以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、画像読取装置としてのスキャナ1を搭載したデジタル複合機(MFP,Multi-Functional Peripheral)の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像読取装置としてのスキャナ1を有するデジタル複合機の外観構成例を示す斜視図である。また、図2は、スキャナ1を上面から見た図である。
図1に示すように、デジタル複合機は、スキャナ1、プリンタ2、コントロールパネル3を有する。また、デジタル複合機は、本体内に図1には図示しないシステム制御部5(図3参照)を有する。システム制御部5は、スキャナ1、プリンタ2およびコントロールパネル3に接続され、各部の制御およびデータ処理などを行う。
スキャナ1は、デジタル複合機の本体上部に設置する。スキャナ1は、原稿の画像を工学的に読み取って画像データに変換する画像読取装置である。スキャナ1の構成例については、後述する。
プリンタ2は、画像を被画像形成媒体としての用紙にプリントする。たとえば、プリンタ2は、スキャナ1で読取った原稿の画像を用紙にプリントする。また、プリンタ2は、ネットワークなどを介して受信する画像データに基づいて用紙に画像をプリントするようにしても良い。プリンタ2は、画像形成方式が特定の方式に限定されるものでなく、電子写真方式のプリンタであって良いし、インクジェット方式のプリントであっても良いし、熱転写方式のプリンタであっても良い。
コントロールパネル3は、ユーザインターフェースである。コントロールパネル3は、案内を表示したり、操作ボタンあるいはアイコンの入力を受け付けたりする。たとえば、ユーザは、コントロールパネル3において、スキャンの開始を指示したり、コピーの開始を指示したりする。
次に、スキャナ1の構成について説明する。
図1及び図2に示す構成例において、スキャナ1は、原稿台ガラス11、プラテンカバー(カバー)12、キャリッジ13、集光レンズ14、光電変換部15、原稿センサ16、および、プラテンスイッチ17を有する。
原稿台ガラス11は、読取対象とする原稿を載置するガラス台である。スキャナ1は、原稿台ガラス11を介して原稿面の画像を読み取る。プラテンカバー12は、原稿台ガラス11を覆うカバーである。プラテンカバー12は、原稿台上の原稿押えとしても機能する。プラテンカバー12は、開閉可能な状態で、スキャナ1における原稿台ガラス11の上に取り付ける。プラテンカバー12を閉じた状態において、原稿を検知しやすいように、プラテンカバー12の原稿台ガラス11側の面は、白色などの輝度が高くなる色で形成する。
キャリッジ13は、原稿からの反射光をレンズ14に導くための光学部材を搭載する。たとえば、キャリッジ13は、光源、および、ミラーなどの光学系を搭載する。光源は、原稿台に載置された原稿の読取面に照射する光を発光するものである。光源が発光する光は、直接あるいはリフレクタなどを介して、原稿台に載置された原稿面の読取位置に照射される。光源は、原稿面上の読取位置となる主走査方向における1ライン分(又は複数ライン分)の画像領域に光を照射する。キャリッジ13に搭載されたミラー等の光学系は、原稿台を走査した光をレンズ14および光電変換部15へ導く。すなわち、キャリッジ13に搭載された光学系は、光源が光を照射する原稿面上の読取位置(主走査方向における1ライン分の画像領域)からの反射光をレンズ14へ導く。
また、キャリッジ13は、図2に示すように、副走査方向に移動する移動機構を有する。例えば、原稿全体の画像を読み取る場合、キャリッジ13は、副走査方向に移動しつつ原稿面の主走査方向を走査することにより、原稿面の主走査方向における各ラインの画像を連続的にレンズ14へ導く。すなわち、キャリッジ13は、副走査方向に移動することにより原稿台に載置された原稿の全体を光学的に走査する。
また、キャリッジ13は、待機状態において、読取先端位置より所定距離分だけ離れた待機位置に待機する。図2に示す例では、キャリッジ13の待機位置は、副走査方向の読取先端位置から距離Dだけ離れた位置である。キャリッジ13が待機位置である状態において、原稿検知処理およびプラテンカバー12の開閉検知処理などが実行される。
レンズ14は、キャリッジ13の光学部材から導かれる光を光電変換部15へ導く。レンズ14は、キャリッジ13から供給される原稿画像の主走査方向における1ライン分の画像領域からの反射光を集光し、光電変換部15へ導く。光電変換部15は、主走査方向の1ライン分の画像(原稿面の反射光)を、1ライン分の画素データに変換するCCDラインセンサ(光電変換手段)を有する。光電変換部15は、CCDラインセンサ(以下、単に、ラインセンサとも称する)を覆うカバーを有する。
原稿センサ16は、原稿の有無を検知するセンサである。原稿センサ16は、後述する原稿サイズ検知機能において、原稿の副走査方向の大きさを検知するために用いる。プラテンスイッチ17は、プラテンカバー12の開閉状態を検知するためのスイッチである。プラテンスイッチ17の構成およびプラテンスイッチ17の状態に応じたプラテンカバー12の開閉状態の判定については、後で説明するものとする。
以上のような構成を有するスキャナ1は、キャリッジ13が副走査方向に移動することにより原稿台上の原稿面の画像を読み取る。キャリッジ13は、副走査方向に移動する移動機構を有する。例えば、原稿台に載置された原稿全体の画像をスキャンする場合、キャリッジ13は、副走査方向に移動しつつ原稿面の主走査方向を走査することにより、原稿面における主走査方向のラインごとの画像を連続的にレンズ14へ導く。すなわち、キャリッジ13は、副走査方向に移動することにより原稿台に載置された原稿の全体を光学的に走査する。
また、スキャナ1は、キャリッジ13が待機位置にある状態において、原稿台上の原稿のサイズを検知する原稿サイズ検知機能が動作する。キャリッジ13が待機位置である状態において、原稿台上における原稿の有無を検知する複数の検知ポイントが設定されている。複数の検知ポイントは、待機位置のキャリッジ13を用いて検知できる(読み取れる)主走査方向における複数の領域である。複数の検知ポイント、および、各検知ポイントにおける原稿の有無の検知結果に基づく原稿サイズ判定については、後述する。
上記のように構成されるデジタル複合機の制御系の構成について説明する。
次に、デジタル複合機の制御系の構成について説明する。
図3は、デジタル複合機における制御系の構成例を説明するためのブロック図である。
デジタル複合機は、装置全体を制御するシステム制御部5を有する。システム制御部5は、システムバス及びデータベースなどを介して、スキャナ1、プリンタ2、コントロールパネル3に接続する。
図3に示す構成例において、システム制御部5は、CPU(プロセッサ)51、メインメモリ52、ROM53、不揮発性メモリ54、ページメモリ55、画像処理部56、およびHDD57を有する。
CPU51は、デジタル複合機全体を制御する。CPU51は、プログラムを実行することにより処理を実現するプロセッサである。CPU51は、システムバスを介して、装置内の各部に接続する。CPU51は、システム制御部5内の各部だけでなく、システムバスを介して、スキャナ1、プリンタ2、コントロールパネル3などにも接続する。CPU51は、スキャナ1、プリンタ2、および、コントロールパネル3との双方向の通信により、各部へ動作指示を出力したり、各部から種々の情報を取得したりする。また、CPU51は、装置内の各部に設置した各種のセンサの検知信号および動作状態などを示す情報を入力する。
メインメモリ52は、RAMなどにより構成される。メインメモリ52は、ワーキングメモリ、あるいはバッファメモリとして機能する。ROM53は、プログラムおよび制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。CPU51は、メインメモリ52を使用しながらROM53(或は不揮発性メモリ54、HDD57)に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。たとえば、CPU51は、プログラムを実行することにより、原稿サイズ検知機能、および、プラテンカバー12の開閉状態の判定機能などを実現する。
不揮発性メモリ54は、書換え可能な不揮発性メモリである。不揮発性メモリ54は、CPU51が実行する制御プログラムおよび制御データを記憶する。また、不揮発性メモリ54は、設定情報、処理条件などを記憶する。
ページメモリ55は、処理の対象とする画像データを展開するためのメモリである。たとえば、スキャナ1が読み取った画像データは、画像処理が施された後、ページメモリ55に格納される。ページメモリ55に格納された画像データは、プリント用の画像処理が施されてプリンタ2へ出力されたり、HDD57に保存されたり、外部インターフェースを介して外部装置へ送信されたりする。
画像処理部56は、入力した画像データを処理する入力画像処理機能と、出力する画像データを処理する出力画像処理機能とを有する。例えば、画像処理部56は、入力画像処理機能としては、スキャナ1が読取った画像データに対して、解像度変換、明るさ調整、コントラスト調整、彩度調整、シャープネス調整などを行う。また、入力画像処理機能としては、スキャナ1により読取った画像データに対して、シェーディング補正処理、階調変換処理、ライン間補正処理などを実行するようにしても良い。
画像処理部56は、出力画像処理機能として、プリント用の画像データに変換する処理機能を有する。たとえば、コピー処理において、画像処理部56は、入力画像処理機能により処理したスキャン画像データを、プリンタ2の特性あるいはユーザ設定などに応じたプリント用の画像データに変換する。
また、画像処理部56は、ページメモリ55あるいはHDD57に保存する画像データを圧縮する圧縮処理機能、および、圧縮した画像データを伸長する伸長処理機能を有するものであっても良い。
ハードディクスドライブ(HDD)57は、大容量の記憶装置である。HDD57は、画像データおよび各種の履歴情報などを記憶する。また、HDD57は、制御プログラムおよび制御データなどを記憶しても良い。また、HDD57は、設定情報および処理条件などを記憶しても良い。
図3に示す構成例において、スキャナ1は、制御系の構成として、スキャナCPU(プロセッサ)61、メインメモリ62、ROM63、不揮発性メモリ64、画像処理部65、移動機構66、光源67、ラインセンサ(光電変換手段)68、原稿センサ16、および、プラテンスイッチ(フォトインタラプタ72)17を有する。
スキャナCPU61は、デジタル複合機全体を制御する。スキャナCPU61は、プログラムを実行することにより処理を実現するプロセッサである。スキャナCPU61は、システムバスを介して、スキャナ1内の各部に接続する。また、スキャナCPU61は、システム制御部5内のシステムバスにも接続する。スキャナCPU61は、システム制御部5のCPU51からの動作指示に応じてスキャナ1の動作を制御する。また、スキャナCPU61は、スキャナ1内の各センサの出力信号をシステム制御部5へ出力する。
メインメモリ62は、RAMなどにより構成される。メインメモリ62は、ワーキングメモリ、あるいはバッファメモリとして機能する。ROM63は、プログラムおよび制御データなどを記憶する書換え不可の不揮発性メモリである。スキャナCPU61は、メインメモリ62を使用しながらROM63(或は不揮発性メモリ64)に記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
なお、スキャナCPU61は、プログラムを実行することにより、原稿サイズ検知機能、および、プラテンカバー12の開閉状態の判定機能などを実現するようにしても良い。この場合、スキャナCPU61は、原稿サイズ検知機能による検知結果、および、プラテンカバー12の開閉状態の判定結果などのシステム制御部5のCPU51へ通知するようにすれば良い。
不揮発性メモリ54は、書換え可能な不揮発性メモリである。不揮発性メモリ54は、CPU51が実行する制御プログラムおよび制御データを記憶する。また、不揮発性メモリ54は、設定情報、および、処理条件などの情報を記憶する。
画像処理部65は、スキャンした画像データ(ラインセンサ68の出力信号)を処理する機能である。例えば、画像処理部56は、スキャナ1により読取った画像データに対して、シェーディング補正処理、階調変換処理、ライン間補正処理などを実行する。また、画像処理部65は、スキャナ1が読取った画像データに対して、解像度変換、明るさ調整、コントラスト調整、彩度調整、シャープネス調整などを行うようにしても良い。
移動機構66は、キャリッジ13を副走査方向に移動させる機構である。例えば、原稿台11上の原稿をスキャンする場合、移動機構66は、スキャナCPU61からの動作指示に従ってキャリッジ13を副走査方向に移動させる。また、待機状態において、移動機構66は、スキャナCPU61からの動作指示に従ってキャリッジ13を待機位置に移動させた状態で待機する。システム制御部5のCPU51或いはスキャナCPU61は、キャリッジが待機位置にある待機状態において、原稿サイズ検知機能(第1検知動作および第2検知動作)を実行する。
光源67は、原稿台へ照射する光を発光するものである。光源67は、スキャナCPU61からの点灯指示に従って発光する。光源67は、照射した光が原稿台上の原稿面から反射光となって、ラインセンサ68へ入射するものであれば良く、特定の構成に限定されるものでは無い。
ラインセンサ68は、主走査方向の読取ライン分の画素データを生成する。ラインセンサ68には、キャリッジ13に搭載された光学系からの光がレンズを介して入力する。キャリッジ13は、原稿台の原稿面における主走査方向の読取ライン分の光をレンズに導き、レンズは、原稿台の原稿面における主走査方向の読取ライン分の光を集光し、ラインセンサ68へ入射させる。ラインセンサ68は、キャリッジ13が副走査方向に移動するのに応じて、原稿面における主走査方向の読取ライン分の画素データを順次出力する。これにより、ラインセンサ68は、原稿面全体の画素データを出力する。
原稿センサ16は、原稿台の所定位置における原稿の有無を検知するセンサである。原稿センサ16は、発光部と受光部とを有するセンサである。原稿センサ16は、原稿台の検知位置へ向けて光を発光し、受光部が受光する信号レベルによって原稿の有無を検知する。たとえば、原稿センサ16は、図1に示すように、原稿の副走査方向の大きさを検知する位置に配置される。
プラテンスイッチ17は、プラテンカバー12の開閉状態を示す信号を出力する。後述する構成例において、プラテンスイッチ17は、フォトインタラプタ72(図4等を参照)がプラテンカバー12の開閉状態を示す信号を出力する。プラテンスイッチ17は、少なくともプラテンカバー12が開閉途中の状態であることを示す検知信号を出力する。すなわち、プラテンスイッチ17は、プラテンカバー12が完全に開放された状態から閉じる動作状態に移行したこと、あるいは、プラテンカバー12が完全に閉じた状態から開ける動作状態に移行したことを示す信号を出力する。
なお、システム制御部5は、スキャナ1の制御部として機能し、スキャナ1とシステム制御部5とにより画像読取装置を構成するものとして良い。また、スキャナ1は、スキャナCPUおよび各種メモリがシステム制御部5のCPU及び各種メモリと同様な機能を有することにより、画像読取装置として機能するものとしても良い。以下の説明では、主として、システム制御部5のCPU51が、各種の処理機能(プラテンカバーの状態検知(検知手段)、プラテンカバーの開閉検知(判断手段)、第1の検知動作(第1の原稿検知手段)、第2の検知動作(第1の原稿検知手段)など)を実現するものとするが、これらの処理は、スキャナ1のスキャナCPU61が実現するようにしても良い。
次に、プラテンスイッチ17について説明する。
図4は、プラテンカバー12が開放状態におけるプラテンスイッチ17の状態を示す図である。図5は、プラテンカバー12が開閉中の状態におけるプラテンスイッチ17の状態を示す図である。図6は、プラテンカバー12が閉鎖状態におけるプラテンスイッチ17の状態を示す図である。
図4乃至図6に示すように、プラテンスイッチ17は、プラテンレバー71とフォトインタラプタ72とを有する。プラテンレバー71は、プラテンカバー12の開閉に伴って上下方向に移動する。プラテンレバー71は、弾性体により支持される。プラテンレバー71は、プラテンカバー12が完全に開放された状態から閉じられる動作に伴って下方向に移動する。プラテンレバー71は、プラテンカバー12が完全に閉じられた状態から開けられる動作に伴って上方向に移動する。
フォトインタラプタ72は、検知位置におけるプラテンレバー71の有無を検知する。フォトインタラプタ72は、検知位置においてプラテンレバー71によって光路が遮断されると、出力電圧が変化する。つまり、フォトインタラプタ72は、プラテンレバー71を検知したことを示す出力信号を出力する。たとえば、CPU51或いはスキャナCPU61は、フォトインタラプタ72の出力電圧と所定の閾値とを比較することにより、光が遮断された状態(プラテンレバー12が検知された状態)かそれ以外かを判定する。なお、以降の説明においては、光が遮断された状態でフォトインタラプタ72が出力する信号を「H」とし、光が遮断されていない状態でフォトインタラプタ72が出力する信号を「L」とする。
たとえば、プラテンカバー12が完全に開放された状態(開放状態)では、図4に示すように、プラテンレバー71は、最も上に位置する状態にある。図4に示すプラテンカバー12の開放状態において、プラテンレバー71は、上部がプラテンカバー12の一部に接触した状態となっている。また、図4に示すプラテンカバーの開放状態において、プラテンレバー71は、フォトインタラプタ72に検知位置に達していない。
図4に示す開放状態からプラテンカバー12を閉めていくと、プラテンレバー71は、プラテンカバー12を閉じる動作に伴って下へ移動する。図5に示すように、プラテンカバー12が開閉中の状態であれば、プラテンレバー71は、下部がフォトインタラプタ72に検知位置に達する。図5に示す状態において、プラテンレバー71の下部は、フォトインタラプタ72の光路を遮断する。プラテンレバー71が図5に示す状態に移動すると(つまり、プラテンカバーの開閉中の状態になると)、フォトインタラプタ72は、出力が「L」から「H」に変化する。CPU51(或いはスキャナCPU61)は、フォトインタラプタ72の出力を監視する。CPU51は、フォトインタラプタ72の出力が「L」から「H」に変化すると、プラテンカバー12の開閉中の状態になったと判断する。
また、プラテンカバー12は、図5に示す開閉中の状態からさらに閉じられると、図6に示すように、完全に閉じた状態(閉鎖状態)となる。プラテンカバー12が閉鎖状態であれば、プラテンレバー71は、図6に示すように、最も下に位置する状態となる。図6に示すプラテンカバー12の閉鎖状態において、プラテンレバー71は、中空部がフォトインタラプタ72の検知位置となっている。このため、プラテンカバー12が図5に示す開閉中の状態から図6に示す閉鎖状態に移行すると、フォトインタラプタ72は、出力が「H」から「L」に変化する。また、プラテンレバー71が図6に示す閉鎖状態が維持されると、フォトインタラプタ72の出力は、「L」のままとなる。
次に、プラテンレバー71の構成について説明する。
図7(a)、(b)および(c)は、プラテンレバー71の構成例を示す図である。また、図8は、図7(a)、(b)或いは(c)に示すプラテンレバー71を図4乃至図6に示すように設置した場合のフォトインタラプタ72の出力を示す図である。
図7(a)は、図4乃至図6に示す構成と同様に、中間部分に空洞部(中空部)を設けたプラテンレバー71の構成例である。図7(a)に示すプラテンレバー71は、プラテンカバー12を完全に閉じた状態で、中空部がフォトインタラプタ72の検知位置になるように構成する。すなわち、図7(a)に示すプラテンレバー71で構成するプラテンスイッチ17は、図8に示すように、フォトインタラプタ72の出力が、プラテンカバー12が開閉中の状態で「H」となり、プラテンカバー12が開放状態あるいは閉鎖状態で「L」となる。
また、図7(b)は、凹部を設けたプラテンレバー71´の構成例である。図7(b)に示すプラテンレバー71´は、プラテンカバー12を完全に閉じた状態で、凹部がフォトインタラプタ72の検知位置になるように設置する。このため、フォトインタラプタ72は、プラテンカバー12を完全に閉じた状態で、凹部によりプラテンレバー71´を検知しない。従って、図7(b)に示すプラテンレバー71´で構成するプラテンスイッチ17は、図7(a)に示すプラテンレバー71と同様に、フォトインタラプタ72の出力が、プラテンカバー12が開閉中の状態で「H」となり、プラテンカバー12が開放状態あるいは閉鎖状態で「L」となる。
また、図7(c)は、下部以外が細い形状のプラテンレバー71´´の構成例である。図7(c)に示すプラテンレバー71´´は、プラテンカバー12を完全に閉じた状態で、細い部分がフォトインタラプタ72の検知位置になるように設置する。このため、フォトインタラプタ72は、プラテンカバー12を完全に閉じた状態ではプラテンレバー71´´を検知しない。従って、図7(c)に示すプラテンレバー71´´で構成するプラテンスイッチ17は、図7(a)に示すプラテンレバー71と同様に、フォトインタラプタ72の出力が、プラテンカバー12が開閉中の状態で「H」となり、プラテンカバー12が開放状態あるいは閉鎖状態で「L」となる。
なお、プラテンスイッチ17を構成するプラテンレバー71は、図7(a)、(b)および(c)に示す構成例に限定されるものではない。すなわち、プラテンレバー71は、プラテンカバー12が開閉中の状態であることをフォトインタラプタ27の出力で検知できるものであれば良い。さらに、プラテンスイッチ17は、プラテンレバー71とフォトインタラプタ72との組合せで構成されるものに限定されるものではく、プラテンカバー12が開閉中の状態であることを検知できるものであれば良い。
次に、プラテンカバー12が開放状態か閉鎖状態かを判断する機能について説明する。
上述したように、プラテンスイッチ17は、1つのフォトインタラプタ72の出力で、プラテンカバー12の状態を検知する。ただし、プラテンスイッチ17は、プラテンカバー12が開閉中の状態であるか、それ以外の状態(開放状態又は閉鎖状態)かを検知するものである。つまり、プラテンスイッチ17のフォトインタラプタ72の出力だけでは、プラテンカバー12が開放状態であるか閉鎖状態であるかは確定できない。このため、本実施形態に係るスキャナは、プラテンカバーが開放状態であるか閉鎖状態であるかをラインセンサ68の出力信号により判断する判断機能(判断手段)を有する。
図9は、スキャナ1における待機位置のキャリッジ13を示す図である。
図9に示すように、原稿台11には、実際に原稿が載置される領域R1と実際には原稿が載置されない領域(原稿外領域)R2とがある。原稿載置領域R1は、スキャナ1が読取り可能な最大サイズの原稿を載置する領域が原稿載置領域R1である。原稿外領域R2は、原稿台11としてのガラス領域における原稿載置領域R1の外側の領域である。図9に示す構成例では、原稿外領域R2は、待機位置のキャリッジ13が走査可能な主走査方向においても存在する。原稿外領域R2のうち待機位置のキャリッジ13が走査可能な領域を領域(検知ポイント)APTとする。
たとえば、原稿サイズ検知を行う最大の原稿サイズをA3サイズとした場合、原稿読取用のラインセンサ68が、原稿画像として読取るべき主走査方向の最大サイズは297mmとなる。原稿の主走査方向の最大サイズは297mmであれば、原稿載置領域R1は、主走査方向における297mmまでの領域である。この場合、原稿外領域R2は、主走査方向において、297mmより外側の領域であり、開閉検知領域APTは、待機位置のキャリッジ13が走査可能な領域のうち、主走査方向において297mmより外側の領域である。
たとえば、システム制御部5の不揮発性メモリ54は、原稿台に原稿がなく、かつ、プラテンカバー12が開放状態で開閉検知領域APTを読み取ったラインセンサ68の出力レベル(開放時の信号レベル)を記憶する。また、システム制御部5の不揮発性メモリ54は、原稿台に原稿がなく、かつ、プラテンカバー12が閉鎖状態で開閉検知領域APTを読み取ったラインセンサ68の出力レベル(閉鎖時の信号レベル)を記憶する。
CPU51は、フォトインタラプタ72の出力が「L」である場合、ラインセンサ68が領域APTを読み取った出力レベルが、カバー12の開放時の出力レベルであるか、カバー12の閉鎖時の出力レベルであるかを判断することにより、プラテンカバーが開放状態か閉鎖状態かを判断する。たとえば、CPU51は、フォトインタラプタ72の出力が「H」から「L」に変化した場合、ラインセンサ68が開閉検知領域APTを読み取った出力レベルが閉鎖時の信号レベルであれば、プラテンカバー12が開けた状態から完全に閉じられたものと判断する。
すなわち、プラテンスイッチ17は、プラテンカバー12の開放状態と閉鎖状態とで出力信号が同じ状態となる。このため、CPU51は、プラテンスイッチ17の出力だけでは、プラテンカバー12が開放状態か閉鎖状態かを確定できない。このため、CPU51は、キャリッジ13が待機位置の状態において、ラインセンサ68が開閉検知領域APTを読み取ることによりプラテンカバー12が開放状態か閉鎖状態かを判断する。この結果として、CPU51は、プラテンカバーが開閉中の状態、開放状態、および、閉鎖状態のうち何れの状態であるかを判断する。上述したプラテンカバー12の3つの状態を検知することにより、プラテンカバー12の状態に応じた判断基準を用いた原稿検知が実現でき、簡単な構成で精度の高い原稿サイズ検知を実現できる。
次に、スキャナ1における原稿の検知機能について説明する。
図10は、原稿の有無を検知する検知ポイントの設定例を示す図である。また、図11は、各検知ポイントにおける原稿の有無の組合せから判定される原稿サイズを示すテーブルの例である。なお、図11に示す原稿サイズを判定するためのテーブルは、不揮発性メモリ54或いは64に記録される。
図10に示す例では、A系(A3、A4、A5、B4、B5)の原稿サイズを検知する場合を想定するものとする。ここでは、ラインセンサ68の出力信号(画像信号)は、明るい場合に値が大きい値となり、暗い場合に小さい値となるものとする。
原稿の主走査方向のサイズは、原稿画像読取用のラインセンサ68を用いて検知する。図10に示す例では、主走査方向において、複数の検知ポイント(AP1〜AP5)における原稿の有無を検知する。主走査方向の各検知ポイントAP1〜AP5は、原稿の主走査方向のサイズを検知するためのポイントである。主走査方向の各検知ポイントAP1〜AP5は、A系(A3、A4、A5、B4、B5)の原稿を主走査方向のサイズで判別できる位置に設定する。
CPU51は、キャリッジ13を待機位置に固定した状態において、光源を発光させてラインセンサ68により主走査方向の読取ライン分の画素データを読込む。CPU51は、各検知ポイント(AP1〜AP5)のエリア(図中に示すエリア)の読取画素データとなるラインセンサの出力信号(エリアに相当する位置の複数の光電変換素子の出力信号)の平均値を求める。CPU51は、検知エリアごとに画素データの平均値とカバーの状態に応じて設定する閾値とを比較することにより、原稿の有無を検知する。
本実施形態に係るスキャナ1は、原稿サイズ検知動作として、第1の検知動作と第2の検知動作とを実行する。第1の検知動作は、プラテンカバー12が開いた状態において、各検知ポイントで原稿の有無を検知した結果により原稿のサイズを判定する処理である。これに対して、第2の検知動作は、プラテンカバー12を完全に閉じた状態において、各検知ポイントで原稿の有無を検知した結果により原稿のサイズを判定する処理である。第1の検知動作は、明るい(白い)原稿を検知するのに適した検知動作であり、第2の検知動作は、暗い(黒い)原稿を検知するのに適した検知動作である。
第1の検知動作による原稿の検知結果(第1の検知結果)と第2の検知動作による原稿の検知結果(第2の検知結果)とが得られた場合、CPU51は、第1の検知結果と第2の検知結果とを比較して、最終的な原稿サイズの検知結果を確定する。ただし、一方の検知結果しか得られない状態でスキャンを開始する場合、CPU51は、得られた方の検知結果により原稿サイズを確定する。
また、第1の検知動作として、CPU51は、主走査方向の幅検知について、各検知ポイントに相当するエリアの画素データの平均値が第1の閾値より高ければ原稿「有」と判断し、第1の閾値より低ければ原稿「無」と判断する。また、第1の検知動作として、CPU51は、副走査方向について、原稿センサ(APS1)16の出力値が、ある閾値より高いと原稿「有」と判断し、ある閾値より低ければ原稿「無」と判断する。なお、原稿センサ16は、原稿読取用のラインセンサ68ではなく、検知ポイントAPS1における原稿の有無を検知するために設けたセンサである。
また、第2の検知動作において、CPU51は、主走査方向について、各検知ポイントに相当するエリアの画素データの平均値が第2の閾値より高ければ原稿「無」と判断し、第2の閾値より低ければ原稿「有」と判断する。また、CPU51は、第2の検知動作では原稿センサ(APS1)16による副走査方向の原稿検知は行わない。
また、原稿サイズの確定(最終判断)処理において、CPU51は、第1検知動作による第2の検知結果と第2の検知動作による第2の検知結果とを比較し、最終的な検知結果を求める。たとえば、1つの検知ポイントに対して第1の検知結果と第2の検知結果とが異なる場合、CPU51は、原稿「有」の検知結果を優先して最終検知結果を求める。
図12は、第1の検知結果と第2の検知結果とを用いた最終検知結果の判定例を示す図である。図12に示す例において、検知ポイントAP1に対する第1の検知結果と第2の検知結果とが異なっている。第1の検知結果が原稿「有」で、第2の検知結果が原稿「無」となっている。このような場合、図12に示すように、原稿「有」を優先して最終の検知結果を求める。最終の検知結果が得られると、CPU51は、図11に示すようなテーブルと比較することにより、原稿サイズを確定する。たとえば、CPU51は、図12に示す最終検知結果を図11に示すテーブルにより、「A5−R」と判定する。
次に、プラテンカバー12の開閉検知処理について説明する。
また、プラテンスイッチ17は、プラテンカバー12が開放状態である場合とプラテンカバー12が閉鎖状態である場合とでは出力が同じになる(フォトインタラプタ72の出力が共に「L」となる)。このため、CPU51は、第2の検知動作をプラテンカバー12が開放状態で実行したか、プラテンカバー12が閉鎖状態で実行したかを判断する開閉検知処理を行う。
開閉検知処理を行うため、CPU51は、第1の検知動作において、図9又は図10に示す検知ポイントAPTの領域をラインセンサ68が読取った出力レベル(APTの出力レベル)を第1の検知結果とともにメインメモリ52に保存する。第1の検知動作におけるAPTの出力レベルを保持した状態において、CPU51は、第2の検知動作においても、APTの出力レベルを取得する。
CPU51は、開閉検知処理として、第1の検知動作で取得したAPTの出力レベルと第2の検知動作で取得したAPTの出力レベルとを比較することにより、プラテンカバー12が開放状態か閉鎖状態かを検知する。領域APTの出力レベルは、第1の検知動作においては、プラテンカバーが開閉中の状態での信号値であり、第2の検知動作においては、プラテンカバーが開放状態か、もしくは閉鎖状態での信号値とである。
すなわち、第2の検知動作におけるプラテンカバー12の閉鎖状態での出力レベルは、プラテンカバー12の原稿面側の色を読み取った出力レベルとなる。これに対して、プラテンカバー12の閉鎖状態での出力レベル、および、プラテンカバー12の開閉中の状態(閉じ途中状態から開状態への移行中、開状態から閉じ状態への移行中もしくは閉状態から一旦途中まで開いた後の閉じ状態への移行中の状態)での出力レベルは、プラテンカバー12が開いている状態の原稿なし状態の読取信号の出力レベルと同等となる。
従って、開閉検知処理として、CPU51は、第1の検知動作でのAPTの出力レベルと、第2の検知動作でのAPTの出力レベルとの信号差によって、プラテンカバー12が閉状態か否かを検出する。たとえば、第1の検知動作におけるAPTの出力レベルと第2の検知動作におけるAPTの出力レベルとの差分が所定の開閉検知用の閾値以上であれば、プラテンカバーが閉状態であると判断し、第1の検知動作におけるAPTの出力レベルと第2の検知動作におけるAPTの出力レベルとの差分が所定の開閉検知用の閾値未満であれば、プラテンカバーが開状態であると判断する。
次に、スキャナ1における原稿サイズ検知の動作例について説明する。
図13は、本実施形態に係るスキャナ1における原稿サイズ検知の動作例を説明するためのフローチャートである。
まず、システム制御部5のCPU51は、プラテンスイッチ17のフォトインタラプタ72の出力がLであるか否かを判断する(ACT11)。フォトインタラプタ72の出力がLでない(つまり、Hである)と判断した場合(ACT11、NO)、CPU51は、スキャン開始が指示されたか否をチェックする(ACT12)。スキャン開始の指示が無い状態において(ACT12、NO)、CPU51は、プラテンスイッチ17のフォトインタラプタ72の出力を監視し、フォトインタラプタ72の出力がHからLに変化したか否かをチェックする(ACT13)。
フォトインタラプタ72の出力がLに変化することなく(出力がHのままで)、スキャン開始が指示された場合(ACT12、YES)、CPU51は、プラテンカバー12が開閉中の状態のままで、スキャン開始が指示されたものと判断する。フォトインタラプタ72の出力がHのままでスキャン開始が指示された場合(ACT12、YES)、CPU51は、原稿サイズ検知が不能であるとし、原稿のサイズが未定のままスキャンを開始する(ACT15)。
フォトインタラプタ72の出力がLであると判断した場合(ACT11、YES)、あるいは、フォトインタラプタ72の出力がHからLに変化したと判断した場合(ACT13、YES)、CPU51は、スキャン開始が指示されたか否をチェックする(ACT20)。スキャン開始の指示がない状態で(ACT20、NO)、フォトインタラプタ72の出力がLからHに変化したと判断した場合(ACT21、YES)、CPU51は、第1の検知動作を実行する(ACT22)。第1の検知動作は、プラテンカバー12が開閉中の状態で各検知ポイントでの原稿の有無を検知する処理である。原稿の主走査方向における各検知ポイントの値は、ラインセンサ68の出力信号から求める。
すなわち、フォトインタラプタ72の出力がLからHに変化したと判断した場合、CPU51は、キャリッジ13の光源を点灯させて、各検知ポイントとなるエリアの画素データをラインセンサ68により読取る。CPU51は、ラインセンサ68の出力信号から各検知ポイントの画素データの平均値を算出する。CPU51は、各検知ポイントの画素データの平均値と第1の検知動作に用いる第1の閾値とを比較することにより、各検知ポイントに原稿が存在するか否かを判断する。各検知ポイントにおける原稿の有無の判断結果は、第1の検知動作による第1の検知結果としてメインメモリ52などのメモリに保持する。
また、CPU51は、第1の検知動作として、図9又は図10に示す検知ポイントAPTの領域をラインセンサ68が読取った出力レベル(APTの出力レベル)を第1の検知結果とともにメインメモリ52に保存する。第1の検知動作における領域APTの出力レベルは、第2の検知動作においてプラテンカバーの開閉を検知するための比較情報として用いる。
フォトインタラプタ72の出力がLからHに変化した後も、CPU51は、スキャン開始が指示されたか否をチェックする(ACT23)。スキャン開始の指示がない状態で(ACT23、NO)、フォトインタラプタ72の出力がさらにHからLに変化したと判断した場合(ACT24、YES)、CPU51は、第2の検知動作を実行する(ACT25)。第2の検知動作は、プラテンカバー12が閉鎖された状態で各検知ポイントでの原稿の有無を検知する処理である。CPU51は、原稿の主走査方向における各検知ポイントの値(各検知ポイントの画素データの平均値)をラインセンサ68の出力信号から算出する。CPU51は、算出した各検知ポイントの値と第2の検知動作に用いる第2の閾値とを比較することにより、各検知ポイントにおける原稿の有無を判断する。
すなわち、フォトインタラプタ72の出力がHからLに変化したと判断した場合、CPU51は、キャリッジ13の光源を点灯させて、各検知ポイントとなるエリアの画素データをラインセンサ68により読取る。CPU51は、ラインセンサ68の出力信号から各検知ポイントの画素データの平均値を算出する。CPU51は、各検知ポイントの画素データの平均値と第2の検知動作に用いる第2の閾値とを比較することにより、各検知ポイントに原稿が存在するか否かを判断する。各検知ポイントにおける原稿の有無の判断結果は、第2の検知動作による第2の検知結果としてメインメモリ52などのメモリに保持する。
また、CPU51は、第2の検知動作とともにプラテンカバー12の開閉検知処理を実行する(ACT26)。プラテンカバー12の開閉検知処理において、CPU51は、原稿台11における原稿外領域R2をラインセンサ68が読取った値に基づいてプラテンカバーが開放されているか閉鎖されているかを判断する。すなわち、CPU51は、第2の検知動作において、図9又は図10に示す検知ポイントAPTの領域をラインセンサ68が読取った出力レベル(APTの出力レベル)を取得する。CPU51は、第2の検知動作で取得したAPTの出力レベルと、メインメモリ52に保存している第1の検知動作でのAPTの出力レベルと、を比較することにより、プラテンカバー12が開放状態か閉鎖状態かを判断する(ACT27)。
たとえば、第2の検知動作におけるAPTの出力レベルと第1の検知動作における領域APTの出力レベルとの差分が所定の閾値(開閉判定用の閾値)未満であれば、CPU51は、プラテンカバー12が開放状態であると判断する(ACT27、NO)。この場合(ACT27、NO)、プラテンカバー12は、一旦途中まで閉じられた後に完全に閉じることなく、再び開放されたものと推測できる。このため、CPU51は、これまでの原稿の検知結果を無効とし、メインメモリ52に保持している第1の検知結果及び第2の検知結果をクリアする(ACT28)。CPU51は、メインメモリ52に保持した第1の検知結果及び第2の検知結果をクリアした場合、CPU51は、ACT20へ戻り、上述した処理を再び実行する。
また、第2の検知動作における領域APTの出力レベルと第1の検知動作における領域APTの出力レベルとの差分が所定の開閉判定用の閾値以上であれば、CPU51は、プラテンカバー12が閉鎖状態であると判断する(ACT27、YES)。この場合(ACT27、YES)、プラテンカバー12が閉じる途中で第1の検知動作を実行し、かつ、プラテンカバー12が閉じた状態で第2の検知動作を実行したものと推測できる。このため、CPU51は、メインメモリ52に保持している第1の検知結果及び第2の検知結果を有効とし、第1の検知結果及び第2の検知結果を用いた原稿サイズの最終判断処理を実行する(ACT29)。
たとえば、CPU51は、第1の検知結果及び第2の検知結果が異なる場合には原稿有りの検知結果を優先して各検知ポイントの原稿の有無を示す最終検知結果を決定する。最終検知結果を得ると、CPU51は、最終検知結果と図12に示すような原稿サイズを判定するテーブルとを比較することにより、原稿のサイズを確定する。原稿サイズを確定すると、CPU51は、確定した原稿サイズを示す情報をメインメモリ52などのメモリに保存する。
最終判断処理により確定した原稿サイズを保持した状態において、CPU51は、スキャンが開始されるまで、プラテンスイッチ17のフォトインタラプタ72の出力を監視する(ACT30)。フォトインタラプタ72の出力がLからHに変化することなく(ACT30、NO)、スキャンが開始された場合(ACT31、YES)、CPU51は、確定した原稿サイズに基づいて原稿のスキャンを開始する(ACT15)。
また、最終判断処理により原稿サイズが確定した後であっても、フォトインタラプタ72の出力がLからHに変化した場合(ACT30、YES)、CPU51は、確定した原稿サイズを示す情報をクリアし、ACT22へ戻り、第1の検知動作を再び実行する。
また、フォトインタラプタ72の出力がLのままで(変化することなく)、スキャン開始が指示された場合(ACT20、YES)、CPU51は、プラテンカバー12の開閉状態を検知する(ACT40)。プラテンカバー12が開放状態であると判断した場合(ACT41、NO)、CPU51は、第1の検知動作を実行し(ACT42)、第1の検知動作による第1の検知結果により原稿のサイズを確定する(ACT43)。
また、プラテンカバー12が閉鎖状態であると判断した場合(ACT41、YES)、CPU51は、第2の検知動作を実行し(ACT44)、第2の検知動作による第2の検知結果により原稿のサイズを確定する(ACT45)。第1の検知結果あるいは第2の検知結果により原稿のサイズを確定すると、CPU51は、原稿のスキャンを開始する(ACT15)。
上記のように、本実施形態に係るスキャナでは、プラテンスイッチによりプラテンカバーが開閉中の状態であるか否かを検知し、さらに、プラテンカバーの開閉検知処理によってプラテンカバーが開放状態か閉鎖状態かを判断する。
これにより、本実施形態に係るスキャナは、プラテンカバーの状態が、開閉中の状態、開放状態、および、閉鎖状態の何れであるかを判断でき、開閉中に実施すべき第1の検知動作と閉鎖状態で実施すべき第2の検知動作とを確実に実行できる。また、プラテンスイッチは、プラテンカバーが開閉中の状態であるか否かを検知できるものであれば良い。このため、プラテンスイッチは、例えば、1つのフォトインタラプタで構成でき、コスト削減が見込める。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に本件出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
原稿台上の画像を光電変換した出力信号を出力する光電変換手段と、
前記原稿台上で開閉するカバーが開閉中の状態であることを検知する検知手段と、
前記カバーが開閉中の状態であることを前記検知手段が検知していない状態において前記カバーが開放状態か閉鎖状態かを判断する判断手段と、
前記検知手段により前記カバーが開閉中の状態であることを検知した場合、前記原稿台における複数の検知位置における原稿の有無を、前記光電変換手段の前記各検知位置の出力信号と第1の閾値との比較により判断する第1の原稿検知手段と、
前記判断手段により前記カバーが閉鎖状態であると判断した場合、前記各検知位置における原稿の有無を、前記光電変換手段の前記各検知位置の出力信号と第2の閾値との比較により判断する第2の原稿検知手段と、
を有する画像読取装置。
[2]
前記検知手段は、前記カバーの開閉中の状態とそれ以外の状態とで出力値が変化する1つのセンサを有する、
前記[1]に記載の画像読取装置。
[3]
前記検知手段は、さらに、前記カバーの開閉動作に伴って動作し、前記カバーの開閉中の状態とそれ以外の状態とで前記センサの出力値を変化させる形状のレバーを有する、
前記[2]に記載の画像読取装置。
[4]
前記判断手段は、さらに、前記原稿台における原稿外領域を光電変換した前記光電変換手段の出力信号のレベルから前記カバーが開放状態か閉鎖状態かを判断する、
前記[1]乃至[3]の何れか1項に記載の画像読取装置。
[5]
さらに、前記第1の原稿検知手段による検知結果と前記第2の原稿検知手段による検知結果とを組み合わせて原稿のサイズを判定するサイズ判定手段を有する。
前記[1]乃至[4]の何れか1項に記載の画像読取装置。