JP5670813B2 - 非水二次電池用電解液及び二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、有機溶媒を含む非水二次電池用電解液、およびそれを用いた二次電池に関する。
昨今、注目を集めているリチウムイオン電池と呼ばれる二次電池は、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)と、リチウムの析出および溶解を利用する二次電池(いわゆるリチウム金属二次電池)とに大別される。これらは、鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られる。この特性を利用して、近年、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及している。その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、ポータブル電子機器の電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度が得られる二次電池の開発が進められている。
リチウムイオン二次電池やリチウム金属二次電池(以下、これらを総称して単にリチウムイオン二次電池ということがある。)の電解液としては、炭酸プロピレンあるいは炭酸ジエチルなどの炭酸エステル系の溶媒と、六フッ化リン酸リチウムなどの電解質塩との組み合わせが広く用いられている。導電率が高く、電位的にも安定だからである。
電解液の組成に関して、サイクル特性などの改善を目的として、電解液中に各種添加剤を含有させる技術が提案されている。例えば、添加剤としては、テトラメトキシシランなどのシリコンアルオキシド(例えば、特許文献1)や、トリアルキルシリル基とエーテル結合とが連結された基(RSi−O−)を有する特定のシリルエステル化合物等(例えば、特許文献2等)や、トリアルキルシリル基(RSi−)を有するシラン化合物(例えば、特許文献3参照)、カーボネート基を有するケイ素化合物(例えば、特許文献4参照)が用いられている。
特開2001−266938号公報 特開2002−359001号公報 特開2006−216553号公報 特開2007−87935号公報
最近のポータブル電子機器は益々高性能化および多機能化しており、それに伴って二次電池の充放電が頻繁に繰り返される傾向にあるため、サイクル特性が低下しやすい傾向にある。また、使用環境の一層の多様化が予想され、これに対応した性能の向上が課題となる。これに対応するために、二次電池のサイクル特性に関して、より一層の向上が望まれている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、高いサイクル特性と、低温特性を備え、自己放電が少なく保存安定性に優れた非水電解液およびこれを用いた二次電池を提供することにある。
発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究の結果、特定の構造のシラン化合物を含有することでサイクル特性を向上させ、低温放電率が高く、自己放電を少なくすることが可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記の手段を有する。
〔1〕周期律表第一族または第二族に属する金属のイオンもしくはそれを含む金属塩と、下記一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物 0.005〜10質量%とを、有機溶媒中に含有することを特徴とする非水二次電池用電解液。
Figure 0005670813
(上記一般式(1)及び一般式(2)中、Rはアルキル基を表す。Rはアルキル基、アルケニル基、又は−OR基を表す。複数存在する、R及びRは互いに同じでも異なっていてもよい。Rの少なくとも1つは下記一般式(4)または(5)で表される置換基である。RまたはRは、互いに連結し環を形成してもよい。)
Figure 0005670813
(上記一般式(4)または一般式(5)中、Rはアルキル基を表す。Rは水素原子、アルキル基、またはアルケニル基を表す。m3は1から5の整数を表す。m4は0または1を表す。m5は0から5の整数を表し、m5が0のときm4も0である。*は、上記ケイ素化合物のSiとの結合位置を示す。)
〔2〕上記Rの基の炭素数が1から10である〔1〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔3〕上記Rの基の炭素数が1から10である〔1〕または〔2〕に記載の非水二次電池用電解液。
〔4〕上記Rの基の炭素数が1から10である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔5〕上記Rが水素原子または炭素数が1から10の基である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔6〕上記一般式(1)及び一般式(2)中の、上記一般式(4)または(5)で表される置換基を有する基の数が、1又は2である〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔7〕上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(10)または一般式(13)で表されることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
Figure 0005670813
(上記一般式(10)中、Rはアルキル基を表し、Rはアルキル基、または−OR基を表す。Rは、下記一般式(11)又は一般式(12)を表す。)
Figure 0005670813
(上記一般式(11)及び(12)中、m8は1から3の整数を表し、m6は0または1を表し、m7は0から2の整数を表し、m7が0のときm6も0である。Rは、アルキル基を表す。*は、上記ケイ素化合物のSiとの結合位置を示す。)
Figure 0005670813
(上記一般式(13)中のR、R、及びRは、上記一般式(1)及び(2)と同義である。ただし、Rが一般式(4)または(5)で表される置換基を有する基であることはない。)
〔8〕上記置換基Rが一般式(4)または(5)で表される置換基を有する基でないとき、これらの基が、メチル基、エチル基、エテニル基、又は2−プロペニル基であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔9〕上記置換基Rが、無置換のアルキル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔10〕上記置換基Rが、メチル基又はエチル基であることを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔11〕上記周期律表第一族または第二族に属する金属のイオンを含む金属塩がリチウム塩である〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
〔12〕〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液と、上記周期律表第一族または第二族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な正極と、上記イオンの挿入放出または溶解析出が可能な負極とを備える二次電池。
本発明の非水電解液は、これを備えた二次電池において、電解液の分解が抑制されてサイクル特性を向上し、内部抵抗の減少により低温特性を向上し、正極を安定化することで自己放電を抑制するという優れた作用効果を奏する。
本発明の好ましい実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を模式化して示す断面図である。 本発明の好ましい実施形態に係るリチウムイオン二次電池の具体的な構成を示す展開斜視図である。
本発明の非水二次電池用電解液は、下記各一般式で表される特定の置換基を有するケイ素化合物を含有することを特徴とする。これにより、電解質をなす炭酸エチレン等の有機溶媒などの化学的安定性を高め、二次電池における諸特性を向上させる作用効果につながっていると考えられる。その理由について推定を含めていえば、以下のとおりである。
すなわち、この種の二次電池においては、放電及び充電を繰り返し正極及び負極で酸化還元反応が進行する際に、電解質をなす炭酸エチレン等の分解が不可避的に進行する。これに対し、特定の添加剤等の作用により電極材料の表面にSEI(Solid electrolyte Interface)と呼ばれる特有の被膜が形成され、上記分解を抑制する効果を発揮することがある。本発明においては、上記特定の置換基を有するケイ素化合物が上記SEIの形成に関与し、電解質等の分解抑制効果を奏したと考えられる。特に、本発明においては、二次電池について、上記の効果が負極のみならず正極で発揮されたと解される挙動を呈し、大きな特性の改善につながったと考えられる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[非水二次電池用電解液]
(特定ケイ素化合物)
本発明の非水二次電池用電解液には、下記一般式(1)及び一般式(2)で表されるケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1種以上のケイ素化合物が用いられる。
Figure 0005670813
前記一般式(1)及び一般式(2)中、Rはアルキル基を表す。はアルキル基、アルケニル基、または−OR基を表す。複数存在する、R及びRは互いに同じでも異なっていてもよい。R の少なくとも一つは、下記一般式(4)または(5)で表される置換基である。RとRとは、互いに連結し環を形成してもよい。アルケニル基はアルキル基の少なくとも一部に炭素−炭素二重結合があればよい。
* 置換基R
前記一般式(1)、及び一般式(2)における、R はアルキル基を表す。該アルキル基は無置換であってもよく、置換基を有するものであってもよい。
なお、本明細書において「化合物」という語を末尾に付して呼ぶときには、当該化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の置換基等を伴った誘導体を含む意味である。有機酸等にあっては、その酸エステル等も含む意味である。また、本明細書において置換基に関して「基」という語を末尾に付して呼ぶときには、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。任意の置換基としては下記置換基Tが挙げられる。
アルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、及び、イソプロピル基などが挙げられる。これらアルキル基は置換基を含んでもよく、好ましい置換基(以下、置換基Tということがある)としては、ハロゲン原子、アリール基、ビニル基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、カルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シリル基などが挙げられる。さらに好ましい置換基としては、アリール基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、フッ素原子である。
の好ましい炭素数としては、炭素数1から10が好ましく、炭素数1から7がより好ましく、炭素数1から5が最も好ましい。なお、本明細書において「から」は「〜」と同じ意味で用い、その前後で規定される数値ないし番号を含む意味である。
* R
はアルキル基、アルケニル基、又は−OR基(アルコキシ基)を表す。該アルキル基は無置換であってもよく、置換基を有するものであってもよい。Rがアルキル基を表す場合、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、及びセカンダリーブチル基などが挙げられ、メチル基、及びエチル基がさらに好ましい。Rがアルケニル基を表す場合、ビニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−プロペニル基、イソプロペニル基、及び1,3−ブタジエニル基などが挙げられ、ビニル基、及びアリル基が好ましい。
これらアルキル基又はアルケニル基は置換基を含んでもよく、好ましい置換基としては、前記置換基Tが挙げられる。さらに好ましい置換基としては、アリール基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、フッ素原子である。また、Rが−ORを表す場合、Rは、前述したものと同義であり、好ましい例も同様である。Rの好ましい炭素数としては、炭素数1から10が好ましく、炭素数1から7がより好ましく、炭素数1から6が最も好ましい。なお、R又Rとは、互いに連結し環を形成してもよい。
* R
記一般式(4)または(5)における、Rはアルキル基を表し、該アルキル基は無置換であってもよく、置換基を有するものであってもよい。アルキル基の好ましい例としては、好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、及びセカンダリーブチル基などが挙げられ、メチル基、及びエチル基がさらに好ましい。これらアルキル基は置換基を含んでもよく、好ましい置換基としては、前記置換基Tが挙げられる。さらに好ましい置換基としては、アリール基、ビニル基、シアノ基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、フッ素原子であり、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、フッ素原子が更に好ましい。
の好ましい炭素数としては、炭素数1から10が好ましく、炭素数1から7がより好ましく、炭素数1から5が最も好ましい。
本発明においては、記一般式(4)または(5)を含む置換基を好適なものに設定することが重要である。本発明者らの確認によれば、特開2007−87935号公報に開示されている*−O−C(O)−O−Raのカルボネート基含有構造基(Raはアルキル基)をもつシリカ化合物では所望の効果が得られない。その理由は、電極表面に形成されたSEI被膜が、高温、高電圧下において、脱炭酸をともなう分解反応を起こすことなく、安定であるという理由が考えられるが、推定によるものである。かかる推定を含め検討し、実験的な確認も通じて設定されたのが、上記本願発明に規定されるシリカ化合物の構造である。
前記 の少なくとも1つは、下記一般式(4)または(5)で表される基である。
Figure 0005670813
前記一般式(4)または一般式(5)中、Rはそれぞれ独立に、水素原子であるか又は、前記一般式(1)におけるRと同義の置換基を表す。m3は1から5の整数を表す。m4は0または1を表す。m5は0から5の整数を表す。m5が0のときm4も0である。*は、前記ケイ素化合物の−Si−との結合位置を示す。m3は1から3が好ましい。R はアルキル基を表す。
* 置換基 R
はそれぞれ独立に水素原子又は前記一般式(1)におけるRと同義の置換基を表す。その好ましいものも水素原子又は前記Rと同義であり、水素原子であることが好ましい。
記一般式(1)及び一般式(2)で表されるケイ素化合物は、前記一般式(4)または(5)で表される置換基を、2以上有していてもよい。特定ケイ素化合物1分子中における一般式(4)または(5)で表される置換基の数は、1から5であることが好ましく、さらには1から3が好ましく、最も好ましくは1又は2である。
前記一般式(1)で表されるケイ素化合物が、下記一般式(10)で表されるケイ素化合物であることがさらに好ましい。
Figure 0005670813
前記一般式(10)中、Rはアルキル基を表し、Rはアルキル基または−OR基を表す。Rは、下記一般式(11)又は一般式(12)を表す。
Figure 0005670813
前記一般式(11)及び(12)中、m8は1から3の整数を表す。m6は0または1を表し、m7は0から2の整数を表し、m7が0のときm6も0である。Rは、アルキル基を表す。*は、前記ケイ素化合物の−Si−との結合位置を示す。
* 置換基 R、R
、Rで表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、及び、イソプロピル基などが挙げられる。これらアルキル基は置換基を含んでもよく、好ましい置換基としては、前記の置換基Tが挙げられる。さらに好ましい置換基としては、アリール基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、フッ素原子である。
* 置換基 R
で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基などが挙げられる。これらアルキル基は置換基を含んでもよく、好ましい置換基としては、前記の置換基Tが挙げられる。更に好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基であり、より好ましい置換基としては、フッ素原子、アリール基である。
前記一般式(1)で表されるケイ素化合物が、下記一般式(13)で表されるケイ素化合物であることもまた好ましい。
Figure 0005670813
(前記一般式(13)中のR、R、及びRは、前記一般式(1)及び(2)と同義である。ただし、Rが一般式(4)または(5)で表される置換基を有する基であることはない。)
前記一般式(1)中、RまたはRが、互いに連結し環を形成するとき、下記一般式(15)で表される構造が好ましい。
Figure 0005670813
前記一般式(15)中、lは0から5を表し、0から3が好ましく、0または1がより好ましい。
* 置換基 R10
10は、互いに独立して水素原子またはアルキル基を表し、該アルキル基は無置換であってもよく、置換基を有するものであってもよい。R10として、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、またはイソプロピル基である。
本発明に係る特定ケイ素化合物の例を、以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、例示化合物Si−16、Si−18〜24、Si−27〜28は参考例である。
Figure 0005670813
Figure 0005670813
Figure 0005670813
Figure 0005670813
Figure 0005670813
非水溶媒中における特定ケイ素化合物の含有量は、0.005質量%以上10質量%以下であり、0.01質量%以上7質量%以下が好ましく、0.01質量%以上5質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以上5質量%以下が特に好ましい。電解液において高い化学的安定性が得られるからである。詳細には、その量が少なすぎると、電解液の化学的安定性が十分かつ安定に得られない可能性があり、多すぎると、電気化学デバイスの主要な電気的性能(例えば電池における容量特性など)が十分に得られない可能性があるからである。
なお本発明の電解液には、特定ケイ素化合物を1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(有機溶媒)
本発明に用いられる有機溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシドあるいはジメチルスルホキシド燐酸などが挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、特に、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するからである。
しかしながら、本発明に用いられる有機溶媒(非水溶媒)は、上記例示によって限定されるものではない。
また、溶媒は、不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含有していてもよい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。この不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ビニレン系化合物、炭酸ビニルエチレン系化合物および炭酸メチレンエチレン系化合物からなる群のうちの少なくとも1種などが挙げられる。
炭酸ビニレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オンあるいは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどが挙げられる。
炭酸ビニルエチレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
炭酸メチレンエチレン系化合物としては、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、炭酸ビニレンが好ましい。高い効果が得られるからである。
(第一族又は第二族イオン等)
本発明の電解液に含まれる周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンもしくはその塩としては、電解液の使用目的により適宜選択される、例えば、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられ、二次電池などに使用される場合には、出力の観点からリチウム塩が好ましい。本発明の電解液をリチウム二次電池用非水系電解液の電解質として用いる場合には、金属イオンの塩としてリチウム塩を選択すればよい。リチウム塩としては、リチウム二次電池用非水系電解液の電解質に通常用いられるリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、以下に述べるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩:LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBRO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等。
(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。
(L−3)オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等。
これらのなかで、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSOが好ましく、LiPF、LiBF、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSOなどのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
なお、電解液に用いるリチウム塩は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
電解液における周期律表第一族又は第二族に属する金属のイオンもしくはその金属塩の含有量は、以下に電解液の調製法で述べる好ましい塩濃度となるよう量で添加される。塩濃度は電解液の使用目的により適宜選択されるが、一般的には電解液全質量中10質量%から50質量%であり、さらに好ましくは15質量%から30質量%である。なお、イオンの濃度として評価するときには、その好適に適用される金属との塩換算で算定されればよい。
[電解液の調製方法]
次に、本発明の電解液の代表的な調整方法を、金属イオンの塩としてリチウム塩を用いた場合を例に挙げて説明する。
本発明の電解液は、前記非水電解液溶媒に、特定ケイ素化合物、リチウム塩、及び、所望により添加される種々の添加剤を溶解して、調製される。
本発明において、「非水」とは水を実質的に含まないことをいい、発明の効果を妨げない範囲で微量の水を含んでいてもよい。良好な特性を得ることを考慮して言うと、水の含有量が200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましい。下限値は特にないが、不可避的な混入を考慮すると、10ppm以上であることが実際的である。
(電解液の組成)
調製された電解液中のリチウム塩濃度は、濃度が高くなるにつれて電解液の粘度が高くなるため、高いイオン伝導度を示すための適正な濃度範囲が存在する。好ましい濃度範囲は、電解液全質量中10質量%から50質量%であり、さらに好ましくは15質量%から30質量%である。本発明の電解液の粘度は特に限定されないが、10〜0.1mPa・sであることが好ましく、5〜0.5mPa・sであることがより好ましい。
(特定ケイ素化合物の合成法)
本発明に用いうる特定ケイ素化合物は、公知の方法、例えば、以下に示す2つの方法により容易に合成することができる。
第1の方法としては、下記スキーム1に示すように、(A)アルコキシシラン化合物と(C)前記した一般式(4)または(5)で表される置換基を分子内に有するアルコール類との置換反応である。
また、第2の方法としては、下記スキーム2に示すように、(B)アルコキシヒドロシラン化合物と、(D)前記した一般式(4)または(5)で表される置換基を分子内に有する不飽和結合含有化合物とを用いたヒドロシリル化反応である。
これらの方法により特定ケイ素化合物が容易に合成される。
Figure 0005670813
は任意の連結基を表す。 〜R 、m1、m2は前記の規定による。
(原料に用いる具体的な化合物例)
上記スキーム1及びスキーム2で表される合成法により特定ケイ素化合物を調製する際に用いる具体的な原料化合物の例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(A)アルコキシシラン化合物
(A−1)Si(OMe)、(A−2) Si(OEt)
(A−3) Si(OPr)、(A−4) Si(OBu)
(A−5) MeSi(OMe)、(A−6) MeSi(OEt)
(A−7) MeSi(OMe)
(A−8)Me(EtO)Si−O−Si(OEt)Me
(A−9)CH=CHSi(OMe)
(A−10)CH=CHCHSi(OMe)など
(B)アルコキシヒドロシラン化合物
(B−1)(MeO)SiH、(B−2)(EtO)SiH、
(B−3)Me(EtO)SiH
(B−4)CH=CHSiH(OEt) など
(C)一般式(3)で表される置換基を分子内に含むアルコール
(C−1)HOCHCOOMe、(C−2)HOCHCOOEt、
(C−3)HOCHCHOCOCH、(C−4)HOCHCHOCOOCH
(C−5)HOCHCH(COOMe)など
(D)一般式(3)で表される置換基を分子内含む不飽和結合含有化合物
(D−1)CH=CHCHOCOOMe、(D−2)CH=CHCHOCOMe、
(D−3)CH=CHCOOEt、(D−4)CH=C(Me)OCOCH など
なお、ここで、Meはメチル基を、Etはエチル基を、OMe又はMeOはメトキシ基を、OEt又はEtOはエトキシ基を、OPrはプロポキシ基を、OBuはブトキシ基を、それぞれ表す。
上述のようにして特定ケイ素化合物を含有する本発明の電解液が調製される。このようにして得られた本発明の非水二次電池用電解液は、サイクル特性を向上させることが可能である。
[リチウム二次電池]
本発明のリチウムイオン二次電池好ましい実施形態についてその断面図を大幅に模式化して示した図1を参照して説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、上記本発明の非水二次電池用電解液5と、リチウムイオンの挿入放出が可能な正極C(正極集電体1,正極活物質層2)と、リチウムイオンの挿入放出又は溶解析出が可能な負極A(負極集電体3,負極活物質層4)とを備える。これら必須の部材に加え、電池が使用される目的、電位の形状などを考慮し、正極と負極の間に配設されるセパレータ9、集電端子(図示せず)、及び外装ケース等(図示せず)を含んで構成されてもよい。必要に応じて、電池の内部及び電池の外部の少なくともいずれかに保護素子を装着してもよい。このような構造とすることにより、電解液5内でリチウムイオンの授受a,bが生じ、充電α、放電βを行うことができ、回路配線7を介して動作機構6を介して運転あるいは蓄電を行うことができる。
以下、本発明のリチウム二次電池の構成について詳細に説明する。
(電池形状)
本実施形態のリチウム二次電池が適用される電池形状には、特に制限はなく、例えば、有底筒型形状、有底角型形状、薄型形状、シート形状、及び、ペーパー形状などが挙げられ、これらのいずれであってもよい。また、組み込まれるシステムや機器の形を考慮した馬蹄形や櫛型形状等の異型のものであってもよい。なかもで、電池内部の熱を効率よく外部に放出する観点から、比較的平らで大面積の面を少なくとも一つを有する有底角型形状や薄型形状などの角型形状が好ましい。
有底筒型形状の電池では、充填される発電素子に対する外表面積が小さくなるので、充電や放電時に内部抵抗による発生するジュール発熱を効率よく外部に逃げる設計にすることが好ましい。また、熱伝導性の高い物質の充填比率を高め、内部での温度分布が小さくなるように設計することが好ましい。
有底角型形状では、一番大きい面の面積S(端子部を除く外形寸法の幅と高さとの積、単位cm)の2倍と電池外形の厚さT(単位cm)との比率2S/Tの値が100以上であることが好ましく、200以上であることが更に好適である。最大面を大きくすることにより高出力かつ大容量の電池であってもサイクル性や高温保存等の特性を向上させるとともに、異常発熱時の放熱効率を上げることができ、後述する「弁作動」や「破裂」という危険な状態になることを抑制することができる。
(電池を構成する部材)
本実施形態のリチウム二次電池は、電解液5、正極及び負極の電極合剤C,A、セパレータの基本部材9から構成される。以下、これらの各部材について述べる。本発明のリチウム二次電池は、電解液として、少なくとも前記本発明の非水電池用電解液を含む。
(電解液)
本実施形態のリチウム二次電池に用いられる電解液は、非水電解液溶媒と、前述した方法により調製された、少なくとも特定ケイ素化合物と、電解質塩としてのリチウム塩とを含有する本発明の非水二次電池用電解液を主成分として含有することが好ましい。即ち、電解液5は、前記特定ケイ素化合物を、非水電解液と、電解質塩としてのリチウム塩とを含有する非水二次電池用電解液であることが好ましい。非水二次電池用電解液に用いられる電解質塩としては、前述の周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンの塩であり、前記本発明の非水二次電池用電解液の実施の態様で詳細に記載したものを用いることができる。また、本発明のリチウム二次電池に用いられる非水電解液溶媒も同様に、前記本発明の非水二次電池用電解液の実施の態様で詳細に記載したものを用いることができる。さらには他の添加剤を加えて、より一層性能を向上させることができる。
本発明による電解液には、電池の性能を向上させるため、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、過充電防止剤、負極被膜形成剤、正極保護剤;等のこのような機能性添加剤を用いてもよい。
また、負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用や、過充電防止剤と負極皮膜形成剤と正極保護剤との併用が特に好ましい。
非水系電解液中におけるこれら機能性添加剤の含有割合は特に限定はないが、非水系電解液全体に対し、それぞれ、0.01質量%以上が好ましく、特に好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、5質量%以下が好ましく、特に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。これらの化合物を添加することにより、過充電による異常時に電池の破裂・発火を抑制したり、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させたりすることができる。
(電極合剤)
電極合剤は、集電体(電極基材)上に活物質と導電剤、結着剤、フィラーなどの分散物を塗布したものであり、リチウム電池においては、活物質が正極活物質である正極合剤と活物質が負極活物質である負極合剤が使用される。次に、電極合剤を構成する、正極活物質、負極活物質、導電剤、結着剤、フィラー及び集電体について説明する。
・正極活物質
本発明の非水二次電池用電解液には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。本発明に用いられる正極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、リチウム含有遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。本発明において、正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物等が好適に挙げられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の第1(Ia)族、第2(IIa)族の元素)、及び/又はAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量としては、遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
前記正極活物質として好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物の中でも、リチウム化合物/遷移金属化合物(ここで遷移金属とは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種のことをいう。)の合計のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
さらに、前記リチウム化合物/遷移金属化合物の中でも、LiM3O(M3はCo、Ni、Fe、及びMnから選択される1種以上の元素を表す。gは、0〜1.2を表す。)を含む材料、又はLiM4O(M4はMnを表す。hは、0〜2を表す。)で表されるスピネル構造を有する材料が特に好ましい。前記M3、M4としては、遷移金属以外にAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に対して0〜30mol%が好ましい。
前記LiM3Oを含む材料、LiM4Oで表されるスピネル構造を有する材料の中でも、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1−j、LiMn、 LiNiMn1−j、LiCoNiAl1−j−h、LiCoNiMn1−j−h、LiMnAl2−h、LiMnNi2−h(ここでgは0.02〜1.2を表す。jは0.1〜0.9を表す。hは0〜2を表す。)が特に好ましい。ここで、前記g値及びh値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する値である。具体的には、
LiNi0.5Mn0.5、LiNi0.85Co0.01Al0.05
LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiMn1.8Al0.2
LiMn1.5Ni0.5等が挙げられる。
リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO、LiFeP等のリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
本発明の非水電解質二次電池において、用いられる前記正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01m/g〜50m/gであるのが好ましい。また、正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては、7以上12以下が好ましい。
前記正極活性物質を所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。前記焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
(負極活物質)
本発明の非水二次電池用電解液に用いられる負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものであれば、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、及び、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が安全性の点から好ましく用いられる。
また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
本発明のリチウム二次電池において用いられる負極活物質である金属酸化物及び金属複合酸化物は、これらの少なくとも1種を含んでいればよい。金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であるのが好ましく、5倍以下であるのがより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
前記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13(IIIB)族〜15(VB)族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの一種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、及びカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、Bi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb、SnSiSなどが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
本発明の非水電解質二次電池において、用いられる前記負極活物質の平均粒子サイズは、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、よく知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
前記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
本発明において、Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
(導電材)
導電材は、構成された二次電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何を用いてもよく、公知の導電材を任意に用いることができる。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−10148,554号に記載)等)、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体(特開昭59−20,971号に記載)などの導電性材料を1種又はこれらの混合物として含ませることができる。その中でも、黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。前記導電剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。カーボンや黒鉛の場合は、2〜15質量%が特に好ましい。
(結着剤)
本発明では、前記電極合剤を保持するための結着剤を用いる。
結着剤としては、多糖類、熱可塑性樹20脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、その中でも、例えば、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレン−マレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンが好ましく、ポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが、より好ましい。
結着剤は、一種単独又は二種以上を混合して用いることができる。結着剤の添加量が少ないと、電極合剤の保持力・凝集力が弱くなる。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位質量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
(フィラー)
本発明の電解液は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーを形成する材料は、本発明の二次電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの材料からなる繊維状のフィラーが用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30質量%が好ましい。
(集電体)
正・負極の集電体としては、本発明の非水電解質二次電池において化学変化を起こさない電子伝導体が用いられる。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。
負極の集電体としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、銅あるいは銅合金がより好ましい。
前記集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。前記集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
これらの材料から適宜選択した部材によりリチウム二次電池の電極合剤が形成される。
(セパレータ)
本発明のリチウム二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極を電子的に絶縁する機械的強度、イオン透過性、及び正極と負極の接触面で酸化・還元耐性のある材料であれば特に限定されることはない。このような材料として多孔質のポリマー材料や無機材料、有機無機ハイブリッド材料、あるいはガラス繊維などが用いられる。これらセパレータは安全性確保のためのシャットダウン機能、すなわち、80℃以上で隙間を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能、を持つことが好ましく、閉塞温度は90℃以上、180℃以下であることが好ましい。
前記セパレータの孔の形状は、通常は円形や楕円形で、大きさは0.05μm〜30μmであり、0.1μm〜20μmが好ましい。さらに延伸法、相分離法で作った場合のように、棒状や不定形の孔であってもよい。これらの隙間の占める比率すなわち気孔率は、20%〜90%であり、35%〜80%が好ましい。
前記ポリマー材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの単一の材料を用いたものでも、2種以上の複合化材料を用いたものであってもよい。孔径、気孔率や孔の閉塞温度などを変えた2種以上の微多孔フィルムを積層したものが、好ましい。
前記無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミや窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩類が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01μm〜1μm、厚さが5μm〜50μmのものが好適に用いられる。前記の独立した薄膜形状以外に、前記無機物の粒子を含有する複合多孔層を樹脂製の結着剤を用いて正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子をフッ素樹脂の結着剤を用いて多孔層として形成させることが挙げられる。
(非水電解質二次電池の作製)
本発明のリチウム二次電池の形状としては、既述のように、シート状、角型、シリンダー状などいずれの形にも適用できる。正極活物質や負極活物質の合剤は、集電体の上に、塗布(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。
以下、図2により、有底筒型形状リチウム二次電池100を例に挙げて、その構成及び作製方法について説明する。図2は、セパレータ12を介して重ね合わせた正極シート14、負極シート16を卷回して外装缶18内に収納した有底筒型リチウム二次電池100の一例を示す概略断面図である。
まず、負極活物質と、所望により用いられる結着剤やフィラーなどを有機溶剤に溶解したものを混合して、スラリー状あるいはペースト状の負極合剤を調製する。得られた負極合剤を集電体としての金属芯体の両面の全面にわたって均一に塗布し、その後、有機溶剤を除去して負極合剤層を形成する。さらに、集電体と負極合剤層との積層体をロールプレス機等により圧延して、所定の厚みに調製して負極シート(電極シート)16を得る。このとき、核剤の塗布方法や塗布物の乾燥、正・負極の電極の形成方法は定法によればよい。
本実施形態では、円筒形の電池を例に挙げたが、本発明はこれに制限されず、例えば、前記方法で作製された正・負の電極シートを、セパレータを介して重ね合わせた後、そのままシート状電池に加工するか、或いは、折りまげた後角形缶に挿入して、缶とシートを電気的に接続した後、電解質を注入し、封口板を用いて開口部を封止して角形電池を形成してもよい。
いずれの実施形態においても、安全弁を開口部を封止するための封口板として用いることができる。また、封口部材には、安全弁の他、従来から知られている種々の安全素子を備えつけてもよい。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子などが好適に用いられる。
また、前記安全弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することができる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込んだ保護回路を具備させるか、あるいは独立に接続させてもよい。
缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が好適に用いられる。
キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。封口用シール剤は、アスファルトなどの従来から知られている化合物や混合物を用いることができる。
[本発明のリチウム二次電池の用途]
本発明のリチウム二次電池は、特定ケイ素化合物を加えることでサイクル性良好な二次電池を作製することができるため、種々の用途に適用される。
適用態様には特に限定なはいが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
本発明の二次電池において電荷の輸送に用いられる金属イオンは特に限定されないが、周期律表第一族又は第二族に属する金属イオンを利用したものであることが好ましい。中でも、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アルミニウムイオン等を用いることが好ましい。リチウムイオンを用いた二次電池についての一般的な技術事項は冒頭に挙げた特許文献等、多くの文献や書籍があり参考になる。その他、ナトリウムイオンを用いた二次電池については、Journal of Electrochemical Society;Electrochemical Science and Technology、米国、1980年、第127巻、第2097〜2099頁等を参照することができる。マグネシウムイオンについては、Nature 407, p.724-727(2000)等を参照することができる。カルシウムイオンについては、J.Electrochem. Soc., Vol.138, 3536 (1991)等を参照することができる。本発明においてはその普及の程度からリチウムイオン二次電池に適用することが好ましいが、それ以外のものにおいても所望の効果を奏するものであり、これに限定して解釈されるものではない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって、何ら限定されるものではない。
非水二次電池用電解液の調製
1.特定ケイ素化合物の合成
(合成例1:特定ケイ素化合物(Si−2)の合成)
メチルトリエトキシシラン42.8gとグリコール酸エチル25g、及びナトリウムエトキシド1.63gを混合し、150℃にて1時間加熱還流させた。反応後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から100mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、30mmHgの留分を捕集して、無色液体(Si−2)を10g得た。
(合成例2:特定ケイ素化合物(Si−3)の合成)
テトラメトキシシラン50gとグリコール酸メチル25g、及びナトリウムメトキシド1.3gを混合し、150℃にて2時間加熱還流した後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から100mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、30mmHgの留分を捕集して、無色液体(Si−3)を20g得た。
(合成例3:特定ケイ素化合物(Si−4)の合成)
メチルトリエトキシシラン50gとエチレングリコールモノアセタート25gを混合し、150℃にて2時間加熱還流した後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から100mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、15mmHgの留分を捕集して、無色液体(Si−4)を8g得た。
(合成例4:ケイ素化合物(Si−5)の合成)
メチルトリエトキシシランの代りにテトラエトキシ−1,2−ジメチルシロキサンを用いて、合成例1と同様の方法によりケイ素化合物(Si−5)を得た。
(合成例5:特定ケイ素化合物(Si−11)の合成)
テトラメトキシシランの代わりにトリメトキシビニルシランを用いて、合成例2と同様の方法によりケイ素化合物(Si−11)を得た。
(合成例6:特定ケイ素化合物(Si−12)の合成)
テトラメトキシシランの代わりにアリルトリメトキシシランを用いて、合成例2と同様の方法によりケイ素化合物(Si−12)を得た。
(合成例7:特定ケイ素化合物(Si−13)の合成)
クロロトリエトキシシラン9g、脱水トルエン10mLへ、プロピオン酸ナトリウム4.4gを加えた。30分攪拌した後、濾過を行い、減圧蒸留にてケイ素化合物(Si−13)を7g得た。
(合成例8:特定ケイ素化合物(Si−14)の合成)
クロロジエトキシビニルシラン9g、脱水トルエン10mLへ、プロピオン酸ナトリウム4.2gを加えた。30分攪拌した後、濾過を行い、減圧蒸留にてケイ素化合物(Si−14)を6g得た。
(合成例9:特定ケイ素化合物(Si−15)の合成)
ジエトキシジビニルシラン25gとグリコール酸メチル13g、及びナトリウムエトキシド0.3gを混合し、150℃にて2時間加熱還流した後、温度を150℃に保ち、真空度を常圧から100mmHgまで、徐々に下げながら揮発成分を留去し、15mmHgの留分を捕集して、無色液体(Si−15)を18g得た。
(合成例10:特定ケイ素化合物(Si−17)の合成)
グリコール酸メチルの代わりにグリコール酸トリフルオロエチルを用いて、合成例6と同様の方法によりケイ素化合物(Si−17)を得た。
(合成例11:特定ケイ素化合物(Si−18)の合成)
テトラメトキシヒドロシラン15g、プロピオール酸メチル10.3g、脱水THF30mLへ、0.1M 白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のポリジメチルシロキサン溶液を0.12g滴下し、3時間加熱還流した。その後、減圧蒸留にてケイ素化合物(Si−18)を11g得た。
(合成例12:特定ケイ素化合物(Si−20)の合成)
テトラメトキシヒドロシラン10.8g、アセチレンジカルボン酸ジメチル12.5g、脱水トルエン30mLへ、トリストリフェニルホスフィン塩化ロジウム(I)錯体を0.8g加え、5時間加熱還流した。その後、減圧蒸留にてケイ素化合物(Si−20)を4g得た。
(合成例13)
特開2007−89735号の実施例及比較例の記載にもとづき、下記R−4,R−5の化合物を合成した。
<実施例>
2.電解液の調製
1M LiPFの炭酸エチレン/炭酸ジエチルの体積比1対1電解液、及び体積比1対3電解液に、合成例1で得た特定ケイ素化合物(Si−2)を、1質量%加え、実施例1、及び実施例19の電解液を調製した。
実施例2〜32についても、用いる特定ケイ素化合物の種類と添加量を変えて、同様に電解液を調整した。
<比較例>
1M LiPFの炭酸エチレン/炭酸ジエチルの電解液を比較例とした。
また、実施例1と同様に炭酸ビニレン、テトラメトキシシラン(R−1)、ビニルトリメトキシシラン(R−2)、環状カーボネート含有ケイ素化合物(R−3)、カーボネート基を有する化合物(R−4)(R−5)を添加したものを比較例とした。なお、比較化合物R−3は特開2007−077075号公報に記載されたものである。比較化合物R−4、R−5は、2007−87935号公報に記載されたものである。
Figure 0005670813
[リチウム二次電池]
正極にコバルト酸リチウム合剤シート(電極容量3.0mAh/cm:アルミ箔ベース、13mmφ)、負極に天然球状グラファイト電極シート(電極容量3.2mAh/cm2:Cu箔ベース、14.5mmφ)、セパレータにPP製多孔質フィルム(厚さ25μm、16mmφ)を用い、下記表1に示す電解液を用いた評価用のリチウム二次電池を作製した。
<高温サイクル性評価>
上記の方法で作製した2032形電池を用いて60℃の恒温槽中、4.0mAで電池電圧が4.2Vになるまで1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に4.0mAで電池電圧が2.75Vになるまで1C定電流放電を行い、1サイクルとした。これを100サイクルに達するまで繰り返し、100サイクル目の放電容量維持率を算出した。
<低温放電率評価>
上記の方法で作製した2032形電池を用いて30℃に対する−20℃での放電容量率を測定した。30℃の恒温槽中、0.4mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、次に−20℃の恒温槽中、0.4mAで電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流放電を行い、放電容量を測定し、低温放電率を算出した。
<自己放電特性評価>
上記の方法で作製した2032形電池を用いて、30℃の環境下、0.4mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行い、0.4mAで電池電圧が2.75Vになるまで0.1C定電流放電を行い、初期放電容量を測定した。さらに、0.4mAで電池電圧が4.2Vになるまで0.1C定電流充電した後、4.2V定電圧において電流値が0.12mAになる、または2時間充電を行った後、電池を45℃の環境下で30日間放置した。その後、30℃の環境に取り出した後、同様の放電条件にて放電を行ったときの放電容量を測定し、容量残存率を算出した。
Figure 0005670813
(注1)放電容量維持率(%)=
(100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
表1に示すように、実施例1〜17(実施例15〜17は参考例)の2032形非水電解液二次電池では、比較例1から比較例8の2032形非水電解液二次電池よりも、100サイクル目の容量維持率が優れていることが確認された。この結果は、実施例の電池に係る負極において、電解液に添加した特定ケイ素化合物の作用により電極表面に良好なSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜が形成され、電解液の分解が抑制されたことに起因しているものと考えられる。特定ケイ素化合物により形成されたSEIは、高温、高電圧下において、カーボネート系化合物で進行する脱炭酸のような分解反応を起こすこと無く、安定であることが推定される。
Figure 0005670813
(注2)低温放電率(%)=(−20℃での放電容量/30℃での放電容量)×100
表2に示すように、実施例18〜24(実施例24は参考例)の2032形非水電解液二次電池では、比較例9から比較例14の2032形非水電解液二次電池よりも、低温放電率が優れていることが確認された。この結果は、実施例の電池に係る電極表面において形成されたSEI被膜のTgが、比較例の電池に係る電極表面において形成された被膜よりも低く、低温における被膜中のリチウムイオン伝導性が高いことに起因すると推定している。
Figure 0005670813
(注3)容量残存率(%)=(30日放置後放電容量/初期放電容量)×100
表3に示すように、実施例25〜31(実施例31は参考例)の2032形非水電解液二次電池では、比較例15から比較例20の2032形非水電解液二次電池よりも、自己放電特性が優れていることが確認された。この結果は、実施例の電池にかかる電極表面において、形成された被膜により電解液の分解が抑制されたことに起因すると推定している。また、正極表面において、形成された被膜により正極が安定化され、正極の自己分解が抑制されたと推定している。
1 正極導電材
2 正極活物質
3 負極導電材
4 負極活物質
5 電解液
6 動作手段
7 配線
10 リチウムイオン二次電池
12 セパレータ
14 正極シート
16 負極シート
18 負極を兼ねる外装缶
20 絶縁板
22 封口板
24 正極集電
26 ガスケット
28 圧力感応弁体
30 電流遮断素子
100 有底筒型形状リチウム二次電池

Claims (12)

  1. 周期律表第一族または第二族に属する金属のイオンもしくはそれを含む金属塩と、下記一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のケイ素化合物 0.005〜10質量%とを、有機溶媒中に含有することを特徴とする非水二次電池用電解液。
    Figure 0005670813
    (前記一般式(1)及び一般式(2)中、Rはアルキル基を表す。Rはアルキル基、アルケニル基、又は−OR基を表す。複数存在する、R及びRは互いに同じでも異なっていてもよい。Rの少なくとも1つは下記一般式(4)または(5)で表される置換基である。RまたはRは、互いに連結し環を形成してもよい。)
    Figure 0005670813
    (前記一般式(4)または一般式(5)中、Rはアルキル基を表す。Rは水素原子、アルキル基、またはアルケニル基を表す。m3は1から5の整数を表す。m4は0または1を表す。m5は0から5の整数を表し、m5が0のときm4も0である。*は、前記ケイ素化合物のSiとの結合位置を示す。)
  2. 前記Rの基の炭素数が1から10である請求項1に記載の非水二次電池用電解液。
  3. 前記Rの基の炭素数が1から10である請求項1または請求項2に記載の非水二次電池用電解液。
  4. 前記Rの基の炭素数が1から10である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  5. 前記Rが水素原子または炭素数が1から10の基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  6. 前記一般式(1)及び一般式(2)中の、前記一般式(4)または(5)で表される置換基を有する基の数が、1又は2である請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  7. 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(10)または一般式(13)で表されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
    Figure 0005670813
    (前記一般式(10)中、Rはアルキル基を表し、Rはアルキル基、または−OR基を表す。Rは、下記一般式(11)又は一般式(12)を表す。)
    Figure 0005670813
    (前記一般式(11)及び(12)中、m8は1から3の整数を表し、m6は0または1を表し、m7は0から2の整数を表し、m7が0のときm6も0である。Rは、アルキル基を表す。*は、前記ケイ素化合物のSiとの結合位置を示す。)
    Figure 0005670813
    (前記一般式(13)中のR、R、及びRは、前記一般式(1)及び(2)と同義である。ただし、Rが一般式(4)または(5)で表される置換基を有する基であることはない。)
  8. 前記置換基Rが一般式(4)または(5)で表される置換基を有する基でないとき、これらの基が、メチル基、エチル基、エテニル基、又は2−プロペニル基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  9. 前記置換基Rが、無置換のアルキル基又はハロゲン原子で置換されたアルキル基であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  10. 前記置換基Rが、メチル基又はエチル基であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  11. 前記周期律表第一族または第二族に属する金属のイオンを含む金属塩がリチウム塩である請求項1〜10のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の非水二次電池用電解液と、前記周期律表第一族または第二族に属する金属のイオンの挿入放出が可能な正極と、当該イオンの挿入放出または溶解析出が可能な負極とを備える二次電池。
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