JP6326259B2 - 構造体の制振構造 - Google Patents

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本発明は、ラック等の構造体を合理的かつ簡便に、効果的に制振することが可能な構造体の制振構造に関する。
従来、複数の構造物を連結して制振作用を得るようにした技術として、特許文献1及び2が知られている。
特許文献1の「複数建築物の制震構造」は、支承部に積層ゴム、すべり支承等を設けて固有周期を延長させた免震構造に構成した建築物と、支承部を基礎で固めた通常の建築物とを複数組み合せ、その間にオイルダンパ・摩擦ダンパ・弾塑性ダンパなどの振動エネルギー吸収装置を介在せしめて連結し、更に必要に応じ該振動エネルギー吸収装置に復元力を負担する装置を併設し地震時の応答を抑制するようにしている。特許文献1では、建築物同士を、振動エネルギー吸収装置を介在させて連結するようにし、その振動エネルギー吸収装置が、建築物の高さ方向に複数多段に配列されていて、建築物同士は高さ方向に複数箇所で連結されている。
特許文献2の「連結制震装置を利用した免震構造」は、免震層を免震装置で支持された基壇の上に複数棟の固有周期が異なる建物が構築されており、前記複数棟の建物は相互に連結制震装置で連結されている構造または、免震装置で支持された免震建物と、これに隣接して構築された非免震構造で固有周期が異なる建物とが、相互に連結制震装置で連結されている。特許文献2では、建築物同士を、連結制震装置で連結するようにし、その連結制震装置が、建築物の高さ方向の中途部に配置されている。
実開平2−1367号公報 特開2002−266517号公報
従来、多段高層のラック(棚)の間にスタッカークレーンを走行させて、入出庫作業を自動化した自動倉庫が知られている。自動倉庫のラックは、床などの支持基盤上に立設された高層の構造体である。
地震が発生すると、ラックは、頂部が最大振幅で揺動される。隣接するラック同士の隙間間隔は、スタッカークレーンが走行し得る程度に狭いため、ラックの振動周期の位相が相違し最大振幅も大きい場合など、ラック同士がぶつかり合って干渉したり、また、物品がラックから落下するおそれがあるため、ラックを制振することが好ましい。
ラックを制振する場合、上記背景技術を適用することも可能であるが、スタッカークレーンの走行を妨げずに、ラックを合理的かつ簡便に、効果的に制振することが好ましい。そしてもちろん、この種のラック等の構造体に適用可能な制振構造であれば、一般の建築物への適用可能であって、そのような制振構造の案出が望まれていた。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、ラック等の構造体を合理的かつ簡便に、効果的に制振することが可能な構造体の制振構造を提供することを目的とする。
本発明にかかる構造体の制振構造は、支持基盤上に固設して構築された固定側構造体と、該固定側構造体と高さが同一であって、上記支持基盤上に、水平方向可動手段を介して、該固定側構造体に接離する方向へ水平移動自在に支持された可動側構造体と、該可動側構造体の頂部及び上記固定側構造体の頂部に両端部が剛接合されて、該可動側構造体の頂部と該固定側構造体の頂部との間だけに当該可動側構造体の水平移動方向に沿って水平に設けられ、該可動側構造体と該固定側構造体との間で力を伝達する剛性連結材とを備えたことを特徴とする。
前記可動側構造体と前記支持基盤との間には、水平移動される該可動側構造体を弾発付勢する弾性手段が設けられることを特徴とする。
前記可動側構造体と前記支持基盤との間には、水平移動される該可動側構造体の移動力を減衰する減衰手段が設けられることを特徴とする。
前記固定側構造体及び前記可動側構造体の少なくともいずれか一方には、該可動側構造体の移動方向と直交する面内に耐震要素が設けられることを特徴とする。
前記剛性連結材には、これに伝達される力を減衰する減衰部材が設けられることを特徴とする。
前記固定側構造体の剛性は、前記可動側構造体の剛性よりも大きく設定されることを特徴とする。
前記固定側構造体は、前記支持基盤上に、固設に代えて、免震支持されることを特徴とする。
前記固定側構造体及び前記可動側構造体の少なくともいずれか一方と前記剛性連結材の端部との間には、相互のスライド移動を許容するために、該可動側構造体の移動方向と直交する方向にスライド機構が設けられることを特徴とする。
本発明にかかる構造体の制振構造にあっては、ラック等の構造体を合理的かつ簡便に、効果的に制振することができる。
本発明に係る構造体の制振構造の第1実施形態を説明するための説明図である。 図1に示した第1実施形態と等価な振動モデルを説明する説明図である。 本発明に係る構造物の制振構造の第2実施形態を示す正面図である。 図2に示した第2実施形態と等価な振動モデルを説明する説明図である。 第1及び第2実施形態の変形例を示す構造体の制振構造の平面図である。 他の変形例を示す構造体の制振構造の正面図である。 さらに他の変形例を示す構造体の制振構造の正面図である。 さらに他の変形例を示す構造体の制振構造の正面図である。 本発明に係る構造体の制振構造の第3実施形態を示す平面図である。 図9に示した構造体の制振構造の要部拡大正面図である。 本発明に係る構造体の制振構造の第4実施形態を示す平面図である。 図11に示した構造体の制振構造の要部拡大正面図である。
以下に、本発明にかかる構造体の制振構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る構造体の制振構造1の第1実施形態を説明するための説明図であって、図1(a)は正面図、図1(b)は平面図、図1(c)は側面図、図2は、図1に示した第1実施形態と等価な振動モデルを説明する説明図である。本実施形態では、構造体として、自動倉庫のラック2を例示して、以下説明する。
図1に示すように、自動倉庫には、複数のラック2,3が設備される。各ラック2,3は、自動倉庫の床4を支持基盤として、その上に多段高層に構築される。各ラック2,3の高さは同一に設定される。各ラック2,3の平面形状は通常、大きな縦横比で、細長く形成される。隣接するラック2,3同士の隙間間隔は、スタッカークレーンが走行し得る程度に狭く設定される。
各ラック2,3は、長大な前後長さ方向(図1(b)中、矢印A方向)両端が、図示しない格子などで封鎖される。各ラック2,3の左右幅方向(図1(b)中、矢印B方向)一方の側面は、走行するスタッカークレーン側に面し、受け入れ側面2a,3aとされる。各ラック2,3の左右幅方向他方の側面は、図示しない格子などで封鎖されて、非受け入れ側面2b,3bとされる。隣接する一対のラック2,3同士は、スタッカークレーンが走行する受け入れ側面2a,3aが互いに向かい合うようにして設置される。
第1実施形態に係る構造体の制振構造1は、隣接する一対のラック2,3を対象として、一方のラック2(以下、固定側ラックという)が床4に固設して構築される。
他方のラック3(以下、可動側ラックという)は、床4と可動側ラック3の下端3cとの間に設けられる水平方向可動手段5を介して、床4に対し、固定側ラック2へ接近したり離隔する方向(矢印B方向)へ、水平移動自在に支持されて、構築される。すなわち、可動側ラック3は床4上に、固定側ラック2に対して、受け入れ側面2a,3a同士が接離する方向へ水平移動自在に支持される。水平方向可動手段5は、ローラ支承や、スライド支承、滑り支承で構成される。
可動側ラック3の頂部3dと固定側ラック2の頂部2dとの間だけに、これら可動側ラック3と固定側ラック2との間で力を伝達する剛性連結材6が設けられ、この剛性連結材6を介して、可動側ラック3と固定側ラック2とが連結される。詳細には、剛性連結材6の左右長さ方向(矢印B方向)両端部6aはそれぞれ、固定側ラック2の頂部2d及び可動側ラック3の頂部3dに剛接合される。
剛性連結材6は、可動側ラック3の頂部3dと固定側ラック2の頂部2dとの間だけに、可動側ラック3の水平移動方向(矢印B方向)に沿って水平に設けられる。図示例にあっては、図1(b)に示すように、剛性連結材6は、平面長方形状の構造で構成され、ラック2,3の前後長さ方向(矢印A方向)全長にわたって配設される。従って、各ラック2,3に作用する力は、剛性連結材6を介して、一方のラック2,3から他方のラック3,2へ伝達されるようになっている。
なお、各ラック2,3の非受け入れ側面2b,3bには、耐震要素として、ラック2,3の前後方向前端部の上下端それぞれから、ラック2,3の前後方向後端部の上下端それぞれにわたり、斜め方向にブレース7が配設されている。図1(c)は、固定側ラック2が示されている。なお、ブレース7は、非受け入れ側面2b,3b全面に分散配置してもよい。
次に、第1実施形態に係る構造体の制振構造1の作用について説明する。図1に示した構造体の制振構造1は、図2中、右側に示したように、同一高さの2つの質点系2,3の頂部2d,3dを、力をそのまま伝達する剛性連結材6で連結した振動モデルに相当する。
この右側に示した振動モデルは、左側に示したように、2倍の高さの単一の質点系M1の振動モデルと等価と考えることができる。すなわち、一対のラック2,3の頂部2d,3d同士のみを剛性連結材6で連結し、一方のラック3を水平方向可動手段5で水平方向へ移動自在に支持基盤4上に支持し、他方のラック2を支持基盤4に固設することにより、一対のラック2,3は、2倍の高さのラックM1に変換される。
支持基盤4から地震動が入力された場合、地震動の周期が短周期で、当該地震動の周期よりも構造体の周期が長周期であれば、周知のように、構造体そのものにより制振効果が発揮され、振動抑制作用が働く。
支持基盤4に固設して構築された固定側ラック2は、これを単独として、隣接するラック3と連結しない場合、図2中、左側の単一の質点系M1の振動モデルの半分の高さであり、短周期の地震動に対する応答が大きくなって、当該固定側ラック2の振動加速度、層間せん断力、並びに変位(振幅)は大きくなる。これに対し、本実施形態のように、同一高さの一対のラック2,3(固定側ラック及び可動側ラック)の頂部2d,3d同士のみを、剛性連結材6で連結し、固定側ラック2を支持基盤4に固設する一方で、可動側ラック3を支持基盤4上に、水平方向可動手段5で水平方向へ移動自在に支持して構造体を構成することにより、構造体としての周期を地震動の周期よりも長周期化でき、当該構造体の振動加速度、層間せん断力、並びに変位(振幅)を合理的かつ効率よく小さくすることができる。
また、可動側ラック3と支持基盤4との間に水平方向可動手段5を設け、可動側ラック3と固定側ラック2の頂部2d,3d同士を剛性連結材6で連結するだけで構築することができ、簡便にラック2,3を制振化することができる。第1実施形態で例示した自動倉庫のラック2,3には、物品の搭載状況で振動系の質量(重量分布)が変化するが、当該質量の変化を問わず、上記構成によれば、相当の制振効果を得ることができる。
図3には、本発明に係る構造物の制振構造1の第2実施形態が示されている。図3は、第2実施形態に係る構造物の制振構造1の正面図である。第2実施形態では、可動側ラック3の下端3cと、可動側ラック3を支持する床4との間に、減衰手段8及び弾性手段9が設けられる。
可動側ラック3と床4との間には、減衰手段8もしくは弾性手段9のいずれか一方のみを設けるようにしても良い。減衰手段8としては、振動系で周知の油圧ダンパや粘弾性ダンパ、摩擦ダンパなど、どのようなものを採用しても良い。弾性手段9についても、線形バネや、皿バネ、板バネなど、どのようなものを採用しても良い。
減衰手段8を設けることで、可動側ラック3に作用する振動を減衰することができ、これにより、可動側ラック3に剛性連結材6を介して連結された固定側ラック2の振動も減衰することができて、当該減衰手段8によって構造体を効率良く制振することができる。
弾性手段9を設けることで、可動側ラック3に生じた振動変位に対し、復原力を作用させることができ、これにより、可動側ラック3に剛性連結材6を介して連結された固定側ラック2に生じた振動変位に対し、復原力を作用させることができ、当該弾性手段9によって構造体を効率良く制振することができる。そして、弾性手段9及び減衰手段8双方を設けることで、さらに優れた制振性能を得ることができる。
図4には、減衰手段8のみを採用した場合を例にとって、図2に示した第1実施形態と等価な振動モデルが示されている。第2実施形態は、図4中、右側の同一高さの2つの質点系2,3の振動モデルで示され、可動側ラック3の下端3cと支持基盤4とを連結して減衰手段8が設けられる。
この右側に示した振動モデルは、図2と同様に左側に示した2倍の高さの単一の質点系M1の振動モデルの側方に、支持基盤4と同じ剛性のポールPを立設し、このポールPの上端と、単一の質点系M1の振動モデルの上端との間に減衰手段8を設けたことと等価と考えることができる。
図3に示した第2実施形態に係る構造体の制振構造1は、図4の左側に示した単一の質点系M1の振動モデルと同じ制振性能を得るにあたり、支持基盤4と同じ剛性のポールPは不要であって、単に支持基盤4上に、可動側ラック3との間に設置して減衰手段8を設ければ足り、減衰手段8を用いることで得られる優れた制振性能を、減衰手段8の簡便な設置作業で確保して、合理的かつ効果的にラック2,3を制振することができる。
また、可動側ラック3の下端3cは、剛性連結材6で連結した固定側ラック2及び可動側ラック3で構成される構造体全体の中で、最大振幅で振動するため、この下端3cと支持基盤4との間に減衰手段8を設けることにより、極めて効率よく振動減衰することができる。図示例では、減衰手段8のみを示したが、減衰手段8に代えて弾性手段9を設けた場合であっても、減衰手段8及び弾性手段9双方を設けた場合であっても、同様である。
図5には、第1及び第2実施形態の変形例が示されている。図5は、変形例を示す構造体の制振構造1の平面図である。この変形例では、固定側ラック2及び可動側ラック3には、可動側ラック3の左右水平移動方向(矢印B方向)と直交する方向(矢印A方向)の面内に、耐震要素が設けられる。耐震要素としては、第1実施形態で説明したブレース7の他、耐震壁10が用いられる。
直交する方向とは、ラック2,3の前後長さ方向であって、直交する方向の面とは、ラック2,3の長さ方向と高さ方向とで取り囲まれる面である。また、スタッカークレーンによる物品の取り出しを行えるように、耐震壁10やブレース7は、受け入れ面側2a,3aには設置されず、非受け入れ面側2b,3bに設置される。
これにより、本変形例では、矢印B方向については剛性連結材6と水平方向可動手段5によって制振することができると共に、矢印A方向については、耐震壁10やブレース7などの耐震要素によって制振することができる。耐震壁10やブレース7等は、必ずしも固定側ラック2及び可動側ラック3の双方に設けなくても良く、いずれか一方のラック2,3に設けるようにしても良いことはもちろんである。この変形例は、図1及び図3に示した実施形態と組み合わせて採用しても良い。
図6には、他の変形例が示されている。図6は、他の変形例を示す構造体の制振構造1の正面図である。この変形例では、剛性連結材6には、これに伝達される力を減衰する減衰部材11が設けられる。この変形例は、図1及び図3に示した実施形態や、図5に示した変形例と組み合わせて採用しても良い。減衰部材11は、減衰手段8と同様、どのようなものであっても良い。
剛性連結材6に減衰部材11を設けることにより、地震動が入力された際、固定側ラック2から可動側ラック3へ伝達される力、並びに可動側ラック3から固定側ラック2に戻るように伝達される力を減衰することができ、さらに合理的かつ効果的に制振効果を高めることができる。また、剛性連結材6に減衰部材11を設けるだけであり、簡便に構造体の制振構造1を構成することができる。
図7には、さらに他の変形例が示されている。図7は、この変形例に係る構造体の制振構造1の正面図である。この変形例では、固定側ラック2の剛性が、可動側ラック3の剛性よりも大きく設定される。この変形例も、図1及び図3に示した実施形態や、図5及び図6に示した変形例と組み合わせて採用しても良い。
固定側ラック2の剛性を可動側ラック3よりも大きくするには例えば、固定側ラック2の構成部材の断面を可動側ラック3の構成部材の断面よりも大きくしたり、固定側ラック2の構成部材相互の接合箇所の剛性を、可動側ラック3の構成部材相互の接合箇所の剛性を大きくすればよい。
水平方向可動手段5によって床4から地震力が直接的には入力されない可動側ラック3に対し、床4から地震力が直接入力される固定側ラック2の剛性を大きくすることで、固定側ラック2から可動側ラック3へ伝達される振動振幅を効果的に小さくすることができ、合理的かつ効果的に制振効果を高めることができる。また、固定側ラック2の剛性を高めるだけであり、構造体の制振構造1を簡便に構成することができる。
図8には、さらに他の変形例が示されている。図8は、この変形例に係る構造体の制振構造1の正面図である。この変形例では、固定側ラック2は、床4上に免震支持して設けられる。すなわち、固定側ラック2の下端2cと床4との間に、免震装置12が設置される。この変形例も、図1及び図3に示した実施形態や、図5〜図7に示した変形例と組み合わせて採用しても良い。
固定側ラック2に、積層ゴムなどの免震装置12を設置することで、剛性連結材6で連結した固定側ラック2及び可動側ラック3からなる構造体全体を長周期化することができる。このように構成しても構造体全体に関し、合理的かつ効果的に制振効果を高めることができる。また、固定側ラック2と床4との間に免震装置12を設けるだけであり、簡便に構造体の制振構造1を構成することができる。
可動側ラック3を構成することなく、一対のラック双方を床4に免震支持する場合には、これら双方のラックがそれらの振動振幅で干渉することが考えられるのに比べて、この変形例では、固定側ラック2と可動側ラック3とは、剛性連結材6で互いの間隔が隔てられて振動するので、相互干渉が生じることがなく、安全な構造体の制振構造1を構成することができる。
図9及び図10には、本発明に係る構造体の制振構造1の第3実施形態が示されている。図9は、第3実施形態に係る構造体の制振構造1の平面図、図10は、要部拡大正面図である。固定側ラック2及び可動側ラック3と剛性連結材6の両端部6aとは、相互の回転を許容するために、高さ方向軸周りに回転自在にピン接合13される。
相互の回転とは、ラック2,3の高さ方向に沿う軸周りの水平回転を意味する。ピン接合13の構造は具体的には、例えば図10に示すように、ラック2,3の頂部2d,3dに、高さ方向の軸X周りに回転自在にピン体14が設けられ、このピン体14に、剛性連結材6の端部6aが回転自在に係合される。これにより、剛性連結材6とラック2,3とは、ピン体14周りに回転自在にピン結合13される。
ピン接合13は図9に示すように、少なくとも平面長方形状の剛性連結材6の四隅に設けられる。ピン接合13は、ラック2,3の前後長さ方向(A方向)に適宜間隔を隔てて複数設けるようにしても良い。
固定側ラック2及び可動側ラック3と剛性連結材6の端部6aとを、高さ方向の軸X周りに回転自在にピン接合13して相互の回転を許容することにより、ラック2,3に対して斜め方向に地震力が作用したり、地震力作用時にラック2,3に搭載されている物品の重量分布が不均衡であることなどに起因して、ラック2,3にねじりモーメントKが発生しても、このねじれ作用をピン接合13で解放して、ラック2,3と剛性連結材6との剛接合部分に過大な応力が発生することを防止することができ、これにより適切に制振することができる。
剛性連結材6とラック2,3との剛接合箇所に上記構成のピン接合13を適用しても、ラック2,3の左右幅方向(B方向)については、構造上、剛接合を確保することができて、適切に力や振動振幅をラック2,3間で伝達することができることはもちろんである。
このような第3実施形態も、図1及び図3に示した実施形態や、図5〜図8に示した変形例と組み合わせて採用することができる。図示例では、ピン接合13の構造を、固定側ラック2及び可動側ラック3の双方に設ける場合について説明したが、いずれか一方のラック2,3にのみ設けるようにしても良いことはもちろんである。
図11及び図12には、本発明に係る構造体の制振構造1の第4実施形態が示されている。図11は、第4実施形態に係る構造体の制振構造1の平面図、図12は、要部拡大正面図である。
固定側ラック2及び可動側ラック3と剛性連結材6の端部6aとの間には、相互のスライド移動を許容するために、可動側ラック3の移動方向(B方向)と直交する方向(A方向)にスライド機構15が設けられる。
スライド機構15は具体的には、例えば図12に示すように、ラック2,3の頂部2d,3dに、ラック2,3の前後長さ方向(A方向)に沿ってスライドレール16が設けられる。剛性連結材6の端部6aには、ラック2,3の前後長さ方向に沿って上下一対で、軸受ブラケット17,18が設けられる。これら上下の軸受ブラケット17,18には、スライドレール16に沿って回転走行される回転ローラ19の支軸20の上下両端が回転自在に支持される。
また、上側の軸受ブラケット17のラック側先端17aは、ラック2,3にその前後長さ方向に沿って形成された受け溝21内にスライド移動自在に挿入されて、ラック2,3と剛性連結材6との剛接合が確保される。回転ローラ19は、ラック2,3及び剛性連結材6の前後長さ方向に適宜間隔を隔てて複数設けられる。
固定側ラック2及び可動側ラック3と剛性連結材6の端部6aとの間に、可動側ラック3の移動方向(B方向)と直交する方向(A方向)にスライド機構15を設けて、相互のスライド移動を許容することにより、ピン接合13と同様に、ラック2,3に対して斜め方向に作用する地震力や、地震力作用時におけるラック搭載物品の重量分布の不均衡などに起因して、ラック2,3にねじりモーメントが発生しても、このねじれ作用をスライド機構15で解放して、ラック2,3と剛性連結材6との剛接合部分に過大な応力が発生することを防止することができ、これにより適切に制振することができる。
剛性連結材6とラック2,3との剛接合箇所に上記構成のスライド機構15を適用しても、上記ピン接合13と同様に、ラック2,3の左右幅方向(B方向)については、構造上、剛接合を確保することができて、適切に力や振動振幅をラック2,3間で伝達することができることはもちろんである。
このような第4実施形態も、図1及び図3に示した実施形態や、図5〜図8に示した変形例と組み合わせて採用することができる。図示例では、スライド機構15を、固定側ラック2及び可動側ラック3の双方に設ける場合について説明したが、いずれか一方のラック2,3にのみ設けるようにしても良いことはもちろんである。
以上の実施形態では、自動倉庫のラック2,3を例示して説明したが、高層ビルなどの建築物であっても同様に適用することが可能で、それにより同様の作用効果が得られることはもちろんである。この場合、上記実施形態で例示しているラック2,3のように、受け入れ面側2a,3a及び非受け入れ面側2b,3bという構成・概念は不要であり、ブレース7や耐震壁10等の耐震要素の設置位置は、建築物同士が向かい合う面またはその反対側の面、あるいは両面に設定して良い。また、上記実施形態では、縦横比が大きなラック2,3を例示して、その左右幅方向を移動方向(B方向)とし、これに直交する方向(A方向)を前後長さ方向として説明したが、建築物の場合は、長さ方向及び幅方向のいずれを移動方向(B方向)としても、また移動方向と直交する方向(A方向)としても良い。剛性連結材6は、屋根材や居住者の移動が可能なスラブ材のような平面長方形状でも良く、また梁のような線材であっても良い。
また、以上説明した構造体の制振構造1は、新設の建築物等の構造体に限らず、既存の構造体に対しても適用することができる。この場合は、支持基盤4上に固設して構築されている一対の既設構造体のうち、いずれか一方の既設構造体を、支持基盤4から分断し水平方向可動手段5を介して当該支持基盤4上に、いずれか他方の既設構造体に接離する方向へ水平方向移動自在に支持して、可動側構造体3とし、いずれか他方の既設構造体を固定側構造体2とすればよい。このようにすれば、剛性連結材6の架設を除き、一方の既設構造体(可動側構造体3)に対してのみ、支持基盤4からの分断や水平方向可動手段5の設置作業を施工すればよく、安価な施工で地震時の振動振幅を小さくすることができる簡便で効果的な構造体の制振構造1を構成することができる。
1 構造体の制振構造
2 固定側ラック
2d 固定側ラックの頂部
3 可動側ラック
3d 可動側ラックの頂部
4 床
5 水平方向可動手段
6 剛性連結材
6a 剛性連結材の端部
7 ブレース
8 減衰手段
9 弾性手段
10 耐震壁
11 減衰部材
12 免震装置
13 ピン接合
15 スライド機構

Claims (8)

  1. 支持基盤上に固設して構築された固定側構造体と、該固定側構造体と高さが同一であって、上記支持基盤上に、水平方向可動手段を介して、該固定側構造体に接離する方向へ水平移動自在に支持された可動側構造体と、該可動側構造体の頂部及び上記固定側構造体の頂部に両端部が剛接合されて、該可動側構造体の頂部と該固定側構造体の頂部との間だけに当該可動側構造体の水平移動方向に沿って水平に設けられ、該可動側構造体と該固定側構造体との間で力を伝達する剛性連結材とを備えたことを特徴とする構造体の制振構造。
  2. 前記可動側構造体と前記支持基盤との間には、水平移動される該可動側構造体を弾発付勢する弾性手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の構造体の制振構造。
  3. 前記可動側構造体と前記支持基盤との間には、水平移動される該可動側構造体の移動力を減衰する減衰手段が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の構造体の制振構造。
  4. 前記固定側構造体及び前記可動側構造体の少なくともいずれか一方には、該可動側構造体の移動方向と直交する面内に耐震要素が設けられることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項に記載の構造体の制振構造。
  5. 前記剛性連結材には、これに伝達される力を減衰する減衰部材が設けられることを特徴とする請求項1〜4いずれかの項に記載の構造体の制振構造。
  6. 前記固定側構造体の剛性は、前記可動側構造体の剛性よりも大きく設定されることを特徴とする請求項1〜5いずれかの項に記載の構造体の制振構造。
  7. 前記固定側構造体は、前記支持基盤上に、固設に代えて、免震支持されることを特徴とする請求項1〜6いずれかの項に記載の構造体の制振構造。
  8. 前記固定側構造体及び前記可動側構造体の少なくともいずれか一方と前記剛性連結材の端部との間には、相互のスライド移動を許容するために、該可動側構造体の移動方向と直交する方向にスライド機構が設けられることを特徴とする請求項1〜7いずれかの項に記載の構造体の制振構造。
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