JP2015151544A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた透明性、滑り性を有し、耐熱性、強度や成形加工性等に優れるポリエステル樹脂組成物を提供することにある。更には、該ポリエステル樹脂を用いたシート、フィルム、ボトル及び射出成形体等を提供することにある。
【解決手段】ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル(A)30〜90重量%と、ポリエステル(A)との屈折率差が0.005以内である、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、又はポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂からなるポリエステル(B)70〜10重量%より主として構成されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル(A)30〜90重量%と、ポリエステル(A)との屈折率差が0.005以内である、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、又はポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂からなるポリエステル(B)70〜10重量%より主として構成されることを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は滑り性の改善されたポリエステル樹脂組成物に係る発明であり、詳しくはシート、フィルム、繊維等に成形する際に優れた成形加工性、透明性を有し、かつ成形加工品後の製品として優れた滑り性及びリサイクル性を有するポリエステル樹脂組成物に関するものである。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートよりなるポリエステルは、繊維を初めとしてシート、フィルムなどに広く使用されているが、一般に滑り性に乏しいため、例えば、ポリエチレンテレフタレートよりなるシートを押出製造する際には、ロールへの巻きずれが発生しやすく、またそれを熱成形して得られる成形品を積み重ねた際に成形品が一枚ずつ剥がれ難いという問題がある。
従来から、これらの問題点を解決する手段として、シートの表面にシリコンオイル等を塗布する方法、ポリエステル中に粒子径が小さい無機微粒子を均一に分散させる方法(特許文献1、特許文献2)や、ポリオレフィン等の他の樹脂を分散させる方法などが知られている。
しかしながら、シリコンオイル等を塗布する方法では、少量の表面処理で効果が得られるものの、印刷性やヒートシール性が著しく低下する問題がある。
また、無機粒子を添加する方法では、成形加熱時にポリエステル樹脂の結晶化を促進することにより、得られた成形品の透明性が著しく低下したり、粗大粒子混入や無機粒子同士の凝集により外観不良が生じたりする問題があった。
さらに、ポリオレフィン等の樹脂を分散させる方法では、滑り性は改善されるものの、白濁し透明性が大きく低下する問題や、ポリエステルの低ガス透過性が損なわれたり、オレフィン臭等が生じたりする恐れがあった。
また、無機粒子を添加する方法では、成形加熱時にポリエステル樹脂の結晶化を促進することにより、得られた成形品の透明性が著しく低下したり、粗大粒子混入や無機粒子同士の凝集により外観不良が生じたりする問題があった。
さらに、ポリオレフィン等の樹脂を分散させる方法では、滑り性は改善されるものの、白濁し透明性が大きく低下する問題や、ポリエステルの低ガス透過性が損なわれたり、オレフィン臭等が生じたりする恐れがあった。
本発明の目的は、上記課題を解決し、優れた透明性、滑り性を有し、耐熱性、強度や成形加工性等に優れるポリエステル樹脂組成物を提供することにある。更には、該ポリエステル樹脂を用いたシート、フィルム、ボトル及び射出成形体等を提供することにある。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ジカルボン酸単位と環状アセタール骨格を有するジオール単位とを含むポリエステル(A)と、ジカルボン酸単位としてテレフタル酸を含み、ジオール単位として1,4−シクロヘキサンジメタノールを含むポリエステル(B)とからなるポリエステル樹脂組成物であって、ポリエステル(A)とポリエステル(B)の屈折率差が0.005以内であり、かつポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(B)の割合が10〜70重量%にすることで、透明性、滑り性、耐熱性、強度や成形加工性等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
〔1〕
ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル(A)30〜90重量%と、ポリエステル(A)との屈折率差が0.005以内であり、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、ジカルボン酸単位中60〜100モル%がテレフタル酸に由来するジカルボン酸単位であり、ジオール単位中50〜100モル%が1,4−シクロヘキシレンジメタノールに由来するジオール単位であるポリエステル(B)70〜10重量%を含むポリエステル樹脂組成物。
〔1〕
ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル(A)30〜90重量%と、ポリエステル(A)との屈折率差が0.005以内であり、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、ジカルボン酸単位中60〜100モル%がテレフタル酸に由来するジカルボン酸単位であり、ジオール単位中50〜100モル%が1,4−シクロヘキシレンジメタノールに由来するジオール単位であるポリエステル(B)70〜10重量%を含むポリエステル樹脂組成物。
〔2〕
前記ポリエステル(A)の該環状アセタール骨格を有するジオール単位が、一般式(1):
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
または一般式(2):
(式中、R1は前記と同様であり、R3は炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。)
で表されるジオールに由来するジオール単位である〔1〕に記載のポリエステル樹脂組成物。
前記ポリエステル(A)の該環状アセタール骨格を有するジオール単位が、一般式(1):
または一般式(2):
で表されるジオールに由来するジオール単位である〔1〕に記載のポリエステル樹脂組成物。
〔3〕
前記ポリエステル(A)の該環状アセタール骨格を有するジオール単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である〔1〕に記載のポリエステル樹脂組成物。
前記ポリエステル(A)の該環状アセタール骨格を有するジオール単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である〔1〕に記載のポリエステル樹脂組成物。
〔4〕
前記ポリエステル(B)が、トライタン(TRITAN:イーストマン・ケミカル・カンパニー社の登録商標)であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物。
前記ポリエステル(B)が、トライタン(TRITAN:イーストマン・ケミカル・カンパニー社の登録商標)であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物からなるシート。
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物からなるシート。
〔6〕
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物からなる層を、ポリエチレンテレフタレート樹脂層の少なくとも一方の面に有することを特徴とする多層シート。
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物からなる層を、ポリエチレンテレフタレート樹脂層の少なくとも一方の面に有することを特徴とする多層シート。
本発明によれば、優れた透明性、滑り性を有し、耐熱性、強度や成形加工性等に優れるポリエステル樹脂組成物が得られ、更には、該ポリエステル樹脂を用いたシート、フィルム等は優れた透明性、滑り性を有しており、本発明の工業的意義は大きい。
以下に本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態のポリエステル樹脂組成物に用いられるポリエステル(A)は、全ジオール単位中に環状アセタール骨格を有するジオール単位を5〜80モル%含む。環状アセタール骨格を有するジオール単位は下記の一般式(1)または(2)で表される化合物に由来するジオール単位が好ましい。
R1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数が3〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が6〜10の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる炭化水素基を表す。一般式(1)及び(2)の化合物としては3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンが特に好ましい。
本実施形態のポリエステル(A)におけるジオール単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の比率は、好ましくは5〜80モル%、より好ましくは10〜60モル%、更に好ましくは15〜50モル%である。環状アセタール骨格を有するジオール単位の比率を5モル%以上にすることで耐熱性を改善でき、一方、当該比率が80モル%を超えると、成形温度が高く黄変などの問題が生じる。
また、本実施形態のポリエステル(A)におけるジオール単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位以外のジオール単位としては特に制限はされないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び上記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等に由来する単位が例示できる。本発明のポリエステル樹脂組成物の機械的性能、経済性等の面からエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、および1,4−ブタンジオールに由来する単位であることが好ましく、特にエチレングリコールに由来する単位であることが好ましい。例示したジオール単位は単独で使用する事もできるし、複数を併用する事もできる。
本実施形態のポリエステル(A)のジカルボン酸単位としては、特に制限はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸に由来する単位が例示できる。本発明のポリエステル樹脂の機械的性能、及び耐熱性の面からテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および2,7−ナフタレンジカルボン酸といった芳香族ジカルボン酸に由来する単位であることが好ましく、特にテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、およびイソフタル酸が好ましい。中でも経済性の面からテレフタル酸に由来する単位であることが好ましく、また、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることで透明性やガスバリア性を改善することができる。例示したジカルボン酸は単独で使用することもできるし、複数を併用することもできる。
本実施形態のポリエステル(A)には本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール単位やトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコールに由来する単位、安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸に由来する単位やトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸に由来する単位を導入することもできる。
前記ポリエステル(A)の極限粘度は、好ましくは0.4〜1.5(dL/g)、より好ましくは0.5〜1.3(dL/g)、更に好ましくは0.6〜1.2(dL/g)の範囲である。極限粘度が0.4未満の場合、成形性や強度が低下する問題があり、1.5を超えると成形するのが困難となる。
前記ポリエステル(A)の溶融粘度は、測定温度260℃、剪断速度100s-1で測定した際に100〜3000Pa・s、より好ましくは200〜2000Pa・s、更に好ましくは300〜1500Pa・sの範囲である。溶融粘度が上記範囲にあると滑り性や成形性に優れるポリエステル樹脂組成物とすることができる。
本実施形態のポリエステル(A)を製造する方法に特に制限はなく、従来公知の方法を適用できる。例えばエステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法又は溶液重合法、固相重合法を挙げることができる。
本実施形態のポリエステル樹脂組成物に用いられるポリエステル(B)は、ジカルボン酸単位としてテレフタル酸またはその誘導体に由来する単位を60〜100モル%含み、ジオール単位として1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する単位を50〜100モル%含む樹脂である。
本実施形態のポリエステル(B)におけるジカルボン単位中のテレフタル酸に由来するジカルボン酸単位の比率は、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは70〜95モル%、更に好ましくは80〜90モル%である。テレフタル酸に由来するジカルボン酸単位の比率を60モル%以上にすることで強度が向上する。
前記ポリエステル(B)は、テレフタル酸に由来するジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位として、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸に由来する単位を含んでいても良い。例示したジカルボン酸は単独で使用することもできるし、複数を併用することもできる。
本実施形態のポリエステル(B)におけるジオール単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来するジオール単位の比率は、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは55〜95モル%、更に好ましくは60〜90モル%である。1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来するジオール単位の比率を50モル%以上にすることで強度が向上する。
前記ポリエステル(B)は、1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来するジオール単位以外のジオール単位として、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’−スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;上記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び上記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等に由来する単位を含んでいても良い。例示したジオール単位は単独で使用する事もできるし、複数を併用する事もできる。なお、本発明のポリエステル樹脂組成物が良好な滑り性を得るためには、ポリエステル(B)のジオール単位として環状アセタール骨格を有するジオール単位を含む場合の比率は5モル%未満であるのが好ましく、より好ましくは環状アセタール骨格を有するジオール単位を含まないのが良い。
前記ポリエステル(B)の1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来するジオール単位以外のジオール単位として、2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを用いることが特に好ましく、これにより高いガラス転移温度を有する実質的に非晶性のポリエステル系樹脂を得ることができる。このようなポリエステル系樹脂は、特表2008−544022号公報にその製法が記載されているものである。
前記ポリエステル(B)の市販材料としては、イーストマン・ケミカル・カンパニー社製の「トライタンTX−1001」、「トライタンTX1501HF」や「トライタン「TX2001」などのトライタンTXシリーズを挙げることができる。
前記ポリエステル(B)の屈折率(NDB)は、ポリエステル(A)の屈折率(NDA)との差(|NDB−NDA|)を、好ましくは0.005以下、より好ましくは0.004以下、更に好ましくは0.003以下とするのが良い。
屈折率の差が0.005より大きい場合、透明性が低下する。
屈折率の差が0.005より大きい場合、透明性が低下する。
前記ポリエステル(B)のガラス転移温度(TgB)は、ポリエステル(A)のガラス転移温度(TgA)との温度差(|TgB−TgA|)を、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下とするのが良い。
TgAとTgBの温度差が50℃以上の場合、ブロー成形での厚みムラや白化等の外観不良などの問題が生じる恐れがある。
TgAとTgBの温度差が50℃以上の場合、ブロー成形での厚みムラや白化等の外観不良などの問題が生じる恐れがある。
前記ポリエステル(B)の極限粘度は、好ましくは0.3〜1.2(dL/g)、より好ましくは0.5〜1.0(dL/g)、更に好ましくは0.7〜0.9(dL/g)の範囲である。極限粘度が0.3未満の場合、成形性や強度が低下する問題があり、1.2を超えると成形するのが困難となる。
前記ポリエステル(B)の溶融粘度は、測定温度260℃、剪断速度100s-1で測定した際に100〜3000Pa・s、より好ましくは500〜2000Pa・s、更に好ましくは800〜1500Pa・sの範囲である。溶融粘度が上記範囲にあると滑り性や成形性に優れるポリエステル樹脂組成物とすることができる。
本実施形態のポリエステル樹脂組成物は前記ポリエステル(A)と前記ポリエステル(B)とを混合もしくは混練することにより得られる。
前記ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(A)の配合割合は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは35〜85重量%、更に好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは40〜79重量%とすることが望ましい。また、前記ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(B)の配合割合は、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜65重量%、更に好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは21〜60重量%とすることが望ましい。さらに、前記ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量の割合は、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは85〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%とすることが望ましい。ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(A)及びポリエステル(B)の配合重量比が上記範囲から外れると、滑り性が十分に発揮できないことがある。
前記ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(A)の配合割合は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは35〜85重量%、更に好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは40〜79重量%とすることが望ましい。また、前記ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(B)の配合割合は、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜65重量%、更に好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは21〜60重量%とすることが望ましい。さらに、前記ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(A)とポリエステル樹脂(B)の合計量の割合は、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは85〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%とすることが望ましい。ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル(A)及びポリエステル(B)の配合重量比が上記範囲から外れると、滑り性が十分に発揮できないことがある。
ポリエステル(A)とポリエステル(B)を混合する際には公知の装置を用いることができ、例えばタンブラー、高速ミキサー、ナウターミキサー、リボン型ブレンダー、ミキシングロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸押出機、二軸押出機などの混合、混練装置を挙げることができる。また、ゲートミキサー、バタフライミキサー、万能ミキサー、ディゾルバー、スタティックミキサーなどの液体混合装置を用いることもできる。
本実施形態のポリエステル樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤などの各種添加剤、成形助剤を添加することができる。また、ポリオレフィン、ポリエステル(A)及びポリエステル(B)以外のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリイミド、アクリロニトリル−スチレン樹脂等の樹脂、オリゴマーを添加することもできる。
本実施形態のポリエステル樹脂組成物は射出成形体、押し出し成形体、シート、シート成形品、未延伸フィルム、延伸フィルム、インジェクションブローボトル、ダイレクトブローボトル、発泡体など種々の用途に用いることができる。前記ポリエステル樹脂組成物は主としてポリエステル樹脂からなるため、成形後の樹脂をリサイクルする場合に、透明性や強度を維持できる利点を有する。
本実施形態において、前記ポリエステル(A)と前記ポリエステル(B)の溶融混練を行う際や前記ポリエステル樹脂組成物の成形を行う際に両樹脂間でエステル交換反応が起こることがある。本発明におけるポリエステル(A)とポリエステル(B)は比較的エステル交換反応を起こしにくいものの、溶融混練や成形時の条件によってはエステル交換反応が過剰に進行し本発明の効果が損なわれる場合がある。本発明の効果が得られるためには、溶融混練で得た前記ポリエステル組成物及び前記ポリエステル樹脂組成物の成形品のガラス転移温度を測定した場合に、配合前のポリエステル(A)とポリエステル(B)のガラス転移温度に由来する2点のガラス転移温度が測定されることが望ましい。
本実施形態の多層シートは、第一層と、前記第一層の少なくとも一方の面に第二層を積層成形することにより得られる。より好ましくは、前記第一層の両表面に第二層を有する多層シートであるのが良い。
前記第二層は前記ポリエステル樹脂組成物を含んでなる。前記第一層は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂並びにポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂からなる熱可塑性樹脂を含んでなる。
前記第二層は前記ポリエステル樹脂組成物を含んでなる。前記第一層は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂並びにポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂からなる熱可塑性樹脂を含んでなる。
前記熱可塑性樹脂としては、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂等が挙げられるが、技術的に容易に多層化できる樹脂としてポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメチルメタクリレート−スチレン樹脂が好ましく用いられる。なお、多層シートのリサイクル性を考慮すると、前記熱可塑性樹脂としてポリエステル樹脂を用いることで全てポリエステル樹脂からなる多層シートを構成できるのでより好ましく、更にコスト面での優位性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート樹脂であるのが特に好ましい。
本実施形態の多層シートの製造方法としては、共押出法、共押出ラミネート法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等の公知の積層化技術を用いることができる。またこれらの積層化のために樹脂間に適した接着剤、あるいは接着性樹脂を用いても良い。
本実施形態の多層シートの各層の厚みは、用途、層を形成する樹脂の種類、層の数等に応じて決められるが、通常は10μm〜10mmである。また、多層シートの総厚みは用途により異なり、例えば、食品向けシートでは0.1〜1mm、建材、商品ディスプレイ用等の厚物シートでは1〜40mmの厚みで使用される。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
<環状アセタール骨格を有するジオール単位を含むポリエステル樹脂の製造>
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、攪拌機、過熱装置、窒素導入管を備えた150リットルのポリエステル樹脂製造装置を用いて常法に従い、表1および2に記載のジカルボン酸単位とグリコール単位からなるポリエステル樹脂を得た。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
・PTA:テレフタル酸
・SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエテチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
・EG:エチレングリコール
<環状アセタール骨格を有するジオール単位を含むポリエステル樹脂の製造>
充填塔式精留塔、分縮器、全縮器、コールドトラップ、攪拌機、過熱装置、窒素導入管を備えた150リットルのポリエステル樹脂製造装置を用いて常法に従い、表1および2に記載のジカルボン酸単位とグリコール単位からなるポリエステル樹脂を得た。
尚、表中の略記の意味は下記の通りである。
・PTA:テレフタル酸
・SPG:3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエテチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
・EG:エチレングリコール
<ポリエステル(B−1)>
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製、商品名:トライタンTX1001
1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール単位として2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂、
屈折率(NDB1)=1.549。ガラス転移温度=113℃で、融点は観察されなかった。
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製、商品名:トライタンTX1001
1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール単位として2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂、
屈折率(NDB1)=1.549。ガラス転移温度=113℃で、融点は観察されなかった。
<ポリエステル(B−2)>
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製、商品名:トライタンTX1501HF
1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール単位として2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂、
屈折率(NDB2)=1.549,極限粘度=0.64dl/g,ガラス転移温度=112℃で、融点は観察されなかった。
イーストマン・ケミカル・カンパニー社製、商品名:トライタンTX1501HF
1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のジオール単位として2,2,4,4,−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)コポリエステル樹脂、
屈折率(NDB2)=1.549,極限粘度=0.64dl/g,ガラス転移温度=112℃で、融点は観察されなかった。
<ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)>
日本ユニペット(株)製、商品名:ユニペット RT−553C、
屈折率(NDB2)=1.575,極限粘度=0.84dl/g,ガラス転移温度=81℃で、融点は観察されなかった。
日本ユニペット(株)製、商品名:ユニペット RT−553C、
屈折率(NDB2)=1.575,極限粘度=0.84dl/g,ガラス転移温度=81℃で、融点は観察されなかった。
〔評価方法〕
以下の実施例及び比較例で測定した特性の測定法を以下に示す。
(1)屈折率
(株)アタゴ製のアッべ屈折計(型式:NAR−4T)を用いて25℃、589nm(d線)で測定した。
(2)極限粘度
フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶媒を使用。測定温度25℃。
(3)ガラス転移温度
(株)島津製作所製の熱流束示差走査熱量計(型式:DSC−50)により測定。昇温速度20℃/min
(4)曇価
日本電色工業(株)製の曇価測定装置(型式:COH−300A)を使用し、JIS−K−7105、ASTM D1003に準じ、測定を行った。
(5)静摩擦係数
シート同士の静止摩擦係数をJIS−K−7125に準じ、測定を行った。
(6)デュポン衝撃強度
(株)マイズ試験機製のデュポン式落下衝撃試験機を用い、撃芯形状φ1/4インチの条件でシートに撃芯を落下させ、下記式より50%破壊エネルギー(J)を求めた。
以下の実施例及び比較例で測定した特性の測定法を以下に示す。
(1)屈折率
(株)アタゴ製のアッべ屈折計(型式:NAR−4T)を用いて25℃、589nm(d線)で測定した。
(2)極限粘度
フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶媒を使用。測定温度25℃。
(3)ガラス転移温度
(株)島津製作所製の熱流束示差走査熱量計(型式:DSC−50)により測定。昇温速度20℃/min
(4)曇価
日本電色工業(株)製の曇価測定装置(型式:COH−300A)を使用し、JIS−K−7105、ASTM D1003に準じ、測定を行った。
(5)静摩擦係数
シート同士の静止摩擦係数をJIS−K−7125に準じ、測定を行った。
(6)デュポン衝撃強度
(株)マイズ試験機製のデュポン式落下衝撃試験機を用い、撃芯形状φ1/4インチの条件でシートに撃芯を落下させ、下記式より50%破壊エネルギー(J)を求めた。
<実施例1>
ポリエステル(A−3)とポリエステル(B−1)とを表2の割合でドライブレンドした後、得られたポリエステル樹脂組成物をベント付30mm二軸押出機に供給し、シリンダ温度275℃、スクリュー回転数150rpmの条件で、ベント脱揮を行いながら押出し、Tダイ押出法で単層シート(厚み350μm)を作製した。得られたシートの評価結果を表2に示す。
ポリエステル(A−3)とポリエステル(B−1)とを表2の割合でドライブレンドした後、得られたポリエステル樹脂組成物をベント付30mm二軸押出機に供給し、シリンダ温度275℃、スクリュー回転数150rpmの条件で、ベント脱揮を行いながら押出し、Tダイ押出法で単層シート(厚み350μm)を作製した。得られたシートの評価結果を表2に示す。
<実施例2,3>
実施例1において、ポリエステル(A)とポリエステル(B)とを変更した以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
実施例1において、ポリエステル(A)とポリエステル(B)とを変更した以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
<比較例1,2>
実施例1において、ポリエステル(A)とポリエステル(B)とを変更した以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
実施例1において、ポリエステル(A)とポリエステル(B)とを変更した以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<比較例3>
使用する樹脂をポリエステル(A−3)のみとした以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
使用する樹脂をポリエステル(A−3)のみとした以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<比較例4>
使用する樹脂をポリエチレンテレフタレート(PET)のみとした以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
使用する樹脂をポリエチレンテレフタレート(PET)のみとした以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<比較例5>
使用する樹脂をポリエステル(B−1)のみとした以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
使用する樹脂をポリエステル(B−1)のみとした以外は、実施例1と同様にしてシートの作製を行った。得られたフィルムの評価結果を表3に示す。
<実施例4>
コア層原料としてポリエチレンテレフタレート(PET)をベント付65mm単軸押出機を用いてベント脱揮を行いながら押出し、一方、ポリエステル(A−2)とポリエステル(B−1)を表4に示す割合でドライブレンドしてなるスキン層原料を、ベント付32mm単軸押出機を用いて押出し、マルチマニホールドタイプのダイを用いて2種3層の多層シート(多層シート総厚み:約0.6mm、スキン層厚み:各約0.05mm)を製造した。得られた多層シートの評価結果を表4に示す。
コア層原料としてポリエチレンテレフタレート(PET)をベント付65mm単軸押出機を用いてベント脱揮を行いながら押出し、一方、ポリエステル(A−2)とポリエステル(B−1)を表4に示す割合でドライブレンドしてなるスキン層原料を、ベント付32mm単軸押出機を用いて押出し、マルチマニホールドタイプのダイを用いて2種3層の多層シート(多層シート総厚み:約0.6mm、スキン層厚み:各約0.05mm)を製造した。得られた多層シートの評価結果を表4に示す。
<実施例5>
スキン層原料を表4に示すようにポリエステル(A−2)とポリエステル(B−2)に変更した以外は、実施例4と同様にして多層シートの作製を行った。得られた多層シートの評価結果を表4に示す。
スキン層原料を表4に示すようにポリエステル(A−2)とポリエステル(B−2)に変更した以外は、実施例4と同様にして多層シートの作製を行った。得られた多層シートの評価結果を表4に示す。
<比較例6>
スキン層原料を表4に示すようにポリエステル(B−1)のみに変更した以外は、実施例4と同様にして多層シートの作製を行った。得られた多層シートの評価結果を表4に示す。
スキン層原料を表4に示すようにポリエステル(B−1)のみに変更した以外は、実施例4と同様にして多層シートの作製を行った。得られた多層シートの評価結果を表4に示す。
本発明のポリエステル樹脂組成物は優れた透明性、滑り性を有し、耐熱性、強度や成形加工性等に優れている。特に、該ポリエステル樹脂を用いたシート、フィルムは優れた滑り性を有しており、成形時のロールへの巻きずれの発生を防止することが出来る。
Claims (6)
- ジカルボン酸単位とジオール単位とを含みジオール単位中5〜80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であるポリエステル(A)30〜90重量%と、ポリエステル(A)との屈折率差が0.005以内であり、ジカルボン酸単位とジオール単位とを含み、ジカルボン酸単位中60〜100モル%がテレフタル酸に由来するジカルボン酸単位であり、ジオール単位中50〜100モル%が1,4−シクロヘキシレンジメタノールに由来するジオール単位であるポリエステル(B)70〜10重量%を含むポリエステル樹脂組成物。
- 前記ポリエステル(A)の該環状アセタール骨格を有するジオール単位が、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール単位、または5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサンに由来するジオール単位である請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 前記ポリエステル(B)が、トライタン(TRITAN:イーストマン・ケミカル・カンパニー社の登録商標)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物からなるシート。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリエステル樹脂組成物からなる層を、ポリエチレンテレフタレート樹脂層の少なくとも一方の面に有することを特徴とする多層シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014029941A JP2015151544A (ja) | 2014-02-19 | 2014-02-19 | ポリエステル樹脂組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017195791A1 (ja) * | 2016-05-10 | 2017-11-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリエステル樹脂組成物 |
-
2014
- 2014-02-19 JP JP2014029941A patent/JP2015151544A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017195791A1 (ja) * | 2016-05-10 | 2017-11-16 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリエステル樹脂組成物 |
CN109071928A (zh) * | 2016-05-10 | 2018-12-21 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 聚酯树脂组合物 |
JPWO2017195791A1 (ja) * | 2016-05-10 | 2019-03-07 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリエステル樹脂組成物 |
US10844215B2 (en) | 2016-05-10 | 2020-11-24 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Polyester resin composition |
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