JP5656079B2 - 親水性積層フッ素樹脂フィルム - Google Patents

親水性積層フッ素樹脂フィルム Download PDF

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Description

本発明は、表面に親水層を形成した親水性積層フッ素樹脂フィルムに関するものであり、さらに詳しくはフッ素樹脂フィルムの表面に下地処理層を介して親水層を形成することにより、卓越した親水性、防曇性、流滴性、防汚性を有し、屋外での使用およびハンドリング中の擦れや変形においても優れた耐久性を示す親水性積層フッ素樹脂フィルムに関する。
フッ素樹脂フィルムはその優れた耐候性、透明性、機械特性、防湿性から、農業ハウス用被覆材、屋根膜材、窓材、建材外装材、太陽電池表面保護材、集光パネル表面材、表示板表面材、装置窓材等に使用される。
しかしながら、フッ素樹脂フィルムは表面張力が低いため、フィルム表面で水蒸気が凝縮すると水滴となり、光の透過性や透視性が悪化したり、水滴が落下しやすいなどの欠点があった。
例えば、フッ素樹脂フィルムを農業ハウス用被覆材に用いる場合、外気温度の低下によってハウス内の水蒸気がハウス内側のフィルム表面に凝縮し、水滴となって光線の透過を妨げ作物の成長障害を引き起こすばかりでなく、水滴が落下して作物の品質劣化を起こすなどの問題があった。
この問題を解決するために、特許文献1および2にはフッ素樹脂フィルムに親水性樹脂と無機微粒子を含む塗布層を設けて表面親水化による防曇性を付与する方法、あるいは特許文献3にはフッ素樹脂フィルムに紫外線吸収樹脂層を介して親水性樹脂と無機微粒子を含む塗布層を設け、紫外線透過抑制と流滴性を兼備した積層フィルムが提案されている。
また、特許文献4には、フッ素樹脂フィルムに無機塗料組成物からなる塗布層を設けて親水性、防汚性を付与する方法が提案されている。
さらに、特許文献5には、フッ素樹脂フィルムを太陽電池表面保護材として屋外設置した場合、傷つき易さや撥水性のため、付着した汚れが雨で洗い流され難く光線透過率が低下する問題のために、フッ素樹脂フィルムとの接着耐久性を高めるプライマー層と、最外層に有機珪素化合物を含む表面保護層を設け、防汚性に優れたフッ素樹脂フィルムが提案されている。
特開平1−123737号公報 特開平11−146732号公報 特開2004−136646号公報 特開2007−99884号公報 特公平5−5250号公報
しかし、特許文献1、2、および3に代表される親水性樹脂と無機微粒子を含む塗布層を設けてフッ素樹脂フィルムに防曇性を付与する方法は、塗布層に樹脂を含むため親水性が不十分であり、高湿度の環境下では水滴付着による曇りや水滴落下が発生する。さらに、長期使用においては、塗布層に含まれる樹脂が紫外線や水分により劣化するために、防曇性低下や塗膜の剥離等の発生により、長期間にわたって性能を保持出来ない問題があった。
特許文献4に代表される無機塗料組成物からなる塗布層を設ける方法は、被膜の強度が十分でないため、取り扱い中に削れや傷が発生しやすく、発生した表面欠点が原因で長期使用中に親水性、防汚性が低下する問題があった。
特許文献5に代表されるシランカップリング剤をプライマー層として最外層に有機珪素化合物を含む表面保護層を設けた方法は、表面の傷つき易さは改善されるが、最外層の有機珪素化合物の親水性が不十分なために、大きな温度変化や高湿度の環境下では水滴付着による曇りや水滴落下が発生する。またプライマー層のシランカップリング剤が耐久性不足のために、長期の屋外使用では風などによるフィルムの振動で、被膜にクラックが入るなどの問題があった。
本発明の目的は上記問題を解決するものであり、防曇性、流滴性、透明性の長期耐久性、および取り扱い性に優れた親水性積層フッ素樹脂フィルムを提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、
(1)フッ素樹脂フィルムの少なくとも片面に、ヒンダードアミン系紫外線安定基を含むアクリル樹脂を主成分とする組成物から成る厚さ0.05μm〜1.0μmの範囲の下地処理層を形成し、該下地処理層上に非晶性シリカおよびポリシリケートを主成分とする厚さ0.05μm〜2.0μmの範囲であり、水の接触角が5〜40度の範囲の親水層を設けてなる親水性積層フッ素樹脂フィルムとしたものであり、さらに好ましい形態によれば、
(2)前記非晶性シリカとポリシリケートを主成分とする親水層が、29Si固体NMR分析においてQn構造(n=2〜4)を示し、その測定スペクトルのQn構造を示す総ピーク面積に対するQ2、Q3、Q4ピークの各面積比が各々2〜8%、30〜40%、55〜68%であることを特徴とする上記の親水性積層フッ素樹脂フィルムとしたものである。
本発明によれば、以下に説明するとおり、防曇性、流滴性、透明性の長期耐久性に優れ、かつ取り扱い性に優れた親水性積層フッ素樹脂フィルムを得ることができる。
本発明の親水性積層フッ素樹脂フィルムの用途は、限定はしないが、農業ハウス用被覆材、屋根膜材、装置窓材、太陽電池表面保護材、集光パネル表面材、建材外装材として特に有用である。
本発明においてフッ素樹脂フィルムとは、フルオロオレフィン単独重合体、フルオロオレフィンの2種以上の共重合体、またはフルオロオレフィン1種以上とその他のモノマーとの共重合体からなる樹脂フィルムである。
フルオロオレフィンは重合性不飽和結合とフッ素原子とを有するモノマーであり、他に水素原子や塩素原子、酸素原子などを有していてもよい。フルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンが挙げられる。その他のモノマーとしては非フッ素系モノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、ブテン、ノルボルネンなどのオレフィン類、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテルなどのアルケニルエーテル類、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ピバリン酸アリルなどのアルケニルエステル類が挙げられる。
代表的なフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・プロピレン系共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン系共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・エチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン・パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA)などのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン・ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン系共重合体(ECTFE)が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらの混合物、およびこれらを主成分にしたフッ素樹脂も含まれる。
フッ素樹脂の特性を損なわない範囲で、フッ素を含まない熱可塑性樹脂、各種添加剤を配合することができる。例えば、熱可塑性樹脂としてはオレフィン系、アクリル系、エステル系、アミド系などの各種樹脂、添加剤としては各種顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、分散剤などが挙げられる。
農業ハウス用被覆材として用いる場合、ベースフィルムとなるフッ素樹脂フィルムは製膜性、透明性、取り扱い性、コストなどからETFE、FEP、PVF、PVDF、PVDFを主成分とするフィルムが好ましく、ETFEフィルムがより好ましい。
フィルム化は溶融押出製膜、カレンダ製膜、溶液製膜など公知の製膜方法が適用できるが、溶融押出製膜が膜厚制御、生産性などの点で好ましい。フィルムは無延伸、一軸延伸、二軸延伸のいずれでも良いが、寸法安定性、透明性、製膜簡便性の点で、実質的に無配向の無延伸フィルムが好ましい。フィルム厚さは限定されないが、5〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましい。10μm未満では腰が弱いため取り扱い性に劣り、強度が十分でないため好ましくない。300μm超では透明性が低下し、重量が重くなり取り扱い性に劣るため好ましくない。
フィルム表面は、形成塗膜の均一性、特性向上および耐久性保持の点から平滑であることが望ましく、JIS B0601(1994)に基づく十点平均粗さ(Rz)は、Rz=0.4μm以下が好ましく、Rz=0.3μm以下がより好ましく、Rz=0.2μm以下が更に好ましい。
一般的に、フッ素樹脂フィルムは他の物質との親和性が弱いため、他の物質と接着させるには易接着処理が必要である。易接着処理の方法は、例えばコロナ、低温プラズマ、スパッタなどの放電処理、フレーム処理、ナトリウム処理などの化学処理、サンドブラストなどの物理処理等が挙げられる。本発明においては、接着性、表面平滑性、および透明性の点でコロナ処理または低温プラズマ処理が好ましく、処理の簡便性の点でコロナ処理がより好ましい。
本発明において下地処理層とは、最外面に形成される親水層の特性を効果的に長期に渡って安定して発現させるために、ベースとなるフッ素樹脂フィルムと親水層の間に形成する樹脂層である。下地処理はフッ素樹脂フィルムの易接着処理された面に形成するのがより好ましい。
該樹脂層は、ヒンダードアミン系紫外線安定基を含むアクリル樹脂を主成分とする組成物である。ヒンダードアミン系紫外線安定基とは、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル基などの2,2,6,6−テトラアルキル−4−ピペリジル基、あるいは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基を指し、これらヒンダードアミン系光安定基を分子骨格に組み込んだアクリル樹脂に、イソシアネート基などの架橋反応基を有する成分を加え、硬化性樹脂組成物としたものが好ましい。目的を損なわない範囲で、有機および無機微粒子、分散剤、各種安定剤、添加剤を加えることもできる。
該樹脂組成物の架橋は熱による自己架橋であってもよいが、上述のように架橋剤を併用するのが好ましい。好ましい架橋剤としては、例えば、イソシアネート類、メラミン類、エポキシ類、オキサゾリン類が好ましく、イソシアネート類が塗膜密着性および耐候性の点でより好ましい。架橋剤の配合量は、特に限定されないが、樹脂組成物固形分100重量部に対して2〜10重量部とするのが塗膜密着性および耐候性の点で好ましい。
該下地処理層の形成は、上記樹脂組成物を有機溶媒に溶解した樹脂溶液または上記樹脂組成物微粒子の分散液を、前記フッ素樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布、乾燥して形成するのが好ましく、薄膜均一性および表面平坦性の点で樹脂溶液を用いるのがより好ましい。
該下地処理層の形成方法としては公知のコーティング方法を用いることができる。下地処理層の塗膜形成で重要な塗膜の均一性、表面平坦性、および膜厚制御の容易性から、グラビア塗布、マイクログラビア塗布、リバース塗布、メタリングバー塗布が好ましく、塗布後、熱風乾燥、赤外線乾燥、電磁波乾燥などで脱溶媒して塗膜形成する装置が適用できる。下地処理層の厚さは、折れ曲げ性、経済性の点で薄いほど好ましいが、下地処理層上に形成する親水層の性能を確保する点から、0.05μm〜1μmの範囲であることが重要であり、0.2μm〜0.5μmの範囲が好ましい。該下地処理層の厚さが0.05μm未満では塗膜均一性、表面の平坦性が不十分で親水層に欠陥の発生があり、1μm以上では可撓性が不十分であり、取り扱い中や屋外使用で風などによるフィルムの振動で被膜にクラックが発生しやすくなる。
本発明において最外層として好適な親水層は、非晶性シリカおよびポリシリケートを主成分とする組成物から成る被膜である。非晶性シリカは、親水層の耐久性を保持するために必須であり、ポリシリケートは非晶性シリカを含む塗膜を形成するために必須である。すなわち非晶性シリカのみでは有用な塗膜の形成はできず、ポリシリケートのみでは親水層の耐久性が発現できない。
該親水層は、29Si固体NMR(核磁気共鳴分光法)分析において、固体状態のQn構造(n=2〜4、nはSiO4四面体の四つの酸素のうち架橋状態にある酸素の個数を表し、Qnはその分率を表す)に帰属するピークスペクトルを示す。Qn構造を示す該スペクトルにおいて、Q0は−67〜−80ppmの範囲にピークを持つ一般式(1)に示す構造、Q1は−80〜−90ppmの範囲にピークを持つ一般式(2)に示す構造、Q2は−90〜−96ppmの範囲にピークを持つ一般式(3)に示す構造、Q3は−96〜−105ppmの範囲にピークを持つ一般式(4)に示す構造、Q4は−105〜−115ppmの範囲にピークを持つ一般式(5)に示す構造であり、各々ピーク面積はその分率に比例することが一般的に知られている。
Figure 0005656079
Figure 0005656079
Figure 0005656079
Figure 0005656079
Figure 0005656079
ここで、Rは水素、あるいはアルキル基を示す。
本発明の親水層は、Q2、Q3、Q4にピークを示し、ピーク面積の総和を100%としたとき、各々の分率はQ2が2〜8%、Q3が30〜40%、Q4が55〜68%の範囲であり、好ましくはQ2が4〜6%、Q3が33〜38%、Q4が58〜65%の範囲である。Q4は、Si−O−Siの4配位の3次元ネットワークの指標であり、Q2、Q3はポリマー状のネットワークの存在に対応することから、Q4が55%に満たないと、親水層の親水性が不十分となることがあり、さらに耐擦過性が不十分となるケースがある。一方Q4が68%を越えると、親水層が固くなりすぎ、耐折れ曲げ性が不十分となるケースがある。
上記特定のQn構造を示すには、非晶性シリカおよびポリシリケートの配合比率が重要であり、非晶性シリカ単体またはポリシリケート単体の被膜では本発明の特定のQn構造を示さず、特徴である卓越した親水性、良好な基材との接着性が得られない。
本発明において非晶性シリカとは、形態として特に限定されるものではなく、微粒子状の粉体でもゾル状の形態でもよい。例えば、非晶質のシリカ微粒子を分散媒中に分散したコロイド状のシリカゾルとして用いるのが好ましく、透明性が求められる用途には中空微粒子のシリカゾルがより好ましい。分散媒は特に限定されないが、水に分散したコロイダルシリカ、あるいはアルコールなどの親水性有機溶媒に分散したコロイダルシリカ、あるいは水と有機溶媒の混合溶媒に分散したコロイダルシリカなどが使用出来る。分散媒中におけるシリカ微粒子の平均粒子径は1〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。コロイダルシリカには必要に応じて、分散剤、粘度調整剤、pH調整剤などの各種添加剤を含有することができる。分散液のpHは特に限定されないが、後述するポリシリケート生成物との混合安定性などの点で酸性が好ましい。非晶性シリカの配合(固形分)割合は、非晶性シリカとポリシリケートの合計に対して25〜95重量%の範囲であり、55〜70重量%の範囲が好ましい。25重量%未満では形成被膜の耐久性が不十分となりやすく、95重量%超では形成被膜の耐折れ曲げ性が不十分となりやすい。
本発明においてポリシリケートとは、一般式(6)で表される珪素化合物の加水分解重縮合物である。
Figure 0005656079
式中、Xは水素、ハロゲン(例えば塩素、フッ素など)、1価の炭化水素基、官能基を含む炭化水素基、OR(Rは1価の炭化水素基)で表されるアルコキシ基、加水分解可能置換基、およびOHで表される水酸基の中から選択される基であり、全て同一であっても、部分的に異なってもよい。少なくとも2つのXはアルコキシ基および水酸基から選択される基であり、下記一般式(7)で表される4官能アルコキシシランが好ましい。
Figure 0005656079
式中、Rは炭素数が1〜10、好ましくは1〜6の1価のアルキル基、または水素である。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種が好ましい。
必要に応じて、下記一般式(8)で表されるアルコキシシランを加えることもできる。
Figure 0005656079
式中、Rは炭素数が1〜10、好ましくは1〜6の1価のアルキル基。R′はRと同様のものに加えて、官能基を含むアルキル基、または水素である。nは1〜4の整数であるが2〜4が好ましい。
例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン等のトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、5、6−エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−オキセタニルプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の官能期を有するトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジエトキシ(3-グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、ジエトキシ(メチル)フェニルシラン等のジアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種を加えることもできる。
上記アルコキシシランを加水分解重縮合反応(例えばゾル・ゲル法と呼ばれる反応)させることによってポリシリケートを生成させることができる。例えば、アルコキシシラン、水をアルコール類の混合溶媒に溶解し、触媒として酸またはアルカリを加え、室温〜200℃の温度下で、5分〜10日間、攪拌しながら反応させる。複数のアルコキシシランを用いる場合は、各々のアルコキシシランを別々に分けて添加して、加水分解重縮合を段階的に行う方法も用いられる。ここで、アルコキシシラン、水、溶媒、触媒の各々の種類、配合割合、および反応温度、反応時間を適宜選択することにより、ポリシリケート前駆体溶液を得ることができる。
溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪属アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体、アセトン、ジメチルホルムアミドなどの親水性有機溶媒が挙げられるが、アルコキシシランの加水分解により生じるアルコールと同じアルコールが好ましい。
必須ではないが、反応をスムーズに進めるため触媒が用いられる。触媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸、スルホン酸などの有機酸、またはアンモニア、塩化ナトリウム、アミンなどの塩基性物質が挙げられるが、無機酸が好ましい。
ポリシリケート前駆体溶液のポリスチレン換算の重量平均分子量は、500〜3000が好ましく、重量平均分子量500未満では被膜形成性に劣り、重量平均分子量3000超では溶液保管性に劣るため好ましくない。
ポリシリケート前駆体溶液は、必要に応じて、反応後の水はアルコール類などの有機溶媒に置換することもできる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪属アルコール類チレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体、アセトン、ジメチルホルムアミドなどの親水性有機溶媒が挙げられる。ポリシリケート前駆体溶液の保管安定性から、溶媒はポリシリケート前駆体の良溶媒が好ましく、これらの親水性有機溶媒に加えて、さらに、トルエン、キシレン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等から選ばれる少なくとも1種を併用することができる。
前記ポリシリケート前駆体溶液に上記非晶性シリカを加えることで、本発明の非晶性シリカとポリシリケートを主成分とする組成物の前駆体(以下、シリカ−ポリシリケート前駆体と呼ぶことがある)の溶液/分散液が得られる。
上記アルコキシシランの加水分解重縮合反応の際に、予め反応溶液にコロイダルシリカなどの非晶性シリカを分散させておき、上記と同様に加水分解重縮合反応を行って、シリカ−ポリシリケート前駆体の溶液/分散液を得ることもできる。
シリカ−ポリシリケート前駆体の固形分濃度は、塗膜の均一性や塗布液の保管安定性の点から、1〜10重量%がより好ましく、1〜5重量%が更に好ましい。
親水層は、前記シリカ−ポリシリケート前駆体の溶液/分散液を、上記フッ素樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、塗布、乾燥して得られる厚さ0.05〜2μmの塗膜である。塗膜の耐久性、可撓性などの点で、厚さ0.05〜0.5μmが好ましく、厚さ0.1〜0.3μmがより好ましい。
親水層は、前記シリカ−ポリシリケート前駆体の溶液/分散液を、上記フッ素樹脂フィルムの少なくとも一方の面に、特定の下地処理層を設けた上に、塗布、乾燥して得られる塗膜であって、水の接触角が5〜40度の範囲であることが必要である。水の接触角5度未満では耐折れ曲げ性、耐久性が問題となり、40度を超えた場合は、本来の目的である防曇性、流滴性が不十分となる。
塗膜形成方法は特に限定されず、公知の方法が適用できる。例えば、スプレー塗布、ディップ塗布、ロール塗布、メタリングバー塗布、グラビア塗布、マイクログラビア塗布、フロー塗布、ナイフ塗布、リバース塗布、ダイ塗布、スピン塗布などで塗布後、乾燥ゾーンを通過させる一般的なコーティング装置が挙げられる。塗膜の厚さ制御、均一性、作業性の点から、グラビア塗布、マイクログラビア塗布、リバース塗布が好ましい。塗布後の乾燥は、自然乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、電磁波乾燥など通常の方法が適用できる。塗布されたシリカ−ポリシリケート前駆体の溶液/分散液は、乾燥による脱水および脱溶媒によって加水分解重縮合反応が完了し、本発明の非晶性シリカとポリシリケートを主成分とする層(親水層)を形成する。
以下、実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、以下の実施例のみに限定されるものではない。
特性は以下の評価方法に基づいて測定したものである。
(1)親水層組成
エチレン・テトラフルオロエチレン共重合樹脂フィルムのコロナ処理面に、親水層となる塗剤を塗布、乾燥し、親水層表面のみを削り出し測定試料とした。
29Si固体NMR(核磁気共鳴分光法)分析
測定装置;Chemagnetics社製CMX−300
測定周波数;29Si:59.640391MHz
観測幅;30.03kHz
パルス幅;90度パルス:4.5μs
化学シフト基準;ヘキサメチルシクロトリシロキサン(外部基準:−9.66ppm)
雰囲気;乾燥空気中
温度;22℃。
(2)接触角
JIS K6768に準じて測定。親水層表面の任意5点の測定の平均値とした。
測定装置;協和界面科学(株)製DM−SA
測定方法;液滴法、θ/2法
液滴;水
測定環境;25℃、50%RH。
(3)表面粗さRz
JIS B0601(1994)に準じて測定。任意5点の測定の平均値とした。
測定装置;接触式三次元粗さ計
測定針;先端径2μm、針圧10mg
カットオフ;0.25mm
測定長;2.0mm
測定環境;25℃、50%RH。
(4)防曇性
温度制御可能な試験室内に設置した恒温水槽の上に、水平面に対して22度の傾斜をつけてステンレス製屋根型フレームを密閉設置し、このフレームに縦65mm×横45mmの開口部を設け、切り出したサンプルを親水層を下にして開口部を塞ぐようにセットした。i)試験室温度を20℃、恒温水温を20℃として30分間保持し、次いで試験室温度を10℃/分の速度で降温し10℃に達した後5分間保持した後、親水層表面の曇りを観察した。ii)続いて、試験室温度を10℃/分の速度で昇温し25℃で保持して昇温開始から曇りが消失するまでの時間を測定し、以下の基準で判定した。◎、○、△を合格とした。
◎:iで曇りがない。
○:iで均一な曇りがあり、且つiiで10分以内で曇りが消失する。
△:iで一部に水滴があり、且つiiで10分以内で水滴が消失する。
×:iで一部に水滴があり、且つiiで10分以内で曇りが消失しない。
××:iで全面に水滴があり、且つiiで60分以内で曇りが消失しない。
(5)流滴性
温度制御可能な試験室内に設置した恒温水槽の上に、水平面に対して22度の傾斜をつけてステンレス製屋根型フレームを密閉設置し、このフレームに縦65mm×横45mmの開口部を設け、切り出したサンプルを親水層を下にして開口部を塞ぐようにセットした。試験室温度を20℃、恒温水温を70℃に保持し、1時間後に親水層表面を観察し、以下の基準で判定した。◎、○、△を合格とした。
◎:全面が均一に濡れており水滴落下がない。
○:部分的に水の流れ跡が見えるが水滴落下はない。
△:部分的に水滴が付着しているが水滴落下はない。
×:部分的に水滴が付着しており一部水滴落下がある。
××:全面に水滴が付着し落下する。
(6)透明性
積層フィルム全体のヘイズで評価した。JIS K7105に準じて測定した。
(7)耐擦過性
形成被膜の傷の付き易さ、剥がれ易さを評価するため下記条件で試験を行った。
形成被膜層を上面に学振型摩耗試験機(JIS L0849の摩擦試験機II形)にセットし、摩擦体に乾布(“カナキン”3号)を使用して200g荷重で10往復摩擦する。試験後の形成被膜層表面の状態を下記評価基準で判定した。◎、○、△は合格とした。
◎:摩擦面に傷が全く発生しない。
○:摩擦面に傷の発生が5本以下。
△:摩擦面に傷の発生が6〜10本。
×:摩擦面に傷の発生が11〜50本未満。
××:摩擦面に全面に傷が発生(50本以上)。
(8)耐折曲性
形成被膜の可撓性を評価するため下記条件で試験を行った。
10cmx10cmに切り出したサンプル(積層フィルム)の形成被膜層を内側にして平面台上で指腹で押さえて折り曲げ、折り目位置の塗布層状態を下記評価基準で判定した。◎、○、△は合格とした。
◎:折り目跡の全長に濁りが全く発生しない。
○:折り目跡の1/5以下に点状の薄い濁りが発生する。
△:折り目跡の1/2以下に0.5mm幅以下の線状の薄い濁りが発生する。
×:折り目跡の全長に0.5mm幅以下の線状の薄い濁りが発生する。
××:折り目跡の全長に1mm幅以上の線状の濃い濁りが発生する。
(9)耐温水性
卓上型超音波洗浄機(“BRANSONIC”B8510J−D)で水温80℃、1時間、試験片が互いに接触しないように浸漬処理して室温乾燥し、処理後の親水層表面状態および上記(1)の防曇性を評価し、下記評価基準で判定した。◎、○、△は合格とした。
◎:親水層表面状態に変化がなく、防曇評価iで曇りがない。
○:親水層表面状態に変化がなく、防曇評価iiで10分以内で曇りが消失する。
△:親水層表面状態に変化がなく、防曇評価iiで10分以内で水滴が消失する。
×:親水層表面にミクロクラックが発生する。
××:親水層の一部が剥離する。
(10)耐候性
下記条件で紫外線暴露処理を行い、処理後の親水層表面状態および上記(1)の防曇性を評価し、下記評価基準で判定した。◎、○、△は合格とした。
紫外線暴露処理条件
装置:アイスーパーUVテスター(岩崎電気製)
紫外線強度:100mW/cm、光源:メタルハライドランプ
スケジュール:紫外線照射60℃50%RH 4時間→ 結露40℃100%RH 4時間/サイクル
暴露時間:40サイクル(日照10年相当)
評価基準
◎:親水層表面状態に変化がなく、防曇評価iで曇りがない。
○:親水層表面状態に変化がなく、防曇評価iiで10分以内で曇りが消失する。
△:親水層表面状態に変化がなく、防曇評価iiで10分以内で水滴が消失する。
×:親水層表面にミクロクラックが発生する。
××:親水層の一部が剥離する。
(11)形成皮膜の厚さ
試料(積層フィルム)を樹脂包埋してミクロトームで切断面を作製し、その断面にPtをスパッタリングして下記にて観察した。
装置 : 電界放射型走査電子顕微鏡 日立製作所製S−5000型
条件 : 加速電圧 6.0V 二次電子像。
[実施例1]
基材フィルムとして、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合樹脂フィルムの易接着タイプである「トヨフロン」(登録商標)100EE(東レフィルム加工株式会社製)、厚さ100μm、片面コロナ処理品で処理面の濡れ張力45mN/m、表面粗さRz=0.13μmのものを用いた。
次に、基材フィルムの易接着処理面に耐候性樹脂の塗布溶液をグラビアロール方式のコーティング装置を用いて塗布し、下地処理層を形成した。耐候性樹脂として、アクリル系共重合樹脂の“ハルスハイブリッド”UV−G13(日本触媒株式会社製)100重量部、イソシアネート系硬化剤の“デスモジュール”N−3200(住友バイエルウレタン株式会社製)0.02重量部、希釈剤としてトルエン370重量部を混合し、固形分4wt%の塗布溶液とした。速度20m/分、乾燥温度120℃で塗工し、厚さ0.3μmの下地処理層を形成した。
次いで、下地処理層の上に親水層を形成する。シリカ−ポリシリケート前駆体溶液として“メガ親水コート”DM−30(株式会社菱和製)を用いた。溶媒はイソプロピルアルコール、エチルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶媒で、pH=4、固形分(シリカ−ポリシリケート)=4重量%の透明液である。乾燥後の29Si固体NMRスペクトルは、Qn構造特有の−92ppm(Q2)、−102ppm(Q3)、−111ppm(Q4)にピークを示し、面積比はQ2:Q3:Q4=5.2:34.3:60.5であった。他のピークは観察されなかった。
グラビアロール方式のコーティング装置を用いて、フッ素樹脂フィルムの下地処理層上に“メガ親水コート”DM−30を、速度30m/分、乾燥温度85℃で塗工し、厚さ0.2μmの親水処理層を形成し、本発明の親水性積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性は表1に示す通り、卓越した親水性(接触角)を示し、防曇性、流滴性、耐擦過性、耐折り曲げ性、透明性(ヘイズ)に優れるものであった。更に、耐温水性、耐候性にも優れており、長期耐久性を持つことを示している。
[実施例2〜6、比較例1、2、7]
親水層となる“メガ親水コート”DM−30の固形分濃度およびグラビアロールの塗布量を変更を変更する以外は、実施例1と同様に親水層積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
親水層の厚さ0.05〜2.0μmにおいて親水性(接触角)、防曇性、流滴性、耐擦過性、耐折り曲げ性、透明性(ヘイズ)に優れ、耐熱水性、耐候性にも優れている。親水層の厚さ0.02μmでは親水性(接触角)が不十分なため防曇性、流滴性に劣り、親水層の厚さ3.0μm以上では耐折れ曲げ性、耐温水性が極端に劣り、耐候性、耐擦過性も劣る。
[実施例7〜10、比較例3、4]
耐候性樹脂溶液のトルエン配合量を変更して下地処理層の厚さを変更した以外は、実施例1と同様に親水層積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
下地処理層の厚さ0.05μm〜0.9μmの範囲で親水性(接触角)、防曇性、流滴性、耐擦過性、耐折り曲げ性、透明性(ヘイズ)に優れ、耐温水性、耐候性も兼備している。下地処理層の厚さ0.02μmでは接着性が不十分なため耐擦過性、耐折り曲げ性に劣り、下地処理層の厚さ1.5μmでは耐折り曲げ性、耐温水性、耐候性に劣る。
[比較例5]
下地処理層を形成せずフッ素樹脂フィルムの易接着処理面に直接親水層を形成した以外は、実施例1と同様に親水層積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
特性は、接着力が不十分であり、耐擦過性、耐折り曲げ性、耐温水性、耐候性に劣る。
[実施例11]
下地処理層塗剤として実施例1の耐候性樹脂溶液に硬化剤を加えなかった以外は、実施例1と同様に積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
耐温水性、耐候性には若干問題あるものの。優れた親水性(接触角)を示し、防曇性、流滴性、耐擦過性、耐折り曲げ性、透明性(ヘイズ)を有していた。
[実施例12]
耐候性樹脂溶液として、アクリル系樹脂エマルジョンの“ユーダブル”E−133(日本触媒株式会社製)を水で希釈し、固形分4重量%になるように調整し、塗布、乾燥して下地処理層を形成した。これ以外は、実施例1と同様に積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
特性は、アクリル樹脂溶液を用いた実施例1に比べると親水性がやや低下して、接触角が大きくなるものの、防曇性、流滴性、耐擦過性、耐折り曲げ性は実用範囲内である。
[比較例6]
耐候性樹脂として、ポリエステル系樹脂の“バイロン”GK−130(東洋紡績株式会社製)100重量部、硬化剤としてイソシアネート系“コロネート”L(日本ポリウレタン工業株式会社製)0.1重量部、および溶媒として酢酸エチルを加え、固形分4重量%になるように調整し、塗布、乾燥して下地処理層を形成した。これ以外は、実施例1と同様に積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
特性は、親水性(接触角)、耐折り曲げ性は優れるものの、耐温水性、耐候性に劣る。
[実施例13、14]
基材フィルムの表面粗さRz=0.25μm(実施例13)、および表面粗さRz=0.50μm(実施例14)に変更した以外は、実施例1と同様に積層フッ素樹脂フィルムを作製した。得られたフィルムの特性を表1に示す。
特性は、良好な親水性(接触角)を示し、防曇性、流滴性、透明性(ヘイズ)を有するが、表面粗さRzが0.50μm以上では接触角が大きくなる傾向にあり、体擦過性、耐折り曲げ性、耐温水性、耐候性も最良な状態を維持するのが困難となる。
[実施例15〜18]
実施例1において、シリカ−ポリシリケート前駆体溶液として“メガ親水コート”DM−30をシリカ成分を減量した試作品を用いた以外は実施例1と同様にしたもの(実施例15、16)、シリカ成分を増量した試作品を用いた以外は実施例1と同様にしたもの(実施例16、17)を作製した。実施例15、16ではQ4の値が小さく、耐擦過性と防曇性、流滴性がやや不十分なものとなり、実施例17、18ではQ4の値が大きく、耐屈曲性がやや不十分なものとなった。
Figure 0005656079
本発明の親水性積層フッ素樹脂フィルムは、農業ハウス用被覆材に限らず、屋根膜材、表示装置窓材、太陽電池表面保護材、集光パネル表面材、建材外装材などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。

Claims (2)

  1. フッ素樹脂フィルムの少なくとも片面に、ヒンダードアミン系紫外線安定基を含むアクリル樹脂を主成分とする組成物からなる厚さ0.05μm〜1.0μmの範囲の下地処理層を形成し、該下地処理層上に非晶性シリカおよびポリシリケートを主成分とする厚さが0.05μm〜2.0μmの範囲であり、水の接触角が5〜40度の範囲の親水層を設けてなる親水性積層フッ素樹脂フィルム。
  2. 前記非晶性シリカとポリシリケートを主成分とする親水層が、29Si固体NMR分析においてQn構造(n=2〜4)を示し、その測定スペクトルのQn構造を示す総ピーク面積に対するQ2、Q3、Q4ピークの各面積比が各々2〜8%、30〜40%、55〜68%であることを特徴とする請求項1の親水性積層フッ素樹脂フィルム。
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