JP5652568B1 - 太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の製造方法 - Google Patents

太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロール・ツー・ロール法を用いて太陽電池セルを製造する際、光吸収層成膜プロセス後も基板の座屈によるシワ等の発生を抑制する。【解決手段】ロール・ツー・ロール法により太陽電池を製造する際、通板時の座屈等を抑制するに十分な硬さを維持し得る、通板性に優れた太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔を提供する。質量%でCr:14%以上18%以下を含有し、ビッカース硬さがHv250以上であり、450℃以上600℃以下の温度域に1分以上保持する成膜処理を施した後のビッカース硬さがHv250以上である太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔とする。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔(ferritic stainless steel foil for solar cell substrate)の製造方法に関する。本発明は、特に、ロール・ツー・ロール法(roll-to-roll method)により太陽電池を製造する際、通板時の座屈(buckling)等を抑制する十分な硬さを維持し得る、通板性(threading performance)に優れた太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の製造方法に関する。
近年、新エネルギー源として太陽光を利用した発電システムが注目されている。単結晶Si、多結晶Siを構成層とする結晶系Si太陽電池が実用化され、このような太陽電池が、電力供給用太陽光発電システム(solar photovoltaic system for power supply)として重要な役割を担っている。しかし、結晶系Si太陽電池の製造には、バルク結晶(bulk crystal)を製造するプロセスを要する。そのため、大量の原料を使用し、結晶成長に長時間かかり、しかも製造プロセスが複雑であり且つ多大なエネルギーを必要とすることから、製造コストが極めて高い。
このような背景の下、Si使用量を大幅に低減した薄膜系Si太陽電池や、Siを全く使用しない化合物薄膜系太陽電池(Compound Film Solar Cell)、有機薄膜系太陽電池(Organic Film Solar Cell)、色素増感型太陽電池(Dye Sensitized Solar Cell)、更には量子ドット型太陽電池(Quantum Dot Solar Cell)等の新しい太陽電池が盛んに研究開発され、実用化が開始されている。これらの太陽電池はいずれも薄膜系太陽電池(thin film solar cell)であり、基板上に、非晶質Siや化合物半導体(composite semiconductor)を成膜して薄膜状の光吸収層(absorber layer)を形成することにより製造される。したがって、結晶系Si太陽電池よりも製造工程が単純であり、且つ、製造時間の短縮化が可能である。また、光吸収層の厚さは数十nm〜数μmであることから、結晶系Si太陽電池に比べて使用原料の大幅な削減が可能である。
以上の理由により、薄膜系太陽電池は製造コストが低く、量産性が高いため、次世代の太陽電池として大いに期待されている。特に、光吸収層としてCu(In1-XGaX)Se2(以下、CIGS(Copper Indium Gallium DiSelenide)と略す場合もある)を使用した化合物薄膜系太陽電池であるCIGS太陽電池は、薄膜系太陽電池のなかでは光電変換効率(photoelectric conversion efficiency)が高く、製造コストも安価であることから、注目度が高い。
薄膜系太陽電池の基板には、主にソーダライムガラス(soda-lime glass)等のガラス板、ステンレス箔、ポリイミド(polyimide)等の合成樹脂膜(plastics film)が使用されている。これらのうち、ガラス板は可撓性がないため、コイルの状態で連続的に処理するロール・ツー・ロール法が適用できず、量産化や低コスト化に不利である。また、合成樹脂膜は耐熱性(heat-resisting property)に劣るため、太陽電池セルの製造工程において処理温度の上限を制限しなければならないといった欠点を有する。
これらに対し、ステンレス箔は、可撓性および耐熱性に優れている。したがって、量産化や低コスト化に有利なロール・ツー・ロール法が適用できる。ステンレス箔は、合成樹脂膜に比べて優れた耐熱性を有するため、太陽電池セル生産効率の向上や、軽量で可撓性を有する薄膜系太陽電池の製造が可能となる。
ステンレス箔は優れた可撓性を有するので、これを基板とした薄膜系太陽電池は、曲面への施工も可能となり、いわゆるフレキシブルな太陽電池として太陽電池の更なる用途展開が期待できる。特に、ステンレス鋼のなかでもフェライト系ステンレス鋼は、線熱膨張係数(coefficient of linear thermal expansion)の値がCIGSと同程度であることから、薄膜系太陽電池の基板用素材としての適用が積極的に検討されている。
薄膜系太陽電池セルは、基板に、例えばMo層からなる裏面電極層(back contact layer)、光吸収層、バッファ層(buffer layer)および透明導電層(transparent contact layer)を順次成膜することにより製造される。また、基板と裏面電極層との間に、絶縁層(insulating layer)を設ける場合もある。
上記基板としてステンレス箔を用いる場合には、基板に光吸収層等を成膜する際、量産化に有利なロール・ツー・ロール法を適用することができる。
ロール・ツー・ロール法では、コイル状の基板(ステンレス箔)を巻き戻すロールと、基板を巻き取るロールを設ける。さらに、2つのロールの間に裏面電極層用の薄膜製造装置、光吸収層用の薄膜製造装置等を配置する。巻き戻しロールから搬送される基板上に裏面電極層、光吸収層、バッファ層、透明導電層を順次形成したのち、巻き取りロールで巻き取る。したがって、ロール・ツー・ロール法によると、複数の太陽電池セルを連続的且つ大量に製造することができ、太陽電池の量産化や低コスト化を図ることができる。
ここで、太陽電池用基板としてのステンレス箔は、厚さ20〜300μmと非常に薄い。そのため、強度(硬さ)が不十分であると、ロール・ツー・ロール法における通板時、ステンレス箔に座屈が生じ、シワ(wrinkles)、折れ(break)、絞り(drawing)などが発生し易くなる。このように、ロール・ツー・ロール法のような連続プロセスにおいて、通板時に基板にシワ等が発生すると、太陽電池が製造できなくなったり、光電変換効率が低下した太陽電池を製造してしまう。したがって、太陽電池用基板の素材となるステンレス箔は、上記のような座屈を抑制するに十分な強度(硬さ)を備え、ロール・ツー・ロール法等の連続プロセスでの通板性が良好であることも重要となる。
ロール・ツー・ロール法を用いた連続プロセスにより太陽電池セルを製造する場合におけるステンレス箔(基板)の通板性に関し、特許文献1には、ステンレス材に、圧下率50%以上の冷間圧延を施し、更に必要に応じて不活性ガス雰囲気中で400〜700℃の熱処理を施してステンレス箔とすることで、ステンレス箔の圧延方向(rolling direction)に直角方向の引張強度(tensile strength)を930MPa以上とする技術が提案されている。そして、特許文献1で提案された技術では、ロール・ツー・ロール法を用いた連続プロセスに適用しても、座屈の起こり難い太陽電池基板用ステンレス箔が得られるとしている。
日本特開2012−138571号公報 (国際公開WO2012/077827号公報)
特許文献1で提案された技術によると、ロール・ツー・ロール法の連続プロセスにおいて、ステンレス箔(基板)の座屈をある程度抑制して通板性を改善することがでる。
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、光吸収層成膜プロセス(absorber layer growth process)を経た後のステンレス箔(基板)の通板性について考慮されていない。
裏面電極層を形成した基板に光吸収層を成膜する際の基板の温度は、光吸収層を構成する材料の種類に依存する。例えばCIGS系の化合物薄膜系太陽電池の光吸収層(CIGS層)を成膜する際には、一般的に450〜600℃の高温プロセスとなる。そのため、たとえ所定の強度(硬さ)を有するステンレス箔を基板として使用する場合であっても、光吸収層成膜プロセスで基板(ステンレス箔)が軟化し、その後の製造プロセスで基板に座屈が生じ、シワ、折れまたは、絞りなどが発生し易くなるといった問題が生じる。
以上の理由により、太陽電池基板の素材となるステンレス箔においては、光吸収層成膜プロセスによる軟化を抑制し得る十分な耐熱性を備え、ロール・ツー・ロール法の連続プロセスにおいて、光吸収層成膜プロセス後も通板性に優れていることが重要となる。特許文献1で提案された技術では、このような問題について全く検討されていない。
したがって、特許文献1で提案された技術では、ロール・ツー・ロール法の連続プロセスにおいて、光吸収層成膜プロセス前のステンレス箔(基板)にシワ等の発生がなく通板性が良好であったとしても、光吸収層成膜プロセス時に450〜600℃の高温に加熱されることによりステンレス箔(基板)が軟化してしまう。その結果、上記光吸収層成膜プロセス以降の連続プロセスにおいて、ステンレス箔(基板)の座屈によるシワ等の発生が避けられず、太陽電池の生産性や光電変換効率が低下する。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、ロール・ツー・ロール法を用いた太陽電池セル製造時、光吸収層成膜プロセス後の連続プロセスにおいても、基板の座屈によるシワ等の発生を抑制でき、通板性が良好な太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、ロール・ツー・ロール法を用いた太陽電池セル製造時、光吸収層成膜プロセスを経た後の連続プロセスにおいても、ステンレス基板の座屈を抑制して通板性を維持する手段について鋭意検討した。その結果、ロール・ツー・ロール法を用いた太陽電池セル製造時におけるステンレス基板の座屈発生の有無、すなわち通板性の善し悪しは、基板として用いるステンレス箔のビッカース硬さ(Vickers hardness)に大きく依存することが明らかになった。そして、ステンレス箔がビッカース硬さでHv250以上であれば、優れた通板性を示すことが確認された。
更に、本発明者らは、検討を進めた結果、ロール・ツー・ロール法を用いて太陽電池セルを製造する場合において、光吸収層成膜プロセスを経た後、具体的には450℃以上600℃以下の温度での保持時間を1分以上とする光吸収層成膜プロセスを経た後のステンレス箔が、ビッカース硬さでHv250以上の硬さを維持していれば、光吸収層成膜プロセス後も基板(ステンレス箔)の座屈が起こり難く、優れた通板性を維持できることを見出した。
また、本発明者らは、ステンレス箔に上記の硬さ特性を付与する手段、すなわち、ビッカース硬さがHv250以上であり、且つ、450℃以上600℃以下の温度域での保持時間を1分以上とする光吸収層成膜プロセスを経た後であってもビッカース硬さでHv250以上の硬さを確保し得る硬さ特性(耐熱性)を付与する手段について模索した。その結果、適切な成分のステンレス鋼板に、焼鈍および冷間圧延を施したのち、所定の条件で熱処理を施すことが有効な手段であることを突き止めた。そして、ステンレス鋼の成分、冷間圧延の圧下率を規定し、熱処理の熱処理温度を太陽電池製造時の光吸収層成膜プロセス時の基板の温度に応じて決定し、更に熱処理条件(熱処理温度までの昇温速度、熱処理温度での保持時間、熱処理温度で保持した後の冷却速度)を規定することで、ステンレス箔に上記した所望の硬さ特性を付与し得ることを知見した。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
[1] 質量%でCr:14%以上18%以下を含有するフェライト系ステンレス鋼板に、焼鈍を施した後、60%以上の圧下率で冷間圧延を施し、次いで、不活性ガス雰囲気中、10℃/s以上100℃/s以下の昇温速度で、熱処理温度T(℃)に昇温し、該熱処理温度T(℃)にて1s以上60s以下保持し、その後5℃/s以上50℃/s以下の冷却速度で冷却する熱処理を施し、
前記熱処理温度T(℃)が、450℃以上600℃以下の温度域から選択される光吸収層成膜プロセス時の基板の温度Xに対して下記(1)、(2)式を満足する温度である太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の製造方法。

450℃≦X<500℃のとき300℃≦T≦750℃ … (1)
500℃≦X≦600℃のときX−200℃≦T≦750℃ … (2)
本発明によれば、ロール・ツー・ロール法を用いた太陽電池セル製造時、光吸収層成膜プロセスを経た後においても、基板の座屈によるシワ等の発生を抑制でき、優れた通板性を備えた太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔を得ることができる。
本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、質量%でCr:14%以上18%以下を含有し、ビッカース硬さがHv250以上であり、基板を450℃以上600℃以下の温度域に1分以上保持する光吸収層成膜プロセス後のビッカース硬さがHv250以上であることを特徴とする。
Cr:14%以上18%以下
本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、Crを質量%で14%以上18%以下含有するフェライト系ステンレス箔とする。
Crは、ステンレス箔に耐食性を付与するうえで必須の元素である。Cr含有量が質量%で14%未満では、太陽電池セルの長時間使用に耐え得る耐食性を確保することができない。そのため、このようなステンレス箔を基板に適用した場合、太陽電池セルの長期使用時に基板の腐食が問題となる。
また、基本的にCr含有量が高いほど耐食性は向上するが、Cr含有量が18%を超えると、ステンレス箔の素材となる熱延板が脆くなる。ステンレス箔は通常、スラブに熱間圧延を施して熱延板とし、この熱延板に、必要に応じて酸洗、焼鈍を施したのち、冷間圧延を施すことにより製造される。ステンレス箔の素材となる熱延板が脆くなると、冷間圧延を施すことが困難になる。したがって、上記フェライト系ステンレス箔のCr含有量は、質量%で14%以上18%以下とする。好ましくは、質量%で16%以上18%以下である。
本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、Crの含有量が上記した所定の条件を満足する限りその成分組成は問わない。
なお、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔について、特に好適な成分組成を示すと次のとおりである。以下の成分を表す「%」は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.12%以下
Cは、鋼中のCrと結合してステンレス箔の耐食性の低下をもたらすため、含有量が低いほど望ましい。但し、C含有量が0.12%以下であれば耐食性を著しく低下させることはないため、C含有量は0.12%以下が好ましい。より好ましくは0.04%以下である。
Si:2.5%以下
Siは、脱酸に用いる元素であり、0.01%以上含有させることによりその効果は得られる。しかし、過剰に含有されると箔素材のフェライト系ステンレス鋼板の延性低下をもたらし製造性を低下させる場合がある。したがって、Si含有量は2.5%以下が好ましい。より好ましくは1.0%以下である。
Mn:1.0%以下
Mnは、鋼中のSと結合してMnSを形成し、ステンレス箔の耐食性を低下させる場合がある。したがって、Mn含有量は1.0%以下が好ましい。より好ましくは0.8%以下である。
S:0.030%以下
上述のとおり、Sは、Mnと結合してMnSを形成し、ステンレス箔の耐食性を低下させる。したがって、S含有量は0.030%以下が好ましい。より好ましくは0.008%以下である。
P:0.050%以下
Pは、箔素材であるフェライト系ステンレス鋼板の延性低下をもたらし製造性を低下させる。そのため、P含有量は低いほど望ましいが、0.050%以下であれば延性を著しく低下させることはない。したがって、P含有量は0.050%以下が好ましい。より好ましくは0.040%以下である。
Cr:14%以上18%以下
先述のとおり、Crはステンレス箔の耐食性を確保するうえで必須の元素であり、本発明ではCr含有量を14%以上18%以下とする。好ましくは16%以上17%以下である。
N:0.06%以下
Nは、鋼中のCrと結合して、ステンレス箔の耐食性の低下をもたらす。そのため、N含有量は低いほど望ましいが、0.06%以下であれば耐食性を著しく低下させることはない。したがって、N含有量は0.06%以下が好ましい。より好ましくは0.02%以下である。
以上が本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の特に好適な基本成分であるが、本発明では上記基本成分に加えて、必要に応じて次の元素を適宜含有させることができる。
Al:0.20%以下
Alは、脱酸に用いられる元素であり、0.001%以上含有させることによりその効果は得られる。しかし、0.20%を超えて含有すると、ステンレス箔に表面欠陥が発生し易くなり、太陽電池の光電変換効率を低下させてしまう場合がある。したがって、Alを含有させる場合は0.20%以下が好ましい。より好ましくは0.10%以下である。
その他にも、耐食性の改善を目的として、Ni、Mo、Cu、Vおよび、Wの1種以上を、それぞれ1.0%以下で含有させることもできる。更に、熱間加工性、冷間加工性および表面性状の向上を目的として、Ca、Mg、希土類元素(REMとも記載する)および、Bの1種以上を、それぞれ0.1%以下で含有させることもできる。
なお、残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうち、O(酸素)の含有量は、0.02%以下であることが好ましい。
ビッカース硬さ:Hv250以上
ステンレス箔のビッカース硬さがHv250未満であると、ロール・ツー・ロール法により太陽電池セルを製造する際、ステンレス箔に座屈が生じ、シワ、折れ、絞りなどが発生し易くなる。したがって、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、ビッカース硬さをHv250以上とする。好ましくはHv270以上である。但し、硬さが過剰に高くなると、うねり(waviness)が生じて通板性が悪化することが懸念されるため、ビッカース硬さはHv450以下とすることが好ましい。
所定の光吸収層成膜プロセス後のビッカース硬さ:Hv250以上
ロール・ツー・ロール法を用いて太陽電池セルを製造する場合において、光吸収層成膜プロセスでは通常、基板は450〜600℃に加熱される。この加熱により基板が軟化してビッカース硬さがHv250未満に低下すると、その後のプロセスで基板が座屈し易くなる。そして、基板の座屈に伴い、太陽電池セルの生産性や光電変換効率が低下する。
したがって、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、所定の光吸収層成膜プロセス後のビッカース硬さがHv250以上であるような硬さ特性(耐熱性)を有するものとする。好ましくはHv270以上である。但し、所定の熱処理を施した後のビッカース硬さが過剰に高くなると、うねりが生じて通板性が悪化することが懸念されるため、所定の光吸収層成膜プロセス後のビッカース硬さはHv450以下とすることが好ましい。
以上のように、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、基板を450℃以上600℃以下の温度域で1分以上保持する光吸収層成膜プロセス後も、ビッカース硬さでHv250以上の硬さを維持する。したがって、ロール・ツー・ロール法を用いて太陽電池セルを製造する場合において、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔を基板として適用すれば、光吸収層成膜プロセスを経た後においても基板の座屈を抑制することが可能となり、延いては生産性および光電変換効率の良好な太陽電池を提供することが可能となる。
次に、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の好ましい製造方法について説明する。
本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、箔素材の鋼板に焼鈍を施した後、冷間圧延を施し、次いで、不活性ガス雰囲気中で熱処理を施すことにより製造することができる。
そして、箔素材の鋼板を質量%でCr:14%以上18%以下を含有するフェライト系ステンレス鋼板とし、冷間圧延の圧下率を60%以上とし、熱処理を、10℃/s以上100℃/s以下の昇温速度で、熱処理温度T(℃)に昇温し、該熱処理温度T(℃)にて1s以上60s以下保持し、その後5℃/s以上50℃/s以下の冷却速度で冷却する熱処理とする。
箔素材のフェライト系ステンレス鋼板は、その製造条件等に特段の制限はなく、従来公知の方法にしたがい製造することができる。例えば、連続鋳造法や、造塊−分塊圧延法、薄スラブ連鋳法等、公知の鋳造方法により鋳造されたスラブに、熱間圧延を施して熱延板とし、この熱延板に、必要に応じて酸洗、焼鈍を施したのち、冷間圧延を施すことにより箔素材のフェライト系ステンレス鋼板とすることができる。
以上のような箔素材のフェライト系ステンレス鋼板に、焼鈍を施した後、冷間圧延を施すことでステンレス箔とする。上記焼鈍条件は特に限定されず、例えばフェライト系ステンレス鋼板に通常適用される条件の光輝焼鈍としてもよいし、焼鈍したのち酸洗を施してもよい。
冷間圧延の圧下率:60%以上
上記焼鈍に続く冷間圧延の圧下率(箔素材のフェライト系ステンレス鋼板に冷間圧延を施す際の圧下率)が60%未満であると、加工硬化量が不十分であり、最終的に得られる太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の強度(硬さ)が不足するおそれがある。このように強度(硬さ)が不足した箔では、ロール・ツー・ロール法を用いた太陽電池セル製造時、座屈の発生を抑制することが困難となり、安定した通板性が得られない。
したがって、冷間圧延の圧下率は60%以上とすることが好ましい。より好ましくは80%以上である。但し、冷間圧延の圧下率が過剰に高くなると、加工ひずみ(residual strain by machining)が非常に大きくなり、熱処理を施しても加工ひずみの低減が不十分になり、箔のビッカース硬さがHv450を超えることが懸念されるため、95%以下とすることが好ましい。
なお、冷間圧延後のステンレス箔の厚さは、20μm以上300μm以下とすることが好ましい。より好ましくは20μm以上120μm以下である。さらにより好ましくは30μm以上80μm以下である。
上記のようにして得られた冷間圧延後のステンレス箔に、所定の熱処理を施すことで、太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔とする。この熱処理は、冷間圧延後のステンレス箔に、光吸収層成膜プロセスでの軟化を抑制し得る十分な耐熱性を付与し、その後の通板性に優れた太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔とするうえで極めて重要である。
箔素材のフェライト系ステンレス鋼板に60%以上の圧下率で冷間圧延を施すと、ステンレス箔には大きな加工ひずみが蓄積する。このように大きな加工ひずみが蓄積したままの冷間圧延後のステンレス箔を太陽電池基板とした場合、光吸収層成膜プロセスで、基板が高温加熱されることに伴い上記加工ひずみが解放されて、基板が軟化する。
そこで、冷間圧延後のステンレス箔に熱処理を施し、加工ひずみ量を適量に減らして太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔とする。このように加工ひずみを予め適量に減らしたステンレス箔を太陽電池基板とすることにより、光吸収層成膜プロセスにおいて、加工ひずみの解放に起因する基板の軟化を効果的に抑制することができる。また、適量に加工ひずみを残すことにより、座屈を抑制するに十分な強度(硬さ)を備えたステンレス箔となり、ロール・ツー・ロール法等の連続プロセスでの通板性が良好となる。
なお、上記熱処理は、連続焼鈍炉等により実施することが好ましい。
上記熱処理は、ステンレス箔表層の酸化を抑制するために、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。不活性ガスの種類は特に限定されず、窒素ガス、水素ガス、アルゴンガス、アンモニア分解ガス(75体積%水素と25体積%窒素の混合ガス)、HNガス(5体積%水素と95体積%窒素の混合ガス)などの還元性あるいは不活性ガスが例示される。これらのガスの露点は、−30℃以下であることが望ましい。
ここで、冷間圧延後のステンレス箔に、十分な耐熱性(すなわち、光吸収層成膜プロセスによる軟化量が小さい特性)を付与し、その後の通板性に優れた太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔とするためには、熱処理条件を最適化する必要がある。熱処理条件(熱処理温度T、熱処理温度Tまでの昇温速度、熱処理温度Tでの保持時間、熱処理温度Tで保持した後の冷却速度)は、次のように規定することが好ましい。
熱処理温度T
先述のとおり、この熱処理は、ステンレス箔に蓄積した加工ひずみを予め除去し、光吸収層成膜プロセスにおいて基板の加工ひずみが過剰に解放する現象を抑制する目的で為されるものである。
光吸収層成膜プロセス時の基板温度は、光吸収層を構成する材料の種類に依存するが、例えばCIGS系の化合物薄膜系太陽電池の光吸収層(CIGS層)を成膜する際の基板温度は、一般的に450〜600℃の温度域から選択される温度となる。そこで、この光吸収層成膜プロセス時の基板の温度をXとし、これを基準とし、熱処理温度Tを決定する。具体的には、熱処理温度Tを、以下(1)式および(2)式を満足する熱処理温度T(℃)とする。
450℃≦X<500℃のとき300℃≦T≦750℃ … (1)
500℃≦X≦600℃のときX−200℃≦T≦750℃ … (2)
熱処理温度TがX−200℃未満または300℃未満であると、冷間圧延により蓄積した加工ひずみを除去する効果が十分に得られない場合がある。そのため、熱処理後のステンレス箔を太陽電池基板として適用した場合、光吸収層成膜プロセスで基板が軟化することが懸念される。一方、熱処理温度Tが750℃を超えると、必要以上に加工ひずみが低減し、太陽電池製造プロセスで基板が座屈し易くなる。そして、基板の座屈に伴い、太陽電池セルの生産性や光電変換効率が低下する。
熱処理温度Tでの保持時間:1s以上60s、より好ましくは、1s以上30s以下
上記熱処理温度Tでの保持時間が1s未満では、冷間圧延により蓄積した加工ひずみを適量に減少させる効果が十分に得られない場合がある。一方、上記熱処理温度Tでの保持時間が60sを超えると、加工ひずみを除去する効果が飽和する。そのため、上記熱処理温度Tで60sを超える時間保持しても、更なる加工ひずみ除去効果は少なく、生産性が低下するだけである。以上の理由により、上記熱処理温度Tでの保持時間を1s以上60s以下とすることが好ましい。より好ましくは、1s以上30s以下である。
なお、実際の熱処理炉の操業では熱処理温度Tの変動があるので、上記熱処理温度T±20℃の温度域にステンレス箔が滞留する時間を保持時間としてもよい。
熱処理温度Tまでの昇温速度:10℃/s以上100℃/s以下
冷間圧延後のステンレス箔(すなわち、室温状態のステンレス箔)を、熱処理温度Tまで昇温する際の昇温速度が10℃/s未満になると、ステンレス箔表面にテンパーカラー(temper color、薄い酸化皮膜)が発生し易くなり、太陽電池基板として使用できなくなる場合がある。また、100℃/sを超えると温度分布が不均質となり、箔に凹凸(ペコつき(irregularity)、腹のび(ceter buckle))や端面が波上に伸びる(耳伸び(edge wave))等の変形が発生するおそれがある。したがって、昇温速度は10℃/s以上100℃/s以下とすることが好ましい。また、20℃/s以上70℃/s以下とすることがより好ましい。
熱処理温度Tで保持した後の冷却速度:5℃/s以上50℃/s以下
熱処理温度Tで保持した後のステンレス箔を300℃以下の温度域まで冷却する際の冷却速度が5℃/s未満になると、ステンレス箔表面にテンパーカラーが発生し易くなり、太陽電池基板として使用できなくなる場合がある。一方、上記冷却速度が50℃/sを超えると、ステンレス箔が変形して形状が悪化するおそれがあり、太陽電池基板に要求される寸法精度を満たすことが困難となる。したがって、上記冷却速度は5℃/s以上50℃/s以下とすることが好ましい。より好ましくは15℃/s以上35℃/s以下である。
以上の熱処理を施すことにより、冷間圧延により生じたステンレス箔の加工ひずみが適度に減少する。その結果、ビッカース硬さがHv250以上であり、且つ、450℃以上600℃以下の温度域に1分以上保持する光吸収層成膜プロセス後のビッカース硬さがHv250以上である太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔が得られる。
なお、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔を用いて太陽電池セルを製造する場合には、以下の方法に従い製造することが好ましい。
薄膜系太陽電池セルは通常、基板に、例えばMo層からなる裏面電極層、光吸収層、バッファ層および透明導電層を順次成膜し、更に透明導電層の表面にグリッド電極(grid electrode)を形成することにより製造される。また、基板と裏面電極層との間に絶縁層を設けてもよい。絶縁層を設けることにより、集積型太陽電池構造とすることができる。基板に、(絶縁層、)裏面電極層、光吸収層、バッファ層および透明導電層を順次成膜するに際しては、量産化に有利なロール・ツー・ロール法を適用することが好ましい。
裏面電極層の成膜方法は特に限定されず、例えばPVD法(physical vapor deposition method)、CVD法(chemical vapor deposition method)、スパッタリング法(sputtering method)等、いずれの方法を採用してもよい。また、裏面電極層を構成する材料としてはMoが挙げられる。裏面電極層の成膜後、裏面電極層の上層に光吸収層を成膜する。
光吸収層を成膜するに際しては、基板温度を制御することが極めて重要である。
例えば、CIGS太陽電池の場合、光吸収層(CIGS層)を高温で成膜するほうが優れた光電変換効率が得られることから、光吸収層(CIGS層)を成膜する際の基板温度は通常、450〜600℃の温度域から選択される。一方、ロール・ツー・ロール法の連続プロセスにおいて、光吸収層成膜時に基板が450〜600℃のような高温域に加熱されると、基板の硬さが低下し、光吸収層成膜以降の連続プロセスにおいて基板が座屈することが懸念される。このように基板が座屈すると、太陽電池の生産性や光電変換効率の低下は避けられない。
しかし、本発明の太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔は、450℃以上600℃以下の温度域での保持時間を1分以上とする光吸収層成膜プロセス後においても、基板の座屈抑制に必要な硬さ、すなわちビッカース硬さHv250以上の硬さを維持することができる。
成膜時の基板温度が450℃以上600℃以下の温度域から選択される温度である以上、光吸収層の成膜手法は特に問わず、蒸着法(evaporation method)、スパッタリング法等のPVDや、CVD、電着法(electrodeposition method)、スピンコート法(spin coating method)などにより成膜することができる。
なお、実際の成膜装置の操業では基板温度の変動があるため、Xは成膜時の基板温度±20℃の温度域としてもよい。
光吸収層の成膜後は、光吸収層の上層にバッファ層、透明導電層を順次成膜する。バッファ層を構成する材料としては、例えばCdSやInS系、Zn(S,O,OH)等が挙げられる。また、透明導電層を構成する材料としては、例えばZnO等が挙げられる。バッファ層、透明導電層の成膜手段は特に問わず、CBD法(Chemical bath deposition method)や蒸着法、スパッタリング法、CVD法等により成膜することができる。
太陽電池の基板には、ロール・ツー・ロール法を用いた太陽電池セル製造時、光吸収層成膜プロセスによる軟化を抑制し得る優れた耐熱性を有し、その後においても基板の座屈によるシワ等の発生を抑制できる優れた通板性を有することが要求される。ロール・ツー・ロール法のような連続プロセスにおいて、通板時に基板にシワ等が発生すると、太陽電池の生産性や光電変換効率が低下するためである。
そこで、前記要求特性に鑑み、太陽電池基板用ステンレス箔の試料を作製し、上記の特性を評価するための各種試験を実施した。試料の作製方法、各種試験・評価方法は次のとおりである。
(1)試料の作製方法
表1に示す化学成分を有するステンレス鋼板に、光輝焼鈍(bright annealing)を施したのち、20段ゼンジミア冷間圧延機(Zenjimia cold rolling mill)(ロール径:55mm)により表2に示す圧下率で冷間圧延を施し、厚さ:50μmのフェライト系ステンレス箔とした。
上記により得られた厚さ:50μmのステンレス箔に、脱脂後、窒素ガス中、露点:−65℃において熱処理を施し、太陽電池基板用ステンレス箔の試料とした。熱処理条件(熱処理温度、熱処理温度での保持時間、熱処理温度までの昇温速度、熱処理温度で保持した後の冷却速度)は表2のとおりである。なお、一部のステンレス箔については、熱処理を施さずに太陽電池基板用ステンレス箔の試料とした(表2の試料No.1)。
(2)ロール・ツー・ロール法を用いた太陽電池セル製造方法
上記(1)により作製された各種試料を基板とし、ロール・ツー・ロール法を用いた連続プロセスにおいて、基板上にMo層からなる裏面電極(厚さ1μm)を成膜し、次いで、Mo層からなる裏面電極上にCu(In1-XGaX)Se2からなる光吸収層(厚さ2μm)を成膜した。Mo層からなる裏面電極は、スパッタリング法を用いて成膜した。また、光吸収層は、多元蒸着法(multi-source evaporation method)を用いて成膜した。光吸収層成膜時の成膜処理条件の基板温度、および成膜時間(基板温度での保持時間)は、表2に示すとおりである。
(3)硬さ試験(光吸収層成膜前後のビッカース硬さ評価)
上記(1)によって製作された各種試料および上記(2)の光吸収層成膜後の各種試料について、JIS Z 2244(1998)の規定に準拠したビッカース硬さ試験(試料の試験面:厚さ方向断面)を実施した。
(4)通板性の評価
通板性の評価は、光吸収層成膜前後の連続プロセス通板時の基板表面を目視により観察し、座屈によるシワ、折れあるいは絞り発生の有無を確認することにより行った。座屈によるシワ、折れおよび絞りの発生が観察されない場合を通板性良好(○)と評価し、座屈によるシワ、折れあるいは絞りの発生が観察される場合を通板性不良(×)と評価した。さらに、シワ、折れあるいは絞り以外にも箔表面に凹凸や耳伸びが発生した場合や、上記によって基材の平坦度が失われ、成膜装置と異常な接触をした場合も通板性不良(×)と評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0005652568
Figure 0005652568
表2より、次の事項が明らかである。
発明例の試料(No.2〜7、9〜15)は、光吸収層成膜後のビッカース硬さがHv250以上であり、シワ等の発生も認められず、良好な通板性を維持している。これに対し、比較例の試料(No.1、8、16〜18)は、熱処理を行っていないか熱処理温度が本発明範囲外で、光吸収層成膜前または後のビッカース硬さがHv250未満であり、シワ等の発生が認められ、通板性が不良であった。
なお、上記実施例においては、各種試料を基板としてスパッタリング法により裏面電極を成膜し、多元蒸着法により光吸収層を成膜した。しかし、本発明においては、これら以外の方法により裏面電極や光吸収層を成膜した場合であっても上記実施例(発明例)と同様の効果を発現する。
本発明によれば、安価で、大量生産が可能なステンレス箔を太陽電池基板に適用した場合であっても、ロール・ツー・ロール法を用いて太陽電池セルを製造する際、光吸収層成膜プロセスを経た後も基板の座屈によるシワ等の発生を抑制でき、優れた通板性を維持することができる。それゆえ、太陽電池セルの製造コスト削減に寄与するだけでなく、光電変換効率の向上も期待され、産業上格段の効果を奏する。

Claims (1)

  1. 質量%でCr:14%以上18%以下を含有するフェライト系ステンレス鋼板に、焼鈍を施した後、60%以上の圧下率で冷間圧延を施し、次いで、不活性ガス雰囲気中、10℃/s以上100℃/s以下の昇温速度で、熱処理温度T(℃)に昇温し、該熱処理温度T(℃)にて1s以上60s以下保持し、その後5℃/s以上50℃/s以下の冷却速度で冷却する熱処理を施し、
    前記熱処理温度T(℃)が、450℃以上600℃以下の温度域から選択される光吸収層成膜プロセス時の基板の温度Xに対して下記(1)、(2)式を満足する温度である太陽電池基板用フェライト系ステンレス箔の製造方法。

    450℃≦X<500℃のとき300℃≦T≦750℃ … (1)
    500℃≦X≦600℃のときX−200℃≦T≦750℃ … (2)
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