JP5420995B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

発明は、病院等の医療施設において、乳幼児、特に未熟児や低出生体重児への使用に適した使い捨ておむつに関するものである。
一般に、出生体重が2,500g以下の新生児は低出生体重児、1,500g以下の新生児は極低出生体重児、1,000g以下の新生児は超低出生体重児と呼ばれており、母体内にいる期間が短いことに起因して様々な面で抵抗力がなく、肌も弱いため、新生児集中治療室(NICU)において保育器内で保育される。このような低出生体重児用の使い捨ておむつの提案もいくつかなされているが、他の新生児と同様に通常のテープタイプ使い捨ておむつ(例えば特許文献1、2参照)と同素材、同構造で、ただ単にサイズを小さくしたものを用いているのが現状である。
特開2006−136702号公報 特開2005−287871号公報 特開2009−82484号公報
しかしながら、低出生体重児は、角質層が極端に薄く肌が弱いため、おむつとの摩擦だけでも角質が剥がれ、その部分から細菌が侵入し炎症等のトラブルを引き起こすことがある。
また、低出生体重児は、保育器の中では使い捨ておむつしか着用していないにも関わらず、点滴等の治療や監視用の器具を体に装着させることが多く、体に挿入されるチューブやコードの固定は、医療用粘着テープを肌に直接貼り付けることにより行っている。しかし、低出生体重児の場合、粘着テープの糊であってもテープ剥離時に薄い角質は剥がれてしまう。この対策のために剥離剤を塗布し、粘着テープを貼ることも実践されているが、角質層の剥離を完全に抑えることはできていない。よって、これらチューブ使用時における肌トラブル防止も問題となっている。
そこで、本発明の主たる課題は、おむつを使用する際(装着中及び交換時)の肌の傷付きを効果的に防止することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
腹側部分及び背側部分を有する吸収本体と、
この吸収本体の腹側部分外面における幅方向中間部に設けられた、メカニカルファスナーのフックテープ又は粘着剤層からなる固定部と、
この固定部の全体を被覆可能であり、且つこの固定部に剥離可能に固定されるとともに、全体がおむつから分離可能とされた被覆シートと、前記吸収本体の背側部分の両側部に幅方向外側に突出する、内面全体が不織布により形成されたフラップ部と、を有し、
装着に際して、前記フラップ部を前記吸収本体の腹側部分外面の固定部に固定し、その上から固定部全体を前記被覆シートで覆うように構成した、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、吸収本体の腹側部分外面に固定部を設け、吸収本体の両側部の内面に固定部を設けずに内面全体を不織布で形成することで、装着中及び交換時に粘着剤層やフックテープのように肌を傷付けるおそれが高い部材が、肌に接触し難くなる。また、装着中においても、固定部が被覆シートで覆われるため、固定部による肌の傷付きを効果的に防止できる。さらに、被覆シートは固定部に対して剥離可能に固定できるため、固定部上にチューブやコード(以下、チューブ等ともいう)を配置してそれを跨ぐように被覆シートを被せ、チューブ等の両側で被覆シートを固定部に固定することにより、被覆シートをチューブ等固定用の粘着テープの代わりに用いることもできる。この場合、おむつ交換時には被覆シートを剥がすことにより、チューブ等をおむつから容易に取り外すことができる。よって、従来のように肌に直接粘着テープを貼り付ける必要が無くなる。そして、これらの利点により、おむつを使用する際(装着中及び交換時)の肌の傷付きを効果的に防止できるようになる。
<請求項2記載の発明>
前記被覆シートの動摩擦係数が0.85以上である、請求項1記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
被覆シートがこのよう動摩擦係数を有していると、治療用等のチューブ等が滑らずに確実に保持できるため好ましい。なお、本発明における動摩擦係数とは、島津製作所製オートグラフAG−X500NでJIS K 7125に準拠した試験により測定されるものである。
<請求項3記載の発明>
前記被覆シートに、チューブ又はコードが挿通される一対の並列なスリットが一組又は複数組設けられている、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような一対の並列なスリットを設けておけば、チューブ等を一方のスリット、他方のスリットの順に通すことにより、チューブ等を被覆シートの表面に拘束することができる。
<請求項4記載の発明>
前記被覆シートのうち少なくともスリットを有し且つ前記固定部を被覆可能な寸法を有する部分が、おむつから分離可能である、請求項3記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
スリットによるチューブ等の固定を行う場合、おむつ交換の際にはチューブ等を引き抜くこともできるが作業が煩雑となり、装着者に過度の負担を与えるおそれがあるため好ましくない。これに対して、被覆シートのうち少なくともスリットを有し且つ固定部を被覆可能な寸法を有する部分がおむつから分離可能であると、おむつ交換の際に、被覆シートのスリットにチューブ等を通したまま、被覆シートをチューブ等とともに使用済みおむつから分離し、それをそのまま新しいおむつの固定部に貼り付けることができ、おむつ交換及びそれに伴うチューブ等固定作業を簡略化することができる。
<請求項5記載の発明>
前記被覆シートに、前記一対の並列なスリット間を結ぶミシン目が設けられている、請求項4記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
スリットによるチューブ等の固定を行う場合、おむつ交換の際にはチューブ等を引き抜くこともできるが作業が煩雑となり、装着者に過度の負担を与えるおそれがあるため好ましくない。これに対して、上述のようなミシン目を設けておけば、ミシン目を切り離すことにより、チューブ等を被覆シートから容易に取り外すことができるようになる。
<請求項6記載の発明>
前記被覆シートは、前記固定部に対する取付角度が0〜360度の全範囲で前記固定部の全体を被覆可能である、請求項3記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
被覆シート及び固定部の各寸法形状がこの条件を満たしていることにより、チューブ等の向きに応じて被覆シートの向きを変えても固定部全体を覆うことができるため好ましい。
<請求項7記載の発明>
前記固定部は、メカニカルファスナーのフックテープであり、前記被覆シートは、不織布、不織布と樹脂フィルムとをラミネートしたラミネートフィルム、又は織布である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明の固定部は、繰り返し剥離を行っても固定力が落ちない点でフックテープが好ましく、その場合、被覆シートはこのような繊維集合層からなる面を有する素材が好ましい。なお、フックテープは硬質素材であるため、装着者の肌を傷付け易いが、本発明では取り付け位置及び被覆シートという二重の防御手段を設けているため、従来よりも肌を傷付ける可能性は格段に低くなるものである。
以上のとおり本発明によれば、おむつを使用する際(装着中及び交換時)の肌の傷付きを効果的に防止できるようになる、等の利点がもたらされる。
本発明に係る使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 本発明に係る使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 装着途中の状態を示す斜視図である。 装着状態を示す斜視図である。 変形例の外面を示す正面図である。 変形例の装着状態を示す斜視図である。 各種変形例を示す平面図である。 各種変形例を示す平面図である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1〜図6は、本発明に係る使い捨ておむつ1を示している。この使い捨ておむつ1は、背側部分(前後方向中央より後側の部分)10B及び腹側部分(前後方向中央より前側の部分)10Fを有し、内面全体が不織布により形成された吸収本体10と、この吸収本体10の腹側部分10F外面における幅方向中間部に設けられた、メカニカルファスナーのフックテープ又は粘着剤層からなる固定部20と、この固定部20の全体を被覆可能であり、且つこの固定部20に剥離可能に固定される被覆シート30と、を基本構成とするものである。
装着に際しては、図5に示されるように、吸収本体の背側部分10Bの両側部を、吸収本体の腹側部分10F外面の固定部20に固定した後、その上から図6に示されるように固定部20全体を被覆シート30で覆うようにする。よって、装着中及び交換時に粘着剤層やフックテープのように肌を傷付けるおそれが高い部材が、肌に接触し難くなる。また、装着中においても、固定部20が被覆シート30で覆われるため、固定部20による肌の傷付きを効果的に防止できる。さらに、被覆シート30は固定部20に対して剥離可能に固定できるため、図6に示すように、固定部20上にチューブ等40を配置してそのチューブ等40を跨ぐように被覆シート30を被せ、チューブ等40の両側で被覆シート30を固定部20に固定することにより、被覆シート30をチューブ等40固定用の粘着テープの代わりに用いることもできる。この場合、おむつ交換時には被覆シート30を剥がすことにより、チューブ等40をおむつから容易に取り外すことができる。
吸収本体は適宜設計することができるが、図示例では、図3の断面からも判るように、肌側に位置する液透過性表面シート2と、外面側に位置する液不透過性裏面シート3と、これらの間に介在された吸収体4とを有しており、表面シート2及び裏面シート3は周縁部5において相互に接合され、この接合部分で囲まれる空間に吸収体4が収容されている。接合手法は特に限定されないが、ヒートシールや、超音波シールでは接合部分が硬くなるため、ホットメルト接着剤5b,4bにより接合するのが好ましい。
また、裏面シート3の外面には、不織布からなる外装シート12が設けられている。外装シートの外面には、一般的なテープ式使い捨ておむつのような止着用のターゲットテープや、生理用ナプキンのようなズレ止め用粘着材やこれを被覆する剥離紙のような固定手段は設けられていない。
これら部品の素材としては、公知のものを適宜用いることができる。例えば、表面シート2としては、目付け15〜35g/m2程度の各種不織布の他、多数の孔を有する孔開きフィルム等を用いることができ、必要に応じて、ビタミンE等のように皮膚の酸化劣化を抑制する酸化防止剤、皮膚の角質層の水分を保持し皮膚を柔軟にする動植物性油脂やグリセリン脂肪酸エステルのようなエモリエント剤・保湿剤等のスキンケア成分を含有させることができる。不織布としてはエアスルー、ポイントボンド、スパンボンド等、特に限定されないが、表面シート2に原料段階(原綿)でスキンケア成分を塗工する場合は短繊維不織布が好ましく、製品の製造ラインでスキンケア成分を塗工するのであれば、表面の平滑性が高いスパンボンド不織布が好ましい。また、不織布としては疎水性のものであっても良いが、肌に優しいという点で、親水性を有する不織布、中でも親水性天然繊維を含む不織布が好適である。
裏面シート3としては、ポリエチレンフィルム等からなる非通気性フィルムまたは通気性多孔質フィルムを用いることができる。外装シートとしては、目付け10〜40g/m2程度の各種不織布、特に強度および柔軟性の両立の観点から、SMS不織布やSMMS不織布等の積層不織布を好適に用いることができる。
外装シート12としては、不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
吸収体4としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。吸収体4は、厚みを薄くするためエアレイド法により形成するのが好ましい。吸収体4における繊維目付けは80〜150g/m2程度であるのが好ましく、ポリマー目付けは90〜160g程度であるのが好ましい。吸収体4に用いる高吸収性ポリマーとしては抗菌ポリマーが好ましい。吸収体4は、矩形や砂時計形などの形状であり、必要に応じて薄葉紙等の透液性シートで包装することができる。
また、図示形態の吸収本体10においては、幅方向両側における、表面シート2の周縁部2eと裏面シート3の周縁部3eとの間に、弾性伸縮部材6が前後方向(縦方向)に伸張した状態でそれぞれ固定されている。弾性伸縮部材6の固定は、表面シート2の周縁部2eと裏面シート3の周縁部2eとを接合するホットメルト接着剤により行われている。弾性伸縮部材6としては、図示例のように糸ゴム等の細長状のものが好ましいが、シート状や網状のものを用いることができる。糸ゴムとしては、合成ゴム、天然ゴムを問わず用いることができ、太さは470dtex以上(合成ゴムの場合、天然ゴムも同程度であるのが好ましい)のものが好ましく、前後方向に沿って120〜250%伸張した状態で固定されているのが好ましい。このような弾性伸縮部材6が設けられていると、吸収本体10の幅方向両側部が収縮して脚周りにフィットするようになる。なお、弾性伸縮部材6の収縮が肌の弱い低出生体重児にとって、過剰な刺激となり肌トラブルを誘発する場合もあるため、弾性伸縮部材6を省略しても良い。
吸収本体10は適宜の形状とすることができるが、図示例では長方形を基本として、幅方向両側縁が脚周りに沿うように曲線状に切断されており、また背側部分10Bのウエスト側部分の両側部に幅方向外側に突出するフラップ部11が形成されており、このフラップ部11を含む領域が固定部20に固定される部分となっている。フラップ部11は、表面シート2、裏面シート3、外装シート12の少なくとも一つの該当部位を前後方向両側よりも幅方向外側に延出させることにより形成することができるが、図示例では外装シート12のみを延出させることにより形成している。
吸収本体10の寸法は、例えば長さ10Lは100〜300mm程度、幅10Wは50〜150mm程度とすることができる。吸収本体10の吸収体4を有する部分における厚みは、例えば圧力0.5g/cm2における厚みTo(初期厚み)が2〜5mm、特に3〜4mmであるのが好ましく、最大圧力(ここでは50g/cm2)における厚みTm(絶対厚み)が0.5〜3mm、特に1〜2mmであるのが好ましい。また、吸収本体10の前後方向における曲げ剛性が1〜25cN/50mmであるのが好ましい。この範囲内であれば、後述する物品の隆起や反り返りが容易に達成される。なお、To及びTmはKES(Kawabata's Evaluation System for Fabrics)に基づき、KES-FB3-AUTO-A 自動化圧縮試験機を用いた圧縮試験により測定する。測定は、圧縮面積2cm2の円形平面をもつ鋼板間で、0gf/cm2から最大圧縮荷重50gf/cm2まで試料を圧縮し、元に戻す間で行う。初期厚みToは、圧力0.5gf/cm2における試料の厚みである。絶対厚みTmは、圧力50gf/cm2における試料の厚みである。また、曲げ剛性(剛度)は、JIS K 7171(プラスチック‐曲げ剛性の試験方法)に準拠し、次の方法で測定する。測定にはテンシロン試験機(圧子先端部の曲率半径R1=5.0±0.1mm、支持プレート先端部の曲率半径R2=5.0±0.2mm)を用い、吸収体4が存在する部分のおむつの前後方向の曲げ剛性を測定する。試験片は、おむつから測定に影響する弾性伸縮部材を取り除き、これをおむつ長手方向80mm、おむつ幅方向50mmの長方形に切り取ることにより作製する。曲げ剛性値の単位中の50mmは試験片の短辺の長さであり、試験時の圧子でたわませた試験片の幅である。それぞれ断面円弧状の先端部を有し、両先端部の先端(上端)間の間隔を50mmとして、互いに平行に且つ両先端部の高さ位置を揃えて配置された一対の支持プレート上に、上記の試験片を、その長手方向を各プレートに直交する方向に向けて、掛け渡すように載置し、その試験片に僅かに接するように圧子先端部を配置する。ロードセル5kg(レンジ196cN)、速度30mm/minの条件で圧子を降下させ、荷重‐たわみ曲線を得る。得られた曲げ応力の最大値を曲げ剛性値(cN/50mm)とする。
他方、固定部20は、フックテープ又は粘着剤層により設けることができるが、繰り返し剥離を行っても固定力が落ちない点でフックテープが好ましい。メカニカルファスナー(面ファスナー)のフックテープ(オス材)は、合成樹脂等からなるシート基材の表面に、多数のキノコ状、レ字状等のフック状突起が設けられているものであり、このフック状突起が不織布繊維と絡み合うことにより不織布に剥離可能に固定されるものである。フックテープとしては、通常のものより柔らかい柔軟タイプのオス材を用いるのがより好ましい。例えば、オス材はポリプロピレンとポリエチレンを混合した樹脂から形成したものが柔軟で好適であるが、その中でもポリエチレンの比率を高くしたものがより好ましい。また、オス材の形状は角のある四角形よりも、面取りした四角形など、角のない円形に近い形状が好ましい。
固定部20は、腹側部分10F外面における幅方向中間部であれば、幅方向に複数個所に設けることもできるが、装着者の肌により当たり難くするために、幅方向中央部に一つ設けるのが好ましい。また、同様の観点から、固定部20のウエスト側端縁は吸収本体10のウエスト端縁から10〜35mm程度股間側に位置しているのが好ましい。特に固定部20がフックテープである場合は、その硬さが装着者に伝わり難いように、固定部20が吸収体の範囲内(つまり、固定部20の周縁が吸収体の周縁より内側)に配置されているのが好ましい。
そして、この位置以外には、フックテープや粘着剤層等の固定手段が設けられておらず、吸収本体10の内面全体が不織布で構成されているため、使用中及び交換の際に、固定手段が肌を傷付けるおそれがなくなる。図示形態では、表面シートが吸収本体10の両側部まで達しない幅で設けられており、その結果として、背側部分10Bの両側部、つまり固定部20に固定される部位は外装シート12の表面が露出している。よって、この場合、外装シート12における背側両側部、図示形態の場合は主にフラップ部11における外装シート12露出部分が固定部20に固定されることになる。もちろん、背側部分10Bの両側部は固定部20に固定される部位であるため、表面に、固定部20の固定力に優れ強度の高い不織布を別途貼り付けたり、表面を構成する不織布に起毛加工を施したりすることもできる。また、表面シート2を吸収本体の幅方向両側部まで延在させて、背側部分10Bの両側部、つまり固定部20に固定される部位を表面シート2により形成することもできる。あるいは、吸収本体10の両側部に、内面全体が不織布によりなる別の部材を連結することによりフラップ部11を形成することもできる。さらに、図示形態は、低出生体重児用途を想定しているため、いわゆる立体ギャザーを設けていないが、立体ギャザーを設ける場合は、立体ギャザーを形成するシートを不織布で構成するとともに、この不織布で少なくとも背側部分10Bの両側部を被覆することもできる。
また、固定部20の露出を防止するための被覆シート30としては、固定部20の固定機能によって剥離可能に固定可能なものであれば特に限定されないが、表面が滑らかで刺激が少ないものが好ましく、不織布、不織布と樹脂フィルムとをラミネートしたラミネートフィルム(固定部20がフックテープの場合には不織布が固定部20側面となり、粘着剤層の場合には不織布又は樹脂フィルムが固定部20側面となる)、又は織布が好適である。不織布としては、表面シートと同様のものを用いることができる。被覆シート30をチューブ等40固定用の粘着テープの代わりに用いる場合(前述の図6に示す形態はもちろん、後述するスリット31を有する形態でも同様である)、被覆シート30における固定部20と接触する面の動摩擦係数(前述したとおり)が0.85以上であると、チューブ等40が滑らずに確実に保持できるため好ましい。
被覆シート30は、製品状態でおむつ1枚ずつに貼り付けておいても、また、おむつと別体のシートとして添付しても良い。ユーザーの利便性を考えるとおむつ1枚ずつに予め貼り付けることが望ましい。被覆シート30をおむつに予め貼り付けておく場合、固定部20の固定機能を用い、固定部20全体を被覆するように貼り付けておくのが望ましいが、固定部20の固定機能以外に、接着剤等を用いて固定部20又は固定部20以外の部分に貼り付けておいても良い。また、被覆シート30を固定部20から剥離した際、被覆シート30の全体がおむつから分離するようになっている
他方、チューブ等40をより確実に固定するために、図7及び図8に示すように、被覆シート30に、チューブ等40が挿通される一対の並列(互いに交差しない)なスリット31を設けるのも好ましい形態である。このような一対の並列なスリット31を設けておけば、チューブ等40を一方のスリット31、他方のスリット31の順に通すことにより、チューブ等40を被覆シート30の表面に拘束することができる。また、製造も容易である。図示例のスリットは直線状のスリットが平行に配置されているものであるが、並列する限り、平行である必要はなく、また各スリットも直線状ではなく、曲線状であっても良い。
スリット31によるチューブ等40の固定を行う場合、おむつ交換の際にはチューブ等40を引き抜くこともできるが、交換頻度が高い場合(NICUにおけるおむつ交換頻度は平均で10枚/1日程度である)作業が煩雑となり、装着者に過度の負担を与えるおそれがあるため好ましくない。これに対して、被覆シート30の全体がおむつから分離可能であると、おむつ交換の際に、被覆シート30のスリット31にチューブ等40を通したまま、被覆シート30をチューブ等40とともに使用済みおむつから分離し、それをそのまま新しいおむつの固定部20に貼り付けることができ、おむつ交換及びそれに伴うチューブ等40固定作業を簡略化することができる。
また、被覆シート30からチューブ等40を取り外し易くするために、図7及び図8に示すように、被覆シート30に、一対の並列なスリット31間を結ぶミシン目32を設けるあるいは並列なスリット31間を結ぶ連続した切れ目を設けるのも好ましい。ミシン目32を切り離すことにより、チューブ等40を被覆シート30から容易に取り外すことができるようになる。ミシン目32を設ける位置は適宜定めることができ、図示形態のように両スリット31の長手方向一端部を結ぶように設ける他、スリット31の長手方向中央部や、またスリット31の長手方向両端部にそれぞれ設ける等、複数設けることもできる。
スリット31の方向、本数は適宜定めることができる。図9及び図10に、スリット31を設ける場合のいくつかの例を示した。スリット31は、図9(b)に示すように一組設ける他、図9(a),(c)に示すように複数組設けることもでき、複数組設ける場合は図9(a)に示すように縦並びとする他、図9(c)に示すように横並びとすることもでき、特に横並びとする場合は図示のように縦方向位置をずらすのが好ましい。また、スリット31の向きは、図9(a),(c)に示すようにチューブ等40を縦方向に通すために横方向としたり、図9(b)に示すようにチューブ等40を横方向に通すために縦方向としたり、図10に示すようにチューブ等40を斜め方向に通すためにこれと直交する方向としたりする等、任意に定めることができる。
また、被覆シート30の全体がおむつから分離可能である場合、図10に示すように、固定部20に対する被覆シート30の取付角度(被覆シートの中心周りの回転角度)が0〜360度の全範囲で固定部20の全体を被覆可能であるように、被覆シート30及び固定部20の各寸法形状を定めるのも好ましい形態である。具体的に図10(a)に示される形態は、矩形状固定部20と円状被覆シート30とを組み合わせ、固定部20の対角線長さを被覆シート30の直径(短径)よりも短くしたものであり、図10(b)に示される形態は、円状固定部20と矩形状被覆シート30とを組み合わせ、固定部20の直径(短径)を被覆シート30の各辺の長さよりも短くしたものである。被覆シート30及び固定部20の各寸法形状がこの条件を満たしていることにより、チューブ等40の向きに応じて被覆シート30の向き図10(a)二点鎖線で示すように回転させても固定部20全体を覆うことができる。
本発明は、病院等の医療施設において、乳幼児、特に低出生体重児に用いる使い捨ておむつに好適であるが、大人用にも用いることができ、特に治療や監視等のためにチューブやコードを身体表面に固定する必要のある装着者用途に好適である。
1…使い捨ておむつ、1A…先端側部分、1B…基端側部分、2…表面シート、3…液不透過性裏面シート、4…吸収体、5…周縁部、6…弾性伸縮部材、10…吸収本体、20…固定部、30…被覆シート。

Claims (7)

  1. 腹側部分及び背側部分を有する吸収本体と、
    この吸収本体の腹側部分外面における幅方向中間部に設けられた、メカニカルファスナーのフックテープ又は粘着剤層からなる固定部と、
    この固定部の全体を被覆可能であり、且つこの固定部に剥離可能に固定されるとともに、全体がおむつから分離可能とされた被覆シートと、前記吸収本体の背側部分の両側部に幅方向外側に突出する、内面全体が不織布により形成されたフラップ部と、を有し、
    装着に際して、前記フラップ部を前記吸収本体の腹側部分外面の固定部に固定し、その上から固定部全体を前記被覆シートで覆うように構成した、
    ことを特徴とする使い捨ておむつ。
  2. 前記被覆シートにおける前記固定部と接触する面の動摩擦係数が0.85以上である、請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記被覆シートに、チューブ又はコードが挿通される一対の並列なスリットが一組又は複数組設けられている、請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
  4. 前記被覆シートのうち少なくともスリットを有し且つ前記固定部を被覆可能な寸法を有する部分が、おむつから分離可能である、請求項3記載の使い捨ておむつ。
  5. 前記被覆シートに、前記一対の並列なスリット間を結ぶミシン目が設けられている、請求項4記載の使い捨ておむつ。
  6. 前記被覆シートは、前記固定部に対する取付角度が0〜360度の全範囲で前記固定部の全体を被覆可能である、請求項3記載の使い捨ておむつ。
  7. 前記固定部は、メカニカルファスナーのフックテープであり、前記被覆シートは、不織布、不織布と樹脂フィルムとをラミネートしたラミネートフィルム、又は織布である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
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