JP5795516B2 - 転倒防止装置 - Google Patents
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Description
この構成によれば、設備機器Wで発生した振動は、上架台102に伝播した後、防振部材で吸収されることで、下架台101及び構造物等へ振動が伝播するのを抑制できる。
本発明に係る転倒防止装置は、設置面側に取り付けられる下側フレームと、前記下側フレームに対して重力方向の上方に配置され、載置物が取り付けられる上側フレームと、前記下側フレームと前記上側フレームとの間に配設され、少なくとも前記下側フレームと前記上側フレームとを離間させる方向に付勢力が作用する弾性部材と、を有する制振装置に取り付けられ、前記下側フレームに対する前記上側フレームの傾倒を抑制する転倒防止装置であって、前記上側フレーム及び前記下側フレームの間で、水平方向のうち一方向の両側にそれぞれ配設された第1リンク機構、及び第2リンク機構と、前記第1リンク機構と前記第2リンク機構とを連結して、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構を連動させる連動機構と、を有する転倒防止装置本体を備え、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、これら前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構の間の中心を通り重力方向に沿う対称線を中心にして線対称に配設されるとともに、前記上側フレームと前記下側フレームとの間で変位することで、前記上側フレームと前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構との間に作用する前記重力方向の荷重を前記一方向に向けて作用させ、前記連動機構は、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構のうち、一方のリンク機構により前記一方向に作用する荷重を、他方のリンク機構に対して前記対称線を中心にして互いに逆向きに作用させていることを特徴とする。
一方側のリンク機構に上方への荷重が作用すると、一方側のリンク機構が変位することにより、この荷重を一方向に向けて作用させる。すると、この荷重が、連動機構を介して一方側のリンク機構に線対称に配設された他方側のリンク機構に対して、対称線を中心に逆向きに作用する。このとき、他方側のリンク機構には、連動機構を介して一方向への荷重が作用することになり、一方のリンク機構の動作とは逆の動作により変位する。その結果、上側フレームと一方のリンク機構との間に作用した上方への荷重によって、一方のリンク機構と他方のリンク機構とを連動させることができる。
これにより、一方向に沿う一方側において、上側フレームが重力方向に変位した際に、一方向に沿う他方側においても一方側と同様に上側フレームを重力方向に変位させることができる。すなわち、一方向に沿う一方側での上側フレームの重力方向への変位に追従して、上側フレーム全体を重力方向に変位させることができる。その結果、下側フレームに対する上側フレームの傾倒を抑制できるので、上側フレームの片側のみに上方への引張力が作用するのを抑制して、載置物の転倒や周辺との干渉を防止することができる。
そして、第1リンクプレートが回動すると、第1リンクプレートと回動プレートとを連結する第1連結バーが一方向に沿って変位することで、これに追従して回動プレートが第3回動軸回りに回動する。回動プレートが回動すると、回動プレートと第2リンクプレートとを連結する第2連結バーが、第3回動軸を中心にして第1連結バーと点対称に変位する。これにより、第2連結バーに追従して、第2リンク機構の第2リンクプレートが第2回動軸回りに、第1リンクプレートと逆方向に回動することになる。そのため、第2リンク機構の第2リンクバーが上方に押し上げられるように変位することになる。
したがって、一方向に沿う一方側での上側フレームの重力方向への変位に追従して、上側フレーム全体を重力方向に変位させることができる。その結果、下側フレームに対する上側フレームの傾倒を抑制できるので、上側フレームの片側のみに上方への引張力が作用するのを抑制して、載置物の転倒や周辺との干渉を防止することができる。
さらに、上側フレームのうち他方向に沿う一方側が例えば上方に向けて変位すると、一方の転倒防止装置本体の各リンクバーが引き上げられる。これにより、一方側の転倒防止装置本体における各リンクプレートが各回動軸とともに共回りすることになる。各回動軸が回動することで、他方の転倒防止装置本体の各リンクプレートが各回動軸とともに、一方側の転倒防止装置の各リンクプレートと同方向に回動する。
他方の転倒防止装置本体における各リンクプレートが回動することで、他方の転倒防止装置本体におけるリンクバーが、上方に向けて押し上げられる。これにより、リンクバーによって上側フレームのうち、他方向に沿う他方側が押し上げられるように変位することになる。
すなわち、他方向への振動発生時において、一方の転倒防止装置本体と、他方の転倒防止装置本体と、が各回動軸を介して連動して上側フレームを上方に変位させることで、下側フレームに対する上側フレームの傾動を抑制できる。その結果、水平方向に沿う一方向のみに関わらず、一方向に直交する他方向に沿う変位も低減できるため、載置物の転倒や周辺との干渉を確実に防止できる。
(第1実施形態)
(防振架台)
図1は防振架台の斜視図である。本実施形態では、本発明に係る転倒防止装置が制振装置に取り付けられてなる防振架台について説明する。
同図に示すように、本実施形態の防振架台1は、例えば室外機等のような設備機器(載置物)Wをビルの屋上等、構造物の設置面Gに設置する際に、設備機器Wと設置面Gとの間に配設されるものである。
具体的に、防振架台1は、設置面Gに取り付けられる下架台(下側フレーム)11と、下架台11の上方に間隔を空けた状態で下架台11に接近離間可能に連結されるとともに、設備機器Wが取り付けられる上架台(上側フレーム)12と、下架台11と上架台12との間に配置される防振部材(弾性部材)14と、を有する制振装置2、及びこの制振装置2に取り付けられ、下架台11に対する上架台12の傾倒を抑制する転倒防止装置13を有している。
まず枠構成材22は、鉄等の角パイプ等からなり、長尺体22a、及び長尺体22aよりも短い短尺体22bを一対ずつ備えている。これら長尺体22a同士、及び短尺体22b同士は、それぞれ平行に配置されるとともに、長尺体22a、及び短尺体22bがそれぞれ直交するように配置されている。したがって、下架台11は、長尺体22aの延在方向を長手方向、短尺体22bの延在方向を短手方向とする長方形状に形成されている。また、以下の説明では、設置面Gと平行な水平面内において、下架台11の長手方向をX方向、短手方向をY方向、X方向及びY方向に直交する上下方向をZ方向として説明する。
なお、各枠構成材22の上下面には、XY方向で重なる位置にZ方向に沿って貫通する図示しない複数の貫通孔が形成され、これら貫通孔に図示しない基礎ボルトが挿通されることで、下架台11が構造物の設置面Gに設置される。
まず、枠構成材24は、上述した下架台11の枠構成材22と同様に、鉄等の角パイプ等からなり、長尺体24a、及び長尺体24aよりも短い短尺体24bを一対ずつ備えている。そして、これら長尺体24a同士、及び短尺体24b同士は、それぞれ平行に配置されるとともに、長尺体24a、及び短尺体24bがそれぞれ直交するように配置されている。そして、これら長尺体24aと短尺体24bの端部同士が接合されている。したがって、上架台12は、長尺体24aの延在方向を長手方向、短尺体24bの延在方向を短手方向とする長方形状に形成されている。
図1,2に示すように、下架台11と上架台12との間には、両者11,12をZ方向に沿って接近離間可能に連結する連結部材25が設けられている。連結部材25は、下架台11と上架台12を連結する連結ボルト26を有している。連結ボルト26は、下架台11におけるコーナ部材21の上面に形成された下側連結孔27から、上架台12におけるコーナ部材23の下面に形成された上側連結孔28に向けて挿通されている。
一方、連結ボルト26のうち、コーナ部材23の下面を間に挟んで下側にはコーナ部材23との間に隙間をあけて減衰材付振れ止め金具31が、上側にはナット32が螺着されている。これにより、連結ボルト26の先端側は、減衰材付振れ止め金具31とナット32との間で、上側連結孔28内を上架台12に対して摺動可能に配置されている。すなわち、減衰材付振れ止め金具31とナット32とにより上架台12のZ方向への変位量が規制されている。また、ナット32と上架台12の下面との間、及び上側連結孔28内には、ダンパ33が介装されている。
図3は、図1のF矢視図である。
図1,3(a)に示すように、転倒防止装置13は、下架台11及び上架台12におけるX方向(他方向)の両側で対向するように取り付けられた一対の転倒防止装置本体15を備えている。なお、各転倒防止装置本体15は、それぞれ同一の構成からなるため、以下の説明では、一方の転倒防止装置本体15について説明し、他方の転倒防止装置本体15については説明を省略する。
転倒防止装置本体15は、下架台11及び上架台12の間で、Y方向(一方向)の両側にそれぞれ配設された第1リンク機構41、及び第2リンク機構42と、これら第1リンク機構41、及び第2リンク機構42に連結され、両者を連動させる連動機構43と、を備えている。
第1リンク機構41は、第1リンクプレート44と、第1リンクプレート44を支持するステー45と、第1リンクプレート44と上架台12との間で回動可能に連結された第1リンクバー46と、を備えている。
ステー45は、Y方向から見てL字状に屈曲された板材であり、基端側が下架台11の上面のうちY方向に沿う一端側に固定され、先端側が上方に向けて延在している。
ステー65は、Y方向から見てL字状に屈曲された板材であり、基端側が下架台11の上面のうちY方向に沿う他端側に固定され、先端側が上方に向けて延在している。
連動機構43は、下架台11においてY方向に沿う中間部分において、下架台11に固定されたステー81と、ステー81に回動軸(第3回動軸)82を介して回動可能に支持された回動プレート83と、回動プレート83と第1リンク機構41(及び第2リンク機構42)とを連結する一対の連結バー84と、を有している。
回動プレート83は、Z方向に沿って延在する板材であり、その中央部がX方向に沿って延在する回動軸82に支持されている。
次に、上述した転倒防止装置13の作用について説明する。なお、以下の説明では、設備機器Wが地震等の大きな振動によって、水平方向の振動のうち主にY方向へ往復振動する場合について説明する。
図1,3(a)に示すように、設備機器WがY方向に沿って往復振動する際に、例えば−Y方向側(例えば、第2リンク機構42側)に向けて変位すると、設備機器Wの−Y方向への傾動動作に応じて、上架台12の+Y方向側(例えば、第1リンク機構42側)は上方に向けて変位する。この場合、上架台12のうち、+Y方向側が連結部材25のナット32に当接して、上架台12における+Y方向側のそれ以上の変位が規制されるとともに、ナット32には上方への引張力が作用する。
その結果、第2連結バー84bに追従して、第2リンク機構42の第2リンクプレート64が中間部72の回動軸71回りに、第1リンク機構41の第1リンクプレート44と逆方向に回動することになる。具体的には、第2リンクプレート64のうち、縦アーム74がY方向の内側に向けて回動することで、横アーム73が上方に変位する。
以上の動作を繰り返すことで、結果的にY方向への変位をZ方向への変位へ変換しながら、防振部材14によりZ方向への振動が減衰される。
これにより、Y方向に沿う一方側において、上架台12がZ方向に変位した際に、Y方向に沿う他方側においても一方側と同様に上架台12をZ方向に変位させることができる。すなわち、Y方向に沿う一方側での上架台12の変位に追従して、上架台12全体をZ方向に変位させることができる。その結果、下架台11に対する上架台12の傾倒を抑制できるので、上架台12のうちY方向の片側のみに上方への引張力B(図5参照)が作用するのを抑制して、設備機器Wの転倒や周辺との干渉を防止することができる。
さらに、下架台11及び上架台12の短手方向(Y方向)に沿うように各転倒防止装置本体15を設けたため、長手方向(X方向)に比べて傾倒し易い短手方向への傾倒を抑制できる。これにより、設備機器Wの転倒や周辺との干渉を確実に防止することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態の防振架台の斜視図である。なお、本実施形態の転倒防止装置13は、上述した第1実施形態における転倒防止装置本体15の第1リンク機構41同士及び第2リンク機構42同士をそれぞれ連結した点で、上述した第1実施形態と相違している。以下の説明では、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
例えば、上述した実施形態では、本発明の下側フレーム、及び上側フレームは、下架台11、及び上架台12のような矩形枠状に限らず、適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、リンクプレート44,64を、L字状に一体に形成する場合について説明したが、これに限られない。すなわち、X方向から見て回動軸54と回動軸55とを結ぶ第1直線がZ方向に交差し、かつ回動軸85と回動軸54とを結ぶ第2直線が、上述した第1直線に交差していれば、L字状に限らず、円形等適宜設計変更が可能である。また、上述した条件を満たせば、リンクプレート44,64はそれぞれ一体に形成することに限られない。
Claims (4)
- 設置面側に取り付けられる下側フレームと、
前記下側フレームに対して重力方向の上方に配置され、載置物が取り付けられる上側フレームと、
前記下側フレームと前記上側フレームとの間に配設され、少なくとも前記下側フレームと前記上側フレームとを離間させる方向に付勢力が作用する弾性部材と、を有する制振装置に取り付けられ、
前記下側フレームに対する前記上側フレームの傾倒を抑制する転倒防止装置であって、
前記上側フレーム及び前記下側フレームの間で、水平方向のうち一方向の両側にそれぞれ配設された第1リンク機構、及び第2リンク機構と、
前記第1リンク機構と前記第2リンク機構とを連結して、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構を連動させる連動機構と、を有する転倒防止装置本体を備え、
前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、これら前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構の間の中心を通り重力方向に沿う対称線を中心にして線対称に配設されるとともに、前記上側フレームと前記下側フレームとの間で変位することで、前記上側フレームと前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構との間に作用する前記重力方向の荷重を前記一方向に向けて作用させ、
前記連動機構は、前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構のうち、一方のリンク機構により前記一方向に作用する荷重を、他方のリンク機構に対して前記対称線を中心にして互いに逆向きに作用させていることを特徴とする転倒防止装置。 - 前記第1リンク機構及び前記第2リンク機構は、
前記一方向に直交する他方向に沿って互いに平行に延在する第1回動軸及び第2回動軸を介して回動可能に支持された第1リンクプレート、及び第2リンクプレートと、
前記第1リンクプレート及び前記第2リンクプレートと前記上側フレームとの間にそれぞれ回動可能に支持された第1リンクバー及び第2リンクバーと、を備え、
前記第1リンクプレート、及び前記第2リンクプレートは、前記第1リンクバー及び前記第2リンクバーを前記他方向回りに回動可能に支持する第1連結部を備え、
前記連動機構は、
前記第1回動軸、及び前記第2回動軸の間で、これら前記第1回動軸及び前記第2回動軸と平行に延在する第3回動軸回りに回動可能な回動プレートと、
前記回動プレートと前記第1リンクプレートとの間で回動可能に支持された第1連結バーと、
前記回動プレートと前記第2リンクプレートとの間で回動可能に支持された第2連結バーと、を備え、
前記第1連結バー及び前記第2連結バーは、一端側が前記第1リンクプレート及び前記第2リンクプレートにそれぞれ配設された第2連結部に各別に支持され、他端側が前記回動プレートのうち、前記第3回動軸を間に挟んで対向する位置でそれぞれ支持され、
前記他方向から見て前記第1回動軸、及び前記第2回動軸と前記第1連結部とをそれぞれ結ぶ第1直線が、前記重力方向に交差するとともに、前記第1回動軸及び第2回動軸と前記第2連結部とを結ぶ第2直線が、前記第1直線に交差していることを特徴とする請求項1記載の転倒防止装置。 - 前記転倒防止装置本体は、前記他方向に沿って一対配設されていることを特徴とする請求項2記載の転倒防止装置。
- 一対の前記転倒防止装置本体は、前記他方向に沿って対向して配設され、
前記一対の転倒防止装置本体のうち、一方の前記転倒防止装置本体と他方の前記転倒防止装置本体における前記第1回動軸同士が連結され、前記第1回動軸を介して前記一方の前記転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体との前記第1リンクプレートが共回り可能に構成され、
前記一方の転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体における前記第2回動軸同士が連結され、前記第2回動軸を介して前記一方の前記転倒防止装置本体と前記他方の転倒防止装置本体との前記第2リンクプレートが共回り可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載の転倒防止装置。
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