JP2009234048A - フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面の親水性が良好であり、該親水性の耐久性も良好なフィルムを提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂基材、該熱可塑性樹脂基材上に設けられた中間層、および最表面に設けられた親水性層を有し、前記中間層が、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく重合単位と、ビニルエーテル、ビニルエステル、イソプロペニルエーテル、イソプロペニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素系単量体に基づく重合単位とを有するフッ素ポリマー(A)を含み、かつ前記新水性層が無機微粒子(B)を含むことを特徴とするフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば農業用ハウスなど屋根や外壁部に膜材料を使用した膜構造物に好適に用いられるフィルムおよびその製造方法に関する。
ガラスやプラスチック等の基材は、透明性に優れていることから、各種ランプのカバー、眼鏡レンズ、ゴーグル、各種計器のカバー、農業用フィルム等の様々な用途に使用されている。しかし、一般に、これらの基材は親水性が高くないため、結露、曇りを生じやすいという不都合を生じている。例えば、常に外気にさらされやすい計器類のカバーの場合は、そのカバーの内面に結露を生じ曇りが発生するために表示が見えなくなるという問題が生じることがある。また、農業用フィルムの場合には、水滴や曇り等により太陽光線の透過率が低下し、植物の成長に悪影響をあたえることがある。これらの理由により、基材表面に防曇、流滴性向上等を目的として親水性を付与することが望まれている。
フッ素樹脂基材はその耐候性が非常に高いことから農業用ハウスやドーム型施設等の建築物に用いられるようになってきた。フッ素樹脂は表面張力が低く、建築物に用いるためには室内側の表面を親水化して流滴処理を行う必要がある。
フィルムの透明性を損なわずに親水性を付与する方法として、表面に無機層を形成する方法が知られている。
例えば下記特許文献1には、アルミナゾルおよびシリカゾルと、界面活性剤を含む組成物を、基材上に塗布して乾燥させる方法が記載されている。
また、下記特許文献2には、コロイダルシリカ等の無機親水性コロイド物質とフッ素ポリマーとを含む液状組成物を、基材上に塗布して乾燥させる方法が記載されている。
特開昭60−69181号公報 特開平8−258228号公報(実施例1〜5)
特許文献1に記載されている方法では、形成される塗膜はアルミナ粒子およびシリカ粒子が界面活性剤により基材上に接着された状態であるため、基材と無機粒子との密着性が悪く、耐久性に欠けるという問題がある。
特許文献2に記載されている方法では、フッ素ポリマーがバインダーとして作用するため無機粒子を基材に強固に密着させることはできるが、無機粒子表面が露出し難いため、親水性が充分ではなく、流滴性能において不満がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、表面の親水性が良好であり、該親水性の耐久性も良好なフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂基材、該熱可塑性樹脂基材上に設けられた中間層、および最表面に設けられた親水性層を有し、前記中間層が、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく重合単位と、ビニルエーテル、ビニルエステル、イソプロペニルエーテル、イソプロペニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素系単量体に基づく重合単位とを有するフッ素ポリマー(A)を含み、かつ前記新水性層が無機微粒子(B)を含むことを特徴とする。
前記熱可塑性樹脂基材がエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体からなることが好ましい。
前記フッ素ポリマー(A)が、官能基を有するフッ素ポリマーであることが好ましい。
前記無機微粒子(B)がシリカ、アルミナ、酸化チタンの少なくとも1種類を含有することが好ましい。
前記親水性層の表面における水の接触角が40°以下であるフィルムが得られる。
前記中間層の厚みが0.2〜10μmであることが好ましい。
前記親水性層の厚みが0.05〜1μmであることが好ましい。
本発明のフィルムは膜構造物用フィルムとして好適であり、特に農業用の膜構造物用フィルムとして好適である。
また本発明は、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく重合単位と、ビニルエーテル、ビニルエステル、イソプロペニルエーテル、イソプロペニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素系単量体に基づく重合単位とを有するフッ素ポリマー(A)を含有する第1の塗布液を、熱可塑性樹脂基材上に塗布した後に乾燥して中間層を形成する工程と、該中間層上に、無機微粒子を含有する第2の塗布液を塗布した後に乾燥して親水性層を形成する工程を有することを特徴とするフィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、表面の親水性に優れ、該親水性の耐久性も良好なフィルムが得られる。
本発明のフィルムは、基材と、基材上に設けられた中間層と、該中間層上に設けられた親水性層を有する。該親水性層は最表面に設けられている。
<基材>
基材としては各種の熱可塑性樹脂が使用できる。基材は透明性が高いものが好ましい。具体的には、全光線透過率が80%以上であるものが好ましく、90%以上がより好ましい。基材の厚さは機械的強度の点から5μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。該厚さの上限は特に限定されず、フィルム状であってもよく、板状であってもよい。可撓性を有するフィルムを製造しようとする場合、基材の厚さは、5〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。500μm以下であると良好な柔軟性が得られやすい。
基材の材質の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂等が挙げられる。これらのうちでフッ素樹脂が、基材自身の耐候性が高く、透明性を維持しやすいため好ましい。
基材に用いられるフッ素樹脂としては、フッ化ビニル系重合体、フッ化ビニリデン系重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン−プロピレン系共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体(以下、ETFEと記す。)、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−テトラフルオロエチレン系共重合体等が挙げられる。
フッ素樹脂のなかでも、特に透明性および耐候性がよい点から、ETFE、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系共重合体、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−テトラフルオロエチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン系共重合体、またはフッ化ビニリデン系重合体が好ましく、特にETFEが好ましい。
ETFEは、テトラフルオロエチレン(以下、TFEと記す。)に基づく繰返し単位とエチレンに基づく繰返し単位を有する。両者のモル比(TFE/エチレン)は、70/30〜30/70が好ましく、65/35〜40/60がより好ましく、60/40〜40/60がさらに好ましい。
ETFEは、TFEおよびエチレンの他に、他の単量体1に基づく繰返し単位を含んでいてもよい。他の単量体1としては、下記単量体が挙げられる。
フルオロエチレン類(TFEを除く。):CF=CFCl、CF=CH等。
フルオロプロピレン類:CF=CFCF、CF=CHCF等。
炭素数が4〜12のフルオロアルキル基を有する(パーフルオロアルキル)エチレン類:CFCFCFCFCH=CH、CFCFCFCFCF=CH等。
パーフルオロビニルエーテル類:R(OCFXCFOCF=CF(ただし、Rは、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、Xは、フッ素原子またはトリフルオロメチル基、mは、0〜5の整数を表す。)等。
容易にカルボン酸基またはスルホン酸基に変換可能な基を有するパーフルオロビニルエーテル類:CHOC(=O)CFCFCFOCF=CF、FSOCFCFOCF(CF)CFOCF=CF等。
オレフィン類(エチレンを除く。):C3オレフィン(プロピレン等。)、C4オレフィン(ブチレン、イソブチレン等。)等。
他の単量体1は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の単量体1に基づく繰返し単位の割合は、ETFEのすべての繰返し単位(100モル%)のうち、30モル%以下が好ましく、0.1〜15モル%が好ましく、0.2〜10モル%がさらに好ましい。
基材には、必要に応じて表面前処理を行うことができる。これにより、基材表面の濡れ性が良くなり、中間層と基材との密着性を向上させることができる。表面処理法は、特に限定されないが、従来より公知のプラズマ処理、コロナ放電、UV処理、オゾン処理等の放電処理、酸又はアルカリ等を用いた化学的処理、研磨材を用いた物理的処理等が挙げられる。
<中間層>
中間層は、基材上に、後述のフッ素ポリマー(A)と液状媒体とを含む第1の塗布液を塗布し、乾燥させて液状媒体を除去することにより形成される。
[フッ素ポリマー(A)]
フッ素ポリマー(A)は、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)、クロロトリフルオロエチレン(以下、CTFEという。)およびヘキサフルオロプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく重合単位と、ビニルエーテル、ビニルエステル、イソプロペニルエーテル、イソプロペニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素系単量体に基づく重合単位とを有する。
フッ素ポリマー(A)が、フルオロオレフィンに基づく重合単位を有すると耐候性に優れる。フルオロオレフィンとしては、TFE、CTFEが好ましい。
フッ素ポリマー(A)が、炭化水素系単量体に基づく重合単位を有すると基材および無機微粒子との密着性に優れる。
炭化水素系単量体の具体例について、ビニルエーテルの具体例としては、たとえば、エチルビニルエーテル、(n−,iso−,tert−)ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CH=CHO−CH−cycloC10−CHOH)、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルエーテル(CH=CHOC18OH)等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;前記ヒドロキシアルキルビニルエーテルの水酸基にアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)が付加したアルキレンオキサイド付加物等の、ノニオン性の親水基を有するビニルエーテル;グリシジルビニルエーテル等が例示される。
ビニルエステルの具体例としては、たとえば、分岐状のアルキル基を有するベオバ−10(商品名、シェル化学社製)、酪酸ビニル、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルが例示される。
イソプロペニルエーテルの具体例としては、たとえば、2−メトキシプロペン等のアルキルイソプロペニルエーテルが例示される。
イソプロペニルエステルの具体例としては、たとえば、酢酸イソプロペニル等のアルキルイソプロペニルエステルが例示される。
アリルエーテルの具体例としては、たとえば、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル;ヒドロキシブチルアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル;グリシジルアリルエーテル等が例示される。
アリルエステルの具体例としては、たとえば、プロピオン酸アリル、酢酸アリル等の脂肪酸アリルエステルが例示される。
上記各炭化水素系単量体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、フルオロオレフィンとの共重合性に優れる点から、ビニルエーテルまたはビニルエステルが好ましく、ビニルエーテルがより好ましい。
ビニルエーテルとしては、特に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を有するアルキルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルのエチレンオキサイド付加物が好ましい。
また、ビニルエステルとしては、前記脂肪酸ビニルエステルが好ましい。
フッ素ポリマー(A)は、フルオロオレフィンに基づく重合単位を20〜95モル%含有し、炭化水素系単量体に基づく重合単位を5〜80モル%含有するものが好ましい。フルオロオレフィンに基づく重合単位が少なすぎると耐候性が不充分となるおそれがある。炭化水素系単量体に基づく重合単位が少なすぎると基材および無機微粒子との密着性が不充分となるおそれがある。フルオロオレフィンに基づく重合単位の含有割合は30〜80モル%がより好ましく、40〜70モル%が特に好ましい。
フッ素ポリマー(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、フルオロオレフィンに基づく重合単位および炭化水素系単量体に基づく重合単位以外の、他の重合単位を有していてもよい。
該他の重合単位としては、前記フルオロオレフィンおよび前記炭化水素系単量体と共重合可能な単量体に基づくものであればよく、該単量体としては、たとえばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン;クロトン酸、10−ウンデセン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられる。
フッ素ポリマー(A)における該他の重合単位の含有量は、20モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、ゼロでもよい。
フッ素ポリマー(A)は、基材および無機微粒子との相互作用により、密着性を向上させ、耐久性の発現に寄与できることから、官能基を有するものが特に好ましい。
フッ素ポリマー(A)における官能基としては、水酸基、カルボキシ基またはエポキシ基が好ましい。また、フッ素ポリマー(A)におけるこれらの官能基をもとにして他の官能基を導入して形成された官能基であってもよい。フッ素ポリマー(A)は2種以上の官能基を有していてもよく、例えば水酸基とカルボキシ基を有していてもよい。
フッ素ポリマー(A)に官能基を導入するには、フッ素ポリマー(A)を構成する単量体を共重合させる際に、共重合させる単量体の一部として官能基を有する単量体を使用すればよい。官能基を有する単量体は、上記炭化水素系単量体の一部であってもよい。
官能基を有する単量体としては、例えば、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルのエチレンオキサイド付加物、グリシジルビニルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、グリシジルアリルエーテル、クロトン酸、ウンデセン酸などが挙げられる。
フッ素ポリマー(A)としては、基材および無機微粒子との相互作用により、密着性を向上させ、耐久性の発現に寄与できることから、官能基として水酸基またはカルボキシ基を有するものが特に好ましい。フッ素ポリマー(A)中、水酸基またはカルボキシ基の含有量は、当該共重合体(A)1gあたりの水酸化カリウム消費ミリグラム量に換算した水酸基価または酸価(水酸基とカルボキシ基が存在する場合は、水酸基価と酸価の総計とする。)が、2〜60mgKOH/gとなる量が好ましく、3〜55mgKOH/gとなる量がさらに好ましい。水酸基価または酸価が2mgKOH/g以上であると、上記効果が高く、60mgKOH/g以下であると、耐水性が良好である。
フッ素ポリマー(A)の数平均分子量(Mn)は5000〜500000の範囲が好適である。数平均分子量が大きすぎると液状媒体に対する溶解性または分散性が悪くなるおそれがある。
フッ素ポリマー(A)のガラス転移温度またはフッ素ポリマー(A)を含有する水分散液の最低造膜温度は−20〜80℃が好ましく、10〜60℃がより好ましい。この範囲であると、無機微粒子(B)の接着力に優れる。
フッ素ポリマー(A)のガラス転移温度は主鎖の自由度に依存しており、炭化水素系単量体の種類や含有割合により調整できる。
フッ素ポリマー(A)を含有する水分散液の最低造膜温度とは水分散液が造膜するのに必要な最低温度をいう。
フッ素ポリマー(A)は、市販品から適宜のものを選択して用いることができる。例えば、ルミフロンシリーズ(商品名、旭硝子社製)、セフラルコート(商品名、セントラル硝子社製)、ゼッフル(商品名、ダイキン工業社製)、フルオネート(商品名、大日本インキ工業社製)などの、フルオロオレフィン類とビニルエーテル類の共重合体(フルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体)は、良好な透明性および耐候性が得られる点で好ましい。
フッ素ポリマー(A)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。フッ素ポリマー(A)として2種以上を併用する場合、各フッ素ポリマー(A)の数平均分子量が上記範囲内であることが好ましい。
[その他の成分]
中間層はフッ素ポリマー(A)以外の他の成分として、必要に応じて機能性無機粒子、各種金属酸化物、色素を含有することができる。特に、紫外線カット機能を有する、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム;赤外線を吸収する、ハイドロタルサイト、酸化バナジウム、ホウ化ランタン、波長変換色素;などが好ましい。
中間層における他の成分の含有割合は、フッ素ポリマー(A)の100質量部に対して50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。ゼロでもよい。フッ素ポリマー(A)の割合が少なすぎると、耐候性、耐水性が低下するおそれがある。
[第1の塗布液]
第1の塗布液に用いられる液状媒体としては、アルコール類、ケトン、エステル、塩素系溶剤、芳香族溶剤、または水が挙げられ、アルコール類または水が好ましい。第1の塗布液は、フッ素ポリマー(A)をアルコール類に溶解させたアルコール溶液でもよく、水に分散させた水分散液でもよく、両者の混合物でもよい。例えばフッ素ポリマー(A)を、アルコール類と水の混合物に、溶解および/または分散させて第1の塗布液としてもよい。
第1の塗布液に用いられるアルコール類としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール等が挙げられる。
第1の塗布液におけるフッ素ポリマー(A)の含有量は、塗布液100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましい。1質量部より少ないと膜厚を得るために多くの液量が必要となり、また、塗布むらが生じやすい傾向にある。50質量部を超えると塗布液の安定性が低下する傾向にある。
<親水性層>
親水性層は、無機微粒子(B)と分散媒とを含む第2の塗布液を塗布し、乾燥させて分散媒を除去することにより形成される。
[無機微粒子(B)]
本発明における親水性層の表面には無機微粒子層が形成されているため親水性に寄与すると考えられる。
第2の塗布液として無機微粒子(B)が単分散状態であるコロイド溶液を用いると、親水性層において無機微粒子(B)が緻密に充填されやすく、親水性、透明性、耐擦傷性を発揮しやすい。良好な親水性と高い透明性を得るために無機微粒子(B)の1次の粒子径は1〜50nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。
なお、無機微粒子(B)の1次の粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して測定される。顕微鏡装置としては、日本電子社製のJEM−1230等が挙げられる。
無機微粒子(B)は、1次粒子が凝集したものも使用できる。良好な透明性を得るために平均凝集粒子径は1〜1000nmであることが好ましい。無機微粒子(B)の平均凝集粒子径は2〜600nmであることがより好ましく、10〜150nmであることが最も好ましい。
無機微粒子(B)の平均凝集粒子径は、動的光散乱法粒度分析計(日機装社製、商品名:マイクロトラックUPA)により測定される。
無機微粒子(B)がシリカ、アルミナ、酸化チタンの少なくとも1種類を含むことが好ましい。2種以上を併用してもよい。
シリカとしては、湿式シリカ、ヒュームドシリカやコロイダルシリカなどが挙げられる。耐擦傷性と透明性が向上しやすい点で、球状のヒュームドシリカまたはコロイダルシリカが好ましい。分散液の安定性の点からはコロイダルシリカが特に好ましい。
アルミナとしては、様々な結晶構造を有する粒子が使用できる。例えば、α−アルミナ、ギブサイト、バイアライト、ベーマイト、γ−アルミナ、アモルファスのアルミナ粒子等が挙げられる。特に透明性が向上しやすい点ではアモルファスのアルミナ粒子が好ましい。
無機微粒子(B)としてのアルミナは、市販されているものの他、従来より公知の製造方法により得られるものが使用できる。例えばアルミナゾルの製造方法により得られる粒子、具体的には塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム等の酸性アルミニウム塩と、アルミン酸アルカリ金属塩と、場合によっては酸性溶液とを混合して得られる水和ゲルを熟成した後、酸を添加して解こうする方法;酸性アルミニウム塩をイオン交換して得られる水和ゲルを熟成した後、解こうする方法;アルミニウムアルコキシドを加水分解した後、解こうする方法等により得られる粒子が挙げられる。
酸化チタンとしては、ルチル、アナタース、ブルッカイトなど様々な結晶構造を有する粒子が使用できる。
またシリカ、アルミナおよび酸化チタンから選ばれる2種以上の複合粒子、または2種以上の粒子の混合物も使用できる。
無機微粒子(B)として、シリカ、アルミナ、酸化チタンの少なくとも1種類と、これら以外の他の金属酸化物粒子を組み合わせてもよい。他の金属酸化物粒子として、例えば、酸化セリウム粒子を含有させると、紫外線カット性能を付与することができ、インジウムドープ酸化スズ(ITO)やアンチモンドープ酸化スズ(ATO)、酸化スズ等の粒子を含有させると導電性や赤外線カット性能を付与できるので好ましい。無機微粒子(B)のうち、他の金属酸化物粒子の含有割合は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。ゼロでもよい。
[水溶性高分子]
親水性層は、無機微粒子(B)の他に、必要に応じて、水溶性高分子を適宜含有してもよい。これにより親水性層の強度を向上させることができる。また、該水溶性高分子は水滴に溶解して経時的に除去され得るが、初期における親水性層の強度向上および親水性の向上に寄与する。
水溶性高分子として、例えばポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリブチラール、ポリウレタン、セルロース、ポリエチレングリコールとこれらの誘導体等が挙げられる。親水性層中における水溶性高分子の含有割合は、無機微粒子(B)の100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましい。
水溶性高分子の含有割合が上記範囲の下限値以上であると、水溶性高分子の添加効果が得られやすく、上限値以下であると流滴性の耐久性が良好である。
[界面活性剤]
親水性層は界面活性剤を含有してもよい。親水性層の形成に用いられる第2の塗布液に界面活性剤を添加すると、該第2の塗布液の塗布性が向上するほか、得られる親水性層の親水性も向上する。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれのものも使用でき、なかでも、ノニオン性界面活性剤が無機微粒子(B)の分散安定性を良好に向上させる点で特に好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、−CHCHCHO−、−CHCHO−、−SO−、−NR−(Rは水素原子又は有機基)、−NH、−SOYおよびCOOY(Yは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子又はアンモニウム基)からなる群から選ばれる1種以上の構造単位を有する化合物が好ましい。具体例としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルポリオキシエチレン−ポリプロピレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビトールエステル、アルキルポリオキシエチレンアミン、アルキルポリオキシエチレンアミド、ポリエーテル変性のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。また、上記界面活性剤のアルキル基部分の水素原子がフッ素原子に置換された界面活性剤であってもよい。
界面活性剤の添加量は、第2の塗布液中の全固形分100質量部に対して20質量部以下が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。界面活性剤が20質量部超であると、得られる親水性層の耐擦傷性が低下するおそれがあるので好ましくない。
[添加剤]
親水性層は、必要に応じて、着色用染料、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を適宜含有することができる。
該添加剤の添加量は、第2の塗布液中の全固形分100質量部に対して50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。ゼロでもよい。
なお、親水性層はフッ素ポリマー(A)やその他のフッ素化合物を含まないことが好ましい。親水性層の表面における水の接触角が大きくなるおそれがあるからである。
[第2の塗布液]
親水性層の形成に用いられる第2の塗布液として、無機微粒子(B)を含有する市販の分散液を用いることができる。例えば、市販のシリカゾル、シリカアルミナ複合ゾル、酸化チタンゾル等を用いることができる。
さらに、無機微粒子(B)の分散安定性を阻害しない範囲で、各種の有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、エチレングリコール等が挙げられる。
第2の塗布液における無機微粒子(B)の含有量は、塗布液100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましい。1質量部より少ないと膜厚を得るために多くの液量が必要となり、また、塗布むらが生じやすい傾向にある。50質量部を超えると塗布液の安定性が低下しやすい傾向にある。
<製造方法>
本発明のフィルムは、熱可塑性樹脂基材上に、フッ素ポリマー(A)を含有する第1の塗布液を塗布した後に乾燥して中間層を形成する工程と、該中間層上に、無機微粒子(B)を含有する第2の塗布液を塗布した後に乾燥して親水性層を形成する工程を経て製造される。
第1の塗布液および第2の塗布液の塗布法はそれぞれ公知の方法を用いることができる。例えば、はけ塗り、ローラー塗布、手塗り、回転塗布、浸漬塗布、各種印刷方式による塗布、バーコート、カーテンフロー、ダイコート、フローコート、スプレーコート等が挙げられる。
乾燥方法は特に限定されない。基材が耐熱性を有する温度で加熱してもよい。
乾燥後に、さらに塗膜の機械的強度を高める目的で、必要に応じて、加熱したり、紫外線や電子線等の照射を行ってもよい。加熱は基材の耐熱性を加味して決定すればよい。例えば基材がフッ素樹脂フィルムの場合は、40〜100℃が好ましい。
中間層の乾燥後の膜厚は0.2〜10μmが好ましい。0.2μmより少ないと密着性が低下し、10μm以上では塗布ムラが生じるおそれがある。0.5〜5μmがより好ましい。
親水性層の膜厚は0.01〜3μmが好ましい。塗膜の膜厚が0.01μm未満であると、親水性やその効果持続性が低下するおそれがある。該塗膜の膜厚が3μm超であると、クラックが入りやすくなったり、干渉縞が発生したり、傷が入った場合にはその傷が目立ちやすくなるので好ましくない。該塗膜は膜厚0.05〜1μmであることが特に好ましい。
中間層および親水性層の膜厚は、それぞれ第1の塗布液および第2の塗布液の塗布量によって制御できる。
このようにして熱可塑性樹脂基材上にフッ素ポリマー(A)を含む中間層と、無機微粒子(B)を含む親水性層を形成した積層物は、該親水性層による良好な親水性が得られる。
本発明のフィルムは、特定のフッ素ポリマー(A)を含む中間層上に、最表層として無機微粒子(B)を含む親水性層を設けることにより、最表面における水の接触角が低くなり、後述の評価方法で測定される水接触角の値が40°以下となる良好な親水性を達成することができる。該水接触角は30°以下が好ましい。
また表面の親水性が良好であることから、防曇性、流滴性、防汚性において優れた効果が得られる。
またフッ素ポリマー(A)と無機微粒子(B)との密着性が良好であり、耐久性に優れる。したがって表面の親水性が長期にわたって維持されるとともに、摩擦による表面の擦傷も抑えられる。
中間層および親水性層は、少なくとも基材の片面に形成することが好ましい。また、中間層および親水性層を基材の一方の面上に形成した場合、他方の面に防汚性膜、帯電防止膜、断熱性膜、紫外線カット性膜等を設けてもよい。
本発明によれば、基材と中間層と親水性層とが積層された状態における全光線透過率を80%以上、好ましくは90%以上とすることができる。
本発明のフィルムは、膜構造物用フィルムとして好適である。ここで膜構造物とは、屋根や外壁に膜材料を使用した建築物を意味し、例えばプール、体育館、テニスコート、サッカー場、倉庫、集会場展示場、園芸ハウス、農業用ハウス等が挙げられる。膜構造物の屋根や外壁は、鉄、木材等の骨組みに膜材料(膜構造物用フィルム)を固定したもので構成されている。
特に園芸ハウス、農業用ハウス等の農業用の膜構造物に用いられる膜材料を農業用の膜構造物用フィルムまたは農業用フィルムという。
本発明のフィルムを農業用フィルムとして用いると、特に高い光線透過率が得られるため、作物の生育が良い点で好ましい。また表面の親水性が良好であることから、親水性層が内面側となるように用いると、防曇性、流滴性、防汚性において優れた効果が得られる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
各特性の評価は以下の方法で行った。
[層の膜厚] サンプル上の塗膜をディジタルリニアゲージDG−525H(商品名、小野測器社製)を用いて触針法により測定した。例えば、基材の一部をマスキングして中間層を形成し、マスクを外した部分の基材の最表面から中間層の最表面までの高さを測定することにより親水性層の膜厚を測定しうる。または、形成した塗膜をカッターで削り落すことにより、塗膜の膜厚を測定しうる。
[透過率] サンプルの厚さ方向における全光線透過率(単位:%)を、JIS−7105(1981年)の規定に則り、ヘイズメーター(スガ試験機社製、商品名:HGM−2K、SMカラーコンピュータモデルSM−5)を使用して測定した。
[水接触角] 親水性の指標として水接触角(単位:°)を測定した。水接触角が小さいほど親水性が高い。すなわち、サンプルの最表層表面における水の接触角を、接触角計(協和界面科学社製、型式:CA−X150)で測定した。測定は最表層表面の任意の異なる5つの箇所で行い、その平均値を算出した。
[低温流滴性] 流滴性の指標として低温における流滴性を評価した。すなわち、温度一定(10℃)の環境試験室内に設置した恒温水槽(20℃)の上に、アクリル樹脂製屋根型フレームを水平面に対して15度の傾斜をつけて設置し、このフレームに、縦14cm×横8cmに切り出したサンプルを最表層(親水性層)が下面となるようにセットし、評価を開始した。最表層表面の水滴の様子を観察し、以下の基準で判定した。
○:評価開始3時間後に最表層表面が均一に濡れている。
×:評価開始3時間後に最表層表面に水滴付着部がある。
[高温流滴性] 耐久性の指標として高温における流滴性を評価した。上記低温流滴性の評価方法において、環境試験室を20℃とし、恒温水槽を80℃とした他は同様にサンプルをセットした。サンプルのセット後、環境試験室および恒温水槽の温度を保持した状態で1ヶ月間放置した。1ヶ月経過後、サンプルの最表層表面の水滴の様子を観察し、以下の基準で判定した。
○:最表層表面が濡れているが部分的に水流れ跡が見える。
×:最表層表面に全体的に水滴が付着し白く曇っている。
また、サンプルのセット直後(初期)と1ヶ月経過後に蛍光X線により最表層表面の測定を行い、無機微粒子(シリカおよび/またはアルミナ)の残存率(残存率=(1−1ヶ月経過後のX線強度/初期X線強度)×100、単位%)を求めた。
[耐擦傷性] サンプルを平面摩擦試験機(コーティングテスター工業社製、型式:TESTER SANGYO AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER)にセットし、ベンコット(旭化成工業社製、商品名:BEMCOT TR−7F)を摩耗材として取り付け、荷重:50g、接触面積15mm×20mm、摩耗回数:3往復の条件で、最表層表面に対して擦傷試験を行い、試験前後における傷の状態を目視で観察した。傷が生じていない場合を○、傷が生じた場合を×とする。
フッ素ポリマー(A)としては、以下のものを用いた。
・水分散型フッ素樹脂(A−1):最低造膜温度55℃、水酸基価50mgKOH/g。モノマー組成はクロロトリフルオロエチレン(CTFE)50モル%、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)17モル%、エチルビニルエーテル(EVE)22.5モル%、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(CHMVE)10モル%、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルのエチレンオキサイド付加物(CMEOVE)0.5モル%。なお、CMEOVEは、式CH2=CH−O−CH2−cycloC6H10−CH2−O−(CH2CH2O)nH[nは、エチレンオキサイドの平均付加モル数である。]で表される平均分子量830の化合物である。
・水分散型フッ素樹脂(A−2):最低造膜温度30℃、水酸基価10mgKOH/g。モノマー組成はCTFE50モル%、CHVE33モル%、2−エチルヘキシルビニルエーテル14.8モル%、CHMVE2モル%、CMEOVE0.2モル%。
・アルコール可溶型フッ素樹脂(A−3):ガラス転移温度35〜40℃、水酸基価53mgKOH/g。モノマー組成はCTFE50モル%、CHVE15モル%、EVE25モル%、ヒドロキシブチルビニルエーテル10モル%。
[例1]
水分散型フッ素樹脂(A−1)を、イソプロピルアルコールの50質量%水溶液により固形分濃度20質量%に希釈して第1の塗布液を調製した。
シリカゾル(日産化学工業社製、商品名:スノーテックスIPA―ST、1次粒子径10〜20nm)にイソプロピルアルコールを添加して、固形分濃度6質量%に希釈して第2の塗布液を調製した。
基材として、サイズA4のコロナ放電処理済みのETFEフィルム(旭硝子社製、商品名:アフレックス、コロナ放電処理後の表面濡れ指数42、厚さ:100μm)を用いた。
基材上にバーコータで第1の塗布液を塗布した後、80℃で10分間乾燥し、1μmの塗膜(中間層)を形成した。続いて、該塗膜(中間層)の上に、第2の塗布液をバーコータで塗布した後、80℃で10分間乾燥して、0.3μmの塗膜(親水性層)を形成してサンプルを得た。
得られたサンプルについて、上記の方法で評価を行った。評価結果を表1に示す。
以下の例2〜5においても、得られたサンプルについて例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示す。
[例2]
例1において水分散型フッ素樹脂(A−1)を水分散フッ素樹脂(A−2)に変更した他は同様にして第1の塗布液を調製した。
シリカアルミナ複合ゾル(AGTC社製、商品名:エフクリーン流滴剤、1次粒子径10〜60nm、平均凝集粒子径約600nm)にエタノールを添加し、固形分濃度6質量%に希釈して第2の塗布液を調製した。
例1と同じ基材上に、例1と同様の操作を行って中間層および親水性層(最表層)を形成した。
[例3]
アルコール可溶型フッ素樹脂(A−3)を、イソプロピルアルコールにより固形分濃度10質量%に希釈して第1の塗布液を調製した。
シリカアルミナ複合ゾル(AGTC社製、商品名:エフクリーン流滴剤、1次粒子径10〜60nm、平均凝集粒子径約600nm)にエタノールを添加し、固形分濃度6質量%に希釈して第2の塗布液を調製した。
例1と同じ基材上に、例1と同様の操作を行って中間層および親水性層(最表層)を形成した。
[例4]
本例では、中間層を設けず、基材上に直接最表層を形成した。第2の塗布液としては、アルミナゾル(触媒化成工業社製、商品名:アルミナゾルAS−2、擬ベーマイト、粒子形状:板状、一次粒子径20〜30nm)にエタノールを添加して、固形分濃度6質量%に希釈したものを用いた。
すなわち、例1と同じ基材上に、第2の塗布液をバーコータで塗布した後、80℃で10分間乾燥し、0.3μmの塗膜を形成した。
[例5]
本例では、第1の塗布液として、シリコーン樹脂系塗料(松下電工社製、商品名:フレッセラN−A100、2液型)を用いた。
シリカアルミナ複合ゾル(AGTC社製、商品名:エフクリーン流滴剤、平均1次粒子径10〜60nm、平均凝集粒子径約600nm)にイソプロピルアルコールを添加し、固形分濃度6質量%に希釈して第2の塗布液を調製した。
例1と同じ基材上に、例1と同様の操作を行って中間層および最表層を形成した。
[例6]
本例では、中間層を設けず、基材上に直接親水性層(最表層)を形成した。第2の塗布液としては、コロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名:スノーテックスS、1次粒子径:7〜9nm)100質量部に、フッ素樹脂(旭硝子社製、商品名:ルミフロンFE4400)10質量部を加え、エタノールの50質量%水溶液により固形分濃度6質量%に希釈したものを用いた。
基材として、サイズA4のコロナ放電処理済みのETFEフィルム(旭硝子社製、商品名:アフレックス、コロナ放電処理後の表面濡れ指数40、厚さ:100μm)を用いた。
すなわち、基材上に第2の塗布液をバーコータで塗布した後、80℃で10分間乾燥し、0.3μmの塗膜を形成してサンプルを得た。
Figure 2009234048
表1の結果に示されるように、例1〜3で得られたサンプルは、全光線透過率が高くて透明性に優れるとともに、水接触角が低くて親水性が良好であり、流滴性も良好である。また高温で1ヶ月放置された後の高温流滴性および無機粒子残存率も良好であり、親水性の耐久性に優れる。さらに、最表面を摩擦した場合にも傷が生じ難く、このことは最表面(親水性層)の無機微粒子が摩擦によって脱落し難いことを示す。
これに対して、中間層を設けず、最表層をアルミナ粒子で構成した例4は、初期の親水性は良好であるが、無機粒子残存率および耐擦傷性が低く、高温で放置された場合および摩擦力を受けた場合に粒子が脱落し易いことがわかる。
中間層をシリコーン樹脂で構成した例5は、粒子の脱落は生じ難いものの、良好な親水性が得られなかった。またシリコーン樹脂のブリードアウトも見られた。
中間層を設けず、最表層をシリカ粒子とフッ素ポリマーの混合物で構成した例6は、フッ素ポリマーがバインダーとして作用するため粒子の脱落は生じ難いものの、無機粒子表面が露出し難いため、親水性が不充分であろ流滴性が不充分であった。なお、例6において、低温流滴性が×であるのに、高温流滴性が○であるのは試験方法による吸着水分量が多いためと考えられる。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂基材、該熱可塑性樹脂基材上に設けられた中間層、および最表面に設けられた親水性層を有し、
    前記中間層が、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく重合単位と、ビニルエーテル、ビニルエステル、イソプロペニルエーテル、イソプロペニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素系単量体に基づく重合単位とを有するフッ素ポリマー(A)を含み、かつ前記新水性層が無機微粒子(B)を含むことを特徴とするフィルム。
  2. 前記熱可塑性樹脂基材がエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体からなる、請求項1記載のフィルム。
  3. 前記フッ素ポリマー(A)が、官能基を有するフッ素ポリマーである、請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 前記無機微粒子(B)がシリカ、アルミナ、酸化チタンの少なくとも1種類を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
  5. 前記親水性層の表面における水の接触角が40°以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
  6. 前記中間層の厚みが0.2〜10μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
  7. 前記親水性層の厚みが0.05〜1μmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルム。
  8. 前記フィルムが膜構造物用フィルムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルム。
  9. 前記フィルムが農業用の膜構造物用フィルムである、請求項8に記載のフィルム。
  10. テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンからなる群から選択される少なくとも1種のフルオロオレフィンに基づく重合単位と、ビニルエーテル、ビニルエステル、イソプロペニルエーテル、イソプロペニルエステル、アリルエーテルおよびアリルエステルからなる群から選択される少なくとも1種の炭化水素系単量体に基づく重合単位とを有するフッ素ポリマー(A)を含有する第1の塗布液を、熱可塑性樹脂基材上に塗布した後に乾燥して中間層を形成する工程と、該中間層上に、無機微粒子を含有する第2の塗布液を塗布した後に乾燥して親水性層を形成する工程を有することを特徴とするフィルムの製造方法。
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