JP5671334B2 - 立軸ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、河川水や排水などの液体を汲み上げる立軸ポンプに関し、特に回転軸を支える軸受の耐久性、維持管理性を向上させ、軸受を容易に交換することができる立軸ポンプに関するものである。
図1は、従来の立軸ポンプを示す模式図である。図1に示すように、一般に、立軸ポンプは、水槽上部のポンプ据付床500に設置され、吊下管502を介して羽根車504を収容するガイドケーシング506が吊り下げられる。羽根車504は回転軸509に固定されており、回転軸509は外軸受510および水中軸受508により回転自在に支持される。
このような立軸ポンプは、羽根車504や水中軸受508が水中に浸漬された状態で運転され、使用時間の経過とともにこれらの部材に徐々に摩耗や腐食が起こる。このため、立軸ポンプの点検作業を定期的に行って軸受部(外軸受510や水中軸受508)や羽根車504の摩耗状況、ガイドケーシング506の腐食状況を確認し、必要に応じて補修または交換を行うことが必要となる。その中でも、水中軸受508の損傷や摩耗は、ポンプの異常振動の原因となり、最終的にポンプ故障(運転不能)にまで至る要因となる。このため、水中軸受508の点検は重要点検項目の1つとされる。
立軸ポンプの点検・整備方法としては、1)ポンプを据え付けたまま行う方法と、2)ポンプを引き上げて行う方法とがある。1)の点検方法は、ポンプを引き上げずに済むため、費用が安く、かつ点検・整備にかかる期間も短くできる。しかしながら、例えば、立軸ポンプの水中軸受508は通常水中に没しているため、上記1)の方法では、水中軸受508の摩耗状態を適切に測定または検知することは難しく、また水中軸受508を交換することもできない。また、水槽内の水を排水してドライにした状態でも、水中軸受508は羽根車504の上方に位置しているため、やはり水中軸受508の点検や整備および交換はできない。すなわち、水槽内の水を抜き、軸受部を大気中に露出させても軸受の設置位置の問題により、満足な点検ができない。
そこで、地上部で測定できる外軸受510やポンプベース514などの振動を測定し、間接的に水中軸受508の状態を推測する方法が提案されている(特許文献1,2参照)。しかしながら、この方法では、振動源となる水中軸受508付近で測定を行うわけではないため、測定点までの種々の減衰効果により、水中軸受の摩耗等による異常振動を計測することが難しく、適切に損傷や摩耗状況を判断することができない。
これに対して、上記2)の方法によれば、水中軸受508の摩耗状態を適切に測定または検知することが可能であり、また水中軸受508の交換も可能である。このため、従来、立軸ポンプの水中軸受508の摩耗を確認するために、上記2)の方法を行っていた。
しかしながら、上記2)の方法は、費用がかかり、点検・整備にかかる時間も長くなってしまう。例えば、天井クレーンを用いて立軸ポンプを引き上げる場合には、点検員となる機械技術者、作業員およびクレーンオペレータなどが必要となり、引き上げのために相当の作業費用を要する。また、重量物であるポンプの引き上げ、再組立作業は危険作業といえる。
また、引き上げおよび点検作業は、引き上げ後に、点検整備を行い、その後、再設置、芯出し、試運転という工程を経なければならず、かなりの日数を要する。さらに、機場によっては、点検・整備時でも、常に必要量の排水をできる状態にしておく必要があるが、点検期間中は、点検を行っているポンプを運転することができないため、仮設ポンプを設置するなどして、排水能力を確保する必要がある。
そこで、特許文献3に示すように、羽根車の下方に配置された水中軸受と、ポンプ据付床の上方の外軸受の2つで回転軸を支持する構造の立軸ポンプが提案されている。この構造によれば、水中軸受は羽根車の下方に位置しているので、吸込口から水中軸受の摩耗状態を目視により検査することができ、しかも水中軸受を容易に交換することができる。
しかしながら、回転軸が長くなると(すなわち、外軸受と水中軸受との距離が長くなると)、回転軸の危険速度が低下して、ポンプの回転速度に近くなる。回転軸の危険速度がポンプの回転速度に近くなると、共振などの異常振動が発生してしまうため、外軸受と水中軸受との間に中間軸受を配置する必要がある。しかしながら、中間軸受は羽根車の上方に位置しており、かつケーシング内に設置されるため、中間軸受を交換するためには、ポンプを引き上げる必要があった。
特許第3567140号公報 特開2004−218578号公報 特許第4456579号公報
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、ポンプを引き上げることなくポンプを据え付けた状態で中間軸受を容易に交換することができる立軸ポンプを提供することを目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、羽根車と、前記羽根車が収容され、ガイドベーンが内部に配置されたガイドケーシングと、前記ガイドケーシングを水槽内に吊下げる吊下管と、前記吊下管の上端に接続される吐出曲管と、前記吐出曲管および前記吊下管を通って延び、前記羽根車が固定される回転軸と、前記吐出曲管の上部に配置された外軸受と、前記羽根車の下方に配置された水中軸受と、前記外軸受と前記水中軸受との間に配置された中間軸受と、前記中間軸受が収容され、開口した上端部を有する軸受ケーシングと、前記回転軸と、該回転軸を駆動するための駆動軸とを連結する自在軸継手と、を備え、前記中間軸受は、軸受パッドと、前記軸受パッドを保持する軸受ホルダーとを備え、前記軸受パッドと前記軸受ホルダーとは、回転軸の軸方向に沿って分割可能な複数の分割体から構成されており、前記自在軸継手は、前記駆動軸のトルクを前記回転軸に伝達しつつ、軸方向に伸縮可能に構成されており、前記外軸受は、前記回転軸のラジアル荷重およびスラスト荷重を受けることが出来るように構成されていることを特徴とする立軸ポンプである。
本発明の好ましい態様は、前記中間軸受の外周面と前記軸受ケーシングの内周面との間には隙間が形成されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記軸受ケーシングの底部には、前記中間軸受の下部が嵌合する嵌合穴が形成されており、前記嵌合穴は前記回転軸と同心上に位置していることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記軸受ホルダーの外周面と前記軸受ケーシングの内周面とに係合するキーが設けられることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記隙間には、高粘性流体が封入されていることを特徴とする。
本発明によれば、中間軸受を回転軸に沿って上方にスライドさせて該中間軸受を軸受ケーシングから取り出し、さらに中間軸受を回転軸に沿って縦に分割することによって回転軸から取り外すことができる。したがって、立軸ポンプを水槽から引き上げることなく中間軸受の交換が可能となる。また、軸受負荷に対応した軸受の材料を選択することにより、耐久性に優れた立軸ポンプを提供することが可能となる。
従来の立軸ポンプを示す模式図である。 本発明の一実施形態における立軸ポンプを示す模式図である。 中間軸受および軸受ケーシングの縦断面図である。 中間軸受および軸受ケーシングの水平断面図である。 中間軸受の上面図である。 図5のA−A線から見た図である。 軸受ケーシングから中間軸受を取り出す様子を示す図である。 中間軸受および水中軸受の摩耗を測定した結果を示す図である。 中間軸受および軸受ケーシングに係合するキーが配置された例を示す水平断面図である。 図10(a)は、中間軸受が嵌合する嵌合穴を有する軸受ケーシングを示す断面図であり、図10(b)は、軸受ケーシングの底部に段部が形成された変形例を示す断面図である。 中間軸受および軸受ケーシングの間にシール部が配置された例を示す断面図である。 中間軸受と軸受ケーシングとの隙間に高粘性流体が封入された例を示す断面図である。 中間軸受および軸受ケーシングのさらに他の例を示す断面図である。 ルーズフランジ式管継手を示す断面図である。 ルーズフランジ式管継手を取り外した様子を示す図である。 作業員が立軸ポンプの内部で中間軸受を交換している様子を示す図である。 中間軸受の交換のためにハンドホールに棒を挿入した例を示す平面図である。 中間軸受および軸受ケーシングを吐出曲管内に配置した例を示す図である。 吐出配管にマンホールを設けた例を示す図である。 吊下管にマンホールを設けた例を示す図である。 吐出曲管を取り外して中間軸受を交換する例を示す図である。 吐出曲管をジャッキで持ち上げた状態で中間軸受を交換する例を示す図である。
以下、本発明に係る立軸ポンプの実施形態について図2から図22を参照して詳細に説明する。なお、図2から図22において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図2は、本発明の一実施形態における立軸ポンプを示す模式図である。図2に示すように、立軸ポンプは、吸込ベルマウス1aおよび吐出ボウル1bを有するガイドケーシング1と、ガイドケーシング1を水槽5内に吊り下げる吊下管3と、吊下管3の上端に接続された吐出曲管4と、ガイドケーシング1内に収容された羽根車10と、羽根車10が固定された回転軸6とを備えている。
吊下管3は、水槽上部のポンプ据付床22に形成された挿通孔24を通って下方に延び、吊下管3の上端に設けられたポンプベース23を介してポンプ据付床22に固定されている。回転軸(立軸)6は、吐出曲管4および吊下管3を通って鉛直方向に延びており、その下端はガイドケーシング1内に位置している。ガイドケーシング1および吊下管3によりポンプケーシング2が構成されている。ポンプ据付床22より上にある床上部Fは常時点検が可能な領域であり、ポンプ据付床22より下にある水槽部Uは没水される領域である。吐出曲管4には、ポンプ内部を視認するための少なくとも1つのハンドホール19が設けられている。
図2に示すように、吸込ベルマウス1aは下方に開口しており、吸込ベルマウス1aの上端は吐出ボウル1bの下端に固定されている。羽根車10は回転軸6の下部に固定されており、羽根車10と回転軸6とは一体的に回転するようになっている。この羽根車10は複数の翼を有し、羽根車10の上方(吐出側)には複数のガイドベーン14が配置されている。これらのガイドベーン14はガイドケーシング1の内周面およびボウルブッシュ13の外周面に固定されている。
また、回転軸6は、水中軸受12、中間軸受31、および外軸受11により回転自在に支持されている。水中軸受12は、羽根車10の下方に位置しており、回転軸6の下端を支持している。この水中軸受12は、吸込ベルマウス1aの内周面に固定された支持部材15によって支持されている。なお、ボウルブッシュ13の内部には水中軸受は配置されていない。外軸受11は吐出曲管4の上部に設けられ、回転軸6の上部を支持している。中間軸受31は、外軸受11と水中軸受12との間に配置されている。すなわち、中間軸受31は吊下管3内に収容され、回転軸6の中間部を支持している。中間軸受31は軸受ケーシング35内に収容されている。この軸受ケーシング35を支持する支持部材29は、吊下管3の内周面に固定されている。中間軸受31、軸受ケーシング35、および支持部材29は、吊下管3の上端近傍に配置されている。これは、中間軸受31の点検および交換をしやすくするためである。
水中軸受12および中間軸受31は、回転軸6に滑り接触する、いわゆる滑り軸受である。外軸受11は、ラジアル荷重を受けるだけでなく、スラスト荷重を受けることができるように構成されている。外軸受11は、ラジアル荷重およびスラスト荷重の両方を受けることができる1つの軸受であってもよく、またはラジアル荷重を受けることができるラジアル軸受とスラスト荷重を受けることができるスラスト軸受との組み合せであってもよい。
図2に示すように、回転軸6は吐出曲管4から上方に突出している。回転軸6の上端は、自在軸継手45を介して減速機41の駆動軸42に連結されている。さらに減速機41は駆動源43に連結されている。駆動源43としては、ディーゼルエンジン、ガスタービン、モータなどを使用することができる。なお、減速機41が用いられない場合もある。
自在軸継手45は、駆動軸42のトルクを回転軸6に伝達しつつ、軸方向に伸縮することができる継手である。すなわち、自在軸継手45は、トルクを回転軸6に伝達しつつ、回転軸6の変位を吸収することができる。自在軸継手45としては、例えばフローティングシャフトを用いることができる。上述したように、外軸受11は、ラジアル荷重を受けるだけでなく、スラスト荷重を受けることができるので、回転軸6および羽根車10の重さを支えることができる。したがって、回転軸6を駆動する駆動軸42と回転軸6とを連結する継手として、軸方向に伸縮可能な自在軸継手45を採用することが可能となっている。
駆動源43により回転軸6を介して羽根車10を回転させると、水槽5内の水(取扱液)が吸込ベルマウス1aから吸い込まれ、吐出ボウル1b、吊下管3、吐出曲管4を通って吐出配管20に移送される。なお、立軸ポンプの排水運転時は、羽根車10および水中軸受12は、水面よりも下に位置している。
図1に示す従来の立軸ポンプでは、水中軸受508はボウルブッシュ内に収容されているため、立軸ポンプを据え付けた状態で水中軸受508を交換することは難しい。本実施形態においては、羽根車10の下方に水中軸受12を配置しているため、水槽5の内部の水を取り除き、立軸ポンプの下部に作業員が入れば、隙間ゲージなどを用いて水中軸受12の摩耗量や損傷具合を容易に判断することができ、さらには水中軸受12を簡単に交換することができる。
このように、立軸ポンプを引き上げることなく水中軸受12の点検および交換を行うことができるので、立軸ポンプの引き上げに必要な費用を削減することができ、点検および交換時の運転不能時間を大幅に短縮することができる。したがって、ポンプ機場の経済性および信頼性を向上することができる。また、水中軸受12の位置が従来の位置よりも低く、羽根車10の下方に位置するため、ポンプの運転時においては、水中軸受12を確実に没水させることができる。したがって、水中軸受12と回転軸6の間に形成される水膜により、水中軸受12の摩耗を抑制し、水中軸受12の耐久性を向上させることができる。また、水潤滑を必要とするカットレス軸受などの採用も可能となる。
次に、中間軸受31について詳細に説明する。図3は中間軸受31および軸受ケーシング35の縦断面図であり、図4は中間軸受31および軸受ケーシング35の水平断面図である。中間軸受31は軸受ケーシング35の内部に収容されている。中間軸受31は、回転軸6に接触する軸受パッド32と、この軸受パッド32を保持する軸受ホルダー33とを備えている。軸受パッド32は円筒形状を有しており、その内周面は回転軸6を回転自在に支持する軸支持面を構成している。軸受パッド32は、例えば、樹脂、セラミックなどから構成することができる。軸受ホルダー33も円筒形状を有しており、軸受パッド32の上面、下面、および外周面を保持している。軸受ホルダー33は、例えば、鋼鉄から構成される。
軸受ケーシング35は、開口した上端部(以下、開口上端部35aという)を有しており、中間軸受31はこの開口上端部35aから軸受ケーシング35内に挿入される。軸受ケーシング35の開口上端部35aは、上部カバー36により覆われている。この上部カバー36は、ボルト37により軸受ケーシング35に着脱可能に取り付けられている。なお、図3では、ボルト37は、簡略化して図示されている。上部カバー36および軸受ケーシング35の底部には、回転軸6が貫通する通孔36a,35bがそれぞれ形成されている。中間軸受31の外周面(すなわち、軸受ホルダー33の外周面)と軸受ケーシング35の内周面との間には1mm〜10mmの微小な隙間dが形成されている。中間軸受31は、上部カバー36の下面と軸受ケーシング35の底部とによって挟まれており、これにより中間軸受31の位置が固定されている。このように、上部カバー36およびボルト37は、軸受ケーシング35内に収容されている中間軸受31の位置を固定する固定部材として機能する。
図5は中間軸受31の上面図であり、図6は図5のA−A線から見た図である。中間軸受31は、2つの分割体31A,31Bに分割可能に構成されている。分割体31A,31Bの分割面31a,31b,31c,31dは、回転軸6の軸方向(長手方向)に沿って延びており、中間軸受31を軸方向に沿って縦に分割することにより中間軸受31を回転軸6から取り外すことができるようになっている。したがって、回転軸6を分解することなく、または回転軸6を引き上げることなく、中間軸受31を取り外すことができる。同様に、2つの分割体31A,31Bを回転軸6上で組み合わせることにより、中間軸受31を回転軸6に取り付けることが可能となっている。
中間軸受31の摩耗状態を点検するときは、作業員により上部カバー36の通孔36aから中間軸受31を目視により検査するか、あるいは上部カバー36を外して中間軸受31を目視により検査する。中間軸受31を取り外すときは、図7に示すように、上部カバー36を外し、軸受ケーシング35から中間軸受31を上方に引き抜き、中間軸受31を分割することで中間軸受31を回転軸6から取り外す。中間軸受31を取り付けるときは、作業員により中間軸受31の分割体を回転軸6上で組み合わせ、中間軸受31を軸受ケーシング35内に挿入し、そして、上部カバー36を軸受ケーシング35にボルト37で固定することにより、中間軸受31が軸受ケーシング35内に設置される。
図8は、中間軸受31および水中軸受12の摩耗量を測定した結果を示す図である。図8に示す立軸ポンプでは、軸受の摩耗量を比較するために、上述した中間軸受31および水中軸受12のほかに、これら軸受31,12の間に水中軸受16が配置されている。なお、図8は、中間軸受31、水中軸受16、および水中軸受12の摩耗量をそれぞれ3回測定した結果を示している。図8に示す測定結果から分かるように、外軸受11からの距離が大きいほど、軸受の摩耗量が大きい。したがって、耐摩耗性を考慮して、水中軸受12の軸支持面と中間軸受31の軸支持面とは、異なる材料から形成されることが好ましい。ここで、軸支持面とは、回転軸6を支持する面であり、水中軸受12および中間軸受31の内周面が軸支持面を構成している。
摩耗量の大きい(すなわち、軸受に加わる負荷の大きい)水中軸受12では、セラミックスなどの耐摩耗性の優れた材料で軸支持面を構成し、軸受に加わる負荷が少ない中間軸受31では、耐摩耗性よりも分割のための成型性に優れた樹脂(例えばPEEK)で軸支持面を構成することが好ましい。このように、軸受負荷および軸受交換作業に応じてそれぞれの軸受12,31に適切な材料を用いることにより、耐久性および交換作業性の良い立軸ポンプとすることができる。
水中軸受12は、羽根車10の下方であって回転軸6の下端に設けているため、水中軸受12に用いる硬質材料(例えばセラミックス)については、水中軸受12の取り外しに際して分割の必要はない。したがって、水中軸受12の材料の選択においては成型性を考慮しなくてもよい。一般に、セラミックス軸受を使用した場合、ドライ運転中に急に通水(排水)されると、その温度変化によりセラミックス軸受にクラックが生じる場合がある。本実施形態では、水中軸受12はほぼ常時水中に没しているため、水中軸受12にセラミックスを使用してもクラックが生じるおそれがなく、信頼性の高い立軸ポンプとすることができる。
図3に示すように、中間軸受31の外周面と軸受ケーシング35の内周面との間には隙間dが形成されている。したがって、仮に中間軸受31の軸受ホルダー33および/または軸受ケーシング35が錆びてしまった場合でも、中間軸受31を軸受ケーシング35から容易に取り外すことができる。これにより、ポンプ内での軸受交換作業の負担を軽減することができ、作業を容易化し、さらには作業の安全性を向上させることができる。なお、図9に示すように、必要に応じて、中間軸受31の外周面と軸受ケーシング35の内周面とに係合するキー38を設けて、軸受ケーシング35内での中間軸受31の振れおよび回転軸6と中間軸受31のとも回りを防止してもよい。図9に示す例では、中間軸受31の2つの分割体に対応して2つのキー38が設けられている。なお、中間軸受31は、3つ以上の分割体に分割するように構成してもよい。また、図示しないが、回転軸6と中間軸受31のとも回りを防止するために、上部カバー36と軸受ホルダー33をボルト等で固定してもよい。
図10(a)に示すように、軸受ケーシング35の底部に、中間軸受31の下部が嵌合する嵌合穴35cを形成してもよい。嵌合穴35cの深さは1mm以上であることが好ましい。この嵌合穴35cは、軸受ケーシング35の底部上に形成された環状の嵌合段部である。中間軸受31はその下面が軸受ケーシング35の底部に当接するまで該嵌合穴35cに挿入される。嵌合穴35cの径は中間軸受31の外径と実質的に同じであり、また、嵌合穴35cは、回転軸6と同心上に位置している。したがって、中間軸受31の下部を嵌合穴35cに挿入することにより、中間軸受31の位置決め、すなわち中間軸受31と回転軸6との芯合わせが達成される。また、中間軸受31と軸受ケーシング35の底部との錆等による固着を軽減するため、軸受ケーシング35の底部は、図10(b)に示すように、段部35dを有した形状としてもよい。
図11に示すように、軸受ケーシング35と中間軸受31との間の隙間dに液体が侵入しないように、上部カバー36と中間軸受31との間、および軸受ケーシング35の底部と中間軸受31との間に、Oリング等のシール部材39を配置することが好ましい。さらに、この場合、図12に示すように、軸受ケーシング35と中間軸受31との間の隙間dに粘性の高い流体を封入してもよい。このような高粘性流体を隙間dに封入することにより、錆びなどに起因する中間軸受31と軸受ケーシング35との固着をより確実に防止することができる。さらに、高粘性流体により中間軸受31の振動や位置ずれを防止することができる。高粘性流体としては、例えば、グリースや潤滑油を使用することができる。
図13は、中間軸受31および軸受ケーシング35のさらに他の例を示す断面図である。この例では、上部カバー36は設けられていなく、直接ボルト37により中間軸受31が軸受ケーシング35に固定されている。より具体的には、中間軸受31の軸受ホルダー33の上部にはフランジ33aが形成されており、このフランジ33aがボルト37により軸受ケーシング35の上端に連結されている。この例では、中間軸受31の外周面と軸受ケーシング35の内周面との間には隙間は形成されていない。
中間軸受31の外周面(すなわち、軸受ホルダー33の外周面)はテーパー面であり、さらに軸受ケーシング35の内周面もテーパー面である。中間軸受31のテーパー面と軸受ケーシング35のテーパー面とは、互いに対応する形状を有している。すなわち、軸受ホルダー33の外周面の径は、軸受ホルダー33の下端に向かって徐々に小さくなっており、一方、軸受ケーシング35の内周面の径は、軸受ケーシング35の上端に向かって徐々に大きくなっている。したがって、中間軸受31のテーパー面と軸受ケーシング35のテーパー面とは互いに密着している。
中間軸受31を、軸受ケーシング35に上方から挿入すると、それぞれのテーパー面が互いに接触し、これにより中間軸受31の位置決めがなされる。また、中間軸受31および軸受ケーシング35のテーパー面は、中間軸受31を引き上げる際の、中間軸受31と軸受ケーシング35との摺り合い面積を小さくすることができる。したがって、中間軸受31を軸受ケーシング35から容易に取り出すことができる。なお、この例では、軸受ケーシング35内に収容されている中間軸受31の位置を固定する固定部材は、ボルト37によって構成される。
図2に示すように、吐出曲管4と吐出配管20とはルーズフランジ式管継手50を介して連結されている。このルーズフランジ式管継手50について図14を参照して説明する。図14はルーズフランジ式管継手50を示す断面図である。図14に示すように、ルーズフランジ式管継手50は、第1フランジ51aおよび第2フランジ51bを有するフランジ管51と、吐出曲管4の吐出側フランジ(吐出側端部)4bに当接するルーズフランジ53と、フランジ管51とルーズフランジ53との隙間を塞ぐシール部材(例えば、Oリング)54と、シール部材54を保持するシール保持リング55とを備えている。
吐出曲管4の吐出側フランジ(吐出側端部)4b、ルーズフランジ53、およびシール保持リング55は、ボルト56およびナット57,58により互いに固定されている。また、ボルト56は、フランジ管51の第1フランジ51aにナット60,61により固定されている。ボルト56は、いわゆる頭無しボルトである。なお、図14では、1組のボルト56およびナット57,58,60,61のみが示されているが、複数組みのボルトおよびナットにより吐出曲管4とルーズフランジ式管継手50とが連結されている。フランジ管51の第2フランジ51bと吐出配管20のフランジ20aとは図示しないボルトおよびナットで互いに固定されている。
ルーズフランジ53は、フランジ管51に緩やかに嵌合しており、フランジ管51に対して軸方向に移動可能となっている。したがって、フランジ管51とルーズフランジ53との相対位置を変えることにより、ルーズフランジ式管継手50の全体の長さを調節することができる。なお、ルーズフランジ式管継手50は、この例に限らず、他の構造を有するルーズフランジ式管継手を用いてもよい。
次に、中間軸受31の交換方法について詳細に説明する。立軸ポンプが、その内部に作業員が入ることができるほど大きい場合は(例えば、口径1000mm以上)、図15及び図16に示すように、ルーズフランジ式管継手50を、吐出配管20および吐出曲管4から切り離して、吐出曲管4の吐出側開口から作業員が立軸ポンプの内部に進入して中間軸受31の交換を行う。このように、ルーズフランジ式管継手50のみを外すことで、中間軸受31の点検および交換が可能であるので、中間軸受31の点検および交換に要する時間を短縮することができる。交換作業中は、図16に示すように、軸受ケーシング35を支える支持部材29を足場として利用することができる。
なお、中間軸受31の交換時における作業員の転落を防止するために、図17に示すように、ハンドホール19に棒60を挿入し、この棒60に安全ベルトのフックを掛けることが好ましい。この場合、ハンドホール19は、吐出曲管4の両側に形成される。各ハンドホール19の径は150mm以上であることが好ましい。また、交換作業を容易にするために、棒60に投光器を設置してもよい。さらに、棒60にチェーンブロックを設置し、このチェーンブロックにより中間軸受31を軸受ケーシング35から引き上げることも可能であり、これにより作業のさらなる効率化を図ることができる。
図18に示すように、中間軸受31および軸受ケーシング35を吐出曲管4内に配置してもよい。この場合は、軸受ケーシング35を支持する支持部材29は吐出曲管4の内周面に固定される。図19に示すように、吐出配管20にマンホール61を設け、このマンホール61から作業員が立軸ポンプの内部に進入して中間軸受31の交換ができるようにしてもよい。通常は、マンホール61は、着脱可能な蓋62により覆われており、中間軸受31の交換時には蓋62が取り外される。マンホール61の直径は600mm以上であることが好ましい。なお、この場合、図19に示すように、ルーズフランジ式管継手50を省略してもよい。また、ポンプが大容量(口径約2000mm以上)でポンプのハンドホール19が600mm以上である場合は、前記マンホール61は省略してもよい。
さらに、中間軸受31が吊下管3内に配置されている場合、図20に示すように、マンホール61を吊下管3に形成してもよい。マンホール61は、中間軸受31の直ぐ上方に位置しており、作業員は足場65を使ってマンホール61から吊下管3内に進入することができる。図19に示す例と同様に、マンホール61は、通常は着脱可能な蓋62により覆われており、中間軸受31の交換時には蓋62が取り外される。
立軸ポンプが、その内部に作業員が入ることができない小口径ポンプの場合は、図21に示すように、吐出曲管4を取り外すことで中間軸受31の交換を行うことができる。吐出曲管4はポンプベース23に着脱可能な吸込側フランジ4aを有している。したがって、吐出曲管4を、ポンプベース23、吊下管3、およびルーズフランジ式管継手50から切り離すことによって吐出曲管4を立軸ポンプから取り外すことができる。吐出曲管4を取り外すときは、最初に自在軸継手45が回転軸6および駆動軸42から切り離される。このように自在軸継手45が取り外し可能であるので、減速機41および駆動源43を移動または撤去する必要がない。
図22に示すように、ジャッキ63により吐出曲管4を持ち上げて、その状態で中間軸受31の交換を行ってもよい。この例では、吐出曲管4の仮置きスペースが不要であるので、作業スペースに制限がある場合には、この例は有利である。なお、図22に示すジャッキ63を用いる方法は、作業員が内部に入ることができる大口径ポンプにも適用することができる。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
1 ガイドケーシング
1a 吸込ベルマウス
1b 吐出ボウル
2 ポンプケーシング
3 吊下管
4 吐出曲管
5 水槽
6 回転軸
10 羽根車
11 外軸受
12 水中軸受
13 ボウルブッシュ
14 ガイドベーン
19 ハンドホール
20 吐出配管
22 ポンプ据付床
23 据付用ベース
24 ポンプ挿通孔
31 中間軸受
32 軸受パッド
33 軸受ホルダー
35 軸受ケーシング
36 上部カバー
37 ボルト
41 減速機
42 駆動源
42 駆動軸
45 自在軸継手
50 ルーズフランジ式管継手

Claims (5)

  1. 羽根車と、
    前記羽根車が収容され、ガイドベーンが内部に配置されたガイドケーシングと、
    前記ガイドケーシングを水槽内に吊下げる吊下管と、
    前記吊下管の上端に接続される吐出曲管と、
    前記吐出曲管および前記吊下管を通って延び、前記羽根車が固定される回転軸と、
    前記吐出曲管の上部に配置された外軸受と、
    前記羽根車の下方に配置された水中軸受と、
    前記外軸受と前記水中軸受との間に配置された中間軸受と、
    前記中間軸受が収容され、開口した上端部を有する軸受ケーシングと
    前記回転軸と、該回転軸を駆動するための駆動軸とを連結する自在軸継手と、を備え、
    前記中間軸受は、軸受パッドと、前記軸受パッドを保持する軸受ホルダーとを備え、
    前記軸受パッドと前記軸受ホルダーとは、回転軸の軸方向に沿って分割可能な複数の分割体から構成されており、
    前記自在軸継手は、前記駆動軸のトルクを前記回転軸に伝達しつつ、軸方向に伸縮可能に構成されており、
    前記外軸受は、前記回転軸のラジアル荷重およびスラスト荷重を受けることが出来るように構成されていることを特徴とする立軸ポンプ。
  2. 前記中間軸受の外周面と前記軸受ケーシングの内周面との間には隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の立軸ポンプ。
  3. 前記軸受ケーシングの底部には、前記中間軸受の下部が嵌合する嵌合穴が形成されており、前記嵌合穴は前記回転軸と同心上に位置していることを特徴とする請求項2に記載の立軸ポンプ。
  4. 前記軸受ホルダーの外周面と前記軸受ケーシングの内周面とに係合するキーが設けられることを特徴とする請求項2または3に記載の立軸ポンプ。
  5. 前記隙間には、高粘性流体が封入されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の立軸ポンプ。
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