JP5685371B2 - リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法 - Google Patents

リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法 Download PDF

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Description

[0002] 本発明は、リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法に関する。
[0003] 例えば、集積回路(IC)の製造などにリソグラフィ装置を使用することができる。その場合、マスクは、ICの個々のレイヤに対応する回路パターンを含むことができ、このパターンを放射感応性材料(レジスト)のレイヤでコーティングされた基板(シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に結像することができる。一般に、1つのウェーハは、投影システムを介して一度に1つずつ連続的に照射される隣接するターゲット部分のネットワーク全体を含む。あるタイプのリソグラフィ投影装置では、マスクパターン全体をターゲット部分上に一度に露光することで各ターゲット部分が照射される。上記装置は、一般にウェーハステッパと呼ばれる。ステップアンドスキャン装置と一般に呼ばれる別の装置では、投影ビームが当たったマスクパターンを所与の基準方向(「スキャン」方向)に漸進的にスキャンしながら、これに同期してこの方向に平行又は逆平行に基板テーブルをスキャンすることで各ターゲット部分が照射される。一般に、投影システムは、倍率係数M(一般に、<1)を有するので、基板テーブルがスキャンされる速度Vは、係数Mにマスクテーブルのスキャン回数を乗じた値になる。本明細書に記載するリソグラフィデバイスに関する詳細情報は、例えば、本明細書に参照により組み込むものとする米国特許第6,046,792号から入手することができる。
[0004] リソグラフィ投影装置を用いた製造プロセスでは、放射感応性材料(レジスト)のレイヤで少なくとも部分的に覆われた基板上にマスクパターンが結像される。この結像ステップに先立って、プライミング、レジストコーティング、及びソフトベークなどの種々の手順を基板に対して行うことができる。露光後に、基板に対して、結像されたフィーチャの露光後ベーク(PEB)、現像、ハードベーク及び測定/検査などの他の手順を実行することができる。この一連の手順は、デバイス、例えば、ICの個々のレイヤにパターン形成する基礎として使用される。そのようなパターン形成されたレイヤについて、次に、個々のレイヤを完成させるためのエッチング、イオン注入(ドーピング)、金属化、酸化、化学的機械的研磨などの種々のプロセスを行うことができる。幾つかのレイヤが必要な場合、手順全体、又はその変形手順を新しいレイヤごとに繰り返す必要がある。最後に、デバイスのアレイが基板(ウェーハ)上に形成される。これらのデバイスは、次に、ダイシング又はのこ引きなどの技術によって互いに分離され、それによって個々のデバイスをピンなどに接続されたキャリア上に実現することができる。
[0005] 話を分かりやすくするため、以下、投影システムを「レンズ」と呼ぶことがある。しかし、この用語は、例えば、屈折光学系、反射光学系、及び反射屈折光学系を含む各種投影システムを含むものと広義に解釈すべきである。放射システムも、放射投影ビームを誘導し、整形し、又は制御する任意のこれらの設計タイプに従って動作するコンポーネントを含むことができ、そのようなコンポーネントも、以下に集合的又は単独で「レンズ」と呼ぶことがある。さらに、リソグラフィ装置は、2つ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプであってもよい。そのような「マルチステージ」デバイスでは、追加のテーブルを平行して使用するか、又は1つ又は複数の他のテーブル上で準備ステップを実行しながら1つ又は複数の他のテーブルを露光に使用することができる。例えば、本明細書に参照により組み込むものとする米国特許第5,969,441号には、ツインステージリソグラフィ装置が記載されている。
[0006] 上記フォトリソグラフィマスクは、シリコンウェーハ上に集積する回路コンポーネントに対応する幾何学パターンを含む。そのようなマスクを作成するためのパターンは、このプロセスが多くの場合EDA(電子設計オートメーション)と呼ばれるCAD(コンピュータ支援設計)プログラムを用いて生成される。大半のCADプログラムは、機能マスクを作成するために一組の所定のデザインルールに従う。これらのルールは、処理及び設計の制限によって設定される。例えば、デザインルールは、回路デバイス(ゲート、コンデンサなど)又は相互接続線間の空間許容範囲を定義して、回路デバイス又は線が好ましくない形で相互動作しないようにする。デザインルールの限界は、「クリティカルディメンション」(CD:Critical Dimension)とも呼ばれる。回路のクリティカルディメンションは、線若しくは穴の最小幅又は2本の線若しくは2つの穴の間の最小空間として定義することができる。それ故、CDは、設計された回路の全体のサイズと密度とを決定する。集積回路の製作の目標の1つが元の回路設計をウェーハ上に(マスクを介して)忠実に再現することであるのは当然である。
[0007] 上記の通り、マイクロリソグラフィは半導体集積回路の製造の中心的ステップであり、半導体ウェーハ基板上に形成されたパターンによってマイクロプロセッサ、メモリチップなどの半導体デバイスの機能要素が画定される。フラットパネルディスプレイ、MEMS(micro-electro mechanical system)、その他のデバイスの形成にも同様のリソグラフィ技術が使用される。
[0008] 半導体製造プロセスが進歩し続けるにつれて、回路素子の寸法は絶え間なく縮小され、デバイスあたりのトランジスタなどの機能要素の数量は、「ムーアの法則」と一般に呼ばれるトレンドに従って、数十年間にわたり着実に増え続けてきた。現在の技術状態では、深紫外線レーザ光源からの照明を使用して基板上にマスクイメージを投影し、100nmを十分下回る寸法、すなわち、投影光の波長の半分未満の寸法を有する個々の回路フィーチャを作成するスキャナとして知られる光リソグラフィ投影システムを使用して最先端デバイスのクリティカルレイヤが製造される。
[0009] 光学投影システムの伝統的な解像限界より小さい寸法のフィーチャがプリントされるこのプロセスは、解像式CD=k1×λ/NAにより、一般にLow-k1リソグラフィとして知られており、式中、λは使用する放射線の波長(現在、大半のケースでは248nm又は193nm)であり、NAは投影光学系の開口数であり、CDは一般に最小プリントフィーチャサイズである「クリティカルディメンション」であり、k1は実験的解像因子である。一般に、特定の電気的機能性及び性能を達成するために回路設計者が計画した形状及び寸法に似ているパターンをウェーハ上に再現することは、k1が小さいほど困難になる。このような困難を克服するために、投影システム並びにマスク設計に精巧な微調整ステップが適用される。このステップとしては、例えば、NA及び光コヒーレンスの設定の最適化、カスタマイズした照明方式、位相シフトマスクの使用、マスクレイアウトの光近接効果補正、又は一般に「超解像技術」(RET:Resolution Enhancement Techniques)として定義されるその他の方法を含むが、これらに限定されない。
[0010] 重要な例の1つとして、光近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction、時には「光学及びプロセス補正(optical and process correction)」とも呼ばれる)は、ウェーハ上にプリントされたフィーチャの最終的なサイズ及び配置が単にマスク上の対応するフィーチャのサイズ及び配置の関数になるわけではないことに対処するものである。本明細書では「マスク」と「レチクル」という用語が区別なく使用されることは注目に値する。典型的な回路設計上に小さいフィーチャサイズ及び高いフィーチャ密度が存在する場合、所与のフィーチャの特定のエッジの位置は、他の隣接するフィーチャの有無によってある程度影響を受ける。このような近接効果はフィーチャ間で結合されるわずかな量の光から発生する。同様に、一般にリソグラフィ露光に続く露光後ベーク(PEB)、レジスト現像、及びエッチング中の拡散及びその他の化学効果から近接効果が発生する場合もある。
[0011] 所与のターゲット回路設計の要件に応じて半導体基板上にフィーチャが生成されることを保証するために、精巧な数値モデルを使用して近接効果を予測する必要があり、ハイエンドデバイスの正常な製造が可能になる前にマスクの設計に補正又は予歪を適用する必要がある。"Full-Chip Lithography Simulation and Design Analysis − How OPC Is Changing IC Design", C. Spence, Proc. SPIE, Vo.5751, pp1-14 (2005)という論文には、現在の「モデルベース」光近接効果補正プロセスの概要が示されている。典型的なハイエンド設計では、ターゲット設計に十分匹敵するプリントパターンを達成するために、ほとんどすべてのフィーチャエッジで何らかの変更が必要である。このような変更としては、エッジ位置又は線幅のシフト又はバイアス並びにそれ自体をプリントするためのものではない「アシスト」フィーチャの適用を含むことができるが、関連の主要フィーチャの特性に影響するであろう。
[0012] 典型的にチップ設計内に数百万個のフィーチャが存在する場合、ターゲット設計にモデルベースのOPCを適用するには、良好なプロセスモデルと相当な計算資源が必要である。しかし、OPCの適用は、一般に、「精密科学(exact science)」ではないが、レイアウト上で発生する可能性のあるすべての弱点を必ず解決するわけではない実験的な反復過程である。従って、OPC後の設計、すなわち、OPC及び任意の他のRETによるすべてのパターン変更の適用後のマスクレイアウトは、設計欠陥がマスクセットの製造に組み込まれる可能性を最小限にするために、設計検査、すなわち、較正された数値プロセスモデルを使用する徹底的なフルチップシミュレーションによって検証する必要がある。これは、数百万ドルの範囲で行われるハイエンドマスクセット作成に要する膨大なコスト並びに製造された後で実際のマスクを再加工又は修理することによるターンアラウンドタイムへの影響によって余儀なくされる。
[0013] OPC及びフルチップRET検証はいずれも、例えば、米国特許出願第10/815,573号及び"Optimized Hardware and Software For Fast, Full Chip Simulation", Y. Cao et al., Proc. SPIE, Vol.5754, 405 (2005) という論文に記載されている数値モデリングシステム及び方法に基づくことができる。
[0014] リソグラフィモデリングにスキャナ情報を取り入れることの重要性は、OPC(光近接効果補正)などの設計適用例の場合、ますます重要になっていると認識されている。この使用法を可能にするために、例えば、Nikonでは、いわゆる「スキャナシグネチャファイル(scanner signature file)」を介してスキャナ情報(ストークスベクトル(Stokes vector)、ジョーンズ瞳(Jones pupil)、MSDなど)を配布する。"An intelligent imaging system for ArF scanner," Proc. SPIE Vol.6924, 69241S (2008年3月12日)を参照されたい。
[0015] ストークスベクトル及びジョーンズ瞳などのスキャナデータは、スキャナ光学系のアスペクトを記述するものであるが、結像シミュレーションで使用するために正しく解釈し変換する必要がある。このような解釈には、その表現で使用するデータフォーマット及び規約の詳細な記述が必要である。必要な正確さを達成するために、このようなデータを取り入れるときに数値アルゴリズムに対して余分な注意を払う必要がある。これには、スキャナベンダとOPCベンダの間で大量な知識移転を行う必要がある。このプロセスは、誤りを犯しやすく、モデルの正確さの継続的改善を妨げるものである。
[0016] その上、スキャナデータは、スキャナ及びサブシステムベンダが非常に独自のものと見なす、光学サブシステムに関するデータ(例えば、ジョーンズ瞳)など、スキャナ設計に関する機密情報を含む場合もある。
[0017] OPC及びリソグラフィシミュレーションがより複雑になるにつれて、絶えず較正及び更新が必要なもっと多くのスキャナサブシステムのモデルを取り入れる必要がある。これは深刻かつ厄介なデータ管理問題になる。
[0018] その上、コンピュータリソグラフィ(CL:computational lithography)が一般に半導体製造プロセスにおいてますます重要なコンポーネントになるにつれて、正確さの要件は絶えずより厳格なものになり、一般に、設計から製造へのチェーンに沿った広範囲のエンティティにとって正確なリソモデルが使用可能になることが強く要求されている。正確なスキャナデータと物理モデルによって、CLモデルの光学部分の正確さが大幅に強化されるが、対応するサブシステムの機能性を徹底的に理解することが要求され、従って、通常は非常に狭い所期のユーザベースの範囲外で使用するには容易なものではない。さらに、このようなモデル又はデータは、不必要な詳細レベルを露出するだけでなく、独自のものであって、従って、広く使用可能にすることができない情報も露出する可能性がある。使いやすさ、独自データの暗号化又はカプセル化、及び統合しやすさという幾つかの重要な要件は上記の状況から発生するものである。種々のレベルの設計データフローで広範囲のサードパーティアプリケーションに統合しやすくするには、デートインターフェイスの数を制限するための特定のレベルの事前統合が必要になり、そのインターフェイスで提示されたデータに関する実現しやすい用法プロトコル並びにテスト又は認定しやすさによってインターフェイス定義が可能になる。
[0019] 上述の懸念があるので、モデルの正確さを改善するためにスキャナデータを使用可能にするという目標は、モデルの品質を実際に保証する手段がないベストエフォートにすぎなければ、本質的に虚しいものになるであろう。従って、本発明は、実際のモデリングの大部分、すなわち、TCCを計算するための複数の数値積分法にそのプロセスを埋め込むことにより、前述のプロセスを越えるプロセスを提供する。本発明のために、空間像シミュレーションのためにTCCを効率よくしかも十分正確に適用する、より複雑なアルゴリズム及び/又は独自アルゴリズムを含む種々のアルゴリズムが企図されている。スキャナデータだけでなく、VSPによる独自TCC生成アルゴリズムも保護される。その結果、認定/受け入れテスト並びに業界全体にわたって一貫した結果を保証することと同じように、使用法並びにサードパーティツールに対して可能な統合は非常に容易になる。これは、異なるTCC生成アルゴリズムが同じスキャナデータに適用されるとすぐに、その結果が直ちに異なるものになることが保証され、広範な適用が極めて扱いにくいものになる可能性を克服するものである。
本発明の一態様によれば、リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法であって、リソグラフィ装置の特性に関するデータを保護すること、保護データを表す数学モデルを生成すること、シミュレーションプロセスに対して隠された保護データを保持しながらシミュレーションプロセスに数学モデルを提供することを含む方法が提供される。本発明の他の一態様によれば、リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法であって、リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするためのモデルを生成すること、リソグラフィプロセスの複数のアスペクトに関する情報をモデルに入力すること、モデルを使用して、変換情報のみの場合にその逆が不確定になる変換によりその情報を変換情報に変換することを含み、そのモデルにより、その変換情報及びリソグラフィプロセスの他のアスペクトに関する追加情報に基づいてシミュレートされたアスペクトを入手できるようにする方法が提供される。
[0020] 本発明の諸態様により、スキャナベンダとOPCベンダとの間の懸念を適切に分離することができる。スキャナ光学系の詳細はいずれも、OPCタイププロダクト内のこのようなデータの適用を損なわずに、スキャナベンダの知識及び責任として残存する。カプセル化は、明確な数学的変換、すなわち、TCC計算アルゴリズムを介して達成される。イルミネータの形状及び偏光、ジョーンズ瞳、レーザの帯域幅及び/又は色収差による焦点ボケ(focus blur)、ジョーンズ瞳などの基本光学情報をTCCに容易に取り入れることができる。フィールド又はスリット位置ごとに1つずつ、複数のTCCを提供することにより、スルースリット(through-slit)変動などのフィールド依存効果を捕捉することができる。
[0021] 次に、TCC固有ベクトルによってマスクパターンをたたみ込むことによって、結像シミュレーションを実行することができる。結像シミュレーションにより、OPC及びOPC検証などのRETタイプのアプリケーションでスキャナデータを使用するという正確さの利点が可能になる。瞳プレディクタなどの予測スキャナモデルの追加により、SMO(Source-Mask Optimization ソースマスク最適化)及びモデルベースのスキャナチューニングなどのプロセス設計アプリケーションも可能になる。従って、本発明は、スキャナ設計に関連する機密情報の保護に役に立つと同時に結像シミュレーションのためにスキャナデータへのアクセスを可能にする。その上、本発明は、スキャナのメーカ内で記述、規約、解釈、及び妥当性検査を含む、このようなデータに関連する通信の封じ込めに役に立つ。さらに、特定のタイプのスキャナプロダクトをもっぱら使用するプロダクトを越えるスキャナデータの普及にも役に立つ。
[0022] 本稿では、ICの製造における本発明の使用への特定の言及がなされているかもしれないが、本発明は、多数の他の可能な用途を有することを明確に理解されたい。例えば、磁気ドメインメモリ、液晶表示パネル、薄膜磁気ヘッド用の集積光学系、案内及び検出パターンの製造に採用することができる。当業者であれば、このような別の用途の場合、本明細書で用いる「レチクル」、「ウェーハ」、又は「ダイ」という用語のいかなる使用もより一般的な用語である「マスク」、「基板」及び「ターゲット部分」という用語にそれぞれ置き換えることができることを理解することができるだろう。
[0023] 本明細書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、紫外線(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(極端紫外線、例えば、波長が5〜20nmの範囲)を含むすべてのタイプの電磁放射を含むために使用される。
[0024] 本稿で使用するマスクという用語は、基板のターゲット部分に作成されるパターンに対応するパターン付き断面を入射放射ビームに与えるために使用できる汎用パターニング手段を指すものと広義に解釈することができ、これに関連して「ライトバルブ(light valve)」という用語も使用することができる。典型的なマスク(透過又は反射;バイナリ、位相シフト、ハイブリッドなど)に加えて、他のこのようなパターニング手段の例としては以下のものを含む。
・プログラマブルミラーアレイ。このようなデバイスの一例は、粘弾性制御レイヤと反射面を有するマトリクスアドレッサブル表面である。このような装置の基本原理は、(例えば)反射面のアドレスエリアが回折光として入射光を反射し、非アドレスエリアが非回折光として入射光を反射することである。適切なフィルタを使用すると、反射ビームから前記非回折光をフィルタで除去し、回折光のみを残すことができ、このように、ビームはマトリクスアドレッサブル表面のアドレッシングパターンに応じてパターン付きになる。適切な電子手段を使用して、必要なマトリクスアドレッシングを実行することができる。このようなミラーアレイに関する詳細情報は、例えば、本明細書に参照により組み込むものとする米国特許第5,296,891号及び第5,523,193号から入手することができる。
・プログラマブルLCDアレイ。このような構造の一例は、本明細書に参照により組み込むものとする米国特許第5,229,872号に示されている。
[0025] 以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより、本発明そのものとともに追加の目的及び利点をさらに理解することができる。
[0026] 次に、対応する参照記号が対応する部分を示す添付概略図面に関連して、例としてのみ、本発明の諸実施形態について説明する。
[0027]典型的なリソグラフィ投影システムを示す模範的なブロック図である。 [0028]リソグラフィシミュレーションモデルの機能モジュールを示す模範的なブロック図である。 [0029]図3A、Bは透過クロス係数(TCC:Transmission Cross Coefficient)の図解例である。 [0030]透過クロス係数(TCC)の他の図形表現である。 [0031]本発明の一態様による個々のモデル生成及びモデル使用に関するプロセスフローである。 [0032]本発明の一態様によるリソグラフィモデル較正に関するプロセスフローである。 [0033]本発明の一態様によるリソグラフィプロセス最適化に関するプロセスフローである。 [0034]本発明の一態様により図6からの透過クロス係数データファイルを使用する光近接効果補正に関するプロセスフローである。 [0035]本発明の一態様によるソース及びマスク相互最適化に関するプロセスフローである。 [0036]本発明のシミュレーション方法の実現を支援可能なコンピュータシステムを示すブロック図である。 [0037]本発明の方法による使用に適したリソグラフィ投影装置を概略的に描写する図である。
[0038] 本発明について考察する前に、全体的なシミュレーション及び結像プロセスに関する簡単な考察を行う。図1は、模範的なリソグラフィ投影システム10を示している。主要コンポーネントは、深紫外線エキシマレーザ源にすることができる光源12と、部分コヒーレンス(シグマとして表示)を画定し、特定の光源整形光学系14、16a及び16bを含むことができる照明光学系と、マスク又はレチクル18と、ウェーハ面22上にレチクルパターンのイメージを生成する投影光学系16cである。瞳面のアジャスタブルフィルタ又はアパーチャ20は、最大可能角が投影光学系の開口数NA=sin(Θmax)を画定するウェーハ面22に衝突するビーム角の範囲を制限することができる。
[0039] リソグラフィシミュレーションシステムでは、例えば、図2に示されているように個別の機能モジュールでこれらの主要システムコンポーネントを記述することができる。図2を参照すると、機能モジュールとしては、ターゲット設計を画定する設計レイアウトモジュール26と、結像プロセスで使用するマスクを画定するマスクレイアウトモジュール28と、シミュレーションプロセス中に使用するマスクレイアウトのモデルを画定するマスクモデルモジュール30と、リソグラフィシステムの光学コンポーネントの性能を画定する光学モデルモジュール32と、所与のプロセスで使用するレジストの性能を画定するレジストモデルモジュール34とを含む。既知の通り、シミュレーションプロセスの結果は、例えば、結果モジュール36内に予測輪郭及びCDを生成する。
[0040] より具体的には、NA−シグマ(σ)設定並びに任意の特定の照明源形状(例えば、環状、4極、及び双極などのオフアクシス光源)を含むが、これらに限定されない照明及び投影光学系の特性が光学モデル32で捕捉されることは注目に値する。基板上にコーティングされたフォトレジストレイヤの光学特性、すなわち屈折率、膜厚、伝搬及び偏光効果も光学モデル32の一部として捕捉することができる。マスクモデル30は、レチクルの設計上の特徴を捕捉し、例えば、WO2007/030704に記載されているように、マスクの詳細な物理的性質の表現も含むことができる。最後に、レジストモデル34は、例えば、基板ウェーハ上に形成されたレジストフィーチャの輪郭を予測するために、レジスト露光、PEB及び現像中に行われる化学プロセスの効果を記述する。シミュレーションの目的は、例えば、ターゲット設計と比較可能なエッジ配置及びCDを正確に予測することである。ターゲット設計は、一般に、プレOPC(pre-OPC)マスクレイアウトと定義され、GDSII又はOASISなどの標準化されたデジタルファイルフォーマットで提供される。
[0041] 本発明の一態様では、スキャナデータファイルから透過クロス係数(TCC)を計算するようにソフトウェアモジュール(「仮想スキャナパック(virtual scanner pack)」とも呼ばれる)が構成される。スキャナデータファイルは典型的に、イルミネータ瞳充填(pupil-fill)又はスキャナ照明強度分布、偏光、レンズ収差及びレンズアポダイゼーションなどの情報を含む、スキャナシグネチャファイル又はスキャナシステマティックシグネチャファイルで配布される。このようなスキャナシステマティックシグネチャは、結像ツールの世代/系列間(すなわち、NA0.92対NA1.3というスキャナ世代間)並びにスキャナベンダ間でも著しく変動する可能性がある。しかし、あるメーカによる同じタイプのシグネチャは相互に非常に似通っている。従って、同じスキャナタイプの複数のツールについて測定されたシステマティックシグネチャを平均化すると、典型的に、そのスキャナタイプのシステマティックシグネチャが得られる。
[0042] 代替的に、スキャナサブシステム、例えば、レーザビームデリバリシステム、イルミネータ光学系、回折光学素子(DOE:Diffractive Optical Element)、及び投影レンズの機械タイプ固有の性能データは、これらのサブシステムの厳密なモデルから決定し、一般的なプロセス又はOPCモデルに取り入れることができる。この手法は広範囲の動作条件にわたってツール性能を予測するためのモデルについてより大きい柔軟性を提供することができ、全体的なプロセス性能を改善するためにNA、シグマ、及び照明モードなどの光学設定を最適化することができる。
[0043] スキャナシグネチャファイルとプロセス固有のパラメータ設定に含まれる複合情報は、透過クロス係数(TCC)を使用して記述することができる。次に透過クロス係数(TCC)の数学的公式を示す。以下のスカラモデル形成では、x=(x,y)空間座標、k=(kx,ky)空間周波数、S(k)=S(kx,ky)光源強度分布、P(k’)=P(kx,ky)瞳振幅、M(k’)=M(kx,ky)マスクのフーリエ変換、I(x)=I(x,y)空間像強度という表記を使用する。
[0044] 照明が光軸上の点光源とコヒーレントである場合、以下の式が得られる。
[0045] 照明がコヒーレントであるが、光源点がk0にある(オフアクシス)場合、マスク透過率に対して位相変調exp(ik0・x)を実行する。この位相変調のフーリエ変換はδ(k−k0)になる。従って、オフアクシス点光源変調によるマスクのフーリエ変換はM(k)とδ(k−k0)との畳み込みになり、これはM(k−k0)に等しい。従って、空間強度は以下の式になる。
[0046] アッベの公式(Abbe Formulation)を使用する部分コヒーレンスの場合、光源点は相互にインコヒーレントであり、それ故、それらが空間像に寄与することによって強度が増加する。
[0047] ホプキンスの公式(Hopkins Formulation)を使用する部分コヒーレンスの場合、式(3)を単純に数学的に再構成すると、以下の式が得られる。
[0048] 最後のステップは、k’−k→k’、k”−k→k”という表記の変化を含む。この結果、以下のような透過クロス係数Transmission Cross Coefficients又はTCCの定義が得られる。
これは、光学システムのみに依存し、マスクパターン(もしくはマスク又はレチクルなどのパターニング手段上のパターンのレイアウトのマスクレイアウト)には依存しない。従って、以下の式が得られる。
[0049] 部分コヒーレンスの場合、TCC分解(TCC Decomposition)を求めることができる。式(5)から、TCCがエルミート行列であることは明らかであり、それを対角化し、固有級数展開にすることができる。
但し、λiは固有値(実数)であり、Viは固有ベクトル(複素数)である。これを式(6)に代入すると、以下の式が得られる。
[0050] 式(8)の固有級数展開は、典型的に、計算量を低減するために切り捨てられる。この切り捨ては、通常、固有値の大きさに応じて行われる。固有級数に保持される項数が多いほど、計算量が多くなるという犠牲を払って、より高い正確さが保持される。
[0051] デフォーカスの場合、ウェーハ側の異なる入射角間の光路差から計算された瞳上の位相マップにより、焦点はずれ効果が捕捉される。
[0052] 高いNA効果を有する非近軸スカラモデルは、エネルギー保存を実施するために瞳関数(振幅)上の傾斜ファクタ(obliquity factor)を導入する。傾斜ファクタは、波数ベクトル角(wave vector angle)に依存し、立体角計算のための倍率係数(典型的に、リソグラフィシステムの場合は0.25)を含む。
[0053] 瞳収差はゼルニケ係数を使用して指定することができる。明らかなように、フリンジコード規約(Fringe Code convention)が使用される。
[0054] ベクトル回折及び光源偏光を含むベクトルモデルは、上記の公式に基づいて開発することができる。回折振幅は、光源側波数ベクトル(k)及び偏光(Ex,Ey)と、射出瞳波数ベクトル(k’)及び偏光(TE,TM)の関数として計算される。この場合、光源側開口数が小さいためにz成分(Ez)は取るに足らないので、Ezからの偏光は無視することができる。
[0055] ウェーハ側フィルムスタック及び偏光効果も求めることができる。レジストフィルム内の電界強度(|E2|)分布を計算することができる。このステップは、射出瞳波数ベクトル(k’)及び偏光(TE,TM)を像側偏光(Ex,Ey,Ez)に変換し、そこから電界強度が導出される。
[0056] ベクトル瞳フィルタ及び収差効果も求めることができる。瞳座標におけるユーザ定義のベクトル瞳フィルタマップを指定することができる。瞳フィルタマップの各要素は、ジョーンズ行列として漠然と知られている複素数値行列である。この行列は、振幅変化、位相変化、及び偏光ベクトルの回転を記述する。従来のジョーンズ行列の概念との重要な違いは、物理的偏光デバイスのように、所与の瞳位置に関する2×2の行列がエルミート行列である必要はないことである。エルミート性(Hermiticity)は双線形TCC行列を介してより高いレベルで実施される。
[0057] 液浸の場合、n>1の自由空間媒体に対応するために、ベクトル回折計算とフィルムスタック計算の両方が変更される。
[0058] マスク3D効果の場合、厳密な有限差分時間領域(rigorous finite-difference time-domain)シミュレーションを使用して、EM波に対するマスクのトポグラフィ散乱効果を説明することができる。
[0059] モデル適用フロー(model-apply flow)の場合、マスクと空間像はいずれもサンプリングした像のピクセル値として表される。この2つには重要な違いが幾つかある。第一に、マスクラスタ化に関しては、マスクによって入射光波に対する振幅変調が行われる。物理的マスクは鋭いエッジを有し、第1レベルの数学的表現は異なる透過率及び位相を有する多角形である。
[0060] この多角形は高解像度イメージに変換され、次に1次ピクセルサイズにダウンサンプリングされる(アンチエイリアシングフィルタリングによる)。この透過率及び位相は高解像度イメージに適用される。1次ピクセルサイズの最終マスクイメージは複素数値イメージである。実際には、0及びπの位相シフトのみを有するバイナリ及び位相シフトマスクは実数値を使用して表すことができる。
[0061] 第二に、空間像計算に関しては、空間像によって表される物理量は、当然のことながら、振幅ではなく強度である。このため、空間像は複素数の代わりに実数になる。また、空間像は、マスクとは異なり、本質的に帯域限定である。
[0062] n項のTCCをマスクイメージに適用するために、1回の順方向フーリエ変換(FFTを使用する)とn回の逆方向フーリエ変換が必要である。最終空間像強度を得るために、逆方向フーリエ変換の結果を2乗し、合計する。
[0063] サンプリング及び補間も実行することができる。式(4)から、空間像の通過帯域が瞳関数によって完全に求められ、光源形状には関連しないことが分かる。通過帯域は2NA/λであり、振幅から強度への変換により2という係数が得られる。また、±NAという角度での二光束干渉という単純なケースを考慮することによって容易に分かる。
[0064] 分解されたTCC又は畳み込みカーネル手法から計算された空間像の通過帯域を考慮する場合、興味深い点が発生する。式(5)から、TCCはk’及びk”の両方で(1+σ)NA/λまでのサポートを有し、従って、固有ベクトルも(1+σ)NA/λまでのサポートを有することが期待される(これは真である)。次に式(8)から、合計の結果の通過帯域が物理的(及びアッベ)考慮事項により2NA/λではなく2(1+σ)NA/λになるはずである。実際、異なるカーネルからの外部周波数成分はさらに相互に打ち消し合うので、合計に保持される項数が増えるほど、この矛盾は減少する。高周波成分の正確な打ち消し合いがさらに困難になるので、σ値が大きいほどより多くのカーネルが必要になる理由を理解するための直観的な方法はこの通過帯域の矛盾によって示される。また、TCC対角化後により多くの畳み込みカーネルを保持するもう1つの利点も示唆される。
[0065] 空間像が必要とする臨界サンプリング周波数は4NA/λであり、空間像通過帯域の2倍である(シャノンのサンプリング定理)。典型的に、良好な補間精度を保証するために、臨界周波数の上に20%〜30%余分な周波数マージン(オーバサンプリング)を使用する。最終空間像サンプリング周波数の逆数により、1次ピクセルサイズとも呼ばれる空間像ピクセルサイズが示される。一例として、λ=193nm、NA=0.85である場合、臨界サンプリング周波数はλ/(4NA)=56.76nmに等しい。現実には、おそらく40nmが適切な空間像ピクセルサイズである。
[0066] 順方向FFTを実行した後、TCC固有ベクトルにマスクスペクトルを掛ける。逆方向フーリエ変換(空間像)の結果がより高密度にサンプリングされたものになるように、高周波成分にゼロを詰めることができる。空間領域内のフィルタを使用して空間像を補間することもできる。
[0067] 上述の通り、ホプキンスの方法は、点光源の寄与及び回折振幅に対する積分次数の交換に基づくものであり、固定照明、開口数、焦点はずれ、及びその他の収差を有する所与の光学システムをいわゆる透過クロス係数(TCC)によって記述できるという利点を有する。TCCは1回だけ計算すればよい。その後、同じ光学システムによってプリントされた異なるマスクパターンについて空間像シミュレーションを繰り返す場合、このTCCを再利用することができる。
[0068] 次に投影光学系及び設計した照明方式による空間結像路のモデリングについて考察する。物理的結像モデルは光科学で十分に確立されており、スカラ又はベクトルいずれかの結像モデルを使用することができる。光リソグラフィが高NAシステム(高NAとは一般に0.6より大きいNAを指す)に移行するにつれて、ベクトルモデルがより重要になっている。この10年間にわたり、計算を高速化するために種々の技術が開発されてきた。
[0069] 一例としては、結像システム全体を重要性が低い一連のコヒーレント結像システムに分解することであり、すなわち、投影及び照明光学系によって画定された行列であるが、マスクパターン自体とは無関係の行列である透過クロス係数(TCC)と呼ばれる行列の固有値はますます小さくなる。分解されたコヒーレントシステムは固有システムと呼ばれることが多い。正確さの要件に応じて、種々の数の固有システムを含めることができる。空間像計算の大多数は、順方向及び逆方向両方の高速フーリエ変換(FFT)を使用して、空間像を生成することができる。回折限定コヒーレント光学結像システムは一連のフーリエ変換として容易に特徴付けることができるので、FFTを使用してその設計の空間像を生成することは有利なことである。このような変換はいずれも、ピクセルベースの像に適用されると、正規のピクセルベースの計算になる。
[0070] さらに、例えば、追加の処理(例えば、アンチエイリアシングフィルタリング技術及び/又はマスク誤差モデリング)によって変更された多角形設計データベースのビットマップ像を使用することにより、空間像を生成することができる。
[0071] 空間像生成/計算中にウェーハ表面レジストスタックパラメータ(例えば、厚さ、BARC、及び/又は屈折率)をTCC式に取り入れることができる。例えば、オフアクシス照明及び瞳フィルタリングなどの種々の非マスクRET技術もTCC計算式の一部として取り入れることができる。さらに、それに応じて理想的なケースから瞳フィルタリングを変更することにより、光学系の不完全性、例えば、収差及び/又は光散乱も空間像式に取り入れることができる。その上、イルミネータの形状及び偏光、開口数、ジョーンズ瞳、焦点ボケ(例えば、レーザの帯域幅又は/及び色収差による)、並びに焦点はずれなどの基本光学情報は透過クロス係数に容易に取り入れることができる。さらに、フィールド又はスリット位置ごとに1つずつ、複数のTCCを提供することにより、スルースリット変動などのフィールド依存効果を捕捉することができる。それ故、透過クロス係数は、リソグラフィプロセスの種々の特性の組合せに基づくことができる。
[0072] 本発明のソフトウェアモジュールはスキャナデータから透過クロス係数(TCC)を計算する。スキャナデータは、最終ユーザから隠されるリソグラフィ装置の光学システムの配置及び構成に関連する情報を含む。光学システムの詳細は、同時に結像シミュレーションのためにスキャナデータへのアクセスを可能にしながら、保護されたままになる。このプロセスは、記述、規約、解釈、及び妥当性検査を含むスキャナデータに関連する情報をスキャナ設計者のみにとって機密に維持するのに役に立つ。透過クロス係数(TCC)は、スキャナデータ(光学系)の詳細をすべてカプセル化する数学的エンティティであり、結像シミュレーションを可能にする光学システム用の伝達関数を形成する。TCCは、3つの項の積の空間周波数kの異なる値(光源強度分布S(k)及び瞳振幅P(k’))の合計に基づいて計算されることに留意されたい(式5を参照)。これらの項のいずれも一方の当事者(最終ユーザ)に伝達しないことによって、もう一方の当事者に関するこれらの項(光源強度分布S(k)及び瞳振幅P(k’))を効果的に隠すので、その当事者は計算を逆にすることによって光源強度分布S(k)及び瞳振幅P(k’)を抽出することができない。単にこれを実行するための情報が欠落しているか、換言すれば、TCC(式5)又はその固有ベクトル及び固有値(式7)からその項(光源強度分布S(k)及び瞳振幅P(k’))を求めるために解くべき式が欠落している。依然としてもう一方の当事者(最終ユーザ)は、マスクに関する情報と結合すると、TCC(式6)又はその固有値及び固有ベクトル(式8)に基づいて強度を計算することができる。それ故、本発明では、TCCによって変換された形で表された情報(イルミネータ形状、イルミネータ偏光、ジョーンズ瞳、及び焦点ボケ(レーザの帯域幅及び/又は投影システムの色収差によるもの))と、パターニング手段上のパターンのレイアウトに関するような追加情報という二組の情報同士をモデル内で分離することを利用する。変換の結果は追加情報とは無関係である。変換情報及び追加情報(上記のように、例えば、パターニング手段上のパターンのレイアウトに関するもの)は一方の当事者(最終ユーザ)によって後のステップで結合することができる。最終ユーザは、シミュレーションを完了できるように、変換を実行する当事者(典型的に、フォトリソグラフィ装置に関する情報など、プロセスに関する他の情報を隠したいと希望する当事者)に対してパターニング手段上のパターンのレイアウトに関する情報(追加情報)を提供する必要がないことに留意されたい。典型的に、このような情報も非常に秘密のものである。それとは別に、パターニング手段上のパターンのレイアウトに関する情報を交換するには長い伝送時間を必要とし(このような情報が典型的に非常に広範囲にわたるので)、最終ユーザ(すなわち、パターニング手段上のパターンのレイアウトに関する情報を有する当事者)は自分自身で実行するときにシミュレーションの最終ステップに必要な時間の間、制御を保持する。しかし、一実施形態では、追加情報はイルミネータ設定(シグマなど)を含み、その変換は追加情報に依存する。この実施形態では、当然のことながら、最終ユーザの情報の一部は変換を実行する当事者との共用になる。しかし、依然として、伝達された情報を最終ユーザに提供するだけで、その情報を最終ユーザから隠すことができる。その後、追加情報又は追加の組合せの少なくとも一部を変換情報と結合することにより、シミュレーションが完了する。
[0073] 図3A及び図3Bには透過クロス係数(TCC)の図解例が示されている。図3Aは、単一入射ビームがリソグラフィ装置の概略パターニング構造の種々のコンポーネントを通過するときのその入射ビームの相互作用の図を示している。単一入射ビーム300は単純マスク305に誘導される。この場合のマスク305は回折格子である。マスク305は入射ビーム300を複数の回折次数310に回折する。単純にするため、最初の2次の回折(±1,±2)が示されている。0次(非回折)は示されていない。レンズ315及び320などの光学素子は、回折放射を捕捉し、その断面にマスクパターンが形成された放射を焦点に集めて空間像325を作成する。レンズ320によって捕捉される回折次数の数は部分的にレンズの開口数によって決定される。
[0074] 図3Bは図3Aとは異なり、リソグラフィ装置のパターニング構造の種々のコンポーネントを通る入射放射のより現実的な相互作用を示している。種々の入射角からの複数の入射ビーム330はマスク335に誘導される。マスク335は、ポスト光近接効果補正(post-OPC)が行われたコンプレックスマスクである。次に、マスク335と相互作用する入射ビームによりコンプレックス回折パターン340が作成される。レンズ350などの光学素子は回折放射を捕捉し、多くの二光束相互作用は空間像355を生成するように貢献する。
[0075] 透過クロス係数(TCC)行列は、図3Bのように拡大光源から発生する相互の二光束相互作用をすべて合計して、空間像を形成する。TCC行列の項は、ソースマップ及び投影光学系のすべての情報を含むが、マスクパターンとは無関係である。TCC行列は、モデルが生成されるときに事前計算され、従って、そのモデルが特定のマスクに適用されるときにはすべての光源点に関する積分はすでに行われている。これにより、高速フルチップリソグラフィシミュレーションが可能になる。
[0076] 図4は、透過クロス係数(TCC)の他の図形表現を示している。TCCは、複数の固有関数Φm、すなわち、異なる分布対称性及び異なる重みを有する一組の瞳関数に分解される。図示の通り、固有関数Φ1、Φ2、Φ3、及びΦ4は周波数領域内の瞳関数を表している。実空間において固有関数Φmのフーリエ変換を行うと、その結果、対応する畳み込みカーネルφmが得られる。4つの固有関数(Φ1、Φ2、Φ3、及びΦ4)からなる組の場合、4つの畳み込みカーネル(φ1、φ2、φ3、及びφ4)からなる対応する組は空間領域内のマスクイメージを表す。この空間像は、カーネルφmの重み付き合計を有するマスクイメージの畳み込みから得られる。重みは固有値及びマスクによって決定される(式を参照)。図4には4つの固有関数のみ示されているが、実際の状況に関する好ましい諸実施形態では、後述のように選択された数十又は数百の固有ベクトルが使用される。
[0077] 本発明の一態様では、ソフトウェアモジュールは以下のように透過クロス係数(TCC)を計算する。光源強度分布S(k)に基づくイルミネータ瞳及び瞳振幅に基づく投影瞳関数(有限開口数(NA)、ジョーンズ瞳、収差など)はいずれもラスタ化されサンプリングされる。TCC行列要素を求めるために、式(5)の数値積分が実行される。式(8)による固有値分解が実行され、最大固有値を有する選択数(N)ドミナント固有ベクトル(dominant Eigenvector)が選択される。次に、選択されたドミナント固有ベクトルがXMLファイルフォーマットなどのファイルに出力される。
[0078] 本発明の一態様では、ソフトウェアモジュールは、自動回折光学素子(DOE)交換器に基づいて透過クロス係数(TCC)を計算するように構成される。このDOE交換器により、ユーザは、集積回路の最も高度なレイヤに関するマスク誤差係数を低減しながらその焦点深度及び露光寛容度を増すことができる標準的な照明形状のライブラリから選択することができる。標準的な照明形状としては、環状、4極(すなわち、クェーサ)、及び双極配置などのオンアクシス及びオフアクシス光源を含む。
[0079] 図5は、本発明の一態様による個々のモデル生成及びモデル使用に関するプロセスフローを示している。プロセスは500から始まり、そこで、ユーザがグラフィックユーザインターフェイスなどのコンピュータインターフェイスによりコンピュータにデータを入力する。この入力は、開口数、シグマ設定、回折光学素子選択、フィルムスタック、スキャナタイプ、及び特定のスキャナデータなどのプロセスセットアップパラメータを含む。プロセスは505に続き、そこで、コンピュータ上で動作する仮想スキャナパックソフトウェアモジュールを使用して一組の透過クロス係数カーネルを生成する(図6に関して以下に詳述する)。プロセスは510に続き、そこで、生成された透過クロス係数カーネルが透過係数データファイル内に配置される。コンピュータ上で動作するシミュレーションモジュールは、515で、別々に生成される可能性のある透過係数データファイル及びマスクデータファイルを受け取るように構成される。シミュレーションモジュールは、520で、生成された透過クロス係数を有するマスクパターンの畳み込み動作を実行することにより、透過係数データファイル及びマスクデータファイルを使用して光学シミュレーションを実行し始める。プロセスは525に続き、そこで、畳み込み動作の結果が空間像データになる。530で、空間像データがレジストモデルシミュレーションと結合され、535で、予測ウェーハ輪郭及びクリティカルディメンションをシミュレートする。
[0080] 図6は、本発明の一態様によるリソグラフィモデル較正に関するプロセスフローを示している。プロセスは600から始まり、そこで、開口数、シグマ設定、回折光学素子選択、フィルムスタック、及びスキャナデータなどの情報を含むプロセスセットアップパラメータファイルが生成される。同図には示されていないが、レジストモデルパラメータ用の最良パラメータ値を求めるためにシミュレーションツールを含めることもできる。プロセスは605に続き、そこで、仮想スキャナパックソフトウェアモジュールがプロセスセットアップパラメータファイルから透過クロス係数カーネルを生成する。プロセスは610に続き、そこで、生成された透過クロス係数カーネルが透過係数データファイル内に配置される。コンピュータ上で動作するシミュレーションモジュールは、615で、別々に生成される可能性のある透過係数データファイル及びマスクデータファイル630を受け取るように構成される。プロセスは620に続き、そこで、シミュレーションモジュールのシミュレーションによって生成される予測クリティカルディメンションが、測定ウェーハからのクリティカルディメンションデータ635と比較される。比較の結果、適合が不十分である場合、プロセスは600の始めに戻り、そこで、プロセスセットアップパラメータが変更される。この変更は、σin及びσoutによって表される焦点はずれ量及び環状照明などの1つ又は複数のパラメータに対する変更を含むことができる。シミュレートしたクリティカルディメンションと測定したクリティカルディメンションとの比較の結果、適合が十分である場合、625で、透過クロス係数ファイルが出力されるか、今後の使用のために保管される。
[0081] 図7は、本発明の一態様によるリソグラフィプロセス最適化に関するプロセスフローを示している。プロセスは700から始まり、そこで、開口数、シグマ設定、回折光学素子選択、フィルムスタック、及びスキャナデータなどの情報を含むプロセスセットアップパラメータファイルが生成される。プロセスは705に続き、そこで、仮想スキャナパックソフトウェアモジュールがプロセスセットアップパラメータファイルから透過クロス係数カーネルを生成する。ソフトウェアモジュールは、パラメータ値限界などのスキャナ制約も適用する。プロセスは710に続き、そこで、生成された透過クロス係数カーネルが透過係数データファイル内に配置される。コンピュータ上で動作するシミュレーションモジュールは、715で、別々に生成される可能性のある透過係数データファイル及びマスクデータファイルを受け取るように構成される。プロセスは720に続き、そこで、シミュレーションモジュールは、入力された透過クロス係数データファイル及びマスクデータファイルに基づいてシミュレーションを実行する。プロセスは725に続き、そこで、シミュレーションによって品質メトリクスが生成される。プロセス品質メトリクスは、正規化イメージログスロープ(NILS:normalized image log slope)、マスク誤差係数(MEF:mask error factor)、及びプロセスウィンドウ(PW:process window)などの予測輪郭(predicted contour)に基づくものである。品質メトリクスが不十分な品質であると判断された場合、プロセスは700の始めに戻り、そこで、プロセスセットアップパラメータが変更される。この変更は、σin及びσoutによって表される開口数及び環状照明などの1つ又は複数のパラメータに対する変更を含むことができる。品質メトリクスが十分なものであると判断された場合、730で、透過クロス係数ファイルが出力されるか、今後の使用のために保管される。
[0082] 図8は、本発明の一態様により図6からの透過クロス係数データファイルを使用する光近接効果補正に関するプロセスフローを示している。プロセスは800から始まり、そこで、較正された透過クロス係数データファイルが提供される。805でターゲットレイアウトデータファイル及びマスクレイアウトデータファイルが光近接効果補正シミュレーション及び補正エンジンに提供される。810で、予測輪郭の輪郭品質メトリクスがエッジ配置誤差(EPE:Edge Placement Error)統計などのターゲットレイアウト多角形と比較される。比較の結果、収束が不十分である場合、815でマスクレイアウトが変更され、820でターゲットレイアウトデータファイルと比較され、805で光近接効果補正シミュレーション及び補正エンジンに入力される。比較の結果、収束が十分である場合、825で、マスクレイアウトデータファイルが出力される。
[0083] 本発明の他の態様では、ソフトウェアモジュールは、自動回折光学素子(automated DOE)交換器及びソースマスク最適化(SMO)に基づいて透過クロス係数(TCC)を計算するように構成される。SMOは、DOE及びマスク形成プロセスの制約に従いながら、特定の設計フラグメント(クリップ)のために照明及びレチクルパターンを相互最適化する。この最適化プロセスでは、モデルベースのOPCマスク改訂のための入力として所与の光源形状を使用し、最適焦点露光条件を与える組合せが現れるまでプロセスを循環する。最適化メトリクスは、複数のクリップに関するオーバラッププロセスウィンドウと、マスク誤差促進ファクタ(MEEF:Mask Error Enhancement Factor)を含む。
[0084] 図9は、本発明の一態様によるソース及びマスク相互最適化(SMO)に関するプロセスフローを示している。プロセスセットアップ1005はターゲットソースマップ1010と結合され、仮想スキャナパックソフトウェアモジュール1015に入力される。ソフトウェアモジュール1015は、透過クロス係数(TCC)カーネルを生成し、パラメータ値限界及びソースマップレンダリングに関するスキャナ制約を適用する。TCCデータファイル1020は、ソフトウェアモジュール1015から出力され、ソースマスクシミュレーション及び最適化(SMO)エンジン1030に入力される。実際のソースマップ1025もソフトウェアモジュール1015から出力される。品質メトリクス1035はSMOエンジン1015から求められ、品質メトリクスが収束する場合、1040でマスクレイアウトデータファイルが出力される。また、実際のソースマップ1025も出力される。品質メトリクスは、ターゲットレイアウトデータファイル1050の予測輪郭に基づくものであり、正規化イメージログスロープ(NILS)、マスク誤差ファクタ(MEF)、及びプロセスウィンドウ(PW)を含む。品質メトリクスが収束しない場合、1045でマスクレイアウト及びターゲットソースマップが変更され、プロセスは1010から繰り返す。
[0085] 図10は、本明細書に開示したリソグラフィシミュレーション方法の実現を支援可能なコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、バス102又は情報を伝達するためのその他の通信メカニズムと、情報を処理するためにバス102に結合されたプロセッサ104とを含む。また、コンピュータシステム100は、プロセッサ104によって実行される命令及び情報を保管するためにバス102に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又はその他の動的ストレージデバイスなどのメインメモリ106も含む。メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に一時変数又はその他の中間情報を保管するために使用することもできる。コンピュータシステム100は、プロセッサ104のための命令及び静的情報を保管するためにバス102に結合された読み取り専用メモリ(ROM)108又はその他の静的ストレージデバイスをさらに含む。情報及び命令を保管するために、磁気ディスク又は光ディスクなどのストレージデバイス110が提供され、バス102に結合される。
[0086] コンピュータシステム100は、コンピュータユーザに情報を表示するためにバス102を介して陰極線管(CRT)又はフラットパネル又はタッチパネルディスプレイなどのディスプレイ112に結合することができる。英数字キー及びその他のキーを含む入力装置114は、プロセッサ104に情報及びコマンド選択を伝達するためにバス102に結合される。もう1つのタイプのユーザ入力装置は、プロセッサ104に方向情報及びコマンド選択を伝達し、ディスプレイ112上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなどのカーソルコントロール116である。この入力装置は典型的に、その装置が平面内の位置を指定できるようにする、第1の軸(例えば、x)と第2の軸(例えば、y)という2通りの軸の2通りの自由度を有する。タッチパネル(スクリーン)ディスプレイも入力装置として使用することができる。
[0087] 本発明の一実施形態によれば、シミュレーションプロセスの一部分は、メインメモリ106に収容された1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスをプロセッサ104が実行したことに応答して、コンピュータシステム100によって実行することができる。このような命令は、ストレージデバイス110などの他のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み込むことができる。メインメモリ106に収容された命令のシーケンスを実行することにより、プロセッサ104は本明細書に記載したプロセスステップを実行する。メインメモリ106に収容された命令のシーケンスを実行するために、マルチプロセッシング配置の1つ又は複数のプロセッサを使用することもできる。代替実施形態では、本発明を実現するためにソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用することができる。それ故、本発明の諸実施形態は、ハードウェア回路とソフトウェアとの特定の組合せに限定されない。
[0088] 本明細書で使用する「コンピュータ可読媒体」という用語は、実行のためにプロセッサ104に命令を提供することに関与する媒体を指す。このような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形を取ることができる。不揮発性媒体は、例えば、ストレージデバイス110などの光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106などのダイナミックメモリを含む。伝送媒体は、バス102を有するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む。また、伝送媒体は、無線周波(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されたものなどの音波又は光波の形を取ることもできる。一般的な形のコンピュータ可読媒体は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意のその他の磁気媒体、CD−ROM、DVD、任意のその他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意のその他の物理媒体、RAM、PROM、及びEPROM、FLASH−EPROM、任意のその他のメモリチップ又はカートリッジ、以下に記載する搬送波、あるいはコンピュータがそこから読み取ることができる任意のその他の媒体を含む。
[0089] 実行のためにプロセッサ104に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを搬送する際に種々の形のコンピュータ可読媒体が係わる可能性がある。例えば、命令は最初にリモートコンピュータの磁気ディスク上に載せられる可能性がある。リモートコンピュータは、そのダイナミックメモリに命令をロードし、モデムを使用して電話回線によって命令を送信することができる。コンピュータシステム100に対してローカルなモデムは、その電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用してそのデータを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、そのデータをバス102上に置くことができる。バス102はそのデータをメインメモリ106に搬送し、そこからプロセッサ104が命令を取り出して実行する。メインメモリ106が受け取った命令は任意選択で、プロセッサ104による実行前又は実行後のいずれかにストレージデバイス110に保管することができる。
[0090] また、コンピュータシステム100は好ましくは、バス102に結合された通信インターフェイス118も含む。通信インターフェイス118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120に結合する双方向データ通信を可能にする。例えば、通信インターフェイス118は、対応するタイプの電話回線へのデータ通信接続を可能にするための統合サービスデジタル通信網(ISDN)カード又はモデムにすることができる。もう1つの例として、通信インターフェイス118は、互換性のあるLANへのデータ通信接続を可能にするためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードにすることもできる。ワイヤレスリンクも実現可能である。このような実現例では、通信インターフェイス118は、種々のタイプの情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁気信号、又は光学信号を送受信する。
[0091] ネットワークリンク120は典型的に、1つ又は複数のネットワークにより他のデータデバイスへのデータ通信を可能にする。例えば、ネットワークリンク120は、ローカルネットワーク122によりホストコンピュータ124又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)126によって操作されるデータ機器への接続を可能にすることができる。次にISP126は、現在一般的に「インターネット」128と呼ばれる世界的なパケットデータ通信ネットワークによりデータ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク122及びインターネット128はいずれも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁気信号、又は光学信号を使用する。種々のネットワークによる信号、ネットワークリンク120上の信号、並びにコンピュータシステム100との間でデジタルデータを搬送する通信インターフェイス118による信号は、情報を移送する搬送波の模範的な形である。
[0092] コンピュータシステム100は、ネットワーク(複数も可)、ネットワークリンク120、及び通信インターフェイス118により、プログラムコードを含む、メッセージを送信し、データを受信することができる。インターネットの例では、サーバ130は、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122、及び通信インターフェイス118により、アプリケーションプログラムについて要求されたコードを送信することができる。本発明によれば、このようにダウンロードされたアプリケーションは、例えば、その実施形態の照明最適化に備えるものである。受信コードは、それが受信されたときにプロセッサ104によって実行されるか、及び/又は後の実行のためにストレージデバイス110又はその他の不揮発性ストレージデバイスに保管されることができる。このように、コンピュータシステム100は搬送波の形でアプリケーションコードを入手することができる。
[0093] 図11は、本発明のプロセスを使用してリソグラフィプロセスをシミュレート可能な模範的なリソグラフィ投影装置を概略的に描写している。この装置は以下のものを含む。
−投影ビームPBの放射を供給するための放射システムEx、IL。この特定のケースでは放射システムは放射源LAも含む。
−マスクMA(例えば、レチクル)を保持するためのマスクホルダが設けられ、アイテムPLに対してマスクを正確に位置決めするための第1の位置決め手段に接続された第1のオブジェクトテーブル(マスクテーブル)MT
−基板W(例えば、レジストコーティングシリコンウェーハ)を保持するための基板ホルダが設けられ、アイテムPLに対して基板を正確に位置決めするための第2の位置決め手段に接続された第2のオブジェクトテーブル(基板テーブル)WT
−マスクMAの照射部分を基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上に結像するための投影システム(「レンズ」)PL(例えば、屈折、反射、又は反射屈折光学システム)
[0094] 本明細書に描写されている通り、この装置は透過タイプのものである(すなわち、透過マスクを有する)。しかし、一般に、この装置は、例えば、反射タイプ(反射マスクを有する)ものにすることもできる。代替的に、この装置は、マスク使用の代替策として他の種類のパターニング手段を使用することもでき、例としてはプログラマブルミラーアレイ又はLCDマトリクスを含む。
[0095] 光源LA(例えば、水銀灯又はエキシマレーザ)は放射ビームを発生する。このビームは、直接又は例えばビームエクスパンダExなどのコンディショニング手段を横断した後に照明システム(イルミネータ)ILに供給される。イルミネータILは、ビーム内の強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般に、それぞれσ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を設定するための調整手段AMを含むことができる。加えて、イルミネータは一般に、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの種々の他のコンポーネントを含む。このようにして、マスクMAに衝突するビームPBは、その断面において所望の均一性及び強度分布を有する。
[0096] 図11に関しては、光源LAは(光源LAが例えば水銀灯であるときにしばしばそうであるように)リソグラフィ投影装置のハウジング内にすることができるが、リソグラフィ投影装置から離すこともでき、その装置が発生する放射ビームは(例えば、適切な誘導ミラーを用いて)装置内に誘導され、後者のシナリオは光源LAがエキシマレーザ(例えば、KrF、ArF、又はF2レイジングに基づく)であるときにしばしばそうなることに留意されたい。本発明はこれらのシナリオの少なくとも両者を包含する。
[0097] ビームPBは、その後、マスクテーブルMT上に保持されたマスクMAをインターセプトする。マスクMAを横断した後、ビームPBはレンズPLを通過し、そのレンズが基板Wのターゲット部分CにビームPBを焦点に集める。第2の位置決め手段(及び干渉測定手段IF)を用いて、例えば、異なるターゲット部分CをビームPBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1の位置決め手段を使用して、例えば、マスクライブラリからマスクMAを機械的に取り出した後又はスキャン中に、ビームPBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。一般に、オブジェクトテーブルMT、WTの移動は、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)及びショートストロークモジュール(微動位置決め)を用いて認識されるが、どちらも図11には明確に描写されていない。しかし、(ステップアンドスキャンツールとは対照的に)ウェーハステッパの場合、マスクテーブルMTは、単にショートストロークアクチュエータに接続される場合もあれば、固定される場合もある。
[0098] 描写したツールは以下の2通りのモードで使用することができる。
−ステップモードでは、マスクテーブルMTは本質的に静止状態に保持され、マスクイメージ全体が一度に(すなわち、単一「フラッシュ」で)ターゲット部分Cに投影される。次に、異なるターゲット部分CをビームPBで照射できるように、基板テーブルWTがx方向及び/又はy方向にシフトする。
−スキャンモードでは、所与のターゲット部分Cが単一「フラッシュ」で露光されないことを除いて、本質的に同じシナリオが適用される。その代わりに、マスクテーブルMTは速度vで所与の方向(いわゆる「スキャン方向」、例えば、y方向)に移動可能であり、従って、投影ビームPBはマスクイメージの上をスキャンするようになり、同時に、基板テーブルWTは速度V=Mvで同じ方向又は反対方向に同時に移動し、MはレンズPLの倍率である(典型的に、M=1/4又は1/5)。このように、解像度について妥協する必要なしに、相対的に大きいターゲット部分Cを露光することができる。
[0099] 本明細書に開示されている概念は、サブ波長フィーチャ(sub wavelength feature)を結像するための汎用結像システムをシミュレート又は数学的にモデリングすることができ、ますますサイズが小さくなる波長を発生可能な新結像技術により特に有用である可能性がある。すでに使用されている新技術は、ArFレーザ使用の場合には193nmの波長、フッ素レーザ使用の場合には157nmの波長を発生可能なEUV(極端紫外線)リソグラフィを含む。その上、EUVリソグラフィは、シンクロトロンを使用するか、又はこの範囲内の光子を発生するために高エネルギー電子で材料(固体又はプラズマ)を打つことにより、20〜5nmの範囲内の波長を発生することができる。大半の材料はこの範囲内では吸収性であるので、モリブデンとシリコンのマルチスタックを有する反射ミラーによって照明を発生することができる。このマルチスタックミラーは、40レイヤ対のモリブデンとシリコンを有し、各レイヤの厚さは4分の1波長である。さらに小さい波長はX線リソグラフィで発生することができる。典型的に、X線波長を発生するためにシンクロトロンが使用される。大半の材料はX線波長で吸収性であるので、吸収材料の薄片によって、フィーチャをプリントする場所(ポジティブレジスト)又はフィーチャをプリントしない場所(ネガティブレジスト)が画定される。
[00100] 本明細書に開示されている概念はシリコンウェーハなどの基板上に結像するために使用することができるが、開示されている概念は、任意のタイプのリソグラフィ結像システム、例えば、シリコンウェーハ以外の基板上に結像するために使用されるものでも使用できることを理解されたい。
[00101] 上記の説明は例示的なものであって、限定的なものではない。それ故、以下に記載する特許請求の範囲の範囲を逸脱せずに記載されているように本発明に対して変更を加えることができることは当業者にとって明白なことである。
本発明の幾つかの態様について以下の項で説明する。
1.リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法であって、
リソグラフィ装置の特性に関するデータを保護すること、
保護データを表す数学モデルを生成すること、
シミュレーションプロセスに対して隠された保護データを保持しながらシミュレーションプロセスに数学モデルを提供すること、
を含む方法。
2.提供するステップが、
数学モデルの所定の要素を識別すること、
所定の要素に対応する生成済み数学モデルの値をレコードに入力すること、
を含む、1項記載の方法。
3.レコードがXMLファイルを含む、1項記載の方法。
4.特性がリソグラフィ装置の1つ又は複数のサブシステムに対応する、1項記載の方法。
5.特性がジョーンズ瞳を含む、1項記載の方法。
6.特性が焦点ボケを含む、1項記載の方法。
7.数学モデルが透過クロス係数(TCC)を含む、1項記載の方法。
8.数学モデルが透過クロス係数(TCC)を含み、所定の要素がTCC固有ベクトルを含む、2項記載の方法。
9.リソグラフィソース情報を受信するステップをさらに含み、受信したリソグラフィソース情報を使用して数学モデルが生成される、1項記載の方法。
10.リソグラフィソース情報が所定の一組のソースパターンから識別される、9項記載の方法。
11.リソグラフィソース情報がユーザ定義のターゲットソースパターンである、9項記載の方法。
12.TCC固有ベクトルが空間周波数の行列形式として表される、8項記載の方法。
13.数学モデルがTCC固有ベクトルから一連の畳み込みカーネルへの変換を含む、8項記載の方法。
14.一連の畳み込みカーネルが空間領域内に表される、13項記載の方法。
15.一連の畳み込みカーネルがリソグラフィプロセスのコヒーレントシステムコンポーネントの合計を表す、13項記載の方法。
16.リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法であって、
リソグラフィ装置の1つ又は複数の光学コンポーネント、1つ又は複数の光学特性、あるいはその両方に関する情報を提供すること、
情報を保護する変換関数を使用することにより1つ又は複数の光学コンポーネントの情報をカプセル化すること、
カプセル化した情報をシミュレーションプロセスに提供して、リソグラフィプロセスをシミュレートすること、
を含む方法。
17.変換関数が、1つ又は複数の透過クロス係数を計算することを含む、16項記載の方法。
18.計算した透過クロス係数をソースマスクシミュレーションプロセスに適用して、マスクレイアウトデータファイルの予測輪郭のプロセス品質メトリクスを求める、17項記載の方法。
19.プロセス品質メトリクスが、正規化イメージログスロープ、マスク誤差係数、及びプロセスウィンドウのうちの1つ又は複数を含む、18項記載の方法。
20.計算した透過クロス係数がXMLファイルフォーマットとして出力される、17項、18項、又は19項記載の方法。
21.透過クロス係数が空間周波数の行列フォーマットの一組の固有関数として表される、17項記載の方法。
22.変換関数が、透過クロス係数を一連の畳み込みカーネルに変換することを含む、17項記載の方法。
23.一連の畳み込みカーネルが空間領域内に表される、22項記載の方法。
24.一連の畳み込みカーネルがリソグラフィプロセスのコヒーレントシステムコンポーネントの合計を表す、22項又は26項記載の方法。
25.変換関数によって保護される情報が、シミュレーションプロセスのユーザにとって入手不能である、16項〜24項のいずれかに記載の方法。
26.1つ又は複数の光学コンポーネントが、リソグラフィ装置の照明システム、投影システム、又はその両方を含む、16項〜25項のいずれかに記載の方法。
27.1つ又は複数の光学特性が、イルミネータの形状及び偏光、ジョーンズ瞳、レーザの帯域幅による焦点ボケ、色収差による焦点ボケを含む、16項〜26項のいずれかに記載の方法。
28.リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法であって、
リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするためのモデルを生成すること、
リソグラフィプロセスの複数のアスペクトに関する情報をモデルに入力すること、
そのモデルを使用して、変換情報のみの場合にその逆が不確定になる変換によりその情報を変換情報に変換すること、
を含み、
そのモデルにより、その変換情報及びリソグラフィプロセスの他のアスペクトに関する追加情報に基づいてシミュレートされたアスペクトを入手できるようにする、方法。
29.複数のアスペクトが、イルミネータの形状、イルミネータの偏光、ジョーンズ瞳、及び焦点ボケのうちの少なくとも1つを含む、28項記載の方法。
30.追加情報が、パターニング手段上のパターンのレイアウトに関する情報を含む、28項又は29項記載の方法。
31.シミュレートされたアスペクトが、空間像強度、正規化イメージログスロープ、マスク誤差係数、及びプロセスウィンドウのうちの少なくとも1つを含む、28項〜30項のいずれかに記載の方法。
32.変換情報が、透過クロス係数の複数の固有ベクトル及び固有値を含む、28項〜31項のいずれかに記載の方法。
33.変換が追加情報とは無関係である、28項〜32項のいずれかに記載の方法。
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、その内容全体を本明細書に参照により組み込むものとする2008年11月10日出願の米国特許出願第61/112,913号に対する優先権を主張するものである。

Claims (15)

  1. リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレートするための方法であって、
    照明が部分的にコヒーレントであって、光源点が相互にインコヒーレントである場合において、
    第1のシステムで生成された数学モデルの提供を受ける、前記第1のシステムとは異なる第2のシステムで実行されるシミュレーションが、リソグラフィ装置の特性に関する機密情報を含む保護データを機密に保ちながら前記保護データを使ったシミュレーションとなるように
    前記第1のシステムにおいて、前記保護データおよび前記リソグラフィ装置の追加データを表す数学モデルであって、前記保護データを固有値分解して得られる透過クロス係数(TCC)を含む数学モデルを生成するステップと、
    前記第1のシステムにおいて、生成した前記数学モデルを前記第2のシステムに提供するステップと、を含む
    方法。
  2. リソグラフィプロセスのアスペクトをシミュレーションするための方法であって、
    照明が部分的にコヒーレントであって、光源点が相互にインコヒーレントである場合において、第1システムで生成される数学モデルの提供を受ける、前記第1のシステムとは異なる第2のシステムにおいて実行されるシミュレーションであって、
    前記数学モデルは、リソグラフィ装置の特性に関する機密情報を含む保護データおよび前記リソグラフィ装置の追加データを表す数学モデルであって、前記保護データを固有値分解して得られる透過クロス係数(TCC)を含む数学モデルであり、
    前記第2のシステムにおいて、シミュレーションプロセスに対して前記数学モデルを提供するステップを実行することによって、前記保護データを機密に保ちながら前記保護データを使ったシミュレーションを実行する、
    方法。
  3. 前記提供するステップが、
    前記数学モデルの所定の要素を識別すること、
    前記所定の要素に対応する生成済み数学モデルの値をレコードに入力すること、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記レコードがXMLファイルを含む、請求項に記載の方法。
  5. 前記特性が前記リソグラフィ装置の1つ又は複数のサブシステムに対応するものである、請求項1または2に記載の方法。
  6. 前記特性がジョーンズ瞳及び/又は焦点ボケを含む、請求項1または2に記載の方法。
  7. 前記特性が前記リソグラフィ装置の照明の形状、前記照明の偏光、および前記リソグラフィ装置のレーザの帯域幅のいずれか1以上である、請求項1または2に記載の方法。
  8. 前記所定の要素がTCC固有ベクトルを含む、請求項に記載の方法。
  9. リソグラフィソース情報を受信するステップをさらに含み、
    受信した前記リソグラフィソース情報を使用して前記数学モデルが生成される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記リソグラフィソース情報が所定の一組のソースパターンから識別される、請求項に記載の方法。
  11. 前記リソグラフィソース情報がユーザ定義のターゲットソースパターンである、請求項に記載の方法。
  12. 前記TCC固有ベクトルが空間周波数の行列形式として表される、請求項に記載の方法。
  13. 前記数学モデルが前記TCC固有ベクトルから一連の畳み込みカーネルへの変換を含む、請求項に記載の方法。
  14. 前記一連の畳み込みカーネルが空間領域内に表される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記一連の畳み込みカーネルがリソグラフィプロセスのコヒーレントシステムコンポーネントの合計を表す、請求項13に記載の方法。
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