JP5670000B1 - 医療用具の先端構成部材,内視鏡洗浄シース及びこの内視鏡洗浄シースを用いる内視鏡システム - Google Patents

医療用具の先端構成部材,内視鏡洗浄シース及びこの内視鏡洗浄シースを用いる内視鏡システム Download PDF

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Abstract

本発明は、簡単な構成で医療用具の抜去時の引っ掛かり等を抑止し得る医療用具の先端構成部材を提供することを目的とし、そのために、略円形の外周部と外周部に形成した凸状部12bとからなる形状を外径形状とする部材12を受け入れ可能な内径を有し、外径形状と略相似形状に外径が形成された基端部11xと、基端部の最大外径以上若しくは前記基端部の最大外径と略同径の外径を有する略円筒形状の先端部11yと、凸状部に対応した部位に形成され基端部から先端部に向けて切り欠かれた形状の切欠部11bとを備えて形成されている。

Description

この発明は、内視鏡の挿入部等の先端面に設けられる観察用窓,照明用窓等の前面に向けて噴霧状混合流体を吹き付けて、各窓の表面に付着した付着物を除去する構成を備えた内視鏡洗浄シース等の医療用具の先端構成部材,内視鏡洗浄シース及びこの内視鏡洗浄シースを用いる内視鏡システムに関するものである。
近年、医療分野の内視鏡システムは、体内観察や医療処置,外科手術等の際の低侵襲を目的として広く実用化されており、例えば開腹することなく治療処置を行う腹腔鏡下外科手術等に広く用いられている。
例えば、腹腔鏡下外科手術においては、トロッカーを患者の腹部に穿刺して、このトロッカーを用いて観察用の内視鏡を体内へと導くようにしている。このとき、内視鏡による体内の観察中に、内視鏡の挿入部等の先端面に設けられている観察用窓や照明用窓等の前面側外表面に生体内の粘液,血液,脂肪,汚物等が付着してしまうことがあり(以下、これらを単に付着物等という)、これらの付着物等が良好な観察を妨げることがある。
そのために、この種の従来の内視鏡システム等においては、挿入部先端面の観察用窓,照明用窓の外表面の付着物等を除去するための内視鏡洗浄シース等の医療用具が、例えば特開2008−132282号公報等によって種々提案されている。
上記特開2008−132282号公報によって開示されている内視鏡洗浄シースは、観察用窓,照明用窓の付着物を除去するワイパーユニットを備えた形態のものである。この公報に記載されている内視鏡洗浄シースは、内部に内視鏡挿入部を挿通可能なチューブ形状からなり、外周面に突部を有するマルチルーメンチューブと、その先端部に固定可能な先端構成部材とを有する構成が記載されている。
また、従来の内視鏡洗浄シースにおいては、装着した内視鏡等の観察用窓等の外表面の付着物等の洗浄のために、例えば気体と液体とを混合させて霧状化した混合液を噴出させる噴霧ノズルを先端構成部材に設けたものが種々提案されている。
この種の従来の内視鏡洗浄シースは、先端部が湾曲可能に構成される内視鏡にも対応し得るように、シース挿入部が柔軟性を有する軟性チューブによって形成されており、また、噴霧ノズルを有する先端構成部材は、硬性樹脂若しくは金属部材等によって形成されているのが普通である。また、シース挿入部に用いられる軟性チューブとしては、内視鏡を挿通させるためのメインルーメンと、送気及び送液等を行うための少なくとも二つのサブルーメンとを設けたマルチルーメンチューブが採用されている。ここで、マルチルーメンチューブの断面形状は、円形ではなく、例えば上記サブルーメンの設けられる部位が径方向に突出するような形態の異形状に形成されている場合がある。その場合、このマルチルーメンチューブが一体に接合される先端構成部材の内周面の断面形状もまた、これに併せて略相似形の異形状に形成されている。このように、内視鏡洗浄シース等の医療用具においては、先端構成部材と軟性チューブとを接合した形態のものが種々存在している。
ところが、従来の内視鏡洗浄シース等の医療用具において、先端構成部材と軟性チューブとを接合する接合部分を、一方(例えば先端構成部材)の内周側に他方(例えば軟性チューブ)の外周側を接するように配置した形態とする場合、先端構成部材の外周面の肉厚分だけの段差が形成されることになる。
ここで、例えば、腹腔鏡下外科手術等においては、内視鏡洗浄シースを取り付けた内視鏡をトロッカーを介して体内に挿入することで体内の観察を行ない得る。一方、その手術等の実施中には、トロッカーから内視鏡洗浄シースを取り付けた内視鏡を抜去する場合もある。その場合において、トロッカー先端が上記段差に引っ掛かかる等の可能性があり、それに起因して、トロッカーから内視鏡洗浄シースを取り付けた内視鏡を抜去することができない場合が生じる。特に、内視鏡抜去時において、トロッカーの内壁面に対して内視鏡洗浄シースの外周面が当接状態となると、トロッカーの内壁面が内視鏡洗浄シースにおけるシース挿入部(マルチルーメンチューブ)のサブルーメン(送気送液用)部分を潰すようにして移動する可能性がある。すると、この場合、先端構成部材とシース挿入部との接合部分における見かけ上の段差はさらに大きくなることから、トロッカー先端が当該段差に引っ掛かり、内視鏡洗浄シースの抜去が困難となる可能性が大きくなるという問題点がある。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、先端構成部材の形状を工夫することにより簡単な構成で、医療用具の抜去時の引っ掛かり等を抑止し得る医療用具の先端構成部材,内視鏡洗浄シース及びこの内視鏡洗浄シースを用いる内視鏡システムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の一態様の医療用具の先端構成部材は、略円形の外周部と前記外周部に形成した凸状部とからなる形状を外径形状とする部材を受け入れ可能な内径を有し、前記外径形状と略相似形状に外径が形成された基端部と、前記基端部の最大外径以上若しくは前記基端部の最大外径と略同径の外径を有する略円筒形状の先端部と、上記凸状部に対応した部位に形成され、前記基端部から前記先端部に向けて切り欠かれた形状の切欠部と、を備えて形成されている。
本発明の一態様の内視鏡洗浄シースは、上記医療用具の先端構成部材を備え、前記先端構成部材は、さらに気体及び液体の霧状混合液を噴霧する噴霧ノズルを有する。
上記目的を達成するために、本発明の一態様の医療用具の先端構成部材は、略円形の外周部と前記外周部に形成した凸状部とからなる形状を外径形状とする部材を受け入れ可能な内径を有し、前記外径形状と略相似形状に外径が形成された基端部と、前記基端部の最大外径以上の外径を有する略円筒形状の先端部と、 前記凸状部に対応した部位に形成され、前記基端部から前記先端部に向けて切り欠かれた形状の切欠部とを備えて形成されている。
また、本発明の一態様の内視鏡システムは、内視鏡と光源装置とを含む内視鏡システムにおいて、略円形の外周部と前記外周部に形成した凸状部とからなる形状を外径形状とするチューブ状挿入部と、前記チューブ状挿入部を受け入れ可能な内径を有し、前記外径形状と略相似形状に外径が形成された基端部と、前記基端部の最大外径以上の外径を有する略円形形状の先端部と、前記凸状部に対応した部位に形成され前記基端部から前記先端部に向けて切り欠かれた形状の切欠部と、気体及び液体の霧状混合液を噴霧する噴霧ノズルとを備えて形成される先端構成部材と、を備えた内視鏡洗浄シースと、前記内視鏡洗浄シースを挿通する管状部材とを含んで構成されている。
図1は、本発明の第1の実施形態の先端構成部材を備えた内視鏡洗浄シースと、この内視鏡洗浄シースと組み合わせて用いる内視鏡とを示す概略構成図 図2は、図1の内視鏡洗浄シースの先端部位を拡大して示す要部拡大斜視図 図3は、図1の内視鏡洗浄シースにおけるチューブ状挿入部の(図2の矢印[3]方向から見た)断面図 図4は、図1の内視鏡洗浄シースの先端部位を拡大して示す要部拡大側面図 図5は、図1の内視鏡洗浄シースにおける先端構成部材の(図4の[5]−[5]線に沿う)断面図 図6は、図5の[6]−[6]線に沿う断面図 図7は、図1の内視鏡洗浄シースにおける先端構成部材とチューブ状挿入部との接合部位の(図4の[7]−[7]線に沿う)断面図 図8は、図4の矢印[8]方向から見た上面図 図9は、図8の[9]−[9]線に沿う断面図 図10は、図1の内視鏡洗浄シースの先端部位を拡大して前面側を示す要部拡大斜視図 図11は、図1の内視鏡洗浄シースをトロッカーに挿通させて最先端部位を前方に突出させた状態を示す側面図 図12は、図11の[12]−[12]線に沿う断面図 図13は、図11の[13]−[13]線に沿う断面図 図14は、図11の[14]−[14]線に沿う断面図 図15は、本発明の一実施形態の先端構成部材の変形例を示し、当該先端構成部材を備えた内視鏡洗浄シースの一部(先端部分)のみを示す斜視図 図16は、図15の内視鏡洗浄シースの一部(先端部分)を示す側面図
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
以下に説明する一実施形態は、本発明の先端構成部材を適用する医療用具として、例えば内視鏡の挿入部を挿通し得るチューブ形状の挿入部と、その挿入部の先端に接合される先端構成部材からなり、この先端構成部材には上記チューブ状挿入部に挿通した内視鏡等の観察用窓,照明用窓等の前面側外表面の付着物等を洗浄するための噴霧ノズルを備えた形態の内視鏡洗浄シースと、この内視鏡洗浄シースを用いる内視鏡システムを例示するものである。
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
本発明の一実施形態の先端構成部材を備えた内視鏡洗浄シースと、この内視鏡洗浄シースと組み合わせて使用される内視鏡を含む内視鏡システムとのそれぞれの概略構成について、図1を用いて以下に説明する。
まず、本実施形態の先端構成部材を備えた上記内視鏡洗浄シースと組み合わせて使用される内視鏡を含む内視鏡システムの概略構成を、図1を用いて説明する。なお、本実施形態において説明する内視鏡システムとしては、本実施形態の先端構成部材を備えた医療用具としての内視鏡洗浄シースと、この内視鏡洗浄シースと組み合わせて使用される内視鏡に加え、後述する管状部材であるトロッカー(図11等参照),光源装置24等を含めたシステムをいうものとする。
本内視鏡システム10に含まれる内視鏡2は、内視鏡先端部21と、内視鏡挿入部22と、接眼部23等によって主に構成される所謂光学式内視鏡であり、その基本的な構成は従来一般に実用化されているものと略同様である。したがって、その構成についての説明は概略のみを以下に説明するに留める。
上記内視鏡2の内視鏡先端部21は、図示を省略しているが、内部に撮影光学系や照明光学系等を有しており、その先端面に観察用窓,照明用窓等が配設されている。上記撮影光学系にはイメージガイド束が連設され、また照明光学系にはライトガイド束が連設されている。これらのイメージガイド束,ライトガイド束は、内視鏡挿入部22の内部において先端側から基端側まで、即ち先端側は上記内視鏡先端部21内から、基端側は上記接眼部23内までの間を挿通配置されている。また、上記ライトガイド束は、さらに接眼部23を通過して、該接眼部23に接続されるケーブル23x(図1参照)を介して光源装置24(図1参照)にまで延出して、これに接続されている。この構成によってライトガイド束は、上記光源装置から出射される照明光を上記照明光学系まで伝達し、上記照明用窓から前方に向けて照射する。一方、上記イメージガイド束は、上記撮影光学系によって結像した光学像を上記接眼部23まで伝達する。
本実施形態において使用される内視鏡2の形態としては、上述したように光学式内視鏡の形態として説明したが、本実施形態の先端構成部材を備えた内視鏡洗浄シースに使用される内視鏡の形態はこれに限られることはない。本実施形態の先端構成部材を備えた内視鏡洗浄シースに使用される内視鏡の形態としては、上記光学式内視鏡のほかにも、所謂電子式内視鏡の形態であってもよい。
この電子式内視鏡の構成は、例えば次のようなものである(図示は省略している;なお、その概略構成は図1を参照)。即ち、電子式内視鏡は、例えば内視鏡先端部21の内部に撮像光学系,撮像素子等からなる撮像ユニットを備え、上記内視鏡先端部21の先端面には観察用窓,照明用窓等を有して構成される。内視鏡先端部21の基端側には内視鏡挿入部22の先端側が連設している。また、内視鏡挿入部22の基端側には操作部(接眼部23に相当する部位)の先端側が連設している。そして、操作部の外表面には各種の操作部材が配設されている。また、この操作部からはユニバーサルコードが延出していて、このユニバーサルコードは、光源装置及びビデオプロセッサ(不図示;図1において符号24に相当する外部装置)等に接続される。このような構成の電子式内視鏡は一般的な構成のものである。さらにまた、上記内視鏡挿入部の構成としては、湾曲自在に構成される軟性のものであってもよいし、硬性のものであってもよい。
次に、本実施形態の先端構成部材を備えた内視鏡洗浄シースの詳細構成について図1〜図10を用いて以下に説明する。
内視鏡洗浄シース1の概略構成は、図1に示すように、先端構成部材11と、チューブ状挿入部12と、操作部13と、制御スイッチ部14等によって主に構成されている。ここで、先端構成部材11は、チューブ状挿入部12の先端部分を受け入れ可能な内径を有しており、先端構成部材11の基端側の内径にチューブ状挿入部12の先端部分が接続されて、これと一体となるように接合されている。先端構成部材11は、硬性樹脂若しくは金属部材等の硬質性部材によって全体が略円筒形状に形成されている。
チューブ状挿入部12は、上述の如く、先端側に先端構成部材11が接合されており、基端側には操作部13が一体となるように接続されている。チューブ状挿入部12は、上記内視鏡挿入部22を挿通させると同時に、先端構成部材11の噴霧ノズル11aの噴出口11aa(詳細は後述する;図2等参照)から霧状化した混合液を噴出させるための気体及び流体を流通させる複数の管路を有して形成されている。そのために、チューブ状挿入部12は、全体が軟性素材を用いてチューブ状に形成され、かつ複数の管路を有する所謂マルチルーメンチューブによって構成されている。
ここで、チューブ状挿入部12の構成について詳述する。チューブ状挿入部12の断面形状は、例えば図3に示すように形成されている。チューブ状挿入部12は、上記内視鏡挿入部22が挿通される主要管路となる一本のメインルーメン12aと、このメインルーメン12aの外周寄りの部位に形成される複数(本実施形態では二本)のサブルーメン12bとを有して形成されている。上記二本のサブルーメン12bのうち一方は気体を流通させる送気用管路であり、他方は水等の液体を流通させる送液用管路である。
なお、チューブ状挿入部12の断面形状は、図3に示すように、二本のサブルーメン12bの形成されている部分が径方向において外方に若干突出するように形成されている。つまり、上記チューブ状挿入部12は、断面が全体として略円形の外周部を有しており、この外周部の一部には複数の凸状部を有して形成される外径形状からなる。
ここで、チューブ状挿入部12自体は、上述したように軟性素材を用いて形成されているので、例えば上記サブルーメン12bが形成されている部位(上記凸状部)に外表面から外力が加わると、当該サブルーメン12bによって形成される各管路は潰される形態に変位するが、チューブ状挿入部12の断面形状は全体として略円形状に近い形態を維持する。つまり、このとき各管路が潰される形態となっても問題が生じないように、当該チューブ状挿入部12は軟性を有している。
また、チューブ状挿入部12の肉厚は、上記二本のサブルーメン12bの形成されている突出部分を含めて全周に亘って略均一となるように、かつ全体的に薄肉となるように形成されている。このような断面形状を採用することによって、例えばチューブ状挿入部12に加わる湾曲負荷を低減することができる。したがって、このような断面形状のチューブ状挿入部12を採用することによって、内視鏡洗浄シース1の耐性を向上させることができる。
操作部13は、上述したように、上記チューブ状挿入部12の基端側が接続されている。操作部13には、チューブ状挿入部12のメインルーメン12aに対して上記内視鏡挿入部22を挿通させるための開口13a(図1参照)が形成されている。そして、この開口13aは、当該操作部13に接続されたチューブ状挿入部12のメインルーメン12aと連接するように形成されている。
制御スイッチ部14は、上記操作部13と一体に形成されていて、送気操作及び噴霧操作を制御する操作スイッチ14a等を備えて構成されている。制御スイッチ部14には、不図示の送気送液装置から延出される送気チューブ及び送液チューブが接続されている。そして、これら送気チューブ及び送液チューブは、上記制御スイッチ部14の内部において上記操作スイッチ14aを介して上記チューブ状挿入部12の二本のサブルーメン12bのそれぞれに接続されている。
上記操作スイッチ14aは、例えば二段スイッチによって構成されており、例えば一段目の押圧操作によって送気動作を実行する。この状態(一段目の押圧操作状態)からさらに押し込む操作(二段目の押圧操作)を行なうと、送気動作に加えて送液動作が実行される。これにより、先端構成部材11の噴霧ノズル11aの噴出口11aaから霧状化した混合液が噴霧される。なお、内視鏡洗浄シース1の操作による作用の詳細は後述する。
一方、上記内視鏡洗浄シース1における先端構成部材11の前面側には、上記チューブ状挿入部12に挿通配置された上記内視鏡2の先端面の観察用窓,照明用窓等(不図示)の前面側外表面に付着した付着物等を洗浄するために霧状化させた混合液を噴出させるための噴霧ノズル11aが、図2,図4等に示すように一体に配設されている。
そのために、先端構成部材11には、上記チューブ状挿入部12の二本のサブルーメン12bを介して流れてくる気体及び液体を混合し霧状化した後、これを噴霧ノズル11aへと流通させる流路(図5,図8等の符号11c,11d参照)が形成されている。
ここで、先端構成部材11の内部に形成される流路(11c,11d)は次のように形成されている(図5,図8等参照)。即ち、流路11cは、先端構成部材11に接合されたチューブ状挿入部12の複数(二つ)のサブルーメン12bのそれぞれが連接する部位に形成されており、各サブルーメン12bを介して上記送気送液装置(不図示)から送り出された気体及び液体がそれぞれ別々に流通するための流路である。
上記流路11cは、図5,図8等に示すように、先端構成部材11の周方向に沿って断面が溝状となるように形成されている。図8に示すように、流路11cの一方の端部近傍には、上記二つのサブルーメン12bのうちの一つ(送気側)が連設され、流路11cの他方の端部近傍には、上記二つのサブルーメン12bのうちの他の一つ(送液側)が連設される。ここで、送気用のサブルーメン12bが連設される側の開口部を送気側開口部というものとし、図5,図8等において符号11cbで示している。また、送液用のサブルーメン12bが連設される側の開口部を送液側開口部というものとし、図5,図8等において符号11caで示している。
また、流路11cに流れる気体及び液体は、当該流路11cの略中央部分近傍で合流する。その合流部分近傍には開口部11daが形成されている。この開口部11daは、当該先端構成部材11の軸方向前方(先端側)に向けて延出する流路11dの基端側に形成されている。そして、この流路11dは、その先端側で上記噴霧ノズル11aに連通している。
上記噴霧ノズル11aは、上記先端構成部材11の一部として一体に形成されていて、上記流路11dの先端が連設している。噴霧ノズル11aの内部には、図9に示すように、上記流路11dに連接する屈曲流路11fが形成されている。この屈曲流路11fは、軸方向に形成された上記流路11dに対して、当該内視鏡洗浄シース1の径方向に屈曲して形成されていて、その末端に噴出口11aaが形成されている。したがって、この噴出口11aaは、当該内視鏡洗浄シース1に挿通配置された内視鏡2の先端面の観察用窓,照明用窓等(不図示)を向くように形成されている。
このような構成によって、流路11cの一端の送気側開口部11cbから同流路11c内に流れてくる気体と、流路11cの他端の送液側開口部11caから同流路11c内に流れてくる液体とは、流路11cの略中央部近傍に形成された混合部開口11daの近傍にて合流し混合される。そして、この混合部位にて混合されて霧状化した混合液は混合部開口11daから流路11dへと流れ込み、同流路11dを通って上記噴霧ノズル11aの噴出口11aaへと至り、同噴出口11aaから当該内視鏡洗浄シース1に挿通配置された内視鏡2の先端面の観察用窓,照明用窓等(不図示)に向けて噴霧される。
このように、本実施形態の先端構成部材11においては、気体と液体とが混合する混合部位(混合部開口11daの近傍部位)と、霧状化した混合液が外部に噴霧される部位(噴霧ノズル11aの噴出口11aa)とを、流路11dを介して離れた部位にそれぞれ形成している(図9参照)。換言すると、混合部位(混合部開口11daの近傍部位)の配置される平面と、噴霧部位(噴霧ノズル11aの噴出口11aa)の配置される平面とを、当該内視鏡洗浄シース1の軸方向に離して形成している。
このような構成とすることで、本実施形態の先端構成部材11においては、例えば混合部位と噴霧部位とを同じ平面に配置した従来構成のものに対して、送気動作時には、噴出口11aaから噴出される送気の噴出方向が傾いてしまうことを抑えることができ、確実に所定の方向への送気動作を行ない得る。また、本実施形態の先端構成部材11による構成では、流路11dを噴霧ノズル11aに連設させ、この噴霧ノズル11aの屈曲流路11fにて噴霧方向を規定するようにしたので、確実に所定の方向へ霧状化した混合液を噴霧させ得る。
また、図5,図8等に示すように、上記流路11cの内部には、送液側開口部11caの近傍部位から上記混合部開口11daの近傍部位までの間の空間(即ち、上記流路11cのうち主に液体が流通する側の空間)に、壁状突起11eが形成されている。この壁状突起11eは、例えば上記流路11cの一壁面に沿わせて形成されている(図6参照)。 一般に、上述のような形態の内視鏡洗浄シースにおいて、送気と送液を行なって霧状化した混合液を噴霧させる操作を行なった後、その噴霧操作を停止させたとき、送液側の流路内には、噴霧ノズルの噴出口にまで到達しなかった液体が残存することがある。特に、上述の形態の流路構成の場合、送液用のサブルーメン12bと流路11cとの接合部位(送液側開口部11ca)の近傍は、送液用のサブルーメン12bを通って送られてくる液体の流れの向きが変化する部位となっている。即ち、送液用のサブルーメン12bを流れてきた液体は、送液側開口部11caから流路11cに流れ込んだ直後に、その流れの向きを角度略90度だけ変化させられる。このような部位には送気及び送液が停止された時に液体が溜まりやすい傾向がある。
ここで、流路内に液体が残存している状態で、次の送気操作が行なわれたとすると、その残存液体は、送気側開口部11cbから流路11cへと流れ込む気体に巻き込まれて、流路11c内を流れ、混合部開口11daから流路11dへと移動して、最終的には噴霧ノズル11aから噴出されてしまうことになる。つまり、送気操作の動作中にも関らず、送気に混じって残存液体が混合し噴霧されてしまうことになる。
そこで、本実施形態の先端構成部材11においては、上述したように流路11cの内部における所定の部位、即ち送液側開口部11caの近傍部位から上記開口11daの近傍部位までの間の空間に、上記壁状突起11eを形成した構成とすることによって、上述の問題、即ち噴霧操作を停止した時の残存液体が、次の送気操作時に容易に移動してしまうことのないようにしている。つまり、流路11cのうち送液側の流路内に上記壁状突起11eを形成することで、残存液体の流れを阻止するようにしている。これにより、流路11cの内部に残存液体が存在する状態で、送気操作を行なったとしても、残存液体の移動が阻止されることから、送気に液体が混合することがなく、確実な送気を行なうことができるような構成とされている。
上述したように、噴霧ノズル11aは、噴出口11aaから噴出される混合液が当該内視鏡洗浄シース1に挿通配置された内視鏡2の先端面の観察用窓,照明用窓等(不図示)に向けて噴霧されるように形成されている。したがって、内視鏡2の先端面の観察用窓,照明用窓等(不図示)に向けて噴霧された混合液は、上記各窓の外表面にて滴状化してこれを洗浄するのであるが、この洗浄後の液体が、内視鏡洗浄シース1の先端構成部材11の外周側面等を伝って、再度、内視鏡2の前面側に回り込んだり、噴霧ノズル11aの噴出口11aa近傍に溜まったりする可能性がある。
そこで、本実施形態の先端構成部材11においては、図10等に示すように、先端構成部材11の前面側の外周縁部の一部であって、上記噴霧ノズル11aの噴出口11aaに対向する部位に円弧状壁部11gが形成されている。この円弧状壁部11gを設けることによって、上記噴霧ノズル11aの噴出口11aaから噴霧され上記内視鏡2の上記各窓の外表面上を洗浄した後の液体が、先端構成部材11の外周側面等に流れ出すのを抑止して、当該洗浄後の液体を当該内視鏡洗浄シース1の主に前方へと飛散させるように構成している。したがって、上記洗浄後の液体が再度内視鏡2の前面側に回り込んで上記各窓の外表面を汚したり、噴霧ノズル11aの噴出口11aa近傍に溜まってしまうことを抑止できる。
さらに、噴霧ノズル11aの噴出口11aaの近傍には、噴霧後の混合液が付着し滴状化することにより溜まりやすい傾向がある。そこで、本実施形態の先端構成部材11においては、噴霧ノズル11aの噴出口11aaの近傍には、撥水コート処理が施されている。当該部位に、このような表面処理を施すことによって、付着して滴状化した液体はすぐに流れ落ちてしまうようになり、よって当該部位に液体が溜まることを抑止するという効果がある。
また、本実施形態の先端構成部材11の外形形状は、例えば図4等に示されるように、基端側が上記チューブ状挿入部12の外径形状と略相似形状に外径が形成されている。この部分を先端構成部材11における基端部11xという。また、先端側は上記基端部11xの最大外径以上の外径を有する略円形形状に形成されている。この部分を先端部11yという。そして、上記基端部11xと上記先端部11yとの間は、上記基端部11xから上記先端部11yへと連続的に外径が変化するように形成されている。この部分を連続部11zという。さらに、前記基端部11xから前記連続部11zの中間部分にかかる部位であって、上記チューブ状挿入部12の上記複数の凸状部に対応する各部位には切欠部11bが形成されている。
即ち、先端構成部材11は、その軸方向の基端側(基端部11x)、即ちチューブ状挿入部12が接合される側の周縁部の一部であって、チューブ状挿入部12の二本のサブルーメン12bがそれぞれ配置され径方向に隆起する各部位に、上記基端部11xの周縁部から軸方向に凹形状若しくは略円弧形状又は矩形状に切り欠いた形状からなる二つの切欠部11bが形成されている。即ち、二つの凹状切欠部11bは、二本のサブルーメン12bのそれぞれに対応する部位に形成されている。これら二つの凹状切欠部11bを設けたことによって、上記先端構成部材11の軸方向基端側の縁部近傍の断面形状は、図11〜図14に示すように略円形状に形成されている。また、図11に示すように、二つの凹状切欠部11b(図11では一つのみ図示)の近傍の端面は、先端構成部材11の軸方向基端側の縁部から前方に向けてなだらかな上り斜面となるように形成されている。
このような構成からなる本実施形態の先端構成部材11を備えた内視鏡洗浄シース1を使用する際の作用を以下に説明する。
まず、図1に示すように、上記内視鏡2の内視鏡挿入部22を上記内視鏡洗浄シース1の操作部13の開口13aからチューブ状挿入部12のメインルーメン12aへと挿入させる。この状態の内視鏡洗浄シース1を管状部材であるのトロッカー3へと挿通配置させる。この状態で、内視鏡2を用いた体腔内の観察等を行うことができる。この場合、内視鏡2を挿通させた内視鏡洗浄シース1は、図11に示すように、その先端部分がトロッカー3の先端から突出した状態で使用されることもある。この状態からトロッカー3に挿通されている内視鏡洗浄シース1を抜去するときには、まず、トロッカー3の最先端部が内視鏡洗浄シース1の先端構成部材11の基端側に当接する。この時の状態が図12に示すようになる。
図12に示す状態は、内視鏡洗浄シース1をトロッカー3から抜去する際に、トロッカー3の内壁面3aが二本のサブルーメン12bのうちの一方に沿うようにした状態を示している。このような状態となった時、トロッカー3の内壁面3aは、サブルーメン12bの管路を外側から押し潰す形態のまま、内視鏡洗浄シース1は抜去方向に進むことになる。やがて、図12に示すように、内視鏡洗浄シース1の先端構成部材11の基端側の二つの凹状切欠部11bのうちの一方が、トロッカー3の最先端部に当接する。つまり、ここで、トロッカー3の最先端部が先端構成部材11の基端部11x(図4参照)に到達する。このとき、凹状切欠部11bの端面は、上述したように、先端構成部材11の軸方向基端側の縁部から前方に向けてなだらかな上り斜面となるように形成されているので、先端構成部材11の基端側の縁部は、トロッカー3の最先端部に引っ掛かることなくスムースに抜去方向に進む。つまり、トロッカー3の最先端部は凹状切欠部11bの基端側から先端側へと進む。ここで、凹状切欠部11bにおいては、先端構成部材11とチューブ状挿入部12との境界部が先端構成部材11bの基端部11xから先端側へ向けて湾状(略円弧状)に入り込んでいる。従って、トロッカー3の最先端部は凹状切欠部11bとチューブ状挿入部12との境界部に到達できない。また、連続部11z(図4参照)は、先端側に向かって外径が大きくなるので、トロッカー3の先端部が凹状切欠部11bの先端側に向かう程、上記境界部から外径方向に遠ざけられることになる。従って、そのまま、内視鏡洗浄シース1の抜去を続けると、図13に示す状態から図14に示す状態にかけて、先端構成部材11の基端側の上記縁部斜面は、トロッカー3の内壁面に摺動しながらスムースに抜去される。そして、図14に示す状態より以降は、トロッカー3の内壁面に対して先端構成部材11の外周面を摺動させつつスムースに内視鏡洗浄シース1を抜去することができる。
以上説明したように上記一実施形態によれば、内視鏡洗浄シース1等の医療用具における先端構成部材11は、全体として略円形の外周部と、この外周部に形成される凸状部とからなる形状を外径形状とするチューブ状挿入部12の先端を受け入れ可能な内径を有し、上記チューブ状挿入部12の外径形状と略相似形状に外径が形成された基端部11xと、上記基端部11xの最大外径以上の外径を有する略円形形状の先端部11yと、上記基端部11xと上記先端部11yとの間に設けられ上記基端部11xから上記先端部11yへと連続的に外径が変化する連続部11zと、上記基端部11xから上記連続部11zの中間部分にかかる部位であって上記チューブ状挿入部12の上記凸状部(サブルーメン12b)に対応した部位に形成された切欠部11bとを有して形成されている。
このように構成された先端構成部材11を、医療用具である内視鏡洗浄シース1に採用することによって、トロッカー3に挿通させた内視鏡洗浄シース1を抜去する際に、内視鏡洗浄シース1の先端構成部材11がトロッカー3の最先端部に引っ掛かってしまうことを抑止することができる。したがって、常にスムースに内視鏡洗浄シース1(医療用具)の挿抜を行なうことができる。
また、上述の実施形態に示す先端構成部材11の変形例として、次に示すような形態としてもよい。図15,図16は、本発明の一実施形態の先端構成部材の変形例であって、当該先端構成部材を備えた内視鏡洗浄シースの一部(先端部分)を示す図である。このうち図15は、当該内視鏡洗浄シースにおける先端部分の概略構成を示す斜視図である。図16は、同部位の側面図である。
本変形例の先端構成部材11Aの基本的な構成は、上述の一実施形態で示した先端構成部材11と略同様の構成からなるものであり、その形状の一部が異なるのみである。従って、上述の一実施形態と同じ構成については、同じ符号を附してその説明は省略し、異なる部分のみを以下に詳述する。
上述の一実施形態における先端構成部材11においては、図11等に示したように、二つの凹状切欠部11bの近傍の端面は、先端構成部材11の軸方向基端側の縁部から前方に向けてなだらかな上り斜面となるように形成している。即ち、上記連続部11z(図4参照)を設けて形成している。
これに対し、本変形例における先端構成部材11Aにおいては、図15,図16に示すように、上記斜面部を設けずに形成している。つまり、本変形例の先端構成部材11Aは、全体が略円筒形状であって、基端部11xから先端部までが、略同じ外径の筒状となるように形成されている。そして、この先端構成部材11Aにおいて、上述の一実施形態と同様に、二つの凹状切欠部11bが設けられている。
このように構成された上記変形例に示される先端構成部材11Aを適用した内視鏡シースにおいても、凹状切欠部11bの部分においては、先端構成部材11Aとチューブ状挿入部12との境界部は先端構成部材11Aの基端部11xから先端側へと湾状に入り込んだ形状としているので、トロッカー3の最先端部は凹状切欠部11bとチューブ状挿入部12との境界部に到達できないことになる。したがって、上述の一実施形態と全く同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本出願は、2013年5月23日に日本国に出願された特願2013−109116号を優先権主張の基礎として出願するものである。
上記基礎出願により開示された内容は、本願の明細書と請求の範囲と図面に引用されているものである。

Claims (6)

  1. 略円形の外周部と前記外周部に形成した凸状部とからなる形状を外径形状とする部材を受け入れ可能な内径を有し、前記外径形状と略相似形状に外径が形成された基端部と、
    前記基端部の最大外径以上の外径を有する略円筒形状の先端部と、
    前記凸状部に対応した部位に形成され、前記基端部から前記先端部に向けて切り欠かれた形状の切欠部と、
    を備えて形成されていることを特徴とする医療用具の先端構成部材。
  2. 前記凸状部は、略円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の医療用具の先端構成部材。
  3. 前記切欠部は、前記基端部から円弧状又は矩形状に切り欠かれていることを特徴とする請求項1に記載の医療用具の先端構成部材。
  4. 前記基端部と前記先端部との間において、前記基端部から前記先端部へと連続的に外径が変化する連続部を、さらに備え、
    前記切欠部は、前記基端部から前記連続部の中間部分にかかる部位であって前記凸状部に対応した部位に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の医療用具の先端構成部材。
  5. 請求項1に記載の医療用具の先端構成部材を備え、
    前記先端構成部材は、さらに気体及び液体の霧状混合液を噴霧する噴霧ノズルを有することを特徴とする内視鏡洗浄シース。
  6. 内視鏡と光源装置とを含む内視鏡システムにおいて、
    略円形の外周部と前記外周部に形成した凸状部とからなる形状を外径形状とするチューブ状挿入部と、
    前記チューブ状挿入部を受け入れ可能な内径を有し、前記外径形状と略相似形状に外径が形成された基端部と、前記基端部の最大外径以上の外径を有する略円形形状の先端部と、前記凸状部に対応した部位に形成され前記基端部から前記先端部に向けて切り欠かれた形状の切欠部と、気体及び液体の霧状混合液を噴霧する噴霧ノズルとを備えて形成される先端構成部材と、を備えた内視鏡洗浄シースと、
    前記内視鏡洗浄シースを挿通する管状部材と、
    を含んで構成されていることを特徴とする内視鏡システム。
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