JP5795516B2 - 転倒防止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、転倒防止装置に関するものである。
従来から、室外機等の載置物である設備機器を構造物(例えば、ビルの屋上の床)等の設置面に設置する際に、設備機器で発生した振動が構造物へ伝播するのを抑制するため、設置面と設備機器との間に防振架台が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、図5(a)に示すように、防振架台100は、設置面に取り付けられる下架台(下側フレーム)101と、下架台101の上方に間隔を空けた状態で配設され、設備機器Wが取り付けられる上架台(上側フレーム)102と、下架台101と上架台102との間に配置される図示しない防振部材と、下架台101と上架台102との間で両者を接近離間可能に連結する連結部材103と、を備えている。
この構成によれば、設備機器Wで発生した振動は、上架台102に伝播した後、防振部材で吸収されることで、下架台101及び構造物等へ振動が伝播するのを抑制できる。
特開2011−7232号公報
しかしながら、上述した従来技術にあっては、地震等の大きな振動が発生した場合に、設備機器Wの水平方向への変位が大きくなると、設備機器Wが下端部を起点に大きく揺れる。その結果、設備機器Wが周辺の設備機器や配管、配線等に接触したり、設備機器W自体が転倒したりする虞がある。
具体的には、図5(b)に示すように、設備機器Wが水平方向に沿って振動する際に、設備機器Wが水平方向に沿う一方側(矢印A側)に向けて傾動しようとすると、下架台101及び上架台102のうち、水平方向に沿う水平方向に沿う他方側(矢印Aと反対側)では、上架台102が下架台101に対して離間する方向(上方)に向けて変位する。
そして、上架台102のうち他方側が、連結部材103の上端規制位置に当接することで、上架台102と下架台101との距離が規制される。この際、上架台102のうち他方側において、連結部材103の上端規制部との接触部分には、上方に向けて引張力Bが作用する。そして、このように上架台102の片側のみに引張力B作用すると、連結部材103が破損等して、設備機器Wが転倒する虞がある。
そこで、本発明は、下側フレームに対する上側フレームの傾倒を抑制し、載置物の転倒や、周辺機器との接触を防止できる転倒防止装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る転倒防止装置は、設置面側に取り付けられる下側フレームと、前記下側フレームに対して重力方向の上方に配置され、載置物が取り付けられる上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に配設され、少なくとも前記下側フレームと前記上側フレームとを離間させる方向に付勢力が作用する弾性部材と、を有する制振装置に取り付けられ、前記下側フレームに対する前記上側フレームの傾倒を抑制する転倒防止装置であって、前記上側フレーム及び前記下側フレームの間で、水平方向のうち一方向の両側にそれぞれ配設された第1リンク機構、及び第2リンク機構と、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構とを連結して、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構を連動させる連動機構と、を有する転倒防止装置本体を備え、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、これら前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構の間の中心を通り重力方向に沿う対称線を中心にして線対称に配設されるとともに、前記上側フレームと前記下側フレームとの間で変位することで、前記上側フレームと前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構との間に作用する前記重力方向の荷重を前記一方向に向けて作用させ、前記連動機構は、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構のうち、一方のリンク機構により前記一方向に作用する荷重を、他方のリンク機構に対して前記対称線を中心にして互いに逆向きに作用させていることを特徴とする。
この構成によれば、地震発生時等において、載置物が一方向に沿う例えば他方側に向けて傾動しようとすると、この傾動動作に応じて上側フレームの一方側が例えば下側フレームに離間する方向(上方)に向けて変位する。これにより、一方側のリンク機構には上方に向けて荷重(引張力)が作用する。
一方側のリンク機構に上方への荷重が作用すると、一方側のリンク機構が変位することにより、この荷重を一方向に向けて作用させる。すると、この荷重が、連動機構を介して一方側のリンク機構に線対称に配設された他方側のリンク機構に対して、対称線を中心に逆向きに作用する。このとき、他方側のリンク機構には、連動機構を介して一方向への荷重が作用することになり、一方のリンク機構の動作とは逆の動作により変位する。その結果、上側フレームと一方のリンク機構との間に作用した上方への荷重によって、一方のリンク機構と他方のリンク機構とを連動させることができる。
これにより、一方向に沿う一方側において、上側フレームが重力方向に変位した際に、一方向に沿う他方側においても一方側と同様に上側フレームを重力方向に変位させることができる。すなわち、一方向に沿う一方側での上側フレームの重力方向への変位に追従して、上側フレーム全体を重力方向に変位させることができる。その結果、下側フレームに対する上側フレームの傾倒を抑制できるので、上側フレームの片側のみに上方への引張力が作用するのを抑制して、載置物の転倒や周辺との干渉を防止することができる。
また、本発明に係る転倒防止装置は、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、前記一方向に直交する他方向に沿って互いに平行に延在する第1回動軸及び第2回動軸を介して回動可能に支持された第1リンクプレート、及び第2リンクプレートと、前記第1リンクプレート及び前記第2リンクプレートと前記上側フレームとの間にそれぞれ回動可能に支持された第1リンクバー及び第2リンクバーと、を備え、前記第1リンクプレート、及び前記第2リンクプレートは、前記第1リンクバー及び前記第2リンクバーを前記他方向回りに回動可能に支持する第1連結部を備え、前記連動機構は、前記第1回動軸、及び前記第2回動軸の間で、これら前記第1回動軸及び前記第2回動軸と平行に延在する第3回動軸回りに回動可能な回動プレートと、前記回動プレートと前記第1リンクプレートとの間で回動可能に支持された第1連結バーと、前記回動プレートと前記第2リンクプレートとの間で回動可能に支持された第2連結バーと、を備え、前記第1連結バー及び前記第2連結バーは、一端側が前記第1リンクプレート及び前記第2リンクプレートにそれぞれ配設された第2連結部に各別に支持され、他端側が前記回動プレートのうち、前記第3回動軸を間に挟んで対向する位置でそれぞれ支持され、前記他方向から見て前記第1回動軸、及び前記第2回動軸と前記第1連結部とをそれぞれ結ぶ第1直線が、前記重力方向に交差するとともに、前記第1回動軸及び第2回動軸と前記第2連結部とを結ぶ第2直線が、前記第1直線に交差していることを特徴とする。
この構成によれば、地震発生時等において、上側フレームのうち例えば一方向に沿う一方側が例えば上方に向けて変位すると、例えば第1リンク機構の第1リンクバーが引き上げられる。第1リンク機構の第1リンクバーが引き上げられると、第1リンクプレートは第1回動軸回りに回動する。
そして、第1リンクプレートが回動すると、第1リンクプレートと回動プレートとを連結する第1連結バーが一方向に沿って変位することで、これに追従して回動プレートが第3回動軸回りに回動する。回動プレートが回動すると、回動プレートと第2リンクプレートとを連結する第2連結バーが、第3回動軸を中心にして第1連結バーと点対称に変位する。これにより、第2連結バーに追従して、第2リンク機構の第2リンクプレートが第2回動軸回りに、第1リンクプレートと逆方向に回動することになる。そのため、第2リンク機構の第2リンクバーが上方に押し上げられるように変位することになる。
したがって、一方向に沿う一方側での上側フレームの重力方向への変位に追従して、上側フレーム全体を重力方向に変位させることができる。その結果、下側フレームに対する上側フレームの傾倒を抑制できるので、上側フレームの片側のみに上方への引張力が作用するのを抑制して、載置物の転倒や周辺との干渉を防止することができる。
また、本発明に係る転倒防止装置は、前記転倒防止装置本体は、前記他方向に沿って一対配設されていることを特徴とする。
この構成によれば、転倒防止装置本体を他方向に沿って一対配設することで、載置物を安定して支持することができる。
また、本発明に係る転倒防止装置は、一対の前記転倒防止装置本体は、前記他方向に沿って対向して配設され、前記一対の転倒防止装置本体のうち、一方の前記転倒防止装置本体と他方の前記転倒防止装置本体における前記第1回動軸同士が連結され、前記第1回動軸を介して前記一方の前記転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体との前記第1リンクプレートが共回り可能に構成され、前記一方の転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体における前記第2回動軸同士が連結され、前記第回動軸を介して前記一方の前記転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体との前記第リンクプレートが共回り可能に構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、一方向に沿う片側に作用する荷重を各転倒防止装置本体の一方のリンク機構同士で支持できるので、載置物をより安定して支持できる。
さらに、上側フレームのうち他方向に沿う一方側が例えば上方に向けて変位すると、一方の転倒防止装置本体の各リンクバーが引き上げられる。これにより、一方側の転倒防止装置本体における各リンクプレートが各回動軸とともに共回りすることになる。各回動軸が回動することで、他方の転倒防止装置本体の各リンクプレートが各回動軸とともに、一方側の転倒防止装置の各リンクプレートと同方向に回動する。
他方の転倒防止装置本体における各リンクプレートが回動することで、他方の転倒防止装置本体におけるリンクバーが、上方に向けて押し上げられる。これにより、リンクバーによって上側フレームのうち、他方向に沿う他方側が押し上げられるように変位することになる。
すなわち、他方向への振動発生時において、一方の転倒防止装置本体と、他方の転倒防止装置本体と、が各回動軸を介して連動して上側フレームを上方に変位させることで、下側フレームに対する上側フレームの傾動を抑制できる。その結果、水平方向に沿う一方向のみに関わらず、一方向に直交する他方向に沿う変位も低減できるため、載置物の転倒や周辺との干渉を確実に防止できる。
本発明に係る転倒防止装置によれば、下側フレームに対する上側フレームの傾倒を抑制し、載置物の転倒や、周辺機器との接触を防止できる。
第1実施形態における防振架台の斜視図である。 図1のE−E線に沿う図である。 図1のF矢視図であって、転倒防止装置の作用を説明するための説明図である。 第2実施形態における防振架台の斜視図である。 従来の防振架台を示す側面図である。
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
(防振架台)
図1は防振架台の斜視図である。本実施形態では、本発明に係る転倒防止装置が制振装置に取り付けられてなる防振架台について説明する。
同図に示すように、本実施形態の防振架台1は、例えば室外機等のような設備機器(載置物)Wをビルの屋上等、構造物の設置面Gに設置する際に、設備機器Wと設置面Gとの間に配設されるものである。
具体的に、防振架台1は、設置面Gに取り付けられる下架台(下側フレーム)11と、下架台11の上方に間隔を空けた状態で下架台11に接近離間可能に連結されるとともに、設備機器Wが取り付けられる上架台(上側フレーム)12と、下架台11と上架台12との間に配置される防振部材(弾性部材)14と、を有する制振装置2、及びこの制振装置2に取り付けられ、下架台11に対する上架台12の傾倒を抑制する転倒防止装置13を有している。
下架台11は、平面視で矩形枠状の部材であり、角部に配置されたコーナ部材21と、各コーナ部材21間を架け渡す枠構成材22と、を備えている。
まず枠構成材22は、鉄等の角パイプ等からなり、長尺体22a、及び長尺体22aよりも短い短尺体22bを一対ずつ備えている。これら長尺体22a同士、及び短尺体22b同士は、それぞれ平行に配置されるとともに、長尺体22a、及び短尺体22bがそれぞれ直交するように配置されている。したがって、下架台11は、長尺体22aの延在方向を長手方向、短尺体22bの延在方向を短手方向とする長方形状に形成されている。また、以下の説明では、設置面Gと平行な水平面内において、下架台11の長手方向をX方向、短手方向をY方向、X方向及びY方向に直交する上下方向をZ方向として説明する。
なお、各枠構成材22の上下面には、XY方向で重なる位置にZ方向に沿って貫通する図示しない複数の貫通孔が形成され、これら貫通孔に図示しない基礎ボルトが挿通されることで、下架台11が構造物の設置面Gに設置される。
コーナ部材21は、互いに直交する2本の枠構成材22、すなわち長尺体22aと短尺体22bの端部同士を接合するためのものであり、X方向の外側、及びY方向の外側に向けて開放された箱型形状に形成されている。そして、コーナ部材21の側面のうち、X方向の内側を向く面に長尺体22aの端部が接合され、Y方向の内側を向く面に短尺体22bの端部が接合されている。
上架台12は、上述した下架台11と同様の構成からなり、角部に配置されたコーナ部材23と、各コーナ部材23間を架け渡す枠構成材24と、を備えている。
まず、枠構成材24は、上述した下架台11の枠構成材22と同様に、鉄等の角パイプ等からなり、長尺体24a、及び長尺体24aよりも短い短尺体24bを一対ずつ備えている。そして、これら長尺体24a同士、及び短尺体24b同士は、それぞれ平行に配置されるとともに、長尺体24a、及び短尺体24bがそれぞれ直交するように配置されている。そして、これら長尺体24aと短尺体24bの端部同士が接合されている。したがって、上架台12は、長尺体24aの延在方向を長手方向、短尺体24bの延在方向を短手方向とする長方形状に形成されている。
コーナ部材23は、互いに直交する2本の枠構成材24、すなわち長尺体24aと短尺体24bの端部同士を接合するためのものであり、X方向の外側、及びY方向の外側に向けて開放された箱型形状に形成されている。そして、コーナ部材23の側面のうち、X方向の内側を向く面に長尺体24aの端部が接合され、Y方向の内側を向く面に短尺体24bの端部が接合されている。
防振部材14は、設備機器Wから上架台12に伝播される振動を吸収して下架台11への振動の伝播を軽減するものであり、下架台11、及び上架台12の周方向に沿って間隔を空けて複数配設されている。本実施形態の防振部材14は、例えばコイルばねとゴムを一体成形したものや、樹脂ケース内にコイルばねを内蔵したものが用いられている。そして、防振部材14は、その上端部が上架台12(枠構成材24)の下面に連結され、下端部が下架台11(枠構成材22)の上面に連結されることで、下架台11、及び上架台12間で両者11,12を互いに離間する方向に向けて付勢しつつ、上下方向(Z方向)及び水平方向(XY方向)への相対移動を吸収できるようになっている。
図2は図1のE−E線に沿う断面図である。なお、図2においては、説明を分かり易くするため、転倒防止装置13を省略している。
図1,2に示すように、下架台11と上架台12との間には、両者11,12をZ方向に沿って接近離間可能に連結する連結部材25が設けられている。連結部材25は、下架台11と上架台12を連結する連結ボルト26を有している。連結ボルト26は、下架台11におけるコーナ部材21の上面に形成された下側連結孔27から、上架台12におけるコーナ部材23の下面に形成された上側連結孔28に向けて挿通されている。
具体的に、連結ボルト26の基端側は、座金29及びナット30によってコーナ部材21の上面に固定されている。
一方、連結ボルト26のうち、コーナ部材23の下面を間に挟んで下側にはコーナ部材23との間に隙間をあけて減衰材付振れ止め金具31が、上側にはナット32が螺着されている。これにより、連結ボルト26の先端側は、減衰材付振れ止め金具31とナット32との間で、上側連結孔28内を上架台12に対して摺動可能に配置されている。すなわち、減衰材付振れ止め金具31とナット32とにより上架台12のZ方向への変位量が規制されている。また、ナット32と上架台12の下面との間、及び上側連結孔28内には、ダンパ33が介装されている。
(転倒防止装置)
図3は、図1のF矢視図である。
図1,3(a)に示すように、転倒防止装置13は、下架台11及び上架台12におけるX方向(他方向)の両側で対向するように取り付けられた一対の転倒防止装置本体15を備えている。なお、各転倒防止装置本体15は、それぞれ同一の構成からなるため、以下の説明では、一方の転倒防止装置本体15について説明し、他方の転倒防止装置本体15については説明を省略する。
転倒防止装置本体15は、下架台11及び上架台12の間で、Y方向(一方向)の両側にそれぞれ配設された第1リンク機構41、及び第2リンク機構42と、これら第1リンク機構41、及び第2リンク機構42に連結され、両者を連動させる連動機構43と、を備えている。
(第1リンク機構及び第2リンク機構)
第1リンク機構41は、第1リンクプレート44と、第1リンクプレート44を支持するステー45と、第1リンクプレート44と上架台12との間で回動可能に連結された第1リンクバー46と、を備えている。
ステー45は、Y方向から見てL字状に屈曲された板材であり、基端側が下架台11の上面のうちY方向に沿う一端側に固定され、先端側が上方に向けて延在している。
第1リンクプレート44は、X方向から見てL字状に形成され、X方向に沿って延在する回動軸(第1回動軸)54が固定された中間部51と、中間部51からY方向の内側に向けて延在する横アーム52と、中間部51から下方に向けて延在する縦アーム53と、で構成されている。第1リンクプレート44は、中間部51が回動軸54を介して上述したステー45の先端部に回動可能に支持されている。
第1リンクプレート44のうち横アーム52におけるY方向の内側端部には、X方向に沿って延在する回動軸(第1連結部)55が設けられている。この回動軸55は、回動軸54の延在方向と平行に配置され、X方向から見て回動軸54と回動軸55とを結ぶ第1直線がZ方向に交差している。本実施形態では、回動軸54に対してY方向内側にオフセットした位置に回動軸55が配置されている。
第1リンクバー46は、Z方向に沿って延在する板上の部材であり、その下端部が上述したように回動軸55を介して第1リンクプレート44に回動可能に支持されている。一方、第1リンクバー46の上端部は、上架台12に回動可能に支持されている。具体的に、上架台12のうち短尺体24bにおけるX方向外側の側面には、X方向に沿って延在する回動軸56が設けられ、この回動軸56回りに第1リンクバー46の上端部が回動可能に支持されている。
第2リンク機構42は、上述した第1リンク機構41とほぼ同様の構成からなり、Y方向に沿う転倒防止装置本体15の中心を通りZ方向に沿う対称線を中心にして第1リンク機構41に線対称に配設されている。具体的に、第2リンク機構42は、第2リンクプレート64と、第2リンクプレート64を支持するステー65と、第2リンクプレート64と上架台12との間で回動可能に連結された第2リンクバー66と、を備えている。
ステー65は、Y方向から見てL字状に屈曲された板材であり、基端側が下架台11の上面のうちY方向に沿う他端側に固定され、先端側が上方に向けて延在している。
第2リンクプレート64は、X方向から見てL字状に形成され、X方向に沿って延在する回動軸(第2回動軸)71が固定された中間部72と、中間部72からY方向の内側に向けて延在する横アーム73と、中間部72から下方に向けて延在する縦アーム74と、で構成されている。第2リンクプレート64は、中間部72が回動軸71を介して上述したステー65の先端部に回動可能に支持されている。
第2リンクプレート64のうち横アーム73におけるY方向の内側端部には、X方向に沿って延在する回動軸(第1連結部)75が設けられている。この回動軸75は、回動軸71の延在方向と平行に配置され、X方向から見て回動軸71と回動軸75とを結ぶ第1直線がZ方向に交差している。本実施形態では、回動軸71に対してY方向内側にオフセットした位置に回動軸75が配置されている。
第2リンクバー66は、Z方向に沿って延在する板上の部材であり、その下端部が上述したように回動軸75を介して第2リンクプレート64に回動可能に支持されている。一方、第2リンクバー66の上端部は、上架台12に回動可能に支持されている。具体的に、上架台12のうち短尺体24bにおけるX方向外側の側面には、X方向に沿って延在する回動軸76が設けられ、この回動軸76回りに第2リンクバー66の上端部が回動可能に支持されている。
(連動機構)
連動機構43は、下架台11においてY方向に沿う中間部分において、下架台11に固定されたステー81と、ステー81に回動軸(第3回動軸)82を介して回動可能に支持された回動プレート83と、回動プレート83と第1リンク機構41(及び第2リンク機構42)とを連結する一対の連結バー84と、を有している。
ステー81は、上述した各リンク機構41,42のステー45,65と同様にY方向から見てL字状に屈曲された板材であり、基端側が下架台11の上面のうち、Y方向中間部分に固定され、先端側が上方に向けて延在している。
回動プレート83は、Z方向に沿って延在する板材であり、その中央部がX方向に沿って延在する回動軸82に支持されている。
各連結バー84は、回動プレート83と第1リンク機構41とを連結する第1連結バー84aと、回動プレート83と第2リンク機構42とを連結する第2連結バー84bと、を備えている。
第1連結バー84aは、その外側端部が上述した第1リンク機構41の縦アーム53に、回動軸(第2連結部)85を介してX方向回りに回動可能に支持されている。この回動軸85は、上述した回動軸54の延在方向と平行に配置され、X方向から見て回動軸85と回動軸54とを結ぶ第2直線が、上述した回動軸54と回動軸55とを結ぶ第1直線に交差している。本実施形態では、回動軸54に対して下方にオフセットした位置に、回動軸85が配置されている。一方、第1連結バー84aの内側端部は、回動プレート83において回動軸82に対して一端側(下端側)でX方向回りに回動可能に支持されている。
また、第2連結バー84bは、その外側端部が上述した第2リンク機構42の縦アーム74に、回動軸(第2連結部)86を介してX方向回りに回動可能に支持されている。この回動軸86は、上述した回動軸71の延在方向と平行に配置され、X方向から見て回動軸86と回動軸71とを結ぶ第2直線が、上述した回動軸71と回動軸75とを結ぶ第1直線に交差している。本実施形態では、回動軸71に対して下方にオフセットした位置に、回動軸86が配置されている。一方、第2連結バー84bの内側端部は、回動プレート83において回動軸82に対して他端側(上端側)、すなわち回動軸82を間に挟んで第1連結バー84aと反対側でX方向回りに回動可能に支持されている。
(作用)
次に、上述した転倒防止装置13の作用について説明する。なお、以下の説明では、設備機器Wが地震等の大きな振動によって、水平方向の振動のうち主にY方向へ往復振動する場合について説明する。
図1,3(a)に示すように、設備機器WがY方向に沿って往復振動する際に、例えば−Y方向側(例えば、第2リンク機構42側)に向けて変位すると、設備機器Wの−Y方向への傾動動作に応じて、上架台12の+Y方向側(例えば、第1リンク機構42側)は上方に向けて変位する。この場合、上架台12のうち、+Y方向側が連結部材25のナット32に当接して、上架台12における+Y方向側のそれ以上の変位が規制されるとともに、ナット32には上方への引張力が作用する。
また、上架台12が上方に向けて変位すると、第1リンク機構41の第1リンクバー46が引き上げられる(図3(a)中矢印参照)。すると、第1リンクプレート44のうち横アーム52が上方に向けて引き上げられることで、第1リンクプレート44は、中間部51の回動軸54回りに例えば反時計回りに回動することになる。
図1,3(b)に示すように、第1リンクプレート44が回動すると、縦アーム53がY方向に沿う内側に向けて変位することで、これに追従して第1連結バー84aもY方向に沿う内側に向かって変位する。すなわち、第1リンク機構41が変位することで、第1リンクバー46を介して第1リンク機構41に対して上方に向けて作用した荷重が、Y方向に沿う内側に向けて作用する。そして、縦アーム53の変位に応じて、回動プレート83が回動軸82回りに第1リンクプレート44と同方向に回動することになる。
回動プレート83が回動すると、第2連結バー84bがY方向に沿う内側に向かって変位する。この際、第2連結バー84bは回動軸82を中心にして、第1連結バー84aと点対称に変位する(図3(b)中矢印参照)。すなわち、本実施形態の連動機構43は、第1リンク機構41によりY方向に作用する荷重を、第2リンク機構42(第2リンクプレート64)に対して回動軸82を中心にして互い逆向き作用させている。
その結果、第2連結バー84bに追従して、第2リンク機構42の第2リンクプレート64が中間部72の回動軸71回りに、第1リンク機構41の第1リンクプレート44と逆方向に回動することになる。具体的には、第2リンクプレート64のうち、縦アーム74がY方向の内側に向けて回動することで、横アーム73が上方に変位する。
そのため、第2リンク機構42の第2リンクバー66が上方に押し上げられるように変位することで、上架台12の−Y方向側が上方に向けて変位することになる。したがって、設備機器Wの+Y方向への変位に追従して、設備機器W、及び上架台12の全体が上方に向けて変位することになる。すなわち、Y方向への振動発生時において、第1リンク機構41と、第2リンク機構42と、が連動機構43を介して連動して上架台12全体を上方に変位させることで、下架台11に対する上架台12の傾動を抑制できる。これにより、上架台12がナット32に当接する場合に、上架台12におけるY方向両側が連結部材25のナット32に当接することになるので、上架台12の片側のみがナット32に当接する場合に比べて、各ナット32に作用する上方への引張力を低減できる。
その後、防振架台1は、重力によって上架台12が下方に向けて復元するように変位することで、各リンク機構41,42のリンクバー46,66が押し下げられる。これにより、上述の動作とは逆の動作で図3(a)に示す初期状態に復帰する。
一方、設備機器Wが+Y方向側(例えば、第1リンク機構41側)に変位した場合には、上述した動作と逆の動作が行われる。具体的には、設備機器Wの+Y方向への傾動動作に応じて上架台12の−Y方向側が上方に向けて変位すると、第2リンク機構42の第2リンクバー66が引き上げられるとともに、リンクプレート64が回動軸71回りに例えば反時計回りに回動する。これにより、回動プレート83が回動軸82回りに第2リンクプレート64と逆方向に回動する。そして、回動プレート83が回動することで、第1連結バー84aを介して第1リンク機構41の第1リンクプレート44が第2リンクプレート64とは逆方向に回動する。その結果、第1リンクバー46を介して、上架台12の+Y方向側が上方に向けて変位することになる。
以上の動作を繰り返すことで、結果的にY方向への変位をZ方向への変位へ変換しながら、防振部材14によりZ方向への振動が減衰される。
したがって、本実施形態によれば、例えばY方向への振動発生時において、一方のリンク機構にZ方向への荷重が作用した際に、一方のリンク機構が変位することにより、この荷重をY方向に沿って作用させることができる。さらに、各リンク機構41,42を連動させる連動機構43を設けることで、一方のリンク機構によりY方向に沿って作用した荷重を、他方のリンク機構に対して回動軸82を中心にして互い逆向き作用させることができる。このとき、他方のリンク機構には、連動機構43を介してY方向への荷重が作用することになり、一方のリンク機構の動作とは逆の動作により変位する。その結果、上架台12と一方のリンク機構との間に作用したZ方向への荷重によって、一方のリンク機構と他方のリンク機構とを連動させることができる。
これにより、Y方向に沿う一方側において、上架台12がZ方向に変位した際に、Y方向に沿う他方側においても一方側と同様に上架台12をZ方向に変位させることができる。すなわち、Y方向に沿う一方側での上架台12の変位に追従して、上架台12全体をZ方向に変位させることができる。その結果、下架台11に対する上架台12の傾倒を抑制できるので、上架台12のうちY方向の片側のみに上方への引張力B(図5参照)が作用するのを抑制して、設備機器Wの転倒や周辺との干渉を防止することができる。
また、本実施形態では、X方向の両側に一対の転倒防止装置本体15を設けたため、設備機器Wを安定して支持することができる。
さらに、下架台11及び上架台12の短手方向(Y方向)に沿うように各転倒防止装置本体15を設けたため、長手方向(X方向)に比べて傾倒し易い短手方向への傾倒を抑制できる。これにより、設備機器Wの転倒や周辺との干渉を確実に防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態の防振架台の斜視図である。なお、本実施形態の転倒防止装置13は、上述した第1実施形態における転倒防止装置本体15の第1リンク機構41同士及び第2リンク機構42同士をそれぞれ連結した点で、上述した第1実施形態と相違している。以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図4に示すように、本実施形態の転倒防止装置13では、各転倒防止装置本体15における第1リンク機構41の第1リンクプレート44同士が、各第1リンクプレート44の中間部51で回動軸(第1回動軸)154により連結されている。回動軸154は、制振装置2において、X方向の全体に亘って延在し、その両端部に各転倒防止装置本体15における第1リンクプレート44の中間部51がそれぞれ固定されている。したがって、各第1リンクプレート44は、回動軸154を介して共回り可能に構成されている。
同様に、各転倒防止装置本体15における第2リンク機構42の第2リンクプレート64同士が、各第2リンクプレート64の中間部72で回動軸(第2回動軸)171により連結されている。回動軸171は、制振装置2において、X方向の全体に亘って延在し、その両端部に各転倒防止装置本体15における第2リンクプレート64の中間部72がそれぞれ固定されている。したがって、各第2リンクプレート64は、回動軸171を介して共回り可能に構成されている。
この構成によれば、上述した第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、各転倒防止装置本体15を回動軸154,171によって連結することで、各転倒防止装置本体15を連動させることができる。これにより、Y方向に沿う片側に作用する荷重を各転倒防止装置本体15の一方のリンク機構同士で支持できるので、設備機器Wをより安定して支持できる。
さらに、例えば設備機器WがX方向に沿って往復振動する際に、設備機器Wの一方側(−X方向)への傾動動作に応じて上架台12の+X方向側が上方に向けて変位すると、一方の転倒防止装置本体15における各リンク機構41,42のリンクバー46,66が引き上げられる。リンクバー46,66が引き上げられると、リンクプレート44,64のうち横アーム52,73が上方に向けて引き上げられる。すると、リンクプレート44,64のうち中間部51,72に固定された回動軸154,171が、リンクプレート44,64と共回りする。
このとき、各転倒防止装置本体15は、X方向に沿って対向して配設されているため、回動軸154,171が回動すると、他方の転倒防止装置本体15のリンクプレート44,64が回動軸154,171を支点として、一方の転倒防止装置本体15側のリンクプレート44,64と同方向に回動する。他方の転倒防止装置本体15のリンクプレート44,64が回動することで、他方の転倒防止装置本体15のリンクバー46,66が上方に向けて引き上げられる。これにより、リンクバー46,66によって上架台12の−X方向側が押し上げられるように変位することになる。
このように、各転倒防止装置本体15を回動軸154,171によって連結することで、水平方向に沿う一方向(例えば、Y方向)のみに関わらず、一方向に直交する他方向(例えば、X方向)に沿う変位も低減できる。そのため、上架台12の片側のみに上方への引張力が作用するのを確実に抑制して、設備機器Wの転倒や周辺との干渉を防止できる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態で挙げた構成等はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、本発明の下側フレーム、及び上側フレームは、下架台11、及び上架台12のような矩形枠状に限らず、適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、リンクプレート44,64を、L字状に一体に形成する場合について説明したが、これに限られない。すなわち、X方向から見て回動軸54と回動軸55とを結ぶ第1直線がZ方向に交差し、かつ回動軸85と回動軸54とを結ぶ第2直線が、上述した第1直線に交差していれば、L字状に限らず、円形等適宜設計変更が可能である。また、上述した条件を満たせば、リンクプレート44,64はそれぞれ一体に形成することに限られない。
また、上述した実施形態では、転倒防止装置本体15,215を一対設けた場合について説明したが、これに限られない。例えば、3箇所以上の複数設けたり、X方向またはY方向に沿う中央部に設けたりすることが可能である。
1…防振架台 2…制振装置 11…下架台(下側フレーム) 12…上架台(上側フレーム) 13…転倒防止装置 14…防振部材(弾性部材) 15,215…転倒防止装置 41…第1リンク機構 42…第2リンク機構 43…連動機構 44…第1リンクプレート 46…第1リンクバー 54,154…回動軸(第1回動軸) 55…回動軸(第1連結部) 64…第2リンクプレート 66…第2リンクバー 71,171…回動軸(第2回動軸) 75…回動軸(第1連結部) 82…回動軸(第3回動軸) 83…回動プレート 84…連結バー 84a…第1連結バー 84b…第2連結バー 85…回動軸(第2連結部) 86…回動軸(第2連結部) G…設置面 W…設備機器(載置物)

Claims (4)

  1. 設置面側に取り付けられる下側フレームと、
    前記下側フレームに対して重力方向の上方に配置され、載置物が取り付けられる上側フレームと、
    前記下側フレームと前記上側フレームとの間に配設され、少なくとも前記下側フレームと前記上側フレームとを離間させる方向に付勢力が作用する弾性部材と、を有する制振装置に取り付けられ、
    前記下側フレームに対する前記上側フレームの傾倒を抑制する転倒防止装置であって、
    前記上側フレーム及び前記下側フレームの間で、水平方向のうち一方向の両側にそれぞれ配設された第1リンク機構、及び第2リンク機構と、
    前記第1リンク機構と前記第2リンク機構とを連結して、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構を連動させる連動機構と、を有する転倒防止装置本体を備え、
    前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、これら前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構の間の中心を通り重力方向に沿う対称線を中心にして線対称に配設されるとともに、前記上側フレームと前記下側フレームとの間で変位することで、前記上側フレームと前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構との間に作用する前記重力方向の荷重を前記一方向に向けて作用させ、
    前記連動機構は、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構のうち、一方のリンク機構により前記一方向に作用する荷重を、他方のリンク機構に対して前記対称線を中心にして互いに逆向きに作用させていることを特徴とする転倒防止装置。
  2. 前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、
    前記一方向に直交する他方向に沿って互いに平行に延在する第1回動軸及び第2回動軸を介して回動可能に支持された第1リンクプレート、及び第2リンクプレートと、
    前記第1リンクプレート及び前記第2リンクプレートと前記上側フレームとの間にそれぞれ回動可能に支持された第1リンクバー及び第2リンクバーと、を備え、
    前記第1リンクプレート、及び前記第2リンクプレートは、前記第1リンクバー及び前記第2リンクバーを前記他方向回りに回動可能に支持する第1連結部を備え、
    前記連動機構は、
    前記第1回動軸、及び前記第2回動軸の間で、これら前記第1回動軸及び前記第2回動軸と平行に延在する第3回動軸回りに回動可能な回動プレートと、
    前記回動プレートと前記第1リンクプレートとの間で回動可能に支持された第1連結バーと、
    前記回動プレートと前記第2リンクプレートとの間で回動可能に支持された第2連結バーと、を備え、
    前記第1連結バー及び前記第2連結バーは、一端側が前記第1リンクプレート及び前記第2リンクプレートにそれぞれ配設された第2連結部に各別に支持され、他端側が前記回動プレートのうち、前記第3回動軸を間に挟んで対向する位置でそれぞれ支持され、
    前記他方向から見て前記第1回動軸、及び前記第2回動軸と前記第1連結部とをそれぞれ結ぶ第1直線が、前記重力方向に交差するとともに、前記第1回動軸及び第2回動軸と前記第2連結部とを結ぶ第2直線が、前記第1直線に交差していることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。
  3. 前記転倒防止装置本体は、前記他方向に沿って一対配設されていることを特徴とする請求項2記載の転倒防止装置。
  4. 一対の前記転倒防止装置本体は、前記他方向に沿って対向して配設され、
    前記一対の転倒防止装置本体のうち、一方の前記転倒防止装置本体と他方の前記転倒防止装置本体における前記第1回動軸同士が連結され、前記第1回動軸を介して前記一方の前記転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体との前記第1リンクプレートが共回り可能に構成され、
    前記一方の転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体における前記第2回動軸同士が連結され、前記第回動軸を介して前記一方の前記転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体との前記第リンクプレートが共回り可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載の転倒防止装置。


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