JP5683045B2 - 巻線成形装置および巻線成形方法 - Google Patents
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Description
まず、最終的に製造されるコイル1の構造について説明する。ここで、図1はコイル1の外観斜視図であり、図2はコイル1の正面図であり、図3はコイル1の上面図である。なお、図1において色付け部分は、後述する開き円弧成形工程にて平角導体10が変形する部分を示したものである。コイル1は、平角導体10からなるものである。ここで、平角導体10は、導電性の高い銅やアルミニウム等の金属を矩形断面のワイヤとして形成したものであり、その周囲はエナメル等の絶縁被覆材で覆われている。そして、この平角導体10に対してエッジワイズ曲げ加工やフラットワイズ曲げ加工を行って、コイル1を製造する。ここで、「エッジワイズ曲げ加工」とは、平角導体10の矩形断面における短辺側の一方の面を内径面とし他方の面を外径面として、当該平角導体10を短辺側方向に曲げて成形することである。また、「フラットワイズ曲げ加工」とは、平角導体10の矩形断面における長辺側の一方の面を内径面とし他方の面を外径面として、当該平角導体10を長辺側方向に曲げて成形することである。
次に、以上のような構造のコイル1の製造方法の全体的な概要について説明する。コイル1の製造方法では、巻線工程、凸成形工程、クランク成形工程、90°曲げ成形工程、開き円弧成形工程の順に行う。
まず、巻線工程について説明する。巻線工程では、図4と図5に示すような形状の巻線38を成形する。このように成形された巻線38は、図4と図5に示すように、端部12と端部14を除いて、角丸長方形状(オーバル形状)に成形されている。そして、巻線38は、角丸長方形状に成形された部分において、直線形状のスロット内予定部40と、円弧形状のリード側コイルエンド予定部42と、円弧形状の反リード側コイルエンド予定部44とを備える。また、巻線38は、隣り合う平角導体10の間に隙間δを備える。この隙間δは、平角導体10が挿入できる大きさとし、詳しくは、平角導体10の短辺幅分の大きさとする。このように、巻線工程において、最終形状のコイル1に備わる隙間δが成形される。
次に、凸成形工程について説明する。凸成形工程では、巻線38を図6と図7に示すような形状に成形する。このように成形された巻線38は、図6と図7に示すように、リード側コイルエンド予定部42と反リード側コイルエンド予定部44が各々、巻線38の外周方向(図6の上下方向)に突出する凸形状に成形される。なお、図7に示すように、隣り合う平角導体10の間に備わる隙間δを維持している。
次に、クランク成形工程について説明する。クランク成形工程では、巻線38を図8と図9に示すような形状に成形する。このように成形された巻線38は、図8と図9に示すように、リード側コイルエンド予定部42と反リード側コイルエンド予定部44にて、各々、平角導体10の積層方向(図9の上下方向)に平角導体10の短辺幅の大きさの段差からなるレーンチェンジ部24,32が成形される。そして、リード側コイルエンド予定部42にて、第1縁部26と第2縁部28との間にレーンチェンジ部24が成形される。また、反リード側コイルエンド予定部44にて、第1縁部34と第2縁部36との間にレーンチェンジ部32が成形される。なお、図9に示すように、隣り合う平角導体10の間において隙間δを維持している。また、図9に示すように、レーンチェンジ部24とレーンチェンジ部32とは互いに反対方向に成形されている。このように、クランク成形工程において、最終形状のコイル1に備わるレーンチェンジ部24とレーンチェンジ部32とが成形される。
次に、90°曲げ成形工程について説明する。90°曲げ成形工程では、巻線38を図10と図11に示すような形状に成形する。このように成形された巻線38は、図10と図11に示すように、リード側コイルエンド予定部42での平角導体10の積層方向と反リード側コイルエンド予定部44での平角導体10の積層方向とが直交するように成形される。そして、リード側コイルエンド予定部42の頂点部46は、平角導体10の積層方向(図10の奥行方向、図11の上下方向)について、巻線38の外周方向(図10の上下方向)の位置が同じ位置に揃っている。
次に、開き円弧成形工程について説明する。開き円弧成形工程は、開き成形工程と円弧成形工程とを同時に行う工程である。開き円弧成形工程では、巻線38の周上における一対のスロット内予定部40の間隔が平角導体10の積層方向について徐々に広くなるように成形する開き成形を行う。すなわち、前記の図3に示すように、コイル1の周上における一対のスロット内配置部16の間隔L1〜L5が平角導体10の積層方向(図3の上方向)に沿って、間隔L1,L2,L3,L4,L5の順に徐々に広くなるように成形される。これにより、スロット内配置部16をステータ60(図16参照)の径方向に放射状に形成されるスロット66(図16参照)内に確実に配置できる。
次に、以上のように製造されたコイル1を使用したステータ60の製造方法について説明する。ここで、図12はステータコア62に配置するために追加工した後のコイル1の正面図であり、図13はステータコア62に配置するために追加工した後のコイル1の上面図である。また、図14はコイル籠64において隣り合う2本のコイル1A,1Bを抜き出して示した正面図であり、図15はコイル籠64において隣り合う2本のコイル1A,1Bを抜き出して示した上面図である。そして、図16はコイル籠64の一部がステータコア62に挿入される様子を表した斜視図であり、図17はステータ60の斜視図である。
次に、前記の開き円弧成形工程において使用する開き円弧成形装置80(本発明の巻線成形装置の一例)について、説明する。
以上のような本実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。本実施例の開き円弧成形装置80は、平角導体10が周状に巻かれつつ隣り合う平角導体10の間に平角導体10の幅の大きさの隙間δを備えるように積層して成形される巻線38に対し、開き成形と円弧成形を行うものである。このとき、巻線38は、ステータコア62のスロット66の内部に配置されるスロット内配置部16に相当するスロット内予定部40と、ステータコア62に対し電源供給用のリード線(不図示)が接続される側に配置されるリード側コイルエンド配置部18に相当し一対のスロット内予定部40の間を連結するリード側コイルエンド予定部42と、リード側コイルエンド予定部42の反対側にて一対のスロット内予定部40の間を連結する反リード側コイルエンド予定部44とを備える。
なお、上記の各工程は順序を変更してもよい。例えば、変形例として、前記の実施例の各工程の順序に対し凸成形工程とクランク成形工程の順序を入れ替えて、巻線工程、クランク成形工程、凸成形工程、90°曲げ成形工程、開き円弧成形工程の順序としてもよい。このような変形例において、クランク成形工程による成形後における巻線38について、その外観斜視図を図34に示し、その上面図を図35に示す。
2 コイル
10 平角導体
16 スロット内配置部
18 リード側コイルエンド配置部
20 反リード側コイルエンド配置部
22 折り曲げ部
24 レーンチェンジ部
26 第1縁部
28 第2縁部
30 R形状部
32 レーンチェンジ部
34 第1縁部
36 第2縁部
38 巻線
40 スロット内予定部
42 リード側コイルエンド予定部
44 反リード側コイルエンド予定部
46 (リード側コイルエンド予定部の)頂点部
48 (反リード側コイルエンド予定部の)頂点部
50 R形状予定部
52 (リード側コイルエンド予定部の)凸部
54 (反リード側コイルエンド予定部の)凸部
60 ステータ
62 ステータコア
64 コイル籠
66 スロット
68 渡し部
70 リード部
72 渡し部
74 接合部
76 端面
80 開き円弧成形装置
82 外側円弧成形型
84 内側円弧成形型
88 内側保持ブロック
90 外側保持ブロック
92 開き成形型
96 リード側保持機構
106 本体部
108A,108B ブレード
110A,110B 円弧成形部
112A,112B 突出部
116 (内側保持ブロックの)端面
124 外側保持ブロック
126 内側保持ブロック
132 (リード側コイルエンド予定部の)端部
δ 隙間
Claims (5)
- 導体を周状に巻きながら積層し、ステータコアのスロットの内部に配置される部分に相当する一対のスロット内予定部と、前記一対のスロット内予定部の間を連結するコイルエンド予定部とを備える巻線に対し成形を行う巻線成形装置において、
前記一対のスロット内予定部の各々を保持し、前記一対のスロット内予定部の各々を互いに異なる方向に傾け、前記一対のスロット内予定部どうしの間隔が前記導体の積層方向について徐々に大きくなる形状に前記巻線を成形する開き成形を行うときに、前記コイルエンド予定部における前記スロット内予定部に接続する端部を保持する保持機構を有すること、
を特徴とする巻線成形装置。 - 請求項1の巻線成形装置において、
前記巻線は、隣り合う前記導体の間に前記導体の幅の大きさの隙間を備えるように積層して形成されており、
前記巻線の前記隙間に挿入可能な板状のブレードを有し、
前記ブレードは、板厚方向に湾曲する円弧形状に形成され前記コイルエンド予定部に前記導体の積層方向に湾曲する円弧形状部分を成形する円弧成形を行う円弧成形部と、前記円弧成形部よりも幅が小さく前記円弧成形部から前記巻線が配置される側に向かって突出する突出部と、を備えること、
を特徴とする巻線成形装置。 - 請求項2の巻線成形装置において、
前記ブレードの前記突出部を前記巻線の前記隙間に挿入したときに前記開き成形を開始すること、
を特徴とする巻線成形装置。 - 請求項1乃至3のいずれか1つの巻線成形装置において、
前記コイルエンド予定部として、前記ステータコアに対し電源供給用のリード線が接続される側に配置される部分に相当するリード側コイルエンド予定部と、前記リード側コイルエンド予定部と対をなす反リード側コイルエンド予定部とを備え、
前記リード側コイルエンド予定部における前記導体の積層方向と前記反リード側コイルエンド予定部における前記導体の積層方向とが互いに直交しており、
前記反リード側コイルエンド予定部の内側から前記反リード側コイルエンド予定部に対し成形荷重を加えることにより前記開き成形を行う開き成形型と、
前記反リード側コイルエンド予定部の内側に配置され前記反リード側コイルエンド予定部を保持する内側保持ブロックと、を有し、
前記開き成形型は前記内側保持ブロックと接触しながら前記開き成形を行うこと、
を特徴とする巻線成形装置。 - 導体を周状に巻きながら積層し、ステータコアのスロットの内部に配置される部分に相当する一対のスロット内予定部と、前記一対のスロット内予定部の間を連結するコイルエンド予定部とを備える巻線に対し成形を行う巻線成形方法において、
前記一対のスロット内予定部の各々を保持し、前記一対のスロット内予定部の各々を互いに異なる方向に傾け、前記一対のスロット内予定部どうしの間隔が前記導体の積層方向について徐々に大きくなる形状に前記巻線を成形する開き成形工程を有し、
前記開き成形工程では、前記コイルエンド予定部における前記スロット内予定部に接続する端部を保持すること、
を特徴とする巻線成形方法。
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