以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、図1に示す画像形成装置200において、感光体ドラム1a〜1dのドラム軸が並ぶ方向をX方向とし、各ドラム軸を含む平面に垂直な方向をY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(ドラム軸方向)をZ方向とする。すなわち、図1においては、X方向は左右方向に対応し、Y方向は上下方向に対応し、Z方向は前後方向に対応する。なお、X、Y、Zの各方向の正負の向きは、ここでは問わない。
図1は、本発明の現像装置を備えた画像形成装置200の概略構成を示す断面図である。画像形成装置200は、本実施形態では、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)に対応する4つの感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dを並列配置して画像形成を行う、4連タンデム型のカラープリンターで構成されている。
画像形成装置200の装置本体内には、4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、図1では左側から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する上記した感光体ドラム1a〜1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において反時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において用紙P上に一度に転写され、さらに、定着装置13において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主に継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。中間転写ベルト8および二次転写ローラー9は、ベルト駆動モータ(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dと同一線速で回転駆動される。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a〜1dに対して画像データに基づく露光を行う露光ユニット5と、感光体ドラム1a〜1d上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a〜1d上でトナー像の転写後に残留した現像剤(トナー)を回収、除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dとが設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット5によって画像データに基づいて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラー(現像剤担持体)を備え、それぞれマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。
なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット5の露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。一次転写ローラー6a〜6dは、一次転写駆動モーター(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8と同一線速で回転駆動される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、従動ローラー10及び駆動ローラー11に掛け渡されており、上記ベルト駆動モータによる駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着装置13へと搬送される。
定着装置13に搬送された用紙Pは、定着ローラー対13aのニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱および加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置13を通過した用紙Pの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙Pは排出ローラー対15を逆回転させることにより分岐部14で反転搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラー9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着装置13に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
次に、上述した画像形成部Paの詳細について説明する。なお、画像形成部Pb〜Pdについては、基本的に画像形成部Paと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。図2は、図1における画像形成部Pa付近を拡大して示す断面図である。感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の時計回り)に沿って、上述した帯電装置2a、現像装置3a、一次転写ローラー6a、クリーニング装置7aが配設されている。このうち、一次転写ローラー6aは、中間転写ベルト8を挟んで感光体ドラム1aと対向する位置に配置されている。
また、感光体ドラム1aと、帯電装置2aと、クリーニング装置7aとはユニット化されている。なお、各画像形成部Pa〜Pdにおいて、感光体ドラム1a〜1dと、帯電装置2a〜2dと、クリーニング装置7a〜7dとから成るユニットを、以下ではドラムユニット40a〜40dと称する。
帯電装置2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラー21と、帯電ローラー21をクリーニングするための帯電クリーニングローラー23とを有している。現像装置3aは、2本の攪拌搬送スクリュー25と、磁気ローラー27と、現像ローラー29とを有し、現像ローラー29にトナーの帯電極性と同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。
クリーニング装置7aは、摺擦ローラー(研磨部材)30、クリーニングブレード31、および回収スパイラル33を有している。摺擦ローラー30は、感光体ドラム1aに所定の圧力で圧接されており、ドラムクリーニングモーター(図示せず)により感光体ドラム1aとの当接面において同一方向に回転駆動されるが、その線速は感光体ドラム1aの線速よりも速く(ここでは1.2倍)制御されている。摺擦ローラー30としては、例えば金属シャフトの周囲にローラー体としてEPDMゴム製でアスカーC硬度が55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラー体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカーC硬度が10〜90°の範囲のものが好適に使用される。
なお、アスカーCとは、日本ゴム協会標準規格に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つで、硬さを測定するための測定器のことである。アスカーC硬度とは、上記の測定器で測定された硬度を指し、数値が大きいほど硬い材料であることを示す。
感光体ドラム1a表面の、摺擦ローラー30との当接面よりも回転方向下流側には、クリーニングブレード31が感光体ドラム1aに当接した状態で固定されている。クリーニングブレード31としては、例えばJIS硬度が78°のポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード31の材質および硬度、寸法、感光体ドラム1aへの食い込み量および圧接力等は、感光体ドラム1aの仕様に応じて適宜設定される。なお、JIS硬度とは、日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards )で規定された硬度を指す。
摺擦ローラー30およびクリーニングブレード31によって感光体ドラム1a表面から除去された残留トナーは、回収スパイラル33の回転に伴ってクリーニング装置7a(図2参照)の外部に排出される。本発明に用いられるトナーとしては、トナー粒子表面にシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等から選択される研磨剤が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨剤がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。
このように摺擦ローラー30を感光体ドラム1aに対し速度差を持って回転させることで研磨剤を含む残留トナーによって感光体ドラム1aの表面を研磨し、摺擦ローラー30およびクリーニングブレード31によってドラム表面の水分や放電生成物等を残留トナーと共に除去する。
なお、装置本体内部のレイアウトは、感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向や、用紙Pの搬送経路を適切に設定できるのであれば、適宜変更可能である。例えば、感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向を、本実施形態とは逆にするとともに、ドラムユニット40a〜40dと現像装置3a〜3dとの位置関係を、本実施形態とは逆にし、これに合わせて用紙Pの搬送経路を設定することも勿論可能である。
図3は、ドラムユニット40aの外観を示す斜視図である。なお、ドラムユニット40b〜40dについては、基本的にドラムユニット40aと同様の構成であるため説明を省略する。ドラムユニット40aは、上述した感光体ドラム1a、帯電装置2a、クリーニング装置7aの他に、トナー廃棄口41aを有している。クリーニング装置7aにて回収された廃棄用のトナーは、トナー廃棄口41aから排出され、廃棄トナー搬送ユニット100(図19参照)を介して回収容器110(図19参照)に搬送される。また、画像形成装置200の開閉カバー(図示せず)の内側に配置されたドラム位置決めユニット80(図20参照)に対向するドラムユニット40aの前面からは、ドラム位置決めユニット80の軸受孔に嵌合するドラム軸1a1が突出している。
図4は、上記のドラムユニット40aと併用される現像装置3aの外観を示す斜視図である。なお、現像装置3b〜3dについては、基本的に現像装置3aと同様の構成であるため説明を省略する。現像装置3aは、上述した2本の攪拌搬送スクリュー25、磁気ローラー27、現像ローラー29(図2参照)をハウジング50の内部に有しており、ハウジング50にはトナーコンテナ4a(図1参照)からのトナーを供給するトナー供給部(図示せず)と接続されるトナー供給口50aが形成されている。このトナー供給口50aを介して対応する色(ここではマゼンタ)のトナーが現像装置3aの内部に供給され、静電潜像の現像に供される。
また、現像装置3aは、感光体ドラム1aに対し現像ローラー29を接近させ、若しくは退避させるローラー接離機構51(図5参照)を備えており、現像装置3aの側面には、ローラー接離機構51を構成するシャフト部材53が配置されている。シャフト部材53は、現像装置3aのハウジング50の外表面に形成された溝状のガイド部70に沿って摺動可能に配置されている。そして、画像形成装置200の開閉カバー(図示せず)に対向する現像装置3aの前面からは、シャフト部材53の当接部53aが突出している。なお、図4では、ガイド部70を封止する側面カバー(図示せず)を取り外してシャフト部材53を露出させた状態を示している。
また、当接部53aの近傍には現像装置3a〜3d内の浮遊トナーを吸引するための吸引ダクトに連結されるダクト連結部50bが形成されている。さらに、当接部53a及びダクト連結部50bの下方には、開閉カバーの内側に配置されたドラム位置決めユニット80(図20参照)の位置決めボスが嵌合する嵌合孔50cが形成されている。
図5は、ローラー接離機構51の概略側面図であり、図6は、ローラー接離機構51、現像ローラー29、感光体ドラム1aの関係を軸方向(図5の右方向)から見た概略図、図7は、ローラー接離機構51を構成するシャフト部材53の外観斜視図である。図5〜図7を用いて、ローラー接離機構51による感光体ドラム1a〜1dへの現像ローラー29の接近及び退避機構について説明する。なお、ここでは現像装置3aのローラー接離機構51について説明するが、現像装置3b〜3dについても同様であるため説明を省略する。ローラー接離機構51は、アーム部材52a、52bと、シャフト部材53と、第1コイルバネ54と、軸受部材55と、第2コイルバネ56とを有している。
シャフト部材53は、所定の剛性を備えた素材を材質として形成され、現像装置3aの長手方向に沿って配置された棒状部材であり、軸方向(矢印AA′方向)に移動自在に配置されている。図7に示すように、シャフト部材53は、軸方向前側の端部にドラム位置決めユニット80(図20参照)に当接可能な当接部53aを有しており、シャフト部材53の両端部近傍には、アーム部材52a、52bに対応する位置においてシャフト部材53の外周面から下方に突出する2つのリブ53bが形成されている。リブ53bは、シャフト部材53の軸方向に沿って外周面からの突出量が徐々に変化する側面視フィン形状をなしている。
また、シャフト部材53の長手方向略中央部には、第1コイルバネ54の一端が係合するフック状の係合部53cが形成されている。さらに、シャフト部材53のリブ53bと反対側(外周面の上方)の2箇所には凹部53dが形成されている。
第1コイルバネ54は引っ張りバネであり、一端が係合部53cに係合するとともに他端がハウジング50に固定されており、自由状態でシャフト部材53の当接部53aが現像装置3aの前側から突出するように、シャフト部材53を軸方向前側(矢印A′方向)に付勢する。軸受部材55は、アーム部材52a、52bと一体に形成され、磁気ローラー27及び現像ローラー29の各回転軸27a、29aの両端部を受けて両ローラー27、29を連結するリンク部材として機能し、磁気ローラー27の回転軸27aを中心として矢印BB′方向に一体に揺動するようになっている。
従って、軸受部材55が回転軸27aを中心として揺動すると、現像ローラー29は、軸受部材55と共に磁気ローラー27を中心として揺動して感光体ドラム1aに対し接近又は退避する。また、軸受部材55には第2コイルバネ56が固定されており、軸受部材55は第2コイルバネ56によって矢印B方向に揺動する方向に付勢されている。なお、軸受部材55は、アーム部材52a、52bと別体の部材であっても良い。
図5及び図6に示すように、シャフト部材53の当接部53aが現像装置3aから突出した状態では、アーム部材52a、52bがリブ53bに乗り上げて下方に押し下げられており、現像ローラー29は感光体ドラム1aから退避した位置にある。この状態から当接部53aが現像装置3a内に押し込まれると、シャフト部材53が軸方向奥側(矢印A方向)に動くことで各アーム部材52a、52bがリブ53bから脱落する。そして、各アーム部材52a、52bに連結された各軸受部材55は第2コイルバネ56の付勢力によって回転軸27aを中心として矢印B方向に揺動する。その結果、現像ローラー29が感光体ドラム1aに接近する。
一方、当接部53aの押圧を解除すると、シャフト部材53が第1コイルバネ54の付勢力により軸方向前側(矢印A′方向)に移動することで各アーム部材52a、52bがリブ53bに乗り上げ、各アーム部材52a、52bは回転軸27aを中心として矢印B′方向に揺動する。そして、各アーム部材52a、52bと共に軸受部材55も第2コイルバネ56の付勢力に抗して矢印B′方向に揺動するため、現像ローラー29が感光体ドラム1aから退避する。
また、アーム部材52a、52bのシャフト部材53が当接する位置にはベアリング57が付設されている。これにより、感光体ドラム1aに対し現像ローラー29を接近または退避させるためにシャフト部材53を往復移動させる際、ベアリング57が回転することでアーム部材52a、52bとシャフト部材53との摩擦による負荷が低減される。
図8及び図9は、それぞれ現像装置3aの挿入方向下流側(図4の奥側)端部近傍、及び現像装置3aの挿入方向上流側(図4の手前側)端部近傍の拡大斜視図である。図8及び図9では、シャフト部材53の当接部53aが現像装置3a内に押し込まれ、アーム部材52a、52bに付設されたベアリング57がリブ53bから脱落した状態を示している。この状態では、軸受部材55は第2コイルバネ56の付勢力によって回転軸27aを中心として図6の矢印B方向に揺動し、現像ローラー29が感光体ドラム1aに接近している。
また、図8に示す現像装置3aの挿入方向下流側には磁気ローラー27及び現像ローラー29にバイアスを印加するための接点部材58a、58bが配置されている。接点部材58aは規制ブレード(図示せず)を介して磁気ローラー27の回転軸27aにバイアスを印加し、接点部材58bはバネ部材59を介して現像ローラー29の回転軸29aにバイアスを印加する。
シャフト部材53の挿入方向上流側及び下流側の2箇所に形成された凹部53dとガイド部70(図4参照、図8、図9では図示せず)の上面との間には、シャフト部材53の軸方向への摺動を補助する摺動補助部材60が配置されている。図10に示すように、摺動補助部材60は、金属製の円筒状部材である従動コロ61と、従動コロ61を回転自在に保持する保持部63aが形成された平面視矩形状の保持部材63とで構成されている。
シャフト部材53の往復移動に伴い、従動コロ61は凹部53d内を転がりながらシャフト部材53と同方向に移動する。このとき、従動コロ61の移動距離はシャフト部材53の移動距離の1/2となる。また、従動コロ61は保持部材63の保持部63a内において回転自在に保持されるため、従動コロ61の回転軸方向は常にシャフト部材53の移動方向に対し略垂直に維持される。
本実施形態のローラー接離機構51では、シャフト部材53はアーム部材52a、52bに付設されたベアリング57と従動コロ61によって上下方向から挟持されている。この構成により、シャフト部材53はベアリング57と従動コロ61のみで摺動可能に支持されることとなり、シャフト部材53を往復移動させる際の摺動負荷が低減されるため、シャフト部材53が円滑に移動可能となる。従って、感光体ドラム1aに対する現像ローラー29の接触又は離間動作を軽い力で確実に行うことができる。
なお、従動コロ61をシャフト部材53側、或いはガイド部70の上面70a側に軸支する構成としても良いが、軸受部に摩擦負荷が発生する。そのため、保持部材63によって従動コロ61の回転軸方向の姿勢を保持するのみで軸受構造をとらず、軸受部での摩擦負荷が発生しない本実施形態の構成が好ましい。
次に、ローラー接離機構51を構成するシャフト部材53とベアリング57の当接面との関係について説明する。図6に示したように、アーム部材52a、52bは回転軸27aを中心とした軸受部材55の回動により、矢印BB′方向に揺動する。具体的には、図11に示すように、ベアリング57がリブ53bから脱落してアーム部材52a、52bが最も矢印B方向に揺動した状態(現像ローラー29が感光体ドラム1aに接近した状態)と、図12に示すように、ベアリング57がリブ53bの最大突出部に当接してアーム部材52a、52bが最も矢印B′方向に揺動した状態(現像ローラー29が感光体ドラム1aから退避した状態)との間で揺動する。
このとき、アーム部材52a、52bに付設されたベアリング57もアーム部材52a、52bと共に矢印BB′方向に揺動するため、図13に示すように、シャフト部材53(リブ53b)の当接面53cに対するベアリング57の外周面(当接面)57aの角度も変化する。当接面53cと外周面57aとのなす角度が大きくなると、当接面53cと外周面57aとの接触面積が小さくなり、ベアリング57による摺動負荷の低減効果も小さくなる。
そこで、本実施形態では、アーム部材52a、52bが最も矢印B方向に揺動したときのベアリング57(図13の破線F1)と、アーム部材52a、52bが最も矢印B′方向に揺動したときのベアリング57(図13の破線F2)との間の最大振れ幅をθとし、シャフト部材53(リブ53b)の当接面53cとベアリング57の外周面57aとが最大振れ幅θの中心Oにおいて平行になるように設定している。
この構成により、アーム部材52a、52bが矢印B方向に揺動した場合と矢印B′方向に揺動した場合とで、ベアリング57の傾きが中心Oに対し左右対称となる。その結果、当接面53cと外周面57aとのなす角度の最大値もアーム部材52a、52bが矢印B方向に揺動した場合と矢印B′方向に揺動した場合とで均等な大きさとなり、当接面53cと外周面57aとのなす角度の最大値を極力小さくすることができる。
なお、最大振れ幅θの中心Oからアーム部材52a、52bが矢印B′方向(現像ローラー29が退避する方向)に揺動する範囲では、第2コイルバネ56を圧縮しながらアーム部材52a、52bを揺動させる必要がある。そのため、最大振れ幅θの中心Oからアーム部材52a、52bが矢印B方向(現像ローラー29が接近する方向)に揺動する範囲に比べてシャフト部材53の摺動負荷も大きくなり、第1コイルバネ54(図5参照)の付勢力でシャフト部材53が円滑に移動しないおそれがある。
そこで、図14に示すように、シャフト部材53(リブ53b)の当接面53cとベアリング57の外周面57aとが平行になる位置を、図14のθ1の範囲、即ち、最大振れ幅θの中心Oから現像ローラー29が感光体ドラム1aに対し退避する方向にベアリング57を傾斜させた範囲に設定する。これにより、シャフト部材53の摺動負荷が大きい現像ローラー29が退避する方向への移動を円滑に行うことができる。
以上をまとめると、シャフト部材53(リブ53b)の当接面53cとベアリング57の外周面57aとが平行になる位置は、ベアリング57の傾きの最大振れ幅θの中心を含み、最大振れ幅θの中心から現像ローラー29が感光体ドラム1aに対し退避する方向にベアリング57を傾斜させた範囲に設定することが好ましい。
次に、現像装置3aの挿入方向上流側(図4の手前側)のアーム部材52aと挿入方向下流側(図4の奥側)のアーム部材52bの揺動タイミングについて説明する。図15(a)、(b)は、アーム部材52a、アーム部材52bを同時に揺動させる場合のリブ53bとベアリング57との関係を示す正面図であり、図16は、アーム部材52a、アーム部材52bを同時に揺動させる場合のシャフト部材53の移動と発生する負荷との関係を示すグラフである。なお、図16及び後述する図18の横軸はシャフト部材53の位置を示しており、図16の「0」はリブ53bからアーム部材52a、52bのベアリング57が共に脱落する位置、「3」はリブ53bの最大突出部にアーム部材52a、52bのベアリング57が共に乗り上げる位置を示している。
図15(a)に示す、挿入方向下流側のアーム部材52bのベアリング57と、図15(b)に示す、挿入方向上流側のアーム部材52aのベアリング57とがシャフト部材53のリブ53bに同時に乗り上げるようにして、アーム部材52a、52bを同時に下方に押し下げる場合、アーム部材52a、52bを押し下げるための力(荷重)を同時に作用させる必要がある。この場合、図16に示すように、アーム部材52aを揺動させるための荷重を示す曲線F1と、アーム部材52bを揺動させるための荷重を示す曲線F2が重なる。そのため、それぞれの曲線の最大値(1N)も重なり、シャフト部材53を往復移動させるための負荷を示す曲線F3の最大値は2Nとなる。
図17(a)、(b)は、アーム部材52a、アーム部材52bの揺動の位相をずらした場合のリブ53bとベアリング57との関係を示す正面図であり、図18は、アーム部材52a、アーム部材52bの揺動の位相をずらした場合のシャフト部材53の移動と発生する負荷との関係を示すグラフである。なお、図18では、アーム部材52a、52bの揺動の位相をずらしているため、シャフト部材53の往復移動距離は図16に比べて長くなる。そのため、リブ53bの最大突出部にアーム部材52a、52bのベアリング57が共に乗り上げる位置は「4」を越える位置となっている。
例えば図17(a)、(b)に示すように、挿入方向下流側のアーム部材52bのベアリング57がリブ53bに乗り上げる前に、挿入方向上流側のアーム部材52aのベアリング57がリブ53bに乗り上げるようにして、ベアリング57がリブ53bに乗り上げるタイミングをアーム部材52aとアーム部材52bとで異なるようにする。これにより、アーム部材52a、アーム部材52bの揺動の位相をずらすことができる。
この場合、図18に示すように、アーム部材52aを揺動させるための荷重を示す曲線F1の最大値(1N)と、アーム部材52bを揺動させるための荷重を示す曲線F2の最大値(1N)とが異なるタイミングで発生する。そのため、シャフト部材53を往復移動させるための負荷を示す曲線F3の最大値は1.8N以下となる。つまり、アーム部材52a、アーム部材52bの揺動の位相をずらすことにより、シャフト部材53の往復移動に要する負荷を低減することができる。
次に、図5〜図18を適宜参照しながら、各現像装置3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの交換作業の手順について説明する。図19は、装置本体に対するドラム位置決めユニット80、及び廃棄トナー搬送ユニット100の初期状態での位置を示す斜視図であり、図20は、廃棄トナー搬送ユニット100を装置本体に対して回動させた状態を示す斜視図である。なお、図19では、ドラム位置決めユニット80は廃棄トナー搬送ユニット100の内側に配置されている。
図19の状態、すなわち、各現像装置3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの装置本体への装填状態では、各ドラムユニット40a〜40dのドラム軸1a1〜1d1がドラム位置決めユニット80の裏面側の軸受孔(図示せず)に嵌め込まれており、各ドラムユニット40a〜40d相互間の位置決めが適切になされている。また、ドラム位置決めユニット80の位置決めピン(図示せず)が装置本体の前側板41の穴部に嵌め込まれており、廃棄トナー搬送ユニット100の凸部103も前側板41の穴部44に係合しているため、装置本体に対するドラム位置決めユニット80及び廃棄トナー搬送ユニット100の位置決めも適切になされている。
各現像装置3a〜3d、各ドラムユニット40a〜40dを交換する際には、図19の状態から、まず、装置本体前側の図示しない開閉カバーを開いた後、廃棄トナー搬送ユニット100のフック104・104と前側板41の穴部45・45との係合を解除し、廃棄トナー搬送ユニット100を下方向(装置本体の正面に対して上開き)に回動させる。廃棄トナー搬送ユニット100を回動させると、図20に示すように、廃棄トナー搬送ユニット100よりも内側に配置されたドラム位置決めユニット80が露出する。
ドラム位置決めユニット80は、装置本体(前側板41)と係合するフック部(図示せず)を有しており、フック部の係合により現像装置3a〜3dの前面に対向する位置に配置されている。また、各現像装置3a〜3dの現像ローラー29を離接させるシャフト部材53の当接部53aは、ドラム位置決めユニット80の裏面によって現像装置3a〜3d内に押し込まれている。これにより、現像装置3a〜3dの現像ローラー29(図2参照)はそれぞれ対応するドラムユニット40a〜40d内の感光体ドラム1a〜1dに近接して配置されている。
次に、ドラム位置決めユニット80と装置本体(前側板41)との係合を解除する。ドラム位置決めユニット80と前側板41との係合が解除されると、第1コイルバネ54の付勢力によりシャフト部材53が図5の矢印A′方向に摺動して当接部53aが現像装置3a〜3dの前面から突出する。これにより、現像装置3a〜3dの現像ローラー29(図2参照)はそれぞれ対応するドラムユニット40a〜40d内の感光体ドラム1a〜1dから退避した位置に配置される。また、ドラム位置決めユニット80は当接部53aに押圧されて図20の位置から所定角度だけ上方向に回動した位置で保持される。このとき、軸受孔へのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込み、及び前側板41への位置決めピンの嵌め込みも解除される。
また、図21に示すように、シャフト部材53が矢印A′方向に摺動する際、凹部53dに配置された摺動補助部材60の従動コロ61が現像装置3aのガイド部70に接触して回転する。一方、シャフト部材53の下面にはアーム部材52a、52bに付設されたベアリング57が接触して回転する。これにより、シャフト部材53とガイド部70との摩擦、及びシャフト部材53とアーム部材52a、52bとの摩擦が低減されるため、部品寸法の公差や組み立て誤差等によりシャフト部材53に大きな負荷が掛かってもシャフト部材53を円滑に摺動させることができる。
次に、ドラム位置決めユニット80を上方向(装置本体の正面に対して下開き)に回動させる。図22は、ドラム位置決めユニット80を装置本体に対して回動させた状態を示す正面図、図23は、図22におけるドラムユニット40c、40d及び現像装置3c、3d付近の拡大図である。
ドラム位置決めユニット80を回動させることにより、図22に示すように、現像装置3a〜3d及びドラムユニット40a〜40dの前方が広く開放される。また、現像装置3a〜3dの現像ローラー29は感光体ドラム1a〜1dから退避しているため、図24に示すように、例えばドラムユニット40dを取り出して交換することが可能となる。また、他のドラムユニット40a〜40c、及び現像装置3a〜3dについても図22の状態で同様に交換することが可能となる。
現像装置3a〜3dまたはドラムユニット40a〜40dの交換後は、図22の状態から上記と逆の手順によってドラム位置決めユニット80を下向きに回動させて閉じていくと、ドラム位置決めユニット80の裏面側が当接部53aに接触する。この状態からドラム位置決めユニット80に力を加えて図20の位置まで押し込むことで、当接部53aが現像装置3a〜3d内に押し込まれ、再び各現像装置3a〜3dの現像ローラー29が感光体ドラム1a〜1dに近接して配置される。最後に、廃棄トナー搬送ユニット100を上向きに回動させて閉じることで、図19に示す初期状態に戻すことができる。
以上のように、本実施形態の構成によれば、廃棄トナー搬送ユニット100及びドラム位置決めユニット80を開放するだけで、感光体ドラム1a〜1dと現像装置3a〜3dの現像ローラー29との押圧を解除することができる。従って、各現像装置3a〜3d、或いはドラムユニット40a〜40dのうち、任意のユニットの抜き出し、或いは挿入が順序を問わず可能となり、各現像装置3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの交換時の作業性を格段に向上させることができる。
また、シャフト部材53とハウジング50のガイド部70との隙間に摺動補助部材60を配置し、アーム部材52a、52bのシャフト部材53との当接位置にベアリング57を付設したので、感光体ドラム1a〜1dに対する現像ローラー29の接触又は離間動作を円滑且つ確実に行うことができる。さらに、シャフト部材53の当接部53aの押し込みに要する力も小さくなるため、ドラム位置決めユニット80の閉動作に要する力も小さくなる。従って、サービスマンによるドラムユニット40a〜40d、現像装置3a〜3dの交換作業が容易になるのみでなく、ユーザーレベルでもドラムユニット40a〜40d、現像装置3a〜3dの交換作業を簡単に行うことができ、作業時間も短縮することができる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態ではベアリング57を用いてアーム部材52a、52bとシャフト部材53との摺動負荷を低減するようにしたが、例えば、ベアリング57に代えてコロやプーリー等の他の従動回転体を付設しても良い。
また、上記実施形態では、現像装置3a〜3dの装着方向上流側に隣接して配置されたドラム位置決めユニット80の開閉に応じてシャフト部材53が往復移動する構成としたが、例えばシャフト部材53の当接部53を、現像装置3a〜3dの装着方向下流側(画像形成装置200の奥側)の端部に突出させ、画像形成装置200に対する現像装置3a〜3dの着脱操作に応じてシャフト部材53が往復移動するようにしても良い。
また本発明は、図1に示したようなカラープリンターに限らず、モノクロプリンター、モノクロ及びカラー複写機、デジタル複合機(コピー、ファクシミリ、スキャナー、ファクシミリ等の諸機能を併せ持つもので、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる)等の他の画像形成装置にも適用可能である。