JP5665523B2 - 高周波吸収回路、多段高周波吸収回路 - Google Patents

高周波吸収回路、多段高周波吸収回路 Download PDF

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Description

この発明は、直流を含む低周波を透過しかつ、マイクロ波もしくはミリ波等からなる高周波を反射させることなく内部で消散、減衰させる高周波吸収回路に関する。
従来、例えば下記特許文献1に開示されているような、高周波を大きく反射させること無く内部で消散するノイズフィルタが提案されている。この回路は、チップ形状のセラミック多層基板の内部に形成した伝送線路の信号導体まわりにフェライト材料を配置したものである。このフェライト材料が伝送線路を伝搬する高周波に対して磁気的な損失を生じさせるため、高周波の減衰効果が得られる。フェライト材料の物性を考慮して伝送線路の断面寸法を決定すれば、入力された高周波の反射を小さく抑えることも可能である。また、高周波の減衰量は、伝送線路の電気長に比例する。直流成分を含む低周波は、波長が長くなるために回路の電気長が小さくなることと、入力端子と出力端子の間で信号導体が連続であることにより、基本的に低損失に伝搬する。このため、このノイズフィルタの回路は、直流や低周波の電源配線などにおいて、不要な高周波(ノイズ成分)が伝播することによって発生する不具合を回避するための回路として有用と考えられる。
特開2005−109882号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたノイズフィルタは、セラミック材料とフェライト材料を重ね合わせて同時焼成したものであることから、用いられるフェライト材料は焼成に適したものである必要があるほか、高周波の減衰効果はフェライト材料の物性に依存するため、適切な物性を提供するものでなければならない。即ち、特殊な製法と材料を必要とする。
さらに、高周波の減衰量は、上述のように、基本的に伝送線路の電気長に依存することから、セラミックの内部に配置する伝送線路の信号導体は、その物理長を稼ぐために微細な配線としてセラミックチップの内部で蛇行させることになる。一方、焼成物であるセラミックの外形には、セラミックの製造性から、採用できる大きさに限界があるため、回路を透過させる直流成分や低周波成分の電流容量はあまり大きくできない。
この発明は、特殊な材料や製造技術を一切必要とせず、汎用の部品のみで、減衰させたい高周波の周波数に応じて誘電体基板上に簡単に実現でき、かつ、回路を透過させたい直流や低周波成分の電流容量が比較的大きい高周波吸収回路およびこれを複数組み合わせた多段高周波吸収回路を得ることを目的とする。
この発明は、信号導体の一端が入力線路の信号導体に接続され、他端が出力線路の信号導体に接続された吸収対象周波数における約半波長の電気長を有する第1伝送線路と、一端が前記第1伝送線路の信号導体の一端または一端近傍に、他端が前記第1伝送線路の信号導体の他端または他端近傍にそれぞれ接続された第1抵抗素子と、信号導体の一端が開放端、他端が入力端となる少なくとも1本の先端開放線路部からなる第1先端開放線路と、一端が前記第1伝送線路の信号導体に接続され、他端が前記先端開放線路部の入力端へ接続された第2抵抗素子と、を備えたことを特徴とする高周波吸収回路等にある。
この発明では、特殊な材料や製造技術を一切必要とせず、汎用の部品のみで、減衰させたい高周波の周波数に応じて誘電体基板上に簡単に実現でき、かつ、回路を透過させたい直流や低周波成分の電流容量が比較的大きい高周波吸収回路、多段高周波吸収回路を提供できる。
この発明の実施の形態1による高周波吸収回路の斜視図である。 図1の高周波吸収回路の等価回路である。 図1の高周波吸収回路の線対称性を考慮した半割りの等価回路を示す図である。 図1の高周波吸収回路の反射および通過特性の一例を示す図である。 この発明の実施の形態2による高周波吸収回路の斜視図である。 図5の高周波吸収回路の等価回路である。 図5の高周波吸収回路の線対称性を考慮した半割りの等価回路を示す図である。 図5の高周波吸収回路の反射および通過特性の一例を示す図である。 この発明の実施の形態3による高周波吸収回路の斜視図である。 図9の高周波吸収回路の等価回路である。 図9の高周波吸収回路の線対称性を考慮した半割りの等価回路を示す図である。 図9の高周波吸収回路の反射および通過特性の一例を示す図である。 この発明の実施の形態4による高周波吸収回路の分解斜視図である。 図13の高周波吸収回路の等価回路である。 図13の高周波吸収回路の線対称性を考慮した半割りの等価回路を示す図である。 図13の高周波吸収回路の反射および通過特性の一例を示す図である。 この発明の実施の形態5による多段高周波吸収回路の斜視図である。 図17の多段高周波吸収回路の反射および通過特性の一例を示す図である。
以下、この発明による高周波吸収回路、多段高周波吸収回路を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による高周波吸収回路の斜視図である。裏面に地導体4を設けた単層の誘電体基板(一般には誘電体層)16を用い、各伝送線路(1,2,5,77)の信号導体(3)をマイクロストリップ線路で構成、マイクロストリップ線路間を電気的に接続するようにマイクロストリップ線路上にチップ状の抵抗素子(6,10)を2つ配置したものである。なお、信号導体は代表して符号3で示し、各信号導体には構成する伝送線路の符号が付されている。
チップ抵抗6は第1抵抗素子に相当し、一部が途切れている例えばループ形状の第1伝送線路5の信号導体の両端にまたがるように配置され、チップ抵抗6の両端が第1伝送線路5の信号導体の両端間またはそれぞれの端近傍の間に電気的に接続されている。第1伝送線路5の信号導体の一端には入力線路1の信号導体、他端には出力線路2の信号導体が接続されている。一方、チップ抵抗10は第2抵抗素子に相当し、第1伝送線路5の信号導体(例えば信号導体の長さ方向の中心)と、第1先端開放線路7の入力端9(9a,9b)との間にまたがるように配置され、チップ抵抗10の両端は、それぞれ、第1伝送線路5の信号導体と第1先端開放線路7の入力端9の信号導体の間に電気的に接続されている。ここで、第1先端開放線路7は2つの先端開放線路部7a,7bが並列接続されて構成されている。例えば1本の信号導体の長さ方向の中心を入力端9とし、それぞれ両側の信号導体部分を先端開放線路部7a,7bの信号導体とする。各先端開放線路部7a,7bの入力端9a,9b側の反対側はそれぞれ開放端8a,8bとなっている。
図2に図1の高周波吸収回路の等価回路を示す。第1伝送線路5の特性インピーダンスをZ1、先端開放線路部7a,7bについては一本にまとめ第1先端開放線路7として等価回路に記載しており、一本にまとめた際の特性インピーダンスをZs1としている。また、第1抵抗素子に相当するチップ抵抗6の抵抗値をR1、第2抵抗素子に相当するチップ抵抗10の抵抗値をR2としている。また、各伝送線路の電気長は、この高周波吸収回路の設計周波数f0(すなわち吸収対象周波数)での電気長としている。即ち、第1伝送線路5の設計周波数f0における電気長は約180度(約半波長)または180度(半波長)、第1先端開放線路7(7a,7b)の同電気長は90度(四分の一波長)である。図1、図2を見ても分かるように、入力線路1と出力線路2の間に設けられたこの高周波吸収回路は物理的且つ電気的にほぼ線対称または線対称な回路となっている。
次に、この高周波吸収回路の動作を説明する。このような線対称な回路の特性は、線対称面で分割して得られる半割りの回路の反射特性から推定できる。図3に図2に示した対称面を磁気壁面としたときの回路と、対称面を電気壁面としたときの回路を示す。それぞれ、入力端子(入力線路1側)から回路を見込んだときの反射係数をΓe、Γoとしている。対称面が磁気壁面となった(a)の場合には、第1先端開放線路7(7a,7b)の特性インピーダンスZs1と、第2抵抗素子(10)の抵抗値R2が、それぞれ2倍の値となる。第1抵抗素子(6)は対称面にて分断、開放となるため、抵抗素子としては機能しない。一方、対称面が電気壁面となった(b)の場合には、第2抵抗素子(10)と第1先端開放線路7(7a,7b)は対称面で接地(短絡)されるため、いずれも機能せず、また、第1伝送線路(5)は対称面にて接地され、先端短絡の四分の一波長線路となる。第1抵抗素子(6)は対称面で分断のうえ接地され、抵抗値は半分の値になる。
まず、図3の(a)に従い反射係数Γeについて考える。設計周波数f0では第1先端開放線路7(7a,7b)の電気長が90度であるから、第1先端開放線路7(7a,7b)は第2抵抗素子(10)の一端を短絡する。従って図3の(a)の回路は、設計周波数f0では、一端が接地された抵抗値R2×2の抵抗を特性インピーダンスZ1の四分の一波長線路を介して見込む回路となる。このため、Z1の値とR2の値の組み合わせをうまく選ぶことで、Γeを外部回路(図示省略、以下同様)の内部インピーダンスに一致させることができ、すなわちΓeを0とすることができる。
次に図3の(b)に従い反射係数Γoについて考える。設計周波数f0では、一端が接地された第1伝送線路5の片割れは、その電気長が90度であることから入力端子(入力線路1)付近では開放となる。従って図3の(b)の回路は、設計周波数f0では、入力端子からは一端が接地された抵抗値R1×0.5の抵抗のみを見込む回路となる。従って、R1の値を外部回路の内部インピーダンスと一致させることでΓoを0とすることができる。
ところで、電気的に線対称な、2端子の受動回路の周波数特性は、一般に、上述の反射係数ΓeとΓoを用いて式(1)のように表される。
S11=(Γe+Γo)/2、 S21=(Γe−Γo)/2 (1)
ここで、2つの端子の端子番号を1と2とし、S11は反射特性、S21は通過特性を示す。
従って、式(2)のように、ΓeとΓoをいずれも0にすると、反射(S11)と通過(S21)が共に0となる。
Γe=Γo=0、 S11=S21=0 (2)
即ち、この回路に入力されたf0付近の高周波は、回路内で消散し、2つの端子のいずれからも出力されることが無いという回路が実現される。上述のように、ΓeはZ1の値とR2の値から、ΓoはR1の値から基本的に定まるため、両者は個別に設定が可能であるから、Γe=Γo=0とすることは容易である。
図4に設計周波数f0を10GHz、入力側の外部回路の内部インピーダンスを50Ω、Z1を50Ω、R1を100Ω、R2を25Ω、Zs1を25Ωとして計算したときのこの高周波吸収回路の反射特性(S11)ならびに通過特性(S21)の一例を示す。パラメータは、出力側の外部回路の内部インピーダンスであり、入力側の外部回路の内部インピーダンスと一致した50Ωのほか、20Ω、100Ωとした場合の特性を示している。f0付近の周波数帯では反射がなく、かつ、出力側へと透過する電力も少ないことが分かる。また、f0付近の特性が、出力側の外部回路の内部インピーダンスに依存せず、ほぼ一定であり、この高周波吸収回路により入力側と出力側の外部回路が、f0付近の周波数帯では、電気的にアイソレーション(分離)されていることが分かる。
さらに、直流を含む低周波は、入力側の外部回路と出力側の外部回路の内部インピーダンスの不一致の影響による不整合が生じるのみで、基本的にこの高周波吸収回路の内部での損失は少なく、低損失に透過することが分かる。この点については、この高周波吸収回路は入力線路1から出力線路2の間を第1伝送線路5が間断のない信号導体(3)で接続しており、また、抵抗素子(6,10)が2つ用いられていても、抵抗素子の両端で電位差を生じないため、抵抗素子での損失が少ないことは明らかである。
以上のように、この実施の形態の高周波吸収回路は、誘電体基板上に形成されたマイクロストリップ線路形態の伝送線路とチップ抵抗のみから構成されており、特殊な材料、部材を必要とせず、極めて容易に実現できる。このため、極めて低コストである。誘電体基板としては、樹脂基板でも、セラミック基板でもよいし、抵抗素子はチップ抵抗の代わりに抵抗膜を用いてもよい。また、特殊な材料を用いていないため、周波数特性が材料の物性に依存せず、周波数特性を所望の周波数にて所望の特性に整えることができるという効果もある。また、この高周波吸収回路は第1伝送線路の信号導体の幅に関しても設計上の自由度が高いため、従来の回路と比較して、この高周波回路を透過させるべき直流を含む低周波の電流容量を確保しやすいという効果もある。
そのほか、前述のように、設計周波数f0付近では、この高周波吸収回路の反射特性は出力側の外部回路の内部インピーダンスに依存しない。これは、この高周波吸収回路により、入力側の外部回路の終端条件を出力側の外部回路の内部インピーダンスによらず固定できることに相当する。従って、出力側の外部回路の内部インピーダンスが明確に把握できていない場合においても、この高周波吸収回路の挿入により、入力側の外部回路の終端条件が明確になり、f0付近での入力側の外部回路の設計が容易となるほか、その設計が高精度となり、この結果、入力側の外部回路の性能向上が得られるという効果も期待できる。
なお、この実施の形態では、伝送線路をマイクロストリップ線路とし、誘電体基板を単層の基板としたが、信号導体と地導体からなる伝送線路であればいずれでもよく、例えば、トリプレート線路でもコプレーナ線路でも構わないし、複数種類の伝送線路の組み合わせであってもよい。誘電体基板は、多層のものであっても構わない。また、この実施の形態は物理的にも電気的にも線対称な構造としているが、電気的な線対称性が維持されていれば周波数特性の劣化は小さくてすむことも多い。このため、この発明は、物理的に非対称な構造が含まれているものを排除するものではない。
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による高周波吸収回路の斜視図である。構造は実施の形態1の高周波吸収回路と類似しているが、この実施の形態では、第1先端開放線路は用いられておらず、容量素子11が使用されている。容量素子11は直方体形状のチップ部品で、その上面と下面に電極を備え、上面側の電極はボンドワイヤ17により第1伝送線路5の信号導体に接続されている。下面側の電極は接続線路20aの信号導体に電気的に接続されて密着している。この接続線路20aの信号導体と、一端がスルーホールまたはビアホール(以下単にスルーホールとする)18により誘電体基板16の裏面の地導体4へと電気的に接続された接続線路20bの信号導体の間を跨ぐように、両端が接続された第2抵抗素子に相当するチップ抵抗10が配置されている。
図6に図5の高周波吸収回路の等価回路を示す。容量素子11の容量値はCとし、第1伝送線路5の特性インピーダンスはZ1である。実施の形態1の高周波吸収回路と同様に、電気的かつ物理的に線対称な回路となっており、従ってその動作は、実施の形態1の場合と同様な扱いにより推定できる。図7に対称面を磁気壁面、電気壁面としたときの、半割り等価回路を示す。図7の(a)の磁気壁面の場合、設計周波数f0にて容量素子11の容量値Cの値が十分に大きなものであれば、そのリアクタンスは0に近づくため、半割り等価回路の反射係数Γeを0とすることは容易である。図7の(b)の電気壁面の場合のΓoについては実施の形態1と同様である。
図8に設計周波数f0を10GHzとし、入力側および出力側の外部回路の内部インピーダンスをいずれも50Ω、Z1を50Ω、R1を100Ω、R2を25Ω、Cを100pFとして計算したこの実施の形態の高周波吸収回路の反射特性(S11)ならびに通過特性(S21)を示す。実施の形態1と同様な周波数特性が得られていることが分かる。
この実施の形態の高周波吸収回路では、実施の形態1の回路と同様な効果が得られるほか、第1先端開放線路を用いていないことから、回路全体が小形になるほか、電気長を有する先端開放線路を含まないためにΓeの周波数特性が緩やかなものとなり、反射特性の良好な周波数帯域を幅広く確保できる。
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3による高周波吸収回路の斜視図である。実施の形態1の高周波吸収回路に、設計周波数f0において約半波長または半波長の第2伝送線路12、四分の一波長の第2先端開放線路13を加えたものである。第2先端開放線路13は入出力端線路部90の信号導体が中途で2つの先端開放線路部13a,13bの信号導体に分岐するT字型の先端開放線路とすることで、回路のレイアウトを容易にし、占有面積を小さくしている。2つの先端開放線路部13a,13bの入出力端90a,90b側と反対側はそれぞれ開放端80a,80bとなっている。第2伝送線路12の信号導体の両端は、第1伝送線路5の両端間またはそれぞれの端近傍の間に電気的に接続されている。
図10に図9の高周波吸収回路の等価回路を示す。図11の(a)に線対称面を磁気壁面、(b)に線対称面を電気壁面としたときの半割り等価回路を示す。第2伝送線路12の特性インピーダンスをZ2、第2先端開放線路13の特性インピーダンスをZs2としている。
図11の(a)の対称面が磁気壁面のとき、第2伝送線路12と第2先端開放線路13とは、これらの電気長の和が180度となるため、設計周波数f0では入力端子(入力線路1)付近で開放となる。このため、実施の形態1の場合とΓeは同様となる。図11の(b)の対称面が電気壁面となった場合も、第2伝送線路12が先端短絡の四分の一波長線路となるため、入力端子(入力線路1側)付近で開放となり、実施の形態1の場合とΓoは同様となる。従って、この実施の形態の高周波吸収回路は、設計周波数f0付近では、実施の形態1の回路と同様な周波数特性が得られる。図12に、入力側と出力側の外部回路の内部インピーダンスをいずれも50Ω、Z1、Z2を50Ω、Zs1、Zs2を25Ω、R1を100Ω、R2を25Ωとしたときの反射特性(S11)および通過特性(S21)を示す。
この実施の形態の高周波吸収回路では、実施の形態1の回路と同様な効果が得られる。これに加え、第2伝送線路により直流を含む低周波の伝達経路が実施の形態1の回路に追加されているため、入力線路1と出力線路2の間をつなぐ信号導体の幅の総和が実施の形態1の回路よりも大きくなっており、電流容量が大きく、耐電力が高い高周波吸収回路が得られる。
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4による高周波吸収回路の分解斜視図である。図13の高周波吸収回路は、積層される多層の誘電体基板(誘電体層)16a〜16cと地導体4a,4b、3つのチップ抵抗6,14,15を用いて構成されたものである。
誘電体基板16aの上面には、入力線路1と出力線路2の信号導体、第1伝送線路5と第2伝送線路12の端部伝送線路5a,12aの信号導体、それぞれ第1,第3,第4抵抗素子を構成するチップ抵抗6,14,15が設けられ、さらに各端部伝送線路5a,12aの信号導体のそれぞれの一端の位置にスルーホール18a〜18dが形成されている。チップ抵抗6は2つの端部伝送線路5aの信号導体の端の間または端近傍の間に両端が電気的に接続され、チップ抵抗14は一方の端部伝送線路5aの信号導体の端または端近傍と一方の端部伝送線路12aの信号導体の端の間に両端が電気的に接続され、チップ抵抗15は他方の端部伝送線路5aの信号導体の端または端近傍と他方の端部伝送線路12aの信号導体の端の間に両端が電気的に接続されている。
誘電体基板16aの下面側の誘電体基板16bの上面には地導体4aが設けられ、地導体4aの上述のスルーホール18a〜18dと対向する位置にはそれぞれ抜き穴21a〜21dが設けられている。そして抜き穴21a〜21dの部分にはそれぞれ、スルーホール18a1〜18d1およびランド19a〜19dが設けられ、各端部伝送線路5a,12aの信号導体のそれぞれの端と後述する誘電体基板16cの上面の第1伝送線路5と第2伝送線路12の信号導体の対応する端を電気的に接続する。
誘電体基板16bの下面側の誘電体基板16cの上面には、第1伝送線路5と第2伝送線路12の信号導体(端部伝送線路5a,12aの信号導体は除く)、および第1先端開放線路7の信号導体が設けられ、下面側には地導体4bが積層される。
いずれも約半波長または半波長の第1伝送線路5と第2伝送線路12は、その大半が内層に設けられている。第1先端開放線路7も内層に配されている。第1先端開放線路7は入力端線路部91の信号導体が中途で2つの先端開放線路部7a,7bの信号導体に分岐するT字型の先端開放線路となっている。2つの先端開放線路部7a,7bの入力端9a,9b側と反対側はそれぞれ開放端8a,8bとなっている。
入力線路1と出力線路2が表層のマイクロストリップ線路(地導体は4a)で構成され、チップ抵抗6,14,15付近においてのみ、第1伝送線路5と第2伝送線路12の端部伝送線路5a,12aの信号導体がマイクロストリップ線路で構成されている。内層の第1伝送線路5、第2伝送線路12、第1先端開放線路7は、いずれも、4aと4bを地導体とするトリプレート線路で構成されている。マイクロストリップ線路の信号導体(端部伝送線路5a,12aの信号導体)とトリプレート線路の信号導体(信号導体5,12,7)とは、スルーホール18a〜18dと、地導体4aに設けた抜き穴21a〜21dの内側に設けられたスルーホール18a1〜18d1とランド19a〜19dとを介して、地導体4aとは電気的絶縁を維持しつつ、電気的に接続されている。第2伝送線路12の両端部分、すなわち端部伝送線路5a,12aの信号導体の間にそれぞれ接続されたチップ抵抗14,15は同じ抵抗値を有するものとする。
図14に図13の回路の等価回路を、図15に線対称面を磁気壁面、電気壁面とした場合の半割り等価回路を示す。図15の(a)に示す線対称面が磁気壁面となったとき、第2伝送線路12は第3抵抗素子に相当するチップ抵抗14(または第4抵抗素子に相当するチップ抵抗15)の一端を接地することとなる。他方、第1伝送線路5と第1先端開放線路7は総電気長が180度となり入力端子(入力線路1)において開放となる。このため、Γeは、設計周波数f0においてはR2(チップ抵抗14または15の抵抗)により定まる。一方、図15の(b)に示す線対称面が電気壁面の場合には、第2伝送線路12が先端短絡となって第3抵抗素子に相当するチップ抵抗14(または第4抵抗素子に相当するチップ抵抗15)の一端で開放となり、このため、チップ抵抗14と第2伝送線路12は入力端子(入力線路1)付近で開放となる。第1伝送線路5は先端短絡の四分の一波長線路となり入力端子(入力線路1)付近で開放、従って、設計周波数f0ではΓoは、一端が接地された第1抵抗素子に相当するチップ抵抗6(抵抗値は半分となる)から定まる。このため、Γe、Γoとも、設計周波数f0付近で0とすることは容易である。
図16にこの実施の形態の高周波吸収回路の反射特性(S11)及び通過特性(S21)の計算結果を示す。外部回路の内部インピーダンスを50Ωとし、Z1、Z2を50Ω、Zs1を25Ω、R1を100Ω、R2を50Ωとして計算したものである。他の実施の形態同様、設計周波数f0付近にて低反射、高減衰量の特性が得られることが分かる。
この実施の形態の高周波吸収回路では、実施の形態1の回路と基本的に同様の効果が得られる。これに加えて、回路形態の関係上、3つの抵抗素子が近接配置されることから、多層基板を用いてこの回路を構成した場合に、抵抗素子以外の部位を内層に設けることで、表層の占有面積を小さく抑えることができる。
実施の形態5.
図17はこの発明の実施の形態5による多段高周波吸収回路の斜視図である。実施の形態1の高周波吸収回路を例えば2つ縦続に接続、すなわち最外側の入力線路1と出力線路2の間で直列接続した回路となっている。2−1は出力線路2と入力線路1との接続線路を示す。この実施の形態では、一方の高周波吸収回路の設計周波数を他方のそれの2倍に設定している。
図18に、一方の高周波吸収回路の設計周波数を5GHz、他方を10GHzとして計算した反射特性(S11)及び通過特性(S21)を示す。各伝送線路の特性インピーダンス、抵抗素子の抵抗値は実施の形態1の場合と同一、外部回路の内部インピーダンスは入力側、出力側とも50Ωとした。この発明の高周波吸収回路は線対称面を考慮した半割りの等価回路において電気長90度の伝送線路を用いて構成されているため、設計周波数の奇数倍の周波数で、設計周波数と同様な周波数特性が得られる。この実施の形態の高周波吸収回路はこの性質を利用したもので、5GHzで設計された一方の回路は反射および通過が5GHzおよび15GHzで0、他方の回路は10GHzで反射および通過が0となる。
これらの回路のそれぞれが、入力側と出力側のアイソレーションを有するために、複数個の高周波吸収回路を縦続接続した場合には、それぞれの回路の周波数特性の重ねあわせが得られやすい。これにより、この実施の形態の高周波吸収回路のように、異なる設計周波数で設計された複数個の高周波吸収回路を縦続接続することで、極めて広い周波数範囲にて低反射かつ高減衰量の特性を得ることが可能である。その他の効果については、実施の形態1の高周波吸収回路と同様である。
なお、この実施の形態では、同様な形態の高周波吸収回路を縦続接続する例を示したが、異なる伝送線路で形成した高周波吸収回路の縦続接続でも同様な効果が得られることは言うまでも無い。
またこの発明を各実施の形態に従って説明したが、この発明はこれらの各実施の形態に限定されるものではなく、これらの特徴の可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
1 入力線路、2 出力線路、3,5a,12a 信号導体、4,4a,4b 地導体、5 第1伝送線路、6 チップ抵抗(第1抵抗素子)、7 第1先端開放線路、7a,7b 先端開放線路部、8a,8b,80a,80b 開放端、9,9a,9b,91 入力端、10 チップ抵抗(第2抵抗素子)、11 容量素子、12 第2伝送線路、13 第2先端開放線路、13a,13b 先端開放線路部、14 チップ抵抗(第3抵抗素子)、15 チップ抵抗(第4抵抗素子)、16,16a〜16b 誘電体基板、17 ボンドワイヤ、18a〜18d,18a1〜18d1 スルーホール(ビアホール)、19a〜19d ランド、2−1,20a,20b 接続線路、21a〜21d 抜き穴、90 入出力端線路部、90a,90b 入出力端、91 入力端線路部。

Claims (6)

  1. 信号導体の一端が入力線路の信号導体に接続され、他端が出力線路の信号導体に接続された吸収対象周波数における約半波長の電気長を有する第1伝送線路と、
    一端が前記第1伝送線路の信号導体の一端または一端近傍に、他端が前記第1伝送線路の信号導体の他端または他端近傍にそれぞれ接続された第1抵抗素子と、
    信号導体の一端が開放端、他端が入力端となる少なくとも1本の先端開放線路部からなる第1先端開放線路と、
    一端が前記第1伝送線路の信号導体に接続され、他端が前記先端開放線路部の入力端へ接続された第2抵抗素子と、
    を備えたことを特徴とする高周波吸収回路。
  2. 信号導体の一端が入力線路の信号導体に接続され、他端が出力線路の信号導体に接続された吸収対象周波数における約半波長の電気長を有する第1伝送線路と、
    一端が前記第1伝送線路の信号導体の一端または一端近傍に、他端が前記第1伝送線路の信号導体の他端または他端近傍にそれぞれ接続された第1抵抗素子と、
    一端が前記第1伝送線路の信号導体に接続された容量素子と、
    一端が接地されるとともに,他端が前記容量素子の他端に接続された第2抵抗素子と、
    を備えたことを特徴とする高周波吸収回路。
  3. 信号導体の一端が前記第1伝送線路の信号導体の一端または一端近傍に、他端が前記第1伝送線路の信号導体の他端または他端近傍にそれぞれ接続された吸収対象周波数における約半波長の電気長を有する第2伝送線路と、
    一端が開放端、他端が入出力端となる信号導体からなる少なくとも1本の先端開放線路部を有し、前記入出力端が前記第2伝送線路の信号導体に接続された第2先端開放線路と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の高周波吸収回路。
  4. 信号導体の一端が入力線路の信号導体に接続され、他端が出力線路の信号導体に接続された吸収対象周波数における約半波長の電気長を有する第1伝送線路と、
    一端が前記第1伝送線路の信号導体の一端または一端近傍に、他端が前記第1伝送線路の信号導体の他端または他端近傍にそれぞれ接続された第1抵抗素子と、
    信号導体の一端が開放端、他端が入力端となり、前記入力端が前記第1伝送線路の信号導体に接続された少なくとも1本の先端開放線路部からなる第1先端開放線路と、
    吸収対象周波数における約半波長の電気長を有する第2伝送線路と、
    前記第2伝送線路の信号導体の一端と前記第1伝送線路の信号導体の一端または一端近傍との間に接続された第3抵抗素子と、
    前記第2伝送線路の信号導体の他端と前記第1伝送線路の信号導体の他端または他端近傍との間に接続された第4抵抗素子と、
    前記各抵抗素子を外層、前記各伝送線路の信号導体を内層に設けた基板構造と、
    を備えたことを特徴とする高周波吸収回路。
  5. 入力線路と出力線路の間に介在する回路全体が、少なくとも電気的に線対称な構造を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の高周波吸収回路。
  6. それぞれが請求項1から5までのいずれかに記載の高周波吸収回路からなり吸収対象周波数が異なる複数の高周波吸収回路が直列に接続された多段高周波吸収回路。
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