JP5656654B2 - ベント形蓄電池 - Google Patents

ベント形蓄電池

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Description

本発明は、極板群と、極板群の積層方向外側に配置されたスペーサーと、を電槽内部に収容したベント形蓄電池に関する。
従来、部品の共通化のために、同じ寸法の電槽を使用し、異なる容量のベント形蓄電池が形成されていた。この場合、小容量蓄電池においては、極板の構成枚数が少なくなるため、極板群と電槽との間にスペースが生じる。そのため、極板群の積層方向の両外側面の極板群と電槽との間隔にスペーサーを挿入している。この種のスペーサーは、電解液中で浮き易い性質がある。この種のスペーサーの浮き上がりを防止するために、本出願人は先に、電槽内の極板群上方に、極柱貫通孔を形成した平板部と中央に極板群上端に至る凹部とからなり、該凹部外側面の極板群積層方向に平行な面に突起部を形成したサポート部材を備えた蓄電池を提案している(例えば、特許文献1参照)。そして、このサポート部材は、極板群の上部に形成された極柱をその極柱貫通孔に貫通させて極板群の上方に配置される。また、サポート部材の凹部の底面は極板群の上端に当接して配置される。このとき、サポート部材の凹部の側面に形成された突起部はスペーサーの上端に当接している。
実用新案登録第3101971号公報
ところが、前記サポート部材は、成形容易な成形用抜き金型を用い簡単に一体成形することができるとしている。しかしながら、このサポート部材は形状が複雑な上に寸法も大きくなるために、部品成型用の金型が複雑化したり、原材料費が増えたりするなどし、作製コストが増加した。
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、簡単な構造でスペーサーの浮き上がりを防止することができるベント形蓄電池を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、電槽蓋で上部開口部を閉封される電槽内に、正極板と負極板とをセパレーターを介して交互に積層させた極板群と、極板群の積層方向の両外側面に配置されたスペーサーと、を備えるベント形蓄電池において、前記極板群の正極と負極の接続導体の間に前記電槽蓋と別体に形成されて、前記スペーサーの浮き上りを防止するサポート部材を備え、前記サポート部材は、前記スペーサーの上面と、前記電槽蓋の下面と、少なくとも一つの接続導体に当接して保持されると共に、前記極板群の積層方向に対向する電槽の前面から背面に亘って配置される平板部材により形成されていることを特徴とするベント形蓄電池である。
この構成によれば、サポート部材は、複雑な成型金型を用いることなく形成することができ、作製コストを削減することができる。また、サポート部材は、スペーサーの上面と、電槽蓋の下面とに当接するように形成されているため、極板群の正極と負極の接続導体の間にサポート部材を配置するだけでスペーサーの浮き上がりを防止することができるため、組み立て作業性が良い。
この構成において、前記電槽と、前記サポート部材と、は透明な部材から形成されている構成としても良い。
この構成によれば、電槽を透明にし、電槽内に配置されるサポート部材も透明にしたために、電槽内の電解液の液面の高さを電槽の外側から容易に目視して確認することができ、電槽に電解液の注入が必要か否かを容易に判断することができる。
また、前記サポート部材は、上面、底面及び一対の側面に囲まれた中央に開孔を備えた略筒形状、上部開口部及び底面があり、一対の側面の対辺が存在する断面略V字形状、或いは、平板形状に形成されている構成としても良い。
また、前記サポート部材は、少なくとも1面に孔が形成されている構成としても良い。
この構成によれば、電槽内の接続導体間で電解液が行き来しやすくなるため、注液性を向上させることができる。
また、前記サポート部材は、極板群及びスペーサー、接続導体、集電リードの間に形成される空間内に配置された時に、その垂直方向の高さが、極板群及びスペーサーの上面から電槽蓋の下面までの高さより高く形成されていても良い。
この構成によれば、サポート部材の高さの違い分が押し代となって、サポート部材の側面が接続導体に沿うように配置されるため、サポート部材の横方向への動きが抑制され、サポート部材の安定性を向上させることができる。
本発明によれば、極板群の正極と負極の接続導体の間に電槽蓋と別体に形成されたサポート部材を備え、該サポート部材は、スペーサーの上面から電槽蓋の下面までの高さを有すると共に、極板群の積層方向に対向する電槽の前面から背面に亘って配置されているスペーサーの上面から電槽蓋の下面までの高さを有するため、簡単な構造でスペーサーの浮き上がりを防止することができるという効果を奏する。
本実施形態のベント形蓄電池の構成を示す斜視図である。 ベント形蓄電池の正面図である。 ベント形蓄電池の側面断面図である。 サポート部材の斜視図である。 サポート部材の別の形態を示す図である。 サポート部材の別の形態を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るベント形蓄電池1を示し、電槽20から、極板群11を引き出した状態を示す斜視図である。図2はベント形蓄電池の正面図であり、図3はこのベント形蓄電池1の側面断面図である。
図1や図3に示すように、ベント形蓄電池1は、極板群11と、極板群11の両外側面に配置したスペーサー17bで構成されたものを押え具18で極板群11の積層方向に対して横方向から挟持して一体にし、これらを電槽20の上部開口部から電槽20内に挿入して形成されている。ここで、押え具18は、ベント形蓄電池1では、同じ電槽で数種類の容量の電池を作製する場合があり、このとき極板群11の両外側面にスペーサー17bを配置して、これを抑え具18によって保持するものである。そして、その外側には電槽20との間のスペースを調整するためのスペーサー17aが挿入されている。なお、ここでは、その一例として2つの極板群11,11を備えている場合を示した。極板群11は、以下の各構成部材の図示は省略したが、ペースト式あるいは焼結式の正極板とペースト式あるいは焼結式の負極板を間にセパレーターを介して、負極板で正極板を挟みこむように、交互に積層させて形成している。また、セパレーターは、2枚の不織布の間にポリオレフィンシート等の微多孔性フィルムを挟み込んで形成され、各極板と不織布が接するように配置される。
図2に示すように、各極板の上部からは、集電リード12が突出している。各負極板から突出する集電リード12aは図2中の右側に集められ、各正極板から突出する集電リード12bは図2中の左側に集められている。集電リード12a,12bは、図2に示すように、各極板からの突出箇所において、所定の間隔W1離れた状態で配置されている。各集電リード12a,12bは、それぞれ金属製の接続導体13,14で挟み込むようにして収束されている。接続導体13,14は、電槽蓋22の下面まで延在し、接続導体13,14は互いに所定の間隔W2離れた状態で配置されている。接続導体13,14の上部には、負極柱15、正極柱16がそれぞれ当接するように配置されて溶接される。
極板群11を構成する極板の枚数は、作製するベント形蓄電池1の容量によって増減する。容量の異なるベント形蓄電池1を、同じ寸法の電槽20を使用して作製するため、容量の小さいベント形蓄電池1を作製する場合、極板群11を構成する極板の枚数が少なくなり、極板群11の厚さが薄くなる。そのため、図3に示すように、極板群11の積層方向の両外側と、電槽20との間にできる間隔を埋めるように、極板群11の積層方向の両外側面には、スペーサー17bが、また、極板群の外側の電槽20側のスペーサー17bと電槽20との間には、スペーサー17aがそれぞれ配置される。スペーサー17a,bは、ポリプロピレン等の樹脂から形成され、作製するベント形蓄電池1の容量によって、厚みや枚数が変えられる。スペーサー17の高さ及び横幅寸法は、各極板の寸法と略同じ大きさに形成されている。なお、ベント形蓄電池1は、図3に示す例では、各極板群11の両外側面にスペーサー17bを、そして、スペーサー17bの電槽側にそれぞれスペーサー17aを、合計6枚配置しているが、極板群11、11間の真ん中のスペーサー17b2枚、電槽20側のスペーサー17aと17b2枚を、それぞれ1枚で構成しても構わない。
集電リード12a,12bの間には、図2及び図3で示すように、サポート部材21が挿入される。サポート部材21は、断面略V字形状に形成され、極板群11の積層方向に向かって、電槽20の前面から背面に亘る電槽20の奥行き寸法L1に対して嵌合して収まるように配置される。サポート部材21の下端部は、各集電リード12a,12bの間隔W1に対して嵌合して収まるように配置され、スペーサー17a,17bの上端面に当接して備えられる。また、サポート部材21は、その上端面が、電槽蓋22の下面に当接した状態で、電槽蓋22、極板群11及びスペーサー17a,17b、接続導体13,14、集電リード12a,12bの間に形成される空間R内に収容される。
電槽蓋22には、図3に示すように負極柱15、正極柱16が貫通する極柱貫通孔23,24が設けられている。電槽蓋22は、極柱貫通孔23,24に負極柱15、正極柱16が貫通した状態で、電槽20に超音波または接着剤により融着される。図2に示すように電槽蓋22の下面と、極板群11の上面の間隔H1は、容量の異なる蓄電池においても略同じ高さに形成される。
電槽蓋22の略中央部には、図1に示すように注液口25が形成される。電槽20に電槽蓋22を超音波または接着剤により融着した後に、電槽20の側面に設けられた不図示の最高液面線の高さまで、電解液注液口25から電解液を注液する。電解液注液口25は、Oリングや座金等を介して着脱自在の注液栓26で封止される。また、注液栓26を取り外した際には、電解液注液口25には、不図示の比重計を挿入することができるように構成されている。
電槽20の側面には、図示しないが、最高液面線の下側に、最低液面線が設けられている。最低液面線は、電槽20の内部に収容した極板群11の上面と略同じ高さに設けられている。電槽20は、透明な樹脂材から形成され、電槽20の外側から電解液の液面の高さが目視できるように構成されている。また、電槽20が透明な樹脂材から形成されているため、サポート部材21が挿入されているかが電槽20の外側からも目視で容易に確認することができる。
また、負極柱15および正極柱16の上部には螺子溝が刻まれている。負極柱15および正極柱16は、電槽20に電槽蓋22を超音波または接着剤により融着した後に、上部からナット27,28などで螺合されて、電槽蓋22に気液密に締結される。
サポート部材21は、透明な、塩化ビニルやナイロン等の耐アルカリ性、耐酸性を有する合成樹脂から形成される。断面が略V字形状に形成されているサポート部材21は、例えば、塩化ビニル製の平板部材を断面略V字形状に折り曲げて形成する構成としても良い。サポート部材21は、図4に示すサポート部材21の上端部21a,21aが電槽蓋22の下面に当接し、サポート部材21の下端部21bがスペーサー17a,17bの上面と当接した状態で電槽20の内部に収容される。また、サポート部材21の側面21c,21dの上部は、それぞれ接続導体13,14の上部に当接した状態で配置される。これによって、サポート部材21は、電槽蓋22、極板群11及びスペーサー17a,17b、接続導体13,14、集電リード12a,12bの間に形成される空間R内に確実に保持される。また、サポート部材21は、透明であるため、透明な電槽20の外側から電槽内の電解液の液面の高さが確認しやすくなっている。
サポート部材21の奥行き方向の寸法L2は、電槽20の前面から背面に亘る電槽20の内部寸法L1(図3参照)と略同じ寸法に形成されている。そのため、極板群11の積層方向の両外側と電槽20との間にできる間隔を埋めるように、極板群11の積層方向の両外側面に配置されたスペーサー17a,17bの上面には、サポート部材21の下端部21bが当接して備えられる。
サポート部材21の下端部21bの幅W1は、集電リード12a,12bの間隔W1と略同じ寸法に形成され、サポート部材21の下端部21bは集電リード12a,12b間の間隔に嵌合されて保持される。また、サポート部材21の上端部21a,21a間の幅W3は、接続導体13,14の間隔W2と略同じか、若干広く形成されている。
サポート部材21の高さH2は、極板群11を電槽20の内部に収容した状態で、極板群11の上面から、電槽蓋22の下面までの高さH1(図2参照)と略同じか、若干高く形成されている。
これらの構成によれば、サポート部材21は空間Rに配置された状態で、電槽蓋22によって極板群11及びスペーサー17a,17bの上面に対して押さえ込まれると共に、接続導体13,14の間に挟みこまれる。そのため、電槽20内部で移動するのを防ぐことができる。また、塩化ビニルやナイロン等で形成されたサポート部材21は、若干の弾性を有し、その高さH2が、極板群11及びスペーサー17a,17bの上面から電槽蓋22の下面までの高さH1よりも若干高く形成された場合には、その高さの違い分が押し代となる。そのため、サポート部材21は、電槽蓋22で押し込まれ、サポート部材21の側面21c,21dが、接続導体13,14に沿うように配置される。そのため、サポート部材21の横方向への動きが抑制され、サポート部材21の設置の安定性が向上する。
なお、サポート部材21は、図5(A),(B)に示されるように、側面21c,21dに、接続導体13,14間に連通する孔29が形成されている構成としても良い。孔29は、一つないし複数設けられている構成としても良い。図5(A)では、側面の下部から底面に亘って連続する孔29が形成されている。また、図5(B)では、側面の中央に孔29が形成され、また側面の側縁部に半円状の孔29が形成されている。この構成によれば、電槽20内の接続導体13,14間で電解液が行き来しやすくなるため、注液性が向上する。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態では、サポート部材21は、作製のし易さ及びサポート部材の、配置された状態での安定性を考えて、断面略V字形状に形成している。ここで、断面略V字形状とするときは、上部開口部及び底面があり、一対の側面の対辺が存在する形状に形成されていれば良く、断面が略U字形状や略コ字形状であっても問題ない。しかしながら、極板群11の上面から電槽蓋22の下面までの高さと略同じ高さ寸法に形成され、極板群11の積層方向の両外側面に配置されたスペーサー17a,17bの上面に当接するように電槽20内に配置することができれば、前記形状に限定されない。例えば、図6(A),(B)に示されるように、中央に比重計が挿入される孔29を備えた略筒形状や平板形状に形成されていても良い。図6(A)では、前記断面略V字形状のサポート部材に上面を加えて略筒形状に形成すると共に、前記上面の中央に孔29を形成したものであり、その上端部は若干上方向に向かって湾曲したように形成される。そして、この湾曲した部分の高さ(押し代)δが、サポート部材21を空間R内に配置した時に、電槽蓋22によって押し込まれる。押し代δが押さえこまれることで、略筒形状のサポート部材21の両側面が接続導体13,14の上部に沿うように密接し、サポート部材21の安定性が向上する。また、図6(B)では、1枚の平板でサポート部材を構成したものであり、その中央には孔29が形成されている。また、このサポート部材は、空間R内でその上端部が電槽蓋の下面に当接し、その下端部がスペーサーの上面と当接するのはもちろんであるが、さらにその上端部が一方の接続導体(例えば正極側)と、その下端部が他方の集電リード(例えば負極側)に当接するよう対角線上に配置される。
サポート部材21は、或いは、図6(C)に示されるように、電槽20の前面及び背面と、極板群11の上面に当接する3面を備え、極板群11の上面から電槽蓋22の下面までの高さと略同じ高さ寸法に形成された略コ字形状に形成されていても良い。図6(C)に示されるサポート部材21の長さL2は、電槽20の奥行き寸法L1と略同じ長さに形成されている。そのため、サポート部材21の側面21e,21fは、電槽20の前面及び背面の内側の面に密接した状態で保持される。これによって、サポート部材21の設置の安定性を向上することができる。
なお、本発明の実施形態では電池種を限定していないが、ベント形のアルカリ蓄電池だけでなく、ベント形の鉛蓄電池にも適用可能である。また、略同様の構成を採る他の据置タイプのベント形蓄電池においても適用することができる。
その他の細部構成等についても任意に変更可能であることは勿論である。
1 ベント形蓄電池
11 極板群
12a、12b 集電リード
13、14 接続導体
15 負極柱
16 正極柱
17a、17b スペーサー
20 電槽
21 サポート部材
22 電槽蓋
25 電解液注液口
26 注液栓
R 空間

Claims (5)

  1. 電槽蓋で上部開口部を閉封される電槽内に、正極板と負極板とをセパレーターを介して交互に積層させた極板群と、極板群の積層方向の両外側面に配置されたスペーサーと、を備えるベント形蓄電池において、
    前記極板群の正極と負極の接続導体の間に前記電槽蓋と別体に形成されて、前記スペーサーの浮き上りを防止するサポート部材を備え、前記サポート部材は、前記スペーサーの上面と、前記電槽蓋の下面と、少なくとも一つの接続導体に当接して保持されると共に、前記極板群の積層方向に対向する電槽の前面から背面に亘って配置される平板部材により形成されていることを特徴とするベント形蓄電池。
  2. 前記電槽と、前記サポート部材と、は透明な部材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベント形蓄電池。
  3. 前記サポート部材は、上面、底面及び一対の側面に囲まれた中央に開孔を備えた略筒形状、上部開口部及び底面があり、一対の側面の対辺が存在する断面略V字形状、或いは、平板形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベント形蓄電池。
  4. 前記サポート部材は、少なくとも1面に孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のベント形蓄電池。
  5. 前記サポート部材は、極板群及びスペーサー、接続導体、集電リードの間に形成される空間内に配置された時に、その垂直方向の高さが、極板群及びスペーサーの上面から電槽蓋の下面までの高さより高く形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のベント形蓄電池。
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