JP5673635B2 - パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法 - Google Patents

パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5673635B2
JP5673635B2 JP2012212467A JP2012212467A JP5673635B2 JP 5673635 B2 JP5673635 B2 JP 5673635B2 JP 2012212467 A JP2012212467 A JP 2012212467A JP 2012212467 A JP2012212467 A JP 2012212467A JP 5673635 B2 JP5673635 B2 JP 5673635B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
character line
panel component
automotive
automotive panel
panel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012212467A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014065410A (ja
Inventor
欣哉 中川
欣哉 中川
岩間 隆史
隆史 岩間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2012212467A priority Critical patent/JP5673635B2/ja
Priority to PCT/JP2013/005655 priority patent/WO2014050083A1/ja
Priority to IN1667DEN2015 priority patent/IN2015DN01667A/en
Priority to KR1020157007518A priority patent/KR101622584B1/ko
Priority to CN201380050384.1A priority patent/CN104685338B/zh
Publication of JP2014065410A publication Critical patent/JP2014065410A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5673635B2 publication Critical patent/JP5673635B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)

Description

本発明は、ドアパネル、フードパネル、ルーフパネル等の自動車用パネル部品を製造する際に適用されるパネル部品評価方法とパネル部品評価装置に関する。また、本発明はドアパネル、フードパネル、ルーフパネル等の自動車用パネル部品を製造する方法に関する。
一般に、ドアパネル等の自動車用パネル部品は、鋼板などの金属板をプレス成形して製造される。このような自動車用パネル部品に求められる特性の一つに張り剛性があり、この張り剛性を高めたり意匠性を高めたりする目的で、キャラクターラインと呼ばれる折り目をパネル部品に配することが従来から行われている。
しかし、キャラクターラインを配する際の問題として、「飛び移り」がある。ここで言う「飛び移り」とは、キャラクターライン上またはキャラクターライン近傍に負荷がかかった際、負荷が飛び移り荷重を超えたときにキャラクターラインが折れてしまう現象であり、キャラクターラインが折れる際に、パネル部品がポコンと飛び移るように一気に変形するため、飛び移りと呼ばれている。
キャラクターラインを配することによる張り剛性の向上効果は高いほうが良く、また、飛び移り荷重も高いほうが良い。しかし、キャラクターラインを配したときの張り剛性と飛び移り荷重については予測する手段がないため、従来では、デザインされたパネル部品に対して試作を行い、試作されたパネル部品の張り剛性と飛び移り荷重を測定し、その測定値を目標値と比較して試作品の良否を判断している。この場合、張り剛性および飛び移り荷重の測定値が目標値より低い場合にはデザインからやり直したり、パネル部品の裏側に補強部材を配したりする必要があるため、自動車用パネル部品のデザインから量産化までに長期間を要するという問題がある。また、自動車用パネル部品の裏側に補強部材を配して張り剛性を確保する方法では、自動車用パネル部品の軽量化を阻害するという問題がある。
ところで、特許文献1および特許文献2には、パネル部品の形状から剛性を予測する技術が記載されている。また、特許文献3には、板部材の所定点に対し負荷を加えた際の当該板部材の負荷方向の耐荷重量としてデント剛性を予測する技術が記載されている。
特許第3786171号公報 特開平7−33048号公報 特開2011−158270号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された技術では、キャラクターラインのようにパネル形状が急激に変化している部分の張り剛性については予測が困難であり、飛び移り荷重についても予測できないという問題がある。
また、特許文献3に記載された技術では、デント剛性を予測するためにキャラクターラインの位置を変数としているため、キャラクターラインそのものの剛性については予測できないという問題がある。
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、デザインされた自動車用パネル部品を試作する際にキャラクターライン上あるいはキャラクターライン近傍の張り剛性や飛び移り荷重を容易に評価することのできるパネル部品評価方法およびパネル部品評価装置を提供することを目的としている。また、本発明の他の目的は、自動車用パネル部品をデザインしてから量産化するまでに要する期間の短縮とコストの低減を図ることのできる自動車用パネル部品の製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、二つの凸曲面から構成されるキャラクターラインを有する自動車用パネル部品を評価するパネル部品評価方法であって、前記自動車用パネル部品の板厚と、前記二つの凸曲面の曲率半径と、前記キャラクターラインの開き角とに基づいて、前記自動車用パネル部品の飛び移り荷重を予測することを特徴とする。
請求項2の発明は、前記自動車用パネル部品の飛び移り荷重を下式から予測することを特徴とする。
P=(t2/e1)×((a1×θ+b1)×q+(c1×θ+d1))
ただし、
P:飛び移り荷重(N)、
t:自動車用パネル部品の板厚(mm)、
θ:キャラクターラインの開き角(°)、
q:q=ln(R1)×ln(R2)、
R1,R2:自動車用パネル部品のキャラクターラインを構成する二つの凸曲面の曲率半径(mm)、
1〜e1:定数。
請求項3の発明は、二つの凸曲面から構成されるキャラクターラインを有する自動車用パネル部品を評価するパネル部品評価方法であって、前記自動車用パネル部品の板厚と、前記二つの凸曲面の曲率半径と、前記キャラクターラインの開き角と、前記キャラクターラインの頂点部の曲率半径に基づいて、前記自動車用パネル部品の張り剛性を予測することを特徴とする。
請求項4の発明は、前記自動車用パネル部品の張り剛性を下式から予測することを特徴とする。
P'=(t2/e2)×(a2×q+b2×θ+c2×Rt+d2
ただし、
P': 張り剛性(N/mm)
t:自動車用パネル部品の板厚(mm)、
q:q=ln(R1)×ln(R2)、
R1,R2:自動車用パネル部品のキャラクターラインを構成する二つの凸曲面の曲率半径(mm)、
θ:キャラクターラインの開き角(°)、
Rt:キャラクターライン頂点部の曲率半径(mm)、
2〜e2:定数。
請求項5の発明は、二つの凸曲面から構成されるキャラクターラインを有する自動車用パネル部品を評価するパネル部品評価装置であって、前記二つの凸曲面の曲率半径の対数積を演算する対数積演算部と、該対数積演算部で算出された対数積と前記自動車用パネル部品の板厚および前記キャラクターラインの開き角に基づいて前記自動車用パネル部品の飛び移り荷重を演算する飛び移り荷重演算部と、を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載のパネル部品評価装置において、前記対数積演算部で算出された対数積、前記自動車用パネル部品の板厚、前記キャラクターラインの開き角および前記キャラクターラインの頂点部の曲率半径に基づいて前記自動車用パネル部品の張り剛性を演算する張り剛性演算部を備えたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項2に記載の方法により予測された飛び移り荷重の予測値を目標値と比較し、前記飛び移り荷重の予測値が目標値以上に達した後に前記自動車用パネル部品の試作を行うことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項4に記載の方法により予測された張り剛性の予測値を目標値と比較し、前記張り剛性の予測値が目標値以上に達した後に前記自動車用パネル部品の試作を行うことを特徴とする。
請求項1及び2の発明によれば、デザインされた自動車用パネル部品を試作する際にキャラクターライン上あるいはキャラクターライン近傍の飛び移り荷重を容易に評価することができる。
請求項3及び4の発明によれば、デザインされた自動車用パネル部品を試作する際にキャラクターライン上あるいはキャラクターライン近傍の張り剛性を容易に評価することができる。
請求項5の発明によれば、デザインされた自動車用パネル部品を試作する際にキャラクターライン上あるいはキャラクターライン近傍の飛び移り荷重を容易に評価することができる。
請求項6の発明によれば、デザインされた自動車用パネル部品を試作する際にキャラクターライン上あるいはキャラクターライン近傍の飛び移り荷重と張り剛性を容易に評価することができる。
請求項7の発明によれば、自動車用パネル部品の飛び移り荷重が目標値に達するまで自動車用パネル部品の試作を繰り返して行う必要がない。従って、自動車用パネル部品をデザインしてから量産化するまでに要する期間の短縮とコストの低減を図ることができる。
請求項8の発明によれば、自動車用パネル部品の張り剛性が目標値に達するまで自動車用パネル部品の試作を繰り返して行う必要がない。従って、自動車用パネル部品をデザインしてから量産化するまでに要する期間の短縮とコストの低減を図ることができる。
自動車用パネル部品の一例を示す図である。 図1に示す自動車用パネル部品の有限要素解析モデルを示す図である。 図2のA−A'断面を示す図である。 自動車用パネル部品のキャラクターライン上に円筒形圧子を押し当てたときの荷重−変位曲線を示す図である。 本発明の一実施形態に係るパネル部品評価装置の概略構成を示す図である。 本発明に係る自動車用パネル部品の製造方法の一実施形態を示す図である。 従来方法を適用した場合における自動車用パネル部品のデザイン終了から量産化までに必要な期間を説明するための図である。 本発明の一実施形態を適用した場合における自動車用パネル部品のデザイン終了から量産化までに必要な期間を説明するための図である。 自動車用ドアパネルの一例を示す斜視図である。 図9に示す自動車用ドアパネルの平面図である。 図10に示すドアパネルの張り剛性を測定する方法の一例を示す図である。 ドアパネルの裏面側に配置される補強部材の一例を示す図である。 図12に示す補強部材の配置位置を示す図である。 図10に示すドアパネルのキャラクターラインの一例を示す平面図である。 自動車用パネル部品のキャラクターラインを構成する2つの凸曲面の曲率半径を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、自動車用ドアパネルの一例を示す図である。図1に示される自動車用パネル部品1はキャラクターライン2および取っ手用エンボス3を有し、キャラクターライン2は二つの凸曲面4a,4bによって構成されている。
ここで、キャラクターライン2を構成する二つの曲面の組合せとしては、凸曲面と凸曲面、凸曲面と凹曲面、凹曲面と凹曲面の三通りが考えられるが、本発明の一実施形態では、図1に示すように、キャラクターライン2が二つの凸曲面4a,4bによって構成されるものを対象としている。
図2は図1に示す自動車用パネル部品の有限要素解析モデルを示す図、図3は図2のA−A'断面を示す図、図4はキャラクターライン上に円筒形圧子を押し当てたときの荷重−変位曲線を示す図であり、本発明者らは、自動車用パネル部品の形状寸法と張り剛性および飛び移り荷重との相関を調査するために、図2に示す有限要素解析モデルを作製した。
具体的には、図3に示す凸曲面4a,4bの曲率半径R1,R2を500mm〜3000mm、図3に示すキャラクターライン2の開き角θを165°〜175°、図3に示すキャラクターライン頂点部の曲率半径Rtを5mm〜60mm、自動車用パネル部品の板厚tを0.55mm〜0.8mmの範囲で変化させ、モデル全体の投影面積が1100mm×800mmの有限要素解析モデルを作製した。
なお、ここで言うキャラクターラインの開き角とは、キャラクターライン頂点部の曲率半径部Rtと凸曲面4a,4bとの境界部における二つの接線5a,5bがなす角度のことである。また、キャラクターライン頂点部の曲率半径とは、凸曲面4aと凸曲面4bとの間の曲面部の曲率半径のことである。
キャラクターラインを構成する2つの曲面がキャラクターラインから垂直に150mm以内の範囲で一律に凸形状をなしている場合は、例えば図15に示すように、キャラクターラインの頂点(点A,a)、キャラクターラインから垂直に150mm離れた地点(点C,c)、キャラクターラインから垂直に75mm離れた地点(点B,b)の3点を通る円の半径を、キャラクターラインを構成する2つの凸曲面の曲率半径として定義することができる。ここで、点C,cの位置をキャラクターラインから垂直に150mm離れた位置とした理由は、キャラクターラインから150mm以上離れた位置で曲率が変化しても、キャラクターラインの剛性に影響を及ぼさないためである。
有限要素解析モデルの作製は、Altair社のHyperMeshを用いて行った。そして、解析モデルのメッシュサイズはキャラクターライン近傍が0.5mm、パネル端部が5mm、その中間はなめらかにメッシュが繋がるようなサイズとした。また、要素はシェル要素を用いて解析モデルの四辺を併進拘束とした。
本発明者らは、次に、直径45mmの円筒形圧子を模した解析モデルを作製し、このモデルを図2に示すモデルのキャラクターライン上に押し当てることで、図4に示す荷重−変位曲線を作成した。そして、作成した荷重−変位曲線に現れる最初の極値を飛び移り荷重とし、自動車用パネル部品が0.0mmから0.5mmに変位するときの荷重−変位曲線の傾きを張り剛性として解析した結果、自動車用パネル部品の飛び移り荷重Pと張り剛性P’を次式から予測することができるという知見を得た。なお、解析にはLS−DYNA ver971d R3.2.1を用い、静的陰解法で行った。
P=(t2/e1)×((a1×θ+b1)×q+(c1×θ+d1)) ‥‥(1)
P’=(t2/e2)×(a2×q+b2×θ+c2×Rt+d2) ‥‥(2)
q=ln(R1)×ln(R2) ‥‥(3)
ただし、t:自動車用パネル部品の板厚(mm)、R1,R2:自動車用パネル部品のキャラクターラインを構成する二つの凸曲面の曲率半径(mm)、θ:キャラクターラインの開き角(°)、Rt:キャラクターライン頂点部の曲率半径(mm)、a1〜e1、a2〜e2:定数。
なお、定数a1〜e1、a2〜e2の値は試験に用いる圧子形状によって変化するが、試験および解析によって得られるものである。
図5は本発明の一実施形態に係るパネル部品評価装置の概略構成を示す図であり、図5に示すパネル部品評価装置51は、自動車用パネル部品の板厚t、凸曲面4a,4bの曲率半径R1,R2、キャラクターライン開き角θおよびキャラクターライン頂点部曲率半径Rtを入力するための入力部52と、入力部52に入力された曲率半径R1,R2の対数積(ln(R1)×ln(R2))を演算する対数積演算部53と、対数積演算部53で算出された対数積に基づいて自動車用パネル部品の飛び移り荷重を式(1)から演算する飛び移り荷重演算部54と、飛び移り荷重演算部54で算出された飛び移り荷重を目標値と比較する比較部55とを備えている。
また、パネル部品評価装置51は対数積演算部53で算出された対数積に基づいて自動車用パネル部品の張り剛性を式(2)から演算する張り剛性演算部56と、張り剛性演算部56で算出された張り剛性を目標値と比較する比較部57と、比較部55,57の比較結果を出力する出力部58とを備えている。
図6は、本発明に係る自動車用パネル部品の製造方法の一実施形態を示す図である。ドアパネル等の自動車用パネル部品はデザイン、設計および試作を経て製造されるが、本発明の一実施形態では、図6に示すように、自動車用パネル部品のデザインと設計をデザイン工程S1及び設計工程S2で行ったならばステップS3に進み、自動車用パネル部品の飛び移り荷重Pと張り剛性P’を式(1)及び式(2)から予測する。
この場合、自動車用パネル部品の板厚t、凸曲面4a,4bの曲率半径R1,R2、キャラクターライン頂点部の曲率半径Rtを図5に示すパネル部品評価装置51の入力部52に入力すると、飛び移り荷重Pがパネル部品評価装置51の飛び移り荷重演算部54で算出されると共に、張り剛性P’がパネル部品評価装置51の張り剛性演算部56で算出される。
ステップS3で自動車用パネル部品の飛び移り荷重Pと張り剛性P’を予測したならばステップS4に進み、飛び移り荷重Pおよび張り剛性P’の予測値をそれぞれの目標値と比較する。ここで、飛び移り荷重Pおよび張り剛性P’の予測値のいずれかが目標値より小さい場合はステップS2に戻り、飛び移り荷重Pおよび張り剛性P’が目標値以上となるように自動車用パネル部品の設計を再度行う。
飛び移り荷重Pおよび張り剛性P’の予測値が目標値以上の場合はステップS5に進み、自動車用パネル部品の試作を行う。そして、試作された自動車用パネル部品の形状等をチェックした後にステップS6に進み、自動車用パネル部品の量産を行う。
なお、飛び移り荷重Pおよび張り剛性P’を精度よく予測するためには、凸曲面4a,4bの曲率半径R1,R2は500mm以上3000mm以下であることが望ましく、キャラクターライン2の開き角θは165°以上175°以下であることが望ましい。また、キャラクターライン頂点部の曲率半径Rtは5mm以上100mm以下であることが望ましく、板厚は0.5mm以上1.2mm以下であることが望ましい。
また、飛び移り荷重と張り剛性を予測する場合は、板厚t、キャラクターライン開き角θ、凸曲面4a,4bの曲率半径R1,R2、キャラクターライン頂点部の曲率半径Rtをコンピュータに入力して自動車用パネル部品の飛び移り荷重と張り剛性を予測することが望ましい。
上記のように、自動車用パネル部品を試作する前に、自動車用パネル部品の飛び移り荷重と張り剛性を式(1)及び式(2)から予測することにより、デザインされた自動車用パネル部品を試作する際にキャラクターライン上あるいはキャラクターライン近傍の張り剛性や飛び移り荷重を容易に評価できると共に、自動車用パネル部品の飛び移り荷重と張り剛性が目標値に達するまで自動車用パネル部品の試作を繰り返して行う必要がない。
従って、飛び移り荷重および張り剛性の予測値をそれぞれ目標値と比較し、飛び移り荷重および張り剛性の予測値が目標値以上となったときに自動車用パネル部品の試作を行うことで、自動車用パネル部品をデザインしてから量産化に要するまでの期間の短縮とコストの低減を図ることができる。自動車パネル部品を製造する場合、従来では、図7に示すように、デザイン後に設計、試作と進み、試作を経て飛び移り荷重、張り剛性の判定を行い、そこで特性が足りていなければデザイン、設計に戻り、修正が必要となる。この際、金型修正等も必要となるため、一般に「設計やり直し→金型修正→試作」のループには2ヶ月以上の期間は必要となる。さらに、このループをまわしたとしても飛び移り荷重、張り剛性は再度の試作を行うまでは判明しないため、飛び移り荷重、張り剛性が期待する値となるまで「設計やり直し→金型修正→試作」のループをまわし続ける必要がある。仮に3回ループをまわした場合、デザイン終了から量産化までに必要な期間は24ヶ月程度となる。
一方、本発明の一実施形態を適用することにより、図8に示すように、張り剛性、飛び移り荷重の推測をパネル形状が決定される段階、つまりデザイン、設計の段階で可能となる。これにより、従来、飛び移り荷重、張り剛性が期待する値を満たしていない場合に必要であった「設計やり直し→金型修正→試作」のループから、特に時間と手間が必要な金型修正、試作の工程を省き、「設計やり直し」のみで済むことになる。
従って、本発明を適用した場合は仮に3回ループをまわした場合、デザイン終了から量産化するまでに必要な期間は19ヶ月程度となり、従来の工程を経た場合と比較して21%期間を短縮することが可能となる。また、それに伴い金型修正等の工数も削減することが可能となる。
また、本発明をデザイン段階から適用することにより、意匠の自由度を高める効果も期待できる。従来では、キャラクターラインを配することによる張り剛性の向上効果や飛び移り荷重が明らかになっていなかった。そのため、本発明を用いることにより、パネル上の任意の位置にキャラクターラインを配したい場合に、その位置の張り剛性、飛び移り荷重を期待する値とするためのキャラクターラインを構成する面の曲率半径、およびキャラクターラインの開き角、キャラクターラインの先端曲率半径の組合せを決定することが可能となる。
また、自動車用パネル部品の裏側に補強部材を配して張り剛性を確保する必要もないので、自動車用パネル部品の軽量化を図ることができる。
なお、上述した本発明の一実施形態では、自動車用パネル部品の飛び移り荷重と張り剛性を予測したが、張り剛性のみを予測してもよい。また、飛び移り荷重と張り剛性の予測値をそれぞれ目標値と比較したが、張り剛性の予測値のみを目標値と比較し、張り剛性の予測値が目標値以上に達した後に自動車用パネル部品の試作を行ってもよい。
さらに、図5に示す実施形態では、自動車用パネル部品の飛び移り荷重を演算する飛び移り荷重演算部と、自動車用パネル部品の張り剛性を演算する張り剛性演算部とを備えたものを例示したが、飛び移り荷重演算部および張り剛性演算部のいずれか一方のみを備えたものであってもよい。
(実施例1)
また、本発明の一実施形態を用いてパネル部品上に効果的にキャラクターラインを配することにより、パネル部品の軽量化が可能となる。
自動車用パネル部品の例として、板厚が0.7mmのドアパネルを図9及び図10に示す。ドアパネルの素材としては、引張強度340MPa級の鋼板(弾性率:210GPa、降伏強度:235MPa、引張強度:345MPa、全伸び:40%)を用いた。図9及び図10に示されるドアパネル6の張り剛性を図11に示す方法で測定した。すなわち、ドアパネル6上のA点(図10参照)に直径45mmの円筒形のゴム圧子7を押圧し、このときのA点の変位を変位計8で測定した。そして、A点の変位が0.5mmになったときの張り剛性をロードセル9で測定した。その結果、ドアパネル6(板厚0.7mm)の張り剛性の測定値は40N/mmであった。
この張り剛性を保ったまま、板厚を0.65mmとしてパネル部品の軽量化を考える。板厚を減少させるため、パネル部品の張り剛性は低下し、対策を施さない場合はA点の張り剛性は34.5N/mmとなり、目標を満たさない。そのため、対策が必須となる。考えられる対策として、A点の裏側に補強部材を配する方法(従来法)と、本発明を用いてキャラクターラインを配する方法(発明法)が挙げられる。
補強部材を配する場合、例えば図12に示す寸法の補強部材10(軟質鋼板;弾性率:210GPa、降伏強度:170MPa、引張強度:290MPa、全伸び:48%)を、図13に示す位置に配した場合、張り剛性は70N/mmとなった。これは目標を達しているが、不必要に張り剛性が大きくなっている。また、補強部材10を入れることにより重量が増加し、ドアパネルの板厚を減らしたことによる軽量化効果を減少させてしまう。
補強部材10の寸法を小さくし、適切な張り剛性を狙うことも可能であるが、トライアンドエラーが必要となり、大きな時間が必要となる。また、寸法を小さくできたとしても補強部材10を入れなければならないという事実に変わりは無く、板厚を減少させることによる軽量化効果を最大限に発揮することはできない。
一方、本発明の一実施形態を適用した場合、ドアパネルの裏側に補強部材を配置する必要がなくなる。図10に示すドアパネルの、矢印方向の曲率半径は1500mmであった。このことから、キャラクターラインを構成する二つの凸曲面の曲率半径R1,R2を1500mmとし、板厚tを0.65mm、目標とする張り剛性P’を40N/mm、表1に示す値を定数a2〜e2の値として式(2)に代入することにより、キャラクターラインの開き角θとキャラクターライン頂点部の曲率半径Rtの関係式を得ることが可能となる。
Figure 0005673635
キャラクターライン頂点部の曲率半径Rtを10mmとした場合、キャラクターラインの開き角θを170°以下とすることにより、補強部材を追加することなくA点での張り剛性を目標以上とすることが可能となった。
キャラクターラインの開き角θを170°とし、キャラクターライン2を図14に示す位置に配したときの張り剛性を調査した結果を表2に示す。
Figure 0005673635
本発明の一実施形態を用いることにより、張り剛性を損なうことなく、効率的に軽量化が可能となっていることが表2からわかる。
(実施例2)
さらに、実施例1で用いたR1、R2、θの各値と、表3に示す値を定数a1〜e1の値として式(1)に代入することにより、A点上を通るキャラクターラインを配した際の飛び移り荷重を求めることが可能となる。
Figure 0005673635
図3に示す凸曲面4aの曲率半径R1をR1=1500mm、凸曲面4bの曲率半径R2をR2=1500mm、開き角θをθ=170°、板厚tをt=0.65mmとしたときの飛び移り荷重を調査した結果を表4に示す。
Figure 0005673635
本発明を用いることにより、従来では予測し得なかった飛び移り荷重を、精度よく予測可能であることがわかる。また、この飛び移り荷重280Nという値は、一般的に十分高い飛び移り荷重であると考えられる値であり、張り剛性の問題となる位置にキャラクターラインを配するという対策において、実施例のドアパネルに対して本発明により得られた、
(R1,R2,Rt,θ,t)=(1500,1500,10,170,0.65)
という寸法要件は飛び移り荷重においても問題は無い。
1…自動車用パネル部品
2…キャラクターライン
3…取っ手用エンボス
4a,4b…凸曲面
6…ドアパネル
7…ゴム圧子
8…変位計
9…ロードセル
10…補強部材
51…パネル部品評価装置
52…入力部
53…対数積演算部
54…飛び移り荷重演算部
55…比較部
56…張り剛性演算部
57…比較部
58…出力部

Claims (8)

  1. 二つの凸曲面から構成されるキャラクターラインを有する自動車用パネル部品を評価するパネル部品評価方法であって、前記自動車用パネル部品の板厚と、前記二つの凸曲面の曲率半径と、前記キャラクターラインの開き角とに基づいて、前記自動車用パネル部品の飛び移り荷重を予測することを特徴とするパネル部品評価方法。
  2. 前記自動車用パネル部品の飛び移り荷重を下式から予測することを特徴とする請求項1に記載のパネル部品評価方法。
    P=(t2/e1)×((a1×θ+b1)×q+(c1×θ+d1))
    ただし、
    P:飛び移り荷重(N)、
    t:自動車用パネル部品の板厚(mm)、
    θ:キャラクターラインの開き角(°)、
    q:q=ln(R1)×ln(R2)、
    R1,R2:自動車用パネル部品のキャラクターラインを構成する二つの凸曲面の曲率半径(mm)、
    1〜e1:定数。
  3. 二つの凸曲面から構成されるキャラクターラインを有する自動車用パネル部品を評価するパネル部品評価方法であって、前記自動車用パネル部品の板厚と、前記二つの凸曲面の曲率半径と、前記キャラクターラインの開き角と、前記キャラクターラインの頂点部の曲率半径に基づいて、前記自動車用パネル部品の張り剛性を予測することを特徴とするパネル部品評価方法。
  4. 前記自動車用パネル部品の張り剛性を下式から予測することを特徴とする請求項3に記載のパネル部品評価方法。
    P'=(t2/e2)×(a2×q+b2×θ+c2×Rt+d2
    ただし、
    P': 張り剛性(N/mm)
    t:自動車用パネル部品の板厚(mm)、
    q:q=ln(R1)×ln(R2)、
    R1,R2:自動車用パネル部品のキャラクターラインを構成する二つの凸曲面の曲率半径(mm)、
    θ:キャラクターラインの開き角(°)、
    Rt:キャラクターライン頂点部の曲率半径(mm)、
    2〜e2:定数。
  5. 二つの凸曲面から構成されるキャラクターラインを有する自動車用パネル部品を評価するパネル部品評価装置であって、前記二つの凸曲面の曲率半径の対数積を演算する対数積演算部と、該対数積演算部で算出された対数積と前記自動車用パネル部品の板厚および前記キャラクターラインの開き角に基づいて前記自動車用パネル部品の飛び移り荷重を演算する飛び移り荷重演算部と、を備えたことを特徴とするパネル部品評価装置。
  6. 前記対数積演算部で算出された対数積、前記自動車用パネル部品の板厚、前記キャラクターラインの開き角および前記キャラクターラインの頂点部の曲率半径に基づいて前記自動車用パネル部品の張り剛性を演算する張り剛性演算部を備えたことを特徴とする請求項5に記載のパネル部品評価装置。
  7. 請求項2に記載の方法により予測された飛び移り荷重の予測値を目標値と比較し、前記飛び移り荷重の予測値が目標値以上に達した後に前記自動車用パネル部品の試作を行うことを特徴とする自動車用パネル部品の製造方法。
  8. 請求項4に記載の方法により予測された張り剛性の予測値を目標値と比較し、前記張り剛性の予測値が目標値以上に達した後に前記自動車用パネル部品の試作を行うことを特徴とする自動車用パネル部品の製造方法。
JP2012212467A 2012-09-26 2012-09-26 パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法 Active JP5673635B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012212467A JP5673635B2 (ja) 2012-09-26 2012-09-26 パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法
PCT/JP2013/005655 WO2014050083A1 (ja) 2012-09-26 2013-09-25 パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法
IN1667DEN2015 IN2015DN01667A (ja) 2012-09-26 2013-09-25
KR1020157007518A KR101622584B1 (ko) 2012-09-26 2013-09-25 패널 부품 평가 방법, 패널 부품 평가 장치 및 자동차용 패널 부품의 제조 방법
CN201380050384.1A CN104685338B (zh) 2012-09-26 2013-09-25 板部件评价方法、板部件评价装置以及汽车用板部件的制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012212467A JP5673635B2 (ja) 2012-09-26 2012-09-26 パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014065410A JP2014065410A (ja) 2014-04-17
JP5673635B2 true JP5673635B2 (ja) 2015-02-18

Family

ID=50742244

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012212467A Active JP5673635B2 (ja) 2012-09-26 2012-09-26 パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5673635B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2962107B2 (ja) * 1993-07-23 1999-10-12 三菱自動車工業株式会社 パネル構造体の補強材配設方法
JP3786171B2 (ja) * 1999-12-16 2006-06-14 ふそうエンジニアリング株式会社 パネル構造体の補強材配設方法
JP4568186B2 (ja) * 2005-07-22 2010-10-27 ダイハツ工業株式会社 デント剛性予測方法
JP5029424B2 (ja) * 2008-02-28 2012-09-19 Jfeスチール株式会社 張り剛性測定方法および装置
JP5302910B2 (ja) * 2010-01-29 2013-10-02 ダイハツ工業株式会社 デント剛性予測方法
JP5302909B2 (ja) * 2010-01-29 2013-10-02 ダイハツ工業株式会社 デント剛性予測方法
JP5582010B2 (ja) * 2010-12-10 2014-09-03 Jfeスチール株式会社 張り剛性評価圧子モデル、その圧子モデルを使用した張り剛性解析装置及び解析方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014065410A (ja) 2014-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Sumikawa et al. Improvement of springback prediction accuracy using material model considering elastoplastic anisotropy and Bauschinger effect
JP5582010B2 (ja) 張り剛性評価圧子モデル、その圧子モデルを使用した張り剛性解析装置及び解析方法
WO2014050083A1 (ja) パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法
JP5941320B2 (ja) 金型形状シミュレーションシステム、プログラム及び方法
US9773077B2 (en) System and method for prediction of snap-through buckling of formed steel sheet panels
US20040172224A1 (en) System and method for prediction of panel performance under localized loading conditions
Sumikawa et al. Improvement of springback prediction accuracy by considering nonlinear elastoplastic behavior after stress reversal
Firat et al. Stamping process design using FEA in conjunction with orthogonal regression
JP5919782B2 (ja) 耐デント性評価方法
JP4386294B2 (ja) フードデント性能評価方法
JP5673636B2 (ja) パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法
JP5673635B2 (ja) パネル部品評価方法、パネル部品評価装置および自動車用パネル部品の製造方法
JP5073611B2 (ja) 有限要素法を用いた車両用耐衝突補強材の評価方法、コンピュータプログラム及びコンピュータで読み取り可能な記憶媒体
JP5505295B2 (ja) 耐デント性に優れた自動車外板部品の面形状設計方法およびその部品
TW201328909A (zh) 面板評估方法
JP6916092B2 (ja) パネル部品の耐デント性予測方法
JP5757224B2 (ja) 構造部材の設計方法
JP5830906B2 (ja) 張り剛性評価方法、補強部材の取付け設計方法、張り剛性評価装置
Iwata et al. Numerical prediction of the spring-back behavior of stamped metal sheets
Yoshida et al. Material Modeling for Accuracy Improvement of the Springback Prediction of High Strength Steel Sheets
Chen et al. Springback prediction improvement using new simulation technologies
Behrouzi et al. Inverse analysis of springback in sheet metal forming by finite element method
Firat et al. A sensitivity analysis of springback deformations in stamping process
Umezu et al. Recent Development for Metal Forming Simulation
Iwata et al. Stamping Simulation for Surface Deflection of Automotive Outer Panels

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140919

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20140919

TRDD Decision of grant or rejection written
A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20141128

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141202

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5673635

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250