JP5674330B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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一般的なテープタイプ使い捨ておむつは、腹側部分から背側部分にかけて幅方向中央部に設けられた吸収体と、この吸収体の表面側を覆う透液性表面シートと、吸収体の裏面側を覆う液不透過性シートとを備えており、背側部分における吸収体の側方に延在するサイドフラップ部に止着テープが取り付けられているものである。
このようなテープタイプの使い捨ておむつにおいては、身体に装着する際、止着テープを腹側に強く引っ張ると、止着テープの付根が抜ける、止着テープの取り付け部分が破れる等により、止着テープが外れてしまうという問題点が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
これを解決するための手法として、帯状シートをおむつの両側部から突出するように設けるとともに、この帯状シートのうちおむつの両側部から突出する部分に係止部を設けた使い捨ておむつが提案されており、また、この帯状シートに幅方向の伸縮弾性を付与し、使い捨ておむつの胴周りのフィット性を向上させることも提案されている(特許文献2参照)。
また、止着タイプの使い捨ておむつは、交換の際、装着していたおむつを自然に展開した状態で身体の下から引き抜き、次いで新しいおむつを自然に展開した状態で身体の下に挿入する、といった作業が広く行われているため、背側部分が広範囲に収縮して丸くなると、交換作業が困難になるという問題点もあった。
そこで、本発明の主たる課題は、止着テープの外れを防止すること、及び胴周りの弾性的なフィット性を十分に確保しつつ背側部分の広範囲な収縮を防止することにある。
<請求項1記載の発明>
前後方向中央よりも前側に延在する腹側部分と、前後方向中央よりも後側に延在する背側部分とを備え、
腹側部分から背側部分にかけて幅方向中央部に設けられた吸収要素と、この吸収要素の表面側を覆う透液性表面シートと、吸収要素の裏面側を覆う液不透過性シートとを備え、
前記背側部分に、前記液不透過性シート及び前記吸収要素の間を通り幅方向に連続して背側部分の両側縁から突出する帯状シートを設け、
この帯状シートにおける両側の突出部分及びそれらの間のおむつ重なり部分のうち、突出部分の内面に係止部を設けるとともに、おむつ重なり部分のうち幅方向両端部をおむつに非固定の自由部分とし、これら自由部分間の部分をおむつに対する固定部分とし、
前記帯状シートは、少なくとも前記自由部分及びおむつに対する固定部分を幅方向に弾性伸縮するように構成するとともに、
前記帯状シートにおける前記おむつに対する固定部分を、幅方向に伸長した状態で前記おむつに対して固定し、
前記背側部分は、前記吸収要素の幅方向両側に延在するサイドフラップ部を有しており、このサイドフラップ部は表面側に位置する表面側シートと、裏面側に位置する裏面側シートとを張り合わせてなるものとし、
前記帯状シートの自由部分は前記サイドフラップ部における前記表面側シートと前記裏面側シートとの間に位置させ、前記帯状シートの突出部分は、前記サイドフラップ部の側縁より突出する部分とし、
前記サイドフラップ部のうち前記帯状シートの自由部分が位置する部分を、前記表面側シート、前記裏面側シート及び前記帯状シートの三者が接合されていない非接合部分とし、
前記非接合部分を、前記サイドフラップ部における前記液不透過性シートの側縁から側方に離間させるとともに、前記非接合部分より幅方向中央側では前記表面側シート、前記裏面側シート及び前記帯状シートの三者を接合することにより前記帯状シートの固定部分を形成した、
ことを特徴とする、使い捨ておむつ。
この使い捨ておむつは、自然に展開した状態で身体にあてがった後、背側部分に設けられた帯状シートの両端部内面の係止部を腹側部分の外面に係止することにより装着を行うことができ、装着状態で帯状シートが幅方向に弾性伸縮可能であるため、おむつの胴周りを弾性的にフィットさせることができる。特に、帯状シートのおむつ重なり部分の全体がおむつに固定されるのではなく、おむつ重なり部分のうちの幅方向両端部が非固定の自由部分とされ、その自由部分が弾性伸縮するため、この自由部分の収縮作用がおむつ背側部分を幅方向に収縮させるようには作用しない。よって、少なくともおむつの背側部分の幅方向両端部には皺が寄ることが無く、見栄えの悪化、不必要な厚み増加、及び背側部分の広範囲な丸まりによる交換作業の困難化等、背側部分の広範囲な収縮に起因する問題を防止することができる。
前記サイドフラップ部の少なくとも非接合部分には、前記表面側シート及び裏面側シートの少なくとも一方に補強シートが張り合わされるか、或いは前記表面側シート及び裏面側シートの少なくとも一方として周囲のシートよりも剛度の高い補強シートが設けられている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
サイドフラップ部に前述のような非接合部分を設ける場合、非接合部分の剛度が低下し、型崩れを起こすおそれがある。よって、このような補強シートを設けて型崩れを防止するのが好ましい。
前記帯状シートは伸縮性不織布からなり、前記帯状シートの固定部分は幅方向に伸長した状態で前記背側部分に固定されている、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
この場合、帯状シートの全体が幅方向に弾性伸縮するようになり、帯状シートのおむつ重なり部分のうち、帯状シートの固定部分では背側部分が幅方向に伸縮し、帯状シートの自由部分も幅方向に伸縮するため、胴周りの弾性伸縮量を大きく確保することができる。また、背側部分のうち帯状シートの固定部分では皺が寄るものの、帯状シートの自由部分が位置する部分では幅方向に収縮せずに皺が寄ることはない。よって、全体としてみれば、従来よりも皺の量、厚み増加量は少なく、またより平坦な自然展開形状となる。
また、伸縮性不織布からなる帯状シートは、それ自体の加工が少ないため製造が容易であるという利点もある。
前記帯状シートは、幅方向全体にわたるシート基材と、このシート基材における少なくとも前記固定部分及び自由部分に縦方向に間隔を空けて複数本取り付けられた幅方向に沿う細長状弾性伸縮部材とを有するものであり、前記帯状シートの固定部分は幅方向に伸長した状態で前記背側部分に固定されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
この場合、帯状シートの全体が幅方向に弾性伸縮するようになり、帯状シートのおむつ重なり部分のうち、帯状シートの固定部分では背側部分が幅方向に伸縮し、帯状シートの自由部分も幅方向に伸縮するため、胴周りの弾性伸縮量を大きく確保することができる。また、背側部分のうち帯状シートの固定部分では皺が寄るものの、帯状シートの自由部分が位置する部分では幅方向に収縮せずに皺が寄ることはない。よって、全体としてみれば、従来よりも皺の量、厚み増加量は少なく、またより平坦な自然展開形状となる。
また、このようにシート基材に複数本の細長状弾性伸縮部材を間隔を空けて取り付けたものは、使い捨ておむつの技術分野では汎用されているため製造が容易であるだけでなく、細長状弾性伸縮部材の太さ、本数、伸長率、間隔、及び素材の種類を異ならしめることにより、帯状シートの収縮特性を容易に調整できる利点もある。
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
表面シート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、表面シート30表面の肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部立体ギャザー60、60を設けるのは好ましい。
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
特徴的には、背側部分Bに、幅方向に連続して背側部分Bの両側縁から突出する帯状シート70が設けられ、この帯状シート70における両側の突出部分75及びそれらの間のおむつ重なり部分76のうち、突出部分75の内面に係止部73が設けられるとともに、おむつ重なり部分76のうち幅方向両端部が背側部分Bに非固定の自由部分77とされ、これら自由部分77間の部分が背側部分Bに対する固定部分78とされ、少なくとも自由部分77が幅方向に弾性伸縮するように構成されている。
腹側Fにおける帯状シート70の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲットシート74を設けるのが好ましい。ターゲットシート74は、帯状シート70の係止部73がフック材(面ファスナーの雄材)の場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。
Claims (4)
- 前後方向中央よりも前側に延在する腹側部分と、前後方向中央よりも後側に延在する背側部分とを備え、
腹側部分から背側部分にかけて幅方向中央部に設けられた吸収要素と、この吸収要素の表面側を覆う透液性表面シートと、吸収要素の裏面側を覆う液不透過性シートとを備え、
前記背側部分に、前記液不透過性シート及び前記吸収要素の間を通り幅方向に連続して背側部分の両側縁から突出する帯状シートを設け、
この帯状シートにおける両側の突出部分及びそれらの間のおむつ重なり部分のうち、突出部分の内面に係止部を設けるとともに、おむつ重なり部分のうち幅方向両端部をおむつに非固定の自由部分とし、これら自由部分間の部分をおむつに対する固定部分とし、
前記帯状シートは、少なくとも前記自由部分及びおむつに対する固定部分を幅方向に弾性伸縮するように構成するとともに、
前記帯状シートにおける前記おむつに対する固定部分を、幅方向に伸長した状態で前記おむつに対して固定し、
前記背側部分は、前記吸収要素の幅方向両側に延在するサイドフラップ部を有しており、このサイドフラップ部は表面側に位置する表面側シートと、裏面側に位置する裏面側シートとを張り合わせてなるものとし、
前記帯状シートの自由部分は前記サイドフラップ部における前記表面側シートと前記裏面側シートとの間に位置させ、前記帯状シートの突出部分は、前記サイドフラップ部の側縁より突出する部分とし、
前記サイドフラップ部のうち前記帯状シートの自由部分が位置する部分を、前記表面側シート、前記裏面側シート及び前記帯状シートの三者が接合されていない非接合部分とし、
前記非接合部分を、前記サイドフラップ部における前記液不透過性シートの側縁から側方に離間させるとともに、前記非接合部分より幅方向中央側では前記表面側シート、前記裏面側シート及び前記帯状シートの三者を接合することにより前記帯状シートの固定部分を形成した、
ことを特徴とする、使い捨ておむつ。 - 前記サイドフラップ部の少なくとも非接合部分には、前記表面側シート及び裏面側シートの少なくとも一方に補強シートが張り合わされるか、或いは前記表面側シート及び裏面側シートの少なくとも一方として周囲のシートよりも剛度の高い補強シートが設けられている、請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 前記帯状シートは伸縮性不織布からなり、前記帯状シートの固定部分は幅方向に伸長した状態で前記背側部分に固定されている、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
- 前記帯状シートは、幅方向全体にわたるシート基材と、このシート基材における少なくとも前記固定部分及び自由部分に縦方向に間隔を空けて複数本取り付けられた幅方向に沿う細長状弾性伸縮部材とを有するものであり、前記帯状シートの固定部分は幅方向に伸長した状態で前記背側部分に固定されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
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