次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1を参照し、第1の実施の形態に係る蓄冷式冷凍機について、スターリング冷凍機10を例示して説明する。
図1は、本実施の形態に係るスターリング冷凍機10の全体構成を示す概略断面図である。
スターリング冷凍機10は、圧縮機20、コールドヘッド40、及び両者を接続するキャピラリチューブ50を含んで構成される。
圧縮機20は、ヨーク部材21、ピストン部材22及び端部側ケース部材23を有する。圧縮機20は、ヨーク部材21の隔壁24を挟んで面対称な構造を有する。ヨーク部材21は、隔壁24、シリンダ25及びケース26を有する。ピストン部材22は、ピストン27及び連結部材28を有する。
シリンダ25は、隔壁24の両側に延びるように設けられている。シリンダ25は、柱面状、例えば円柱面状の内周面を有するとともに、シリンダ25の中心軸が隔壁24に垂直になるように配置されている。シリンダ25内には、ピストン27が配置されている。
ピストン27は、シリンダ25の内周面に整合する外周面を有する。ピストン27、シリンダ25及び隔壁24により、圧縮室29が画成される。圧縮室29は、隔壁24内に形成されたガス流路30を介してキャピラリチューブ50に連通している。
ピストン27の、圧縮室29とは反対側の端部には、連結部材28が連結されている。連結部材28は、後述する電磁コイル33をピストン27と連結するためのものである。また、連結部材28は、例えば図示しないコイルばねにより、例えば端部側ケース部材23に接続されていてもよい。そして、連結部材28は、連結部材28が所定位置からシリンダ25の中心軸方向に移動したときに、連結部材28を所定の位置に戻す復元力が働くように、構成されていてもよい。
ピストン27は、例えば図示しないスラスト軸受により、シリンダ25の内周面とピストン27の外周面との間に微小な間隙が形成されるように保持されていてもよい。この間隙が20μm程度以下であれば、クリアランスシールとして作用する。
ケース26は、隔壁24を介してシリンダ25と一体に設けられており、圧縮機20の筐体を構成する。シリンダ25の外周面と、ケース26の内周面との間には、環状のギャップ31が形成されている。ケース26の内周面には環状の永久磁石32が取り付けられている。ケース26、隔壁24及びシリンダ25よりなるヨーク部材21は、永久磁石32、ギャップ31とともに、磁気回路を形成している。
この磁気回路に鎖交するように、ギャップ31内に電磁コイル33が挿入されている。電磁コイル33は連結部材28を介してピストン27に連結されている。なお、電磁コイル33は、本発明における電磁石に相当する。
ピストン部材22が配置された空間は、ケース26と端部側ケース部材23とが接続されることによって密閉されている。端部側ケース部材23は、ケース26に溶接により接続されていてもよい。
端部側ケース部材23を貫通するように、電流リード34、35が設けられている。電流リード34、35は、電磁コイル33に電気的に接続されており、電磁コイル33には、電流リード34、35を介して電流が供給される。
コールドヘッド40は、シリンダ41、ディスプレーサ42、コイルばね43、及び外枠44を有する。なお、コールドヘッド40は、本発明における膨張機に相当する。
シリンダ41は、柱面状、例えば円柱面状の内周面を有する。シリンダ41の一端は閉塞され、他端は外枠44で塞がれている。シリンダ41内には、ディスプレーサ42が挿入されている。
シリンダ41の低温端とディスプレーサ42との間には、膨張空間45が画成されており、ディスプレーサ42と外枠44との間には、圧縮空間46が画成されている。ディスプレーサ42内には、膨張空間45と圧縮空間46とを連通させるガス流路47が設けられている。ガス流路47内には、ステンレス鋼や銅の金網、鉛球等の蓄冷材48が充填されている。
ディスプレーサ42は、圧縮空間46内に配置されたコイルばね43により、軸方向に関して弾性的に支持されている。圧縮空間46は、キャピラリチューブ50及びガス流路30を介して圧縮機20の圧縮室29に連通している。
本実施の形態では、図1に示すように、圧縮機20は、ベローズ60を介してキャピラリチューブ50と接続されている。圧縮機20は、溶接によりベローズ60と接続されており、ベローズ60は、溶接によりキャピラリチューブ50と接続されている。
すなわち、ベローズ60とキャピラリチューブ50とは、圧縮機20側からコールドヘッド40側に向かって直列に配置されており、圧縮機20とコールドヘッド40とを接続するように設けられている。なお、ベローズ60は、本発明における第1の配管に相当し、キャピラリチューブ50は、本発明における第2の配管に相当し、ベローズ60及びキャピラリチューブ50は、本発明における接続配管に相当する。
ベローズ60は、その両端にフランジ部61、62を有していてもよい。このとき、ケース26は、フランジ部61と溶接により接続されており、フランジ部62は、キャピラリチューブ50と溶接により接続されていてもよい。
ベローズ60は、キャピラリチューブ50よりも伝熱抵抗が大きいことが好ましい。これにより、ベローズ60とキャピラリチューブ50とを溶接する際に、溶接箇所からヨーク部材21、さらにその先の永久磁石32へ熱が伝播する時の伝熱抵抗を大きくすることができる。
また、ベローズ60は、キャピラリチューブ50よりも管壁が薄い方が好ましい。例えば、ベローズ60の管壁の厚さを0.1mmとし、キャピラリチューブ50の管壁の厚さを0.5mmとすることができる。これにより、ベローズ60とキャピラリチューブ50とを溶接する際に、溶接箇所からヨーク部材21へ熱が伝播する時の伝熱抵抗を大きくすることができる。
また、図1に示すように、ベローズ60を補強する補強部材70が設けられていてもよい。補強部材70は、ベローズ60が短く縮んだ状態で、ヨーク部材21と反対側からベローズ60をケース26に押さえ付けるように、ネジ部材71によりネジ止めされることによって、ケース26に固定されていてもよい。そして、補強部材70は、ベローズ60とキャピラリチューブ50とを溶接により接続する際に、ケース26からもベローズ60からも取外し可能に設けられていると、補強部材70を介したヨーク部材21への伝熱も防止できるため、好ましい。
また、キャピラリチューブ50は、ベローズ60側にフランジ部51を有していてもよく、ベローズ60のフランジ部62が、キャピラリチューブ50のフランジ部51と溶接により接続されていてもよい。このとき、補強部材70は、ベローズ60が短く縮んだ状態で、フランジ部51のヨーク部材21と反対側からベローズ60をケース26に押さえ付けるように、ネジ部材71によりネジ止めされることによって、ケース26に固定されていてもよい。
このような構成を有するスターリング冷凍機10は、以下のようにして冷熱を蓄冷する。
電磁コイル33に所定周波数の交流電流を流すことによって、電磁コイル33には周期的に変動する電磁場を発生させ、永久磁石32と電磁コイル33との間で作用する、周期的に変動する電磁力により、ピストン27をシリンダ25内で往復動させることができる。なお、隔壁24を挟んで両側に配置された2つのピストン27が、相互に反対向きに移動するように、交流電流の位相が制御される。
2つのピストン27が近づく向きに移動する時、圧縮室29内が高圧になり、両者が遠ざかる向きに移動するとき、圧縮室29内が低圧になる。ピストン27が往復運動を繰り返すことによって、周期的に冷媒ガスの圧力を変化させ、冷媒ガスを圧縮することができる。そして、コールドヘッド40への冷媒ガスの供給及び排気を繰り返すことにより、逆スターリングサイクルを実行させ、膨張空間45に冷熱を発生させることができる。
次に、本実施の形態に係るスターリング冷凍機の製造方法を説明する。
図2及び図3は、本実施の形態に係るスターリング冷凍機10の製造方法を模式的に示す断面図である。
始めに、ヨーク部材21を作製する(図2(a))。前述したように、ヨーク部材21は、隔壁24、シリンダ25及びケース26を有する。ヨーク部材21は、鉄又は各種の磁性鋼よりなり、鋳造、鍛造、削り出し等により一体で作製することができる。この時点では、ケース26の内周面には、永久磁石32は取り付けられていない。
次いで、ベローズ60の内部がガス流路30と連通するように、ケース26に、ベローズ60を溶接により接続する(図2(b))。ベローズ60がフランジ部61を有するときは、ケース26に、ベローズ60のフランジ部61を溶接する。溶接方法としては、特に限定されるものではなく、例えばTIG(タングステン・イナート・ガス)溶接その他の各種の溶接方法を用いることができる。このとき、ケース26の内周面には、永久磁石32は取り付けられていないため、溶接によりケース26の温度が上昇しても、永久磁石32の温度を上昇させるおそれがない。
次いで、補強部材70をネジ部材71によりケース26にネジ止めすることによって、ベローズ60を補強する(図2(c))。ベローズ60が短く縮んだ状態で、ヨーク部材21と反対側からベローズ60をケース26に押さえ付けるように、ネジ部材71により補強部材70をケース26にネジ止めする。これにより、ベローズ60は、ケース26すなわちヨーク部材21に固定される。
次いで、ケース26の内周面に、環状の永久磁石32を接着剤により接着して取り付ける(図3(a))。接着剤として、特に限定されるものではなく、例えばエポキシ系接着剤等各種の接着剤を用いることができる。また、永久磁石32を、例えば取り付け部材による固定等、接着以外の各種の方法により、ケース26の内周面に取り付けてもよい。
次いで、ベローズ60が溶接されてなり、ケース26の内周面に永久磁石32が取り付けられてなるヨーク部材21に、ピストン部材22及び端部側ケース部材23を取り付ける(図3(b))。
ピストン27がシリンダ25に嵌合するとともに、電磁コイル33がギャップ31に嵌合するように、それぞれ左右両側からピストン部材22をヨーク部材21に嵌め込む。そして、電磁コイル33を電流リード34、35に電気的に接続した上で、端部側ケース部材23を、ケース26の左右両端に溶接により接続する。溶接方法としては、周辺の温度上昇が少なくなるように局所加熱による方法が好ましく、例えばEBW(電子ビーム溶接)を用いることができる。このとき、ケース26の内周面には、永久磁石32は取り付けられているものの、上記の溶接によっては永久磁石32の温度を上昇させるおそれがない。
次いで、コールドヘッド40に接続されているキャピラリチューブ50を、溶接によりベローズ60に接続する(図3(c))。
ネジ部材71及び補強部材70を取り外し、ベローズ60を長く伸ばす。そして、ベローズ60が長く伸びた状態で、ベローズ60にキャピラリチューブ50を溶接する。ベローズ60がフランジ部62を有し、キャピラリチューブ50がフランジ部51を有するときは、ベローズ60のフランジ部62に、キャピラリチューブ50のフランジ部51を溶接する。溶接方法としては、特に限定されるものではなく、例えばTIG(タングステン・イナート・ガス)溶接その他の各種の溶接方法を用いることができる。このとき、ケース26の内周面には、永久磁石32は取り付けられているものの、ベローズ60が長く伸びた状態である。そのため、溶接によりベローズ60のコールドヘッド40側の部分の温度が上昇しても、ベローズ60のヨーク部材21側の部分の温度はほとんど上昇しない。従って、永久磁石32の温度を上昇させるおそれがない。
あるいは、キャピラリチューブ50を溶接する際に、ベローズ60のヨーク部材21側の部分を空冷、水冷等の各種の方法により冷却してもよい。例えば、濡れタオルを巻く等の方法を用いて、ベローズ60のヨーク部材21側の部分を簡便に冷やすことができる。これにより、永久磁石32の温度が上昇することを防止できる。
次いで、溶接部分が冷却した後に、ベローズ60を短く縮める。そして、ベローズ60が短く縮んだ状態で、ヨーク部材21と反対側からベローズ60をケース26に押さえ付けるように、ネジ部材71により補強部材70をケース26にネジ止めする。これにより、ベローズ60は、ケース26すなわちヨーク部材21に固定され、図1に示したスターリング冷凍機10が完成する。
次に、本実施の形態によれば、圧縮機に設けられた永久磁石の発生磁場を減少させることなく、膨張機を圧縮機に気密に接続できる作用効果について、比較例を参照しながら説明する。
図4は、比較例に係るスターリング冷凍機110の全体構成を示す概略断面図である。図5は、比較例に係るスターリング冷凍機110の製造方法を模式的に示す断面図である。
比較例に係るスターリング冷凍機110も、圧縮機20、コールドヘッド40、及び両者を接続するキャピラリチューブ50を有しており、各部分は、第1の実施の形態に係るスターリング冷凍機10と同様である。
しかし、比較例では、図4に示すように、圧縮機20は、ベローズを介してキャピラリチューブ50と溶接されておらず、メタルシール160によりキャピラリチューブ50のフランジ部51に接続されている。フランジ部51は、ネジ部材52によりネジ止めされることによって、メタルシール160を介してケース26に固定されている。
また、比較例では、ヨーク部材21を作製した後(図5(a))、ケース26の内周面に、環状の永久磁石32を接着剤により接着して取り付ける(図5(b))。そして、永久磁石32が取り付けられたヨーク部材21に、ピストン部材22及び端部側ケース部材23を溶接により取り付ける(図5(c))。
比較例では、ヨーク部材21に、永久磁石32を取り付けた後、ヨーク部材21とキャピラリチューブ50とをメタルシール160により接続する。キャピラリチューブ50と圧縮機20とをメタルシール160を用いて接続する場合には、接続部分における気密が完全でなく、例えば長時間使用後に接続部分にリークが発生し、接続部分から冷媒ガスが漏れることがある。
一方、メタルシール160に代え、キャピラリチューブ50と圧縮機20とを溶接により接続することも考えられる。溶接により接続することによって、リークの発生を防止し、気密に接続することは可能である。しかし、圧縮機20がキャピラリチューブ50と接続する接続部分の近くには、永久磁石32が取り付けられているため、圧縮機20とキャピラリチューブ50とを溶接する際に、永久磁石32の温度が上昇して発生磁場が減少してしまうという問題がある。
一方、本実施の形態では、ヨーク部材21に永久磁石32を取り付ける前に、ヨーク部材21にベローズ60を溶接により接続する。その後、ヨーク部材21に永久磁石32を取り付け、ベローズ60が長く伸びた状態で、ベローズ60とキャピラリチューブ50とを溶接により接続する。そのため、キャピラリチューブ50を溶接する際に、ヨーク部材21の温度及び永久磁石32の温度が上昇することを防止できる。従って、圧縮機20に設けられた永久磁石32の発生磁場を減少させることなく、コールドヘッド40を圧縮機20に気密に接続することができる。
なお、本実施の形態では、キャピラリチューブとベローズとが溶接により接続されているとともに、ベローズが圧縮機と溶接により接続されている例について説明した。しかし、ベローズに代え、キャピラリチューブ(第1のキャピラリチューブという。)と同じ形状のキャピラリチューブ(第2のキャピラリチューブという。)を用いてもよい。そして、第1のキャピラリチューブと第2のキャピラリチューブとが溶接により接続されているとともに、第2のキャピラリチューブが圧縮機と溶接により接続されていてもよい。このとき、第2のキャピラリチューブは、本発明における第1の配管に相当し、第1のキャピラリチューブは、本発明における第2の配管に相当し、第2のキャピラリチューブ及び第1のキャピラリチューブは、本発明における接続配管に相当する。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態に係るスターリング冷凍機について説明する。
本実施の形態に係るスターリング冷凍機は、ベローズに代え所定の長さのチューブを用いる点、及び、チューブがキャピラリチューブよりも管壁が薄い点で、第1の実施の形態に係るスターリング冷凍機と相違する。
図6は、本実施の形態に係るスターリング冷凍機10aの全体構成を示す概略断面図である。
本実施の形態に係るスターリング冷凍機10aも、圧縮機20、コールドヘッド40及びキャピラリチューブ50を有している。スターリング冷凍機10aの圧縮機20、コールドヘッド40及びキャピラリチューブ50は、第1の実施の形態に係るスターリング冷凍機10の圧縮機20、コールドヘッド40及びキャピラリチューブ50のそれぞれと同様であり、説明を省略する。
しかし、本実施の形態では、図6に示すように、圧縮機20は、ベローズを介してキャピラリチューブ50と接続されておらず、チューブ60aを介してキャピラリチューブ50と接続されている。圧縮機20は、溶接によりチューブ60aと接続されており、チューブ60aは、溶接によりキャピラリチューブ50と接続されている。
すなわち、チューブ60aとキャピラリチューブ50とは、圧縮機20側からコールドヘッド40側に向かって直列に配置されており、圧縮機20とコールドヘッド40とを接続するように設けられている。なお、チューブ60aは、本発明における第1の配管に相当し、キャピラリチューブ50は、本発明における第2の配管に相当し、チューブ60a及びキャピラリチューブ50は、本発明における接続配管に相当する。
チューブ60aは、コールドヘッド40側にフランジ部62aを有していてもよい。このとき、フランジ部61aは、キャピラリチューブ50と溶接により接続されていてもよい。
チューブ60aは、キャピラリチューブ50よりも伝熱抵抗が大きいことが好ましい。これにより、チューブ60aとキャピラリチューブ50とを溶接する際に、溶接箇所からヨーク部材21へ熱が伝播する時の伝熱抵抗を大きくすることができる。
また、チューブ60aは、キャピラリチューブ50よりも管壁が薄い方が好ましい。例えば、チューブ60aの管壁の厚さを0.1mmとし、キャピラリチューブ50の管壁の厚さを0.5mmとすることができる。これにより、チューブ60aとキャピラリチューブ50とを溶接する際に、溶接箇所からヨーク部材21へ熱が伝播する時の伝熱抵抗を大きくすることができる。
また、図6に示すように、チューブ60aを補強する補強部材70aが設けられていてもよい。補強部材70aは、チューブ60aと等しい長さを有し、補強部材70aのヨーク部材21と反対側をケース26に押さえ付けるように、ネジ部材71aによりネジ止めされることによって、ケース26に固定されていてもよい。そして、補強部材70aは、チューブ60aとキャピラリチューブ50とを溶接により接続する際に、ケース26からもチューブ60aからも取外し可能に設けられていることが好ましい。
図7及び図8は、本実施の形態に係るスターリング冷凍機10aの製造方法を模式的に示す断面図である。
始めに、第1の実施の形態において図2(a)を用いて説明した工程と同様に、ヨーク部材21を作製する(図7(a))。
次いで、チューブ60aの内部がガス流路30と連通するように、ケース26に、チューブ60aを溶接により接続する(図7(b))。溶接方法としては、特に限定されるものではなく、例えばTIG(タングステン・イナート・ガス)溶接その他の各種の溶接方法を用いることができる。このとき、ケース26の内周面には、永久磁石32は取り付けられていないため、溶接によりケース26の温度が上昇しても、永久磁石32の温度を上昇させるおそれがない。
次いで、補強部材70aをネジ部材71aによりケース26にネジ止めすることによって、チューブ60aを補強する(図7(c))。ヨーク部材21と反対側からチューブ60aをケース26に押さえ付けるように、ネジ部材71aにより補強部材70aをケース26にネジ止めする。これにより、チューブ60aは、ケース26すなわちヨーク部材21に固定される。
次いで、ケース26の内周面に、環状の永久磁石32を接着剤により接着して取り付け(図8(a))、ヨーク部材21に、ピストン部材22及び端部側ケース部材23を取り付ける(図8(b))。これらの工程は、第1の実施の形態で図3(a)及び図3(b)を用いて説明した工程と同様にすることができる。また、永久磁石32を、例えば取り付け部材による固定等、接着以外の各種の方法により、ケース26の内周面に取り付けてもよい。
次いで、コールドヘッド40に接続されているキャピラリチューブ50を、溶接によりチューブ60aに接続する(図8(c))。
ネジ部材71a及び補強部材70aを取り外す。そして、補強部材70aを取り外した状態で、チューブ60aにキャピラリチューブ50を溶接する。チューブ60aがフランジ部62aを有するときは、チューブ60aのフランジ部62aに、キャピラリチューブ50を溶接する。溶接方法としては、特に限定されるものではなく、例えばTIG(タングステン・イナート・ガス)溶接その他の各種の溶接方法を用いることができる。このとき、ケース26の内周面には、永久磁石32は取り付けられているものの、チューブ60aが長く伸びた状態である。そのため、溶接によりチューブ60aのコールドヘッド40側の部分の温度が上昇しても、チューブ60aのヨーク部材21側の温度はほとんど上昇しない。従って、永久磁石32の温度を上昇させるおそれがない。
あるいは、キャピラリチューブ50を溶接する際に、チューブ60aのヨーク部材21側の部分を空冷、水冷等の各種の方法により冷却してもよい。例えば、濡れタオルを巻く等の方法を用いて、チューブ60aのヨーク部材21側の部分を簡便に冷やすことができる。これにより、永久磁石32の温度が上昇することを防止できる。
次いで、溶接部分が冷却した後、ヨーク部材21と反対側からチューブ60aをケース26に押さえ付けるように、ネジ部材71aにより補強部材70aをケース26にネジ止めする。これにより、チューブ60aは、ケース26すなわちヨーク部材21に固定され、図6に示したスターリング冷凍機10aが完成する。
本実施の形態では、ヨーク部材21に永久磁石32を取り付ける前に、ヨーク部材21にチューブ60aを溶接により接続する。その後、ヨーク部材21に永久磁石32を取り付け、チューブ60aとキャピラリチューブ50とを溶接により接続する。そのため、キャピラリチューブ50を溶接する際に、ヨーク部材21の温度及び永久磁石32の温度が上昇することを防止できる。また、溶接後に補強部材を取り付けることで、溶接時に補強部材を介してヨーク部材21に熱が伝わることを防止できる。従って、圧縮機20に設けられた永久磁石32の発生磁場を減少させることなく、コールドヘッド40を圧縮機20に気密に接続することができる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態に係るスターリング冷凍機について説明する。
本実施の形態に係るスターリング冷凍機は、圧縮機と一体に成形されてなる突出配管を有する点で、第1の実施の形態に係るスターリング冷凍機と相違する。
図9は、本実施の形態に係るスターリング冷凍機10bの全体構成を示す概略断面図である。
本実施の形態に係るスターリング冷凍機10bも、圧縮機20、コールドヘッド40及びキャピラリチューブ50を有している。スターリング冷凍機10bの圧縮機20、コールドヘッド40及びキャピラリチューブ50は、第1の実施の形態に係るスターリング冷凍機10の圧縮機20、コールドヘッド40及びキャピラリチューブ50のそれぞれと同様であり、説明を省略する。
しかし、本実施の形態では、図9に示すように、圧縮機20のヨーク部材21bから突出するとともにヨーク部材21bと一体に成形されてなる突出配管60bを有しており、突出配管60bを介してキャピラリチューブ50と接続されている。突出配管60bは、溶接によりキャピラリチューブ50と接続されている。なお、キャピラリチューブ50は、本発明における接続配管に相当する。
突出配管60bは、コールドヘッド40側にフランジ部61bを有していてもよい。このとき、フランジ部61bは、キャピラリチューブ50と溶接により接続されていてもよい。
突出配管60bは、キャピラリチューブ50よりも伝熱抵抗が大きいことが好ましい。これにより、突出配管60bとキャピラリチューブ50とを溶接する際に、溶接箇所からヨーク部材21bへ熱が伝播する時の伝熱抵抗を大きくすることができる。
また、突出配管60bは、キャピラリチューブ50よりも管壁が薄い方が好ましい。例えば、突出配管60bの管壁の厚さを0.1mmとし、キャピラリチューブ50の管壁の厚さを0.5mmとすることができる。これにより、突出配管60bとキャピラリチューブ50とを溶接する際に、溶接箇所からヨーク部材21bへ熱が伝播する時の伝熱抵抗を大きくすることができる。
図10は、本実施の形態に係るスターリング冷凍機10bの製造方法を模式的に示す断面図である。
始めに、ヨーク部材21bを作製する(図10(a))。本実施の形態では、ヨーク部材21bは、隔壁24、シリンダ25、ケース26に加え、突出配管60bを有する。ヨーク部材21bは、鉄又は各種の磁性鋼よりなり、鋳造、鍛造、削り出し等により一体で作製することができる。この時点では、ケース26の内周面には、永久磁石32は取り付けられていない。
次いで、ケース26の内周面に、環状の永久磁石32を接着剤により接着して取り付ける(図10(b))。そして、永久磁石32が取り付けられたヨーク部材21bに、ピストン部材22及び端部側ケース部材23を溶接により取り付ける(図10(c))。
次いで、コールドヘッド40に接続されているキャピラリチューブ50を、第1の実施の形態において図3(c)を用いて説明した工程と同様に、溶接により突出配管60bに接続する。これにより、図9に示したスターリング冷凍機10bが完成する。
本実施の形態では、突出配管60bが一体に形成されたヨーク部材21bを作製し、ヨーク部材21bに永久磁石32を取り付けた後、突出配管60bとキャピラリチューブ50とを溶接により接続する。そのため、キャピラリチューブ50を溶接する際に、ヨーク部材21bの温度及び永久磁石32の温度が上昇することを防止できる。従って、圧縮機20に設けられた永久磁石32の発生磁場を減少させることなく、コールドヘッド40を圧縮機20に気密に接続することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
実施の形態では、ケース26の内周が外側ヨーク、シリンダが内側ヨークとしての機能を兼ねる例について説明したが、これに限られず、ケースと外側ヨーク、シリンダと内側ヨークとをそれぞれ別部材としてもよい。