グラファイトは熱伝導特性に優れるので、これを対向ベルトの背面に摺動できるように面接触して、対向ベルトを背面から効率よく均一に加熱できる。しかしながら、この連続プレス装置は、対向ベルトでワークを押圧するプレス圧が高くなり、さらに対向ベルトが広い面積でワークを高い圧力でプレスする状態となると、対向ベルトを面接触状態として均一な圧力で押圧できなくなる欠点がある。それは、図1に示すように、対向ベルト105との摩擦抵抗によって、押圧フレーム102の摺動面102Xが対向ベルト105の移送方向に摩擦力Fを受けて、押圧フレーム102に回転モーメントMが作用するからである。回転モーメントMは、図の矢印で示す方向に作用するので、押圧フレーム102は片側(ワーク9の供給側)の押圧力f1が強く、反対側(ワーク9の排出側)の押圧力f2が弱くなって、面接触状態にある面圧を均一にできなくなる。
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、押圧フレームのグラファイトでもって対向ベルトの摺動面を均一な面圧で押圧でき、グラファイトでもって対向ベルトを効率よく加熱又は冷却でき、しかも対向ベルトをスムーズに移送できる連続プレス装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の連続プレス装置は、ワーク9を両面から挟むように加圧する加圧面5Aを互いに平行な姿勢として対向するように配置している対向ベルト5と、この対向ベルト5でワーク9を挟んで移送するように対向ベルト5を移動させる駆動機構6と、対向ベルト5の背面5Bに摺動自在に配置されて、対向ベルト5を背面5Bから押圧すると共に、対向ベルト5との摺動面2Xにグラファイト3を面状に接触する状態に配置してなる押圧フレーム2と、対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とする位置に押圧フレーム2を位置させる位置決め機構1と、グラファイト3を加熱又は冷却して対向ベルト5を背面5Bから摺動状態で加熱又は冷却する温度制御機構4とを備えている。さらに、本発明の連続プレス装置は、押圧フレーム2を、対向ベルト5の摺動面2Xと同一平面で位置決め機構1に連結する独特の構成としている。この連続プレス装置は、位置決め機構1が押圧フレーム2の上下位置を調整して、対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とし、温度制御機構4でグラファイト3を加熱又は冷却し、グラファイト3で対向ベルト5を加熱又は冷却してワーク9を加熱又は冷却する状態として、駆動機構6で対向ベルト5を移動させて、ワーク9を加圧加熱状態又は加圧冷却状態としながらプレス状態で移送する。
以上の連続プレス装置は、押圧フレームのグラファイトでもって対向ベルトの摺動面を均一な面圧で押圧でき、グラファイトでもって対向ベルトを効率よく加熱又は冷却しながら、対向ベルトをスムーズに移送できる特徴がある。それは、以上の連続プレス装置が、押圧フレームの摺動面において、押圧フレームを位置決め機構に連結して、移動する対向ベルトの摺動抵抗による回転モーメントをキャンセルしているからである。対向ベルトが移動することで発生する押圧フレームとの摺動抵抗は、押圧フレームの摺動面に、ワークの移送方向に作用する。以上の連続プレス装置は、押圧フレームの摺動面において位置決め機構に連結しているので、押圧フレームの摺動面に摺動抵抗が作用しても、回転モーメントは発生しない。押圧フレームを位置決め機構に連結する位置と、摺動抵抗が作用する面とが同一平面に位置するからである。回転モーメントが作用しないで、摺動面で対向ベルトを背面から押圧する押圧フレームは、均一な面圧で全対向ベルトを押圧する。このため、グラファイトは対向ベルトの背面に理想的な面状に接触する状態で接触して、対向ベルトを効率よく加熱又は冷却し、しかも対向ベルトをスムーズに摺動できる。
本発明の連続プレス装置は、対をなす連結軸23を介して押圧フレーム2を位置決め機構1に連結することができる。対をなす連結軸23は、その中心軸mを押圧フレーム2の摺動面2Xと同一平面に配置すると共に、対向ベルト5の移送方向に直交する直線上に配設することができる。
以上の連続プレス装置は、押圧フレームの両側に設けた連結軸を介して、押圧フレームを理想的な状態で位置決め機構に連結できる。
本発明の連続プレス装置は、押圧フレーム2を、連結軸23を介してワーク9の移送方向に対して傾斜できるように位置決め機構1に連結することができる。
以上の連続プレス装置は、連結軸を介して押圧フレームを傾斜できる構造とするので、移送方向に厚さが異なるワークを無理なく対向ベルトでプレス状態に移送できる。
本発明の連続プレス装置は、押圧フレーム2の傾斜角(α)を調整する傾斜角調整機構60を有することができる。
以上の連続プレス装置は、ワークの移送方向における加圧面圧分布を意図的に調整することができる。
本発明の連続プレス装置は、押圧フレーム2の傾斜角(α)を制限する傾斜角リミッタ61を有することができる。
以上の連続プレス装置も、ワークの移送方向における加圧面圧分布を意図的に調整することができる。
本発明の連続プレス装置は、押圧フレーム2が、対向ベルト5との摺動面2Xに配置しているグラファイト3と、このグラファイト3を固定している本体部20と、この本体部20からグラファイト3の摺動面2Xに向かって延びる連結アーム24とを有し、この連結アーム24の先端を連結軸23に連結することができる。
以上の連続プレス装置は、押圧フレームの本体部に連結される連結アームを介して、対をなす連結軸を、簡単かつ正確にグラファイトの摺動面に配置できる。
本発明の連続プレス装置は、対向ベルト5の背面5Bに、対向ベルト5を背面5Bから押圧する加圧ロール50を有し、この加圧ロール50と押圧フレーム2とで対向ベルト5を背面5Bから押圧することができる。
以上の連続プレス装置は、加圧ロールで対向ベルトの背面を強く押圧して、すなわち対向ベルトがワークを押圧する面圧を大きくしながら、対向ベルトをスムーズに移送できる。それは、加圧ロールが対向ベルトに対して摺動することなく回転しながら対向ベルトを背面から押圧できるからである。
本発明の連続プレス装置は、複数の押圧フレーム2を備えると共に、押圧フレーム2の間に加圧ロール50を配置し、あるいは、複数の加圧ロール50を備えて、加圧ロール50の間に押圧フレーム2を配置することができる。
以上の連続プレス装置は、押圧フレームの間において、加圧ロールで対向ベルトを強く押圧し、あるいは加圧ロールの間を補完するように押圧フレームで押圧して加熱又は冷却できる。すなわち、加圧ロールで強く加圧し、押圧フレームで加圧しながら加熱又は冷却できる。
本発明の連続プレス装置は、位置決め機構1が、第1の位置決め機構1Aと第2の位置決め機構1Bとを備えて、第1の位置決め機構1Aが、対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とするストッパ位置に押圧フレーム2を配置するストッパ機構11を有すると共に、ワーク9が対向ベルト5を所定の圧力よりも大きな圧力で押し戻しする状態にあっては、ベルト間隔を設定間隔よりも拡開する逃げ機構12を有し、第2の位置決め機構1Bが、第1の位置決め機構1Aが押圧フレーム2をストッパ位置に位置させる状態で、ベルト間隔を設定間隔とする機構を有し、ストッパ機構11が押圧フレーム2をストッパ位置に配置する状態で、第2の位置決め機構1Bがベルト間隔を設定間隔に保持することができる。
以上の連続プレス装置は、対向ベルトをスムーズに移送できる特徴がある。それは、第1の位置決め機構に逃げ機構を設けて、ワークが高い圧力で対向ベルトを強く押し戻しする状態で、対向ベルトとグラファイトとの押圧力が強くなるのを防止して、この状態で摺動抵抗が大きくなるのを防止できるからである。このことは、摩擦係数の小さいグラファイトと対向ベルトの摩擦抵抗を小さくできることとの相乗効果によって、対向ベルトの移送をよりスムーズにできる特徴を実現する。また、ワークの突出部などが局部的に対向ベルトに強く押圧されて損傷されるのも防止できる特徴がある。
本発明の連続プレス装置は、温度制御機構4が、グラファイト3をワーク9の移送方向に交差する方向に複数の区画領域3Aに分割して、分割された区画領域3Aの温度を制御しながら加熱又は冷却することができる。
以上の連続プレス装置は、グラファイトをワークの移送方向に交差する方向、すなわち横方向に複数の区画領域に分割して、各々の区画領域の温度を独立して制御するので、対向ベルトの熱歪みを防止しながら、ワークをより理想的な状態で加熱又は冷却してプレス状態で移送できる。それは、対向ベルトを介してワークを加熱する区画領域に供給する熱エネルギを、ワークを加熱しない区画領域に供給する熱エネルギよりも大きくして、対向ベルトの温度分布を均一にできるからである。
たとえば、加熱された対向ベルトの中央部でワークを挟んで加熱しながら移送すると、対向ベルトの中央部の熱はワークに伝導して奪われ、対向ベルトの両側部はワークに接触しないので、中央部に比較してワークに奪われる熱量が少なくなる。このため、対向ベルトの両側部の温度が高くなる傾向となる。ところが、以上の連続プレス装置は、対向ベルトに面状に接触する状態にあるグラファイトを横方向に複数の区画領域に区画して、各々の区画領域を独立して加熱できるので、対向ベルトの横方向の温度差を少なくなるように、区画領域に熱エネルギを供給して、対向ベルトの温度差を少なくできる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための連続プレス装置を例示するものであって、本発明は連続プレス装置を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
本発明の連続プレス装置は、温度により固体・弾性体・流体と変化するようなプラスチック素材を中心とした連続熱加工、例えば積層素材や繊維補強プラスチックの製造等のさまざまな用途で生産性の高い加工を可能とする。とくに、低い圧力で加熱加圧して製造される熱可塑性樹脂の発泡体からなる板状材を加熱加圧して連続的に製造するのに最適である。本発明の連続プレス装置は、優れた熱伝導特性と小さい摩擦抵抗のグラファイトを対向ベルトの背面に面状に接触する状態で加圧することで、対向ベルトの摺動抵抗を小さくし、とくに、ワークの過加圧を回避して、熱によるワークの反力変化による厚み変化に敏感に反応する事により最適な成形を可能とする。
図2ないし図4の連続プレス装置は、ワーク9を両面から挟むように加圧する加圧面5Aを互いに平行な姿勢として対向するように配置している対向ベルト5と、この対向ベルト5でワーク9を挟んで移送するように、対向ベルト5を移動させる駆動機構6と、対向ベルト5の背面5Bに摺動自在に配置されて、対向ベルト5を背面5Bから押圧すると共に、対向ベルト5との摺動面2Xにグラファイト3を面状に接触する状態に配置している押圧フレーム2と、対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とする位置に押圧フレーム2を位置させる位置決め機構1と、グラファイト3を加熱又は冷却して対向ベルト5を背面5Bから摺動状態で加熱又は冷却する温度制御機構4とを備える。
対向ベルト5は無端ベルトで、ワーク9を上下の両面から挟着できるように、対をなす対向ベルト5を上下に配置している。上下に配置される対向ベルト5は、ワーク9を加圧する加圧面5Aが互いに平行な姿勢となるように対向して配置している。無端ベルトである対向ベルト5は、所定の幅を有する帯状のベルトの両端を連結して無端軌道としている。対向ベルト5は、ステンレス、スチール等の金属ベルトとし、あるいは、ガラス繊維補強フッ素樹脂ベルト等の耐熱性の樹脂ベルトとすることができる。
駆動機構6は、対をなす対向ベルト5でワーク9を挟んで移送するように上下の対向ベルト5を移動させる。図2の駆動機構6は、ワーク9の移送方向の両端に配置されて無端ベルトである対向ベルト5が掛けられている対をなすロール10と、これらのロール10を回転させるモータなどの回転機構(図示せず)とを備えている。駆動機構6は、上下のロール10を互いに逆方向に回転させて、ワーク9の加圧部において、互いに平行な姿勢で対向する上下の対向ベルト5を同じ方向に移動させる。駆動機構6で移動される上下の対向ベルト5は、対向する加圧面5Aの間に搬入されるワーク9をプレス状態で挟んで移送する。
さらに、駆動機構は、図示しないが、対をなすロールの間隔を調整する間隔調整機構を備えることもできる。この間隔調整機構は、対向ベルトが掛けられる対をなすロールの一方又は両方のロールの回転軸をワークの移送方向に移動させて、右左のロールの間隔を調整して、対をなすロールにかけられる無端ベルトの張力を調整する。
押圧フレーム2は、対向ベルト5を介してワーク9を押圧する。この押圧フレーム2は、ワーク9を両面から挟着する上下の対向ベルト5の各々の加圧面5Aの背面5B側に配置されて、互いに対向する対向ベルト5を背面5Bから押圧する。図2ないし図4の連続プレス装置は、上下の対向ベルト5の背面5Bに位置するように、対をなす押圧フレーム2を備えている。対をなす押圧フレーム2は、上側に配置している第1の押圧フレーム2Aと、下側に配置している第2の押圧フレーム2Bとからなる。押圧フレーム2は、上下の対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とするように位置決め機構1で位置決めされる。対をなす押圧フレーム2は、上下の対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とする状態で、互いに対向する対向ベルト5を背面5Bから押圧して、対向する対向ベルト5の間を移送されるワーク9をプレスする。
上下に対をなす押圧フレーム2は、互いの対向面に、対向ベルト5をプレスしながら摺動させる摺動面2Xを設けている。上側に位置する第1の押圧フレーム2Aは、上側の対向ベルト5の加圧面5Aの背面5Bに面状に接触するように、摺動面2Xを下面とする姿勢で配置している。下側に位置する第2の押圧フレーム2Bは、下側の対向ベルト5の加圧面5Aの背面5Bに面状に接触するように、摺動面2Xを上面とする姿勢で配置している。第1の押圧フレーム2Aと第2の押圧フレーム2Bは、各々の摺動面2Xで、上下の対向ベルト5の背面5Bを摺動自在に押圧する。対をなす押圧フレーム2は、加圧状態において対向ベルト5の背面5Bに密着して、対をなす対向ベルト5を介してワーク9をプレスする。上下の押圧フレーム2の間にあってワーク9を両面から挟着する対をなす対向ベルト5は、上下の押圧フレーム2の摺動面2Xに押圧される状態で駆動機構6によって移動されて、摺動面2Xを摺動しながら移動し、間に挟着されたワーク9をプレス状態で移送する。
さらに、押圧フレーム2は、対向ベルト5との摺動面2Xにグラファイト3を面状に接触する状態に配置している。グラファイトは、好ましくは、対向ベルトとの接触面を平滑面として対向ベルトに面接触状態に接触させる。ただ、必ずしも面接触状態に接触させる必要はなく、対向ベルトとの接触面に溝を設け、あるいは微細な凹凸を設けて、対向ベルトに面状に接触させることもできる。図3と図4に示す押圧フレーム2は、対向ベルト5との摺動面2Xに配置しているグラファイト3と、このグラファイト3を固定している本体部20とを有する。グラファイト3は、所定の厚さのブロック状で、図に示すように、押圧フレーム2の本体部20に固定されて、対向ベルト5との対向面を摺動面2Xとしている。図4のグラファイト3は、対向ベルト5とほぼ等しい幅を有しており、対向ベルト5を幅方向のほぼ全体にわたって加圧しながら摺動できるようにしている。ただし、グラファイトの幅は、対向ベルトの幅よりも狭くすることもできる。対向ベルト5との摺動面2Xに配置されるグラファイト3は摩擦抵抗が小さく、小さい摺動抵抗で対向ベルト5をスムーズに摺動させながら移送する。また、後述する温度調整機構4が、グラファイト3を介して対向ベルト5を加温し、あるいは、冷却する時の熱伝導効率を向上できる。
押圧フレーム2の本体部20は、対向ベルト5との対向面にブロック状のグラファイト3を固定している。本体部20は、グラファイト3を固定する固定プレート21を対向面に備えている。図5の押圧フレーム2は、連結具22を介して、グラファイト3を固定プレート21に固定している。図の連結具22は、グラファイト3と固定プレート21とを貫通する連結ボルト22Aと、この連結ボルト22Aの先端にねじ込まれるナット22Bとからなる。図5のグラファイト3は、連結ボルト22Aの鍔部22aを挿入する凹部3aを摺動面2Xに設けており、連結ボルト22Aの鍔部22aが摺動面2Xから突出するのを防止している。ブロック状のグラファイト3は、複数の連結具22を介して本体部20に固定される。
さらに、図3と図4の連結プレス装置は、押圧フレーム2を位置決め機構1に連結している。位置決め機構1は、押圧フレーム2を上下に移動させて、上下の対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とする。
押圧フレーム2は、対向ベルト5の摺動抵抗によって回転モーメントが作用しないように位置決め機構1に連結している。このことを実現するために、押圧フレーム2は、対向ベルト5の摺動面2Xと同一平面で位置決め機構1に連結している。図3と図4の連続プレス装置は、対をなす連結軸23を介して押圧フレーム2を位置決め機構1に連結している。一対の連結軸23は、その中心軸mが押圧フレーム2の摺動面2Xと同一平面に位置し、かつ中心軸mが対向ベルト5の移送方向に直交する直線上に位置するように、押圧フレーム2の両側に設けている。図の押圧フレーム2は、その両側であって、ワーク移送方向の中央部に配置している連結軸23を介して位置決め機構1に連結している。連結軸23をワーク移送方向の中央部に配置している連続プレス装置は、押圧フレーム2の前後をバランスよく位置決め機構1に連結できる。ただし、連結軸は、ワーク移送方向の中央部よりも前方に、あるいは後方にずれる位置に配置することもできる。
さらに、本発明の連続プレス装置は、押圧フレーム2の摺動面2Xと同一平面で押圧フレーム2を位置決め機構1に連結しているが、押圧フレーム2と位置決め機構1との連結位置は、必ずしも摺動面と完全に同一平面とする必要はなく、たとえば、摺動面から離れる方向に±10mm以内にずれた位置に配置することもできる。それは、摺動面からの位置ずれを±10mm以内と小さくすることで、摺動抵抗に起因する押圧フレームの回転モーメントを実質的には無視できる程度に小さくできるからである。
連結軸23は、押圧フレーム2に固定され、あるいは位置決め機構に固定されて、押圧フレーム2を位置決め機構1に連結する。図4の押圧フレーム2は、連結軸23を摺動面2Xに位置させるために、本体部20からグラファイト3の摺動面2Xに向かって延びる連結アーム24を設けている。この連結アーム24は、上端を本体部20に固定して、先端には連結軸23を連結している。図に示す本体部20は、幅方向の両側に位置して対をなす連結アーム24を固定している。連結アーム24は垂直姿勢であって、その上端を本体部20の側面であって、ワーク9が移送される移送方向の中央に固定している。各々の連結アーム24は、連結軸23を摺動面2Xに位置できる長さとして、下端部に連結軸23を連結している。図の連結軸23は、連結アーム24の下端に固定して、この連結軸23に回転できるように、位置決め機構1を連結している。この押圧フレーム2は、ワーク9の上下方向に対して傾動できるように位置決め機構1に連結される。傾動できる押圧フレームは、連結軸を位置決め機構に固定して、この連結軸に回転できるように連結アームを連結することもできる。
連結軸23を介して押圧フレーム2を傾動できるように位置決め機構1に連結している連続プレス装置は、押圧フレーム2を傾動させて、ワーク9をスムーズに移送できる。ただし、押圧フレームは、傾動しないように位置決め機構に連結することもできる。
以上のように、摺動面2Xに位置して配置されて、対をなす連結軸23を介して支持される押圧フレーム2は、図3に示すように、摺動面2Xが対向ベルト5から受ける摩擦力F、すなわち摺動抵抗によって、連結軸周りの回転モーメントが作用しない。それは、対向ベルト5から受ける摩擦力Fの作用線上に連結軸23の中心軸mがあるからである。したがって、この連続プレス装置は、摺動面2Xに作用する摩擦力Fによって、押圧フレーム2が連結軸23を中心として傾動するのが防止されて、押圧フレーム2の供給側と排出側とにおける押圧力を等しくして、面状に接触する状態にある面圧を均一にできる。
さらに、図6と図7の連続プレス装置は、押圧フレーム2の傾斜角(α)を調整して所定の傾斜角(α)に固定する傾斜角調整機構60を備えている。傾斜角調整機構60は、連結軸23の前後、すなわち、対向ベルト5の移送方向の前後に位置して配置された位置決めストッパ62を備えており、この位置決めストッパ62を介して押圧フレーム2の傾斜角(α)を調整している。図に示す傾斜角調整機構60は、押圧フレーム2に固定された当接プレート63を備えており、この当接プレート63の姿勢を、回転軸23の前後に設けた一対の位置決めストッパ62で特定して、押圧フレーム2の傾斜角(α)を所定の傾斜角としている。図の当接プレート63は、押圧フレーム2の摺動面2Xと平行(図においては同一平面内)に配置しており、この当接プレート63の傾斜角を調整して、押圧フレーム2の傾斜角(α)を所定の傾斜角に固定するようにしている。図に示す傾斜角調整機構60は、押圧フレーム2に固定された連結軸23の先端面に、対向ベルト5の移送方向に延びる当接プレート63を固定している。さらに、傾斜角調整機構60は、連結軸23の前後に位置して、当接プレート63の前後の両端に対向して、位置決めストッパ62を配置している。図に示す位置決めストッパ62は位置決めボルト62Aで、シリンダのロッド13Bの先端部に水平姿勢で固定された支持プレート64の両端部を貫通してねじ込まれており、その先端を当接プレート63に当接させている。位置決めボルト62Aは、支持プレート64へのねじ込み量を調整して、いいかえると先端の突出量を調整して、その先端を当接プレート63に当接させる状態で、当接プレート63の傾斜姿勢を特定する。この傾斜角調整機構60は、位置決めストッパ62を調整して押圧フレーム2の傾斜角(α)を最適値に、たとえば、ワーク9の移送方向に向かって対向ベルト5のベルト間隔を次第に狭くするように調整して、ワーク9をプレス状態で次第に薄くしながら移送する。
以上の構造の傾斜角調整機構60は、簡単な構造で、押圧フレーム2の傾斜角(α)を特定できる。ただ、傾斜角調整機構は、図示しないが、回転軸の前後に設けた伸縮ロッドとすることもできる。この傾斜角調整機構は、伸縮ロッドを伸縮させて、押圧フレームの傾斜角(α)を所定の角度に調整する。伸縮ロッドは、例えばモータで伸縮するモータシリンダとして、一端を押圧フレームに、他端を第1の位置決め機構に連結することができる。この傾斜角調整機構は、モータでシリンダを伸縮させて押圧フレームの傾斜角を最適値に調整する。
さらに、以上の傾斜角調整機構60は、押圧フレーム2の傾斜角(α)を制限する傾斜角リミッタに併用できる。この傾斜角調整機構60は、図8に示すように、支持プレート64の両端部を貫通する位置決めボルト62Aの先端の位置を調整して当接プレート63との間に隙間を設けることで、当接プレート63が傾斜可能な傾斜角(α)を制限する傾斜角リミッタ61とすることができる。すなわち、図に示す傾斜角調整機構60は、両側の位置決めボルト62Aの先端を当接プレート63に当接させて当接プレート63の姿勢を特定することで傾斜角調整機構60として機能し、両側の位置決めボルト62Aの先端を当接プレート63から離して、当接プレート63の傾斜範囲を所定の範囲内に制限することで傾斜角リミッタ61として機能する。この傾斜角リミッタ61は、たとえば、押圧フレーム2をワーク9の移送方向に対して±10度以内には自由に傾動できる構造とする。図に示す傾斜角リミッタ61は、連結軸23に固定した当接プレート63の傾斜範囲と制限する構造としているが、傾斜角リミッタは、押圧フレームの上面に接触するストッパを前後に設けて押圧フレームの傾斜角を制限することもできる。
位置決め機構1は、互いに対向する対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とする位置に押圧フレーム2を位置させる。図2ないし図4の連結プレス装置は、下側に位置する第2の押圧フレーム2Bを基台8に固定して、上側に位置する第1の押圧フレーム2Aの上下位置を位置決め機構1で調整して、上下の対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔となるようにしている。この位置決め機構1は、上側に位置する第1の押圧フレーム2Aに連結された連結軸23を介して、第1の押圧フレーム2Aを上下に移動させて、第1の押圧フレーム2Aの上下位置を調整している。ただ、位置決め機構は、下側に位置する第2の押圧フレームの上下位置を調整して、上下の対向ベルトのベルト間隔を設定間隔とすることもできる。この連続プレス装置は、図示しないが、上側に位置する第1の押圧フレームを基台に固定し、下側に位置する第2の押圧フレームに連結軸を設けると共に、この連結軸を介して、位置決め機構で第2の押圧フレームを上下に移動させて、第2の押圧フレームの上下位置を調整する。さらにまた、位置決め機構は、第1の押圧フレームと第2の押圧フレームの両方の上下位置を調整して、上下の対向ベルトのベルト間隔を設定間隔とすることもできる。
押圧フレーム2の上下位置を調整する位置決め機構1は、第1の位置決め機構1Aと第2の位置決め機構1Bとを備えている。第1の位置決め機構1Aは、対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔とするストッパ位置に押圧フレーム2を配置するストッパ機構11を有すると共に、ワーク9が対向ベルト5を所定の圧力よりも大きな圧力で押し戻しする状態にあっては、ベルト間隔を設定間隔よりも拡開する逃げ機構12を有する。図3と図4の第1の位置決め機構1Aは、ストッパ機構11と逃げ機構12を、シリンダ13と、このシリンダ13のピストン13Cを一定の方向に押圧している弾性体14とで実現する。シリンダ13は、第2の位置決め機構1Bに連結されて、内部を往復運動するピストン13Cに連結しているロッド13Bを下方に突出させている。ロッド13Bは、下端を傾動自在に連結軸23に連結している。弾性体14は、ピストン13Cを一定の方向に押圧するバネ14Aで、図に示す弾性体14は、押しバネのコイルスプリングとしている。このバネ14Aは、シリンダ本体13Aとピストン13Cとの間にあって、ロッド13Bを弾性的に押し出している。図のシリンダ13は、垂直姿勢に配設して、ロッド13Bの下端を第1の押圧フレーム2Aの連結軸23に連結している。このストッパ機構11は、弾性体14でピストン13Cをシリンダ本体13Aの下端まで押圧して、ロッド13Bに連結している押圧フレーム2をストッパ位置に配置する。シリンダ13とピストン13Cと弾性体14とでストッパ機構11を実現するために、シリンダ本体13Aの下端にはピストン13Cが押し出されないストッパ壁13Dを設けている。
以上の構造の第1の位置決め機構1Aは、シリンダ13内のピストン13Cを弾性体14の押圧力に逆らって移動させる構造として、逃げ機構12を実現している。この逃げ機構12は、ワーク9が対向ベルト5を所定の圧力よりも大きな圧力で押し戻す状態、すなわち、シリンダ13内の弾性体14が、ピストン13Cを押圧する圧力よりも大きな圧力で押圧される状態において、図3と図4の矢印Aで示すように、弾性体14の押圧方向と反対方向にピストン13Cを移動させてシリンダ13内の弾性体14を収縮させる。この状態で、第1の押圧フレーム2Aはワーク9によって上方に押し上げられて、ベルト間隔を設定間隔よりも拡開する。逃げ機構12が対向ベルト5のベルト間隔を拡開するときの圧力は、連続プレス装置でプレスされるワークの種類や材質、構造等により適宜決定される。
図3と図4の第1の位置決め機構1Aは、ピストン13Cを弾性体14である押しバネ14Aのコイルスプリングで押圧する。ただ、第1の位置決め機構は、シリンダ内に加圧流体を供給して、この加圧流体でピストンを押圧して、ストッパ機構と逃げ機構とを実現することもできる。この第1の位置決め機構1Aは、図9に示すように、加圧流体14Bの加圧源15からシリンダ13内に一定の圧力の加圧流体14Bを圧入する。加圧流体14Bがピストン13Cを押圧して、ピストン13Cをシリンダ本体13Aの下端に移動し、この位置で停止して、ストッパ機構11を実現する。加圧流体14Bとして、オイルやエアーが使用できる。このように、ピストン13Cを加圧流体14Bで押圧する第1の位置決め機構1Aは、逃げ機構12が対向ベルト5のベルト間隔を拡開するときの圧力を、シリンダ13に注入される加圧流体14Bの圧力を変更して簡単に調整できる特徴がある。
ただ、第1の位置決め機構は、シリンダ内のピストンを、押しバネであるコイルスプリングと加圧流体の両方で押圧して、ストッパ機構と逃げ機構とを実現することもできる。
以上の第1の位置決め機構1Aは、第1の押圧フレーム2Aの連結軸23に連結されるシリンダ13を、連結軸23よりも上方に配置しているが、第1の位置決め機構は、図示しないが、シリンダを第1の押圧フレームの連結軸よりも下方に配置することもできる。この第1の位置決め機構は、シリンダのロッドを上向きに突出させる姿勢で配置して、このロッドの上端を連結軸を介して本体部に連結する。弾性体である押しバネのコイルスプリングは、シリンダのストッパ壁とピストンとの間に配置されて、弾性体を弾性的に収縮させる構造とする。このストッパ機構は、弾性体でピストンをシリンダ本体の底部である下端まで押圧して、ロッドに連結している押圧フレームをストッパ位置に配置する。さらに、この第1の位置決め機構は、ワークが対向ベルトを所定の圧力よりも大きな圧力で押し戻しする状態において、弾性体の押圧方向と反対方向にピストンを移動させて、シリンダのロッドを弾性的に押し出す。すなわち、この第1の押圧フレームも、ワークが対向ベルトを所定の圧力よりも大きな圧力で押し戻す状態において、ワークによって上方に押し上げられて、ベルト間隔を設定間隔よりも拡開する。
さらに、以上の第1の位置決め機構1Aは、ロッド13Bの先端を押圧フレーム2に連結し、シリンダ本体13Aを第2の位置決め機構1Bに連結している。ただ、第1の位置決め機構は、図に示す状態からシリンダの姿勢を反転させて、シリンダ本体を押圧フレームに連結して、ロッドの先端を第2の位置決め機構に連結することもできる。
第2の位置決め機構1Bは、第1の位置決め機構1Aが押圧フレーム2をストッパ位置に位置させる状態で、ベルト間隔を設定間隔とする。図3と図4に示す第2の位置決め機構1Bは、第1の位置決め機構1Aを介して押圧フレーム2に連結している。したがって、この第2の位置決め機構1Bは、第1の位置決め機構1Aを構成するシリンダ13を介して押圧フレーム2を上下方向に移動させてベルト間隔を設定間隔とする。
図の第2の位置決め機構1Bは逃げ機構を備えず、第1の位置決め機構1Aが押圧フレーム2をストッパ位置に位置させる状態で、ベルト間隔を設定間隔とする。この第2の位置決め機構1Bは、第1の位置決め機構1Aのシリンダ13に連結しているネジ棒16と、このネジ棒16をねじ込んでいる移動体17と、この移動体17を回転させるモータ18とを備えている。図の第2の位置決め機構1Bは、ネジ棒16を固定しているシリンダ13を介して押圧フレーム2に連結しており、モータ18で回転される移動体17をネジ棒16に沿って相対的に移動させて、正確には、回転する移動体17に沿ってネジ棒16を移動させて、押圧フレーム2を上下に移動させるようにしている。図の第2の位置決め機構1Bは、移動体17を円盤状とすると共に、円盤状の移動体17の外周部17Aを回転できるように基台7に設けた軸受19で支持している。さらに、移動体17は、一方の面にスプロケット30を固定しており、このスプロケット30に掛けた駆動ベルト31を介して回転される。この駆動ベルト31は、モータ18の回転軸に固定しているスプロケット32に掛けられており、モータ18で駆動される駆動ベルト31で、両側の移動体17を一緒に同方向に回転できるようにしている。以上の第2の位置決め機構1Bは、モータ18が駆動ベルト31を介して、対をなす移動体17を回転させ、回転する移動体17に沿ってネジ棒16を上下方向(図4の矢印B参照)に移動させて、ネジ棒16に固定しているシリンダ13を上下に移動させる。上下方向に移動するシリンダ13は、ロッド13Bを介して連結している押圧フレーム2を移動させて、対向ベルト5のベルト間隔を調整する。
ただ、第2の位置決め機構1Bは、図9に示す構造とすることもできる。図9の第2の位置決め機構1Bは、シリンダ13に連結している移動体37と、この移動体37にねじ込んでなるネジ棒36と、このネジ棒36を回転させるモータ18とを備えている。図の第2の位置決め機構1Bは、移動体37が連結されたシリンダ13を介して押圧フレーム2に連結しており、モータ18で回転されるネジ棒36に沿って移動体37を上下(図9の矢印B参照)に移動させて、押圧フレーム2を上下に移動させるようにしている。この第2の位置決め機構1Bは、ネジ棒36を垂直姿勢で回転できるように軸受39を介して基台7で支持している。このネジ棒36には移動体37をねじ込んでおり、この移動体37を連結ロッド35を介してシリンダ13に連結している。さらに、移動体37を回転させることなくネジ棒36に沿って上下に平行移動させるために、ネジ棒36の両側にガイドロッド34を設けており、このガイドロッド34を案内するガイド穴38を移動体37に設けている。さらに、ガイドロッド34の下端には支持プレート27を水平姿勢で固定しており、この支持プレート27の中央部において、軸受29を介してネジ棒36の下端を回転できるように支持している。移動体37は、連結ロッド35を介してシリンダ13に連結しており、この連結ロッド35を、支持プレート27に開口した挿通穴28に通過させている。
この第2の位置決め機構1Bは、回転するネジ棒36に沿って上下に移動される移動体37を介してシリンダ13を上下に移動させる。ネジ棒36は、これを回転させるスプロケット30を固定しており、このスプロケット30にかけた駆動ベルト31を介して回転される。この駆動ベルト31は、モータ18の回転軸に固定しているスプロケット32に掛けられており、モータ18で駆動される駆動ベルト31で、両側のネジ棒36を一緒に同方向に回転できるようにしている。以上の第2の位置決め機構1Bは、モータ18が駆動ベルト31を介して、対をなすネジ棒36を回転させ、回転するネジ棒36に沿って移動体37を上下方向(図9の矢印B参照)に移動させて、移動体37に連結しているシリンダ13を上下に移動させる。上下方向に移動するシリンダ13は、これに連結している押圧フレーム2を移動させて、対向ベルト5のベルト間隔を調整する。
図2の連続プレス装置は、複数組の押圧フレーム2をワーク9の移送方向に並べて配置している。このように複数組の押圧フレーム2を移送方向に配置している連続プレス装置は、各々の押圧フレーム2で上下の対向ベルト5を押圧しながらワーク9をプレスするので、ワーク9を加圧する加圧面5Aを広くして効率よくプレスできる特徴がある。図に示す連続プレス装置は、複数の押圧フレーム2で各々独立して対向ベルト5をプレスできるようにしている。したがって、位置決め機構は、各々の押圧フレーム2に対応して設けており、各々の位置決め機構でもって対応する押圧フレームを独立して移動できるようにしている。ただ、連続プレス装置は、1つの位置決め機構でもって、複数の押圧フレームを同時に上下動させることもできる。図2に示す連続プレス装置は、ワーク9の移送方向に4組の押圧フレーム2を直線状に並べて配置しているが、直線状に並べる押圧フレームの個数を多くして、ワークをプレス状態で移送できる距離を長くできる。また、押圧フレームを単数としてワークを短くプレス状態で移送することもできる。さらに、多数の押圧フレームを直線状に並べている連続プレス装置は、ひとつの押圧フレームの移送方向の幅を狭くしながら、ワークをプレス状態で移送できる距離を長くできる。
グラファイト3は、温度制御機構4で加熱又は冷却されて、対向ベルト5を背面5Bから摺動状態で加熱又は冷却する。図5の連続プレス装置は、温度制御機構4をグラファイト3を加熱する加熱機構41のヒーター42としている。温度制御機構4である加熱機構41は、グラファイト3を内部から加熱して対向ベルト5を背面5Bから摺動状態で加熱する。加熱機構41である温度制御機構4は、グラファイト3の内部に、グラファイト3を加熱するヒーター42を配設している。温度制御機構4の加熱機構41は、図10に示すように、グラファイト3を、ワーク9の移送方向に交差する方向に複数の区画領域3Aに分割して、分割された区画領域3Aの温度を制御しながら加熱する。
図10の加熱機構41は、グラファイト3を5区画の区画領域3Aに分割して、分割された区画領域3Aの温度を制御しながら加熱している。5区画に区画された区画領域3Aは、中央部の横幅(W1)を広くし、その両側の横幅(W2)を中央部の半分としている。中央部にある2倍の横幅(W1)の区画領域3Aには、長いヒーター42を固定し、両側の区画領域3Aには短いヒーター42を配置している。ヒーター42は、図5の断面図に示すように、グラファイト3に設けた収納溝3bに配置される。グラファイト3は、対向ベルト5との摺動面2Xの反対側に収納溝3bを設けて、ここにヒーター42を配置している。収納溝3bを閉塞するように、グラファイト3に閉塞プレート43を積層している。積層されるグラファイト3と閉塞プレート43は、連結具22を介して押圧フレーム2の本体部20の固定プレート21に固定される。閉塞プレート43は、グラファイトとすることができ、また、熱伝導率の小さい断熱プレートとすることもできる。閉塞プレート43をグラファイトとする構造は、グラファイト3全体の温度を均一にして、対向ベルト5を均一に加熱できる。また、閉塞プレートを断熱プレートとする構造は、ヒーターの熱で効率よく対向ベルトを加熱できる。
各々の区画領域3Aに配置しているヒーター42は、コントロール回路44で別々に独立して温度制御される。コントロール回路44は、グラファイト温度、又は対向ベルト温度を検出して、ヒーター42の通電を制御する。図10に示す加熱機構41は、各々の区画領域3Aにおけるグラファイト温度、又は対向ベルト温度を検出する温度センサ45を備えている。このコントロール回路44は、ヒーター42の通電をコントロールして、グラファイト温度、又は対向ベルト温度を設定温度とする。
連続プレス装置は、対向ベルト5の中央部でワーク9をプレス状態で移送するとき、対向ベルト5の中央部の熱がワーク9に奪われる。したがって、この状態で対向ベルト5の全体を均一な熱エネルギで加熱すると、ワーク9で熱が奪われる中央部の温度が低くなる。このため、ワーク9の両側部の温度が高くなるなどの弊害が発生する。グラファイト3を複数の区画領域3Aに区画して、各々の区画の温度を別々にコントロールする図10の温度制御機構4は、ワーク9の移送状態にかかわらず、常に対向ベルト5を最適な温度に設定して、ワーク9を理想的な状態で加熱しながらプレス状態で移送できる。
図2の連続プレス装置は、全ての押圧フレーム2で対向ベルト5を加熱する。すなわち、全ての押圧フレーム2に、対向ベルト5を加熱する加熱機構41を備えている。ただ、連続プレス装置は、全ての押圧フレームで対向ベルトを冷却することもできる。この連続プレス装置は、全ての押圧フレームに、対向ベルトを冷却する冷却機構を設ける。また、連続プレス装置は、加熱用の押圧フレームと、この押圧フレームを通過して加熱されたワークを冷却する冷却用の押圧フレームとをワークの移送方向に並べて配置することもできる。この連続プレス装置は、たとえば、ワークの移送方向に直線状に並べて配置している4組の押圧フレームのうち供給側の2組を加熱用の押圧フレームとし、排出側の2組を冷却用の押圧フレームとすることができる。この連続プレス装置は、ワークの供給側に配置される加熱用の押圧フレームに加熱機構を設けて、排出側に配置される冷却用の押圧フレームに冷却機構を設ける。この連続プレス装置は、ワークを加熱した後、冷却して排出できる。
温度制御機構4を、対向ベルト5を冷却する冷却機構46とする押圧フレーム2を図11と図12に示す。図11に示す押圧フレーム2は、グラファイト3に冷却プレート47を熱伝導状態で積層し、この冷却プレート47を介してグラファイト3を冷却する。冷却プレート47はアルミニウムなどの熱伝導の優れた金属プレートで、グラファイト3が対向ベルト5に接触する摺動面2Xの反対側の面に積層される。冷却プレート47は、冷却流体を通過させる流体通路48を設けている。この流体通路48に冷却された冷媒を循環し、あるいは、冷却された水やブライン液を循環させて、冷却プレート47を冷却する。冷却プレート47は、一方の面にグラファイト3を、他方の面に断熱プレート49を積層して、押圧フレーム2の本体部20に固定される。断熱プレート49は、押圧フレーム2の固定プレート21との熱伝導を遮断して、効率よくグラファイト3を冷却する。グラファイト3を冷却する連続プレス装置も、グラファイトを複数の区画領域に区画して、各々の区画領域の温度を別々に最適値にコントロールすることもできる。複数の区画領域を最適な設定温度とするには、たとえば、冷却プレートとグラファイトとの接触面積を調整して実現できる。たとえば、対向ベルトの両側に接触するグラファイトと冷却プレートとの接触面積を、対向ベルトの中央部に接触するグラファイトと冷却プレートの接触面積よりも小さくして、対向ベルトの中央部を冷却プレートでより効率よく冷却することができる。
以上の冷却機構46は、冷却プレート47を介してグラファイト3を冷却するが、冷却機構は、グラファイトを直接に冷却流体で冷却することもできる。この冷却機構は、グラファイトの内部に流体通路を設けて、ここに冷却流体を循環させる。さらに、加熱機構は、前述したように、グラファイトの内部にヒーターを配置し、このヒーターでグラファイトを直接に加熱することもできるが、グラファイトを冷却する構造と同じように、グラファイトに加熱プレートを熱伝導状態に積層し、加熱プレートをヒーターで加熱して、グラファイトを加熱することもできる。さらに、連続プレス装置は、グラファイトを加熱する加熱機構をヒーターには特定しない。加熱機構は、ヒーターに代わって、加熱された油や加熱蒸気などの加熱流体をグラファイトの内部に循環し、あるいは加熱プレートの内部に循環させて、グラファイトを加熱することもできるからである。
さらに、図13に示す連続プレス装置は、対向ベルト5の背面5Bに、対向ベルト5を背面5Bから押圧する加圧ロール50を備え、加圧ロール50と押圧フレーム2の両方で対向ベルト5を背面5Bから押圧している。加圧ロール50は、押圧フレーム2と同じ構造の位置決め機構1で対向ベルト5のベルト間隔を設定間隔に調整して、対向ベルト5の押圧力も調整される。加圧ロール50は、対向ベルト5を押圧する回転ロール51を回転できるように回転軸52に連結しているので、この回転軸52の両端を位置決め機構1に連結している。
加圧ロール50は、対向ベルト5の表面を転動するので、対向ベルト5との間に摺動抵抗が発生しない。このため、加圧ロール50が対向ベルト5を強く押圧しても、押圧フレーム2のように摺動抵抗が増加しない。したがって、この連続プレス装置は、加圧ロール50でもって、押圧フレーム2よりも強く対向ベルト5の背面5Bを押圧して、対向ベルト5をスムーズに移送できる。このため、加圧ロール50で対向ベルト5を強く押圧することで、ワーク9を押圧フレーム2の部分よりも強く押圧しながら移送できる。
図13に示す連続プレス装置は、複数の押圧フレーム2の間に加圧ロール50を配置し、さらに複数の加圧ロール50の間に押圧フレーム2を配置して、加圧ロール50と押圧フレーム2の両方で対向ベルト5を押圧しながらワーク9を移送する。押圧フレーム2の前段に配置される加圧ロール50は、押圧フレーム2よりも強くワーク9を押圧してベルト間隔を狭くして、後段の押圧フレーム2にスムーズに移送でき、また、押圧フレーム2の後段に配置している加圧ロール50は、押圧フレーム2で押圧されたワーク9をさらに強く押圧して、薄く加工し排出できる。また、押圧フレーム2の間に設けている加圧ロール50は、前段の押圧フレーム2で加熱しながら押圧状態で移送されたワーク9を、より強く押圧して薄く加工した後、後段の押圧フレーム2で加熱又は冷却しながら移送できる。また、加圧ロール50の間に配置される押圧フレーム2は、加圧ロール50の間を補間しながらプレス状態で加熱又は冷却しながら移送できる。