以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、本実施形態に係るデバイスの製造方法を実施する重ね合わせ装置100の全体構造を概略的に示す平面図である。重ね合わせ装置100は、回路パターンが形成された2枚の基板を、接合すべき電極同士が接触するように重ね合わせて加熱加圧することにより接合する装置である。そして、重ね合わせ装置100は、共通の筐体101の内部に形成された大気環境部102及び真空環境部202を含む。
大気環境部102は、筐体101の外部に面して制御部110及びEFEM(Equipment Front End Module)112を有する。重ね合わせ装置100に含まれる各装置の各要素は、重ね合わせ装置100全体の制御及び演算を司る制御部110又は要素ごとに設けられた制御演算部が、統合制御、協調制御をすることにより動作する。制御部110は、重ね合わせ装置100を制御するための情報を記憶する記憶部111及び重ね合わせ装置100の電源投入、各種設定等をする場合にユーザが外部から操作する操作部を有する。更に制御部110は、配備された他の機器と接続する接続部を含む場合もある。
EFEM112は、3つのロードポート113、114、115及びロボットアーム116を備える。そして各ロードポートにはFOUP(Front Opening Unified Pod)が装着される。FOUPは密閉型の基板格納用ポッドであり、複数の基板120を収容することができる。
ロードポート113、114に装着されたFOUPには複数の基板120が収容されており、ロボットアーム116によって大気環境部102に搬入される。このように構成することで、基板120を外気にさらすことなくFOUPから大気環境部102に搬送することができ、基板120への塵埃の付着を防止することができる。大気環境部102及び真空環境部202によって接合された基板120は、ロードポート115に装着されたFOUPに格納される。
なお、ここでいう基板120は、既に回路パターンが複数周期的に形成されている単体のシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ等である。また、装填された基板120が、既に複数のウエハを積層して形成された積層基板である場合もある。
大気環境部102は、筐体101の内側にそれぞれ配置された、予備アライナ130、本アライナ140、ホルダラック150、反転機構160、分離機構170及び搬送機構180を備える。筐体101の内部は、重ね合わせ装置100が設置された環境の室温と略同じ温度が維持されるように温度管理される。これにより、本アライナ140の精度が安定するので、位置決めを精確にできる。
予備アライナ130は、高精度であるが故に狭い本アライナ140の調整範囲に基板120の位置が収まるように、個々の基板120の位置を仮合わせする。これにより、本アライナ140における位置決めを確実にすることができる。
予備アライナ130は、ターンテーブル131、ホルダテーブル132及び検出器133を備える。ターンテーブル131には、EFEM112のロボットアーム116によって基板120が載置される。そして、ターンテーブル131によって、基板120の回転方向の位置が調整される。ホルダテーブル132には、ホルダラック150から搬送された基板ホルダ190が載置される。
検出器133は、ホルダテーブル132上に載置された基板ホルダ190及びその上方に位置する基板120を俯瞰してその一部の像を撮像素子に結像させる光学系を有する撮像部を備える。撮像部は、例えば予備アライナ130の天井フレームなど、振動の影響をうけにくい場所に固定されている。基板ホルダ190の外周には切欠が設けられており、予備アライナ130は、検出器133でこの切欠を検出することで、基板ホルダ190の姿勢を同定する。
基板ホルダ190の基板保持面には複数の挿通孔が設けられており、基板ホルダ190の表裏を貫通する。またホルダテーブル132には複数の貫通孔が設けられており、複数のリフトピンが、この貫通孔及び基板ホルダ190の挿通孔を突き抜けて、そのリフトピン上に基板120を載置できるよう構成されている。
基板スライダによってターンテーブル131からホルダテーブル132へと搬送された基板120は、複数のリフトピン上に載置される。そして、撮像部によって基板ホルダ190とともに撮像され、切欠を基準として位置合わせされる。位置合わせされた後、基板120は基板ホルダ190上で保持される。なおこのとき、予備アライナ130は、撮像部によって検出した切欠の位置情報を記憶部111に記憶させる。
ホルダテーブル132には電力供給ピンが設けられており、基板ホルダ190の裏面に設けられた電力供給端子と接続して、基板ホルダ190に電力を供給する。電力供給端子から電力を供給された基板ホルダ190は、その内部に設けられた静電チャックにより基板保持面に電位差を生じさせ、基板120を静電吸着する。このようにして一体化された基板120及び基板ホルダ190を、ワークと呼ぶ。
本アライナ140は、固定ステージ141、移動ステージ142及び干渉計143を備える。また、本アライナ140を包囲して断熱壁144及びシャッタ145が設けられる。断熱壁144及びシャッタ145に包囲された空間は空調機等に連通して温度管理され、本アライナ140における位置合わせ精度を維持する。
固定ステージ141は、移動ステージ142よりも上方に位置していて、固定された状態でワークを下向きに保持する。固定ステージ141に保持されるワークを上ワークと呼び、上ワークを構成する基板ホルダ190を上基板ホルダ191と呼ぶ。移動ステージ142は、載置されたワークを搬送する。移動ステージ142に載置されるワークを下ワークと呼び、下ワークを構成する基板ホルダ190を下基板ホルダ192と呼ぶ。上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192の具体的な構成については後述する。
固定ステージ141に保持された上ワークと、移動ステージ142に保持された下ワークは、接合面が対向するように精密に位置合わせされる。そして、下ワークを上昇させることにより接合面同士が接触して仮接合される。仮接合された2つのワークをまとめてワーク対と呼ぶ。
ホルダラック150は、基板ホルダ190を収容するホルダケース300を複数載置する棚を備える。基板120を挟持して搬送するときに対で用いられる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192について、それぞれを収納する2つのホルダケース300を対として管理する。このように対として管理されるホルダケースをホルダ対ケースと呼ぶ。また、基板120を挟持して搬送するときに対で用いられる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192の両方を収容するホルダケースもホルダ対ケースと呼ぶ。
即ち、本実施形態においてホルダ対ケースとは、基板を挟持して搬送するときに対で用いられる第1基板ホルダと第2基板ホルダを、それぞれ別々に収容して、対で管理されるホルダケースを意味するとともに、基板を挟持して搬送するときに対で用いられる第1基板ホルダと第2基板ホルダを対で収容する1つのホルダケースを意味する。
以下ではまず、基板を挟持して搬送するときに対で用いられる第1基板ホルダと第2基板ホルダをそれぞれ別々に収容して、対で管理されるホルダ対ケース310について説明する。ホルダラック150に載置されたホルダ対ケース310内の基板ホルダ190は、ロボットアーム186によって出し入れされる。ホルダラック150の具体的な構成については後述する。
反転機構160は、後述する第1搬送ユニット181及び第2搬送ユニット182よりも下側に位置しており、基板ホルダ190又はワークを支持する複数の支持ピン及び基板ホルダ190又はワークを把持して反転させる回転把持部を備える。第1搬送ユニット181又は第2搬送ユニット182によって基板ホルダ190又はワークが反転機構160の直上に搬送されてくると、反転機構160は、複数の支持ピンを上昇することでそれを支持する。そして回転把持部で把持して反転して、再び複数の支持ピン上に載置する。
このような構成を有することで、反転機構160は基板ホルダ190又はワークを反転する。なお複数の支持ピンは、基板ホルダ190の基板保持面の外周領域に対応する位置に設けられているので、基板ホルダ190又はワークを上向きでも下向きでも支持することができる。
分離機構170は、後述する加熱加圧装置240で加熱加圧された後のワーク対から、基板ホルダ190に挟まれて接合された基板120を取り出す。ここで、加熱加圧するときに基板120と、基板ホルダ190との間に塵埃等が付着していると、その塵埃の食い込み、溶融等により基板120と基板ホルダ190との一部が固着する場合がある。特に強く固着していて分離が困難な場合、分離の過程で基板120が破損した場合等のエラーが発生したときには、ワーク対はホルダラック150に戻される。
分離後の上基板ホルダ191は搬送機構180によって、再び基板120を保持するべく予備アライナ130に搬送されるか、ホルダラック150に戻される。また下基板ホルダ192は、基板120を保持したまま搬送機構180によって予備アライナ130のホルダテーブル132に搬送される。そして、接合された基板120は、EFEM112のロボットアーム116によってロードポート115に装着されたFOUPに搬入される。
搬送機構180は、第1搬送ユニット181、第2搬送ユニット182、第1受け渡しポート183、第2受け渡しポート184、シングルスライダ185及びロボットアーム186を備える。第1搬送ユニット181及び第2搬送ユニット182は、予備アライナ130、反転機構160、第1受け渡しポート183及び第2受け渡しポート184の間で基板120、基板ホルダ190、ワーク及びワーク対の搬送をする。
第1搬送ユニット181と第2搬送ユニット182は、上下方向に並行して設けられたレール上をそれぞれ独立して走行する。そして第1搬送ユニット181は第2搬送ユニット182よりも上側に位置して、基板120、基板ホルダ190、ワーク及びワーク対を保持したままでもすれ違うことができる構造になっている。
第1受け渡しポート183は、分離機構170の上部に設けられ、基板ホルダ190、及びワーク対を載置するためのプッシュアップピンを備える。第2受け渡しポート184もプッシュアップピンを備え、シングルスライダ185と、第1搬送ユニット181及び第2搬送ユニットの間での基板ホルダ190、ワーク及びワーク対の受け渡しを仲介する役割を担う。
シングルスライダ185は、第2受け渡しポート184及び本アライナ140の間でワーク及びワーク対の搬送をする。ロボットアーム186は、第1受け渡しポート183、分離機構170及び後述するロードロックチャンバ220の間でワーク対を搬送する。またロボットアーム186は、ホルダラック150、第1受け渡しポート183及び分離機構170の間で基板ホルダ190を搬送する。
真空環境部202は、断熱壁210、ロードロックチャンバ220、ロボットアーム230及び複数の加熱加圧装置240を有する。断熱壁210は、真空環境部202を包囲して真空環境部202の内部温度を維持すると共に、真空環境部202の外部への熱輻射を遮断する。これにより、真空環境部202の熱が大気環境部102に及ぼす影響を抑制できる。
ロボットアーム230は、ワーク対を搬送する搬送装置であり、ロボットアーム230の動作を制御するロボットアーム制御部232と、ワーク対を保持する保持部234を備える。そして、保持したワーク対を、ロードロックチャンバ220と加熱加圧装置240の間で搬送する。
ロードロックチャンバ220は、大気環境部102側と真空環境部202側とに、交互に開閉するシャッタ222、224を有する。ワーク対が大気環境部102から真空環境部202に搬入される場合、まず、大気環境部102側のシャッタ222が開かれ、ロボットアーム186がワーク対をロードロックチャンバ220に搬入する。次に大気環境部102側のシャッタ222を閉じ、ロードロックチャンバ220内の空気を排出することで、真空状態にする。
ここで、ロードロックチャンバ220にはヒータ221が設けられており、搬入されるワーク対は、加熱加圧装置240で加熱加圧されるに先立って、ヒータ221で予備加熱される。すなわち、ロードロックチャンバ220において雰囲気を交換する時間を利用して、加熱加圧装置240に搬入される前にワークをある程度温めることで、加熱加圧装置240のスループットを向上させる。なお、ロードロックチャンバ220内の加熱は、ワーク対がロードロックチャンバ220に搬入される前から実行することが好ましい。これにより、ワーク対をロードロックチャンバ220に滞留させる時間を短縮できる。
ロードロックチャンバ220内が真空状態になった後、真空環境部202側のシャッタ224が開かれ、ロボットアーム230がワーク対を搬出する。このような真空環境部202への搬入動作により、大気環境部102の内部雰囲気を真空環境部202側に漏らすことなく、ワーク対を真空環境部202に搬入できる。
次にロボットアーム230は、ロードロックチャンバ220から搬出したワーク対を複数の加熱加圧装置240のいずれかに搬入する。そして加熱加圧装置240は、ワーク対を加熱加圧する。これにより基板ホルダ190に挟まれた状態で搬入された基板120は恒久的に接合される。
加熱加圧装置240は、ワーク対を加熱する本体と、本体を配置する加熱加圧チャンバとを含む。またロボットアーム230は、ロボットアームチャンバに設置される。すなわち、真空環境部202を構成する複数の加熱加圧チャンバ、ロボットアームチャンバ及びロードロックチャンバ220は、それぞれ個別に仕切られ、別々に雰囲気を調整することができる。また、図に示すように、真空環境部202は、ロボットアームチャンバを中心として、複数の加熱加圧チャンバとロードロックチャンバ220が円周方向に並べて配置されている。
真空環境部202から大気環境部102にワーク対を搬出する場合は、まず真空環境部202側のシャッタ224が開かれ、ロボットアーム230がワーク対をロードロックチャンバ220に搬入する。次に、真空環境部202側のシャッタ224が閉じられ、大気環境部102側のシャッタ222が開かれる。
なお、加熱加圧した後にワーク対を冷却する冷却部を加熱加圧装置240に設けても良い。これにより、加熱後に大気環境部102に戻すワーク対からの輻射熱を抑制して、大気環境部102の温度管理を容易にすることができる。また、複数の加熱加圧装置240の一つを冷却装置に置き換えることもできる。このとき、冷却装置を設置する冷却チャンバもロボットアームチャンバの周囲に配置される。冷却装置は、加熱加圧装置240で熱せられたワーク対が搬入され、これらを一定の温度まで冷やす役割を担う。冷却装置は、熱せられたワーク対が搬入されるに先立って、冷却チャンバを予め冷却しておくことが好ましい。
ここで、2枚の基板120が重ね合わされて一体化されるまでの流れを簡単に説明する。まず、上ワークが形成されて本アライナ140に搬入されるまでの流れを説明する。重ね合わせ装置100が稼動を開始すると、ロボットアーム186が、ホルダラック150に載置されたホルダ対ケース310から、基板保持面が下向きに収納された上基板ホルダ191を搬出して、第1受け渡しポート183のプッシュアップピン上に載置する。
続いて、第2搬送ユニット182が第1受け渡しポート183のプッシュアップピン上に載置された上基板ホルダ191を保持して、反転機構160の上部まで移動する。反転機構160は、上基板ホルダ191を支持ピンにより持ち上げ、第2搬送ユニット182は退避する。そして反転機構160は上基板ホルダ191を反転して、支持ピン上に載置する。第1搬送ユニット181が、反転された上基板ホルダ191を支持ピンから持ち上げて保持して、予備アライナ130のホルダテーブル132上に移動する。そして上基板ホルダ191は、ホルダテーブル132上に載置される。
一方、上基板ホルダ191に保持される基板120は、EFEM112のロボットアーム116によりFOUPから搬出され、予備アライナ130のターンテーブル131上に載置される。ターンテーブル131によって回転方向の位置合わせがされた後、基板スライダが基板120を保持してホルダテーブル132に移動する。
そして、検出器133により検出された上基板ホルダ191の切欠を基準として基板120と上基板ホルダ191は位置合わせされて、基板120が上基板ホルダ191上に載置される。このとき、上基板ホルダ191の切欠の位置を示す位置情報が、記憶部111に記憶される。
ホルダテーブル132により上基板ホルダ191に電力が供給され、基板120は上基板ホルダ191に静電吸着により固定される。こうして形成された上ワークは、第1搬送ユニット181によって反転機構160の直上に搬送される。反転機構160は、上ワークを反転させて基板保持面を下にした状態で支持ピン上に載置する。そして第1搬送ユニット181が支持ピン上に載置された上ワークを第2受け渡しポート184まで移動する。
第2受け渡しポート184は、プッシュアップピンを上昇することにより上ワークを保持して、第1搬送ユニット181は退避する。その後シングルスライダ185が、上ワークを保持して、本アライナ140に搬入する。本アライナ140に搬入された上ワークは、移動ステージ142から突出されたプッシュアップピン上に仮置きされる。
本アライナ140は、干渉計143によりその位置を監視しつつ、記憶部111に記憶された位置情報を参照して決定された目標位置まで移動ステージ142を移動する。この移動により移動ステージ142が固定ステージ141の直下まで移動する。その後上ワークを固定ステージ側に持ち上げて、固定ステージ141に押し当てる。固定ステージ141は、上ワークを真空吸着により固定する。
次に、下ワークが形成されて本アライナ140に搬入され、上ワークと仮接合されてワーク対が形成されるまでの流れを説明する。まずロボットアーム186が、ホルダラック150に載置されたホルダ対ケース310から、基板保持面が上向きに収納された下基板ホルダ192を搬出する。ここで搬出される下基板ホルダ192は、既に搬出された上基板ホルダ191と対で管理される下基板ホルダ192である。
ロボットアーム186は、搬出した下基板ホルダ192を第1受け渡しポート183のプッシュアップピンに載置する。そして下基板ホルダ192は、第2搬送ユニット182により予備アライナ130のホルダテーブル132上まで搬送され、予備アライナ130によってホルダテーブル132上に載置される。
その一方で、下基板ホルダ192上に載置される基板120は、EFEM112のロボットアーム116によりFOUPから搬出され、予備アライナ130のターンテーブル131上に載置される。ターンテーブル131によって回転方向の位置合わせがされた後、基板スライダが基板120を保持してホルダテーブル132に移動する。
そして、検出器133により検出された下基板ホルダ192の切欠を基準として基板120と下基板ホルダ192は位置合わせされて、基板120が下基板ホルダ192上に載置される。このとき、下基板ホルダ192の切欠の位置を示す位置情報が、記憶部111に記憶される。そして、ホルダテーブル132により下基板ホルダ192に電力が供給され、基板120は下基板ホルダ192に静電吸着により固定される。
こうして形成された下ワークは、第2搬送ユニット182によって第2受け渡しポート184まで移動する。第2受け渡しポート184は、プッシュアップピンを上昇することにより下ワークを保持して、第1搬送ユニット181は退避する。その後シングルスライダ185が下ワークを保持して、本アライナ140に搬入する。本アライナ140に搬入された下ワークは、移動ステージ142から突出されたプッシュアップピン上に仮置きされる。
本アライナ140は、干渉計143によりその位置を監視しつつ、精密に移動ステージ142を、記憶部111にされた位置情報を参照して決定された目標位置に移動させて位置合わせをする。位置合わせが完了すると、移動ステージ142に載置された下ワークを、固定ステージ141に載置された上ワーク側に上昇させ、接合面同士を接触させて仮接合する。仮接合は、向かい合う2つの基板ホルダ190のそれぞれに設けられた吸着機構を作用させて一体化することにより実現する。このようにしてワーク対が形成される。
次に、仮接合されたワーク対が真空環境部202に搬入され、2枚の基板120が接合されて、ロードポート115に装着されたFOUPに搬入されるまでの流れを説明する。仮接合されて一体化されたワーク対は、シングルスライダ185により第2受け渡しポート184のプッシュアップピン上に載置される。そして第2搬送ユニット182により、第1受け渡しポート183に搬送され、第1受け渡しポート183のプッシュアップピン上に載置される。その後ロボットアーム186が第1受け渡しポート183上のワーク対を保持して、ロードロックチャンバ220に搬入する。
ロードロックチャンバ220のヒータ221により予備加熱された後、ワーク対はロボットアーム230により、加熱加圧装置240に搬入される。そして加熱加圧装置240において加熱加圧されることにより、2つの基板120は互いに接合されて恒久的に一体となる。
接合後のワーク対は、ロボットアーム230により加熱加圧装置240から搬出され、ロードロックチャンバ220に搬入される。そして、ロボットアーム186がロードロックチャンバ220からワーク対を搬出して、分離機構170に搬入する。接合された基板120は、分離機構170により、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192から分離される。
分離された上基板ホルダ191は、ロボットアーム186によって第1受け渡しポート183のプッシュアップピンに載置される。この上基板ホルダ191を第1搬送ユニット181が保持して反転機構160に搬送する。反転機構160で反転された上基板ホルダ191は、第1搬送ユニット181によって予備アライナ130のホルダテーブル132に搬送される。そして、予備アライナ130によってホルダテーブル上に載置され、次の基板120を保持するべく待機する。
接合後の基板120を載せた下基板ホルダ192は、ロボットアーム186により第1受け渡しポート183のプッシュアップピンに載置される。そして、第2搬送ユニット182が接合後の基板120及び下基板ホルダ192を保持して、予備アライナ130のホルダテーブル132に移動する。そして、複数のリフトピンが、ホルダテーブル132の貫通孔及び下基板ホルダ192の挿通孔を突き抜けて基板120を持ち上げることで、基板120と下基板ホルダ192が分離される。基板120と下基板ホルダ192は、分離機構170により一度分離されているので容易に分離することができる。
その後、EFEM112のロボットアーム116が、接合後の基板120を保持して、ロードポート115に装着されたFOUPに搬入する。ホルダテーブル132に載置された下基板ホルダ192は、次の基板120を保持するべく待機する。
なおロボットアーム186が、分離機構170から搬出した上基板ホルダ191を、第1受け渡しポート183ではなく、ホルダラック150に戻すように制御しても良い。この場合、下基板ホルダ192も、ホルダテーブル132で次の基板120を保持するべく待機するのではなく、ホルダラック150に戻すよう制御する。上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192は、対として管理されているホルダ対ケース310に収納され、次に使用されるときはまた対として使用される。
図2は基板120を保持した上基板ホルダ191を概略的に示す平面図である。上基板ホルダ191は、ホルダ本体911及びマグネットユニット912を有しており、全体としては基板120よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体911は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体911は、基板120を保持する領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。基板120の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的には、ホルダ本体911に埋め込まれた静電チャックに、ホルダ本体911の裏面に設けられた電圧印加端子を介して電圧を加えることにより、上基板ホルダ191と基板120との間に電位差を生じさせて、基板120を上基板ホルダ191に吸着させる。なお、基板120の吸着面は、回路領域が設けられた面とは反対の面である。
またホルダ本体911は、その外周の一部に切欠913を有する。切欠913は、予備アライナ130において、基板ホルダ190に基板120を予備的に位置合わせするときの基準として用いられる。またホルダ本体911は、その外周の一部に溝部916を備える。さらに上基板ホルダ191は、基板保持面の反対側の面である裏面に2次元コード193を有する。2次元コード193は、各基板ホルダ190に固有の識別情報を含んでおり、ホルダラック150が備える2次元コードリーダによって読み取られる。
マグネットユニット912は、基板120を保持する表面において、保持した基板120よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個のマグネットユニット912が配されている。
上基板ホルダ191は、上基板ホルダ191の外周形状のうち、下基板ホルダ192の外周形状と一致しない部分であるつば部915を含む点で特徴を有する。上基板ホルダ191の外周形状を投影した投影形状、即ち上基板ホルダ191をXY平面上に投影した投影形状の面積は、つば部915を含む分だけ、下基板ホルダ192の外周形状を投影した投影形状の面積よりも大きくなっている。それに対して、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192の進行方向であるX軸方向又はY軸方向からの投影形状は互いに同じ形状となるようにつば部915は構成されている。
分離機構170が接合後の基板120から下基板ホルダ192を引き離すときに、上基板ホルダ191は、つば部915を含む領域において、下基板ホルダ192側からの押圧力を受ける。このとき、上基板ホルダ191の静電吸着を有効に、下基板ホルダ192の静電吸着を無効にしておくことによって、基板120は上基板ホルダ191と共に持ち上げられ、下基板ホルダ192から分離される。
図3は、基板120を保持した下基板ホルダ192を概略的に示す平面図である。下基板ホルダ192は、ホルダ本体921及び吸着ユニット922を有しており、全体としては基板120よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体921は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体921は、基板120を保持する領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。基板120の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的には、ホルダ本体921に埋め込まれた静電チャックに、ホルダ本体921の裏面に設けられた電圧印加端子を介して電圧を加えることにより、下基板ホルダ192と基板120との間に電位差を生じさせて、基板120を下基板ホルダ192に吸着させる。なお、基板120の吸着面は、回路領域が設けられた面とは反対の面である。
またホルダ本体921は、その外周に溝部926を備える。溝部926は、下基板ホルダ192の外周の一部を厚さ方向に削りとった形状であり、上基板ホルダ191の溝部916と同様の形状を有しているが、設けられる位置が異なる。溝部916及び溝部926は、上基板ホルダ191又は下基板ホルダ192をホルダ対ケース310に収納するときに、誤設置を防止する役割を果たすが、その詳細については後述する。
吸着ユニット922、基板120を保持する表面において、保持した基板120よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個の吸着ユニット922が配されている。吸着ユニット922は、例えば鉄等の磁性体で構成されており、上基板ホルダ191のマグネットユニット912とそれぞれ対応するように配置されている。
そして、基板120を保持した上基板ホルダ191と、基板120を保持した下基板ホルダ192を、互いに向かい合わせてマグネットユニット912と吸着ユニット922を作用させると、2つの基板120を重ね合わせた状態で挟持して固定することができる。このとき、吸着ユニット922とマグネットユニット912はある程度の衝撃を伴って結合するので、その衝撃によって微細な塵埃が発生する場合がある。
図4は、対として管理される2つのホルダ対ケース310のうちの、上基板ホルダ191を収納する上ホルダケースの構造を概略的に示す斜視図である。ホルダ対ケース310は、開閉蓋301、確認窓302、位置決めゴマ303、載置台304、誤設置防止ピン305、把手306及び挿入部307を備える。開閉蓋301は、ロボットアーム186が基板ホルダ190を搬出又は搬入する場合に、ホルダラック150が備えるアクチュエータによって開閉される。
確認窓302は、ホルダ対ケース310内に基板ホルダ190が収容されているかを確認するための窓である。確認窓302を通して、ホルダラック150が備える検出ユニットにより、基板ホルダ190が収容されているかが確認される。検出ユニットは例えばフォトリフレクタにより構成される。位置決めゴマ303は、基板ホルダ190を精確な位置に収納するために、ホルダ対ケース310の底部に設けられたコマである。本実施形態では、ホルダ対ケース310の開閉蓋301側に2つの位置決めゴマ303が設置されている。
2つの位置決めゴマ303はそれぞれ、基板ホルダ190を載置する面側に凸部308を備える。ロボットアーム186が、基板ホルダ190の側面が凸部308よりも内側になるよう基板ホルダ190を載置することにより、基板ホルダ190が精確な位置に収納される。
載置台304は、ホルダ対ケース310の把手306側の底部に設けられた、基板ホルダ190を載置するための台である。基板ホルダ190は2つの位置決めゴマ303及び載置台304上に載置されることで安定して保持される。誤設置防止ピン305は載置台304上に設けられた、基板ホルダ190の誤設置防止用のピンである。ホルダ対ケース310は、収容する基板ホルダ190の種類毎に専用となっており、上基板ホルダ191を収容する上ホルダケースと下基板ホルダ192を収容する下ホルダケースでは、位置決めゴマ303及び誤設置防止ピン305の位置が異なる。
上ホルダケースの位置決めゴマ303は、上基板ホルダ191の2つのつば部915を支持する位置に配置されている。そして、位置決めゴマ303は、上基板ホルダ191が載置されたときに、上基板ホルダ191のつば部915で接触するように設けられている。下基板ホルダ192はつば部を有しないので、上ホルダケースに誤って下基板ホルダ192を収納しようとした場合、位置決めゴマ303の位置と下基板ホルダ192との位置が合わず、誤設置と判断することができる。
上ホルダケースの誤設置防止ピン305は、上基板ホルダ191の溝部916に対応する位置に設置されているので、上基板ホルダ191は、誤設置防止ピン305に干渉することなく、載置台304上に載置される。それに対して下基板ホルダの場合、溝部926が上ホルダケースの誤設置防止ピン305と対応しない位置に設けられているので、下基板ホルダ192は誤設置防止ピン305に干渉して、載置台304への載置が防がれる。下ホルダケースも同様に構成されており、上ホルダケース及び下ホルダケースに、それぞれ種類の違う基板ホルダ190が誤設置されるのを防止する。
ホルダ対ケース310は、全体がホルダラック150から引き出せる構造になっており、ユーザは把手306を掴んでホルダ対ケース310を把手306側に引き出すことができる。ユーザは、基板ホルダ190を重ね合わせ装置100に搬入するときは、基板ホルダ190をホルダ対ケース310に収容してホルダラック150に挿入する。また基板ホルダ190をメンテナンス等の理由で搬出するときには、ホルダ対ケース310をホルダラック150から引き出すことにより基板ホルダ190を搬出する。
挿入部307は、ホルダ対ケース310の種類によって異なる形状を有する。そして、ホルダラック150の載置段側面の形状と挿入部307の形状が一致しない場合に、ホルダ対ケース310が挿入できないように構成することで、ホルダラック150の棚に誤った種類のホルダ対ケース310が載置されるのを防止することができる。
図5は、ホルダラック150の構造を概略的に示す斜視図である。ホルダラック150は、ラック本体151、検出ユニット152、Z駆動部153及び台座部154を備える。ラック本体151は、上ホルダケースを載置する上用棚511、下ホルダケースを載置する下用棚512、異常時等に回収したワークを収容する回収棚513及び予備棚514を備える。
このようにホルダラック150は、基板を挟持して搬送するときに対で用いられる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192をそれぞれ収容し、対として管理される上ホルダケースと下ホルダケースを載置する棚を備える。以下では、上ホルダケースと下ホルダケースを別々の棚に載置する例について説明するが、対となる上ホルダケースと下ホルダケースを1つの棚に載置することで対として管理するよう構成してもよい。
本実施形態では、上用棚511と下用棚512はそれぞれ8段の載置段で構成されている。そして、上用棚511と下用棚512の各々の載置段は対応付けて管理される。例えば上から順に対応させた場合、上用棚511の一番上の載置段と下用棚512の一番上の載置段が対応して管理され、対となる上ホルダケース及び下ホルダケースが載置される。対となる上ホルダケースと下ホルダケースには、基板120を挟持して搬送するときに対で用いられる上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192がそれぞれ収容される。
対で用いる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192は、複数の上基板ホルダ191、下基板ホルダ192の中から事前に決定される。どの上基板ホルダ191とどの下基板ホルダ192が対であるかを示す情報は、記憶部111に記憶され、制御部110により管理される。本実施形態では、ユーザによって、対となる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を、対で管理される上ホルダケースと下ホルダケースに収納してあるものとする。
回収棚513は、分離機構170において接合後のワークから基板120を分離できなかった場合、分離の過程で基板120が破損した場合などのエラー発生時に回収したワークを収容する回収用ケースを載置する棚である。回収用ケースはワーク対を収容するので、ホルダ対ケース310よりも縦方向に広い点でホルダ対ケース310と異なる。回収用ケースに収容されたワークは、回収用ケースごとラック本体151の裏側からユーザによって取り出される。
本実施形態では回収棚が1つであり、ワーク対を収納した状態だと、次に回収されたワーク対が収納できなくなるので、回収用ケースにワークを回収した場合は、制御部110が警告を出すことによってユーザに通知する。またさらに、警告を出した後ワークが搬出されたかを監視して、次のエラーが発生した時点でまだワークが搬出されていなかった場合には、そのエラーが発生した時点で警告を出すよう構成しても良い。なお、回収棚513を複数備えるよう構成してもかまわない。
予備棚514は、予備として用いられる棚である。本実施形態では予備棚514は2つの載置段を備え、それぞれ上ホルダケース、下ホルダケースの挿入部307に対応した形状を有する。なお、上ホルダケース及び下ホルダケースのいずれでも載置できるように、両方の挿入部307に対応した形状としても良い。このように構成することで、予備として上ホルダケース又は下ホルダケースを2つ載置することができる。
検出ユニット152は、開閉部521、ホルダ検出部522及び2次元コードリーダ523を備え、Z駆動部153によって上下方向に移動して、各載置段にアクセスする。開閉部521は、アクチュエータによってホルダ対ケース310の開閉蓋301を開閉させる。ホルダ検出部522は、ラック本体151の各載置段側面に設けられた開口及びホルダ対ケース310の側面に設けられた確認窓302を通して、ホルダ対ケース310内に基板ホルダ190が収容されているかを確認する。
2次元コードリーダ523は、ホルダラック150に対して基板ホルダ190の出し入れをするときに、基板ホルダ190上の2次元コード193を読み取る。2次元コード193を読み取ることで取得した情報は、記憶部111に記憶される。
ラック本体151は、台座部154の上に設置される。ラック本体151は台座部154から取り外すことが可能であり、ラック本体151をメンテナンスするとき等は、台座部154から取り外して重ね合わせ装置100の外部に搬出される。なお、台座部154に棚を設け、予備のホルダ対ケース310を載置するよう構成してもよい。
図6は、検出ユニット152の構造を概略的に示す斜視図である。開閉部521は、回転部524及びアクチュエータ525を備える。回転部524は、ホルダ対ケース310の開閉蓋301を支持する支持部材526を備えており、アクチュエータ525が回転部524を回転させることで、支持部材526に支持されて開閉蓋301が開閉される。
2次元コードリーダ523は、開閉蓋301が開いた状態で出入りする基板ホルダ190の表面を読み取ることができる位置に配置されている。そして、ロボットアーム186によって、ホルダ対ケース310に出入りされる基板ホルダ190表面の2次元コードを読み取る。2次元コードには、基板ホルダ190を識別する識別情報が含まれており、読み取った識別情報が記憶部111に記憶される。そして制御部110がこの識別情報により、各基板ホルダ190の所在を管理する。
上記実施形態では、上基板ホルダ191を単独で収容する上ホルダケースと下基板ホルダ192を単独で収容する下ホルダケースを対で管理する例を挙げて説明した。以下では、別の実施形態である、対となる上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192の両方を収容するホルダ対ケースを用いた場合について説明する。なおこの場合、ホルダラック150のラック本体151は、上用棚511、下用棚512の区別なくホルダ対ケース310を載置する載置棚、回収棚513及び予備棚514を備えることになる。
図7はホルダ対ケース340の内部構造を示す概念図である。ホルダ対ケース340の側壁及び上蓋は省略して図示している。ホルダ対ケース340は対となる上基板ホルダ701及び下基板ホルダ702の両方を収容する。ホルダ対ケース340、上基板ホルダ701保持用の底面から突出する4つの上用凸部341及び下基板ホルダ192保持用の底面から突出する4つの下用凸部342を備える。
4つの上用凸部341は、それぞれ上基板ホルダ701のつば部705に対応する位置に配置されており、上基板ホルダ701を載置した場合、つば部705で上基板ホルダ701を支持する。4つの下用凸部342は上用凸部341よりも高さが低く、上用凸部341よりも内側に配置されている。
このように構成することで、つば部を持たない下基板ホルダ702は、上用凸部341に接触することなく、下用凸部342上に載置することができる。そして、下基板ホルダ702を下用凸部342に載置した後、上基板ホルダ701を上用凸部341上に載置する。こうすることで、上基板ホルダ701と下基板ホルダ702を互いに接触させることなく収容することができる。基板ホルダ190を搬出するときは、ロボットアームがまず上基板ホルダ701を持ち上げて搬出し、その後に下基板ホルダ702を持ち上げて搬出することになる。
図8は、ホルダ対ケース350の構造を概略的に示す断面図である。ホルダ対ケース350は、上基板ホルダ191又は下基板ホルダ192のどちらからでも搬出することができる点に特徴を有する。ホルダ対ケース340は、上基板ホルダ191保持用の底面から突出する上用凸部351及び下基板ホルダ192保持用の底面から突出する凸部であって、上用凸部351とは高さが異なる下用凸部352を備える。
本実施形態ではマグネットユニット912と吸着ユニット922が吸着してしまうのを防止するために、上用凸部351の高さを下用凸部352よりも低くして、上基板ホルダ191は基板保持面を下向きに、下基板ホルダ192は基板保持面を上向きに配置する。こうすることで、マグネットユニット912と吸着ユニット922が反対方向を向くことになるので、予期しない吸着を防止することができる。
また下用凸部352は、ホルダ対ケース350底面との接触部が下基板ホルダ192との接触部よりも外側に位置する構造であり、上基板ホルダ191をホルダ対ケース350から出し入れするのを妨げない形状となっている。
図9は、ホルダ対ケース350の開閉蓋の構造を概略的に示す斜視図である。ホルダ対ケース350の開閉蓋は、上基板ホルダ191を出入させる上基板ホルダ用開閉蓋353と下基板ホルダ192を出入させる下基板ホルダ用開閉蓋354とからなる。上基板ホルダ用開閉蓋353及び下基板ホルダ用開閉蓋354はそれぞれ、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192が載置されている高さに対応する位置に設けられる。従って、ロボットアーム186は、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192を載置面に平行にそれぞれ独立して出し入れすることができる。
また、ホルダ対ケース340は、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192の少なくとも一方が収容されているかを確認する上基板ホルダ用確認窓355及び下基板ホルダ用確認窓356を備える。上基板ホルダ用確認窓355及び下基板ホルダ用確認窓356はホルダ対ケース340の側面に設けられた窓であり、それぞれ上基板ホルダ191を保持する高さと下基板ホルダ192を保持する高さのそれぞれに設けられている。なお、両方の高さに対応する大きさの1つの窓としてもよい。
図10は、ホルダ対ケース360の構造を概略的に示す断面図である。ホルダ対ケース360は、上基板ホルダ191保持用の底面から突出する上用支持部361及び、下基板ホルダ192保持用の底面と対向する天井面から突出する下用支持部362を備える。上基板ホルダ191は基板保持面を下向きに、下基板ホルダ192は基板保持面を上向きに保持することで、マグネットユニット912と吸着ユニット922が吸着してしまうのを防止する。またホルダ対ケース360は、ホルダ対ケース350と同様の開閉蓋を備えており、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192を載置面に平行にそれぞれ独立して出し入れすることができる。
なお、上基板ホルダ191を単独で収容する上ホルダケース及び下基板ホルダ192を単独で収容する下ホルダケースと、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192の両方を収容するホルダ対ケースを混在させてもかまわない。この場合、ホルダラック150は、上ホルダケース、下ホルダケース及び両方の基板を収容するホルダ対ケースをそれぞれ載置する複数の載置段を備える。
上記実施形態では、対で用いる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を事前に決定していた。しかしながらこれに限られず、重ね合わせ装置100を稼動しながら対とする上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を決定するよう構成してもよい。この場合、最初にホルダラックに収容される上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192は、任意に配置される。
上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192は、ロボットアーム186によってホルダラック150から搬出されるときに、2次元コードリーダ523によって2次元コードが読み取られる。2次元コードリーダ523が読み取った情報は記憶部111に記憶され、その情報を制御部110が管理することにより、各基板ホルダ190の位置が把握される。
そして制御部110が、1つもしくは複数の基準によって、対にする上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を決定する。具体的には、基板120を保持する面の面精度の一致度、加熱加圧装置の加熱による温度変化の一致度及び吸着機構の相性の少なくとも1つを判断基準として決定される。
基板ホルダ190の面精度は、例えば予備アライナ130に面精度計測器を備えておき、基板ホルダ190が予備アライナ130に搬入されてから、基板120を保持するまでの間に計測する。吸着機構の相性は、例えば本アライナ140に塵埃を計測する塵埃計測部を備えておき、上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を仮接合するときに発生する塵埃の量が少ないほど相性が良いものとして判断する。温度変化については、例えば加熱加圧装置240が備える温度センサにより、基板120を加熱加圧して接合するときの基板ホルダ190の温度を計測する。
図11は、重ね合わせ装置100の制御手順を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートは、対となる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を決定するときの基準となる情報を収集する工程を含む。各制御は、制御部110が主体となり、重ね合わせ装置100に含まれる各装置が備える制御部との協調制御、統合制御により実行される。
ステップS1101では、ロボットアーム186が、基板保持面が下向きに上ホルダケースに収納された上基板ホルダ191を搬出して、第1受け渡しポートに載置する。この搬出中に2次元コードリーダ523によって上基板ホルダ191の2次元コードが読み取られ、2次元コードに含まれる識別情報が記憶部111に記憶される。
ステップS1102では、第1受け渡しポートに載置された上基板ホルダ191が、第2搬送ユニット182によって反転機構160に搬入され、反転機構160によって反転される。ステップS1103では、第1搬送ユニット181によって反転機構160から予備アライナ130へ搬送された上基板ホルダ191の面精度が、予備アライナ130が備える面精度計測器によって計測される。計測したデータは記憶部111に記憶される。計測は基板120が基板ホルダ190に載置されるまでに実行され、計測後基板120が上基板ホルダ191上に載置されて上ワークが形成される。
ステップS1104では、第1搬送ユニット181によって、予備アライナ130から反転機構160に搬入された上ワークが、反転機構160によって反転される。ステップS1105では、第1搬送ユニット181によって第2受け渡しポート184に載置された上ワークがシングルスライダ185によって本アライナ140に搬入され、固定ステージに保持される。
ステップS1106では、上ワーク形成後もしくは上ワークの形成工程の少なくとも一部と並行して形成された下ワークが、シングルスライダ185によって本アライナ140に搬入される。なお、下ワークを形成する工程の中で、下ワークを構成する下基板ホルダ192の面精度が、上基板ホルダ191と同様に計測される。
ステップS1107では、上ワークと下ワークが仮接合される。そしてこのときに、本アライナ140が備える塵埃計測部が、マグネットユニット912と吸着ユニット922の衝突によって発生する塵埃を計測する。計測した塵埃の情報は記憶部111に記憶される。
ステップS1108では、第2搬送ユニット182によりワーク対が第2受け渡しポート184及び第1受け渡しポート183を介した後、ロボットアーム186によってロードロックチャンバ220に搬入される。ステップS1109では、ワーク対が、ロボットアーム230によって複数の加熱加圧装置240の中の1つに搬入される。ステップS1110では、加熱加圧装置240がワーク対を加熱加圧することによって基板120を接合するとともに、加熱加圧装置240が備える温度センサが加熱加圧による上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192の温度変化を計測する。計測された温度変化の情報は記憶部111に記憶される。
ステップS1111では、基板120が接合された後のワーク対が、ロボットアーム230及びロボットアーム186によって、ロードロックチャンバ220を介して分離機構170に搬入される。ステップS1112では、分離機構170によるワーク対からの基板120の分離が成功したかを確認する。分離が成功した場合は、ステップS1113に進む。
ステップS1113では、基板120から分離された上基板ホルダ191が、ロボットアーム186によってホルダラック150に戻される。ステップS1114では、基板120を保持した下基板ホルダ192が予備アライナ130へ搬送され、ロボットアーム116によって、ロードポート115に装着されたFOUPに基板120が搬入される。
ステップS1112で分離の失敗が確認された場合は、ステップS1115に進む。ステップS1115では、ロボットアーム186が、分離失敗したワーク対を分離機構170から搬出し、ホルダラック150の回収棚513へ収納する。
以上の流れに従って、対となる上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を決定する基準となる情報が記憶部111に記憶される。制御部110は記憶部111に記憶されたこれらの情報に基づいて、対とする上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を決定する。具体的には、面精度の一致度、温度変化特性の一致度、塵埃発生量に基づく吸着機構の相性の少なくとも1つの基準を判断材料として、その値が高いものを対として決定する。
対として決定された上基板ホルダ191と下基板ホルダ192は、対として管理される上ホルダケースと下ホルダケースにそれぞれ収納される。また、対として決定された上基板ホルダ191と下基板ホルダ192は、制御部110によってユーザに通知される。
このようにして決定された上基板ホルダ191と下基板ホルダ192を対として用いることで、接合段階における圧力及び温度の均一性が高まることによる接合精度の向上および2枚の基板120の位置合わせ精度の向上が期待できる。
なお、上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192に挟持された基板120の歩留まりのフィードバックを受けて、歩留まりの高さを判断基準に加えても良い。挟持した基板120の歩留まりが高い組み合わせを積極的に対として管理することで、全体の歩留まりの向上が期待できる。
また、面精度計測、塵埃計測、温度変化計測について、対象の基板ホルダ190が既に計測済みである場合に計測処理を実施しないよう構成してもよい。そうすることで、計測にかかる処理負荷を抑制することができる。またこのように構成した場合に、前回計測をしてからの使用回数、経過時間を管理しておき、所定回数以上使用されているか又は所定の期間経過していたら計測を実施するよう構成してもよい。
また、既に対と決定された上基板ホルダ191と下基板ホルダ192について、使用されているうちに形状、特性が変化することが考えられるので、定期的もしくは任意のタイミングで上記基準に照らし合わせ、対を組み替えるよう構成してもかまわない。
また、ホルダラック150が、上ホルダケース、下ホルダケース及び両方の基板を収容するホルダ対ケースをそれぞれ載置する複数の載置段を備える場合、対が決定された上基板ホルダ191及び下基板ホルダ192を優先的に、両方の基板を収容するホルダ対ケースに収容する構成としてもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。