JP2010248468A - 撥水撥油樹脂組成物および塗装品 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐黄変性など耐熱性に優れ、高温が作用しても撥水性を維持することができる撥水撥油樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:式(1)で表されるジメチルシロキサン基を骨格中に有し、架橋基としてアルコキシ基と水酸基を有するポリオール樹脂
Figure 2010248468

(B)成分:一般式SiR(ORで表される3官能のアルコキシシラン
(C)成分:一般式Si(ORで表される4官能のアルコキシシラン
(D)成分:酸触媒
(E)成分:水
上記の(A)〜(E)を必須の成分とし、(B)成分は(A)成分の固形分に対して10質量部〜100質量部、(C)成分は(A)成分の固形分に対して10質量部〜100質量部含有されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、撥水撥油性の塗膜形成するために用いられる撥水撥油樹脂組成物、及び撥水撥油性の塗膜を表面に有する塗装品に関するものである。
物品の表面に撥水撥油性を付与する方法として、物品の基材の表面に撥水撥油樹脂組成物を塗装し、撥水撥油性の塗膜を形成する方法がある。
そしてこのような撥水撥油樹脂組成物としては、例えば、撥水撥油性を示すフッ素系ポリオール樹脂と、硬化剤となるイソシアネートやメラミン、尿素樹脂などを用いた物が提案されている(特許文献1)。しかしこのものでは、有機系の硬化剤で架橋する比率が高いため、200℃程度の高温が作用すると、塗膜に黄変が発生して劣化し、しかも架橋部位で樹脂のネットワークが容易に切断されてしまうために、撥水性を維持することができないという問題を有するものであった。
一方、耐熱性・耐候性を向上させた組成物として、無機系の撥水撥油の樹脂組成物も開発されている(特許文献2)。しかし、100%無機で構成されている撥水撥油樹脂を用いたとしても、高熱がかかった際に塩基性触媒が原因で黄変が発生するおそれがあり、また硬化収縮が発生して架橋のネットワークが崩れてしまい、撥水性を維持できない現象が生じてしまうものであった。
特許第3844212号公報 特開平11−152446号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、耐黄変性など耐熱性に優れ、高温が作用しても撥水性を維持することができる撥水撥油樹脂組成物及び塗装品を提供することを目的とするものである。
本発明に係る撥水撥油樹脂組成物は、
(A)成分:式(1)で表されるジメチルシロキサン基を骨格中に有し、架橋基としてアルコキシ基と水酸基を有するポリオール樹脂
Figure 2010248468
(B)成分:一般式SiR(ORで表される3官能のアルコキシシラン(Rは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基)及びその誘導体の少なくとも一方
(C)成分:一般式Si(ORで表される4官能のアルコキシシラン(Rは炭素数1〜6のアルキル基)及びその誘導体の少なくとも一方
(D)成分:酸触媒
(E)成分:水
上記の(A)〜(E)を必須の成分とし、(B)成分は(A)成分の固形分に対して10質量部〜100質量部、(C)成分は(A)成分の固形分に対して10質量部〜100質量部含有されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、ジメチルシロキサン基を骨格中に有し、架橋基としてアルコキシ基と水酸基を有するポリオール樹脂で塗膜を形成することができるものであり、そして、塗膜としての硬度と架橋性を確保するための4官能アルコキシシランと、可橈性を付与しつつ架橋性を確保するための3官能アルコキシシランで、ポリオール樹脂を硬化させることができるものであって、アルコキシシランによる架橋により、高耐熱黄変性を有すると共に、耐熱撥水維持性を有する塗膜を得ることができるものである。尚、(B)成分の3官能アルコキシシランの誘導体や、(C)成分の4官能アルコキシシランの誘導体としては、これらのアルコキシシランの加水分解・重縮合物を用いることができる。
また本発明は、活性水素基を末端に有するポリジメチルシロキサンのオイルを含有することを特徴とするものである。
この発明によれば、耐熱の撥水維持性をより向上した塗膜を形成することができるものである。
また本発明に係る塗装品は、上記の撥水撥油樹脂組成物の塗膜を基材の表面に形成したものであり、撥水撥油性を有し防汚性に優れた表面に形成することができると共に、高温が作用しても、塗膜に黄変が発生することを抑制することができると共に、塗膜の撥水性を維持することができるものである。
本発明の撥水撥油樹脂組成物を塗装して形成した塗膜は、撥水撥油性を有して防汚性に優れるものであり、そして高温が作用しても、黄変が発生することを抑制することができると共に、撥水性を維持することができるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において用いる(A)成分のポリオール樹脂は、樹脂の分子骨格に下記の式で表されるジメチルシロキサン基をグラフト鎖として有し、さらに架橋基としてアルコキシ基及び水酸基を有する分子構造のものである。
Figure 2010248468
ここで、ジメチルシロキサン基は、ポリオール樹脂(側鎖も含む)中に10〜90質量%の範囲で含有されているのが好ましい。ポリオール樹脂中のこのジメチルシロキサン基の含有量が多すぎると、基材に対する塗膜の密着性が低下する傾向があり、逆に含有量が少なすぎると、撥水撥油性能を十分に発現させることができない。このジメチルシロキサン基はポリオール樹脂の分子骨格と直接結合しているため、容易に脱落せず、長期的にも安定に低表面自由エネルギーを維持する塗膜を得ることができるものである。
またアルコキシ基は、ポリオール樹脂(側鎖も含む)中に1〜30質量%の範囲で含有されているのが好ましい。ポリオール樹脂中のアルコキシ基の含有量が少なすぎると、架橋密度が小さくなって塗膜硬度が低くなる傾向があり、逆に含有量が多すぎると、硬い塗膜を得ることができるが、クラックが入り易くなる傾向がある。アルコキシ基は次の式(2)〜(4)の構造式で表されるものである。
−(Si)(OR (2)
−(Si)(R)(OR (3)
−(Si)(R(OR) (4)
上記の式(2)〜(4)の構造式において、(R)(R)は炭化水素基を表すものであり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を例示することができる。
またポリオール樹脂の水酸基価は40〜150mgKOH/gの範囲が好ましく、更に好ましくは60〜120mgKOH/gの範囲である。水酸基価が低すぎると、得られる塗膜の架橋密度が低下して、硬度が低い塗膜になる傾向がある。逆に水酸基価が高すぎると、硬い塗膜が得られるが、ポリオール樹脂と溶剤との相溶性が低下し、樹脂安定性が劣ることになる傾向がある。
ポリオール樹脂には、撥水性の耐久性を高めるために、その樹脂骨格中にフッ素含有基を含有させることができる。フッ素含有基としては、例えば、下記の式(5)〜(8)のフルオロアルキレン基が挙げられ、ポリオール樹脂の合成時にポリオール樹脂骨格に結合させることによりフルオロアルキレン基を導入することができる。フルオロアルキレン基の量が多くなればなるほど、得られる塗膜の撥水性能の持続性は向上していくが、ポリオール樹脂に用いる溶剤や他の樹脂との相溶性は低下していく傾向になる。このため、フルオロアルキレン基の含有量は、ポリオール樹脂(側鎖を含む)中、1〜70質量%の範囲に調整することが好ましい。
(5) −CF−CF
(6) −CF−CFX−(Xは、H又はCl又はBr又はCF
(7) −CF−CFH−
(8) −CH−CHF−
ポリオール樹脂の分子骨格に上記のようなジメチルシロキサン基やフッ素含有基が存在することによって、ポリオール樹脂をマトリックス成分として形成される表面層への汚れの付着性を制御して、汚れが付着し難くすることができるのに加えて、また表面自由エネルギーを制御して、汚れが付着する際には、汚れが点状に均一に付着するようにすることができ、広い面積が汚れで覆われないようにすることで、前面カバーの高透過率を確保して、照明器具の高照度を保つことが可能になるものである。
ここで、ジメチルシロキサン基とフッ素含有基は、両者の合計量が、ポリオール樹脂(側鎖も含む)中に10〜90質量%の範囲で含有されているのが好ましい。ポリオール樹脂中のジメチルシロキサン基やフッ素含有基の含有量が多すぎると、基材に対する表面層の密着性が低下する傾向がある。逆に含有量が少なすぎると、表面層の表面エネルギーを低下させる効果を有効に得ることができない。このジメチルシロキサン基やフッ素含有基はポリオール樹脂の分子骨格と直接結合しているため、容易に脱落しないものであり、長期的にも安定して低表面自由エネルギーを維持する表面層を得ることができるものである。
上記のようなにジメチルシロキサン基やフッ素含有基を有するポリオール樹脂で表面層を形成するにあたって、ジメチルシロキサン基やフッ素含有基によって表面自由エネルギーを制御することができる。ここで、表面自由エネルギーは分散力成分と極性力成分の2成分に分割することができるが、本発明では、分散力成分の表面自由エネルギーと極性力成分の表面自由エネルギーの合計量である全表面自由エネルギーが30mJ/m以下となり、且つ、分散力成分の表面自由エネルギーが25mJ/m以下となるように、表面層を形成するものである。
すなわち、表面自由エネルギーの分散力成分γsdおよび極性力成分γspは、水およびヨウ化メチレンの接触角θや、表面張力γLから、Fowkesの式を拡張したOwensの式およびYoungの式を組み合わせた次の式で算出することができる。
(1+cosθ)・γL/2=(γsd・γLd)1/2+(γsp・γLp)1/2
照明器具に付着する汚れは、水分だけではなく油分も含んだホコリやゴミ、カーボンカスなどもあり、物質の付着性、ハジキ性と相関が高い全表面自由エネルギーだけではなく、油分等のハジキ性の指標となる表面自由エネルギーの分散力成分も制御することによって、あらゆる汚れの付着性、ハジキ性を制御することができるものである。そして上記のように、前面カバーの基材の表面に形成された表面層の、全表面自由エネルギーが30mJ/m以下でかつ、分散力成分の表面自由エネルギーが25mJ/m以下であることによって、表面層の濡れ性を低く保って汚れが付着し難くすることができるものであり、さらに表面層に汚れが付着する際には、汚れが点状に均一に付着して、表面層の広い面積が汚れで覆われないようにすることができるものであり、上記のように前面カバーの高透過率を確保して、照明器具の高照度を保つことが可能になるものである。全表面自由エネルギーが30mJ/mを超えると、また分散力成分の表面自由エネルギーが25mJ/mを超えると、このような効果を十分に得ることができない。このような、表面層における全表面自由エネルギーや分散力成分の表面自由エネルギーの制御は、ポリオール樹脂中のジメチルシロキサン基やフッ素含有基の含有量などを調整することによって、行なうことができるものである。
尚、全表面自由エネルギーや分散力成分の表面自由エネルギーは、小さいほど望ましいので下限は特に設定されないが、全表面自由エネルギーの下限は−CF基が六方最密充填したときの値の6.7mJ/mであり、分散力成分の表面自由エネルギーの下限も6.7mJ/mである。理想的なモデルとしては理論上6.7mJ/mまで表面自由エネルギーは下がることは証明されているが、実用に耐えうるレベルの塗膜としては7.8mJ/m程度が一般的には限界レベルとされている。
上記のポリオール樹脂は、重量平均分子量(Mw)が20000〜400000のものが好適に用いられる。分子量が高すぎると、溶剤や他の架橋剤との相溶性が悪くなる傾向があり、分子量が低すぎると、得られる塗膜の物性が低下する傾向がある。
ポリオール樹脂において、水酸基とアルコキシ基は架橋反応部位であり、(B)成分の3官能アルコキシシランや(C)成分の4官能アルコキシシランと反応をする部位となる。既述の特許文献1では水酸基のみで常温硬化性を得ているが、マジックインキを始めとする厳しい汚れを弾いて除去するためには、高い架橋性が必要であり、水酸基のみを有するジメチルシロキサン基含有ポリオールでは十分な撥水撥油性は発現しない。本発明のポリオール樹脂は、水酸基の他にアルコキシ基が存在することによって、水酸基−アルコキシシラン−水酸基だけの反応ではなく、水酸基−アルコキシ基、アルコキシ基−アルコキシ基の反応が加わり、高い架橋密度で塗膜を形成することができ、高い撥水撥油性を実現することができるものである。
次に、ポリオール樹脂の架橋剤となる(B)成分の3官能のアルコキシシランについて説明する。3官能のアルコキシシランは、R−Si(ORを一般式として表されるものであり(Rは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基)、トリアルコキシシランとも呼ばれる。3官能アルコキシシランの役割は、分子中に非架橋部位を1つ有するために、塗膜に可橈性を付与することであり、また架橋部位である3つのアルコキシ基の部分で3次元的に架橋することができるものである。
この3官能アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物を挙げることができる。
3官能のアルコキシシランは4官能のアルコキシシランよりも反応速度が遅いので、3官能アルコキシシランが多すぎると、撥水性、汚れのハジキ性が弱くなる傾向がある。また3官能のアルコキシシランが少なすぎると、塗膜があまりに硬すぎるために、温冷の繰り返し負荷がかかった際に塗膜に微小なクラックが入って撥水性が悪くなったり、温水に浸漬した際に密着が悪くなったりすることがある。このため、3官能のアルコキシシランの配合量は、ポリオール樹脂の固形分に対して10質量部〜100質量部の範囲に設定されるものである。
次にポリオール樹脂の架橋剤となる(C)成分の4官能アルコキシランについて説明する。4官能アルコキシランは、一般式Si(ORで表されるものであり(Rは炭素数1〜6のアルキル基)、テトラアルコキシシランとも呼ばれる。4官能アルコキシシランは分子中の4つの架橋部位が、ポリオール樹脂が有するアルコキシ基や水酸基、または他の3官能や、4官能のアルコキシシランのモノマーやオリゴマーと優れた反応性を示すため、非常に高い架橋性を付与すると共に塗膜に高い硬度を付与する役割を担う。
上記の一般式におけるRのアルキル基としては、例えば、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などを挙げることができる。またこれらのアルキル基の有する水素原子の一部をフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基であってもよい。また、各アルキル基は同一であっても異なっていてもよい。本発明において4官能のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン又はテトラt−ブトキシシラン等を好適に使用することができる。
塗膜に高い強度などを付与するためには、これらのモノマーを重合したオリゴマー化したものを用いることが好ましい。このオリゴマー材料としては、「エチルシリケート40」(多摩化学株式会社製、テトラエトキシシランの5量体)や「メチルシリケート51」(三菱化学株式会社製、テトラメトキシシランの5量体)などを用いることができる。これらをそのまま添加しても良いが、適当な溶剤で希釈し、硬化剤としての水および必要に応じて触媒(例えば塩酸、硝酸、酢酸などを必要量添加し、必要に応じて例えば40〜100℃で加温し、加水分解および重縮合反応を行わせてプレポリマー化させることにより、アルコキシシラン加水分解物を調製してから用いることもできる。その際、得られるアルコキシシラン部分加水分解物(加水分解重縮合物)の重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で900以上、好ましくは1000以上になるように調整するのが望ましい。アルコキシシラン加水分解物の分子量分布(重量平均分子量(Mw))が900より小さいときは、縮重合の際の硬化収縮が大きくなり、塗膜が硬化した後にクラックが発生し易くなる傾向がある。
4官能のアルコキシシランが多すぎると、塗膜が硬くなりすぎるために、温冷の繰り返し負荷がかかった際に塗膜に微小なクラックが入って撥水性が悪くなったり、温水に浸漬した際に密着が悪くなったりすることがある。逆に少なすぎると架橋が甘くなるために撥水性、汚れのハジキ性が弱くなる傾向がある。このため、4官能のアルコキシシランの配合量は、ポリオール樹脂の固形分に対して10質量部〜100質量部の範囲に設定されるものである。
本発明において、架橋材としてアルコキシシラン、およびその誘導体を用いることにより、耐熱黄変性を付与するものであり、有機系架橋材は用いない方が好ましい。有機系架橋材としては例えば、アニリンアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアネート等がある。
次に、(D)成分の酸触媒について説明する。本発明では、(B)成分や(C)成分の加水分解性アルコキシシランの加水分解・重縮合、およびポリオール樹脂と(B)成分や(C)成分の加水分解性アルコキシシランの反応を促進するために、微量の酸触媒や水を必要とする。
酸触媒としては、例えば塩酸、硝酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸や、無機酸等の、1種または2種以上を用いることができる。どの時点で酸触媒を添加するのかは問わないが、酸触媒の添加で(B)成分や(C)成分のアルコキシシランのみを先に加水分解および重縮合反応を行わせてプレポリマー化させることにより(このとき必要に応じて例えば40〜100℃で加温する)、シリケート加水分解物として調製したものを用いることによって、さらに架橋性を高めることができる。
酸触媒の添加量は、特に限定されないが(A)成分のポリオール樹脂と、(B)成分及び(C)成分のアルコキシシランの総質量に対して、0.1〜2.5質量%程度が好ましい。酸触媒の添加量が多すぎると、硬化収縮が大きくなり、基材への密着が確保できなくなる場合があり、逆に少なすぎると、架橋が不十分になって、高い撥水撥油性能を得ることが難しくなる。
上記のような、(A)成分のポリオール樹脂、(B)成分の3官能アルコキシシラン、(C)成分の4官能のアルコキシシラン、(D)成分の酸触媒、さらに(E)成分の水を必須成分として配合することによって、本発明の撥水撥油樹脂組成物を得ることができる。
本発明の撥水撥油樹脂組成物にはさらに、活性水素基を末端に有するポリジメチルシロキサンのオイルを添加することができる。このように活性水素基を末端に有するポリジメチルシロキサンのオイルを添加することによって、塗膜の耐熱撥水維持性を向上することができるものである。活性水素には例えばカルボキシル基、アミノ基、水酸基等があり、撥水撥油樹脂組成物を硬化反応させる過程で樹脂のネットワーク中に組み込まれるものである。活性水素の種類は特に限定されないが、反応性や耐熱黄変性の観点からは水酸基のものが特に望ましい。このオイルの分子量は特に限定されないが、相溶性や取り扱いし易さの観点から数平均分子量(Mn)で50000以下のものが望ましい。またオイルの添加量は特に限定されるものではないが、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の固形分全体に対して0.1質量部〜10質量部の範囲が好ましい。少なすぎるとこのオイルを添加することによる効果を十分に得ることができず、逆に多すぎると塗膜物性が悪くなることがある。
次に、上記のようにポリオール樹脂にアルコキシシランを架橋剤として配合して調製される撥水撥油樹脂組成物を塗装する基材について説明する。基材は特に制限されることなく任意のものを用いることができるが、本発明において特に適用して好ましい基材としては、ステンレス、アルミニウム、亜鉛めっき鋼板、鉄などの金属、タイル、ホウロウなどのセラミック、ガラスなどを挙げることができる。これらの基材は表面に酸化物による水酸基を保持しており、本発明の撥水撥油樹脂組成物中に含有されているシリケート加水分解物中のシラノール基が水酸基と反応し、基材に強固に密着した塗膜を形成することが可能になるものである。
本発明の撥水撥油樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されるものではなく、スプレーコ−ティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等の方法を好適に利用することができる。また、塗膜を形成する方法は塗布することだけに限定されるものではなく、シート状に成型あるいは金型等に吹き付けて積層したり、あるいは不織布等に含浸したり、プレス等で成型したりする方法も挙げることができる。
基材の表面の塗膜を硬化させる方法としては、特に限定されるものではなく、所望される硬化膜性能、基材の耐熱温度、生産性等に応じて常温(室温放置)から高温焼付けまで、任意の温度を選んで行なうことができる。また塗膜の膜厚についても特に制限はないが、通常は0.1μm〜50μm程度である。
本発明の撥水撥油樹脂組成物の適用範囲は、特に限定されるものではないが、耐熱黄変性が要求される照明器具や高温下に置かれるガラスなどが例示される。例えば、本発明が適用される照明器具としては、透光性のカバーが前面カバーとして設けられているものであればよく、なんら限定されるものではないが、雨が直接かからず自己洗浄効果が期待できないところに設置される照明器具に適用すると、より有効である。具体的には、公共施設や商業施設、工場、マンションや戸建集宅における屋内やエントランス、軒下等に設置されるものを挙げることができ、器具形態としては、ベースライト、シーリングライト、ブラケット、スポットライト、ダウンライト、トンネル灯などを挙げることができる。
また前面カバーとは、ランプなどの光源の保護や飛散防止、汚染防止などのために、光源の前面でかつ光を取り出す方向に配置したカバーや、意匠性を目的として光源の周りに傘状、筒状、半球状に被せたカバーなどを指すが、勿論これらに限定されるものではない。前面カバーの基材を形成する材料についても透光性の材料であればよいものであって、特に限定されるものではなく、光源から発せられる熱や紫外線の程度、あるいは設置される環境等に応じて適宜選択されるものであり、例えば高耐熱・耐光を要求される用途ではホウ珪酸ガラス、水晶等の酸化ケイ素主体のものやサファイヤなどの酸化アルミ主体のものなどの無機系材料が主として用いられる。耐熱性の要求が比較的低い用途であれば、PMMAなどのアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン等の透明性の有機系材料が用いられる。本発明に係る樹脂組成物が塗布された照明器具の前面カバーは、表層の樹脂組成物中のポリオール樹脂の分子骨格にこのようなジメチルシロキサン基が存在することによって、ポリオール樹脂をマトリックス成分として形成される表面層への汚れの付着性を制御して、汚れが付着し難くすることができるのに加えて、また表面自由エネルギーを制御して、汚れが付着する際には、汚れが点状に均一に付着するようにすることができ、広い面積が汚れで覆われないようにすることで、前面カバーの高透過率を確保して、照明器具の高照度を保つことが可能になるものである。このジメチルシロキサン基はポリオール樹脂の分子骨格と直接結合しているため、容易に脱落しないものであり、長期的にも安定して低表面自由エネルギーを維持する表面層を得ることができるものである。
上記のように基材の表面に表面層を被覆して照明器具の前面カバーを形成するにあたって、表面層の屈折率が基材の屈折率よりも小さくなるように、基材に対する表面層の屈折率を調整するものである。屈折率は、直進する光線が異なる媒質の境界で進行方向の角度を変える割合のことを示すものであり、前面カバーの基材を構成する材料よりも、屈折率が低い表面層を最表層に配置することによって、空気層/基材よりも空気層/表面層/基材のそれぞれの屈折率差が小さくなるために界面反射が抑えられて透過率が高くなり、光の取り出し効率(光束)が上がるものである。本発明の樹脂組成物は基材に対して片面だけ配置しても効果は得られるが、基材の両面に配置するとより高い取り出し効率が得られる。屈折率の測定方法は特に限定しないが、分光エリプソメトリーなどが高精度で測定できる手法として知られている。
ここで、照明器具の表面カバーの基材を形成する主な材料の屈折率は次の通りである。
・ホウ珪酸ガラス:1.51
・水晶:1.54
・サファイヤ:1.77
・アクリル樹脂:1.49
・ポリカーボネート:1.58
・ポリスチレン:1.59
このように、表面カバーの基材の屈折率は最も低いもので1.49である。従って本発明において、表面層の屈折率は1.49よりも小さいことが好ましい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
(4官能アルコキシシラン加水分解物の合成)
テトラメトキシシランのオリゴマーである「メチルシリケート51」(三菱化学株式会社製)を3.1質量部とり、これにメチルアルコールを95質量部添加して、撹拌しながら緩やかに0.1Nの硝酸水溶液を滴下し、溶液を60℃に1時間を要して昇温させることによって、アルコキシシラン加水分解物溶液を調製した。この加水分解物溶液の固形分は1.6質量%であった。
(3官能アルコキシシラン加水分解物の合成)
攪拌機、加温ジャケット、コンデンサー、滴下ロート及び温度計を取り付けたフラスコに、メチルトリイソプロポキシシラン220質量部をトルエン150質量部に溶解した溶液を仕込んだ。これに、1質量%濃度の塩酸水溶液108質量部を20分かけて滴下し、メチルトリイソプロポキシシランを攪拌下60℃で加水分解した。滴下が終了してから40分後に攪拌を止め、反応液を分液ロートに移し入れて静置したところ、二層に分離した。次に、少量の塩酸を含んだ下層の水とイソプロピルアルコールの混合溶液を分液除去し、後に残ったトルエンの樹脂溶液中に残存している塩酸を水洗で除去し、更にトルエンを減圧除去した後、得られた反応生成物をイソプロピルアルコールで希釈することにより、重量平均分子量(Mw)約2000、固形分40質量%の3官能のアルコキシシラン加水分解溶液を得た。
(塗料の作製)
ジメチルシロキサン基を骨格中に有し、架橋基としてアルコキシ基と水酸基を有するポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、上記のように合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部と、上記のように合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液5質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部含有されている。
(塗装板の作製)
基材としてスライドガラス(松浪ガラス社製「S9111」)を用い、上記の塗料を基材の表面に、乾燥後の塗装膜厚が0.5μmになるようにスプレー塗装にて塗布し、5分間、25℃の常温下で静置して乾燥した後、180℃で30分加熱焼成することによって、ガラス基材の表面に塗膜を形成した塗装板を得た。
(実施例2)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)5質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液1質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は92質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部含有されている。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(実施例3)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液24質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は95質量部含有されている。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(実施例4)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液5質量部、さらに活性水素基を有する反応性シリコンオイル(信越化学工業株式会社製「X−22−176DX」)を0.5質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例1)
ジメチルシロキサン基を骨格中に有し、架橋基として水酸基のみを有するポリオール樹脂(関東電化工業株式会社製「エフクリアKD−270」)35質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液5質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例2)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、3官能のアルコキシシランを含有しない撥水撥油樹脂組成物として塗料を得た。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例3)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液5質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、4官能のアルコキシシランを含有しない撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例4)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)5質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液150質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液1質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は106質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部含有されている。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例5)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液50質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液5質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は8質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部含有されている。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例6)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液30質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は120質量部含有されている。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例7)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液130質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液2質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は8質量部含有されている。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例8)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、実施例1で合成した4官能のアルコキシシラン加水分解液50質量部と、実施例1で合成した3官能のアルコキシシラン加水分解液5質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のブロックイソシアネート(旭化成株式会社製「デュラネートMF−B60X」)4質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。この塗料において、ポリオール樹脂の固形分100質量部に対して、4官能のアルコキシシラン加水分解物は8質量部、3官能のアルコキシシラン加水分解物は20質量部含有されている。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例9)
ポリオール樹脂(富士化成工業株式会社製「ZX−022H」:固形分45質量%)22質量部と、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のブロックイソシアネート(旭化成株式会社製「デュラネートMF−B60X」)15質量部と、n−ブタノール150質量部を混合し、これを5分間攪拌することによって、撥水撥油樹脂組成物からなる塗料を得た。
そしてこの塗料を用いて実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
(比較例10)
ジメチルシロキサン基を骨格中に有し、マトリクスの樹脂がすべて無機樹脂で構成されている無機コーティング剤(パナソニック電工株式会社製「フレッセラD」)を塗料として用い、あとは実施例1と同様にガラス基材に塗装することによって、塗装板を得た。
上記の実施例1〜4、比較例1〜10で作製した塗装板の塗膜について、下記の項目の試験を行なって評価した。結果を表1に示す。
(1)透明性
JIS K7136によって、塗膜のヘイズを測定し、塗膜の透明性を次の判定基準で評価した。
○:ヘイズ 1%未満
△:ヘイズ 1〜10%
×:ヘイズ 10%超
(2)透過率
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)で、全光線透過率を測定し、次の判定基準で評価した。
○:90%以上
×:90%未満
(3)汚れハジキ性(マジック付着後の透過率)
塗膜の表面に油性マジックインキ(ゼブラ社製「ハイマッキー 太」)で書き、書いた後の塗膜の波長555nmの光の透過率を、分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて測定した。そして次の判定基準で汚れハジキ性を評価した。
80%以上 :○
60%以上80%未満 :○△
40%以上60%未満 :△
40%未満 :×
(4)鉛筆硬度
JIS K−5600−5−4に準じて、塗膜表面の硬度を測定した。
(5)温水碁盤目密着試験
ホットプレート上にステンレス製の20Lの容器を置いてその中で水を沸騰させ、塗膜を塗装した塗装板を1時間、5時間それぞれ浸漬した後に、1mm間隔で縦横に11本カッターナイフで100個の碁盤目に刻みを入れた後、セロテ−プ(登録商標)で剥離試験した。剥離せずに残った目の数を数え、次の判定基準で評価した。
100/100 :○
51〜99/100 :△
0〜50/100 :×
(6)耐光性
高圧水銀灯照射装置(株式会社オーク製作所社製「UV−300」)で360nmの紫外線強度が40mW/cmになるよう設定し、24時間照射した。なお、光照射前後の色差ΔEabを分光測色計(コニカミノルタ社製「CM−3600d」)で測定して、次の判定基準で評価した。
○:ΔEabが3以下
×:ΔEabが3を超えて大きい
(7)耐熱黄変性
白色のアルミナ板の上にガラス基材の塗装板を置いた状態で塗膜の色差の初期値を計測し、その後200℃の恒温槽に塗装板を72時間入れて、再度同様に計測し、恒温槽に投入する前後のΔEabを求め、次の判定基準で評価した。
○:ΔEabが3以下
×:ΔEabが3を超えて大きい
(8)耐熱撥水維持性
接触角測定装置(協和界面科学社製「型式:DM500」)を用いて、塗装板の塗膜の初期におけるイオン交換水の接触角を測定した。次に、200℃の恒温槽に塗装板を72時間入れ、再度イオン交換水の接触角を測定した。そして初期に対する接触角の維持性を下記の式に従って求め、さらに下記の判定基準で評価した。
耐熱撥水維持性(%)
=[(200℃、24時間投入後の水接触角)/(初期の水接触角)]×100
◎:96%以上
○:90%〜95%
△:80%〜89%
×:79%以下
Figure 2010248468
表1にみられるように、各実施例のものは各試験の評価が良好であり、防汚性、密着性の他に、耐熱黄変性、耐熱撥水維持性において優れることが確認される。
一方、架橋基としてアルコキシ基を有しないポリオール樹脂を用いた比較例1では耐黄変性に問題があり、架橋剤として3官能アルコキシシランを配合しない比較例2や、4官能アルコキシシランを配合しない比較例3では耐熱撥水維持性に問題があった。また4官能アルコキシシランの配合量が過多な比較例4では密着性に問題があり、4官能アルコキシシランの配合量が過少な比較例5では防汚性や耐熱撥水維持性に問題があった。また3官能アルコキシシランの配合量が過多な比較例6では防汚性や耐熱撥水維持性に問題があり、3官能アルコキシシランの配合量が過少な比較例7では密着性や耐熱撥水維持性に問題があった。比較例8では、4官能アルコキシシランの配合量が過少な分をイソシアネート架橋で補うようにしているが、防汚性を向上できるものの、耐熱黄変性や耐熱撥水性維持性に問題が生じるものであり、さらに架橋剤としてイソシアネートのみを用いた比較例9では、耐熱黄変性が低下し、特に耐熱撥水性維持性が大きく低下するものであった。

Claims (3)

  1. (A)成分:式(1)で表されるジメチルシロキサン基を骨格中に有し、架橋基としてアルコキシ基と水酸基を有するポリオール樹脂
    Figure 2010248468
    (B)成分:一般式SiR(ORで表される3官能のアルコキシシラン(Rは炭素数1〜6のアルキル基、またはフェニル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基)及びその誘導体の少なくとも一方
    (C)成分:一般式Si(ORで表される4官能のアルコキシシラン(Rは炭素数1〜6のアルキル基)及びその誘導体の少なくとも一方
    (D)成分:酸触媒
    (E)成分:水
    上記の(A)〜(E)を必須の成分とし、(B)成分は(A)成分の固形分に対して10質量部〜100質量部、(c)成分は(A)成分の固形分に対して10質量部〜100質量部含有されていることを特徴とする撥水撥油樹脂組成物。
  2. 活性水素基を末端に有するポリジメチルシロキサンのオイルを含有することを特徴とする請求項1に記載の撥水撥油樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載された撥水撥油樹脂組成物の塗膜が基材の表面に形成されたことを特徴とする塗装品。
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