JP5671405B2 - 基板のエッチング方法 - Google Patents

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本発明は、プラズマを使わないドライエッチングにより、材料の異方性エッチングを行って凸凹表面を形成する方法などの、基板のエッチング方法に関するものである。
従来のプラズマを使わないシリコン材料の異方性エッチング方法としては、大気圧の反応室内にシリコン基板を設置し、エッチングガスを反応室に導入してシリコン基板表面をエッチングする第1の工程と、Nガス又は不活性ガスを反応室に導入してシリコン基板を冷却する第2の工程とを繰り返してエッチングをするものがある(例えば、特許文献1参照。)。このとき、エッチングガスとしては、ClF、XeF、BrF、及び、BrFの中より選ばれた少なくとも1つのガスを用いる。
図8は、特許文献1に記載された従来のシリコン基板のエッチング装置を示す図である。
図8において、このエッチング装置は、ClFボンベ81からClFガスを流量計82を通して希釈用のNガスと一緒に反応室83へ導入する。反応室83の温度は室温で圧力は大気圧であり、シリコン基板84は石英ボート85に載せて反応室83内に設置する。この装置でエッチングを行う際、ClFガスで基板84を処理する工程と、ClFガスを止めてNガスを流し基板84の熱を冷ました後で再びClFガスを導入するという工程と、を1回以上繰り返すことで、異方性エッチングを進行させ、深い凹凸構造を形成している。
特開平10−313128号公報
しかしながら、前記従来の構成では、反応室83内でClFなどのプロセスガスとNガスなどの冷却ガスの入れ換えを繰り返す必要があるため、シリコン基板1枚あたりのエッチングに要する時間が長くなる。また、プロセスガスがシリコン基板84と石英ボート85との間に回りこんで、エッチングが不要なシリコン基板裏面もエッチングをしてしまうという課題を有している。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、プロセスガスによるエッチングと冷却ガスによる基板冷却とを同時に実現可能とする、基板裏面へのプロセスガスの回り込みのないエッチング方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の基板のエッチング方法は、大気圧下で基板の表面をプロセスガスによってエッチングするに際し、前記基板の裏面をNガス又は不活性ガスを用いたベルヌーイチャックによって保持し、前記N ガス又は不活性ガスの吐出によって前記基板に振動を与えることを特徴とする。
以上のように、本発明の基板のエッチング方法によれば、プロセスガスによるエッチングと冷却ガスによる基板冷却とを同時に実現することができる。
本発明の第1実施形態におけるエッチング方法の1つの例を示す平面図 本発明の第1実施形態におけるエッチング方法の図1Aの例を示す正面図 本発明の第1実施形態におけるエッチング方法の別の例を示す図 本発明の第1実施形態におけるベルヌーイチャックのさらに別の例を示す平面図 本発明の第1実施形態におけるベルヌーイチャックの図3Aの例を示す正面図 本発明の第1実施形態におけるエッチング室全体を示す図 本発明の第2実施形態におけるエッチング方法の1つの例を示す図 本発明の第2実施形態におけるエッチング方法の別の例を示す図 本発明の第2実施形態においてエア浮上式ステージを利用したエッチング方法のさらに別の例を示す図 特許文献1に記載された従来のシリコン基板のエッチング装置を示す図
以下本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1A及び図1Bは、本発明の第1実施形態におけるシリコン基板のエッチング方法の1つの例を示す図である。
図1A及び図1Bにおいて、本第1実施形態では、大気圧下でエッチング処理を行うシリコン基板の一例として、四角形板状のシリコン基板4を使用している。シリコン基板4は、ガスによりエッチングされる表面側を上にして、下方にあるベルヌーイ効果を利用した非接触搬送ユニット(以下、ベルヌーイチャック6)によって浮上保持されている。シリコン基板4は、このようにベルヌーイチャック6で浮上保持されながら、直方体のガイド7によって水平方向にずれないように位置規正されて、水平方向に搬送されている。近年、シリコン基板は薄型化が進むと共に、表面への異物の付着を嫌う傾向があるため、特にベルヌーイチャックによる搬送は有効である。ベルヌーイチャック6は、図1A及び図1Bでは、四角盤状の部材で、その中央に円形の凹部6aを有している。ベルヌーイチャック6の凹部6aの周囲の平面(基板保持面6b)のうちの四角形の外形の4辺の各縁部中央部には、ガイド7として、小さい直方体の突起が立設されている。
ベルヌーイチャック6は、例えば、エアシリンダ、又は、モータとボールネジとで組み合わされた公知の搬送機構などの搬送装置と連結されており、搬送装置により、予め決められた方向沿いに一定速度で搬送移動される。
ここで使用するシリコン基板4の面方位は、要求される表面の形状に応じて、(111)、又は、(100)を選択すればよく、搬送方向は一方向のみでも往復運動でもよい。
また、シリコン基板4の上方には、プロセスガス8をシリコン基板4に向けて供給するプロセスガス供給用ノズル9が1個以上配置されている。このプロセスガス8は、ClF、XeF、BrF、BrFより選ばれた少なくとも1つのエッチングガスをNなどのガスによって希釈したガスである。図1A及び図1Bでは、3本のプロセスガス供給用ノズル9の下方をベルヌーイチャック6が搬送される例について説明している。このプロセスガス供給用ノズル9は、図示されていないガス供給配管、バルブ、マスフローコントローラ、及び、ガスボンベにつながっている。プロセスガス供給用ノズル9のガス吹き出し口10は、0.1mm〜5mm程度の幅の細長いスリット形状をしており、ガス吹き出し口10からガスが均一にシリコン基板4に供給できる形状になっている。
通常のベルヌーイチャックは、シリコン基板を非接触で搬送するために使用される搬送手段であり、フィルターでデバイスに影響のあるパーティクル又は油分を取り除いたドライエアをシリコン基板の裏面に向けて供給して、シリコン基板と基板保持面との間に、吸着力又は反力を発生させて、シリコン基板を基板保持面に対して保持するものである。
しかし、本発明の第1実施形態におけるベルヌーイチャック6では、ドライエアの代わりにNガス(冷却ガス11)を中央部開口6cより供給して、ベルヌーイチャックとしてのシリコン基板4の保持と同時に、シリコン基板4の冷却も行っている。
ここで、冷却ガス11としてNガスを使用しているのは、ClFなどのエッチングガスをNガスで希釈して、プロセスガス8として使用しているからであり、ガスによるエッチングプロセスへの影響を無くすためである。
冷却ガス11としては、比熱が大きくかつ熱伝導率が高いガスのほうが冷却効率が良いので、Nガス以外の一例としては、Heガスがよい。しかしながら、エッチングのプロセスに影響が無ければ、他の不活性ガスを冷却ガス11として使用することも可能である。例えば、Arを使用しているプロセスでは、Arガスを冷却ガス11として使用することもできる。また、シリコン基板4の冷却効果を上げるために、冷却ガス11の図示されていない供給配管をさらに冷却するなどして、冷却ガス11の温度を低くしておくことも有効である。
また、図1Aの平面図に示すように、ベルヌーイチャック6はシリコン基板4より大きく、シリコン基板4裏面を基板保持面6bで覆う形状にしている。図1Aの平面図に示すように、ベルヌーイチャック6とシリコン基板4の間では、冷却ガス11をシリコン基板4の裏面の中心に吹き付けて、冷却ガス11がシリコン基板4の中心から外周へ向かって放射状に流れている。そのため、ベルヌーイチャック6をシリコン基板4より大きくしておくことによって、シリコン基板4裏面へのプロセスガス8の回り込みを防止でき、電極など電気回路を形成するシリコン基板4裏面の状態を、清浄な状態に保つことができる。なお、ベルヌーイチャック6の大きさは、シリコン基板4がガイド7により決まる移動可能範囲内にある限り、ベルヌーイチャック6がシリコン基板4の裏面を覆うようにすることがよい。よって、図1A及び図1Bのようなガイド7の構成の場合、向かい合った2つのガイド7の内側面同士の距離を、シリコン基板4の幅以上にしておく。また、シリコン基板4裏面へのプロセスガス8の回り込みを防止するために、ベルヌーイチャック6とシリコン基板4との隙間から吹出す冷却ガス11の圧力が反応室3のプロセス圧力よりも高くなるようにする必要がある。
本発明の第1実施形態の1つの実施例の場合、反応室3の圧力を90kPa〜98kPa程度と大気圧よりやや減圧し、ベルヌーイチャック6へ供給する冷却ガス11の圧力を200kPaとしている。例えば、ガイド7の内側の面同士の距離が127mmの場合、ベルヌーイチャック6の寸法は127mm×127mm以上にするのがよい。
また、本第1実施形態のシリコン基板4には、微振動が与えられる。この微振動は、真空吸着又は静電吸着など接触式のチャックによって保持された場合と異なり、ベルヌーイチャック6に供給されている冷却ガス11の圧力又は流量変化の影響により、シリコン基板4に与えられるものである。この微振動により、シリコン基板4の表面とプロセスガス8の分子との接触が促進され、エッチング反応が活発に行われるという効果が得られる。この効果を積極的に利用するために、冷却ガス11の圧力又は流量を約1秒周期程度の頻度で±0.2〜5%程度変化させることも有効である。また、プロセスガス供給用ノズル9とシリコン基板4との距離を1〜15mm程度の距離に近づけることにより、プロセスガス供給用ノズル9から出たプロセスガス8によって、シリコン基板4に微振動を与えることも可能である。
なお、本第1実施形態においては、シリコン基板4の表面を上にして、下方からベルヌーイチャック6にてシリコン基板4を保持し、プロセスガス8を上方から供給する構成を示した。しかしながら、図2のように、上下を逆にして、上方からベルヌーイチャック6にてシリコン基板4を保持してもよい。
さらには、時計回りに90度回転させて、シリコン基板4の表面が上下方向沿いになるように配置し、プロセスガス8を水平方向からシリコン基板4の表面に供給してもよい。
また、本第1実施形態では、プロセスガス供給用ノズル9を固定し、シリコン基板4を保持したベルヌーイチャック6を水平方向に移動させているが、シリコン基板4を保持したベルヌーイチャック6を固定し、プロセスガス供給用ノズル9を水平方向に移動させてもよい。
図3A及び図3Bはベルヌーイチャック6の別の例を示す図である。図3Aの平面図に示すように、ベルヌーイチャック6の形状は、シリコン基板4より大きく、シリコン基板4裏面全体を覆う形状であればよい。このため、ベルヌーイチャック6の形状は、図1A及び図1Bのように基板4と同じ四角である必要はなく、円形やその他の形状でもよい。また、シリコン基板4のガイド7は、シリコン基板4がベルヌーイチャック6による搬送中にずれなければよく、図1A及び図1Bのような直方体以外に、円柱、又は、半円柱などどのような形状でもよい。ただし、ベルヌーイチャック6とシリコン基板4との間から放出される冷却ガス11の流れをガイド7で妨げないようにして、シリコン基板4の中央から外周へ向かう冷却ガス11の流れを各方向に均等にするため、ガイド7のシリコン基板4に向かい合う辺の長さが短くなるようにするのが望ましい。あるいは、ベルヌーイチャック6のシリコン基板4と向かい合う面に中央から放射状に整流板や溝を設けるなど、ベルヌーイチャック6の中央から外周へ向けて、冷却ガス11が各方向に均一に流れるようにすることが望ましい。このような構成にすることにより、シリコン基板4の面内での温度分布を均一にすることが可能になる。
なお、本第1実施形態において、シリコン基板4は角型基板としているが、シリコン基板4が円形の場合には、シリコン基板4の外周の最低3ヶ所以上の点に、円柱又は直方体などのガイド7を、シリコン基板4との適度なクリアランスを設けて設置することで、角型基板の場合と同様に実施可能である。
図4は、本第1実施形態における、反応室3の一例としてのエッチング室の全体を示す図である。反応室3内には、プロセスガス供給用ノズル9が複数個配置されており、上方に向かってプロセスガス8が吹き出されている。プロセスガス供給用ノズル9の上を、シリコン基板4をそれぞれ保持した複数のベルヌーイチャック6が連続して水平方向に移動している。ただし、プロセスガス8として使用しているエッチングガスClFなどは、非常に危険なガスであり、反応室3から外へ漏れないようにするために、反応室3の出入口3aにNガスなどの不活性ガスを使用したガスカーテン12を形成することが望ましい。このために、本第1実施形態では、反応室3に、ガスカーテン用ノズル13と、その両側と、反対側(上部側)に排気ガス14用の排気口15を配置している。本第1実施形態は、図4に示すようにガスカーテン用ノズル13と排気口15とを設けることで、シリコン基板4を連続してエッチング処理できるように構成している。排気口15は、図示されていない排気配管、除害装置、及び、ファンにつながっている。
以上のように、本第1実施形態にかかる構成によれば、ベルヌーイチャック6で保持するシリコン基板4の裏面に向けてNガスの冷却ガス11を供給して、シリコン基板4の保持と同時に、シリコン基板4の冷却の機能も持たせることができる。このため、シリコン基板4のエッチングと冷却との2工程を同時にできる。また、ベルヌーイチャック6とシリコン基板4の間には、冷却ガス11がシリコン基板4の中心から外周へ向かって放射状に流れている。そのため、ベルヌーイチャック6をシリコン基板4より大きく構成しておくことによって、シリコン基板4裏面へのプロセスガス8の回り込みを防止でき、シリコン基板4表面だけにエッチング処理が可能である。この結果、図8に示す特許文献1に記載された従来のシリコン基板のエッチング装置よりも、効率良く、高品質なエッチング処理ができる。 (第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態におけるシリコン基板のエッチング方法を示す図である。図5において、図1A〜図4と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
図5では、図1A及び図1Bで示したベルヌーイチャック6の外周部の全周に、冷却ガス11を回収するために、冷却ガス排気口16を設けている。冷却ガス排気口16には、排気装置が連結されて、冷却ガス11を吸引している。
かかる構成によれば、シリコン基板4を冷却するために使用した冷却ガス11が反応室3内に漏れる量を減少させることができ、前述の第1実施形態で得られる効果に加えて、冷却ガス11によるプロセスガス8への影響を抑えたエッチング処理ができる。そのため、プロセスガス8の混合比に対するマージンの狭いプロセスには有効である。例えば、エッチングガスClFのプロセスガス8全体に占める割合が、プロセスに大きな影響を与える場合は、図5に示したような構成が有効である。
なお、本第2実施形態では、ベルヌーイチャック6の凹部6aの中央部に冷却ガス11の供給口を設け、ベルヌーイチャック6の外周部に冷却ガス排気口16を設けている。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、図6に示すように、ベルヌーイチャック6の基板保持面6bの外周側に冷却ガス供給口6gを設け、ベルヌーイチャック6の凹部6aの中央部に冷却ガス排気口16aを設けてもよい。また、冷却ガス供給口6gは外周側に1ヵ所しか示していないが、複数個設けてもよい。また、ベルヌーイチャック6の断面形状は簡略化して図示しているが、断面形状は図示された形状に限定するものではない。
また、図7では、ベルヌーイチャックではなく、エア浮上式搬送ステージ17を利用した別の例を示している。本第2実施形態の別の例では、エア浮上式搬送ステージ17に、エアではなく、冷却ガス11を貫通孔17aから供給している。よって、前述のベルヌーイチャック6の場合と同様に、シリコン基板4を冷却、搬送しながら、プロセスガス供給用ノズル9から吹き出されるプロセスガス8によってエッチング処理をすることも可能である。エア浮上式搬送ステージ17は、シリコン基板4の基板温度の均一性という点では、ベルヌーイチャック6を利用した方法に比べて有利であるが、冷却ガス11のプロセスへの影響が大きいという点でベルヌーイチャック6よりも課題がある。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、プロセスガスによるエッチングと冷却ガスによる冷却を同時に実現することが可能であるため、耐熱性の低い基板や部品などに加熱や発熱を伴う製造工程、具体的には、電池、太陽電池、ディスプレイ、又は、電子部品などのエッチングなどに適用できる。
3 反応室
4 シリコン基板
6 ベルヌーイチャック
6a 凹部
6b 基板保持面
6c 中央部開口
6g 供給口
7 ガイド
8 プロセスガス
9 プロセスガス供給用ノズル
10 ガス吹き出し口
11 冷却ガス
12 ガスカーテン
13 ガスカーテン用ノズル
14 排気ガス
15 排気口
16、16a 冷却ガス排気口
17 エア浮上式搬送ステージ
17a 貫通孔
81 ClFボンベ
82 流量計
83 反応室
84 シリコン基板
85 石英ボート

Claims (6)

  1. 大気圧下で基板の表面をプロセスガスによってエッチングするに際し、前記基板の裏面をNガス又は不活性ガスを用いたベルヌーイチャックによって保持し、前記Nガス又は不活性ガスの吐出によって前記基板に振動を与える、基板のエッチング方法。
  2. 前記ベルヌーイチャックにおける前記基板を保持する側の面が、前記基板より大きく、かつ、前記基板の裏面全体を覆う形状である、請求項1に記載の基板のエッチング方法。
  3. 前記ベルヌーイチャックにおける前記基板を保持する側の面の外周部にガイドを設けた、請求項1または2に記載の基板のエッチング方法。
  4. 前記ベルヌーイチャックから前記基板の裏面に向けて吹出される前記Nガス又は不活性ガスを、外周部の排気口によって回収する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板のエッチング方法。
  5. 大気圧下で基板の表面をプロセスガスによってエッチングするに際し、前記基板の裏面をNガス又は不活性ガスを用いた浮上式搬送ステージによって保持し、前記N ガス又は不活性ガスの吐出によって前記基板に振動を与える、基板のエッチング方法。
  6. 前記Nガス又は不活性ガスによって前記基板の裏面を冷却する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の基板のエッチング方法。
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