JP5669181B2 - ウォータジェット作業用プロテクタ - Google Patents

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Description

本発明は、ウォータジェット装置を用いて洗浄作業、塗装の剥離及びコンクリートのはつり作業を行う場合に、作業者が着用するためのプロテクタに関する。
従来、壁面や路面の付着物に対して、ウォータジェット装置を用いて、剥離及びはつり作業を行う場合、装置から高圧水が噴射されるが、この高圧水が誤って作業者に直接衝突したり、或いは高圧水の跳ね返りや剥離等した付着物などが作業者に衝突したりすることがある。このような衝突による人体の損傷を防ぐために、プロテクタを用いる必要がある。
このような人体の損傷を防ぐプロテクタとしては、鉄鋼板を湾曲させたもの(特許文献1)や、繊維強化複合材料のシート(特許文献2)や、アラミド繊維(特許文献3)を用いるもの等がある。
特開2008−264050号公報 特開2005−126853号公報 特許3268656号公報
しかしながら、鉄鋼板を用いた場合、プロテクタの重量が重くなるとともに、その硬度により予め形状が定まっており、装着感が悪化する。その結果、作業者への肉体的負担が増し、作業能率が悪化してしまうといった課題があった。
また、繊維強化複合材料やアラミド繊維を用いると、柔軟性には富むが、ウォータジェットに対しては、強度が不足しているため、高圧水が貫通したり、プロテクタの製作費用が嵩んだりしてしまうといった課題があった。
本発明は上記実状を考慮して創作されたもので、その目的は、強度及び柔軟性を兼ね備え、且つ軽量化及びコストダウンを実現することのできるウォータジェット作業用プロテクタを提供することにある。
請求項1の発明は、人体の部位の曲面に合わせて変形可能なシート状の保護部材の表裏面を被覆部材で覆ってあるプロテクタ本体と、プロテクタ本体を人体の部位に取付けるための装着部材とを備え、保護部材は、シート状の弾性部材と弾性部材よりも高硬度で網状の高硬度部材とを交互に積み重ねた積層構造であり、高硬度部材は50〜100メッシュの金網製であり、弾性部材は硬度Hs50〜90のゴム製であることを特徴とする。
強度及び柔軟性の面で必要な性能が十分に得られ、且つ、軽量及び安価に製作するためには、例えば、以下の条件が望ましい。即ち、請求項2の発明のように、高硬度部材は0.2〜0.5mmの厚みであり、弾性部材は0.5〜2mmの厚みであることである。
保護部材は、表面側又は裏面側に弾性部材と高硬度部材の何れが配置されるかを、問わない。但し、高圧水の吸収力を強めるには、例えば、以下の条件が望ましい。即ち、請求項3の発明のように、保護部材は、その表面側と裏面側の層に弾性部材を配置してあることである。
また強度及び柔軟性の面で必要な性能が十分に得られ、且つ、軽量及び安価に製作するためには、例えば、以下のようにすることが望ましい。即ち、請求項4の発明のように、高硬度部材を2枚、弾性部材を3枚用いることである。
請求項1の発明は、網状の高硬度部材によって高圧水を分散させ、シート状の弾性部材によって高圧水の勢いを弱めており、これらの相乗作用によって高圧水をできる限り食い止めることができる。また、弾性部材の弾性だけでなく高硬度部材を網状とすることによって、プロテクタ本体は、十分な強度が得られた上で柔軟性を確保することができる。さらに、高硬度部材が網状であることから軽量化を図ることもできる。
しかも金網、ゴムといった安価な材料を用いると共に、金網、ゴム製の弾性部材の諸条件を特定することによって、強度及び柔軟性の面で必要な性能が十分に得られ、且つ、軽量及び安価に製作することができる。金網は、50メッシュよりも目開きの粗いものは高圧水が貫通しやすく、100メッシュよりも目開きの細かいものは折れたり、切れ易くなったりする。
請求項2の発明は、高硬度部材及び弾性部材の厚みを特定することにより、強度及び柔軟性の面で必要な性能が十分に得られ、且つ、軽量及び安価に製作することができる。
請求項3の発明は、表裏両面の層に弾性部材が配置されているので、網状の高硬度部材が表裏面の層に配置されている場合に較べれば、高圧水の勢いをシート状の弾性部材によって吸収できる回数が多く、高圧水を効果的に食い止めることができる。その上、人体の部位に対する装着感及び表面側の手触りが向上する。
請求項4の発明は、高硬度部材を2枚と、弾性部材を3枚用いることにより、強度及び柔軟性の面で必要な性能が十分に得られる。
(イ),(ロ)図は本発明のウォータジェット作業用プロテクタの腕用タイプを示すA−A線拡大断面図付きの裏面図、表面図である。 ウォータジェット作業用プロテクタを腕に取付けた状態を示す説明図である。 本発明のウォータジェット作業用プロテクタの太腿用タイプを示す表面図である。
図1には、本発明のウォータジェット作業用プロテクタ1が示されている。これは、人体の腕用である。ウォータジェット作業用プロテクタ1は、プロテクタ本体2と、プロテクタ本体2を人体の腕に装着するための装着部材3とから構成されている。以下、プロテクタ本体2、装着部材3の順に詳述する。
プロテクタ本体2は、腕の手首から肘にかけてまでの表側を覆うための腕カバー部21と、腕カバー部21を腕の内側に巻きつけて覆うための巻付け部22とから構成されている。図示の例では、プロテクタ本体2の形状は、腕に取付ける前の平らな状態となっている。この状態において、腕カバー部21は前後方向に縦長の長方形状で、前部が半円状(外向きに円弧が膨らむ形状)となっている。一方、巻付け部22は腕カバー部21の前部左側よりも後側から斜め左前方に突出する状態で延長する台形形状となっている。
プロテクタ本体2は構成部材として、腕の曲面に合わせて変形可能な保護部材23と、保護部材23の表裏面を覆う被覆部材24とを備えている。
保護部材23は、腕の曲面に合わせて変形可能なシート状のものである。より詳しく言えば、保護部材23は、シート状の弾性部材23aと、弾性部材23aよりも高硬度で網状の高硬度部材23bとから構成され、弾性部材23aと高硬度部材23bとを交互に積み重ねた積層構造を採用している。図示の例では、高硬度部材23bが2枚、弾性部材23aが3枚用いられる5層の積層構造であり、表裏両面に弾性部材23aが配置されている。積層構造は何層にするかは問わないが、全体厚を2〜6mmとするものが望ましく、4mmが重量及び強度の面から最適である。
弾性部材23aは、ゴム(天然ゴム又は合成ゴム)製であって、厚みを0.5〜2.0mmとするものが望ましい。その他に、硬度をHs50〜90とするものが望ましく、Hs70が強度と柔軟性の面で最適である。
高硬度部材23bは、鉄又はステンレスからなる金網製で、厚みを0.2〜0.5mm、メッシュを50〜100とするものが望ましい(メッシュ:1インチ間にある網目の数である。)。また、線径φ0.1mm以上、目開き0.2mm以下が望ましい。
図示の5層の積層構造の保護部材23については、ウォータジェット装置を用いて、強度(耐貫通性)試験を行った。この保護部材23は、全体厚4mm、合成ゴム(厚み:1mm)、金網(ステンレス、メッシュ:80)である。比較対象として、他社製のアラミド強化繊維製品(米国TurtleSkin社製(全体厚6mm)、スウェーデンTST社製(全体厚6mm))が用いられた。
試験条件は、圧力:245MPa、ノズル:φ0.45mm、流量:5L/min、ノズルと保護部材23の距離:50mm、ノズル移動速度:30、20、10m/minである。試験結果を下記表1に示す。
Figure 0005669181
この試験結果より、保護部材23が他社製品と較べて格段に強度があることが分かる。従って、ウォータジェットの高圧水の圧力は、245MPa以下に耐えうる強度がある。
被覆部材24は、商品としての美観及び触感を向上させるための生地である。より具体的に言えば、一般的な布に代表される薄い織物であり、当然、弾性部材23aや高硬度部材23bよりも薄いものである。図示の例では、プロテクタ本体2の表裏面を覆い、しかも、面ファスナーの雄部材を取付ける専用の取付部24aが、プロテクタ本体2の巻付け部22よりも延長して設けられている。
装着部材3は、プロテクタ本体2に複数取付けられている。
第一の装着部材3は、面ファスナー31である。図示の例では、面ファスナー31のフック部材31aは、巻付け部22の裏面側であって先端部(図1(イ)の右端部)に取付けられている。他方、ループ部材31bは、腕カバー部21の表面側であってフック部材31aとは最も離れた縁部(図1(ロ)の右端部)に取付けられている。
第二の装着部材3としては、二つの伸縮バンド32、33がある。第一の伸縮バンド32は、その両端部が腕カバー部21の裏面前部に固定され、その長手方向中間部に親指以外の四本の指を通せるようにしてある。また、第二の伸縮バンド33は、その両端部が腕カバー部21の裏面後部に固定され、その長手方向中間部に腕を通せるようにしてある。通す身体の部位に合わせて、第二の伸縮バンド33を第一の伸縮バンド32に比べて長いものとしてある。
第三の装着部材3は、長さ調節可能なアジャスターベルト34である。アジャスターベルト34は、固定ベルト34aと、調節ベルト34bと、アジャスター34cとから構成される。固定ベルト34aは、図1(イ)に示すように、その一端部を腕カバー部21の裏面の前後方向中間部であって左端部に固定してあり、その他端部にアジャスター34cを固定してある。調節ベルト34bは、その一端部を腕カバー部21の裏面の前後方向中間部であって右端部に固定し、その他端部をアジャスター34cに挿通してある。したがって、調節ベルト34bをアジャスター34cに通す量(長さ)を変更でき、腕の太さに対応できるようにしてある。
上述したウォータジェット作業用プロテクタ1を腕に取付けると、図2に示すように、プロテクタ本体2が筒状に変形して、腕の表面側については肘から手の甲までがほぼ完全に覆われ、腕の裏面側については肘から手首までが完全に覆われ、手の平は覆われていない。従って、手の平で物を掴むことが可能となり、作業性を阻害しない。
図3にも、本発明のウォータジェット作業用プロテクタ1が示されている。これは、左右の太腿用である。この場合、プロテクタ本体2が左腿用と右腿用の二つある。各プロテクタ本体2は、太腿に取付ける前の平らな状態においては、長方形の股付近に相当する角部を斜めに大きく落としたような形状をしている。また、各プロテクタ本体2には、第四の装着部材3としてバックル付きベルト35が、上下に間隔をあけて固定されている。バックル付きベルト35は、前述のアジャスターベルトに開閉用のバックルがついているもので、固定ベルト35aと、調節ベルト35bと、固定バックル35cと、調節バックル35dとから構成される。プロテクタ本体2の左右片側に固定ベルト35aの一端部が固定され、反対側に調整ベルト35bの一端部が固定される。そして、固定ベルト35aの他端部に固定バックル35cが固定され、調節ベルト35bの先端部に調節バックル35dが固定されている。図示しないが、固定バックル35cと調節バックル35dには、スナップ式に嵌合可能な雄部材と雌部材が別々に設けられており、雄部材と雌部材を連結、解除可能としてある。なお、固定ベルト35aには、伸縮バンドを用いている。
また、左右のプロテクタ本体2には第五の装着部材3が取付けられている。第五の装着部材3は、腰部用のバックル付きベルト36と、これを左右のプロテクタ本体2に連結するための連結ベルト37とから構成される。
腰部用のバックル付きベルト36は、一本の腰ベルト36aの固定端部に固定バックル36bが固定され、先端部に調節バックル36cが固定されている。また、腰ベルト36aにはワッカ状のベルト通し36dが挿通されている。
また、連結ベルト37も、バックル付きベルトであり、固定ベルト37aの固定端部がプロテクタ本体2の上部に固定され、その先端部が固定バックル37cに固定されている。また、調節ベルト37bは、腰ベルト36aにワッカ状に挿通されており、その固定端部が調節バックル37dに固定された上で、その先端部が調節バックル37dの他の箇所に挿通されている。
本発明は上記実施形態に限定されない。ウォータジェット作業用プロテクタ1は、腕用、太腿用に限らず、腹用など他の部位であっても良く、保護する部位に合わせて、プロテクタ本体2や装着部材3の形状を変更することができる。
1プロテクタ
2プロテクタ本体
3装着部材
21腕カバー部
22巻付け部
23保護部材
23a弾性部材
23b高硬度部材
24被覆部材
24a取付部
31面ファスナー
31aフック部材
31bループ部材
32伸縮バンド
33伸縮バンド
34アジャスターベルト
34a固定ベルト
34b調節ベルト
34cアジャスター
35バックル付きベルト
35a固定ベルト
35b調節ベルト
35c固定バックル
35d調節バックル
36バックル付きベルト
36a腰ベルト
36b固定バックル
36c調節バックル
36dベルト通し
37連結ベルト
37a固定ベルト
37b調節ベルト
37c固定バックル
37d調節バックル

Claims (4)

  1. 人体の部位の曲面に合わせて変形可能なシート状の保護部材の表裏面を被覆部材で覆ってあるプロテクタ本体と、プロテクタ本体を人体の部位に取付けるための装着部材とを備え、
    保護部材は、シート状の弾性部材と弾性部材よりも高硬度で網状の高硬度部材とを交互に積み重ねた積層構造であり、
    高硬度部材は50〜100メッシュの金網製であり、
    弾性部材は硬度Hs50〜90のゴム製であることを特徴とするウォータジェット作業用プロテクタ。
  2. 高硬度部材は0.2〜0.5mmの厚みであり、
    弾性部材は0.5〜2mmの厚みであることを特徴とする請求項1記載のウォータジェット作業用プロテクタ。
  3. 保護部材は、その表面側と裏面側の層に弾性部材を配置してあることを特徴とする請求項1又は2記載のウォータジェット作業用プロテクタ。
  4. 高硬度部材を2枚、弾性部材を3枚用いることを特徴とする請求項1、2又は3記載のウォータジェット作業用プロテクタ。
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