JP5678950B2 - ガラスセラミックス焼結体及び配線基板 - Google Patents
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Description
上記のような小型のガラスセラミックス基板の表面には、金めっき層が被着された配線導体を形成した、ガラスセラミックス配線基板が従来から用いられている。
半導体素子等の電子部品の各電極(端子)と、配線導体とをワイヤボンディング接続しようとしたときにも、電子部品の各電極を所定の配線導体に正確に接続することが困難であるという問題もあった。
さらには、カメラモジュール用途に用いられる場合、受光素子となる半導体素子が実装される基板において、白色系の色合いをした基板では光の反射が生じやすくなり、不具合の原因となりやすい問題もあった。
また、昨今の機器の薄型化に対応するため、セラミック基板に対しても薄型化が求められており、多層で基板を形成する場合には、1層当りの厚みも薄い事が求められている。特に50μmを切るような層間厚みとなる場合には、白色系の色合いをした基板では、表面から下の層のパターンが透けて見えるため、場合によっては、外観を確認する際、表面のパターンとの誤認識を引き起こす問題も生じている。
特許文献2では、CrをCr2 O3 換算で0.05重量部以上で、且つCu、V、Fe、Ni、MnおよびCoの群から選ばれる少なくとも1種を酸化物換算で上記CrのCr2 O3 換算量との合計で10重量部以下含有することにより得られる着色ガラスセラミックス焼結体が提案されている。
特許文献3では、少なくともMg、Ca、Si、Alを含むディオプサイド型酸化物結晶相と、Mg及び/またはZn,Tiとを含有する複合酸化物結晶相とを含有している高周波用磁器が提案されている。
また、特許第3064273号公報では、誘電損失の小さな添加材が提案されているが、着色効果が不十分であり、誘電率も高くなる可能性がある。
黒色反応を示すMn,Feの代表的な複合酸化物である、Fe−Mn−O系酸化物等を用いると誘電損失が大きくなってしまう。しかし、本発明の着色顔料のように、少なくともZn、Ti、Mn、Feを含有し、イルメナイト型結晶相又は、スピネル型結晶相で表される結晶相を有する複合酸化物を用いる事で、誘電体材料として比較的小さな損失となる。そのため、ガラスセラミックスとしての誘電損失の増大を防止することが可能となる。
また黒色系もしくは、茶色系の色合いを調整する場合、Co,Cu,Mg,Ni等を含有させても良い。これらの元素はZn,Mn,Feと同様に、イルメナイト型結晶相もしくは、スピネル型結晶相の結晶形態を形成する事が可能である。従って、誘電損失の増大を抑制する効果を満たし、ガラスセラミックス焼結体の色合いの調整が可能となる。
以上の理由により、本発明において、イルメナイト型結晶相、もしくはスピネル型結晶相を有する複合酸化物を用いることで、ガラスの結晶化挙動へ与える影響を小さくし、焼結密度の低下を抑えることを可能なものとする。
セラミックスフィラーの割合は、ガラスセラミックス焼結体中の15体積%〜40体積%含まれることが好ましい。誘電損失等の特性を損なわない範囲で上記成分以外の成分を含んでもよい。
イルメナイト型結晶相、もしくはスピネル型結晶相を示すものであれば、Znの一部をCo、Cu、Mg、Ni等で置換したものが含まれていてもよい。
本発明のガラスセラミックス焼結体は、結晶化ガラス系材料を用いて形成されるものであることが好ましく、結晶化ガラス系材料としては、例えば、SiO2、CaO、MgOを含有するディオプサイド結晶ガラスを用いることが好ましい。
[着色顔料の作製]
TiO2、ZnO、MnCO3、Fe2O3、Co3O4、CuOを用意し、仮焼、微粉砕後の組成比が表1の顔料1に示す値となるように秤量し、ボールミルを用いて湿式混合を16時間行った。得られたスラリーを十分に乾燥させた後、大気中、1100℃で2時間保持する仮焼を行い、仮焼体を得た。その後、仮焼体が平均粒径1.0μmになるまでボールミルにより微粉砕した後、微粉砕粉末を乾燥させ着色顔料粉末を準備した。
ガラス粉末(SiO2=50質量%、CaO=16質量%、MgO=20質量%、Al2O3=5質量%となるディオプサイドを析出する結晶化ガラス粉末)とアルミナフィラーおよび前述の着色顔料を準備した。アルミナフィラーは平均粒径が1.5μmのものを準備した。
着色顔料添加しないことを除いて、実施例1と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。ガラスセラミックス基板におけるガラス成分、アルミナフィラーの組成は、表2に示すとおりであった。
[着色顔料の作製]
出発原料をTiO2、ZnO、MnCO3、Fe2O3とした以外は実施例1と同じ条件で作製した。組成比は表2に示した。
[ガラスセラミックス基板の作製]
着色顔料が上記組成であること以外を除いては、実施例1と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。
[着色顔料の作製]
出発原料をTiO2、ZnO、MnCO3、Fe2O3、Co3O4とした以外は実施例1と同じ条件で作製した。組成比については表1に示した。
着色顔料が上記組成であること以外を除いては、実施例1と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。
[着色顔料の作製]
仮焼き温度を900℃とした以外は実施例3と同じ条件で作製した。組成比は表2に示した。
[ガラスセラミックス基板の作製]
着色顔料の仮焼き温度が上記900℃で組成が上記組成であること以外を除いては、実施例1と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。
[着色顔料の作製]
MnCO3、Fe2O3、CuOを用意した。これら原料粉末を、表1に示したそれぞれの酸化物換算で、仮焼、微粉砕後の組成比が表1に示す値となるように秤量し、ボールミルを用いて湿式混合を16時間行った。得られたスラリーを十分に乾燥させた後、大気中、1100℃で2時間保持する仮焼を行い、仮焼体を得た。その後、仮焼体が平均粒径1.0μmになるまでボールミルにより微粉砕した後、微粉砕粉末を乾燥させ着色顔料を準備した。
着色顔料が上記組成であること以外を除いては、実施例1と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。
[ガラスセラミックス基板の作製]
着色顔料をFe2O3としたこと以外を除いては、実施例1と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。
[着色顔料の作製]
実施例1と同じ条件で着色顔料を準備した。
[ガラスセラミックス基板の作製]
ガラスセラミックス焼結体におけるガラス、アルミナフィラー、着色顔料の組成が異なる以外は、実施例1と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。なお、組成比については表1に示した。
かくして得られたガラスセラミックス基板について、比誘電率、誘電損失、相対密度、結晶性、表面導体パターンの認識性、ガラスセラミックス基板素地の色合いについて評価しし、結果を表2に示した。
各種評価項目については以下の方法にて評価した。
(1)比誘電率εr及び誘電損失tanδ
比誘電率εr及び誘電損失tanδについては、空洞共振器摂動法を使って2GHzでの特性を評価した。この際、評価として導体パターン(内部導体パターン、表面導体パターン、実装用の表面端子パターンやビア導体パターン等)は形成せず、ガラスセラミックス焼結体を所定の形状に成型して評価を行った。
(2)焼結相対密度
焼結相対密度については、上記と同様に導体パターンを含まないガラスセラミックス焼結体をアルキメデス法により比重を測定(Sg)した後、以下の計算式により焼結相対密度とした。相対密度(%)=Sg/[(ガラスの比重×含有率(%))+(セラミックスフィラーの比重×含有率(%))+(着色顔料の比重×含有率(%))]
(3)表面導体パターン認識性
表面導体パターン認識性に関しては、マウンタ装置でのパターン認識性による評価を行い、結果を表2に示した。
比較例2は、表面導体とガラスセラミックス素地とのコントラストがはっきりし、表面導体パターン認識上問題はなかったが、誘電損失の増大、焼結密度の低下が見られた。比較例3は、着色顔料を添加しない場合と比較すると、若干の着色は確認出来たが、表面導体パターン認識性を十分に満足するものではなかった。
[着色顔料の作製]
実施例1に同じ条件にて、同様の着色顔料を準備した。
ガラス粉末(SiO2=50質量%、CaO=19質量%、MgO=22質量%、Al2O3=1質量%、CuO=0.05質量%、SrO=8質量%となるディオプサイドを析出する結晶化ガラス粉末)とアルミナフィラーとを準備した。アルミナフィラーは平均粒径が2.5μmのものを準備した。
[着色顔料の作製]
実施例1に同じ条件にて、同様の着色顔料を準備した(顔料1)。
[ガラスセラミックス配線基板の作製]
着色顔料の含有量が異なる以外は、実施例6と同様の方法でガラスセラミックス配線基板を作製した。
[着色顔料の作製]
出発原料におけるTiO2、ZnO、MnCO3、Fe2O3組成比を変えた以外は、実施例2と同じ条件で作製した。組成比については表2に示した。
[ガラスセラミックス基板の作製]
着色顔料が上記組成であること以外を除いては、実施例6と同様の方法にてガラスセラミックス基板を作製した。
かくして得られたガラスセラミック配線基板について、比誘電率ε、誘電損失tanδ、焼結相対密度、表面導体パターン認識性、基板素地の色合い、下層パターンの認識性について評価した。下層パターンの認識がしにくいものを○、やや認識しにくいものを△として、表記した。表3に結果を示した。
実施例11は、下層のパターンが透けて見えることもなく、外観検査における誤認識の発生は確認されなかった。着色顔料のガラスに対する添加量としては、2〜10質量%とすることで、比誘電率ε8以下、誘電損失tanδ4×10−4以下、焼結相対密度98%以上となり、実用上優れた特性を有する。また、ガラスセラミックス素地が濃茶系の色合いを示し、下層パターン透過の影響による外観検査における誤認識の可能性もなく、安定した量産に対応できるものとなる。
実施例12は、やや誘電損失の上昇傾向が見られ、実施例13においては、下層のパターンがやや透けて見えた。このように、着色顔料に含まれるFe及び/またはMnの合計が、Fe2O3およびMnOとなる酸化物換算で20〜60質量%含有させることで、より安定した低損失配線基板が可能なものとなることが確認された。
3 ビア導体パターン
4 実装用の表面端子パターン
5 内部導体パターン
6 表面導体パターン
111 ガラスセラミックス配線積層体
112 ガラスセラミックス配線基板
31 ビア導体
41 実装用の表面端子
51 内部導体
61 表面導体
8 表面導体
113 ガラスセラミックス基板
9 ビア導体
10 実装用の表面端子
11 内部導体
12 表面導体
114 ガラスセラミックス配線基板
Claims (2)
- ガラス成分、セラミックスフィラー及び着色顔料を含有するガラスセラミックス焼結体であり、前記ガラス成分は、少なくともMgO、CaO、SiO2を含むディオプサイド型酸化物結晶相を析出する結晶化ガラスであり、前記SiO2の含有量は、前記結晶化ガラス全量を基準として、40〜65質量%含有し、
前記着色顔料としては、少なくともZnO、TiO2、MnO、Fe2O 3 を含み、前記FeとMnの合計は酸化物換算、すなわち、Fe2O3とMnOの合計で20〜60質量%含有する、イルメナイト型結晶相もしくはスピネル型結晶相で表される、結晶相を有する複合酸化物である、
前記着色顔料は、前記結晶化ガラス成分に対して2〜10質量%を含有することを特徴とするガラスセラミックス焼結体。 - 絶縁基体の内部及び表面に配線導体を形成した積層構造を持ち、前記絶縁基体は請求項1記載のガラスセラミックス焼結体からなる配線基板。
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