JP5772806B2 - 太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池セルや太陽電池モジュールを構成する部品、例えば基板やバックシート等の素材に好適な、太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法に関する。
近年、新エネルギー源として太陽光を利用した発電システムが注目されており、単結晶Si、多結晶Siを構成層とする結晶系Si太陽電池が実用化され、電力供給用太陽光発電システムとして重要な役割を担っている。しかし、結晶系Si太陽電池は、その製造にバルク結晶を製造するプロセスを要するため、大量の原料を使用し、結晶成長に長時間かかり、しかも製造プロセスが複雑であり且つ多大なエネルギーを必要とすることから、製造コストが極めて高い。
このような背景下、Si使用量を大幅に低減した薄膜系Si太陽電池や、Siを全く使用しない化合物薄膜系、有機薄膜系、色素増感型、更には量子ドット型等の新しい太陽電池が盛んに研究開発され、実用化が開始されている。これらの太陽電池はいずれも薄膜系太陽電池であり、基板上に、非晶質Siや化合物半導体を成膜して薄膜状の光吸収層を形成することにより製造される。したがって、結晶系Si太陽電池よりも製造工程が単純であり、且つ、製造時間の短縮化が可能である。また、薄膜(光吸収層)の厚さは数十nm〜数μmであることから、結晶系Si太陽電池に比べて使用原料の大幅な削減が可能である。
以上の理由により、薄膜系太陽電池は製造コストが低く、量産性が高いため、次世代太陽電池として大いに期待されている。特に、光吸収層としてCu(In1-XGaX)Se2(以下、CIGSと略す場合もある)を使用した化合物薄膜系太陽電池であるCIGS太陽電池は、薄膜系太陽電池のなかでも光電変換効率が高く、製造コストも安価であることから、注目度が高い。
薄膜系太陽電池の基板には、主にソーダライムガラス等のガラス板、ステンレス箔、ポリイミド等の合成樹脂膜が使用されている。これらのうち、ガラス板は可撓性がないため、コイルの状態で連続的に処理するロール・ツー・ロール法が適用できず、量産化や低コスト化に不利である。また、合成樹脂膜は耐熱性に劣るため、太陽電池セル製造工程における高温プロセスに耐えられないといった欠点を有する。
これらに対し、ステンレス箔は、可撓性および耐熱性に優れている。したがって、量産化や低コスト化に有利なロール・ツー・ロール法が適用でき、しかも太陽電池セル製造工程における高温プロセスに耐え得る耐熱性を有するため、太陽電池セル生産効率の向上や、軽量で可撓性を有する薄膜系太陽電池の製造が可能となる。
また、ステンレス箔は優れた可撓性を有するので、これを基板とした薄膜系太陽電池は曲面への施工も可能となり、いわゆるフレキシブル太陽電池として太陽電池の更なる用途展開が期待できる。特に、ステンレス鋼のなかでもフェライト系ステンレス鋼は、線熱膨張係数の値がCIGSと同程度であることから、薄膜系太陽電池の基板用素材やバックシート用素材としての適用が積極的に検討されている。
図1はCIGS系太陽電池セルの一般的な構造を例示したもの(断面図)である。図1に示すように、CIGS系太陽電池セル10は、基板1に、例えばMo層からなる裏面電極層2を成膜したのち、CIGS系光吸収層3を成膜し、更にCdS等のバッファ層4a、ZnO等の高抵抗バッファ層4b、透明導電層5を順次成膜し、裏面電極層2および透明導電層5にグリッド電極6を設けることにより製造される。
また、太陽電池モジュール100は、図2に示すように、受光面に強化ガラス、フッ素樹脂等の素材からなる透明のバリアフィルム20、裏面にステンレス鋼板、樹脂等からなるバックシート30を配置し、バリアフィルム20とバックシート30との間に複数の太陽電池セル10を配列し、各セル同士のグリッド電極(図省略)をコネクタ40で接続し、EVA等の樹脂50を充填することにより製造される。
ここで、基板および裏面電極層の上層に光吸収層を成膜する際、その成膜温度は光吸収層を構成する材料の種類に依存するが、例えばCIGS層の場合450〜650℃となる。そのため、基板としてステンレス箔を用いる場合、光吸収層を成膜する際の高温プロセスを経ることで基板が変形する問題がある。そして、その変形量が大きくなると光吸収層が基板から剥離し易くなり、光吸収層の剥離は生産性の低下や光電変換効率の低下を招く。したがって、薄膜系太陽電池技術においては、光吸収層の成膜プロセスなどの高温プロセス時に基板の変形を抑制することも重要課題とされている。
上記課題を有利に解決するものとして、特許文献1には、CIGS太陽電池基板用のステンレス材に関し、Cr含有量が7〜40質量%である冷間圧延後のステンレス材に、N2ガス等の不活性ガス雰囲気中において250〜1050℃の温度に数秒間保持する熱処理(予備熱処理)を施す技術が提案されている。
そして、特許文献1で提案された技術によると、例えば光吸収層成膜時のような450〜650℃の高温プロセスにおいても、ステンレス材(基板)の変形を抑制し、Mo層からなる裏面電極や光吸収層であるCIGS薄膜の基板からの剥離を抑制することができる。
特開2012−169479号公報
特許文献1にも記載されているように、光吸収層(CIGS層)の成膜に先立ち、冷間圧延後のステンレス材(基板)に250〜1050℃の温度で熱処理を施すことで、光吸収層成膜プロセスなどの高温プロセスにおいてステンレス材が変形する現象を抑制し、延いては光吸収層が基板から剥離する現象を抑制することができる。
以上のような効果が得られる理由については、必ずしも明確ではないが、本発明者ら次のように考えている。
ステンレス鋼板の製造工程で、冷間圧延を繰り返すことによって、ステンレス鋼板に加工ひずみが導入される。このように加工ひずみが導入されたステンレス鋼板を太陽電池用基板とし、光吸収層を成膜する目的で高温加熱処理を施すと、ステンレス鋼板の加工ひずみが解放されて、ステンレス鋼板が変形し、裏面電極や光吸収層が基板から剥離する。しかし、予めステンレス鋼板に熱処理を施すことによって、冷間圧延時に導入された加工ひずみを低減することができる。そのため、熱処理後に光吸収層を成膜することで、基板であるステンレス鋼板の変形が抑制され、結果として基板からの光吸収層の剥離が抑制されるものと推測される。
以上のように、光吸収層(CIGS層)の成膜に先立ち、冷間圧延後のステンレス材(基板)に250〜1050℃の温度で熱処理を施すことで、光吸収層の成膜時においてステンレス材の加工ひずみが解放する現象を抑制し、延いてはステンレス材の変形を抑制することができる。
しかしながら、特許文献1で提案された技術では、特にフェライト系ステンレス鋼板の熱処理を580〜720℃の温度範囲で実施した場合、ステンレス鋼板の耐食性が劣化する場合があることが判明した。太陽電池の基板となるステンレス鋼板の耐食性が劣化すると、太陽電池の光電変換効率が低下し、更には太陽電池モジュール使用期間も低下する。
以上のように、特許文献1で提案された技術では、熱処理温度として580〜720℃の温度域を選択した場合、基板から光吸収層が剥離する問題は解消し得るものの、基板の耐食性の劣化が問題となる。それゆえ、種々の光吸収層(CIGS層)の成膜温度やステンレス鋼板に要求される硬さに応じて熱処理温度を選択することができず、改善の余地があった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、太陽電池セル製造時の高温プロセスにおいて基板から光吸収層が剥離する現象を抑制できることはいうまでもなく、太陽電池モジュールの長時間使用に耐え得る優れた耐食性を有する太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、熱処理を施したフェライト系ステンレス鋼板に関し、その耐食性に影響を及ぼす各種要因について鋭意検討した。まず、本発明者らは、Cr含有量が11〜30質量%であるフェライト系ステンレス鋼からなる冷延鋼板を用意し、特許文献1で提案された技術にしたがい不活性ガス雰囲気中250〜1050℃の種々の熱処理温度で冷延ままの鋼板に熱処理を施した。
熱処理後の鋼板の表層部を観察したところ、鋼板の最表層部には数nm〜数百nm程度の薄いCr酸化皮膜が観察され、この酸化皮膜直下に鋼板母材と比較してCr濃度が低下した領域が観察された。なお、加熱(熱処理)による酸化皮膜形成に伴い鋼板表層のCrが消費されるが、Crの酸化反応が速いため、鋼板母材から鋼板表層へのCrの拡散が間に合わず、酸化皮膜直下にCr濃度が低下した領域が生じるものと推測される。
そこで、酸化皮膜直下層のCr濃度を分析した結果、熱処理温度が580℃以上になると、酸化皮膜直下のCr濃度が母材のCr濃度よりも大幅に低下することが明らかになり、この酸化皮膜直下のCr濃度低下が耐食性劣化の原因であることを本発明者らは突き止めた。また、特にCr含有量が18質量%以下のフェライト系ステンレス鋼板においては、酸化皮膜直下のCr濃度が極めて低くなり、耐食性が劣化し易いことを見出した。
これらの事項を踏まえ、熱処理後の鋼板について、表層部のCr濃度分布を測定するとともに、耐食性評価を行った。その結果、Cr含有量が18質量%以下のフェライト系ステンレス鋼板であっても、Cr含有量が14質量%以上であり、且つ、鋼板表層の酸化皮膜中のCr濃度と酸化皮膜直下のCr濃度が以下の(1)式を満足すれば、太陽電池を構成する部品の素材に要求される耐食性を十分に満足するフェライト系ステンレス鋼板が得られることを知見した。
(酸化皮膜中のCr濃度(質量%))+3×(酸化皮膜直下のCr濃度(質量%))
>62(質量%)… (1)
すなわち、酸化皮膜直下のCr濃度を低下させないようにすることで優れた耐食性を維持できることは勿論のこと、酸化皮膜直下のCr濃度が低い場合であっても、酸化皮膜中のCr濃度を上記(1)式を満たすように制御することで、優れた耐食性を維持できることを見出した。
更に、本発明者らは、Cr含有量が質量%で14%以上18%以下である冷間圧延フェライト系ステンレス鋼板について、上記(1)式を満足し、太陽電池モジュールの長時間使用に耐え得る十分な耐食性を備えたステンレス鋼板とするための熱処理条件について模索した。その結果、熱処理温度が580℃以上720℃以下の場合であっても、不活性ガス雰囲気中で熱処理を行い、雰囲気ガスの露点および熱処理時間を最適化することで、上記(1)式を満足し、所望の耐食性を備えたフェライト系ステンレス鋼板が得られることを知見した。
先述のとおり、冷間圧延ステンレス鋼板に580℃以上720℃以下の熱処理を施すと、冷間圧延時に導入された加工ひずみが低減するため、その後450〜650℃の高温に加熱してもステンレス鋼板の変形が効果的に抑制される。したがって、上記の如く熱処理条件を最適化することで、太陽電池セル製造時の高温プロレスで問題とされていた変形を抑制することが可能であり、且つ、太陽電池モジュールの長時間使用に耐え得る耐食性を備えた太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板が得られることを知見した。
本発明は、上記の知見に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
[1] 質量%で、C:0.12%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、S:0.030%以下、P:0.050%以下、Cr:14%以上18%以下、N:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、鋼板表層部の酸化皮膜中のCr濃度と、前記酸化皮膜直下のCr濃度が、下記(1)式を満足することを特徴とする太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板。

(酸化皮膜中のCr濃度(質量%))+3×(酸化皮膜直下のCr濃度(質量%))
>62(質量%)… (1)
[2] 前記[1]の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、質量%で、C:0.12%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、S:0.030%以下、P:0.050%以下、Cr:14%以上18%以下、N:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するフェライト系ステンレス鋼板に、最終の冷間圧延を施した後、露点−70℃以上−40℃以下に調整した不活性ガス雰囲気中において、580℃以上720℃以下の温度域に加熱し、該温度域における滞留時間を5秒以上30秒以下とする熱処理を施すことを特徴とする太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
本発明によれば、太陽電池セル製造時の高温プロセスにおける変形量が極めて小さく、しかも耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板が得られる。したがって、本発明のフェライト系ステンレス鋼板を太陽電池基板に用いることにより、基板に光吸収層を成膜する際、成膜温度を450〜650℃の高温にした場合であっても基板の変形を抑制することができ、延いては基板から光吸収層が剥離する問題を解消して光電変換効率の高い太陽電池が得られる。
また、本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、優れた耐食性を有することから、太陽電池の基板のみならずバックシート等に適用することで、太陽電池モジュールの信頼性向上と長寿命化を図ることができ、産業上格段の効果を奏する。更に、本発明によると、太陽電池モジュールを構成する複数種の部品(例えば基板とバックシート)を、同一の鋼種を用いて製造することができるため、太陽電池の製造コストを削減することが可能となり、且つ、太陽電池の生産性を高めることが可能となる。
CIGS系太陽電池セルを模式的に示す図(断面図)である。 太陽電池モジュールを模式的に示す図(断面図)である。 (a)熱処理後のフェライト系ステンレス鋼板の板厚方向のCr濃度分布を模式的に示す図である。(b)熱処理後のフェライト系ステンレス鋼板の板厚方向のCr濃度分布をオージェ電子分光法(AES)を用いて測定した一例を示す図である。(ステンレス鋼板の組成:0.037%C-16.2%Cr、ステンレス鋼板の最高到達温度:700℃、580℃以上720℃以下の温度域におけるステンレス鋼板の滞留時間:2s) 実施例のフェライト系ステンレス鋼板(比較例および発明例)について、酸化皮膜中のCr濃度、酸化皮膜直下のCr濃度と、耐食性の関係を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板は、質量%でCr:14%以上18%以下を含有し、鋼板表層部の酸化皮膜中のCr濃度と、前記酸化皮膜直下のCr濃度が、以下の(1)式を満足することを特徴とする。
(酸化皮膜中のCr濃度(質量%))+3×(酸化皮膜直下のCr濃度(質量%))
>62(質量%)… (1)
Cr:14%以上18%以下
本発明の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板は、Crを質量%で14%以上18%以下含有する。
Crは、ステンレス鋼板に耐食性を付与するうえで必須の元素である。Cr含有量が質量%で14%未満では、太陽電池モジュールの長時間使用に耐え得る耐食性を確保することができない。そのため、基板やバックシートに適用した場合、太陽電池モジュールの長期使用時に基板等の腐食が問題となる。また、基本的にCr含有量が高いほど耐食性は向上し、Cr含有量が18%を超えるフェライト系ステンレス鋼板では、580℃以上720℃以下の範囲で熱処理を施した場合でも、酸化皮膜直下のCr濃度低下に起因する耐食性劣化は起こり難い。したがって、本発明では、熱処理による耐食性の劣化が生じ易いフェライト系ステンレス鋼板、すなわちCr含有量が質量%で18%以下のフェライト系ステンレス鋼板を対象とする。
(酸化皮膜中のCr濃度(質量%))+3×(酸化皮膜直下のCr濃度(質量%))
>62(質量%)… (1)
フェライト系ステンレス鋼板に、580℃以上の高温熱処理を施すと、鋼板最表層にCrの酸化皮膜が形成され、酸化皮膜直下に鋼板母材と比較してCr濃度が低下した領域が形成される。そして、上記熱処理後のフェライト系ステンレス鋼板の板厚方向のCr濃度分布は、図3(a)に例示するような分布となる。図3(a)に示すように、熱処理後のフェライト系ステンレス鋼板では、酸化皮膜において鋼板母材よりもCr濃度が高くなる。一方、酸化皮膜直下ではCr濃度が大幅に低下し、この酸化皮膜直下におけるCr濃度の低下がフェライト系ステンレス鋼板の耐食性劣化の主たる原因となる。
そこで、本発明では、酸化皮膜直下におけるCr濃度の低下を抑制すること、或いは、酸化皮膜のCr濃度を高めて酸化皮膜直下におけるCr濃度低下分を補うことで、フェライト系ステンレス鋼板の耐食性を確保する。酸化皮膜中のCr濃度と酸化皮膜直下のCr濃度が前記(1)式を満たさない場合、十分な耐食性を得ることができない。したがって、本発明では、酸化皮膜中のCr濃度(質量%)と3×(酸化皮膜直下のCr濃度(質量%))の合計が62質量%超となるように制御する。
なお、鋼板表層の板厚方向のCr濃度分布は、オージェ電子分光法(AES)を用いて測定することができる。
図3(b)に、AESを用いて熱処理後のフェライト系ステンレス鋼板の板厚方向のCr濃度分布を測定した一例を示す。
本発明では、AESを用いて熱処理後のフェライト系ステンレス鋼板の最表面から深さ(板厚方向)90nmまでの領域のCr濃度分布とO(酸素)濃度分布を測定する。そして、本発明では、前記領域のうちO(酸素)濃度が1mass%以上である領域におけるCr濃度の最大値を「酸化皮膜中のCr濃度」とする。また、本発明では、フェライト系ステンレス鋼板の最表面から深さ(板厚方向)90nmまでの領域のうち、前記最大値が測定された位置よりも板厚中央側の領域におけるCr濃度の最小値を「酸化皮膜直下のCr濃度」とする。
以上のように、Cr含有量が質量%で14%以上18%以下であるようなフェライト系ステンレス鋼板に高温熱処理を施すと、鋼板表面に酸化皮膜が形成されることに伴い酸化皮膜直下のCr濃度が低下し、太陽電池に要求される耐食性を維持できなくなるおそれがある。しかしながら、本発明によると、フェライト系ステンレス鋼板の表層部Cr濃度分布を、上記(1)式を満足するように制御することで、耐食性の問題を効果的に解消することができる。それゆえ、本発明によると、例えばSUS430のように汎用性の高い鋼材を太陽電池用部材として積極的に使用することができ、太陽電池の低コスト化が期待できる。
なお、本発明の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板について、特に好適な成分組成を示すと次のとおりである。以下の成分を表す「%」は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C:0.12%以下
Cは、鋼中のCrと結合してステンレス鋼板の耐食性の低下をもたらすため、その含有量が低いほど望ましい。但し、C含有量が0.12%以下であれば耐食性を著しく低下させることはないため、C含有量は0.12%以下が好ましい。より好ましくは0.045%以下である。
Si:2.5%以下
Siは、脱酸に用いる元素であるが、過剰に含有されるとステンレス鋼板の延性の低下をもたらす場合がある。したがって、Si含有量は2.5%以下が好ましい。より好ましくは1.0%以下である。
Mn:1.0%以下
Mnは、鋼中のSと結合してMnSを形成し、ステンレス鋼板の耐食性を低下させる場合がある。したがって、Mn含有量は1.0%以下が好ましい。より好ましくは0.8%以下である。
S:0.030%以下
上述のとおり、Sは、Mnと結合してMnSを形成し、ステンレス鋼板の耐食性を低下させる。したがって、S含有量は0.030%以下が好ましい。より好ましくは0.008%以下である。
P:0.050%以下
Pは、ステンレス鋼板の延性の低下をもたらすため、低いほど望ましいが、その含有量が0.050%以下であれば延性を著しく低下させることはない。したがって、P含有量は0.050%以下が好ましい。より好ましくは0.040%以下である。
Cr:14%以上18%以下
先述のとおり、Crはステンレス鋼板の耐食性を確保するうえで必須の元素であり、本発明ではCr含有量を14%以上18%以下とする。好ましくは15%以上17%以下である。
N:0.06%以下
Nは、鋼中のCrと結合して、ステンレス鋼板の耐食性の低下をもたらす。そのため、N含有量は低いほど望ましいが、0.06%以下であれば耐食性を著しく低下させることはない。したがって、N含有量は0.06%以下が好ましい。より好ましくは0.015%以下である。
以上が本発明の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の特に好適な基本成分であるが、本発明では上記基本成分に加えて、必要に応じて次の元素を適宜含有させることができる。
Al:0.20%以下
Alは、脱酸に用いられる元素であり、脱酸効果を得るためにはAl含有量を0.001%以上とすることが好ましい。但し、Al含有量が過剰になると、ステンレス鋼板の延性の低下をもたらす場合がある。したがって、Al含有量は0.20%以下が好ましい。より好ましくは0.15%以下である。
なお、残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物のうち、O(酸素)の含有量は、0.02%以下であることが好ましい。
本発明の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板は、太陽電池セルの基板や、太陽電池モジュールのバックシート等、太陽電池を構成する部品の素材に適用されるものであることから、その板厚は20μm以上400μm以下とすることが好ましい。特に、CIGS系太陽電池をはじめとする薄膜系太陽電池セルの基板や薄膜系太陽電池モジュールのバックシートに適用する場合には、板厚を20μm以上120μm以下とすることが好ましい。また、30μm以上80μm以下とすることがより好ましい。
次に、本発明の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法について説明する。
本発明の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法は、質量%でCr:14%以上18%以下を含有するフェライト系ステンレス鋼板に、最終の冷間圧延を施した後、露点−70℃以上−40℃以下に調整した不活性ガス雰囲気中において、580℃以上720℃以下の温度域に加熱し、該温度域における滞留時間を5秒以上とする熱処理を施すことを特徴とする。
本発明の製造方法で用いるフェライト系ステンレス鋼板は、質量%でCr:14%以上18%以下を含有するフェライト系ステンレス鋼板である以上その種類は問わない。例えば、前記の好適な成分組成を有するSUS430のフェライト系ステンレス鋼板を用いることもできるし、高強度化を目的としてNb等を添加したフェライト系ステンレス鋼板を用いてもよい。
また、これらのフェライト系ステンレス鋼板(熱処理を施す前のステンレス鋼板)の製造方法については、その製造条件等に特段の制限はなく、従来公知の方法に従えばよい。すなわち、連続鋳造法や、造塊−分塊圧延法、薄スラブ連鋳法等、公知の鋳造方法により鋳造されたスラブに、熱間圧延を施して熱延板とし、該熱延板に、必要に応じて酸洗、焼鈍を施したのち、冷間圧延(圧下率:50%以上90%以下程度)を施すことにより製造され、最終の冷間圧延までの製造方法は特に限定されない。
なお、最終の冷間圧延後のフェライト系ステンレス鋼板の板厚は、20μm以上400μm以下とすることが好ましい。また、太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板を薄膜系太陽電池セルの基板や薄膜系太陽電池モジュールのバックシートに適用する場合には、板厚を20μm以上120μm以下とすることが好ましい。また、30μm以上80μm以下とすることがより好ましい。
本発明では、上記のようにして得られた冷間圧延後のフェライト系ステンレス鋼板に、580℃以上720℃以下の温度域に加熱する熱処理を施す。この熱処理は、ステンレス鋼板表層の過度の酸化を抑制するために、不活性ガス雰囲気中で行う。不活性ガスの種類は特に限定されず、窒素ガス、水素ガス、アルゴンガス、アンモニア分解ガス(75体積%水素と25体積%窒素の混合ガス)、HNガス(5体積%水素と95体積%窒素の混合ガス)などの還元性あるいは不活性ガスが例示される。
上記熱処理をステンレス鋼板に施すことにより、冷間圧延時に導入された加工ひずみが低減する結果、太陽電池セル製造時の高温プロレスで問題とされていたステンレス鋼板の変形を抑制することができる。
しかしながら、上記熱処理では、必ずしも前記(1)式を満足して太陽電池モジュールの長時間使用に耐え得る十分な耐食性を備えたフェライト系ステンレス鋼板は得られない。
フェライト系ステンレス鋼板表層の酸化皮膜中Cr濃度と、酸化皮膜直下のCr濃度を、前記(1)式を満足するように制御し、所望の耐食性を付与するためには、上記熱処理を施す際に雰囲気ガスの露点と熱処理時間を最適化することが必須となる。
露点:−40℃以下−70℃以上
雰囲気ガスの露点が−40℃を超えると、熱処理炉内の酸素分圧が上昇して、フェライト系ステンレス鋼板中に含有されるCrが過度に酸化され易くなり、耐食性が劣化する。一方、雰囲気ガスの露点が−70℃を下回ると、露点を安定して制御することが困難となる。したがって、雰囲気ガスの露点を−40℃以下−70℃以上とすることが極めて重要である。なお、好ましくは−50℃以下−70℃以上である。
580℃以上720℃以下の温度域における滞留時間:5秒以上
フェライト系ステンレス鋼板を高温に加熱すると、鋼板表層にCrの酸化皮膜が形成される。そして、この酸化皮膜の形成に伴い、酸化皮膜直下にはCr濃度が低下した領域が形成される。ここで、580℃以上720℃以下の温度域における滞留時間が5秒未満であると、鋼板母材からのCrの拡散が間に合わず、酸化皮膜直下のCr濃度が低下するうえ、酸化皮膜中にも十分なCr量を取り込むことができない。すなわち、上記滞留時間が5秒未満であると、Cr濃度を前記(1)式を満足するように制御することができず、フェライト系ステンレス鋼板の耐食性が劣化する。
以上の理由により、本発明では、580℃以上720℃以下の温度域における滞留時間を5秒以上とする必要がある。なお、上記滞留時間の上限に特に制限はないが、上記滞留時間が長くなり過ぎるとステンレス鋼板が変形するおそれがあるので、10分以下とすることが好ましい。また、3分以下とすることがより好ましく、30秒以下とすることがより一層好ましい。
なお、先述のとおり、不活性ガスの種類は限定されないが、窒素ガスと水素ガスの混合ガスを使用することが好ましい。また、その混合比率は、水素を75±5体積%(残部は窒素)とすることが好ましい。このような混合ガスを用いると、フェライト系ステンレス鋼板の耐食性がより一層向上する。
太陽電池製造時や太陽電池使用時において、太陽電池基板から光吸収層が剥離し易くなると、太陽電池の生産性や光電変換効率の低下を招く。したがって、太陽電池の基板には、太陽電池セル製造時の高温プロセスにおいて、光吸収層が基板から剥離しないことが要求される。また、太陽電池セルや太陽電池モジュールを構成する部品(基板、バックシート等)には、優れた耐食性が要求される。そこで、これらの要求特性に鑑み、太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の試料を作製し、鋼板表層部におけるCr濃度を測定するとともに、上記の特性を評価するための各種試験を実施した。試料の作製方法、Cr濃度の測定方法、各種試験・評価方法は次のとおりである。
(1)試料の作製方法
表1に示す化学成分を有する板厚:0.3mmのフェライト系ステンレス冷延鋼板に、光輝焼鈍を施したのち、20段ゼンジミア冷間圧延機により冷間圧延を施し、板厚:0.05mmの鋼板とした。
上記により得られた板厚:0.05mmの鋼板に、脱脂後、不活性ガス雰囲気中で加熱する熱処理を施し、太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の試料を製造した。表2に、上記熱処理に用いた不活性ガスの種類、雰囲気ガスの露点、鋼板の最高到達温度、580℃以上720℃以下の温度域における鋼板の滞留時間を示す。
なお、一部の鋼板については、熱処理を施さず、冷間圧延ままの鋼板(板厚:0.05mm)を太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の試料とした。
Figure 0005772806
Figure 0005772806
(2)鋼板表層Cr濃度の測定
上記(1)により作製された各種試料について、試料の最表層部に形成された酸化皮膜中のCr濃度および酸化皮膜直下のCr濃度を求めた。
酸化皮膜中のCr濃度および酸化皮膜直下のCr濃度は、AES測定とイオンスパッタリングとを併用し、鋼板(試料)の板厚深さ方向のCr濃度分布(最表面から深さ90nmまでの領域におけるCr濃度分布)を測定することにより求めた。
AES測定には走査型オージェ電子分光分析装置(PHI SAM-660)を用い、AES測定における電子銃の加速電圧は5kV、試料電流量は0.1μAとし、イオン銃の加速電圧は3kV、スパッタレートは3nm/min(SiO2実測値)とし、板厚方向の膜厚に換算した。
得られたオージェ電子スペクトルから、O(酸素)、Fe、Cr、Mn、Si各元素のオージェピーク高さ(微分スペクトルでのピーク間の高さ)を読み取り、各元素のオージェピークに対する相対感度係数とから、Crの相対濃度を算出した。
鋼板(試料)の最表面から深さ90nmまでの領域(但し、酸素濃度が1mass%以上である領域)におけるCr濃度の最高値を「酸化皮膜中のCr濃度」として求めた。一方、鋼板(試料)の最表面から深さ90nmまでの領域のうち前記最高値が測定された位置よりも板厚中央側の領域におけるCr濃度の最小値を「酸化皮膜直下のCr濃度」として求めた。
(3)耐食性試験
上記(1)により作製された各種試料について、太陽電池モジュールの環境劣化、耐久性評価試験として一般に用いられているIEC61646およびJIS C 8917の規定に準拠した高温高湿試験方法を実施し、耐食性を評価した。
具体的には、端面を耐水テープでシールした試料を、温度:85℃、湿度:85%の恒温恒湿槽内に1000時間保持する高温高湿試験を実施した。そして、試験後の試料表面の発銹状態を目視観察することにより耐食性を評価した。発銹が観察されない場合を耐食性良好(○)と評価し、発銹が観察される場合を耐食性不良(×)と評価した。
(4)太陽電池モジュール製造時の高温プロセスにおける光吸収層の基板からの耐剥離性試験
上記(1)により作製された各種試料を基板とし、該基板上に、スパッタリング法を用いてMo層からなる裏面電極(厚さ1μm)を成膜した。次いで、Mo層からなる裏面電極上に、多元蒸着法を用いてCu(In1-XGaX)Se2からなる光吸収層(厚さ2μm)を成膜した。なお、光吸収層の成膜温度は650℃とした。
光吸収層を成膜した直後の試料を目視および光学顕微鏡(倍率:1000倍)を用いて観察し、裏面電極および光吸収層の剥離の有無を確認した。基板である試料から裏面電極および光吸収層が剥離していない場合を耐剥離性良好(○)と評価し、基板である試料から裏面電極および光吸収層が剥離している場合を耐剥離性不良(×)と評価した。
得られた結果を表3に示す。また、上記(2)により求めた各種試料の酸化皮膜中のCr濃度および酸化皮膜直下のCr濃度と、上記(3)による各種試料の耐食性評価との関係を、図4に示す。
Figure 0005772806
表3および図4より、次の事項が明らかである。
(a)熱処理を施さない冷間圧延ままの鋼板であるNo.0の試料では、該試料を基板として光吸収層を成膜した場合、基板から光吸収層が剥離した。これに対し、冷間圧延後の鋼板に熱処理を施したNo.1〜16の試料では、それぞれの試料を基板として光吸収層を成膜した場合に、光吸収層の基板からの剥離は認められない。
(b)冷間圧延後の鋼板に熱処理を施した試料のうち、露点−40〜−70℃の雰囲気ガス中、580℃以上720℃以下の温度域での滞留時間を5秒以上とする熱処理を施したNo.2〜4、およびNo.7〜16の試料は、前記(1)式を満足し、優れた耐食性を有する。一方、580℃以上720℃以下の温度域での滞留時間が4秒以下であるNo.1、5、6の試料は、(1)式を満足せず、良好な耐食性が得られていない。
なお、上記実施例において試料の耐剥離性を評価する際、各種試料を基板としてスパッタリング法により裏面電極を成膜し、多元蒸着法により光吸収層を成膜した。しかし、本発明においては、これら以外の方法により裏面電極や光吸収層を成膜した場合であっても上記実施例(発明例)と同様の効果を発現する。
本発明によれば、安価で、大量生産が可能なフェライト系ステンレス鋼板を太陽電池基板に適用した場合であっても、基板上に形成される光吸収層の剥離を抑制することができる。また、本発明によれば、フェライト系ステンレス鋼板に高温熱処理を施した場合であっても、ステンレス鋼が有する優れた耐食性を維持することができるため、安価で、大量生産が可能なフェライト系ステンレス鋼板を太陽電池の基板やバックシートに適用することができる。それゆえ、太陽電池モジュールの製造コスト削減に寄与するだけでなく、光電変換効率の向上も期待され、産業上格段の効果を奏する。
1 … 基板
2 … 裏面電極層
3 … 光吸収層
4a … バッファ層
4b … 高抵抗バッファ層
5 … 透明導電層
6 … グリッド電極
10 … 薄膜系太陽電池セル
20 … バリアフィルム
30 … バックシート
40 … コネクタ
50 … 樹脂
100 … 薄膜系太陽電池モジュール

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.12%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、S:0.030%以下、P:0.050%以下、Cr:14%以上18%以下、N:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、鋼板表層部の酸化皮膜中のCr濃度と、前記酸化皮膜直下のCr濃度が、下記(1)式を満足することを特徴とする太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板。

    (酸化皮膜中のCr濃度(質量%))+3×(酸化皮膜直下のCr濃度(質量%))
    >62(質量%)… (1)
  2. 請求項1に記載の太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法において、質量%で、C:0.12%以下、Si:1.0%以下、Mn:1.0%以下、S:0.030%以下、P:0.050%以下、Cr:14%以上18%以下、N:0.06%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有するフェライト系ステンレス鋼板に、最終の冷間圧延を施した後、露点−70℃以上−40℃以下に調整した不活性ガス雰囲気中において、580℃以上720℃以下の温度域に加熱し、該温度域における滞留時間を5秒以上30秒以下とする熱処理を施すことを特徴とする太陽電池部材用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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