JP5659312B1 - 改変された第vii因子ポリペプチドおよびその使用 - Google Patents

改変された第vii因子ポリペプチドおよびその使用 Download PDF

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Abstract

改変第VII因子ポリペプチドおよびその使用が提供される。そのような改変FVIIポリペプチドは、第VIIa因子および第VII因子の他の形態を含む。改変FVIIポリペプチドの中で、変化した活性、典型的には、増加した凝血促進活性を含む、変化した凝血促進活性を有するものが提供される。したがって、そのような改変ポリペプチドは、治療薬である。【選択図】なし

Description

関連出願
優先権の利益は、2008年4月11日に出願された、「FACTOR VII POLYPEPTIDES THAT ARE MODIFIED AND USES THEREOF」と題する、Edwin MadisonおよびChristopher Thanosに対する米国仮特許出願第61/124,021号に対して主張される。
本出願は、2009年4月10日に出願された、「FACTOR VII POLYPEPTIDES THAT ARE MODIFIED AND USES THEREOF」と題する、Edwin MadisonおよびChristopher Thanosに対する、対応する米国特許出願第12/384,915号に関連し、これもまた、米国仮特許出願第61/124,021号に対する優先権を主張する。
許可される場合、上記に言及される出願の主題は、その全体が参照によって組み込まれる。
許可される場合、2008年4月11日に出願された、「MODIFIED FACTOR VII POLYPEPTIDES AND USES THEREOF」と題する、Edwin Madison、Christopher Thanos、Sandra Waugh Ruggles、およびShaun Coughlinに対する米国特許出願第12/082,662号および2008年4月11日に出願された、「MODIFIED FACTOR VII POLYPEPTIDES AND USES THEREOF」と題する、Edwin Madison、Christopher Thanos、Sandra Waugh Ruggles、およびShaun Coughlinに対する、対応する国際特許出願第PCT/US2008/04795号の主題もまた、その全体が参照によって組み込まれる。
コンパクトディスクで提供される配列表の参照による組み込み
配列表のコンパクトディスク(CD−R)の電子バージョンは、4つのコピー(コピー1、コピー2、コピー3、およびCRFと標識)で本明細書と共に提出され、これらの内容は、それらの全体が参照によって組み込まれる。2009年4月10日に作成された前述のコンパクトディスクのそれぞれのコンピューター読み取り可能なファイルは、同一であり、サイズが1200キロバイトであり、4919SEQ.PC1.TXTと題する。
発明の分野
改変治療タンパク質が提供される。特に、第VIIa因子および第VII因子の他の形態を含む改変第VII因子ポリペプチドならびにその使用が提供される。
止血は、出血の休止に至る、複雑な生理学的プロセスである。血小板、血漿タンパク質、ならびに血管および内皮細胞は、それぞれ、組織傷害に直ちに続く事象において重要な役割を果たし、正常な状況下で、血餅の急速な形成をもたらすこのプロセスの3つの構成成分である。この中心となるのは、凝固カスケードという一連のタンパク質分解事象であり、ある種の血漿タンパク質(または凝固因子)が、他の先に活性化された凝固因子によって「カスケード」において連続的に活性化され、トロンビンの急速な生成に至る。次いで、このカスケードにおいて産生された大量のトロンビンは、フィブリノーゲンを、血餅形成に必要とされるフィブリンペプチドに切断するように機能する。
凝固因子は、不活性一本鎖チモーゲンとして循環しており、1つまたは複数の位置での切断によって活性化されて、タンパク質の二本鎖活性化形態を生成する。ビタミンK依存性血漿タンパク質である第VII因子(FVII)は、チモーゲンとして血液中で最初に循環している。FVIIチモーゲンは、単一の部位、Arg152−Ile153でのタンパク質分解による切断によって活性化され、単一のジスルフィド結合によって連結された二本鎖プロテアーゼをもたらす(FVIIa)。FVIIaは、その補因子、組織因子(TF)に結合して、FVIIaが、第X因子(FX)をFXaに効率的に活性化し、それによって、フィブリン形成および止血をもたらす一連の事象を開始することができる複合体を形成する。
正常な止血は、ほとんどの場合において達成されるが、このプロセスが欠損すると、血餅形成にかかる時間が長引く出血障害に至り得る。そのような障害は、先天性または後天性のものとなり得る。たとえば、血友病AおよびBは、それぞれ、第VIII因子(FVIII)および第IX因子(FIX)における欠乏症によって特徴づけられる遺伝病である。代償療法は、血友病AおよびBのための伝統的な処置であり、ヒト血漿から調製されたまたは組換えタンパク質としてのいずれかのFVIIIまたはFIXの静脈内投与を伴う。しかしながら、多くの場合において、患者は、注入されたタンパク質に対して抗体(阻害因子としても知られている)を産生し、これは、処置の効能を低下させるまたは無効にする。組換えFVIIa(Novoseven(登録商標)(凝固因子VIIa(組換え体)))は、FVIIIまたはFIXに対する阻害因子を有する、血友病AまたはBの患者の処置について承認されており、また、出血エピソードを停止させ、または外傷および/もしくは手術と関連する出血を予防するためにも使用される。組換えFVIIaはまた、先天性のFVII欠乏症を有する患者の処置についても承認されており、非血友病患者における、他の先天性または後天性の出血障害、外傷、および手術と関連する出血の処置などのような適応外の使用においてますます利用されている。
血餅形成を促進するための組換えFVIIaのその使用は、治療剤としての、その高まりつつある重要性を際立たせるものである。FVIIa療法は、重要な、未だ対処されていない医学的必要性を残している。たとえば、臨床試験データに基づくと、6時間またはそれ以上の時間にわたる、平均3回のFVIIa投与が、血友病患者における急性出血エピソードを管理するのに必要とされる。FVIIaのより効果的な変異体が、これらの必要量を低下させるために必要である。そのため、本明細書における目的の中でも、改善された治療特性を有するように設計された改変FVIIポリペプチドを提供することを目的とする。
概要
改変第VII因子(FVII)ポリペプチドが、本明細書において提供される。特に、凝血促進性活性を示す改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、一次配列において改変されており、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、およびアミノ酸交換を含むことができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、アンチトロンビンIII(AT−III)および組織因子経路阻害因子(TFPI)などのような阻害因子に対する増加した抵抗性を有するもの、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性を有するもの、TFの存在下および/または非存在下において増加した触媒活性を有するもの、増加した半減期などのような改善された薬物動態学的特性を有するもの、血小板表面に対する増加した結合性および/または親和性を有するもの、血清アルブミンに対する増加した結合性および/または親和性を有するもの、ならびに血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/または親和性を有するものを示すFVIIポリペプチドを含む。改変FVIIポリペプチドは、本明細書において提供される改変の任意の組み合わせを含有することができ、ポリペプチドの1つまたは複数の活性または特性は、非改変FVIIポリペプチドと比較して変化している。典型的には、改変FVIIポリペプチドは、凝血促進性活性を保持する。改変FVIIポリペプチドをコードする/発現する核酸分子、ベクター、および細胞もまた、本明細書において提供される。医薬組成物、製品、キット、および処置の方法もまた、本明細書において提供される。FVIIポリペプチドは、対立遺伝子および種変異体およびポリペプチドならびに他の活性および/または特性に影響を及ぼす改変を有する他の変異体を含む。本明細書において提供される改変を含む、FVIIポリペプチドの活性断片もまた含まれる。例示的なFVIIポリペプチドは、配列番号3において記載されるアミノ酸の配列を含むものおよびそれと60%、65%、70%、75%、80%、85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するその変異体である。
配列番号3において記載されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドにおける位置Q286にまたはFVIIポリペプチドにおける対応する残基において、FVIIポリペプチドにおける改変を含有する改変第VII因子(FVII)ポリペプチドが、本明細書において提供される。改変は、アミノ酸交換、アミノ酸挿入(1つもしくは複数)、または欠失(1つもしくは複数)またはその組み合わせとすることができる。改変が、アミノ酸交換である場合、交換は、塩基性アミノ酸(たとえばArg(R)、Lys(K)、およびHis(H))またはArg(R)、Lys(K)、His(H)、Tyr(Y)、Gly(G)、Phe(F)、Met(M)、Ile(I)、Leu(L)、Val(V)、Pro(P)、Glu(E)、Trp(W)、Asp(D)、およびCys(C)の中から選択されるアミノ酸によるものとすることができる。例示的なそのようなアミノ酸交換は、Q286R、Q286K、Q286H、Q286Y、Q286G、Q286F、Q286M、Q286I、Q286L、Q286V、Q286P、Q286E、Q286W、Q286D、およびQ286Cを含む。そのような改変は、配列番号1〜3のいずれかにおいて記載される配列を含有する非改変FVIIポリペプチドまたはその対立遺伝子変異体もしくは種変異体または配列番号1〜3のいずれかのFVIIと少なくとも60%の配列同一性を有する変異体または配列番号1〜3のいずれかにおいて記載されるアミノ酸の配列を含むFVIIポリペプチドの活性断片またはその対立遺伝子変異体もしくは種変異体または配列番号1〜3のいずれかのFVIIと少なくとも60%の配列同一性を有する変異体においてなすことができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、FVIIポリペプチドにおける位置Q286に対応する位置に交換を含有する活性断片とすることができる。
いくつかの例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、配列番号3において記載されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドにおける位置286に対応する位置にまたはFVIIポリペプチドにおける対応する残基においてアミノ酸交換を含有し、改変は、位置286に改変を有していないFVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示す改変FVIIポリペプチドをもたらす、塩基性アミノ酸による位置286での交換である。塩基性アミノ酸は、Arg(R)、Lys(K)、およびHis(H)の中から選択することができる。たとえば、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、位置286での、Gln(Q)のArg(R)との交換を含有することができる。
いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドは、位置286に単一の改変のみを有する。他の例において、改変FVIIポリペプチドはまた、FVIIポリペプチドにおける他の位置に1つまたは複数のさらなる改変をも含有する。さらなる改変は、アミノ酸交換、アミノ酸挿入、またはアミノ酸欠失とすることができる。たとえば、さらなる改変は、A51、S52、P54、S60、Q66、Y68、K109、S119、A122、G124、T130、E132、V158、K161、A175、D196、K197、K199、R202、H216、S222、G237、T239、H257、Q286、L287、R290 A292、A294、E296、M298、L305、S314、G318、P321、K337、K341、Q366、H373、F374、E394、P395およびR396の中から選択される位置に対応する位置でのアミノ酸交換とすることができる。例示的なそのような改変は、D196K、D196R、D196A、D196Y、D196F、D196W、D196L、D196I、K197Y、K197A、K197E、K197D、K197L、K197M、K197I、K197V、K197F、K197W、K199A、K199D、K199E、G237W、G237T、G237I、G237V、T239A、R290A、R290E、R290D、R290N、R290Q、R290K、R290M、R290V、K341E、K341R、K341Q、K341N、K341M、K341D、G237T238insA、G237T238insS、G237T238insV、G237T238insAS、G237T238insSA、D196K197insK、D196K197insR、D196K197insY、D196K197insW、D196K197insA、D196K197insM、K197I198insE、K197I198insY、K197I198insA、K197I198insS、T239S、T239N、T239Q、T239V、T239L、T239H、T239I、L287T、M298Q、P321K、P321E、P321Y、P321S、Q366D、Q366E、Q366N、Q366T、Q366S、Q366V、Q366I、Q366L、Q366M、H373D、H373E、H373S、H373L、H373I、H373F、H373A、K161S、K161A、K161V、H216S、H216A、H216K、H216R、S222A、S222K、S222V、S222N、S222E、S222D、H257A、H257S、Gla Swap FIX、{Gla Swap FIX/E40L}、{Gla Swap FIX/K43I}、{Gla Swap FIX/Q44S}、{Gla Swap FIX/M19K}、{Gla Swap FIX/M19K/E40L/K43I/Q44S}、Gla Swap FX、Gla Swap Prot C、Gla Swap Prot S、Gla Swap トロンビン、S52A、S60A、E394N、P395A、R396S、R202S、A292N、A294S、G318N、A175S、K109N、A122N、G124S、A51N、T130N、E132S、S52N、P54S、S119N、L121S、T128N、P129A、Q66N、Y68S、S103S111delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、H115S126delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、T128P134delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、S103S111delinsIEDICLPRWGCLWE、H115S126delinsIEDICLPRWGCLWE、T128P134delinsIEDICLPRWGCLWE、S103S111delinsDICLPRWGCLWED、H115S126delinsDICLPRWGCLWED、T128P134delinsDICLPRWGCLWED、P406insIEDICLPRWGCLW、P406insGGGSIEDICLPRWGCLW、P406insDICLPRWGCLWED、P406insGGGSDICLPRWGCLWED、S103S111delinsSFGRGDIRNV、H115S126delinsSFGRGDIRNV、T127P134delinsSFGRGDIRNV、P406insCSFGRGDIRNVC、P406insGGGSCSFGRGDIRNVC、V158T、V158D、L287T、E296V、M298KおよびM298Qを含む。
本明細書において提供される例示的な改変FVIIポリペプチドは、改変Q286R/M298Q、Q286R/Gla Swap FIX、Q286R/H257A、Q286R/S222A、Q286R/S222A/H257A、Q286R/S222A/Gla Swap FIX、Q286R/H257A/Gla Swap FIX、Q286R/S222A/H257A/Gla Swap FIX、Q286R/M298Q/K341Q、Q286R/M298Q/K199E、Q286R/M298Q/Gla Swap FIX、Q286R/Q366V、Q286R/A292N/A294S/Q366V、A175S/Q286R/Q366V、S222A/Q286R/Q366V、H257S/Q286R、H257S/Q286R/Q366V、S222A/H257A/Q286R/Q366V、Q286R/H373A、S222A/H257A/Q286R/M158Q、Q286R/K341D、Q286R/Q366D、Q286R/Q366N、Q286R/M298Q/Q366D、Q286R/M298Q/Q366N、Q286R/H373F、Q286R/M298Q/H373F、{Gla Swap FIX/E40L}/Q286R/M298Q、{Gla Swap FIX/K43I}/Q286R/M298Q、{Gla Swap FIX/Q44S}/Q286R/M298Q、{Gla Swap FIX/M19K}/Q286R/M298Q、{Gla Swap FIX/M19K/E40L/K43I/Q44S}/Q286R/M298Q、T128N/P129A/Q286R、T128N/P129A/Q286R/M298Q、T128N/P129A/Q286R/H373F、V158D/Q286R/E296V/M298Q、Gla Swap FIX/T128N/P129A/S222A/Q286R、Gla Swap FIX/T128N/P129A/Q286R/M298Q、T128N/P129A/S222A/H257A/Q286R/M298Q、T128N/P129A/Q286R/M298Q/H373F、S52A/S60A/Q286R、Gla Swap FIX/S52A/S60A/S222A/Q286R、S52A/S60A/Q286R/M298Q、Gla Swap FIX/S52A/S60A/Q286R/M298Q、S52A/S60A/S222A/H257A/Q286R/M298Q、S52A/S60A/Q286R/H373F/、S52A/S60A/Q286R/M298Q/H373F、T239V/Q286R、Gla Swap FIX/S222A/T239V/Q286R、T239V/Q286R/M298Q、S222A/T239V/H257A/Q286R/M298Q、Gla Swap FIX/T239V/Q286R/M298Q、T239V/Q286R/H373F、T239V/Q286R/M298Q/H373F、T239I/Q286R、Gla Swap FIX/S222A/T239I/Q286R、T239I/Q286R/M298Q、S222A/T239I/H257A/Q286R/M298Q、Gla Swap FIX/T239I/Q286R/M298Q、T239I/Q286R/H373F、T239I/Q286R/M298Q/H373F、Gla Swap FIX/S222A/Q286R/H373F、Gla Swap FIX/S222A/Q286R/M298Q、Gla Swap FIX/S222A/Q286R/M298Q/H373F、V158D/Q286R/E296V/M298Q/H373F、H257A/Q286R/M298Q、H257S/Q286R/M298Q、Gla Swap FIX/S222A/H257S/Q286R/、S222A/H257S/Q286R/M298Q、H257S/Q286R/M298Q/H373F、S222A/Q286R/M298Q/H373F、S222A/Q286R/M298Q、T128N/P129A/A175S/Q286R、A122N/G124S/A175S/Q286R、Gla Swap FIX/T128N/P129A/A175S/S222A/Q286R、Gla Swap FIX/A122N/G124S/A175S/S222A/Q286R、T128N/P129A/A175S/Q286R/M298Q、A122N/G124S/A175S/Q286R/M298Q、T128N/P129A/A175S/S222A/H257A/Q286R/M298Q、A122N/G124S/A175S/S222A/H257A/Q286R/M298Q、T128N/P129A/A175S/Q286R/M298Q/H373F、A122N/G124S/A175S/Q286R/M298Q/H373F、{Gla Swap FIX/K43I}/T128N/P129A/Q286R/M298Q、T128N/P129A/Q286R/M298Q/Q366N、{Gla Swap FIX/K43I}/Q286R/M298Q/Q366N、{Gla Swap FIX/K43I}/T128N/P129A/Q286R/M298Q/Q366N、V158D/Q286R/E296V/M298Q、T128N/P129A/Q286R/M298Q/Q366N/H373F、T239V/Q286R/M298Q/Q366N、T239I/Q286R/M298Q/Q366N、T128N/P129A/T239V/Q286R/M298Q、T128N/P129A/S222A/T239V/H257A/Q286R/M298Q、T128N/P129A/T239V/Q286R/M298Q/H373F、T128N/P129A/T239I/Q286R/M298QまたはT128N/P129A/T239I/Q286R/M298Q/H373Fを含有するものである。
FVIIポリペプチド、その対立遺伝子変異体もしくは種変異体、またはその活性断片において2つ以上の改変を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。そのようなポリペプチドにおける改変の少なくとも1つは、配列番号3において記載されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドにおける位置Q286に対応する位置におけるものであり、またはFVIIポリペプチドにおける対応する残基におけるものであり、ただし、位置Q286での改変は、単独でまたは任意の他の改変と組み合わせて、非改変FVIIポリペプチドと比較して、新しいグリコシル化部位の導入をもたらさないことを条件とする。そのような改変は、アミノ酸交換、アミノ酸挿入、またはアミノ酸欠失とすることができる。たとえば、位置Q286での改変は、Arg(R)、Lys(K)His(H)、Tyr(Y)、Gly(G)、Phe(F)、Met(M)、Ile(I)、Leu(L)、Val(V)、Pro(P)、Glu(E)、Trp(W)、Asp(D)、およびCys(C)の中から選択されるアミノ酸による交換とすることができる。いくつかの例において、改変は、Q286Rである。1つまたは複数の他の改変は、D196K、D196R、D196A、D196Y、D196F、D196W、D196L、D196I、K197Y、K197A、K197E、K197D、K197L、K197M、K197I、K197V、K197F、K197W、K199A、K199D、K199E、G237W、G237T、G237I、G237V、T239A、R290A、R290E、R290D、R290N、R290Q、R290K、R290M、R290V、K341E、K341R、K341Q、K341N、K341M、K341D、G237T238insA、G237T238insS、G237T238insV、G237T238insAS、G237T238insSA、D196K197insK、D196K197insR、D196K197insY、D196K197insW、D196K197insA、D196K197insM、K197I198insE、K197I198insY、K197I198insA、K197I198insS、T239S、T239N、T239Q、T239V、T239L、T239H、T239I、L287T、P321K、P321E、P321Y、P321S、Q366D、Q366E、Q366N、Q366T、Q366S、Q366V、Q366I、Q366L、Q366M、H373D、H373E、H373S、H373F、H373A、K161S、K161A、K161V、H216S、H216A、H216K、H216R、S222A、S222K、S222V、S222N、S222E、S222D、H257A、H257S、Gla Swap FIX、{Gla Swap FIX/E40L}、{Gla Swap FIX/K43I}、{Gla Swap FIX/Q44S}、{Gla Swap FIX/M19K}、{Gla Swap FIX/M19K/E40L/K43I/Q44S}、Gla Swap FX、Gla Swap Prot C、Gla Swap Prot S、Gla Swap トロンビン、S52A、S60A、E394N、P395A、R396S、R202S、A292N、A294S、G318N、A175S、K109N、A122N、G124S、A51N、T130N、E132S、S52N、P54S、S119N、L121S、T128N、P129A、Q66N、Y68S、S103S111delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、H115S126delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、T128P134delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、S103S111delinsIEDICLPRWGCLWE、H115S126delinsIEDICLPRWGCLWE、T128P134delinsIEDICLPRWGCLWE、S103S111delinsDICLPRWGCLWED、H115S126delinsDICLPRWGCLWED、T128P134delinsDICLPRWGCLWED、P406insIEDICLPRWGCLW、P406insGGGSIEDICLPRWGCLW、P406insDICLPRWGCLWED、P406insGGGSDICLPRWGCLWED、S103S111delinsSFGRGDIRNV、H115S126delinsSFGRGDIRNV、T127P134delinsSFGRGDIRNV、P406insCSFGRGDIRNVC、P406insGGGSCSFGRGDIRNVC、V158T、V158D、L287T、E296V、M298KおよびM298Qの中から選択することができる。
いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドは、配列番号3において記載されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドにおけるP54、Q66、L121、A122、P129、もしくはE132に対応する位置にまたはFVIIポリペプチドにおける対応する残基において改変を含有する。例示的な改変は、P54S、Q66N、L121S、A122N、P129A、およびE132Sを含む。いくつかの例において、P54、Q66、L121、A122、P129、またはE132に対応する位置に改変を含有する改変FVIIポリペプチドはまた、FVIIポリペプチドにおける他の位置にアミノ酸交換、アミノ酸挿入、またはアミノ酸欠失を含む1つまたは複数のさらなる改変をも含有する。そのような改変は、P54S、S52N、Y58S、S119N、G124S、T128N、T130N、V158D、A175S、S222A、G241S、E296V、M298Q、E394N、P395A、R396S、G318N、およびQ366Vを含む。したがって、本明細書において提供されるFVIIポリペプチドにおける例示的な組み合わせの改変は、S119N/L121S、T128N/P129A、A122N/G124S、A122N/G124S/A175S、A122N/G124S/E394N/P395A/R396S、A122N/G124S/E394N/P395A/R396S/G318N、A122N/G124S/E394N/P395A/R396S、S52N/P54S/A122N/G124S/E394N/P395A/R396S、S52N/P54S、S119N/L121S/A175S、T128N/P129A/A175S、T130N/E132S、Q66N/Y68S、T128N/P129A/V158D/E296V/M298Q、T128N/P129A/S222A、T128N/P129A/A175S/Q366V、A122N/G124S/A175S/Q366V、T128N/P129A/A175S/S222A、A122N/G124S/A175S/S222A、T128N/P129A/M298QおよびT128N/P129A/M298Q/H373Fである。
配列番号3において記載されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドにおいて、またはFVIIポリペプチドにおける対応する残基において、T239S、T239Q、T239V、T239L、T239H、T239I、P321K、P321E、P321Y、P321S、Q366D、Q366N、Q366V、Q366I、Q366L、Q366M、H373D、H373E、H373S、H373F、H373A、K161S、K161V、H216S、H216K、H216R、S222A、S222K、S222V、S222D、S222N、S222EまたはH257Sに対応する改変を含有する改変FVIIポリペプチドもまた、本明細書において提供される。さらに、そのような改変FVIIポリペプチドはまた、アミノ酸位置A51、S52、P54、S60、Q66、Y68、K109、S119、A122、G124、T130、E132、V158、K161、A175、D196、K197、K199、R202、H216、S222、G237、T239、H257、Q286、L287、R290 A292、A294、E296、M298、L305、S314、G318、P321、K337、K341、Q366、H373、F374、E394、P395およびR396などのような他の位置に1つまたは複数のさらなる改変を含有することができる。これらの位置での例示的な改変は、Q286N、Q286E、Q286D、Q286S、Q286T、Q286R、Q286K、Q286A、Q286V、Q286M、Q286L、Q286Y、D196K、D196R、D196A、D196Y、D196F、D196W、D196L、D196I、K197Y、K197A、K197E、K197D、K197L、K197M、K197I、K197V、K197F、K197W、K199A、K199D、K199E、G237W、G237T、G237I、G237V、T239A、R290A、R290E、R290D、R290N、R290Q、R290K、R290M、R290V、K341E、K341R、K341Q、K341N、K341M、K341D、G237T238insA、G237T238insS、G237T238insV、G237T238insAS、G237T238insSA、D196K197insK、D196K197insR、D196K197insY、D196K197insW、D196K197insA、D196K197insM、K197I198insE、K197I198insY、K197I198insA、K197I198insS、T239S、T239N、T239Q、T239V、T239L、T239H、T239I、L287T、P321K、P321E、P321Y、P321S、Q366D、Q366E、Q366N、Q366T、Q366S、Q366V、Q366I、Q366L、Q366M、H373D、H373E、H373S、H373F、H373A、K161S、K161A、K161V、H216S、H216A、H216K、H216R、S222A、S222K、S222V、S222N、S222E、S222D、H257A、H257S、Gla swap FIX、Gla swap FX、Gla Swap Prot C、Gla Swap Prot S、Gla swap トロンビン、Gla Swap FIX、{Gla Swap FIX/E40L}、{Gla Swap FIX/K43I}、{Gla Swap FIX/Q44S}、{Gla Swap FIX/M19K}、{Gla Swap FIX/M19K/E40L/K43I/Q44S}、S52A、S60A、E394N、P395A、R396S、R202S、A292N、A294S、G318N、A175S、K109N、A122N、G124S、A51N、T130N、E132S、S52N、P54S、S119N、L121S、T128N、P129A、Q66N、Y68S、S103S111delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、H115S126delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、T128P134delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、S103S111delinsIEDICLPRWGCLWE、H115S126delinsIEDICLPRWGCLWE、T128P134delinsIEDICLPRWGCLWE、S103S111delinsDICLPRWGCLWED、H115S126delinsDICLPRWGCLWED、T128P134delinsDICLPRWGCLWED、P406insIEDICLPRWGCLW、P406insGGGSIEDICLPRWGCLW、P406insDICLPRWGCLWED、P406insGGGSDICLPRWGCLWED、S103S111delinsSFGRGDIRNV、H115S126delinsSFGRGDIRNV、T127P134delinsSFGRGDIRNV、P406insCSFGRGDIRNVC、P406insGGGSCSFGRGDIRNVC、V158T、V158D、L287T、M298KおよびM298Qを含む。結果として生じる組み合わせの改変は、Q366D/H373E、Q366V/H373V、Q366V/H373L、Q366V/H373I、S222K/H257A、H216A/S222A、S222S/Gla Swap FIX、S222A/H257A/Gla Swap FIX、S222A/M298Q、S222A/H257A/M298Q、S222A/A292N/A294S/Q366V、A175S/S222A/Q366V、S222A/Q366V、H257S/Q366V、S222A/H373A、M298Q/H373F、S52A/S60A/S222A、S222A/T239V、V158D/T239V/E296V/M298Q、S222A/T239I、V158D/E296V/M298Q/H373F、Gla Swap FIX/Q366V、M298Q/Q366N/H373F、T239V/M298Q/H373FおよびT239I/M298Q/H373Fを含むことができる。
FVIIポリペプチド、その対立遺伝子変異体および種変異体、またはその活性断片において2つ以上の改変を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供され、2つ以上のアミノ酸改変は、H216A、H257A、E394N、P395A、R396S、K109N、A292N、A175S、H257A、およびGla Swap FIXに対応するアミノ酸改変の中から選択される。たとえば、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、H216A/H257A、E394N/P395A/R396S、およびK109N/A175Sの中から選択される改変を有するものを含む。さらに、M298QまたはA294Sに対応する改変もまた含むことができる。したがって、H216A/H257A、E394N/P395A/R396S、およびK109N/A175Sの中から選択される改変を含有する改変FVIIポリペプチドもまた本明細書において提供される。いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドはまた、M298QまたはA294Sに対応する改変をも含有する。これは、たとえば、改変H257A/M298QまたはK109N/A292N/A294Sを含有する改変FVIIポリペプチドをもたらすことができる。S52A/S60A/V158D/E296V/M298QまたはV158D/T239I/E296V/M298に対応する改変を含有する改変FVIIポリペプチドもまた提供される。
いくつかの例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、配列番号103〜109のいずれかにおいて記載されるアミノ酸の配列または血清アルブミン結合を行うのに十分なその部分などのような血清アルブミン結合配列を含有する。そのような改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、血清アルブミン結合性に対して増加した親和性または結合性を示すことができる。たとえば、血清アルブミン結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドは、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の血清アルブミン結合に対する増加した親和性または結合性を示すことができる。血清アルブミン結合配列によって、非改変FVIIポリペプチドのアミノ酸残基の連続(contiguous)配列を交換することができる。血清アルブミン結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドは、S103S111delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、H115S126delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、T128P134delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF、S103S111delinsIEDICLPRWGCLWE、H115S126delinsIEDICLPRWGCLWE、T128P134delinsIEDICLPRWGCLWE、S103S111delinsDICLPRWGCLWED、H115S126delinsDICLPRWGCLWED、T128P134delinsDICLPRWGCLWED、P406insIEDICLPRWGCLW、P406insGGGSIEDICLPRWGCLW、P406insDICLPRWGCLWEDおよびP406insGGGSDICLPRWGCLWEDの中から選択される改変を含有することができる。
血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。そのような改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、血小板インテグリンαIIbβに対する増加した親和性または結合性を示すことができる。たとえば、血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の血小板インテグリンαIIbβ結合に対する増加した親和性または結合性を示すことができる。血清アルブミン結合配列の例は、配列番号110〜112のいずれかにおいて記載されるアミノ酸のそれらの配列または血小板インテグリンαIIbβ結合を行うのに十分なその部分を含み、これによって、非改変FVIIポリペプチドのアミノ酸残基の連続(contiguous)配列を交換することができる。改変FVIIポリペプチドは、S103S111delinsSFGRGDIRNV、H115S126delinsSFGRGDIRNV、T127P134delinsSFGRGDIRNV、P406insCSFGRGDIRNVC、およびP406insGGGSCSFGRGDIRNVCの中から選択される改変を含有する。
血清アルブミン結合配列または血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドはまた、位置G237Vに対応する位置でのアミノ酸交換などのような、FVIIポリペプチドにおける他の位置に、1つまたは複数のさらなる改変をも含有することができる。したがって、S103S111delinsIEDICLPRWGCLWE/G237V、S103S111delinsDICLPRWGCLWED/G237V、H115S126delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF/G237V、H115S126delinsIEDICLPRWGCLWE/G237V、H115S126delinsDICLPRWGCLWED/G237V、T128P134delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF/G237V、T128P134delinsIEDICLPRWGCLWE/G237V、S103S111delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDF/G237VおよびT128P134delinsDICLPRWGCLWED/G237Vの中から選択される改変を含有する改変FVIIポリペプチドもまた、本明細書において提供される。
いくつかの例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、またはそれ以上の改変を含有する。さらなる例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、異種Glaドメインまたはリン脂質結合を行うのに十分なその部分を含有する。そのようなポリペプチドは、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上のリン脂質に対する増加した親和性または結合性などのような、非改変FVIIポリペプチドと比較して、リン脂質に対する増加した親和性または結合性を示すことができる。異種Glaドメインは、第IX因子(FIX)、第X因子(FX)、プロトロンビン、プロテインC、プロテインS、オステオカルシン、マトリックスGlaタンパク質、増殖停止特異的タンパク質6(Gas6)、およびプロテインZにおけるGlaドメインの中から選択することができ、いくつかの例において、配列番号83〜91、93、および94のいずれかにおいて記載されるアミノ酸の配列またはリン脂質結合を行うのに十分なその部分を有することができる。天然FVII Glaドメインのすべての部分または連続(contiguous)部分は、配列番号3において記載されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドにおいてまたはFVIIポリペプチドにおける対応する残基においてアミノ酸1〜45を含むことができ、除去し、かつ異種Glaドメインまたはリン脂質結合を行うのに十分なその部分と交換することができる。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、アンチトロンビンIIIに対する増加した抵抗性を示すことができる。そのような改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上のアンチトロンビンIIIに対する抵抗性を示すことができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、非改変FVIIポリペプチドと比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の増加などのような、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した触媒活性または血液凝固活性を示すこともできる。さらに、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、TFPIに対する増加した抵抗性を示すことができる。そのような改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、TFPIに対して抵抗性となり得る。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、非改変FVIIポリペプチドと比較して、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性を示すことができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、Zn2+の阻害効果に対して抵抗性となり得る。
いくつかの例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、1つまたは複数のグリコシル化部位を導入および/または排除する、1つまたは複数の改変を含有する。たとえば、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上のグリコシル化部位を導入または排除することができる。導入または排除することができるグリコシル化部位は、N−グリコシル化部位およびO−グリコシル化部位を含む。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、アンチトロンビンIIIに対する抵抗性を増加させる、リン脂質に対する結合性および/もしくは親和性を増加させる、組織因子に対する親和性を増加させる、内因活性を増加させる、TF依存性活性を増加させる、血液凝固活性を増加させる、ポリペプチドのコンホメーションを変化させてチモーゲン性(zymogenicity)を変化させる、高度に活性なコンホメーションに有利なように高度に活性なFVIIaコンホメーションおよびそれほど活性でないFVIIaコンホメーションの間の平衡をシフトすることによって触媒活性もしくは血液凝固活性を増加させる、プロテアーゼに対する抵抗性を増加させる、グリコシル化を減少させる、グリコシル化を増加させる、免疫原性を低下させる、安定性を増加させる、ならびに/または化学基連結を容易にする、1つまたは複数のさらなるアミノ酸改変を含有することができる。いくつかの例において、変化したチモーゲン性は、よりチモーゲン様の形状またはそれほどチモーゲン様でない形状を付与する。
いくつかの例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、S279C/V302C、L280C/N301C、V281C/V302C、S282C/V299C、位置4でのチロシンの挿入、F4S、F4T、P10Q、P10E、P10D、P10N、Q21N、R28F、R28E、I30C、I30D、I30E、K32D、K32Q、K32E、K32G、K32H、K32T、K32C、K32A、K32S、D33C、D33F、D33E、D33K、A34C、A34E、A34D、A34I、A34L、A34M、A34V、A34F、A34W、A34Y、R36D、R36E、T37C、T37D、T37E、K38C、K38E、K38T、K38D、K38L、K38G、K38A、K38S、K38N、K38H、L39E、L39Q、L39H、W41N、W41C、W41E、W41D、I42R、I42N、I42S、I42A、I42Q、I42N、I42S、I42A、I42Q、I42K、S43Q、S43N、Y44K、Y44C、Y44D、Y44E、S45C、S45D、S45E、D46C、A51N、S53N、G58N、G59S、G59T、K62E、K62R、K62D、K62N、K62Q、K62T、L65Q、L65S、L65N、F71D、F71Y、F71E、F71Q、F71N、P74S、P74A、A75E、A75D、E77A、E82Q、E82N、E82S、E82T T83K、N95S、N95T、G97S、G97T、Y101N、D104N、T106N、K109N、E116D、G117N、G124N、S126N、T128N、L141C、L141D、L141E、E142D、E142C、K143C、K143D、K143E、R144E、R144C、R144D、N145Y、N145G、N145F、N145M、N145S、N145I、N145L、N145T、N145V、N145P、N145K、N145H、N145Q、N145E、N145R、N145W、N145D、N145C、K157V、K157L、K157I、K157M、K157F、K157W、K157P、K157G、K157S、K157T、K157C、K157Y、K157N、K157E、K157R、K157H、K157D、K157Q、V158L、V158I、V158M、V158F、V158W、V158P、V158G、V158S、V158T、V158C、V158Y、V158N、V158E、V158R、V158K、V158H、V158D、V158Q、A175S、A175T、G179N、I186S、I186T、V188N、R202S、R202T、I205S、I205T、D212N、E220N、I230N、P231N、P236N、G237N、Q250C、V253N、E265N、T267N、E270N、A274M、A274L、A274K、A274R、A274D、A274V、A274I、A274F、A274W、A274P、A274G、A274T、A274C、A274Y、A274N、A274E、A274H、A274S、A274Q、F275H、R277N、F278S、F278A。F278N、F278Q、F278G、L280N、L288K、L288C、L288D、D289C、D289K、L288E、R290C、R290G、R290A、R290S、R290T、R290K、R290D、R290E、G291E、G291D、G291C、G291N、G291K、A292C、A292K、A292D、A292E、T293K、E296V、E296L、E296I、E296M、E296F、E296W、E296P、E296G、E296S、E296T、E296C、E296Y、E296N、E296K、E296R、E296H、E296D、E296Q、M298Q、M298V、M298L、M298I、M298F、M298W、M298P、M298G、M298S、M298T、M298C、M298Y、M298N、M298K、M298R、M298H、M298E、M298D、P303S、P303T、R304Y、R304F、R304L、R304M、R304G、R304T、R304A、R304S、R304N、L305V、L305Y、L305I、L305F、L305A、L305M、L305W、L305P、L305G、L305S、L305T、L305C、L305N、L305E、L305K、L305R、L305H、L305D、L305Q、M306D、M306N、D309S、D309T、Q312N、Q313K、Q313D、Q313E、S314A、S314V、S314I、S314M、S314F、S314W、S314P、S314G、S314L、S314T、S314C、S314Y、S314N、S314E、S314K、S314R、S314H、S314D、S314Q、R315K、R315G、R315A、R315S、R315T、R315Q、R315C、R315D、R315E、K316D、K316C、K316E、V317C、V317K、V317D、V317E、G318N、N322Y、N322G、N322F、N322M、N322S、N322I、N322L、N322T、N322V、N322P、N322K、N322H、N322Q、N322E、N322R、N322W、N322C、G331N、Y332S、Y332A、Y332N、Y332Q、Y332G、D334G、D334E、D334A、D334V、D334I、D334M、D334F、D334W、D334P、D334L、D334T、D334C、D334Y、D334N、D334K、D334R、D334H、D334S、D334Q、S336G、S336E、S336A、S336V、S336I、S336M、S336F、S336W、S336P、S336L、S336T、S336C、S336Y、S336N、S336K、S336R、S336H、S336D、S336Q、K337L、K337V、K337I、K337M、K337F、K337W、K337P、K337G、K337S、K337T、K337C、K337Y、K337N、K337E、K337R、K337H、K337D、K337Q、K341E、K341Q、K341G、K341T、K341A、K341S、G342N、H348N、R353N、Y357N、I361N、F374P、F374A、F374V、F374I、F374L、F374M、F374W、F374G、F374S、F374T、F374C、F374Y、F374N、F374E、F374K、F374R、F374H、F374D、F374Q、V376N、R379N、L390C、L390K、L390D、L390E、M391D、M391C、M391K、M391N、M391E、R392C、R392D、R392E、S393D、S393C、S393K、S393E、E394K、P395K、E394C、P395D、P395C、P395E、R396K、R396C、R396D、R396E、P397D、P397K、P397C、P397E、G398K、G398C、G398D、G398E、V399C、V399D、V399K、V399E、L400K、L401K、L401C、L401D、L401E、R402D、R402C、R402K、R402E、A403K、A403C、A403D、A403E、P404E、P404D、P404C、P404K、F405K、P406C、K32N/A34S、K32N/A34T、F31N/D33S、F31N/D33T、I30N/K32S、I30N/K32T、A34N/R36S、A34N/R36T、K38N/F40S、K38N/F40T、T37N/L39S、T37N/L39T、R36N/K38S、R36N/K38T、L39N/W41S、L39N/W41T、F40N/I42S、F40N/I42T、I42N/Y44S、I42N/Y44T、Y44N/D46S、Y44N/D46T、D46N/D48S、D46N/D48T、G47N/Q49S、G47N/Q49T、K143N/N145S、K143N/N145T、E142N/R144S、E142N/R144T、L141N/K143S、L141N/K143T、I140N/E142S、I140N/E142T、R144N/A146S、R144N/A146T、A146N/K148S、A146N/K148T、S147N/P149S/、S147N/P149T、R290N/A292S、R290N/A292T、D289N/G291S、D289N/G291T、L288N/R290S、L288N/R290T、L287N/D289S、L287N/D289T、A292N/A294S、A292N/A294T、T293N/L295S、T293N/L295T、R315N/V317S、R315N/V317T、S314N/K316S、S314N/K316T、Q313N/R315S、Q313N/R315T、K316N/G318S、K316N/G318T、V317N/D319S、V317N/D319T、K341N/D343S、K341N/D343T、S339N/K341S、S339N/K341T、D343N/G345S、D343N/G345T、R392N/E394S、R392N/E394T、L390N/R392S、L390N/R392T、K389N/M391S、K389N/M391T、S393N/P395S、S393N/P395T、E394N/R396S、E394N/R396T、P395N/P397S、P395N/P397T、R396N/G398S、R396N/G398T、P397N/V399S、P397N/V399T、G398N/L400S、G398N/L400T、V399N/L401S、V399N/L401T、L400N/R402S、L400N/R402T、L401N/A403S、L401N/A403T、R402N/P404S、R402N/P404T、A403N/F405S、A403N/F405T、P404N/P406SおよびP404N/P406Tの中から選択される、1つまたは複数のさらなるアミノ酸改変を含有する。いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドはまた、トリプシン、トロンビン、もしくはFXに由来する対応するアミノ酸との、位置300〜322、305〜322、300〜312、もしくは305〜312の置換またはトリプシンに由来する対応するアミノ酸との、位置310〜329、311〜322、もしくは233〜329の置換をも含有する。
本明細書において提供される例示的な改変FVIIポリペプチドは、配列番号113〜273のいずれかにおいて記載されるアミノ酸の配列を有するものである。いくつかの例において、改変は、配列番号3において記載されるポリペプチドの対立遺伝子変異体または種変異体である非改変FVIIポリペプチドにおいてなされる。対立遺伝子変異体または種変異体または他の変異体は、アミノ酸改変(1つまたは複数)を除いて、配列番号3において記載されるポリペプチドに対して、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有することができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、ヒトポリペプチド、非ヒトポリペプチド、および/または成熟ポリペプチドとすることができる。いくつかの例においては、一次配列のみが改変される。他の例においては、化学修飾または翻訳後修飾も含まれる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、グリコシル化する、カルボキシル化する、ヒドロキシル化する、硫酸化する、リン酸化する、アルブミン化する(albuminate)、またはポリエチレングリコール(PEG)部分にコンジュゲートさせることができる。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、一本鎖ポリペプチド、二本鎖ポリペプチド、および/または活性ポリペプチドもしくは活性化ポリペプチドとすることができる。活性化は、自己活性化によるタンパク質分解による切断、第IX因子(FIXa)による切断、第X因子(FXa)による切断、第XII因子(FXIIa)による切断、またはトロンビンによる切断によって達成することができる。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドの1つまたは複数の活性を保持することができる。たとえば、ポリペプチドが、非改変FVIIポリペプチドの少なくとも1つのFVII活性を保持する限り、改変FVIIポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、または60のアミノ酸位置に改変を含有することができる。そのような改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドの、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の活性を保持することができる。いくつかの例において、1つまたは複数の活性は、組織因子(TF)結合性、第X因子(FX)活性化、第IX因子(FIX)活性化、リン脂質結合性、および凝固活性の中から選択される。さらに、保持される活性は、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加または減少させることができる。いくつかの例において、凝固活性は、非改変FVIIポリペプチドの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の凝固活性などのように、非改変FVIIポリペプチドと比較して増加する。活性は、インビトロにおいて、エクスビボにおいて、またはインビボにおいて測定することができる。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列を含有する核酸分子が、本明細書において提供される。原核生物ベクター、ウイルス性ベクター、または哺乳動物ベクターなどのような真核生物ベクターを含む、そのような核酸分子を含有するベクターもまた提供される。ウイルス性ベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルス、およびサイトメガロウイルスの中から選択することができる。哺乳動物細胞などのような真核細胞を含む、これらのベクターを含有する細胞が、本明細書において提供される。例示的な哺乳動物細胞は、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK−21)または293細胞またはCHO細胞である。いくつかの例において、細胞は、改変FVIIポリペプチドを発現する。したがって、これらの細胞によって産生される改変FVIIポリペプチドもまた、本明細書において提供される。
薬学的に許容可能な媒体中に、治療有効濃度または治療有効量の、本明細書において提供される任意の改変FVIIポリペプチド、核酸分子、ベクター、または細胞を含有する医薬組成物が、本明細書において提供される。いくつかの例において、医薬組成物は、経口投与、経鼻投与、経肺投与、頬側投与、経皮投与、皮下投与、十二指腸内投与、経腸投与、非経口投与、静脈内投与、または筋肉内投与などのような局所的投与、全身投与、または局所投与用に製剤される。医薬組成物はまた、徐放性投与および/または単回投与用に製剤することができる。
本明細書において提供される医薬組成物を投与することによって対象を処置する方法であって、対象は、活性FVII(FVIIa)の投与などによって、FVIIまたは凝血促進薬の投与によって処置される疾患または状態を有する方法が本明細書において提供される。いくつかの例において、医薬組成物を用いる処置は、疾患または状態と関連する症状を回復させ、または軽減する。さらなる例において、本明細書において提供される方法はまた、FVIIまたは凝血促進薬の投与によって処置される疾患または状態と関連する症状における変化について対象をモニターすることをも含む。本明細書において提供される方法を使用して処置されることとなる疾患または状態は、血液凝固障害、血液障害、出血性障害、血友病(血友病Aまたは血友病Bまたは血友病C、先天性血友病または後天性血友病など)、第VII因子欠乏症、および手術(心臓手術、血管形成術、肺手術、腹部手術、脊髄手術、脳手術、血管手術、口腔手術、もしくは器官移植手術など)または外傷による出血合併症を含む出血障害の中から選択することができる。いくつかの例において、出血は、急性関節血症、慢性血友病性関節症、血腫、血尿、中枢神経系出血、消化管出血、または脳出血として現れる。さらなる例において、出血は、抜歯によるものである。移植手術は、骨髄、心臓、肺、膵臓、および肝臓の移植の中から選択することができる。
いくつかの例において、本明細書において提供される方法は、第VIII因子または第IX因子に対する自己抗体を有する対象を処置するために使用することができる。本明細書において提供される方法はまた、1つまたは複数のさらなる、血漿精製凝固因子もしくは組換え凝固因子などのような凝固因子、ビタミンK、ビタミンK誘導体、およびプロテインC阻害因子などのような凝血促進薬、血漿、血小板、赤血球、ならびにコルチコステロイドまたは処置を施すことをも含むことができる。
包装材、および包装材に入っている、本明細書において提供される医薬組成物を含有する製品が本明細書において提供される。いくつかの例において、医薬組成物における改変FVIIポリペプチドは、FVII媒介性疾患または障害の処置に有効であり、包装材は、改変FVIIポリペプチドが、FVII媒介性疾患または障害の処置に使用されることを示す標識を含む。本明細書において記載される医薬組成物、組成物の投与のためのデバイス、および所望により、投与についての説明書を含むキットもまた、本明細書において提供される。
図1は凝固カスケードを示す。図は、FXaの非依存性の産生のための凝固の内在性経路および外因性経路ならびに血餅の形成に向けてトロンビンおよびフィブリンを生成するための共通経路への経路の集合を示す。これらの経路は、相互に連絡する。図は、チモーゲンが、1つまたは複数のペプチド結合の切断によって活性化プロテアーゼに変換される活性化カスケードに関与する分子の順番を示す。次いで、活性化プロテアーゼは、カスケードにおける次のチモーゲン分子のための活性化プロテアーゼとして働き、最終的に血餅形成をもたらす。 図2は凝固の細胞ベースのモデルを示す(たとえば、Hoffman et al. (2001) Thromb Haemost 85:958-965を参照されたい)。図は、凝固事象を3つのフェーズに分類して示し、凝固の開始は、TFを有する細胞上のTF/FVIIa複合体によるFXのFXaへの活性化によって達成され、FXa/FVaによる活性化の後に少量のトロンビンの生成をもたらす。増幅は、トロンビンが、血小板に結合し、活性化し、十分な量の適切な凝固因子の活性化を開始して、FVIIIa/FIXa複合体およびFVa/FXa複合体を形成する場合に起こる。凝固の伝播は、傷害の部位の多くの活性化血小板の表面で生じ、フィブリノーゲンから十分なフィブリンを生成するのに十分に多い、トロンビン生成の著しい増加をもたらし、傷害の部位に血餅を構築する。 図3は、FVIIaがトロンビン形成を開始することができるメカニズムを示す。図は、FVIIaトロンビン生成のTF依存性経路を示し、これは、TFを有する細胞の表面で作用し、FXのFXaへの活性化前にTFとのFVIIaの複合体形成を伴う。図はまた、FVIIaトロンビン生成のTF非依存性の経路を示し、この間に、FVIIaは、活性化血小板上のリン脂質に結合し、FXをFXaに活性化し、これは、順番に、FVaと複合体を形成して、プロトロンビンを切断してトロンビンにする。
概要
A. 定義
B. 止血概説
1. 血小板の粘着および凝集
2. 凝固カスケード
a. 開始
b. 増幅
c. 伝播
3. 凝固の調節
C. 第VII因子(FVII)
1. FVIIの構造および構成
2. 翻訳後改変
3. FVIIプロセシング
4. FVII活性化
5. FVII機能
a. 組織因子依存性FVIIa活性
b. 組織因子非依存性FVIIa活性
6. 生物製剤としてのFVII
D. 改変FVIIポリペプチド
1. 増加した触媒活性
a. 触媒活性を増加させるための例示的な改変
i. 位置286での塩基性アミノ酸置換
ii. 位置286での他の突然変異
2. AT−IIIに対する増加した抵抗性
AT−IIIに対する増加した抵抗性を達成するための例示的な改変
3. Zn2+による阻害に対する増加した抵抗性
Zn2+による阻害に対する抵抗性を増加させるための例示的な改変
4. 変化したグリコシル化
グリコシル化を変化させるための例示的な改変
5. 血清アルブミンおよび/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性
a. 血清アルブミン結合配列を有する例示的なFVIIポリペプチド
b. 血小板インテグリンαIIbβ結合配列を有する例示的なFVIIポリペプチド
6. 異種Glaドメインの導入による改変
7. 組み合わせおよびさらなる改変
a. TFPIに対する抵抗性を増加させる改変
b. 内因活性を増加させる改変
c. プロテアーゼに対する抵抗性を増加させる改変
d. リン脂質に対する親和性を増加させる改変
e. グリコシル化を変化させる改変
f. 化学基連結を容易にするための改変
g. 例示的な組み合わせ突然変異
E. FVIIポリペプチドの産生
1. ベクターおよび細胞
2. 発現系
a. 原核生物発現
b. 酵母
c. 昆虫および昆虫細胞
d. 哺乳動物細胞
e. 植物
2. 精製
3. 融合タンパク質
4. ポリペプチド改変
5. ヌクレオチド配列
F. 改変FVIIポリペプチド活性の評価
1. インビトロアッセイ
a. 翻訳後改変
b. タンパク質分解活性
c. 凝固活性
d. 他のタンパク質による結合および/または阻害
e. リン脂質結合性
2. 非ヒト動物モデル
3. 臨床アッセイ
G. 製剤および投与
1. 製剤
a. 投薬量
b. 剤形
2. 改変FVIIポリペプチドの投与
3. 改変FVIIポリペプチドをコードする核酸の投与(遺伝子治療)
H. 治療上の使用
1. 先天性の出血障害
a. 血友病
b. FVII欠乏症
c. 他
2. 後天性の出血障害
a. 化学療法による後天性の血小板減少症
b. 他の凝固障害
c. 移植による後天性の出血
d. 抗凝固療法誘発性の出血
e. 後天性血友病
3. 外傷および手術による出血
I. 併用療法
J. 製品およびキット
K. 実施例
A. 定義
他に特に定義されていない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、(1つまたは複数の)本発明が属する当技術分野の熟練者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書における全開示を通して言及されるすべての特許、特許出願、公開出願、および刊行物、Genbank配列、データベース、ウェブサイト、ならびに他の出版物は、他に特に述べられていない限り、それらの全体が参照によって組み込まれる。本明細書における用語について、複数の定義がある場合、本部における定義が優先される。URLまたは他のそのような識別子もしくはアドレスが言及される場合、そのような識別子は、変わり得るものであり、インターネット上の特定の情報は、絶えず入れ替わり得るが、等価な情報を、インターネットを検索することによって見つけることができることを理解されたい。インターネットへの参照は、そのような情報の有用性および公的な普及を証明する。
本明細書において使用されるように、凝固経路または凝固カスケードは、不溶性フィブリン血餅の形成に至る、一連の活性化事象を指す。凝固カスケードまたは凝固経路において、セリンプロテアーゼの不活性タンパク質(チモーゲンとも呼ばれる)は、1つまたは複数のペプチド結合の切断によって活性プロテアーゼに変換され、次いで、これは、カスケードにおける次のチモーゲン分子のための活性化プロテアーゼとして働く。カスケードの最終タンパク質分解工程において、フィブリノーゲンは、タンパク質分解によって、トロンビンによってフィブリンに切断され、次いで、これは、傷害の部位で架橋して、血餅を形成する。
本明細書において使用されるように、「止血」は、器官または身体部分における出血または血流の停止を指す。止血という用語は、血管傷害の後の失血を予防するための血液凝血から続く、組織修復の後の凝血の溶解の全プロセスを包含することができる。
本明細書において使用されるように、「凝血」または「凝固」は、不溶性フィブリン血餅の形成を指すまたは血液の凝固因子が、凝固カスケードにおいて相互作用し、不溶性フィブリン血餅の形成を最終的にもたらすプロセスを指す。
本明細書において使用されるように、「プロテアーゼ」は、共有結合性のペプチド結合の加水分解を触媒する酵素である。これらの名称は、チモーゲン形態ならびにその活性化一本鎖形態、活性化二本鎖形態、および活性化多重鎖形態を含む。明確にするために、プロテアーゼに対する言及は、すべての形態を指す。プロテアーゼは、たとえば、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、およびメタロプロテアーゼをそれらの活性部位の触媒活性および標的基質のペプチド結合を切断するメカニズムに依存して含む。
本明細書において使用されるように、セリンプロテアーゼまたはセリンエンドペプチダーゼは、ペプチダーゼのクラスを指し、これらは、酵素の活性部位におけるセリン残基の存在によって特徴づけられる。セリンプロテアーゼは、原核生物および真核生物における消化酵素として機能するだけではなく、血液凝血および炎症を含む身体における広範囲の機能に関与する。セリンプロテアーゼによる切断のメカニズムは、セリンによる、標的ペプチド結合の求核攻撃に基づく。システイン、トレオニン、もしくはアスパラギン酸と結合した水分子、または金属もまた、この役割を果たすことができる。セリン、ヒスチジン、およびアスパラギン酸の一列に並んだ側鎖は、ほとんどのセリンプロテアーゼに共通の触媒3残基(catalytic triad)を形成する。セリンプロテアーゼの活性部位は、ポリペプチド基質が結合するくぼみとして形づくられる。
本明細書において使用されるように、第VII因子(FVII、F7;第7因子、凝固第VII因子、血清第VII因子、血清プロトロンビン転換促進因子、SPCA、プロコンベルチン、およびエプタコグアルファとも呼ばれる)は、凝固カスケードの一部であるセリンプロテアーゼを指す。FVIIは、Glaドメイン、2つのEGFドメイン(EGF−1およびEGF−2)、ならびにたとえばキモトリプシンとなど、セリンプロテアーゼのペプチダーゼS1ファミリーのすべてのメンバーの中で高度に保存されているセリンプロテアーゼドメイン(またはペプチダーゼS1ドメイン)を含む。シグナルペプチドおよびプロペプチドを有する例示的な前駆体FVIIの配列は、配列番号1において記載される。例示的な成熟FVIIポリペプチドは、配列番号3において記載される。FVIIは、一本鎖チモーゲン、チモーゲン様二本鎖ポリペプチド、および完全に活性化された二本鎖形態として生じる。完全な活性化は、チモーゲン様の形態からのコンホメーションの変化に際して生じるが、補因子組織因子への結合に際して生じる。また、組織因子の非存在下においてコンホメーション変化をもたらす突然変異を導入することもできる。したがって、FVIIに対する言及は、その一本鎖形態ならびにチモーゲン様二本鎖形態および完全に活性化された二本鎖形態を含む二本鎖形態を含む。
FVIIポリペプチドに対する言及はまた、一本鎖形態または二本鎖形態、活性を有するその切断形態をした前駆体ポリペプチドおよび成熟FVIIポリペプチドをも含み、配列番号1において記載される前駆体ポリペプチドに対して、少なくとも40%、45%、50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するポリペプチドまたはその成熟形態を含む、対立遺伝子変異体および種変異体、スプライス変異体によってコードされる変異体、ならびに他の変異体をも含む。配列番号113および273のポリペプチドならびにその変異体などのような改変FVIIポリペプチドが含まれる。FVIIのTF結合性、第X因子結合性、リン脂質結合性、および/または血液凝固活性などのような、FVIIの少なくとも1つの活性を保持するものもまた含まれる。活性を保持することによって、活性は、保持される活性のレベルが、検出可能な効果を得るのに十分である限り、野生型FVIIと比較して、低下させるまたは増加させるなど、変化させることができる。FVIIポリペプチドは、組織特異的アイソフォームおよびその対立遺伝子変異体、核酸の翻訳によって調製される合成分子、組換え法を通しての、より短いポリペプチドのライゲーションを含む合成などのような化学合成によって生成されるタンパク質、ヒトおよび非ヒトの組織および細胞から単離されるタンパク質、キメラFVIIポリペプチド、ならびにその改変形態を含むが、これらに限定されない。FVIIポリペプチドはまた、十分な長さであり、または完全長成熟ポリペプチドの少なくとも1つの活性(必要に応じて、活性化に際して)を保持するのに適切な領域を含む、FVIIの断片または部分をも含む。FVIIポリペプチドはまた、化学改変または翻訳後改変を含有するものおよび化学改変または翻訳後改変を含有しないものをも含む。そのような改変は、ペグ化、アルブミン化、グリコシル化、ファルネシル化、カルボキシル化、ヒドロキシル化、リン酸化、および当技術分野において知られている他のポリペプチド改変を含むが、これらに限定されない。
例示的なFVIIポリペプチドは、ヒトを含む哺乳動物起源のものである。ヒト起源のFVIIの例示的なアミノ酸配列は、配列番号1、2、および3において記載される。そのようなヒトFVIIポリペプチドの例示的な変異体は、配列番号18〜74において記載される前駆体ポリペプチドのいずれかを含む。FVIIポリペプチドはまた、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ、トリ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、魚、カエル、および他の霊長動物の第VII因子ポリペプチドを含むが、これらに限定されない非ヒト起源のいずれかを含む。非ヒト起源の例示的なFVIIポリペプチドは、たとえば、雌ウシ(ボース タウルス(Bos taurus)、配列番号4)、マウス(ムス ムスクルス(Mus musculus)、配列番号5)、ピグミーチンパンジー(パン パニスクス(Pan paniscus)、配列番号6)、チンパンジー(パン トログロディテス(Pan troglodytes)、配列番号7)、ウサギ(オリクトラガス クニクラス(Oryctolagus cuniculus)、配列番号8)、ラット(ラッタス ノルベジクス(Rattus norvegicus)、配列番号9)、アカゲザル(マカク ムラッタ(Macaca mulatta)、配列番号10)、ブタ(サス スクロファ(Sus scrofa)、配列番号11)、イヌ(カニス ファミリアリス、配列番号12)、ゼブラフィッシュ(ブラキダニオ レリオ(Brachydanio rerio)、配列番号13)、日本フグ(フグ ルブリペス(Fugu rubripes)、配列番号14)、ニワトリ(ガルス ガルス(Gallus gallus)、配列番号15)、オランウータン(ポンゴ ピュグマエウス(Pongo pygmaeus)、配列番号16)、およびゴリラ(ゴリラ ゴリラ、配列番号17)を含む。
当業者は、成熟第VII因子ポリペプチド(配列番号3)の参照位置が、シグナルペプチド配列およびプロペプチド配列を含有するアイソフォームa第VII因子ポリペプチドである、配列番号1において記載されるアイソフォームa前駆体FVIIポリペプチドと比較した場合、60アミノ酸残基分異なることを認識する。したがって、配列番号3の第1のアミノ酸残基は、配列番号1の61番目の(第61の)アミノ酸残基「に対応する」。当業者はまた、成熟第VII因子ポリペプチド(配列番号3)の参照位置が、シグナルペプチド配列およびプロペプチド配列を含有するアイソフォームb第VII因子ポリペプチドである、配列番号2において記載される前駆体FVIIポリペプチドと比較した場合、38アミノ酸残基分異なることをも認識する。したがって、配列番号3の第1のアミノ酸残基は、配列番号2の39番目の(第39の)アミノ酸残基「に対応する」。
本明細書において使用されるように、対応する残基は、アライメントされた場所に生じる残基を指す。関連ポリペプチドまたは変異ポリペプチドは、当業者らに知られている任意の方法によってアライメントされる。そのような方法は、典型的には、マッチを最大限にし、マニュアルアライメントを使用する、ならびに入手可能な多数のアライメントプログラム(たとえばBLASTP)および当業者らに知られている他のものを使用することなどによる方法を含む。ポリペプチドの配列をアライメントすることによって、当業者は、指標として、保存アミノ酸残基および同一アミノ酸残基を使用して、対応する残基を同定することができる。たとえば、第VII因子ポリペプチドの配列をアライメントすることによって、当業者は、指標として、保存アミノ酸残基および同一アミノ酸残基を使用して、対応する残基を同定することができる。たとえば、配列番号3(成熟第VII因子)のアミノ酸位置1(A1)におけるアラニンは、配列番号1のアミノ酸位置61(A61)におけるアラニンおよび配列番号2のアミノ酸位置39(A39)におけるアラニンに対応する。他の場合において、対応する領域を、同定することができる。たとえば、Glaドメインは、配列番号3のアミノ酸位置A1からF45に、配列番号1のアミノ酸位置A61からS105、および配列番号2のアミノ酸位置A39からS83に対応する。当業者はまた、ヒト配列および非ヒト配列の間ならびにそれらの中の対応するアミノ酸残基を見つけるために、指標として保存アミノ酸残基を利用することができる。たとえば、配列番号3(ヒト)のアミノ酸残基S43およびE163は、配列番号4(ウシ)のS83およびE203に対応する。対応する位置はまた、たとえばタンパク質構造のコンピューター模擬アラインメントを使用することによる構造のアラインメントに基づくものとすることができる。他の場合において、対応する領域を同定することができる。
本明細書において使用されるように、「プロ領域」、「プロペプチド」、または「プロ配列」は、切断されて、成熟タンパク質を産生する領域またはセグメントを指す。これは、触媒機構を遮蔽し、したがって、触媒中間体の形成を予防することによって(つまり基質結合部位を立体的に閉鎖することによって)、タンパク質分解活性を抑制するように機能するセグメントを含むことができる。プロ領域は、成熟した生物学的活性ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸の配列であり、わずか少数のアミノ酸でもあり得、または多重ドメイン構造でもあり得る。
本明細書において使用されるように、「成熟第VII因子」は、シグナル配列およびプロペプチド配列を欠くFVIIポリペプチドを指す。典型的には、シグナル配列は、小胞体(ER)−ゴルジ経路を介しての分泌のためのタンパク質を標的にし、翻訳の間のERへの挿入の後に切断される。プロペプチド配列は、典型的には、タンパク質の翻訳後改変において機能し、細胞からのタンパク質の分泌前に切断される。したがって、成熟FVIIポリペプチドは、典型的には、分泌タンパク質である。一例において、成熟ヒトFVIIポリペプチドは、配列番号3において記載される。配列番号3において記載されるアミノ酸配列は、配列番号3が、配列番号1および2のアミノ酸残基1〜20に対応するシグナル配列を欠き、また、配列番号1のアミノ酸残基21〜60および配列番号2のアミノ酸残基21〜38に対応するプロペプチド配列をも欠くという点で、配列番号1および2において記載される前駆体ポリペプチドのアミノ酸配列と異なる。成熟FVIIポリペプチドに対する言及は、一本鎖チモーゲン形態および二本鎖形態を包含する。
本明細書において使用されるように、FVIIに関しての「野生型」および「天然」は、自然界においてヒトおよび他の動物を含む生物において存在する対立遺伝子変異体を含む、天然FVII遺伝子または天然に存在するFVII遺伝子によってコードされるFVIIポリペプチドを指す。種に無関係の野生型第VII因子に対する言及は、野生型第VII因子の任意の種を包含するように意図される。コード前駆体ポリペプチド、その断片、ならびにシグナルペプチドを欠く成熟形態およびその任意の翻訳前または翻訳後処理形態または修飾形態などのようなその処理形態が、野生型FVIIポリペプチドの中に含まれる。グリコシル化、カルボキシル化、およびヒドロキシル化による修飾を含むが、これらに限定されない、翻訳後修飾されるものもまた、天然FVIIポリペプチドの中に含まれる。天然FVIIポリペプチドはまた、一本鎖形態および二本鎖形態をも含む。たとえば、ヒトは、天然FVIIを発現する。例示的な野生型ヒトFVIIのアミノ酸配列は、配列番号1、2、3において記載され、対立遺伝子変異体は、配列番号44〜100において記載され、その成熟形態。雌ウシ(ボース タウルス、配列番号4)、マウス(ムス ムスクルス、配列番号5)、ピグミーチンパンジー(パン パニスクス、配列番号6)、チンパンジー(パン トログロディテス、配列番号7)、ウサギ(オリクトラガス クニクラス、配列番号8)、ラット(ラッタス ノルベジクス、配列番号9)、アカゲザル(マカク ムラッタ、配列番号10)、ブタ(サス スクロファ、配列番号11)、イヌ(カニス ファミリアリス、配列番号12)、ゼブラフィッシュ(ブラキダニオ レリオ、配列番号13)、日本フグ(フグ ルブリペス、配列番号14)、ニワトリ(ガルス ガルス、配列番号15)、オランウータン(ポンゴ ピュグマエウス、配列番号16)、およびゴリラ(ゴリラ ゴリラ、配列番号17)を含むが、これらに限定されない他の動物は、天然FVIIを産生する。
本明細書において使用されるように、種変異体は、マウスおよびヒトなどのような異なる哺乳動物種を含む様々な種の中のポリペプチドにおける変異体を指す。
本明細書において使用されるように、対立遺伝子変異体は、同じ種のメンバーの中のタンパク質における変異を指す。
本明細書において使用されるように、スプライス変異体は、複数の種類のmRNAをもたらす、ゲノムDNAの転写一次産物の示差的プロセシング(differential processing)によって産生される変異体を指す。
本明細書において使用されるように、チモーゲンは、活性化切断などのような成熟切断を含むタンパク質分解による切断ならびに/または他のタンパク質(1つもしくは複数)および/または補因子(1つもしくは複数)との複合体形成によって活性化されるプロテアーゼを指す。チモーゲンは、タンパク質分解酵素の不活性前駆体である。そのような前駆体は、必ずしも大きいというわけではないが、活性形態よりも一般に大きい。セリンプロテアーゼに関して、チモーゲンは、触媒切断および自己触媒切断を含む特異的な切断によってまたは活性酵素を生成する活性化補因子の結合によって活性酵素に変換される。たとえば、一般に、チモーゲンは、一本鎖形態をしている。チモーゲンは、一般に、不活性であり、1つまたは複数のタンパク質分解部位での触媒切断または自己触媒切断によって成熟活性ポリペプチドに変換されて、二本鎖などのような多重鎖ポリペプチドを生成することができる。したがって、チモーゲンは、活性化因子の作用によってタンパク質分解酵素に変換される酵素的に不活性なタンパク質である。切断は、自己活性化によって達成することができる。多くの凝固タンパク質は、チモーゲンであり、それらは不活性であるが、血管損傷の後の凝固系の開始に際して切断され、活性化されるようになる。FVIIに関して、FVIIポリペプチドは、たとえば、活性化第IX因子(FIXa)、活性化第X因子(FXa)、活性化第XII因子(FXIIa)、トロンビンなどのようなプロテアーゼによって切断されるまでまたは自己活性化によって切断されるまで、チモーゲンとして血漿中に存在して、チモーゲン様の二本鎖形態を産生し、次いで、これは、完全な活性に向けて、さらなるコンホメーション変化を必要とする。
本明細書において使用されるように、「チモーゲン様」タンパク質またはポリペプチドは、タンパク質分解による切断によって活性化されているが、たとえば低い活性もしくは無活性またはタンパク質のチモーゲン形態のコンホメーションに類似するコンホメーションなどのような、チモーゲンと関連する特性をなお示すタンパク質を指す。たとえば、組織因子に結合しない場合、FVIIの二本鎖活性化形態は、チモーゲン様タンパク質であり、それは、非切断FVIIチモーゲンに類似するコンホメーションを保持し、したがって、非常に低い活性を示す。組織因子への結合に際して、FVIIの二本鎖活性化形態は、コンホメーションの変化を起こし、凝固因子としてのその完全な活性を獲得する。
本明細書において使用されるように、活性化配列は、活性プロテアーゼを形成するために、活性化切断または成熟切断に必要とされる部位である、チモーゲンにおけるアミノ酸の配列を指す。活性化配列の切断は、自己触媒によってまたは活性化パートナーによって触媒することができる。
本明細書において使用されるように、活性化切断は、一種の成熟切断であり、これは、完全な酵素活性の発達に必要とされるコンホメーション変化を誘発する。これは、たとえば、切断により、キモトリプシンにおけるAsp194などのような、プロテアーゼの保存領域と相互作用して、活性に必要とされるコンホメーション変化を誘発する新しいN−末端を生成するセリンプロテアーゼについての古典活性化経路である。活性化は、プロテアーゼの多重鎖形態の産生をもたらし得る。いくつかの場合において、プロテアーゼの一本鎖形態は、タンパク質分解活性を示すことができる。
本明細書において使用されるように、「活性化第VII因子」または「FVIIa」は、FVIIポリペプチドの任意の二本鎖形態を指す。二本鎖形態は典型的にタンパク質分解による切断に起因するが、合成によって産生することができる。活性化第VII因子は、したがって、低い血液凝固活性を有するチモーゲン様の二本鎖形態、組織因子への結合に際して生じる、完全に活性化された形態(約1000倍高い活性)、および完全に活性化された二本鎖形態で存在するまたは完全に活性化された形態へのコンホメーション変化を起こす突然変異形態を含む。たとえば、FVIIポリペプチドの一本鎖形態(たとえば配列番号3を参照されたい)は、成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸残基R152およびI153の間でタンパク質分解によって切断される。切断産物、FVII重鎖およびFVII軽鎖は、ジスルフィド結合によって共に保持されるが(配列番号3のFVIIにおけるアミノ酸残基C135およびC262の間で)、二本鎖活性化FVII酵素を形成する。タンパク質分解による切断は、たとえば、活性化第IX因子(FIXa)、活性化第X因子(FXa)、活性化第XII因子(FXIIa)、トロンビン、または自己活性化によって実行することができる。
本明細書において使用されるように、FVIIポリペプチドの「特性」は、3次元構造、pI、半減期、コンホメーション、および他のそのような物理的特徴などのような物理的特性または構造的特性を指す。
本明細書において使用されるように、FVIIポリペプチドの「活性」は、第VII因子ポリペプチドによって示される任意の活性を指す。そのような活性は、インビトロおよび/またはインビボにおいて試験することができ、凝固活性もしくは血液凝固活性、凝血促進活性、第X因子(FX)活性化もしくは第IX因子(FIX)活性化を達成するなどのようなタンパク質分解活性もしくは触媒活性;抗原性(抗FVII抗体に結合する能力もしくはそれへの結合についてあるポリペプチドと競合する能力);組織因子、第X因子、もしくは第IX因子に結合する能力;および/またはリン脂質に結合するための能力を含むが、これらに限定されない。活性は、たとえば、インビトロにおいてまたはインビボにおいて凝固を測定することによって、承認されるアッセイを使用して、インビトロにおいてまたはインビボにおいて評価することができる。そのようなアッセイの結果は、ポリペプチドが、インビボにおけるポリペプチドの活性に相互に関連し得る活性を示すことを示し、インビボ活性は、生物学的活性とも呼ぶことができる。FVIIの改変形態の機能性または活性を決定するためのアッセイは、当業者らに知られている。FVIIポリペプチドの活性を評価するための例示的なアッセイは、血液凝固活性を評価するためのプロトロンボプラスチン時間(PT)アッセイもしくは活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイまたは触媒活性もしくはタンパク質分解活性を評価するための、下記の実施例において記載されるものなどのような、合成基質を使用する発色アッセイを含む。
本明細書において使用されるように、「少なくとも1つの活性を示す」または「少なくとも1つの活性を保持する」は、同じ条件下で同じ形態の非改変FVIIポリペプチドと比較した、改変FVIIポリペプチドによって示される活性を指す。たとえば、二本鎖形態の改変FVIIポリペプチドは、同じ実験条件下で、二本鎖形態の非改変FVIIポリペプチドと比較され、2つのポリペプチドの間の唯一の差異は、研究下の改変である。他の例において、一本鎖形態の改変FVIIポリペプチドは、同じ実験条件下で、一本鎖形態の非改変FVIIポリペプチドと比較され、2つのポリペプチドの間の唯一の差異は、研究下の改変である。典型的には、同じ形態の非改変FVIIポリペプチドの少なくとも1つの活性を保持するまたは示す改変FVIIポリペプチドは、インビボにおいて投与された場合、改変FVIIポリペプチドが、凝血促進治療薬として治療的に有効となるのに十分な量の活性を保持する。一般に、凝血促進薬として治療的効能を保持するための改変FVIIポリペプチドについて、保持される活性の量は、凝血促進薬として治療的効能を示す同じ形態の非改変FVIIポリペプチドの活性の0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、もしくはそれ以上またはその前後である。必要であれば、凝血促進薬としての治療的効能を維持するために必要とされる活性の量は、経験的に決定することができる。典型的には、活性の0.5%〜20%、0.5%〜10%、0.5%〜5%の保持は、インビボにおいて凝血促進薬としての治療的効能を保持するのに十分である。
改変FVIIポリペプチドによって示されるまたは保持される活性は、凝固活性もしくは血液凝固活性、凝血促進活性;第X因子(FX)活性化もしくは第IX因子(FIX)活性化を達成するなどのようなタンパク質分解活性もしくは触媒活性;抗原性(抗FVII抗体に結合する能力もしくはそれへの結合についてあるポリペプチドと競合する能力);組織因子、第X因子、もしくは第IX因子に結合する能力;および/またはリン脂質に結合するための能力を含むが、これらに限定されない、任意の活性とすることができることが理解されたい。いくつかの場合において、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した活性を保持し得る。いくつかの場合において、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、減少した活性を保持することができる。改変FVIIポリペプチドの活性は、問題の改変を含有していないポリペプチドと比較して1%の活性、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の活性を含むが、これらに限定されない、非改変ポリペプチドの活性の任意のレベルの百分率とすることができ、両方のポリペプチドは、同じ形態をしている。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、同じ形態をした非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加したまたは減少した活性を示すことができる。たとえば、それは、非改変FVIIポリペプチドの少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも99%の活性を保持することができる。他の実施形態において、活性における変化は、非改変FVIIよりも、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、400倍、500倍、600倍、700倍、800倍、900倍、1000倍、またはそれ以上大きい。保持されることとなる特定のレベルは、ポリペプチドの意図される使用についての関数であり、経験的に決定することができる。活性は、たとえば、本明細書においてまたは下記の実施例において記載されるものなどのようなインビトロアッセイまたはインビボアッセイを使用して、測定することができる。
本明細書において使用されるように、「凝固活性」または「血液凝固活性」または「凝血促進活性」は、ポリペプチドが凝固を達成する能力を指す。血液凝固活性を評価するためのアッセイは、当業者らに知られており、プロトロンボプラスチン時間(PT)アッセイまたは活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイを含む。
本明細書において使用されるように、FVIIに関しての「触媒活性」または「タンパク質分解活性」は、FVIIタンパク質が、基質のタンパク質分解による切断を触媒する能力を指し、区別なく使用される。そのような活性を評価するためのアッセイは、当技術分野において知られている。たとえば、FVIIのタンパク質分解活性は、Spectrozyme FVIIa(CHSO−D−CHA−But−Arg−pNA)などのような発色基質を使用して測定することができ、基質の切断は、吸光度によってモニターされ、基質加水分解の速度は、線形回帰によって決定される。
本明細書において使用されるように、FVIIに関しての「内因活性」は、組織因子の非存在における、FVIIタンパク質の触媒活性、タンパク質分解活性、および/または血液凝固活性を指す。
本明細書において使用されるように、ドメイン(典型的には、3またはそれ以上、一般に、5または7またはそれ以上のアミノ酸の配列)は、構造的におよび/または機能的に分子の他の部分と異なり、同定可能である、タンパク質またはコード核酸などのような分子の部分を指す。たとえば、ドメインは、1つもしくは複数の構造モチーフから構成される、タンパク質内で独立して折り畳まれた構造を形成することができるおよび/またはタンパク質分解活性などのような機能的活性により認識されるポリペプチド鎖のそれらの部分を含む。タンパク質は、1つまたは複数の異なるドメインを有することができる。たとえば、ドメインは、プロテアーゼドメインまたはglaドメインを規定するモチーフに対する相同性などのような、関連するファミリーメンバーに対する、その中の配列の相同性によって、同定し、規定し、または区別することができる。他の例において、ドメインは、タンパク質分解活性などその機能によって、またはDNA結合、リガンド結合、および二量体化など、生体分子と相互作用する能力によって区別することができる。ドメインは、ドメインが、独立してまたは他の分子に融合して、たとえばタンパク質分解活性またはリガンド結合などのような活性を実行することができるように、独立して、生物学的機能または生物学的活性を示すことができる。ドメインは、アミノ酸の線状配列またはアミノ酸の非線状配列とすることができる。多くのポリペプチドは、複数のドメインを含有する。そのようなドメインは、知られており、当業者らによって同定することができる。本明細書における例証のために、規定は、提供されるが、名称によって特定のドメインを認識することは、当技術分野における技術の範囲内に十分にあることが理解されたい。必要に応じて、適切なソフトウェアを、ドメインを同定するために利用することができる。
本明細書において使用されるように、プロテアーゼドメインは、プロテアーゼの触媒活性部分である。プロテアーゼのプロテアーゼドメインに対する言及は、これらのタンパク質のいずれかの一本鎖形態、二本鎖形態、および多重鎖形態を含む。タンパク質のプロテアーゼドメインは、たとえば触媒中心などのような、そのタンパク質分解活性に必要とされる、そのタンパク質の必須の特性をすべて含有する。FVIIに関して、プロテアーゼドメインは、触媒3残基を含めて、キモトリプシン/トリプシンファミリープロテアーゼドメインと、相同性および構造的特徴を共有する。たとえば、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドにおいて、プロテアーゼドメインは、アミノ酸位置153〜392に対応する。
本明細書において使用されるように、ガンマ−カルボキシグルタミン酸(Gla)ドメインは、タンパク質、たとえば、Glaを形成するためのビタミンK依存性カルボキシル化による、グルタミン酸残基、一般に、すべてではないが、ほとんどのグルタミン酸残基の翻訳後改変を含有するビタミンK依存性タンパク質の部分を指す。Glaドメインは、カルシウムイオンの高親和性結合および負電荷リン脂質に対する結合を担う。典型的には、Glaドメインは、ビタミンK依存性タンパク質の成熟形態のN−末端で始まり、保存芳香族残基で終わる。成熟FVIIポリペプチドにおいて、Glaドメインは、配列番号3において記載される例示的なポリペプチドのアミノ酸位置1〜45に対応する。Glaドメインは、十分に知られており、それらの場所は、特定のポリペプチドにおいて同定することができる。様々なビタミンK依存性タンパク質のGlaドメインは、N−末端の疎水性残基の、細胞膜上の負電荷リン脂質との相互作用を媒介する疎水性パッチへのクラスタリングを含む、配列、構造的相同性、および機能的相同性を共有する。例示的な他のGla含有ポリペプチドは、FIX、FX、プロトロンビン、プロテインC、プロテインS、オステオカルシン、マトリックスGlaタンパク質、増殖停止特異的タンパク質6(Gas6)、およびプロテインZを含むが、これらに限定されない。これらおよび他の例示的なタンパク質のGlaドメインは、配列番号83〜94のいずれかにおいて記載される。
本明細書において使用されるように、Glaドメインに関しての「天然」または「内因性」は、Glaドメインを有するポリペプチドのすべてまたは一部と関連する天然に存在するGlaドメインを指す。本明細書における目的上、天然Glaドメインは、FVIIポリペプチドに関してのものである。たとえば、配列番号92において記載されるFVIIの天然Glaドメインは、配列番号3において記載されるアミノ酸の配列のアミノ酸1〜45に対応する。
本明細書において使用されるように、異種Glaドメインは、FVII Glaドメインでない、同じまたは異なる種に由来するポリペプチドに由来するGlaドメインを指す。例示的な異種Glaドメインは、FIX、FX、プロトロンビン、プロテインC、プロテインS、オステオカルシン、マトリックスGlaタンパク質、増殖停止特異的タンパク質6(Gas6)、およびプロテインZを含むが、これらに限定されないGla含有ポリペプチドに由来するGlaドメインである。これらおよび他の例示的なタンパク質のGlaドメインは、配列番号83〜91、93、および94のいずれかにおいて記載される。
本明細書において使用されるように、Glaドメインの連続(contiguous)部分は、少なくとも2つ以上の近接アミノ酸、典型的には、2、3、4、5、6、8、10、15、20、30、40、またはそれ以上の、すべてのアミノ酸までの、Glaドメインを構成するアミノ酸を指す。
本明細書において使用されるように、「リン脂質結合を達成するのに十分な、Glaドメインの部分」は、少なくとも1つのアミノ酸、典型的には、2、3、4、5、6、8、10、15、またはそれ以上の、ドメインのアミノ酸を含むが、そのような部分を含有するポリペプチドが、リン脂質結合を示す限り、ドメインを構成するアミノ酸のすべてよりも少ないアミノ酸を含む。
本明細書において使用されるように、Glaドメインに関しての「交換する」または「Glaドメインswap」は、タンパク質の内因性Glaドメインが、他のタンパク質のGlaドメインと、組換え法、合成法、または他の方法を使用して交換されるプロセスを指す。「Glaドメインswap」との関連において、「Glaドメイン」は、リン脂質結合活性を保持するのに十分な、Glaドメインおよび近接領域に由来するアミノ酸の任意の選択物である。典型的には、Glaドメインswapは、内因性タンパク質の40〜50のアミノ酸の、他のタンパク質の40〜50のアミノ酸との交換を伴うであろうが、より少ないまたはより多くのアミノ酸を伴うことができる。
本明細書において使用されるように、上皮成長因子(EGF)ドメイン(EGF−1またはEGF−2)は、上皮成長因子(EGF)配列の特異的な30〜40のアミノ酸部分に対して配列相同性を共有する、タンパク質の部分を指す。EGFドメインは、ジスルフィド結合に関与することが示された(EGFにおいて)、6つのシステイン残基を含む。EGFドメインの主な構造は、C−末端の短い二本鎖シートまでのループが後続する二本鎖ベータシートである。FVIIは、2つのEGFドメイン:EGF−1およびEGF−2を含有する。これらのドメインは、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドの、アミノ酸位置46〜82および87〜128にそれぞれ対応する。
本明細書において使用されるように、「非改変ポリペプチド」または「非改変FVII」およびその文法的な変化形は、本明細書において提供される改変のために選択される出発ポリペプチドを指す。出発ポリペプチドは、ポリペプチドの天然に存在する野生型形態とすることができる。さらに、出発ポリペプチドは、それが天然野生型アイソフォームと異なるように変化させるまたは変異させることができるが、それにもかかわらず、本明細書において産生され、引き続いて改変されるポリペプチドと比較して、出発非改変ポリペプチドと本明細書において呼ばれる。したがって、非改変参照タンパク質と比較して、特定の活性または特性における望ましい増加または減少を有するように改変された、当技術分野において知られている既存のタンパク質を選択し、出発非改変ポリペプチドとして使用することができる。たとえば、アミノ酸残基またはグリコシル化を変化させるための残基における変化などのように、1つまたは複数の単一のアミノ酸変化によってその天然形態から改変され、望ましい特性における増加または減少のいずれかを有するタンパク質は、同じまたは異なる特性のさらなる改変のための、本明細書において非改変と呼ばれる、標的タンパク質とすることができる。当技術分野において知られている例示的な改変FVIIポリペプチドは、たとえば、米国特許第5580560号、第6017882号、第6693075号、第6762286号、および第6806063号、米国特許出願公開第20030100506号および第20040220106号、ならびに国際特許出願公開WO1988010295、WO200183725、WO2003093465、WO200338162、WO2004083361、WO2004108763、WO2004029090、WO2004029091、WO2004111242、およびWO2005123916において記載される任意のFVIIポリペプチドを含む。
本明細書において使用されるように、「改変第VII因子ポリペプチド」および「改変第VII因子」は、非改変第VII因子ポリペプチドと比較して、1つまたは複数のアミノ酸の差異を有するFVIIポリペプチドを指す。1つまたは複数のアミノ酸の差異は、1つもしくは複数のアミノ酸交換(置換)、アミノ酸挿入、もしくはアミノ酸欠失などのようなアミノ酸突然変異でもあり得、または全ドメインの挿入もしくは欠失およびその任意の組み合わせでもあり得る。典型的には、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、一次配列における1つまたは複数の改変を有する。たとえば、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、またはそれ以上のアミノ酸の差異を有することができる。結果として生じるポリペプチドが、たとえば触媒活性、タンパク質分解活性、TFに結合する能力、または活性化血小板に結合する能力などのような、天然FVIIポリペプチドと関連する、少なくとも1つのFVII活性を示す限り、任意の改変が企図される。
本明細書において使用されるように、「凝固の阻害因子」は、凝固または血餅形成を阻害するまたは予防するように作用するタンパク質または分子を指す。凝固の阻害または予防は、インビボにおいてまたはインビトロにおいて観察することができ、プロトロンボプラスチン時間(PT)アッセイまたは活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)アッセイを含むが、これらに限定されない、当技術分野において知られている任意の方法を使用してアッセイすることができる。
本明細書において使用されるように、組織因子経路阻害因子(TFPI、TFPI−1とも呼ばれる)は、FVIIaの活性が阻害される、4つ一組のTF/FVIIa/TFPI/FXa阻害性複合体の形成に関与するKunitz型阻害因子である。TFPIは、選択的スプライシングの後に、2つの異なる前駆体形態、TFPIα(配列番号75)およびTFPIβ(配列番号77)前駆体として発現され、これらは、分泌の間に切断されて、276アミノ酸(配列番号76)および223アミノ酸(配列番号78)の成熟タンパク質をそれぞれ生成する。TFPIは、3つのKunitzドメインを含有し、これらのうちのKunitz−1ドメインは、FVIIaの結合および阻害を担う。
本明細書において使用されるように、TFPI−2(胎盤タンパク質5(PP5)およびマトリックス結合セリンプロテアーゼ阻害因子(MSPI)としても知られている)は、TFPIの相同体を指す。213アミノ酸成熟TFPI−2タンパク質(配列番号79)は、TFPI−1 Kunitz型ドメイン1、2、および3と、それぞれ、43%、35%、および53%の一次配列同一性を示す3つのKunitz型ドメインを含有する。TFPI−2は、細胞外マトリックスの消化およびリモデリングの調節において役割を果たし、凝固経路における重要な因子であると考えられない。
本明細書において使用されるように、アンチトロンビンIII(AT−III)は、セリンプロテアーゼ阻害因子(セルピン)である。AT−IIIは、分泌の間に切断されて、432アミノ酸の成熟アンチトロンビン(配列番号96)を放出する、464アミノ酸残基(配列番号95)を含有する前駆体タンパク質として合成される。
本明細書において使用されるように、補因子は、他の特異的なタンパク質または分子に結合して、活性複合体を形成するタンパク質または分子を指す。いくつかの例において、補因子への結合は、最適なタンパク質分解活性に必要とされる。たとえば、組織因子(TF)は、FVIIaの補因子である。TFへのFVIIaの結合は、その基質、FXおよびFIXに対するFVIIaの増加したタンパク質分解活性をもたらす、コンホメーションの変化を誘発する。
本明細書において使用されるように、組織因子(TF)は、FVIIaに対する補因子として機能する、263アミノ酸の膜貫通糖タンパク質(配列番号97)を指す。それは、平滑筋細胞および線維芽細胞によって恒常的に発現され、これらの細胞が、組織傷害の後に血流に接触した場合に、FVIIおよびFVIIaに結合することよって、凝固を開始するのを助ける。
本明細書において使用されるように、活性化血小板は、最終的に凝固を促進する、形態、表現型、および機能における様々な変化を起こす、コラーゲン、トロンボキサンA2、ADP、およびトロンビンなどのような分子の結合によって誘発された血小板を指す。たとえば、活性化血小板は、指状の突起部(projecting finger)を有する、より無定形な形態に形状が変化する。活性化血小板はまた、ホスファチジルセリンおよび細胞膜の内側の葉状部において通常存在する他の負電荷リン脂質が、外側の血漿の方を向く表面に移動する、細胞膜の「flip」をも起こす。活性化血小板のこれらの膜は、凝固カスケードの多くの反応が達成される表面を提供する。活性化血小板はまた、vWF、Fv、トロンビン、ADP、およびトロンボキサンA2のような凝血促進因子を含有する小胞をも分泌し、互いに粘着して、フィブリンによって安定化されて、血餅になる血小板血栓を形成する。
本明細書において使用されるように、活性化血小板に対する増加した結合性および/または親和性ならびにその任意の文法的な変化形は、参照ポリペプチドまたは参照タンパク質と比較した、活性化血小板の表面に結合する、ポリペプチドまたはタンパク質、たとえばFVIIポリペプチドの増強した能力を指す。たとえば、改変FVIIポリペプチドが活性化血小板に結合する能力は、非改変FVIIポリペプチドが活性化血小板に結合する能力よりも大きくなり得る。活性化血小板に対するポリペプチドの結合性および/または親和性は、非改変ポリペプチドの結合性および/または親和性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。活性化血小板に対するポリペプチドの結合性および/または親和性を決定するためのアッセイは、当技術分野において知られている。活性化血小板へのFVIIポリペプチドの結合は、FVIIポリペプチドのGlaドメインにおけるアミノ酸および活性化血小板上のホスファチジルセリンなどのような負電荷リン脂質の相互作用を通して媒介される。そのため、FVIIポリペプチドなどのようなポリペプチドの活性化血小板への結合をアッセイするための方法は、ホスファチジルセリンなどのようなリン脂質を含有する膜および小胞を使用する。たとえば、ポリペプチドが活性化血小板に結合する能力は、光散乱技術によって測定することができる、ポリペプチドがリン脂質小胞に結合する能力によって、反映される。
本明細書において使用されるように、リン脂質に対する増加した結合性および/または親和性ならびにその任意の文法的な変化形は、参照ポリペプチドまたは参照タンパク質と比較した、ポリペプチドまたはタンパク質がリン脂質に結合する、増強した能力を指す。リン脂質は、任意のリン脂質を含むことができるが、特に、ホスファチジルセリンを含むことができる。リン脂質に対するポリペプチドの結合性および/または親和性は、非改変ポリペプチドの結合性および/または親和性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。リン脂質に対するポリペプチドの親和性および/または結合性を決定するためのアッセイは、当技術分野において知られている。たとえば、リン脂質小胞へのFVIIポリペプチドの結合は、入射光に対する90°での相対的な光散乱によって決定することができる。リン脂質小胞単独でのおよびFVIIを有するリン脂質小胞での光散乱の強度は、解離定数を決定するために測定される。BIAcoreバイオセンサー機器でなどの表面プラズマ共鳴もまた、リン脂質膜に対するFVIIポリペプチドの親和性を測定するために使用することができる。
本明細書において使用されるように、阻害因子に対する増加した抵抗性または「AT−IIIに対する増加した抵抗性」または「TFPIに対する増加した抵抗性」は、非改変FVIIポリペプチドなどのような参照ポリペプチドと比較した、AT−IIIまたはTFPIなどのような阻害因子の阻害効果に対する、ポリペプチドの減少した感度の任意の量を指す。AT−IIIなどのような阻害因子に対する増加した抵抗性は、阻害因子への改変FVIIポリペプチドの結合を評価することによってアッセイすることができる。AT−IIIなどのような阻害因子に対する増加した抵抗性はまた、AT−IIIの存在下において、FVIIポリペプチドの内因活性または血液凝固活性を測定することによってアッセイすることもできる。阻害因子へのポリペプチドの結合を決定するためのアッセイは、当技術分野において知られている。たとえばAT−IIIなどのような、共有結合性の阻害因子について、阻害に対する二次速度定数を測定することができる。たとえばTFPIなどのような、非共有阻害因子について、kを測定することができる。さらに、BIAcoreバイオセンサー機器でなどの表面プラズマ共鳴もまた、AT−IIIまたは他の阻害因子に対するFVIIポリペプチドの結合を測定するために使用することができる。しかしながら、AT−IIIなどのような共有結合性の阻害因子については、on速度のみを、BIAcoreを使用して測定することができる。FVII血液凝固活性または内因活性に対するたとえばAT−IIIの阻害効果をまた決定するためのアッセイもまた、当技術分野において知られている。たとえば、改変FVIIポリペプチドが、AT−IIIの存在下または非存在下においてその基質FXを切断する能力を、測定することができ、AT−IIIが反応を阻害する程度を決定することができる。これは、AT−IIIの存在下または非存在下において、非改変FVIIポリペプチドがその基質FXを切断する能力と比較することができる。阻害因子に対する増加した抵抗性を示す改変ポリペプチドは、非改変ポリペプチドと比較した、たとえば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の阻害因子の効果に対する抵抗性の増加を示す。
本明細書において使用されるように、「Zn2+による阻害に対する増加した抵抗性」、「Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性」、または「Zn2+に対する増加した抵抗性」は、非改変FVIIポリペプチドなどのような参照ポリペプチドと比較した、Zn2+の阻害効果に対する、ポリペプチドの減少した感度の任意の量を指す。Zn2+に対する増加した抵抗性は、実施例11において記載されるように、たとえば、Zn2+の存在下において、FVIIポリペプチドの内因活性または血液凝固活性を測定することによって、アッセイすることができる。Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性は、Zn2+に対する減少した結合性の結果となり得る。Zn2+に対する減少した結合性は、FVIIaの分子当たりの結合したZn2+の量を測定することによってまたはFVIIaに対するZn2+の結合の親和性を測定することによってまたは亜鉛によるFVIIa活性の阻害についてのIC50を測定することによってアッセイすることができる。Zn2+の阻害効果に対して増加した抵抗性を示す改変ポリペプチドは、非改変ポリペプチドと比較した、たとえば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上のZn2+の効果に対する抵抗性の増加を示す。
本明細書において使用されるように、血清アルブミン結合配列は、血清アルブミンへの結合を達成することができるアミノ酸残基の配列を指す。したがって、FVIIポリペプチドの中に挿入された場合、血清アルブミン結合配列は、FVIIポリペプチドの血清アルブミンに対する親和性またはそれへの結合を増強することができる。そのため、血清アルブミン結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドの能力は、血清アルブミンに対する増加した結合性および/または親和性を示すことができる。血清アルブミンに対する増加した結合性および/または親和性を示す改変ポリペプチドは、非改変ポリペプチドの結合性および/または親和性と比較して、たとえば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の増加を示す。典型的には、血清アルブミン結合配列は、少なくとも10またはそれ以上のアミノ酸、典型的には、10、11、12、13、14、15、20、30、40、またはそれ以上のアミノ酸を含有する。例示的な血清アルブミン結合配列は、配列番号103〜109において記載されるものである。
本明細書において使用されるように、血小板インテグリンαIIbβ結合配列は、血小板インテグリンαIIbβへの結合を達成することができるアミノ酸残基の配列を指す。したがって、FVIIポリペプチドの中に挿入された場合、血小板インテグリンαIIbβ結合配列は、FVIIポリペプチドが、血小板インテグリンαIIbβ、そのため、活性化血小板を含む血小板に結合する能力を増強することができる。そのため、血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドの能力は、血小板インテグリンαIIbβおよび/または血小板に対する増加した結合性および/または親和性を示すことができる。血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/または親和性を示す改変ポリペプチドは、非改変ポリペプチドの結合性および/または親和性と比較して、たとえば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の増加を示す。典型的には、血小板インテグリンαIIbβ結合配列は、少なくとも5つ以上のアミノ酸、典型的には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、またはそれ以上のアミノ酸を含有する。例示的な血小板インテグリンαIIbβ結合配列は、配列番号110〜112において記載されるものである。
本明細書において使用されるように、グリコシル化部位は、炭水化物部分を付加することができる、ポリペプチドにおけるアミノ位置を指す。典型的には、グリコシル化タンパク質は、炭水化物部分の付加のために、アスパラギンまたはセリンなどのような1つまたは複数のアミノ酸残基を含有する。
本明細書において使用されるように、天然グリコシル化部位は、炭水化物部分が野生型ポリペプチドにおいて付加されるアミノ位置を指す。FVIIにおいて4つの天然グリコシル化部位がある;配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドにおけるアミノ酸位置に対応する、N145およびN322での2つのN−グリコシル化部位ならびにS52およびS60での2つのO−グリコシル化部位。
本明細書において使用されるように、非天然グリコシル化部位は、野生型ポリペプチドにおいて存在しない、改変ポリペプチドにおいて炭水化物部分が付加されるアミノ位置を指す。非天然グリコシル化部位は、アミノ酸交換によってFVIIポリペプチドの中に導入することができる。O−グリコシル化部位は、たとえば、天然残基のセリンまたはトレオニンとのアミノ酸交換によって、生成することができる。N−グリコシル化部位は、たとえば、モチーフAsn−Xaa−Ser/Thr/Cysを構築することによって、生成することができ、ここで、Xaaは、プロリンではない。アミノ酸改変によるこのコンセンサス配列の生成は、たとえば、天然アミノ酸残基のアスパラギンとの単一のアミノ酸交換、天然アミノ酸残基のセリン、トレオニン、もしくはシステインとの単一のアミノ酸交換、または天然残基のアスパラギンとの第1のアミノ酸交換および天然残基のセリン、トレオニン、もしくはシステインとの第2のアミノ酸交換を含む二重アミノ酸交換を含むことができる。
本明細書において使用されるように、「生物学的活性」は、化合物、組成物、または他の混合物のインビボ投与に際して結果として生じる、化合物のインビボ活性または生理学的応答を指す。したがって、生物学的活性は、そのような化合物、組成物、および混合物の治療上の効果および医薬活性を包含する。生物学的活性は、そのような活性を試験するまたは使用するために設計されるインビトロ系において観察することができる。したがって、本明細書における目的上、FVIIポリペプチドの生物学的活性は、血液凝固活性を包含する。
本明細書において使用されるように、用語「評価する」およびその文法的な変化形は、ポリペプチドの活性についての絶対値を得るという意味でおよびまた活性のレベルを示す指数、比、百分率、視覚的または他の値を得るという意味でも、定量的決定および定質的決定を含むように意図される。評価は、直接的または間接的なものであってもよい。たとえば、ポリペプチドによる基質の切断の検出は、産物の直接的な測定によるものでもよく、または切断された基質の結果として生じる活性を決定することによって間接的に測定することもできる。
本明細書において使用されるように、「キモトリプシンナンバリング」は、配列番号80の成熟キモトリプシンポリペプチドのアミノ酸ナンバリングを指す。たとえば第VII因子のプロテアーゼドメインなどのような他のプロテアーゼのプロテアーゼドメインのアラインメントは、キモトリプシンを用いてなすことができる。そのような場合、キモトリプシンのアミノ酸に対応する、第VII因子のアミノ酸は、キモトリプシンアミノ酸のナンバリングが与えられる。対応する位置は、マニュアルアライメントを使用してまたは入手可能な多数のアライメントプログラムを使用することによって(たとえばBLASTP)、当業者によるそのようなアライメントによって決定することができる。対応する位置はまた、たとえばタンパク質構造のコンピューター模擬アライメントを使用することによる構造のアライメントに基づくものとすることができる。ポリペプチドのアミノ酸が開示される配列におけるアミノ酸に対応するという記載は、GAPアルゴリズムなどのような標準的なアライメントアルゴリズムを使用して、同一性または相同性を最大にするための、開示される配列とのポリペプチドのアライメント(保存アミノ酸がアライメントする)に際して同定されるアミノ酸を指す。配列番号3において記載されるFVIIポリペプチドのアミノ酸位置1〜406の対応するキモトリプシンナンバーは、表1において提供される。配列番号3において記載される配列と比較したアミノ酸位置は、標準のフォント、それらの位置のアミノ酸残基は、太字、および対応するキモトリプシンナンバーは、イタリック体とする。たとえば、成熟キモトリプシン(配列番号80)との成熟第VII因子(配列番号3)のアライメントに際して、第VII因子におけるアミノ酸位置153のイソロイシン(I)は、キモトリプシンナンバリングI16が与えられる。続くアミノ酸は、それに応じてナンバリングされる。一例において、成熟第VII因子(配列番号3)のアミノ酸位置210のグルタミン酸(E)は、キモトリプシンナンバリングに基づいてアミノ酸位置E70に対応する。残基が、プロテアーゼにおいて存在するが、キモトリプシンにおいて存在しない場合、アミノ酸残基は文字表記が与えられる。たとえば、キモトリプシンナンバリングに基づいたアミノ酸60を有するループの一部であるが、キモトリプシンと比較して第VII因子配列の中に挿入された、キモトリプシンにおける残基は、たとえば、K60a、I60b、K60c、またはN60dと呼ばれる。これらの残基は、成熟第VII因子配列(配列番号3)と比較したナンバリングによって、K197、I198、K199、およびN200にそれぞれ対応する。
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本明細書において使用されるように、核酸は、DNA、RNA、ならびにペプチド核酸(PNA)およびその混合物を含むその類似体を含む。核酸は、一本鎖または二本鎖とすることができる。蛍光または放射標識などの、検出可能な標識などを用いて所望により標識されるプローブまたはプライマーを指す場合、一本鎖分子が、企図される。そのような分子は、典型的には、それらの標的が、統計的にユニークとなるような長さであるか、またはライブラリーのプロービングもしくはプライミングのために低コピー数(典型的に5未満、一般に3未満)のものとする。一般に、プローブまたはプライマーは、対象とする遺伝子と相補的なまたは同一の配列の少なくとも14、16、または30の隣接ヌクレオチドを含有する。プローブおよびプライマーは、10、20、30、50、100、またはそれ以上の核酸長とすることができる。
本明細書において使用されるように、ペプチドは、2〜40のアミノ酸長であるポリペプチドを指す。
本明細書において使用されるように、本明細書において提供されるアミノ酸の様々な配列において生じるアミノ酸は、それらの知られている3文字または1文字の略語に従って同定される(表2)。様々な核酸断片において生じるヌクレオチドは、当技術分野においてルーチン的に使用される標準的な単一の文字の名称を用いて命名される。
本明細書において使用されるように、「アミノ酸」は、アミノ基およびカルボン酸基を含有する有機化合物である。ポリペプチドは、2つ以上のアミノ酸を含有する。本明細書における目的上、アミノ酸は、20の天然に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸、およびアミノ酸類似体(つまりα−炭素が側鎖を有するアミノ酸)を含む。
J.Biol.Chem.,243:3552~3559(1969)および適合する米国特許法施行規則§§1.821〜1.822に記載される標準的なポリペプチド命名法に合わせて、アミノ酸残基のための略語を表2に示す。
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本明細書における式によって表されるすべてのアミノ酸残基配列は、アミノ末端からカルボキシル末端への従来の方向に、左から右への配向を有することに留意されたい。さらに、語句「アミノ酸残基」は、対応の表(表2)において列挙されるアミノ酸ならびに米国特許法施行規則§§1.821〜1.822において言及され、参照によって本明細書において組み込まれるものなどのような改変アミノ酸および異常アミノ酸を含むように、広く定義される。さらに、アミノ酸残基配列の始まりまたは終わりのダッシュは、1つまたは複数のアミノ酸残基のさらなる配列に対する、NHなどのようなアミノ末端基に対する、またはCOOHなどのようなカルボキシル末端基に対するペプチド結合を示すことに留意されたい。
本明細書において使用されるように、「疎水性アミノ酸」は、Eisenberg疎水性コンセンサススケールを使用して疎水性であることが決定されたアミノ酸のいずれか1つを含む。例示的なものは、イソロイシン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、トリプトファン、メチオニン、アラニン、グリシン、システイン、およびチロシンなどのような天然に存在する疎水性アミノ酸である(Eisenberg et al., (1982) Faraday Symp. Chem. Soc. 17:109-120)。天然に存在しない疎水性アミノ酸もまた含まれる。
本明細書において使用されるように、「酸性アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸の中でも、アスパラギン酸残基およびグルタミン酸残基を含む。天然に存在しない酸性アミノ酸もまた含まれる。
本明細書において使用されるように、「天然に存在するアミノ酸」は、ポリペプチドにおいて生じる20種のL−アミノ酸を指す。
本明細書において使用されるように、「非天然アミノ酸」は、表2において列挙される天然に存在するアミノ酸の1つではない、アミノ基およびカルボン酸基を含有する有機化合物を指す。したがって、天然に存在しないアミノ酸は、たとえば、20種の天然に存在するアミノ酸以外のアミノ酸またはアミノ酸の類似体を含み、アミノ酸のD−立体異性体を含むが、これらに限定されない。例示的な非天然アミノ酸は、当業者らに知られており、改変第VII因子ポリペプチドに含むことができる。
本明細書において使用されるように、DNA構築物は、自然界において見い出されない様式で組み合わせられ、並べられたDNAのセグメントを含有する一本鎖もしくは二本鎖、線状、または環状のDNA分子である。DNA構築物は、ヒトの操作の結果として存在し、操作された分子のクローンおよび他のコピーを含む。
本明細書において使用されるように、DNAセグメントは、特定の性状を有する、より大きなDNA分子の部分である。たとえば、特定のポリペプチドをコードするDNAセグメントは、プラスミドまたはプラスミド断片などのような、より長いDNA分子の部分であり、5’から3’方向に読み取られる場合、特定のポリペプチドのアミノ酸の配列をコードする。
本明細書において使用されるように、ポリヌクレオチドという用語は、5’端から3’端に読み取られるデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドベースの一本鎖ポリマーまたは二本鎖ポリマーを意味する。ポリヌクレオチドは、RNAおよびDNAを含み、天然源から単離し、インビトロにおいて合成し、または天然分子および合成分子の組み合わせから調製することができる。ポリヌクレオチド分子の長さは、ヌクレオチド(「nt」と省略)または塩基対(「bp」と省略)により本明細書において示される。ヌクレオチドという用語は、状況が可能にする場合、一本鎖分子および二本鎖分子に使用される。この用語が、二本鎖分子に適用される場合、用語は、全長を表すために使用され、塩基対という用語と等価であることが理解されるであろう。二本鎖ポリヌクレオチドの二本の鎖はわずかに長さが異なることがあり得、そしてその端がずれることがあり得、したがって、二本鎖ポリヌクレオチド分子内のすべてのヌクレオチドが対になることができるとは限らないことが当業者らによって認識されるであろう。そのような対でない端は、一般に、20ヌクレオチド長を超えないであろう。
本明細書において使用されるように、「一次配列」は、ポリペプチドにおけるアミノ酸残基の配列を指す。
本明細書において使用されるように、2つのタンパク質または核酸の間の「類似性」は、タンパク質のアミノ酸の配列または核酸のヌクレオチド配列の間の関連性を指す。類似性は、残基の配列およびそこに含有される残基の同一性ならびに/または相同性の程度に基づくものとすることができる。タンパク質または核酸の間の類似性の程度を評価するための方法は、当業者らに知られている。たとえば、配列類似性を評価するためのある方法において、2つのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列は、配列の間で最大のレベルの同一性が得られるようにアライメントされる。「同一性」は、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列が一様である程度を指す。アミノ酸配列のアライメントおよびある程度のヌクレオチド配列のアラインメントはまた、アミノ酸(またはヌクレオチド)における保存的な差異および/または頻繁な置換を考慮することができる。保存的な差異は、含まれる残基の物理化学的特性を保存する差異である。アラインメントは、全体的(配列の全体の長さにわたりすべての残基を含む、比較される配列のアラインメント)または局所的(最も類似する1つまたは複数の領域のみを含む配列の部分のアラインメント)なものとすることができる。
本明細書において使用されるように、用語「相同性」および「同一性」は、区別なく使用されるが、タンパク質についての相同性は、保存的アミノ酸変化を含むことができる。一般に、対応する位置を同定するために、アミノ酸の配列は、最も高度な程度のマッチが得られるように、アライメントされる(たとえばComputational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988;Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993;Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991;Carillo et al. (1988) SIAM J Applied Math 48:1073を参照されたい)。
本明細書において使用されるように、「配列同一性」は、試験および参照ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの間の比較における、同一のアミノ酸(またはヌクレオチド塩基)の数を指す。相同性ポリペプチドは、ある一定の数の同一アミノ酸残基または相同性アミノ酸残基を指す。相同性は、同一残基と同様に、保存的なアミノ酸置換を含む。配列同一性は、それぞれのサプライヤーによって確立されるデフォルトギャップペナルティーを用いて使用される標準的なアライメントアルゴリズムプログラムによって決定することができる。相同性核酸分子は、ある一定の数の同一ヌクレオチドまたは相同性ヌクレオチドを指す。相同性は、同一残基と同様に、コードアミノ酸を変化させない置換(つまり「サイレント置換」)を含む。実質的に相同性の核酸分子は、典型的には、中程度のストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーで、核酸の全長に沿ってまたは対象とする完全長核酸分子の少なくとも約70%、80%、もしくは90%に沿ってハイブリダイズする。ハイブリダイズする核酸分子におけるコドンの代わりに縮重コドンを含有する核酸分子もまた、企図される。(タンパク質の相同性の決定のために、保存的アミノ酸は、同一のアミノ酸と同様にアライメントすることができ、この場合、同一性の百分率および相同性百分率は、変わる)。任意の2つの核酸分子が、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%「同一の」ヌクレオチド配列を有する(または任意の2つのポリペプチドが、アミノ酸配列を有する)かどうかは、「FASTA」プログラムなどのような知られているコンピューターアルゴリズムを使用して、たとえば、Pearson et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)におけるデフォルトパラメーターを使用して、決定することができる(他のプログラムは、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J., et al., Nucleic Acids Research 12(I): 387 (1984))、BLASTP、BLASTN、FASTA(Atschul, S.F., et al., J. Molec. Biol. 215:403 (1990);Guide to Huge Computers, Martin J. Bishop, ed., Academic Press, San Diego (1994)、およびCarillo et al. SIAM J Applied Math 48: 1073 (1988)を含む)。たとえば、National Center for Biotechnology InformationデータベースのBLAST機能は、同一性を決定するために使用することができる。他の市販で入手可能なまたは公的に入手可能なプログラムは、DNAStar「MegAlign」プログラム(Madison、WI)およびUniversity of Wisconsin Genetics Computer Group (UWG)「Gap」プログラム(Madison WI))を含む。タンパク質および/または核酸分子の相同性または同一性のパーセントは、たとえば、GAPコンピュータープログラムを使用して配列情報を比較することによって決定することができる((たとえば、Smith and Waterman(Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)によって改訂されたNeedleman et al. J. Mol. Biol. 48: 443 (1970))。手短に言えば、GAPプログラムは、2つの配列のうちの短い方の記号の総数で割った、類似する、アライメントされた記号(つまりヌクレオチドまたはアミノ酸)の数として、類似性を規定する。GAPプログラムのためのデフォルトパラメーターは、(1)単項比較マトリックス(同一の場合には1および同一でない場合には0という値を含有する)ならびにSchwartz and Dayhoff, eds., Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, pp. 353-358 (1979)によって記載されるGribskov et al. Nucl. Acids Res. 14: 6745 (1986)の加重比較マトリックス;(2)それぞれのギャップに対する3.0のペナルティーおよびそれぞれのギャップにおけるそれぞれの記号に対するさらなる0.10のペナルティー;ならびに(3)エンドギャップに対するペナルティーなし、を含むことができる。
そのため、本明細書において使用されるように、用語「同一性」は、試験および参照ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの間の比較を表す。1つの非限定的な例において、「〜に少なくとも90%同一の」は、参照ポリペプチドと比較した、90〜100%の同一性パーセントを指す。90%またはそれ以上のレベルでの同一性は、例証目的と仮定して、100のアミノ酸の試験および参照ポリヌクレオチド長が比較され、試験ポリペプチドにおけるアミノ酸の多くとも10%(つまり100のうち10)が参照ポリペプチドのアミノ酸と異なるという事実を示す。類似する比較は、試験ポリヌクレオチドおよび参照ポリヌクレオチドの間でなすことができる。そのような差異は、アミノ酸配列の全長にわたって無作為に分布した点突然変異として表すことができ、またはそれらは、最大に許容できる、たとえば10/100のアミノ酸の差異(約90%の同一性)まで、様々な長さの1つまたは複数の場所にクラスター形成し得る。差異は、核酸またはアミノ酸の置換、挿入、または欠失として規定される。約85〜90%以上の相同性または同一性のレベルでは、結果は、プログラムおよびギャップパラメーターセットに非依存性であるはずであり、そのような高度なレベルの同一性は、ソフトウェアに頼ることなく容易に評価することができることが多い。
本明細書において使用されるように、用語「実質的に同一の」または「類似する」は、当業者らによって理解されるように、状況により変わるが、当業者らは、そのようなものを評価することができることもまた理解されたい。
本明細書において使用されるように、配列のアライメントは、ヌクレオチドまたはアミノ酸の配列における対応する位置をアライメントするための相同性(類似性および/または同一性)の使用を指す。典型的には、50%またはそれ以上の同一性によって関係する2つ以上の配列が、アライメントされる。配列のアライメントセットは、対応する位置でアライメントされる2つ以上の配列を指し、ゲノムDNA配列とアライメントされる、ESTおよび他のcDNAなどのような、RNAに由来するアライメント配列を含むことができる。
本明細書において使用されるように、「特異的にハイブリダイズする」は、標的核酸分子への核酸分子(たとえばオリゴヌクレオチド)の相補的塩基対合によるアニーリングを指す。当業者らは、特定の分子の長さおよび組成などのような、特異的ハイブリダイゼーションに影響を及ぼすインビトロパラメーターおよびインビボパラメーターに精通している。インビトロハイブリダイゼーションに特に関連するパラメーターは、アニーリング温度および洗浄温度、緩衝液組成、ならびに塩濃度をさらに含む。非特異的結合核酸分子を除去するための例示的な洗浄条件は、高ストリンジェンシーでは0.1×SSPE、0.1%SDS、65℃、中ストリンジェンシーでは0.2×SSPE、0.1%SDS、50℃である。等価なストリンジェンシー条件は、当技術分野において知られている。当業者は、特定の適用に適切な標的核酸分子への核酸分子の特異的なハイブリダイゼーションを達成するために、これらのパラメーターを容易に調整することができる。
本明細書において使用されるように、単離もしくは精製ポリペプチドもしくはタンパク質またはその生物学的活性部分は、タンパク質が由来する組織の細胞に由来する細胞性物質または他の混入タンパク質が実質的にないまたは化学的に合成される場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質が実質的にない。調製物は、そのような純度またはさらなる精製が、物質のタンパク質分解活性および生物学的活性などのような物理的特性および化学的特性を検出可能に変化させないように十分に純粋であることを評価するために当業者らによって使用される薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのような標準的な分析方法によって決定されるように、それらが、容易に検出可能な不純物がないと思われる場合、実質的に不純物がないと決定することができる。実質的に化学的に純粋な化合物を産生するための化合物の精製のための方法は、当業者らに知られている。しかしながら、実質的に化学的に純粋な化合物は、立体異性体の混合物となり得る。そのような場合、さらなる精製は、化合物の比活性を増加させ得る。
細胞性物質が実質的にないという用語は、タンパク質が単離され、または組換えで産生される細胞の細胞性構成成分からタンパク質が分離される、タンパク質の調製物を含む。一実施形態において、細胞性物質が実質的にないという用語は、約30%未満(乾燥重量による)の非プロテアーゼタンパク質(本明細書において混入タンパク質とも呼ばれる)、一般に、約20%未満の非プロテアーゼタンパク質、または10%の非プロテアーゼタンパク質または、または約5%未満の非プロテアーゼタンパク質を有するプロテアーゼタンパク質の調製物を含む。プロテアーゼタンパク質またはその活性部分が、組換えで産生される場合、それもまた、実質的に培地がない、すなわち、培地は、プロテアーゼタンパク質調製物の容量の20%、10%、または5%未満、その前後、またはそれと等しい。
本明細書において使用されるように、化学的前駆体または他の化学物質が実質的にないという用語は、タンパク質が、タンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離されるプロテアーゼタンパク質の調製物を含む。この用語は、約30%(乾燥重量による)、20%、10%、5%、またはそれ以下、未満の化学的前駆体または非プロテアーゼ化学物質もしくは構成成分を有するプロテアーゼタンパク質の調製物を含む。
本明細書において使用されるように、組換えDNA法を使用することによる組換え法による産生は、クローニングされたDNAによりコードされるタンパク質を発現させるための、分子生物学のよく知られている方法の使用を指す。
本明細書において使用されるように、ベクター(またはプラスミド)は、その発現または複製のいずれかのために細胞の中に異種核酸を導入するために使用される別個の要素を指す。ベクターは、典型的にエピソームのままであるが、ゲノムの染色体の中への遺伝子またはその部分の組み込みを達成するように設計することができる。細菌人工染色体、酵母人工染色体、および哺乳動物人工染色体などのような人工染色体であるベクターもまた企図される。そのような媒体の選択および使用は、当業者らによく知られている。
本明細書において使用されるように、発現は、核酸がmRNAに転写され、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。核酸が、ゲノムDNAに由来する場合、発現は、適切な真核生物宿主細胞または真核生物宿主生物が選択される場合、mRNAのスプライシングなどのようなプロセシングを含むことができる。
本明細書において使用されるように、発現ベクターは、そのようなDNA断片の発現を達成することができる、プロモーター領域などのような調節配列と作動可能に連結されるDNAを発現することができるベクターを含む。そのようなさらなるセグメントは、プロモーター配列およびターミネーター配列を含むことができ、所望により、1つまたは複数の複製開始点、1つまたは複数の選択マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなどを含むことができる。発現ベクターは、プラスミドまたはウイルスDNAに一般に由来し、または両方の要素を含有し得る。したがって、発現ベクターは、適切な宿主細胞の中への導入に際してクローニングDNAの発現をもたらす、プラスミド、ファージ、組換えウイルス、または他のベクターなどのような組換えDNA構築物または組換えRNA構築物を指す。適切な発現ベクターは、当業者らによく知られており、真核細胞および/または原核細胞において複製可能なベクターならびにエピソームのままのベクターまたは宿主細胞ゲノム中に組み込むベクターを含む。
本明細書において使用されるように、ベクターはまた、「ウイルスベクター」または「ウイルス性ベクター」を含む。ウイルス性ベクターは、細胞の中に外因性遺伝子を移入する(媒体またはシャトルとして)ように外因性遺伝子に作動可能に連結される、操作されたウイルスである。
本明細書において使用されるように、アデノウイルスは、ヒトにおいて結膜炎および上気道感染症を引き起こすDNA含有ウイルスのグループのいずれかを指す。
本明細書において使用されるように、裸のDNAは、ワクチンおよび遺伝子治療に使用することができるヒストンなしのDNAを指す。裸のDNAは、形質転換またはトランスフェクションと呼ばれる遺伝子移入プロセスの間に細胞から細胞に移される遺伝物質である。形質転換またはトランスフェクションにおいて、レシピエント細胞によって取り込まれる精製DNAまたは裸のDNAは、レシピエント細胞に、新しい特徴または表現型を与えるであろう。
本明細書において使用されるように、作動可能にまたは作動的に連結されたは、DNAセグメントを指す場合、セグメントが、意図される目的に一致して機能するように、たとえば、転写がプロモーターにおいて開始し、コードセグメントを通ってターミネーターに進むように配置されることを意味する。
本明細書において使用されるように、タンパク質の活性または遺伝子もしくは核酸の発現を調整する作用物質(agent)は、タンパク質の活性を減少させるもしくは増加させるまたはその他の形で変化させ、またはいくつかの様式において、細胞における核酸の発現をアップレギュレートしもしくはダウンレギュレートしまたはその他の形で変化させる。
本明細書において使用されるように、「キメラタンパク質」または「融合タンパク質」は、異なるポリペプチドに作動可能に連結されたポリペプチドを指す。本明細書において提供されるキメラタンパク質または融合タンパク質は、1つもしくは複数のFVIIポリペプチドもしくはその部分および任意の1つもしくは複数の転写/翻訳制御シグナルについての1つもしくは複数の他のポリペプチド、シグナル配列、局在化のためのタグ、精製のためのタグ、免疫グロブリンGのドメインの一部、ならびに/または標的作用物質を含むことができる。キメラFVIIポリペプチドはまた、他のポリペプチドと交換されるポリペプチドのそれらの内因性ドメインまたは内因性領域を有するものをも含む。これらのキメラタンパク質または融合タンパク質は、融合タンパク質として組換え手段によって産生されるもの、たとえばスルフヒドリル基へのカップリングを通した化学的カップリングなどのように、化学的手段によって産生されるもの、任意の他の方法によって産生されるものを含み、少なくとも1つのポリペプチド(つまりFVII)またはその部分は、他のポリペプチドに、リンカー(1つまたは複数)を介して、直接的または間接的に連結される。
本明細書において使用されるように、作動可能に連結されたは、融合タンパク質を指す場合、インフレームで互いに融合されるプロテアーゼポリペプチドおよび非プロテアーゼポリペプチドを指す。非プロテアーゼポリペプチドは、プロテアーゼポリペプチドのN−末端またはC−末端に融合することができる。
本明細書において使用されるように、標的作用物質(targeting agent)は、細胞表面受容体などのような細胞表面分子への特異的な結合を提供する、タンパク質またはその有効な部分などのような任意の部分であり、受容体は、いくつかの場合において、結合したコンジュゲートまたはその部分を内部移行することができる。標的作用物質はまた、たとえば、コンジュゲートのアフィニティー単離または精製、表面へのコンジュゲートの付加、またはコンジュゲートもしくはコンジュゲートを含有する複合体の検出を促進するもしくは容易にする作用物質とすることもできる。
本明細書において使用されるように、分子の誘導体または類似体は、分子から誘導される部分または分子の改変バーションを指す。
本明細書において使用されるように、「疾患または障害」は、感染症、後天性状態、遺伝的状態を含むが、これらに限定されない原因または状態に起因し、同定可能な症状によって特徴づけられる、生物における病的状態を指す。本明細書において対象とする疾患および障害は、凝固タンパク質によって媒介されるものおよび凝固タンパク質が病因または病状において役割を果たすものを含む、凝固を伴うものを含む。疾患および障害はまた、血友病におけるような、タンパク質の欠如によって引き起こされるものを含み、本明細書において特に対象とするのは、凝固タンパク質における欠損の欠乏症により凝固が生じないそれらの障害である。
本明細書において使用されるように、「凝血促進薬」は、血液凝固を促進する任意の物質を指す。
本明細書において使用されるように、「抗凝固薬」は、血液凝固を阻害する任意の物質を指す。
本明細書において使用されるように、「血友病」は、血液凝血因子における欠乏症によって引き起こされる出血障害を指す。血友病は、たとえば、凝血因子の欠如、低下した発現、または低下した機能の結果となり得る。最も一般的な型の血友病は、血友病Aであり、これは、第VIII因子における欠乏症に起因する。第2の一般的な型の血友病は、血友病Bであり、これは、第IX因子における欠乏症に起因する。FXI欠乏症と呼ばれる血友病Cは、より軽度な、それほど一般的でない形態の血友病である。
本明細書において使用されるように、「先天性血友病」は、遺伝する血友病の型を指す。先天性血友病は、凝血因子遺伝子の突然変異、欠失、挿入、または他の改変に起因し、凝血因子の産生は、欠如しているか、低下しているか、または機能しない。たとえば、第VIII因子および第IX因子などのような凝血因子遺伝子における遺伝性の突然変異は、先天性血友病、血友病AおよびBをそれぞれもたらす。
本明細書において使用されるように、「後天性血友病」は、FVIIIを不活性化する自己抗体の産生に由来する、成人期において発症する血友病の型を指す。
本明細書において使用されるように、「出血障害」は、対象が、出血を制御する能力が減少している状態を指す。出血障害は、遺伝性または後天性であり得、また、たとえば、凝固経路における欠損もしくは欠乏症、血小板活性における欠損もしくは欠乏症、または血管の欠損に起因し得る。
本明細書において使用されるように、「後天性出血障害」は、肝臓疾患、ビタミンK欠乏症、またはクマジン(ワルファリン)もしくは他の抗凝固薬による療法などのような状態によって引き起こされる凝血欠乏症に起因する出血障害を指す。
本明細書において使用されるように、疾患または状態を有する対象を「処置する」は、本明細書において提供されるポリペプチド、組成物、または他の産物が、対象に投与されることを意味する。
本明細書において使用されるように、治療剤、治療レジメン、放射線防護剤、または化学治療は、ワクチンを含む従来の薬剤および薬剤療法を意味し、これらは、当業者らに知られている。放射線治療剤は、当技術分野においてよく知られている。
本明細書において使用されるように、処置は、状態、障害、または疾患の症状が回復するまたは有益に変わる任意の様式を意味する。したがって、処置は、予防法、療法、および/または治療法を包含する。処置はまた、本明細書における組成物の任意の、医薬としての使用をも包含する。処置はまた、本明細書において提供される改変FVIIおよび組成物の任意の、医薬としての使用をも包含する。
本明細書において使用されるように、医薬組成物または他の治療薬の投与などのような処置による特定の疾患または障害の症状の回復は、永久的なものまたは一時的なもの、永続的なものまたは一過性のものにかかわらず、組成物または治療薬の投与に起因し得るまたは関連し得る症状の任意の緩和を指す。
本明細書において使用されるように、予防または予防法は、疾患または状態を発症する危険性を低下させる方法を指す。予防法は、疾患もしくは状態を発症する危険性の低下および/または症状の悪化もしくは疾患の進行の予防または症状の悪化もしくは疾患の進行の危険性における低下を含む。
本明細書において使用されるように、特定の疾患を処置するための化合物または組成物の有効量は、疾患と関連する症状を回復させるまたはいくつかの様式では低下させるのに十分な量である。そのような量は、単回投与として投与することもでき、またはレジメンに従って投与することもでき、それによって有効となる。その量は、疾患を治癒することができるが、典型的には、疾患の症状を回復させるために投与される。典型的には、反復投与が、症状の所望の回復を達成するために必要とされる。
本明細書において使用されるように、「治療有効量」または「治療有効用量」は、治療上の効果をもたらすのに少なくとも十分な化合物を含有する作用物質、化合物、物質、または組成物を指す。有効量は、疾患または障害の症状を予防する、治癒する、回復させる、阻止する、または部分的に阻止するために必要な治療剤の含量である。
本明細書において使用されるように、処置されることとなる「患者」または「対象」は、ヒトまたは哺乳動物を含む非ヒト動物を含む。哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、ゴリラ、およびサルなどのような霊長動物;イヌ、ウマ、ネコ、ブタ、ヤギ、雌ウシなどのような家畜化された動物;ならびにマウス、ラット、ハムスター、およびアレチネズミなどのようなげっ歯動物を含む。
本明細書において使用されるように、組み合わせは、2つのアイテムの間のまたはそれ以上のアイテムの間の任意の関連を指す。関連は、空間的なものとすることもでき、または共通の目的のための2つもしくはそれ以上のアイテムの使用を指すこともできる。
本明細書において使用されるように、組成物は、2つ以上の産物または化合物(たとえば作用物質、修飾因子、調節因子など)の任意の混合物を指す。それは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性配合物もしくは非水性配合物、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。
本明細書において使用されるように、「製品」は、作製され、販売される産物である。本出願の全体にわたって使用されるように、この用語は、包装製品に含有される改変プロテアーゼポリペプチドおよび核酸を包含するように意図される。
本明細書において使用されるように、液は、流動することができる任意の組成物を指す。したがって、液は、半固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリーム、および他のそのような組成物の形態をしている組成物を包含する。
本明細書において使用されるように、「キット」は、包装された組み合わせを指し、所望により、組み合わせの要素を使用する方法を実施するための試薬ならびに他の産物および/または成分を含む。たとえば、本明細書において提供される改変プロテアーゼポリペプチドまたは核酸分子ならびに投与、診断、および生物学的活性または生物学的特性の評価を含むが、これらに限定されない目的のための他のアイテムを含有するキットが提供される。キットは、所望により、使用のための説明書を含む。
本明細書において使用されるように、抗体は、軽鎖および重鎖の可変領域から構成される、Fab断片などのような抗体断片を含む。
本明細書において使用されるように、受容体は、特定のリガンドに対する親和性を有する分子を指す。受容体は、天然に存在する分子または合成分子とすることができる。受容体はまた、当技術分野において抗リガンドと呼ぶこともできる。
本明細書において使用されるように、動物は、これらに限定されないが、ヒト、ゴリラ、およびサルを含む霊長動物;マウスおよびラットなどのようなげっ歯動物;ニワトリなどのような家禽;ヤギ、雌ウシ、シカ、ヒツジなどのような反芻動物;ブタなどのようなヒツジに近い動物、ならびに他の動物などのような任意の動物を含む。非ヒト動物は、企図される動物としてヒトを除外する。本明細書において提供されるプロテアーゼは、任意の源、動物、植物、原核生物、菌類に由来するものである。
本明細書において使用されるように、遺伝子治療は、そのような治療が求められる障害または状態を有する哺乳動物、特にヒトの標的細胞であるある種の細胞の中へのDNAなどのような異種核酸の移入を伴う。DNAなどの核酸は、直接的またはベクターもしくは他のデリバリー媒体においてなど、DNAなどの異種核酸が発現し、それによって、コードされる治療産物が産生される様式で、選択される標的細胞の中に導入される。その代わりに、DNAなどのような異種核酸は、いくつかの様式において、治療産物をコードするDNAの発現を媒介することができ、またはそれは、いくつかの様式において、直接的または間接的に治療産物の発現を媒介するペプチドまたはRNAなどのような産物をコードすることができる。遺伝的療法はまた、欠損遺伝子を交換するまたは核酸が導入される哺乳動物もしくは細胞によって産生される遺伝子産物を補充する遺伝子産物をコードする核酸を送達するために使用することもできる。導入された核酸は、哺乳動物宿主において通常産生されないまたは治療有効量でもしくは治療的に有用な時に産生されない、プロテアーゼまたは改変プロテアーゼなどのような治療化合物をコードすることができる。治療産物をコードする、DNAなどのような異種核酸は、産物またはその発現を増強するまたはその他の形で変化させるために、罹患した宿主の細胞の中への導入の前に改変することができる。遺伝的療法はまた、遺伝子発現の阻害因子またはリプレッサーまたは他の修飾因子のデリバリーを伴い得る。
本明細書において使用されるように、異種核酸は、核酸が発現する細胞によってインビボにおいて通常産生されないまたは細胞によって産生されるが、異なる座位にあるもしくは異なって発現するまたは転写、翻訳、もしくは他の調節可能な生化学的プロセスに影響を及ぼすことによって、DNAなどのような内因性核酸の発現を変化させる媒介物を媒介するもしくはコードする核酸である。異種核酸は、一般に、核酸が導入される細胞にとって内因性ではないが、他の細胞から得られたまたは合成的に調製されたものである。異種核酸は、内因性のものとすることができるが、異なる座位から発現するまたはその発現が変化した核酸である。一般に、必ずではないが、そのような核酸は、細胞によってまたは核酸が発現する細胞と同じ方法で通常産生されないRNAおよびタンパク質をコードする。DNAなどのような異種核酸はまた、DNAなどのような外来性核酸と呼ぶこともできる。したがって、異種核酸または外来性核酸は、DNAなどのような核酸分子対応物がゲノムにおいて見つけられるように、全く同じ配向または位置に存在しない核酸分子を含む。それはまた、他の生物または種に由来する核酸分子を指すこともできる(つまり外因性)。
核酸が発現される細胞に対して異種または外来性であるとして当業者は認識するまたは考えるであろう、DNAなどのような任意の核酸は、本明細書において異種核酸によって包含され、異種核酸は、内因的にも発現する、外因的に追加される核酸を含む。異種核酸の例は、薬剤抵抗性を付与するタンパク質などのような追跡可能なマーカータンパク質をコードする核酸、抗癌剤、酵素、およびホルモンなどのような治療的に有効な物質をコードする核酸、ならびに抗体などのような他の種類のタンパク質をコードする、DNAなどのような核酸を含むが、これらに限定されない。異種核酸によってコードされる抗体は、異種核酸が導入された細胞の表面上に分泌され得るまたは発現され得る。
本明細書において使用されるように、遺伝子治療のための治療的に有効な産物は、異種核酸、典型的にDNAによってコードされ、宿主の中への核酸の導入に際して発現され、遺伝性疾患もしくは後天性疾患の症状、徴候を回復させる、もしくは排除する、または疾患を治癒する産物である。RNAiおよびアンチセンスなどのような生物学的活性核酸分子もまた含まれる。
本明細書において使用されるように、ポリペプチドが、アミノ酸の記載される配列から「本質的に成る」という説明は、完全長ポリペプチドの記載される部分またはその断片のみが存在することを意味する。ポリペプチドは、他の源からのさらなるアミノ酸を所望により含むことができ、一般にそれらを含み、または他のポリペプチドの中に挿入することができる。
本明細書において使用されるように、単数形「1つの(a)」「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が他に特に明らかに規定しない限り、複数の指示物を含む。したがって、たとえば、「細胞外ドメイン」を含む化合物への言及は、1つまたは複数の細胞外ドメインを有する化合物を含む。
本明細書において使用されるように、範囲および量は、「約」特定の値または範囲として表現することができる。約はまた、まさにその量を含む。したがって、「約5塩基」は、「約5塩基」およびまた「5塩基」をも意味する。
本明細書において使用されるように、「所望による」または「所望により」は、引き続いて記載される事象または状況が、生じるまたは生じないこと、および説明が、前記の事象または状況が生じる場合およびそれが生じない場合を含むことを意味する。たとえば、所望により置換される基は、基が置換されないまたは置換されることを意味する。
本明細書において使用されるように、任意の保護基、アミノ酸、および他の化合物についての略語は、他に示されない限り、それらの共通の使用法、認識される略語、またはIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature((1972) Biochem. 11:1726を参照されたい)に従うものとする。
B. 止血概説
改変第VII因子(FVII)ポリペプチドが、本明細書において提供される。そのようなFVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性を有するように設計される。したがって、これらのポリペプチドは、たとえば、止血および他の関係する生物学的プロセスを調整するための治療薬として、様々な使用および適用を有する。本明細書において提供される改変およびそのような改変FVII分子の使用を十分に理解するために、止血系および血液凝固カスケードについての理解は、有利となる。以下の議論は、第VII因子およびその改変の議論に対する前置きとなるそのような背景を提供する。
止血は、血管系に対する傷害に起因する出血を止める生理学的メカニズムである。正常な止血は、細胞性構成成分および可溶性血漿タンパク質に依存し、凝血の形成に最終的に至る一連のシグナリング事象を伴う。傷害が血管に対して生じ、内皮細胞が損害を与えられた後に、凝固は、素速く開始される。凝固の一次フェーズにおいて、血小板は、活性化されて、傷害の部位で止血性の血栓を形成する。二次止血が続き、血漿凝固因子が伴い、これは、タンパク質分解カスケードにおいて作用し、血小板血栓を強化するフィブリン鎖の形成をもたらす。
血管傷害に際して、傷害を与えられた直後のエリアへの血流は、血管の収縮によって制限され、内皮下の結合組織上に新しく露出した線維状コラーゲンに血小板が粘着することを可能にする。この粘着は、フォンウィルブランド因子(vWF)に依存性であり、これは、傷害の3秒以内に内皮に結合し、それによって、血小板の粘着および凝集を容易にする。凝集した血小板の活性化は、ADP、ATP、トロンボキサン、およびセロトニンを含む様々な因子の分泌をもたらす。粘着分子、フィブリノーゲン、vWF、トロンボスポンジン、およびフィブロネクチンもまた、放出される。そのような分泌は、血小板のさらなる粘着および凝集、増加した血小板活性化および血管収縮、ならびに血液凝固酵素複合体のアセンブリーのためのプラットフォームとして働く、血小板表面上の陰イオン性リン脂質の露出を促進する。血小板は、形状を変化させ、仮足形成に至り、これは、他の血小板への凝集をさらに容易にし、緩い血小板血栓をもたらす。
ペプチダーゼの凝血カスケード(凝固カスケード)は、同時に開始される。凝固カスケードは、タンパク質分解による切断を伴う一連の活性化事象を含む。そのようなカスケードにおいて、セリンプロテアーゼの不活性タンパク質(チモーゲンとも呼ばれる)は、1つまたは複数のペプチド結合の切断によって活性プロテアーゼに変換され、次いで、これは、カスケードにおける次のチモーゲン分子のための活性化プロテアーゼとして働き、フィブリンの架橋によって血餅形成を最終的にもたらす。たとえば、カスケードは、トロンビンなどのような活性化分子(プロトロンビンの切断に由来する)を生成し、これは、血小板をさらに活性化し、また、フィブリノーゲンの切断に由来するフィブリンを生成する。次いで、フィブリンは、血餅を安定化するために血小板血栓のまわりに架橋ポリマーを形成する。傷害の修復に際して、フィブリンは、線溶系によって消化され、この主要な構成成分は、プラスミノーゲンおよび組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)である。これらのタンパク質の両方は、重合フィブリンの中に組み込まれ、それらは、相互作用して、プラスミンを生成し、これは、順番に、フィブリンに作用して、あらかじめ形成された血餅を溶解する。血餅形成の間に、凝固因子阻害因子はまた、傷害部位を除く血餅形成を予防するために血液中を循環する。
傷害から血餅形成およびそれに続く線溶までの系の相互作用は、下記に記載される。
1. 血小板の粘着および凝集
血液の凝血は、正常な条件下で能動的に回避される。血管内皮は、血管拡張を支持し、血小板の粘着および活性化を阻害し、凝固を抑制し、フィブリン切断を増強し、かつ抗炎症性の特徴をしている。血管内皮細胞は、亜酸化窒素(NO)およびプロスタサイクリンなどのような分子を分泌し、これは、血小板の凝集を阻害し、血管を拡張する。これらの分子の放出は、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)およびcGMP依存性プロテインキナーゼI(cGKI)を活性化し、環状グアノシン一リン酸(cGMP)レベルを増加させ、これは、血管壁における平滑筋の弛緩を引き起こす。さらに、内皮細胞は、CD39などのような細胞表面ADPアーゼを発現し、これは、血小板から放出されたADPをアデニンヌクレオチド血小板阻害因子に変換することによって、血小板の活性化および凝集を制御する。内皮はまた、線溶カスケードにおける酵素の調節において重要な役割を果たす。内皮細胞は、プラスミノーゲン(アネキシンII)およびウロキナーゼの受容体の発現ならびに組織型プラスミノーゲン活性化因子およびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子の分泌を通してプラスミンの生成を直接的に促進し、これらのすべては、血餅クリアランスを促進する。血栓形成促進性の調節の最終層において、内皮細胞は、ヘパラン硫酸を産生することによって、凝固カスケードを阻害する際に能動的な役割を果たし、これは、トロンビンおよび他の凝固因子のアンチトロンビンIII阻害の反応速度を増加させる。
しかしながら、急性血管外傷下で、血管収縮性のメカニズムが、優勢であり、内皮は、自然に、血栓形成促進性、凝固促進性(procoagulatory)、および炎症促進性になる。これは、内皮拡張剤:アデノシン、NO、およびプロスタサイクリンの低下;ならびにそれらの収縮を誘発するための、血管平滑筋細胞に対する、ADP、セロトニン、およびトロンボキサンの直接的な作用によって達成される(Becker, Heindl et al.. 2000)。止血性の血栓の形成に至る内皮の機能における変化に対する主なトリガーは、血液および細胞外マトリックス(ECM)構成成分の間の内皮細胞壁の損失である(Ruggeri (2002) Nat Med 8:1227-1234)。循環する血小板は、内皮の病変のエリアを同定し、識別し、露出した内皮下層に接着する。様々な血栓形成性の基質および局所的に生成されたアゴニストまたは放出されたアゴニストとのそれらの相互作用は、血小板活性化をもたらす。このプロセスは、2つのステージ、1)粘着:表面への初期の連結、および2)凝集:血小板−血小板接着を有するとして記載されている(Savage et al. (2001) Curr Opin Hematol 8:270-276)。
血小板粘着は、循環する血小板が、細胞表面上のコラーゲン結合タンパク質との相互作用を通しておよびこれもまた内皮上に存在するvWFとの相互作用を通して、露出したコラーゲンに結合する場合、開始される。vWFタンパク質は、内皮によって2つの方向に;基底面に(basolaterally)および血流の中に分泌される可変サイズの多量体構造である。vWFはまた、第VIII因子に結合し、これは、第VIII因子の安定化および血行路におけるその生存において重要である。
血小板粘着およびそれに続く活性化は、vWFが、GPIb(血小板糖タンパク質受容体複合体GPIb−IX−Vの一部)にそのA1ドメインを介して結合する場合、達成される。vWFおよびGPIbの間の相互作用は、ずり応力における増加が、GPIbに対するvWFの親和性の対応する増加をもたらすように、剪断力によって調節される。白血球上のVLA−2としても知られているインテグリンα1β2は、血小板上の主要なコラーゲン受容体であり、この受容体を通した結合は、血小板活性化に寄与する細胞内シグナルを生成する。α1β2を通した結合は、低親和性コラーゲン受容体、GP VIの結合を容易にする。これは、免疫グロブリンスーパーファミリーの一部であり、血小板活性化のための最も強力な細胞内シグナルを生成する受容体である。血小板活性化は、アデノシン二リン酸(ADP)の放出をもたらし、これは、トロンボキサンA2に変換される。
血小板活性化はまた、血小板インテグリンαIIbβとしても知られている血小板糖タンパク質IIb〜IIIa(GP IIb〜IIIa)受容体の表面の発現をもたらす。GP IIb−IIIa受容体は、これらの受容体を通して血小板に連結するフィブリノーゲン分子により互いの血小板の粘着(つまり凝集)を可能にする。これは、傷害の部位での血小板血栓の形成をもたらして、さらなる失血を予防するのを助けるが、損害を与えられた血管組織は、凝固カスケードおよび血小板血栓のまわりでの安定化フィブリン網の形成を開始する因子を放出する。
2. 凝固カスケード
凝固経路は、それぞれの酵素が、チモーゲンまたは不活性形態として血漿中に存在する、タンパク質分解経路である。チモーゲンの切断は、前駆体分子から活性形態を放出するために調節される。糖タンパク質FVIIIおよびFVなどのような活性化プロテアーゼの補因子もまた、カスケード反応において活性化され、血餅形成において役割を果たす。経路は、活性化プロセスを制御する、一連のポジティブフィードバックループおよびネガティブフィードバックループとして機能し、最終目標は、トロンビンを産生することであり、次いで、これは、可溶性フィブリノーゲンをフィブリンに変換して、血餅を形成することができる。凝固における因子は、典型的には、ローマ数字の番号が与えられ、小文字「a」は、活性化形態を示すために追加される。下記の表3は、凝固カスケードにおけるそれらの一般名およびそれらの役割を含む、因子の例示的なリストを記載する。一般に、これらのタンパク質は、1つまたは複数の、凝固の内在性経路、外因性経路、共通経路を通して、血液凝固に関与する(図1を参照されたい)。下記に議論されるように、これらの経路は、相互に連絡し、血液凝固は、凝固の主要な開始因子である第VII因子(FVII)と共に、活性化の細胞ベースのモデルを通して生じると考えられる。
Figure 0005659312
トロンビンの生成は、歴史的に、3つの経路、活性化第X因子(FXa)の生成のための代替経路を提供する内在性経路(経路のすべての構成成分が、血漿に対して内在性であることを示唆する)および外因性経路(経路の1つまたは複数の構成成分が、血漿に対して外因性であることを示唆する)ならびにトロンビン形成をもたらす最終共通経路に分けられてきた(図1)。これらの経路は、凝固を達成するために、相互に連絡した、相互依存性のプロセスに共に関与する。これらの経路を記載する凝固の細胞ベースのモデルが、作られた(図2)(Hoffman et al. (2001) Thromb Haemost 85:958-965)。このモデルにおいて、「外因性」経路および「内在性」経路は、それぞれ、異なる細胞表面、組織因子(TF)を有する細胞および血小板上で達成される。凝固のプロセスは、異なるフェーズ、開始、増幅、および伝播に分類され、この間に、外因性経路および内在性経路は、様々なステージで機能して、血餅形成のための、十分な量のフィブリノーゲンをフィブリンに変換するために必要とされるトロンビンの大量の著しい増加をもたらす。
a. 開始
FVIIは、凝固カスケードの開始を担う凝固因子であると考えられ、この開始は、TFとのその相互作用に依存性である。TFは、平滑筋細胞、線維芽細胞、単球、リンパ球、顆粒球、血小板、および内皮細胞などのような様々な細胞によって発現される膜貫通糖タンパク質である。骨髄性細胞および内皮細胞は、それらが、炎症促進性サイトカインなどによって刺激される場合のみ、TFを発現する。しかしながら、平滑筋細胞および線維芽細胞は、TFを恒常的に発現する。したがって、一度、これらの細胞が、組織傷害の後の血流に接すると、凝固カスケードは、血漿中の第VII因子またはFVIIaとのTFの結合によって速やかに開始される。
下記に議論されるように、血液中の大多数のFVIIは、チモーゲン形態をしており、少量、約1%は、FVIIaとして存在する。しかしながら、TF結合の非存在下において、FVIIaさえ、チモーゲン様の特徴を有し、それがTFと複合体を形成するまで、有意な活性を示さない。したがって、血漿FVIIは、完全な活性のために、タンパク質分解による切断による活性化およびTFとの相互作用を通したさらなるコンホメーションの変化を必要とする。第IXa因子、第Xa因子、第XIIa因子、およびトロンビンを含む一連のプロテアーゼは、インビトロにおいて、TFの存在下において加速されるプロセスであるFVIIの切断ができることが示された。FVIIaもまた、それ自体、TFの存在下において、FVIIを活性化することができ、これは、自己活性化と呼ばれるプロセスである。血液中の少量のFVIIaは、おそらく、FXaおよび/またはFIXaによる活性化によるものである(Wildgoose et al. (1992) Blood 80:25-28およびButenas et al. (1996) Biochemistry 35:1904-1910)。TF/FVIIa複合体は、したがって、FVIIaのTFへの直接的な結合によってまたはFVIIのTFへの結合および次いで、FXa、FIXa、FXIIa、もしくはFVIIaそれ自体などのような血漿プロテアーゼによるFVIIのFVIIaへの続く活性化によって形成することができる。TF/FVIIa複合体は、TFを有する細胞に固定されたままであり、それは、少量のFXをFXaに活性化し、これは、凝固の「外因性経路」として知られている。
TF/FVIIa複合体はまた、少量のFIXをFIXaに切断する。FXaは、その補因子FVaと結合して、これもまた、TFを有する細胞上で、プロトロンビンをトロンビンに次いで変換することができる複合体を形成する。しかしながら、産生された少量のトロンビンは、完全な凝血に必要とされるフィブリン形成を支持するのに不十分である。さらに、あらゆる活性FXaおよび活性FIXaは、アンチトロンビンIII(AT−III)および他のセルピンによって血行路において阻害され、これについては、下記により詳細に議論する。これは、通常、血行路において血餅形成を予防するであろう。しかしながら、傷害の存在下において、血管系への損害は、血小板凝集およびトロンビン形成のこの部位での活性化をもたらし、それによって、凝固シグナルの増幅を可能にする。
b. 増幅
増幅は、トロンビンが血小板に結合し、活性化する場合、起こる。活性化血小板は、それらのアルファ顆粒からFVを放出し、これは、トロンビンによって活性化されて、FVaになる。トロンビンはまた、血小板膜上でFVIII/vWF複合体からFVIIIを放出し、活性化し、FXIを切断して、FXIaにする。これらの反応は、それらの表面上で、FVa、FVIIIa、およびFIXaを有する活性化血小板を生成し、これは、伝播ステージの間のトロンビン生成の大量の著しい増加のためのステージを準備するものである。
c. 伝播
凝固の伝播は、傷害の部位の多くの血小板の表面で生じる。上記に記載されるように、活性化血小板は、それらの表面上に、FXIa、FVIIIa、およびFVaを有する。外因性経路が達成されるのは、ここにおいてである。FXIaは、FIXを活性化して、FIXaにし、これは、次いで、FVIIIaと結合することができる。このプロセスは、TFを有する細胞上のTF/FVIIa複合体によるFIXの切断によって生成される少量のFIXaに加えて、順番に有意な量のFXを活性化して、FXaにすることができる、多くのFXIa/FVIIIa複合体を生成する。FXa分子は、FVaに結合して、プロトロンビンを活性化してトロンビンにするプロトロンビナーゼ複合体を生成する。トロンビンは、より多くの血小板を活性化するためにポジティブフィードバックループにおいて作用し、増幅フェーズについて記載されるプロセスを再度開始する。
直後に、フィブリノーゲンから十分な量のフィブリンを生成して、止血性のフィブリン血餅を形成するのに十分に多い、著しく増加したトロンビンを生成するための、適切な複合体を有する、十分な数の活性化血小板がある。フィブリノーゲンは、トロンビンによって切断された場合、フィブリノペプチドAおよびフィブリノペプチドBを放出する、血漿において可溶性の二量体である。次いで、フィブリノペプチドBは、トロンビンによって切断され、この第2のタンパク質分解による切断によって自発的に形成されたフィブリン単量体は、不溶性ゲルを形成する。重合したフィブリンは、非共有結合性の力および静電力によって共に保持され、トロンビンによるFXIIIの切断によって産生されるトランスアミド化(transamidating)酵素因子XIIIa(FXIIIa)によって安定化される。トロンビンはまた、TAFIをも活性化し、これは、血餅表面でプラスミン生成を低下させることによって線溶を阻害する。さらに、トロンビンは、それ自体、さらなる安定化のために血餅の構造の中に組み込まれる。これらの不溶性フィブリン凝集体(血餅)は、凝集した血小板(血栓)と共に、損害を与えられた血管をブロックし、さらなる出血を予防する。
3. 凝固の調節
凝固の間、カスケードは、さらなる血餅形成を阻害するために、恒常的な刺激プロセスによって調節される。そのような調節メカニズムにはいくつかの理由がある。第一に、調節は、フィブリン血餅形成による組織の虚血を制限するために必要とされる。第二に、調節は、組織傷害の部位にのみ血餅形成を局在化することによって、広範囲の血栓症を予防する。
調節は、いくつかの阻害分子の陽イオンによって達成される。たとえば、アンチトロンビンIII(AT−III)および組織因子経路阻害因子(TFPI)は、凝固カスケードにおける因子を阻害するために恒常的に働く。AT−IIIは、トロンビン、FIXa、およびFXaを阻害するのに対して、TFPIは、FXaおよびFVIIa/TF複合体を阻害する。血小板活性化を介して刺激されるさらなる因子、プロテインCは、FVaおよびFVIIIaのタンパク質分解による切断および不活性化によって凝固を調節する。プロテインSは、プロテインCの活性を増強する。さらに、凝固阻害に寄与する他の因子は、必須の膜タンパク質、トロンボモジュリンであり、これは、血管内皮細胞によって産生され、トロンビンのために受容体として働く。トロンビンのトロンボモジュリンへの結合は、トロンビン凝血促進活性を阻害し、またプロテインC活性化にも寄与する。
線溶、フィブリン血餅の崩壊もまた、凝固を調節するためのメカニズムを提供する。血餅における架橋フィブリン多量体は、セリンプロテアーゼであるプラスミンによって可溶性ポリペプチドに分解される。プラスミンは、その不活性前駆体プラスミノーゲンから生成することができ、2つの方法において:フィブリン血餅の表面の組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)との相互作用によって、および細胞表面のウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子(uPA)との相互作用によってフィブリン血餅の部位に動員される。第1のメカニズムは、血管内の血餅の溶解を担う主要なメカニズムであると思われる。第2のものは、血餅融解を媒介することができるが、組織リモデリング、細胞移動、および炎症において主要な役割を果たすことができる。
血餅融解もまた、2つの方法において調節される。第一に、効率的なプラスミン活性化および線溶は、血餅表面でまたは細胞膜上で形成される複合体においてのみ生じるが、血液中に遊離しているタンパク質は、非効率的な触媒であり、速やかに不活性化される。第二に、プラスミノーゲン活性化因子およびプラスミンは、プラスミノーゲン活性化因子に作用するプラスミノーゲン活性化因子阻害因子1型(PAI−1)およびPAI−2ならびにプラスミンを不活性化するα2−抗プラスミンおよびα2−マクログロブリンなどのような分子によって不活性化される。正常な状況下で、凝固と線溶の間の適時のバランスは、血管傷害の後の、血餅の効率的な形成および除去をもたらすが、望まれない血栓症エピソードまたは出血エピソードを同時に予防する。
例示的な凝固因子、補因子、および調節タンパク質の概説およびそれらの活性は、下記の表4において記載される。
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C. 第VII因子(FVII)
第VII因子は、肝臓において一本鎖チモーゲンとして、哺乳動物を含む動物において合成され、血流の中に分泌されるビタミンK依存性セリンプロテアーゼ糖タンパク質である。上記に記載されるように、FVIIは、トロンビン生成およびフィブリン沈着に至るタンパク質分解事象のカスケードの開始の担う凝固プロテアーゼである。その活性の下流の効果がまた内在性経路にも非常に影響を与えるが、それは、外因性経路の一部である。血餅形成におけるこの必須の役割は、臨床的な抗凝固薬および止血療法の標的としてのFVIIにおける著しい関心を引いた。たとえば、組換え活性化FVII(rFVIIa)は、血友病の対象および他の出血状態を有する対象における使用のための止血剤として開発されてきた。活性化に際して増加した凝固活性を有するように設計されるならびに第VII因子療法に適用可能な疾患および状態を処置するために改善された治療薬として働くことができる改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。
1. FVIIの構造および構成
ヒトFVII遺伝子(F7)は、13q34の染色体13上に位置し、12.8kb長であり、9つのエキソンを有する。FVII遺伝子は、プロトロンビン、第IX因子、第X因子、およびプロテインCなどのような他のビタミンK依存性タンパク質をコードする遺伝子と著しい構成上の類似性を共有する。FVIIについてのmRNAは、選択的スプライシングを受けて、2つの転写物:変異1(Genbank受入番号NM_000131、配列番号81において記載される)および変異2(Genbank受入番号NM_019616、配列番号82において記載される)を産生する。転写物変異体2は、肝臓においてより豊富な形態であり、エキソン1bを含まず、したがって、転写物変異体1によってコードされる466アミノ酸前駆体ポリペプチド(FVIIアイソフォームa前駆体;配列番号1)と比較して、444アミノ酸の、より短い前駆体ポリペプチドをコードする(FVIIアイソフォームb前駆体;配列番号2)。FVIIアイソフォームb前駆体ポリペプチドにおいて存在しないアミノ酸は、FVIIアイソフォームa前駆体のアミノ酸位置22〜43に対応する。これらのアミノ酸は、プロペプチド配列の一部であり、切断FVIIアイソフォームbプロペプチドをもたらす。前駆体ポリペプチドは、以下のセグメントおよびドメインから構成される:疎水性シグナルペプチド(配列番号1および2のアミノ酸1〜20)、プロペプチド(配列番号1のアミノ酸21〜60および配列番号2のアミノ酸21〜38)、Glaドメイン(配列番号2のアミノ酸39〜83および配列番号1のアミノ酸61〜105)、B型上皮成長因子ドメイン(EGF様1、配列番号2のアミノ酸84〜120および配列番号1のアミノ酸106〜142)、A型上皮成長因子ドメイン(EGF様2、配列番号2のアミノ酸125〜166;および配列番号1のアミノ酸147〜188)、ならびにセリンプロテアーゼドメイン(配列番号2のアミノ酸191〜430および配列番号1のアミノ酸213〜452)。
406アミノ酸のFVIIポリペプチドの成熟形態(配列番号3)は、シグナルペプチド配列およびプロペプチド配列を欠き、それが生じたアイソフォーム前駆体にかかわらず長さおよび配列が同一である。FVIIポリペプチドの成熟形態において、上記に言及されるドメインについての対応するアミノ酸位置は、以下のとおりである:Glaドメイン(配列番号3のアミノ酸1〜45)、EGF様1(配列番号3のアミノ酸46〜82)、EGF様2(配列番号3のアミノ酸87〜128)、およびセリンプロテアーゼドメイン(配列番号3のアミノ酸153〜392)。
FVIIのGlaドメインは、カルシウムイオンの存在下において、ホスファチジルセリンを含むリン脂質膜と相互作用する膜結合モチーフである。Glaドメインはまた、FVIIa補因子、組織因子(TF)への結合に際しても役割を果たす。TFと複合体を形成すると、FVIIaのGlaドメインは、7つのCa2+イオンで荷電され、細胞表面上のリン脂質との相互作用のために、細胞膜の方向に3つの疎水性側鎖を突き出し、TFのC−末端ドメインと著しく接触する。Glaドメインは、プロトロンビン、凝固第VII因子、凝固第IX因子、および凝固第X因子、プロテインC、プロテインS、およびプロテインZなどのようなビタミンK依存性タンパク質の中で保存されている。これらのタンパク質は、これらのタンパク質のN−末端Glaドメインにおいてクラスター形成されるアミノ酸であるγ−カルボキシグルタミン酸の翻訳後合成のためにビタミンKを必要とする。ドメイン中に存在するグルタミン酸残基はすべて、カルボキシル化が可能な部位であり、そのため、それらの多くは、カルボキシル化によって修飾される。
Glaドメインに加えて、成熟FVIIタンパク質はまた、2つのEGF様ドメインをも含有する。第一に、EGF様ドメイン(EGF様1またはEGF1)は、カルシウム結合EGFドメインであり、6つの保存コアシステインが、3つのジスルフィド架橋を形成する。FVIIのEGF1ドメインは、たった1つのCa2+イオンに結合するのみであるが、Glaドメインで観察されるものよりも有意に高度な親和性で結合する(Banner et al. (1996) Nature 380:41-46)。この結合したCa2+イオンは、FVIIのEGF1ドメインおよびTFの間で強い相互作用を促進する(Osterlund et al. (2000) Eur J Biochem 267:6204-6211)。第2のEGF様ドメイン(EGF様2またはEGF2)は、カルシウム結合ドメインではないが、これもまた、3つのジスルフィド架橋を形成する。FVIIにおける他のドメインのように、EGF2ドメインは、TFと相互作用する。それはまた、プロテアーゼドメインと共にジスルフィド結合され、それは、これと共に、大きな接触界面を共有する。
最終的に、FVIIのセリンプロテアーゼドメインは、FVIIaのタンパク質分解活性の担うドメインである。その触媒ドメインにおけるFVIIのアミノ酸の配列は、トリプシンおよびキモトリプシンなどのような他のセリンプロテアーゼと高度な配列同一性および三次構造類似性を示す(Jin et al.(2001) J Mol Biol, 307: 1503-1517)。たとえば、これらのセリンプロテアーゼは、キモトリプシンナンバリングに基づいて、共通の触媒3残基H57、D102、S195を共有する。しかしながら、他のセリンプロテアーゼと異なり、FVIIaの切断は、チモーゲンの完全に活性な酵素への変換を完了するのには十分ではない。その代わりとして、下記に議論されるように、FVIIaは、細胞表面受容体TFに結合することによって、その触媒機能がアロステリックに活性化され、これは、FVIIaプロテアーゼドメインにおけるコンホメーションの変化を誘発し、それを、チモーゲン様の不活性状態から触媒活性酵素に変換する。FVIIaの補因子結合部位および活性部位の間のヘリックスループ領域(つまり、キモトリプシンナンバリングに基づいて残基163から170iに対応するアミノ酸残基位置305〜321)は、FVIIaのアロステリーおよびチモーゲン性にとって重要である(Persson et al. (2004) Biochem J., 379: 497-503)。この領域は、ループが後続する短いαヘリックス(アミノ酸残基位置307〜312)から構成される。ヘリックスのN−末端部分は、プロテアーゼドメインおよびTFの間の界面の一部を形成し、タンパク質分解機能およびTFへの最適な結合にとって重要な多くの残基を含有する。FVIIaのみおよびTFと複合体を形成したFVIIaの結晶構造の比較は、FVIIaが、TFに結合した場合、αヘリックスが、著しいコンホメーションの変化を受けることを示す。FVIIaのみのαヘリックスは、歪み、縮まり、かつ異なって方向づけられているように思われる。これは、近接したループ構造に影響を及ぼし、それらを活性部位から移動させて、離れさせる。対照的に、TFと複合体を形成する場合のFVIIaのαヘリックスは、安定化され、近隣のループは、活性部位近くに位置する。この安定化は、FVIIのアミノ酸位置306(キモトリプシンナンバリングによるアミノ酸残基Met164)でメチオニンを少なくとも含むメカニズムを通して達成される(Pike et al. (1999) PNAS 8925-8930)。
2. 翻訳後修飾
FVII前駆体ポリペプチド(第VII因子遺伝子のいずれかアイソフォーム)は、疎水性シグナルペプチドによって細胞性分泌経路に向けられ、これは、小胞体(ER)の中に挿入して、膜を横切って移行を開始する。タンパク質が、ER膜を通して移行する間に、20アミノ酸シグナルペプチドは、ER内腔内でシグナルペプチターゼによって切断され、その後に、ポリペプチドは、N−グリコシル化およびO−グリコシル化、N−末端グルタミン酸の、γ−カルボキシグルタミン酸へのビタミンK依存性カルボキシル化、ならびにアスパラギン酸の、β−ヒドロキシアスパラギン酸へのヒドロキシル化を含む翻訳後修飾をさらに受ける。
プロペプチドは、FVIIプロペプチドにおける10残基の両親媒性α−ヘリックスを認識するビタミンK依存性カルボキシラーゼのための結合部位を提供する。結合の後に、カルボキシラーゼは、FVIIポリペプチドのGlaドメイン内の10グルタミン酸残基をγ−カルボキシル化し、配列番号2において記載されるFVII前駆体アミノ酸配列と比較して、位置E66、E67、E74、E76、E79、E80、E85、E86、E89、およびE95でγ−カルボキシグルタミル残基を産生する。これらの位置は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドの位置E6、E7、E14、E19、E20、E25、E26、E29、およびE35に対応する。最適な活性のために、FVII分子は、カルシウムを必要とし、これは、ポリペプチドに結合し、TFおよび脂質とのFVIIaの結合に必要なコンホメーションの変化を容易にする。γ−カルボキシル化Glaドメインは、7つのCa2+イオンに可変の親和性で結合し、これは、Glaドメインが、TFのC−末端ドメインとおよびまた血小板膜上のホスファチジルセリンまたは他の負電荷リン脂質とも相互作用することを可能にするコンホメーションの変化を誘発する。
N結合型グリコシル化は、成熟タンパク質(配列番号3)のアミノ酸残基145および322に対応する位置の、FVIIポリペプチドにおける2つのアスパラギン残基へのGlcMan(GlcNAc)の移入によって実行される。O結合型グリコシル化は、成熟ポリペプチドのアミノ酸残基52および60で生じ、β−ヒドロキシアスパラギン酸に対するヒドロキシル化は、位置63のアスパラギン酸残基で生じる。これらのO−グリコシル化セリン残基およびβ−ヒドロキシル化アスパラギン酸残基は、FVIIのEGF−1ドメインにある。これらの修飾は、その成熟形態へのポリペプチドの最終プロセシングの前に、ERおよびゴルジ複合体において達成される。
3. FVIIプロセシング
改変プロFVIIポリペプチドは、ゴルジ内腔を通して、プロペプチドが、細胞からのタンパク質の分泌直前にプロペプチダーゼによって切断されるトランスゴルジコンパートメントに運搬される。PACE/フューリン(PACEは、対になった塩基性アミノ酸切断酵素(Paired basic Amino acid Cleaving Enzyme)の頭字語である)は、配列モチーフArg−[任意の残基]−(LysまたはArg)−Argのカルボキシ末端側で多くのタンパク質を切断する、ゴルジ膜に局在化しているエンドペプチダーゼである。このプロペプチダーゼは、プロ第IX因子およびプロvWFポリペプチドなどのようなビタミンK依存性糖タンパク質を切断し(Himmelspach et al. (2000) Thromb Research 97; 51-67)、成熟タンパク質からプロペプチドを放出する。組換え第VII因子前駆体の中への適切なPACE/フューリン認識部位の包含は、組換えポリペプチドの正確なプロセシングおよび分泌を容易にする(Margaritas et al. (2004) Clin Invest 113(7): 1025-1031)。PACE/フューリンまたは他のスブチリシン様プロペプチダーゼ酵素は、おそらく、プロFVIIの、FVIIへのタンパク質分解プロセシングを担う。それは、配列番号1において記載される配列のアミノ酸位置35〜38および配列番号2において記載される配列の位置57〜60の−Arg−Arg−Arg−Arg−コンセンサスモチーフを認識し、結合し、プロペプチドを切断し、分泌のために成熟タンパク質を放出することができる。
4. FVII活性化
血液中のFVIIの大部分は、少量が、二本鎖活性化形態をしているが、活性化されていない一本鎖チモーゲンの形態をしている。FVIIの活性化は、Arg152−Ile153結合のタンパク質分解による切断に際して生じ(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドと比較した位置)、254アミノ酸重鎖(約30kDa)に対して、ジスルフィドブリッジによって連結される152アミノ酸軽鎖(約20kDa)を含有する二本鎖ポリペプチドを生じる。FVIIaの軽鎖は、GlaドメインおよびEGF様ドメインを含有するが、重鎖は、分子の触媒部分またはセリンプロテアーゼ部分を含有する。一本鎖FVIIの、二本鎖FVIIaへの変換は、FIXa、FXa、FXIIa、トロンビンによる切断によってまたは内因性FVIIaによる自己触媒様式において媒介される(Butenas et al. (1996) Biochem 35:1904-1910;Nakagaki et al. (1991) Biochem 30:10819-10824)。血行路において生じる微量のFVIIaは、おそらく、FXaおよびFIXaの作用から生じる。
上記に議論されるように、そのチモーゲン形態からFVIIaへのFVIIの切断は、完全な活性に十分ではない。FVIIaは、完全な活性のためにTFとの結合を必要とする(Higashi et al. (1996) J Biol Chem 271:26569-26574)。この必要性のために、FVIIaのみでは、チモーゲンの折り畳みおよび形状を示し、比較的低い活性を示すチモーゲン様の特徴に属するものとみなされる。TFとのその結合の非存在におけるFVIIaのこのチモーゲン様の特徴は、FVIIaを、アンチトロンビンIII(AT−III)および他のセルピンに対して比較的抵抗性にし、これらは、一般に、チモーゲン形態ではなく、主にセリンプロテアーゼの活性形態に対して作用する。さらに、TF/FVIIa活性の主要な阻害因子であるTFPIもまた、FVIIaの「不活性」な、複合体を形成していない形態に対して効率的に結合しない。
TFとの複合体形成に際して、FVIIaは、分子の完全な活性を可能にするコンホメーションの変化を受ける。FVIIドメインはすべて、TFとの相互作用に関与するが、生じるコンホメーションの変化は、FVIIaのプロテアーゼドメインに局在化している。たとえば、FVIIaおよびTFのアロステリック相互作用に際して生じるコンホメーションの変化は、広域高分子基質結合エキソサイトの生成を含む。この広域結合部位は、第X因子のFVII媒介性タンパク質分解活性化を非常に増強する。
FVIIaの活性は、FVIIaの相互作用が細胞表面に発現されたTFとのものである場合、さらに増加する(つまり1000倍)。これは、ホスファチジルセリンなどのような負電荷リン脂質を含有するリン脂質膜が、Glaドメインを介して結合するFIXおよびFXなどのような他のビタミンK依存性凝固因子の相互作用の部位であるからである。したがって、これらのビタミンK依存性タンパク質の局所的濃度は、TF/FVIIa複合体とのそれらの相互作用を促進する細胞表面で高度である。
5. FVII機能
FVIIaは、TFによるアロステリック活性化の後に、増加した活性を示すが、FVIIaが単独で凝固を開始することができるメカニズムが存在するという証拠がある。したがって、FVIIは、TF依存性の様式およびTF非依存性の様式において機能することができる。この後者の経路は、その有意性が、それが、出血障害およびその処置との関連において考えられる場合、増加するかもしれないが、正常な止血においてはるかに小さな役割を果たし得る。
a. 組織因子依存性FVIIa活性
循環FVIIは、上記に記載されるように、細胞表面TFに結合し、FIXa、FXa、トロンビンによってまたは内因性FVIIaによる自己触媒様式において活性化される。代わりに、非常に少量の循環FVIIaは、TFに直接的に結合することができる。次いで、TF/FVIIa複合体は、血漿FXのごく一部分に結合し、FVIIa触媒ドメインは、FXを切断して、FXaを産生する。トロンビンは、したがって、FXaがFVaと複合体を形成し、プロトロンビンを活性化して、トロンビンにする場合、TFを有する細胞の表面上で外因性経路を介して形成される(図3)。FIXもまた、TF/FVIIa複合体によって活性化され、活性化血小板の表面上で作動する内在性経路への連結を提供する。上記に記載される凝固カスケードにおけるポジティブフィードバック系は、フィブリノーゲンを切断して、フィブリンにし、血餅を形成する大量のトロンビンが産生される手段を提供する。
b. 組織因子非依存性FVIIa活性
FXのFXaへの活性化のためのTF依存性メカニズムに加えて、FVIIaがまた、TFの非存在下においてFXを活性化することもできるという証拠がある。活性化血小板は、外側の血漿に向く表面に、ホスファチジルセリンおよび他の負電荷リン脂質を移行する。(Hemker et al. (1983) Blood Cells 9:303-317)。TFへのFVIIaの結合親和性の1000分の1未満である比較的低い親和性とはいえ、これらは、FVIIaが結合することができる代替「受容体」を提供する(Monroe et al. (1997) Br J Haematol 99:542-7)。この相互作用は、Glaドメインにおける残基を通して媒介される(Harvey et al. (2003) 278:8363-8369)。次いで、FVIIaは、活性化血小板表面上で、FXをFXaに変換し、FIXをFIXaに変換することができる(Hoffman et al. (1998) Blood Coagul Fibrinolysis 9:S61-S65)。FXaは、血小板表面と結合したままであり、ここで、それは、FVaに結合することができ、プロトロンビンから十分なトロンビンを生成するが、新しく形成されたFIXaがFVIIIaと組み合わさって、より多くのFXのFXaへの活性化を触媒する(図3)。TFの非存在下における止血は、次いで、上記に記載されるように、ポジティブフィードバックおよび伝播メカニズムによって達成される。しかしながら、FVIIIaは、活性化血小板上で凝固プロセスに寄与することができるが、その存在は、TF非依存性のメカニズムにおけるトロンビン生成に必要とされないことは注目すべきである(図3)。したがって、血友病患者においてなどのようにFVIIIの非存在下において、FVIIaが、この二次的メカニズムを通してトロンビン生成を開始および/または増幅させることができ、また血餅形成を達成することができるという証拠がある。
6. 生物製剤としてのFVII
FVIIは、血液凝固を開始するように機能する。組換えFVIIa(NovoSeven(登録商標);rFVIIa)は、第VIII因子または第IX因子に対する阻害因子を有する血友病Aまたは血友病Bを有する患者および先天性第VII因子欠乏症を有する患者における手術または侵襲性手技における出血エピソードの処置または出血の予防について承認されている。Novoseven(登録商標)は、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞を使用して、哺乳動物発現系において産生される第VIIa因子の遺伝子的に操作された調製物である。この作用物質は、その構造および機能において、血漿由来第VIIa因子にほとんど同一である(Ratko et al. (2004), P & T, 29: 712-720)。
組換えFVIIa(rFVIIa)の投与は、血友病に罹患している患者において血液凝血を促進することが示され、FVIIaの用量を用いる処置は、ヒト対象において安全であり、かつ十分に許容的であることが分かった。典型的には、rFVIIaの使用は、第VIII因子または第IX因子に対して阻害因子(つまり同種抗体)を作った患者におけるものとした。凝固薬としてのrFVIIaの使用は、他の出血障害、たとえばグランツマン血小板無力症;肝臓移植、前立腺手術、および大量出血の外傷を含むが、これらに限定されない、外傷または手術の結果などのような広範囲の出血と関連する他の事象;新生児凝固障害、重症の肝疾患;骨髄移植、血小板減少症、および血小板機能障害;経口抗凝固の緊急の逆転;第V因子、第VII因子、第X因子、および第XI因子の先天性欠乏症;ならびにフォンウィルブランド因子に対する阻害因子を有するフォンウィルブランド病の処置まで拡張された。
高用量のrFVIIが、治療効果を達成するために必要とされる。rFVII投与に必要とされる用量および投薬計画は、臨床的指標に依存して変わる。たとえば、同種抗体を有する血友病Aまたは血友病Bを有する患者における出血エピソードに対するrFVIIの典型的な投薬量は、90μg/kgであり、静脈内(IV)注射によって投与される。rFVIIが2時間の半減期を有するので、反復投薬が必要とされる。止血が達成されるまで、さらなる投薬は、2時間ごとに与えられ得る。用量範囲は、状態の重症度に依存して変更することができる。たとえば、35〜120μg/kgに及ぶ用量は、効果的であった。また、用量および投薬計画は、他の指標に応じて変わり得る。たとえば、手術を受ける血友病Aまたは血友病Bの患者は、手術直前に90μg/kgの初回用量を投与することができ、反復投薬は、手術の間におよび手術の後に2時間ごとに与えられる。手術および出血エピソードの重症度に依存して、ボーラスIV注入は、治癒が達成されるまで、2〜6時間ごとに継続することができる。先天性FVII欠損患者において、rFVIIは、止血が達成されるまで、4〜6時間ごとに、15〜30μg/kgで、手術または他の侵襲性手技における出血を予防するために典型的に投与される。
止血を開始するためのrFVIIaの作用のメカニズムは、高用量の必要量について説明する。血友病患者は、凝固の正常な開始フェーズを有し、ここで、TF/FVIIa複合体は、FXを活性化してFXaにし、TFを有する細胞の部位でのトロンビン産生に至る。その後、しかしながら、血友病患者がFVIII(血友病A)またはFIX(血友病B)を欠くので、凝固プロセスは、抑圧され、そのため、活性化血小板の表面上でFVIIIa/FIXa複合体を形成することができず、これは、先に記載されるように、通常、増幅および伝播のフェーズにおいて、大量のFXを活性化してFXaにするために働く。TFPIおよびAT−IIIなどのような阻害因子の存在により、TF/FVIIaによる切断の後にTFを有する細胞上で産生されるFXaは、細胞表面の間に容易に拡散することができない。その結果として、活性化血小板の表面上の大規模トロンビン生成は、生じず、血餅は、形成されない。
高用量のrFVIIaの止血効果は、TF依存性の生成および/または活性化血小板上でのrFVIIaによるFXaのTF非依存性の生成を使用して達成することができるという証拠がある(図3)。TF依存性のトロンビン生成は、内因性FVIIaおよびrFVIIaを用いるTF分子の飽和と共に非常に素速く最大限にすることができる。いくつかの場合において、高用量rFVIIaは、活性化血小板に結合し、FXをFXaに変換することができる。表面結合FXaは、止血に十分なトロンビンを生成するためにFVaを活性化する。rFVIIが、低親和性で血小板表面に結合するので、より高用量のrFVIIが、トロンビン生成のために必要とされ得る。活性化血小板上のFXaの活性化は、rFVIIa媒介性の止血が傷害の部位に局在化されることを保証する。
rFVIIの低下した投薬量を達成するための手段は、薬剤としてその有用性および効率を改善することができる。改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。これらの中で、TFの存在下および/または非存在下において、AT−IIIに対して増加した抵抗性および増加した触媒活性を示す改変FVIIポリペプチドがある。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、TFPIに対する増加した抵抗性、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性、増加した血清半減期などのような改善した薬物動態学的特性、活性化血小板に対する増加した結合性および/もしくは親和性、血清アルブミンに対する増加した結合性および/もしくは親和性ならびに/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/もしくは親和性を示すこともできる。これらの改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性を示すことができる。本明細書において提供されるFVIIポリペプチドは、FXaが産生され、トロンビンが生成されるように、TF依存性および/またはTF非依存性のメカニズムにおいて止血を開始するための処置において使用することができる。
D. 改変FVIIポリペプチド
改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。FVIIポリペプチドは、そのように改変されていないFVIIポリペプチドと比較して、1つまたは複数の活性または特性における変化を示す。改変の結果として変化させることができる活性または特性は、凝固もしくは血液凝固活性;凝血促進活性;第X因子(FX)活性化もしくは第IX因子(FIX)活性化を達成するなどのようなタンパク質分解活性もしくは触媒活性;抗原性(抗FVII抗体に結合する能力もしくはそれへの結合についてあるポリペプチドと競合する能力);組織因子、第X因子、もしくは第IX因子に結合する能力;リン脂質に結合するための能力;半減期;3次元構造;pI;および/またはコンホメーションを含むが、これらに限定されない。典型的には、改変FVIIポリペプチドは、凝血促進活性を示す。それらの一本鎖チモーゲン形態からの活性化に際して増加した血液凝固活性を示す改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。そのような改変FVIIポリペプチドは、血友病または傷害などのような、出血障害または出血事象の処置において使用することができ、FVIIポリペプチドは、血液凝固を促進するために機能することができる。そのような改変FVIIポリペプチドの中で、アンチトロンビンIII(AT−III)および組織因子経路阻害因子(TFPI)などのような阻害因子に対する増加した抵抗性を有するもの、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性を有するもの、TFの存在下および/または非存在下において増加した触媒活性を有するもの、増加した半減期などのような改善された薬物動態学的特性を有するもの、血小板表面に対する増加した結合性および/または親和性を有するもの、血清アルブミンに対する増加した結合性および/または親和性を有するもの、ならびに血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/または親和性を有するものを示すFVIIポリペプチドが含まれる。特に、そのような改変FVIIポリペプチドは、FVIIIaおよびFIXaについての必要性を同時に回避しながら、血液凝固活性を提供するために疾患または状態において使用することができる。一例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、FVIIIaおよびFIXaに対する自己抗体を有する血友病患者において使用することができる。したがって、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、止血のための、血清における活性FVIIの十分な濃度を維持するために必要とされる、投与されるFVIIの量における減少を含む利点を提供する。これは、たとえば、同等の生物学的効果、より高度な快適さ、および対象による受け入れを達成するのに必要であるより低い用量および/または投薬頻度ならびに副次的影響の減弱に至り得る。
FVIIポリペプチドにおける改変は、対立遺伝子変異体および種変異体、スプライス変異体、当技術分野において知られている変異体、ハイブリッドFVII分子またはキメラFVII分子を含む、FVIIポリペプチドの任意の形態に対してなすことができる。たとえば、本明細書において提供される改変は、配列番号1もしくは2において記載される前駆体FVIIポリペプチド、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチド、または配列番号1〜3において記載されるFVIIポリペプチドのいずれかに対して、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する任意の種変異体、対立遺伝子変異体、もしくは改変変異体およびその活性断片においてなすことができる。FVIIの対立遺伝子変異体は、配列番号18〜74のいずれかにおいて記載されるアミノ酸の配列を有する前駆体ポリペプチドのいずれかを含むが、これらに限定されない。本明細書における改変のための例示的な種変異体は、雌ウシ、マウス、ピグミーチンパンジー、チンパンジー、ウサギ、ラット、アカゲザル、ブタ、イヌ、ゼブラフィッシュ、フグ、ニワトリ、オランウータン、およびゴリラのFVIIポリペプチドに由来するFVIIポリペプチドを含む、ヒトポリペプチドおよび非ヒトポリペプチドを含むが、これらに限定されず、これらの配列は、それぞれ、配列番号4〜17において記載される。FVIIポリペプチドにおける改変はまた、ポリペプチドの一次配列における改変および一次配列におけるものではない改変を含む、当技術分野において記載されるものなどのような他の改変を含有するFVIIポリペプチドに対してもなすことができる。
FVIIポリペプチドの改変はまた、異なるFVIIポリペプチドのハイブリッドであるポリペプチドおよびまた知られているポリペプチドの配列に基づいて、組換えで調製されたまたは当技術分野において知られている他の方法によって合成されたもしくは構築された合成FVIIポリペプチドの改変をも含む。たとえば、第IX因子(FIX)または第X因子(FX)などのような他の凝固因子ファミリーメンバーとのFVIIのアライメントに基づいて、ファミリーメンバーの間の相同性ドメインは、容易に同定される。FVIIポリペプチドのキメラ変異体は、構築することができ、1つもしくは複数のアミノ酸または全ドメインは、対応するファミリーメンバーのアミノ酸配列を使用して、FVIIアミノ酸配列において交換される。さらに、キメラFVIIポリペプチドは、1つもしくは複数のアミノ酸または全ドメインが、異なる種のアミノ酸配列を使用して、ヒトFVIIアミノ酸配列において交換されるものを含む(たとえば、Williamson et al. (2005) J Thromb Haemost 3:1250-6を参照されたい)。そのようなキメラタンパク質は、出発非改変FVIIポリペプチドとして本明細書において使用することができる。
出発非改変参照ポリペプチドの本明細書において提供される改変は、アミノ酸の交換もしくは置換、アミノ酸の追加もしくは欠失、またはその任意の組み合わせを含む。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、またはそれ以上の改変位置を有するものを含む。出発参照FVIIポリペプチドと比較して2つ以上の改変を有する改変FVIIポリペプチドもまた、本明細書において提供される。改変FVIIポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、またはそれ以上の改変位置を有するものを含む。本明細書において提供されるあらゆる改変は、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが、その二本鎖形態をしている場合に、増加した凝固活性を示す限り、当業者に知られている任意の他の改変と組み合わせることができる。典型的には、改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性を示す。改変の結果として変化させることができる活性または特性は、凝固もしくは血液凝固活性;凝血促進活性;第X因子(FX)活性化もしくは第IX因子(FIX)活性化を達成するなどのようなタンパク質分解活性もしくは触媒活性;抗原性(抗FVII抗体に結合する能力もしくはそれへの結合についてあるポリペプチドと競合する能力);組織因子、組織因子抑制因子(TFPI)、アンチトロンビンIII、第X因子、もしくは第IX因子に結合する能力;リン脂質、血清アルブミン、もしくは血小板インテグリンαIIbβに結合する能力;血清半減期;3次元構造;pI;および/またはコンホメーションを含むが、これらに限定されない。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドの中で、アンチトロンビンIII(AT−III)に対する増加した抵抗性、TFの存在下および/もしくは非存在下において増加した触媒活性、組織因子経路阻害因子(TFPI)に対する増加した抵抗性、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性、増加した血清半減期などのような改善した薬物動態学的特性、増加した内因活性、変化したグリコシル化、血清アルブミンに対する増加した親和性および/もしくは結合性、血小板インテグリンαIIbβに対する増加した親和性および/もしくは結合、ならびに/または活性化血小板に対する増加した親和性および/もしくは結合を有するものが含まれる。
いくつかの例において、改変は、FVIIポリペプチドの2つ以上の特性または活性に影響を及ぼすことができる。たとえば、改変は、非改変FVIIポリペプチドと比較して、改変FVIIポリペプチドの増加したAT−III抵抗性および増加した触媒活性もたらすことができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、改変の効果の範囲を同定するために、それぞれの特性および活性についてアッセイすることができる。そのようなアッセイは、当技術分野において知られており、下記に記載される。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、細胞性機構によってさらに改変され、たとえば、グリコシル化ポリペプチド、γ−カルボキシル化ポリペプチド、およびβ−ヒドロキシル化ポリペプチドを含む、FVIIポリペプチドをも含む。
FVIIポリペプチドに対する本明細書において提供される改変は、AT−III抵抗性を増加させるために、TFPI抵抗性を増加させるために、Zn2+の阻害効果に対する抵抗性を増加させるために、血清半減期を増加させるなどのように、薬物動態学的特性を改善するために、TFの存在下および/もしくは非存在下において触媒活性を増加させるために、活性化血小板に対する結合性を増加させるために、グリコシル化を変化させるために、血小板インテグリンαIIbβに対する親和性および/もしくは結合性を増加させるために、血清アルブミンに対する親和性および/もしくは結合性を増加させるために、ならびに/または活性化血小板に対する親和性および/もしくは結合性を増加させるためになされる。たとえば、FVIIポリペプチドは、血小板に対する触媒活性および結合性の一方または両方を増加させる改変(1つまたは複数)を含むことができる。他の例において、本明細書において提供されるあらゆる改変は、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが、その二本鎖形態をしている場合に、増加した凝固活性を示す限り、当業者に知られている任意の他の改変と組み合わせることができる。典型的には、そのような増加した凝固活性は、AT−IIIに対する増加した抵抗性、増加した触媒活性、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性、増加した血清半減期などのような改善した薬物動態学的特性、TFPIに対する増加した抵抗性、変化したグリコシル化、リン脂質に対する増加した結合性および/もしくは親和性、血清アルブミンに対する増加した結合性および/もしくは親和性ならびに/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/もしくは親和性によるものである。いくつかの例において、比活性または特性を変化させるためにFVIIポリペプチドの中に導入される改変はまた、またはその代わりとして、他の活性または特性に影響を及ぼすことができる。したがって、本明細書において提供される改変は、それらが影響を及ぼすように設計された特性または活性および1つまたは複数の他の特性または活性に影響を及ぼすことができる。たとえば、触媒活性を増加させるためにFVIIポリペプチドになされた改変はまた、AT−III抵抗性をも増加させることができる。いくつかの例において、単一のアミノ酸置換などのような単一の改変は、FVIIポリペプチドの2、3、4、またはそれ以上の特性または活性を変化させる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、改変の効果の範囲を同定するために、それぞれの特性および活性についてアッセイすることができる。そのようなアッセイは、当技術分野において知られており、以下に記載される。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、細胞性機構によってさらに改変され、たとえば、グリコシル化ポリペプチド、γ−カルボキシル化ポリペプチド、およびβ−ヒドロキシル化ポリペプチドを含む、FVIIポリペプチドをも含む。
本明細書において提供される改変は、当業者にとってルーチン的なものなどのような標準的な組換えDNA技術によってなすことができる。標的タンパク質における任意の1つまたは複数のアミノ酸の突然変異を達成するための、当技術分野において知られている任意の方法を利用することができる。方法は、コード核酸分子の標準的な部位特異的突然変異誘発(たとえばStratageneから入手可能なQuikChangeなどのようなキットなどのようなキットを使用して)または固相ポリペプチド合成法によるものを含む。さらに、本明細書において提供される改変キメラタンパク質(つまりGlaドメインswap)は、ルーチン的な組換えDNA技術によって生成することができる。たとえば、キメラポリペプチドは、望ましいキメラポリペプチド構成成分のルーチン的なサブクローニングのために、制限酵素およびクローニング方法論を使用して生成することができる。
炭水化物部分の追加、ポリエチレングリコール(PEG)部分の追加、Fcドメインの追加などを含むがこれらに限定されない、ポリペプチドの一次配列にあるまたはない他の改変は、改変FVIIポリペプチドまたはそのコンジュゲートにおいて含むことができる。たとえば、そのようなさらなる改変は、タンパク質の安定性または半減期を増加させるためになすことができる。
結果として生じる改変FVIIポリペプチドは、一本鎖チモーゲンポリペプチドであるものまたは二本鎖チモーゲン様のポリペプチドであるものを含む。たとえば、一本鎖ポリペプチドである、本明細書において提供される任意の改変ポリペプチドは、自己活性化するまたは他の凝固因子によって活性化して、二本鎖形態(つまりFVIIa)である改変FVIIを生成することができる。改変FVIIポリペプチドの活性は、その二本鎖形態において典型的に示される。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、増加したAT−III抵抗性、TFの存在下および/もしくは非存在下において増加した触媒活性、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性、増加したTFPI抵抗性、増加した血清半減期などのような改善した薬物動態学的特性、変化したグリコシル化、リン脂質に対する増加した結合性および/もしくは親和性、血清アルブミンに対する増加した結合性および/もしくは親和性ならびに/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/もしくは親和性を示すことができる。典型的には、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドのそのような特性および/または活性は、限定はしないが、TFに対する結合性ならびに/またはFXの結合性および活性化などのような、他のFVII活性または特性を保持しながら、なされる。したがって、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、FVIIポリペプチドの野生型形態または出発形態と比較して、TF結合性および/またはFX結合性および活性化を保持する。典型的には、そのような活性は、野生型タンパク質または出発タンパク質と比較して、実質的に不変である(1%、5%、または10%未満変化する)。他の例において、改変FVIIポリペプチドの活性は、野生型ポリペプチドまたは出発FVIIポリペプチドと比較して、増加するまたは減少する。活性は、インビトロにおいてまたはインビボにおいて評価することができ、たとえば成熟野生型天然FVIIポリペプチド(配列番号3)、野生型前駆体FVIIポリペプチド(配列番号1もしくは2)、または出発物質として使用される当業者に知られている任意の他のFVIIポリペプチドなどのような非改変FVIIポリペプチドと比較することができる。
したがって、本明細書において提供される改変により、改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性、血液凝固活性の増加した継続期間、および/または、増強した治療指数を示すことができる。これは、TF依存性および/またはTF非依存性の様式において観察することができる。典型的には、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドの増加した血液凝固活性、血液凝固活性の増加した継続期間、および/または増強した治療指数は、インビトロにおいて、適切なアッセイにおいてエクスビボにおいて、またはヒト対象もしくは非ヒト対象などのような対象への投与に際してなどのように、インビボにおいて観察することができる。改変FVIIポリペプチドの増加した活性は、出発ポリペプチドまたは非改変FVIIaポリペプチドの活性と比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上増加させることができる。
1. 増加した触媒活性
FVIIは、切断反応の間に求核剤として作用する、その活性中心におけるセリン残基(標準的なキモトリプシン(キモトリプシノーゲン)ナンバリングにおける位置195)を含有する。セリンプロテアーゼの触媒3残基はまた、2つのさらなる残基をも含む:H57およびD102(キモトリプシンナンバリング)。ヒトFVIIaの触媒3残基は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのH193、D242、およびS344に対応する。これらの重要な3つのアミノ酸は、それぞれ、プロテアーゼの触媒活性における本質的な役割を果たす。セリンプロテアーゼは、四面体の遷移状態およびアシル酵素中間体の形成を介してペプチド結合を加水分解する。反応経路は、H57およびS195を含有する、プロテアーゼの表面上の溝(つまり活性部位のくぼみ)の中への基質の非共有結合から始まり、「ミカエリス−メンテン複合体」を形成する。反応経路に沿った生産的な進行は、酵素の活性部位セリン(つまりセリン195)のO−ガンマによる、基質のP1カルボニル残基の、続く求核攻撃を必要とし、速やかにアシル酵素中間体に変換する四面体の遷移状態を形成する。残基グリシン193およびセリン195(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのG342およびS344に対応)を含み、オキシアニオンホールとして知られている活性部位のくぼみ内の構造は、遷移状態を安定化することによって効率的な触媒を促進する。とりわけ、これらの2つの残基の主鎖アミド水素は、四面体の遷移状態において生成されるオキシアニオン(つまりP1残基のカルボニル酸素)と安定化水素結合を形成する。この安定化に加えて、オキシアニオンホール内の基質の結合は、結合切断をもたらす、生産的なアシル化および脱アシル化反応のための、切断しやすい結合を適切に位置づける。FVII活性におけるオキシアニオンホールの重要性は、アミノ酸位置342(キモトリプシンナンバリングによる193に対応する)での突然変異が、FVII欠乏症をもたらし得るという観察によって強調される(たとえばBernardi et al., (1994) Br. J. Haematol. 86:610-618およびBernardi et al., (1996) Human Mut. 8:108-115を参照されたい)。
a. 触媒活性を増加させるための例示的な改変
増加した血液凝固活性を示す改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。そのようなFVIIポリペプチドは、オキシアニオンホールのコンホメーションに影響を及ぼすことができる、1つまたは複数の残基のアミノ酸置換によって生成することができる。特定の位置(たとえばキモトリプシンナンバリングによる位置143または成熟FVIIナンバリングによる286)での異なるアミノ酸残基の導入は、オキシアニオンホールが、触媒の間により有効となるように、改変FVIIポリペプチドのコンホメーションを変化させることができる。これは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した触媒活性を有する改変FVIIポリペプチドをもたらすことができる。オキシアニオンホールに影響を及ぼす突然変異による触媒活性における変化は、増加した血液凝固活性として示すことができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドの触媒活性および血液凝固活性における増加は、組織因子の存在下および/または非存在下において観察することができる(つまりTF依存性および/またはTF非依存性のものとすることができる)。したがって、凝血促進治療薬としての対象への投与の後などのように、適切なインビトロ、インビボ、またはエクスビボアッセイにおいて評価した場合、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示すことができる。
オキシアニオンホールのコンホメーションは、オキシアニオンホールの形成に関与するまたはそれに近接した1つまたは複数のアミノ酸残基の改変によって、より有効なコンホメーションを誘発するために変化させることができる。本明細書において提供されるように、例示的なそのようなアミノ酸残基は、Q286(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するナンバリング)であり、これは、キモトリプシンナンバリングによるQ143に対応する。Q286は、たとえばアミノ酸置換、アミノ酸欠失、またはアミノ酸挿入によって改変することができる。改変が、アミノ酸置換によって達成される場合、位置286のグルタミン残基は、任意の他のアミノ酸残基と交換することができる。
Q286は、FVIIポリペプチドの活性部位および活性部位のくぼみの領域を形成する残基に近接しており、その残基に接している。そのため、この位置での改変が、低下した触媒活性をもたらすはずであると述べられてきた(たとえば米国特許第6806063号を参照されたい)。これは、先の研究(たとえば国際特許出願公開WO2007031559を参照されたい)において実証されており、ここで、グルタミン残基は、アラニン(Q286A)と交換された。結果として生じる改変FVIIaポリペプチドは、野生型ポリペプチドと比較して、第X因子を活性化するための、低下した能力を示す。他の研究において、同じ突然変異は、第X因子(Dickinson et al., (1996) Proc. Nat. Acad. Sci. USA. 93:14379-14384)または合成基質(国際特許出願公開WO2007031559)に対する、FVIIa突然変異体の触媒活性に対する影響が本質的になかった。
しかしながら、本明細書において実証されるように(実施例4および下記を参照されたい)、特にアルギニン(Arg、R)などのような塩基性残基を用いる、位置286(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するナンバリング;キモトリプシンナンバリングによる位置143に対応する)でのFVIIポリペプチドの改変は、増加した触媒活性および血液凝固活性を有する改変FVIIポリペプチドをもたらす。
したがって、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置286(キモトリプシンナンバリングによるアミノ酸位置143)に対応するアミノ酸位置での、塩基性アミノ酸とのアミノ酸交換などのような改変を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。アミノ酸位置286での本明細書において提供される改変は、配列番号1もしくは2において記載される前駆体FVIIポリペプチド、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチド、または配列番号1〜3において記載されるFVIIポリペプチドのいずれかに対して、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する任意の種変異体、対立遺伝子変異体、もしくは改変変異体およびその活性断片を含む、任意のFVIIポリペプチドにおいてなすことができる。
成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸位置286(キモトリプシンナンバリングによるアミノ酸143に対応する)でのFVIIポリペプチドの改変は、基質のより有効な触媒を容易にするコンホメーションに対して、オキシアニオンホールのコンホメーションを変化させることができる。そのような改変FVIIポリペプチドの増加した触媒活性は、組織因子の存在下および/または非存在下において示すことができ、以下の実施例4および7において記載されるものなどのようなインビトロアッセイを使用して評価することができる。増加した触媒活性を示すことに加えて、成熟FVIIナンバリングによってアミノ酸位置286で改変されるFVIIポリペプチドはまた、AT−IIIに対する増加した抵抗性を示すことができる。これは、たとえば、特定される条件(たとえば患者への注射の後)下でのAT−IIIに対する改変FVIIポリペプチドの低下した結合またはATIIIによる不活性化の低下した速度(つまり阻害に対する低下した二次速度定数)によるものとすることができ、これは、非改変FVIIポリペプチドと比較した、AT−IIIの存在下における増加した血液凝固活性として示すことができる。AT−IIIに対する増加した抵抗性は、実施例5において記載されるものなどのようなインビトロアッセイを使用して評価することができる。
成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸残基Q286(キモトリプシンナンバリングによるQ143に対応する)は、アミノ酸欠失または任意の他のアミノ酸との交換もしくは置換によって改変することができる。代わりに、アミノ酸は、アミノ酸残基Q286の近傍において、コンホメーションを変化させるために直前または直後に挿入することができる。さらに、Q286の改変を含有するFVIIポリペプチドはまた、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、アミノ酸置換、もしくはアミノ酸交換、炭水化物部分の追加などのような、ポリペプチドの一次配列におけるものではない改変、ポリエチレングリコール(PEG)部分の追加、Fcドメインの追加など、またはその任意の組み合わせを含む、1つまたは複数の他の改変をも含有することができる。したがって、成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸位置286での改変を含有するFVIIポリペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、またはそれ以上の改変位置を含有することができる。そのようなポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドの少なくとも1つの活性を保持する。典型的には、改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性を示す。
活性におけるこれらの変化は、増加した血液凝固活性、血液凝固活性の増加した継続期間、治療的利益の増加した作用発現、血液凝固活性の増加した作用発現、および/または増強した治療指数として示すことができる。したがって、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した凝固活性を示す、成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸位置286での改変を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。そのような改変FVIIポリペプチドは、血友病、手術、外傷、および傷害などのような、出血障害または事象の処置において使用することができ、FVIIポリペプチドは、血液凝固を促進するために機能することができる。増加した血液凝固活性のために、成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸位置286での改変を含有する、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、NovoSeven(登録商標)FVIIなどのように、止血のための、血清における活性FVIIの十分な濃度を維持するために必要とされる、投与されるFVIIの量における減少を含む、野生型FVIIポリペプチドを用いる処置に対する利点を提供する。これは、たとえば、同等の生物学的効果を達成するのに必要な、低下した用量および/もしくは投薬頻度、治療的利益のより速い作用発現、作用のより長い継続期間、より高度な快適さおよび対象による受け入れ、ならびに/または望まれない副次的影響の減弱に至り得る。
i. 位置286での塩基性アミノ酸置換
位置286(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するナンバリング;キモトリプシンナンバリングによる位置143に対応する)でのグルタミンが、アルギニン(Arg、R)、ヒスチジン(His、H)、またはリシン(Lys、K)のいずれか1つなどのような塩基性アミノ酸残基と交換される改変FVIIポリペプチドが提供される。特に、アルギニン(つまりQ286R、キモトリプシンナンバリングによるQ143Rに対応する)と位置286のグルタミンが交換される改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。モデリング研究は、アルギニンとのグルタミンの置換が、野生型FVIIまたは非改変FVIIにおけるFVIIaオキシアニオンホールの不活性コンホメーションを安定化する、2つの重要な相互作用の損失をもたらすことを示す。野生型ポリペプチドまたは非改変FVIIポリペプチドにおいて不安定化する相互作用は、Q286(キモトリプシンナンバリングによるQ143に対応する)の側鎖およびG342(キモトリプシンナンバリングによるG193に対応する)の主鎖アミドの間の相互作用ならびにK341(キモトリプシンナンバリングによるK1に対応する)の主鎖カルボニルおよびS195(キモトリプシンナンバリングによるS344に対応する)の主鎖アミドの間の相互作用を含む。しかしながら、位置286のアルギニンと野生型グルタミンを置換することによって、これらの相互作用が失われるだけでなく、2つの重要な新しい相互作用が生成されもする。これらは、改変FVIIaポリペプチドの活性コンホメーションを安定化する、改変アミノ酸R286(キモトリプシンナンバリングによるR143)の塩基性側鎖および天然D289(キモトリプシンナンバリングによるD146)の酸性側鎖の間の塩ブリッジの生成ならびに改変アミノ酸R286の主鎖アミドおよびK341の主鎖カルボニルの相互作用を含む。さらに、改変アミノ酸R286およびD289の間の新しい塩ブリッジは、活性部位くぼみの一部を形成する「自己分解ループ」のコンホメーションおよび/または可動性を変化させることが予想される。自己分解ループは、凝固プロテアーゼの高分子基質および阻害因子特異性を決定することに関与する。したがって、このループの変化したコンホメーションおよび/または可動性は、たとえば、基質(たとえば第X因子および/または第IX因子)に対する増加した触媒活性ならびに阻害因子(たとえばTFPIおよび/またはAT−III)に対する増加した抵抗性をもたらすことができる。したがって、アルギニン(Arg、R)、ヒスチジン(His、H)、またはリシン(Lys、K)などのような塩基性アミノ酸を用いる位置286のグルタミンの改変は、野生型FVIIポリペプチドと比較して、増加した触媒活性および血液凝固活性をもたらすことができる。したがって、成熟FVIIナンバリングによるQ286R、Q286K、またはQ286H突然変異(それぞれ、キモトリプシンナンバリングによるQ143R、Q143K、またはQ143Hに対応する)を含有するFVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。例示的なかかるポリペプチドは、それぞれ、配列番号118、119、および129において記載されるアミノ酸の配列を用いるものである。
グルタミン(Gln、Q)の塩基性アミノ酸残基、特に、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置286に対応するアミノ酸位置のアルギニン(Arg、R)とのアミノ酸交換は、配列番号1もしくは2において記載される配列を有する前駆体FVIIポリペプチド、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチド、または配列番号1〜3において記載されるFVIIポリペプチドのいずれかに対して、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する、当技術分野において記載されるものなどのような任意の種変異体、対立遺伝子変異体、および改変変異体ならびにその活性断片を含む、任意のFVIIポリペプチドにおいてなすことができる。たとえば、Q286R突然変異は、本明細書において別記されるもののいずれかを含む、当技術分野において記載される任意の改変FVIIポリペプチドの中に組み込むことができる。そのような改変FVIIポリペプチドは、突然変異(1つまたは複数)M298Q(配列番号158)たとえばPersson et al., (2001) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 98:13583-13588を参照されたい)、E296V/M298Q(配列番号343)、V158E(配列番号344)、E296R/M298K(配列番号345)、K337A(配列番号346)、V158D/E296V/M298Q(配列番号98;NN1731;たとえばPersson et al., (2007) Art. Thromb. Vasc. Biol. 27(3): 683-689を参照されたい)、V158D/E296V/M298Q/K337A(配列番号347;たとえばLisman et al., (2003) J. Thromb. Haem. 1:2175-2178を参照されたい)、V253N(配列番号348;たとえばUS7427592を参照されたい)、T106N(配列番号349;たとえばUS7427592を参照されたい)、T106N/V253N(配列番号350;たとえばUS7427592を参照されたい)、K143N/N145T(配列番号351;たとえばUS7442524を参照されたい)、R315N/V317T(配列番号352;たとえばUS7442524を参照されたい)、またはK143N/N145T/R315N/V317T(配列番号353;たとえばUS7442524を参照されたい)を含有する改変FVIIポリペプチドを含むが、これらに限定されない。Q286R突然変異はまた、キメラFVIIポリペプチドもしくはFVII融合ポリペプチドまたは糖PEG化などによって他の形で改変されるFVIIポリペプチドの中に組み込むことができる(たとえばWO2007022512、Ghosh et al., (2007) transcript of presentation at the Am. Society. Hematol. Meeting, December 10, 2007を参照されたい)。一例において、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置286に対応するアミノ酸位置のグルタミンのアルギニンとのアミノ酸交換は、配列番号118において記載されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドをもたらす。
成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸置換Q286R(キモトリプシンナンバリングによるQ143Rに対応する)を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供され、改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性を示す。そのような改変FVIIポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、またはそれ以上の改変位置を含有することができ、改変位置の1つは、アミノ酸位置286である。したがって、2つ以上の改変を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供され、1つの改変は、アミノ酸置換Q286R(成熟FVIIナンバリングによる)であり、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示す。Q286R突然変異は、本明細書において記載されるまたは当技術分野において知られている任意の他の突然変異と組み合わせることができる。典型的には、結果として生じる改変ポリペプチドは、増加した血液凝固活性を示す。当業者は、当技術分野においてよく知られているまたは本明細書において記載されるインビトロアッセイおよびインビボアッセイを使用して、Q286R改変を含有するFVIIポリペプチドの血液凝固活性を決定することができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、Q286R突然変異を含有し、たとえば、アンチトロンビンIIIに対する抵抗性を増加させる、FXの活性化を増加させる、FIXの活性化を増加させる、リン脂質に対する結合性および/もしくは親和性を増加させる、組織因子に対する親和性を増加させる、内因活性を増加させる、TF依存性活性を増加させる、ポリペプチドのコンホメーションを変化させて、チモーゲン性を変化させる、高度に活性なコンホメーションに有利なように、高度に活性なFVIIaコンホメーションおよびそれほど活性でないFVIIaコンホメーションの間の平衡をシフトすることなどによって、触媒活性もしくは血液凝固活性を増加させる、プロテアーゼに対する抵抗性を増加させる、グリコシル化を減少させる、グリコシル化を増加させる、免疫原性を低下させる、安定性を増加させる、ならびに/または化学基連結を容易にする、1つまたは複数の突然変異を含有するものも含む。
アミノ酸置換Q286Rを含有する改変FVIIポリペプチドの増加した血液凝固活性は、触媒活性における増加の結果とすることができる。増加した触媒活性は、組織因子(TF)の存在下および/または非存在下において観察することができる。したがって、増加した触媒活性は、TF依存性および/またはTF非依存性のものとすることができる。Q286R突然変異を含有する改変FVIIポリペプチドの触媒活性は、実施例4および7において記載されるアッセイなどのようなインビトロアッセイを使用して評価することができる。そのようなアッセイは、組織因子の存在下または非存在下において、第X因子などのような基質に対する改変FVIIポリペプチドの触媒活性を決定することができる。Q286R突然変異を含有する改変FVIIポリペプチドは、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変ポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの触媒活性と比較して、組織因子の存在下および/または非存在下において、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の増加した触媒活性を示すことができる。たとえば、実施例4において実証されるように、ただ1つの改変としてQ286R突然変異(キモトリプシンナンバリングによるQ143R)を含有するFVIIaポリペプチドは、野生型FVIIによって示される触媒活性よりも約2〜4倍大きな、TFの存在下または非存在下における、FXに対する触媒活性を示すことができる。他の例において、Q286RおよびM298Qの突然変異を含有するFVIIaポリペプチドは、野生型FVIIによって示される触媒活性よりも約3〜4倍大きな、TFの存在下における、FXに対する触媒活性を示すことができ、野生型FVIIによって示される触媒活性よりも約7〜26倍大きな、TFの非存在下における、FXに対する触媒活性を示すことができる。
1つの改変が、アミノ酸置換Q286R(成熟FVIIナンバリングによる)であり、改変FVIIポリペプチドが、非改変FVIIポリペプチドと比較して、組織因子の存在下および/または非存在下において、FXに対して増加した触媒活性を示す、2つ以上の改変を含有する改変FVIIポリペプチドの非限定的な例は、下記の表5および実施例4において記載される。改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。下記の部D.6においてよりさらに詳細に議論されるように、「Gla swap FIX」改変は、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)を欠失させることによる、内因性FVII Glaドメインの欠失および配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸残基Y1〜Y45に対応する45アミノ酸残基の挿入を含む。いくつかの例において、「Gla swap FIX」改変FVIIポリペプチドにおける異種FIX Glaドメインは、配列番号83において記載されるFIX GlaドメインのM19、E40、K43、および/またはQ44に対応するアミノ酸位置での1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。そのような置換は、中括弧(たとえば{Gla swap FIX/Q44S})によって表される。改変アミノ酸位置が対応するキモトリプシン番号を有していない(つまり、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するアミノ酸位置153〜406内になく、上記の表1において記載されていない)場合、位置は、成熟FVIIナンバリングを使用して、括弧中に表される。たとえば、T158Nは、対応するキモトリプシン番号を有しておらず、キモトリプシンナンバリングを指す場合、T[158]Nとして記載される。
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成熟FVIIナンバリングによるQ286R突然変異を含有するFVIIポリペプチドはまた、AT−IIIに対する増加した抵抗性をも示すことができる。AT−IIIに対する増加した抵抗性は、AT−IIIによる阻害の減少した速度または動物もしくは患者への注射の後などのような特定される条件下でのAT−IIIに対する減少した結合の結果とすることができる。AT−IIIに対する抵抗性は、野生型FVIIaポリペプチドおよび変異FVIIaポリペプチドの阻害についての二次速度定数を測定することによって実証することができる。BIAcore(登録商標)アッセイなどのような他のインビトロ方法もまた、使用することができる。改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、AT−IIIの阻害効果に対する増加した抵抗性を示すことができ、これは、実施例5において記載されるものなどのようなインビトロアッセイにおいて評価することができる。Q286R突然変異を含有する改変FVIIポリペプチドは、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドのAT−IIIに対する抵抗性と比較して、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400% 500%、またはそれ以上のAT−IIIに対する増加した抵抗性を示すことができる。たとえば、下記の実施例5において実証されるように、Q286R突然変異(キモトリプシンナンバリングによるQ143R)を含有するFVIIaポリペプチドは、野生型FVIIによって示される触媒活性よりも約2〜4倍またはそれ以上大きな、AT−IIIの存在下およびTFの非存在下における、FXに対する触媒活性を示すことができる。したがって、改変Q286R FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドの抵抗性の約200%〜400%の、AT−IIIに対する抵抗性における増加を示すことができる。
増加した触媒活性およびAT−IIIに対する増加した抵抗性は、TFの存在下および/または非存在下における増加した血液凝固活性として示すことができる。そのような活性は、ヒト対象または動物対象に対する投与などによって、インビトロにおいて、エクスビボにおいて、またはインビボにおいて評価することができる。Q286R突然変異を含有する改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。たとえば、実施例6.B.2は、Q286R突然変異(キモトリプシンナンバリングによるQ143R)を含有するFVIIaポリペプチドは、野生型FVIIポリペプチドによって示される凝固活性よりも大きな(約2倍)、マウス出血モデルにおける凝固活性を示す(たとえばNovoSeven(登録商標)FVII)ことを実証する。Q286RおよびM298Q突然変異(それぞれ、キモトリプシンナンバリングによるQ143RおよびM156Q)を含有するFVIIaポリペプチドは、さらに大きな凝固活性を示す。
ii. 位置286での他の突然変異
配列番号3において記載されるFVIIポリペプチドの位置286に対応するアミノ酸位置のグルタミンは、塩基性アミノ酸以外の(つまりアルギニン、ヒスチジン、またはリシン以外の)アミノ酸と交換することができる。そのような置換は、オキシアニオンホールのコンホメーションを変化させることができ、たとえば、野生型FVIIポリペプチドと比較して、改変FVIIポリペプチドの触媒活性を増加させるコンホメーションをもたらす。変化したオキシアニオンホールコンホメーションを有する改変FVIIポリペプチドは、インビボアッセイ、エクスビボアッセイ、またはインビトロアッセイのいずれかを使用して測定された場合、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの触媒活性と比較して、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400% 500%、またはそれ以上の増加した触媒活性を示すことができる。
表6は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置に対応する、アルギニンを用いる交換以外のQ286での例示的なアミノ酸交換の非限定的な例を提供する。述べられるように、そのようなFVIIポリペプチドは、オキシアニオンホールのコンホメーションをより有効なコンホメーションに変化させ、そのため、増加した血液凝固活性を有するように設計される。そのような突然変異に関して、第1のアミノ酸(1文字略語)は、交換されるアミノ酸に対応し、番号は、配列番号3に関する成熟FVIIポリペプチド配列における位置に対応し、第2のアミノ酸(1文字略語)は、その位置の第1のアミノ酸と交換する、選択されるアミノ酸に対応する。突然変異のためのアミノ酸位置はまたキモトリプシンナンバリング体系によっても表される。下記の表6において、改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。
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変化したオキシアニオンホールコンホメーションを有する改変FVIIポリペプチドは、インビボアッセイ、エクスビボアッセイ、またはインビトロアッセイのいずれかを使用して測定された場合、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの触媒活性と比較して、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400% 500%、またはそれ以上の増加した触媒活性を示すことができる。いくつかの例において、変化したオキシアニオンホールコンホメーションを有する改変FVIIポリペプチドはまた、インビボ、エクスビボ、またはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドによって示される、内因性阻害因子による阻害の速度または内因性阻害因子に対する親和性と比較して、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、TFPIまたはAT−IIIなどのような内因性プロテアーゼ阻害因子に対して増加した抵抗性(つまり、阻害因子による阻害の減少した速度または阻害因子に対する減少した親和性)をも示すことができる。そのような改変FVIIポリペプチドのAT−III抵抗性などのような内因性阻害因子に対する増加した触媒活性および/または抵抗性はまた、増加した凝固活性、血液凝固活性の継続期間、血液凝固活性のより速い開始、および/または増強した治療指数としても示すことができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボ、エクスビボ、またはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
2. AT−IIIに対する増加した抵抗性
アンチトロンビンIII(アンチトロンビンまたはAT−IIIとしても知られている)は、重要な抗凝固セルピン(セリンプロテアーゼ阻害因子)である。AT−IIIは、464アミノ酸残基を含有する前駆体タンパク質として合成される(配列番号122)。分泌の過程において、32残基シグナルペプチドは、切断されて、432アミノ酸成熟ヒトアンチトロンビン(配列番号123)を生成する。58kDa AT−III糖タンパク質は、血液中に循環し、セリンプロテアーゼ阻害因子(セルピン)として機能して、凝固系の多くのセリンプロテアーゼを阻害する。AT−IIIはまた、FIXa、FXIa、FXIIa、および程度はより少ないが、FVIIaの活性をも阻害することが示されたが、AT−IIIの主要な標的は、トロンビンおよび第Xa因子である。AT−IIIの作用は、診療において抗凝固薬として広く使用される、天然に存在するヘパラン硫酸または様々な組織由来ヘパリンなどのようなグリコサミノグリカンによって非常に増強される。AT−IIIは、反応性中心ループにおけるコンホメーションの変化を誘発する、ヘパリンにおける特有の五糖配列に対して高度に特異的な様式で結合する。そのようなコンホメーションにおいて、AT−IIIの反応性中心ループは、より効率的に、セリンプロテアーゼの反応部位と相互作用することができ、阻害を達成することができる。
AT−IIIは、おそらくAT−IIIとの効率的な相互作用を予防する、FVIIaのチモーゲン様のコンホメーションにより、ヘパリンの存在下においてでさえ、遊離血漿FVIIaに対して通常阻害性ではない。しかしながら、一度、FVIIaがTFと複合体を形成したら、AT−IIIの阻害効果は、増加する。TF/FVIIa複合体に対するAT−IIIの結合により、TFからFVIIaを放出することができ、AT−IIIとの不活性複合体にそれを維持する。FVIIaのみと比較して、TF結合FVIIaに対するAT−IIIの増加した親和性は、おそらく、それがTFと複合体を形成した場合の、FVIIaの活性部位の成熟を反映し、そのため、それが、AT−IIIに結合するのを可能にする(Rao et al. (1993) Blood 81:2600-2607)。したがって、FVIIaに対するAT−IIIの影響は、AT−IIIに対する抵抗性を媒介する突然変異がFVIIaポリペプチドに追加されていない限り、FVIIa分子自体の内因活性に比例する。FVIIaが、そのチモーゲン様のコンホメーションを保持している間、AT−IIIは、影響をほとんど有していない。しかしながら、TFへの結合によってまたは特異的なインビトロ改変などによって、FVIIaがより活性な形態にコンホメーションを変化させる場合、AT−III阻害は、有意に増加する。増加した内因活性を有するように改変されるFVIIaポリペプチドは、多くの場合、AT−III阻害に対する感受性の増加を同時に示す。たとえば、K337A、L305V、M298Q、V158D、およびE296Vの置換に対応するアミノ酸交換などによるFVIIaの活性化ポケットにおける1つまたは複数のアミノ酸の改変は(配列番号3において記載される成熟FVII配列と比較して)、AT−IIIに対するFVIIaポリペプチドの増加した感度をもたらし、それによって、90%までFVIIa活性を阻害する(Persson et al. (2001) PNAS 98:13583-13588)。他の例、FVIIaのα−ヘリックスに含まれるアミノ酸の改変による、よりチモーゲン様のコンホメーションの誘発もまた、改変FVIIaタンパク質の活性を増加させながら、AT−IIIに対するその感受性を増加させる(Persson et al. (2004) Biochem J 379:497-503)。
AT−IIIに対する増加した抵抗性を達成するための例示的な改変
AT−IIIに対するFVIIポリペプチドの抵抗性を増加させる改変は、FVIIポリペプチドに対してなすことができる。一般に、そのような改変FVIIポリペプチドは、FVIIポリペプチドの少なくとも1つの活性を保持する。典型的には、そのような改変は、AT−IIIとのFVIIaの相互作用に関与する、FVIIポリペプチドの任意の位置の1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。そのような改変は、たとえば、AT−IIIに対する改変FVIIの低下した結合をもたらすことができる。そのため、改変FVIIポリペプチドは、凝固開始に関してのAT−IIIの天然の阻害効果に対して抵抗性である。凝血促進治療薬としての対象への投与の後などのように、適切なインビトロアッセイまたはインビボアッセイにおいて評価した場合、改変AT−III抵抗性FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示す。
本明細書において下記に記載されるように、当業者は、AT−IIIに対して増加した抵抗性を示す改変FVIIポリペプチドを経験的にまたは合理的に設計することができる。そのような改変FVIIポリペプチドは、そのような改変FVIIポリペプチドがAT−IIIに対して増加した抵抗性を示すかどうかを決定するための、当業者に知られているアッセイにおいて試験することができる。たとえば、そのような改変AT−IIIポリペプチドは、AT−IIIに対する結合について試験することができる。一般に、AT−IIIに対する増加した抵抗性を有する改変FVIIポリペプチドは、AT−IIIに対する減少した結合性および/または減少した親和性を示すであろう。典型的には、そのようなアッセイは、FVIIの活性化形態(FVIIa)などのようなFVIIの二本鎖形態に対して実行される。さらに、AT−IIIの効果を決定するためのアッセイは、そのようなアッセイはまた、一方または両方の補因子の非存在下において実行することができるが、ヘパリンの存在下においておよび組織因子の存在下において一般に実行される。
AT−IIIに対する増加した抵抗性を示す改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。ATIIIによる阻害に対する抵抗性は、TFの存在下および非存在下の両方において該当する。本明細書において提供されるFVIIポリペプチド変異体は、1つまたは複数のアミノ酸位置239、931、366、および373(それぞれ、キモトリプシンナンバリングによるアミノ酸位置99、170i、217、および224に対応する)で改変されている。これらのアミノ酸残基は、アミノ酸交換、アミノ酸欠失、またはアミノ酸置換などによる改変であってもよい。同定される残基は、任意の他のアミノ酸と交換または置換することができる。代わりに、アミノ酸挿入は、標的アミノ酸残基の近傍における標的アミノ酸残基またはタンパク質構造のコンホメーションを変化させるために使用することができる。
任意のアミノ酸残基はまた、同定される位置の内因性アミノ酸残基と置換することができる。典型的には、交換アミノ酸は、それが、FVIIおよびAT−IIIの間の相互作用に干渉するように選ばれる。いくつかの例において、位置239(キモトリプシンナンバリングによる位置99に対応する)のトレオニン残基は、セリン(Ser、S)、アスパラギン(Asn、N)、グルタミン(Gln、Q)、バリン(Val、V)、ロイシン(Leu、L)、ヒスチジン(His、H)、またはイソロイシン(Ile、I)と交換される。他の例において、位置321(キモトリプシンナンバリングによる位置170iに対応する)のプロリンは、リシン(Lys、K)、グルタミン酸(Glu、E)、セリン(Ser、S)、またはチロシン(Tyr、Y)と交換される。さらなる例において、位置366(キモトリプシンナンバリングによる位置217に対応する)のグルタミンは、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)、セリン(Ser、S)、トレオニン(Thr、T)、リシン(Lys、K)、またはバリン(Val、V)と交換される。他の例において、位置373(キモトリプシンナンバリングによる位置224に対応する)のヒスチジンは、アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)、セリン(セリン、S)、フェニルアラニン(Phe、F)、またはアラニン(Aln、A)と交換される。さらなる実施形態において、組み合わせ突然変異体は、生成することができる。そのような組み合わせ突然変異体の中に、残基T239、P321、Q366、およびH373(それぞれ、キモトリプシンナンバリングによるT99、P170i、Q217、およびH224に対応する)の2つ以上の突然変異を有するものが含まれる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、2、3、4、または5の同定される位置でのアミノ酸置換を有することができる。したがって、改変ポリペプチドは、AT−IIIの阻害効果に対する改変FVIIポリペプチドの増加した抵抗性をもたらすことができる1、2、3、4、または5の突然変異を示すことができる。たとえば、FVIIポリペプチドは、アミノ酸位置366およびアミノ酸位置373で改変することができる。いくつかの例において、位置は、たとえば位置366でのグルタミンのアスパラギン酸との交換および位置373でのヒスチジンのグルタミン酸との交換などのようなアミノ酸交換によって改変される。
表7は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置に対応する、同定される残基での例示的なアミノ酸交換の非限定的な例を提供する。これらの中に、例示的な組み合わせ突然変異が含まれる。述べられるように、そのようなFVIIポリペプチドは、AT−IIIに対する抵抗性を増加させ、そのため、増加した血液凝固活性を有するように設計される。そのような突然変異に関して、第1のアミノ酸(1文字略語)は、交換されるアミノ酸に対応し、番号は、配列番号3に関する成熟FVIIポリペプチド配列における位置に対応し、第2のアミノ酸(1文字略語)は、その位置の第1のアミノ酸と交換する、選択されるアミノ酸に対応する。突然変異のためのアミノ酸位置はまたキモトリプシンナンバリング体系によっても表される。下記の表7において、改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。
Figure 0005659312
AT−IIIに対する増加した抵抗性を有する改変FVIIポリペプチドは、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの阻害の程度または阻害についての二次速度定数と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の、特定される条件下での阻害の程度におけるまたはAT−IIIによる阻害についての二次速度定数における低下を示すことができる。したがって、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドによって示される抵抗性の、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、AT−IIIに対して増加した抵抗性を示すことができる。そのような改変FVIIポリペプチドによる、AT−IIIに対する増加した抵抗性はまた、AT−IIIの存在下における、増加した凝固活性、凝固活性の継続期間、および/または増強した治療指数としても示すことができる。AT−III改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
3. Zn2+による阻害に対する増加した抵抗性
FVIIaのアミド分解活性は、カルシウムイオンおよび組織因子(TF)の結合によって誘発される、アロステリックな改変によって調節される。遊離FVIIは、典型的には、不活性コンホメーションで存在する。Ca2+およびTFに対する結合は、コンホメーションの変化を誘発し、アミド分解活性を増加させた(Pederson et al., (1990) J Biol. Chem. 265:16786-16793)。対照的に、FVIIaに対する亜鉛イオンの結合は、活性に対して阻害効果を有することが示された。FVIIaに対するZn2+の結合は、減少したアミド分解活性およびTFに対する低下した親和性をもたらす。研究は、Ca2+の存在下において、Zn2+の阻害効果が低下するように、Ca2+およびZn2+が、FVIIaに対する結合について競合することを示す。さらに、TFに結合したFVIIaは、亜鉛阻害に対して感受性である。
結合がFVIIaアミド分解活性に影響を及ぼさない、GlaドメインにおけるZn2+結合部位に加えて、2つのZn2+結合部位が、FVIIのプロテアーゼドメインに位置づけられた(Petersen et al., (2000) Protein Sci. 9:859-866、 Bajaj et al., (2006) J. Biol. Chem. 281:24873-24888)。プロテアーゼドメインにおけるこれらの結合部位の位置づけは、第1のZn2+結合部位が、アミノ酸残基H216、E220、およびS222(キモトリプシンナンバリングによるH76、E80、およびS82)の側鎖を含み、第2のZn2+結合部位が、アミノ酸残基H257、D219、およびK161(キモトリプシンナンバリングによるH117、D79、およびK24)の側鎖を含むことを示す。
Zn2+は、そのため、FVII阻害因子としてのホメオスタシスの調節における生理学的役割を有することができる。これらの阻害効果は、血小板活性化の後の、血餅の部位でのZn2+濃度の増加の結果として生じることが推論された(Bajaj et al., (2006) J. Biol. Chem. 281:24873-24888)。血小板は、細胞質およびα−顆粒中に大量のZn2+を貯蔵しており、これらは、血小板活性化に際して放出される。これは、Zn2+の局所的濃度を増加させることができ、これは、順番に、FVIIa活性およびTFに対するFVIIa結合を阻害することができる。
Zn2+による阻害に対する抵抗性を増加させるための例示的な改変
Zn2+の阻害効果に対して増加した抵抗性を示す改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。これは、たとえば、Zn2+との相互作用および結合に関与する、FVIIにおける1つまたは複数の残基の突然変異によって、達成され、そのような結合を低下させまたは予防し、それによって、触媒活性およびTF結合に関して、Zn2+の阻害効果に抵抗性の改変FVIIポリペプチドを作製することができる。凝血促進治療薬としての対象への投与の後などのように、適切なインビトロアッセイまたはインビボアッセイにおいて評価した場合、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示すことができる。
プロテアーゼドメインにおいてZn2+結合に関与し得る残基における1つまたは複数の突然変異を有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。そのような残基は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置と比較したナンバリングで、K161、H216、D219、E220、S222、およびH257を含むが、これらに限定されない(それぞれ、キモトリプシンナンバリングによるK24、H76、D79、E80、S82、およびH117に対応する)。いくつかの例において、1つまたは複数のアミノ酸残基H216、S222、およびH257(それぞれ、キモトリプシンナンバリングによるH76、S82、およびH117に対応する)は、アミノ酸交換またはアミノ酸欠失などによって改変される。任意のアミノ酸残基は、同定される位置の内因性残基を交換するために使用することができる。たとえば、ヒスチジンが、セリン残基、アラニン残基、リシン残基、またはアルギニン残基とアミノ酸位置216で交換される改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。他の例において、アミノ酸位置222のセリンは、アラニン残基もしくはリシン残基と交換されるまたは位置257のヒスチジンは、アラニン残基もしくはセリン残基と交換される。さらなる実施形態において、位置161のリシンは、セリン残基、アラニン残基、またはバリン残基と交換される。改変はまた、Zn2+結合に関与するとして同定されるアミノ酸位置でのまたはその近くでのアミノ酸挿入を含む。そのような挿入は、Zn2+結合部位を破壊し、Zn2+に対する減少した結合性を有する改変FVIIポリペプチドをもたらすことができる。
FVIIポリペプチドにおける、複数の上記の同定される残基でアミノ酸交換がなされる組み合わせ突然変異体もまた生成することができる。そのような組み合わせ突然変異体の中に、残基K161、H216、D219、E220、S222、およびH257(それぞれ、キモトリプシンナンバリングによるK24、H76、D79、E80、S82、およびH117に対応する)の2つ以上の突然変異を有するものが含まれる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、2、3、4、5、または6の同定される位置でのアミノ酸置換を有することができる。したがって、改変ポリペプチドは、改変FVIIポリペプチドがZn2+に結合する減少した能力をもたらすことができる1、2、3、4、5、または6の突然変異を示すことができる。たとえば、FVIIポリペプチドは、位置222のセリンのリシンとのアミノ酸交換および位置257のヒスチジンのアラニン残基とのアミノ酸交換によって改変することができる。
Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性を有する改変FVIIポリペプチドは、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの抵抗性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の増加を示すことができる。そのような改変FVIIポリペプチドによるZn2+結合における低下、そのため、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性はまた、Zn2+の存在下において増加した凝固活性としても示すことができる。改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
表8は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置に対応する、同定される残基での例示的なアミノ酸交換の非限定的な例を提供する。これらの中に、例示的な組み合わせ突然変異が含まれる。述べられるように、そのようなFVIIポリペプチドは、Zn2+に結合するための低下した能力、そのため、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性を示すように設計される。したがって、改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性を有することができる。そのような突然変異に関して、第1のアミノ酸(1文字略語)は、交換されるアミノ酸に対応し、番号は、配列番号3に関する成熟FVIIポリペプチド配列における位置に対応し、第2のアミノ酸(1文字略語)は、その位置の第1のアミノ酸と交換する、選択されるアミノ酸に対応する。突然変異のためのアミノ酸位置はまたキモトリプシンナンバリング体系によっても表される。下記の表8において、改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。
Figure 0005659312
4. 変化したグリコシル化
タンパク質の特性および活性は、程度、レベル、および/またはグリコシル化の型を調整することによって変化させることができる。たとえば、グリコシル化は、安定性、溶解性を増加させることによっておよびタンパク質の免疫原性を低下させることによって、ポリペプチドの血清半減期を増加させることができる。グリコシル化は、タンパク質のタンパク質分解を低下させることによって、タンパク質の安定性を増加させることができ、熱分解、変性剤に対する曝露、酸素フリーラジカルによる損害、およびpHの変化からタンパク質を保護することができる。グリコシル化はまた、標的タンパク質が、細胞表面受容体を含む他のタンパク質に対する結合を含み得るクリアランスメカニズムを回避することを可能にすることができる。シアル酸を含有する炭水化物部分は、タンパク質の溶解性に影響を及ぼすことができる。シアル酸部分は高度に親水性であり、標的タンパク質の疎水性残基を遮蔽することができる。これは、標的タンパク質の凝集および沈殿を減少させる。減少した凝集はまた、標的タンパク質に対する免疫応答の予防を助ける。炭水化物は、さらに、免疫系から、免疫原性の配列を遮蔽することができる。炭水化物部分によって占められる空間の容量は、免疫系によって調査される、利用可能な表面積を減少させることができる。これらの特性は、標的タンパク質の免疫原性における低下に至る。
ポリペプチドが、グリコシル化が可能な真核細胞において産生される場合、それが、グリコシル化されるように、グリコシル化部位は、グリコシド結合を介しての単糖およびオリゴ糖のポリペプチドへの付加のための部位を提供する。2つの主な型のグリコシル化は、糖単位が、アスパラギン残基のアミド窒素を介して付加されるN結合型グリコシル化および糖単位が、セリン残基、トレオニン残基、ヒドロキシリシン残基、またはヒドロキシプロリン残基のヒドロキシル基を介して付加されるO結合型グリコシル化である。グリコシド連結のより少数の形態は、システインに対するS−連結およびトリプトファンに対するC−連結を含む。N結合型グリコシル化は、コンセンサス配列−Asn−Xaa−Ser/Thr/Cysにおけるアスパラギンにおいて生じ、ここで、Xaaは、プロリンではない。O−グリコシル化は、高度な割合のセリン残基、トレオニン残基、およびプロリン残基を有する配列において、より可能性が高いが、O−グリコシル化について知られているモチーフはない。しかしながら、潜在的なグリコシル化部位の存在は、その部位が、ERにおける翻訳後プロセシングの間にグリコシル化されるであろうということを保証するものではない。さらに、グリコシル化のレベルは、所与の部位で変わり得、ある部位は、様々なグリカン構造を有し得る。FVIIにおいて、4つの天然に存在するグリコシル化部位がある;配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドにおけるアミノ酸位置に対応する、N145およびN322での2つのN−グリコシル化部位ならびにS52およびS60での2つのO−グリコシル化部位。
グリコシル化を変化させるための例示的な改変
非改変FVIIポリペプチドと比較して、レベルおよび/またはグリコシル化の型を変化させることによって改変されるFVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。グリコシル化は、非改変FVIIと比較して、増加させるまたは減少させることができる。いくつかの場合において、グリコシル化のレベルは、増加しており、高度にグリコシル化されたFVIIポリペプチドをもたらす。これは、たとえば、炭水化物部分が連結される非改変FVIIポリペプチドにおいて見つけられない、少なくとも1つの非天然グリコシル化部位の組み入れによって達成することができる。高度にグリコシル化されたFVIIポリペプチドはまた、非改変FVIIポリペプチドにおいて見つけられるが、グリコシル化されていない、少なくとも1つの天然グリコシル化部位への炭水化物部分の連結によって生成することができる。他の例において、改変FVIIポリペプチドにおけるグリコシル化のレベルは、非改変FVIIポリペプチドと比較して減少している。これはアミノ酸交換または欠失などによって1つまたは複数の天然グリコシル化部位の排除によって達成することができる。配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するアミノ酸位置52、60、145、および322の1つまたは複数のアミノ酸残基は欠失させることができ、または炭水化物部分に連結することができないアミノ酸残基と交換することができる。たとえば、位置52および/または60のセリン残基は、アラニン残基と交換し、それによって、一方または両方の天然O−グリコシル化部位を排除することができる。したがって、FVIIポリペプチドにおけるグリコシル化部位は、導入する、変化させる、排除する、または再配置することができる。
FVIIポリペプチドは、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるために、1つまたは複数の位置で改変されてもよい。非改変FVIIポリペプチドと比較して、変化したグリコシル化を有する、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、グリコシル化、O結合型グリコシル化、N結合型グリコシル化、および/またはその組み合わせを有することができない。いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドは、それぞれ異なるグリコシル化部位に連結された、1、2、3、4、5、またはそれ以上の炭水化物部分を含む。グリコシル化部位は、天然グリコシル化部位および/または非天然グリコシル化部位とすることができる。いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドは、複数の非天然グリコシル化部位でグリコシル化される。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、1、2、3、4、5、またはそれ以上の非天然グリコシル化部位を導入するために改変することができる。
非天然グリコシル化部位は、アミノ酸交換によって導入することができる。O−グリコシル化部位は、たとえば、天然残基のセリンまたはトレオニンとのアミノ酸交換によって、生成することができる。N−グリコシル化部位は、モチーフAsn−Xaa−Ser/Thr/Cysを作ることによって、生成することができ、ここで、Xaaは、プロリンではない。アミノ酸改変によるこのコンセンサス配列の生成は、天然アミノ酸残基のアスパラギンとの交換、天然アミノ酸残基のセリン、トレオニン、もしくはシステインとの交換、または天然アミノ酸残基のアスパラギンとの交換、および天然残基のセリン、トレオニン、もしくはシステインとのアミノ酸交換を含むことができる。たとえば、位置109(配列番号3において記載される成熟FVIIのナンバリングに基づく)のリシンは、アスパラギンと交換し、EGF1ドメインにおける新しいAsn−Xaa−Serモチーフおよびアミノ酸位置109での新しいN−グリコシル化部位を生成することができる。他の例において、位置292のアラニンは、アスパラギンと交換され、アラニン位置294は、セリンと交換されて、新しいAsn−Xaa−Serモチーフおよびアミノ酸位置292での新しいN−グリコシル化部位を生成する。さらなる例において、位置175のアラニンは、セリンと交換されて、配列番号3において記載される成熟FVIIのナンバリングに基づくアミノ酸位置173〜175での新しいAsn−Xaa−Serモチーフおよびアミノ酸位置173での新しいN−グリコシル化部位を生成する。非天然グリコシル化部位は、FVIIポリペプチドにおける任意の領域において生成することができる。たとえば、1つまたは複数のグリコシル化部位は,EGF1ドメインの中に導入することができ、これは、配列番号3における成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置46〜82に対応する。他の例において、非天然グリコシル化部位は、FVIIポリペプチドのプロテアーゼドメイン領域の中にまたはタンパク質折り畳みに際してプロテアーゼドメイン領域と結合することができる位置に導入される。
天然グリコシル化部位は、グリコシル化を予防するまたはグリコシル化を増強するもしくは減少させるために改変することができるが、FVIIポリペプチドにおける他の位置は、非天然グリコシル化部位を導入するために改変することができる。いくつかの例において、FVIIポリペプチドの炭水化物含有量を改変することができる。たとえば、FVIIポリペプチドに追加される炭水化物部分の炭水化物連結の番号位置、結合強度、構造、および組成(つまり炭水化物のグリコシド連結または分岐の性質に基づく炭水化物の構造)は、変化させることができる。
変化したグリコシル化を有する、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、FVIIの少なくとも1つの活性を保持する。典型的には、変化したグリコシル化を有する、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIと比較して、増加した血液凝固活性を示す。いくつかの例において、FVIIポリペプチドのグリコシル化のレベルは、増加している。グリコシル化のレベルは、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドのグリコシル化のレベルと比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。他の例において、グリコシル化のレベルは、減少している。グリコシル化のレベルは、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドのグリコシル化のレベルと比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、減少させることができる。改変FVIIポリペプチド上に存在するグリコシル化の型における変化したグリコシル化レベルまたは変化は、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した凝固活性として示すことができる。変化したグリコシル化を有する改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
表9は、グリコシル化部位を追加するまたは排除することによってグリコシル化レベルを変化させるために改変FVIIポリペプチドにおいて含まれる、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置に対応する、例示的なアミノ酸交換の非限定的な例を提供する。例示的なアミノ酸交換は、非天然グリコシル化部位を生成するまたは天然グリコシル化部位を排除することができる。いくつかの場合において、2つのアミノ酸交換が、新しいグリコシル化部位を生成するために必要とされる。FVIIポリペプチドにおける複数の新しい非天然グリコシル化部位を生成する、例示的な組み合わせ突然変異もまた、表9において含まれる。上記に述べられるように、グリコシル化レベルにおける変化は、たとえば、半減期を増加させることができる。したがって、改変FVIIポリペプチドは、血液凝固活性を増加させることができる。そのような突然変異に関して、第1のアミノ酸(1文字略語)は、交換されるアミノ酸に対応し、番号は、配列番号3に関する成熟FVIIポリペプチド配列における位置に対応し、第2のアミノ酸(1文字略語)は、その位置の第1のアミノ酸と交換する、選択されるアミノ酸に対応する。突然変異のためのアミノ酸位置はまた、必要に応じて、キモトリプシンナンバリング体系によっても表される。改変アミノ酸位置が対応するキモトリプシン番号を有していない(つまり、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するアミノ酸位置153〜406内になく、上記の表1において記載されていない)場合、位置は、成熟FVIIナンバリングを使用して、括弧中に表される。たとえば、A51Nは、対応するキモトリプシン番号を有しておらず、キモトリプシンナンバリングを指す場合、A[51]Nとして記載される。下記の表9において、改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。改変によって生成される任意の新しい非天然グリコシル化部位(1つまたは複数)もまた、表9において同定される。
Figure 0005659312
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5. 血清アルブミンおよび/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性
組換え非改変FVIIは、ヒトにおいて、わずか1.5〜3時間の血清半減期を有する。FVIIポリペプチドの血清半減期を増加させることにより、治療効果に必要とされる投薬の量および頻度を低下させることができる。グリコシル化の増加、プロテアーゼ抵抗性の増加、ペグ化、ならびに血清アルブミンおよびIgGのFc部分などのような、より大きなタンパク質へのコンジュゲートまたは融合を含むが、これらに限定されない、いくつかの戦略は、血清半減期を増加させるために利用することができる。そのような改変は、たとえば、血清プロテアーゼによるFVIIポリペプチドの低下した分解、低下した腎クリアランス、低下した肝クリアランス、および免疫系による低下した中和またはクリアランスをもたらすことができる。FVIIポリペプチドの血清半減期を増加させるために利用することができる他の戦略は、非改変FVIIポリペプチドにおいて観察されない、新しいまたは改善されたタンパク質間相互作用を作るための、非改変FVIIポリペプチドの中への結合配列の移植を含む。
非改変FVIIポリペプチドの中に挿入される結合配列は、他のタンパク質との相互作用を容易にする、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、またはそれ以上のアミノ酸残基を含有することができる。結合配列は、天然タンパク質において天然に存在する結合配列に対応し得る、または天然タンパク質において天然に存在する結合配列との配列の相互関係をほとんどまたは全く有していない合成結合配列とすることができる。本明細書におけるFVIIポリペプチドを改変するために使用される結合配列は、とりわけ、他のタンパク質上の結合部位と相互作用し、非共有タンパク質間相互作用を作る。いくつかの例において、結合配列が特異的なタンパク質は、たとえば血清アルブミンなどのような血清タンパク質である。そのような配列は、当技術分野においてよく知られている(たとえばUS20030069395、US20040009534、およびUS20070202045を参照されたい)。他の例において、結合配列によって認識されるタンパク質は、たとえば血小板インテグリンαIIbβなどのような細胞表面受容体またはリガンドである(Smith et al. (1995) J. Biol. Chem. 270:30486-30490)。改変FVIIポリペプチドが血清タンパク質または細胞表面受容体に結合する親和性は、1μM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM、1pM、またはそれ未満の解離定数(Kd)によって典型的に特徴づけられる。結合配列を介しての血清タンパク質または細胞表面受容体への改変FVIIポリペプチドの結合は、たとえば、非改変FVIIポリペプチドと比較して、改変FVIIポリペプチドの腎クリアランスまたは肝クリアランスを低下させることができる。いくつかの例において、細胞表面受容体への改変FVIIポリペプチドの結合はまた、望ましい細胞もしくは組織型または身体における領域に改変FVIIポリペプチドを向け、それによって、たとえば凝血などのように、特定の部位にそのFVIIポリペプチドを「集結させる」ことができる。したがって、移植された結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した半減期を示すことができる。
a. 血清アルブミン結合配列を有する例示的なFVIIポリペプチド
血清アルブミン結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。改変FVIIポリペプチドは、インビトロまたはインビボにおいて血清アルブミンに結合し、増加した半減期をもたらすことができる。したがって、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した半減期を有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。凝血促進治療薬としての対象への投与の後などのように、適切なインビトロアッセイまたはインビボアッセイにおいて評価した場合、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示すことができる。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、血清アルブミン結合配列を含有することができる。血清アルブミン結合配列は、非改変FVIIポリペプチド内に挿入することができ、またはFVIIポリペプチドのC−末端もしくはN−末端に連結することができる。たとえば、血清アルブミン結合配列は、FVIIポリペプチドのC−末端のアミノ酸位置406のプロリン残基から伸長することができる(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する)。結合配列が、FVIIポリペプチド内に挿入される場合、挿入は、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが、非改変FVIIポリペプチドの少なくとも1つの活性を保持するように位置するものとする。結合配列は、FVIIポリペプチドにおける任意のアミノ酸残基を除去することなく、FVIIポリペプチドの中に挿入することができるまたはFVIIポリペプチドにおける1つまたは複数のアミノ酸残基と交換することができる。いくつかの例において、血清アルブミン結合配列は、S103〜S111のアミノ酸残基と交換して(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する)、改変FVIIポリペプチドを生成する。他の例において、血清アルブミン結合配列は、アミノ酸残基H115〜S126またはT128〜P134と交換される(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する)。例示的な血清アルブミン結合配列は、配列番号206〜212において記載される。
表10は、血清アルブミン結合配列を挿入するためにFVIIポリペプチドになすことができる例示的な改変の非限定的な例を提供する。上記に述べられるように、血清アルブミン結合配列の包含は、FVIIポリペプチドの半減期を増加させることができる。したがって、改変FVIIポリペプチドは、血液凝固活性を増加させることができる。表10において列挙される改変に関して、血清アルブミン結合配列がFVIIポリペプチドにおいて挿入されるアミノ酸残基および結合配列の配列は、共に、表中に表される。たとえば、S103S111delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDFは、非改変FVIIポリペプチド完全長ナンバリングのアミノ酸残基S103〜S111(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチド配列に対応する残基)が、欠失しており、アミノ酸配列QRLMEDICLPRWGCLWEDDF(配列番号206)を有する血清アルブミン結合配列と交換されたことを示す。P406などのようなただ1つのアミノ酸残基の記載は、血清アルブミン結合配列が、P406の後に挿入され、アミノ酸残基が、FVIIポリペプチドから欠失されていないことを示す。突然変異のためのアミノ酸位置はまた、必要に応じて、キモトリプシンナンバリング体系によっても表される。改変アミノ酸位置が対応するキモトリプシン番号を有していない(つまり、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するアミノ酸位置153〜406内になく、上記の表1において記載されていない)場合、位置は、成熟FVIIナンバリングを使用して、括弧中に表される。たとえば、キモトリプシンナンバリングを指す場合、S103は、対応するキモトリプシン番号を有しておらず、S[103]として記載される。下記の表10において、改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。
Figure 0005659312
血清アルブミン結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドは、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、血清アルブミンに対する非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの結合と比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の血清アルブミンに対する増加した結合性を示すことができる。血清アルブミンに結合することができる改変FVIIポリペプチドは、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの血清半減期と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の増加した血清半減期を示すことができる。増加した血清アルブミン結合性および/またはそのような改変FVIIポリペプチドの増加した血清半減期はまた、増加した凝固活性、血液凝固活性の継続期間、および/または増強した治療指数としても示すことができる。改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
b. 血小板インテグリンαIIbβ結合配列を有する例示的なFVIIポリペプチド
血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。血小板インテグリンαIIbβ(糖タンパク質(GP)IIb/IIIaとも呼ばれる)は、最も豊富な血小板接着受容体である。それは、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フォンウィルブランド因子、およびトロンボスポンジンを含むが、これらに限定されないタンパク質に対する受容体として働くカルシウム依存性ヘテロ二量体である。「同族」タンパク質リガンドに対する結合は、αIIbβを活性化することができ、タンパク質の細胞間ドメインを介しての細胞質におけるシグナル伝達を誘発する。血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する改変FVIIポリペプチドは、そのため、血小板に結合することができる。改変FVIIポリペプチドは、インビトロまたはインビボにおいて、血小板インテグリンαIIbβ(活性化形態および/または非活性化形態)に結合し、増加した半減期をもたらすことができる。そのため、活性化αIIbβに選択的に結合するFVIIa変異体は、活性化血小板に向けることができ、したがって、進展する凝血の部位に集結することができる。進展する凝血へのFVIIaの選択的ターゲティングは、効能および治療指数の両方を改善することによって、変異体の治療的有用性を改善することが予想されるであろう。したがって、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した半減期を有する改変FVIIポリペプチドおよび活性化血小板にさらに選択的に結合する変異体が、本明細書において提供される。凝血促進治療薬としての対象への投与の後などのように、適切なインビトロアッセイまたはインビボアッセイにおいて評価した場合、改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示すことができる。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する。血小板インテグリンαIIbβ結合配列は、非改変FVIIポリペプチド内に挿入することができ、またはFVIIポリペプチドのC−末端もしくはN−末端に連結することができる。たとえば、αIIbβ結合配列は、FVIIポリペプチドのC−末端のアミノ酸位置406のプロリン残基から伸長することができる(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する)。結合配列が、FVIIポリペプチド内に挿入される場合、挿入は、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが、非改変FVIIポリペプチドの少なくとも1つの活性を保持するように位置するものとする。結合配列は、FVIIポリペプチドにおける任意のアミノ酸残基を除去することなく、FVIIポリペプチドの中に挿入することができ、またはFVIIポリペプチドにおける1つまたは複数のアミノ酸残基と交換することができる。いくつかの例において、血小板インテグリンαIIbβ結合配列は、S103〜S111のアミノ酸残基と交換して(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する)、改変FVIIポリペプチドを生成する。他の例において、αIIbβ結合配列は、アミノ酸残基H115〜S126またはT128〜P134と交換される(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する)。例示的な血小板インテグリンαIIbβ結合配列は、配列番号213〜215において記載される。
表11は、血小板インテグリンαIIbβ結合配列を挿入するためにFVIIポリペプチドになすことができる例示的な改変の非限定的な例を提供する。上記に述べられるように、血小板インテグリンαIIbβ結合配列の包含は、FVIIポリペプチドの血清半減期を増加させることができる、および/または進展する凝血にタンパク質を向けることができる。したがって、改変FVIIポリペプチドは、血液凝固活性を増加させることができる。表11において列挙される改変に関して、血小板インテグリンαIIbβ結合配列がFVIIポリペプチドにおいて挿入されるアミノ酸残基および結合配列の配列は、共に、表中に表される。たとえば、H115S126delins SFGRGDIRNVは、非改変FVIIポリペプチド完全長ナンバリングのアミノ酸残基H115〜S126(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチド配列に対応する残基)が、欠失しており、アミノ酸配列SFGRGDIRNV(配列番号213)を有するαIIbβ結合配列と交換されたことを示す。P406などのようなただ1つのアミノ酸残基の記載は、αIIbβ結合配列が、P406の後に挿入され、アミノ酸残基が、FVIIポリペプチドから欠失されていないことを示す。突然変異のためのアミノ酸位置はまた、必要に応じて、キモトリプシンナンバリング体系によっても表される。改変アミノ酸位置が対応するキモトリプシン番号を有していない(つまり、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するアミノ酸位置153〜406内になく、上記の表1において記載されていない)場合、位置は、成熟FVIIナンバリングを使用して、括弧中に表される。たとえば、キモトリプシンナンバリングを指す場合、S103は、対応するキモトリプシン番号を有しておらず、S[103]として記載される。下記の表11において、改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。
Figure 0005659312
血小板インテグリンαIIbβ結合配列を含有する改変(修飾)FVIIポリペプチドは、インビボにおいて、血小板インテグリンαIIbβに対する非改変(非修飾)FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの結合性と比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性を示すことができる。血小板インテグリンαIIbβ介して血小板に結合することができる改変(修飾)FVIIポリペプチドは、インビトロ、インビボ、またはエクスビボのいずれかにおいて、非改変(修飾)FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの半減期と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上の、増加した半減期を示すことができる。そのような改変(修飾)FVIIポリペプチドの増加した半減期はまた、増加した凝固活性、血液凝固活性の継続期間、および/または増強した治療指数としても示すことができる。たとえば、改変(修飾)FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変(修飾)FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
6. 異種Glaドメインの導入による改変(修飾)
FVII、FIX、FX、プロトロンビン、プロテインC、およびプロテインSなどのようなビタミンK依存性血漿タンパク質のγ−カルボキシル化Glaドメインにおける残基ならびに膜表面上の負電荷リン脂質の相互作用は、止血にとって重要である。ビタミンK依存性血漿タンパク質のGlaドメインは、典型的に約45アミノ酸を含有し、このうちの9〜12のグルタミン酸残基は、ビタミンK依存性カルボキシル化によって翻訳後修飾されて、γ−カルボキシグルタミン酸(Gla)を形成する。Glaドメインを形成するアミノ酸は、タンパク質のシグナルペプチドおよびプロペプチドを形成するものの直後に位置し、そのため、前駆体ポリペプチドの成熟タンパク質へのプロセシングおよび切断の後にN−末端に位置する。たとえば、FVIIにおいてGlaドメインを形成するアミノ酸は、配列番号1において記載される前駆体ポリペプチドの位置39〜83、配列番号2において記載される前駆体ポリペプチドの位置61〜105、および配列番号3において記載される成熟ポリペプチドの位置1〜45にある。これらのうち、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドの位置E6、E7、E14、E19、E20、E25、E26、E29、およびE35の10のグルタミン酸残基は、カルボキシル化によって修飾されて、γ−カルボキシグルタミン酸(Gla)残基を生成する。
活性化血小板に対するその比較的低い結合親和性により、FVIIのGlaドメインは、改変FVIIおよびリン脂質膜の間の相互作用を増強し、それによって凝固活性を増加させるための、改変の標的となる。改変は、この相互作用に関与する特異的なアミノ酸の置換によって達成することができる(たとえばShah et al. PNAS 95: 4429-4234、Harvey et al. (2003) J Biol Chem 278:8363-8369を参照されたい)。代わりに、改変は、他のビタミンK依存性タンパク質のGlaドメインとの全Glaドメインの置換、つまりGlaドメインswapによって達成することができる。この種の改変は、プロテインCのGlaドメインがFVIIのGlaドメインと交換された場合、結果として生じるものなどのようなキメラタンパク質をもたらす(Geng et al. (1997) Thromb Haemost 77:926-933)。
典型的には、そのような改変は、キメラ改変FVIIポリペプチドを生成するための、異種GlaドメインまたはFVIIポリペプチドの領域の中へのリン脂質結合を達成するのに十分なその部分の追加または置換などによる導入を含む。一般に、そのようなキメラFVIIポリペプチドは、FVIIの少なくとも1つの活性を保持する。活性化血小板に対するGla改変FVIIポリペプチドの結合性および/または親和性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの結合性および/または親和性と比較して、少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。改変FVIIポリペプチドによる活性化血小板に対する結合性および/または親和性はまた、増加した凝固活性としても示すことができる。Gla改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボまたはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
任意のポリペプチド内に含有されるGlaドメインまたは異種Glaドメインの30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上などのような、リン脂質結合を行うのに十分なその部分は、FVIIポリペプチドの領域の導入または交換のための異種Glaドメインの供給源として使用することができる。典型的には、そのような異種Glaドメインは、リン脂質、たとえば、活性化血小板の表面上に存在するリン脂質に対して結合親和性を示す。一般に、異種Glaドメインのうちで選ばれるものは、FVIIのGlaドメインの親和性と比較して、リン脂質に対するより高度な親和性を示すものである。FVIIポリペプチドの改変のために異種ドメインとして使用される完全なGlaドメインまたは十分なその部分は、合理的にまたは経験的に決定することができる。例示的な他のGla含有ポリペプチドは、FIX、FX、プロトロンビン、プロテインC、プロテインS、オステオカルシン、マトリックスGlaタンパク質、増殖停止特異的タンパク質6(Gas6)、およびプロテインZを含むが、これらに限定されない。これらの例示的なタンパク質のGlaドメインは、配列番号83〜91のいずれかにおいて記載される。たとえば、異種Glaドメインの2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、またはそれ以上の隣接するアミノ酸または全Glaドメインは、FVIIポリペプチドの中に導入することができる。さらに、FVIIポリペプチドへのGlaドメインの導入はまた、さらなるアミノ酸が、導入されたGlaドメインのリン脂質結合能力を有意に弱めない限り、異種ポリペプチドのGlaドメインの一部ではない、さらなるアミノ酸を含むこともできる。
いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドが、FVIIの少なくとも1つの活性を保持する限り、導入は、異種Glaドメインが、内因性Glaドメインの中にまたはFVIIポリペプチドの他の領域もしくはドメインの中に挿入されるように、FVIIポリペプチドへのGlaドメインの追加によるものである。そのような実施例において、いくつかの場合において、天然Glaドメインを構成するアミノ酸配列が断続性であるが、FVIIポリペプチドの天然Glaドメインは、ポリペプチドにおいて保持される。他の例において、異種Glaドメインまたは十分なその部分は、天然Glaドメインが断続性とならないように、挿入されて、天然GlaドメインのN−末端またはC−末端上に近接する。さらなる例において、異種Glaドメインまたは十分なその部分は、FVIIポリペプチドの他のドメインの中に挿入される。
改変FVIIポリペプチドが、FVIIの少なくとも1つの活性を保持する限り、FVIIの内因性Glaドメインのすべての部分または連続(contiguous)部分が除去され、異種Glaドメインまたはリン脂質結合を達成するのに十分なその部分と交換される改変GlaドメインFVIIポリペプチドもまた、本明細書において提供される。そのような改変はまた、Glaドメインswapとも呼ばれる。例示的なGla swap改変は、FIX(配列番号83)、FX(配列番号84)、トロンビン(配列番号85)、プロテインC(配列番号86)、またはプロテインS(配列番号87)のいずれか1つのGlaドメインのすべてまたは部分と内因性Glaドメインが交換されるものである。そのような改変は、それぞれ、「Gla Swap FIX」、「Gla Swap FX」、「Gla Swapトロンビン」、「Gla Swap Prot C」、および「Gla Swap Prot S」と呼ばれる。そのような改変FVIIポリペプチドは、活性化血小板に対して増加した結合性を示し、増加した血液凝固活性をもたらすことができる。「Gla swap FIX」改変は、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)を欠失させることによる、内因性FVII Glaドメインの欠失および配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸残基Y1〜Y45に対応する45アミノ酸残基の挿入を含む。Gla Swap FX改変は、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)の欠失および配列番号84において記載されるFX GlaドメインのA1〜Y44に対応する44アミノ酸残基の挿入を含む。Gla Swapトロンビン改変は、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)の欠失および配列番号85において記載されるトロンビンGlaドメインのアミノ酸残基Y1〜Y44に対応する44アミノ酸残基の挿入を含む。Gla SwapプロテインC改変は、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)の欠失および配列番号86において記載されるプロテインC Glaドメインのアミノ酸残基A1〜H44に対応する44アミノ酸残基の挿入を含む。Gla SwapプロテインS改変は、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)の欠失および配列番号87において記載されるプロテインS Glaドメインのアミノ酸残基Y1〜Y44に対応する44アミノ酸残基の挿入を含む。
いくつかの例において、アミノ酸置換もしくはアミノ酸交換、アミノ酸挿入、および/またはアミノ酸欠失を含むが、これらに限定されない改変は、FVIIポリペプチドの中に導入されている異種Glaドメインに対してなされる。そのような改変は、たとえば、異種Glaドメインの野生型形態で観察される結合性と比較して増加したリン脂質結合性により、活性化血小板に対する増加した結合を行うことができる。たとえば、第IX因子Glaドメインまたはそのリン脂質結合性部分が、FVIIポリペプチドの中に導入されて、改変FVIIポリペプチドを生成する場合、第IX因子Glaドメインは、野生型第IX因子Glaドメインと比較して、増加したリン脂質結合性を付与するアミノ酸突然変異を含有することができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドにおいて含有される異種Glaドメインは、アミノ酸置換もしくはアミノ酸交換、アミノ酸挿入、および/またはアミノ酸欠失などのような、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の改変を含有することができる。
いくつかの例において、異種Glaドメインにおける改変(1つまたは複数)は、リン脂質結合性を増加させる。他の例において、異種Glaドメインは、異種Glaドメインの野生型形態と比較して、FVII様の機能を異種Glaドメインに付与する1つまたは複数の突然変異を含有することができる。たとえば、上記に述べられるように、配列番号119において記載されるFVII GlaドメインのR36は、FXとの相互作用に関与することができる。したがって、異種Glaドメインは、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドの位置36のアルギニンを維持するために必要とされる任意のものまたは改変FVIIaポリペプチドのFX活性化特性を維持するために必要とされる任意の他の改変などのようなさらなる改変を含有することができる(Ruf et al. (1999) Biochem 38:1957-1966)。したがって、いくつかの例において、R36に対応する突然変異は、異種Glaドメインにおいてなすことができる。対応する位置は、アミノ酸配列のアライメントなどによって当業者によって決定することができる。
Gla swap改変を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供され、異種Glaドメインまたはそのリン脂質結合性部分は、野生型異種Glaドメインと比較して、1つまたは複数の突然変異を含有し、いくつかまたはすべての内因性FVII Glaドメインの交換によって、FVIIポリペプチドの中に導入される。一例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、「Gla swap FIX」改変を含有し、これは、上記に記載されるように、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)を欠失させることによる、内因性FVII Glaドメインの欠失および配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸残基Y1〜Y45に対応する45アミノ酸残基の挿入を含む。Gla swap改変において使用されるFIX Glaドメインは、配列番号83において記載されるFIX Glaドメインの野生型形態と比較して、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、またはアミノ酸挿入などのような1、2、3、4、5、またはそれ以上の突然変異などのような、1つまたは複数の突然変異を含有することができる。たとえば、「Gla swap FIX」改変FVIIポリペプチドにおける異種FIX Glaドメインは、配列番号83において記載されるFIX GlaドメインのM19、E40、K43、および/またはQ44に対応するアミノ酸位置に1つまたは複数のアミノ酸置換を含有することができる。
一例において、FIX Glaドメインは、M19Kアミノ酸置換を含有する。そのような改変は、{Gla Swap FIX/M19K}によって表され、つまり、配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸位置19に対応するアミノ酸位置のメチオニンは、リシンと交換される。さらなる例において、改変FVIIポリペプチドにおける改変異種FIX Glaドメインは、{FIX Gla Swap/E40L}によって表される、E40Lアミノ酸置換を含有し、それにより配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸位置40に対応するアミノ酸位置のグルタミン酸は、ロイシンと交換される。K43I置換({Gla Swap FIX/K43I}によって表される)を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供され、配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸位置43に対応するアミノ酸位置のリシンは、イソロイシンと交換される。他の例において、改変FVIIポリペプチドにおける改変異種FIX Glaドメインは、{FIX Gla swap/Q44S}によって表される、Q44Sアミノ酸置換を含有し、それにより配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸位置44に対応するアミノ酸位置のグルタミンは、セリンと交換される。一例において、異種FIX Glaドメインは、M19K/E40L/K43I/Q44Sアミノ酸置換を含有する。
改変異種Glaドメインなどのような異種Glaドメインを含有する改変FVIIポリペプチドは、活性化血小板に対する増加した結合性および/または親和性により、NovoSeven(登録商標)などのように、野生型FVII分子と比較して、より低用量で、増加した血液凝固活性を示すことができる。Gla改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、インビボ、エクスビボ、またはインビトロのいずれかにおいて、非改変FVIIポリペプチドまたは野生型FVIIポリペプチドの凝固活性と比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上、増加させることができる。
7. 組み合わせおよびさらなる改変
上記に記載される、任意の1つまたは複数の改変は、上記に記載されるまたは当技術分野における他のところで記載される、任意の他の改変(1つまたは複数)と組み合わせることができる。したがって、AT−IIIに対する増加した抵抗性、増加した触媒活性、Zn2+による阻害に対する増加した抵抗性、変化したグリコシル化、増加した半減期などのような改善された薬物動態学的特性、血清アルブミンに対する増加した結合性および/もしくは親和性、リン脂質に対する増加した結合性および/もしくは親和性、または血小板インテグリン血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/もしくは親和性を有するためのFVIIポリペプチドの改変に加えて、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、上記に述べられる複数の特性を示すものを含む。典型的には、そのようなさらなる改変は、それら自体が、改変ポリペプチドの増加した血液凝固活性および/またはポリペプチドの増加した安定性をもたらすものである。したがって、結果として生じる改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性を示す。さらなる改変は、たとえば、当技術分野において知られている任意のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、またはアミノ酸挿入、典型的には、FVIIポリペプチドの血液凝固活性および/または安定性を増加させる任意のものを含むことができる。本明細書において提供される任意の改変FVIIポリペプチドは、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが野生型ポリペプチドまたは非改変ポリペプチドのFVII活性を保持する限り、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上のさらなるアミノ酸改変を含有することができる。
一例において、さらなる改変は、他の因子、分子、およびタンパク質とのその相互作用が変化するように、FVIIポリペプチド配列に対してなすことができる。たとえば、組織因子経路阻害因子(TFPI)との相互作用に関与するアミノ酸残基は、TFに対する改変FVIIポリペプチドの親和性および/または結合性が減少するように、交換することができる。他の改変は、第X因子、第IX因子、組織因子(TF)、およびリン脂質との相互作用に関与するアミノ酸の改変を含むが、これらに限定されない。いくつかの例において、FVIIポリペプチド配列に対してなされる改変は、たとえば血清アルブミン結合配列または糖タンパク質IIb〜IIIaの結合配列などのような結合配列を構成するアミノ酸の挿入を含む。
ポリペプチドのコンホメーションまたは折り畳みを変化させるさらなる改変もまた、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドに対してなすことができる。これらは、たとえば、新しいジスルフィド結合が形成されるような、1つもしくは複数のアミノ酸のシステインとの交換またはα−ヘリックスコンホメーションを安定化する改変を含み、それによって、改変FVIIポリペプチドに対して増加した活性を与える。
さらなる改変もまた、翻訳後修飾を達成するためにFVIIポリペプチドに対してなすことができる。たとえば、ポリペプチドは、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加したグリコシル化を有するように、さらなるグリコシル化部位を含むように改変することができる。改変はまた、改変FVIIポリペプチドの安定性を増加させるように作用するものなどのような化学的部分に引き続いて連結することができるアミノ酸残基を導入するためになすことができる。FVIIポリペプチドの安定性はまた、潜在的なタンパク質分解部位を改変することによって変化させ、それによって、プロテアーゼに対する改変FVIIポリペプチドの抵抗性を増加させることができる。
さらに、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、またはアミノ酸挿入は、改変FVIIポリペプチドが、リン脂質膜に対する増加した結合性および/または親和性を示すように、内因性Glaドメインにおいてなすことができる。そのような改変は、単一のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、および/もしくはアミノ酸挿入を含むことができる、または複数のアミノ酸のアミノ酸置換、アミノ酸欠失、もしくはアミノ酸挿入を含むことができる。たとえば、内因性Glaドメインのすべてまたは一部分は、異種Glaドメインのすべてまたは一部分と交換することができる。他の例において、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、内因性Glaドメインにおける欠失または通常γ−カルボキシル化される位置における置換を示すことができる(US20070037746)。
以下の部は、FVIIポリペプチドの増加した安定性および/または血液凝固活性を達成するための、当技術分野において記載される例示的な改変の非限定的な例を記載する。上記に議論されるように、そのような改変は、また、本明細書において提供される任意の改変FVIIポリペプチドにおいてさらに含むことができる。下記に言及されるアミノ酸位置は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する。対応する突然変異は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドの対立遺伝子変異体、種変異体、またはスプライス変異体などのような他のFVIIポリペプチドにおいてなすことができる。
a. TFPIに対する抵抗性を増加させる改変
一例において、TFPIに対する増加した抵抗性をもたらす、さらなる改変は、成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸位置286の改変を含有する改変FVIIポリペプチドに対してなすことができる。たとえば、TFPIに対するそのような抵抗性は、そのような結合を低下させまたは予防し、それによって、凝固開始に関して、TFPIの天然に阻害性の効果に対して抵抗性の改変FVIIポリペプチドを作製するために、TFPIとの相互作用および結合に関与する、FVIIにおける1つまたは複数の残基の突然変異によって達成することができる。たとえば、その改変は、FVII/TFPI接触残基または相互作用表面に近接した残基であるアミノ酸残基でなすことができる。
TFPIに対する抵抗性を増加させるために、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドにおいて含むことができるさらなる改変の例は、国際特許出願公開WO2004/083361、Neuenschwander et al., (1995) Biochemistry 34:8701-8707、Chang et al., (1999) Biochemistry 38:10940-10948、およびIakhiaev et al., (2001) Thromb. Haemost. 85:458-463ならびに関連する米国特許出願第12/082,662号において記載されるものを含むが、これらに限定されない。改変FVIIポリペプチドのTFPIに対する増加した抵抗性をもたらすことができる、当技術分野において記載される例示的なアミノ酸改変の非限定的な例は、任意の1つまたは複数のQ176、D196K、D196R、D196A、D196Y、D196F、D196W、D196L、D196I、K197Y、K197A、K197E、K197D、K197L、K197M、K197I、K197V、K197F、K197W、K199A、K199D、K199E、G237W、G237T、G237I、G237V、T239A、R290A、R290E、R290D、R290N、R290Q、R290K、R290M、R290V、K341E、K341R、K341Q、K341N、K341M、K341D、G237T238insA、G237T238insS、G237T238insV、G237T238insAS、G237T238insSA、D196K197insK、D196K197insR、D196K197insY、D196K197insW、D196K197insA、D196K197insM、K197I198insE、K197I198insY、K197I198insAおよびK197I198insSを含む(たとえば、G237T238insASは、アラニン(A)およびセリン(S)が、位置237のグリシン(G237)および位置238のトレオニンの間に挿入されている改変を表す)。
b. 内因活性を増加させる改変
一例において、第X因子に対する増加した触媒活性をもたらすさらなる改変は、本明細書において提供される改変第VII因子ポリペプチドに対してなすことができる。たとえば、改変は、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが、TFに対する親和性を増加させ、それによってFXに対する増加した活性を示すように、その補因子、TFとの相互作用に関与するアミノ酸に対してなすことができる。改変はまた、FXに対する改変FVIIポリペプチドの内因活性が、非改変ポリペプチドの活性と比較して増加するように、FVIIポリペプチドの活性化ポケットに対してなすこともできる。増加した活性をもたらす他の改変戦略は、タンパク質の折り畳みおよびコンホメーションが、より活性な形態に変化するような、FVIIポリペプチドの改変を含む。たとえば、アミノ酸置換は、プロテアーゼドメインのα−ヘリックスループ領域(配列番号3において記載される成熟配列の位置305〜321に対応する)が、プロテアーゼドメインの主要部に対してより密接に安定化され、折り畳まれて、改変FVIIポリペプチドに対してよりチモーゲン様の形状を付与するように、なすことができる。より活性のポリペプチドはまた、FVIIポリペプチドのβ鎖において含まれるアミノ酸の改変によって達成することができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドをより活性の形態に「固定する」ために機能することができる、新しいジスルフィド結合を形成することができる、新しいシステイン対を導入するアミノ酸置換は、なすことができる。
改変FVIIポリペプチドの内因活性を増加させるための、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドにおいて含むことができるさらなる改変の例は、Persson et al. (2004) Biochem J. 379:497-503、Maun et al. (2005) Prot Sci 14:1171-1180、Persson et al. (2001) PNAS 98:13583-13588、Persson et al. (2002) Eur J Biochem 269:5950-5955、Soejima et al. (2001) J Biol Chem 276:17229-17235、Soejima et al. (2002) J Biol Chem 277:49027-49035、WO200183725、WO2002022776、WO2002038162、WO2003027147、WO200338162、WO2004029090、WO2004029091、WO2004108763、およびWO2004111242において記載されるものを含むが、これらに限定されない。改変FVIIポリペプチドの増加した内因活性をもたらすことができる、当技術分野において記載される例示的なアミノ酸改変の非限定的な例は、任意の1つまたは複数のS279C/V302C、L280C/N301C、V281C/V302C、S282C/V299C、S314E、L39E、L39Q、L39H、I42R、S43Q、S53N、K62E、K62R、K62D、K62N、K62Q、K62T、L65Q、L65S、F71D、F71Y、F71E、F71Q、F71N、P74S、P74A、A75E、A75D、E77A、E82Q、E82N、T83K、E116D、K157V、K157L、K157I、K157M、K157F、K157W、K157P、K157G、K157S、K157T、K157C、K157Y、K157N、K157E、K157R、K157H、K157D、K157Q、V158L、V158I、V158M、V158F、V158W、V158P、V158G、V158S、V158T、V158C、V158Y、V158N、V158E、V158R、V158K、V158H、V158D、V158Q、A274M、A274L、A274K、A274R、A274D、A274V、A274I、A274F、A274W、A274P、A274G、A274T、A274C、A274Y、A274N、A274E、A274H、A274S、A274Q、F275H、E296V、E296L、E296I、E296M、E296F、E296W、E296P、E296G、E296S、E296T、E296C、E296Y、E296N、E296K、E296R、E296H、E296D、E296Q、M298Q、M298V、M298L、M298I、M298F、M298W、M298P、M298G、M298S、M298T、M298C、M298Y、M298N、M298K、M298R、M298H、M298E、M298D、R304Y、R304F、R304L、R304M、L305V、L305Y、L305I、L305F、L305A、L305M、L305W、L305P、L305G、L305S、L305T、L305C、L305N、L305E、L305K、L305R、L305H、L305D、L305Q、M306D、M306N、D309S、D309T、S314A、S314V、S314I、S314M、S314F、S314W、S314P、S314G、S314L、S314T、S314C、S314Y、S314N、S314E、S314K、S314R、S314H、S314D、S314Q、D334G、D334E、D334A、D334V、D334I、D334M、D334F、D334W、D334P、D334L、D334T、D334C、D334Y、D334N、D334K、D334R、D334H、D334S、D334Q、S336G、S336E、S336A、S336V、S336I、S336M、S336F、S336W、S336P、S336L、S336T、S336C、S336Y、S336N、S336K、S336R、S336H、S336D、S336Q、K337L、K337V、K337I、K337M、K337F、K337W、K337P、K337G、K337S、K337T、K337C、K337Y、K337N、K337E、K337R、K337H、K337D、K337Q、F374P、F374A、F374V、F374I、F374L、F374M、F374W、F374G、F374S、F374T、F374C、F374Y、F374N、F374E、F374K、F374R、F374H、F374D、F374Q、および位置300〜322、305〜322、300〜312、または305〜312の、トリプシン、トロンビン、またはFXに由来する対応するアミノ酸との置換、および位置310〜329、311〜322、または233〜329の、トリプシンに由来する対応するアミノ酸との置換を含む。
c. プロテアーゼに対する抵抗性を増加させる改変
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、プロテアーゼに対するポリペプチドの増加した抵抗性をもたらす、さらなる改変を含有することができる。たとえば、1つまたは複数の潜在的なタンパク質分解による切断部位を除去するアミノ酸置換は、なすことができる。改変FVIIポリペプチドは、したがって、プロテアーゼに対してより抵抗性になり、それによって、改変ポリペプチドの安定性および半減期を増加させることができる。
プロテアーゼに対する抵抗性を増加させるために、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドにおいて含むことができるさらなる改変の例は、米国特許第5580560号または国際特許出願公開WO1988010295およびWO2002038162において記載されるものを含むが、これらに限定されない。阻害因子および/またはプロテアーゼに対する、改変FVIIポリペプチドの増加した抵抗性をもたらすことができる、当技術分野において記載される例示的な改変の非限定的な例は、任意の1つまたは複数のK32Q、K32E、K32G、K32H、K32T、K32A、K32S、K38T、K38D、K38L、K38G、K38A、K38S、K38N、K38H、I42N、I42S、I42A、I42Q、Y44N、Y44S、Y44A、Y44Q、F278S、F278A、F278N、F278Q、F278G、R290G、R290A、R290S、R290T、R290K、R304G、R304T、R304A、R304S、R304N、R315G、R315A、R315S、R315T、R315Q、Y332S、Y332A、Y332N、Y332Q、Y332G、K341E、K341Q、K341G、K341T、K341AおよびK341Sを含む。
d. リン脂質に対する親和性を増加させる改変
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、リン脂質に対する親和性を増加させるための1つまたは複数のさらなる改変を含有することができる。FVIIの血液凝固活性は、活性化血小板の表面上に発現されるものなどのようなリン脂質に対するポリペプチドの結合性および/または親和性を増加させることによって増強することができる。これは、たとえば、内因性FVII Glaドメインを改変することによって、達成することができる。改変は、ホスファチジルセリンおよび他の負電荷リン脂質に結合するための、増加した能力を有する改変FVIIポリペプチドをもたらす、FVIIポリペプチドのGlaドメインにおける1つまたは複数の位置のアミノ酸置換によって達成することができる。内因性FVII Glaドメインを含有する、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドに対してなすことができる、リン脂質結合性および/または親和性を増加させるためのさらなる改変の例は、Harvey et al. (2003) J Biol Chem 278:8363-8369、US20030100506、US20040220106、US20060240526、US6017882、US6693075、US6762286、WO200393465、およびWO2004111242において記載されるものを含むが、これらに限定されない。例示的なそのような改変は、位置4での、チロシンの任意の1つもしくは複数の挿入または任意の1つまたは複数のP10Q、P10E、P10D、P10N、R28F、R28E、K32E、K32D、D33F、D33E、D33K A34E、A34D、A34I、A34L、A34M、A34V、A34F、A34W、A34Y、R36D、R36E、K38E、およびK38Dの改変を含む。
e. グリコシル化を変化させる改変
タンパク質のグリコシル化の程度、レベル、および/または型の改変は、免疫原性を低下させる、安定性を増加させる、投与の頻度を低下させる、および/または炎症などのような有害な副作用を低下させるための手段として当技術分野において記載されている。通常、これは、グリコシル化レベルを増加させることによって達成される。グリコシル化部位は、ポリペプチドが、グリコシル化が可能な真核細胞において産生される場合、それが、グリコシル化されるように、ポリペプチド上の炭水化物部分に対する付加のための部位を提供する。
FVIIにおいて4つの天然グリコシル化部位がある;配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドにおけるアミノ酸位置に対応する、N145およびN322での2つのN−グリコシル化部位ならびにS52およびS60での2つのO−グリコシル化部位。一実施形態において、さらなる改変は、上記部位のグリコシル化が破壊されるように、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドに対してなすことができる。これは、増加した血液凝固活性を有する改変FVIIポリペプチドをもたらすことができる(たとえばWO2005123916を参照されたい)。非改変FVIIポリペプチドと比較して、改変FVIIポリペプチドの減少したグリコシル化および増加した活性をもたらすことができる、当技術分野において記載される例示的な改変の非限定的な例は、S52A、S60A、N145Y、N145G、N145F、N145M、N145S、N145I、N145L、N145T、N145V、N145P、N145K、N145H、N145Q、N145E、N145R、N145W、N145D、N145C、N322Y、N322G、N322F、N322M、N322S、N322I、N322L、N322T、N322V、N322P、N322K、N322H、N322Q、N322E、N322R、N322WおよびN322Cを含むが、これらに限定されない。
他の実施形態において、さらなる改変は、さらなるグリコシル化部位が、導入され、したがって、非改変FVIIポリペプチドと比較して、改変FVIIポリペプチドのグリコシル化のレベルを増加させるように、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドのアミノ酸配列に対してなすことができる。グリコシル化部位は、N結合型グリコシル化部位またはO結合型グリコシル化部位とすることができる。1つまたは複数の新しいグリコシル化部位を導入する、FVIIポリペプチドに対してなすことができる改変の例は、US6806063およびWO200393465において記載されるものを含むが、これらに限定されない。非改変FVIIポリペプチドと比較して、改変FVIIポリペプチドの増加したグリコシル化をもたらすことができる、当技術分野において記載される例示的な改変の非限定的な例は、F4S、F4T、P10N、Q21N、W41N、S43N、A51N、G58N、L65N、G59S、G59T、E82S、E82T、N95S、N95T、G97S、G97T、Y101N、D104N、T106N、K109N、G117N、G124N、S126N、T128N、A175S、A175T、G179N、I186S、I186T、V188N、R202S、R202T、I205S、I205T、D212N、E220N、I230N、P231N、P236N、G237N、V253N、E265N、T267N、E270N、R277N、L280N、G291N、P303S、P303ST、L305N、Q312N、G318N、G331N、D334N、K337N、G342N、H348N、R353N、Y357N、I361N、V376N、R379N、M391N、K32N/A34S、K32N/A34T、F31N/D33S、F31N/D33T、I30N/K32S、I30N/K32T、A34N/R36S、A34N/R36T、K38N/F40S、K38N/F40T、T37N/L39S、T37N/L39T、R36N/K38S、R36N/K38T、L39N/W41S、L39N/W41T、F40N/I42S、F40N/I42T、I42N/Y44S、I42N/Y44T、Y44N/D46S、Y44N/D46T、D46N/D48S、D46N/D48T、G47N/Q49S、G47N/Q49T、S52N/P54S、Q66N/Y68S、S119N/L121S、A122N/G124S、T128N/P129A、T130N/E132S、K143N/N145S、K143N/N145T、E142N/R144S、E142N/R144T、L141N/K143S、L141N/K143T、I140N/E142S/、I140N/E142T、R144N/A146S、R144N/A146T、A146N/K148S、A146N/K148T、S147N/P149S/、S147N/P149T、R290N/A292S、R290N/A292T、A292N/A294S、D289N/G291S、D289N/G291T、L288N/R290S、L288N/R290T、L287N/D289S、L287N/D289T、A292N/A294S、A292N/A294T、T293N/L295S、T293N/L295T、R315N/V317S、R315N/V317T、S314N/K316S、S314N/K316T、Q313N/R315S、Q313N/R315T、K316N/G318S、K316N/G318T、V317N/D319S、V317N/D319T、K341N/D343S、K341N/D343T、S339N/K341S、S339N/K341T、D343N/G345S、D343N/G345T、R392N/E394S、R392N/E394T、L390N/R392S、L390N/R392T、K389N/M391S、K389N/M391T、S393N/P395S、S393N/P395T、E394N/R396S、E394N/R396T、E394N/P395A/R396S、P395N/P397S、P395N/P397T、R396N/G398S、R396N/G398T、P397N/V399S、P397N/V399T、G398N/L400S、G398N/L400T、V399N/L401S、V399N/L401T、L400N/R402S、L400N/R402T、L401N/A403S、L401N/A403T、R402N/P404S、R402N/P404T、A403N/F405S、A403N/F405T、P404N/P406SおよびP404N/P406Tを含むが、これらに限定されない。
f. 化学基連結を容易にするための改変
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドのさらなる改変はまた、化学基の続く連結を容易にするためになすこともできる。1つまたは複数のアミノ酸置換またはアミノ酸挿入は、化学基が、置換アミノ酸を介して改変FVIIポリペプチドに連結することができるように、なすことができる、たとえば、システインは、改変FVIIポリペプチドに対して導入することができ、ポリエチレングリコール(PEG)部分は、これに連結して、増加した安定性および血清半減期を付与することができる。他の付加残基は、リシン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸残基を含む。いくつかの実施形態において、アミノ酸残基は、潜在的な連結位置の数を低下させるために交換される。たとえば、リシンの数は、低下させることができる。化学基との続く連結を容易にすることができる、FVIIポリペプチドのアミノ酸配列に対してなすことができる改変の例は、US20030096338、US20060019336、US6806063、WO200158935、およびWO2002077218において記載されるものを含むが、これらに限定されない。化学基との続く連結を容易にすることができる、FVIIポリペプチドの例示的な改変の非限定的な例は、Q250C、R396C、P406C、I42K、Y44K、L288K、D289K、R290K、G291K、A292K、T293K、Q313K、S314K、R315K、V317K、L390K、M391K、R392K、S393K、E394K、P395K、R396K、P397K、G398K、V399K、L400K、L401K、R402K、A403K、P404K、F405K、I30C、K32C、D33C、A34C、T37C、K38C、W41C、Y44C、S45C、D46C、L141C、E142C、K143C、R144C、L288C、D289C、R290C、G291C、A292C、S314C、R315C、K316C、V317C、L390C、M391C、R392C、S393C、E394C、P395C、R396C、P397C、G398C、V399C、L401C、R402C、A403C、P404C、I30D、K32D、A34D、T37D、K38D、W41D、Y44D、S45D、D46C、L141D、E142D、K143D、R144D、L288D、R290D、G291D、A292D、Q313D、S314D、R315D、K316D、V317D、L390D、M391D、R392D、S393D、P395D、R396D、P397D、G398D、V399D、L401D、R402D、A403D、P404D、130E、K32E、A34E、T37E、K38E、W41E、Y44E、S45E、D46C、L141E、E142E、K143E、R144E、L288E、R290E、G291E、A292E、Q313E、S314E、R315E、K316E、V317E、L390E、M391E、R392E、S393E、P395E、R396E、P397E、G398E、V399E、L401E、R402E、A403E、P404E、K18R、K32R、K38R、K62R、K85R、K109R、K137R、K143R、K148R、K157R、K161R、K197R、K199R、K316R、K337R、K341R、K389R、K18Q、K32Q、K38Q、K62Q、K85Q、K109Q、K137Q、K143Q、K148Q、K157Q、K161Q、K197Q、K199Q、K316Q、K337Q、K341Q、K389Q、K18N、K32N、K38N、K62N、K85N、K109N、K137N、K143N、K148N、K157N、K161N、K197N、K199N、K316N、K337N、K341N、K389N、K18H、K32H、K38H、K62H、K85H、K109H、K137H、K143H、K148H、K157H、K161H、K197H、K199H、K316H、K337H、K341HおよびK389Hを含むが、これらに限定されない。
g. 例示的な組み合わせ突然変異
非改変FVIIポリペプチドの1つまたは複数の特性または活性に影響を及ぼすように設計される2つ以上の改変を有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。いくつかの例において、2つ以上の改変は、FVIIポリペプチドの2つ以上の特性または活性を変化させる。改変は、1つまたは複数の触媒活性、AT−IIIに対する抵抗性、TFPIに対する抵抗性、Zn2+による阻害に対する抵抗性、内因活性、アミド分解活性、リン脂質結合性および/または親和性、グリコシル化、プロテアーゼに対する抵抗性、半減期、ならびにFX、FIX、血清アルブミン、および血小板インテグリンαIIbβなどのような他の因子または分子との相互作用が変化するように、FVIIポリペプチドに対してなすことができる。典型的には、2つ以上の改変は、結果として生じる改変FVIIポリペプチドが、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性、血液凝固活性の増加した継続期間、および/または増強された治療指数を有するように組み合わせられる。その改変は、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、またはアミノ酸欠失を含むことができる。2つ以上の改変を含有する改変FVIIポリペプチドの増加した血液凝固活性、血液凝固活性の増加した継続期間 および/または増強された治療指数は、出発FVIIaポリペプチドまたは非改変FVIIaポリペプチドの活性と比較して、少なくともまたは約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、500%、またはそれ以上増加させることができる。
2つ以上の活性または特性を変化させるために非改変FVIIポリペプチドの中に導入される、2つ以上の改変を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される。改変FVIIポリペプチドは、2、3、4、5、6、またはそれ以上の改変を含有することができる。さらに、それぞれの改変は、1つまたは複数のアミノ酸残基を含むことができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、それぞれが単一のアミノ酸置換である2つの改変を含有することができる。他の例において、改変FVIIポリペプチドは、2つの改変を含有することができ、このうちの一方は、単一のアミノ酸置換であり、このうちの他方は、複数のアミノ酸残基の欠失および次いで複数のアミノ酸残基の挿入を含む。たとえば、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、Zn2+結合性を破壊するためのアミノ酸置換S222A(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)ならびにアミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)を欠失させることによる、内因性FVII Glaドメインの欠失および配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸残基Y1〜Y45に対応する45アミノ酸残基の挿入を含むGla Swap FIX改変を含有することができる。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、もっぱら表5〜13において記載されるものから選択される2つ以上の改変を有することができる。他の例において、改変FVIIポリペプチドは、2つ以上の改変を含有し、1つまたは複数の改変は、表5〜13において記載されるものから選択され、1つまたは複数の改変は、たとえば当技術分野において記載される改変などのような、表5〜13において記載されていないさらなる改変である。いくつかの例において、1つまたは複数のさらなる改変は、上記に、部D.6.a〜eにおいて記載されるものから選択することができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、TFPIに対する抵抗性を増加させることができる、配列番号3において記載される成熟FVIIのナンバリングに基づく、1つまたは複数のアミノ酸残基D196、K197、K199、G237、T239、R290、またはK341(それぞれ、キモトリプシンナンバリングに基づくD60、K60a、K60c、G97、T99、R147、およびK192に対応する)での改変、ならびにたとえばV158およびM298(それぞれ、キモトリプシンナンバリングに基づくV21およびM156)などのような、内因活性に影響を及ぼす、1つまたは複数のアミノ酸残基での改変を含有することができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドは、K197EおよびG237Vなどのような、TFPIに対する抵抗性を増加させる2つのアミノ酸置換、ならびにM298Qなどのような、内因活性を増加させる1つのアミノ酸置換を含有し、増加した血液凝固活性を有するFVIIポリペプチドをもたらすことができる。
本明細書において提供される例示的な組み合わせの改変は、少なくともQ286R突然変異(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するナンバリング;キモトリプシンナンバリングによるQ143Rに対応するナンバリング)を含むものである。Q286R改変を含有する改変FVIIポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上の改変を含有することができる。これらのさらなる改変は、たとえば、触媒活性、AT−IIIに対する抵抗性、TFPIに対する抵抗性、Zn2+による阻害に対する抵抗性、内因活性、アミド分解活性、リン脂質結合性および/または親和性、グリコシル化、プロテアーゼに対する抵抗性、半減期、ならびにFX、FIX、血清アルブミン、および血小板インテグリンαIIbβなどのような他の因子または分子との相互作用を変化させるために含むことができる。典型的には、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、2つ以上の改変を含有し、1つの改変は、アミノ酸置換Q286Rであり、野生型FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示す。
いくつかの例において、改変FVIIポリペプチドは、2つ以上の改変を含有し、1つは、Q286Rであり、野生型ポリペプチドと比較しておよび突然変異のいずれか1つを単独で含有するFVIIポリペプチドと比較して、増加した触媒活性および血液凝固活性を示す。たとえば、Q286RおよびM289Qのアミノ酸置換の両方を含有する改変FVIIポリペプチドが、本明細書において提供される(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するナンバリングを有するQ286R/M298Q;キモトリプシンナンバリングによるQ143R/M156Qに対応する)。Q286R/M298Q組み合わせFVII突然変異体は、野生型FVII、Q286R単一突然変異体、およびM298Q単一突然変異体と比較して、その基質、第X因子に対して増加した触媒活性を示す(たとえば、下記の実施例4を参照されたい)。たとえば、ある研究において、M298Q突然変異体は、野生型ポリペプチドよりも約1.8〜2倍大きな、TFの存在下における、FXに対する触媒活性を示し、Q286R突然変異体の触媒活性は、野生型FVIIポリペプチドよりも約2.1倍大きく、Q286R/M298Q突然変異体は、FXに対する野生型ポリペプチドの触媒活性よりも約3.6〜4.4倍の、FXに対する触媒活性を示した(下記の表15を参照されたい)。
非限定的な例示的な組み合わせの改変は、表12において提供される。これらの例示的な組み合わせの改変は、TFPIに対する抵抗性、AT−IIIに対する抵抗性、内因活性、アミド分解活性、触媒活性、Zn2+結合性、リン脂質結合性および/または親和性、グリコシル化、プロテアーゼに対する抵抗性、半減期、ならびにFXおよびFIXなどのような他の因子または分子との相互作用を含むが、これらに限定されない、FVIIポリペプチドの2つ以上の活性または特性を変化させるために設計される、2つ以上の改変を含む。そのような組み合わせの改変を含有する改変FVIIポリペプチドは、増加した血液凝固活性、血液凝固活性の増加した継続期間、および/または増強された治療指数を有することができる。下記の表12において記載される改変は、上記、表5〜11において記載されるのと同じ命名法およびナンバリング方式を使用する。たとえば、「Gla Swap FIX」改変は、上記に記載されるように、アミノ酸残基A1〜Y44(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応する残基)を欠失させることによる、内因性FVII Glaドメインの欠失および配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸残基Y1〜Y45に対応する45アミノ酸残基の挿入を含む。いくつかの例において、「Gla Swap FIX」改変はまた、上記に議論されるように、野生型FIX Glaドメインと比較して、FIX Glaドメイン部分における1つまたは複数のアミノ酸置換をも含有する。たとえば、Gla Swap FIX改変はまた、M19Kアミノ酸置換(配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸位置に対応するナンバリング)を含むことができる。そのような改変は、{Gla Swap FIX/M19K}によって表され、つまり、改変FVIIポリペプチドは、配列番号83において記載されるFIX Glaドメインの位置19に対応する位置のメチオニンが、リシンと交換される異種FIX Glaドメインを含有する。したがって、異種FIX Glaドメイン部分に対してなされる改変は、成熟野生型FIXポリペプチドまたは配列番号83において記載される野生型FIX Glaドメインのアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置を使用して、参照される。FVIIポリペプチドにおけるアミノ酸位置に対してなされる改変は、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドのアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置を使用して参照され、また、キモトリプシンナンバリング体系によっても表される。たとえば、Q286R改変(配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するナンバリング)およびFIX Glaドメインが、M19Kアミノ酸置換(配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸位置に対応するナンバリング)を含有するGla swap FIX改変を含有する改変FVIIポリペプチドは、{Gla Swap FIX/M19K}/Q286Rによって表される。同様に、改変{Gla Swap FIX/Q44S}/Q286R/M298Qは、FVIIポリペプチドが、配列番号83において記載されるFIX Glaドメインのアミノ酸位置44に対応するアミノ酸位置のグルタミンが、セリンと交換されたGla Swap FIX改変を含有し、また、配列番号3において記載される成熟FVIIポリペプチドに対応するナンバリングで、Q286RおよびM298Qのアミノ酸置換をも含有することを表す。下記の表12において、改変FVIIポリペプチドの例示的なアミノ酸配列が記載される配列識別子(配列番号)が同定される。
Figure 0005659312
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E. FVIIポリペプチドの産生
改変FVIIポリペプチドもしくはそのFVIIのドメインを含むFVIIポリペプチドまたは他のビタミンKポリペプチドは、タンパク質精製および組換えタンパク質発現について当技術分野においてよく知られている方法によって得ることができる。所望の遺伝子をコードする核酸の同定のための、当業者に知られている任意の方法を使用することができる。当技術分野において入手可能な任意の方法は、細胞源または組織源からなどのように、たとえば肝臓からなどのように、FVIIポリペプチドまたは他のビタミンKポリペプチドをコードする完全長(つまり全コード領域を包含する)cDNAまたはゲノムDNAクローンを得るために使用することができる。本明細書において記載される改変FVIIポリペプチドは、部位特異的突然変異誘発などによって、操作することができる。
FVIIは、核酸分子のクローニングおよび単離について、当技術分野において知られている任意の入手可能な方法を使用してクローニングする、または単離することができる。そのような方法は、核酸のPCR増幅ならびに核酸ハイブリダイゼーションスクリーニング、抗体ベースのスクリーニング、および活性ベースのスクリーニングを含む、ライブラリーのスクリーニングを含む。
たとえばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を含む、核酸の増幅のための方法は、FVIIポリペプチドをコードする核酸分子を単離するために使用することができる。核酸含有物質は、FVIIコード核酸分子を単離することができる出発物質として使用することができる。たとえば、DNA調製物およびmRNA調製物、細胞抽出物、組織抽出物(たとえば、肝臓から)、体液サンプル(たとえば血液、血清、唾液)、健常および/または病気の対象に由来するサンプルは、増幅法において使用することができる。核酸ライブラリーもまた、出発物質の源として使用することができる。プライマーは、FVIIコード分子を増幅するために設計することができる。たとえば、プライマーは、FVIIが生成される発現配列に基づいて設計することができる。プライマーは、FVIIアミノ酸配列の逆翻訳に基づいて設計することができる。増幅により生成される核酸分子は、配列を決定し、FVIIポリペプチドをコードすることを確認することができる。
ベクター、たとえばタンパク質発現ベクターまたはコアタンパク質コードDNA配列の増幅のために設計されたベクターの中に合成遺伝子をクローニングする目的で制限エンドヌクレアーゼ部位を含有するリンカー配列を含む、さらなるヌクレオチド配列を、FVIIコード核酸分子に結合することができる。さらに、機能的DNA要素を特定するさらなるヌクレオチド配列は、FVIIコード核酸分子に作動可能に連結することができる。そのような配列の例は、細胞内タンパク質発現を容易にするよう設計されたプロモーター配列およびタンパク質分泌を容易にするよう設計された分泌配列を含むが、これらに限定されない。タンパク質結合領域を特定する配列などのようなさらなるヌクレオチド配列もまた、FVIIコード核酸分子に連結することができる。そのような領域は、特異的標的細胞の中へのFVIIの取り込みを容易にするまたは他の形で合成遺伝子の薬物動態を増強させる配列を含むが、これらに限定されない。
次いで、同定され、単離された核酸は、適切なクローニングベクターの中に挿入することができる。当技術分野において知られている多くのベクター宿主系を使用することができる。可能性として考えられるベクターは、プラスミドまたは改変ウイルスを含むが、これらに限定されず、しかしベクター系は、使用される宿主細胞と適合性でなければならない。そのようなベクターは、ラムダ誘導体などのようなバクテリオファージまたはpBR322プラスミド誘導体もしくはpUCプラスミド誘導体などのようなプラスミドまたはBluescriptベクター(Stratagene、La Jolla、CA)を含むが、これらに限定されない。クローニングベクターの中への挿入は、たとえば、相補的付着末端を有するクローニングベクターの中にDNA断片をライゲーションすることによって達成することができる。挿入は、TOPOクローニングベクターを使用して達成することができる(Invitrogen、Carlsbad、CA)。DNAを断片化するために使用される相補的制限部位が、クローニングベクター中に存在しない場合、DNA分子の端は、酵素的に改変することができる。代わりに、所望される任意の部位は、DNA末端上にヌクレオチド配列(リンカー)をライゲーションすることによって産生することができる;これらのライゲーションされたリンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする特異的化学合成オリゴヌクレオチドを含有することができる。代替方法では、切断されたベクターおよびFVIIタンパク質遺伝子は、ホモポリマーテーリングによって改変することができる。組換え分子は、たとえば形質転換、トランスフェクション、感染、電気穿孔、および超音波穿孔(sonoporation)を介して宿主細胞の中に導入することができ、遺伝子配列の多くのコピーが、生成される。
特定の実施形態において、単離FVIIタンパク質遺伝子、cDNA、または合成DNA配列を組み込む組換えDNA分子を用いる宿主細胞の形質転換は、遺伝子の複数のコピーの生成を可能にする。したがって、遺伝子は、形質転換体を成長させ、形質転換体から組換えDNA分子を単離し、必要な場合には単離組換えDNAから、挿入された遺伝子を回収することによって、多量に得ることができる。
1. ベクターおよび細胞
1つまたは複数のFVIIタンパク質の組換え発現のために、FVIIタンパク質をコードするヌクレオチド配列のすべてまたは一部分を含有する核酸は、適切な発現ベクター、つまり、挿入タンパク質コード配列の転写および翻訳に必要な要素を含有するベクターに挿入することができる。例示的なそのようなベクターは、たとえばpCMVなどのような任意の哺乳動物発現ベクターである。必要な転写シグナルおよび翻訳シグナルはまた、FVII遺伝子についての天然プロモーターおよび/またはそれらのフランキング(flanking)領域によって供給することもできる。
FVIIまたは改変FVIIをコードする核酸を含有するベクターもまた、提供される。ベクターを含有する細胞もまた、提供される。細胞は、真核細胞および原核細胞を含み、ベクターは、その中での使用に適した任意のベクターである。
ベクターを含有する、内皮細胞を含む原核細胞および真核細胞が提供される。そのような細胞は、細菌細胞、酵母細胞、菌類細胞、古細菌、植物細胞、昆虫細胞、および動物細胞を含む。細胞は、コードFVIIタンパク質が細胞によって発現される条件下で上記細胞を成長させ、かつ発現FVIIタンパク質を回収することによって、FVIIポリペプチドまたはその改変FVIIポリペプチドを産生するために使用される。本明細書における目的上、FVIIは、培地の中に分泌させることができる。
一実施形態において、FVII活性を有し、FVIIポリペプチドのすべてもしくは一部分を含有するポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列またはその複数のコピーを含有するベクターが提供される。ベクターは、細胞におけるFVIIポリペプチドもしくは改変FVIIポリペプチドの発現について選択することができる、またはFVIIタンパク質が、分泌タンパク質として発現されるように選択することができる。FVIIが発現される場合、核酸は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α−接合因子シグナル配列もしくはその部分などのような分泌シグナルまたは天然シグナル配列をコードする核酸に連結される。
様々な宿主−ベクター系は、タンパク質コード配列を発現するために使用することができる。これらは、ウイルス(たとえばワクシニアウイルス、アデノウイルス、および他のウイルス)を用いて感染させた哺乳動物細胞系;ウイルス(たとえばバキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;酵母ベクターを含有する酵母などのような微生物;またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAを用いて形質転換された細菌を含むが、これらに限定されない。ベクターの発現要素は、それらの強度および特異性において変わる。使用される宿主−ベクター系に依存して、多くの適した転写要素および翻訳要素のいずれか1つを使用することができる。
ベクターの中へのDNA断片の挿入について当業者らに知られている任意の方法が、適切な転写/翻訳制御シグナルおよびタンパク質コード配列を含有するキメラ遺伝子を含有する発現ベクターを構築するために使用することができる。これらの方法は、インビトロ組換えDNA合成技術およびインビボ組換え体(遺伝的組換え)を含むことができる。FVIIポリペプチドもしくは改変FVIIポリペプチドまたはそのドメイン、誘導体、断片、もしくは相同体をコードする核酸配列の発現は、遺伝子またはその断片が、換えDNA分子(1つまたは複数)を用いて形質転換された宿主において発現するように、第2の核酸配列によって調節することができる。たとえば、タンパク質の発現は、当技術分野において知られている任意のプロモーター/エンハンサーによって制御することができる。特定の実施形態において、プロモーターは、FVIIタンパク質についての遺伝子に対して天然のものではない。使用することができるプロモーターは、SV40初期プロモーター(Bernoist and Chambon, Nature 290:304-310 (1981))、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復配列において含有されるプロモーター(Yamamoto et al. Cell 22:787-797 (1980))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445 (1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., Nature 296:39-42 (1982));β−ラクタマーゼプロモーター(Jay et al., (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:5543)またはtacプロモーター(DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:21-25 (1983))などのような原核生物発現ベクター;「Useful Proteins from Recombinant Bacteria」:Scientific American 242:79-94 (1980))中もまた参照されたい;ノパリン合成酵素プロモーター(Herrar-Estrella et al., Nature 303:209-213 (1984))またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Garder et al., Nucleic Acids Res. 9:2871 (1981))を含有する植物発現ベクターならびに光合成酵素リブロースビスリン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrella et al., Nature 310:115-120 (1984));Gal4プロモーターなどのような酵母および他の菌類に由来するプロモーター要素、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼプロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、ならびに組織特異性を示し、形質転換動物において使用されてきた以下の動物転写制御領域:膵臓腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al., Cell 38:639-646 (1984);Ornitz et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409 (1986);MacDonald, Hepatology 7:425-515 (1987));膵臓ベータ細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan et al., Nature 315:115-122 (1985))、リンパ系細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al., Cell 38:647-658 (1984);Adams et al., Nature 318:533-538 (1985);Alexander et al., Mol. Cell Biol. 7:1436-1444 (1987))、精巣細胞、乳房細胞、リンパ系細胞、および肥満細胞において活性なマウス乳癌ウイルス制御領域(Leder et al., Cell 45:485-495 (1986))、肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinckert et al., Genes and Devel. 1:268-276 (1987))、肝臓において活性なアルファ−フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al., Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648 (1985);Hammer et al., Science 235:53-58 1987))、肝臓中で活性なアルファ−1抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al., Genes and Devel. 1:161-171 (1987))、骨髄性細胞において活性なベータグロビン遺伝子制御領域(Mogram et al., Nature 315:338-340 (1985);Kollias et al., Cell 46:89-94 (1986))、脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al., Cell 48:703-712 (1987))、骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Shani, Nature 314:283-286 (1985))および視床下部の性腺刺激細胞において活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al., Science 234:1372-1378 (1986))を含むが、これらに限定されない。
特定の実施形態において、FVIIポリペプチドもしくは改変FVIIポリペプチドまたはそのドメイン、断片、誘導体、もしくは相同体をコードする核酸に作用可能に連結されるプロモーター、1つまたは複数の複製開始点、および所望により、1つまたは複数の選択マーカー(たとえば抗生物質抵抗性遺伝子)を含有するベクターが、使用される。FVIIポリペプチドの発現のためのベクターおよび系は、よく知られているピキアベクター(たとえばInvitrogen、San Diego、CAから入手可能)、特にコードタンパク質の分泌のために設計されるベクターを含む。哺乳動物細胞における発現のための例示的なプラスミドベクターは、たとえば、pCMVを含む。大腸菌(E.coli)細胞の形質転換のための例示的なプラスミドベクターは、たとえば、pQE発現ベクターを含む(Qiagen、Valencia、CAから入手可能;系について記載する、Qiagenによって出版される文献もまた参照されたい)。pQEベクターは、大腸菌における組換えタンパク質の、厳重に調節された、高度なレベルの発現を提供するためのファージT5プロモーター(大腸菌RNAポリメラーゼにより認識される)および二重のlacオペレーター抑圧モジュール、効率的な翻訳のための合成リボソーム結合部位(RBSII)、6xHisタグコード配列、tおよびT1転写ターミネーター、ColE1複製開始点、ならびにアンピシリン抵抗性を付与するためのベータ−ラクタマーゼ遺伝子を有する。pQEベクターは、組換えタンパク質のN−またはC−末端のいずれかに6xHisタグを置くことを可能にする。そのようなプラスミドは、3つのすべてのリーディングフレームのためのマルチクローニングサイトを提供し、N−末端6xHisタグ付きタンパク質の発現を提供するpQE32、pQE30、およびpQE31を含む。大腸菌細胞の形質転換のための他の例示的なプラスミドベクターは、たとえば、pET発現ベクターを含む(米国特許第4,952,496号を参照されたい;NOVAGEN、Madison、WIから入手可能;系を記載する、Novagenによって出版される、文献もまた参照されたい)。そのようなプラスミドは、T7lacプロモーター、T7ターミネーター、誘発性大腸菌lacオペレーター、およびlacリプレッサー遺伝子を含有するpET11a;T7プロモーター、T7ターミネーター、および大腸菌ompT分泌シグナルを含有するpET12a−c;ならびにHisカラムを用いる精製において使用されるHis−Tag(商標)リーダー配列およびカラムでの精製の後での切断を可能にするトロンビン切断部位、T7−lacプロモーター領域、およびT7ターミネーターを含有するpET15bおよびpET19b(NOVAGEN、Madison、WI)を含む。
2. 発現系
FVIIポリペプチド(改変および非改変)は、たとえば、宿主細胞、宿主動物の中への、FVIIをコードする核酸分子の導入およびインビトロにおける、FVIIをコードする核酸分子からの発現などのような、インビトロおよびインビボにおける方法を含む、タンパク質産生のための、当技術分野において知られている任意の方法によって産生することができる。FVIIおよび改変FVIIポリペプチドは、投与および処置に必要な、必要とされる量および形態のFVIIポリペプチドを産生するのに適した任意の生物において発現することができる。発現宿主は、大腸菌、酵母、植物、昆虫細胞、ヒト細胞株および形質転換動物を含む哺乳動物細胞などのような原核生物および真核生物を含む。発現宿主は、タンパク質産生レベルおよび発現したタンパク質上に存在する翻訳後修飾の種類において異なり得る。発現宿主の選定は、これらの因子ならびに調節および安全性の考慮、産生コスト、ならびに精製の必要性および方法などのような他の因子に基づいてなすことができる。
真核生物宿主における発現は、サッカロマイセス・セレビシエおよびピキア・パストリス(Pichia pastoris)などのような酵母、ショウジョウバエの細胞および鱗翅目の昆虫の細胞などのような昆虫細胞、タバコ、トウモロコシ、イネ、藻類、およびアオウキクサ属などのような植物および植物細胞における発現を含むことができる。発現のための真核細胞はまた、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞などのような哺乳動物細胞株をも含む。真核生物の発現宿主はまた、たとえば、血清、乳、および卵における産生を含む、トランスジェニック動物における産生を含む。野生型FVIIポリペプチドの産生のためのトランスジェニック動物は、当技術分野において知られており(米国特許出願公開第20020166130号および第20040133930号)、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドの産生に適合し得る。
FVIIの発現のための、多くの発現ベクターが、入手可能であり、当業者に知られている。発現ベクターの選定は、宿主発現系の選定により影響を及ぼされる。そのような選択は、十分に、当業者の技術のレベルの範囲内にある。一般に、発現ベクターは、転写プロモーターならびに所望によりエンハンサー、翻訳シグナル、ならびに転写終結シグナルおよび翻訳終結シグナルを含むことができる。安定した形質転換に使用される発現ベクターは、形質転換細胞の選択および維持を可能にする選択マーカーを典型的に有する。いくつかの場合において、複製開始点は、細胞におけるベクターのコピー数を増幅させるために使用することができる。
FVIIまたは改変FVIIポリペプチはまた、タンパク質融合物として利用するまたは発現することができる。たとえば、融合物は、ポリペプチに対してさらなる機能性を追加するために生成することができる。融合タンパク質の例は、シグナル配列、局在化のためなどのようなタグ、たとえばhisタグもしくはmycタグまたは精製のためのタグ、たとえばGST融合物、ならびにタンパク質分泌および/または膜結合を指示するための配列の融合物を含むが、これらに限定されない。
一実施形態において、FVIIポリペプチドまたは改変FVIIポリペプチドは、活性形態で発現することができ、それによって、活性化は、分泌の後に、ポリペプチドの自己活性化によって達成される。他の実施形態において、プロテアーゼは、不活性なチモーゲン形態で発現させることができる。
FVIIポリペプチドの産生の方法は、FVIIポリペプチドの生成を助けることができる1つまたは複数のさらなる異種ポリペプチドの同時発現を含むことができる。たとえば、そのようなポリペプチドは、FVIIポリペプチドの翻訳後プロセシングに寄与することができる。例示的なポリペプチドは、プロペプチド配列などのようなFVII前駆体配列の切断を助けるペプチダーゼ、たとえばグリコシル化、ヒドロキシル化、カルボキシル化、またはリン酸化などによる、FVIIポリペプチドの改変に関与する酵素を含むが、これらに限定されない。FVIIと同時発現することができる例示的なペプチダーゼは、PACE/フューリン(またはPACE−SOL)であり、これは、FVIIプロペプチド配列の切断を助ける。FVIIポリペプチドのカルボキシル化を助ける例示的なタンパク質は、ワルファリン感受性酵素ビタミンK 2,3−エポキシドレダクターゼ(VKOR)であり、これは、ビタミンK依存性γ−カルボキシラーゼによる補因子としての利用のための還元ビタミンKを産生する(Wajih et al., J. Biol. Chem. 280(36)31603-31607)。この酵素のサブユニット、VKORC1は、γカルボキシル化を増加させるために、改変FVIIポリペプチドと同時発現させることができる。1つまたは複数のさらなるポリペプチドは、FVIIポリペプチドと同じ発現ベクターまたは異なるベクターから発現させることができる。
a. 原核生物発現
原核生物、とりわけ大腸菌(E.coli)は、大量のFVIIを産生するための系を提供する(たとえばPlatis et al. (2003) Protein Exp. Purif. 31(2): 222-30およびKhalilzadeh et al. (2004) J. Ind. Microbiol. Biotechnol. 31(2): 63-69を参照されたい)。大腸菌の形質転換は、当業者らによく知られている単純で速い技術である。大腸菌についての発現ベクターは、高度なレベルのタンパク質発現を誘発するのにおよび宿主細胞に対していくらかの毒性を示すタンパク質を発現するのに有用である誘発性プロモーターを含有することができる。誘発性プロモーターの例は、lacプロモーター、trpプロモーター、ハイブリッドtacプロモーター、T7RNAプロモーターおよびSP6RNAプロモーター、ならびに温度調節性λPプロモーターを含む。
FVIIは、大腸菌の細胞質内環境において発現させることができる。細胞質は、還元環境であり、いくつかの分子については、これは、不溶性封入体の形成をもたらし得る。ジチオトレイトールおよびβ−メルカプトエタノールなどのような還元剤ならびに変性剤(たとえばグアニジン−HClおよび尿素など)は、タンパク質を再可溶化するために使用することができる。代替アプローチは、酸化環境ならびにシャペロニン様イソメラーゼおよびジスルフィドイソメラーゼを提供し、可溶性タンパク質の産生に至る、細菌の細胞膜周辺腔におけるFVIIの発現である。典型的には、タンパク質を周辺質に向けるリーダー配列は、発現されることとなるタンパク質に融合される。次いで、リーダーは、周辺質の内部で、シグナルペプチターゼによって除去される。周辺質標的リーダー配列の例は、ペクチン酸リアーゼ遺伝子に由来するpelBリーダーおよびアルカリホスファターゼ遺伝子に由来するリーダーを含む。いくつかの場合において、周辺質の発現は、培地の中への発現タンパク質の漏出を可能にする。タンパク質の分泌は、培養上清からの速やかで単純な精製を可能にする。分泌されないタンパク質は、周辺質から浸透圧溶解により得ることができる。細胞質内発現に類似して、いくつかの場合において、タンパク質は、不溶性になり得、変性剤および還元剤は、可溶化および再折り畳みを容易にするために使用することができる。誘発および成長の温度もまた、発現レベルおよび溶解性に影響を及ぼし得る。典型的には、25℃および37℃の間の温度が、使用される。突然変異もまた、発現タンパク質の溶解性を増加させるために使用することができる。典型的には、細菌は、アグリコシル化タンパク質を産生する。したがって、タンパク質が、機能するためにグリコシル化を必要とする場合、グリコシル化は、宿主細胞からの精製の後にインビトロにおいて追加することができる。
b. 酵母
サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、およびピキア・パストリスなどのような酵母は、FVIIのための有用な発現宿主である(たとえばSkoko et al. (2003) Biotechnol. Appl. Biochem. 38(Pt3):257-65を参照されたい)。酵母は、エピソーム複製ベクターを用いて、または相同組換えによる安定した染色体の組み込みによって形質転換することができる。典型的には、誘発性プロモーターは、遺伝子発現を調節するために使用される。そのようなプロモーターの例は、GAL1、GAL7、およびGAL5ならびにCUP1などのようなメタロチオネインプロモーターを含む。発現ベクターは、形質転換DNAの選択および維持のために、LEU2、TRP1、HIS3、およびURA3などのような選択マーカーを含むことが多い。酵母において発現されるタンパク質は、可溶性であることが多く、Bipなどのようなシャペロニンおよびタンパク質ジスルフィドイソメラーゼとの同時発現は、発現レベルおよび溶解性を改善することができる。さらに、酵母において発現されるタンパク質は、サッカロマイセス・セレビシエに由来する酵母接合型アルファ−因子分泌シグナルなどのような分泌シグナルペプチド融合物およびAga2p接合接着受容体またはアークスラ・アデニニボランス(Arxula adeninivorans)グルコアミラーゼなどのような酵母細胞表面タンパク質との融合物を使用して、分泌のために指示され得る。プロテアーゼ切断部位(たとえばKex−2プロテアーゼ)は、ポリペプチドが分泌経路を出る場合に、融合配列をポリペプチドから除去するよう操作することができる。酵母はまた、Asn−X−Ser/Thrモチーフでのグリコシル化も可能である。
c. 昆虫および昆虫細胞
特にバキュロウイルス発現系を使用する昆虫および昆虫細胞は、FVIIまたはその改変形態などのようなポリペプチドを発現するのに有用である(たとえばMuneta et al. (2003) J. Vet. Med. Sci. 65(2):219-23を参照されたい)。血リンパにおける発現を含む昆虫細胞および昆虫幼虫は、高レベルのタンパク質を発現し、高等真核生物によって使用されるほとんどの翻訳後修飾が可能である。バキュロウイルスは、安全性を改善し、真核生物の発現の調節性の問題を低下させる制限的な宿主範囲を有する。典型的には、発現ベクターは、高レベルの発現のために、バキュロウイルスのポリヘドリンプロモーターなどのようなプロモーターを使用する。一般的に使用されるバキュロウイルス系は、オートグラファカリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)およびカイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)などのようなバキュロウイルスならびにヨトウガに由来するSf9、シューダレティア・ユニプンクタ(Pseudaletia unipuncta)(A7S)、およびオオカバマダラ(DpN1)などのような昆虫細胞系を含む。高度な発現のために、発現されることとなる分子のヌクレオチド配列は、ウイルスのポリヘドリン開始コドンのすぐ下流に融合される。哺乳動物分泌シグナルは、昆虫細胞において厳密に処理され、発現タンパク質を培地の中に分泌するために使用することができる。さらに、細胞株シューダレティア・ユニプンクタ(A7S)およびオオカバマダラ(DpN1)は、哺乳動物細胞系に類似するグリコシル化パターンを有するタンパク質を産生する。
昆虫細胞における代替発現系は、安定して形質転換された細胞の使用である。シュナイダー2(S2)およびKc細胞(キイロショウジョウバエ)およびC7細胞(ヒトスジシマカ)などのような細胞株は、発現に使用することができる。ショウジョウバエメタロチオネインプロモーターは、カドミウムまたは銅を用いる重金属誘発の存在下で高度なレベルの発現を誘発するために使用することができる。発現ベクターは、ネオマイシンおよびハイグロマイシンなどのような選択マーカーの使用によって典型的に維持される。
d. 哺乳動物細胞
哺乳動物発現系は、FVIIポリペプチドを発現するために使用することができる。発現構築物は、アデノウイルスなどのようなウイルス感染によってまたはリポソーム、リン酸カルシウム、DEAE−デキストランなどのような直接的DNA移入によってならびに電気穿孔および微量注射などのような物理的手段によって、哺乳動物細胞に移入することができる。哺乳動物細胞のための発現ベクターは、mRNAキャップ部位、TATAボックス、翻訳開始配列(Kozakコンセンサス配列)、およびポリアデニル化要素を典型的に含む。そのようなベクターは、高度なレベルの発現のための転写プロモーター−エンハンサー、たとえばSV40プロモーター−エンハンサー、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の長末端反復配列を含むことが多い。これらのプロモーター−エンハンサーは、多くの細胞型において活性である。組織プロモーターおよび細胞型プロモーターならびにエンハンサー領域もまた、発現に使用することができる。例示的なプロモーター/エンハンサー領域は、エラスターゼI、インスリン、免疫グロブリン、マウス乳癌ウイルス、アルブミン、アルファフェトプロテイン、アルファ1抗トリプシン、ベータグロビン、ミエリン塩基性タンパク質、ミオシン軽鎖2、および生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御などのような遺伝子に由来するものを含むが、これらに限定されない。選択マーカーは、発現構築物を有する細胞を選択し、維持するために使用することができる。選択マーカー遺伝子の例は、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、アデノシンデアミナーゼ、キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、およびチミジンキナーゼを含むが、これらに限定されない。TCR−ζおよびFcεRI−γなどのような細胞表面シグナリング分子を有する融合物は、活性状態にあるタンパク質の、細胞表面上での発現を指示することができる。
多くの細胞株は、哺乳動物発現に利用可能であり、マウス、ラット、ヒト、サル、およびニワトリならびにハムスターの細胞を含む。例示的な細胞株は、BHK(つまりBHK−21細胞)、293−F、CHO、Balb/3T3、HeLa、MT2、マウスNS0(非分泌)および他の骨髄腫細胞系、ハイブリドーマ細胞株およびヘテロハイブリドーマ細胞株、リンパ球、線維芽細胞、Sp2/0、COS、NIH3T3、HEK293、293S、293T、2B8、およびHKBの細胞を含むが、これらに限定されない。細胞株はまた、分泌タンパク質の細胞培養液からの精製を容易にする無血清培地に適合させて利用可能である。1つのそのような例は、無血清EBNA−1細胞株である(Pham et al., (2003) Biotechnol. Bioeng. 84:332-42)。血漿由来FVIIと類似する構造および翻訳後修飾を示す組換えFVIIポリペプチドの発現は、当技術分野において知られている(たとえばJurlander et al. (2003) Semin Throm Hemostを参照されたい)。ビタミンK依存性タンパク質発現を最適化するための方法は、知られている。たとえば、培養液におけるビタミンKの補足またはビタミンK依存性γ−カルボキシラーゼの同時発現(Wajih et al., J. Biol. Chem. 280(36)31603-31607)は、FVIIポリペプチドなどのようなビタミンK依存性タンパク質の翻訳後修飾を助けることができる。
e. 植物
形質転換植物細胞および形質転換植物は、FVIIの発現に使用することができる。発現構築物は、微粒子銃などのような直接的DNA移入およびプロトプラストの中へのPEG媒介性移入を使用してならびにアグロバクテリウム媒介性形質転換を用いて、植物に典型的に移入される。発現ベクターは、プロモーター配列およびエンハンサー配列、転写終結要素、ならびに翻訳制御要素を含むことができる。発現ベクターおよび形質転換技術は、シロイヌナズナおよびタバコなどのような双子葉植物宿主ならびにトウモロコシおよびイネなどのような単子葉植物宿主の間で通常分けられる。発現に使用される植物プロモーターの例は、カリフラワーモザイクウイルスプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、リボースビスリン酸カルボキシラーゼプロモーター、ならびにユビキチンプロモーターおよびUBQ3プロモーターを含む。ハイグロマイシン、ホスホマンノースイソメラーゼ、およびネオマイシンホスホトランスフェラーゼなどのような選択マーカーは、形質転換細胞の選択および維持を容易にするために使用されることが多い。形質転換植物細胞は、細胞、凝集体(カルス組織)として培養において維持することができる、または完全な植物に再生成させることができる。植物は、哺乳動物細胞とは異なるグリコシル化パターンを有するので、これは、これらの宿主においてFVIIを産生するための選定に影響を及ぼし得る。形質転換植物細胞はまた、タンパク質を産生するよう操作された藻類を含むこともできる(たとえばMayfield et al. (2003) PNAS 100:438-442を参照されたい)。植物は、哺乳動物細胞とは異なるグリコシル化パターンを有するので、これは、これらの宿主においてFVIIを産生するための選定に影響を及ぼし得る。
2. 精製
宿主細胞に由来するFVIIポリペプチドの精製のための方法は、選定される宿主細胞および発現系に依存する。分泌分子については、タンパク質は、細胞を除去した後に培養液から一般に精製される。細胞内発現については、細胞を溶解させ、タンパク質を抽出物から精製することができる。形質転換植物および形質転換動物などのような形質転換生物が、発現に使用される場合、組織または器官は、溶解した細胞抽出物を作製するために出発物質として使用することができる。さらに、形質転換動物産生は、乳または卵におけるポリペプチドの産生を含むことができ、これは、収集することができ、必要であれば、さらに、タンパク質を抽出し、さらに、当技術分野における標準的な方法を使用して精製することができる。
FVIIは、SDS−PAGE、サイズ分画クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィー、硫安塩析、キレートクロマトグラフィー、ならびにイオン交換クロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない、当技術分野において知られている標準的なタンパク質精製技術を使用して精製することができる。たとえば、FVIIポリペプチドは、アニオン交換クロマトグラフィーによって精製することができる。FVIIポリペプチドを精製するための例示的な方法は、機能的Glaドメインを有する任意のポリペプチドの結合を可能にするイオン交換カラムの使用、その後に続く、カルシウムの存在下における溶出によるものである(たとえば実施例2を参照されたい)。アフィニティー精製技術もまた、調製の効率および純度を改善するために使用することができる。たとえば、FVIIに結合する抗体、受容体、および他の分子を、アフィニティー精製において使用することができる。他の例において、精製はまた、可溶性TF(sTF)アフィニティーカラムを使用して増強することもできる(Maun et al. (2005) Prot Sci 14:1171-1180)。発現構築物はまた、mycエピトープ、GST融合物、またはHisなどのようなアフィニティータグを追加するように操作し、タンパク質に対して、それぞれ、myc抗体、グルタチオン樹脂、およびNi−樹脂を用いてアフィニティー精製することができる。純度は、ゲル電気泳動技術および染色技術ならびに分光光度計技術を含む、当技術分野において知られている任意の方法によって評価することができる。
FVIIプロテアーゼは、発現させ、精製して、不活性形態(チモーゲン形態)とすることができる、または、代わりに、発現プロテアーゼは、自己触媒などによって、活性形態に精製することができる。たとえば、Arg152−Ile153のタンパク質分解による切断を介して活性化されたFVIIポリペプチドは、インビトロにおいて調製することができる(つまりFVIIa;二本鎖形態)。FVIIポリペプチドは、最初に、哺乳動物細胞における産生、その後に続く精製を含むが、これらに限定されない、本明細書において記載される産生の方法のいずれかによって調製することができる。FVIIポリペプチドの、活性プロテアーゼ形態、FVIIaへの切断は、いくつかの手段によって達成することができる。たとえば、カルシウムの存在下における、リン脂質小胞とのインキュベーションの間の自己活性化は、45分間で達成することができる(Nelsestuen et al. (2001) J Biol Chem 276:39825-31)。FVIIポリペプチドはまた、リン脂質ありでまたはリン脂質なしで、カルシウムの存在下において、第Xa因子、第XIIa因子、またはTFとのインキュベーションによって完全な状態まで活性化することができる(たとえば実施例2およびBroze et al. (1980) J Biol Chem 255:1242-1247、Higashi et al. (1996) J Biol Chem 271:26569-26574、Harvey et al. J Biol Chem 278:8363-8369を参照されたい)。
3. 融合タンパク質
改変FVIIポリペプチドおよび1つまたは複数の他のポリペプチドを含有する融合タンパク質もまた、提供される。適した経路による投与のために製剤されるそのような融合タンパク質を含有する医薬組成物が提供される。融合タンパク質は、任意の順番で、改変FVIIポリペプチドならびに抗体またはその断片、成長因子、受容体、リガンド、および他のそのような作用物質などのような作用物質を連結することによって、FVIIポリペプチドの精製を容易にする、FVIIポリペプチドの薬力学的特性を、たとえば、標的細胞もしくは標的組織にポリペプチドを向けることによって変化させる、および/またはFVIIポリペプチドの発現もしくは分泌を増加させる目的で形成される。典型的には、任意のFVII融合タンパク質は、非融合ポリペプチドと比較した、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の血液凝固活性を含む、非融合FVIIポリペプチドと比較した、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%の血液凝固活性を保持する。
FVIIポリペプチドの、他のポリペプチドとの連結は、直接的にまたはリンカーを介して間接的に達成することができる。一例において、連結は、ヘテロ二官能性剤を介するなどのように、化学的連結またはチオール連結または他のそのような連結によるものとすることができる。融合はまた、組換え手段によって達成することもできる。他のポリペプチドに対するFVIIポリペプチドの融合は、FVIIポリペプチドのN−末端またはC−末端に対するものとすることができる。本明細書中で提供されるFVIIポリペプチドを有する融合タンパク質において使用することができるポリペプチドの非限定的な例は、たとえば、GST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)ポリペプチド、免疫グロブリンGに由来するFcドメイン、または異種シグナル配列を含む。融合タンパク質は、大腸菌マルトース結合タンパク質(MBP)などのような、細胞によるタンパク質の取り込みを助ける、さらなる成分を含有することができる(国際PCT出願WO01/32711を参照されたい)。
融合タンパク質は、標準的な組換え技術によって産生することができる。たとえば、異なるポリペプチド配列をコードするDNA断片は、従来の技術に従って、インフレームで、たとえば、ライゲーションのための平滑端または付着端の末端、適切な末端を提供するための制限酵素による消化、適宜、粘着端の補充、望ましくない結合を回避するためのアルカリホスファターゼ処置、および酵素によるライゲーションを利用することによって、共にライゲーションすることができる。他の実施形態において、融合遺伝子は、自動DNA合成機を含む従来の技術によって合成することができる。代わりに、遺伝子断片のPCR増幅は、2つの連続した遺伝子断片の間の相補的オーバーハングを起こすアンカープライマーを使用して実行することができ、引き続いて、遺伝子断片をアニールし、再増幅させてキメラ遺伝子配列を生成することができる(たとえばAusubel et al. (eds.) CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, 1992を参照されたい)。そのうえ、融合部分を既にコードしている多くの発現ベクターが、市販で入手可能である(たとえばGSTポリペプチド)。FVIIコード核酸は、融合部分がインフレームでプロテアーゼタンパク質に連結されるように、そのような発現ベクターの中にクローニングすることができる。
4. ポリペプチド改変(修飾(modification))
改変FVIIポリペプチドは、裸のポリペプチド鎖、または複合体として調製することができる。いくつかの適用のために、翻訳後修飾または他の化学的修飾を有していない「裸の」形態で改変FVIIを調製することは望ましいものとなり得る。裸のポリペプチド鎖は、翻訳後にFVIIを修飾しない適した宿主において調製することができる。そのようなポリペプチドはまた、インビトロ系において、化学的ポリペプチド合成を使用して調製することができる。他の適用のために、ペグ化、アルブミン化、グリコシル化、カルボキシル化、ヒドロキシル化、リン酸化、または他の知られている修飾を含む特定の修飾は、望ましいものとなり得る。改変(修飾)は、インビトロにおいてまたはたとえば、そのような改変(修飾)をもたらす、適した宿主において改変FVIIを産生することによってなすことができる。
5. ヌクレオチド配列
FVIIまたは改変FVIIポリペプチドをコードする核酸分子が、本明細書において提供される。核酸分子は、任意のコードFVIIポリペプチドの対立遺伝子変異体またはスプライス変異体を含む。本明細書において提供される例示的な核酸分子は、配列番号113〜273のいずれかにおいて記載されるポリペプチドをコードするいずれかのものなどのような、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドをコードするいずれかのものである。一実施形態において、本明細書において提供される核酸分子は、少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、または99%の配列同一性を有する中もしくは高ストリンジェンシーの条件下で、本明細書において提供されるFVIIポリペプチドをコードする完全長の任意の核酸の少なくとも70%に沿ってハイブリダイズする。他の実施形態において、核酸分子は、本明細書において提供されるFVIIポリペプチドのいずれかをコードする縮重コドン配列を有するものを含むことができる。
F. 改変FVIIポリペプチド活性の評価
FVIIポリペプチドの活性および特性は、インビトロにおいておよび/またはインビボにおいて評価することができる。そのような評価のためのアッセイは、当業者らに知られており、試験された活性および結果を、治療活性およびインビボ活性と相互に関連されることが知られている。一例において、FVII変異体は、非改変FVIIおよび/または野生型FVIIと比較して、評価することができる。他の例において、改変FVIIポリペプチドの活性は、AT−IIIに対するインビトロまたはインビボにおける曝露の後に評価することができ、AT−IIIに曝露されていない改変FVIIポリペプチドの活性と比較することができる。そのようなアッセイは、TFの存在下または非存在下において実行することができる。インビトロアッセイは、たとえば、凝固アッセイ、結合アッセイ、タンパク質アッセイ、および分子生物学アッセイを含む、細胞ベースのアッセイなどのような、当業者に知られている任意の検査アッセイを含む。インビボアッセイは、動物モデルにおけるFVIIアッセイおよびヒトに対する投与を含む。いくつかの場合において、FVIIの活性は、アッセイ決定因子に対して、血液、血清、または他の体液を評価することによってインビボにおいて決定することができる。FVII変異体もまた、治療効果などのような活性または特性を評価するためにインビボにおいて試験することができる。
典型的には、本明細書において記載されるアッセイは、FVIIの二本鎖活性化形態(つまりFVIIa)に関してのものである。一本鎖形態が、典型的には、FVIIの血液凝固活性に必要とされるタンパク質分解活性または触媒活性を含有しないので、そのようなアッセイはまた、負の制御を提供するために、そのような一本鎖形態を用いて実行することができる。さらに、またそのようなアッセイは、TFなどのような補因子の存在下において実行することができ、これは、いくつかの場合においてFVIIの活性を増大する。
1. インビトロアッセイ
例示的なインビトロアッセイは、ポリペプチド改変および活性を評価するためのアッセイを含む。改変は、当技術分野において知られている、γ−カルボキシル化および他の翻訳後修飾を評価するインビトロアッセイ、タンパク質アッセイ、ならびにコンホメーションアッセイを使用して評価することができる。活性についてのアッセイは、TF、第X因子、および第IX因子などのような他の凝固因子とのFVII相互作用の測定、FVIIポリペプチドのタンパク質分解活性を決定するためのタンパク質分解アッセイ、ホスファチジルセリンおよび他のリン脂質に対するFVIIポリペプチドの結合性および/または親和性を決定するためのアッセイ、ならびに凝固に対するFVIIポリペプチドの効果を決定するための細胞ベースのアッセイを含むが、これらに限定されない。
改変FVIIポリペプチドの濃度は、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、SDS−PAGE;Bradford法、Lowry法、BCA法;UV吸光度、ならびにこれらに限定されないが、免疫学的方法、放射性の方法、蛍光性の方法、および関連する方法などのような他の定量化可能なタンパク質標識法を含むが、これらに限定されない、当技術分野においてよく知られている方法によって評価することができる。
FVIIポリペプチドの切断またはFVIIプロテアーゼ活性によって産生される産物を含む、タンパク質分解反応の切断産物の評価は、発色基質切断、HPLC、SDS−PAGE分析、ELISA、ウェスタンブロッティング、免疫組織化学的検査、免疫沈降、NH2−末端配列決定、およびタンパク質標識化を含むが、これらに限定されない方法を使用して実行することができる。
改変FVIIポリペプチドの構造的特性もまた、評価することができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドのX線結晶解析、核磁気共鳴(NMR)、および低温電子顕微鏡(cryo−EM)は、FVIIポリペプチドの3次元構造および/またはCa2+結合性もしくは補因子結合性などのようなFVIIポリペプチドの他の特性を評価するために実行することができる。
さらに、FVII分解の存在および程度は、硫酸ドデシルナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)および電気泳動にかけられたFVII含有サンプルのウェスタンブロッティングなどのような標準的な技術によって測定することができる。プロテアーゼに曝露されたFVIIポリペプチドはまた、改変(修飾)FVIIポリペプチドの開裂部位の場所または変化を決定するためにN−末端配列決定にかけることもできる。
a. 翻訳後修飾
FVIIポリペプチドはまた、翻訳後修飾の存在について評価することもできる。そのようなアッセイは、当技術分野において知られており、グリコシル化、ヒドロキシル化、およびカルボキシル化を測定するためのアッセイを含む。グリコシル化についての例示的なアッセイにおいて、炭水化物分析は、たとえば、ヒドラジン分解処置またはエンドグリコシダーゼ処置にさらされたFVIIポリペプチドのSDS page分析を用いて実行することができる。ヒドラジン分解は、無水ヒドラジンとのインキュベーションによって、糖タンパク質からN結合型グリカンおよびO結合型グリカンを放出するが、エンドグリコシダーゼによる放出は、PNGase Fを伴い、これは、糖タンパク質から最もN−グリカンを放出する。FVIIポリペプチドのヒドラジン分解処置またはエンドグリコシダーゼ処置は、蛍光体標識または発色団標識と用いてタグを付けることができる還元末端を生成する。標識FVIIポリペプチドは、蛍光体支援炭水化物電気泳動(fluorophore−assisted carbohydrate electrophoresis)(FACE)によって分析することができる。グリカンに対する蛍光性タグはまた、HPLCによる単糖分析、複雑なグリコシル化パターンのプロファイリングまたはフィンガープリンティングに使用することもできる。例示的なHPLC方法は、親水性相互作用クロマトグラフィー、電子相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィーを含む。例示的なグリカンプローブは、3−(アセチルアミノ)−6−アミノアクリジン(AA−Ac)および2−アミノ安息香酸(2−AA)を含むが、これらに限定されない。炭水化物部分はまた、グリコシル化FVIIポリペプチドを認識する特異的な抗体の使用を通して検出することができる。β−ヒドロキシル化を測定するための例示的なアッセイは、アルカリ性加水分解にさらされたFVIIポリペプチドの逆相HPLC分析を含む(Przysiecki et al. (1987) PNAS 84:7856-7860)。FVIIポリペプチドのカルボキシル化およびγ−カルボキシル化は、当技術分野において記載されるように、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)分析を用いるマススペクトロメトリーを使用して評価することができる(たとえばHarvey et al. J Biol Chem 278:8363-8369、Maun et al. Prot Sci 14:1171-1180を参照されたい)。プロペプチド(プロFVII)を含有するFVIIポリペプチドの、翻訳後γ−カルボキシレート修飾を担うカルボキシラーゼとの相互作用は、評価することもできる。カルボキシラーゼの、フルオレセイン(flourescin)標識プロFVIIポリペプチドとのインキュベーションの後の解離定数(K)は、異方性によって結合カルボキシラーゼの量を決定することによって測定することができる(Lin et al. (2004) J Biol Chem 279:6560-6566)。
b. タンパク質分解活性
改変FVIIポリペプチドは、タンパク質分解活性について試験することができる。FVIIのタンパク質分解活性は、クロモザイムt−PA(MeSO−D−Phe−Gly−Arg−pNA)、S−2288(H−D−Ile−Pro−Arg−pNA)、S−2266(H−D−Val−Leu−Arg−pNA)、S−2765(Z−D−Arg−Gly−Arg−pNA)、スペクトロザイムFXaおよびスペクトロザイムFVIIa(CHSO−D−CHA−But−Arg−pNA)などのような発色基質を使用して測定することができる。FVIIポリペプチドは、単独でまたはTFの存在下において、様々な濃度の発色基質とインキュベートされる。基質の切断は、容易に入手可能なソフトウェアを使用して、線形回帰によって決定される吸光度および基質加水分解の速度によってモニターすることができる。
FXなどのような凝固因子基質の活性化もまた、FVIIポリペプチドによって評価することができる。TFとのプレインキュベーションありまたはなしのFVIIポリペプチドは、精製FX(商業的に入手可能)とインキュベートすることができる。FVIIポリペプチドとのインキュベーションの結果として産生される活性FXaの量は、S−2222またはSpectrafluor FXa(CHSO−D−CHA−Gly−Arg−AMC.AcOH)などのような発色基質に対するFXaの活性として測定され、これは、吸光度変化を介してモニターされる(Harvey et al. J Biol Chem 278:8363-8369、下記の実施例4もまた参照されたい)。リン脂質の供給源もまた、FVIIおよびFXのインキュベーションにおいて含むことができる(Nelsestuen et al. (2001) J Biol Chem 276:39825-31)。
c. 凝固活性
FVIIポリペプチドは、当技術分野においてよく知られているアッセイを使用することによって凝固活性について試験することができる。たとえば、アッセイのいくつかは、2ステージ凝血アッセイ(Liebman et al., (1985) PNAS 82:3879-3883);プロトロンビン時間アッセイ(PT、これは、外因性経路におけるFVIIaのTF依存性活性を測定することができる);PT試験の改良であるアッセイ;活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT、これは、FVIIaのTF非依存性の活性を測定することができる);活性化凝血時間(ACT);再石灰化活性化凝血時間;リー−ホワイト凝血時間;またはトロンボエラストグラフィー(TEG)(Pusateri et al. (2005) Critical Care 9:S15-S24)を含むが、これらに限定されない。たとえば、改変FVIIポリペプチドの凝固活性は、PTベースのアッセイによって決定することができる。FVIIは、FVII欠損血漿において希釈され、Dade BehringからのInnovin(商標)として入手可能なものなどのようなプロトロンビン時間試薬(リン脂質およびカルシウムと組換えTF)と混合される。血餅形成は、光学的に検出され、血餅までの時間は、決定され、FVII欠損血漿のみに対して比較される。
d. 他のタンパク質および分子による結合および/または阻害
阻害アッセイは、たとえばAT−IIIおよびTFPIまたはZn2+などのような分子などのようなFVII阻害因子に対する改変FVIIポリペプチドの抵抗性を測定するために使用することができる。他の阻害因子についての阻害の評価もまた、試験することができ、他のセリンプロテアーゼ阻害因子およびFVII特異的抗体を含むが、これらに限定されない。阻害は、たとえばAT−III、TFPI、またはZn2+の、TFありおよび/またはなしでプレインキュベートされたFVIIポリペプチドとのインキュベーションによって評価することができる。次いで、FVIIの活性は、上記に記載される、任意の1つまたは複数の活性アッセイまたは凝固アッセイを使用して測定することができ、AT−III、TFPI、またはZn2+による阻害は、阻害因子とインキュベートされたFVIIポリペプチドの活性を、阻害因子とインキュベートされなかったFVIIポリペプチドの活性と比較することによって、評価することができる。
FVIIポリペプチドは、他の凝固因子および阻害因子に対する結合について試験することができる。たとえば、TFなどのような補因子、FXおよびFIXなどのような基質、ならびにアンチトロンビンIII、TFPI、およびヘパリンなどのような阻害因子とのFVIIの直接的なおよび間接的な相互作用は、免疫沈降、カラム精製、非還元SDS−PAGE、BIAcore(登録商標)アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、蛍光偏光(FP)、等温滴定熱量測定(ITC)、円二色性(CD)、タンパク質断片補足性アッセイ(PCA)、核磁気共鳴(NMR)分光法、光散乱、沈降平衡、小ゾーンゲル濾過クロマトグラフィー、ゲル遅延、ファーウェスタンブロッティング、蛍光偏光、ヒドロキシルラジカルタンパク質フットプリント、ファージディスプレー、および様々な2−ハイブリッド系を含むが、これらに限定されない、当技術分野において知られている任意の結合アッセイを使用して評価することができる。一例において、Zn2+結合は、平衡分析を使用して評価される(Petersen et al., (2000) Protein Science 9:859-866)。
e. リン脂質親和性
ホスファチジルセリン(PS)および他のリン脂質に対する改変FVIIポリペプチドの結合性および/または親和性は、当技術分野においてよく知られているアッセイを使用して決定することができる。高度に純粋なリン脂質(たとえば既知濃度のウシPSおよび卵ホスファチジルコリン(PC)これは、Sigmaからなどのように入手可能である)は、有機溶媒において、小さな単層リン脂質小胞を調製するために使用することができる。これらのPS/PC小胞へのFVIIポリペプチドの結合は、入射光に対する90°での相対的な光散乱によって決定することができる。PS/PC単独でのおよびPS/PC/FVIIでの光散乱の強度は、解離定数を決定するために測定される(Harvey et al. J Biol Chem 278:8363-8369)。BIAcoreバイオセンサー機器でなどのような表面プラズマ共鳴は、リン脂質膜に対するFVIIポリペプチドの親和性を測定するために使用することもできる(Sun et al. Blood 101:2277-2284)。
2. 非ヒト動物モデル
非ヒト動物モデルは、改変FVIIポリペプチドの活性、効能、および安全性を評価するために使用することができる。たとえば、非ヒト動物は、疾患または状態についてのモデルとして使用することができる。非ヒト動物は、疾患進行に対する効果をモニターするために、配列番号113〜273のいずれかにおいて記載される任意のFVII変異体などのようなFVII変異体の投与前に、疾患誘発物質および/または表現型誘発物質を注射することができる。遺伝モデルもまた、有用である。たとえば、血友病Aを示す第VIII因子ノックアウトマウスなどのような、1つまたは複数の遺伝子の過剰発現、過小発現、またはノックアウトによって疾患または状態を模倣するマウスなどのような動物は、産出することができる(Bi et al. (1995) Nat Gen 10:119-121)。そのような動物は、当技術分野においてよく知られているトランスジェニック動物産生技術または天然に存在する突然変異株もしくは誘発突然変異株を使用して産出することができる。FVIIと関連する疾患の有用な非ヒト動物モデルの例は、出血障害、特に血友病または血栓症の疾患のモデルを含むが、これらに限定されない。傷害に対する非ヒト動物モデルはまた、FVIIポリペプチドの凝固活性などのような活性を評価するために使用することもできる。これらの非ヒト動物モデルは、野生型FVIIポリペプチドと比較して、FVII変異体の活性をモニターするために使用することができる。
動物モデルはまた、改変FVIIポリペプチドの安定性、半減期、およびクリアランスをモニターするために使用することができる。そのようなアッセイは、改変FVIIポリペプチドを比較するのに、ならびにさらなる非ヒト動物試験および人体試験のための用量および用量レジメンを計算するのに有用である。たとえば、たとえば、配列番号113〜273のいずれかにおいて記載されるいずれかを含む、本明細書において提供される任意のFVII変異体などのような改変FVIIポリペプチドは、マウスの尾部静脈の中に注射することができる。次いで、血液サンプルは、注射の後の時点で採取され(数分、数時間、および数日後になどのように)、次いで、血清または血漿を含むが、これらに限定されない身体のサンプルにおける改変FVIIポリペプチドのレベルは、たとえばELISAまたはラジオイムノアッセイによって特定の時点でモニターすることができる。また、FVIIポリペプチドの注射の後の様々な時点からの血液サンプルは、実施例9において記載されるなどのように、様々な方法を使用して凝固活性について試験される。薬物動態研究のこれらの種類は、FVIIポリペプチドの半減期、クリアランス、および安定性に関する情報を提供することができ、これは、凝血促進薬としての投与に適した投薬を決定するのを支援することができる。
配列番号113〜273のいずれかにおいて記載されるいずれかなどのような改変FVIIポリペプチドは、血友病についての動物モデルを使用して治療有効性について試験することができる。非限定的な一例において、マウスなどのような動物モデルは、使用することができる。血友病のマウスモデルは、当技術分野において入手可能であり、改変FVIIポリペプチドを試験するために利用することができる。たとえば、抗FVIII抗体の注射によって産生される血友病Aのマウスモデルは、FVIIポリペプチドの血液凝固活性を評価するために使用することができる(たとえば実施例6およびTranholm et al. Blood (2003)102:3615-3620を参照されたい)。血友病Bのマウスモデルもまた、FVIIポリペプチドを試験するために使用することができる(Margaritis et al. (2004) J Clin Invest 113:1025-1031)。出血障害の非マウスモデルもまた、存在する。FVIIポリペプチド活性は、ワルファリン誘発性出血またはメラガトラン誘発性出血を有するラット(Diness et al. (1992) Thromb Res 67:233-241、Elg et al. (2001) Thromb Res 101:145-157)およびヘパリン誘発性出血を有するウサギ(Chan et al. (2003) J Thromb Haemost 1:760-765)において評価することができる。重症の出血を示す近交系血友病A、血友病B、およびフォンウィルブランド病イヌもまた、FVIIポリペプチドを用いる非ヒト動物研究において使用することができる(Brinkhous et al. (1989) PNAS 86:1382-1386)。FVIIポリペプチドの活性はまた、出血のウサギモデルにおいて評価することもでき、血小板減少症は、ガンマ線照射および血小板抗体の使用の組み合わせによって誘発される(Tranholm et al. (2003) Thromb Res 109:217-223)。
全身性出血障害を有する動物に加えて、傷害モデルおよび外傷モデルもまた、血液凝固治療薬としてのFVIIポリペプチドの活性ならびにそれらの安全性および効能を評価するために使用することができる。そのようなモデルの非限定的な例は、ウサギ冠動脈狭窄症モデル(Fatorutto et al. (2004) Can J Anaesth 51:672-679)、ブタにおけるグレードV肝傷害モデル(Lynn et al. (2002) J Trauma 52:703-707)、ブタにおけるグレードV肝傷害モデル(Martinowitz et al. (2001) J Trauma 50:721-729)、およびブタ大動脈切開モデル(Sondeen et al. (2004) Shock 22:163-168)を含む。
3. 臨床アッセイ
多くのアッセイは、臨床的使用のためのFVIIの活性を評価するのに入手可能である。そのようなアッセイは、インビボにおける凝固、タンパク質安定性、および半減期の評価ならびに表現型アッセイを含むことができる。表現型アッセイおよびFVII処置の治療効果を評価するためのアッセイは、FVIIの血液レベルの評価(たとえば、肥満度指数(BMI)について修正するための、投与前のならびに第1の投与の後、最後の投与直後、および中間の時点を含む投与の後の時点の血清FVIIの測定)、FVIIを用いる処置の後の、上記に記載される方法を使用する、インビトロにおける血液凝固の評価(たとえばPTアッセイ)、ならびに非改変FVIIおよび/もしくは野生型FVIIまたは偽薬を用いて処置される対象と比較した、長い間にわたる症状の回復を含む、FVII処置に対する表現型の応答を含む。FVIIポリペプチドを用いて処置される患者は、失血、輸血必要量、およびヘモグロビンについてモニターすることができる。患者は、ルーチン的な投与または反復投与のためにある期間にわたりまたは出血、外傷、もしくは手術手技などのような急性事象に応じた投与の後に定期的にモニターすることができる。
G. 製剤および投与
出血障害の処置における使用のための組成物は、本明細書において提供される。そのような組成物は、治療有効量の本明細書において記載される第VII因子ポリペプチドを含有する。有効濃度のFVIIポリペプチドまたは薬学的に許容可能なその誘導体は、全身投与、局所投与、または局所的投与のための適した医薬担体または医薬媒体と混合される。化合物は、選択される障害の処置に有効な量で含まれる。組成物における活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化、排泄率、投薬スケジュール、および投与される量ならびに当業者に知られている他の因子に依存するであろう。
本明細書において提供される化合物の投与に適した医薬担体または医薬媒体は、当業者らに知られている任意のそのような担体を含み、投与の特定のモードに適したものとなる。治療有効量の本明細書において記載されるFVIIポリペプチドを含む医薬組成物は、投与の直前に、滅菌水などを用いて、再構成される凍結乾燥粉末として提供することもできる。
1. 製剤
改変FVIIを含有する医薬組成物は、選択される量のポリペプチドを、1つまたは複数の生理学的に許容可能な担体または賦形剤と混合することによって、任意の従来の様式において製剤することができる。担体または賦形剤の選択は、投与する医者の技術の範囲内にあり、多くのパラメーターに依存し得る。これらは、たとえば、投与のモード(すなわち、全身、経口、経鼻、経肺、局所的、局所、または任意の他のモード)および処置される障害を含む。本明細書において提供される医薬組成物は、単回投与での(直接的)投与のためにまたは希釈もしくは他の改変のために製剤することができる。製剤における化合物の濃度は、意図される処置に有効な、投与の際の量のデリバリーに有効である。典型的には、組成物は、単回投与での投与のために製剤される。組成物を製剤するために、化合物またはその混合物の重量分率は、処置される状態が軽減するまたは回復するような有効濃度で、選択される媒体において溶解される、懸濁される、分散される、または他の形で混合される。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、二本鎖FVIIaタンパク質として対象に対する投与のために製剤することができる。改変FVIIポリペプチドは、製剤前に、当技術分野において知られている任意の方法によって活性化することができる。たとえば、FVIIは、イオン交換クロマトグラフィーによる精製の間に自己活性化を受け得る(Jurlander et al. (2001) Semin Thromb Hemost 27:373-384)。改変FVIIポリペプチドはまた、ビーズ上に固定されたFXaとのインキュベーション(Kemball-Cook et al. (1998) J Biol Chem 273:8516-8521)または当技術分野において知られている任意の他の方法(下記の実施例2もまた参照されたい)によって活性化することもできる。これらのプロセスにおけるカルシウムの包含は、改変FVIIaタンパク質の完全な活性化および正確な折り畳みを保証する。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドはまた、一本鎖タンパク質として投与のために製剤することもできる。一本鎖FVIIポリペプチドは、切断を予防するような方法において精製することができる(たとえばUS6677440を参照されたい)。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、一本鎖形態および二本鎖形態が、自己活性化を排除するまたは制御するために、培地の適切な選択によって、任意の比において医薬組成物において含有されるように、製剤することができる。
化合物は、微粒子化された形態もしくは他の適した形態で懸濁させることができるまたはより可溶性の活性産物を産生するために誘導体化することができる。結果として生じる混合物の形態は、投与の意図されるモードおよび選択される担体または媒体における化合物の溶解性を含む、多くの因子に依存する。結果として生じる混合物は、溶液、懸濁液、乳濁液、および他のそのような混合物であり、非水性または水性の混合物、クリーム、ゲル、軟膏剤、乳剤、水剤、エリキシル剤、ローション、懸濁剤、チンキ剤、ペースト、泡、エアロゾル、灌注剤、スプレー剤、坐剤、包帯、または全身投与、局所投与、もしくは局所的投与に適している任意の他の製剤として製剤することができる。筋肉内投与、非経口投与、または関節内投与などのような局所的内部投与については、ポリペプチドは、等張緩衝生理食塩水などのような水性ベースの培地において溶液懸濁剤として製剤することができるまたは内部投与のために意図される生体適合性支持体もしくは生体接着性のものと組み合わせられる。有効濃度は、標的とされる状態を回復させるのに十分であり、経験的に決定することができる。組成物を製剤するために、化合物の重量分率は、標的とされる状態が軽減するまたは回復するような有効濃度で、選択される媒体において溶解される、懸濁される、分散される、または他の形に混合される。
一般に、薬学的に許容可能な組成物は、規制当局に対する承認を考慮して調製され、他のものは、動物およびヒトにおける使用のための、一般に承認される薬局方に従って調製される。医薬組成物は、アイソフォームが共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体などのような担体を含むことができる。そのような医薬担体は、落花生油、ダイズ油、鉱油、およびゴマ油などのような、石油起源、動物起源、野菜起源、または合成起源のものを含む、水および油などのような、滅菌した液体とすることができる。医薬組成物が静脈内に投与される場合、水は、典型的な担体となる。食塩水ならびに水性デキストロース溶液および水性グリセロール溶液は、特に注射可能な溶液のための、液体担体として利用することもできる。組成物は、有効成分と共に、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、またはカルボキシメチルセルロースなどのような希釈剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、および滑石などのような滑沢剤;ならびにデンプン、アラビアゴムなどのような天然ゴム、ゼラチン、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリジン、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドン、ならびに当業者らに知られている他のそのような結合剤などのような結合剤を含有することができる。適した医薬賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、石粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、滑石、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、およびエタノールを含む。組成物はまた、望ましい場合、少数の量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤、たとえばアセテート、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、トリエタノールアミンオレアート、および他のそのような作用物質を含有することができる。これらの組成物は、溶液、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、および徐放性製剤の形態をとることができる。治療化合物およびラクトースまたはデンプンなどのような適した粉末ベースの粉末ミックスを含有する、たとえば、吸入器または注入器における使用のためのゼラチンのカプセル剤およびカートリッジは、製剤することができる。組成物は、伝統的な結合剤およびトリグリセリドなどのような担体と共に坐剤として製剤することができる。経口製剤は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、および他のそのような作用物質などのような、標準的な担体を含むことができる。経口投与のための調製物もまた、ボーマン−バーク阻害因子、コンンジュゲートボーマン−バーク阻害因子、アプロチニン、およびカモスタットなどのようなプロテアーゼ阻害因子と共に適切に製剤することができる。適した医薬担体の例は、E. W. Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」において記載される。そのような組成物は、対象または患者への適切な投与のための形態を提供するために、適した量の担体と共に、一般に精製形態において、治療有効量の化合物を含有するであろう。
製剤は、投与のモードに適するはずである。たとえば、改変FVIIは、注射による(たとえばボーラス注射または継続注入による)非経口投与のために製剤することができる。注射可能な組成物は、油性媒体または水性媒体において、懸濁剤、水剤、または乳剤としてそのような形態をとることができる。滅菌した注射可能な調製物はまた、たとえば1,4−ブタンジオールにおける水剤として、無毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤における、滅菌した注射可能な水剤または懸濁剤とすることができる。滅菌した不揮発性油は、溶剤または懸濁媒として慣習的に利用される。この目的のために、合成モノグリセリドもしくは合成ジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、ゴマ油、やし油、落花生油、綿実油、および他の油のような天然に存在する植物油、またはオレイン酸エチルのような合成脂肪性媒体を含むが、これらに限定されない任意の無刺激の不揮発性油を、利用することができる。緩衝液、保存剤、酸化防止剤、および適した成分は、必要に応じて組み込むことができるまたは代わりに、製剤を含むことができる。
ポリペプチドは、組成物におけるただ1つの薬学的に活性な成分として製剤することができるまたは他の活性成分と組み合わせることができる。ポリペプチドは、抗体などのような標的作用物質へのコンンジュゲートなどによって、デリバリーのために標的にすることができる。組織標的リポソームを含むリポソーム懸濁剤もまた、薬学的に許容可能な担体として適し得る。これらは、当業者らに知られている方法に従って調製することができる。たとえば、リポソーム製剤は、米国特許第4,522,811号において記載されるように調製することができる。リポソームデリバリーはまた、徐放性製剤を含むこともでき、フィブロネクチンを用いて改変される、コラーゲンゲルおよびリポソームなどのような医薬マトリックスを含む(たとえばWeiner et al. (1985) J Pharm Sci. 74(9): 922-5を参照されたい)。本明細書において提供される組成物は、これらに限定されないが、不活性担体またはコロイド分散系などのような、デリバリーを容易にする1つまたは複数のアジュバントをさらに含有することができる。そのような不活性担体の代表的で非限定的な例は、水、イソプロピルアルコール、ガス状フルオロカーボン、エチルアルコール、ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、ゲル産生物質、ステアリルアルコール、ステアリン酸、鯨ろう、ソルビタンモノオレアート、メチルセルロース、およびその2つ以上の適した組み合わせから選択することができる。活性化合物は、処置される対象に対して望ましくない副作用の非存在下において、薬学的に許容可能な担体において、治療的に有用な効果を発揮するのに十分な量で含まれる。治療的に有効な濃度は、本明細書において提供されるアッセイなどのような知られているインビトロ系およびインビボ系において化合物を試験することによって経験的に決定することができる。
a. 投薬量
投与される治療剤の正確な量または用量は、特定のFVIIポリペプチド、投与の経路、ならびにその疾患の重症度ならびに対象の体重および全身状態などのような他の考慮に依存する。治療剤の局所的濃度が、いくつかの場合において、全身投与に際して安全性を伴って達成することができるものよりも、局所的投与の後に、高いものとなり得るが、治療剤の局所的投与は、典型的には、全身投与のあらゆるモードよりも低い用量を必要とするであろう。必要であれば、特定の投薬量および継続期間ならびに処置プロトコールは、経験的に決定するまたは推定することができる。たとえば、組換えFVIIポリペプチドおよび天然FVIIポリペプチドの例示的な用量は、適切な投薬量を決定するための出発点として使用することができる。たとえば、rFVIIaに活性化された組換えFVII(rFVIIa)ポリペプチド、Novoseven(登録商標)は、少なくとも2μg/mlの有効な循環レベルを達成する、2〜5分間にわたるボーラス注入によって90μg/kgの投薬量で、出血エピソードを経験している血友病Aまたは血友病Bを有する患者に投与されてきた。止血が達成されるまで、その用量は、2時間ごとに反復される。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、そのような組換えFVIIと比較して、低下した投薬量および/または頻度で有効となり得る。たとえば、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、80μg/kg、70μg/kg、60μg/kg、50μg/kg、40μg/kg、30μg/kg、20μg/kg、15μg/kg、またはそれ以下の投薬量で投与することができる。いくつかの実施形態において、投薬量は、100μg/kg、110μg/kg、120μg/kg、またはそれ以上などのような、より高いものとすることができる。処置の継続期間および注射の間の間隔は、出血の重症度および処置に対する患者の応答に応じて変わるであろう、また、適宜、調整することができる。非改変FVIIと比較した、改変FVIIの活性のレベルおよび半減期などのような因子は、投薬量の決定をなす場合、考慮に入れることができる。特定の投薬量およびレジメンは、経験的に決定することができる。
他の例において、rFVIIaに活性化された組換えFVII(rFVIIa)ポリペプチド、Novoseven(登録商標)は、2〜5分間にわたるボーラス注入によって15〜30μg/kgの投薬量で、出血エピソードを経験している、先天性FVII欠乏症を有する患者に投与されてきた。止血が達成されるまで、その用量は、4〜6時間ごとに反復される。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、そのような組換えFVIIと比較して、低下した投薬量および/または頻度で有効となり得る。たとえば、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、20μg/kg、15μg/kg、10μg/kg、5μg/kg、3μg/kg、またはそれ以下の投薬量で投与することができる。いくつかの例において、投薬量は、35μg/kg、40μg/kg、45μg/kg、またはそれ以上などのような、より高いものとすることができる。処置の継続期間および注射の間の間隔は、出血の重症度および処置に対する患者の応答に応じて変わるであろう、また、適宜、調整することができる。非改変FVIIと比較した、改変FVIIの活性のレベルおよび半減期などのような因子は、投薬量の決定をなすのに使用することができる。たとえば、非改変FVIIポリペプチドよりも長い半減期を示す改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドよりも低い用量および/または低い頻度で投与することができる。同様に、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増加した血液凝固活性を示す改変FVIIポリペプチドを使用する、治療効果に必要とされる投薬量は、頻度および量を低下させることができる。特定の投薬量およびレジメンは、経験的に当業者によって決定することができる。
b. 剤形
医薬品の治療的に活性な化合物およびその誘導体は、典型的には、単位剤形または複数回の剤形で製剤され、投与される。製剤は、適した量の化合物または薬学的に許容可能なその誘導体を含有する、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒、滅菌した非経口水剤または非経口懸濁剤、経口水剤または懸濁剤、および油水乳剤を含むが、これらに限定されない剤形で、ヒトおよび動物に対する投与のために提供することができる。それぞれの単位用量は、必要とされる医薬担体、医薬媒体、または医薬希釈剤と関連して、望ましい治療効果をもたらすのに十分な所定の量の治療的に活性な化合物を含有する。単位用量形態の例は、アンプルおよびシリンジならびに個々に包装される錠剤またはカプセル剤を含む。いくつかの例において、単位用量は、投与前に再構成される凍結乾燥散剤として提供される。たとえば、FVIIポリペプチドは、注射のための単一用量水剤を生成するために、適した水剤を用いて再構成される凍結乾燥散剤として提供することができる。いくつかの実施形態において、凍結乾燥散剤は、滅菌蒸留水を用いる再構成によって、緩衝液または食塩水におけるFVIIポリペプチドをもたらすように、FVIIポリペプチドおよび塩などのような、さらなる構成成分を含有することができる。単位用量形態は、分割してまたはそれを複数にして投与することができる。複数用量形態は、分離した単位用量形態で投与されるように、単一の容器中に包装される複数の同一単位剤形である。複数用量形態の例は、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトル、またはパイントもしくはガロンのボトルを含む。したがって、複数用量形態は、包装において分離されない複数の単位用量である。
2. 改変FVIIポリペプチドの投与
本明細書において提供されるFVIIポリペプチド(つまり活性化合物)は、体液または他の組織サンプルなどのような混合物をFVIIポリペプチドと接触させることによって、インビトロ、エクスビボ、またはインビボにおいて投与することができる。たとえば、エクスビボにおいて化合物を投与する場合、対象からの体液または組織サンプルは、たとえばバイパス機械におけるチューブまたはフィルターなどのようなチューブまたはフィルター上にコーティングされているFVIIポリペプチドと接触させることができる。インビボにおいて投与される場合、活性化合物は、液体形態、半液体形態、または固体形態において、任意の適切な経路によって、たとえば経口的に、経鼻的に、経肺で、非経口的に、静脈内に、皮内に、皮下に、関節内に、槽内に眼内に、脳室内に、鞘内に、筋肉内に、腹腔内に、気管内に、または局所におよびその任意の2つ以上の任意の組み合わせによって、投与することができ、投与のそれぞれの経路に適した様式において製剤される。改変FVIIポリペプチドは、1回または2回、3回、4回、もしくは治療効果を達成するために必要とされる任意の回数などのように、1回よりも多く投与することができる。複数回の投与は、任意の経路または経路の組み合わせを介して達成することができ、1時間ごと、2時間ごと、3時間ごと、4時間ごとに、またはそれ以上で投与することができる。
投与に最も適した経路は、処置されることとなる疾患状態、たとえば出血障害の場所に依存して変わるであろう。一般に、FVIIポリペプチドは、約2〜5分間の投与(注入)時間と共に、静脈内ボーラス注射によって投与されるだろう。他の例において、FVIIの望ましい血液レベルは、血漿レベルによって確かめられるように、活性剤の継続注入によって維持することができる。主治医は、毒性または骨髄、肝臓、もしくは腎臓の機能障害により、投薬量を下げるために、どのようにかついつ療法を終了させる、中断する、調整するかを知っているであろうということに留意されたい。反対に、主治医はまた、臨床応答が適当でない場合に、どのようにかついつ処置をより高度なレベルに調整するかをも知っているであろう(有毒な副作用を防止する)。他の例において、出血障害の場所は、FVII製剤が代替経路を介して投与されることを示してもよい。たとえば、脳の中への(たとえば脳室内)投与を含む局所的投与は、患者がこの領域における出血を経験している場合、実行されてもよい。同様に、関節における出血の処置のために、関節への治療剤の注射による局所的投与(つまり関節内手段、静脈内手段、または皮下手段)は、利用することができる。他の例において、たとえば、クリーム、ゲル、もしくは軟膏剤として製剤された、皮膚への治療剤の局所投与または吸入によるまたは気管内の肺への投与は、出血がこれらのエリアに局在化している場合、適切であってもよい。
改変FVIIポリペプチドが、デポー調製物として製剤される場合、長時間作用性製剤は、植え込み(たとえば皮下にもしくは筋肉内に)または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、たとえば、治療化合物は、適したポリマー物質もしくは疎水性物質(たとえば許容可能な油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共にまたはわずかに可溶性の誘導体として、たとえばわずかに可溶性の塩として製剤することができる。
組成物は、所望の場合、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有することができる包装、キット、またはディスペンサーデバイスにおいて提供することができる。包装は、たとえば、ブリスターパック等の金属箔またはプラスチック箔を含有する。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための説明書を添付することができる。活性剤を含有する組成物は、包装材、本明細書において提供される作用物質、および作用物質が提供される障害を示す標識を含有する製品として包装することができる。
3. 改変FVIIポリペプチドをコードする核酸の投与(遺伝子治療)
改変FVIIポリペプチドをコードする核酸分子および遺伝子治療に適したそれらをコードする発現ベクターの組成物もまた、提供される。タンパク質を送達するのではなく、全身的にまたは他の経路によってまたはリンパ球を含む細胞の除去、その中への核酸の導入、および宿主または適合性のあるレシピエントへの再導入など、エクスビボなどで、核酸をインビボにおいて投与することができる。
改変FVIIポリペプチドは、核酸分子の発現によって細胞および組織に送達させることができる。改変FVIIポリペプチドは、改変FVIIポリペプチドをコードする核酸分子として投与することができ、エクスビボ技術および直接的インビボ発現を含む。核酸は、当業者らに知られている任意の方法によって細胞および組織に送達することができる。単離核酸配列は、さらなる操作のためにベクターの中に組み込むことができる。本明細書において使用されるように、ベクター(またはプラスミド)は、その発現または複製のいずれかのために細胞の中に異種DNAを導入するために使用される別個の要素を指す。そのような媒体の選択および使用は、当業者の技術の範囲内に十分にある。
コード核酸分子の発現による改変FVIIポリペプチドの投与のための方法は、組換えベクターの投与を含む。ベクターは、複製開始点の包含などにより、エピソームのままとなるように設計することができるまたは細胞における染色体の中に組み込むよう設計することができる。改変FVIIポリペプチドはまた、非ウイルス性ベクターを使用して、エクスビボ遺伝子発現療法において使用することができる。たとえば、細胞は、改変FVIIポリペプチドコード核酸をゲノムの場所の中に組み込み、調節配列に作動可能に連結されるまたは結果として、それが、ゲノムの場所における調節配列に作動可能に連結されて配置されることなどによって、改変FVIIポリペプチドを発現するように操作することができる。次いで、そのような細胞は、処置を必要とする患者などのような対象に局所的にまたは全身的に投与することができる。
たとえばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、および遺伝子治療のために設計される他のものを含むウイルス性ベクターを、利用することができる。ベクターは、エピソームのままとすることができるまたは処置される対象の染色体の中に組み込むことができる。改変FVIIポリペプチドは、ウイルスによって発現させることができ、プロテアーゼポリペプチドは、処置を必要とする対象に投与される。遺伝子治療に適したウイルス性ベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、レンチウイルス、ワクシニアウイルス、および上記に述べられる他のものを含む。たとえば、アデノウイルス発現技術は、当技術分野においてよく知られており、アデノウイルス産生および投与方法もまた、よく知られている。アデノウイルス血清型は、たとえばAmerican Type Culture Collection(ATCC、Rockville、MD)から利用可能である。アデノウイルスは、エクスビボにおいて使用することができる、たとえば、細胞は、処置を必要とする患者から単離され、改変FVIIポリペプチド発現アデノウイルスベクターを用いて形質導入される。適した培養期間の後、形質導入された細胞は、対象に局所的および/または全身的に投与される。代わりに、改変FVIIポリペプチド発現アデノウイルス粒子は、単離され、対象の疾患または状態を予防する、処置する、または回復させるために、治療的有効量のデリバリーのために、薬学的に許容可能な担体において製剤される。典型的には、アデノウイルス粒子は、対象体重1キログラム当たり1個の粒子から1014個の粒子の範囲、一般に、対象体重1キログラム当たり10個または10個の粒子から1012個の粒子の間の用量で送達される。いくつかの場面において、細胞膜タンパク質もしくは標的細胞に特異的な抗体または標的細胞上の受容体に対するリガンドなどのような、細胞を標的にする作用物質と共に核酸源を提供することが望ましい。FVIIはまた、デリバリーのために、特定の細胞型の中に向けることもできる。たとえば、FVIIポリペプチドをコードするアデノウイルスベクターは、肝細胞などのような非分裂細胞における安定した発現に使用することができる(Margaritis et al. (2004) J Clin Invest 113:1025-1031)。他の例において、FVIIポリペプチドをコードするウイルス性ベクターまたは非ウイルス性ベクターは、続くデリバリーのために、単離細胞の中に形質導入することができる。FVIIの発現およびデリバリーのためのさらなる細胞型は、線維芽細胞および内皮細胞を含むが、これらに限定されない。
核酸分子は、人工染色体および他の非ウイルス性ベクターの中に導入することができる。ACESなどのような人工染色体(Lindenbaum et al. (2004) Nucleic Acids Res. 32(21):e172を参照されたい)は、アイソフォームをコードし、発現するように操作することができる。手短に言えば、哺乳動物人工染色体(MAC)は、細胞の中に大きなペイロードの遺伝子情報を自律複製非組み込み方式において導入するための手段を提供する。MACの中で特有に、哺乳動物サテライトDNAベースの人工染色体発現(ACE)は、異なる種の細胞株において再現性よくデノボ生成され、宿主細胞の染色体から容易に精製することができる。次いで、精製された哺乳動物ACEは、様々なレシピエント細胞株に再導入することができ、ACEは、長期間、選択圧の非存在下においてACE系を使用して安定して維持される。このアプローチを使用して、1つまたは2つの遺伝子標的を特異的に積むことがLMTK(−)およびCHO細胞中で達成された。
改変FVIIポリペプチドをコードする核酸を導入する他の方法は、酵母における2工程遺伝子交換技術であり、酵母人工染色体(YAC)においてクローニングされる完全アデノウイルスゲノム(Ad2;Ketner et al. (1994) PNAS 91: 6186-6190)ならびにYACクローンにおける特異的な領域を標的とするためのアデノウイルス配列、対象とする遺伝子のための発現カセット、ならびにポジティブ選択マーカーおよびネガティブ選択マーカーを含有するプラスミドを用いて始まる。YACは、より大きな遺伝子の組み込みを可能にするので、特に対象となる。このアプローチは、哺乳動物細胞または全動物に対する遺伝子移入のための、記載される改変FVIIポリペプチドのいずれかをコードする核酸を運ぶ、アデノウイルスベースのベクターの構築に使用することができる。
核酸は、リポソームなどのような媒体にカプセル化するまたは細菌細胞、特に弱毒化された細菌などのような細胞の中に導入するまたはウイルス性ベクターの中に導入することができる。たとえば、リポソームが利用される場合、エンドサイトーシスに関連する細胞膜タンパク質に結合するタンパク質、たとえば、特定の細胞型に対して向性のカプシドタンパク質またはその断片、サイクリングにおいてインターナリゼーションを起こすタンパク質に対する抗体、および細胞内局在化を標的にし、細胞内半減期を増強させるタンパク質が、ターゲティングのためにおよび/または取り込みを容易にするために使用することができる。
エクスビボおよびインビボにおける方法については、改変FVIIポリペプチドをコードする核酸分子は、処置されることとなる適したドナーまたは対象からの細胞の中に導入される。療法の目的のために核酸を導入することができる細胞は、たとえば、処置されることとなる疾患または状態に適切な任意の所望の利用可能な細胞型を含み、上皮細胞、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞;Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球などのような血球;様々な幹細胞または前駆細胞、特にたとえば、骨髄、臍帯血、末梢血、胎児肝臓、およびそれらの他の源から得られる幹細胞などのような造血幹細胞または造血前駆細胞を含むが、これらに限定されない。
エクスビボ処置については、処置されることとなる対象と適合性のあるドナーに由来する細胞または処置されることとなる対象からの細胞は、除去され、核酸は、これらの単離細胞の中に導入され、改変細胞は、対象に投与される。処置は、たとえば患者の中に植え込まれる多孔質膜内にカプセル化されるものなどのように、直接的投与を含む(たとえば、米国特許第4,892,538号および第5,283,187号を参照されたい。これらのそれぞれは、その全体が参照によって本明細書において組み込まれる)。インビトロにおける哺乳動物細胞の中への核酸の移入に適した技術は、リポソームならびにカチオン脂質(たとえばDOTMA、DOPE、およびDC−Chol)の使用、電気穿孔法、微量注射法、細胞融合法、DEAE−デキストラン法、ならびにリン酸カルシウム沈降法を含む。DNAデリバリーの方法は、インビボにおいて改変FVIIポリペプチドを発現させるために使用することができる。そのような方法は、電気穿孔、超音波、およびリン酸カルシウムデリバリーの使用などのように、局所的および全身的なデリバリーを含む、核酸のリポソームデリバリーおよび裸のDNAのデリバリーを含む。他の技術は、微量注射、細胞融合、染色体媒介性遺伝子移入、ミクロセル媒介性遺伝子移入、およびスフェロプラスト融合を含む。
改変FVIIポリペプチドのインビボ発現は、さらなる分子の発現に連結させることができる。たとえば、改変FVIIポリペプチドの発現は、操作されたウイルスにおいてなどのように、細胞毒性産物の発現と連結することができるまたは細胞毒性ウイルスにおいて発現させることができる。そのようなウイルスは、治療的効果のために標的とされる特定の細胞型を標的にすることができる。発現改変FVIIポリペプチドは、ウイルスの細胞毒性を増強させるように使用することができる。
改変FVIIポリペプチドのインビボ発現は、細胞特異的プロモーターまたは組織特異的プロモーターなどのような特異的な調節配列に、改変FVIIポリペプチドコード核酸分子を作動可能に連結することを含むことができる。改変FVIIポリペプチドはまた、とりわけ標的細胞型および/または標的組織において感染するおよび/または複製するベクターから発現することができる。誘発性プロモーターは、改変FVIIポリペプチド発現を選択的に調節するために使用することができる。例示的な調節可能な発現系は、ドキシサイクリン誘発性遺伝子発現系であり、これは、組換えFVII発現を調節するために使用されてきた(Srour et al.(2003) Thromb Haemost. 90(3): 398-405)。
核酸分子は、裸の核酸としてまたはベクター、人工染色体、リポソーム、および他の媒体において、全身投与、局所経路、局所的経路、および投与の他の経路によって対象に投与することができる。全身およびインビボにおけるものである場合、核酸分子または核酸分子を含有する媒体は、細胞を標的にすることができる。
投与はまた、細胞または組織を典型的に標的にするベクターまたは細胞の投与などによって、直接的なものとすることができる。たとえば、腫瘍細胞および増殖は、改変FVIIポリペプチドのインビボ発現についての標的細胞となり得る。改変FVIIポリペプチドのインビボ発現に使用される細胞はまた、患者にとって自己となる細胞をも含む。そのような細胞は、患者から取り出され、改変FVIIポリペプチドの発現のための核酸を、導入し、次いで、注射または植え付けなどによって、患者に投与することができる。
H.治療上の使用
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、組換えFVIIが利用される任意の状態の処置に使用することができる。典型的には、そのような処置は、増加した止血性の応答などのような増加した凝固が望ましいものを含む。改変FVIIポリペプチドは、単独でまたは他の作用物質と組み合わせて治療活性を有する。本明細書において提供される改変ポリペプチドは、治療活性を保持するが、改変特性、特にAT−IIIに対する増加した抵抗性および増加した触媒活性を示すように設計される。本明細書において提供される改変ポリペプチドはまた、TFPIに対する増加した抵抗性、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性、血清半減期などのような改善された薬物動態学的特性、活性化血小板に対する増加した結合性および/もしくは親和性、血清アルブミンに対する増加した結合性および/もしくは親和性ならびに/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/もしくは親和性を示すこともできる。そのような改変特性は、たとえば、改変FVIIポリペプチドの増加した血液凝固活性により、ポリペプチドの治療有効性を改善することができる。この部は、例示的な使用および投与方法を提供する。これらの記載される療法は、例示的なものであり、改変FVIIポリペプチドの適用を限定しない。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、様々な治療薬およびFVIIが利用される診断法において使用することができる。そのような方法は、記載されるおよび以下に挙げられる生理学的状態および医学的状態の処置の方法を含むが、これらに限定されない。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、野生型FVIIと比較して、同じ効果を達成するためのより低い用量を含む、インビボ活性および治療効果の改善ならびにより少ないおよび/またはより頻度が低い投与、減少した副作用、ならびに増加した治療効果などのような、投与および処置における他の改善を示すことができる。改変FVIIポリペプチドが、FVIIチモーゲン(つまり一本鎖形態)として投与することができることは理解されるが、典型的には、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、たとえば、精製の間になどのように、自己活性化または他の凝固因子による活性化の後に、活性化二本鎖形態で投与される。
特に、改変FVIIポリペプチドは、FVIIが処置に使用された治療方法における使用を意図する。そのような方法は、これらに限定されないが、血液凝固障害、血液障害、出血性障害、血友病A、血友病Bなどのような血友病および第VII因子欠乏症、ならびに肝臓疾患によって引き起こされる後天性第VII因子欠乏症などのような後天性血液障害などのような疾患および障害の処置の方法を含むが、これらに限定されない。改変FVIIポリペプチドはまた、これらに限定されないが、血小板減少症(たとえば化学療法計画などにより)、フォンウィルブランド病、遺伝性血小板障害(たとえば、チェディアック−東症候群およびヘルマンスキー−パドラック症候群などのような貯蔵プール病、トロンボキサンA2機能障害、グランツマン血小板無力症、ならびにベルナール−スーリエ症候群)、溶血性尿毒症症候群、ランデュ−オースラ−ウェバー症候群としても知られている先天性出血性末梢血管拡張症、アレルギー性紫斑病(ヘノッホ シェーンライン紫斑病)、ならびに播種性血管内凝固症候群などのような、さらなる出血疾患および出血障害の処置において使用することができる。
いくつかの実施形態において、FVIIポリペプチドによって処置されることとなる出血は、脳、内耳領域、眼、肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管などのような器官において生じる。他の実施形態において、出血は、出血性胃炎および大量の子宮出血においてなどのように、びまん性である。たとえば血友病AおよびBなどのような出血障害を有する患者は、手術または外傷の間に出血合併症の危険性にあることが多い。そのような出血は、出血性関節症(関節における出血)、慢性血友病性関節症、血腫(たとえば、筋肉、腹膜後、舌下、および咽頭後方)、血尿(腎管からの出血)、中枢神経系出血、消化管出血(たとえばUGI出血)、ならびに脳出血として示すことができ、これらはまた、改変FVIIポリペプチドを用いて処置することもできる。さらに、手術(たとえば肝切除術)または抜歯と関連する任意の出血は、改変FVIIポリペプチドを用いて処置することができる。一実施形態において、改変FVIIポリペプチドは、対象における、外傷(すなわち手術)による出血エピソードまたは血小板の低下した数もしくは活性を処置するために使用することができる。手術を受ける患者のための例示的な方法は、出血を予防するための処置およびこれらに限定されないが、心臓手術、血管形成術、肺手術、腹部手術、脊髄手術、脳手術、血管手術、口腔手術、または骨髄、心臓、肺、膵臓、もしくは肝臓の移植を含む器官移植手術などのような手術の前の、その間の、またはその後の処置を含む。
改変FVIIポリペプチドを用いる疾患および状態の処置は、注射、経肺投与、経口投与、および経皮投与を含むが、こられに限定されない、本明細書において記載される適した製剤を使用する投与の任意の適した経路によって達成することができる。処置は、静脈内ボーラス投与によって典型的に達成される。
必要であれば、特定の投薬量および継続期間ならびに処置プロトコールは、経験的に決定するまたは推定することができる。たとえば、組換えFVIIポリペプチドおよび天然FVIIポリペプチドの例示的な用量は、適切な投薬量を決定するための出発点として使用することができる。たとえば、rFVIIaに活性化された組換えFVII(rFVIIa)ポリペプチド、Novoseven(登録商標)は、2.7時間の平均半減期と共に、少なくとも2μg/mlの有効な循環レベルを達成する、2〜5分間にわたるボーラス注入によって90μg/kgの投薬量で、出血エピソードを経験している血友病Aまたは血友病Bを有する患者に投与されてきた。止血が達成されるまで、その用量は、2時間ごとに反復される。たとえば、AT−IIIに対する増加した抵抗性、増加した触媒活性、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性、TFPIに対する増加した抵抗性、増加した血清半減期などのような改善した薬物動態学的特性、活性化血小板に対する増加した結合性および/もしくは親和性、血清アルブミンに対する増加した結合性および/もしくは親和性ならびに/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/もしくは親和性により、増加した血液凝固活性を有する改変FVIIポリペプチドは、そのような組換えFVIIと比較して、低下した投薬量および/または頻度で有効となり得る。野生型FVIIポリペプチドまたは非改変FVIIポリペプチドについての投薬量は、改変FVIIポリペプチドについての投薬量の決定のための手引きとして使用することができる。非改変FVIIと比較した、改変FVIIの活性のレベルおよび半減期などのような因子は、そのような決定をなすのに使用することができる。特定の投薬量およびレジメンは、経験的に決定することができる。
投薬量レベルおよびレジメンは、知られている投薬量およびレジメンに基づいて決定することができ、必要ならば、改変ポリペプチドの特性の変化に基づいて推定することができるおよび/または様々な因子に基づいて経験的に決定することができる。そのような因子は、個人の体重、健康状態、年齢、利用される特異的な化合物の活性、性別、食餌、投与の時間、排泄の速度、薬剤の組み合わせ、疾患の重症度および過程、ならびに疾患に対する患者の素因および処置する医師の判断を含む。有効成分、ポリペプチドは、典型的には、薬学的に有効な担体と組み合わせられる。単一剤形または多剤形を産生するために担体物質と組み合わせることができる有効成分の量は、処置される宿主および投与の特定のモードに依存して変わり得る。
血液の凝血時間に対するFVIIポリペプチドの効果は、全血プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、活性化凝血時間(ACT)、再石灰化活性化凝血時間、またはリー−ホワイト凝血時間を含むが、これらに限定されない、当技術分野において知られている凝血試験のいずれかを使用してモニターすることができる。
患者の状態の改善に際して、必要であれば、維持用量の化合物または組成物を投与することができ、および、投与量、剤形、もしくは投与の回数またはそれらの組み合わせを修正することができる。いくつかの場合において、対象は、疾患症状のあらゆる再発に際してまたはスケジューリングされた投薬量に基づいて、長期ベースでの断続的な処置を必要とし得る。他の場合において、さらなる投与は、出血、外傷、または手術手技などのような急性事象に応じて必要とされ得る。
以下は、FVII(FVIIaとして投与される)が治療剤として単独でまたは他の作用物質と組み合わせて使用されたいくつかの例示的な状態である。
1. 先天性の出血障害
a. 血友病
先天性の血友病は、血漿における凝固因子のレベルが減少しており、凝固カスケードの崩壊およびブロット凝血時間の増加に至る、劣性の血液障害である。血友病Aは、血友病のすべての症例の約85%を占めるが、X染色体上の第VIII因子遺伝子における突然変異(1つまたは複数)に起因し、FVIIIタンパク質の欠乏症または機能障害に至る。血友病Bは、凝固因子、FIXの欠乏症または機能障害によって引き起こされ、一般に、X染色体上のFIX遺伝子における点突然変異または欠失に起因する。血友病Aの世界的な発生率は、5000人の男性個人当たり約1症例であり、血友病Bについて、25000人の男性当たり1症例である。血友病AおよびBは、軽度、中程度、または重症にさらに分類される。通常機能する第VIII因子または第IX因子の5%〜25%を有する血漿レベルは、軽度として分類され、1%〜5%は、中程度であり、1%未満は、重症である。血友病Cは、FIX欠乏症と呼ばれることが多いが、比較的軽度で珍しい疾患であり、常染色体劣性様式において、100000人のうち約1人に影響を及ぼす。
血友病AおよびBは、多くの方法において臨床的に明らかになる。小さな切り傷およびすり傷は、過度の出血をもたらさないであろうが、外傷および手術は、もたらすであろう。患者はまた、多数の関節および筋肉の出血ならびに軽い打撲傷を有するであろう。出血性関節症または関節への出血は、血友病における主要な合併症の1つであり、自発的にまたは外傷に応じて生じ得る。膝、肘、および足首などのようなちょうつがい関節は、最も頻繁に影響を及ぼされる。球関節が、それらを包囲する、より多くの筋系を有し、したがって、傷害からそれらをより保護するので、股関節部および肩は、それほど頻繁に影響を及ぼされない。出血は、重症の急性の痛みを引き起こし、移動を制限し、滑膜肥大を含む二次的合併症に至り得る。さらに、関節において再発する出血は、慢性滑膜炎を引き起こし得、これは、関節の損害を引き起こし、滑膜、軟骨、および硬骨を破壊し得る。頭蓋内出血および中枢神経系における出血などのような生命を脅かす出血もまた、血友病の対象に罹患する。頭蓋出血は、重症の血友病を有する患者の約10%において生じ、30%の死亡率をもたらす。対照的に、血友病Cは、より軽度である。自発的な出血は、めったに見られず、関節、軟組織、および筋肉への出血もまた、めったにない。出血は、新鮮凍結血漿(FFP)の輸血、FXI代償療法、または外部の創傷もしくは抜歯の処置などのような局所処置については、フィブリン接着剤を用いて一般に処置される。
血友病AまたはBのための最も一般的な処置は、代償療法であり、患者に、FVIIIまたはFIXが投与される。製剤は、血漿由来産物または組換え産物として商業的に入手可能であり、組換えタンパク質は、以前に処置されていない患者において最適な処置である。これらの療法は、非常に成功し得るが、患者が、新しく投与される第VIII因子または第IX因子に対する阻害因子を作れば、合併症が生じる。阻害因子は、FVIIIまたはFIXと反応する、ほとんどがIgG4サブクラスのIgG抗体であり、凝血促進機能に干渉する。阻害因子は、重症の血友病Aを有する5人の患者のうちの約1人に影響を及ぼす。ほとんどの対象は、第VIII因子の第1の注入の投与の直後にこれらの阻害因子を作り、対象は、高齢期にそれらを作るが、これは、幼児期に多い。阻害因子はまた、軽度または中程度の血友病Aを有する15人のうちの約1人にも影響を及ぼす。これらの阻害因子は、通常、成人期の間に生じ、投与される外因性FVIIIを破壊するだけでなく、内因性FVIIIをも破壊する。その結果として、軽度のおよび中程度の血友病患者は、重症になる。臨床的に、阻害因子を有する血友病A患者は、彼らが、FVIIIに対して再曝露させられる場合に、彼らが経験する既往応答の強度に従って高応答者および低応答者に分類される。阻害因子は、血友病Bを有する100人の患者のうちの約1人に影響を及ぼす。ほとんどの場合において、阻害因子は、治療第IX因子の第1の注入の後に生じ、アレルギー反応を伴い得る。
本明細書において示される改変FVIIポリペプチドは、血友病を有する患者、特に阻害因子を有する血友病患者を処置するために使用することができる。組換えFVIIa産物(NovoSeven、Novo Nordisk)は、FVIIIまたはFIXに対する阻害因子を有する血友病Aまたは血友病Bの患者における出血エピソードの処置についておよびFVIIIまたはFIXに対する阻害因子を有する血友病Aまたは血友病Bの患者における外科的介入または侵襲性手技における出血の予防について承認され、許可された。rFVIIaを用いる処置は、FVIIIaおよび/またはFIXaの必要性を回避しながら、トロンビン生成を増強する。凝固は、rFVIIaのTFとの相互作用によって傷害の部位で開始され、最初のFX活性化、トロンビン生成、および血小板の活性化をもたらす。rFVIIaによる完全な凝固は、TF依存性およびTF非依存性のメカニズムによって達成することができ、生成されたトロンビンのいくつかは、rFVIIaのみによる、活性化血小板上のFXの直接的な活性化に起因し得、それ自体は、リン脂質膜との低い親和性相互作用を通して活性化血小板に結合する。
本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、出血エピソードの処置および外科的介入または侵襲性手技における出血の予防を含む、血友病のための療法において使用することができる。本明細書における改変FVIIポリペプチドは、AT−IIIに対する増加した抵抗性、増加した触媒活性、Zn2+の阻害効果に対する増加した抵抗性、TFPIに対する増加した抵抗性、血清半減期などのような改善された薬物動態学的特性、活性化血小板に対する増加した結合性および/もしくは親和性、血清アルブミンに対する増加した結合性および/もしくは親和性ならびに/または血小板インテグリンαIIbβに対する増加した結合性および/もしくは親和性を提供することができる。そのため、FVIIポリペプチドは、TF依存性の様式(TFPIに対する増加した抵抗性を通してなど)においてならびに/またはTF非依存性の様式(活性化血小板に対する増加した結合性および/もしくは親和性を通してなど)において、より高度な血液凝固活性を示すことができる。したがって、改変FVIIポリペプチドは、血友病に対して、より活性な療法を提供するために使用することができる。改変FVIIポリペプチドを使用する治療的改善の例は、たとえば、より低い投薬量、より少ないおよび/またはより頻度が低い投与、減少した副作用、ならびに増加した治療効果を含むが、これらに限定されない。
改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして典型的に投与される。改変FVIIポリペプチドは、たとえば、動物モデルを使用することによって、治療有効性について試験することができる。たとえば、抗体誘発性血友病マウスまたは血友病についての任意の他の知られている疾患モデルは、改変FVIIポリペプチドを用いて処置することができる。疾患症状および表現型の進行は、改変FVIIポリペプチドの効果を評価するためにモニターされる。改変FVIIポリペプチドはまた、偽薬コントロールおよび/または非改変FVIIを使用するコントロールと比較した、インビボにおける有効性を評価するために、臨床試験などにおいて、対象に投与することもできる。
b. FVII欠乏症
第VII因子欠乏症は、500000人のうちの約1人に影響を及ぼす常染色体劣性出血障害である。FVII欠乏症は、臨床的に、軽度、中程度、または重症となり得、軽度から中程度の欠乏症は手術および外傷の後の増加した出血によって特徴づけられる。重症のFVII欠乏症(1%未満のFVII活性)を有する患者は、血友病に対する類似する症状を経験する。たとえば、FVII欠損対象は、関節出血、自発的な鼻出血、消化管出血、尿路出血を起こしやすい。脳内の大量出血および筋肉出血もまた、報告されたが、女性は、重症の月経過多(大量の月経出血)を経験し得る。処置は、代償療法によって達成することができる。組換えFVIIa産物(NovoSeven(登録商標)、Novo Nordisk)は、先天性のFVII欠乏症を有する患者における出血エピソードの処置についておよび先天性のFVII欠乏症を有する患者における外科的介入または侵襲性手技における出血の予防について承認され、許可された。したがって、本明細書における改変FVIIポリペプチドは、同様に使用することができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、FVII欠損患者における、出血エピソードの処置および外科的介入または侵襲性手技における出血の予防において使用することができる。たとえば、頭蓋内の出血を有する重症のFVII欠乏症を示す新生児の患者は、凝固を達成し、かつ止血を維持するために、静脈内ボーラスによって、改変FVIIポリペプチドを投与することができる。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
c. 他
他の出血障害は、凝固を促進するために、本明細書において提供されるFVIIポリペプチドを用いて処置することができる。第V因子および第X因子の先天性の欠乏症もまた、血液凝固時間の増加の症状を示し、可能性として、治療用量のFVIIの投与を用いて処置することができる。たとえば、第X因子欠乏症を有する患者は、脾摘出術と関連する出血を制御するためにrFVIIaを投与することができる(Boggio et al. (2001) Br J Haematol 112:1074-1075)。フォンウィルブランド病(vWD)と関連する自発的なおよび手術関連性の出血エピソードはまた、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドを使用して処置することができる。VWDは、血液凝血タンパク質、フォンウィルブランド因子(vWF)の欠損または欠乏症によって引き起こされる出血障害であり、集団の1%〜2%において生じることが推定される。vWDを有する対象は、容易にあざがつき、再発性鼻出血を有し、抜歯、扁桃摘出術、または他の手術の後に出血し、女性患者は、増加した月経出血を有し得る。改変FVIIポリペプチドは、vWD患者における自発的なおよび手術関連性の出血を回復させるために使用することができる(von Depka et al. (2006) Blood Coagul Fibrin 17:311-316)。たとえばグランツマン血小板無力症およびヘルマンスキー−パドラック症候群などのような、他の血小板関連性の出血障害はまた、低下した内因性凝血活性とも関連する。血小板関連性の出血障害を有する患者における過剰な自発的なまたは手術関連性の出血もまた、治療用量の改変FVIIポリペプチドによって制御することができる。たとえば、手術を受けている、グランツマン血小板無力症を有する患者は、重大な失血を予防するために、改変FVIIポリペプチドを用いて、手術の前、その後、および/またはその間に処置することができる(van Buuren et al. (2002) Dig Dis Sci 47:2134-2136)。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
2. 後天性の出血障害
a. 化学療法による後天性の血小板減少症
出血障害はまた、先天性ではなく、後天性のものともなり得る。たとえば、白血病および他の癌のためのなどのような化学療法による処置は、血小板減少症をもたらし得る。これは、おそらく、化学療法を受けている患者の骨髄における血小板産生の損失によるものであり、典型的には、薬物投与の6〜10日後に生じる。後天性の血小板減少症の処置は、通常、血小板、赤血球、または血漿輸血によるものであり、これは、血小板欠乏症に起因し得る、あらゆる異常な自発性の出血を予防するのに働く。化学療法誘発性の血小板減少症または任意の他の後天性もしくは先天性の血小板減少症を有する患者における出血もまた、本明細書において提供される治療量の改変FVIIポリペプチドの投与によって制御することができる。たとえば、胃腸管におけるなどのような、制御されていない出血を有する血小板減少症の患者は、大量出血を停止させるために、治療量のFVIIポリペプチドの静脈内ボーラス注射を施すことができる(Gerotziafas et al. (2002) Am J Hematol 69:219-222)。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
b. 他の凝固障害
他の後天性の凝固障害は、本明細書において示される改変FVIIポリペプチドを使用して処置することができる。凝固障害は、劇症肝不全(FHF;肝毒性薬剤、毒素、代謝性疾患、感染症、および虚血によって引き起こされるようなもの)、硬変を含む、他の肝臓疾患、ならびにウィルソン病、ビタミンK欠乏症(抗生物質処置または食餌によって引き起こされるようなもの)、溶血性尿毒症症候群、血栓症血小板減少症(TTC)、および播種性血管内血液凝固症候群(DIC)と関連する疾患を含むが、これらに限定されない状態に起因し得る。従来の処置は、一般に、血漿、赤血球(RBC)、または血小板を用いる輸血によるが、失敗し得る。一実施形態において、改変FVIIポリペプチドは、出血を予防するために、侵襲性手技を受けている、FHFを有する患者に投与することができる。新鮮凍結血漿(FFP)を用いる従来の処置は、失敗することが多く、大量の血漿を必要とし得、容量過負荷および全身浮腫(皮下結合組織への浮腫液の全身性浸潤)をもたらす。たとえば肝生検または肝移植などのような侵襲性の手術の間、その前、および/またはその後の、静脈内ボーラスによる、治療量の改変FVIIポリペプチドを用いる処置は、FHF患者において、出血を予防し、止血を確立することができる。患者は、処置の効能を決定するために、血液のPTによってモニターすることができる(Shami et al. (2003) Liver Transpl 9:138-143)。他の実施形態において、FVIIは、従来の輸血注入に応答しなかった、たとえば、肝機能障害およびDICと関連する重症の帝王切開後の腹腔内の出血などのような、凝固障害と関連する、重症の出血を有する患者に投与することができる(Moscardo et al. (2001) Br J Haematol 113:174-176)。さらに、改変FVIIポリペプチドは、新生児患者および小児患者における凝固障害を処置するために使用することができる。特定の実施形態において、新生児患者および小児患者は、RBC注入および血小板注入などのような従来の処置に応答しない。たとえば、RBC輸血および血小板輸血に応答しない、増加したPTと関連する重症の肺大量出血を有する新生児は、PTを減少させ、かつ止血を確立するために、改変FVIIポリペプチドを投与することができる(Olomu et al. (2002) J Perinatol 22:672-674)。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増強した凝固活性を示し、そのため、たとえばより低い用量で、より低い頻度で、およびより低い有害反応で投与することができる。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
c. 移植による後天性の出血
骨髄移植(BMT)および幹細胞移植(SCT)の後の重症の出血は、血小板の低下による、これらの手技と関連する、比較的一般的で、生命を脅かす合併症である。たとえば、びまん性肺胞出血(DAH)は、BMTの肺合併症であり、推定される発生率は、移植集団において1〜21%であり、死亡率は、60〜100%である。そのような出血エピソードの従来の処置は、コルチコステロイド処置ならびに血漿、血小板、および/またはRBCを用いる輸血を含むが、これらは、大部分は失敗し、全体的な死亡率は、約50%である(Hicks et al. (2002) Bone Marrow Transpl 30:975-978)。コルチコステロイド注入および/または血小板注入を用いる同時の処置を伴うまたは伴わない静脈内ボーラスによるFVIIの投与は、DAHを処置し、かつ止血を確立するために実行することができる(Hicks et al. (2002) Bone Marrow Transpl 30:975-978)。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増強した凝固活性を示し、そのため、たとえば、より低用量で、より少ない頻度で、より短い処置継続期間にわたり、および同じ生物学的活性および効能に対するより少ない有害反応で、投与されてもよい。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
d. 抗凝固療法誘発性の出血
血栓塞栓症などのような状態の処置のための抗凝固療法を受けている患者は、ワルファリン、ヘパリン、およびフォンダパリヌクスなどのような抗凝固薬の急性投与に際して出血エピソードを示し得るまたはそのような療法の長期的な使用法の結果として出血性障害を発症し得る。出血エピソードのための処置は、典型的には、ヘパリンを中和するための、ビタミンK、血漿、外因性FIX、およびプロタミンなどのような凝血促進薬の投与を含む。外因性FVIIの投与はまた、抗凝固薬の効果を中和し、PT、aPTT、および/または凝固の他のマーカーを増加させ、止血を確立するために実行することもできる(Deveras et al. (2002) Ann Inten Med 137:884-888)。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、抗凝固処置により、後天性の出血障害を有する患者における出血エピソードを制御するための処置において使用することができる。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
e. 後天性血友病
第VIII因子阻害因子は、他の場合であれば健康な個人において自発的に発症し、「後天性血友病」として知られている状態をもたらし得る。後天性血友病は、まれな状態であり、毎年の発生率は、100万人の集団当たり0.2〜1.0である。自己抗体は、主としてIgG4抗体であり、これは、FVIIIに結合した場合、トロンビン切断、フォンウィルブランド因子相互作用、および/またはリン脂質結合に干渉することによって、FVIII活性を阻害する。これは、冒された患者の約87%において生命を脅かす出血をもたらす。出血の一般的な部位は、関節および筋肉において主に出血する遺伝性の血友病を有する患者とは対照的に、皮膚、粘膜、筋肉、および腹膜後腔である。後天性血友病は、出血エピソードを制御するために、活性化プロトロンビン複合体濃縮物または活性化組換え体第VII因子(NovoSeven(R)、Novo Nordisk)を用いて処置することができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増強した凝固活性を示し、そのため、たとえば、より低用量で、より少ない頻度で、より短い処置継続期間にわたり、および同じ生物学的活性および効能に対するより少ない有害反応で、投与することができる。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
3. 外傷および手術による出血
FVIIポリペプチドは、正常な凝固系を有する対象において、手術時および外傷性の失血と関連する出血を処置するための療法として使用することができる。たとえば、FVIIポリペプチドは、凝固を促進し、手術と関連する失血を低下させ、さらに、輸血の必要性を低下させるために、患者に投与することができる。一実施形態において、FVIIポリペプチドは、恥骨後前立腺摘除術を受けている対象に投与することができる。恥骨後前立腺摘除術は、重大な失血およびそれに続く、輸血の必要性と関連することが多い。そのような手術または類似する手術を受けている対象は、手術の部位で凝固を増強することによって手術時の失血を低下させるために、早期手術フェーズにおいて治療量のFVIIの静脈内ボーラスを与えることができる。失血の低下は、これらの患者における輸血の必要性の排除をもたらす(Friederich et al. (2003) Lancet 361:201-205)。FVIIポリペプチドは、急速な止血を達成し、かつ失血を予防するために、他の種類の手術を受けている、正常な凝固を有する患者に投与することができる。典型的に活性化形態(つまりFVIIa)で投与されるFVIIを、手術時の出血を低下させるための療法に使用することができる手術手技の非限定的な例は、心臓弁手術(Al Douri et al. (2000) Blood Coag Fibrinol 11:S121-S127)、大動脈弁置換術(Kastrup et al. (2002) Ann Thorac Surg 74:910-912)、再発性血管周囲細胞腫の切除術(Gerlach et al. (2002) J Neurosurg 96:946-948)、癌手術(Sajdak et al. (2002) Eur J Gynaecol Oncol 23:325-326)、および十二指腸潰瘍に対する手術(Vlot et al. (2000) Am J Med 108:421-423)を含むが、これらに限定されない。FVIIを用いる処置は、手術の部位での止血を促進し、失血を低下させまたは予防し、それによって、輸血の必要性を低下させるまたは消滅させることができる。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増強された凝固活性を示すように設計され、そのため、たとえばより低い用量で、より低い頻度で、およびより低い有害反応で投与されてもよい。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
第VII因子ポリペプチドはまた、外傷を有する対象において、凝固を促進し、かつ失血を予防するために使用することができる。外傷は、外因性作用物質による生組織に対する傷害として定義され、米国において4番目の主要な死因となっている。外傷は、鈍的外傷(内部の圧迫、器官損害、および内出血をもたらす)または貫通外傷(身体を貫通し、組織、血管、および器官を破壊する作用物質の結果であり、外部の出血をもたらす)として分類される。外傷は、自動車事故(鈍的外傷および/または貫通外傷を引き起こす)、銃創(貫通外傷を引き起こす)、刺傷(貫通外傷を引き起こす)、機械による事故(鈍的外傷および/または貫通外傷を引き起こす)、ならびにかなりの高さからの落下(鈍的外傷および/または貫通外傷を引き起こす)を含むが、これらに限定されない、いくつかの事象によって引き起こされ得る。外傷の結果としての未制御の出血は、関連する死亡率のほとんどの原因である。びまん性凝固障害は、外傷患者と関連する、比較的一般的な合併症であり、対象の25〜36%もの数において生じる。凝固障害は、傷害の後の早期に発症し、凝固因子および血小板の薄弱化および消費、線溶、アシドーシス、ならびに低体温症などのような様々な因子に起因し得る。従来の管理は、新鮮凍結血漿(FFP)血小板、RBC、および/またはクリオプレシピテートを用いる輸血による代償療法、アシドーシスの治療、ならびに低体温症の処置を含む。これらの工程は、出血を停止させ、かつ死亡を予防するのに不十分であることが多い。治療量のFVIIの投与による処置は、外傷患者において、凝固を促進し、失血を低下させることができる。たとえば、外科的介入に加えて、大量の流血の症状を示す、銃撃傷害を有する患者は、凝固障害の出血を制御するための、FVIIが投与される(Kenet et al. (1999) Lancet 354:1879)。FVIIを用いる血液凝固療法は、鈍的外傷および貫通外傷を有する患者において、失血および出血を有効に低下させることができる(Rizoli et al. (2006) Crit Care 10:R178)。本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、非改変FVIIポリペプチドと比較して、増強された凝固活性を示すように設計され、そのため、たとえばより低い用量で、より低い頻度で、およびより低い有害反応で投与されてもよい。一般に、改変FVIIポリペプチドは、活性化FVII(FVIIa)ポリペプチドとして投与される。
I. 併用療法
本明細書において記載される改変FVIIポリペプチドのいずれも、他の生物学的製剤、小分子化合物、および手術を含むが、これらに限定されない他の治療剤または手技と組み合わせて、その前に、それと断続的に、またはそれに続いて、投与することができる。FVII(FVIIaおよびrFVIIaを含む)が必要であるまたは使用されてきたならびに他の作用物質および処置が利用可能である、上記に例証されるものをすべて含む任意の疾患または状態について、FVIIは、それと組み合わせて使用することができる。したがって、本明細書において提供される改変FVIIポリペプチドは、同様に使用することができる。処置されることとなる疾患または状態に依存して、例示的な組み合わせは、他の血漿精製凝固因子または組換え凝固因子、ビタミンK、ビタミンK誘導体、およびプロテインC阻害因子などのような凝血促進薬、血漿、血小板、赤血球、ならびにコルチコステロイドとの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
J. 製品およびキット
改変FVIIポリペプチドもしくは改変FVIIポリペプチドをコードする核酸またはその誘導体もしくは生物学的活性部分の医薬化合物は、包装材、止血性の疾患または障害の処置に有効な医薬組成物、および改変FVIIポリペプチドまたは核酸分子が、止血性の疾患または障害の処置について使用されることになっていることを示す標識を含有する製品として包装することができる。
本明細書において提供される製品は、包装材を含有する。医薬製品の包装における使用のための包装材は、当業者らによく知られている。たとえば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号、および第5,033,352号を参照されたい、これらのそれぞれは、その全体が本明細書において組み込まれる。医薬包装材の例は、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、ならびに選択される製剤ならびに投与および処置の意図されるモードに適した任意の包装材を含むが、これらに限定されない。任意の止血性の疾患または障害に対する様々な処置のように、本明細書において提供される化合物および組成物の多くの製剤が、企図される。
改変FVIIポリペプチドおよび核酸分子はまた、キットとして提供することもできる。キットは、本明細書において記載される医薬組成物および投与のためのアイテムを含むことができる。たとえば、改変FVIIは、シリンジ、吸入器、投薬カップ、ドロッパー、またはアプリケーターなどのような投与のためのデバイスと共に提供することができる。キットは、所望により、投薬量、投薬レジメン、および投与のモードのための説明書を含む、適用のための説明書を含むことができる。キットはまた、本明細書において記載される医薬組成物および診断のためのアイテムを含むことができる。たとえば、そのようなキットは、FVIIの濃度、量、もしくは活性を測定するためのアイテムまたは対象のFVII調節システムを含むことができる。
以下の実施例は、例示的な目的のみのために含まれ、本発明の範囲を制限するように意図されない。
K. 実施例
実施例1
FVIIのクローニングおよび発現
A. FVIIのクローニング
466アミノ酸ヒトFVIIアイソフォーム前駆体ポリペプチド(P08709;配列番号1において記載される)をコードするヌクレオチドを、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含有する哺乳動物発現ベクター、pCMV Script(Stratagene;配列番号99)の中にクローニングした。手短に言えば、CBO−125(配列番号100)オリゴヌクレオチドおよびCBO−126(配列番号101)オリゴヌクレオチドは、鋳型としてヒトFVII cDNA(Invitrogen)を使用してPCRによってFVII配列を増幅するために、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとしてそれぞれ使用した。CBO−125プライマーは、BamHI制限部位(太字)、コザック配列(二重下線)、その後に続く、ATG開始コドンを含む、FVII cDNA配列の5’末端に対する相同性を有する18ヌクレオチド(下線)を含有した。CBO−126プライマーは、EcoRI制限部位(太字)、終止コドン(二重下線)、およびFVII cDNA配列の3’末端に対する相同性を有する21ヌクレオチド(下線)を含有した。
CBO−125順方向プライマー
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CBO−126逆方向プライマー
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標準的なPCR反応およびサーモサイクリング条件を、メーカーによって推奨されるように、KoD HiFi PCRキット(EMD Biosciences)と共に、使用した。PCR産物は、BamH I制限酵素およびEcoR I制限酵素を用いて消化し、標準的な分子技術を使用して、pCMV ScriptベクターのBamH I制限部位およびEcoR I制限部位の中にライゲーションした。次いで、ベクターを、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)の中に形質転換した。選択したコロニーを、成長させ、細菌細胞は、ルーチン的な分子生物学技術を使用する、プラスミドの精製のために採取した。
B. FVII変異体の生成
FVII変異体は、新しく合成されたDNAの中に特定の突然変異を組み込むプライマーとして働く、特異的に設計されたオリゴヌクレオチドと共に、メーカーの説明書に従って、QuikChange II XL部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して生成した。QuikChange方法は、PfuUltra high−fidelity DNAポリメラーゼによる鋳型DNAの線形増幅を含む。望ましい突然変異を含む相補的プライマーは、鋳型としてクローニングFVII cDNA配列を含有する精製二本鎖スーパーコイルpCMV Scriptベクターを使用して、サイクリングの間に伸長させた。プライマーの伸長は、新しく合成された鎖の中への所望の突然変異の組み込みをもたらし、付着ニック(staggered nick)を有する突然変異プラスミドをもたらした。増幅の後に、核酸は、大腸菌由来pCMV Scriptベクターのdamメチル化親鎖を消化するDpn Iを用いて処置した。これは、メチル化されていない、新しく合成された突然変異プラスミドの「選択」をもたらした。(1つまたは複数の)望ましい突然変異を含有するベクターDNAを、XL10−Goldウルトラコンピテント大腸菌細胞の中に形質転換し、ここで、細菌リガーゼは、ニックを修復し、正常な複製が生じることを可能にした。
下記の表13は、生成されたFVII変異体を記載する。いくつかの場合において、血小板インテグリンαIIbβに対する結合配列が、VIIポリペプチドの様々な領域において挿入されたFVII変異体が生成された。3つの異なるインテグリンαIIbβ結合配列の1つが挿入された:SFGRGDIRNV(配列番号110);CSFGRGDIRNVC(配列番号111);またはGGGSCSFGRGDIRNVC(配列番号112)。インテグリンαIIbβ結合配列は、成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸残基P406の後のFVIIポリペプチドのC末端に挿入されたまたは成熟FVIIナンバリングによるFVIIアミノ酸残基S103〜S111、H115〜S126、もしくはT127〜P134の欠失および交換によって挿入された。血清アルブミン結合配列が挿入された他のFVII変異体もまた、生成された。これらのFVII変異体は、7つの異なる血清アルブミン結合配列:QRLMEDICLPRWGCLWEDDF(配列番号103)、IEDICLPRWGCLWE(配列番号104)、DICLPRWGCLWED(配列番号105)、IEDICLPRWGCLW(配列番号106)、GGGSIEDICLPRWGCLW(配列番号107)、DICLPRWGCLWED(配列番号108)、またはGGGSDICLPRWGCLWED(配列番号109)のうちの1つを含有した。血清アルブミン結合配列は、成熟FVIIナンバリングによるアミノ酸残基P406の後のFVIIポリペプチドのC末端に挿入されたまたは成熟FVIIナンバリングによるFVIIアミノ酸残基S103〜S111、H115〜S126、もしくはT128〜P134の欠失および交換によって挿入された。「Gla Swap FIX」FVII変異体(つまり内因性GlaドメインがFIXに由来するGlaドメインと交換されたFVIIポリペプチド)は、N末端に、配列番号83のアミノ酸残基Y1〜Y45を含有する。いくつかの例において、「Gla Swap FIX」変異体は、FIX Glaドメイン部分において1つまたは複数のアミノ酸置換を含有する。FIX Glaドメイン部分にある突然変異は、大括弧で囲まれ、成熟野生型FIXポリペプチドまたは配列番号83において記載される野生型FIX Glaドメインのアミノ酸位置に対応するアミノ酸位置を使用して、参照される。たとえば、{Gla Swap FIX/M19K}は、改変FVIIポリペプチドが、配列番号83において記載されるFIX Glaドメインの位置19のメチオニンが、リシンと交換される異種FIX Glaドメインを含有することを表す。下記の表13において、血小板インテグリンαIIbβ結合配列または血清アルブミン結合配列がFVIIポリペプチド中に挿入されるアミノ酸残基および結合配列のアミノ酸配列の両方を表す。たとえば、H115S126delinsQRLMEDICLPRWGCLWEDDFは、アミノ酸残基H115〜S126が、欠失させられ、アミノ酸配列QRLMEDICLPRWGCLWEDDF(配列番号103)を有する血清アルブミン結合配列と交換されたことを示す。
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C. FVIIポリペプチドの発現
ELISAおよびウエスタンブロットによる最初の発現分析のために、FVIIポリペプチドを、BHK−21細胞において発現させた。下記に記載されるものなどのような生化学的アッセイのために、FVIIポリペプチドを、Freestyle(商標) 293−F細胞(Invitrogen)において発現させた。
野生型第VII因子ポリペプチド(配列番号3)および変異FVIIポリペプチドを、ベビーハムスター腎臓細胞株BHK−21(ATCC CRL 1632)において最初に発現させた。BHK−21細胞は、37℃および5%COで、100mm培養皿において、10%ウシ胎仔血清(FCS)を有するイーグル最小必須培地(EMEM、Invitrogen)において培養した。約90%のコンフルエンスまで成長させた後、細胞に、メーカーによって説明されるように、Lipofectamine 2000キット(Invitrogen)を使用して、24μgのFVIIプラスミドDNAをトランスフェクトした。培地は、トランスフェクションの6時間後に、1μg/mlビタミンK1(Sigma)を含有する、血清を有していないEMEMと交換し、細胞を、さらに72時間インキュベートした。細胞培養培地におけるFVIIの発現は、ELISAまたはウエスタンブロットによってアッセイした。
生化学的アッセイを使用する続く分析のために、野生型第VII因子ポリペプチド(配列番号3)および変異FVIIポリペプチドを、Freestyle(商標) 293−F細胞(Invitrogen)において発現させた。細胞は、通気孔キャップを有するエルレンマイヤーフラスコにおいて、37℃および8%COで、Freestyle(商標) 293培地(Invitrogen)において培養した。細胞は、メーカーが提案するプロトコールを使用してトランスフェクトした。手短に言えば、1×10細胞/mlまで成長させた後、細胞を遠心分離し、培地を交換した。次いで、細胞に、293fectin(Invitrogen)を使用して、240mlの細胞ごとに、240μgのFVIIプラスミドDNAをトランスフェクトした。さらに、エタノール中ビタミンK(Sigma)の1mg/mlストックの50μlを、240mlの細胞ごとに添加した。細胞を5日間成長させ、次いで、培養上清を採取した。細胞培養培地におけるFVIIの発現を、ELISAによってアッセイした。
いくつかの例において、野生型FVIIポリペプチドおよび変異FVIIポリペプチドを、CHO−Express(CHOX)細胞(Excellgene)において発現させた。CHO Express(CHOX)細胞を、DM202完全培地(SAFC BioSciences)において維持し、産生種培養物(production seed culture)を接種するために使用した。種培養物を、5×10生細胞/mlまで成長させ、約60mlを、約0.6L DM202完全培地に接種するために使用して(接種密度は、0.4×10vc/mlである)、産生培養物を生成した。この産生培養物は、トランスフェクションの日に8〜12×10vc/mlに達するように、4日間成長させた。トランスフェクション複合体は、第VII因子プラスミドDNA(6mg)および23.1mgのポリエチレンイミン(PEI)を使用して形成した。次いで、トランスフェクション複合体を、0.5Lの無血清Opti−MEMトランスフェクション培地(Invitrogen)において希釈し、これを、0.6L産生培養物に添加した。トランスフェクションの5時間後、培養物は、8mM L−グルタミンおよび4mg/LビタミンK1を補充した、約1L ProCHO5培地(Lonza)を用いてさらに希釈した。2.2L振盪フラスコ培養物を、粗第VII因子を採取する前に、5〜7日間発現させた。次いで、培養上清は、ろ過によって採取し、FVIIを精製した。
FVII変異体(Q286R/M298Q)のうちの1つの発現は、安定した細胞株において実行した。この株は、CHOX細胞のトランスフェクションによってExcellgene(Monthey、Valais、Switzerland)で生成された。手短に言えば、細胞は、メトトレキサートの存在下において成長させ、次いで、96ウェルプレートにおいて1ウェル当たり1細胞での限界希釈によって平板培養した。最も高度なレベルの変異FVIIを産生するクローンは、ELISAによって決定した。あるクローン(クローン52)は、第2の限界希釈および96ウェルプレートにおける平板培養によって、さらにサブクローニングした。コロニーは、8mM L−グルタミン、1mMシステイン、1mg/LビタミンK1を補充したDM204A培地(SAFC BioSciences)において37℃で成長させた。24のクローンは、元々のクローン52よりも高度なレベルのQ286R/M298Q発現を有することがELISA分析によって分かった。これらの24のクローンを、成長のために6日間、6ウェルプレートにおいて、その後に続いて、4日間の40ml振盪フラスコにおける成長によってさらに増やした。それぞれの成長工程は、上記のように補充したDM204A培地において37℃で行った。成長の4日後に、クローンは、1×10生細胞/mlで凍結した。それぞれのクローンによって産生されたQ286R/M298Qのレベルは、ELISAによって決定した。クローン5F7は、最も高度な産生者であり、典型的には、25〜35mg/L Q286R/M298Qを生成した。
1. ELISA
免疫アッセイは、サンプルにおいて、ヒトFVIIおよびFVIIaの量を定量化するために使用した。ヒトFVIIに対するポリクローナル抗体は、溶液におけるプロテアーゼを捕捉し、検出するために使用した。免疫アッセイは、条件培地もしくは精製ストックのタンパク質濃度を決定するためにまたは他のサンプル、たとえばヒトもしくはマウスの血漿サンプルにおけるFVIIの濃度を決定するために使用することができる。ヒト血液におけるFVIIのベースライン濃度は、約50nMであり、酵素的に活性な形態(FVIIa)は、約1nMである。
サンプルにおけるヒトFVIIタンパク質またはヒトFVIIaタンパク質の量を決定するために、サンドイッチELISAを実行した。96ウェル平底Maxisorpイムノプレート(Nunc)を、5ng/μlアビジン(NeutrAvidin、Pierce Biotech)の100μl/ウェルを用いてコートした。プレートは、カバーし、室温(RT)で1時間、振盪しながらインキュベートし、その後に続いて、0.01%Tween−20(PBST)を用いてPBSにおいて4回洗浄した。プレートは、200μl/ウェルでそれぞれのウェルに添加した、PBS中1%ウシ血清アルブミン(BSA)(w/v)とのインキュベーションによって、振盪しながら、RTで最低1時間ブロックした。次いで、ブロックしたプレートは、使用まで4℃で保管した(2週間まで)。
使用の前に、プレートは、BSAを除去するためにPBST中で4回洗浄し、ビオチン化抗第VII因子抗体(R&D Systems)の1ng/μl溶液の100μl/ウェルを、それぞれのウェルに添加し、プレートを、振盪しながら45分間、室温でインキュベートして、コートしたアビジンとの複合体形成を可能にした。過剰な非結合抗体は、PBSTを用いてプレートを洗浄することによって(4回)、除去した。
50ng/μl〜0.8ng/μlの範囲の、FVII標準物の系列2倍希釈溶液(American Diagnostica;PBSTにおいて希釈)を、100μl/ウェルでプレートに添加した。いかなるFVIIをも有していないPBSTを含有するウェルもまた、緩衝液のみのコントロールとして含めた。FVIIまたはFVIIaの精製サンプルをアッセイするために(活性化の前および後、実施例3を参照されたい)、サンプルは、最初に、PBSTにおいて1:25に希釈し、次いで、25倍、50倍、100倍、および200倍希釈溶液を試験するために、系列2倍希釈溶液を作製した。希釈サンプルは、100μl/ウェルで2つ組でウェルに添加した。FVIIまたはFVIIaを含有する血漿サンプルをアッセイするために、血漿サンプルを、PBSTにおいて1:100および1:400に希釈し、100μl/ウェルで2つ組でウェルに添加した。FVIIまたはFVIIaを有していない血漿サンプルもまた、バックグラウンドレベルを決定するために含めた。次いで、プレートを、振盪しながらRTで30分間インキュベートして、サンプルにおける、あらゆるFVIIまたはFVIIaが抗FVII抗体と複合体を形成することを可能にした。
サンプルとのインキュベーションの後に、プレートは、PBSTを用いて4回洗浄した。二次抗体、ウマ抗ヒトFVIIまたはマウスモノクローナル抗ヒトFVII(American Diagnostica)を、PBSTにおいて1:5000に希釈し、100μlの容量でそれぞれのウェルに添加した。プレートを、振盪しながら室温で30分間インキュベートし、添加した抗体がプレート上のFVII複合体またはFVII複合体に結合することを可能にした。過剰な二次抗体を除去するために、プレートをPBSTを用いて洗浄した(4回)。結合した二次抗体を検出するために、PBST中1:5000希釈のヤギ抗ウマHRPコンジュゲートの100μlまたはPBST中1:20,000希釈のヤギ抗マウスHRPコンジュゲートの100μlを、それぞれのウェルに添加した。振盪しながらの室温での30分間のインキュベーションの後に、プレートは、PBSTを用いて4回洗浄し、TMB基質および過酸化水素水(Pierce Biotech)の1:1混合物を含有する溶液の100μl/ウェルを添加した。反応を停止させるための2M HSOの100μl/ウェルの添加の前に、プレートは、室温で約1分間振盪した。450nmでの光学密度は、Molecular Device M5プレートリーダーを使用して測定し、プレートについてのバックグラウンド値(PBSTのみで測定)は、それぞれのウェルからの測定値から引いた。標準曲線は、FVII標準物の濃度対吸光度をプロットすることによって生成した。約0.2〜50ng/mlの標準曲線の範囲を、上記のELISA条件下で典型的に生成した。次いで、それぞれのサンプルの濃度は、標準曲線を使用し、希釈係数を掛けることによって決定し、平均および標準偏差を報告した。
2. ウエスタンブロット
細胞培養培地におけるFVIIの発現はまた、ウエスタンブロットによってもアッセイした。FVIIトランスフェクト細胞(BHK−21細胞もしくはCHOXの細胞)に由来する細胞培養培地の無希釈サンプルまたはPBS中2つの系列2倍希釈溶液を含有する一定分量を、Conc.1(無希釈)、Conc.2(2倍希釈)、およびConc.3(4倍希釈)と標識した。サンプルを、10、25、および50ナノグラムのコントロール血漿精製rFVII(American Diagnostica)の隣のSDS pageゲル上に装填した。BHK−21細胞またはCHOX細胞によって産生されたFVIIタンパク質は、一次ポリクローナルウマ抗FVII抗体(American Diagnostica;メーカーの提案する濃度で使用)およびHRPコンジュゲート抗ウマIgG二次抗体(Zymed Laboratoriesからの1mg/mlの溶液の1:2000希釈溶液)を使用して、ウエスタンブロットによって検出した。いくつかの例において、FVIIは、一次ウサギ抗ヒト第VIIa因子抗体(Hematologic Technologies)およびHRPコンジュゲート抗ウサギIgG二次抗体(Invitrogen)を使用して、ウエスタンブロットによって検出した。発現レベルの比較は、コントロール血漿精製rFVIIを用いて行った。結果は、FVIIの約20ng〜50ng以上の範囲の濃度が、細胞培養物の一定分量において存在したことを示す。
実施例2
FVIIポリペプチドの精製および活性化
FVIIポリペプチドは、機能的Glaドメインを有するFVIIポリペプチドが吸着するであろうQ Sepharose Fast FlowカラムまたはCaptoQカラム(GE Healthcare)、その後に続くカルシウム溶出工程を使用して精製した。典型的には、トランスフェクトしたものに由来する培養上清は、20mM Tris pH8.0および0.01%Tween 20を含有する溶液を用いて2倍希釈し、次いで、500mM EDTA pH8.0を、1.5mMの最終濃度まで希釈サンプルに添加した。サンプルは、最初に緩衝液B(20mM Tris pH8.0、1M NaCl、0.01%Tween 20)、次いで緩衝液A(20mM Tris pH8.0、0.15M NaCl、0.01%Tween 20)を用いてあらかじめ平衡化したQ Sepharose Fast FlowカラムまたはCaptoQカラムに装填する前にろ過した。装填した後に、280nmでのフロースルーの吸光度がベースラインを達するまで、カラムは、緩衝液Aを用いて洗浄した。緩衝液Aは、緩衝液C(20mM Tris pH8.0、0.15M NaCl、0.01%Tween 20、5mM CaCl)と交換し、ポンプ洗浄は、その系列の緩衝液を完全に交換するために実行した。ポンプ洗浄の完了に際して、緩衝液Cを、8ml/分でカラムに適用して、FVIIポリペプチドを溶出し、これを、画分で収集した。溶出の後に、カラムは、なお画分を収集しながら、ピンク色の色素(培養液に由来)がカラムから洗浄されるまで、緩衝液Bを用いて洗浄した。次いで、カラムは、再利用のためにそれを再平衡化するために緩衝液Aを用いて洗浄した。
溶出した画分は、最初に緩衝液B、次いで緩衝液Aを用いてあらかじめ平衡化したMono QカラムまたはQHiTrapカラム(GE Healthcare)を使用して、さらに精製した。FVIIを含有する、上記の緩衝液Cを用いて収集した画分は、プールし、EDTA、pH8.0を40mMの最終濃度まで添加する前に、緩衝液Aを用いて2倍希釈した。少量の一定分量(たとえば100μl)は、ELISAなどによる分析のために、このポイントで所望により採取した。組み合わせたサンプルは、Mono Q(またはQHiTrap)カラム上に装填し、次いで、緩衝液Aを用いて洗浄した。結合したFVIIポリペプチドを溶出するために、0%〜30%の勾配の緩衝液Bを、カラムに流し、画分を収集した。次いで、カラムは、再利用のために再平衡化するために、緩衝液B、その後に続いて、緩衝液Aを用いて洗浄した。
いくつかの例において、第1のCapto Qカラムの後に、プールした画分は、緩衝液D(20mM MES、pH6.0、10mM CaCl、0.1MのNaCl、0.01%Tween 20)にダイアフィルトレーションによって緩衝液を交換し、次いで、緩衝液Dを用いてあらかじめ平衡化したSP−HPカラム上に装填した。緩衝液Dを用いて洗浄した後に、0.1M NaCl〜1.0Mの勾配のNaClをカラムに適用し、画分を収集した。次いで、FVIIを含有する画分を、pH8.0に調整し、緩衝液E(20mM Tris、pH8.0、10mM CaCl、0.01%Tween 20)において2倍に希釈し、緩衝液Eを用いてあらかじめ平衡化したQ H−HPカラムに適用した。次いで、このカラムは、緩衝液Eを用いて洗浄し、FVIIは、緩衝液E中に0〜1Mの勾配のNaClによって溶出した。
精製したFVIIポリペプチドは、Restriction Protease Factor Xa Cleavage and Removal Kit(Roche)からのビオチン化第Xa因子を使用して、FVIIaに活性化した。典型的には、Mono Q精製からの7つの画分を、15mlコニカルチューブ中にプールし、388μlの500mM CaCl、38.9μlの蒸留水中10%BSA、および3.2μgのビオチン化第Xa因子を添加した。37℃での14〜16時間のインキュベーションの後に、250μlの固定アビジン(Pierce)を、添加し、サンプルを、30分間、4℃で混合した。次いで、結果として生じる溶液は、Econo−pakカラム(Bio−Rad)を通してろ過し、ろ液は、さらに30分間、さらに250μlの固定アビジンと混合した。溶液を再度ろ過し、ろ液は、Amicon Ultra−4 10kDa遠心ろ過機(Millipore)を使用して、約300〜500μlに濃縮した。次いで、FVIIa濃度は、ELISAによって分析し(実施例1.C.1において記載)、第VII因子活性化のレベルは、ウエスタンブロットによってモニターした。ウエスタンブロッティングは、本質的に実施例1.C.2において記載されるように実行したが、その代わりとして、一次抗体として、1時間、1:2000のウサギ抗ヒト第VIIa因子抗体(Haematologic Technologies, Inc.)、その後に続いて、30分間、1:5000のHRPヤギ抗ウサギIgG(H+L)(Invitrogen)を使用した。
実施例3
溶液中の、触媒的に能力のあるプロテアーゼの濃度の決定
ストック溶液中の、触媒的に能力のあるFVIIaの濃度は、第VIIa因子および可溶性組織因子(sTF)の複合体を、FVIIaの不可逆的ペプチド阻害因子、Phe−Phe−Arg−クロロメチルケトン(FFR−CMK)を用いて滴定することによって決定した。阻害因子は、FVIIaには結合するが、FVIIには結合しない。高濃度のFVIIa(50nM)での長時間にわたるインキュベーションは、プロテアーゼの完全な滴定を保証する。FFR−CMKとのインキュベーションの後のFVIIa/TF複合体の残存活性は、元々のストック溶液中の、触媒的に能力のあるFVIIaの濃度を決定するために測定した。
96ウェルクリアハーフエリアアッセイプレート(Nunc)は、150μl/ウェルの1×プレート緩衝液(100mM Tris pH8.4、100mM NaCl、0.01%BSA、0.01%Tween−20)をそれぞれのウェルに添加し、最低1時間、37℃でプレートをインキュベートすることによって前処置した。緩衝液は、ペーパータオル上で乾かし、いかなる残りの緩衝液をも除去するためにひっくり返してプレートを遠心分離することによって完全に除去し、プレートを、1時間、空気乾燥し、室温(RT)でカバーして保管した。
FVIIa/sTF/FFR−CMK反応混合物を調製するために、FVIIa(American Diagnostica;50%グリセロール(v/v)において5μMに希釈し、−20℃で一定分量において低温で保管)またはFVIIa変異体のストックを1×ダイレクトアッセイ緩衝液(100mM Tris pH8.4、100mM NaCl、5mM CaCl、0.01%BSA)において500nMに最初に希釈した。次いで、FVIIa/sTF混合物は、90μl蒸留水を、36μl 5×ダイレクトアッセイ緩衝液、18μl 500nM FVIIa、および18μl 5μm sTF(組換えヒト第III凝固因子/可溶性組織因子;R&D Systems;使用したストック溶液は、50%グリセロール中19.6μMとし、1×ダイレクトアッセイ緩衝液において5μMに希釈し、4℃で2週間まで保管した)と混合することによって作製した。次いで、構成成分は、室温で5分間、複合体を形成させた。
DMSO中10mM FFR−CMK(BaChem)のストック溶液(−20℃で保管)を、3.5μMまで水において希釈した。ポリプロピレン不透明貯蔵プレート(Costar)の1列を使用して、FFR−CMKの水中系列2倍希釈溶液を、96ウェル不透明プレートの11ウェルにわたって作製し、水のみを含有する、列の最後のウェルをコントロールとした。これを、10×FFR−CMK阻害因子系列溶液とする。前処置した96ウェルクリアハーフエリアアッセイプレートの列のそれぞれのウェルの中に、10.8μlのFVIIa/sTF混合物を添加し、その後に続いて、1.2μlの10×FFR−CMK阻害因子系列を添加した。溶液を、十分に混合し、プレートは、ウェルにおける水滴を除去するために、5分間、<3000rpmで遠心分離した。プレートを、カバーし、37℃で8時間インキュベートした。
FVIIa/TF複合体の残存活性をアッセイするために、基質Spectrozyme FVIIa(American Diagnostica、#217L;5mL蒸留水中50μモル バイアルのストックを10mMに再構成し、4℃で保管)および5×ダイレクト緩衝液(500mM Tris pH8.4、500mM NaCl、25mM CaCl、および0.05%BSA)の混合物は、360μl 5×ダイレクトアッセイ緩衝液を、180μlの10mM溶液のSpectrozyme FVIIaおよび1080μlの水と混合することによって、最初に調製した。アッセイプレートのそれぞれのウェルに、108μlの調製した基質溶液を添加した。ウェルを混合し、プレートを、37℃でインキュベートした。405nmでの吸光度の増加を、Molecular DeviceからのSpectramax Gemini M5プレートリーダーで37℃で、1時間、30秒ごとに測定した。
SoftMax Proソフトウェア(Molecular Device)を使用して、吸光度の割合を測定し、非阻害プロテアーゼの割合によって測定した割合を割ることによって、阻害因子とインキュベートしたプロテアーゼの活性率を決定した。活性率は、FFR−CMKの濃度に対してグラフで表し、非阻害活性の>90%または<10%であるポイントは切り捨てた。次いで、線を、残りのポイントを通して引き、x切片を決定した。これは、溶液中の活性プロテアーゼの濃度を表す。複数回のアッセイからの値を、測定し、平均し、標準偏差を決定した。
実施例4
FVIIaの、その基質、第X因子に対する触媒活性の決定
FVIIa変異体の、その基質、第X因子(FX)に対する触媒活性は、合成基質Spectrafluor FXa上で、FVIIaによる活性化に際して生成されたFXaの活性をアッセイすることによって、蛍光発生アッセイにおいて間接的に評価した。
A. 野生型FVIIaの、その基質、第X因子に対するTF依存性触媒活性
野生型FVIIaのTF依存性触媒活性は、精製組織因子(TF)の脂質付加形態が、FVIIaの最適な活性を提供するために含まれる蛍光発生アッセイにおいて評価した。Spectrafluor FXa(CHSO−D−CHA−Gly−Arg−AMC.AcOH)に対するFXaの酵素活性は、時間の関数として、生成された遊離蛍光体、AMC(7−アミノ−4−メチルクマリン)の吸光度の増加を測定することによって決定した。
手短に言えば、野生型FVIIaポリペプチドは、1×アッセイ緩衝液(100mM Tris pH8.4、100mM NaCl、5mM CaCl、および0.01%BSA)において0.5μMに最初に希釈し、次いで、アッセイ緩衝液において0.1nMにさらに希釈した。脂質付加完全長TF(Innovin;Dade Behring)は、20ml水において再構成して、3nM溶液を作製し、1×アッセイ緩衝液において0.2nMに希釈した。400μlの0.1nM FVIIaを、400μl 0.2nM TFと混合し、5分間、室温でインキュベートした。溶液は、2つの2倍希釈溶液によって、0.2nM TFを含有する1×アッセイ緩衝液にさらに希釈し、それぞれ0.2nM TFを含有する0.05nM、0.025nM、または0.0125nM FVIIaの合計3つのFVIIa希釈溶液を得た(FVIIa/TF溶液)。
基質、第X因子(FX;American Diagnostica;80μg)を、135.6μl蒸留水において再構成して、10μMストックを生じさせ、−80℃で一定分量で保管した。一定分量は、2回以上、凍結、解凍しなかった。FXストックは、ダイレクトアッセイ緩衝液において800nMに希釈し、次いで、800nM〜50nMの範囲のFX溶液を得るために系列2倍希釈した。
Spectrofluor Xa(American Diagnostica;10μモル)を、蒸留水において5mMに再構成し、4℃で保管した。96ウェル黒色ハーフエリアアッセイプレート(Costar)に、5μl Spectrofluor Xa(American Diagnostica)をそれぞれのウェルに添加した。次いで、25μlのFX溶液を、それぞれのウェルに添加した。プレートのウェルの最後の列に、FXを添加しなかったネガティブコントロールもまた、アッセイに含めた。それぞれのTF/FVIIa希釈溶液が、それぞれのFX希釈溶液に対してアッセイされるように、2つ組で、3つの濃度のTF/FVIIa溶液を、プレートのそれぞれのカラムのウェルに20μlで添加し、カラムの1セットは、添加のTF/FVIIaを含有しなかった(つまりFXのみ)。プレートは、振盪によって混合した。蛍光発光は、37℃で、1時間、30秒ごとに読み取るために設定した分光蛍光光度計を用いて長い間にわたって測定し(Ex:380nm、EM:450nm、カットオフ:435nm)、時間は、時間の2乗の単位で報告した。アッセイの後に、同じプレートリーダーにおけるAMC蛍光発光の標準曲線を、蛍光発光単位から、アッセイにおいて放出されたuM基質に変換するために、生成した。DMSO(Invitrogen)中1mM AMCを、1×アッセイ緩衝液において0.02mMに希釈した。AMCの6つの2倍系列希釈溶液を、1×アッセイ緩衝液において20nM〜0.625nMの範囲で作製した。AMCの蛍光発光は、上記に記載されるのと同じアッセイ条件を使用して測定し、蛍光発光対AMCの濃度のグラフをプロットした。線の傾きを計算し、これは、続く計算における、RFUのμMへの変換係数として提供された。
FXのFVIIa活性化についての反応速度定数は、基質濃度の逆数対基質切断の速度の逆数についての線形回帰分析を実行することによって計算した(秒の単位)、Vmax,FVIIaは、y切片の逆数として計算し、Km,FVIIaは、y切片での傾きとして計算し、Vmax/Km,FVIIaは、傾きの逆数として計算した。次いで、kcat値は、式を使用して導き出した。
cat/Km,FVIIa=Vmax/Km,FVIIa×1/(0.5×k×[μMでFVIIa]×(RFU/μM変換係数))
ここで、k=([S]×kcat,FXa)/(Km,FXa+[S])、kcat,FXaおよびKm,FXaは、kcat,FXa=117秒−1およびKm,FXa=164μMとしてFXa標準物を使用して実験的に決定されるSpectrofluorXaのFXa切断についての定数である。
上記アッセイ条件を使用して、反応速度定数k2は、88.1秒−1であることが決定された。
FVIIa変異体のそれぞれについてのKおよびkcatは、その基質、FXに対するそれぞれの触媒活性、kcat/K(M−1−1)を評価するために決定した(表14)。野生型FVIIaプロテアーゼを評価し、1.8×10−1−1の活性を示すことが分かった。Krishnaswamy, et al.(J. Biol. Chem. (1998) 273:8 4378-86)によって測定される、第X因子の第VIIa因子活性化は、2.9×10−1−1である。
B. 基質、第X因子に対するFVIIa変異体の触媒活性の分析
基質、第X因子(FX)に対するFVIIa変異体の触媒活性を、合成基質Spectrafluor FXa上でのFVIIaによる活性化に際して生成されるFXaの活性をアッセイすることによって、2種類の発色アッセイにおいて間接的に評価した。2つのアッセイは、TF依存性およびTF非依存性の活性の両方を評価するために、脂質付加組織因子の存在下または非存在下において実行した。FVII変異体は、実施例1および2において上記に記載されるように、発現し、精製し、FVIIaに活性化した。ほとんどのFVII変異体は、Freestyle(商標) 293−F細胞においてのみ発現したが、いくつかはまた、BHK−21細胞においても発現した。
脂質付加組織因子依存性間接的アッセイ
組織因子の存在下におけるFVIIa変異体の触媒活性は、少し改変した、上記の実施例4のA部において記載されるアッセイを使用して、評価した。1つのそのような改変は、バックグラウンド活性を低下させるために、ERG−CMKおよびFFR−CMKを用いて処置した第X因子基質プロテアーゼの使用であった(Molecular Innovations)。2種類のデータ分析は、2つの別々のアッセイ;線形範囲分析アッセイおよび双曲線範囲分析アッセイを使用して実行した。線形範囲分析アッセイは、用量曲線の線形範囲における反応速度定数の正確な測定を保証するために、0および150nMの間の一連の第X因子濃度を使用した。対照的に、双曲線範囲分析アッセイは、飽和(双曲線)用量曲線を用いる、反応速度定数の正確な測定を保証するために、0および1.44μMの間の一連の第X因子濃度を使用した。
線形範囲データ分析を用いる脂質付加組織因子間接的アッセイは、以下のように改変して、本質的に上記の実施例4のA部において記載されるように実行した。FVIIa変異体/TF溶液は、0.1nM FVIIa/0.4nM TF溶液として調製し、0.4nM TFにおいて、1.5625pM FVIIa/0.4nM TFを含有する溶液に2倍希釈する前に30分間、インキュベートした。25μLのFVIIa/TF溶液は、1.0mM Spectrofluor FXa(American Diagnostica)および300nM、200nM、133.3nM、88.9nM、59.3、39.5nM、36.3nM、または0nMの第X因子のうちの1つ(Molecular Innovations)を含有する25μLの基質溶液と混合した。したがって、アッセイについての最終濃度は、50μL/ウェル中0.8pM FVIIa、0.2nM TF、0.5mM Spectrofluor FXa、および150nM、100nM、66.7nM、44.4nM、29.6nM、19.8nM、13.2nM、または0nMの第X因子(Molecular Innovations)であった。続く計算における、RFUのμMへの変換係数として提供されるAMC標準曲線は、0μM〜100μM AMCをカバーする用量範囲を含むように拡張した。
双曲線範囲データ分析を用いる脂質付加組織因子間接的アッセイは、以下のように改変して、本質的に上記の実施例4のA部において記載されるように実行した。FVIIa変異体/TF溶液は、0.1nM FVIIa/0.4nM TF溶液として調製し、0.4nM TFにおいて、1.5625pM(または高度な活性を有することが予想されるプロテアーゼについては0.78pM)FVIIa/0.4nM TFに2倍希釈する前に、30分間、インキュベートした。25μLのFVIIa/TF溶液は、1.0mM Spectrofluor FXa(American Diagnostica)および1440nM、720nM、360nM、180nM、90nM、45nM、22.5nM、または0nMの第X因子のうちの1つ(Molecular Innovations)を含有する25μLの基質溶液と混合した。したがって、アッセイについての最終濃度は、50μL/ウェル中0.8(または0.39)pM FVIIa、0.2nM TF、0.5mM Spectrofluor FXa、および7nM、720nM、360nM、180nM、90nM、45nM、22.5nM、11.25nM、または0nMの第X因子(Molecular Innovations)であった。kcatおよびKのパラメーターは、式(Vmax/(1+(K/x)))のミカエリス メンテン双曲線式を使用して計算する。続く計算における、RFUのμMへの変換係数として提供されるAMC標準曲線は、0μM〜100μM AMCをカバーする用量範囲を含むように拡張した。
FXのFVIIa活性化またはFVIIa変異体活性化についての反応速度定数を決定するために、SoftMax Proアプリケーション(Molecular Device)を用いて収集した生データを、.XMLファイルとしてエクスポートした。さらなるデータの線形分析および非線形分析は、XLfit4、Microsoft Excelスプレッドシート環境内での自動カーブフィッティングおよび統計分析のためのソフトウェアパッケージを用いて実行した(IDBソフトウェア)。
線形範囲アッセイを使用して収集したデータについては、kcat/K(M−1−1)反応速度定数は、FX濃度対蛍光発生基質切断の速度(μM/秒)の線形回帰分析の傾きから直接的に計算し、ここで、kcat/K=傾き/[FVIIa]×0.5×kとする。補正係数kは、実施例4のA部において記載される方法ならびに以前に、AT−III/ヘパリンを用いて滴定した活性部位であった活性化FX(FXa)を用いて実験的に決定した、kcatFXa=56秒−1およびKFXa=126nMのSpectrofluor FXaのFXa切断についての反応速度定数を使用して、45であることが決定された。0.98未満のR値をもたらしたデータポイントを除くことにより、フィッティングルーチンにおいて使用されるデータセットの線形性を保証した。
双曲線範囲アッセイを使用して収集したデータの分析は、FX濃度対蛍光発生基質切断の速度(μM/秒)の非線形回帰分析から計算した。個々のkcatおよびKのパラメーターは、式(Vmax/(1+(K/x)))のミカエリス メンテン双曲線式を使用して、フィットパラメーターとして計算し、ここで、kcat=Vmax/[FVIIa]×0.5×kとする。反応速度定数、kcat/Kは、個々のkcatおよびKのフィットパラメーターから計算した。
組織因子非依存性間接的アッセイ
組織因子の存在下におけるFVIIa変異体の触媒活性は、組織因子が、アッセイにおいて含まれていなかったという点を除いて、上記に記載されるものに類似する間接的アッセイにおいて評価した。したがって、TF非依存性の活性を評価するためのアッセイは、以下のように改変して、本質的に上記に記載されるように実行した。FVIIa変異体溶液は、50nM(または高いTF非依存性活性を有することが予想される変異体については5nM)に希釈した。25μLのそれぞれのFVIIa溶液は、1.0mM Spectrofluor FXa(American Diagnostica)および1050nM、700nM、466.7nM、311.1nM、207.4nM、138.3nM、92.2nM、または0nMの第X因子のうちの1つ(Molecular Innovations)を含有する25μLの基質溶液と混合した。したがって、アッセイについての最終濃度は、50μL/ウェル中25nM FVIIa(または高活性変異体については2.5nM)、0.5mM Spectrofluor FXa、および525nM、350nM、233.3nM、155.6nM、103.7nM、69.1nM、46.1nM、または0nMの第X因子(Molecular Innovations)であった。データ分析は、改変せずに、上記、線形範囲アッセイについて記載されるように実行した。
表14は、293−F細胞およびBHK−21細胞から発現したFVIIaポリペプチドを使用して、TF依存性間接的アッセイにおいて測定されるFVIIa変異体の触媒活性ならびに293−F細胞および/またはBHK−21細胞から発現したFVIIaポリペプチドを使用して、TF非依存性間接的アッセイにおいて測定される触媒活性を提供する。結果は、触媒活性についての反応速度定数、kcat/K(M−1−1)として示し、野生型FVIIaの活性の割合としても表現し、活性は、触媒活性、その基質(FX)に対するそれぞれのFVIIa変異体のkcat/K(M−1−1)である。線形範囲データ分析または双曲線範囲データ分析の使用もまた、表において示す値に対して示す。すべてのFVIIa変異体を、それぞれのアッセイにおいてアッセイしたとは限らなかった。いくつかのFVIIa変異体は、野生型FVIIa分子と比較して、増加した触媒活性を示した。たとえば、Q286R突然変異のみを含有するFVIIaポリペプチド(Q286R−FVIIa)は、野生型FVIIaの2倍および3倍の間の触媒活性を有し、Q286RおよびM298Qの突然変異を含有するFVIIaポリペプチド(Q286R/M298Q−FVIIa)は、野生型FVIIaの3倍を超える触媒活性を有する。
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実験のさらなるセットにおいて、BHK−21細胞において産生されるFVIIaポリペプチドの触媒活性を、少し改変した、上記に記載されるTF非依存性およびTF依存性間接的アッセイを使用して分析した。いくつかの変異体は、BHK−21細胞に加えて、CHOX細胞においてまたはもっぱらCHOX細胞において産生された。変異体は、使用する細胞株にかかわらず同一条件下でアッセイした。TF依存性触媒アッセイ(線形分析を使用)については、FVIIaポリペプチドは、最初に、実施例12において記載されるように、FVIIa濃度を決定するために、4−メチルウンベリフェリルp’−グアニジノベンゾエート(MUGB)を用いて活性部位滴定した。線形範囲におけるデータポイントの数を最大限にするために、アッセイにおけるFXの最高濃度を、25nM(つまり0〜150nMの代わりに0〜25nM)に設定した。アッセイにおいて使用したFXは、下記の実施例15において記載されるように、活性化し(つまりFXa)、フルオレスセイン−モノ−p’−グアニジノベンゾエート(FMGB)を用いて滴定した。Spectrafluor FXa基質の切断についての反応速度定数は、この活性部位滴定FXaについて決定し、190.2μMのKおよび340s−1のkcatであることが実証された。主要な差異はkcatにおけるものであり、ほとんど、改善された活性部位決定によるものである。これらのパラメーターは、TFの存在下におけるFVIIaポリペプチドの触媒活性を決定するために線形分析において使用される246.4の修正k補正係数値を与える。
TF非依存性触媒アッセイについては、FVIIaポリペプチドは、最初に、下記実施例12において記載されるように、FVIIa濃度を決定するために、4−メチルウンベリフェリルp’−グアニジノベンゾエート(MUGB)を用いて活性部位滴定した。アッセイにおいて使用したFXは、実施例15において記載されるように、活性化し(つまりFXa)、フルオレスセイン−モノ−p’−グアニジノベンゾエート(FMGB)を用いて滴定した。Spectrafluor FXa基質の切断についての反応速度定数は、この活性部位滴定FXaについて決定し、190.2μMのKおよび340s−1のkcatであることが実証された。これらのパラメーターは、TFの非存在下におけるFVIIaポリペプチドの触媒活性を決定するために分析において使用される246.4の修正k補正係数値を与える。
表15は、アッセイしたFVIIa変異体ポリペプチドのそれぞれの触媒活性を記載する。結果は、触媒活性についての反応速度定数、kcat/K(M−1−1)として示し、野生型FVIIaの活性の割合としても表現し、活性は、触媒活性、その基質、FXに対するそれぞれのFVIIa変異体のkcat/K(M−1−1)である。標準偏差(SD)、変動係数(百分率として;%CV)、および実行したアッセイの数(n)もまた提供する。変異体のいくつかは、野生型FVIIポリペプチドと比較して、著しく増加した触媒活性を示す。たとえば、Gla swap FIX/Q286R/M298Q変異体は、野生型FVIIポリペプチドの6倍を超えるTF依存性触媒活性を示した。FVIIa変異体の増加した触媒活性は、TF非依存性アッセイにおいて、より明白であった。たとえば、Gla swapFIX/Q366V変異体は、野生型FVIIaの9倍を超える触媒活性を有し、Gla swap FIX/Q286R/M298Q、{Gla swap FIX/E40L}/Q286R/M298Q、{Gla swap FIX/K43I}/Q286R/M298Q、および{Gla swap FIX/Q44S}/Q286R/M298Q変異体は、野生型FVIIaの70〜80倍を超える触媒活性を有し、S52A/S60A/V158D/E296V/M1298Q変異体は、野生型FVIIaの220倍を超える触媒活性を有した。
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実施例5
AT−III/ヘパリンによる、FVIIa/TFまたはFVIIaの阻害の決定
可溶性組織因子(sTF)の存在下または非存在下における、つまり、TF依存性またはTF非依存性の、AT−III/ヘパリン複合体およびFVIIaの間の相互作用の作用強度は、基質、メシル−FPR−ACCに対するFVIIa/sTFの触媒活性について、AT−IIIの様々な濃度の阻害のレベルを測定することによって評価した。K0.5値は、試験したそれぞれのFVIIa変異体について決定し、これは、室温(約25°)での30分間のアッセイにおいてFVIIa変異体の50%阻害(IC50)に必要とされる、AT−IIIのモル濃度に対応する。
2つの別々のアッセイを調製し、一方はsTFを用い、一方はsTFを用いなかった。AT−III/ヘパリンの2μM溶液(最終5μMヘパリン)は、26.4μLの151.7μM AT−III(血漿精製ヒトAT−III;Molecular Innovations)を、50μLの0.2mM LMWヘパリン(CalBiochem)、400μLの5×アッセイ緩衝液(100mM Hepes、750mM NaCl、25mM CaCl、0.05%BSA、0.5%PEG 8000、pH7.4)、および1.523mlの試薬グレードの水と混合することによって調製した。この溶液は、TF依存性アッセイにおける最も高度な濃度として使用した。4μM AT−III/ヘパリンを含有する溶液(最終5μMヘパリン)は、52.8μLの151.7μM AT−III(Molecular Innovations)を、50μLの0.2mM LMWヘパリン(CalBiochem)、400μLの5×アッセイ緩衝液、および1.497mlの試薬グレードの水と混合することによって、TF非依存性のアッセイにおいて使用するために調製した。AT−III/ヘパリン溶液は、室温で、5〜10分間、インキュベートし、次いで、5μMヘパリンを含有する1mlの最終容量を有する96深型ウェルポリプロピレンプレートにおいて2倍希釈し、2000、1000、500、250、125、62.5、31.25、および0nMまたは4000、2000、1000、500、250、125、62.5、および0nMの希釈溶液がもたらされた。FVIIa変異体および野生型FVIIaは、1×アッセイ緩衝液(20mM Hepes、150mM NaCl、5mM CaCl、0.01%BSA、0.1%PEG 8000、pH7.4)において250nMに希釈した。TF依存性アッセイについては、5nM FVIIa/50nM sTF複合体は、20μLのFVIIaを、10μLの5μM sTF(R&D Systemsヒト第III凝固因子:#2339−PA)、200μL 5×アッセイ緩衝液、および770μLの試薬グレードの水と混合し、室温で、10〜15分間、溶液をインキュベートすることによって、形成した。TF非依存性アッセイについては、100μLのFVIIaは、200μL 5×アッセイ緩衝液および700μLの試薬グレードの水と混合し、FVIIaの25nM溶液を産生した。アッセイを始めるために、25μLのFVIIa/TF溶液またはFVIIaのみの溶液は、96ウェル黒色ハーフエリアアッセイプレート(Nunc)のウェルにおいて、AT−III/ヘパリンのそれぞれの希釈溶液の25μLと別々に混合した。TF依存性アッセイについての最終アッセイ条件は、2.5nM FVIIa/25nM sTFおよび1000nM〜0nMの範囲のAT−III/ヘパリン濃度であった。TF非依存性のアッセイについては、FVIIa濃度は、12.5nM FVIIaであり、AT−III/ヘパリン濃度は、2000nM〜0nMの範囲であった。プレートは、室温(約25℃)で振盪しながら、30分間、インキュベートした。
FVIIa基質(メシル−FPR−ACC)のストック溶液は、20mMにDMSOにおいて基質を溶解し、次いで、1×アッセイ緩衝液において0.5mMの希釈標準溶液を調製することによって調製した。上記からのアッセイプレートのインキュベーションの後に、50μlのFVIIa基質を、アッセイプレートのそれぞれのウェルに添加した。反応液を、混合し、FVIIaの残存活性を、30℃に設定した蛍光発光リーダーにおいて15分間、基質切断の初速度に従って評価した。
FVIIaまたはFVIIa変異体に対するAT−III/ヘパリンによる阻害の程度を決定するために、SoftMax Proアプリケーション(Molecular Device)を用いて収集した生データを、.XMLファイルとしてエクスポートした。さらなる非線形データ分析は、XLfit4、Microsoft Excelスプレッドシート環境内での自動カーブフィッティングおよび統計分析のためのソフトウェアパッケージを用いて実行した(IDBSソフトウェア)。スプレッドシートテンプレートは、AT−III希釈溶液系列、FVIIaに対するAT−IIIの比、およびそれぞれの実験的AT−III濃度でのそれぞれのFVIIa反復実験についてのVi/Vo比を計算するために使用した。残存FVIIa活性(Vi/Voとして表現)対AT−III濃度の非線形回帰分析は、XLfit4および式(C+(Amp*(1−(X/(K0.5+X)))))の双曲線阻害式を使用して、処理した。ここで、C=オフセット(アッセイの過程の間に100%に阻害を達しないデータセットの補外を可能にするために0に固定)、Amp=フィットの振幅(the amplitude of the fit)、およびアッセイ条件下での最大の半分の阻害に必要とされるAT−IIIの濃度に対応するK0.5。いくつかのFVIIa変異体については、AT−IIIは、AT−IIIの最も高度な試験濃度で、全プロテアーゼ活性の20〜25%未満を阻害し、アッセイについての検出の上限を表した。20〜25%未満の最大の阻害を有する変異体は、そのため、下限K0.5値に割り当てられ(TF依存性については5μM、TF非依存性については10μM)、ほとんどの場合において、報告された値よりも大きなAT−III抵抗性を有することが予想される。
表16および17は、それぞれTFの存在下および非存在下において、Freestyle(商標) 293−F細胞および/またはBHK−21細胞において発現したFVIIa変異体を使用して実行したアッセイの結果を提供する。結果は、共に、フィットK0.5パラメーターとしておよびそれらのフィットK0.5値の比(K0.5変異体/K0.5野生型)として表現される、野生型FVIIaと比較した、それぞれの変異体についてのAT−III抵抗性の程度の説明として示される。いくつかのFVIIa変異体は、野生型FVIIaと比較して、AT−IIIに対する増加した抵抗性を示す。たとえば、Q286R−FVIIa(つまりQ286R突然変異を含有するFVIIa)、Q286R/S222A−FVIIa、Q286R/S222A/Gla Swap FIX−FVIIa、A175S/Q286R/Q366V−FVIIa、Q286M−FVIIa、Q286L−FVIIa、およびQ286Y−FVIIaは、野生型FVIIaよりも4倍以上大きな、TFの非存在下におけるAT−IIIに対する抵抗性を示すグループの中にある。
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さらなるセットの実験は、少し改変した、上記に記載されるものと同じアッセイを使用して、TFの非存在下において、AT−III/ヘパリンによるFVIIa変異体の阻害を評価するために実行した。完全長の未分画のヘパリン(Calbiochem)は、阻害反応の速度を増加させるために、低分子ヘパリン(LMWヘパリン)の代わりに使用した(たとえばOlson et al. (2004) Thromb Haemost 92(5), 929-939を参照されたい)。アッセイのインキュベーション時間は、60分まで増加し、残存活性を確かめるために使用したメシル−FPR−ACC基質の濃度は、0.5mMの最終濃度まで増加させた。
表18は、BHK−21細胞およびCHOX細胞において発現したFVIIa変異体を使用する、TFの非存在下において実行したアッセイの結果を提供する。結果は、共に、フィットK0.5パラメーターとしておよびそれらのフィットK0.5値の比(K0.5突然変異体/K0.5野生型)として表現される、野生型FVIIaと比較した、それぞれの変異体についてのAT−III抵抗性の程度の説明として示される。標準偏差(SD)およびアッセイの数(n)もまた示す。
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実施例6
FVIIaポリペプチド凝血促進活性のインビボ評価
血友病Aのマウスモデルは、FVIIaポリペプチドの凝血促進活性を評価するために確立した。血友病Aは、抗FVIII抗体の腹腔内投与、その後に続く、出血を開始するための、尾部の先端の手術による除去によって、CD−1マウスにおいて誘発した。FVIIIが欠損しているマウス(FVIII−/−マウス)もまた使用したが、抗FVIII抗体を用いて処置しなかった。次いで、マウスは、FVIIaポリペプチドを用いて処置し、20分間に失われた血液の量は、FVIIaポリペプチドの凝血促進活性を決定するために測定した。
A. 野生型FVIIa凝血促進活性のインビボ評価
血友病Aのマウスモデルは、FVIIaポリペプチドの凝血促進活性を評価するために確立した。血友病Aは、抗FVIII抗体の投与、その後に続く、出血を開始するための、尾部の先端の手術による除去によって、CD−1マウスにおいて誘発した。次いで、マウスは、FVIIaポリペプチドを用いて処置し、出血を停止させるためにかかった時間およびこの時間の間に失われた血液の量は、FVIIaポリペプチドの凝血促進活性を決定するために測定した。
オスCD−1マウスに、100mg/kgのチオバルビタールナトリウムおよび100mg/kgのケタミンの両方の腹腔内投与によって麻酔をかけた。リドカインは、感度を弱めるために、腹部の頸部への皮下注射によって投与した。自由な呼吸ならびに抗第VIII因子抗体、組換えヒト第VIIa因子(rhFVIIa)、および/または改変FVIIポリペプチドの投与を容易にするために、気管および頸動脈に、頸部における小さな皮膚切開を通して、カニューレを挿入した。
カニューレを挿入したマウスに、40μL中3.76mg ヒツジ抗ヒトFVIII抗体(Affinity Biologicals、ロットIG129R4、612マウスBU/ml)を投与した。この用量は、抗体(0.376、0.94、1.88、および3.76mgの抗ヒトFVIIIを使用)を用いる初回用量応答実験を行い、失血および出血時間を評価することによって、決定した。20分後に、マウスの尾部は、10分間、39℃リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含有する15mlのチューブ中に配置した。30分で、尾部は、PBS溶液から短い間、取り出し、尾部の先の5mmを、出血を開始させるために切断した。出血が始まった時間を記録した。次いで、尾部は、39℃PBSを含有するチューブに戻し、マウスが抗FVIII抗体に応答したことを保証するために、5分間(前出血)、出血させた。前出血の後に、マウスに、FVIIaポリペプチドまたはFVIIaタンパク質が、調製され、送達される媒体を投与した。FVIIaポリペプチドは、PBSまたは52mM塩化ナトリウム、10.2mM塩化カルシウム無水物、9.84mMグリシルグリシン、0.01%ポリソルベート80、および165mMマンニトールから構成される緩衝液において希釈した。FVIIa調製物は、頸動脈のカニューレを介して、3ml/kgに等しい容量で、1、3、または10mg/kgで投与し、尾部は、39℃PBSを含有する新鮮なチューブ中に配置した。出血は、20分間、モニターし、出血が停止した時間を記録した。総出血時間は、前出血の間の出血の継続期間およびFVIIaポリペプチドまたはPBSもしくは緩衝液の投与の後の出血の継続期間の合計として計算した。
出血エピソードの間に失われた血液の量を決定するために、15mlチューブの含有量を、ヘモグロビン含有量についてアッセイした。Triton X−100は、滅菌水において1対4に希釈し、100μLを、溶血を引き起こすために1mlのサンプルに添加した。次いで、サンプルの吸光度は、546nmの波長で測定した。失われた血液の量を計算するために、吸光度は、PBSにおいて希釈し、Triton X 100を用いて上記のように溶血させたマウス血液の知られている容量の、546nmでの吸光度を測定することによって生成した標準曲線に対して読み取った。
実験は、上記記載されるように生成したrhFVIIaを、市販で入手可能な組換えヒトFVIIa(NovoSeven(登録商標)、Novo Nordisk)と比較して行い、失血は、それぞれのタンパク質の3mg/kgの用量の投与の後に評価した。媒体グループ(緩衝液、n=15)における失血は、20分間にわたり671.9±57.89μlであった。これは、Catalyst Biosciencesによって産生されたrhFVIIaによって264.1±56.59μlまで、NovoSeven(登録商標)によって273.7±53.93μlまで低下した(n=14)。この実験は、2つのタンパク質の間の同等性を実証した。
B. 誘発された血友病Aを有するCD−1マウスにおけるFVIIa変異体の血液凝固活性の分析
最初の実験は、CD−1マウスにおいて血友病を誘発するために腹腔内経路によって与えられた場合に、抗ヒトFVIII抗体の必要とされる用量ならびに効果の時間および継続期間を決定するために実行した。抗FVIIIの第1のロット(ロット1;Affinity Biologicals、ロットIG129R4)については、これは、最初に、上記に記載されるカニューレ挿入実験に使用した用量に基づくものとした。血友病の状態(20分間のアッセイ期間にわたる、制御されていない出血)を引き起こすために決定した用量は、7.54mg/マウス(80μlの94.25mg/mlストック溶液)であった。このロットは、612マウスBU/mlの中和活性を有した。抗ヒトFVIIIの第2のロット(ロット2;Affinity Biologicals、ロットIG1577R2474、マウスBU/mlの中和活性)については、使用した用量は、11.98mg/マウス(120μlの99.8mg/mlストック溶液)であり、尾部切断の6時間前に投与した。
血友病を誘発するために、オスCD−1マウス(25〜35g)に、実験前に、抗FVIIIのロット1またはロット2を腹腔内に投薬した。オスCD−1マウスおよびFVIII−/−マウスに、ケタミン/キシラジンカクテル(生理食塩水中、それぞれ45mg/mlおよび3.6mg/ml)の腹腔内投与によって麻酔をかけ、体温の低下がなかったことを保証するために、加熱したプラットフォーム(39℃)上に配置した。手技室は、82°Fの温度に保った。尾部切断の10分間前に、尾部は、10mlのあらかじめ暖めたPBS(15ml遠心分離管;39℃)中に浸した。8〜10匹のマウスに、単一投与において、尾部静脈を介して、52mM塩化ナトリウム、10.2mM塩化カルシウム無水物、9.84mMグリシルグリシン、0.01%ポリソルベート80、および165mMマンニトールから構成される緩衝液において希釈した組換えヒトFVIIa(Novoseven(登録商標)、Novo Nordisk)または改変FVIIポリペプチドを注射した。媒体のみもまた、コントロールとしてのマウスのグループに注射した。注射が失敗した場合、動物を研究から除いた。FVIIaポリペプチドまたは媒体を用いる注射は、尾部切断の5分間前に行った。尾部切断は、尾部の末端から5mmでカミソリ刀を使用して行い、血液は、20分間、PBSの中に収集した。収集期間の終わりに、失血の合計を評価した。収集チューブを混合し、それぞれのサンプルの1mlの一定分量を採取し、ヘモグロビン含有量についてアッセイした。Triton X−100は、滅菌水において1対4に希釈し、100μLを、溶血を引き起こすために1mlサンプルに添加した。次いで、サンプルの吸光度は、546nmの波長で測定した。失われた血液の量を計算するために、吸光度は、PBSにおいて希釈し、Triton X 100を用いて上記のように溶血させたマウス血液の知られている容量の、546nmでの吸光度を測定することによって生成した標準曲線に対して読み取った。
1. 野生型FVIIa血液凝固活性を評価する用量応答研究
0.3、1、または3mg/kgの野生型FVIIaを評価した用量応答研究もまた、実行した。媒体を受けたマウスは、20分間のアッセイにおいて、1002.3±60.71μLを失った。これは、3mg/kgの野生型FVIIaを投与したマウスにおいて415.5±90.85μLまで有意に低下した(p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)。1mg/kgへの用量の低下は、679.57±83.95μLの失血をもたらし、より低用量0.3mg/kgは、852.42±94.46μLの失血をもたらした。
2. FVIIa変異血液凝固活性の最初の分析
媒体のみの注射は、コントロールとして使用した。媒体のみを受けたマウスは、20分間のアッセイにおいて915.2±105.6μLを失い、これは、マウスに組換えヒトFVIIaを投与した場合、352±99.86μL(平均±S.E.M)まで低下した。失われた血液の量は、マウスにQ286R−FVIIa(つまりQ286R突然変異を含有するFVIIa)を投与した場合、165.8±48.41μLまで、Q286R/M298Q−FVIIaで141.3±43.77μLまで、またはV158D/E296V/M298Q−FVIIaで129.5±36.64μLまでさらに低下した。S222A−FVIIaを投与したマウスもまた、野生型FVIIaを投与したマウスと比較して、低下した失血(225.7±62.75μLまで)を示した。Gla Swap FIX−FVIIa、Q366V−FVIIa、またはA122N/G124SFVIIaの投与は、組換えヒトFVIIaを与えたマウスにおいて観察されるものと、およそ同じ量の失血をもたらしたが(それぞれ334.6±54.95μL、321.7±102.6μL、および329.8±83.91μL)、H257A−FVIIa、S222A/Q286R−FVIIa、またはH257A−FVIIaを投与したマウスは、わずかに多い失血を有するように思われた(それぞれ、390±107μL、447.3±127.7μL、および443.7±139.5μL)。
3. FVIIa変異体血液凝固活性を評価する用量応答
0.1、0.3、1、または3mg/kgのQ286−R−FVIIa、S222A−FVIIa、Q286R/M298Q−FVIIa、またはV158D/E296V/M298Q−FVIIaをマウスに投与した用量応答研究。媒体のみを受けたマウスは、20分間のアッセイにおいて915.2±105.6μLの血液を失った。これは、Q286R−FVIIa(141.3±43.77μL)、S222A−FVIIa(225.7±62.75μL)、またはQ286R/M298Q−FVIIa(129.5±36.64μL)のいずれかの3mg/kgを投与したマウスにおいて有意に低下した(p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)。1mg/kgへの用量の低下は、Q286R−FVIIaを受けたマウスにおいて641±96.48μLおよびS222A−FVIIaを受けたマウスにおいて487.92±92.07μLの失血をもたらした。より低い用量のこのFVIIa変異体は、媒体コントロールを受けたマウスにおいて観察されたものとおよそ同じ失血をもたらした(それぞれ、Q286R−FVIIaおよびS222A−FVIIaについて817.71±107.94μLおよび900.34±115.77μL)。対照的に、1mg/kgのQ286R/M298Q−FVIIaを受けたマウスは、媒体のみのコントロールマウスと比較して、失血を有意に低下させた(69.36±15.55μL)。0.3mg/kgおよび0.1mg/kgのより低い用量では、失血は、それぞれ、538.3±94.04μLおよび664±121.6μLであった。0.3、1、および3mg/kgのV158D/E296V/M298Q−FVIIaを受けるマウスは、それぞれ、754.49±121.6μL、481.95±114.22μL、および133.25±50.09μLの失血を有した。
さらなる用量応答研究を、Q286R−FVIIa、Q286R/M298Q−FVIIa、およびV158D/E296V/M298Q−FVIIaについて実行し、データを、上記のものと組み合わせた。Q286R−FVIIaの効果を評価する実験において、媒体を受けたグループは、833.61±73.95μLの血液を失った。これは、3mg/kgのQ286R−FVIIaを用いて処置したマウスにおいて196.71±49.18μLまで有意に低下した。1mg/kgへの用量の低下は、577.78±66.29μLの失血をもたらした。マウスに、0.1および0.3mg/kgのQ286−RFVIIaを投薬した場合、もたらされた失血は、媒体コントロール値(それぞれ、739.58±104.28μLおよび806.63±65.17μL)に類似した。Q286R/M298Q−FVIIaの効果を評価する実験において、媒体グループは、902.42±88.04μLの失血をもたらし、これは、1および3mg/kgのQ286R/M298Q−FVIIaを用いる処置によって、145.17±38.89μLおよび140.76±33.36μLの失血まで有意に低下した。0.1および0.3mg/kgへの用量の低下は、それぞれ、664.03±121.62μLおよび551.94±67.60μLの失血値をもたらした。V158D/E296V/M298Q−FVIIaを評価する実験において、媒体コントロールグループは、966.64±57.97μLの失血を実証し、これは、3mg/kgのV158D/E296V/M298Q−FVIIaを用いる処置によって、128.19±27.73μLまで有意に低下した。1mg/kgへの用量の低下は、565.50±65.78μLの失血に至り、0.3および0.1mg/kgへのさらなる用量の低下は、コントロールグループに類似した失血をもたらした(811.16±71.87μLおよび893.62±106.73μL)。統計分析は、Kruskal Wallis、その後に続くDunn事後検定によって行い、有意性は、p<0.05の場合、許容された。
4. 用量3mg/kgのH216A−FVIIa、H373F−FVIIa、Q366D−FVIIa、およびQ366N−FVIIaの血液凝固活性
実験の1セットにより、用量3mg/kgのH216A−FVIIa、H373F−FVIIa、Q366D−FVIIa、およびQ366N−FVIIaを試験した。媒体のみの注射は、コントロールとして使用した。媒体を受けたマウスは、20分間のアッセイにおいて915.2±105.6μLを失った。マウスをH373F−FVIIaを用いて処置した場合、これは、211.1±67.70μLまでさらに低下した。失血は、H216A−FVIIa、Q366D−FVIIa、およびQ366N−FVIIaを用いる処置に際してそれほど影響を及ぼされず、それぞれ、558.6±66.22、577.1±151.4、および477.1±112.6μLの値であった。
4. 用量3mg/kgのQ286R/M298Q/Gla swap FIX−FVIIa、S222A/H257A/Q286R/M158Q−FVIIa、Q286R/M298Q/K341D−FVIIa、およびQ286R/M298Q/H373F−FVIIaの血液凝固活性
用量3mg/kgのQ286R/M298Q/Gla swap FIX−FVIIa、S222A/H257A/Q286R/M158Q−FVIIa、Q286R/M298Q/K341D−FVIIa、およびQ286R/M298Q/H373F−FVIIaの血液凝固活性を、CD−1血友病マウスモデルにおいて評価した。媒体のみの注射は、コントロールとして使用した。媒体を受けたマウスは、20分間のアッセイにおいて803±92.18μLを失った。これは、S222A/H257A/Q286R/M158Q−FVIIaを用いる処置によって118.6±63.27μLまで低下した。3mg/kgのQ286R/M298Q/Gla swap FIX−FVIIaを用いる処置は、媒体グループと比較して、888.89±104.76μLから171.83±62.06μLに、失血を低下させた。Q286R/M298Q/K341D−FVIIaおよびQ286R/M298Q/H373F−FVIIaを評価する実験において、媒体グループからの失血は、813.1±82.66μLであった。これは、Q286R/M298Q/H373F−FVIIaを用いる処置の後に、39.42±5.53μLの失血まで低下した。Q286R/M298Q/K341D−FVIIaは、アッセイにおいてそれほど有効でないように思われ、636.7±121.6μLの失血をもたらした。
5. S222A/H257A/Q286R/M158Q−FVIIaおよびQ286R/M298Q/H373F−FVIIaの血液凝固活性を評価するための用量応答研究
0.3、0.5、1、および3mg/kgのS222A/H257A/Q286R/M158Q−FVIIaに対する用量応答を、評価した。媒体を受けたマウスは、20分間のアッセイにおいて832.48±71.70μLを失った。これは、3mg/kgのS222A/H257A/Q286R/M158Q−FVIIaを投与したマウスにおいて118.63±63.27μLまで有意に低下した(p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)。1および0.5mg/kgへの用量の低下は、失血における有意な低下をもたらし(202.69±77.60μLおよび366.52±106.21μL)、より低用量の0.3mg/kgは、媒体レベルと比較してより多くの失血をもたらした(742.04±112μL)。0.1、0.3、1、および3mg/kgのQ286R/M298Q/H373FF−VIIaに対する用量応答もまた、評価し、この実験において、媒体を受けたマウスは、813.15±82.66μLの失血を有した。これは、3mg/kgのQ286R/M298Q/H373F−FVIIaを用いて処置したマウスにおいて39.42±5.52μLまで有意に低下した(p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)。1および0.3mg/kgへの用量の低下は、208.10±105.12および508.9±155.8μLの失血値にそれぞれ至った。試験した最も低用量の0.1mg/kgは、媒体コントロールレベルに近似する失血をもたらした(733.5±152.88μL)。
C. FVIII−/−マウスにおけるFVIIa血液凝固活性の分析
FVIIIが欠損したマウス(FVIII−/−マウス)を使用する血友病Aのマウスモデルはまた、マウスを抗FVIII抗体を用いて処置しなかった以外は、上記に記載されるのと同じプロトコールを使用して、FVIIaポリペプチドの血液凝固活性を評価するためにも使用した。
1. 野生型FVIIa血液凝固活性を評価する用量応答研究
0.3、1、3、および6mg/kgのFVIII−/−マウスにおけるNovoSeven(登録商標)および野生型rhFVIIaの血液凝固活性を評価するための用量応答研究を、実行した。NovoSeven(登録商標)実験において、媒体グループにおける失血は、912.79±38.32μLであり、これは、6および3mg/kgのNovoSeven(登録商標)処置によって有意に低下した(361.74±55.28μLおよび586.98±60.56μLまで;p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)。1mg/kgへの用量の低下は、674.84±46.88μLの失血をもたらし、試験した最も低用量で、値は、801.08±41.39μLであった。野生型rhFVIIa実験において、媒体コントロールグループは、904.08±15.38μLの失血をもたらした。これは、6mg/kgの野生型rhFVIIaによって、451.04±74.17μLまで有意に低下した(p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)。3mg/kgへの用量の低下は、695.75±60.50μLの失血値をもたらしたが、1および0.3mg/kgへの用量の低下は、媒体コントロールレベルの近くのおよびコントロールレベルの失血値をもたらした(それぞれ、846.08±34.17μLおよび936.43±31.39μL)。
2. Q143R−FVIIa、S222A−FVIIa、Q286R/M298Q−FVIIa、およびV158D/E296V/M298Q−FVIIa血液凝固活性を評価する用量応答
実験の第1のセットは、3mg/kgの組換えヒトFVIIa(NovoSeven(登録商標)、Novo Nordisk)、V158D/E296V/M298Q−FVIIa、Q286R−FVIIa、およびS222A−FVIIaを試験した。媒体のみの注射は、コントロールとして使用した。媒体を受けるマウスは、20分間のアッセイにおいて942.9±27.37μLの失血を有した。NovoSeven(登録商標)FVII、V158D/E296V/M298Q−FVIIa、Q143R−FVIIa、およびS222A−FVIIaを用いる処置は、失血を、それぞれ468±55.9μL、302.38±73.12μL、697.26±92.22μL、および675.07±35.29μLまで低下させた。Q143R−FVIIaは、3mg/kgでFVIII−/−マウスにおいて再度試験した場合、媒体コントロールグループ(935.54±51.96μL)と比較して、754.84±60.96μLの失血の低下を実証した。5mg/kgで評価した場合、Q143R−FVIIaは、媒体コントロールグループ(960.42±24.5μL)と比較して、445.87±79.62μLまでの失血におけるさらなる低下をもたらした。
実験の第2のセットは、V158D/E296V/M298Q−FVIIaおよびQ286R/M298Q−FVIIaを、0.3、1、および3mg/kgで評価した用量応答研究とした。3mg/kgのV158D/E296V/M298Q−FVIIaを用いる処置は、媒体コントロールと比較して(960.42±24.5μL;p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)、失血における有意な低下をもたらした(375.62±74.22μL)。1および0.3mg/kgへの用量の低下は、それぞれ834.76±54.38μLおよび841.62±68.99μLの、コントロールレベルの近くの失血値に至った。V158D/E296V/M298Q−FVIIaの異なるロットを評価した第2の実験は、912.79±38.32μLの媒体コントロール失血値をもたらし、これは、3および1mg/kgで有意に阻害された(247.24±35.17μLおよび628.30±37.36μL;p<0.05、Kruskal−Wallis検定、その後に続いてDunn事後検定を使用)。より低用量のV158D/E296V/M298Q−FVIIaを用いる処置は、コントロール値(841.85±19.32μL)に近似する失血をもたらした。FVIII−/−マウスにおけるQ286R/M298Q−FVIIaの効果を評価する実験において、媒体グループは、941.39±35.18μLの失血をもたらした。これは、3mg/kgの用量で有意に阻害され、258.92±59.82μLの失血をもたらした。1および0.3mg/kgのより低用量で、もたらされた失血のレベルは、それぞれ616.82±78.43μLおよび924.9±38.01μLであった。
D. 誘発された血友病モデルの使用における、さらなるFVIIa変異体の血液凝固活性の分析
いくつかのFVIIa変異体の血液凝固活性は、上記の実施例6.Bにおいて記載されるCD−1マウスを用いて誘発された血友病モデル(IHM)を使用して評価した。プロトコールは、T128N/P129A−FVIIa変異体およびM156Q/H224F−FVIIa変異体の評価を除いて、上記に記載されるものと同じものとし、ヒト抗FVIIIの異なるロット(それぞれ第3および第4)を使用した。抗ヒトFVIIIの第3のロット(ロット3;Affinity Biologicals、ロットIG1603R1、418マウスBU/mlの中和活性)については、使用した用量は、12.17mg/マウス(120μlの101.4mg/mlストック溶液)とし、これは、尾部切断の18時間前に投与した。抗ヒトFVIIIの第4のロット(ロット4;Affinity Biologicals、ロットIG1639R1、875マウスBU/mlの中和活性)については、使用した用量は、8.04mg/マウス(80μlの100.45mg/mlストック溶液)とした。失血は、上記に記載されるように測定し、阻害パーセント(所望の変異体についての平均値を使用し、媒体グループによって割って計算)およびED50値(それぞれ媒体処置動物および正常コントロール動物を用いて観察された失血を用いて応答曲線の上部および下部を制限する非線形回帰分析を使用して決定(GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア、GraphPad Software, Inc.を使用))として表19において下記に示す。
Figure 0005659312
E. 誘発された血友病モデルの使用における、さらなるFVIIa変異体の血液凝固活性の分析
いくつかのFVIIa変異体の血液凝固活性は、上記の実施例6.Bにおいて記載されるCD−1マウスを用いて誘発された血友病モデル(IHM)を使用して評価した。プロトコールは、これらの実験について、抗FVIIIのロット4〜6を使用した以外は、上記に記載されるものと同じものとした。これらのロットについての詳細は、以下のとおりであった:ロット4(上記に詳述)、第5のロット(ロット5;Affinity Biologicals、ロットIG1593R2、255マウスBU/mlの中和活性)については、使用した用量は、12.25mg/マウス(120μlの102.1mg/mlストック溶液)とし、これは、尾部切断の6時間前に投与した。第6のロット(ロット6;Affinity Biologicals、ロットIG1703R2、685マウスBU/mlの中和活性)については、使用した用量は、8.02mg/マウス(80μlの100.2mg/mlストック溶液)とし、これは、実験前日の午後4時に投与した。失血は、上記に記載されるように測定し、阻害パーセント(所望の変異体についての平均値を使用し、媒体グループによって割って計算)それぞれの場合において、用量はすべて、下記の対応する阻害値と一緒に示す、およびED50値(それぞれ媒体処置動物および正常コントロール動物を用いて観察された失血を用いて応答曲線の上部および下部を制限する非線形回帰分析を使用して決定(GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア、GraphPad Software, Inc.を使用))として表20において下記に示す。「n/グループ」は、グループ当たりのマウスの総数を指すのに対して、ED50の計算に関する「n」は、変異体を用いて実行した実験の総数を指す。
Figure 0005659312
Figure 0005659312
Figure 0005659312
実施例7
小分子基質に対するFVIIaのアミド分解活性のミカエリス メンテン反応速度定数の決定
FVII変異体のアミド分解活性は、ペプチジル基質Spectrozyme FVIIa(CHSO−D−CHA−But−Arg−pNA.AcOH)に対するFVIIaポリペプチドのミカエリス メンテン反応速度定数を測定することによって評価することができる。そのようなアッセイは、以下のとおり実行することができる。
脂質付加ヒト精製組織因子(Innovin、Dade Behring、VWR Cat#68100−390)は、FVIIaの最適な活性を提供するためにアッセイにおいて含まれる。TF−FVIIa複合体は、パラニトロアニリン−発色団(pNA)を放出する高度に特異的な発色基質としてのSpectrozyme FVIIaを切断し、これは、405nmでの吸収を測定することによってモニターすることができる。酵素活性は、時間の関数として生成される遊離pNAの405nmでの吸光度をモニターすることによって決定される。
反応は、3つの異なる酵素濃度で実行する。反応液については、FVIIa変異体は、1.7mlチューブ(ISC Bioexpressからの低粘着マイクロチューブ)において、1×ダイレクトアッセイ緩衝液(100mM Tris pH8.4、100mM NaCl、5mM CaCl、0.01%BSA)において40nMに最初に希釈する。FVIIaは、以下のとおり、12ウェルポリプロピレンリザーバー(Axygen)において2nMに希釈することによってTF(Innovin、Dade Behring)の存在下においてさらに希釈する:720μl 5×ダイレクト緩衝液(500mM Tris pH8.4、500mM NaCl、25mM CaCl、0.05%BSA)、180μl 40nM FVIIa、および2700μl 2×TF(10ml水において再構成された6nMストック溶液)。希釈したプロテアーゼは、室温で5分間、インキュベートする。FVIIaの2nMストックは、2倍系列希釈溶液においてさらに希釈して、またTFの存在下において、プロテアーゼの1nMおよび0.5nMストックをそれぞれ生じさせる。系列希釈反応液は、以下のとおりである:最初に、360μl 5×ダイレクト緩衝液、900μl 2×TF、および540μl水の中に希釈された上記からの1800μlの2nMストックのFVIIa/TF。この希釈したストックを、ダイレクト緩衝液において、1800μl 1×TFの中に1:1に再度希釈する。
基質Spectrozyme FVIIa(American Diagnostica)の希釈溶液プレートを、作製する。Spectrozyme FVIIaのストック溶液を、蒸留水中50μモル バイアルの10mMへの再構成によって作製し、4℃で保管する。80μl(10mMSpectrozyme FVIIa)および10mMSpectrozyme FVIIaの60μl+20μl水(7.5mMSpectrozyme FVIIa)を、96ウェルポリプロピレンアッセイプレート(Costar)の2つの近接したカラムにおけるウェルに添加する。2つのウェルを、それぞれのカラムの8つのウェルのそれぞれに沿って、系列2倍希釈し、第1のカラムのウェルに沿って10mM〜78μM基質および第2のカラムのウェルに沿って7.5mM〜58.6μM基質の範囲の一連の10×基質濃度を作製する。
それぞれのSpectrozyme FVIIa基質希釈溶液の5μlを、96ウェルクリアハーフエリアアッセイプレート(Costar)に添加する。3つのFVIIa/TF希釈溶液のそれぞれの45μlを、基質系列希釈溶液の3グループのカラムに添加する。この工程の間に、アッセイのウェルの中に泡を入れないように注意する。泡が入った場合、泡は、それぞれのアッセイを始める前に、清潔な針を用いて刺すことによって除去することができる。次いで、プレートは、振盪することによって混合する。アッセイの開始の前に、アッセイウェルの光路長は、終点読み取り値を得、SoftMax Proソフトウェア(Molecular Device)のPathcheck機能を使用することによって、Spectramax Gemini M5プレートリーダー分光光度計(Molecular Device)を使用して測定する。405nmでの吸光度の増加は、37℃で1時間、30秒ごとに測定する。
SoftMax Proソフトウェアは、405nm、9600M−1cm−1で、光路長およびpNA脱離基の吸光係数を使用することによって、吸光度率(ミリ単位/秒)を、放出されたpNAの濃度(μM/秒)に変換するために使用する。変換式は、以下のとおりである:率×(1/60×1000)×(1/9600×光路長)×100000。プロテアーゼのそれぞれの濃度についての結果は、Graph Pad Prismソフトウェアを使用してグラフで表し、基質濃度をX軸上にし、決定したμM/秒の率をY軸上にする。Graph Pad Prism 4ソフトウェアを使用して、KmおよびYmaxを、以下のとおり、ミカエリス メンテン式にデータをフィットさせることによって決定する:
Y=((kcat/1000000)×X×[E])/(1+(X+K
ここで、Xは、基質濃度(μM)であり、
Yは、酵素活性(μM/秒)であり、
catは、特異性定数(M−1sec−1)であり、
は、ミカエリス定数(μM)であり、
Eは、酵素濃度(μM)であり、
E=1、Km=0.5でのX×Ymax、およびkcat=1000の初期値を設定した。
実施例8
FVIIa変異体およびTFPIの間の相互作用の作用強度の評価
本明細書において提供されるものなどのようなFVIIaポリペプチドおよびTFPIの間の相互作用の作用強度は、1つまたは複数のアッセイを使用して評価することができる。一例において、TFPIおよびFVIIa/TF複合体の間の相互作用の作用強度は、基質、Spectrazyme VIIaに対するFVIIa/TFの触媒活性について、様々な濃度のTFPIの阻害のレベルを測定することによって評価する。他の例において、ハイスループット表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを、使用することができる。
A. FVIIa/TFのTFPI阻害についてのIC50の決定
TFPIおよびFVIIa/TF複合体の間の相互作用の作用強度は、基質、Spectrazyme VIIaに対するFVIIa/TFの触媒活性について、様々な濃度のTFPIの阻害のレベルを測定することによって評価した。50%阻害に必要とされるTFPIの濃度(IC50)は、それぞれのFVII変異体およびFVIIa標準物について計算した。
96ウェルクリアハーフエリアアッセイプレート(Nunc)は、150μl/ウェルの1×プレート緩衝液(100mM Tris pH8.4、100mM NaCl、0.01%BSA、0.01%Tween−20)をそれぞれのウェルに添加し、最低1時間、37℃でプレートをインキュベートすることによって前処置した。緩衝液は、プレートを振盪し、乾かし、残りの緩衝液を除去するためにひっくり返してプレートを遠心分離することによって完全に除去した。プレートを、1時間、空気乾燥し、室温(RT)で保管した。
1.7mlマイクロチューブ(ISC Bioexpressからの低粘着マイクロチューブ)において、FVIIa/TFの混合物は、450μlの全容量で、9μlの250nM FVIIa(American Diagnostica、試験されることとなる野生型FVIIaまたはそれぞれの変異体)を、337.5μlの2×TF(Innovin;Dade Behring;2×TFを生成するために10mL蒸留水において再懸濁される凍結乾燥産物、これは、約7nMの脂質付加TFと等しい)、90μl 5×アッセイ緩衝液(500mM Tris pH8.4、500mM NaCl、25mM CaCl、0.05%BSA)、および13.5μlの水と混合することによって調製し、5nM FVIIaおよび5.2nM TFを含有する溶液をもたらした。混合物を、5分間、室温でインキュベートし、構成成分が複合体を形成するのを可能にした。前処置した96ウェルクリアハーフエリアアッセイプレートにおける2カラムのそれぞれのウェルに、25μlのそれぞれのFVIIa/sTF混合物を、添加し、プレートは、蒸発を予防するためにカバーした。
ヒト組換えTFPI(R&D Systems)は、33μl 50%グリセロール(v/v)において最初に溶解し、−20℃での貯蔵のために10μMストックを作製した。TFPIストックは、以下のとおり、ポリプロピレン貯蔵プレートにおいて、最終1×緩衝液(100mM Tris pH8.4、100mM NaCl、5mM CaCl、0.01%BSA)において1.5μMにさらに希釈した:試験するそれぞれのプロテアーゼについて、87.5μlの1.5μM溶液のTFPIは、13.1μl 10μM TFPIを、17.5μl 5×アッセイ緩衝液および56.9μl蒸留水と混合することによって作製した。TFPI溶液の系列3倍希釈溶液は、27.5μl TFPIを、55μl 1×アッセイ緩衝液の中に混合することによって、1×アッセイ緩衝液において作製し、750nM、250nM、83.3nM、27.8nM、9.26nM、3.1nM、および1.03nM TFPIを含有する溶液を、生成した。系列の最終ウェルは、コントロールとして1×緩衝液のみを含有した。
TFPIのそれぞれの希釈溶液の25μlは、FVIIa/TF混合物を含有する96ウェルクリアハーフエリアアッセイプレートの2つのカラムの2つのウェル(つまり2つ組)に添加し、プロテアーゼ混合物は、それぞれのTFPI希釈溶液を用いて2つ組でアッセイした。TFPIを有していない1×アッセイ緩衝液の溶液もまた、ネガティブコントロールとしてFVIIa/TF混合物を含有する2つのウェルに添加した。プレートを、短い間、撹拌し、次いで、1.5時間37℃でのインキュベーションの前に5分間、3000rpmで遠心分離した。
Spectrazyme VIIa(American Diagnostica)のストック溶液は、5ml蒸留水において50μモルを10mMに再構成し、使用まで4℃で保管することによって、調製した。使用の直前に、溶液を、蒸留水において600μMに希釈した。上記からのアッセイプレートのインキュベーションの後に、10μlの希釈したSpectrazyme VIIaを、アッセイプレートのそれぞれにウェルに添加した。反応液は、混合し、プレートは、37℃でインキュベートした。405nmでの吸光度の増加は、37℃で1時間、30秒ごとに測定し、吸光度率は、SoftMax Proソフトウェア(Molecular Device)を使用して計算した。
TFPIによる阻害の程度を決定するために、TFPIを含有するプロテアーゼ反応液の吸光度率は、TFPIを含有しない反応液(コントロールサンプル)の吸光度率によって最初に割り、活性率を得、それぞれのTFPI濃度のlog10を決定した。GraphPad Prismソフトウェアを使用して、log10[TFPI]は、それぞれのプロテアーゼについての活性率に対してプロットし、用量応答曲線は、活性データの上部および下部がそれぞれ1および0に固定されると仮定したカーブフィットを用いて生成した。ソフトウェアは、それぞれのプロテアーゼについて、log IC50(pIC50)値および絶対IC50(nMでのTFPI阻害)の両方としてTFPI阻害を決定するために使用し、その平均および標準偏差を決定した。
脂質付加TF(Innovin;Dade Behring)と複合体のFVIIa変異体のそれぞれのTFPIの阻害のレベルを、決定し、野生型FVIIaと比較した、TFPI抵抗性の増加倍数として表現した(表21)。
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B. TFPIに対する抵抗性についての、FVIIa変異体の表面プラズモン共鳴(SPR)スクリーニング
ヒト組換え可溶性TFPIによる阻害に対する様々なFVIIa変異体の相対的な抵抗性は、Biacore T100機器を用いてハイスループット表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを使用して評価した。TFPIによる阻害に対するFVIIa変異体の相対的な抵抗性は、標準化インジェクション時間後に結合した野生型FVIIaの量と比較した、Biacore CM5センサーチップ上に固定した可溶性TFPIに結合したFVIIa変異体の相対量およびプロテアーゼ濃度を測定することによって、評価した。
すべての実験について、可溶性TFPI(R&D Systems)は、Biacore T−100コントロールソフトウェア(GE Healthcare)内で利用可能なアミンカップリングプロトコールおよびアミンカップリングキット(GE Healthcare)から提供される試薬を使用して、新しい4フローセルBiacore CM5シリーズSセンサーチップ(GE Healthcare)に固定した。4つの利用可能なフローセルはすべて、2つの異なる密度のTFPIおよび参照セルにおいてブロック剤として果たすウシ血清アルブミン(BSA)の固定化に利用した。BSAは、酢酸ナトリウム(pH4.0)において5μg/mlに希釈し、それぞれ1000および2000の応答単位(RU)でフローセル1および3において固定した。TFPI固定化について、凍結乾燥可溶性TFPI(10μg)は、100μLの1×カップリング緩衝液(30mM Hepes、135mM NaCl、1mM EDTA、0.01%Tween−20、pH7.4)において0.1mg/mLの濃度に再懸濁した。合計20μLの0.1mg/mL TFPIを、それぞれ1000および2000RUでのフローセル2および4への固定化のために酢酸ナトリウムpH4.0において10μg/mlに希釈する。カップリング緩衝液は、固定化工程の間のランニング緩衝液として使用した。
FVIIaのそれぞれのサンプルは、620nM sTF(ヒト第III凝固因子;R&D Systems)を含有する1×ランニング緩衝液(20mM Hepes、150mM NaCl、5mM CaCl、0.1%PEG 8000、0.1%BSA、0.01%Tween−20、pH7.4)において320nMの最終濃度で調製した。一般に、それぞれのFVIIa変異体は、320nMの最終希釈の前に1×ランニング緩衝液の中に10倍希釈した。FVIIa/sTF複合体は、2つ組で、120μLの最終容量で調製し、48までの特有のFVIIa変異体が、96ウェル貯蔵プレートの中に装填され、単一の実行で2つ組のインジェクションで評価されることを可能にした。FVIIa/sTF複合体は、第1のサンプルインジェクションの開始の前に、10〜15分間、RTでインキュベートした。
標準化された結合分析法は、Biacoreコントロールソフトウェア(GE Healthcare)内で生成し、すべてのFVIIa反復実験を、180秒間の結合時間の間、インジェクションし、その後に、10μL/分の流速での解離の短い60秒間を続けた。センサーチップの再生は、10mMグリシン、500mM NaCl、pH3.0を用いて、30秒間、解離フェーズに続けて行い、次いで同じ10μL/分の流速で1×ランニング緩衝液を用いて60秒間を安定化期間とした。2つのアッセイ参照ポイントは、それぞれの実行およびそれに続くデータ分析について記録し、1つ目は、結合フェーズ(結合)の終了前の5秒および2つ目は、解離フェーズ(解離)の終了の前の5秒として報告した。完全アッセイを開始する前に、センサーチップは、180秒間、320nM野生型FVIIa/sTFの単一インジェクションで試験した。これは、それぞれ、フローセル2(1000RU)および4(200RU)への結合について約400〜450RUおよび750〜850RUの応答をするはずである。
データ分析は、参照セルに対する結合が最小であることを確認することを含むアッセイバリデーションパラメーター、ベースラインドリフト、およびコントロールブランクインジェクション(ランニング緩衝液)の結合を検査するために、Biacore T100評価ソフトウェア(GE Healthcare)を用いて最初に実行した。データテーブルは、結合報告ポイントおよび解離報告ポイントの両方で結合したFVIIa変異体の量(RUで)を示した、このアプリケーション内で生成した。データテーブルは、引き続いて、Microsoft Excelスプレッドシート環境内でのさらなる分析のためにエクスポートした。生データポイント(RU結合)は、センサーチップに対するコントロール結合について補正し、次いで、結合したFVIIa変異体の量(RU)に対する、結合した野生型FVIIaの量(RU)の比を、それぞれのパラメーターについて得、結合(wt/変異体)および解離(wt/変異体)として報告した。表22は、研究の結果を示す。TFPI阻害に対する抵抗性は、評価したパラメーターについての一方または両方の比の増加として反映される。たとえば、特定のFVIIa変異体についての20の結合(wt/変異体)値または解離(wt/変異体)値は、その変異体が、野生型FVIIaよりもTFPI阻害に対して20倍抵抗性であることを示す。いくつかの変異体は、TFPI阻害に対する増加した抵抗性を示した。たとえば、Q286R/M298Q/K341D−FVIIa、Q286R/K341D−FVIIa、およびM298Q/K341D−FVIIaなどのようなK341D突然変異(成熟FVIIナンバリング)を含有する変異体は、TFPIに対する有意な抵抗性を示す比を有する(40〜150倍よりも大きい)。いくつかの場合において、解離の率は、結合の率以上に影響を及ぼされた。
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実施例9
FVIIaポリペプチドの薬物動態学的分析
FVIIaポリペプチドの薬物動態学的特性は、マウス血漿におけるヒト第VIIa因子の量を測定することによって評価した。2つのアッセイは、血漿におけるFVIIaを定量化するために使用することができる。ELISAは、マウス血漿における総FVIIaタンパク質を定量化するために使用することができ、FVIIa依存性凝血アッセイ(FVIIa:C)は、血漿におけるFVIIaポリペプチドの血液凝固活性を定量化するために使用することができる。
A. マウスへのFVIIaポリペプチドの投与
改変FVIIaポリペプチドおよび非改変組換えヒトFVIIa(rhFVIIa)タンパク質(NovoSeven(登録商標)、Novo Nordisk)を、薬物動態学的研究において評価した。それぞれの研究について、18匹のオスCD−1マウスに、静脈内ボーラス用量(0.1〜3.0mg/kg、研究に依存)のrFVIIaを注射した。注射の5、15、30、60、120、および240分後、それぞれの注射プロトコールからの3つのマウスは、COによる窒息を使用して安楽死させ、約1.0mLの血液を、経皮的心性穿刺を介して1.0mLシリンジの中に取り出した。それぞれのシリンジに、十分なクエン酸ナトリウムをあらかじめ装填し、1mLの血液中3.2%の最終濃度を達成した。次いで、血液サンプルは、4℃で、8分間、9000rpmで遠心分離した。血漿は、標識した個々の1.5mlチューブ(Eppendorf)に取り出し、液体窒素において急凍結し、−80℃で保管した。さらに、実験当たり1匹のマウスに、媒体のみ(偽)を注射し、このマウスからの血漿は、バックグラウンドFVIIa活性の決定に使用した。
B. ELISAアッセイ
市販で入手可能なキット、IMUBIND(登録商標)第VII因子ELISA(American Diagnostica)は、ELISAによって血清におけるFVIIタンパク質を検出するために使用した。このキットは、タンパク質を捕捉するために抗FVII/FVIIa抗体を用いてあらかじめコートしたプレートおよびストレプトアビジン標識ホースラディシュペルオキシダーゼを通した検出のためのビオチン化抗FVII抗体を利用する。キットは、以下の例外を除いてメーカーの指示に従って使用した:第一に、標準曲線は、全濃度範囲にわたり線形範囲を保証するために狭め、0.88ng/ml〜10ng/mlの濃度にわたる;第二に、抗体親和性における差異のために、キットで提供されたFVII標準物ではなく、精製FVIIa変異体を、それ自体、標準曲線に使用した。実験は、抗トロンビンIII(ATIII)、FVIIaの潜在的な血漿阻害因子とのFVIIaの複合体が、遊離プロテアーゼの75%のレベルで検出され、アッセイが、活性および不活性形態をした、血漿サンプルにおける総FVIIaを検出することができることを保証することを示した。
手短に言えば、血漿サンプルは、室温で解凍し、サンプル緩衝液(PBS+0.1%Triton X−100+1.0%BSA)において10倍希釈し、次いで、4つの希釈溶液用に系列5.5倍希釈した。4つの希釈サンプルは、20、110、605、および3327.5倍の最終サンプル希釈溶液用に、ELISAプレート上で2倍希釈した。マウス血漿のこれらの4つの希釈溶液は、33,000ng/ml〜20ng/mlの一連のプロテアーゼ濃度をカバーした。それぞれのサンプルは、2つの別々のアッセイプレート上で測定し、標準曲線の範囲内のそれらの測定値は、血漿サンプルにおける変異FVIIaの濃度を計算するために使用した。
C. 凝血アッセイ
市販で入手可能なキット(STACLOT FVIIa−rTF、Diagnostica Stago、Parsippany、NJ)は、凝血アッセイとして使用した。活性FVIIaポリペプチドの血液凝固活性を決定するために、血漿サンプルは、FVIIa依存性凝血アッセイ(FVIIa:C)を使用してアッセイした。アッセイは、市販のキットにおいて提供される試薬および説明書を使用して実行し、凝血時間は、電気機械血餅検出機器(STArt4、Diagnostica Stago、Parsippany、NJ)を使用して測定した。キットは、以下の例外を除いてメーカーの指示に従って使用した:第一に、キットで提供されたrhFVIIa標準物ではなく、精製FVIIa変異体を、それ自体、標準曲線に使用した。第二に、以下の大量の市販の試薬を、ルーチン的な薬物動態学的スクリーニング研究に使用し、キット試薬に対する同等の結果を得た:可溶性組織因子(CalBiochem、La Jolla、Ca)および合成リン脂質ブレンド(Avanti極性脂質、Alabaster、AL)、TBSA緩衝液(1%BSAを有するTris−NaCl、pH7.5;DiaPharma、West Chester、Ohio)、ならびに25μM塩化カルシウム溶液(Diagnostica Stago、Parsippany、NJ)。
凝血アッセイは、以下のとおり実行した。凍結血漿サンプルは、約45分間、室温で解凍し、次いで、緩衝液において1:5000に希釈した。50μlの希釈した血漿を、50μL第VII因子欠損ヒト血漿および50μLの再脂質付加組織因子と組み合わせ、180秒間、プレインキュベートした。プレインキュベーションの後に、50μLの塩化カルシウム溶液(25μM)を、凝血を開始するために添加した。凝血時間は、電気機械血餅検出を使用して決定した。それぞれの血漿サンプルを、2つ組でアッセイした。系は、アッセイしている、知られている量の特異的なFVIIa変異体を含有する緩衝液の系列希釈溶液の凝血時間を使用して、標準曲線を構築することによって較正した。マウス血漿サンプルにおけるFVIIa濃度は、log FVIIa対Log凝血時間標準曲線の線形部分から計算した。血漿サンプルが第VII因子欠損血漿において凝血を誘発する能力は、血漿における内因性野生型FVIIaのバックグラウンドを偽処置マウスから引いた後のFVIIa ng/マウス血漿mLとして報告した。
それぞれのFVIIタンパク質の半減期は、直線に対する、活性の自然logの従来のフィットを行い、FVIIaタンパク質の活性が半分に低下するのにかかる時間を測定することによって、ルーチン的に決定した。多重指数関数的減衰を有するFVIIタンパク質について、半減期は、log血漿対時間プロファイルの終末部から決定した。さらなる薬物動態学的パラメーターは、以下のとおり計算した:血漿AUC0−inf/用量([AUC(0−t)+Ct/(ln2/T1/2)]として計算、ここで、tは、IV用量(mg/kg)によって割った、FVIIaポリペプチドの測定可能な血漿濃度を有する最後の時点である);半減期(血漿FVIIa濃度対時間プロファイルの最終フェーズの間のFVIIaポリペプチドの半減期;T1/2は、血漿FVIIa濃度対時間曲線の対数線形プロットの最終フェーズの間の負の傾きによって割った−ln2として計算する);MRT0−last(FVIIaポリペプチドが身体において存在する平均時間;AUMC0−last/AUC0−lastとして計算、AUMC0−lastは、第1のモーメント対時間曲線下の合計面積(FVIIa濃度・時間対時間曲線)であり、線形台形公式によって計算する);Cl(全身クリアランス;用量/AUC0−infとして計算);およびV(終末消失e定数(β)に基づく分布容積;[Cl/(ln2/T1/2)]として計算)。
D. FVIIa変異体の薬物動態学的特性
上記に記載されるFVIIa:Cプロトコールを使用して、野生型FVIIaおよびFVIIa変異体の薬物動態学的特性は、血漿における凝血活性に基づいて評価した。結果を表23に記載する。いくつかのFVIIa変異体は、野生型FVIIaと比較して、改善された薬物動態学的パラメーターを示した。
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表24は、以下の薬物動態学的パラメーターを使用する研究の結果を記載する:回収率%(インビボ)[理論的な最大FVIIa血漿濃度(投与したFVIIa量および理論的な全血量に基づく)によって割った、投与後5分(第1の時点)でのFVIIaの測定血漿濃度×100%];回収率%(インビトロ)[理論的なFVIIa血漿濃度(知られている血漿量の中に添加したFVIIa量の量に基づく)によって割った、知られている量のFVIIaを添加した血漿における測定FVIIa濃度×100%];AUC*活性/用量(TF依存性)[TF依存性間接的活性を掛けた血漿AUC/用量(上記の表15を参照されたい);NovoSeven(登録商標) FVIIa(TF依存性)に関する活性提示における改善(AUC*活性/用量(TF依存性)NovoSeven(登録商標)FVIIa/AUC*活性/用量(TF依存性)突然変異体FVIIaによって計算);AUC*活性/用量(TF非依存性)[TF非依存性間接的活性を掛けた血漿AUC/用量(上記の表15を参照されたい);NovoSeven(登録商標)FVIIaに関する活性提示における改善(TF非依存性)[AUC*活性/用量(TF非依存性)NovoSeven(登録商標)FVIIa/AUC*活性/用量(TF非依存性)突然変異体FVIIaによって計算]。
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実施例10
可溶性組織因子に対する第VIIa因子結合性の決定
HEK 293細胞またはBHK細胞から発現したFVIIa変異体が可溶性組織因子(sTF)に結合する能力は、Biacore表面プラズモン共鳴を使用して評価した。FVIIa変異体は、Biacore CM5チップに結合する異なる2つのレベルのsTFを使用して、2つの2つ組の実験において、3つのプロテアーゼ濃度での結合プロファイルの測定を通して評価する。
新しいシリーズS CM5センサーチップ(GE Healthcare Cat#BR1006−68)は、Biacore T100機器を使用して、ウシ血清アルブミンおよび可溶性組織因子に結合した。結合は、アミン結合キット(GE Healthcare Cat# BR−1000−50)を用いてBiacore結合緩衝液(30mM Na Hepes pH7.4、135mM NaCl、1mM EDTA、0.01%Tween−20)およびBiacore T100ソフトウェアにおけるプロトコールウィザードを使用して実行した。固定化のために、チップのすべての4つのセルを使用した。セル1および3は、酢酸緩衝液、pH4.0において希釈した500応答単位(RU)ウシ血清アルブミン参照タンパク質と結合させ、セル2および4は、酢酸緩衝液、pH4.5において希釈した、500および250RUのsTF(R&D Systems)と結合させた。
それぞれのFVIIa変異体および野生型FVIIaプロテアーゼは、3つの濃度で、2つ組で試験した。プロテアーゼは、96ウェルアッセイプレートにおいて、100L Biacoreアッセイ緩衝液(20mM Na Hepes、pH7.4、150mM NaCl、5mM CaCl、0.1%PEG 8000、0.1%BSA、0.01%Tween−20)において60nM、30nM、および15nMに希釈した。それぞれのサンプルは、120秒間の接触時間、その後に続く10μL/分の流速での、180秒間の解離時間を使用して、Biacore T100機器においてアッセイした。緩衝液ブランクもまた、アッセイした。チップは、60秒間、次いで30秒間、50mM EDTA、pH7.0を用いて再生成した。sTFに対する野生型FVIIaの結合を測定するためのアッセイは、約8nMのKを示す3セットの曲線をもたらすはずである。
Biacore T100評価ソフトウェアを、データを分析するために使用した。とりわけ、データをLangmuir等温式にフィットさせる反応速度/親和性1:1結合分析を、利用し、データは、2つの応答単位結合で、それぞれの変異体の2つの反復実験について個々にフィットさせた。4つのフィットK値を、平均し、表25に示す。M298Q突然変異を含有するFVIIa変異体は、より低いKの結果を示す傾向があり、したがってsTFに、より密接に結合する。
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実験のさらなるセットは、上記に記載されるが、FVIIa用量範囲を30nM、15nM、および7.5nMに改変した同じアッセイならびにSPRデータをフィットさせるために二状態のモデルを使用するデータ分析を使用して、可溶性TFに対するFVIIa変異体の結合を評価するために実行した。この二状態のモデル分析は、Biacore T100評価ソフトウェアスーツにおいて提供され、下記に再現する。結果を、表26に提供する。
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実施例11
Zn2+によるFVIIa変異体の阻害
HEK 293細胞またはBHK細胞から発現したFVIIa変異体は、可溶性組織因子の存在下または非存在下の両方において、Zn2+による阻害に対する抵抗性についてアッセイした。手短に言えば、ZnCl(Aldrich)は、dH0において20mMに希釈し、次いで、1×アッセイ緩衝液(50mM Na Hepes、pH7.5、100mM NaCl、1.5mM CaCl、0.01%Tween−20、および0.01%PEG−8000)において4mMに希釈した。系列2倍希釈溶液は、96ウェルプレートにわたって、3.9μMまでの、亜鉛の11の濃度を生成するために作製した。列の最後のウェルは、非阻害FVIIaタンパク質分解活性を測定するために、亜鉛を有していない緩衝液を含有した。FVIIa変異体プロテアーゼおよび野生型プロテアーゼは、500nMに希釈し、次いで、再度、50nMまで10倍希釈した。この50nMストック溶液は、可溶性組織因子(sTF、R&D Systems)なしで実行するアッセイに使用した。可溶性組織因子を有するアッセイについては、プロテアーゼは、それぞれ12.5nMおよび125nMの最終濃度まで、sTFを有する1×アッセイ緩衝液において再度希釈した。溶液は、室温で、少なくとも5分間、プレインキュベートした。
阻害反応を始めるために、20μLのFVIIa/sTF溶液またはFVIIa溶液を、10の濃度について、それぞれの列に、60μLの亜鉛系列と混合した。FVIIaのみを用いる阻害反応について、混合物は、2mM ZnClを使用して始め、FVIIa/sTFについては、それらは、4mM ZnClを使用して始めた。プレートは、室温で、30分間、インキュベートした。Zn2+阻害をアッセイするために、20μL FVIIa基質(メシル−dFPR−ACC、DMSOにおいて20mMに溶解し、アッセイ緩衝液において希釈)を、90μMの最終濃度までウェルに添加した。sTF濃度および亜鉛濃度は、基質溶液に適宜それらを添加することによってアッセイにおいて維持した。蛍光発光増加(Ex:380nm、Em:460nm)は、Spectramax Gemini M5(Molecular Device)プレートリーダーで30℃で60分間、測定した。残存タンパク質分解活性は、非阻害プロテアーゼ率によって阻害率を割ることによって、亜鉛のすべての濃度で計算した。タンパク質分解活性の半分を阻害するのに必要なZn2+濃度(K0.5)は、亜鉛の濃度対残存活性をプロットし、XLFit4ソフトウェア(IDB)を使用して双曲線式とフィットさせることによって、計算した。それぞれのプロテアーゼは、K0.5についての平均値を得るために、2つの別々の回に、2度アッセイした。
結果を表27に提供する。H257およびH216の突然変異は、抵抗性を約3倍増加させた。M268Q突然変異もまた、亜鉛に対する抵抗性を3倍増加させた。すべての場合において、さらなる突然変異と組み合わせた場合、効果は、異なる程度まで保持された。最も抵抗性の変異体は、上記の突然変異の組み合わせであった:H216A/H257A−FVIIaおよびH257A/M298Q−FVIIa。
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実施例12
活性部位滴定剤4−メチルウンベリフェリルp’−グアニジノベンゾエート(MUGB)を使用する触媒活性プロテアーゼの濃度の決定
いくつかの場合において、ストック溶液における触媒活性FVIIaの濃度は、4−メチルウンベリフェリルp’−グアニジノベンゾエート(MUGB)、トリプシン様セリンプロテアーゼに対する活性部位として開発された蛍光発生エステル基質を用いて複合体であるFVIIaおよび可溶性組織因子(sTF)を滴定することによって、決定した。アッセイは、少し改変して、本質的にPayne et al.(Biochemistry (1996) 35:7100-7106)によって記載されるように、実行した。MUGBは、容易に、FVIIaと反応するが、FVIIまたは不活性プロテアーゼとは反応せず、MUGBの濃度が、飽和しており、脱アシル化が、とりわけ遅く、触媒の律速となる条件下で、有効に安定したアシル酵素中間体を形成する。これらの条件下で、FVIIaプロテアーゼは、1回の触媒代謝回転を受けて、4−メチルウンベリフェロン蛍光体(4−MU)を放出する。蛍光発光の初期バーストを、4−MU蛍光発光の外部濃度標準曲線に較正する場合、活性部位の濃度を、計算することができる。
アッセイは、連続的な撹拌下で、それぞれ0.4cm×1cmまたは1cm×1cm石英キュベットにおいて、1mLまたは2mL反応液容量で実行した。それぞれの反応液は、50mM Hepes、100mM NaCl、5mM CaCl、および0.1%PEG 8000、pH7.6を含有するアッセイ緩衝液において、0.5μM sTF(R&D Systemsヒト)を含有した。4−MU標準溶液は、DMSOにおいて0.5Mのストック濃度で新たに調製し、濃度は、50mM Tris緩衝液、pH9.0において19,000M−1cm−1の吸光係数を使用して、360nmで吸光度分光法によって確認した。MUGBは、乾燥重量に基づいて、DMSOにおいて0.04Mのストック濃度で調製した。アッセイは、4μLの4mM MUGB(2.0mL反応液に対して)または2mM MUGB(1.0mL反応液に対して)(それぞれの場合において、8μM最終濃度)を、1×アッセイ緩衝液中0.5μM sTF(20.2μLまたは10.1μLの49.4μM sTF)の溶液に添加し、最初のELISA(実施例1C.1)またはFFR−CMKを用いる活性部位滴定(実施例3)に基づいて、約100〜200nMの最終濃度までFVIIaまたはFVIIa変異体を添加する前に、最初に、約150〜200秒間、MUGBのバックグラウンド加水分解を測定することによって、開始した。反応のバーストフェーズにおける4−MU蛍光発光の放出を、さらに1000〜1200秒間、続けた。遊離4−MUの標準曲線は、吸光度を較正した4−MUの、260〜300nMの最終濃度までの、20nM間隔の、0.5μM sTFを含有する1×アッセイ緩衝液の中への滴定によって調製した。
データ分析については、反応の記録を、Graphpad Prismソフトウェアパッケージの中にインポートし、バックグラウンド加水分解の寄与率を、典型的には、総蛍光発光バーストの5%未満であった、自発的なMUGB加水分解の初期測定速度の補外によって、曲線から引いた。補正した曲線は、式△蛍光発光=Amp(1−e−kt)+Btの、線形構成成分(脱アシル化の遅い速度の説明)を有する一重指数関数方程式にフィットさせ、ここで、Amp=上記に概説される飽和アッセイ条件下のバーストフェーズの振幅であり、kは、アシル酵素形成に対して観察される一次速度定数であり、Bは、MUGBの完全な代謝回転と関連するバルク速度定数である。活性FVIIaプロテアーゼの濃度は、4−MU標準曲線に対する振幅についてのフィットパラメーターの比較によって計算する。複数回のアッセイからの値を、測定し、平均し、標準偏差を決定した。
実施例13
メシル−dFPR−ACCに対するFVIIa変異ポリペプチドの比活性
FVIIa変異体の活性を評価するために、標準化されたアッセイ条件のセット下の、トリペプチドACC基質(メシル−dFPR−ACC)の切断に対するFVIIaポリペプチドの活性(活性/モル)を決定した。アッセイは、メシル−dFPR−ACC基質への希釈前の、飽和量のsTFとのFVIIaポリペプチドのプレインキュベーションを含んだ。次いで、初速度の基質切断に、ACC蛍光発光の増加の評価を続けた。蛍光発光放出の初速度は、内部ACC標準曲線に標準化し、データは、μmol/秒/FVIIa μmolとして報告した。
反応液を調製するために、試験することとなるそれぞれのFVIIaサンプルは、1×アッセイ緩衝液(20mM Hepes、150mM NaCl、5mM CaCl、0.1%BSA、0.1%PEG−8000、pH7.5)において、200nMに、ポリプロピレン貯蔵プレートにおいて希釈した。必要である場合、ストックFVIIaの1:10希釈溶液を、最小ピペット容量が5μLとなるように、調製した。ストック可溶性組織因子(sTF)(R&D Systems)の希釈溶液は、8〜32のプロテアーゼ/プレートのスクリーニングを説明するのに必要な1×アッセイ緩衝液の適切な容量を用いて、1.0μMの最終濃度に調製した。たとえば、8つのプロテアーゼをアッセイする場合、1.0mLの1.0μM sTFが、プレート当たりに必要とされるのに対して、32のプロテアーゼのアッセイについて、2.5mLのsTFが、プレート当たりに必要とされる。FVIIaサンプルは、ポリプロピレン貯蔵プレートにおいて、25μLの200nM FVIIa変異体を、25μLの1.0μM sTFと混合することによって、50μLアッセイ容量において、100nM FVIIa/500nM sTFの最終濃度でsTFと複合体を形成した。次いで、FVIIa/sTF複合体反応液は、平衡に達するように、15分間、室温でインキュベートした。平衡期間の後に、10μLのそれぞれのFVIIa/sTF複合体反応液を、96ウェルハーフエリア黒色アッセイプレート(Costar)の対応する列の中に分配した。FVIIa変異体およびコントロールは、三通りアッセイした。メシル−dFPR−ACC基質を、基質へのFVIIaポリペプチドの1:10希釈を説明するために、0.09mMの1.1×最終濃度に調製した。全96ウェルハーフエリアプレートについて、0.1mMメシル−dFPR−ACC基質の20mLを、乾燥DMSO中に保管したストック基質の希釈によって、1×アッセイ緩衝液において調製した。
アッセイは、96チップヘッド(MBP BioRobotix ART(登録商標)130μLチップ)を装備したBioMek(登録商標)FX自動ワークステーション(Beckman Coulter)で実行した。アッセイプレート(10μLのFVIIa/sTF反応液をあらかじめ分配)を、1.1×メシル−dFPR−ACC溶液で満たした単一チャネルリザーバーを有するワークステーションのデッキ上に配置した。プレートリーダーの温度を37℃に設定した。BioMek(登録商標)FXワークステーションは、1.1×メシル−dFPR−ACC基質で満たした単一チャネルリザーバーから90μLを、10μLのFVIIa/sTFを含有する黒色アッセイプレートのそれぞれのウェルの中に移すことによって、アッセイを開始した。アッセイにおけるFVIIa変異体、sTF、およびメシル−dFPR−ACCの濃度の最終濃度は、それぞれ、10nM、50nM、および0.09mMとした。次いで、ワークステーションは、100μLサンプルの70μLを2回混合した。黒色アッセイプレートは、SpectraMax Geminiプレートリーダー(Molecular Device)の中に移し、初期反応速度は、37℃で10分間続いた。
アッセイの完了の後に、標準曲線の遊離ACC(100μL/ウェル)を含有するプレートは、同じSpectraMax Geminiプレートリーダーで読み取り、RFU/秒のμM/秒への正確な変換を提供するために使用した。標準プレートは、以下のとおり調製した。96ウェル黒色エリアハーフアッセイプレートの上列のすべての「偶数の」ウェル(つまり1ウェルおき)において、1mM ACCサンプルは、最終容量200μLまで、1×アッセイ緩衝液において25nMに希釈した(195μL 1×アッセイ緩衝液において5μL 1mM ACC)。100μLの1×アッセイ緩衝液を、「偶数の」カラムの残りのウェルのすべての中にピペットで移した。ACC基質は、さらに6つのACC濃度を生成するために、偶数カラムに沿って1:1に系列希釈した。最後の列は、100μL 1×アッセイ緩衝液のままとした(つまりACCを有していない)。蛍光発光は、終点読み取りバージョンのアッセイ条件を使用して測定し、蛍光発光対ACCの濃度のグラフをプロットした。これらのポイントを通る線の傾きにより、RFUからμMへの変換係数が与えられた。
SoftMax Proソフトウェア(Molecular Device)は、プレート読み取りについてのデータおよび標準曲線を分析するために使用した。データを含有するファイルを、保存し、ASCIIテキストファイルとしてエクスポートし、これを、Microsoft Excelプログラムの中にインポートし、処理し、Microsoft Excelにおいて生成したテンプレートを使用して分析した。Microsoft Excelテンプレートへのデータのインポートに際して、平均RFU/μMの変換は、ACC標準曲線の傾きから計算し、RFU/秒からμM/秒の活性測定値にプレートデータを変える変換係数を提供するために使用した。すべての三通りの値を、異常値について評価し、必要である場合、それを除いた。それぞれのFVIIa変異体および野生型コントロールの比活性は、μmol/秒/μmolの単位で表現し、以下の式によって計算した。
平均データ(RFU/秒)*変換係数(RFU/μM)=活性(μM/秒)比活性(μmol/秒/μmol)=[(μM/秒)*(100μL)*(1/1000000)]/[(10nM)*(100μL)*(1/1000000)*(1/1000)]
表28は、野生型FVIIaと比較した活性を含む、アッセイしたFVIIa変異体の比活性を記載する。標準偏差(SD)および変動係数(百分率として;CV%)もまた含む。いくつかのFVIIa変異体は、野生型FVIIaポリペプチドと比較して、メシル−dFPR−ACCの切断に対して増加した比活性を示した。たとえば、Q366V−FVIIaは、野生型FVIIa変異体を用いて観察されたものよりも4倍大きな、メシル−dFPR−ACCの切断に対する比活性を示した。H373F突然変異を含有するFVIIa変異体もまた、野生型FVIIaポリペプチドと比較して、メシル−dFPR−ACCの切断に対する増加した比活性を示す傾向があった。
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実施例15
FXの活性化および活性部位滴定剤フルオレスセイン−モノ−p’−グアニジノベンゾエート(FMGB)を使用する触媒活性プロテアーゼの濃度の決定
チモーゲンのストック溶液において、触媒的に活性になることができる第X因子(FX)の濃度は、ラッセルクサリヘビ蛇毒(RVV−ase)を用いるFXサンプルの活性化、その後に続く、フルオレスセイン−モノ−p’−グアニジノベンゾエート(FMGB)、トリプシン様セリンプロテアーゼに対する活性部位滴定剤として開発された蛍光発生エステル基質を用いる活性因子X(FXa)の滴定によって、決定した。活性化の後で、活性部位滴定アッセイは、少し改変して、本質的にBock et al.(Archives of Biochemistry and Biophysics (1989) 273:375-388)によって記載されるように実行した。FMGBは、容易に、FXaと反応するが、FXまたは不活性プロテアーゼとは反応せず、FMGBの濃度が、飽和しており、脱アシル化が、とりわけ遅く、触媒の律速となる条件下で、有効に安定したアシル酵素中間体を形成する。これらの条件下で、FXaプロテアーゼは、1回の触媒代謝回転を受けて、フルオレスセイン蛍光体を放出する。蛍光発光の初期バーストを、フルオレスセイン蛍光発光の外部濃度標準曲線に較正する場合、活性部位の濃度を、計算することができる。
FXa活性化反応液は、100mM Tris、50mM NaCl、5mM CaCl、0.1%PEG 8000、pH8.1を含有する反応緩衝液における50〜100μLの最終容量において、10μM FXの最終濃度(A280吸光度および1.16の吸光係数に基づく)で、調製した。活性化は、活性化時間の45〜60分間(サンプルを15分ごとに収集し、Spectrafluor FXa蛍光発生基質の切断の増加を試験することによって、完全な活性化を表すために以前に決定した)、37℃で、5μg/mlの最終濃度までのRVV−aseの添加によって(100μL反応液当たり5μLの98μg/ml希釈溶液または50μL反応液当たり2.5μL)、開始した。反応は、100mM Tris、50mM NaCl、5mM、100mM EDTA、0.1%PEG 8000、pH8.1を含有する消光緩衝液の1/10容量を用いて止めた。
アッセイは、連続的な撹拌下で、0.4cm×1cmの石英キュベットにおいて1mL反応容量を用いて実行した。反応液は、30mM Hepes、135mM NaCl、1mM EDTA、および0.1%PEG 8000、pH7.4を含有するアッセイ緩衝液において、100〜400nMの新たに活性化されたFXaおよび5μM FMGBを含有した。フルオレスセイン標準溶液は、DMFにおいて70mMのストック濃度で新たに調製し、濃度は、0.1N NaOHにおいて、89,125M−1cm−1の吸光係数を使用して、496nmで標準的な条件下で、吸光度分光法によって確認した。FMGBは、乾燥重量に基づいて、DMFにおいて0.01Mのストック濃度で調製し、濃度は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.2において19,498の吸光係数を使用して、452nmで吸光度分光法によって確認した。アッセイは、1×アッセイ緩衝液に5μLの1mM FMGB(5μM最終濃度)を添加し、RVV−aseによる活性化前に吸光度によって決定した初期濃度に基づく約100〜400nMの最終濃度までのFXaの添加の前に、最初に、約150〜200秒間、FMGBのバックグラウンド加水分解を測定することによって、開始した(上記を参照されたい)。反応のバーストフェーズにおけフルオレスセイ蛍光発光の放出を、さらに3600秒間、続けた。遊離フルオレスセインの標準曲線は、吸光度を較正したフルオレスセイン標準物の、260〜300nMの最終濃度までの、20nM間隔の、1×アッセイ緩衝液の中への滴定によって調製した。
データ分析については、反応の記録を、Graphpad Prismソフトウェアパッケージの中にインポートし、バックグラウンド加水分解の寄与率を、典型的には、総蛍光発光バーストの5%未満であった、自発的なFMGB加水分解の初期測定速度の補外によって、曲線から引いた。補正した曲線は、式△蛍光発光=Amp(1−e−kt)+Btの、線形構成成分(脱アシル化の遅い速度の説明)を有する一重指数関数方程式にフィットさせ、ここで、Amp=上記に概説される飽和アッセイ条件下のバーストフェーズの振幅であり、kは、アシル酵素形成に対して観察される一次反応定数であり、Bは、FMGBの完全な代謝回転と関連するバルク速度定数である。活性FXaプロテアーゼの濃度は、フルオレスセイン標準曲線に対する振幅についてのフィットパラメーターの比較によって計算する。複数回のアッセイからの値を、測定し、平均し、標準偏差を決定した。そのため、調製物における活性FXaの量は、FVIIaによって活性化され得る、ストック調製物におけるFXの濃度を直接的に表す。この活性部位滴定値は、実施例4において記載されるTF依存性およびTF非依存性アッセイなどのような間接的アッセイにおいて使用されることとなるFXの濃度を計算する場合、利用される。
改変は、当業者らに明白であるので、本発明が、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。

Claims (22)

  1. 配列番号3に示されるアミノ酸の配列を有するFVIIポリペプチドにおける、位置128、129、286および298に対応する位置でのアミノ酸交換を含む、改変第VII因子(FVII)ポリペプチドであって:
    位置128に対応する位置でのアミノ酸交換がAsn(N)であり、位置129に対応する位置でのアミノ酸交換がAla(A)であり、位置286に対応する位置でのアミノ酸交換がArg(R)であり、かつ位置298に対応する位置でのアミノ酸交換がGln(Q)であり;
    改変FVIIポリペプチドのアミノ酸配列が配列番号1〜3のいずれかのポリペプチドと少なくとも95%の配列同一性を有し;
    改変FVIIポリペプチドにおける対応する位置が、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する改変FVIIポリペプチドのアミノ酸配列のアラインメントにより同定され;かつ
    改変FVIIポリペプチドが、その活性化形態にある場合、凝血促進活性を示す、
    改変第VII因子(FVII)ポリペプチド。
  2. 配列番号1〜3のいずれかのポリペプチドにおいてアミノ酸交換Q286R、M298Q、P129AおよびT128Nを含む、請求項1に記載の改変FVIIポリペプチド。
  3. 配列番号3のポリペプチドにおいてアミノ酸交換Q286R、M298Q、P129AおよびT128Nを含む、請求項1に記載の改変FVIIポリペプチド。
  4. FVIIaポリペプチドである、請求項1〜3のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチド。
  5. 128N/129A/286R/298Qに加えて最大4つの突然変異を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチド。
  6. 改変FVIIポリペプチドのアミノ酸残基の配列が配列番号280に示されるアミノ酸の配列からなる、請求項1に記載の改変FVIIポリペプチド。
  7. 二本鎖活性化第VII因子(FVIIa)ポリペプチドである、請求項1に記載の改変FVIIポリペプチドであって、位置152のアルギニンと位置153のイソロイシンの間で切断される、配列番号280に示されるアミノ酸の配列からなる、改変FVIIポリペプチド。
  8. 第一および第二の鎖がそれぞれ、互いにジスルフィド結合を介して連結されている、配列番号280のアミノ酸1〜152および153〜406からなる、請求項7に記載の改変FVIIポリペプチド。
  9. 翻訳後修飾を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチド。
  10. 翻訳後修飾がグリコシル化を含む、請求項9に記載の改変FVIIポリペプチド。
  11. 二本鎖活性化FVIIaポリペプチドである、請求項1〜10のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチド。
  12. 一本鎖ポリペプチドである、請求項1〜4、9および10のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチド。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチドをコードするヌクレオチドの配列を含む核酸分子。
  14. 請求項13に記載の核酸分子を含むベクター。
  15. 請求項14に記載のベクターを含む細胞。
  16. 薬学的に許容可能な媒体中に、治療有効濃度または治療有効量の請求項1〜12のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチドを含む、医薬組成物。
  17. 単回投与用に製剤されている、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 経口投与、経鼻投与、経肺投与、頬側投与、経皮投与、皮下投与、十二指腸内投与、経腸投与、非経口投与、静脈内投与、または筋肉内投与用に製剤されている、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 凍結乾燥されている、請求項16〜18のいずれかに記載の医薬組成物。
  20. 血液凝固障害、出血性障害、血友病、第VII因子欠乏症、出血障害、手術による出血、または外傷に起因する出血の中から選択される疾患または状態の治療における使用のための、請求項1〜12のいずれかに記載の改変FVIIポリペプチド。
  21. 治療される疾患または状態が血友病である、請求項20に記載の改変FVIIポリペプチド。
  22. 疾患または状態が血友病であり、血友病が、血友病Aまたは血友病Bまたは血友病Cである、請求項21に記載の改変FVIIポリペプチド
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