JP2013233026A - 保持部材およびコイルの製造方法 - Google Patents

保持部材およびコイルの製造方法 Download PDF

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Shingo Hashimoto
伸吾 橋本
Takato Harada
崇斗 原田
Hiroyuki Tanaka
宏幸 田中
Takanori Ota
貴憲 太田
Yoshihiro Okazaki
吉宏 岡崎
Manabu Kitamura
学 北村
Atsushi Watanabe
敦 渡辺
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Abstract

【課題】巻線を一定の形状に保った状態で、巻線を搬送し、かつ、巻線を成形することができる保持部材および当該保持部材を用いたコイルの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、キャリア80は、互いに平行な複数の溝90Aおよび複数の溝90Bが平角導体10の幅の大きさの間隔をあけて設けられ、スロット内予定部40を構成する平角導体10を溝90Aおよび溝90Bに挿入して巻線38を保持し複数の工程で使用される保持機構82Aおよび保持機構82Bを有する。
【選択図】 図18

Description

本発明は、自動車用回転電機などに使用されるコイルの製造にあたり、当該コイルを構成する巻線を保持する保持部材および当該保持部材を用いたコイルの製造方法に関する。
自動車用回転電機などに使用されるコイルに関する従来技術として、特許文献1には、レーンチェンジ部に相当するクランク形状部を備えるコイルが配置されたステータを有する回転電機の技術が開示されている。この特許文献1の技術では、平角導体を六角のボビンに巻いて巻線を成形し、その後、成形型を用いて前記の巻線を加工することにより、クランク形状部を備えるコイルを成形している。そして、このクランク形状部を備えるコイルをステータコアに配置して、ステータを製造している。
また、特許文献2には、2つの同相のコイルが互いに渡り線で接続されており、当該2つの同相のコイルがなす周回の一部が互い重なるようにして、ステータコアの隣接したスロットに配置される技術が開示されている。
特開2008−104293号公報 特開2009−195006号公報
ここで、特許文献1や特許文献2の技術では、いずれもコイルに備わるレーンチェンジ部は、コイルのユニット単位でかわすように設計が為されている。そのため、例えば、コイルが3回巻きなら、一方のコイルのユニットは他方のコイルのユニットと干渉しないように、導体3本分の幅をレーンチェンジ部でかわすように設計が為されている。しかしながら、このレーンチェンジ部として使える幅は、ステータコアの径の大きさによって制約されてしまう。そのため、コイルの巻回数が多くなるとレーンチェンジ部が大きくなるので、レーンチェンジ部をステータコアの径方向に逃がすことが困難になり、レーンチェンジ部をステータコアの軸方向に逃がさなければならないおそれがある。そして、これにより、コイルエンドが大きくなってしまい、ステータおよびモータが大型化してしまう。
そこで、本出願人は、特許出願(出願番号 特願2012−042124)において、ステータにおけるコイルエンドの小型化を可能とするコイルを提案し、そのコイルの製造方法について提案をした。
ここで、提案したコイルの製造方法では複数の工程を有しているので、各工程で使用する各装置にコイルを構成する巻線を搬送する必要がある。そこで、ロボットのアームにより巻線を直接掴んで、巻線を搬送することが考えられる。しかし、隣り合う導体間に隙間を備える巻線を当該隙間を一定に保った状態で成形するときには、ロボットのアームにより巻線を掴むと、巻線の搬送中に前記の隙間を一定且つ一対の直線形状部(スロット内予定部)を互いに平行に保つことができず、巻線を一定の形状に保つことができない。そのため、巻線を変形させてしまい、最終的に製造されるコイルについて隣り合う導体間に隙間を備えるような所望の形状に製造できないおそれがある。
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、巻線を一定の形状に保った状態で、巻線を搬送し、かつ、巻線を成形することができる保持部材および当該保持部材を用いたコイルの製造方法を提供すること、を課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、導体を周状に巻きながら積層して成形される巻線を保持する保持部材において、前記巻線は、積層方向について隣り合う前記導体の間に前記導体の幅の大きさの隙間を備えており、かつ、周上に直線形状部と一対の前記直線形状部を連結する連結部とを備え、互いに平行な複数の溝が前記導体の幅の大きさの間隔をあけて設けられ、前記直線形状部を構成する前記導体を前記溝に挿入して前記巻線を保持し複数の工程で使用される保持機構を有すること、を特徴とする。
この態様によれば、保持機構に設けられる互いに平行な複数の溝に導体を挿入することにより、隣り合う導体間の隙間を一定且つ一対の直線形状部を互いに平行に保った形状で巻線を保持機構にて保持することができる。すなわち、レーンチェンジを連結部とした状態を保持することができる。そして、保持機構を複数の工程に搬送することにより、前記の形状を一定に保った状態で巻線を各装置に搬送することができる。また、巻線を成形する各工程にて、前記の形状を一定に保った状態で巻線に対し成形を行うことができる。以上のようにして、巻線を一定の形状に保った状態で、巻線を搬送し、かつ、巻線を成形することができる。
上記の態様においては、前記直線形状部はステータコアのスロット内に配置される予定のスロット内予定部であり、前記連結部は前記ステータコアのコイルエンドに配置される予定のコイルエンド予定部であること、が好ましい。
この態様によれば、直線形状部はステータにおいてステータコアのスロットに装着された状態で保持される部分なので、導体を周状に巻きながら積層して巻線を成形する巻線工程以後の工程で直線形状部に対し成形を行なう必要はない。そのため、保持部材は直線形状部を保持した状態で複数の工程にて使用することができる。よって、簡単に巻線(コイル)を成形することが出来る。
上記の態様においては、前記巻線を保持した状態において、前記連結部の内側に前記コイルエンド予定部を成形する成形型の出し入れをする成形型空間を形成すること、が好ましい。
この態様によれば、成形型空間に成形型を挿入してコイルエンド予定部を確実に成形することができる。
上記の態様においては、前記溝の長さは前記直線形状部の直線方向の長さよりも小さいこと、が好ましい。
この態様によれば、保持部材の小型化を図って、巻線を成形する装置の小型化を図ることができる。
上記の態様においては、前記保持機構は、前記溝が設けられる保持部と前記保持部が搭載される本体部と前記溝の配列方向の一端側に設けられる支点軸と、を備え、前記保持部は前記本体部に対し前記支点軸を中心にして前記巻線の外周方向に回転可能であること、が好ましい。
この態様によれば、巻線に対し開き成形を行うときに巻線が成形される形状に合わせて保持部を回転させることができるので、確実に、巻線に対し開き成形を行うことができる。なお、開き成形とは、巻線の周上に配置される一対の直線形状部の間隔が導体の積層方向について徐々に大きくなるように成形することである。
上記の態様においては、前記保持機構を搬送する車輪を備える搬送機構を有すること、が好ましい。
この態様によれば、複数の工程で使用される各装置への巻線の搬送や、当該各装置内への保持機構の配置を容易に行うことができる。そのため、巻線を短時間で効率的に成形することができるので、巻線により構成されるコイルの製造効率が向上する。
上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様は、導体を周状に巻きながら積層して成形される巻線を保持する保持部材を用いたコイルの製造方法において、前記コイルは前記巻線により構成され、前記巻線は、積層方向について隣り合う前記導体の間に前記導体の幅の大きさの隙間を備えており、かつ、周上に直線形状部と一対の前記直線形状部を連結する連結部とを備え、前記保持部材は、互いに平行な複数の溝が前記導体の幅の大きさの間隔をあけて設けられ、前記直線形状部を構成する前記導体を前記溝に挿入して前記巻線を保持し複数の工程で使用される保持機構を有すること、を特徴とする。
この態様によれば、保持機構に設けられる互いに平行な複数の溝に導体を挿入することにより、隣り合う導体間の隙間を一定且つ一対の直線形状部を互いに平行に保った形状で巻線を保持機構にて保持することができる。すなわち、レーンチェンジを連結部とした状態を保持することができる。そして、保持機構を複数の工程に搬送することにより、前記の形状を一定に保った状態で巻線を各装置に搬送することができる。また、巻線を成形する各工程にて、前記の形状を一定に保った状態で巻線に対し成形を行うことができる。以上のようにして、巻線を一定の形状に保った状態で、巻線を搬送し、かつ、巻線を成形することができる。
上記の態様においては、前記直線形状部はステータコアのスロット内に配置される予定のスロット内予定部であり、前記連結部は前記ステータコアのコイルエンドに配置される予定のコイルエンド予定部であること、が好ましい。
この態様によれば、直線形状部はステータにおいてステータコアのスロットに装着された状態で保持される部分なので、導体を周状に巻きながら積層して巻線を成形する巻線工程以後の工程で直線形状部に対し成形を行なう必要はない。そのため、保持部材は直線形状部を保持した状態で複数の工程にて使用することができる。よって、簡単に巻線(コイル)を成形することが出来る。
上記の態様においては、前記保持部材は、前記巻線を保持した状態において、前記連結部の内側に前記コイルエンド予定部を成形する成形型の出し入れをする成形型空間を形成すること、が好ましい。
この態様によれば、成形型空間に成形型を挿入してコイルエンド予定部を確実に成形することができる。
上記の態様においては、前記溝の長さは前記直線形状部の直線方向の長さよりも小さいこと、が好ましい。
この態様によれば、保持部材の小型化を図って、巻線を成形する装置の小型化を図ることができる。
上記の態様においては、前記導体を周状に巻きながら積層して前記巻線を成形する巻線工程と、前記連結部を前記巻線の外周方向に突出する凸形状に成形する凸成形工程と、前記連結部にて前記導体の積層方向に前記導体の幅の大きさの段差を成形するクランク成形工程と、周上に配置される一対の前記直線形状部の間隔が前記導体の積層方向について徐々に大きくなるように成形する開き成形工程と、周上に配置される一対の前記連結部のうちの一方または両方の前記連結部に前記導体の積層方向に湾曲する円弧形状部分を成形する円弧成形工程と、を有し、各工程では前記保持機構にて前記巻線を保持しており、前記保持機構は、前記溝が設けられる保持部と前記保持部が搭載される本体部と前記溝の配列方向の一端側に設けられる支点軸と、を備え、前記開き成形工程では、前記保持部を前記本体部に対し前記支点軸を中心にして前記巻線の外周方向に回転させること、が好ましい。
この態様によれば、巻線に対し開き成形を行うときに巻線が成形される形状に合わせて保持部を回転させることができるので、確実に、巻線に対し開き成形を行うことができる。
上記の態様においては、前記保持部材は、前記保持機構を搬送する車輪を備える搬送機構を有すること、が好ましい。
この態様によれば、複数の工程で使用される各装置への巻線の搬送や、当該各装置内への保持機構の配置を容易に行うことができる。そのため、巻線を短時間で効率的に成形することができるので、巻線により構成されるコイルの製造効率が向上する。
本発明に係る保持部材および当該保持部材を用いたコイルの製造方法によれば、巻線を一定の形状に保った状態で、巻線を搬送し、かつ、巻線を成形することができる。
コイルの外観斜視図である。 コイルの正面図である。 コイルの上面図である。 巻線工程による成形後における巻線の外観斜視図である。 巻線工程による成形後における巻線の上面図である。 凸成形工程による成形後における巻線の外観斜視図である。 凸成形工程による成形後における巻線の上面図である。 クランク成形工程による成形後における巻線の外観斜視図である。 クランク成形工程による成形後における巻線の上面図である。 90°曲げ成形工程による成形後における巻線の外観斜視図である。 90°曲げ成形工程による成形後における巻線の上面図である。 ステータコアに配置するために追加工した後のコイルの正面図である。 ステータコアに配置するために追加工した後のコイルの上面図である。 コイル籠において隣り合う2本のコイルを抜き出して示した正面図である。 コイル籠において隣り合う2本のコイルを抜き出して示した上面図である。 コイル籠の一部がステータコアに挿入される様子を表した斜視図である。 ステータの斜視図である。 キャリアの外観斜視図である。 キャリアの側面図であり、一対の本体部が離間した状態を示す図である。 キャリアの側面図であり、一対の本体部が当接した状態を示す図である。 巻線工程にてリード側巻型と反リード側巻型とキャリアにより平角導体を巻き取って巻線を成形した状態を示す上面図である。 巻線を成形した後にて、キャリアに巻線を保持させた状態を示す外観斜視図である。 凸クランク成形工程にて巻線に対し凸成形とクランク成形を行うときの型とキャリアの配置を示す上面図である。 凸成形とクランク成形を行った後にて、キャリアに巻線を保持させた状態を示す外観斜視図である。 90°曲げ成形工程にて巻線に対し90曲げ成形を行うときの型とキャリアの配置を示す上面図である。 90°曲げ成形を行った後にて、キャリアに巻線を保持させた状態を示す外観斜視図である。 円弧開き成形工程にて巻線に対し円弧開き成形を行う前の型とキャリアの配置を示す図である。 円弧開き成形工程にて巻線に対し円弧開き成形を行った後の型とキャリアの配置を示す図である。 円弧開き成形を行った後にて、キャリアに巻線を保持させた状態を示す外観斜視図である。 変形例においてクランク成形工程による成形後における巻線の外観斜視図である。 変形例においてクランク成形工程による成形後における巻線の上面図である。 折り曲げ部を有さないコイルの外観斜視図である。 折り曲げ部を有さないコイルの正面図である。 折り曲げ部を有さないコイルの上面図である。
ここでは、まず、最終的に製造されるコイルの構造および当該コイルの製造方法、さらに製造されたコイルを使用するステータについての全体的な概要について説明する。そして、その後、保持部材および当該保持部材を用いたコイルの製造方法について詳細に説明する。
〔コイルの構造〕
まず、最終的に製造されるコイル1の構造について説明する。ここで、図1はコイル1の外観斜視図であり、図2はコイル1の正面図であり、図3はコイル1の上面図である。なお、図1において色付け部分は、後述する開き円弧成形工程にて平角導体10が変形する部分を示したものである。コイル1は、平角導体10からなるものである。ここで、平角導体10は、導電性の高い銅やアルミニウム等の金属を矩形断面のワイヤとして形成したものであり、その周囲はエナメル等の絶縁被覆材で覆われている。そして、この平角導体10に対してエッジワイズ曲げ加工やフラットワイズ曲げ加工を行って、コイル1を製造する。ここで、「エッジワイズ曲げ加工」とは、平角導体10の矩形断面における短辺側の一方の面を内径面とし他方の面を外径面として、当該平角導体10を短辺側方向に曲げて成形することである。また、「フラットワイズ曲げ加工」とは、平角導体10の矩形断面における長辺側の一方の面を内径面とし他方の面を外径面として、当該平角導体10を長辺側方向に曲げて成形することである。
図1〜図3に示すように、コイル1は、平角導体10を周状に巻きながら積層して成形されるものである。このコイル1は、隣り合う平角導体10の間に平角導体10の積層方向の隙間δを備える。この隙間δは、平角導体10が挿入できる大きさとしており、詳しくは、平角導体10の短辺幅分の大きさとしている。そして、コイル1は、端部12、端部14、スロット内配置部16、リード側コイルエンド配置部18、反リード側コイルエンド配置部20、折り曲げ部22などを備えている。
ここで、スロット内配置部16は、コイル1をステータコア62(図16参照)に配置するときにスロット66(図16参照)の内部に配置される部分である。このスロット内配置部16は、図1や図2に示すように、図面の上下方向について直線形状に成形されている。
また、リード側コイルエンド配置部18は、コイル1をステータコア62(図16参照)に配置するときにスロット66(図16参照)の外部に配置される部分である。このリード側コイルエンド配置部18は、図1〜図3に示すように、レーンチェンジ部24と、第1縁部26と、第2縁部28などを備えている。第1縁部26と第2縁部28は、各々、図3に示すように、平角導体10の積層方向(図3の上方向)に湾曲する円弧形状部分であり、スロット内配置部16とレーンチェンジ部24とを接続している。
そして、図3に示すように、レーンチェンジ部24は、リード側コイルエンド配置部18の略中央部(中央部またはその近傍)にて、平角導体10の積層方向(図3の上下方向)について平角導体10の短辺幅分の大きさの段差からなるものである。なお、リード側コイルエンド配置部18における平角導体10の積層方向(図3の上下方向)は、コイル1をステータコア62(図16参照)に配置するときのステータコア62の径方向となる。
また、第1縁部26と第2縁部28は、図1と図2に示すように、各々、R形状部30を備える。このR形状部30は、第1縁部26とスロット内配置部16との接続側端部にてコイル1の周方向について円弧形状に形成され、第2縁部28とスロット内配置部16との接続側端部にてコイル1の周方向について円弧形状に形成される。なお、このリード側コイルエンド配置部18は、ステータコア62の軸方向の端面76(図16参照)に対し、電源供給用のリード線(不図示)が接続される側に配置される。
また、反リード側コイルエンド配置部20は、コイル1をステータコア62(図16参照)に配置するときにスロット66(図16参照)の外部に配置される部分である。この反リード側コイルエンド配置部20は、図1〜図3に示すように、レーンチェンジ部32と、第1縁部34と、第2縁部36などを備える。第1縁部34と第2縁部36は、各々、図2に示すように、スロット内配置部16とレーンチェンジ部32とを接続している。
そして、図2に示すように、レーンチェンジ部32は、反リード側コイルエンド配置部20の略中央部(中央部またはその近傍)にて、平角導体10の積層方向(図2の上下方向)について平角導体10の短辺幅分の大きさの段差からなるものである。なお、反リード側コイルエンド配置部20における平角導体10の積層方向(図2の上下方向)は、コイル1をステータコア62(図16参照)に配置するときのステータコア62の軸方向となる。
また、折り曲げ部22は、コイル1を用いて環状のコイル籠64(図16参照)を形成したときの当該コイル籠64の内側に向かって、反リード側コイルエンド配置部20がスロット内配置部16から突出させるために成形された部分である。そして、この折り曲げ部22を有することにより、リード側コイルエンド配置部18における平角導体10の積層方向と反リード側コイルエンド配置部20における平角導体10の積層方向とが直交する。
このように、コイル1は、隣り合う平角導体10の間に隙間δを備える。そして、このコイル1は、リード側コイルエンド配置部18に平角導体10の短辺幅分の大きさの段差からなるレーンチェンジ部24を備え、反リード側コイルエンド配置部20に平角導体10の短辺幅分の大きさの段差からなるレーンチェンジ部32を備えている。これにより、詳しくは後述するように、ステータ60のコイルエンドの小型化を可能とする。
〔コイルの製造方法〕
次に、以上のような構造のコイル1の製造方法の全体的な概要について説明する。コイル1の製造方法では、巻線工程、凸成形工程、クランク成形工程、90°曲げ成形工程、開き円弧成形工程の順に行う。
(巻線工程)
まず、巻線工程について説明する。巻線工程では、図4と図5に示すような形状の巻線38を成形する。このように成形された巻線38は、図4と図5に示すように、端部12と端部14を除いて、角丸長方形状(オーバル形状)に成形されている。そして、巻線38は、角丸長方形状に成形された部分において、直線形状のスロット内予定部40と、円弧形状のリード側コイルエンド予定部42と、円弧形状の反リード側コイルエンド予定部44とを備える。また、巻線38は、隣り合う平角導体10の間に隙間δを備える。この隙間δは、平角導体10が挿入できる大きさとし、詳しくは、平角導体10の短辺幅分の大きさとする。このように、巻線工程において、最終形状のコイル1に備わる隙間δが成形される。
スロット内予定部40は、前記のコイル1のスロット内配置部16(図1参照)に相当する部分である。そして、スロット内予定部40は、巻線38の周上にて、互いに対向するように1対備わる。図4や図5で示す例では、一例として、スロット内予定部40は合計5対備わる。
また、リード側コイルエンド予定部42は、前記のコイル1のリード側コイルエンド配置部18(図1参照)に相当する部分である。そして、リード側コイルエンド予定部42は、巻線38における周上にて、反リード側コイルエンド予定部44とともに互いに対向するように対をなす一対のコイルエンド予定部を構成する。図4や図5で示す例では、一例として、リード側コイルエンド予定部42は合計4つ備わる。そして、リード側コイルエンド予定部42の頂点部46は、平角導体10の積層方向(図4の奥行き方向)について、巻線38の外周方向(図4の上下方向)の位置が徐々に高くなっている。これにより、後述する90°曲げ成形工程による成形後において、頂点部46は、平角導体10の積層方向について、巻線38の外周方向の位置が同じ位置に揃う。
ここで、リード側コイルエンド予定部42は、スロット内予定部40との接続側端部にてR形状予定部50を備える。このR形状予定部50は、コイル1のR形状部30(図1、図2参照)に相当する部分であり、巻線38の周方向について円弧形状に形成される部分である。そして、R形状予定部50は、その曲率がコイル1のR形状部30の曲率と等しくなるように成形されている。そして、本実施例では、この後の各工程を通じてR形状予定部50の曲率に変更を加えることなく、コイル1を製造する。
また、反リード側コイルエンド予定部44は、前記のコイル1の反リード側コイルエンド配置部20(図1参照)に相当する部分である。そして、反リード側コイルエンド予定部44は、巻線38における周上にて、リード側コイルエンド予定部42とともに互いに対向するように対をなす一対のコイルエンド予定部を構成する。図4や図5で示す例では、一例として、反リード側コイルエンド予定部44は合計5つ備わる。そして、反リード側コイルエンド予定部44の頂点部48は、平角導体10の積層方向(図4の奥行き方向)について、巻線38の外周方向(図4の上下方向)の位置が同じ位置に揃っている。このように、巻線工程から後述する各工程を通して、反リード側コイルエンド予定部44の頂点部48の位置を同じ位置に揃えるように管理することにより、最終形状のコイル1における反リード側コイルエンド配置部20の寸法精度が向上する。これにより、後述するコイル籠64の組み立て性が向上する。
(凸成形工程)
次に、凸成形工程について説明する。凸成形工程では、巻線38を図6と図7に示すような形状に成形する。このように成形された巻線38は、図6と図7に示すように、リード側コイルエンド予定部42と反リード側コイルエンド予定部44が各々、巻線38の外周方向(図6の上下方向)に突出する凸形状に成形される。なお、図7に示すように、隣り合う平角導体10の間に備わる隙間δを維持している。
リード側コイルエンド予定部42は、その略中央部(中央部またはその近傍)に凸部52を備え、この凸部52を挟んで両側に第1縁部26と第2縁部28を備えるように成形される。なお、リード側コイルエンド予定部42の頂点部46は、平角導体10の積層方向(図4の奥行き方向)について、巻線38の外周方向(図4の上下方向)の位置が徐々に高くなっている。
また、反リード側コイルエンド予定部44は、その略中央部(中央部またはその近傍)に凸部54を備え、この凸部54を挟んで両側に第1縁部34と第2縁部36を備えるように成形される。なお、反リード側コイルエンド予定部44の頂点部48は、平角導体10の積層方向(図6の奥行き方向)について、巻線38の外周方向(図6の上下方向)の位置が同じ位置に揃っている。
(クランク成形工程)
次に、クランク成形工程について説明する。クランク成形工程では、巻線38を図8と図9に示すような形状に成形する。このように成形された巻線38は、図8と図9に示すように、リード側コイルエンド予定部42と反リード側コイルエンド予定部44にて、各々、平角導体10の積層方向(図9の上下方向)に平角導体10の短辺幅の大きさの段差からなるレーンチェンジ部24,32が成形される。そして、リード側コイルエンド予定部42にて、第1縁部26と第2縁部28との間にレーンチェンジ部24が成形される。また、反リード側コイルエンド予定部44にて、第1縁部34と第2縁部36との間にレーンチェンジ部32が成形される。なお、図9に示すように、隣り合う平角導体10の間において隙間δを維持している。また、図9に示すように、レーンチェンジ部24とレーンチェンジ部32とは互いに反対方向に成形されている。このように、クランク成形工程において、最終形状のコイル1に備わるレーンチェンジ部24とレーンチェンジ部32とが成形される。
(90°曲げ成形工程)
次に、90°曲げ成形工程について説明する。90°曲げ成形工程では、巻線38を図10と図11に示すような形状に成形する。このように成形された巻線38は、図10と図11に示すように、リード側コイルエンド予定部42での平角導体10の積層方向と反リード側コイルエンド予定部44での平角導体10の積層方向とが直交するように成形される。そして、リード側コイルエンド予定部42の頂点部46は、平角導体10の積層方向(図10の奥行方向、図11の上下方向)について、巻線38の外周方向(図10の上下方向)の位置が同じ位置に揃っている。
このように、90°曲げ成形工程を行うことにより、最終形状のコイル1において、リード側コイルエンド配置部18での平角導体10の積層方向と反リード側コイルエンド配置部20での平角導体10の積層方向とが直交するように成形される。
(開き円弧成形工程)
次に、開き円弧成形工程について説明する。開き円弧成形工程は、開き成形工程と円弧成形工程とを同時に行う工程である。開き円弧成形工程では、巻線38の周上における一対のスロット内予定部40の間隔が平角導体10の積層方向について徐々に広くなるように成形する開き成形を行う。すなわち、前記の図3に示すように、コイル1の周上における一対のスロット内配置部16の間隔L1〜L5が平角導体10の積層方向(図3の上方向)に沿って、間隔L1,L2,L3,L4,L5の順に徐々に広くなるように成形される。これにより、スロット内配置部16をステータ60(図16参照)の径方向に放射状に形成されるスロット66(図16参照)内に確実に配置できる。
また、同時に、リード側コイルエンド予定部42の第1縁部26と第2縁部28を、平角導体10の積層方向に湾曲する円弧形状に成形する円弧成形を行う。これにより、前記の図3に示すように、リード側コイルエンド配置部18の第1縁部26と第2縁部28が、平角導体10の積層方向(図3の上方向)に湾曲する円弧形状に成形される。そして、第1縁部26と第2縁部28を円弧形状に成形することにより、リード側コイルエンド配置部18をステータ60(図16参照)の周方向に沿って配置することができる。
以上のようにして、前記の図1〜図3に示すコイル1を製造することができる。
〔ステータの製造方法〕
次に、以上のように製造されたコイル1を使用したステータ60の製造方法について説明する。ここで、図12はステータコア62に配置するために追加工した後のコイル1の正面図であり、図13はステータコア62に配置するために追加工した後のコイル1の上面図である。また、図14はコイル籠64において隣り合う2本のコイル1A,1Bを抜き出して示した正面図であり、図15はコイル籠64において隣り合う2本のコイル1A,1Bを抜き出して示した上面図である。そして、図16はコイル籠64の一部がステータコア62に挿入される様子を表した斜視図であり、図17はステータ60の斜視図である。
まず、コイル1をステータコア62に配置するために、コイル1に対し追加工を行い、コイル1を図12と図13に示すような形状に成形する。具体的には、コイル1の一方の端部12に渡し部68とリード部70を備え、コイル1の他方の端部14に渡し部72と接合部74を備えるように成形する。次に、このように成形したコイル1を複数重ねてコイル籠64を形成する。次に、図16に示すように、ステータコア62の軸方向からコイル籠64をスロット66に配置するようにしてステータコア62に配置する。以上により、図17に示すようなステータ60を製造する。
ここで、コイル籠64において隣り合う2本のコイル1A,1Bを抜き出して示した図を図14と図15に示す。図14と図15に示すように、2本のコイル1A,1Bは、お互いの隙間δに入るように噛み合って組み合わされている。そして、リード側のレーンチェンジ部24A,24Bが隣り合うように配置され、また、反リード側のレーンチェンジ部32A,32Bが隣り合うように配置されている。このように、レーンチェンジ部24A,24Bとレーンチェンジ部32A,32Bは、各々、一本の平角導体10をかわすようにして配置されている。
このように、コイル1を使用してステータ60を製造するときには、隣り合う2本のコイル1A,1Bについて、一方のコイル1Aにおける隣り合う平角導体10の間の隙間δに他方のコイル1Bの平角導体10を挿入することができる。これにより、コイル1Aの平角導体10とコイル1Bの平角導体10とを交互に配置することができる。さらに、一方のコイル1Aのリード側コイルエンド配置部18と反リード側コイルエンド配置部20に備わるレーンチェンジ部24,32により、他方のコイル1Bの1本の平角導体10の幅をかわすことができる。そのため、前記の従来技術のように複数の導体の幅をレーンチェンジ部でかわす必要がなく、複数の導体の幅分のレーンチェンジ部をステータコア62の軸方向に逃がす必要はない。したがって、ステータ60のコイルエンドの軸方向の高さを短縮できる。以上のようにして、ステータ60におけるコイルエンドの小型化を図ることができる。また、同形状のコイル1を複数使用してステータ60を製造することができるので、ステータ60の組み立て性がよい。
〔保持部材〕
次に、キャリア(キャリヤ)80について、説明する。キャリア80は、平角導体10を周状に巻きながら積層して成形される巻線38を搬送・成形するときに当該巻線38を保持する保持部材の一例である。このキャリア80は、図18に示すように、保持機構82A、保持機構82B、搬送機構84などを有する。
保持機構82Aと保持機構82Bは、各々、本体部と保持部を備えている。ここでは、一対の本体部として、本体部86Aと本体部86Bを備えている。この本体部86Aと本体部86Bは、互いに、図19に示すように離間したり、図20に示すように当接することができる。
また、一対の保持部として、保持部88Aと保持部88Bを備えている。そして、保持部88Aは本体部86Aに搭載され、保持部88Bは本体部86Bに搭載されている。そして、保持部88Aと保持部88Bには、各々、平角導体10を挿入可能な複数の溝90Aと複数の溝90Bが、平角導体10の幅(詳しくは短辺幅)の大きさの間隔をあけて設けられている。そして、後述するように、この溝90Aと溝90Bに巻線38のスロット内予定部40を構成する平角導体10を挿入して、キャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bにて巻線38を保持させることができる。ここで、溝90Aと溝90Bの長さは、巻線38の直線形状のスロット内予定部40の直線方向(軸方向)の長さよりも小さくしている。なお、スロット内予定部40は、本発明の「直線形状部」の一例である。
また、保持部88Aは、複数の溝90Aの配列方向(図19の上方向、スロット内予定部40における平角導体10の積層方向)の一端側に設けられた支点軸92Aを中心に、本体部86Aに対して外側(図19の右側)に回転可能な状態で、本体部86Aに取り付けられている。同様に、保持部88Bは、複数の溝90Bの配列方向(図19の上方向、スロット内予定部40における平角導体10の積層方向)の一端側に設けられた支点軸92Bを中心に、本体部86Bに対して外側(図19の左側)に回転可能な状態で、本体部86Bに取り付けられている。
搬送機構84は、車台部94と車輪96を備えている。車台部94には、本体部86Aと本体部86Bが搭載されている。車輪96は、車台部94の四隅に設けられている。この搬送機構84は、前記の保持機構82Aと保持機構82Bを搬送する。
このような構成のキャリア80は、溝90Aと溝90Bに巻線38のスロット内予定部40を構成する平角導体10が挿入されて、巻線38を保持機構82Aの保持部88Aと保持機構82Bの保持部88Bにて保持する。そして、キャリア80は、このように巻線38を保持した状態で、搬送機構84により保持機構82Aと保持機構82Bを複数の工程(巻線工程、後述する凸クランク成形工程、90°曲げ成形工程、開き円弧成形工程)で使用される各装置へ搬送する。このようにして、キャリア80は、保持機構82Aと保持機構82Bにより保持した巻線38を各装置へ搬送する。
〔保持部材を用いたコイルの製造方法〕
次に、キャリア80を用いたコイル1の製造方法について説明する。
(巻線工程)
まず、前記の巻線工程では、図21に示すように、リード側巻型98と反リード側巻型100とキャリア80(保持機構82Aと保持機構82B)により平角導体10を巻き取って、巻線38を成形する。このように巻線38を成形することにより、キャリア80は、保持部88Aの溝90Aや保持部88Bの溝90Bにて、スロット内予定部40をその直線方向(軸方向)に移動可能な状態で巻線38を保持する。また、平角導体10を巻き取った後に、溝90Aと溝90Bを覆うようにして保持部88Aと保持部88Bに、各々、カバー101Aとカバー101B(図22参照)を取り付ける。これにより、巻線38のねじれの発生を防止する。
そして、巻線38を成形してリード側巻型98と反リード側巻型100型を巻線38から退避させた後、図22に示すようにキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bに巻線38を保持させた状態で、キャリア80(保持機構82Aと保持機構82B)を後述する凸クランク成形工程で使用する装置まで搬送させる。このとき、キャリア80は、巻線38を保持した状態において、リード側コイルエンド部42や反リード側コイルエンド部44の内側に、リード側コイルエンド部42や反リード側コイルエンド部44を成形する成形型の出し入れをする成形型空間αを形成する。そして、この成形型空間αは、以後の各工程でも維持される(図24、図26参照)。
ここで、リード側巻型98は巻線38のリード側コイルエンド予定部42を成形する型であり、反リード側巻型100は巻線38の反リード側コイルエンド予定部44を成形する型である。また、キャリア80は、リード側巻型98と反リード側巻型100とともに、巻線38を成形する型の1つとして使用される。このように、キャリア80を巻線38を成形する型として使用することにより、巻線38を成形した後、キャリア80により、すぐに、次の凸クランク成形工程で使用する装置まで巻線38を搬送させることができ、搬送時間の短縮を図ることができる。
(凸クランク成形工程)
次に、前記の凸成形工程とクランク成形工程とを行うが、ここでは、凸成形工程とクランク成形工程を同時に行う凸クランク成形工程を、一例として説明する。そこで、凸クランク成形工程では、前記の図22に示すようにキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bにより巻線38を保持させた状態で、巻線38に対し凸成形とクランク成形を行う。
より詳しくは、凸クランク成形工程で使用する装置において、図23に示すように、リード側コイルエンド予定部42に対し巻線38の外側にリード側凹型102を配置し、リード側コイルエンド予定部42に対し巻線38の内側にてキャリア80との間にリード側凸型104を配置する。そして、リード側凹型102とリード側凸型104とを接近させることにより、リード側凹型102に複数保持される板状のブレード106を巻線38の各隙間δに挿入しながら、リード側コイルエンド予定部42に対し凸成形とクランク成形を行う。
同様に、図23に示すように、反リード側コイルエンド予定部44に対し巻線38の外側に反リード側凹型108を配置し、反リード側コイルエンド予定部44に対し巻線38の内側にてキャリア80との間に反リード側凸型110を配置する。そして、反リード側凹型108と反リード側凸型110とを接近させることにより、反リード側凹型108に複数保持される板状のブレード112とブレード114を巻線38の各隙間δに挿入しながら、反リード側コイルエンド予定部44に対し凸成形とクランク成形を行う。
そして、凸成形とクランク成形を行って各々の型を巻線38から退避させた後、図24に示すようにキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bに巻線38を保持させた状態で、キャリア80(保持機構82Aと保持機構82B)を90°曲げ成形工程で使用する装置まで搬送させる。
なお、前記の巻線工程にて、予め巻線38を正規とずらした位置(図23において、後述する90°曲げ成形工程にて折り曲げる予定の部分116を図面右側にずらした位置)にてキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bに保持させておいてもよい。これにより、反リード側コイルエンド予定部44に対し巻線38の内側にてキャリア80との間に、反リード側凸型110を配置するための領域を確実に確保することができる。そして、反リード側凸型110の厚みを大きくして、当該反リード側凸型110の剛性を確保することができる。
なお、リード側コイルエンド予定部42と反リード側コイルエンド予定部44は、本発明の「連結部」の一例である。
(90°曲げ成形工程)
次に、前記の90°曲げ成形工程では、前記の図24に示すようにキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bに巻線38を保持させた状態で、巻線38に対し90°曲げ成形を行う。より詳しくは、90°曲げ成形工程で使用する装置において、図25に示すように、反リード側コイルエンド予定部44に対し巻線38の外側にて板状のブレード118とブレード120を各々複数配置し、反リード側コイルエンド予定部44に対し巻線38の内側にてキャリア80との間に凸状型122を配置する。そして、ブレード118とブレード120を反リード側コイルエンド予定部44側に移動させて、ブレード118とブレード120を反リード側コイルエンド予定部44における隙間δと平角導体10の積層方向の両側に配置する。そして、ブレード118とブレード120と凸状型122を回転させて、90°曲げ成形を行う。
ところで、この90°曲げ成形工程においては、キャリア80は、保持部88Aの溝90Aや保持部88Bの溝90Bにて、直線形状のスロット内予定部40をその直線方向(軸方向)に移動可能な状態で保持している。そのため、保持部88Aの溝90Aや保持部88Bの溝90Bにてスロット内予定部40をその軸方向に移動させて、平角導体10を反リード側コイルエンド予定部44側に送り出して折り曲げ部22(図10参照)を成形しながら、確実に90°曲げ成形を行うことができる。
そして、90°曲げ成形を行ってブレード118とブレード120と凸状型122を巻線38から退避させた後、図26に示すようにキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bに巻線38を保持させた状態で、キャリア80(保持機構82Aと保持機構82B)を円弧開き成形工程で使用する装置まで搬送させる。
(円弧開き成形工程)
次に、前記の円弧開き成形工程では、前記の図26に示すようにキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bに巻線38を保持させた状態で、巻線38に対し円弧開き成形を行う。より詳しくは、円弧開き成形工程で使用する装置において、図27に示すように、リード側コイルエンド予定部42に対し巻線38の外側に外側円弧成形型124を配置し、リード側コイルエンド予定部42に対し巻線38の内側にてキャリア80との間に内側円弧成形型126を配置する。また、反リード側コイルエンド予定部44に対し巻線38の外側に外側保持ブロック130を配置し、反リード側コイルエンド予定部44に対し巻線38の内側に内側保持ブロック128と開き成形型132を配置する。さらに、スロット内予定部40とリード側コイルエンド予定部42との境界部分に、リード側保持機構134を配置する。
そして、図28に示すように、外側円弧成形型124と内側円弧成形型126を接近させることにより、外側円弧成形型124に複数保持される板状のブレード136(図27参照)を巻線38の各隙間δに挿入する。また、図28に示すように、内側保持ブロック128と外側保持ブロック130を接近させ、かつ、開き成形型132を開く。これにより、巻線38に対して円弧開き成形を行う。このとき、キャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bに巻線38のスロット内予定部40を保持させた状態で、保持部88Aを本体部86Aに対して支点軸92A中心に、かつ、保持部88Bを本体部86Bに対して支点軸92B中心に、巻線38の外周方向に回転させる。このように、巻線38が成形される形状に合わせて保持部88Aと保持部88Bを回転させるので、隙間δを一定に保った状態で、巻線38に対し円弧開き成形を行うことができる。なお、図27と図28では、キャリア80について、保持機構82Aと保持機構82Bのみを示している。
そして、円弧開き成形を行って型を巻線38から退避させた後にキャリア80の保持機構82Aと保持機構82Bにコイル1(巻線38)を保持させている様子を、図29に示す。以上のようにして、コイル1(図1や図2参照)を製造する。
なお、その後、カバー101Aとカバー101Bを外して、保持部88Aを本体部86Aに対して支点軸92A中心に、かつ、保持部88Bを本体部86Bに対して支点軸92B中心に、コイル1の内周方向に回転させた後、前記の図20に示すように、本体部86Aと本体部86Bを当接させる。これにより、コイル1と保持部88Aおよび保持部88Bとの擦れを抑制しながら、キャリア80からコイル1を取り外すことができる。
〔本実施例の効果〕
以上のような本実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。本実施例では、巻線38を保持するキャリア80は、保持機構82Aと保持機構82Bを有している。この保持機構82Aと保持機構82Bは、互いに平行な複数の溝90Aおよび複数の溝90Bが平角導体10の幅の大きさの間隔をあけて設けられる。そして、保持機構82Aと保持機構82Bは、スロット内予定部40を構成する平角導体10を溝90Aおよび溝90Bに挿入して巻線38を保持し複数の工程で使用される。
このように、保持機構82Aおよび保持機構82Bに設けられる互いに平行な複数の溝90Aおよび複数の溝90Bに平角導体10を挿入することにより、隣り合う平角導体10間の隙間δを一定且つ一対のスロット内予定部40を互いに平行に保った形状で巻線38を保持機構82Aおよび保持機構82Bにて保持させることができる。すなわち、レーンチェンジを行う部分をリード側コイルエンド部42や反リード側コイルエンド部44とした状態を保持することができる。そして、保持機構82Aおよび保持機構82Bを複数の工程に搬送することにより、前記の形状を一定に保った状態で巻線38を各装置に搬送することができる。また、巻線38を成形する各工程にて、前記の形状を一定に保った状態で巻線38に対し成形を行うことができる。以上のようにして、巻線38を一定の形状に保った状態で、巻線38を搬送し、かつ、巻線38を成形することができる。
また、スロット内予定部40はステータ60においてステータコア62のスロット66に装着された状態で保持される部分なので、巻線工程以後の工程でスロット内予定部40に対し成形を行なう必要がない。そのため、キャリア80は、スロット内予定部40を保持した状態で複数の工程にて使用することができる。したがって、簡単に巻線38(コイル1)を成形することが出来る。
また、キャリア80は、巻線38を保持した状態において、リード側コイルエンド部42や反リード側コイルエンド部44の内側に、リード側コイルエンド部42や反リード側コイルエンド部44を成形する成形型の出し入れをする成形型空間αを形成する。そのため、成形型空間αに成形型を挿入して、リード側コイルエンド部42や反リード側コイルエンド部44を確実に成形することができる。
また、溝90Aおよび溝90Bの長さは、スロット内予定部40の直線方向(軸方向)の長さよりも小さい。これにより、キャリア80の小型化を図って、巻線38を成形する装置の小型化を図ることができる。
また、保持機構82Aおよび保持機構82Bは、溝90Aおよび溝90Bが各々設けられる保持部88Aおよび保持部88Bと、保持部88Aおよび保持部88Bが各々搭載される本体部86Aおよび本体部86Bと、溝90Aおよび溝90Bの配列方向の一端側に設けられる支点軸92Aおよび支点軸92Bと、を備えている。そして、円弧開き成形工程では、保持部88Aを本体部86Aに対し支点軸92Aを中心にして巻線38の外周方向に回転させ、また、保持部88Bを本体部86Bに対し支点軸92Bを中心にして巻線38の外周方向に回転させる。これにより、巻線38に対し開き成形を行うときに巻線38が成形される形状に合わせて保持部88Aおよび保持部88Bを回転させることができるので、隙間δを一定に保った状態で、巻線38に対し開き成形を行うことができる。
また、キャリア80は、保持機構82Aおよび保持機構82Bを搬送する搬送機構84を有する。そして、搬送機構84は、車輪96を備える。これにより、複数の工程で使用される各装置への巻線38の搬送や、当該各装置内への保持機構82Aおよび保持機構82Bの配置を容易に行うことができる。そのため、巻線38を短時間で効率的に成形することができるので、巻線38により構成されるコイル1の製造効率が向上する。
〔付記項〕
その他、前記の実施例から把握される技術的思想を以下に記載する。
コイルの製造方法において、周上に配置される一対の前記連結部について一方の前記連結部における導体の積層方向と他方の前記連結部における前記導体の積層方向とが互いに直交するように前記巻線に対し曲げ成形を行う90°曲げ成形工程を有し、前記90°曲げ成形工程では前記保持機構にて前記巻線を保持しておくこと、を特徴とするコイルの製造方法。
また、コイルの製造方法において、前記90°曲げ成形工程では、前記直線形状部を直線方向に移動可能な状態で前記巻線を前記保持機構に保持させていること、を特徴とするコイルの製造方法。
また、コイルの製造方法において、前記巻線工程では、前記連結部を成形する巻型と前記保持部材とにより前記導体を巻き取って前記巻線を成形すること、を特徴とするコイルの製造方法。
〔変形例〕
なお、上記の各工程は順序を変更してもよい。例えば、変形例として、前記の実施例の各工程の順序に対し凸成形工程とクランク成形工程の順序を入れ替えて、巻線工程、クランク成形工程、凸成形工程、90°曲げ成形工程、開き円弧成形工程の順序としてもよい。このような変形例において、クランク成形工程による成形後における巻線38について、その外観斜視図を図31に示し、その上面図を図32に示す。
このような変形例において、クランク成形工程による成形後における巻線38は、図31と図32に示すように、端部12と端部14を除いて、角丸長方形状(オーバル形状)に成形されている。そして、リード側コイルエンド予定部42は、その略中央部(中央部またはその近傍)にレーンチェンジ部24を備えている。また、反リード側コイルエンド予定部44は、その略中央部(中央部またはその近傍)にレーンチェンジ部32を備えている。
また、その他の変形例として、巻線工程、90°曲げ成形工程、クランク成形工程、凸成形工程、円弧開き成形工程の順に行う例や、巻線工程、90°曲げ成形工程、凸成形工程、クランク成形工程、円弧開き成形工程の順に行う例も考えられる。また、その他の変形例として、巻線工程、90°曲げ成形工程、円弧開き成形工程、クランク成形工程、凸成形工程の順に行う例や、巻線工程、90°曲げ成形工程、円弧開き成形工程、凸成形工程、クランク成形工程の順に行う例も考えられる。
また、その他の変形例として、開き成形工程と円弧成形工程とを別に行うことも考えられる。例えば、巻線工程、凸成形工程、クランク成形工程、円弧成形工程、90°曲げ成形工程、開き成形工程の順に行うことが考えられる。また、その他の変形例として、クランク成形工程と凸成形工程とを同時に行うことも考えられる。
さらに、その他の変形例として、90°曲げ成形工程を行わない例も考えられる。このように90°曲げ成形工程を行わない例により製造されたコイル2は、図33〜図35に示すように、前記のコイル1に対して、折り曲げ部22を有さず、反リード側コイルエンド配置部20の第1縁部34と第2縁部36も各々円弧形状に成形されている点が異なる。なお、図33はコイル2の外観斜視図であり、図34はコイル2の正面図であり、図35はコイル2の上面図である。
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
1 コイル
2 コイル
10 平角導体
16 スロット内配置部
18 リード側コイルエンド配置部
20 反リード側コイルエンド配置部
22 折り曲げ部
24 レーンチェンジ部
26 第1縁部
28 第2縁部
30 R形状部
32 レーンチェンジ部
34 第1縁部
36 第2縁部
38 巻線
40 スロット内予定部
42 リード側コイルエンド予定部
44 反リード側コイルエンド予定部
46 (リード側コイルエンド予定部の)頂点部
48 (反リード側コイルエンド予定部の)頂点部
50 R形状予定部
52 (リード側コイルエンド予定部の)凸部
54 (反リード側コイルエンド予定部の)凸部
60 ステータ
62 ステータコア
64 コイル籠
66 スロット
68 渡し部
70 リード部
72 渡し部
74 接合部
76 端面
80 キャリア
82A,82B 保持機構
84 搬送機構
88A,88B 保持部
90A,90B 溝
92A,92B 支点軸
96 車輪
δ 隙間
α 成形型空間

Claims (12)

  1. 導体を周状に巻きながら積層して成形される巻線を保持する保持部材において、
    前記巻線は、積層方向について隣り合う前記導体の間に前記導体の幅の大きさの隙間を備えており、かつ、周上に直線形状部と一対の前記直線形状部を連結する連結部とを備え、
    互いに平行な複数の溝が前記導体の幅の大きさの間隔をあけて設けられ、前記直線形状部を構成する前記導体を前記溝に挿入して前記巻線を保持し複数の工程で使用される保持機構を有すること、
    を特徴とする保持部材。
  2. 請求項1の保持部材において、
    前記直線形状部はステータコアのスロット内に配置される予定のスロット内予定部であり、
    前記連結部は前記ステータコアのコイルエンドに配置される予定のコイルエンド予定部であること、
    を特徴とする保持部材。
  3. 請求項2の保持部材において、
    前記巻線を保持した状態において、前記連結部の内側に前記コイルエンド予定部を成形する成形型の出し入れをする成形型空間を形成すること、
    を特徴とする保持部材。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つの保持部材において、
    前記溝の長さは前記直線形状部の直線方向の長さよりも小さいこと、
    を特徴とする保持部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つの保持部材において、
    前記保持機構は、前記溝が設けられる保持部と前記保持部が搭載される本体部と前記溝の配列方向の一端側に設けられる支点軸と、を備え、
    前記保持部は前記本体部に対し前記支点軸を中心にして前記巻線の外周方向に回転可能であること、
    を特徴とする保持部材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つの保持部材において、
    前記保持機構を搬送する車輪を備える搬送機構を有すること、
    を特徴とする保持部材。
  7. 導体を周状に巻きながら積層して成形される巻線を保持する保持部材を用いたコイルの製造方法において、
    前記コイルは前記巻線により構成され、
    前記巻線は、積層方向について隣り合う前記導体の間に前記導体の幅の大きさの隙間を備えており、かつ、周上に直線形状部と一対の前記直線形状部を連結する連結部とを備え、
    前記保持部材は、互いに平行な複数の溝が前記導体の幅の大きさの間隔をあけて設けられ、前記直線形状部を構成する前記導体を前記溝に挿入して前記巻線を保持し複数の工程で使用される保持機構を有すること、
    を特徴とするコイルの製造方法。
  8. 請求項7のコイルの製造方法において、
    前記直線形状部はステータコアのスロット内に配置される予定のスロット内予定部であり、
    前記連結部は前記ステータコアのコイルエンドに配置される予定のコイルエンド予定部であること、
    を特徴とするコイルの製造方法。
  9. 請求項8のコイルの製造方法において、
    前記保持部材は、前記巻線を保持した状態において、前記連結部の内側に前記コイルエンド予定部を成形する成形型の出し入れをする成形型空間を形成すること、
    を特徴とするコイルの製造方法。
  10. 請求項7乃至9のいずれか1つのコイルの製造方法において、
    前記溝の長さは前記直線形状部の直線方向の長さよりも小さいこと、
    を特徴とするコイルの製造方法。
  11. 請求項7乃至10のいずれか1つのコイルの製造方法において、
    前記導体を周状に巻きながら積層して前記巻線を成形する巻線工程と、
    前記連結部を前記巻線の外周方向に突出する凸形状に成形する凸成形工程と、
    前記連結部にて前記導体の積層方向に前記導体の幅の大きさの段差を成形するクランク成形工程と、
    周上に配置される一対の前記直線形状部の間隔が前記導体の積層方向について徐々に大きくなるように成形する開き成形工程と、
    周上に配置される一対の前記連結部のうちの一方または両方の前記連結部に前記導体の積層方向に湾曲する円弧形状部分を成形する円弧成形工程と、
    を有し、
    各工程では前記保持機構にて前記巻線を保持しており、
    前記保持機構は、前記溝が設けられる保持部と前記保持部が搭載される本体部と前記溝の配列方向の一端側に設けられる支点軸と、を備え、
    前記開き成形工程では、前記保持部を前記本体部に対し前記支点軸を中心にして前記巻線の外周方向に回転させること、
    を特徴とするコイルの製造方法。
  12. 請求項7乃至11のいずれか1つのコイルの製造方法において、
    前記保持部材は、前記保持機構を搬送する車輪を備える搬送機構を有すること、
    を特徴とするコイルの製造方法。
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