JP5069532B2 - 未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ - Google Patents
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しかしながら、未熟児や低出生体重児においては、おむつを装着する部分に点滴用のチューブ等の医療器具を取り付けるため、通常のテープ式紙おむつでは治療・看護の妨げになるという問題点があった。また、左右のフラップに取り付けられた係止手段を用い、これらを個別におむつ本体に係止して装着するため、おむつ交換や排泄状態の確認を迅速に行うことができなかった。さらに、通常のテープ式おむつは粘着式または面ファスナー式の係止手段を備えており、特に着用者の肌に貼りつくおそれがなく、繰り返し着脱しても止着力の低下しにくい面ファスナー式のほうがより好適に用いられているが、面ファスナー式の場合は、急いで着用すると、外装シートに使用している布ライクな不織布にオス材が引っ掛かって、迅速なおむつ交換ができないという問題点があった。
<請求項1記載の発明>
背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在する吸収性本体と、
前記吸収性本体の最外層を被覆する、不織布からなる外層シートと、
この吸収性本体の背側部分から幅方向両側に突出するベルト部と、
前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分及び他方側から突出する部分を着脱自在に連結する連結手段とを備え、
前記ベルト部を、前記吸収性本体に係止する手段を備えておらず、
前記ベルト部は、前記吸収性本体の裏面と重なる部分と、その幅方向一方側及び他方側に突出する部分とを有しており、前記ベルト部における前記吸収性本体と重なる部分のうち幅3〜40mmの幅方向中間部のみが前記吸収性本体の裏面に接合されており、
前記吸収性本体の前後方向中央から前側に50〜80mm離間した位置を第1の位置とし、前記吸収性本体の前後方向中央から後側に50〜80mm離間した位置を第2の位置としたとき、前記吸収性本体の第1の位置から第2の位置まで連続的に、弾性伸縮部材が前後方向に沿って150〜250%伸張した状態で固定されており、前記吸収性本体の前後方向中央から後側の弾性伸縮部材の伸張率よりも前記吸収性本体の前後方向前側の弾性伸縮部材の伸張率のほうが高くなされている、
ことを特徴とする未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
本発明の使い捨ておむつでは、吸収性本体の上に未熟児等を載せ、ベルト部における吸収性本体の両側から突出する部分を胴回りや脚周りに巻きつけて着脱自在に連結した後、背側から股間部を通り腹側までを覆うように吸収性本体をあてがうことで装着することができる。胴回りに巻きつけてベルト部を相互に連結した後、ベルト部と身体の間に吸収性本体を挟んで装着することもできる。よって、身体に対して吸収性本体を所定位置(排泄物を受ける位置)に保持することができ、ズレ難い。そのため、排泄物の散乱が防止されるとともに、局部を晒すこともないため保護者に安心感をもたらすことができる。しかも、ベルト部を吸収性本体に係止するものではないため、吸収性本体を容易に開くことができ、治療や看護の妨げとならない。
さらに、このような弾性伸縮部材を有することにより、背側から股間部を通り腹側に至る部分に沿って吸収性本体を弧状に曲げ、且つその状態を弾性的に維持することができる。よって、治療や看護に際して吸収性本体を容易に開くことができ、しかも自動的又は容易に元の状態に戻すことができる。
前記ベルト部と前記吸収性本体との接合部分が円形、楕円形、逆三角形、ダイヤ形、十字形、又は線状をなしている、請求項1記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
このような平面形状でベルト部と吸収体本体とが接合されていると、吸収性本体に対するベルト部の可動域(移動の自由度)が広くなり、様々な使用形態に対応できるため好ましい。
前記連結手段は、前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分に設けられた粘着剤層又は面ファスナーのオス材と、前記ベルト部における前記吸収性本体の他方側から突出する部分のうち前記粘着剤層又は面ファスナーのオス材が係止する部分とにより構成されている、請求項1又は2記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
このような連結手段を採用することにより、ベルト部を環状に且つ着脱自在に連結することができる。特に未熟児等用としては、皮膚に貼り付かない面ファスナーが好適である。
前記連結手段は、前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分の上端から下端側に向かって延在する第1の切り込みと、前記ベルト部における前記吸収性本体の他方側から突出する部分の下端から上端側に向かって延在する第2の切り込みとによって構成されている、請求項1又は2記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
この連結手段では、第1の切り込みと第2の切り込みを噛み合わせることによりベルト部を環状に且つ着脱自在に連結することができる。この形態は、切り込みを設けるだけであるため、製造が容易であるとともに、別の資材を必要としないため低コストであるという利点がある。
前記連結手段は、前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分の先端差込部と、前記ベルト部における前記吸収性本体の他方側から突出する部分に設けられた、前記先端差込部が差し込まれる貫通部とにより構成されている、請求項1又は2記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
この連結手段では、ベルト部の一方側の先端差込部を他方側の貫通部に差し込むことによりベルト部を環状に且つ着脱自在に連結することができる。この形態は、差込部及び貫通部を設けるだけであるため、製造が容易であるとともに、別の資材を必要としないため低コストであるという利点がある。
図1〜図3は、本発明に係る使い捨ておむつ1を示している。この使い捨ておむつ1は、背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在する吸収性本体10と、この吸収性本体10の背側部分から幅方向両側に突出するベルト部20とを基本構成とするものであり、特徴的には、ベルト部20における吸収性本体10の一方側から突出する部分及び他方側から突出する部分を着脱自在に連結する連結手段を備えているが、ベルト部20を吸収性本体10に係止する手段を備えていないものである。
これら部品の素材としては、公知のものを適宜用いることができる。例えば、表面シート2としては、目付け15〜35g/m2程度の各種不織布の他、多数の孔を有する孔開きフィルム等を用いることができ、必要に応じて、ビタミンE等のように皮膚の酸化劣化を抑制する酸化防止剤、皮膚の角質層の水分を保持し皮膚を柔軟にする動植物性油脂やグリセリン脂肪酸エステルのようなエモリエント剤・保湿剤等のスキンケア成分を含有させることができる。不織布としてはエアスルー、ポイントボンド、スパンボンド等、特に限定されないが、表面シート2に原料段階(原綿)でスキンケア成分を塗工する場合は短繊維不織布が好ましく、製品の製造ラインでスキンケア成分を塗工するのであれば、表面の平滑性が高いスパンボンド不織布が好ましい。
吸収体4としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。吸収体4は、厚みを薄くするためエアレイド法により形成するのが好ましい。吸収体4における繊維目付けは80〜150g/m2程度であるのが好ましく、ポリマー目付けは90〜160g程度であるのが好ましい。吸収体4に用いる高吸収性ポリマーとしては抗菌ポリマーが好ましい。吸収体4は、矩形や砂時計形などの形状であり、必要に応じて薄葉紙等の透液性シートで包装することができる。
また、図示形態の吸収性本体10においては、幅方向両側における、表面シート2の周縁部2eと裏面シート3の周縁部3eとの間に、弾性伸縮部材6が前後方向に伸張した状態でそれぞれ固定されている。弾性伸縮部材6の固定は、表面シート2の周縁部2eと裏面シート3の周縁部2eとを接合するホットメルト接着剤により行われている。
弾性伸縮部材6は、図示形態のように吸収体4を有しない周縁部5に設けるのが好ましいが、表面シート2と吸収体4との間に設けることもでき、この場合吸収体4の幅方向両側部に沿って設けることも、また吸収体4の幅方向中央部に沿って設けることもできる。
弾性伸縮部材6は、吸収性本体10の前後方向中央から前側に50〜80mm離間した位置を第1の位置とし、吸収性本体10の前後方向中央から後側に50〜80mm離間した位置を第2の位置としたとき、吸収性本体の第1の位置から第2の位置までの範囲6Lにおいて連続的に延在し、且つ前後方向に沿って150〜250%伸張した状態で固定されている。さらに、吸収性本体10の前後方向中央から後側の弾性伸縮部材の伸張率よりも吸収性本体10の前後方向前側の弾性伸縮部材の伸張率のほうが20〜80%程度、好ましくは40〜60%程度高くなされている。なお、弾性伸縮部材の伸張率を前後で異ならせる方法としては、1本の弾性伸縮部材を前後で伸張率が異なるようにして固定してもよいが、伸張率の異なる2本の弾性伸縮部材を前側と後側に別々に設けてもよい。
このような弾性伸縮部材6が設けられていると、吸収性本体10は弾性伸縮部材6の収縮力が作用することにより、図4に示すように、背側から股間部を通り腹側に至る部分に沿って吸収性本体10を弧状に曲げ、且つその状態を弾性的に維持することができる。よって、治療や看護に際して吸収性本体10を容易に開くことができ、しかも自動的又は容易に元の状態に戻すことができる。
ベルト部20の素材は適宜定めることができるが、スパンボンド不織布、SMS不織布等の不織布が好適であり、強度を確保する観点から、坪量が13〜35g/m2であるのが好ましい。ベルト部20は、幅方向の伸縮性を有しているのも好ましい。このために、ベルト部20の素材としていわゆる伸縮性不織布を用いる他、不織布を複数枚張り合わせるとともに、その間に糸ゴムやゴムシート等の弾性伸縮部材を幅方向に沿って伸張した状態で固定してなる帯状部材を用いることもできる。不織布を複数枚張り合わせる場合は、合計の坪量が50g/m2を超えないようにするのが好ましい。
ベルト部20の寸法は適宜定めれば良いが、全長(展開状態におけるおむつ幅方向の長さ)が300〜400mm程度、幅(展開状態におけるおむつ前後方向の長さ)が15〜40mmとするのが適当である。
ベルト部20と吸収性本体10の裏面との接合部分23cの形状は適宜定めることができ、図8(a)に示すように円形とする他、楕円形としたり、図8(b)に示すように逆三角形としたり、図8(c)に示すようにダイヤ形としたり、矩形(図示略)としたり、図8(d)に示すように十字形としたり、線状としたり(図示略)することができる。このような平面形状でベルト部20と吸収体本体10とが接合されていると、吸収性本体10に対するベルト部20の可動域(特に股間方向への操作の自由度)が広くなるため好ましい。接合部分23cは、その全体を連続的に接合する他、散点状等のように間欠的に接合したり、周縁部のみを連続的又は間欠的に接合したりすることもできる。
ベルト部20を環状に且つ着脱自在に連結するための連結手段は特に限定されない。図9(a)にも示すように、ベルト部20における吸収性本体10の一方側から突出する部分21の外面(内面でも良い)に粘着剤層31を設け、この粘着剤層31を、吸収性本体10の他方側から突出する部分22の内面(粘着剤層をベルト部20の内面に設ける場合には反対の外面)に粘着させることにより連結するように構成しても良い。この場合、他方側から突出する部分22の内面に粘着剤層31の粘着に適したターゲットフィルムを貼り付けるのが好ましい。なお、粘着材層31は肌に付着すると、これを剥がす際に肌を傷つけ易いため使用には注意を要する。また、保管時には粘着剤層31が露出することのないよう、離形処理を施した被覆シートにて被覆するか、ベルト部20上に粘着材層31と隣接して離形処理層を設け、保管時には粘着剤層31を設けた部分を折り返して離形処理層と貼り合せた状態にする。
なお、面ファスナーのオス材のほうが、粘着材層と比べて皮膚を傷つける可能性が低いが、通常のものより柔らかい柔軟タイプのオス材を用いるのがより好ましい。例えば、オス材はポリプロピレンとポリエチレンを混合した樹脂から形成したものが柔軟で好適であるが、その中でもポリエチレンの比率を高くしたものがより好ましい。また、オス材の形状は角のある四角形よりも、面取りした四角形など、角のない円形に近い形状が好ましい。
例えば図9(b)に示すように、ベルト部20における吸収性本体10の一方側から突出する部分21の上端から下端側に向かって縦方向に延在するスリット状の第1の切り込み32を設け、他方側から突出する部分22の下端から上端側に向かって縦方向に延在するスリット状の第2の切り込み33を設け、これら第1の切り込み32と第2の切り込み33とを右図に示すように噛み合わせることにより連結する形態も好ましい。この形態は、切り込み32,33を設けるだけであるため、製造が容易であるとともに、別の資材を必要としないため低コストであるという利点がある。これら第1及び第2の切り込み32,33をベルト部20の長手方向(おむつの幅方向)にそれぞれ複数設け、噛み合わせる切り込みを変えることにより連結位置を調整できるように構成することもできる。
差込部34及び貫通部35の寸法形状は適宜定めることができるが、貫通部35は縦方向に沿うスリット状又は孔状をなしているのが好ましく、差込部34は貫通部35の縦方向幅35wよりも幅広の掛止部34aを有しているのが好ましい。差込部34を貫通部35に差し込む際、掛止部34aを撓ませて貫通部35に差し通すと、掛止部34aが貫通部35に掛け止められる。取り外し時はこの逆である。特に、図示形態の差込部34のように両側縁(上下端縁)を波状やジグザグ状にし、掛止部34aをベルト部20の長手方向(おむつの幅方向)に複数形成すると、連結位置を調整できるため好ましい。
本発明では、これらの他に、ボタンやホック等の公知の連結手段を用いることもできる。
Claims (5)
- 背側から股間部を通り腹側までを覆うように延在する吸収性本体と、
前記吸収性本体の最外層を被覆する、不織布からなる外層シートと、
この吸収性本体の背側部分から幅方向両側に突出するベルト部と、
前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分及び他方側から突出する部分を着脱自在に連結する連結手段とを備え、
前記ベルト部を、前記吸収性本体に係止する手段を備えておらず、
前記ベルト部は、前記吸収性本体の裏面と重なる部分と、その幅方向一方側及び他方側に突出する部分とを有しており、前記ベルト部における前記吸収性本体と重なる部分のうち幅3〜40mmの幅方向中間部のみが前記吸収性本体の裏面に接合されており、
前記吸収性本体の前後方向中央から前側に50〜80mm離間した位置を第1の位置とし、前記吸収性本体の前後方向中央から後側に50〜80mm離間した位置を第2の位置としたとき、前記吸収性本体の第1の位置から第2の位置まで連続的に、弾性伸縮部材が前後方向に沿って150〜250%伸張した状態で固定されており、前記吸収性本体の前後方向中央から後側の弾性伸縮部材の伸張率よりも前記吸収性本体の前後方向前側の弾性伸縮部材の伸張率のほうが高くなされている、
ことを特徴とする未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。 - 前記ベルト部と前記吸収性本体との接合部分が円形、楕円形、逆三角形、ダイヤ形、十字形、又は線状をなしている、請求項1記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
- 前記連結手段は、前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分に設けられた粘着剤層又は面ファスナーのオス材と、前記ベルト部における前記吸収性本体の他方側から突出する部分のうち前記粘着剤層又は面ファスナーのオス材が係止する部分とにより構成されている、請求項1又は2記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
- 前記連結手段は、前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分の上端から下端側に向かって延在する第1の切り込みと、前記ベルト部における前記吸収性本体の他方側から突出する部分の下端から上端側に向かって延在する第2の切り込みとによって構成されている、請求項1又は2記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
- 前記連結手段は、前記ベルト部における前記吸収性本体の一方側から突出する部分の先端差込部と、前記ベルト部における前記吸収性本体の他方側から突出する部分に設けられた、前記先端差込部が差し込まれる貫通部とにより構成されている、請求項1又は2記載の未熟児又は低出生体重児用使い捨ておむつ。
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