JP5680085B2 - カルボン酸のアルカリ金属塩から純粋アルキルエステルを調製するプロセス - Google Patents
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Description
a)アルカリ土類金属炭酸塩または重炭酸塩を発酵液に添加することにより、得られた乳酸を少なくとも90モル%の度合いまで中和し、
b)NH3およびCO2の添加により、得られた発酵液をpH7〜13に調整し、得られた沈殿物を分離し、
c)得られた精製乳酸アンモニウム溶液をアルコールでエステル化する。
i.15分から30分の範囲の期間に亘って脱水粉末金属カルボン酸塩をメタノールと混合し、500〜1000rpmの範囲で攪拌することにより金属カルボン酸塩の5〜30重量%メタノール溶液を得る工程と、
ii.工程(i)で得た溶液を、20〜60.4kg/cm2の範囲で145〜165℃の範囲の温度で15分〜1時間の範囲の期間に亘って二酸化炭素により加圧することによりアルキルエステルおよび沈殿物として副生成物を得る工程と、
iii.工程(ii)で得た沈殿物を濾過により分離し、発酵セクションで再利用することによりグルコース源からアルカリ金属塩を得る工程と、
iv.アルカリ金属塩からアルキルエステルへの所望の変換がこれとは分離した副生成物と共に得られるまで、工程(i)、(ii)および(iii)を好ましくは3〜4回繰り返す工程と、
v.99.50〜99.8重量%の範囲の純度で蒸留することによりアルキルエステルを回収する工程であって、濾液の未反応メタノールから約0.03〜0.1重量%の水分を回収し再利用する工程と、
を含むプロセスを提供する。
(a)脱水粉末アルカリ金属カルボン酸塩をメタノールと所望の化学量論比で反応させて5〜30%のメタノール溶液を得、145〜160℃の温度範囲で最長1時間に亘って二酸化炭素により20〜60kg/cm2の範囲で加圧することにより、アルキルエステルおよび沈殿物として対応するアルカリ金属炭酸塩または重炭素塩を得る工程、
(b)アルカリ金属炭酸塩または重炭素塩の上記沈殿物を濾過により分離し、これを発酵セクションで再利用することによりグルコース源からアルカリ金属塩を得る工程、
(c)アルカリ金属塩からアルキルエステルへの所望の変換が、これとは分離したアルカリ炭酸塩または重炭酸塩沈殿物と共に得られるまで、工程(a)および(b)に記載の手順を好ましくは3〜4回繰り返す工程、
(d)上記工程で得た濾液から合理的な度合いで純粋なアルカリエステル(<99.5%)を回収する工程。
(実施例1)
(粉末乳酸カルシウムの脱水)
サトウキビ汁発酵または他のいずれかのショ糖源から得た粉末乳酸カルシウムを、真空乾燥機を用いて真空中(50mbar)で80℃の温度で24時間、乾燥させた。乳酸カルシウム中の初期水分含有率は30%であり、乳酸カルシウム中の水分は1.5重量%まで低下した。この乾燥粉末乳酸カルシウムを以下に述べる実施例で用いた。
(反応用原料溶液の調製)
容量5Lの軟鋼製高圧反応炉に実施例1で述べた乾燥粉末乳酸カルシウム250gを純粋メタノール2250gと共に入れて最終的に10重量%となる乳酸カルシウムの純粋メタノール溶液を得た。その後この材料を、攪拌器を用いて15分間、周囲温度で750rpmで連続的に混合することにより、乳酸カルシウムのメタノール溶液を得た。この粗乳酸カルシウムのメタノール溶液を以下の実施例で原料溶液として用いた。
(二酸化炭素による、165℃、高圧での乳酸カルシウムのメタノール溶液の直接エステル化)(図1)
実施例2で説明したように調製した乳酸カルシウムの10重量%(1100g)希釈メタノール(2)溶液(1)を、容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて750rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素(3)ガスを反応炉内で加圧して、初期圧力20kg/cm2を得た。その後反応材料を165℃まで加熱し、1時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧は60.4kg/cm2に戻る。その後反応物質を25℃まで冷却し、反応混合物をバスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。遠心分離器から得た炭酸カルシウムを含むウェットケーキ(6)をオーブン(7)内で110℃で乾燥させ、貯蔵した(8)。遠心分離器から回収した濾液(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてメチルエステルおよびメタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。濾液中のメチルエステル濃度は7.5重量%であることがわかり、メタノール濃度は92.4重量%であり、カールフィッシャー法による水分含有率は1.1重量%であった。所望の操作時間後、反応炉(4)の内部圧力をベント(10)を通して抜き、蒸気を分離器(11)まで送って二酸化炭素ガス(13)を別の揮発性反応混合液(12)から分離した。二酸化炭素ガスは(4)で再利用可能であり、別の揮発性反応混合液は(4)で再利用した。
(トリエタノールアミンを用いた、二酸化炭素による、165℃、高圧での乳酸カルシウムのメタノール溶液の直接エステル化)(図1)
実施例1で述べた乾燥乳酸カルシウム(1)110gと、純粋メタノール(2)794gと、トリエタノールアミン(2a)110gとを、容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて750rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素ガス(3)を用いて反応炉を加圧して、初期圧力20kg/cm2を得た。その後反応材料を165℃まで加熱し、1時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧は61.2kg/cm2まで上昇する。その後反応物質を25℃まで冷却し、反応混合物をバスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。炭酸カルシウムを含むウェットケーキをオーブン内で110℃で乾燥させ(7)、貯蔵した(8)。遠心分離器(5)から回収した濾液(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてメチルエステルおよびメタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。濾液中のメチルエステル濃度は9.3重量%であることがわかり、メタノール濃度は89.9重量%であり、カールフィッシャー法による水分含有率は0.5重量%であった。反応炉(4)の内部圧力をベント(10)を通して抜き、蒸気を分離器(11)まで送って二酸化炭素ガス(13)を分離した。二酸化炭素ガスは(4)で再利用可能である。別の揮発性反応混合液(12)は(4)で再利用した。
(コントロール実験:165℃、高圧での乳酸カルシウムのメタノール溶液の反応)(図1)
実施例2で説明した方法で調製した乳酸カルシウムのメタノール溶液(10重量%)1100gを、容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて750rpmで連続的に攪拌した。その後反応材料を165℃まで加熱し、1時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧を20.2kg/cm2となった。その後反応物質を25℃まで冷却し、バスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。反応生成物中に沈殿は観察されなかった。反応炉底部から回収した反応生成物(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてメチルエステルおよびメタノールの含有率について分析した。濾液中のメチルエステル濃度は0重量%であることがわかり、メタノール濃度は100重量%であった。このように、二酸化炭素がない場合、メチルエステルは生成されないことがわかった。
(実施例6)
(乳酸ナトリウム水溶液の脱水)(図4)
ガラス容器を備えた容量5Lのタワーアセンブリ(3)に、LACTOCHEM(インド、チェンナイ)製純粋乳酸ナトリウム水溶液(1)2500g(濃度70重量%)を、純粋トルエン(2)1000gと共に入れた。その後この材料を、攪拌器を用いて250rpmで連続的に混合した。この反応炉内の物質を、電気ヒータを用いて加熱した。物質を収容したタワーから水蒸気がトルエンと共に上がり上部で濃縮(6)され、2層を留出物として得た。上部の軽量有機層を連続的に再利用し、底部の水層は、完全に枯渇して留出物中に水層が見えなくなるまで連続的に除去した。上部の温度は操作終了時には85〜105℃に達し、底部の反応炉温度は99〜105℃の範囲であった。トルエン中の脱水乳酸ナトリウムを分離器(4)に移した。その後、このようにして得たトルエン中の脱水乳酸ナトリウムをゆっくりと40℃まで冷却した。上部トルエン層を分離器(4)から吸い上げることにより除去した。反応炉底部で得た乳酸ナトリウム結晶を純粋メタノール2500g中に溶解することにより、混合器(5)内で乳酸ナトリウムの40重量%メタノール溶液を生成した。乳酸ナトリウムのメタノール溶液を25℃まで冷却し、貯蔵した。この水分非含有乳酸ナトリウムのメタノール溶液を以下に述べる実施例で用いた。
(二酸化炭素による、165℃、高圧での乳酸ナトリウムのメタノール溶液の直接エステル化)(図1)
実施例6で説明した方法で調製した水分非含有乳酸ナトリウムのメタノール(2)溶液(1)1100g(40重量%)を容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて750rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素ガス(3)を用いて反応炉を加圧して、初期圧力28.7kg/cm2を得た。その後反応材料を165℃まで加熱し、1時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧は53.5kg/cm2まで上昇した。その後反応物質を25℃まで冷却し、バスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。炭酸ナトリウムを含むウェットケーキ(6)をオーブン(7)内で110℃で乾燥させ、貯蔵した(8)。遠心分離器(5)からの回収濾液(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてメチルエステルおよびメタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。濾液中のメチルエステル濃度は20.3重量%であることがわかり、メタノール濃度は76.9重量%であり、カールフィッシャー法による水分含有率は0.5重量%であった。所望の操作時間後、反応炉(4)の内部圧力をベント(10)を通して抜き、蒸気を分離器(11)まで送って二酸化炭素ガス(13)を別の揮発性反応混合液(12)から分離した。二酸化炭素ガスは(4)で再利用可能であり、別の揮発性反応混合液は(4)で再利用した。(4)で得た未変換のメタノール、メチルエステルおよび水分がある場合は水分を、リボイラを備えたタワー分別蒸留アセンブリ(14)に送って回収した。リボイラ内に安定化剤として1重量%のメチルエステル重炭素ナトリウムを加えた。分別蒸留アセンブリ(11)内で真空を用いて又は用いないで純粋メチルエステル(15)をメタノール(16)から分離し、別に貯蔵した。得られた純粋メタノールは(4)で再利用可能である。
(トリエタノールアミンを用いた、二酸化炭素による、165℃、高圧での乳酸ナトリウムのメタノール溶液の直接エステル化)(図2)
実施例6で説明した水分非含有乳酸ナトリウムのメタノール(2)溶液(1)を蒸留することにより超過メタノールを除去して、最終乳酸ナトリウム濃度50重量%を得た。残りはメタノールおよび微量のトルエンであった。この溶液(1)1300gを容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて750rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素ガス(3)を用いて反応炉内で加圧して、初期圧力20kg/cm2を得た。その後反応材料を165℃まで加熱し、1時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧は56kg/cm2となった。その後反応物質を25℃まで冷却し、その後反応炉底部から除去し、次いでバスケット型遠心分離器(5)で濾過した。その後濾液(9)をロータリーエバポレータ内でフラッシュ蒸留して、最大量の揮発性物質を留出物として除去した。蒸留後、ロータリーエバポレータ内で回収した残渣を軟鋼製反応炉内で純粋メタノール(2)900gと共に再利用した。反応炉底部のサンプルを、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてメチルエステルおよびメタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。反応炉底部のサンプル中のメチルエステル濃度は15.6重量%であることがわかり、メタノール濃度は69.8重量%であり、カールフィッシャー法による水分含有率は0.5重量%であった。
(メチルエステル(乳酸メチル)の存在下においてメタノールおよび二酸化炭素を用いた、165℃、高圧での乳酸ナトリウムの直接エステル化)(図2)
実施例6で説明した水分非含有乳酸ナトリウムのメタノール溶液を蒸留することにより超過メタノールを除去して、最終乳酸ナトリウム濃度50重量%とメタノール濃度50重量%とを得た。同量のPURAC Inc.(米国)製純粋メチルエステル(乳酸メチル)を添加して、重量比でメチルエステル50%と水分非含有乳酸ナトリウム(1)25%とメタノール(2)25%とを含む原料組成を得た。この混合物を容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて750rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素ガス(3)を反応炉内で加圧して、初期圧力20kg/cm2を得た。その後反応材料を165℃まで加熱し、1時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧は56.3kg/cm2となった。その後反応物質を25℃まで冷却し、その後反応炉底部から除去した。反応炉底部のサンプルを、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてメチルエステルおよびメタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。反応炉底部のサンプル中のメチルエステル濃度は58.4重量%であることがわかり、メタノール濃度は40.2重量%であり、カールフィッシャー法による水分含有率は0.7重量%であった。このように、乳酸ナトリウムは、メチルエステルに直接変換することができ、変換率は37〜40%であることがわかった。
(実施例9−2)
(種々の攪拌速度における乳酸カルシウムのエチル化)(図2)
乳酸カルシウム溶液(1)(10重量%)100gとエタノール(2)とを容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて300、600および1000rpmの範囲の攪拌速度で連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素ガス(3)を反応炉内で加圧して、初期圧力25kg/cm2を得た。その後反応材料を200℃まで加熱し、8時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧は72〜80kg/cm2に上昇する。その後反応物質を25℃まで冷却し、反応混合物をバスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。遠心分離器から得た炭酸カルシウムを含むウェットケーキ(6)をオーブン(7)内で110℃で乾燥させ、貯蔵した(8)。遠心分離器から回収した濾液(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてエチルエステルおよびエタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。反応中のエチルエステル濃度プロファイルは表1に示す通りであった。反応終了時の平均水分含有率は7.5重量%の範囲であることがわかった。
(種々のCO2圧力における乳酸カルシウムのエチル化)(図2)
乳酸カルシウム溶液(1)(10重量%)100gとエタノール(2)とを容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて攪拌速度1000rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素ガス(3)を反応炉内で加圧して、初期圧力5、15および25kg/cm2を得た。その後反応材料を200℃まで加熱し、8時間この温度に保持した。初期圧力5、10および15kg/cm2でのエチル化反応中、反応中の反応炉の全体的圧力はそれぞれ39、59および80kg/cm2に上昇する。その後反応物質を25℃まで冷却し、反応混合物をバスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。遠心分離器から得た炭酸カルシウムを含むウェットケーキ(6)をオーブン(7)内で110℃で乾燥させ、貯蔵した(8)。遠心分離器から回収した濾液(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてエチルエステルおよびエタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。反応中のエチルエステル濃度プロファイルは表2に示す通りであった。反応終了時の水分含有率は7.8重量%の範囲であることがわかった。
(CO2およびエタノールを用いた、種々の初期乳酸カルシウム濃度における乳酸カルシウムのエチル化)(図2)
実施例2で説明した方法で乳酸カルシウム(1)50、100および150gをエタノール(2)に溶解することにより、初期濃度5%、10%および15%を有する乳酸カルシウム溶液を調製し、これを容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて攪拌速度900rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素(3)ガスを反応炉内で加圧して、初期圧力25kg/cm2を得た。その後反応材料を200℃まで加熱し、8時間この温度に保持した。操作中、反応炉の内圧は72〜80kg/cm2に上昇する。その後反応物質を25℃まで冷却し、反応混合物をバスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。遠心分離器から得た炭酸カルシウムを含むウェットケーキ(6)をオーブン(7)内で110℃で乾燥させ、貯蔵した(8)。遠心分離器から回収した濾液(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてエチルエステルおよびエタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。反応中のエチルエステル濃度プロファイルは表3に示す通りであった。反応終了時の水分含有率は6.2重量%の範囲であることがわかった。
(種々の温度における乳酸カルシウムのエチル化)(図2)
まず、実施例2で説明した方法で粉末乳酸カルシウム(1)100gをエタノール(2)に溶解することにより、乳酸カルシウムの濃度10%溶液を調製し、これを容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて攪拌速度1000rpmで連続的に攪拌した。シリンダからの二酸化炭素(3)ガスを反応炉内で加圧して、初期圧力25kg/cm2を得た。反応材料を190℃、200℃および210℃まで加熱し、8時間この温度に保持した。190℃、200℃および210℃での反応中、反応炉の操作内圧はそれぞれ72、79.6および80kg/cm2に上昇する。その後反応物質を25℃まで冷却し、反応混合物をバスケット型遠心分離器(5)により3000rpmで濾過した。遠心分離器から得た炭酸カルシウムを含むウェットケーキ(6)をオーブン(7)内で110℃で乾燥させ、貯蔵した(8)。遠心分離器から回収した濾液(9)を、Shimadzu製GC−MSモデルQP5000を用いてエチルエステルおよびエタノールの含有率について分析した。水分は、Lab India製カールフィッシャー自動水分計により測定した。反応中のエチルエステル濃度プロファイルは表4に示す通りであった。反応終了時の水分含有率は9重量%の範囲であることがわかった。
(種々の水分含有率における乳酸カルシウムのエチル化)(図2)
乳酸カルシウムおよびエタノール中の水分を調整および分析することにより、反応系内の水分含有率%を1.5%から23%まで変化させた。乳酸カルシウムは概して30℃で23%の水分を含む。まず、実施例2で説明した方法で乳酸カルシウム(100g)をエタノール(2)に溶解(1)し、これを容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(4)に入れ、攪拌器を用いて攪拌速度1000rpmで連続的に攪拌した。
(実施例14)
(メタノール、二酸化炭素および加熱媒体として酸化ジフェニルを用いた、165℃、大気圧での乳酸ナトリウムの直接エステル化)(図3)
ガラス容器を備えた容量5Lのタワーアセンブリに、LACTOCHEM(インド、チェンナイ)製純粋乳酸ナトリウム水溶液3300g(濃度70重量%)を、純粋トルエン1200gと共に入れた。その後この材料を、攪拌器を用いて250rpmで連続的に混合した。この反応炉内の物質を、電気ヒータを用いて加熱した。物質を収容したタワーから水蒸気がトルエンと共に上がり上部で濃縮され、2層を留出物として得た。上部の軽量有機層を蒸留器まで連続的に再利用し、底部の水層は、留出物中に水層の痕跡がなくなるまで連続的に除去した。上部の温度は操作終了時には105℃に達し、底部の反応炉温度は105℃であった。その後トルエン中に脱水乳酸ナトリウムを得、これをその後ゆっくりと60℃まで冷却した。その後上部トルエン層を吸い上げることにより除去した。反応炉底部に乳酸ナトリウム結晶を得た。脱水乳酸ナトリウム(1)を微量のトルエンおよび酸化ジフェニル(2)800gと共に、容量5Lの軟鋼製高圧反応炉(3)に入れ、攪拌器を用いて750rpmで連続的に攪拌した。その後反応物質を165℃まで加熱し、反応全体を通してこの温度に保持した。純粋メタノール(4)を速度200g/hで反応炉底部の散布器に通した。同様に、二酸化炭素ガス(5)も同時に反応炉底部から速度40L/hで別体の気体散布器に通した。未反応のメタノール、生成されたメチルエステルおよび未反応の二酸化炭素ガスの蒸気が反応炉から上がった。メチルエステルおよびメタノールをコンデンサ(7)で濃縮し、レシーバ(8)で蒸留物として回収した。この操作を5時間継続した。回収した蒸留物を、GC−MSでメチルエステルについて分析した。蒸留物は、24.5重量%のメチルエステルを示した。
(メタノールおよび二酸化炭素を用いた、170℃、高圧での酢酸ナトリウムからの酢酸メチルの調製)
無水酢酸ナトリウム(テクニカルグレード)82グラムをオートクレーブに入れ、これにメタノール1200グラムを添加した。反応混合物を二酸化炭素により210psigまで加圧した。反応混合物を130℃まで加熱し、8時間この温度に保持した。反応混合物の圧力は620psigまで上昇し、570psigまで下降した。その後、反応混合物を二酸化炭素により620psigまで加圧し、その後反応混合物を170℃まで加熱し、さらに8時間この温度に保持し、その後冷却した。反応混合物の重量は1215グラムであった。ガスクロマトグラフ−質量分光光度計による分析を行った結果、反応混合物中に酢酸メチル60グラムが示された。
(メタノールおよび二酸化炭素を用いた、170℃、高圧での安息香酸ナトリウムからの安息香酸メチルの調製)
無水安息香酸ナトリウム(テクニカルグレード)250グラムをオートクレーブに入れ、これにメタノール1500グラムを添加した。反応混合物を二酸化炭素により250psigまで加圧した。反応混合物を170℃まで加熱し、8時間この温度に保持した。反応混合物の圧力は950psigまで上昇し、反応終了時には850psigまで下降した。反応物質を室温まで冷却すると、圧力は120psigまで下降した。反応混合物の重量は1450グラムであった。ガスクロマトグラフ−質量分光光度計による分析を行った結果、反応混合物中に安息香酸メチル140グラムが示された。
(メタノール、二酸化炭素および加熱媒体として酸化ジフェニルを用いた、170℃、大気圧(1.03kg/cm2)での安息香酸ナトリウムからの安息香酸メチルの連続的生成)
無水安息香酸ナトリウム576グラムを酸化ジフェニル1500グラムと共に5リットルSSオートクレーブに入れた。反応混合物を、窒素流下120℃で3時間加熱することにより微量の水分を除去した。その後反応混合物を165〜170℃に加熱し、120ml/hの速度でこれにメタノールを添加した。同時に40L/hの速度で二酸化炭素を添加した。蒸留物を生成物と共に水冷コンデンサで冷却し、回収した。メタノールの総添加量は746グラムであり、二酸化炭素の添加量は約8時間で約352グラムであった。回収した蒸留物の重量は約650グラムであり、安息香酸メチル195グラムを示した(ガスクロマトグラフ−質量分析法による)。
(メタノールおよび二酸化炭素を用いた、170℃、高圧でのサリチル酸ナトリウムからのサリチル酸メチルの調製)
無水サリチル酸ナトリウム(テクニカルグレード)80グラムをオートクレーブに入れ、これにメタノール1500グラムを添加した。反応混合物を二酸化炭素により260psigまで加圧した。反応混合物を170℃まで加熱し、8時間この温度に保持した。反応混合物の圧力は955psigまで上昇し、900psigまで下降した。反応物質を冷却し、二酸化炭素により250psigまで加圧し、さらに8時間に亘って170℃で加熱した。反応混合物を冷却した。操作後の反応混合物1457グラムに対し、ガスクロマトグラフ−質量分光光度計による分析を行った。反応混合物はサリチル酸メチル42グラムおよび副生成物としてフェノール4グラムを示した。
CO2およびアルコールを用いた乳酸カルシウムの直接エステル化により、高純度アルキルエステルおよび副生成物として炭酸カルシウムが生成される。合成された副生成物、すなわち炭酸カルシウムサンプルを、結晶性、表面積および孔容積で特徴づけた。このルートの長所は、合成された副生成物を発酵器に循環し再利用して、対応するアルカリ金属乳酸塩を生成できること、または細かく沈殿した炭酸カルシウムをその他の様々な適用に用いることができることである。超過のアルコールを添加することにより未反応の乳酸カルシウムを除去し、得られた固体をオーブンで100℃で乾燥させた。炭酸カルシウムの乾燥重量を測定し、その後反応物の材料バランスも確かめた。実験誤差は±5%以内であることがわかった。図4は、標準的炭酸カルシウムサンプルおよび、CO2とアルコールとを用いて乳酸カルシウムのエステル化により調製した炭酸カルシウムサンプルのXRDパターンを示す。この図からわかるように、合成した炭酸カルシウムの相は八角形構造を有する十分に結晶化した方解石(JCPDS83−0577および83−1762)であり、真性炭酸カルシウムサンプルに合致する。マルチポイント吸収法により得たBET表面積および孔容積の結果を表6に示す。これらの結果は、本発明によるプロセスで調製した炭酸カルシウム(CaCO3synthesized)は市場入手可能な炭酸カルシウム(CaCO3commercial)よりも広い比表面積を有することを示す。このことは、本研究で合成した炭酸カルシウムの粒径が、市場入手可能な炭酸カルシウムの粒径よりもはるかに小さいことを示している。CaCO3synthesizedは、CaCO3commercialに比べて、高い孔容積および高い平均孔サイズを示す。
本発明で報告する直接エステル化反応方法は、乳酸カルシウムまたはナトリウムからメチルエステルへの反応であり、従って、従来の方法で得られる硫酸カルシウムまたは硫酸ナトリウムの好ましくない汚染物質を生成しない。
Claims (5)
- アルコールおよびCO2を用いてカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩のエステル化を行うことにより光学的に純粋なアルキルエステルを調製するプロセスであって、
前記カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩の脱水粉末をアルコールと混合して反応溶液を準備する工程と、
i.15分から30分間に亘って500〜1000rpmで前記反応溶液を攪拌することにより、前記カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩の5〜30重量%アルコール溶液を得る工程と、
ii.工程(i)で得た溶液を、5〜60.4kg/cm2の範囲で145〜210℃の範囲の温度で15分〜1時間の範囲の期間に亘って二酸化炭素により加圧することによりアルキルエステルを得る工程であって、副生成物は沈殿物としてナトリウム、カリウムまたはカルシウムの炭酸塩または重炭酸塩からなる群から選択される、工程と、
iii.工程(ii)で得た前記沈殿物を濾過により分離し、前記分離した沈殿物を発酵セクションで再利用することによりグルコース源からナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩を得る工程と、
iv.前記工程(iii)で得た濾液を工程(i)における前記反応溶液として使用することにより、工程(i)、(ii)および(iii)を3〜4回繰り返す工程と、
v.前記工程(iv)の後、前記濾液を蒸留することにより、アルキルエステルおよび未反応アルコールを回収する工程であって、前記アルキルエステルは99.50〜99.8重量%の範囲の純度を有し、かつ、0.03〜0.1重量%の水分を有する、工程と
を含むプロセス。 - 前記アルコールは、メタノール、エタノールおよびブタノールからなる群より選択される、請求項1に記載のプロセス。
- 前記ナトリウム、カリウムまたはカルシウムのカルボン酸塩は、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩または安息香酸からなる群より選択される、請求項1に記載のプロセス。
- 鉱酸がない状態でバッチまたは連続モードで実施される、請求項1に記載のプロセス。
- 前記ナトリウム、カリウムまたはカルシウムのカルボン酸塩から前記アルキルエステルへの変換パーセンテージは95〜99%の範囲である、請求項1に記載のプロセス。
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