、原子比でNb/(Zn+Nb)が0.064〜0.334であり、相対密度が98%を超え、かつバルク抵抗値が1.0〜5000Ω・cmである酸化物焼結体である。
本発明の酸化物焼結体は、構成元素として亜鉛及びニオブを有しており、亜鉛、ニオブの含有量をそれぞれZn、Nbとしたときに、原子比でNb/(Zn+Nb)が0.064〜0.334であることを特徴としている。Nb/(Zn+Nb)は0.133〜0.290であることが好ましく、0.208〜0.248であることがより好ましい。Nb/(Zn+Nb)が0.064未満だと、スパッタリングして得られる膜の屈折率が低下してしまい、Nb/(Zn+Nb)が0.334を超えると、ZnNb相が増加し、抵抗率が高くなってしまう。
また、本発明の酸化物焼結体は、相対密度が98%を超えるものであることを特徴とする。本材料では、相対密度が98%以下であると、スパッタリングターゲットとして用いた場合にアーキング発生の頻度が上昇するためである。
本発明の酸化物焼結体は、スパッタリングターゲットとして使用する場合、安定的にDC放電を行えるため、バルク抵抗値が1.0〜5000Ω・cmであることが必要であり、15〜3000Ω・cmであることが好ましく、30〜850Ω・cmであることがより好ましい。
また、酸化物焼結体中の任意の10点における抵抗率のばらつき幅が70%以内であることが好ましく、50%以内であることがより好ましい。本発明におけるばらつき幅とは、測定した10点の内の最大値をRmax、最小値をRminとした時、(Rmax―Rmin)/Rmax×100〔%〕で表される値である。本発明の酸化物焼結体は、導電相であるZnO相と絶縁相であるZnNb相を含んでおり、ZnNb相が微細かつ均一に分散していないと、焼結体中に大きな抵抗値のばらつきを生じてしまい、スパッタリング時に激しい異常放電を引き起こすおそれがあるためである。
本発明の酸化物焼結体は、従来のものと比べて酸素欠損量が少ないという特徴を有している。酸素欠損量の多いターゲットでは、スパッタリング時にスパッタガスとして酸素を導入する必要があるため、酸素の導入によって成膜レートが急激に低下するという問題が生じる。しかし、本発明の酸化物焼結体は導入酸素量を極めて少なくした状態でも優れた透過性、低吸収特性を実現することができ、成膜速度も顕著な改善効果が得られる。さらに、本発明の酸化物焼結体は、導電相であるZnO相と絶縁相であるZnNb相が共存するため、スパッタ電流がZnOに集中し、焼結体中の酸素欠損量が多いとZnOが還元され金属Znに成り成り易く好ましくない。
本願における焼結体の酸素欠損量は、化学量論組成に等しい酸素が含有しているとして計算された酸素含有量の量論値[wt%]と、分析により測定された分析値[wt%]との比より、酸素欠損量として下記(1)式により表される。
((量論値[wt%]−分析値[wt%])/量論値[wt%])×100[%] ・・・(1)式
酸素含有量の量論値[wt%]は、ZnO/(ZnO+Nb)で表されるZnOのモル比をxとしたとき、
((M×1×x+M×5×(1−x))/(MZnO×x+MNb2O5×(1−x)))×100 ・・・(2)式 により算出される。
ここで、Mは酸素の原子量でM=16、MZnOはZnOの分子量でMZnO=81.38、MNb2O5はNbの分子量であり、MNb2O5=265.81を用いる。本願発明の焼結体においては、酸素欠損量が5%以下であることが好ましい。
本発明の酸化物焼結体は、酸化物焼結体中のZnO相の平均粒径が1.5μm以上6μm以下であることが好ましい。導電パスとしての役割を担うZnO相の粒径が小さくなり過ぎると、その粒界部分に絶縁相であるZnNb相が入り込み易くなり、ターゲット全体の導電性が著しく悪化するため、安定なDCスパッタリングが行えなくなるためである。また、ZnO相の粒径が大きくなり過ぎると、抵抗値のバラツキの増大や、焼結体の割れや低密度化の原因となるため、好ましくない。
本発明の酸化物焼結体は、X線回折における入射角(2θ)が、32.3°〜33.8°の間に存在する回折ピークの最大強度をI、35.8°〜37.3°の間に存在する回折ピークの最大強度をIとした時の、回折強度比I/Iの値が0.65以上であることが好ましい。32.3°〜33.8°の間に存在するピークは、複合酸化物焼結体内のZnNb相に相当する回折ピークに対応するものであり、35.8°〜37.3°の間に存在するピークはZnO相に対応するピークである。本願発明の複合酸化物焼結体内においては、ZnO相の粒径がZnNb相よりも相対的に大きくなるためである。
ターゲットへの投入負荷は、投入電力をターゲット面積で割った電力密度(W/cm)で規格化される。通常生産における一般的な電力密度は1〜2.5W/cm程度であるが、本発明においては4W/cm以上の高パワー条件においてもアーキング発生の極めて少ない、高品質なターゲット材料となる酸化物焼結体が得られる。
本発明の酸化物焼結体の製造方法は、酸化亜鉛粉末及び五酸化ニオブ粉末を原料粉末として、元素の原子比が、亜鉛、ニオブの含有量をそれぞれZn、Nbとしたときに、Nb/(Zn+Nb)が0.064〜0.334となるように混合し、成形した後、得られた成形体を酸化性雰囲気で1150〜1300℃の温度にて0.5〜5時間焼成保持することを特徴とする。
以下、本発明の酸化物焼結体の製造方法について、工程毎に説明する。
(1)原料混合工程
原料粉末は取り扱い性を考慮すると酸化亜鉛、五酸化ニオブの各酸化物粉末が好ましい。各原料粉末の純度は99.9%以上が好ましく、より好ましくは99.99%以上である。不純物が含まれると、焼成工程における異常粒成長の原因となる。
本工程において、酸化亜鉛粉末及び五酸化ニオブ粉末の元素の原子比が、亜鉛、ニオブの含有量をそれぞれZn、Nbとしたときに、Nb/(Zn+Nb)が0.064〜0.334となるように混合する必要があり、Nb/(Zn+Nb)が0.133〜0.290となるように混合することが好ましく、Nb/(Zn+Nb)が0.208〜0.248となるように混合することがより好ましい。
酸化亜鉛粉末の物性は、本発明の焼結体中で導電性を担うZnO相の粒径や均一分散性に関わることから、特に重要な因子である。本発明においては、次工程である粉砕・混合工程を考慮し、ZnO原料粉末のBET値が2.2〜10m/gの範囲の粉末を用いる。BET値が10m/gより大きい粉末を用いて粉砕・混合処理を行うと、得られる焼結体のZnO相の粒径が小さくなり、ターゲットの導電性が悪化するため好ましくない。導電性の悪化は、スパッタリング中に発生するアーキング数の増加原因となり、特に導電性が悪い場合にはDC放電が不可能となる問題が発生する。さらに、原料の微細化により成形性が悪化し、低密度化の原因にもなるため、好ましくない。また、BET値が2.2m/gよりも小さい粉末を用いて粉砕・混合処理を行うと、原料混合時にムラが大きくなり、抵抗値のバラツキおよび低密度化の原因となるため、好ましくない。
五酸化ニオブ粉末についても粉砕・混合工程を考慮し、BET値が6〜14m/gのものを使用する。BET値が14m/gより大きい粉末を用いて粉砕・混合処理を行うと、得られる焼結体中でZnO相の導電パスが切断され易くなり、ターゲットの導電性が悪化するため好ましくない。また、BET比表面積が6m/gよりも小さい粉末を用いて粉砕・混合処理を行うと、焼結体の密度低下の原因となったり、焼結体に割れが発生し易くなるため、好ましくない。
更に、次工程である粉砕・混合工程においては、五酸化ニオブ粉末との混合性を高めつつ、ZnO粉末が過度に粉砕されること防ぐことが重要となる。本組成範囲においては、使用するZnO粉末のBET値をB、五酸化ニオブ粉末のBET値Bとした場合の両者の比(B/B)が0.8〜3.6の範囲とすることで混合性を高めることが出来、焼結体の導電性を改善されると共に、焼結性を高め高密度焼結体を得ることが可能となる。
上記粉末の混合は、適切な粉砕・混合装置にて所定の条件下にて行なう必要がある。ターゲット中の導電性にムラの発生を抑制し、高密度焼結体を得るためには、各原料が均一に分散されている必要があるが、前述のとおり、ZnO粉末、五酸化ニオブ粉末共に過度の粉砕は好ましくないため、十分な注意が必要である。例えば、ミル容積2Lのビーズミル装置にて粉末25kgを処理する場合、下記の条件で行うことが好ましい。
スラリー中の固形分濃度は35%〜65%、より好ましくは55%〜65%とする。固形分濃度が高くなり過ぎると処理能力が低下し、所望する粉末物性値が得られない。特に酸化亜鉛は粘度上昇の原因となり易く、他の原料との混合性を大きく損ねる原因となることから、適正範囲内に調整することが重要である。粉砕メディアは、摩耗による原料への不純物混入防止も考慮し、ジルコニアビーズを用いる。ビーズ径はφ0.2mm〜φ0.3mmの範囲内とする。ミルに投入するビーズの総量は4.5〜5.5kgの範囲とし、ミル容積に対するビーズ充填率としては70〜75%の範囲とする。スラリー温度も厳密に管理する必要があり、ミル入口スラリー温度を12℃以下、好ましくは9℃以下に管理すると共に、ミル出口のスラリー温度を18℃以下となるように常時管理する。分散剤の種類は特に問わないが、スラリー粘度変化を一定以下に抑えることが重要である。このため、本発明における添加量は一般的な添加量よりも多くする必要があり、投入粉末量に対して1.0wt%以上3.5wt%以下とすることが好ましい。ミル内へのスラリー供給量はミルへの負担の大きい1〜2パスまでは0.4L/min〜1.0L/minとし、その後は1.5L/min〜2.4L/minとすると効率的に処理が出来るため、好ましい。過度の粉砕を防止するため、ミルの周速は2.5m/sec〜5.5m/secの範囲とやや低めに設定することが好ましい。処理のバッチによっては同一条件であってもスラリー粘度が何らかの要因によって上昇することがあるが、この場合は分散剤量を上記範囲内の内で適宜追添加し、スラリー粘度を常に2200mPa・s以下とすることで、安定した粉末物性を得るために必要である。
上記の条件を踏まえ、ミル内への粉砕パス回数を20回以下に抑えることにより、本発明の複合酸化物焼結体を得るために必要な混合粉末を得ることができる。
湿式混合処理を行った後のスラリーは、鋳込み成形等の湿式成形方法では、スラリーをそのまま用いることが可能であるが、乾式で成形する場合には、粉末の流動性が高く成形体密度が均一となる乾燥造粒粉末を用いるのが望ましい。造粒方法については限定しないが、噴霧造粒、流動層造粒、転動造粒、撹拌造粒などが使用できる。特に、操作が容易で、多量に処理できる噴霧造粒を用いることが望ましい。
(2)成形工程
成形方法は、原料粉末を目的とした形状に成形できる成形方法を適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。プレス成形法、鋳込み成形法、射出成形法等が例示できる。
成形圧力は成形体にクラック等の発生がなく、取り扱いが可能な成形体であれば特に限定されるものではないが、成形密度は可能な限り高めた方が好ましい。そのために冷間静水圧プレス(CIP)成形等の方法を用いることも可能である。CIP圧力は充分な圧密効果を得るため1ton/cm以上が好ましく、さらに好ましくは2ton/cm以上、とりわけ好ましくは2〜3ton/cmである。
(3)焼成工程
次に得られた成形体を焼成する。焼成方法は、一般的な抵抗加熱式の電気炉を使用すればよい。焼成雰囲気は、酸化性雰囲気である大気雰囲気または酸素雰囲気いずれも可能である。特別な雰囲気制御を必要とせず、大気雰囲気中での焼成が可能となることから、酸化物焼結体の酸素欠損量は、ホットプレスや非酸化性雰囲気で焼成した焼結体に存在する酸素欠損量と比べて少なくなる。
酸素欠損量の制御は、特に高温域での昇温速度および降温速度、保持時間および保持温度と密接に関係するため、1150℃以上1300℃以下の温度にて0.5〜5時間焼成保持することが必要である。本発明では、950℃から1050℃までの昇温速度を200〜350℃/h、焼成保持温度から900℃までの冷却速度を350℃/h以上とすることが好ましい。
(4)ターゲット化工程
得られた焼結体は、平面研削盤、円筒研削盤、旋盤、切断機、マシニングセンター等の機械加工機を用いて、板状、円状、円筒状等の所望の形状に研削加工する。さらに、必要に応じて無酸素銅やチタン等からなるバッキングプレート、バッキングチューブにインジウム半田等を用いて接合(ボンディング)することにより、本発明の焼結体をターゲット材としたスパッタリングターゲットを得ることができる。
焼結体のサイズは、特に限定されないが、本発明による焼結体は強度が高いため大型のターゲットを製造することが可能となる。平板形スパッタリングターゲットの場合、縦310mm×横310mm(ターゲット面の面積961cm)以上の大型の焼結体を作製することができる。また、円筒形スパッタリングターゲットの場合、外径91mmΦ×170mm(ターゲット面の面積486cm)以上の大型の焼結体を作製することができる。なお、ここで言うターゲット面の面積とは、スパッタリングされる側の焼結体表面の面積を言う。なお、複数の焼結体から構成される多分割ターゲットの場合、それぞれの焼結体の中でスパッタリングされる側の焼結体表面の面積が最大のものを多分割ターゲットにおけるターゲット面の面積である。
本発明の酸化物焼結体は、スパッタリングターゲットとして使用した場合、高パワー投入時においても、異常放電(アーキング)の発生やターゲットの割れが少なく、安定したDC放電が可能となる。また、焼結体の強度が高いために加工が容易となり、大型のターゲットを歩留りよく製造することができる。さらに、ターゲット中の酸素量が従来ホットプレス法による場合よりも多いため、スパッタリング時の酸素導入量を低減でき、高い成膜レートを実現できるだけでなく、光透過性の極めて優れた膜を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例における各測定は以下のように行った。
(1)焼結体の密度
焼結体の相対密度は、JIS R 1634に準拠して、アルキメデス法によりかさ密度を測定し、真密度で割って相対密度を求めた。焼結体の真密度は、焼結体中のNb相がすべてZnNb相として反応したと仮定し計算したときのZnO相の重量a[g]およびZnNb相の重量b[g]と、それぞれの真密度5.606[g/cm]、5.734[g/cm]を用いて、下記式で表される相加平均より算出した。
d=(a+b)/((a/5.606)+(b/5.734)) ・・・(3)式
(2)X線回折試験
鏡面研磨した焼結体試料の2θ=20〜70°の範囲のX線回折パターンを測定した。
走査方法 :ステップスキャン法(FT法)
X線源 :CuKα
パワー :40kV、40mA
ステップ幅:0.01°
(3)結晶粒径
鏡面研磨し、EPMAによる組成分析によりZnO相とZnNb相を同定した後、SEM像から直径法で結晶粒径を測定した。サンプルは任意の3点以上を観察し、各々300個以上の粒子の測定を行った。
(EPMA分析条件)
装置 :波長分散型電子線マイクロアナライザー
加速電圧 :15kV
照射電流 :30nA
(4)抗折強度
JIS R 1601に準拠して測定した。
(抗折強度の測定条件)
試験方法 :3点曲げ試験
支点間距離:30mm
試料サイズ:3mm×4mm×40mm
ヘッド速度:0.5mm/min
(5)抵抗率の測定
焼成後の焼結体表面より1mm以上研削した後の任意の部分より切り出した10サンプルの平均値を測定データとした。
試料サイズ:10mm×20mm×1mm
測定方法:4端子法
測定装置:ロレスタHP MCP−T410(三菱油化製)
(6)酸素量の分析
焼成後の焼結体表面より1mm以上研削した後の任意の部分より切り出した5サンプルの分析値の平均値を測定データとした。
(酸素量分析条件)
測定手法 :インパルス炉溶融−赤外線吸収法
装置 :LECO TC436 酸素・窒素分析装置
(7)スパッタリング評価
得られた焼結体を101.6mmΦ×6mmtに加工した後、無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムハンダによりボンディングしてスパッタリングターゲットとした。このターゲットを用いて投入パワーを変化させてスパッタリングを行い、アーキング計測およびDC放電の安定性の評価及び下記の条件で成膜した膜の評価を行なった。
(スパッタリング条件)
ガス :アルゴン+酸素(3%)
圧力 :0.6Pa
電源 :DC
投入パワー:400W(4.9W/cm
600W(7.4W/cm
800W(9.9W/cm
放電時間 :各120min
アーキング計測条件(しきい電圧):スパッタ電圧−50[V]
(成膜条件)
ガス :アルゴン+酸素(3%)
圧力 :0.6Pa
電源 :DC
投入パワー:200W(2.4W/cm
膜厚 :80nm
基板 :無アルカリガラス(コーニング社製EAGLE XG、厚み0.7mm)
基板温度 :室温。
(実施例1)
表1に示す粉末物性の酸化亜鉛粉末及び酸化ニオブ粉末(純度99.9%以上)を、Nb/(Zn+Nb)で0.248の割合となるように秤量した。秤量した粉末を純水10kgにてスラリー化し、ポリアクリレート系分散剤を全粉末量に対して3wt%入れ、固形分濃度60%のスラリーを作成した。内容積2.5Lのビーズミル装置にφ0.3mmジルコニアビーズを75%充填し、ミル周速5.0m/sec、スラリー供給量2.0L/minにてスラリーをミル内に循環させ、粉砕、混合処理を行った。さらに、スラリー供給タンクの温度を8〜9℃、スラリー出口温度を14〜16℃の範囲内で温度管理を行い、ミル内の循環回数(パス回数)は5回とした。その後、得られたスラリーを噴霧乾燥し、乾燥後の粉末を300μmの篩に通し、プレス成形法により300kg/cmの圧力で120mm×120mm×8mmtの成形体を作製後、2ton/cmの圧力でCIP処理した。
次にこの成形体をアルミナ製のセッターの上に設置して、抵抗加熱式の電気炉(炉内容積:250mm×250mm×250mm)にて焼成した。得られた焼結体及びスパッタリングターゲットのスパッタリング評価結果を表2に示す。
(焼成条件)
焼成温度:1250℃
保持時間:1時間
昇温速度:950℃〜1050℃ 250℃/h
その他の温度域 100℃/h
雰囲気 :大気雰囲気
降温速度:900℃まで 350℃/h
900℃以降 150℃/h。
(実施例2〜11、比較例1〜12)
使用した粉末、組成を表2の内容に変更した以外は実施例1と同様の方法(実施例4は成形体サイズを310mm×310mm×6mmt、実施例5は形体サイズを内径77mm×外径91mm×170mmLの円筒形状に変更した)で成形体を作製した。次に成形体をそれぞれ表2の条件にて焼成した。得られた焼結体の評価結果を表2に示す。
(薄膜抵抗率の測定)
実施例1〜11で得られた薄膜の抵抗率の測定をロレスタHP MCP−T410(三菱油化製)を用いて4端子法で行った。薄膜抵抗は全て10Ω以上の高抵抗膜であった。
(比較例13)
実施例1と同様の方法で成形体を作製し、次に焼成雰囲気を窒素雰囲気とした以外実施例1と同様の方法で焼成した。得られた焼結体の評価結果を表2に示す。また、スパッタリング後のターゲット表面に黒色斑点の発生と、成膜基板上にスプラッシュ状のパーティクルが確認された。
(参考例)
実施例1と同じ組成にて、同様の方法で作製した粉末を用い、成形体を作製した。次に成形体を黒鉛性のホットプレス型に充填し、ホットプレス装置中で真空下1000℃にて1時間保持して焼結した。ホットプレス圧力は19.6MPaとした。得られた焼結体の密度は5.485g/cm、相対密度で95.7%であった。得られた焼結体の評価結果を表3に示す。
Figure 0006582698
Figure 0006582698
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Claims (7)

  1. 構成元素として、亜鉛、ニオブ及び酸素を有する酸化物焼結体において、亜鉛、ニオブの含有量をそれぞれZn、Nbとしたときに、原子比でNb/(Zn+Nb)が0.064〜0.334であり、相対密度が98%を超え、バルク抵抗値が1.0〜5000Ω・cmであり、酸化物焼結体中のZnO結晶相の平均粒径が1.5μm以上6μm以下であることを特徴とする酸化物焼結体。
  2. 酸化物焼結体の酸素欠損量が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体。
  3. 酸化物焼結体の抵抗率のばらつき幅が70%以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物焼結体。
  4. X線回折における入射角(2θ)が、32.3°〜33.8°の間に存在する回折ピークの最大強度をI1、35.8°〜37.3°の間に存在する回折ピークの最大強度をI2とした時の、回折強度比I2/I1の値が0.65以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物焼結体。
  5. ターゲット面の面積が961cm以上である平板形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物焼結体。
  6. ターゲット面の面積が486cm以上である円筒形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物焼結体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の酸化物焼結体をターゲット材として用いることを特徴とするスパッタリングターゲット。
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