JP3268656B2 - 耐切創性にすぐれた防護具 - Google Patents

耐切創性にすぐれた防護具

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JP3268656B2
JP3268656B2 JP22231992A JP22231992A JP3268656B2 JP 3268656 B2 JP3268656 B2 JP 3268656B2 JP 22231992 A JP22231992 A JP 22231992A JP 22231992 A JP22231992 A JP 22231992A JP 3268656 B2 JP3268656 B2 JP 3268656B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐切創性にすぐれた防
護具に関するものであり、より詳しくは、チェーンソー
によって立ち木の伐採をしたり、回転する刃物によって
雑草などを刈り取る作業の際に、刃物の誤操作によって
も、人体を刃物による傷害から護ることのできる、腕カ
バーあるいは足カバー(脚半)などの防護具に関する。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】林業従事者(伐材、製
材)が立ち木や雑草等の伐採作業のために使用するチェ
ーンソーや回転刃による草刈り機のように、大型でしか
も高速で作動する刃物を使用する職業に従事する人、あ
るいは、土木作業者がコンクリート道路やアスファルト
道路の切削や補修用に用いるウォータージェットを使用
する職業に従事する人は、その作業中に誤った刃物の操
作によって人体を損傷することのないように、適切な防
護方法を講じなければならない。
【0003】とくに、山岳地帯において、たった一人で
かかる伐採作業等に従事する人にとっては、操作を誤っ
て足を切断するような事態に至った場合は、歩行するこ
ともできず、救助の手を待つ前に、出血多量で貴い命を
落としてしまうという悲しい事故も発生している。この
ような事態を想定して、前記林業従事者や土木作業者な
どは、人体に直接、あるいは、作業衣の上から腕カバー
あるいは足カバー(脚半)などの防護具を付けて身体を
保護している。
【0004】このような防護具の材料としては、従来よ
りナイロンやポリエステルのクロス、これらのクロス上
にゴムやポリ塩化ビニルをコーティングしたもの、ある
いは、前記クロスとスチ−ル網と他の材料との積層体な
どを使用していたが、これらの材料は、いずれも耐切創
性の点で十分なものとはいい難く、誤った刃物の操作に
よって人体を損傷する事故が多発していた。さらに、耐
切創性を十分なものにしようとすると、どうしても防護
具の素材を厚くしたり、剛性の材料で構成しなければな
らず、その場合には、耐切創性という点の目的はある程
度達成しうるものの、防護具の柔軟性に欠け、また、防
護具自体の重量が増え、作業において俊敏な行動を阻害
され、かえって刃物の操作を誤らせる結果となるばかり
でなく、材料費や縫製のための工賃も高価になるという
コストの点でのデメリットも避けられず、軽量で柔軟な
耐切創性にすぐれた防護具は未だ提案されていないのが
現状である。
【0005】本出願人は、このような現状にかんがみ、
軽量でありながら、容易に刃物によって切創されること
のない、前掛けや腕カバーあるいは脚部カバー(脚半)
などの防護具を開発し、すでに特願平3−212471
号として特許出願をした。この防護具は、極限粘度
[η]が少なくとも5dl/gである超高分子量エチレ
ン系重合体の分子配向体からなる編織物を主体とするも
のであるが、本発明者らが前記発明を追試し、さらなる
研究を進めていく過程において、特定の層構成を有する
防護具が、前記過酷な作業によっても人体を直接損傷す
るほどの破損を招くことがなく、安全な防護具として提
供し得ることが判明し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、軽量であり、
かつ、鋭利な、または高速で回転する刃物が当接して
も、衝撃吸収性に優れ、かつ切創されることが極めて困
難な、腕カバーあるいは脚部カバー(脚半)などの防護
具を提供することにある。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明は、前記目的を
達成するために提案されたものであって、特定の高強度
・高弾性繊維からなる編織物の層と不織布の層を有する
積層体を主体とする防護具を特徴とする。すなわち、本
発明によれば、引張強度1.5GPa以上、弾性率30
GPa以上の高強度・高弾性繊維からなる編織物を芯層
とし、その内外面に不織布の層を構成してなるクッショ
ン性積層体を主体とし、その外面には、少なくとも複数
の前記高強度・高弾性繊維からなる編織物の補強層を配
置し、かつ、その全面を編織物で被覆したことを特徴と
する耐切創性にすぐれた防護具が提供される。また本発
明によれば、前記クッション性積層体を構成する各層
が、少なくとも部分的に結束された防護具が提供され
る。さらに本発明によれば、前記補強層を構成する積層
体を構成する各層が、少なくとも部分的に結束された防
護具が提供される。さらにまた本発明によれば、前記高
強度・高弾性繊維が、極限粘度[η]が少なくとも5d
l/gの超高分子量エチレン系重合体の繊維である防護
具が提供される。本発明にかかる防護具は、紐、鞐、マ
ジックテープ(登録商標)など任意の結束具を付設し
て、脚部の保護を目的とする脚部カバー(脚半)として
構成されることが最も好ましい。
【0008】
【発明の具体的な説明】本発明に係る耐切創性の防護具
は、主たる構成材として、引張強度1.5GPa以上、
弾性率30GPa以上の高強度・高弾性繊維からなる編
織物を芯層とし、その内外面に不織布の層が形成された
クッション性積層体が使用され、この積層体が、高速で
回転する刃物などが接触した時に、その衝撃を有効に吸
収する役目を果たすことになる。
【0009】芯層として使用される編織物を構成する、
高強度・高弾性繊維としては、デカリン135℃中での
極限粘度[η]が少なくとも5dl/g以上の超高分子
量ポリエチレンを素材としたテクミロン(登録商標 三
井石油化学社)、スペクトラ(登録商標 アライドシグ
ナル社)、ダイニーマ(登録商標 ダイニーマ社)の商
品名で市販されている高強度ポリエチレン繊維、ポリ−
P−フェニレンテレフタルアミド、ポリ−P−ベンズア
ミド、P−フェニレンジアミン−3,4’−ジアミノジ
フェニルエーテル−テレフタル酸共重合体、P−アミノ
ベンズヒドラジド−テレフタル酸共重合体などの芳香族
ポリアミドを素材としたケブラー(登録商標 デュポン
社、東レ社)、トアロン(登録商標 エンカ社)、テク
ノーラ(登録商標 帝人社)の商品名で市販されてい
る、いわゆるアラミド系繊維、ポリ−P−オキシベンゾ
エート、ポリ−P−オキシベンゾエート−ポリエチレン
テレフタレート共重合体、P−オキシベンゾエート−
P,P’−ジアセトキシナフトエ酸共重合体などの芳香
族ポリエステルを素材としたエコノール(登録商標 住
友化学社)、ザイダー(登録商標 ダートコ社)、ベク
トラ(登録商標セラニーズ社)、ベクトラン(登録商標
クラレ社)の商品名で開発市販されているポリアクリ
レート系繊維、ポリオキシメチレンを素材としたテナッ
クSD(登録商標 旭化成社)の商品名で開発市販され
ているポリオキシメチレン繊維、その他、ポリビニルア
ルコール繊維、ポリ−P−フェニレンベンズビスチアゾ
ール繊維などを挙げることができる。
【0010】これらの中でも、耐候性、耐水性、耐衝撃
吸収性、耐クリープ性の点から高強度ポリエチレン繊維
が好ましい。繊維の形態は、フィルムの割繊維、フラッ
トヤーン、モノフィラメント、マルチフィラメント、あ
るいはテープのいずれでも良い。
【0011】芯層として使用される高強度・高弾性繊維
からなる編織物は、そのデニール番手や織り密度が限定
されるわけではないが、通常、デニール番手は、500 な
いし3000dであり、それからなる編織物は、密度は10な
いし35本/2.45cm、厚さは0.2 ないし2mm 、目付け100
ないし400 程度のものが好ましく使用される。なお、本
発明において使用される高強度・高弾性繊維は、引張強
度が1.5GPa以上、好ましくは2.0GPa以上、弾性率は30GP
a 以上、好ましくは50GPa 以上である。
【0012】芯層の内外両面に積層される不織布の層と
しては、種々公知の不織布、例えば、湿式不織布、乾式
不織布が使用され、乾式不織布としては、接着剤型、機
械接合型、紡糸型で得られるものなどが使用できる。こ
れら不織布の原料としては、種々公知の繊維形成性材
料、例えば、レーヨン、ポリビニルアルコール、ナイロ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、あるいは、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンな
どが使用できるが、これら不織布の中では、低吸水性、
軽量性に優れたポリプロピレン系不織布が好ましく使用
される。
【0013】前記高強度・高弾性繊維からなる編織物層
の内外両面に不織布の層を設けることによって、クッシ
ョン性を付与し、人体へのなじみをよくし、また不織布
層の外側に積層した、前記高強度・高弾性繊維からなる
編織物の補強層を突き抜けて、仮に不織布の層に刃物が
食い込んできても、刃物が高強度・高弾性率繊維からな
る編織物の層に当接した途端に食い込みは停止され、も
う一方の不織布の層までを同時に破損することはない。
【0014】不織布の厚さは、とくに限定されるわけで
はないが、前記高速で回転する重い刃物がぶつかって
も、その衝撃を有効に吸収し、かつ、作業性を損なわな
い程度の厚さのものが好ましく、通常、目付100 ないし
500 g/m2 で,1 ないし5 mm程度の厚さのものが好ま
しく用いられる。
【0015】このクッション性積層体は、それぞれの層
がニードルパンチまたは縫合糸で少なくとも部分的に貼
合ないし縫合されていることによって、それぞれの層が
無縫合状態で単に配置されている場合に比べて、前記刃
物が当接した時に著しく優れた耐切創性を示し、防護具
としての性能を高めることができる。このクッション性
積層体の外面には、さらに、前記高強度・高弾性繊維か
らなる編織物の積層体を隣接して形成する。この積層体
は、前記クッション性積層体の強度をさらに補強するた
めのものであり、少なくとも2層、好ましくは4層以上
の積層体として構成されることが好ましい。
【0016】この補強性積層体の各層を構成する繊維の
デニールや織り密度も特に限定されるものではないが、
防護具の補強層としての機能の点から、通常500 ないし
3000デニールのマルチフィラメントを、10ないし35本/
in、目付100 ないし400 g/m2 程度の平織りクロスと
して織製されたものが好ましく用いられる。この補強性
積層体も、それぞれの層は縫合糸で少なくとも部分的に
縫合されていることが、防護具全体の耐切創性を高める
点で好ましい。
【0017】また、クッション性積層体と補強性積層体
とは、どのような状態で結束されていてもよいが、それ
ぞれの積層体を別個に縫合し、さらに、それら両層を縫
合するようにした場合には、仮に、どちらかの積層体の
縫合が切断等によって解離したとしても、全体の積層体
が同時にばらばらになることはない点で有利である。つ
まり、これらの積層体が縫合されていない場合には、表
層が回転する刃物によってめくられてしまい、同様に次
々にすべての層がめくられ、刃物によって切断はされな
いものの、本来刃物から人体を防護する目的で構成され
た前記耐切創性の積層体構成は、まったく防護具として
の役目を果たすことなく、無用のものとなってしまうこ
とになる。
【0018】本発明に係る防護具は、前記クッション性
積層体と、その外面に形成された補強性積層体を、編織
物で包み込むことによって構成される。この防護具の外
装である編織物を構成する繊維としては、通常衣服など
に用いられている種々公知の繊維、すなわち、木綿、羊
毛、麻などの天然繊維をはじめ、再生繊維、半合成繊
維、および合成繊維などを用いることができる。これら
編織物の中でも、内層面(すねに当たる面)は、綿また
は綿混紡編織物が汗を吸い取る肌ざわりの点で好まし
く、また外層面では、合成繊維編織物が低吸水性、およ
び耐久性の点で好ましく使用される。
【0019】編織物は、自体公知の織り方によって得ら
れるが、具体的には、平織、朱子織、あや織り、からみ
織りなどいずれの方法によって織られたものでもよい。
本発明の防護具の外装を構成する編織物を構成する繊維
には、発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、核剤、充填剤、
スリップ剤、滑剤、難燃剤、可塑剤などの添加剤を配合
することができる。
【0020】本発明の防護具には、所望の箇所に、紐、
鞐、マジックテープ(登録商標)などの種々の結束具を
付設しておくことが望ましい。これを、林業従事者や製
材所従事者のようにチェ−ンソ−を使用する作業員、あ
るいは回転式の雑草刈取機を使用する作業員の足や腕、
または作業着の上から巻きつけ、脚部カバー、あるいは
腕カバ−として使用するものである。すなわち、前記構
造からなる防護具のクッション性積層体が配置される側
を内側とし、補強性積層体が配置された側を外側にして
脚部や腕部に巻つけ、前記結束具で固定するだけで、前
記危険な作業から身を守ることができる。
【0021】図1は、後述する実施例に示すように、2
0cm×20cmの、不織布/超高分子量エチレン系重
合体の編織物/不織布からなり、積層体全体を適宜の箇
所でニードルパンチによる結束をしたクッション性積層
体の外面に、さらに4層からなる超高分子量エチレン系
重合体の編織物の層をステッチによる縫合をした積層体
を配置し、さらに両積層体全体をナイロン生地でカバー
した脚部カバーとして構成した防護具の断面図である。
【0022】かかる構成を有する防護具に、たとえば誤
ってチェーンソーなどの刃が当たってカバーの編織物を
裂いたとしても、その内層を形成する前記超高分子量エ
チレン系重合体から得られた編織物は、それによって切
断されることがなく、解繊されるだけであり、解繊され
たマルチフィラメントがチェーンソーのモーター部分に
絡まり、チェーンソーの回転を停止させてしまうことに
なる。
【0023】つまり、本発明の防護具(パッド)に使用
される編織物は、チェーンソーの刃によって切断される
ことがなく、解繊されたマルチフィラメントがチェーン
ソーの回転を停止させるために、チェーンソーの刃が脚
半の生地を破り、人体に接触するのを未然に防止するこ
とができ、その上、内側に配置されたクッション性積層
体が、チェーンソーの衝撃を有効に緩和し、作業者に与
える衝撃を軽減させることができる。
【0024】この防護具に用いられる編織物は、前記高
強度・高弾性繊維から得られ、平織り、朱子織り、綾織
りなど本出願前から知られている任意の方法にて織られ
たものを使用することができる。なお、編織物はあまり
密な織り方にしない方が好ましく、とくにクッション性
積層体の芯層として使用する編織物は、広い間隔の目開
きがない限り、ラフな編織物であっても十分に防護具と
しての目的を達成し得るものである。また、これら編織
物と積層される不織布は、嵩高なものが好ましく使用さ
れる。
【0025】本発明の防護具は、後述する実施例から明
らかなように、耐衝撃性に優れると共に、きわだってす
ぐれた耐切創性を有し、鋭利でかつ、重い刃物が当って
も編織物の面が切断することは殆んどなく、刃物を扱う
作業者の身体をきわめて高い安全度で護ることができ
る。しかも、本発明の防護具は、細い番手の繊維からな
る編織物を使用することによって十分にすぐれた耐切創
性を示すために、材料の軽量化ができ、しかも、柔軟性
があるので、この防護具を使用することによって、作業
者は俊敏な作業が阻害されることはない。また、本発明
の防護具は、素材に吸水性がないため、降雨時の作業に
も適している。さらに、本発明の防護具には、防水性を
高めるために、防護具の少なくとも一面にポリ塩化ビニ
ルのコーティング層を設けることができる。
【0026】ポリ塩化ビニルは水性分散液として、デイ
ッピングまたはコーティング法によって、編織物の少な
くとも一面に通常30ないし1000μ、好ましくは50な
いし500μ程度の被覆層が形成される。ポリ塩化ビニ
ルのコーティングに際しては、必要に応じて編織物の表
面を、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、放射線(電
子線、γ線)処理を行うことによって、編織物とポリ塩
化ビニルの密着性が一層高められ、得られた防護具は、
耐切創性ばかりでなく、防水性にも優れたものになる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、特定の高強度・高弾性
繊維から構成される編織物を芯層として、その内外両面
に不織布の層を形成し、さらに、その外面に、前記特定
の高強度・高弾性繊維から構成される編織物の積層体を
配置し、その全面を編織物でカバーすることにより、耐
衝撃性に優れるとともに、きわめてすぐれた耐切創性を
有する腕カバーあるいは足カバーなどの防護具が提供さ
れ、この防護具は、高強度で耐摩耗性、耐クリープ性に
もすぐれているために、薄地の編織物を使用した軽量化
が可能となり、作業性にもすぐれた防護具となる。ま
た、防護具表面が刃物と接触した際に、すべり易いこと
に起因して、予想外の事故が起こりうるような用途にお
いては、該防護具表面にポリ塩化ビニルの被覆層を形成
することによって、そのようなアクシデントを未然に防
止し、しかも防水性を高めることにもなる。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0029】<実施例> この実施例は、図1に示した脚部カバーとして構成した
防護具の構成を説明するためのものである。極限粘度
[η]7.3dl/g、引張強度2.4GPa、弾性率
75GPaの超高分子量ポリエチレン繊維(1000デニ−
ル)[商品名「テクミロン」三井化学社(旧三井石油化
学社)製)を用いて、織り密度17本/inの平織りクロ
ス(11)(目付:約160 g/m2 )を織製した。このクロ
スを20×20cmの大きさで切り取り、その内外両面
に20×20cmの大きさのポリプロピレン不織布(12)
三井化学社(旧三井石油化学社)製商品名タフネル
(目付:200 g/m2 )]を重ね合わせ、ニードルパン
チにより貼合した。一方、前記クッション性積層体の芯
層として用いたものと同じ超高分子量ポリエチレンの平
織りクロス(21)(目付:約160 g/m2 )を20×20
cmの大きさに切り取ったもの4枚をジグザグ状に約2
cm間隔でユニチカ株式会社製シルエスタ#4のミシン
糸(23)を使って縫合し補強性積層体(B) を得た。
【0030】次に、クッション性積層体(A) の上面に補
強性積層体(B) を配置し、両積層体を上記ミシン糸で約
3cm間隔で縫合した。こうして得られた積層体構造物
全体をナイロン生地(30)( 厚さ:約0.2m)で覆い、上方
部、中間部および下方部の両端面に結束用の紐(40)を付
設し、脚部カバーを得た。こうして得られた脚部カバー
は、全体重量が約200gの軽いものであり、しかも、
全体が柔軟であり、前記作業を遂行する上で支障になる
ものは何もなかった。
【0031】この防護具を、直径12cmの丸太の上に
ポリエステル生地を3重に巻つけたものの表面に、しっ
かり巻きつけた。ついで、実際の林業従事者が、通常の
木を切る時の要領でチェーンソーを上記防護具の表面部
分に押当て、チェーンソーを運転させて、丸太への影響
の程度を測定した。用いたチェーンソーは、エコー社製
「CS−332C」(エンジン33.4cc、重量4.
3kg、バー長さ35cm)であった。その結果、運転
を開始したところ、表面のナイロン生地は破れたが、約
2秒で、チェーンソーの回転は止まった。チェーンソー
の刃は、補強性積層体の表面部付近で停止していた。な
お、モーターの駆動部分には、チェーンソーの刃で引き
抜かれた超高分子量ポリエチレン繊維が切断されること
なく絡まっており、この超高分子量ポリエチレン繊維の
存在がチェ−ンソーの運転を停止させていたことが判明
した。
【0032】<比較例>綿製ギャバジン生地とスチ−ル
金網と雑フェルトとの積層体からなる従来の防護具を用
い、それ以外は、実施例と同様に操作し、丸太への影響
の程度を測定した。その結果、運転開始後、約1.5秒
間で、脚半やポリエステル生地は切断され、丸太に傷が
つき、チェーンソーの刃の回転は止まらなかった。丸太
の傷の幅は約5cmであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防護具の一例である脚部カバーの断面
図である。
【符合の説明】
A クッション性積層体 B 補強性積層体 11 超高分子量ポリエチレン繊維の平織りクロス 12 ポリプロピレン不織布 13 ニードルパンチによる貼合 21 超高分子量ポリエチレン繊維の平織りクロス 23 縫合用ミシン糸 30 ナイロン生地 40 結束用紐
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹ノ内 憲司 埼玉県越谷市南荻島4229−3 (72)発明者 梶谷 信喜 栃木県鹿沼市茂呂2206−22 審査官 森川 聡 (56)参考文献 実開 昭61−188781(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 5/26

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張強度1.5GPa以上、弾性率30
    GPa以上の高強度・高弾性繊維からなる編織物を芯層
    とし、その内外面に不織布の層を構成してなるクッショ
    ン性積層体を主体とし、その外面には、少なくとも複数
    の前記高強度・高弾性繊維からなる編織物の補強層を配
    置し、かつ、その全面を編織物で被覆したことを特徴と
    する耐切創性にすぐれた防護具。
  2. 【請求項2】 前記クッション性積層体を構成する各層
    が、少なくとも部分的に結束されたものである請求項1
    記載の防護具。
  3. 【請求項3】 前記結束が、ニードルパンチまたは縫合
    糸により行われるものである請求項2記載の防護具。
  4. 【請求項4】 前記補強層を構成する積層体を構成する
    各層が、縫合糸により少なくとも部分的に結束されたも
    のである請求項1記載の防護具。
  5. 【請求項5】 前記高強度・高弾性繊維が、極限粘度
    [η]が少なくとも5dl/gの超高分子量エチレン系
    重合体の繊維である請求項1記載の防護具。
  6. 【請求項6】 前記防護具が、脚部カバーである請求項
    1記載の防護具。
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