JP5664696B2 - 多層シート - Google Patents

多層シート Download PDF

Info

Publication number
JP5664696B2
JP5664696B2 JP2013099389A JP2013099389A JP5664696B2 JP 5664696 B2 JP5664696 B2 JP 5664696B2 JP 2013099389 A JP2013099389 A JP 2013099389A JP 2013099389 A JP2013099389 A JP 2013099389A JP 5664696 B2 JP5664696 B2 JP 5664696B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
polyester resin
multilayer sheet
group
acid monoglyceride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013099389A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013230686A (ja
Inventor
川畑 正
正 川畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP2013099389A priority Critical patent/JP5664696B2/ja
Publication of JP2013230686A publication Critical patent/JP2013230686A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5664696B2 publication Critical patent/JP5664696B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、少なくとも1層が環状アセタール骨格を有するジオール単位を含むポリエステル樹脂組成物からなる樹脂層である多層シートに関し、詳しくは、該ポリエステル樹脂に特定の脂肪酸エステルを配合して多層シート製造時に他樹脂との流れ性の違いにより発生するフローマークを解消することができるポリエステル樹脂組成物からなる樹脂層を少なくとも1層有する多層シートに関するものである。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と言うことがある)は機械的性能、耐溶剤性、保香性、リサイクル性等にバランスのとれた樹脂であり、ボトル、シート、フィルムなどの用途を中心に大量に用いられている。しかしながら、PETは結晶性が高いため、厚みのある成形体やシートを製造しようとすると、結晶化により白化し、透明性が損なわれてしまう。また、PETのガラス転移温度は80℃程度であるため、自動車内で使用する製品、輸出入用の包装材、レトルト処理や電子レンジ加熱を行う包装材等高い耐熱性、透明性が要求される用途には利用できなかった。
一方、PETと化学構造のよく類似した透明ポリエステル樹脂であるポリエチレンナフタレ−ト(以下「PEN」と言うことがある)は、PETのジカルボン酸単位がナフタレンジカルボン酸単位であるポリエステルであり、PETとほぼ同じ成型物(ボトル等)の加工が可能であり、そのリサイクル使用の可能性も有している。PENは剛直な分子構造を有するために、耐熱性(ガラス転移温度110℃程度)、ガスバリヤー性等の面でPETよりも優れる特長を有しているが、非常に高価であり、更にPETと同様に結晶性が高いため、厚みのある成形体やシートを製造しようとすると、結晶化により白化し、透明性が損なわれてしまう欠点がある。
そこで、透明性を必要とする用途には1,4−シクロヘキサンジメタノールで一部共重合された変性PETやイソフタル酸で一部変性された変性PETといった低結晶性ポリエステル樹脂が用いられている。しかし、これらの樹脂のガラス転移温度は80℃前後であり、PETに比較して依然として耐熱性の改善はなされていないのが現状である。
環状アセタール骨格を有するジオールを含むポリエステル樹脂(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)は、高い透明性を持ちながらPETやPENの耐熱性を改善したポリエステル樹脂であり、透明性と耐熱性が要求される用途での利用が可能である。
該環状アセタール骨格を有するジオールを含むポリエステル樹脂と他樹脂とを多層シート化して耐熱性や耐衝撃性、傷付き性を改善しようとする試みがある(例えば特許文献1)。しかしながら該環状アセタール骨格を有するジオールを含むポリエステル樹脂と他樹脂(例えばPET)とで多層シートを製造する場合(例えば該ポリエステル樹脂をスキン層、PETをコア層とした2種3層の層構成)、両者の溶融時の粘度差から生じる流れ性の違いからフローマークと呼ばれるシート表面上の外観不良が発生する場合がある。
特開2003−182014号公報 特開2002−69165号公報 特開2004−67830号公報
本発明の目的は、前記の如き状況に鑑み、環状アセタール骨格を有するジオールを含むポリエステル樹脂に特定の脂肪酸エステルを配合することにより、例えば多層シート製造時に他樹脂との流れ性の違いにより発生するフローマークを解消することができるポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、環状アセタール骨格を有するジオール単位を含むポリエステル樹脂に対して、特定の脂肪酸エステルを添加することで、成形時の樹脂粘度を調整し得ることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中1〜60モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂(A)を80〜99.995重量%、および炭素数10〜30の脂肪酸エステルの少なくとも1種類を0.005〜5重量%含有することを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、樹脂粘度を任意に低減することが可能であるため、例えば多層シート製造時に他樹脂(例えばPET)との流れ性を一致させることでフローマークを解消し、更に該シートを用いた二次加工時において金型からの離型性を向上させることが可能となる。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明のポリエステル樹脂組成物に用いられるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中1〜60モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂(A)である。環状アセタール骨格を有するジオール単位は下記の一般式(1)または(2)で表される化合物に由来する単位が好ましい。
Figure 0005664696

Figure 0005664696

R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。一般式(1)及び(2)の化合物としては3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンが特に好ましい。
また、環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位としては特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び上記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等が例示できる。本発明のポリエステル樹脂の機械的性能、経済性等の面からエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、特にエチレングリコールが好ましい。例示したジオール単位は単独で使用する事もできるし、複数を併用する事もできる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物に用いられるポリエステル樹脂(A)のジカルボン酸単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。本発明のポリエステル樹脂の機械的性能、及び耐熱性の面からテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸といった芳香族ジカルボン酸が好ましく、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびイソフタル酸が好ましい。中でも、経済性の面からテレフタル酸がもっとも好ましい。例示したジカルボン酸は単独で使用することもできるし、複数を併用することもできる。
ポリエステル樹脂(A)の含有量は、ポリエステル樹脂組成物に対して80〜99.995重量%、好ましくは83〜99.99重量%、更に好ましくは85〜99.95重量%である。ポリエステル樹脂(A)の含有量が99.995重量%を超えると脂肪酸エステルを十分な量で含有させることができないことから粘度低減や離型性の効果が不十分である。ポリエステル樹脂(A)の含有量が80%未満では、ポリエステル樹脂(A)の優れた特性が発揮されない場合がある。ポリエステル樹脂(A)は、高い透明性を持ちながらPETやPENの耐熱性を改善した樹脂であり、透明性と耐熱性が要求される分野での利用が可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、炭素数10〜30の脂肪酸エステルが含まれる。上記脂肪酸エステルとしては、花王(株)「花王のプラスチック用添加剤」等に記載のものや理研ビタミン(株)社製リケマールシリーズを使用することができる。例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、ステアリン酸ステアリル等が挙げられる。中でもステアリン酸モノグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリドが好適に使用できる。これらの脂肪酸エステルは単独で使用することもでき、また複数を併用することもできる。
脂肪酸エステルの含有量は、ポリエステル樹脂組成物に対して0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、更に好ましくは0.05〜2重量%である。脂肪酸エステルの含有量が5重量%を超えると高温での成形時に例えば押出機のベント口や吐出口等から揮散が激しくなったり、成型品の表面に析出が生じ透明な成形体を取得することが出来なくなってしまう。含有量が0.005重量%より少ないと粘度低減や離型性の効果が不十分である。
本発明に用いる脂肪酸エステルの添加方法としては、特に限定されないが、ポリエステル樹脂(A)の重合反応を脂肪酸エステルの存在下で行い含有させる方法、または重合工程において重合釜から抜き出しを行う前の溶融状態のポリエステル樹脂(A)に脂肪酸エステルを添加する方法、ポリエステル樹脂(A)をペレット化した後に脂肪酸エステルをドライブレンドする方法、更にそのドライブレンドしたものを押出機等で溶融混練する方法、押出機等を用いて溶融したポリエステル樹脂(A)に脂肪酸エステルを添加する方法が採用される。これらのなかでも添加量を任意に調整することが簡単であることから、ペレットに脂肪酸エステルをドライブレンドし押出機等で溶融混練する方法が良い。
ポリエステル樹脂(A)と脂肪酸エステルとの混合、混練には公知の装置を用いることができ、例えばタンブラー、高速ミキサー、ナウターミキサー、リボン型ブレンダー、ミキシングロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸押出機、二軸押出機などの混合、混練装置を挙げることができる。また、ゲートミキサー、バタフライミキサー、万能ミキサー、ディゾルバー、スタティックミキサーなどの液体混合装置を用いることもできる。また、高濃度の脂肪酸エステルを含む樹脂とポリエステル樹脂とを上記の方法、装置にて混合することもできる。
本発明に用いるポリエステル樹脂(A)の溶融粘度は測定温度240℃、剪断速度100s-1で測定した際に700〜5000Pa・sの範囲である。溶融粘度が上記範囲にあると目的に応じて脂肪酸エステルにより所望の粘度となるように容易に調整を行うことができ、成形性に優れるポリエステル樹脂組成物とすることができる。例えば2種3層の多層シートを製造する際、粘度の違いから発生してしまうフローマークを、脂肪酸エステルの種類、組み合わせ、添加量等を適宜選択することで粘度を調整し改善することが可能となる。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤などの各種添加剤、成形助剤を添加することができる。また、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリイミド、AS樹脂等の樹脂、オリゴマーを添加することもできる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は射出成形体、押し出し成形体、シート、シート成形品、未延伸フィルム、延伸フィルム、インジェクションブローボトル、ダイレクトブローボトル、発泡体など種々の用途に用いることができる。
本発明の多層シートは、前記ポリエステル樹脂組成物からなる少なくとも1層を有する。また、前記ポリエステル樹脂組成物からなる層以外の少なくとも1層が、主として、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂からなる群から選ばれた樹脂からなる樹脂層であることが好ましい。
本発明の多層シートは、ポリエステル樹脂組成物と、ポリエステル樹脂(A)を除くポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂等から選ばれた1種以上の樹脂とを、多層シートに成形することにより得られる。
ポリエステル樹脂組成物と多層化可能な樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(A)を除く)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂等が挙げられるが、技術的に容易に多層化できる樹脂としてポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(A)を除く)、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂(A)を除く)、ポリカーボネート樹脂が特に好ましく用いられる。
本発明の多層シートの製造方法としては、共押出法、共押出ラミネート法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等の公知の積層化技術を用いることができる。またこれらの積層化のために樹脂間に適した接着剤、あるいは接着性樹脂を用いても良い。
本発明の多層シートの各層の厚みは、用途、層を形成する樹脂の種類、層の数等に応じて決められるが、通常は10μm〜10mmである。また、多層シートの総厚みは用途により異なり、例えば、食品向けシートでは0.1〜1mm、建材、商品ディスプレイ用等の厚物シートでは1〜40mmの厚みで使用される。ポリエステル樹脂組成物層と他樹脂層との層数の合計は通常6層までである。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
本実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
・ ステアリン酸モノグリセリド:理研ビタミン(株)製、商品名:リケマールS−100A
・ ベヘン酸モノグリセリド:理研ビタミン(株)製、商品名:リケマールB−100
・ ポリエチレンテレフタレート(PET):日本ユニペット(株)製、商品名:UNIPET RT553C
・ ポリカーボネート(PC):三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロン H−3000
〔評価方法〕
次に本実施例及び比較例中の多層シートの評価方法は以下の通りである。
(1)多層シートフローマーク(外観不良)
多層シート表面の凹凸を目視にて観察した。表中の観察結果の略号は以下の通りである。
○:フローマークが全くない
△:フローマークが僅かに発生
×:フローマークが激しく発生
(2)耐熱性
0.8mm厚の多層シート、押出方向を縦、幅方向を横として、縦、横100mmの正方形試験片を切り出し、この試験片を5℃刻みのオーブン内で30分加熱し、加熱後の縦及び横方向の収縮率が10%を越えない最高温度とした。
(3)全光線透過率及び曇価
全光線透過率及び曇価は、JIS−K−7105、ASTM D1003に準じて0.8mm厚の多層シートを48時間調湿後、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で測定した。使用した測定装置は、日本電色工業社製の曇価測定装置(型式:COH−300A)である。
〔ポリエステル樹脂(A−1)、(A−2)の製造〕
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、攪拌機、過熱装置、窒素導入管を備えた150リットルのポリエステル樹脂製造装置に表1に記載量のテレフタル酸とエチレングリコールを仕込み、常法にてエステル化反応を行った。得られたエステルに表1に記載量の解重合用エチレングリコールと、二酸化ゲルマニウムを加え、225℃、窒素気流下で解重合を行なった。生成する水を留去しつつ3時間反応を行った後、215℃、13.3kPaでエチレングリコールを留去した。得られたエステルに表1に記載量のテトラ−n−ブチルチタネート、酢酸カリウム、リン酸トリエチル、SPGを添加し、225℃13.3kPaで3時間反応を行った。得られたエステルを昇温、減圧し、最終的に270℃、高真空化(300Pa以下)で重縮合反応を行い、所定の溶融粘度となったところで反応を終了しポリエステル樹脂(A)を得た。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
・PTA:テレフタル酸
・SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエテチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
・EG:エチレングリコール
・GeO2:二酸化ゲルマニウム
・TBT:テトラ−n−ブチルチタネート
・AcOK:酢酸カリウム
・TMP:リン酸トリメチル
ポリエステル樹脂(A−1)、(A−2)の評価方法は以下の通りである。
(1)環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の割合は、ポリエスエル樹脂20mgを1gの重クロロホルムに溶解し、1H−NMR測定、ピーク面積比から算出した。測定装置は日本電子(株)製JNM−AL400を用い、400MHzで測定した。
(2)ガラス転移温度
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は島津製作所製DSC/TA−50WSを使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30ml/min)気流中昇温速度20℃/minで測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)分子量(数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mn)
ポリエステル樹脂2mgを20gのクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで検量したものをMn、Mw/Mnとした。GPCは東ソー株式会社製TOSOH 8020に東ソー株式会社製カラムGMHHR−Lを2本、TSK G5000HRを1本接続し、カラム温度40℃で測定した。溶離液はクロロホルムを1.0ml/mnの流速で流し、UV検出器で測定した。
(4)溶融粘度
測定装置は東洋精機製 Capirograph1C(キャピログラフ)を用い、温度:240℃、予熱時間:1min、ノズル径:1mm、ノズル長:10mm、剪断速度:100(1/sec)で測定を行った。
〔ポリエステル樹脂組成物の製造〕
ポリエステル樹脂(A−1)又は(A−2)に各種脂肪酸エステルをドライブレンドしたのち押出機で溶融混練して表2、3に記載のポリエステル樹脂組成物を製造した。
〔多層シートの製造方法〕
コア層原料をベント付65mm二軸押出機を用いてベント脱揮を行いながら押出し、一方、スキン層原料はベント付30mm二軸押出機を用いてベント脱揮を行いながら押出し、マルチマニホールドタイプのダイを用いて2種3層の多層シート(多層シート総厚み:約0.8mm、スキン層厚み:約0.1mm)を製造した。
〔単層シートの製造方法〕
ベント付65mm押出機を用いて、ベント脱揮を行いながらPETを押出し、マルチマニホールドタイプのダイを用いて単層シート(シート厚み:約1.0mm)を製造した。
〔多層シートの熱成形〕
実施例1〜4、比較例1〜3で製造した多層又は単層シートを圧縮成形(熱成形)してフランジ部を有する容器を成形した。
〔離型性〕
金型からの樹脂の離型性を目視にて観察し、結果を表2、3に示す。表中の観察結果の略号は以下の通りである。
○:離型性良好
×:金型への樹脂のこびりつき、または成形体表面の平滑性不良
Figure 0005664696
〔実施例1〜4,比較例1〜3〕
多層シートの評価結果を表2、3に示す。
Figure 0005664696
Figure 0005664696
本発明のポリエステル樹脂組成物は、樹脂の粘度を任意に低減することができることから、粘度の異なる他樹脂とも外観不良(フローマーク)のない多層シートを製造することが可能であり、本発明の工業的意義は大きい。

Claims (8)

  1. 少なくとも1層が、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中1〜60モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル樹脂(A)を80〜99.995重量%、および脂肪酸エステルとしてステアリン酸モノグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、カプリン酸モノグリセリド、ミリスチン酸モノグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、ステアリン酸ステアリルからなる群より選ばれた少なくとも1種類を0.005〜5重量%含有するポリエステル樹脂組成物からなる樹脂層であり、該ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂層以外の層が、ポリエステル樹脂(A)以外のポリエステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれた1種以上の樹脂からなる樹脂層であり、共押出法によって製造されることを特徴とする多層シート。
  2. 3層からなる多層シートであって、そのスキン層が該ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂層である請求項1に記載の多層シート。
  3. 脂肪酸エステルがステアリン酸モノグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、パルチミン酸モノグリセリド、およびラウリン酸モノグリセリドからなる群から選ばれた一種以上である請求項1または2に記載の多層シート。
  4. 測定温度240℃、剪断速度100s-1で測定した際のポリエステル樹脂(A)の溶融粘度が700〜5000Pa・sの範囲である請求項1〜のいずれかに記載の多層シート。
  5. 該環状アセタール骨格を有するジオール単位が一般式(1):
    Figure 0005664696
    (式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    または一般式(2):
    Figure 0005664696
    (式中、R1は前記と同様であり、R3は炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
    で表されるジオールに由来するジオール単位である請求項1〜のいずれかに記載の多層シート。
  6. 該環状アセタール骨格を有するジオール単位が3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である請求項1〜のいずれかに記載の多層シート。
  7. 環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位がエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる1種以上のジオールに由来するジオール単位である請求項1〜のいずれかに記載の多層シート。
  8. ジカルボン酸単位がテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来するジカルボン酸単位である請求項1〜のいずれかに記載の多層シート。
JP2013099389A 2013-05-09 2013-05-09 多層シート Active JP5664696B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013099389A JP5664696B2 (ja) 2013-05-09 2013-05-09 多層シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013099389A JP5664696B2 (ja) 2013-05-09 2013-05-09 多層シート

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008019057A Division JP2009179696A (ja) 2008-01-30 2008-01-30 ポリエステル樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013230686A JP2013230686A (ja) 2013-11-14
JP5664696B2 true JP5664696B2 (ja) 2015-02-04

Family

ID=49677570

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013099389A Active JP5664696B2 (ja) 2013-05-09 2013-05-09 多層シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5664696B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6176270B2 (ja) * 2015-02-21 2017-08-09 三菱ケミカル株式会社 離型フィルム
JP6890939B2 (ja) * 2016-08-31 2021-06-18 大和製罐株式会社 易開封性延伸フィルムおよびこれを用いた易開封性ラミネート材

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2788202B2 (ja) * 1994-11-15 1998-08-20 鐘紡株式会社 滑り性に優れるポリエステルシート
JP2006077070A (ja) * 2004-09-08 2006-03-23 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 熱間充填用ポリエステル樹脂構造体
JP2007045130A (ja) * 2005-08-12 2007-02-22 Shikoku Kako Kk 未延伸積層フィルム
JP4851808B2 (ja) * 2006-02-16 2012-01-11 リケンテクノス株式会社 カレンダーシートおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013230686A (ja) 2013-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5692071B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP4655106B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2017105873A (ja) ポリエステル樹脂
JP4062416B2 (ja) ポリエステル樹脂
JP2009155413A (ja) 加飾用ポリ乳酸系樹脂シート並びにそれを用いた加飾部材
WO2014017415A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いたシート
JP5664696B2 (ja) 多層シート
JP2008189809A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2009179696A (ja) ポリエステル樹脂組成物
TWI749110B (zh) 縱向取向的耐熱熱收縮多層膜
JP2008188875A (ja) 多層シート
JP4196182B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP4439777B2 (ja) 熱収縮フィルム用ポリエステル樹脂及び熱収縮フィルム
EP3031861B1 (en) Polyester resin composition
JP2013189536A (ja) ポリエステル樹脂組成物及び積層体
JP6186890B2 (ja) ポリエステル樹脂容器の製造方法
JP5262373B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP6712040B1 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2015151544A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP7466846B2 (ja) ポリエステル樹脂、並びに、当該ポリエステル樹脂を含む成形体、延伸フィルム及びボトル
JP2012219129A (ja) ポリエステル樹脂組成物
TWI720195B (zh) 聚酯樹脂組成物
KR20220004812A (ko) 폴리에스터 수지 조성물, 폴리에스터계 사출 성형체, 폴리에스터계 압출 성형체, 폴리에스터계 발포체, 폴리에스터계 용기, 폴리에스터계 보틀, 폴리에스터계 식기, 및 폴리에스터계 포유병
JP2014118547A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2015030808A (ja) ポリエステル樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140709

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140715

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140909

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141111

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141124

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5664696

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151