JP5677063B2 - 上下配置の免震レールの相対移動を利用した免震装置における改良免震レール体構造 - Google Patents

上下配置の免震レールの相対移動を利用した免震装置における改良免震レール体構造 Download PDF

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本発明は、上下配置の免震レールの相対移動を利用し、転倒防止機能を具備した免震装置であって、当該上下配置の外レール、内レール間にフランジ付きローラを用いて外レール、内レール間の間隔を保持しつつ外レール、内レールを相対移動させる移動体を介在した構成に係る免震装置において、当該移動体と上下配置の免震レールとの組立を極めて簡略、容易にした斬新改良を施した免震レール体構造に関するものである。
従来、美術品、精密機器、コンピュータ装置等のような各種の被免震体の下部に配置して、地震発生時における免震を行う免震装置としては種々の構造のものが開発されており、例えばローラと曲線レールを組み合わせた免震レール体を複数使用するもの、復元動作用に金属ばねや曲線レールを用いたもの、振動減衰手段にオイルダンパ、摩擦ダンパ等を用いたもの等が提案されている。
この内、ローラと曲線レールを組み合わせた免震レール体を複数使用する免震装置としては特許文献1に開示されたものが知られている。
特許文献1に開示された免震装置は、板材がU字形に折り曲げられ開放面を下向きにするとともに上面に被支持体を載置する上部案内部材と、板材がU字形に折り曲げられ開放面を上向きにするとともに上部案内部材と中心軸を同じにして下面を設置面に当接する下部案内部材と、上部案内部材と下部案内部材のどちらか一方にまたは両方に設けられた複数のガイド部に沿って上部案内部材を移動可能に支持する移動部材とにより免震機構を構成し、この免震機構を上層に二組、下層に二組、井桁状に配置したものである(特許文献1:図1等)。
そして、前記移動部材の構造は、特許文献1の図6に開示されているように、上部案内部材、下部案内部材の各起立片に設けられた各案内溝を貫通するシャフトにより、両側の案内溝をそれぞれ転動するフランジ付きの車輪を回転可能に支持し、シャフト、各車輪の間に各々軸受ブシュを嵌合し、両側の軸受ブシュの間には、これら軸受ブシュの間隔を維持する位置決めスリーブをシャフトに嵌合した状態で配置したものとなっている。
しかしながら、特許文献1の免震装置における移動部材の場合、特許文献1の図6に示されるように、上部案内部材、下部案内部材の各起立片に設けられた各案内溝を貫通するシャフトの中央部に位置決めスリーブを嵌合し、位置決めスリーブの両側に各々シャフトに嵌合する軸受ブシュを配置し、各案内溝に嵌装する各車輪の内周に各々軸受ブシュを嵌め付ける相当に複雑な構造を採用しており、移動部材自体の部品点数が多く、しかも、このような構成の装置にあっては、特許文献1の図6に示されるように、当該移動部材と、上下に配置される免震レールに該当する上部案内部材、下部案内部材との組立が、極めて複雑、煩雑で、手間を要する免震機構であり、この点が従来特に問題とされるところであった。
特開2002−276731号公報
本発明が解決しようとする問題点は、上下配置の免震レールの相対移動を利用し、転倒防止機能を具備した免震装置であって、当該上下配置の外レール、内レール間にフランジ付きローラを用いて外レール、内レール間の間隔を保持しつつ外レール、内レールを相対移動させる移動体を介在した構成に係る免震装置において、移動体自体を部品点数が少ない簡略構造としつつ、当該移動体と上下配置の免震レールとの組立を極めて簡略容易にした斬新改良を施した免震レール体構造が存在しない点である。
本発明の免震レール体構造は、前記課題を解決するために、上下配置の外レール、内レールからなる各免震レールの相対移動を利用し、転倒防止機能を具備した免震装置であって、当該上下配置の外レール、内レール間に、フランジ付きローラ体の当該フランジを用いて外レール、内レール間の間隔を保持しつつ外レール、内レールを相対移動させる移動体を介在した構成からなる免震装置における改良免震レール体構造、すなわち、断面が凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設けた内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設け、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に底片を前記内レールの底片と対向させつつ各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記各円弧状長孔の孔幅寸法より大径で内レール、外レールの間の間隔部分に位置させるフランジを中央に具備し、フランジの両側に前記内レールの円弧状長孔、外レールの円弧状長孔に嵌装するローラ部を備え、4箇所の各円弧状長孔の対応箇所に回転可能にかつ2個ずつ対向する態様で配置する4個のローラ体と、対向する2個ずつのローラ体を貫通させる一対のローラ体支持軸と、外レールの外側で一対のローラ体支持軸を固定連結する一対の連結側片、固定具からなる固定機構部と、を具備する移動体と、を有する上下配置のレールの相対移動を利用した構成からなる免震装置における改良免震レール体構造であって、前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とするとともに、前記外レール、内レールを上下配置に組み合わせた後、移動体組立時に、前記ローラ体、ローラ体支持軸、連結側片、ワッシャ、ナットを固定機構部により予め組み付けて構成した移動体を、前記外レールの一方における側片の外側から、当該ローラ体支持軸を円弧状長孔に装着しつつ前記外レールの他方の外側へ突出させた後、前記外レールの他方における側片の外側において、他の各ローラ体を前記突出させたローラ体支持軸の先端から差し込みつつ前記拡開孔領域に装着し、前記ローラ体の一方のローラ部を内レールの円弧状長孔に嵌装し、前記フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部を外レールの拡開孔領域に嵌装し、前記一対の固定機構部の内の他方の固定機構部の連結側片、ワッシャ、ナットを用いて前記ローラ体支持軸の他端側と固定連結する構造としたことを特徴とし、前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を、他の部品を用いることなくできるようにしたことを主要な特徴とする。
請求項1記載の各発明によれば、移動体を構成するローラ体のフランジを、外レール、内レールの側片間に的確に位置させつつローラ部を外レール、内レールの円弧状長孔に簡略容易に嵌装させて移動体を組み込むことができ、当該移動体と上下配置の免震レールとの組立を、他の部品を用いることなくできるようにした免震装置における免震レール体構造を実現し提供することができる。
図1は本発明の実施例1に係る免震レール体の概略正面図である。 図2は本実施例1に係る免震レール体の外レール、内レールを上下に分離した状態を示す概略正面図である。 図3は図1のA−A線概略断面における一部分の説明図である。 図4は本実施例1に係る免震レール体の外レールに設けたフランジ挿通用の拡開孔領域を示す部分拡大図である。 図5は本実施例1に係る免震レール体においてフランジ挿通用の拡開孔領域に対してローラ体を装着する状態、及び各部の寸法を示す説明図である。 図6は図1のA−A線概略断面図で、本実施例1に係る免震レール体を構成する移動体において、ローラ体支持軸に2個ずつ嵌装する各々フランジを具備する各ローラ体の組み合わせ態様の内の第1の態様を示す説明図である。 図7は図1のA−A線概略断面図で、本実施例1に係る免震レール体を構成する移動体において、ローラ体支持軸に2個ずつ嵌装する各々フランジを具備する各ローラ体の組み合わせ態様の内の第2の態様を示す説明図である。 図8は図1のA−A線概略断面図で、本実施例1に係る免震レール体を構成する移動体において、ローラ体支持軸に2個ずつ嵌装する各々フランジを具備する各ローラ体の組み合わせ態様の内の第3の態様を示す説明図である。 図9は図1のB−B線概略断面図で、本実施例1に係る免震レール体における外レール、内レールに対する移動体の組立準備工程を示す概略平面図である。 図10は図1のB−B線概略断面図で、本実施例1に係る免震レール体における外レール、内レールに対するローラ体支持軸の挿通工程を示す概略平面図である。 図11は図1のB−B線概略断面図で、本実施例1に係る免震レール体における本実施例に係る免震レール体における外レール、内レールに対する移動体における他方の固定機構部の組み込み工程を示す概略平面図である。 図12は本実施例1に係る免震レール体を用いた免震装置の概略正面図である。 図13は本発明の実施例2に係る免震レール体の概略正面図である。 図14は本実施例2に係る免震レール体の外レールに設けたフランジ挿通用の拡開孔領域を示す部分拡大図である。 図15は図13のB−B線概略断面図で、本実施例2に係る免震レール体における外レール、内レールに対する移動体の組立準備工程を示す概略平面図である。 図16は図13のB−B線概略断面図で、本実施例2に係る免震レール体における外レール、内レールに対するローラ体支持軸、ローラ体等の挿通工程を示す概略平面図である。 図17は図13のB−B線概略断面図で、本実施例2に係る免震レール体における外レール、内レールに対する移動体における他方の固定機構部の組み込み工程を示す概略平面図である。 図18は本実施例12に係る免震レール体を用いた免震装置の概略正面図である。
本発明の改良免震レール体構造は、上下配置の外レール、内レールからなる各免震レールの相対移動を利用し、転倒防止機能を具備した免震装置であって、当該上下配置の外レール、内レール間に、フランジ付きローラ体の当該フランジを用いて外レール、内レール間の間隔を保持しつつ外レール、内レールを相対移動させる移動体を介在した構成の免震装置における免震レール体構造であって、前記外レールに形成した円弧状長孔の長さ方向のいずれかの位置に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を設けて構成したこと、すなわち、前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とするとともに、前記外レール、内レールを上下配置に組み合わせた後、移動体組立時に、前記ローラ体、ローラ体支持軸、連結側片、ワッシャ、ナットを固定機構部により予め組み付けて構成した移動体を、前記外レールの一方における側片の外側から、当該ローラ体支持軸を円弧状長孔に装着しつつ前記外レールの他方の外側へ突出させた後、前記外レールの他方における側片の外側において、他の各ローラ体を前記突出させたローラ体支持軸の先端から差し込みつつ前記拡開孔領域に装着し、前記ローラ体の一方のローラ部を内レールの円弧状長孔に嵌装し、前記フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部を外レールの拡開孔領域に嵌装し、前記一対の固定機構部の内の他方の固定機構部の連結側片、ワッシャ、ナットを用いて前記ローラ体支持軸の他端側と固定連結する構造としたことを特徴とし、前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を、他の部品を用いることなくできるようにしたことを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例1に係る上下配置の免震レールの相対移動を利用した免震装置1Aにおける免震レール体構造について図1乃至図12を参照して詳細に説明する。
まず、本実施例1に係る免震レール体11Aの全体構成について図1乃至図6を参照して説明する。
本実施例1に係る免震レール体11Aは、断面形状が凹形状で、平坦な底片21から垂直上方に両側片22、22を立設し、前記両側片22、22に対してその長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした(装置の転倒防止のための)一対ずつの円弧状長孔23を対応配置に設けた所定長さの長尺の内レール24と、幅寸法が前記内レール24より広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片31から垂直下方に両側片32、32を立設して、前記両側片32、32に対してその長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最高部とした一対ずつの円弧状長孔33を対応配置に設け、前記底片31が前記内レール24の底片21と上下対向配置で、前記内レール24と長さ方向中心を一致させつつ長さ方向の中心に関して対称配置の前記各円弧状長孔23、33同士が各々対応配置(長さ方向中央部が合致する配置)となるように組み合わせる所定長さ(前記内レール24と同一長さ)の長尺の外レール34と、を具備している。
本発明の本実施例1に係る免震レール体11Aの特に特徴構成とするところは、後記で詳述するように、前記外レール34の4箇所の円弧状長孔33の長さ方向の中心位置又はいずれかの位置に、図2に示すように、後述するローラ体43のフランジ45が挿通可能な拡開孔領域35を各々設けて、当該拡開孔領域35を、前記外レール34の円弧状長孔33の長さ方向中央部分に、この円弧状長孔33に連なる円弧状凹部36を形成し、この円弧状凹部36と、円弧状長孔33の孔幅(円弧状長孔33を画する上側端面、下側端面間の幅))領域とにより、図4に点線で示す円形領域を設けるように形成した点である。
前記免震レール体11Aは、前記内レール24、外レール34の各円弧状長孔23、33間に、これらの長さ方向に移動可能に介在させる移動体41Aを備えている。
前記移動体41Aは、前記内レール24、外レール34における各両側片22、32に設けた対応する各円弧状長孔23、33を貫通するとともに両端部にネジを設けた一対のローラ体支持軸42と、この一対のローラ体支持軸42に対して内周に配置した減衰力を発揮させるための例えばオイルレスベアリングからなるベアリング44を介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔23、33内にローラ部46を嵌装させ、中央部に内レール24、外レール34の隣り合う側片22、32間に位置させる前記ローラ部46より大径のフランジ45を具備する片側2個、両側で4個のローラ体43と、前記各外レール34、34の外側で、前記一対のローラ体支持軸42の各端部を各々固定配置に連結する一対の固定機構部51、51と、を具備している。
一対の固定機構部51、51は、外レール34の両側片32、32に設けた前記円弧状長孔33、33の中央部間の距離より大きい長さを有し、両隅部に前記円弧状長孔33、33の中央部間の距離に等しい間隔で一対のローラ体支持軸42の各ネジを挿通させる2個ずつの挿通孔52a、52aを設けた長方形状の一対の連結側片52、52と、一対のローラ体支持軸42の各ネジに対応させる片側2個、合計4個のワッシャ53と、同じく各ネジに対応させる片側2個、合計4個のナット54とを具備している。前記ワッシャ53、ナット54により固定具を構成している。
そして、前記各外レール34、34の外側で、前記一対のローラ体支持軸42の各端部を一対の連結側片52、52の挿通孔52aから各々外方に突出させるとともに、前記各ワッシャ53、各ナット54を用いて一対のローラ体支持軸42を固定配置に連結するように構成している。
本実施例の免震装置1Aは、上述した構成の移動体41Aを用いて、これを各々前記外レール34、内レール24における中央部両側の各円弧状長孔33、23内に配置している。
本実施例の免震装置1Aによれば、前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、また、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングとローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うことができる。
ここで、前記円弧状長孔23、33、拡開孔領域35、ローラ体43の寸法関係、及び前記拡開孔領域35に対して前記ローラ体43を装着する状態について、図4、図5を参照して説明する。
前記拡開孔領域35は、前記外レール34の円弧状長孔33の長さ方向中央部分に、この円弧状長孔33に連なる円弧状凹部36を形成し、この円弧状凹部36と円弧状長孔33の孔幅(円弧状長孔33を画する上側端面、下側端面間の幅))領域とにより、図4に点線で示す円形領域を設けることで形成するものである。
そして、前記円弧状長孔23、33の孔幅をt、拡開孔領域35の直径をD、ローラ体43のローラ部46の直径をD1、フランジ45の直径をD2とすると、本実施例においては、孔幅tとローラ部46の直径D1との関係は、孔幅t>直径D1、拡開孔領域35の直径Dとフランジ45の直径D2との関係は、直径D>直径D2となるように設定している。
なお、前記孔幅tはローラ部46の直径D1よりも僅かに(例えば0.5mm)大きく、また、前記拡開孔領域35の直径Dはフランジ45の直径D2より僅かに(例えば1mm)大きく設定している。
このような円弧状長孔23、33、拡開孔領域35、ローラ体43の各寸法設定により、図5に示すように、前記外レール34の外側からローラ体43の一方のローラ部46、フランジ45、他方のローラ部46の順に前記拡開孔領域35に装着し、一方のローラ部46を内レール24の円弧状長孔23に嵌装し、前記フランジ45を内レール24、外レール34の間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部46を外レール34の円弧状長孔33に嵌装する組み込み工程を、他の部品を全く用いることなく簡略容易に実行できるようになっている。
このようなローラ体43の外レール34、内レール24の各円弧状長孔23、33に対する装着工程は、前記免震レール体11Aにおいて夫々の各箇所同様に実行されるものである。
次に、図6乃至図8を参照して、前記移動体41Aにおける一対のローラ体支持軸42に2個ずつ嵌装する各々フランジ45を具備する各ローラ体43の2種のフランジ組み合わせ態様について詳述する。
本実施例1においては、各ローラ体43におけるローラ部46、フランジ45の構成として以下の3態様いずれかから選定するものとしている。
すなわち、第1の態様は、図6に示すように、一方の側片32、22側の2個のローラ体43、43、及び他方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を、いずれも一対の突き合わせフランジ45a、45aを接合させ個別回転する内周にベアリング44を配置した個別ローラ46a、46aからなるローラ部46を備える構成としたものである。
第2の態様は、図7に示すように、一方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を一対の突き合わせフランジ45a、45aを接合させ個別回転する内周にベアリング44を各々配置した個別ローラ46a、46aからなるローラ部46とし、他方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を一体型フランジ45bを用いて一体回転するローラ部46としたものである。
第3の態様は、図8に示すように、一方の側片32、22側の2個のローラ体43、43、及び他方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を、いずれも一体型フランジ45bを用いて各々一体回転する内周にベアリング44を配置したローラ部46としたものである。
これらいずれの態様の場合でも、各ローラ体43を前記外レール34、内レール24の各円弧状長孔23、33に装着し、前記外レール34、内レール24の隣り合う側片32、22間の間隔を一定に保持するためのフランジ45(突き合わせフランジ45a又は一体型フランジ45b)を前記側片32、22間に的確に位置させる工程を、前記拡開孔領域35を利用することで既述した図5に示す場合と同様にして他の部品を用いることなく簡略容易に実行することができる。
次に、図9乃至図11、及び各図中の各矢印を参照して、前記外レール34、内レール24の各円弧状長孔23、33に対する移動体41Aの組み込み工程について詳細に説明する。
まず、図9に示すように、前記外レール34、内レール24を上下配置に組み合わせて、各円弧状長孔33、23同士を対応配置とするとともに、ローラ体43、ローラ体支持軸42、連結側片52、各ワッシャ53、各ナット54を準備し、これらを固定機構部51により図9に示すように組み付ける。
なお、前記ワッシャ53とナット54とを予め接着等により同軸配置に接合しておけば、移動体41Aの組立時の作業能率をより向上することができる。
次に、前記組み付けた状態の移動体41Aを、前記外レール34の一方における側片32の外側から、当該ローラ体支持軸42を円弧状長孔33、23に装着しつつ前記外レール34の他方の外側へ突出させる。
次に、図10に示すように、前記外レール34の他方における側片32の外側において、他の各ローラ体43を前記突出させたローラ体支持軸42の先端から差し込みつつ前記拡開孔領域35に装着し、前記ローラ体43の一方のローラ部46を内レール22の円弧状長孔23に嵌装し、前記フランジ45を内レール22、外レール32の間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部46を外レール32の拡開孔領域35に嵌装する。
なお、図示するものではないが、後記実施例2のような緩衝部材の作用を発揮するゴム材等の弾性材を、前記円弧状長孔23、33の両端部分の形状に合わせて当該部分に装着することも可能である。
次に、図11に示すように、前記一対の固定機構部51の内の他方の固定機構部51の連結側片52、ワッシャ53、ナット54を用いて、前記ローラ体支持軸42の他端側と固定連結する。
このようにして、本実施例1の免震レール体11Aにおいては、前記外レール34、内レール24における各円弧状長孔33、23に対する各ローラ体43の装着工程を、他に格別の部品を用いることなく極めて簡略に行うことができる。すなわち、本実施例1の免震レール体11Aにおいては、前記従来例のような位置決めスリーブ等を使用しない少ない部品構成からなる簡略構造の基に、外レール34、内レール24の間隔保持を実現しつつ移動体41Aの組立工程の簡略容易化、更には、免震レール体11A自体の組立容易化を実現することが可能となる。
図12は、上述したような組立容易化を実現した免震レール体11Aを用いた免震装置1Aを示すものである。
この免震装置1Aは、設置面上の下段に配置される一方の免震レール体11Aを平行配置とし、かつ、下段に配置される一方の免震レール体11Aと直交する方向に平行配置されて井桁状の構造とした上段の免震レール体11A上に、被免震体100の載置用の平坦な載置体12を配置し、地震発生時には、前記下段に配置される免震レール体11Aが移動して、美術品、精密機器、コンピュータ装置等から選ばれる被免震体100に対する一方向(X方向)とこれと直交する他方向(Y方向:図面上の垂直方向)の免震を行うように構成している。
なお、井桁状の免震レール体11Aの配置は図示例に限定されるものではなく、下段にY方向に移動する免震レール体11Aを、上段にX方向に移動する免震レール体11Aを配置することも勿論可能である。
なお、本実施例1の免震装置1Aの場合、地震発生時における前記内レール24の水平方向の移動ストロークの最大変位は、前記移動体41Aの一対のローラ体支持軸42、42の間隔と前記円弧状長孔33、23の長さとにより定まり、また、地震発生時における前記内レール24の水平方向(X方向又はY方向)の相対的な移動に伴う摩擦減衰作用は、前記各ローラ体43のローラ部46(個別ローラ46a又は一体構成のローラ部46)の内周に配置したベアリング44と、前記円弧状長孔33、23内を移動する移動体41の回転しないローラ体支持軸42との間の摩擦により行われる。
また、本実施例1の免震装置によれば、前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、また、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングとローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うことができる。
更にまた、上述した実施例1の免震レール体11Aにおいては、外レール34を内レール24より広幅とし、外レール34に拡開孔領域35を設けた構成としているが、内レール24を外レール34より広幅とし、内レール24の側片22を外レール34の側片32よりも外側に位置させる構成とした免震レール体(すなわち、図2に示す内レール24と外レール34を上下逆に構成するような免震レール体)を採用する場合には、内レール24の側片22に既述したと同様な拡開孔領域35を設けることで、上述した場合と同様な作用、効果を発揮する免震レール体とすることができる。
以上詳述した図1〜図12に図示する本発明に係る実施例1の技術範囲は以下の通りである。
すなわち、図1〜図12に示す実施例1の改良免震レール体構造は、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの上向きの円弧状長孔とを有する内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、垂直配置で、かつ、平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの前記内レールの円弧状長孔と上下対称形状の円弧状長孔とを有し、前記内レールの上部に各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と合計4箇所において対応する配置とした外レールと、前記各円弧状長孔の孔幅寸法より大径で内レール、外レールの間の間隔部分に位置させるフランジを中央に具備し、フランジの両側に前記内レールの円弧状長孔、外レールの円弧状長孔に嵌装するローラ部を備え、4箇所の各円弧状長孔の対応箇所に回転可能にかつ2個ずつ対向する態様で配置する4個のローラ体と、対向する2個ずつのローラ体を貫通させる一対のローラ体支持軸と、外レールの外側で一対のローラ体支持軸を固定連結する固定機構部と、を具備する移動体と、を有する上下配置のレールの相対移動を利用した免震装置における免震レール体構造であって、前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とし、前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を極めて簡略、容易にできるようにしたことを特徴とするものである。
また、図1〜図12に示す実施例1の改良免震レール体構造は、断面が凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設けた内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設け、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に底片を前記内レールの底片と対向させつつ各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記各円弧状長孔の孔幅寸法より大径で内レール、外レールの間の間隔部分に位置させるフランジを中央に具備し、フランジの両側に前記内レールの円弧状長孔、外レールの円弧状長孔に嵌装するローラ部を備え、4箇所の各円弧状長孔の対応箇所に回転可能にかつ2個ずつ対向する態様で配置する4個のローラ体と、対向する2個ずつのローラ体を貫通させる一対のローラ体支持軸と、外レールの外側で一対のローラ体支持軸を固定連結する一対の連結側片、固定具からなる固定機構部と、を具備する移動体と、を有する上下配置のレールの相対移動を利用した免震装置における免震レール体構造であって、前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とし、前記外レール、内レールを上下配置に組み合わせた後、移動体組立時に、前記ローラ体、ローラ体支持軸、連結側片、ワッシャ、ナットを固定機構部により予め組み付けて構成した移動体を、前記外レールの一方における側片の外側から、当該ローラ体支持軸を円弧状長孔に装着しつつ前記外レールの他方の外側へ突出させた後、前記外レールの他方における側片の外側において、他の各ローラ体を前記突出させたローラ体支持軸の先端から差し込みつつ前記拡開孔領域に装着し、前記ローラ体の一方のローラ部を内レールの円弧状長孔に嵌装し、前記フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部を外レールの拡開孔領域に嵌装し、前記一対の固定機構部の内の他方の固定機構部の連結側片、ワッシャ、ナットを用いて前記ローラ体支持軸の他端側と固定連結する構造としたことを特徴とし、前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を極めて簡略、容易にできるようにしたことを特徴とするものである。
上述した図1〜図12に示す実施例1の改良免震レール体構造の発明によれば、移動体組立時に、移動体を構成する前記一対の固定機構部の内の一方の固定機構部の側片、固定具を用いて、各々ローラ体を嵌装した一対のローラ体支持軸の一端側を組み付けて前記外レールの一方の側片の外側に配置し、前記外レールの他方の側片の外側から他の二つのローラ体を前記各拡開孔領域に装着して前記各ローラ体の一方のローラ部を内レールの各円弧状長孔に嵌装し、前記各フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させ、他方の各ローラ部を外レールの各拡開孔領域に嵌装し、前記外レールの一方の側片の外側から、組み付け状態の前記一対のローラ体を嵌装した各ローラ体支持軸を、外レールの一方の側片の各拡開孔領域、内レールの各円弧状長孔、及び外レールの他方の側片の拡開孔領域に嵌装した前記各ローラ体を経て前記外レールの他方の側片の外側へ突出させて、前記一方の各ローラ体を他方の各ローラ体と同様の配置とし、前記一対の固定機構部の内の他方の固定機構部の側片、固定具を用いて、前記各ローラ体支持軸の他端側を固定連結する構造としたものであるから、1台構成の移動体の組立工程の簡略容易化、更には、免震レール体自体の組立容易化を実現することが可能な上下配置のレールの相対移動を利用した免震装置における免震レール体構造を実現し提供することができる。
次に、本発明の実施例2に係る免震レール体11Bについて図13乃至図18を参照して説明する。
なお、本実施例2に係る免震レール体11Bにおいて、既述した免震レール体11Aの場合と同一の要素には同一の符号を付して示す。以下、本発明の実施例2に係る上下配置の免震レールの相対移動を利用した免震装置1Bにおける免震レール体構造について詳細に説明する。
まず、本実施例2に係る免震レール体11Bの全体構成について図13乃至図17を参照して説明する。
本実施例2に係る免震レール体11Bは、断面形状が凹形状で、平坦な底片21から垂直上方に両側片22、22を立設し、前記両側片22、22に対してその長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした(装置の転倒防止のための)一対ずつの円弧状長孔23を対応配置に設けた所定長さの長尺の内レール24と、幅寸法が前記内レール24より広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片31から垂直下方に両側片32、32を立設し、前記両側片32、32に対してその長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最高部とした一対ずつの円弧状長孔33を対応配置に設けて、前記底片31が前記内レール24の底片21と上下対向配置で、前記内レール24と長さ方向中心を一致させつつ長さ方向の中心に関して対称配置の前記各円弧状長孔23、33同士が各々対応配置(長さ方向中央部が合致する配置)となるように組み合わせる所定長さ(前記内レール24と同一長さ)の長尺の外レール34と、を具備している。
本発明の本実施例2に係る免震レール体11Bの特に特徴構成とするところは、後記で詳述するように、前記実施例1の場合と同様に、前記外レール34の4箇所の円弧状長孔33の長さ方向の中心位置又はいずれかの位置に、前記実施例1の図2に示すように、前記ローラ体43のフランジ45が挿通可能な拡開孔領域35を各々設け、前記拡開孔領域35を、前記外レール34の円弧状長孔33の長さ方向中央部分に、この円弧状長孔33に連なる円弧状凹部36を形成し、この円弧状凹部36と、円弧状長孔33の孔幅(円弧状長孔33を画する上側端面、下側端面間の幅))領域とにより、図14に点線で示す円形領域を設けるように形成した点である。
前記免震レール体11Bは、前記内レール24、外レール34の各円弧状長孔23、33間にこれらの長さ方向に移動可能に介在させる2台の移動体41B、41Bを備えている。
前記移動体41Bは、図13等に示すように、前記内レール24、外レール34における各両側片22、32に設けた対応する各円弧状長孔23、33を貫通するとともに両端部にネジを設けたローラ体支持軸42と、このローラ体支持軸42に対して内周に配置した例えばオイルレスベアリングからなる減衰力を発揮させるためのベアリング44を介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔23、33内にローラ部46を嵌装させて、中央部に内レール24、外レール34の隣り合う側片22、32間に位置させる前記ローラ部46より大径のフランジ45を具備する一対のローラ体43と、前記ローラ体支持軸42に関して各円弧状長孔23、33の長さ方向両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール24、外レール34における対応する配置の各両側片22、32の各円弧状長孔23、33を直交配置に貫通する一対のストローク規制体61、61と、を具備している。
前記外レール34の側片32の外側で、前記ローラ体支持軸42、及び一対のストローク規制体61、61の各端部を各々固定配置に連結する一対の固定機構部71、71とを具備している。
前記一対のストローク規制体61、61は、内レール24、外レール34の相対移動のストローク調整用として設けられたものである。
そして、前述したように、前記外レール34の4箇所の円弧状長孔33の長さ方向の中心位置又はいずれかの位置には、前記実施例1の図2に示すように、前記ローラ体43のフランジ45が挿通可能な拡開孔領域35を各々設けている。
前記一対のストローク規制体61は、両側の外レール34、34から外方に突出する各端部に各々ネジを設けた一対のストローク規制軸62、62と、連結側片72と外レール34の接触を避けるためのスペーサ64と、前記円弧状長孔23、33内に臨ませせる緩衝部材の作用を発揮する例えば合計4個のゴム材等の弾性材からなる円筒状の嵌装筒部65とを一体形成することにより構成し、当該スペーサ64は外レール34に当接して構成いる。
前記弾性材からなる前記嵌装筒部65は、前記移動体41Bのストローク規制軸62が前記円弧状長孔23、33の端部に至ったとき緩衝作用を発揮するものである。すなわち、本実施例の構成によれば、この装置に荷重がかかったとき、前記ローラ体43、ベアリング44を経て内レール24で当該荷重を受けて、摩擦係数に応じた摩擦力を受けて摩擦減衰作用を発揮する構成になっている。
前記一対の固定機構部71は、図15に示すように、両側の外レール34、34の外側で、中央部において前記ローラ体支持軸42の各端部を貫通させ、長さ方向両隅部に前記一対のストローク規制体61、61の各端部を貫通させる一対の長方形状の連結側片72、72と、前記ローラ体支持軸42の各端部に設けたネジにワッシャ73を介在させつつ螺合するナット74と、前記各ストローク規制軸62、62の各端部に設けたネジにワッシャ75を介在させつつ螺合するナット76と、を具備し、前記ローラ体支持軸42を一対の長方形状の連結側片72、72間に回転不能に連結している。
本実施例の構成によれば、前記ストローク規制軸62、62でもって前記ローラ体支持軸42の回転を防止している。そして、前記ナット74、76、ワッシャ73、75により固定具を構成している。
そして、前記各外レール34、34の外側で、前記一対のローラ体支持軸42の各端部を一対の連結側片72、72の挿通孔72aから各々外方に突出させるとともに、前記各ワッシャ73、各ナット74を用いて一対のローラ体支持軸42を固定配置に連結するように構成している。
前記一対のストローク規制軸62、62も前記各外レール34、34の外側で、一対の連結側片72、72の挿通孔72bから各々外方に突出させるとともに、前記各ワッシャ75、各ナット76を用いて固定配置に連結するように構成している。
なお、図示する実施例では上記ストローク規制体61、61を一対として構成しているが、本発明においては当該ストローク規制体を一対でない構成として実施しても良い。したがって、本発明においてはストローク規制体を一対の構成に限定するものではない。
本実施例の免震装置1Bは、上述した構成の移動体41Bを2台用い、これらを各々前記外レール34、内レール24における中央部両側の各円弧状長孔33、23内に配置している。
本実施例の免震装置1Bによれば、前記内外レールにローラ体とストローク規制体を挿入、装着、配置することにより前記内外レールが分離することがないことをもって装置の転倒防止機能を発揮でき、また、地震発生時における前記外レールと内レールの相対移動に応じて前記ローラ体に装着したベアリングとローラ体支持軸との摩擦により地震動減衰を行うことができる。
ここで、前記円弧状長孔23、33、拡開孔領域35、ローラ体43の寸法関係、及び前記拡開孔領域35に対して前記ローラ体43を装着する状態について、図14、前記実施例1の図5を参照して説明する。
前記拡開孔領域35は、前記外レール34の円弧状長孔33の長さ方向中央部分に、この円弧状長孔33に連なる円弧状凹部36を形成し、この円弧状凹部36と円弧状長孔33の孔幅(円弧状長孔33を画する上側端面、下側端面間の幅))領域とにより、図14に点線で示す円形領域を設けることで形成するものである。
そして、前記円弧状長孔23、33の孔幅をt、拡開孔領域35の直径をD、ローラ体43のローラ部46の直径をD1、フランジ45の直径をD2とすると、本実施例においては、孔幅tとローラ部46の直径D1との関係は、孔幅t>直径D1、拡開孔領域35の直径Dとフランジ45の直径D2との関係は、直径D>直径D2となるように設定している。
なお、前記孔幅tはローラ部46の直径D1よりも僅かに(例えば0.5mm)大きく、また、前記拡開孔領域35の直径Dはフランジ45の直径D2より僅かに(例えば1mm)大きく設定している。
このような円弧状長孔23、33、拡開孔領域35、ローラ体43の寸法設定により、前記実施例1の図5に示すように、前記外レール34の外側からローラ体43の一方のローラ部46、フランジ45、他方のローラ部46の順に前記拡開孔領域35に装着し、一方のローラ部46を内レール24の円弧状長孔23に嵌装し、前記フランジ45を内レール24、外レール34の間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部46を外レール34の円弧状長孔33に嵌装する組み込み工程を、他の部品を全く用いることなく簡略容易に実行できるようになっている。
このようなローラ体43の外レール34、内レール24の各円弧状長孔23、33に対する装着工程は、前記免震レール体11Bにおいて4箇所同様に実行されるものである。
次に、前記実施例1の場合と同様に、前記実施例1の図6乃至図8を参照して、前記移動体41Bにおける一対のローラ体支持軸42に2個ずつ嵌装する各々フランジ45を具備する各ローラ体43の2種のフランジ組み合わせ態様について詳述する。
本実施例2においては、各ローラ体43におけるローラ部46、フランジ45の構成として以下の3態様いずれかから選定するものとしている。
すなわち、第1の態様は、図6に示すように、一方の側片32、22側の2個のローラ体43、43、及び他方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を、いずれも一対の突き合わせフランジ45a、45aを接合させ個別回転する内周にベアリング44を配置した個別ローラ46a、46aからなるローラ部46を備える構成としたものである。
第2の態様は、図7に示すように、一方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を一対の突き合わせフランジ45a、45aを接合させ個別回転する内周にベアリング44を各々配置した個別ローラ46a、46aからなるローラ部46とし、他方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を一体型フランジ45bを用いて一体回転するローラ部46としたものである。
第3の態様は、図8に示すように、一方の側片32、22側の2個のローラ体43、43、及び他方の側片32、22側の2個のローラ体43、43を、いずれも一体型フランジ45bを用いて各々一体回転する内周にベアリング44を配置したローラ部46としたものである。
これらいずれの態様の場合でも、各ローラ体43を前記外レール34、内レール24の各円弧状長孔23、33に装着し、前記外レール34、内レール24の隣り合う側片32、22間の間隔を一定に保持するためのフランジ45(突き合わせフランジ45a又は一体型フランジ45b)を前記側片32、22間に的確に位置させる工程を、前記拡開孔領域35を利用することで既述した実施例1の図5に示す場合と同様にして他の部品を用いることなく簡略容易に実行することができる。
次に、図15乃至図17、及び各図中の各矢印を参照して、前記外レール34、内レール24の各円弧状長孔23、33に対する移動体41Bの組み込み工程について詳細に説明する。
なお、図15乃至図17には、前記外レール34、内レール24における長さ方向中央に関して、一方側の対向する円弧状長孔23、33に対する移動体41Bの組み込み状態を示す。
まず、前記外レール34、内レール24を上下配置に組み合わせ、合計4箇所の各円弧状長孔33、23同士を対応配置とするとともに、2個のローラ体43、ローラ体支持軸42、一対の連結側片72、72、2個のワッシャ73、2個のナット74、4個のワッシャ75、4個のナット76を準備し、一対のストローク規制軸62、62、4個の弾性材63も準備し、これらを固定機構部71により図15に示すように組み付ける。
なお、前記ワッシャ73とナット74とを予め接着等により同軸配置に接合し、また、前記ワッシャ75とナット76とを予め接着等により同軸配置に接合しておけば、移動体41Bの組立時の作業能率をより向上することができる。
次に、図15乃至図17に示すように、前記弾性材63を円弧状長孔33、23に装着しつつ、前記外レール34の一方の側片33の外側から、組み付け状態の前記一対のストローク規制軸62を、前記外レール34の他方の外側へ突出させた後、前記一つのローラ体43を嵌装したローラ体支持軸42を、外レール34の一方の側片32の拡開孔領域35、内レール24の各円弧状長孔23、及び外レール34の他方の側片32の拡開孔領域35を経て前記外レール34の他方の側片32の外側へ突出させる。
次に、前記外レール34の他方の側片32の外側において、他の一つのローラ体43を前記拡開孔領域35に装着し、前記ローラ体43の一方のローラ部46aを内レール22の円弧状長孔23に嵌装し、前記フランジ45を内レール22、外レール32の間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部46を外レール32の拡開孔領域35に嵌装する。
更に、他方の側片32の外側から一対の弾性材63を前記円弧状長孔23、33に装着する。
次に、図17に示すように、前記一対の固定機構部71の内の他方の固定機構部71の連結側片72、ワッシャ73、75、ナット74、76を用いて、前記ローラ体支持軸42の他端側と、前記一対のストローク規制軸62の他端側とを固定連結する。
このような移動体41Bの組み込みが前記外レール34、内レール24における長さ方向中央に関して、他方側の対向する円弧状長孔23、33に対しても同様に行われる。そして、前記外レール34、内レール24における2箇所の各円弧状長孔33、23に対する各ローラ体43の装着工程を、他に格別の部品を用いることなく極めて簡略に行うことができる。
このようにして、本実施例2の免震レール体11Bにおいては、前記従来例のような位置決めスリーブ等を使用しない少ない部品構成からなる簡略構造の基に、外レール34、内レール24の間隔保持を実現しつつ内レール24、外レール34の相対移動のストローク調整用の一対のストローク規制体61、61を有する2台の移動体41Bの組立工程の簡略容易化、更には、免震レール体11B自体の組立容易化を実現することが可能となる。
図18は、上述したような組立容易化を実現した免震レール体11Bを4台用いた免震装置1Bを示すものである。
この免震装置1Bは、設置面上に配置される2台の免震レール体11B、11Bを一定の間隔で平行配置とし、かつ、2台の免震レール体11B、11B上の両隅部に同一構成からなる2台の免震レール体11B、11Bを一定の間隔で、かつ、直交する方向に平行配置して2段構成で井桁状の構造として、上側の2台の免震レール体11B、11B上に、被免震体100の載置用の平坦な載置体12を配置して、地震発生時に、美術品、精密機器、コンピュータ装置等から選ばれる被免震体100に対する一方向(X方向)とこれと直交する他方向(Y方向:紙面垂直方向)の免震を行うように構成している。
なお、井桁状の合計4台の免震レール体11Bの配置は図示例に限定されるものではなく、下段にY方向に移動する2台の免震レール体11B、11Bを、上段にX方向に移動する2台の免震レール体11B、11Bを配置することも勿論可能である。
この場合、地震発生時における前記外レール34と内レール24との水平方向の相対的な移動ストロークの最大変位は、前記移動体41Bの一対のストローク規制体61、61の間隔で定まり、また、地震発生時における前記外レール34と内レール24との水平方向(X方向又はY方向)の相対的な移動に伴う摩擦減衰作用は、前記各ローラ体43のローラ部46(個別ローラ46a又は一体構成のローラ部46)の内周に配置したベアリング44と、前記円弧状長孔33、23内を移動する移動体41Bの回転しないローラ体支持軸42との間の摩擦により行われる。
図18に示す免震装置1Bによれば、上述したような免震レール体11Bを4台用いて構成しているので、各移動体41Bの組立工程の簡略容易化、更には、4台の免震レール体11Bの組立容易化を実現した免震装置1Bとすることができる。
以上詳述した図13〜図18に図示する本発明に係る実施例2の技術範囲は以下の通りである。
すなわち、図13〜図18に示す実施例2の改良免震レール体構造は、垂直配置でかつ平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの上向きの円弧状長孔とを有する内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、垂直配置でかつ平行配置に立設した一対の側片と、一対の側片の長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って対応配置に設けた一対ずつの前記内レールの円弧状長孔と上下対称形状の円弧状長孔とを有し、前記内レールの上部に各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と合計4箇所において対応する配置とした外レールと、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通する一対のストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及び一対のストローク規制体を各々固定配置に連結する固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、を有する上下配置のレールの相対移動を利用した免震装置における免震レール体構造であって、前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とし、前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を極めて簡略、容易にできるようにしたことを特徴とするものである。
また、図13〜図18に示す実施例2の改良免震レール体構造は、断面が凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設けた内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設け、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に底片を前記内レールの底片と対向させつつ各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対ずつ合計4個のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通する一対ずつのストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及び一対のストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、を有する上下配置のレールの相対移動を利用した免震装置における免震レール体構造であって、前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とし、前記外レール、内レールを上下配置に組み合わせた後、移動体組立時に、前記各ローラ体、ローラ体支持軸、各連結側片、各ワッシャ、各ナット、各ストローク規制軸を固定機構部により予め組み付けて構成した移動体を、前記外レールの他方の外側へ突出させた後、前記外レールの他方における側片の外側において、他の各ローラ体の一方の各ローラ部を内レールの円弧状長孔に嵌装し、前記フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させて拡開孔領域に嵌装し、前記固定機構部の内の他方の固定機構部の連結側片、ワッシャ、ナットを用いて前記ローラ体支持軸の他端側と固定連結する構造としたことを特徴とし、前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を極めて簡略、容易にできるようにしたことを特徴とするものである。
更に、図13〜図18に示す実施例2の改良免震レール体構造は、断面が凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設けた内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設け、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に底片を前記内レールの底片と対向させつつ各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通するローラ体支持軸と、このローラ体支持軸に対して内周に配置したベアリングを介して回転可能に支持されるとともに、対応する各円弧状長孔内にローラ部を嵌装させ、中央部に内レール、外レールの隣り合う側片間に位置させる前記ローラ部より大径のフランジを具備する一対ずつ合計4個のローラ体と、前記ローラ体支持軸の両側に所定の間隔を隔て平行配置するとともに、前記内レール、外レールにおける各両側片において間隔を有しつつ対応する配置の各円弧状長孔を直交配置に貫通する一対ずつの弾性材を嵌装した一対ずつのストローク規制体と、前記外レールの外側でローラ体支持軸、及び一対のストローク規制体を各々固定配置に連結する一対の側片、固定具を用いた固定機構部と、を具備し、前記内レール、外レールの長さ方向の中心に関して対称配置の各円弧状長孔の領域に各々移動可能に配置する2台の移動体と、を有する上下配置のレールの相対移動を利用した免震装置における免震レール体構造であって、前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とし、前記外レール、内レールを上下配置に組み合わせた後、移動体組立時に、前記各ローラ体、ローラ体支持軸、各連結側片、各ワッシャ、各ナット、各ストローク規制軸、各弾性材を固定機構部により予め組み付けて構成した移動体を、前記外レールの他方の外側へ突出させた後、前記外レールの他方における側片の外側において、他の各弾性材、各ローラ体の一方の各ローラ部を内レールの円弧状長孔に嵌装し、前記フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させて拡開孔領域に嵌装し、前記固定機構部の内の他方の固定機構部の連結側片、ワッシャ、ナットを用いて前記ローラ体支持軸の他端側と固定連結する構造としたことを特徴とし、前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を極めて簡略、容易にできるようにしたことを特徴とするものである。
上述した図13〜図18に示す実施例2の改良免震レール体構造の発明によれば、前記実施例1の場合と同様に、前記移動体を構成するローラ体のフランジを外レール、内レールの側片間に的確に位置させつつローラ部を外レール、内レールの円弧状長孔に簡略容易に嵌装させて移動体を組み込むことができ、当該移動体と上下配置の免震レールとの組立を極めて簡略容易にした斬新改良を施した免震レール体構造を実現し提供することができる。
また、図13〜図18に示す実施例2の改良免震レール体構造の発明によれば、外レールにおける4箇所の各円弧状長孔の長さ方向中央部に、前記長さ方向中央部の円弧状長孔部分とこの円弧状長孔部分に連なる円弧状凹部とからなる前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構成とし、移動体組立時に、各移動体を構成する前記一対の固定機構部の内の一方の固定機構部の側片、固定具を用いて、一つのローラ体を嵌装したローラ体支持軸の一端側と、前記一対のストローク規制体の各一端側とを組み付けて前記外レールの一方の側片の外側に配置し、前記外レールの他方の側片の外側から他の一つのローラ体を前記拡開孔領域に装着して前記ローラ体の一方のローラ部を内レールの円弧状長孔に嵌装し、前記フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部を外レールの拡開孔領域に嵌装し、前記外レールの一方の側片の外側から、組み付け状態の前記一対のストローク規制体を各円弧状長孔を経て前記外レールの他方の外側へ突出させるとともに、前記一つのローラ体を嵌装したローラ体支持軸を、外レールの一方の側片の拡開孔領域、内レールの各円弧状長孔、及び外レールの一方の側片の拡開孔領域に嵌装した前記他の一つのローラ体を経て前記外レールの他方の側片の外側へ突出させて、前記一つのローラ体を他の一つのローラ体と同様の配置とし、前記一対の固定機構部の内の他方の固定機構部の側片、固定具を用いて、前記ローラ体支持軸の他端側と、前記一対のストローク規制体の各他端側とを固定連結する構造としたものであるから、2台の移動体の各ローラ体のフランジを外レール、内レールの側片間に的確に位置させつつローラ部を外レール、内レールの円弧状長孔に簡略容易に嵌装させて各移動体を組み込むことができ、前記従来例のような位置決めスリーブ等を全く使用しない少ない部品構成からなる簡略構造の基に、2台の移動体の組立工程の簡略容易化、更には、免震レール体自体の組立容易化を実現することが可能な上下配置のレールの相対移動を利用した免震装置における免震レール体構造を実現し提供することができ、更に、一対のストローク規制体に弾性材を備えた構造を付加していることから、ストローク規制体の移動時の緩衝作用を発揮させることができる免震レール体構造を実現し提供することができる。
本発明の免震レール体は、美術品、精密機器、コンピュータ装置等の各種被免震体、更には、木造家屋、鉄筋コンクリート構造物のような建造物等の免震を行う免震装置用の免震レール体として広範に適用可能である。
1A 免震装置
1B 免震装置
11A 免震レール体
11B 震レール体
12 載置体
21 底片
22 側片
23 円弧状長孔
24 内レール
31 底片
32 側片
33 円弧状長孔
34 外レール
35 拡開孔領域
36 円弧状凹部
41A 移動体
41B 移動体
42 ローラ体支持軸
43 ローラ体
44 ベアリング
45 フランジ
45a 突き合わせフランジ
45b 一体型フランジ
46 ローラ部
46a 個別ローラ
51 固定機構部
52 連結側片
52a 挿通孔
52b 挿通孔
53 ワッシャ
54 ナット
61 ストローク規制体
62 ストローク規制軸
63 弾性材
64 スペーサ
65 嵌装筒部
71 固定機構部
72 連結側片
72a 挿通孔
72b 挿通孔
73 ワッシャ
74 ナット
75 ワッシャ
76 ナット
100 被免震体

Claims (1)

  1. 上下配置の外レール、内レールからなる各免震レールの相対移動を利用し、転倒防止機能を具備した免震装置であって、当該上下配置の外レール、内レール間に、フランジ付きローラ体の当該フランジを用いて外レール、内レール間の間隔を保持しつつ外レール、内レールを相対移動させる移動体を介在した構成からなる免震装置における改良免震レール体構造、
    すなわち、断面が凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設けた内レールと、前記内レールより広幅に形成されるとともに、断面が逆凹形状で、底片から垂直に立設する両側片に、その長さ方向の中心に関して対称配置に、かつ、長さ方向に沿って中央を最低部とした一対ずつの円弧状長孔を対応配置に設け、前記内レールと長さ方向中心を一致させつつ前記内レールの上部に底片を前記内レールの底片と対向させつつ各側片間に間隔を有しつつ配置され、かつ、各円弧状長孔が前記内レールの各円弧状長孔と対応する配置とした外レールと、前記各円弧状長孔の孔幅寸法より大径で内レール、外レールの間の間隔部分に位置させるフランジを中央に具備し、フランジの両側に前記内レールの円弧状長孔、外レールの円弧状長孔に嵌装するローラ部を備え、4箇所の各円弧状長孔の対応箇所に回転可能にかつ2個ずつ対向する態様で配置する4個のローラ体と、対向する2個ずつのローラ体を貫通させる一対のローラ体支持軸と、外レールの外側で一対のローラ体支持軸を固定連結する一対の連結側片、固定具からなる固定機構部と、を具備する移動体と、を有する上下配置のレールの相対移動を利用した構成からなる免震装置における改良免震レール体構造であって、
    前記外レールの各円弧状長孔の一部に、前記移動体を構成するローラ体のフランジが挿通可能な円弧状凹部を当該ローラ体の設置個数に応じて設けた構成を含み前記フランジ外径より大寸法のフランジ挿通用の拡開孔領域を設けた構造としたことを特徴とするとともに、
    前記外レール、内レールを上下配置に組み合わせた後、移動体組立時に、前記ローラ体、ローラ体支持軸、連結側片、ワッシャ、ナットを固定機構部により予め組み付けて構成した移動体を、前記外レールの一方における側片の外側から、当該ローラ体支持軸を円弧状長孔に装着しつつ前記外レールの他方の外側へ突出させた後、前記外レールの他方における側片の外側において、他の各ローラ体を前記突出させたローラ体支持軸の先端から差し込みつつ前記拡開孔領域に装着し、前記ローラ体の一方のローラ部を内レールの円弧状長孔に嵌装し、前記フランジを内レール、外レールの間の間隔部分に位置させ、他方のローラ部を外レールの拡開孔領域に嵌装し、前記一対の固定機構部の内の他方の固定機構部の連結側片、ワッシャ、ナットを用いて前記ローラ体支持軸の他端側と固定連結する構造としたことを特徴とし、
    前記移動体と前記上下配置の各免震レールとの組立を、他の部品を用いることなくできるようにしたことを特徴とする改良免震レール体構造。
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