以下に添付図面を参照して、本発明に係るポンプ吊上げ治具、ポンプ吊上げ方法、ポンプ分解方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本実施例のポンプを表す縦断面図、図2は、ケーシングとディフューザの位置決め構造を表す図1のII−II断面図、図3は、本実施例のポンプ吊上げ治具の正面図、図4は、ポンプ吊上げ治具の側面図、図5は、本実施例のポンプ分解方法を表すフローチャート、図6から図12は、本実施例のポンプ分解方法を表す概略図、図13は、ポンプ吊上げ治具の変形例を表す正面図、図14は、ポンプ吊上げ治具の側面図である。
本実施例において、図1に示すように、本実施例の立軸ポンプ10は、吸込口11と吐出口12が設けられるケーシング13と、ケーシング13に設けられるガイド部14と、ケーシング13内に配置される回転軸15と、回転軸15に固定される羽根車16と、流通部17とを有している。
ケーシング13は、円筒形状をなし、上部ケーシング21と中部ケーシング22と下部ケーシング23とが鉛直方向に沿って直列に配置されて構成される。そして、上部ケーシング21の下部フランジ21bと中部ケーシング22の上部フランジ22aとが複数のボルト(ナット)24により接合され、中部ケーシング22の下部フランジ22bが下部ケーシング23の上部フランジ23aとが複数のボルト(ナット)25により接合されている。図1に示すように、本実施例の立軸ポンプ10において、中部ケーシング22と下部ケーシング23は内径がほぼ同寸法であり、上部ケーシング21は中部ケーシング22及び下部ケーシング23に対して内径が若干大きい寸法となっている。
このケーシング13は、取付台1に形成された取付孔2に鉛直方向に沿って配置され、上部ケーシング21の上部フランジ21aを用いて吊下げ支持され、複数のボルト26によりシール材27を介して固定されている。なお、上部ケーシング21は、外周部と上部フランジ21aとを連結する補強リブ21cが周方向に所定間隔で複数設けられている。
そして、ケーシング13は、下部ケーシング23の下端側に吸込ベル28が固定されることで、吸込口11が形成されている。吸込ベル28は、吸込側(下方)に向けて大径となるベルマウス形状をなしており、上端部が下部ケーシング23の下部フランジ23bに複数のボルト(ナット)29により接合されている。また、ケーシング13は、中部ケーシング22にエルボ配管部30が一体に形成されることで、側部に吐出口12が形成されている。このエルボ配管部30は、下部ケーシング23により形成されたほぼ鉛直方向に沿う第1流路Aからほぼ直角に湾曲する第2流路Bを形成するものである。そして、エルボ配管部30は、中部ケーシング22の側方に突出する端部が最終的にほぼ水平となり、フランジ部30aに排出管31が複数のボルト32により連結されている。なお、エルボ配管部30は、外周部に軸方向に沿う補強リブ30bが周方向に所定間隔で複数設けられている。
ガイド部14は、ケーシング13の吸込口11から吸い込んだ流体を吐出口12に向けて案内可能とするものである。このガイド部14は、エルボ配管部30と共に第2流路Bを形成するものである。即ち、第2流路Bは、エルボ配管部30における湾曲方向の内側に位置する内側案内面F1と、エルボ配管部30における湾曲方向の外側に位置する第1外側案内面F2と、ガイド部14における湾曲方向の外側に位置する第2外側案内面F3とにより構成されている。図1に示すように、ガイド部14は、このガイド部14の第2外側案内面F3がエルボ配管部30の第1外側案内面F2と第2流路Bの流れ方向に沿って段差なく滑らかに連続するように配置されている。また、ガイド部14の第2外側案内面F3は、周方向にも湾曲し、中部ケーシング22(エルボ配管部30)の内面と周方向に沿って段差なく滑らかに連続するように配置されている。
ガイド部14は、上部に中部ケーシング22より小径の取付筒33が一体に形成されている。この取付筒33は、上部フランジ33aが形成されると共に、上部フランジ33aの外周部に垂下する嵌合部33bが形成されている。また、ガイド部14と取付筒33及び上部フランジ33aとの間に補強リブ33cが形成され、この補強リブ33cは、取付筒33の周方向に所定間隔で複数設けられている。そして、取付筒33は、上部フランジ33aが中部ケーシング22の上部フランジ22a上に載置されると共に、嵌合部33bが中部ケーシング22の内周面に嵌合し、上部フランジ33aが上部フランジ22aに複数のボルト34により接合されている。
この場合、ガイド部14は、ケーシング13に形成された上部開口13aを通してこのケーシング13内に搬入可能であると共に、ケーシング13内から上部開口13aを通してケーシング13外に搬出可能となっている。即ち、ガイド部14は、中部ケーシング22に対して複数のボルト34により取付及び取外が可能であり、上方から搬入及び上方へ搬出可能である。そのため、ガイド部14は、上部フランジ33aに複数の吊金具35が設けられている。
ケーシング13は、上端部に上部ケーシング21の上部開口13aを閉塞するカバー41が設けられている。このカバー41は、円板形状をなし、外周部が上部ケーシング21の上部フランジ21aに載置され、複数のボルト42により固定されている。カバー41は、中央部に円形状をなす開口が形成され、支持筒43の上端部が嵌合している。この支持筒43は、上部支持筒44と下部支持筒45が連結筒46により連結されて構成され、複数のボルト(図示略)により接合されている。そして、支持筒43は、上部支持筒44に接合された嵌合筒47がカバー41の開口に嵌合している。
また、支持筒43は、下端部にディフューザ(静翼)51が固定されている。このディフューザ51は、第1ディフューザ52と第2ディフューザ53とから構成されている。第1ディフューザ52は、それぞれリング形状をなす本体52aと内部ケーシング52bと外部ケーシング52cとからなり、本体52aと内部ケーシング52bが上端部で連結され、内部ケーシング52bと外部ケーシング52cが複数の連結リブ52dにより連結されている。第2ディフューザ53は、それぞれリング形状をなす内部ケーシング53aと外部ケーシング53bとからなり、内部ケーシング53aと外部ケーシング53bが複数の連結リブ53cにより連結されている。
第1ディフューザ52は、本体52aの上端部が支持筒43における下部支持筒45の下端部に接合されると共に、外部ケーシング52cが下部ケーシング23の内周面に嵌合している。この場合、第1ディフューザ52は、下部ケーシング23の下端部の内周壁に沿って配置されており、図2に示すように、両者の間に位置決め部材が介装されている。この位置決め部材は、第1ディフューザ52の外部ケーシング52cの外周部に形成された凸部54と下部ケーシング23の内周部に形成された溝部55とで構成され、凸部54と溝部55は、鉛直方向に沿って相対移動自在であるが、水平な周方向に沿って相対移動不能となっている。なお、この位置決め部材(凸部54と溝部55)は、1つでもよく、また、複数であってもよい。また、第1ディフューザ52の外周部に溝部を形成し、下部ケーシング23の内周部に凸部を形成してもよい。また、位置決め部材は、凸部と溝部に限るものではなく、第1ディフューザ52と下部ケーシング23とを相対回転不能に位置決めできる形状であればよい。
また、第2ディフューザ53は、外部ケーシング53bの下端部が第1ディフューザ52における外部ケーシング52cの上端部に複数のボルト(ナット)56により連結されている。そして、この第2ディフューザ53は、外部ケーシング53bのフランジ部53dが下部ケーシング23の内周面に嵌合している。そのため、ディフューザ51における内部ケーシング52b,53aと外部ケーシング52c,53bとの間に第1流路Aが形成される。
図1に示すように、第1ディフューザ52は、上方に向けて内部ケーシング52b及び外部ケーシング52cの径が小さくなるものの、第1流路Aの通路断面積が大きくなっている。一方、第2ディフューザ53は、上方に向けて外部ケーシング53bの径が大きくなることで、第1流路Aの通路断面積が大きくなっている。そして、第2ディフューザ53は、上端部がエルボ配管部30及びガイド部14に滑らかに連続している。即ち、第2ディフューザ53の流体案内面F4の端部と、ガイド部14の第2外側案内面F3の端部が、中部ケーシング22の径方向におけるほぼ同位置に配置されている。
支持筒43は、図2に示す下端部に固定されたディフューザ51(第1ディフューザ52)の凸部54が下部ケーシング23の溝部55に嵌合することで周方向に回転不能に支持されている。また、支持筒43は、凸部54の下端が下部ケーシング23に当接している。そして、支持筒43は、カバー41に螺合する複数のボルト57の下端部が嵌合筒47のフランジ47aを下方へ押圧支持している。そのため、支持筒43は、ケーシング13に対して軸方向の位置決めがなされる。
また、カバー41は、開口41aにシールボックス61が挿通されている。このシールボックス61は、円筒部62の外側にフランジ部63が一体に形成されてなり、円筒部62の下部が支持筒43の嵌合筒47の内部に所定隙間をもって挿通されている。そして、シールボックス61は、フランジ部63が複数のボルト64によりカバー41に固定されている。
支持筒43は、内部に回転軸15が配置されている。この回転軸15は、3個の軸受71a,71b,71cにより支持筒43に回転自在に支持されている。この場合、回転軸15は、各軸受71a,71b,71cの隙間により支持筒43に対して所定距離だけ軸方向に相対移動可能となっている。そして、回転軸15は、上部回転軸72と下部回転軸73が連結部74により連結されて構成されている。但し、回転軸15は、分割せずに、一体的に形成してもよい。そして、軸受71aは、シールボックス61の円筒部62内に装着され、軸受71bは、軸受箱を兼ねる連結筒46内に装着され、軸受71cは、第1ディフューザ52の本体52a内に装着される。
回転軸15は、下端部に羽根車16が一体回転可能に固定されている。この羽根車16は、本体75が回転軸15の下端部にキー15aを介して嵌合し、ボルト76により固定され、キャップ77によりボルト76が覆われている。また、羽根車16は、傘形状をなすケーシング78が一体に形成され、上端部が第1ディフューザ52における内部ケーシング52bの下端部にケーシングリング79を介して相対回転自在に嵌合している。そして、羽根車16は、ケーシング78の外周部に複数の翼80が周方向に等間隔で設けられている。この各翼80は、第1流路Aに配置される。
この場合、ケーシング13と回転軸15と支持筒43は同心状に配置されている。そして、回転軸15と羽根車16と支持筒43とディフューザ51は、ケーシング13に対して、上方から取付可能であると共に、上方へ取り外し可能となっている。
シールボックス61は、円筒部62の上部内周面にシール部材(例えば、グランドパッキン)81が装着されており、蓋部材82により支持されている。このシール部材81は、回転軸15の外周面とシールボックス61(支持管43)の内周面との間をシールする。そして、シールボックス61は、円筒部62に冷却材(冷却水)を供給する冷却材供給口(冷却材供給部)83が形成され、この冷却材供給口83に冷却材供給ライン84が連結されている。なお、冷却材供給ライン84は、シール部材81にも供給される。一方、羽根車16は、ケーシング78に複数の冷却材排出口(冷却材排出部)85が形成されている。そのため、冷却材供給ライン84から冷却材供給口83に供給された冷却材は、回転軸15と支持管43との間を下降し、軸受71a,71b,71cを冷却した後、羽根車16の冷却材排出口85から外部に排出される。
ガイド部14は、吸込口11から吸い込んだ流体をケーシング13からガイド部14より上方の空間部Cに流通可能な流通部17が設けられている。この流通部17は、ガイド部14に回転軸15及び支持筒43と同心位置に形成された開口部であり、この開口部と支持筒43との間の隙間として確保されている。また、この空間部Cの空気をケーシング13の外部に排出可能なベントライン86が設けられている。このベントライン86は、空間部Cからカバー41を通してケーシング13の外部に連通しており、図示しないが、所定の圧力で開放するリリーフ弁が設けられている。
回転軸15は、上端部に軸継手91を介して駆動装置(モータ及び減速機)92の駆動軸93が駆動連結されている。この駆動装置92は、軸継手91を囲うようにカバー41に固定された取付台94に支持されている。
なお、本実施例では、回転軸15が上部回転軸72と下部回転軸73と連結部74により構成されて十分に長いことから、振れ止め部材を設けてもよい。即ち、図3に示すように、支持筒43を構成する連結筒46(軸受71b)をガイド部材14における取付筒33の外周側に径方向に対向するように配置する。そして、連結筒46と取付筒33との間に補強リブ96を設けている。この補強リブ96は、連結筒46と取付筒33とを連結するものであり、周方向に所定間隔で複数設けられている。この場合、連結筒46や補強リブ96をガイド部材14よりも上方に配置することで、第2流路Bにおける流体の流れを乱すことがない。
従って、駆動装置92を駆動すると、回転力が軸継手91を介して回転軸15に伝達され、この回転軸15が回転する。すると、回転軸15の先端部に固定された羽根車16が回転し、ケーシング13内の圧力、つまり、第1流路Aの圧力が上昇することで、流体が吸込口11からケーシング13内に吸い込まれる。そして、ケーシング13内に吸い込まれた流体は、第1流路Aを鉛直方向における上方に流れ、ディフューザ51により圧力が低下された後、ガイド部14により案内されることで第2流路Bを水平方向に流れ、吐出口12から排出管31に吐出される。
ケーシング13内に吸い込まれた流体は、ガイド部14に案内されて流れるとき、流通部17からガイド部14より上方の空間部Cに流通し、ケーシング13内における流体の液面が上昇する。このとき、空間部Cの圧力が上昇するが、この空間部Cの空気がベントライン86を通してケーシング13外に排出されるため、ケーシング13内の圧力上昇が抑制され、ケーシング13内における流体のハンチングが抑制される。そのため、ケーシング13内に吸い込まれた流体は、第1流路Aからガイド部14に案内されて第2流路Bを流れるとき、流通部17に流体が満たされていることで、ガイド部14により流れが乱されることなく適正に案内されることとなる。
このように構成された本実施例の立軸ポンプ10では、回転軸15や羽根車16などのメンテナンス時、分解して各構成部材を外部に取り出すことができる。この場合、本実施例では、吊具により回転軸15を吊上げるとき、吊上げ治具を用いる。
図3及び図4に示すように、ポンプ吊上げ治具100は、取付板101と押え部材102とボルト103と連結部材104とを有している。一方、回転軸15は、上端部に段付部15bが形成されることで、外径より小さい小径部15cが形成され、端面にねじ穴15dが形成されている。
取付板101は、平面視が矩形状をなし、角部が面取りされた形状をなしている。この取付板101は、中央部の第1取付上面部111が、左右両側部の各第2取付上面部112に対して所定寸法だけ低く形成されている。そして、第1取付上面部111は、取付板101における中央部に嵌合穴113が形成されている。この嵌合穴113は、回転軸15の上端部が嵌合可能となっている。即ち、取付板101は、下方から回転軸15の小径部15cが嵌合し、段付部15bが下面に当接可能となっている。
押え部材102は、嵌合穴113からの回転軸15の脱落を阻止するものである。この押え部材102は、平面視が矩形状をなすと共に、断面が下向きコ字形状をなしている。押え部材102は、平坦な上面部121と、この上面部121の両側から垂下する左右の側面部122とから構成され、上面部121に貫通孔123が形成されている。そして、押え部材102は、嵌合穴113より大径に形成されている。ボルト103は、頭部124とねじ部125を有し、頭部124の外径が押え部材102の貫通孔123より大きく設定され、ねじ部125の外径が貫通孔123より小さく設定され、回転軸15のねじ穴15dに螺合可能となっている。
連結部材104は、平板形状をなし、取付板101における左右の第2取付上面部112にそれぞれ溶接により固定されている。各連結部材104は、嵌合穴113の両側にそれぞれ配置され、互いに平行をなすと共に、取付板101とほぼ直交をなすように立設されている。各連結部材104は、同位置に連結孔131が形成され、吊具における連結部材としてのシャックル132が連結軸133により連結されている。この各シャックル132は、吊具としてのワイヤロープ(または、チェーンなど)134が連結されている。
従って、取付板101の嵌合穴113に対して下方から回転軸15の小径部15cを嵌合し、段付部15bを取付板101の下面に当接することで、取付板101に対する回転軸15の位置決めを行う。そして、取付板101の嵌合穴113に回転軸15の小径部15cが嵌合した状態で、取付板101の上方から押え部材102を回転軸15の端面に接触するように第1取付上面部111に載置し、ボルト103を上方から押え部材102の貫通孔123を通して回転軸15のねじ穴15dに螺合する。そのため、回転軸15の上端部にポンプ吊上げ治具100を固定することができ、各連結部材104に連結されたシャックル132を介して2本のワイヤロープ134により回転軸15を吊上げることができる。
なお、本実施例の吊上げ治具は、この構成に限定されるものではない。例えば、図13及び図14に示すように、ポンプ吊上げ治具150は、取付板151と押え部材152とボルト153と連結部材154とを有している。
取付板151は、平面視が矩形状をなし、角部が面取りされた形状をなしている。この取付板151は、中央部に嵌合穴161が形成されている。この嵌合穴161は、回転軸15の上端部が嵌合可能となっている。即ち、取付板151は、下方から回転軸15の小径部15cが嵌合し、段付部15bが下面に当接可能となっている。この場合、取付板151は、下面に回転軸15の外径より大きい凹部162が形成されており、回転軸15の段付部15bがこの凹部162に当接する。
押え部材152は、嵌合穴161からの回転軸15の脱落を阻止するものである。この押え部材152は、矩形の平板形状をなし、嵌合穴161より大径に形成されている。押え部材152は、中央部に貫通孔171が形成されている。ボルト153は、頭部172とねじ部173を有し、頭部172の外径が押え部材152の貫通孔171より大きく設定され、ねじ部173の外径が貫通孔171より小さく設定され、回転軸15のねじ穴15dに螺合可能となっている。
連結部材154は、平板形状をなし、両側部にほぼ直交する方向に沿う板形状の補強部材181がそれぞれ固定されている。連結部材154は、嵌合穴161の中心軸心を通るように取付板151の左右方向に沿って配置されている。そして、この連結部材154は、取付板151にほぼ直交する方向に沿って配置され、各補強部材181と共に取付板151に溶接により固定されている。連結部材154は、連結孔182が形成され、吊具における連結部材としてのシャックル183が連結軸184により連結されている。このシャックル183は、吊具としてのワイヤロープ(または、チェーンなど)185が連結されている。
従って、取付板151の嵌合穴161に対して下方から回転軸15の小径部15cを嵌合し、段付部15bを取付板151の下面に当接することで、取付板151に対する回転軸15の位置決めを行う。そして、取付板151の嵌合穴161に回転軸15の小径部15cが嵌合した状態で、取付板151の上方から押え部材152を回転軸15の端面に接触するように載置し、ボルト153を上方から押え部材152の貫通孔171を通して回転軸15のねじ穴15dに螺合する。そのため、回転軸15の上端部に吊上げ治具150を固定することができ、連結部材154に連結されたシャックル183を介して1本のワイヤロープ185により回転軸15を吊上げることができる。
ここで、本実施例の立軸ポンプ10の分解(解体)方法(吊上げ方法)について説明する。
ポンプ10の分解方法(吊上げ方法)において、図5及び図6に示すように、ステップS11にて、ケーシング13から駆動装置92を取外す。即ち、まず、駆動装置92における複数の吊金具にワイヤロープ134を介して吊具202を連結する。次に、取付台94に対する駆動装置92の固定を解除すると共に、軸継手91の連結を解除(軸継手91a,91bを分離)する。そして、図示しないクレーンからのワイヤロープ201により吊具202及びワイヤロープ134を介して駆動装置92を吊上げ、所定の位置まで搬送する。
駆動装置92が取外されると、図5及び図7に示すように、ステップS12にて、取付台94を取外す。即ち、まず、取付台94における複数の吊金具にワイヤロープ134を介して吊具202を連結する。次に、ボルトを弛緩して取付台94の固定を解除する。そして、図示しないクレーンからのワイヤロープ201により吊具202及びワイヤロープ134を介して取付台94を吊上げ、所定の位置まで搬送する。続いて、ステップS13にて、回転軸15の上端部に固定されていた軸継手91aを取外し、取付台94と同様に吊上げて所定の位置まで搬送する。続いて、ステップS14にて、ボルト64を弛緩してシールボックス61の固定を解除し、取付台94及び軸継手91aと同様に吊上げて所定の位置まで搬送する。
シールボックス61が取外されると、図5及び図8に示すように、ステップS15にて、カバー41を取外す。即ち、まず、カバー41における複数の吊金具にワイヤロープ134を介して吊具202を連結する。次に、ケーシング13に対するカバー41の固定を解除する。そして、図示しないクレーンからのワイヤロープ201により吊具202及びワイヤロープ134を介してカバー41を吊上げ、所定の位置まで搬送する。
カバー41が取外されると、図5及び図9に示すように、ステップS16にて、ガイド部14を取外す。即ち、まず、ガイド部14における複数の吊金具35にワイヤロープ134を介して吊具202を連結する。次に、ボルト34を弛緩してケーシング13に対するガイド部14の固定を解除する。そして、図示しないクレーンからのワイヤロープ201により吊具202及びワイヤロープ134を介してガイド部14を吊上げ、所定の位置まで搬送する。
ガイド部14が取外されて外部に搬出されると、図5及び図10に示すように、ステップS17にて、回転軸15、支持管43、羽根車16、ディフューザ51を取外す。即ち、まず、回転軸15の上端部にポンプ吊上げ治具100を固定する。図3及び図4に示すように、回転軸15の小径部15cに取付板101の嵌合穴113を嵌合し、段付部15bに取付板101を当接した状態で、押え部材102を載置し、ボルト103を押え部材102の貫通孔123を通して回転軸15のねじ穴15dに螺合する。次に、吊上げ治具100の各連結部材104にシャックル132を介して2本のワイヤロープ134を連結する。そして、図示しないクレーンからのワイヤロープ201により回転軸15を吊上げる。すると、この回転軸15に連結されている支持管43、羽根車16、ディフューザ51を吊り上げることができ、回転軸15、支持管43、羽根車16、ディフューザ51を外部に搬出する。
回転軸15を吊上げて支持管43、羽根車16、ディフューザ51を一緒に外部に搬出するとき、図5及び図11に示すように、ステップS18にて、回転軸15を横倒しにして羽根車16やディフューザ51などをメンテナンスする。即ち、所定の位置に設置された横倒し治具211は、三角形状をなし、羽根車16の下部を支持可能となっている。そのため、回転軸15、支持管43、羽根車16、ディフューザ51を吊上げてケーシング13から搬出すると、この横倒し治具211に羽根車16を支持させる。そして、図12に示すように、クレーンを水平移動すると共に加工することで、回転軸15を横倒しする。この状態で、回転軸15、支持管43、羽根車16、ディフューザ51などのメンテナンスを行う。
その後、回転軸15、支持管43、羽根車16、ディフューザ51などをメンテナンスした後、前述した逆の手順により、回転軸15、支持管43、羽根車16、ディフューザ51、ガイド部14、カバー41、シールボックス61、軸継手91、取付台94、駆動装置92をケーシング13に取付ける。
このように本実施例のポンプ吊上げ治具にあっては、鉛直方向に沿って配置されて下端側に吸込口11が設けられると共に側部に吐出口12が設けられるケーシング13と、ケーシング13内に鉛直方向に沿って配置されて回転自在に支持される回転軸15と、回転軸15の下端部に固定される羽根車16とを有するポンプ10を吊上げるポンプ吊上げ治具100(150)において、回転軸15の上端部が嵌合可能な嵌合穴113(161)が形成された取付板101(151)と、嵌合穴113(161)からの回転軸15の脱落を阻止する押え部材102(152)と、取付板101(151)に固定されると共にシャックル132(183)が連結可能な連結部材104(154)とを設けている。
従って、回転軸15の小径部15cを取付板101(151)の嵌合穴113(161)に嵌合し、押え部材102(152)により嵌合穴113(161)からの回転軸15の脱落を阻止した状態で、連結部材104(154)にシャックル132(183)を連結し、ワイヤロープ134(185)により上昇させることで、吊上げ治具100(150)を介して回転軸15を吊上げることができる。その結果、ケーシング13から回転軸15及び羽根車16などを容易に外部に輸送可能とし、可動部としての羽根車16のメンテナンス性を向上することができる。
本実施例のポンプ吊上げ治具では、押え部材102(152)を取付板101(151)の嵌合穴113(161)より大径に形成し、回転軸15が嵌合穴113(161)に嵌合する側の反対側から回転軸15の端面に押え部材102(152)を配置し、ボルト103(153)により固定可能としている。従って、簡単な構成で押え部材102(152)により嵌合穴113(161)からの回転軸15の脱落を容易に阻止することができる。
本実施例のポンプ吊上げ治具では、連結部材104を嵌合穴113の両側にそれぞれ配置して取付板101に固定し、各連結部材104にシャックル132をそれぞれ連結している。従って、2つの連結部材104と取付板101とがほぼ直交する方向に配置されて固定されることとなり、吊上げ治具100における十分な強度を確保することができる。即ち、シャックル132により吊上げ治具100を介して回転軸15を吊上げ、横倒しにするとき、回転軸15及び吊上げ治具100は、シャックル132との連結軸133を支点として回動する。そのため、吊上げ治具100は、各連結部材104の厚さ方向ではなく、平面方向に応力が作用することとなり、破損が防止される。その結果、吊上げ治具100の耐久性を向上することができると共に、回転軸15を安定して吊上げることができる。
本実施例のポンプ吊上げ治具では、連結部材154の両側部にほぼ直交する方向に沿う補強部材181をそれぞれ固定し、この連結部材154を嵌合穴161の中心軸心を通るように取付板151にほぼ直交する方向に沿って配置し、連結部材154と補強板181を取付板151に固定し、連結部材154にシャックル183を連結している。従って、連結部材154と補強部材181と取付板151がほぼ直交する方向に配置されて固定されることとなり、吊上げ治具150における十分な強度を確保することができる。即ち、シャックル183により吊上げ治具150を介して回転軸15を吊上げ、横倒しにするとき、回転軸15及び吊上げ治具150は、連結部材154の厚さ方向または平面方向に応力が作用することとなるが、連結部材154が補強部材181により補強されているため、破損が防止される。その結果、吊上げ治具150の耐久性を向上することができると共に、回転軸15を安定して吊上げることができる。
本実施例のポンプ吊上げ治具では、回転軸15は、上端部に段付部15bを形成することで小径部15cを形成し、嵌合穴113(161)に小径部15cを嵌合可能とし、取付板101(151)の下面に段付部15bを当接可能としている。従って、回転軸15と取付板101(151)をがたつきなく一体で、且つ、所定の位置で連結することができる。
また、実施例のポンプ吊上げ方法にあっては、回転軸15の上端部に吊上げ治具100,150を固定する工程と、吊上げ治具100,150にシャックル132,183を連結する工程と、シャックル132,183に連結されたワイヤロープ134,185により吊上げ治具100,150を介して回転軸15を吊上げることで回転軸15と羽根車16をケーシング13から抜き取る工程とを設けている。従って、ケーシング13から回転軸15及び羽根車16を容易に輸送可能としてメンテナンス性を向上することができる。
また、実施例のポンプ分解方法にあっては、ケーシング13の上部から駆動装置92を吊上げて取外す工程と、ケーシング13の上部からカバー41を吊上げて取外す工程と、ケーシング13からガイド部14を吊上げて取外す工程と、回転軸15の上端部に吊上げ治具100,150を固定する工程と、吊上げ治具100,150にシャックル132,183を連結する工程と、シャックル132,183に連結されたワイヤロープ134,185を介して回転軸15を吊上げることで回転軸15と羽根車16をケーシング13から抜き取る工程とを設けている。従って、ケーシング13から回転軸15及び羽根車16を容易に抜き取り可能としてメンテナンス性を向上することができる。
本実施例のポンプ分解方法では、吊上げ治具100,150を介して回転軸15を吊上げることで回転軸15と羽根車16とディフューザ51をケーシング13から抜き取る。従って、ケーシング13から回転軸15及び羽根車16に加えてディフューザ51も容易に抜き取り可能として更なるメンテナンス性を向上することができる。
本実施例のポンプ分解方法では、回転軸15と羽根車16をケーシング13から抜き取った後、所定の位置に設置された横倒し治具211により羽根車16を支持し、回転軸15を横転させる。従って、ケーシング13から抜き取った回転軸15及び羽根車16を横倒し治具211により横転させることとなり、回転軸15及び羽根車16を容易にメンテナンスすることができる。
なお、上述した実施例では、支持管43の下端部にディフューザ51を固定し、このディフューザ51を位置決め部材としての凸部54と溝部55によりケーシング13に周方向に回転不能に支持したが、この構成に限定されるものではない。例えは、ケーシングの下端部にディフューザを固定し、支持管の下端部を位置決め部材によりディフューザに周方向に回転不能に支持してもよい。即ち、ディフューザ51を支持管43側でもケーシング13側でもいずれの側に固定してもよい。
また、本発明のポンプ吊上げ治具、ポンプ吊上げ方法、ポンプ分解方法は、回転軸15を吊上げるものであることから、上述した実施例で説明した構成のポンプに限定されるものではない。
また、上述した実施例では、2点吊りの吊上げ治具100または1点吊りの吊上げ治具150としたが、3点以上吊りの吊上げ治具としてもよい。