JP5048998B2 - セラミックス用マイクロ波加熱装置及びその発熱体 - Google Patents

セラミックス用マイクロ波加熱装置及びその発熱体 Download PDF

Info

Publication number
JP5048998B2
JP5048998B2 JP2006310053A JP2006310053A JP5048998B2 JP 5048998 B2 JP5048998 B2 JP 5048998B2 JP 2006310053 A JP2006310053 A JP 2006310053A JP 2006310053 A JP2006310053 A JP 2006310053A JP 5048998 B2 JP5048998 B2 JP 5048998B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microwave
heating element
fired
heating
susceptor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006310053A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008128491A (ja
Inventor
利昭 池田
智之 井上
治庸 粂田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shofu Inc
Original Assignee
Shofu Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shofu Inc filed Critical Shofu Inc
Priority to JP2006310053A priority Critical patent/JP5048998B2/ja
Publication of JP2008128491A publication Critical patent/JP2008128491A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5048998B2 publication Critical patent/JP5048998B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Constitution Of High-Frequency Heating (AREA)
  • Furnace Details (AREA)

Description

本発明はセラミックスおよび陶材を焼成させるマイクロ波加熱装置に関するものである。
歯科治療において歯牙のウ蝕部位への補綴材料としてポーセレン(陶材)、セラミックス(アルミナ、ジルコニアなど)が用いられており、電気炉により高温で焼成されていた。
セラミックス焼成は成形体を炉内でヒータからの熱伝導と輻射により数100℃〜1000℃以上の高温環境をつくり行われる。この方法では入力エネルギーの大半が炉内全体の加熱や外部への放熱に使用されるため、セラミックスの焼成に使用されるエネルギーは約2%程度である。またこの方法で急速な加熱を行うと被焼成体に過熱ムラができる問題があり、昇温レートを遅くすることや焼成時間を延ばす必要があり、時間や消費エネルギーが増大し非効率なものになっていた。更に、セラミックスの焼成には非常に時間を要した。また、炉内温度を均一にすることが難しく場所によって大きなばらつきが生じた。従って技工士が各電気炉の特性の差異を熟知して使いこなす必要があった。
ヒータ炉では被焼成体を輻射熱で加熱するため被焼成体の外部と中心部で大きな温度差が生じることがあり、焼成時にクラックの発生や強度不足問題が発生したりすることがあった。
近年、マイクロ波加熱によって陶磁器材料やセラミックス材料を焼成することが提案され、既に実用化が始まっている。
マイクロ波照射による自己加熱方式を用いると非常に短時間でかつ均一な高温焼成が実現できることが知られている。
さらに、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックスは常温では誘電損失が少ないためマイクロ波照射を行っても自己加熱はほとんど起こらないが、600℃付近のガラス転移点温度からマイクロ波吸収率および誘電損失係数が急激に上昇することが知られている。
特開平6−345541には、マイクロ波焼成炉の内部にヒータを設置し、該ヒータによってマイクロ波焼成炉内の温度を制御してなるマイクロ波焼成炉が紹介されているが、ヒータの寿命はマイクロ波発生器であるマグネトロンなどに比べて短く、頻繁に交換する必要があり、消耗部品を持たないというマイクロ波加熱装置の利点が失われるという問題があった。
特開平2−275777には、マイクロ波焼成炉の内部にマイクロ波により発熱する発熱体で被焼成体の周囲に壁の様に設置し、被焼成体を輻射熱で焼成する構造のものが紹介されているが、筒状形状の発熱体内部に被焼成体を設置する方法であるため、照射されたマイクロ波エネルギーの大半が発熱体に吸収され、焼結体のマイクロ波による発熱が期待できないという問題があった。
特開平7−318262には、マイクロ波損失の大きい物質を主成分とする発熱容器と、該発熱容器を覆う、マイクロ波損失の小さい物質を主成分とする断熱体とを有し、前記発熱容器には開口が形成されており、さらに前記断熱体を通して前記発熱容器に向かってマイクロ波を照射させるための、且つ前記発熱容器の前記開口をとおして前記発熱容器内の被焼成物に向かってマイクロ波を照射させるためのマイクロ波照射装置を有する構造のものが紹介されているが、
発熱体と被焼成体の両方にマイクロ波を照射することを目的としており、被焼成体にマイクロ波を照射する際に、発熱体が被焼成体に照射されたマイクロ波の障害になることを回避するため、発熱体にマイクロ波通過用の穴を複数設けている。該穴を設けることにより、発熱体で構成された発熱容器が密封構造でないことになり低温域における予備加熱時の発熱体の面積が減少し、輻射効率が悪くなる問題や、発熱容器のマイクロ波が通る開口部が離散的であることによる被焼成体へのマイクロ波の照射効率も悪くなるという問題があった。
特開平6−345541 特開平2−275777 特開平7−318262
ヒータによる過熱では焼結体内部と外部とで温度勾配が大きく、短時間での加熱が求められていた。マイクロ波加熱ではこれらの課題が解決されたものの、低温域では焼成体の誘電損係数が低く効率の良い加熱が起こらない問題があり、被焼成体を加熱するのに十分な温度であるガラス転移点温度に達するまでチャンバー内を加熱する必要があった。発熱体を使用した低温域における加温では、高温域に達した後は発熱体がマイクロ波の障害物となり被焼成体にマイクロ波が当たらない問題があった。
さらに、被焼成体の大きさと発熱体との位置関係は焼結体の温度上昇に大きく影響する問題があった。
したがって、本発明の課題は、自己加熱するのに十分な温度であるガラス転移点温度に達するまでは、焼結体の周りに設置された発熱体によって加温し、高温域に達した後、発熱体は発熱体移動手段により焼結体に照射するマイクロ波の障害とならない位置に移動する、もしくはマイクロ波の波長を長くすることにより発熱体を透過することにより、マイクロ波による焼結体の加温が容易となり、さらに発熱体の形状又は配置を変えることにより被焼成体がマイクロ波を直接受け、被焼成体の加熱が容易となるマイクロ波加熱装置を提供することである。
また、歯科分野におけるメタルボンドなど歯科用陶材の焼成においては、何層もの重ね焼きを行うため、成形物を炉内から何度も出し入れしなければならない。
歯科用マイクロ波加熱装置は成形物の出し入れが容易となる機構や、出し入れ時のチャンバー開閉時にマイクロ波が漏洩しない機構、さらに、チャンバー開閉時に炉内温度があまり下がらないように係留できる機構が求められていた。
本発明第1の構成はマイクロ波加熱装置内の被焼成体の周りに設置する発熱体において、発熱体が被焼成体、発熱体若しくはセンサの温度変化に応じて移動する発熱体移動機構を有することを特徴とする発熱体装置である。
本発明は発熱体装置を備えたことを特徴とするマイクロ波加熱装置である。
本発明は発熱体装置が、被焼成体の形状及び量に応じて、設置位置を変更できる設置位置機構を有することを特徴とする発熱体装置である。
具体的には被焼成体の形状及び量に応じて発熱体で囲われた空間の大きさを拡大縮小できる様に設置位置を変更できるものである。被焼成体の形状及び量とは、1本の単冠を焼成する場合や、フルマウスや一度に多数の単冠を焼成する場合などがある。
本発明の第2の構成は発熱体と被焼成体において、
400℃以下の低温域で該発熱体がマイクロ波を効率よく吸収するピーク波長を含むマイクロ波発生器と、600〜1400℃の高温域で該被焼成体がマイクロ波を効率よく吸収するピーク波長を含むマイクロ波発生器とを備えたことを特徴とするマイクロ波加熱装置である。
本発明の第2の好ましい構成はマイクロ波加熱装置において、少なくとも400℃以下の低温域では発熱体の吸収ピーク波長のマイクロ波照射をおこない、少なくとも600〜1400℃の高温域では被焼成体の吸収ピーク波長のマイクロ波照射をおこなうことを特徴とするマイクロ波加熱装置である。
本発明は低温域での加熱に使用する低温域用マイクロ波発生器と、高温域での加熱に使用する高温域用マイクロ波発生器とを備え、マイクロ波吸収率が低い被焼成体を加熱する為にマイクロ波加熱装置内の被焼成体の周りに設置する発熱体を備えたマイクロ波加熱装置において、低温域のマイクロ波の低温域波長F0と高温域のマイクロ波の高温域波長F1の関係が、低温域での発熱体の透過率をA%とし、高温域での発熱体の透過率をB%としたとき、
を満たし、低温域波長F0が高温域波長F1より長いことを特長とするマイクロ波加熱装置である。
本発明はマイクロ波加熱装置において、低温域での透過率Aが40%以下であり、高温域での透過率Bが60%以上である発熱体を用いることを特長とするマイクロ波加熱装置である。
本発明は被焼成体の受け台のマイクロ波吸収率が60%以上であり、誘電力率と誘電率の積である損失係数が1以上である材料を用いることを特徴とするマイクロ波加熱装置。
本発明のマイクロ波加熱装置は、低温域でのマイクロ波による発熱体の加熱により被焼成体が加温され、高温域でのマイクロ波による被焼成体の加熱により焼成をおこなうため、高温域での被焼成体内部の温度勾配が少なく焼成体の加熱が容易となる。
また、高温域での被焼成体の加熱時に、マイクロ波加熱装置内部の発熱体が発熱体移動機構により設置位置を移動させることにより、被焼成体に直接マイクロ波が照射する様になり、焼結体は効率よくマイクロ波を吸収し、マイクロ波加熱装置のエネルギー効率が良くなる。
また、高温域における被焼成体の加熱時に、マイクロ波の波長を長くすることにより、マイクロ波加熱装置内部に設置してある発熱体をマイクロ波が透過し、前記発熱体移動機構を持たない場合でも、本発明を達成することができる。
本発明の第1の構成について以下に説明する。
マイクロ波吸収率が低い被焼成体とは、マイクロ波加熱装置で焼成させる被焼成体のことであり、具体的にはセラミックスのことである。好ましくはシリカ、アルミナ主成分の材料であり、具体的には歯科用陶材及び歯科用セラミックスコア材料である。
発熱体とはマイクロ波加熱装置が発生するマイクロ波を受けて、発熱し間接的に被焼成体を加熱するものであればよく、好ましくは二酸化マンガンおよびシリコンカーバイトである、さらに好ましくは二酸化マンガンである。発熱体は板状であることが好ましく、更に角板状又は楕円板状であることが好ましい。発熱体の厚みは1〜13mm、長軸長さは40〜100mm、短軸長さは30〜60mmであることが好ましい。
被焼成体の高温に応じた最適周波数は100GHz以上であるが、コストなどを考慮した場合は1〜3GHzである。
センサとは焼成体の周りの温度を検知するものであればよく、好ましくは熱電対および放射温度計であり、さらに好ましくは放射温度計である。発熱体移動機構がセンサを兼用することができる。
発熱体移動機構とは、発熱体をセンサにより発熱体に放射されたマイクロ波を直接被焼成体に照射できるように移動させる機構であればよい。たとえば、所定の温度により形状が変化するバイメタルや形状記憶合金を使用した機構や、一定温で融解する金属ピンを止め材として用いて、所定の温度になると該金属ピンが溶解し発熱体が移動する機構などがある。発熱体移動機構にバイメタルや形状記憶合金を用いた場合は移動のきっかけとなる温度センサとして、これらのバイメタルや形状記憶合金が用いることが好ましい。
一定温で融解する金属ピンを止め材として用いる場合の具体的な例として、発熱体をヒンジを解して固定されており、650℃で溶解する金属ピンにより、被焼成体の周りに配置され、発熱体が650℃に達したときに金属ピンが融解し、発熱体がヒンジに沿って、倒れることにより、被焼成体に直接マイクロ波が放射される機構である。
発熱体装置とはマイクロ波加熱装置に設置する発熱体移動機構と発熱体を構成要素として有する装置であり、具体的には前記した発熱体移動機構に発熱体が設置されたものである。
また、発熱体装置が、被焼成体の形状及び量に応じて、設置位置を変更できる設置位置機構を有することが好ましい。被焼成体の形状及び量に応じて、焼成条件を変更する必要があり、被焼成体と発熱体の位置を調整することで焼成条件を変更できるからである。好ましい設置位置機構は、支柱の先端に発熱体を固定し、その支柱を円盤状の台座に設けられた孔に差し込むことにより固定される機構において、台座に設けられた差込孔を変えることにより、設置位置を変更することができる機構であることが好ましい。発熱体固定治具を設置するための取り付け穴が、被焼成体の設置位置を中心として同心円状に設けられた機構を有し、取り付け時に設置穴を選択する機構であることが好ましい。
また、上記機構において、設置穴が長円であり発熱体固定治具を長円の溝を滑らして位置を移動する機構でもよい。
本発明の第2の構成について以下に説明する。
発熱体の400℃以下の低温域で放射するマイクロ波の最適周波数は1〜30GHzであり、好ましくは3〜15GHzである。
発熱体の600〜1400℃の高温域で放射する吸収ピーク波長のマイクロ波の最適周波数は0.5〜9GHz、好ましくは1.5〜4.5GHzである。
マイクロ波の発生方法において、低温域では発熱体の吸収ピーク波長のマイクロ波照射をおこない、高温域では被焼成体の吸収ピーク波長のマイクロ波照射をおこなうことが好ましい。
さらに好ましくは、低温域では発熱体の吸収ピーク波長のマイクロ波照射をおこない、高温域では被焼成体の吸収ピーク波長と発熱体の吸収ピーク波長のマイクロ波照射とをおこなうことが好ましい。
低温域での加熱に使用する低温域用マイクロ波発生器と、高温域での加熱に使用する高温域用マイクロ波発生器とを備えたマイクロ波加熱装置において、
低温域のマイクロ波は発熱体に吸収され、高温域のマイクロ波では該発熱体を透過する発熱体を用いることが良い。低温域のマイクロ波長F0と高温域のマイクロ波長F1の関係は、低温域での発熱体の透過率をA%とし、高温域での発熱体の透過率をB%としたとき、
であることが良く、さらに低温域のマイクロ波F0が高温域のマイクロ波F1の波長より長いことが好ましい。
発熱体の低温に応じた透過率は、発熱体がマイクロ波を吸収し発熱する透過率であれば良い。好ましくは40%以下である。さらに好ましくは30%以下である。
発熱体の高温に応じた透過率は、マイクロ波が発熱体を透過し、透過したマイクロ波が被焼成体に照射して該マイクロ波を吸収し被焼成体が発熱する透過率であれば良い。好ましくは60%以上である。さらに好ましくは70%以上である。
最適な発熱体の透過率は、発熱体の性質における比誘電率及び損失角、及び発熱体の厚さ、及びマイクロ波の周波数により決定される。
例えば、低温に応じた透過率が40%以下であり、高温に応じた透過率が60%以上である場合の低温に応じたマイクロ波F0の最適値は1〜16GHzであり、高温に応じたマイクロ波F1の値は0.55〜8.9GHzとなり、二酸化マンガンでは厚さが1.5〜25.4mm、シリコンカーバイトでは厚さが1.2〜19.7mmである。
また、低温に応じた透過率が30%以下であり、高温に応じた透過率が70%以上である場合の低温に応じたマイクロ波F0の最適値は2〜30GHzであり、高温に応じたマイクロ波F1の値は0.55〜8.9GHzとなり、二酸化マンガンでは厚さが1.1〜16.6mm、シリコンカーバイトでは厚さが0.8〜12.9mmである。
好ましい範囲として、低温に応じた透過率が40%以下であり、高温に応じた透過率が60%以上である場合の低温に応じたマイクロ波F0の最適値は3〜8GHzであり、高温に応じたマイクロ波F1の値は1.5〜4.5GHzとなり、二酸化マンガンでは厚さが3.2〜8.4mm、シリコンカーバイトでは厚さが2.4〜6.6mmであり、
また、低温に応じた透過率が30%以下であり、高温に応じた透過率が70%以上である場合の低温に応じたマイクロ波F0の最適値は5〜15GHzであり、高温に応じたマイクロ波F1の値は1.5〜4.5GHzとなり、二酸化マンガンでは厚さが2.2〜6.7mm、シリコンカーバイトでは厚さが1.7〜5.2mmである。
マイクロ波加熱装置内に焼成材料を設置する受け台とは、発熱体に囲まれた位置に焼成材料を設置する台である。被焼成体の受け台のマイクロ波吸収率が60%以上であり誘電力率と誘電率の積である損失係数が1以上である材料であり、好ましくは二酸化マンガンおよびシリコンカーバイトである、さらに好ましくは二酸化マンガンである。
上記してきた二酸化マンガンやシリコンカーバイトとの表現は主成分が二酸化マンガンやシリコンカーバイトであることを意味し、それのみで構成されるという意味ではない為、これらを硬化させる為の助剤などを用いることは好ましい。
以下、本発明の実施形態を図例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明に係るマイクロ波加熱装置の実施形態を示したものである。
この実施形態のマイクロ波加熱装置はマイクロ波による加熱によって被焼成体を焼成するものであって、装置内部で発生したマイクロ波を遮断し外部に漏洩しないためのシールドボックス11を有し、該シールドボックス内部に設置された焼成炉である真空チャンバー3と、マイクロ波発生手段としてのマグネトロン1と、マイクロ波を真空チャンバーに導くための導波管2と、マイクロ波透過性がよく尚且つ耐熱性素材でできた耐熱室4、可動式の発熱体であるサセプター6、該サセプターを設置するためのサセプター設置テーブル12、被焼成体を保持するための受け皿7、さらに、シールドボックス11の外部にチャンバー内を真空にするための真空ポンプ8と、該受け皿に設置された被焼成体を容易に取り出すため昇降モーター9などで構成される。
シールドボックス11内には、複数の周波数のマイクロ波を発生するマイクロ波発生器であるマグネトロン1が設置されており、発生したマイクロ波は導波管2を通り真空チャンバー3に導かれる。該真空チャンバー3には内部に耐熱室4が設けられ、該耐熱室4の内部には発熱体であるサセプター6が被焼成体を囲む形で複数設置されており、真空チャンバー3に導かれたマイクロ波は耐熱室4を透過してサセプター6に照射され、該サセプター6は発熱を開始し、該耐熱室4内部を加熱し、自己加熱するのに十分な温度に達するまで加熱し続ける。
耐熱室4の内部温度が自己加熱するのに十分な温度に達すると、移動手段を備えたサセプター6は移動を開始し、被焼成体に対してマイクロ波を遮断しない位置に移動し、マイクロ波が被焼成体に照射され被焼成体の発熱が開始される。
次に焼成体の誘電率および損失係数に係る焼成過程について説明する。
被焼成体がアルミナ、ジルコニアなどのセラミックスの場合、600℃以下の低温域においてはマイクロ波の吸収は少なく、マイクロ波の大半は発熱体であるサセプター6に吸収され熱に変わる。低温域における被焼成体はマイクロ波により高温になったサセプターからの輻射熱により温められ、被焼成体の温度が600℃付近を超えるとアルミナ、ジルコニアなどにおいては誘電率および損失係数が急激に上昇し、被焼成体のマイクロ波吸収による加熱が可能となる。600℃付近を超える高温域ではサセプターからの輻射熱による加熱よりも材料の加熱による温度上昇の方が焼成過程における被焼成体の温度勾配が少ないことやエネルギー効率の良さから望ましいとされている。
したがって、本発明のマイクロ波加熱装置の実施形態として、600℃付近までの低温域においては常温での損失係数の大きい材料で構成したサセプター壁で囲まれた空間を備え、該空間内部に設置された被焼成体はサセプター及びサセプターと同材質の受け皿からの輻射によって加熱され、被焼成体の誘電率転移点温度に達した時点でサセプター壁配置が移動することにより、サセプターに吸収されていたマイクロ波エネルギーを被焼成体に向けることが可能となる。
図2、3、4、5にサセプター配置テーブル、サセプター回転機構の例を示す。
図2aはサセプター設置テーブル12の上面図である。図2のようにサセプター設置テーブルには同心円状にサセプターホルダー取り付け穴があけられており、該サセプターホルダー取り付け穴20にサセプターホルダーの軸を貫通しサセプターホルダーを設置する。図3はサセプター設置テーブルにサセプターホルダーを設置した側面図である。サセプターホルダーにはサセプター6が差し込めるような溝が設けられている。
さらに、図2bのようにサセプターを装着するホルダーを選択することによりサセプターで囲まれた範囲を調整することが可能となる。
また、サセプターホルダーの一部または全部は回転できる構造になっており被焼成体が一定温度に達すると側壁部分のサセプターは回転して側壁部分を構成する
サセプター間の隙間を大きくし被焼成体に照射されるマイクロ波のエネルギーを増大させることができる。図5にサセプターの移動前後の簡略図を示す。
サセプターホルダーの可動方法として、図4に示すようにサセプターホルダー下部の円盤21に取り付けられたバネの伸縮長を変更することで任意の回転角度に設定する方法や、
図6のようにサセプターホルダー下部の円盤部分をギアとして、各ギアと連動する大形ギア22によって個々のサセプターホルダーを任意の角度に回転させることができる。大形ギア22は温度センサからの信号によってモーターまたはソレノイドなどで駆動され所定の角度までサセプターホルダーを回転させる。
被焼成体の上部に設置されたサセプターは、図7のように半割りになった円盤状の天井部分のそれぞれがバイメタル5などでできた蝶番で耐熱室4とつながっており、前記サセプターホルダーに設置されたサセプターと同様に被焼成体の転移点温度において上方に開くことができる。このようにより被焼成体の誘電率転移点温度においてサセプターを動かすことによってマイクロ波のエネルギー吸収をサセプターから被焼成体へ移すことができる。
また、サセプター移動手段を使用しない方法として、マイクロ波周波数切り替え方式がある。サセプターの減衰率はマイクロ波の周波数に依存するため、低温域および高温域においてマイクロ波の周波数を切り替えることにより、サセプターと被焼成体のマイクロ波吸収比率をコントロールすることが可能となる。この方式の場合は低温高温切り替えのための温度センサが必要となる。
マイクロ波の誘電体中の減衰は電波の入射エネルギーが半減する深さをD0とすると、
で表される。ここでεは材料の比誘電率、tanδは損失角、fはマイクロ波の周波数で、Kは3.32×10である。したがってマイクロ波の周波数を切り替えることによりサセプターのマイクロ波透過率をコントロールすることも可能となる。
低温域ではサセプターに大半のエネルギーが吸収されるような周波数にマイクロ波を設定しておき、高温域においてはサセプターの透過率をあげて被焼成体への照射エネルギーが大きくなるように設定すれば外部輻射によるものと加熱によるものとの比率を変えることが可能になる。
この方法は、周波数の異なるマイクロ波発生器を複数搭載することでも良い。
さらに詳細に説明すると、600℃以下の低温域では被焼成体の周りを取り囲んだ発熱体に対し、マイクロ波吸収の良い波長を照射することにより発熱体が加熱し輻射熱により被焼成体が加熱される。加熱された被焼成体の温度が600℃付近を超える高温域では、該発熱体に対しては大半が透過し被焼成体に対しては吸収する波長のマイクロ波を照射することにより、効率の良い焼成が可能となる。高温域でのマイクロ波の照射は高温域用のマイクロ波だけでなく、低温域用のマイクロ波を同時に照射することにより、さらに効率の良い焼成が可能となる。
マイクロ波の周波数と発熱体の厚さについて説明する。
発熱体に照射されたマイクロ波がA%透過する発熱体の厚さをDとすると、

で表される。ここでεは発熱体材料の比誘電率、tanδは損失角、fはマイクロ波の周波数でKは3.32×10である。
ここで、二酸化マンガンを発熱体の材料としたとき、比誘電率εは300となり、損失角tanδは0.1となる。高温域用のマイクロ波の周波数を産業界で最も使用されている2.45GHz付近の周波数を選択し、低温に応じた透過率が30%以下であり、高温に応じた透過率を70%以上とした場合の低温に応じたマイクロ波の最適周波数は8.5GHzとなり、発熱体の厚さは4mmとした。
また、シリコンカーバイトを発熱体の材料としたとき、比誘電率εは20となり、損失角tanδは0.5となる。高温域用のマイクロ波の周波数を産業界で最も使用されている2.45GHz付近の周波数を選択し、低温に応じた透過率が30%以下であり、高温に応じた透過率を70%以上とした場合の低温に応じたマイクロ波の最適周波数は8.5GHzとなり、発熱体の厚さは3mmとした。
歯科用のポーセレンファーネスでは何層もの築盛焼成を行う必要があるため、被焼成体の置かれたテーブルが上下し炉内から被焼成体を自動的に出し入れする機構が必要となる。しかし、出し入れ時に炉内温度が低下する問題がある。被焼成体を収容後に焼成温度の1000℃近辺まで短時間で昇温するため、炉内の温度は比較的高温に保持する必要がある。
本発明のマイクロ波加熱装置は出し入れ時の温度低下を防ぐため、取り出す際にシャッターが開くと同時に自動的にマイクロ波がオフになる機構と、テーブルが下がり被焼成体が外部に取り出されると同時に金属製のシャッターが閉じ電波をシールドし、温度を保持できる機構を備えていることが好ましい。
本発明は効率的なセラミックス焼成に活用することができる。
マイクロ波加熱装置の断面図 サセプター設置テーブルにおけるサセプター設置位置機構の上面図 サセプターホルダーの側面図 サセプターホルダーにおけるサセプター移動機構の上面図 上面から見たサセプターの移動経過説明用簡略図 側面から見た上方設置サセプターの移動経過説明用簡略図 上部サセプター開閉機構説明図
符号の説明
1 マグネトロン
2 導波管
3 真空チャンバー
4 耐熱室
5 バイメタル
6 サセプター
7 受け皿
8 真空ポンプ
9 昇降モーター
10 シャッター
11 シールドボックス
12 サセプター設置テーブル
13 サセプターホルダー

Claims (3)

  1. 低温域でのマイクロ波による発熱体の加熱により被焼成体が加温され、高温域でのマイクロ波による被焼成体の加熱により焼成をおこなうマイクロ波加熱装置であって、
    被焼成体を設置する受け台と、
    被焼成体の周りに設置する発熱体と
    被焼成体、発熱体若しくはセンサの温度変化に応じて発熱体が移動する発熱体移動機構と有し、
    高温域での被焼成体の加熱時に、マイクロ波加熱装置内部の発熱体が発熱体移動機構により設置位置を移動させることにより、被焼成体に直接マイクロ波が照射するマイクロ波加熱装置。
  2. 請求項1記載のマイクロ波加熱装置であって、
    被焼成体はセラミックスおよび陶材であり、
    発熱体は二酸化マンガンおよびシリコンカーバイトであるマイクロ波加熱装置。
  3. 請求項1記載のマイクロ波加熱装置であって、
    600〜1400℃の高温域での被焼成体の加熱時に、マイクロ波加熱装置内部の発熱体が発熱体移動機構により設置位置を移動させることにより、被焼成体に直接マイクロ波が照射するマイクロ波加熱装置。
JP2006310053A 2006-11-16 2006-11-16 セラミックス用マイクロ波加熱装置及びその発熱体 Expired - Fee Related JP5048998B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006310053A JP5048998B2 (ja) 2006-11-16 2006-11-16 セラミックス用マイクロ波加熱装置及びその発熱体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006310053A JP5048998B2 (ja) 2006-11-16 2006-11-16 セラミックス用マイクロ波加熱装置及びその発熱体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008128491A JP2008128491A (ja) 2008-06-05
JP5048998B2 true JP5048998B2 (ja) 2012-10-17

Family

ID=39554503

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006310053A Expired - Fee Related JP5048998B2 (ja) 2006-11-16 2006-11-16 セラミックス用マイクロ波加熱装置及びその発熱体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5048998B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008035235B4 (de) * 2008-07-29 2014-05-22 Ivoclar Vivadent Ag Vorrichtung zur Erwärmung von Formteilen, insbesondere dentalkeramischen Formteilen
JP5685810B2 (ja) * 2009-12-22 2015-03-18 東ソー株式会社 透明導電膜用焼結体の原料粉末
EP2407122B1 (de) * 2010-07-16 2016-07-06 Ivoclar Vivadent AG Mikrowellenofen mit Drehteller
EP2550928B1 (de) * 2011-07-25 2017-03-01 Ivoclar Vivadent AG Dentalofen mit einemTrocknungssensor
WO2017106183A2 (en) * 2015-12-16 2017-06-22 3M Innovative Properties Company A microwave furnace and a method of sintering
JP2024068670A (ja) * 2022-11-09 2024-05-21 シャープ株式会社 装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0195227A (ja) * 1987-10-02 1989-04-13 Sharp Corp 電子レンジ用発熱体
JP2928605B2 (ja) * 1990-08-06 1999-08-03 株式会社豊田中央研究所 セラミックスの焼結方法
JPH07318262A (ja) * 1994-05-26 1995-12-08 Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd マイクロ波焼成炉及び焼成釜
JP4154606B2 (ja) * 2003-02-06 2008-09-24 松下電器産業株式会社 マイクロ波焼成炉
JP4005049B2 (ja) * 2004-04-16 2007-11-07 松下電器産業株式会社 マイクロ波焼成炉

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008128491A (ja) 2008-06-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5048998B2 (ja) セラミックス用マイクロ波加熱装置及びその発熱体
JP5468558B2 (ja) 歯科用焼結炉及びセラミック歯科要素の焼結方法
US6344634B2 (en) Hybrid method for firing of ceramics
JP5162056B2 (ja) 特に歯科セラミック成形部材等の成形部材を加熱する装置
JPH0849983A (ja) セラミックスの処理方法と処理装置
JP5162057B2 (ja) 特に歯科セラミック成形部材等の成形部材を加熱する装置
US10948235B2 (en) Sintering furnace for components made of sintered material, in particular, dental components
EP3390944B1 (en) A microwave furnace and a method of sintering
JP2010025452A (ja) セラミックスの緻密化方法およびそのための装置
JP2003519071A (ja) セラミックを焼成するためのハイブリッド方法
US20130213955A1 (en) Apparatus For Heating Moldings
US6344635B2 (en) Hybrid method for firing of ceramics
JP4005049B2 (ja) マイクロ波焼成炉
RU2766304C2 (ru) Зуботехническая печь для обжига
US7223950B2 (en) Microwave burning furnace including heating element having two types of materials
JPH07318262A (ja) マイクロ波焼成炉及び焼成釜
JP2007113873A (ja) マイクロ波加熱炉
KR101918606B1 (ko) 마이크로파에 의해 가열되는 급속 하이브리드 발열체
JP2005145735A (ja) 石英ガラスの製造方法およびその方法により製造した石英ガラス
JP2004218016A (ja) 金属部材の加熱方法
ITMI20131031A1 (it) Apparato e metodo per la cottura e/o sinterizzazione di materiali mediante microonde

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120106

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120713

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120720

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150727

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5048998

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees