以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義しておく。まず、図1に示す画像形成装置200において、感光体ドラム1a〜1dのドラム軸が並ぶ方向をX方向とし、各ドラム軸を含む平面に垂直な方向をY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(ドラム軸方向)をZ方向とする。すなわち、図1においては、X方向は左右方向に対応し、Y方向は上下方向に対応し、Z方向は前後方向に対応する。なお、X、Y、Zの各方向の正負の向きは、ここでは問わない。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置200の概略構成を示す断面図である。画像形成装置200は、本実施形態では、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)に対応する4つの感光体ドラム1a、1b、1cおよび1dを並列配置して画像形成を行う、4連タンデム型のカラープリンターで構成されている。
画像形成装置200本体内には、4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、図1では左側から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a〜1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において用紙P上に一度に転写され、さらに、定着装置13において用紙P上に定着された後、画像形成装置200本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主に継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。中間転写ベルト8および二次転写ローラー9は、ベルト駆動モータ(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dと同一線速で回転駆動される。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a〜1dに対して画像データに基づく露光を行う露光ユニット5と、感光体ドラム1a〜1d上に形成される静電潜像をトナーで現像する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a〜1d上でトナー像の転写後に残留した現像剤(トナー)を回収、除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dとが設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット5によって画像データに基づいて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラー(現像剤担持体)を備え、それぞれマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。
なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット5の露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。一次転写ローラー6a〜6dは、一次転写駆動モーター(図示せず)により感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8と同一線速で回転駆動される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、従動ローラー10及び駆動ローラー11に掛け渡されており、上記ベルト駆動モーターによる駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着装置13へと搬送される。
定着装置13に搬送された用紙Pは、定着ローラー対13aのニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱および加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置13を通過した用紙Pの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙Pは排出ローラー対15を逆回転させることにより分岐部14で反転搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラー9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着装置13に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
次に、上述した画像形成部Paの詳細について説明する。なお、画像形成部Pb〜Pdについては、基本的に画像形成部Paと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。図2は、図1における画像形成部Pa付近を拡大して示す断面図である。感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の時計回り方向)に沿って、上述した帯電装置2a、現像装置3a、一次転写ローラー6a、クリーニング装置7aが配設されている。このうち、一次転写ローラー6aは、中間転写ベルト8を挟んで感光体ドラム1aと対向する位置に配置されている。
また、感光体ドラム1aと、帯電装置2aと、クリーニング装置7aとはユニット化されている。なお、各画像形成部Pa〜Pdにおいて、感光体ドラム1a〜1dと、帯電装置2a〜2dと、クリーニング装置7a〜7dとから成るユニットを、以下ではドラムユニット40a〜40dと称する。
帯電装置2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラー21と、帯電ローラー21をクリーニングするための帯電クリーニングローラー23とを有している。現像装置3aは、2本の攪拌搬送スクリュー25と、磁気ローラー27と、現像ローラー29とを有し、現像ローラー29にトナーの帯電極性と同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。
クリーニング装置7aは、摺擦ローラー(研磨部材)30、クリーニングブレード31、および回収スパイラル33を有している。摺擦ローラー30は、感光体ドラム1aに所定の圧力で圧接されており、ドラムクリーニングモーター(図示せず)により感光体ドラム1aとの当接面において同一方向に回転駆動されるが、その線速は感光体ドラム1aの線速よりも速く(ここでは1.2倍)制御されている。摺擦ローラー30としては、例えば金属シャフトの周囲にローラー体としてEPDMゴム製でアスカーC硬度が55°の発泡体層を形成した構造が挙げられる。ローラー体の材質としてはEPDMゴムに限定されず、他の材質のゴムや発泡ゴム体であっても良く、アスカーC硬度が10〜90°の範囲のものが好適に使用される。
なお、アスカーCとは、日本ゴム協会標準規格に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つで、硬さを測定するための測定器のことである。アスカーC硬度とは、上記の測定器で測定された硬度を指し、数値が大きいほど硬い材料であることを示す。
感光体ドラム1a表面の、摺擦ローラー30との当接面よりも回転方向下流側には、クリーニングブレード31が感光体ドラム1aに当接した状態で固定されている。クリーニングブレード31としては、例えばJIS硬度が78°のポリウレタンゴム製のブレードが用いられ、その当接点において感光体接線方向に対し所定の角度で取り付けられている。なお、クリーニングブレード31の材質および硬度、寸法、感光体ドラム1aへの食い込み量および圧接力等は、感光体ドラム1aの仕様に応じて適宜設定される。なお、JIS硬度とは、日本工業規格(JIS;Japanese Industrial Standards )で規定された硬度を指す。
摺擦ローラー30およびクリーニングブレード31によって感光体ドラム1a表面から除去された残留トナーは、回収スパイラル33の回転に伴ってクリーニング装置7a(図2参照)の外部に排出される。本発明に用いられるトナーとしては、トナー粒子表面にシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等から選択される研磨剤が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨剤がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。
このように摺擦ローラー30を感光体ドラム1aに対し速度差を持って回転させることで、研磨剤を含む残留トナーによって感光体ドラム1aの表面を研磨し、摺擦ローラー30およびクリーニングブレード31によってドラム表面の水分や放電生成物等を残留トナーと共に除去する。
なお、画像形成装置200本体内部のレイアウトは、感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向や、用紙Pの搬送経路を適切に設定できるのであれば、適宜変更可能である。例えば、感光体ドラム1a〜1dおよび中間転写ベルト8の回転方向を、本実施形態とは逆にするとともに、ドラムユニット40a〜40dと現像装置3a〜3dとの位置関係を、本実施形態とは逆にし、これに合わせて用紙Pの搬送経路を設定することも勿論可能である。
図3は、ドラムユニット40aの外観を示す斜視図である。なお、ドラムユニット40b〜40dについては、基本的にドラムユニット40aと同様の構成であるため説明を省略する。ドラムユニット40aは、上述した感光体ドラム1a、帯電装置2a、クリーニング装置7aの他に、トナー廃棄口41aを有している。クリーニング装置7aにて回収された廃棄用のトナーは、トナー廃棄口41aから排出され、廃棄トナー搬送ユニット70を介して回収容器110(いずれも図7参照)に搬送される。また、画像形成装置200の開閉カバー(図示せず)の内側に配置されたリテーナー60(図14参照)に対向するドラムユニット40aの前面からは、リテーナー60の軸受孔に嵌合するドラム軸1a1が突出している。
図4は、上記のドラムユニット40aと併用される現像装置3aの外観を示す斜視図である。なお、現像装置3b〜3dについては、基本的に現像装置3aと同様の構成であるため説明を省略する。現像装置3aは、上述した2本の攪拌搬送スクリュー25、磁気ローラー27、現像ローラー29(図2参照)を現像容器50の内部に有しており、現像容器50にはトナーコンテナ4a(図1参照)からのトナーを供給するトナー供給部(図示せず)と接続されるトナー供給口50aが形成されている。このトナー供給口50aを介して対応する色(ここではマゼンタ)のトナーが現像装置3aの内部に供給され、静電潜像の現像に供される。
また、現像装置3aは、感光体ドラム1aに対し現像ローラー29を接近させ、若しくは退避させるローラー接離機構51(図5参照)を備えており、現像装置3aの側面には、ローラー接離機構51を構成するシャフト部材53が配置されている。シャフト部材53は、現像装置3aの現像容器50の外表面に形成された溝状のガイド部50dに沿って摺動可能に配置されている。そして、画像形成装置200の開閉カバー(図示せず)に対向する現像装置3aの前面からは、シャフト部材53の当接部53aが突出している。なお、図4では、ガイド部50dを封止する側面カバー(図示せず)を取り外してシャフト部材53を露出させた状態を示している。
また、当接部53aの近傍には現像装置3a〜3d内の浮遊トナーを吸引するための吸引ダクトに連結されるダクト連結部50bが形成されている。さらに、当接部53a及びダクト連結部50bの下方には、開閉カバーの内側に配置されたリテーナー60(図14参照)の位置決め用凸部が嵌合する嵌合孔50cが形成されている。
図5は、ローラー接離機構51の概略側面図であり、図6は、ローラー接離機構51、現像ローラー29、感光体ドラム1aの関係を軸方向(図5の右方向)から見た概略図である。図5、図6を用いて、ローラー接離機構51による感光体ドラム1a〜1dへの現像ローラー29の接近及び退避機構について説明する。なお、ここでは現像装置3aのローラー接離機構51について説明するが、現像装置3b〜3dについても同様であるため説明を省略する。ローラー接離機構51は、アーム部材52a、52bと、アーム部材52a、52bの上面に当接するシャフト部材53と、第1コイルバネ54と、軸受部材55と、第2コイルバネ56とを有している。
シャフト部材53は、所定の剛性を備えた素材を材質として形成され、現像装置3aの長手方向に沿って配置された棒状部材であり、軸方向(矢印AA′方向)に移動自在に配置されている。シャフト部材53は、軸方向前側の端部にリテーナー60(図14参照)に当接可能な当接部53aを有しており、シャフト部材53の両端部近傍には、アーム部材52a、52bに対応する位置においてシャフト部材53の外周面から下方に突出する2つのリブ53bが形成されている。リブ53bは、シャフト部材53の軸方向に沿って外周面からの突出量が徐々に変化する側面視フィン形状をなしている。
また、シャフト部材53の長手方向略中央部には、第1コイルバネ54の一端が係合するフック状の係合部53cが形成されている。
第1コイルバネ54は引っ張りバネであり、一端が係合部53cに係合するとともに他端が現像容器50に固定されており、自由状態でシャフト部材53の当接部53aが現像装置3aの前側から突出するように、シャフト部材53を軸方向前側(矢印A′方向)に付勢する。軸受部材55は、アーム部材52a、52bと一体に形成され、磁気ローラー27及び現像ローラー29の各回転軸27a、29aの両端部を受けて両ローラー27、29を連結するリンク部材として機能し、磁気ローラー27の回転軸27aを中心として矢印BB′方向に一体に揺動するようになっている。
従って、軸受部材55が回転軸27aを中心として揺動すると、現像ローラー29は、軸受部材55と共に磁気ローラー27を中心として揺動して感光体ドラム1aに対し接近又は退避する。また、軸受部材55には第2コイルバネ56が固定されており、軸受部材55は第2コイルバネ56によって矢印B方向に揺動する方向に付勢されている。なお、軸受部材55は、アーム部材52a、52bと別体の部材であっても良い。
図5及び図6に示すように、シャフト部材53の当接部53aが現像装置3aから突出した状態では、アーム部材52a、52bがリブ53bに乗り上げて下方に押し下げられており、現像ローラー29は感光体ドラム1aから退避した位置にある。この状態から当接部53aが現像装置3a内に押し込まれると、シャフト部材53が軸方向奥側(矢印A方向)に動くことで各アーム部材52a、52bがリブ53bから脱落する。そして、各アーム部材52a、52bに連結された各軸受部材55は第2コイルバネ56の付勢力によって回転軸27aを中心として矢印B方向に揺動する。その結果、現像ローラー29が感光体ドラム1aに接近する。
一方、当接部53aの押圧を解除すると、シャフト部材53が第1コイルバネ54の付勢力により軸方向前側(矢印A′方向)に移動することで各アーム部材52a、52bがリブ53bに乗り上げ、各アーム部材52a、52bは回転軸27aを中心として矢印B′方向に揺動する。そして、各アーム部材52a、52bと共に軸受部材55も第2コイルバネ56の付勢力に抗して矢印B′方向に揺動するため、現像ローラー29が感光体ドラム1aから退避する。
なお、ここではシャフト部材53は、リブ53bによって手前側のアーム部材52aと奥側のアーム部材52bとを下方に同時に押し下げるようにしたが、各アーム部材52a、52bの回動タイミングが異なるようにしても良い。例えば、奥側のアーム部材52bを先に下方に押し下げてから手前側のアーム部材52aを下方に押し下げる構成としても良い。
図7は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置200における、リテーナー60、及び廃棄トナー搬送ユニット70の初期状態(閉鎖状態)での位置を示す斜視図である。なお、図7では、リテーナー60は廃棄トナー搬送ユニット70の内側に配置されている。以下、図5及び図6を適宜参照しながら、廃棄トナー搬送ユニット70及びリテーナー60の開閉機構について説明する。
図7の状態、すなわち、各現像装置3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dが画像形成装置200本体へ装填された状態では、各ドラムユニット40a〜40dのドラム軸1a1〜1d1がリテーナー60(図14参照)の裏面側の軸受孔(図示せず)に嵌め込まれており、各ドラムユニット40a〜40d相互間の位置決めが適切になされている。また、リテーナー60の位置決めピン(図示せず)が画像形成装置200本体の前側板41の穴部に嵌め込まれており、廃棄トナー搬送ユニット70の係合突部81a、81b(図10参照)も前側板41の係合穴44(図14参照)に係合しているため、画像形成装置200本体に対するリテーナー60及び廃棄トナー搬送ユニット70の位置決めも適切になされている。廃棄トナー搬送ユニット70のハウジング71に形成された円形の窓部72から、廃棄トナー搬送ユニット70と画像形成装置200本体(前側板41)との係合を解除するための開閉用レバー73が露出している。
図8及び図9は、それぞれ開閉用レバー73を表面側及び裏面側から見た斜視図である。開閉用レバー73は円板状であり、図8に示すように、開閉用レバー73の表面側の中心には円筒状の軸受部75aが形成されており、外周縁近傍には一対のL字状の開閉動作連結部77aが、軸受部75aを中心として点対称の位置に形成されている。軸受部75aの外周面には径方向に突出するツマミ部78が形成されている。なお、開閉用レバー73のツマミ部78が形成された面を第1面と称する。
また、図9に示すように、開閉用レバー73の裏面側の中心には円筒状の軸受部75bが形成されており、外周縁近傍には第1面の開閉動作連結部77aと同一形状である一対のL字状の開閉動作連結部77bが、軸受部75bを中心として点対称の位置に形成されている。軸受部75bを横断するように径方向に延在する溝部79が形成されている。なお、開閉用レバー73の溝部79が形成された面を第2面と称する。
図10は、閉鎖状態にある廃棄トナー搬送ユニット70の前面側ハウジング71aを取り外した状態を示す平面図であり、図11は、廃棄トナー搬送ユニット70を開閉用レバー73の位置で切断した側面断面図(図7のBB′矢視断面図)である。図10に示すように、廃棄トナー搬送ユニット70の背面側ハウジング71bには、廃棄トナー搬送ユニット70と画像形成装置200本体(前側板41)とを連結する第1連結部材80a及び第2連結部材80bが水平方向(図10の左右方向)に摺動可能に配置されている。
背面側ハウジング71bの両側端部に位置する第1連結部材80a及び第2連結部材80bの一端には、前側板41の係合穴44(図14参照)と係合可能な係合突部81a、81bが形成されている。第1連結部材80a及び第2連結部材80bは、水平方向に摺動することで、係合突部81a、81bがハウジング71から突出する位置(係合位置)と、係合突部81a、81bがハウジング71内に埋没する位置(解除位置)とに選択配置される。また、第1連結部材80a及び第2連結部材80bには、それぞれ引っ張りバネ83a、83bが連結されている。引っ張りバネ83aは、第1連結部材80aを係合突部81aがハウジング71から突出する係合位置方向(図10の右方向)に付勢している。また、引っ張りバネ83bは、第2連結部材80bを係合突部81bがハウジング71から突出する係合位置方向(図10の左方向)に付勢している。
図11に示すように、開閉用レバー73は第2面に形成された軸受部75bが背面側ハウジング71bの位置決め用ボス85に回転可能に外挿されている。また、前面側ハウジング71aの窓部72からは開閉用レバー73の第1面に形成されたツマミ部78が露出している。第1面に形成された一対の開閉動作連結部77aは、前面側ハウジング71aの内側面に当接することで、開閉用レバー73の表裏方向(図11の左右方向)の位置を規制する機能を有している。
図12は、図10の状態から開閉用レバー73を作動させた状態を示す廃棄トナー搬送ユニット70の平面図、図13は、図12の状態で廃棄トナー搬送ユニット70の背面側ハウジング71bを取り外した状態を裏面側から見た平面図、及び開閉用レバー73周辺の拡大斜視図である。
廃棄トナー搬送ユニット70を開放する場合、図7の状態から、まず、画像形成装置200本体前側の図示しない開閉カバーを開いた後、図12に示すように、開閉用レバー73のツマミ78を摘んで時計回り方向(図13では反時計回り方向)に所定角度だけ回転させる。これにより、図13に示すように、開閉用レバー73の第2面に形成された一対の開閉動作連結部77bが、それぞれ第1連結部材80a及び第2連結部材80bに形成された係合部87a、87bに係合し、第1連結部材80a及び第2連結部材80bを引っ張りバネ83a、83b(図12参照)の付勢力に抗してハウジング71の内側方向(図13の矢印C、D方向)へ移動させる。
その結果、ハウジング71の両側端部から突出していた第1連結部材80aの係合突部81a、第2連結部材80bの係合突部81bがハウジング71内に引き込まれ、前側板41の係合穴44(図14参照)との係合が解除される。次いで、廃棄トナー搬送ユニット70を下方向(画像形成装置200本体の正面に対して上開き)に回動させる。廃棄トナー搬送ユニット70を回動させると、図14に示すように、廃棄トナー搬送ユニット70よりも内側に配置されたリテーナー60が露出する。
リテーナー60は、現像装置3a〜3dの前面に対向する位置に配置されており、各現像装置3a〜3dの現像ローラー29を離接させるシャフト部材53の当接部53a(図5参照)は、リテーナー60の裏面によって現像装置3a〜3d内に押し込まれている。これにより、現像装置3a〜3dの現像ローラー29(図2参照)はそれぞれ対応するドラムユニット40a〜40d内の感光体ドラム1a〜1d(図2参照)に近接して配置されている。
次に、リテーナー開閉用レバー90を操作してリテーナー60と画像形成装置200本体(前側板41)との係合を解除する。リテーナー60と前側板41との係合が解除されると、第1コイルバネ54の付勢力によりシャフト部材53が図5の矢印A′方向に摺動して当接部53aが現像装置3a〜3dの前面から突出する。これにより、現像装置3a〜3dの現像ローラー29はそれぞれ対応するドラムユニット40a〜40d内の感光体ドラム1a〜1dから退避した位置に配置される。また、リテーナー60は当接部53aに押圧されて図14の位置から所定角度だけ上方向に回動した位置で保持される。このとき、軸受孔へのドラム軸1a1〜1d1の嵌め込み、及び前側板41への位置決めピンの嵌め込みも解除される。
次に、リテーナー60を上方向(画像形成装置200本体の正面に対して下開き)に回動させる。図15は、リテーナー60を画像形成装置200本体に対して上方向に回動させた状態を示す斜視図である。
リテーナー60を回動させることにより、図15に示すように、現像装置3a〜3d及びドラムユニット40a〜40dの前方が広く開放される。また、現像装置3a〜3dの現像ローラー29は感光体ドラム1a〜1dから退避しているため、図15に示すように、例えば現像装置3dを取り出して交換することが可能となる。また、他の現像装置3a〜3c、及びドラムユニット40a〜40dについても図15の状態で同様に交換することが可能となる。
現像装置3a〜3dまたはドラムユニット40a〜40dの交換後は、図15の状態から上記と逆の手順によってリテーナー60を下向きに回動させて閉じていくと、リテーナー60の裏面側が当接部53aに接触する。この状態からリテーナー60に力を加えて図14の位置まで押し込むことで、当接部53aが現像装置3a〜3d内に押し込まれ、再び各現像装置3a〜3dの現像ローラー29が感光体ドラム1a〜1dに近接して配置される。最後に、廃棄トナー搬送ユニット70を上向きに回動させて閉じることで、係合突部81a、81bが前側板41の係合穴44に係合し、図7に示す初期状態に戻すことができる。
本実施形態の構成によれば、開閉用レバー73のツマミ部78を摘んで開閉用レバー73を回転させるだけで廃棄トナー搬送ユニット70と前面板41との係合を解除することができ、さらにリテーナー開閉用レバー90を操作してリテーナー60と前面板41との係合を解除することができる。従って、工具等を用いることなく、各現像装置3a〜3d、或いはドラムユニット40a〜40dのうち、任意のユニットの抜き出し、或いは挿入が順序を問わず可能となり、ユーザーによる各現像装置3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの交換を想定した場合の交換時の作業性を格段に向上させることができる。
また、現像装置3a〜3d、或いはドラムユニット40a〜40dにアクセスする際は、開閉用レバー73の回転に加えてリテーナー開閉用レバー90を操作する必要があるため、現像装置3a〜3d、ドラムユニット40a〜40dへの不用意なアクセスを防止することができる。
次に、廃棄トナー搬送ユニット70及びリテーナー60の他の開閉機構について説明する。図16は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置200における、リテーナー60、及び廃棄トナー搬送ユニット70が閉鎖状態にあるときの開閉用レバー73周辺の部分斜視図である。本実施形態では、図16に示すように、開閉用レバー73は図7と表裏が逆向きに装着されており、前面側ハウジング71aの窓部72からは溝部79が形成された開閉用レバー73の第2面が露出している。
図17は、閉鎖状態にある廃棄トナー搬送ユニット70の前面側ハウジング71aを取り外した状態を示す平面図、図18は、廃棄トナー搬送ユニット70を解除部材91の位置で切断した側面断面図(図17のBB′矢視断面図)、図19は、図17の状態で廃棄トナー搬送ユニット70の背面側ハウジング71bを取り外した状態を裏面側から見た平面図、図20は、図19における開閉用レバー73周辺の拡大斜視図である。なお、第1連結部材80a、第2連結部材80bの構成及び動作は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
開閉用レバー73は、第1面に形成された軸受部75a(図8参照)が背面側ハウジング71bの位置決め用ボス85(図11参照)に回転可能に外挿されている。第2面に形成された一対の開閉動作連結部77b(図9参照)は、前面側ハウジング71aの内側面に当接することで、開閉用レバー73の表裏方向(図18の左右方向)の位置を規制する機能を有している。
また、図19及び図20に示すように、前面側ハウジング71aには、リテーナー開閉用レバー90(図14参照)を作動させる解除部材91と、開閉用レバー73の回転に連動して解除部材91を作動させる第1リンク部材93、第2リンク部材95が設けられている。
図21は、図17の状態から開閉用レバー73を作動させた状態を示す廃棄トナー搬送ユニット70の平面図、図22は、図21の状態で廃棄トナー搬送ユニット70の背面側ハウジング71bを取り外した状態を裏面側から見た平面図、図23は、図22における開閉用レバー73周辺の拡大斜視図、図24は、図18の状態から開閉用レバー73を作動させた状態を示す側面断面図(図21のEE′矢視断面図)である。
廃棄トナー搬送ユニット70を開放する場合、図21に示すように、開閉用レバー73の溝部79にドライバー等の工具を差し込んで時計回り方向(図22、図23では反時計回り方向)に所定角度だけ回転させる。これにより、図23に示すように、開閉用レバー73の第1面に形成された一対の開閉動作連結部77aが、それぞれ第1連結部材80a及び第2連結部材80bに形成された係合部87a、87bに係合し、第1連結部材80a及び第2連結部材80bを引っ張りバネ83a、83bの付勢力に抗してハウジング71の内側方向(図22の矢印C、D方向)へ移動させる。
その結果、ハウジング71の両側端部から突出していた第1連結部材80aの係合突部81a、第2連結部材80bの係合突部81bがハウジング71内に引き込まれ、前側板41の係合穴44(図14参照)との係合が解除される。
また、開閉用レバー73の第1面のツマミ部78に装着された第1リンク部材93が開閉用レバー73と共に図23の反時計回り方向に回転し、第1リンク部材93に押圧されて第2リンク部材95が水平方向(図23の右方向)に移動する。これにより、第2リンク部材95の傾斜面95aに当接する解除部材91が上方向に移動し、図24に示すように、リテーナー開閉用レバー90が押し上げられてリテーナー60と前側板41との係合が解除される。
この状態で、廃棄トナー搬送ユニット70を下方向(画像形成装置200本体の正面に対して上開き)に回動させると、図15に示すように、前側板41との係合が解除されたリテーナー60も現像装置3a〜3dの当接部53aに押圧されて図14の位置から所定角度だけ上方向に回動し、図15に示すように、現像装置3a〜3d及びドラムユニット40a〜40dの前面が露出する。
本実施形態の構成によれば、開閉用レバー73の溝部79に工具を差し込んで開閉用レバー73を回転させることにより廃棄トナー搬送ユニット70と前面板41との係合、及びリテーナー60と前面板41との係合を同時に解除することができる。従って、工具等を用いて開閉用レバー73を回転させるだけで、各現像装置3a〜3d、或いはドラムユニット40a〜40dのうち、任意のユニットの抜き出し、或いは挿入が順序を問わず可能となり、サービスマンによる各現像装置3a〜3d、及び各ドラムユニット40a〜40dの交換を想定した場合の交換時の作業性を格段に向上させることができる。
以上説明したように、本発明の画像形成装置200では、ユーザーに積極的に現像装置3a〜3d、ドラムユニット40a〜40dの交換を行ってもらうことを意図するモデルの場合は、開閉用レバー73のツマミ部78が形成された第1面を露出させて、工具等を用いることなく廃棄トナー搬送ユニット70と前面板41との係合を解除できる構成とする。また、ユーザーに現像装置3a〜3d、及びドラムユニット40a〜40dの交換を求めず、現像装置3a〜3d、ドラムユニット40a〜40dへの容易なアクセスを避ける必要があるモデルに対しては、開閉用レバー73の溝部79が形成された第2面を露出させて、廃棄トナー搬送ユニット70と前面板41との係合を解除するために工具を必要とする構成とする。
即ち、現像装置3a〜3d、ドラムユニット40a〜40dへのアクセス手順に関して異なる意図がある二種類の画像形成装置200に対し、同一の部品を用いて組み立て方法を変えるだけで、現像装置3a〜3d、ドラムユニット40a〜40dへのアクセス方法を選択することが可能となる。従って、部品点数の削減が可能で、コスト面でも有利となる。
なお、解除部材91、第1リンク部材93、第2リンク部材95は、第1実施形態の廃棄トナー搬送ユニット70にも同様に設けられている。しかし、第1実施形態ではツマミ部78の代わりに溝部79が形成された開閉用レバー73の第2面が第1リンク部材93に対峙しており、開閉用レバー73と第1リンク部材93とが係合しない。従って、第1実施形態では第1リンク部材93は回転せず、第2リンク部材95及び解除部材91も作動しないため、リテーナー60と前側板41との係合が解除されることはない。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、現像装置3a〜3dの装着方向上流側に隣接して配置されたリテーナー60の開閉に応じてシャフト部材53が往復移動する構成としたが、例えばシャフト部材53の当接部53aを、現像装置3a〜3dの装着方向下流側(画像形成装置200の奥側)の端部に突出させ、画像形成装置200に対する現像装置3a〜3dの着脱操作に応じてシャフト部材53が往復移動するようにしても良い。
また本発明は、図1に示したようなカラープリンターに限らず、モノクロプリンター、モノクロ及びカラー複写機、デジタル複合機(コピー、ファクシミリ、スキャナー等の諸機能を併せ持つもので、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ばれる)等の他の画像形成装置にも適用可能である。