以下,本実施の形態について,図を用いて説明する。
図1は,本実施の形態による運転支援装置の機能構成例を示す図である。
運転支援装置10は,例えば車両に搭載され,車両を運転するドライバへの支援を行う。具体的には,運転支援装置10は,ドライバが十分な注意を払って運転すべき場所が記録された情報であるハザードマップと,リアルタイムのドライバの状況とに基づいて,ドライバが危険な状態にあると判定された場合に,ドライバに対して警告を行う。また,運転支援装置10は,ドライバの過去の運転時における生体情報や車両の走行経路の情報等を蓄積し,その蓄積情報に基づいて,ドライバの運転支援に用いるハザードマップを作成する。
運転支援装置10は,ドライバ認証部11,位置取得部12,生体情報取得部13,ハザードマップ記憶部14,危険状態判定部15,警告部16,情報収集部17,蓄積情報記憶部18,ハザードマップ作成部19を備える。
ドライバ認証部11は,認証により車両を運転するドライバを特定する。
位置取得部12は,GPS(Global Positioning System )等を用いた位置取得機能により車両の位置をリアルタイムに取得する。
生体情報取得部13は,生体センサにより計測されたドライバの生体情報をリアルタイムに取得する。生体情報とは,ドライバの身体的な状態に関する情報である。生体センサにより計測するドライバの生体情報は,例えば,心拍,血圧,発汗,体温などがある。ドライバが車両の運転中に危険や不安を感じると,心拍数が上がる,血圧が上がる,発汗量が増える,体温が上がるなど,生体センサで計測されるドライバの生体情報に変化が生じる。
ハザードマップ記憶部14は,ハザードマップ140を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶部である。ハザードマップ140は,例えば事故が起こりやすい場所など,ドライバが十分な注意を払って運転すべき場所が記録された情報である。
本実施の形態では,ドライバの過去の車両運転時に収集され,蓄積されたドライバの生体情報と車両の走行経路の情報とから,ドライバの生体情報が変化する場所が記録されたハザードマップ140が作成される。上述したように,ドライバが車両の運転中に危険や不安を感じて運転を行うと,計測される生体情報に変化が生じる。すなわち,ドライバの生体情報が変化する場所が記録されたハザードマップ140は,過去のドライバの生体情報の計測結果から得られた,ドライバが十分な注意を払って運転すべき場所が記録された情報である。
危険状態判定部15は,ドライバが運転する車両のリアルタイムの位置がハザードマップ140に記録された場所であるときに,車両を運転しているドライバの状態が危険な状態であるか否かを判定する。本実施の形態では,危険状態判定部15は,ドライバの運転車両の位置がハザードマップ140への記録場所であるときに,ドライバのリアルタイムの生体情報に所定の変化があるかをチェックする。ドライバのリアルタイムの生体情報に所定の変化がなければ,危険状態判定部15は,ドライバの状態が危険な状態であると判定する。
ハザードマップ140には,過去にドライバの生体情報が変化した実績がある場所が記録されている。そのような過去にドライバの生体情報が変化した実績がある場所で,ドライバの生体情報が変化しなかった場合には,そのドライバが危険な場所で十分な緊張感を持った運転をしていない可能性がある。このとき,危険状態判定部15は,ドライバの状態が危険な状態であると判定する。
警告部16は,危険状態判定部15によりドライバの状態が危険な状態であると判定された場合に,ドライバに対して警告を行う。
情報収集部17は,日時,車両の位置,ドライバの生体情報などの各情報を収集する。情報収集部17は,収集した各情報を関連付けて,蓄積情報記憶部18に蓄積する。
蓄積情報記憶部18は,蓄積データ180を記憶する,コンピュータがアクセス可能な記憶部である。蓄積データ180は,ドライバの過去の車両運転時に収集された情報が蓄積記録されたデータである。
ハザードマップ作成部19は,蓄積情報記憶部18に記憶された蓄積データ180に対して統計処理を施し,ハザードマップ140を作成する。ハザードマップ作成部19は,作成したハザードマップ140を,ハザードマップ記憶部14に記憶する。
図2は,本実施の形態による運転支援装置を実現するコンピュータの構成例を示す図である。
本実施の形態では,運転支援装置10は,例えば,車両に搭載されたコンピュータ100によって実現される。コンピュータ100は,CPU(Central Processing Unit )101,RAM(Random Access Memory)などのメモリ102,HDD(Hard Disk Drive )などの記憶装置103,入力装置104,出力装置105,生体センサ106,GPSアンテナ107等を備える。
図1に示す運転支援装置10および運転支援装置10が備える各機能部は,コンピュータ100が備えるCPU101,メモリ102等のハードウェアと,ソフトウェアプログラムとによって,実現することが可能である。コンピュータ100が実行可能なプログラムは,記憶装置103に記憶され,その実行時にメモリ102に読み出され,CPU101により実行される。
なお,コンピュータ100は,可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り,そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また,コンピュータ100は,サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに,逐次,受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。さらに,このプログラムは,コンピュータ100で読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。
入力装置104,出力装置105は,例えば,カーナビゲーションシステム等でも使用されるタッチスクリーンやリモコンなどである。生体センサ106は,ドライバの生体情報を計測するセンサである。生体センサ106としては,例えば,ドライバの心拍を計測するセンサ,ドライバの血圧を計測するセンサ,ドライバの発汗量を計測するセンサ,ドライバの体温を計測するセンサなど,様々なセンサが利用可能である。GPSアンテナ107は,GPS衛星からの信号を受信するアンテナである。
以下,本実施の形態による運転支援装置10の動作の一例を説明する。
まず,本実施の形態の運転支援装置10が危険な状態にあるドライバに対して警告を行う動作について説明する。図1に示す運転支援装置10において,危険な状態にあるドライバに対して警告を行う動作は,実線の矢印で示されている。
運転支援装置10において,ハザードマップ記憶部14には,ハザードマップ140が記憶されている。
本実施の形態のハザードマップ140は,ドライバの過去の車両運転時に収集された生体情報の記録に基づいて,ドライバの生体情報が平常な状態から変化する場所が記録された情報である。ドライバが事故の危険性や不安を感じて緊張して運転を行うと,そのときのドライバの心拍数などの生体情報は,平常な状態から変化する。このため,普段からドライバの生体情報が平常な状態から変化する場所は,ドライバが事故の危険性や不安を感じて緊張して運転を行っている場所である可能性が高いと判断できる。すなわち,本実施の形態のハザードマップ140は,普段からドライバが事故の危険性や不安を感じて緊張して運転を行っている場所が登録された情報であるといえる。なお,ハザードマップ140の作成の例については,後述する。
本実施の形態では,複数のドライバに共通のハザードマップ140が用意されるのではなく,個々のドライバごとに専用のハザードマップ140が用意される。車両の運転技術や経験などはドライバごとに異なり,事故の危険性や不安を感じる場所はそれぞれのドライバごとに異なるため,それぞれのドライバごとに最適なハザードマップ140は異なるものと考えられる。例えば,図1において,ハザードマップ140aは,ドライバa用のハザードマップ140を示しており,ハザードマップ140bは,ドライバb用のハザードマップ140を示している。
図3は,本実施の形態によるハザードマップの例を示す図である。
図3に示すハザードマップ140は,場所を示す情報と,その場所におけるドライバの生体情報に関する情報との対応情報となっている。図3に示すハザードマップ140は,登録場所名,登録位置,心拍変動率,占有率等の情報を持つ。
図3に示すハザードマップ140において,登録場所名と登録位置は,場所を示す情報である。ハザードマップ140に記録される場所は,ドライバの過去の車両運転において,ドライバの生体情報が変化した場所である。例えば,生体情報が心拍の情報である場合に,ハザードマップ140に記録される場所は,いつもドライバの心拍数が高くなる場所である。
登録場所名は,ハザードマップ140に記録された場所の名称である。カーナビゲーションシステムの地図情報などでは,地名やランドマークの名称等の場所名からの地図検索を可能とするために,場所名と地図上の位置との対応付けが行われている。このように,場所名と位置との対応付けがあれば,ハザードマップ140に場所を記録するときに,場所名で記録することも可能である。
登録位置は,ハザードマップ140に登録された場所の緯度・経度等の位置情報である。図3に示すハザードマップ140において,登録位置は,開始地点の緯度・経度・標高と,終了地点の緯度・経度・標高とで示されている。これは,ハザードマップ140に登録された場所が,範囲と方向とを持っていることを意味している。
例えば,ドライバが危険を感じる交差点を通過する場合に,ドライバはその手前から緊張状態となり,その緊張は通過後徐々に解けていく。すなわち,ドライバが危険や不安を感じる地点に対して,ドライバの生体情報が平常な状態から変化する場所には,ある程度の範囲がある。危険な急カーブが長く続くような道路では,その前後も含めて,ドライバの緊張状態が長く続くことになり,それに対するハザードマップ140の登録位置の範囲も長くなる。
また,同じ道路でも,上り方向と下り方向とでドライバの緊張感が異なる場所もある。例えば,上り方向では死角が少なく,ドライバがほどよい緊張感で運転できるが,下り方向では死角が多く,ドライバが飛び出し等の不安を感じながら強い緊張感を持って運転しなければならないといったケースも考えられる。すなわち,車両を走行させる方向によって,ドライバの生体情報が平常な状態から変化するか否かが異なる場所がある。
このようなハザードマップ140における登録場所を示す情報に関する設計は,図3に示すハザードマップ140の例に限らず任意である。例えば,登録場所として一地点の位置情報のみを記録し,記録された地点を中心とした所定の範囲をドライバが警戒して運転すべき場所としてもよい。また,例えば,登録場所の位置を,道路名とキロポストとの組合せなどで記録してもよい。キロポストは,道路上の位置を,定められた起点からの距離で表す位置情報である。
図3に示すハザードマップ140において,心拍変動率と占有率は,過去の車両運転時に計測されたドライバの生体情報から統計的に得られた,ハザードマップ140に記録された場所におけるドライバの生体情報に関する情報である。すなわち,図3に示すハザードマップ140の心拍変動率や占有率は,ドライバが過去にその場所を走行したときの心拍の情報の統計情報となる。ハザードマップ140に記録されたドライバの生体情報に関する情報は,危険状態判定部15がドライバの状態が危険な状態であるか否かを判定するための条件として用いられる。
心拍変動率は,ドライバの平常状態での心拍数に対する,計測された心拍数の変動率を示す。図3に示すハザードマップ140における心拍変動率は,該当場所における過去の車両運転時のドライバの心拍変動率に関する統計的処理結果である。また,図3に示すハザードマップ140において,占有率は,ドライバの過去の車両運転時の該当場所において,ハザードマップ140に示された心拍変動率以上の値の心拍変動率が得られた割合の統計的処理結果である。図3に示すハザードマップ140の心拍変動率と占有率とを用いて,ドライバの状態が危険状態であるか否かの判定を行う例については,後述する。
なお,このようなハザードマップ140におけるドライバの生体情報に関する情報の設計は,上述の場所を示す情報の設計と同様に,図3に示すハザードマップ140の例に限らず任意である。例えば,ハザードマップ140が個々のドライバごとの情報である場合に,ハザードマップ140におけるドライバの生体情報に関する情報が,該当場所における該当ドライバの過去の車両運転時に計測された心拍数の統計的処理結果などであってもよい。
本実施の形態では,このようなハザードマップ140がドライバごとに用意されていることを前提として,車両に搭載された運転支援装置10による,車両を運転するドライバに対する運転支援が行われるものとする。
ドライバは,本実施の形態による運転支援装置10を使用して車両の運転を行う場合に,その運転開始時にドライバ認証を行う。ドライバの認証方法については,タッチスクリーンなどの入力装置104でドライバ名などを入力する方法や,指紋等の生体認証を行う方法など,様々な技術が利用可能である。運転支援装置10のドライバ認証部11は,ドライバ認証により得られた情報で,車両を運転するドライバを特定する。
以後,運転支援装置10は,ドライバ認証部11により特定されたドライバについての運転支援を行う。例えば,特定されたドライバがドライバaであれば,運転支援装置10は,そのドライバaへの運転支援に用いるハザードマップ140として,ドライバa専用のハザードマップ140aを使用する。
位置取得部12は,ドライバによる車両の運転が開始されると,車両の位置情報の取得を開始する。本実施の形態では,位置取得部12は,GPSアンテナ107が受信したGPS情報から,車両の現在位置を示す緯度・経度・標高等の位置情報を常時求める。
生体情報取得部13は,ドライバによる車両の運転が開始されると,生体センサ106によりリアルタイムに計測されたドライバの生体情報の取得を開始する。本実施の形態では,ドライバの生体情報として,ドライバの心拍に関する情報を取得する。すなわち,生体センサ106としては,ドライバの心拍を計測する生体センサ106が用いられる。心拍を計測するセンサとしては,例えば,耳たぶなどの毛細血管を流れる血流から心拍の波形にほぼ等しい脈波を計測するセンサなどが既に実現されている。
危険状態判定部15は,ドライバによる車両の運転が開始されると,まず,ドライバが平常状態であるときの生体情報を求める。ドライバが平常状態であるときの生体情報とは,例えばドライバがほどよい緊張感で安定した運転を行っているときなどの,ドライバの状態が安定した状態であるときの生体情報をいう。本実施の形態では,危険状態判定部15は,ドライバが平常状態であるときの生体情報として,ドライバが平常状態であるときの心拍数を求める。ここでは,ドライバが平常状態であるときの心拍数を,標準心拍数と呼ぶ。危険状態判定部15は,求められた標準心拍数を保持する。
標準心拍数を求める方法としては,様々な方法がある。例えば,直近の過去10回分の運転開始時に計測されたドライバの心拍数を保存しておき,その心拍数の平均値を求めてそのドライバの標準心拍数としてもよい。また,ドライバが運転開始してから一定時間経過するまでの心拍数を計測し,その平均値をドライバの標準心拍数としてもよい。
なお,標準心拍数は,ドライバごとに異なる。また,同じドライバであっても,その日そのときのドライバの身体状態や精神状態などによっても変わる可能性がある。
危険状態判定部15は,ドライバによる車両の運転が開始されると,ハザードマップ140に記録された場所と,位置取得部12により得られる現在の車両の位置との関係を監視する。危険状態判定部15は,ハザードマップ140に記録された場所と現在の車両の位置とが所定の位置関係にある場合に,ドライバが運転する車両がハザードマップ140に記録された場所にあると判定する。
このような,危険状態判定部15による,ハザードマップ140に記録された場所と,ドライバが運転する車両の位置との関係についての判定に関する具体的な設計は,任意である。
例えば,危険状態判定部15は,GPSの精度等の誤差を考慮し,位置取得部12により得られた車両の位置がハザードマップ140に記録された場所から,GPSの誤差と心拍変動時間の誤差とを含んだ値として例えば±20m以内である場合に,その車両の位置がハザードマップ140に記録された場所であると判定する。
また,例えば,危険状態判定部15は,図3に示すようにハザードマップ140に記録された場所に方向がある場合に,車両の移動方向が開始地点から終了地点に向かう方向であり,かつ車両の位置が開始地点から終了地点に向かう経路上の地点±20m以内であれば,車両が記録場所にあると判定する。道路情報を保持または取得可能であれば,運転支援装置10は,その道路情報から,図3に示すような開始地点から終了地点に至るまでの経路を求めることができる。
危険状態判定部15は,ドライバが運転する車両の位置がハザードマップ140に記録された場所であると判定したときに,ドライバの状態が危険な状態であるか否かを判定する。このとき,危険状態判定部15は,生体情報取得部13により取得されたリアルタイムのドライバの生体情報に基づいた判定を行う。
上述したように,ドライバが危険回避のために十分に警戒した運転を行うと,その緊張感からドライバの生体情報に変化が現れる。例えば,生体情報が心拍数であれば,危険な場所で運転するときのドライバの心拍数は,安全な場所で運転するときのドライバの心拍数よりも高くなる。ハザードマップ140に記録されている場所は,ドライバの生体情報に変化があった場所であり,すなわちドライバが普段から危険を感じて慎重に運転を行っている場所である。
このようなハザードマップ140に記録されている場所を通過するときに,ドライバの生体情報に十分な変化があれば,ドライバが十分に警戒した運転を行っている可能性が高い。この場合には,ドライバが事故を起こす可能性が低く,ドライバの状態は比較的安全な状態であると考えられる。
これに対して,ハザードマップ140に記録されている場所を通過するときに,ドライバの生体情報に十分な変化がなければ,ボーっと考え事をしている,居眠りをしているなど,ドライバが必要な警戒を怠って運転をしている可能性がでてくる。この場合には,ドライバが事故を起こす可能性も高くなり,ドライバの状態は危険な状態であると考えられる。
危険状態判定部15は,ドライバが平常な状態であるときの生体情報に対して,生体情報取得部13により取得されたリアルタイムのドライバの生体情報に所定の変化があれば,ドライバの状態が危険な状態ではないと判定する。また,危険状態判定部15は,ドライバが平常な状態であるときの生体情報に対して,生体情報取得部13により取得されたリアルタイムのドライバの生体情報に所定の変化がなければ,ドライバの状態が危険な状態であると判定する。
以下,危険状態判定部15による,生体情報取得部13により取得されたドライバの心拍の情報に基づいた,ドライバの危険状態の判定の一例を説明する。ここで説明する例は,図3に示すハザードマップ140における心拍変動率と占有率とを用いた判定の例である。
危険状態判定部15は,ドライバが運転する車両の位置がハザードマップ140に記録された場所であると判定したときに,生体情報取得部13により取得されたドライバの心拍の情報から,その時点のドライバの瞬間的な心拍数を算出する。
図4は,心拍波形の例を示す情報である。
例えば,生体情報取得部13が心拍を計測する生体センサ106から取得した情報から,図4に示すような心拍波形が得られる。図4に示す心拍波形において,R波は,上向きのピーク部分の波であり,心臓の左心室が収縮して全身に血液を送り出す拍動タイミングで発生する心室筋の興奮を表す波である。
心拍数は,一般に1分間あたりの心臓の拍動回数をいう。瞬間的な心拍数は,心臓の拍動1回分の時間の逆数を求めることにより算出する。図4に示す心拍波形において,心臓の拍動1回分の波形は,例えば,R波間隔として示された,R波から次のR波までの波形である。このR波間隔の時間の逆数が,その時点の瞬間的な心拍数である。以下では,瞬間的な心拍数を瞬間心拍数と呼ぶ。
例えば,R波間隔の時間が1秒(=1/60分)であれば,その逆数から瞬間心拍数60が得られる。また,例えば,R波間隔の時間が0.7秒(0.7/60分)であれば,その逆数から,瞬間心拍数86(小数点以下四捨五入)が得られる。
危険状態判定部15は,算出した瞬間心拍数と,あらかじめ算出して保持していた標準心拍数とから,その時点におけるドライバの心拍変動率(%)を算出する。心拍変動率は,瞬間心拍数÷標準心拍数×100%で求められる。例えば,ドライバの標準心拍数が60であり,ある時点でのドライバの瞬間心拍数が90であれば,その時点でのドライバのリアルタイムの心拍変動率は,90÷60×100%=150%となる。
危険状態判定部15は,図3に示すハザードマップ140に記録された,車両が現在走行している場所に対応する心拍変動率と占有率とを用いた判定を行う。ここでは,図3に示すハザードマップ140における心拍変動率と占有率は,危険状態判定部15による判定において,ドライバの過去の車両運転時のデータに基づいた,ドライバの状態が安全な状態であると判定する条件を示しているものとする。
危険状態判定部15は,現在車両が走行しているハザードマップ140の記録場所の範囲において,ハザードマップ140の心拍変動率以上の値を示すドライバのリアルタイムの心拍変動率が,ハザードマップ140の占有率以上の割合で出現していれば,現在のドライバの状態が安全な状態であると判定する。危険な場所を走行するドライバの心拍変動率は,その区間で常に一定の高い値が得られるわけではなく,高い値を維持しながらも値は上下するので,ここでは,占有率の条件を用いた判定を行う。
例えば,ドライバが運転する車両が,図3に示すハザードマップ140の登録場所名“渋谷駅前”の場所を走行するものとする。図3に示すハザードマップにおいて,登録場所名“渋谷駅前”に対応する心拍変動率の条件は140%以上,占有率の条件は30%以上である。
危険状態判定部15は,ハザードマップ140に登録位置で示される範囲を車両が走行している間,ドライバのリアルタイムの心拍変動率を監視する。危険状態判定部15は,車両が登録場所名“渋谷駅前”の場所に突入してから現時点までの監視において,30%以上の割合で,140%以上のドライバのリアルタイムの心拍変動率が出現していれば,現時点でのドライバの状態は安全な状態であると判定する。また,危険状態判定部15は,車両が登録場所名“渋谷駅前”の場所に突入してから現時点までの監視において,140%以上のドライバのリアルタイムの心拍変動率の出現が,30%未満の割合であれば,現時点でのドライバの状態は危険な状態であると判定する。
このような心拍変動率と占有率とを用いた判定以外でも,生体情報取得部13により取得されたドライバの生体情報に所定の変化があるか否かの判定には,様々な判定基準を用いた判定が可能であり,どのような判定基準を用いて判定を行うか等の設計は,任意である。
例えば,ハザードマップ140が個々のドライバごとに専用のものが用意されるものであれば,ドライバの過去の生体情報に関する情報として,該当場所における過去の心拍数の統計的処理結果をハザードマップ140に記録するようにしてもよい。このとき,危険状態判定部15は,例えば,車両がハザードマップ140に記録された場所を走行中に,ドライバのリアルタイムに計測された心拍数が,ハザードマップ140に記録された心拍数−20%以上を維持していれば,ドライバの状態が安全な状態であると判定する。
また,例えば,シンプルに,車両がハザードマップ140に記録された場所を通過するときに,ドライバの心拍変動率が120%以上あれば,ドライバの状態が危険状態ではないと判定し,ドライバの心拍変動率が120%に満たなければ,ドライバの状態が危険状態であると判定する方法なども考えられる。この例の場合には,ハザードマップ140に過去の車両走行時にドライバの心拍変動率が高かった場所の記録があれば,場所ごとのドライバの生体情報に関する情報がなくても,ドライバの危険状態の判定が可能である。ただし,この場合には,場所ごとに異なる生体情報の判定ができないため,上述の心拍変動率と占有率とを用いた判定などのドライバの生体情報に関する情報を用いた判定に比べて,精度は低くなる。
警告部16は,危険状態判定部15によりドライバが危険な状態であると判定された場合に,ドライバに対して注意喚起の警告を行う。ドライバに対する警告の方法としては,例えば,表示画面に警告を表示する,警告音を発する,ハンドルを振動させるなど,ドライバに対する視覚的,聴覚的,触覚的な様々な警告の方法がある。
ここで説明した本実施の形態の運転支援装置10の一例では,ハザードマップ140は,ドライバごとに用意される。車両の運転技術や経験などはドライバごとに異なるので,事故の危険性や不安を感じる場所はそれぞれのドライバごとに異なる。そのため,ドライバごとに,最適なハザードマップ140は異なるものと考えられる。
例えば,バックでの車庫入れに慣れたベテランドライバは,あまり緊張感を持たない平常状態で運転をしても,バックでの車庫入れで車両をぶつけてしまう可能性が低い。これに対して,バックでの車庫入れに慣れていない初心者ドライバは,しっかりと緊張感を持って運転しないと,バックでの車庫入れで車両をぶつけてしまう可能性が高い。当然,ベテランドライバと初心者ドライバとでは,バックでの車庫入れに対する不安感や緊張感も異なり,そのときの生体情報の変化も異なる。
このような場合に,ベテランドライバと初心者ドライバとで同じハザードマップ140を使用することには,多少の問題がある。
例えば,上記のバックでの車庫入れを行う場所がハザードマップ140に登録されていなければ,眠気などにより緊張感が緩んだ状態で初心者ドライバがバックでの車庫入れを行っていても,運転支援装置10は,その初心者ドライバに対して警告を行わない。この場合,眠気などにより緊張感が緩んだ状態でバックでの車庫入れを行ってしまった初心者ドライバが,車両をぶつけてしまう可能性が高くなる。
また,例えば,上記のバックでの車庫入れを行う場所がハザードマップ140に登録されていれば,特に眠気などの問題がない平常状態のベテランドライバがバックでの車庫入れを行っているときにも,運転支援装置10は,そのベテランドライバに対して警告を行ってしまう。この場合,特に眠気などの問題がない平常状態のベテランドライバが,意味のない警告を鬱陶しく思ってしまい,運転支援装置10を普段から使用しなくなってしまう可能性がある。
個々のドライバごとに,それぞれ専用のハザードマップ140を用意することにより,ドライバごとに異なる危険や不安を感じる場所における,ドライバごとに異なるいつもの生体情報に応じたドライバの危険な状態の判定が可能となる。
図5は,本実施の形態の運転支援装置による運転支援処理フローチャートである。
ドライバによる車両の運転が開始されると,運転支援装置10のドライバ認証部11は,ドライバの認証により,車両を運転するドライバを特定する(ステップS10)。危険状態判定部15は,特定されたドライバの標準心拍数を算出する(ステップS11)。危険状態判定部15は,算出された標準心拍数を保持しておく。
位置取得部12は,ドライバが運転する車両の位置を取得する(ステップS12)。危険状態判定部15は,取得された車両の位置が,ハザードマップ記憶部14に記憶された該当ドライバのハザードマップ140に記録された場所であるかを判定する(ステップS13)。
車両の位置がハザードマップ140の記録場所でなければ(ステップS13のNO),運転支援装置10は,ステップS12に戻って,次の車両位置の処理に移る。
車両の位置がハザードマップ140の記録場所であれば(ステップS13のYES),生体情報取得部13は,生体センサ106からドライバのリアルタイムの心拍の情報を取得する(ステップS14)。危険状態判定部15は,取得されたリアルタイムの心拍の情報から,その時点での瞬間心拍数を算出する(ステップS15)。危険状態判定部15は,算出された瞬間心拍数とあらかじめ算出された標準心拍数とから,心拍変動率を算出する(ステップS16)。
危険状態判定部15は,該当ドライバのハザードマップ140に記録された心拍変動率と心拍数の条件を満たす心拍の変化があるかを判定する(ステップS17)。ここでの判定は,上述の心拍変動率と心拍数とを用いた判定であるものとする。ハザードマップ140の条件を満たす心拍の変化がなければ(ステップS17のNO),危険状態判定部15はドライバの状態が危険な状態であると判定し,警告部16は,車両を運転するドライバに対して注意喚起の警告を行う(ステップS18)。
運転支援装置10は,ドライバによる車両の運転を監視し,運転が終了したかを判定する(ステップS19)。運転が終了していなければ(ステップS19のNO),運転支援装置10は,ステップS12に戻って,次の車両位置の処理に移る。運転が終了していれば(ステップS19のYES),運転支援装置10は,処理を終了する。
本実施の形態の運転支援装置10により,普段からドライバが危険や不安を感じて緊張して運転を行っている場所を通過するときの,車両を運転するドライバの注意力の低下を高い精度で検出し,注意喚起の警告を行うことが可能となる。
次に,本実施の形態の運転支援装置10がハザードマップ140を作成する動作について説明する。図1に示す運転支援装置10において,ハザードマップ140を作成する動作は,破線の矢印で示されている。
ドライバによる車両の運転が開始され,ドライバ認証部11により車両を運転するドライバが特定されると,情報収集部17は,ハザードマップ140の作成のために蓄積して記憶しておく各情報の収集を開始する。情報収集部17は,位置取得部12により取得された車両位置の情報を収集する。また情報収集部17は,生体情報取得部13により取得された車両を運転しているドライバの生体情報を収集する。
情報収集部17は,コンピュータ100の時計機能から日時を取得し,収集された車両位置の情報やドライバの生体情報を日時で関連付けて,蓄積情報記憶部18に記憶された該当ドライバの蓄積データ180に記録する。
図6は,本実施の形態による蓄積データの例を示す図である。
図6に示す蓄積データ180は,走行データ名,運転日時,走行経路データ,心拍データ等の情報を持つ。
図6に示す蓄積データ180において,走行データ名は,1回の車両走行ごとに収集された情報がまとめられたデータを一意に識別する情報である。本実施の形態の蓄積データ180では,1回の車両走行ごとに,すなわちドライバの1回の車両運転ごとに,情報収集部17により収集された情報がまとめられて記録される。
図6に示す蓄積データ180において,運転日時は,ドライバによる車両の運転開始から運転終了までに取得された日時の情報である。また,走行経路データは,ドライバによる車両の運転開始から運転終了までに収集された車両の位置情報である。図6に示す蓄積データ180では,運転日時として記録された各日時の情報は,走行経路データとして記録した各車両の位置情報の取得時刻である。
図6に示す蓄積データ180において,心拍データは,ドライバによる車両の運転開始から運転終了までに収集されたドライバの心拍の情報である。すなわち,図6に示す蓄積データ180の心拍データは,図4に示す心拍波形を表す心拍のデータ例である。なお,図6に示す蓄積データ180の心拍データには,心拍の情報をドライバから計測した時刻も含まれている。
なお,本実施の形態では,過去の車両運転時の情報は,ドライバごとに,蓄積データ180に記録される。例えば,図1において,蓄積データ180aは,ドライバaの車両運転時に収集された情報が記録された蓄積データ180を示しており,蓄積データ180bは,ドライバbの車両運転時に収集された情報が記録された蓄積データ180を示している。
図7は,本実施の形態の運転支援装置による情報収集処理フローチャートである。
ドライバによる車両の運転が開始されると,運転支援装置10のドライバ認証部11は,ドライバの認証により,車両を運転するドライバを特定する(ステップS20)。
情報収集部17は,日時と,位置取得部12により取得された車両の位置情報とを収集する(ステップS21)。また,情報収集部17は,生体情報取得部13により取得されたドライバの生体情報を収集する(ステップS22)。
情報収集部17は,収集した情報を,蓄積情報記憶部18に記憶された,該当ドライバの蓄積データ180に記録する(ステップS23)。
運転支援装置10は,ドライバによる車両の運転を監視し,運転が終了したかを判定する(ステップS24)。運転が終了していなければ(ステップS24のNO),運転支援装置10は,ステップS21,ステップS22に戻って,次の情報収集の処理に移る。運転が終了していれば(ステップS24のYES),運転支援装置10は,情報収集処理を終了する。
ハザードマップ作成部19は,蓄積情報記憶部18に記憶された蓄積データ180に対する統計処理により,ハザードマップ140を作成する。ハザードマップ作成部19は,例えば,1週間おきなどの定期的に,またはドライバが車両の運転を行ったときなどの不定期的に,ハザードマップ140の作成を行い,ハザードマップ記憶部14に記憶されたハザードマップ140を更新する。
本実施の形態では,ハザードマップ作成部19は,ドライバごとの蓄積データ180から,ドライバごとのハザードマップ140を作成する。例えば,図1において,ハザードマップ作成部19は,ドライバaの蓄積データ180aに対して統計処理を施し,ドライバa用のハザードマップ140aを作成する。また,ハザードマップ作成部19は,ドライバbの蓄積データ180bに対して統計処理を施し,ドライバb用のハザードマップ140bを作成する。
ここで,蓄積データ180からハザードマップ140を作成する手順の一例を,説明する。
ハザードマップ作成部19は,まず,蓄積情報記憶部18に記憶された蓄積データ180から,ドライバの心拍数が高い地点を,ハザードマップ140に記録する地点の候補として抽出する。ここでは,過去のドライバの車両運転時の蓄積データ180において,標準心拍数に対して120%以上のドライバの瞬間心拍数が得られた地点を抽出する。
図8は,本実施の形態のハザードマップ作成部による地点候補抽出処理フローチャートである。
ハザードマップ作成部19は,標準心拍数を算出する(ステップS30)。標準心拍数の算出は,例えば上述の危険状態判定部15による標準心拍数の算出と同様である。ハザードマップ作成部19は,蓄積データ180に記録された該当走行データの心拍データを読み込む(ステップS31)。
ハザードマップ作成部19は,心拍データからR波間隔を1つ抽出し(ステップS32),その時点での瞬間心拍数を算出する(ステップS33)。ハザードマップ作成部19は,算出された瞬間心拍数と,標準心拍数とから心拍変動率を算出する(ステップS34)。
ハザードマップ作成部19は,算出された心拍変動率が所定の閾値Th以上であるかを判定する(ステップS35)。所定の閾値Thは,例えば120%などである。心拍数は,ドライバの状態が平常な状態であっても,±20%程度は変動する。
算出された心拍変動率が所定の閾値Th以上であれば(ステップS35のYES),ハザードマップ作成部19は,蓄積データ180に記録された該当走行データから,該心拍変動率が得られた時刻の車両の位置を抽出する(ステップS36)。ハザードマップ作成部19は,抽出された車両の位置を,ハザードマップ140に記録する場所の地点の候補として保持する(ステップS37)。このとき,ハザードマップ作成部19は,算出された心拍変動率も合わせて保持する。
ハザードマップ作成部19は,読み込んだ心拍データの全データについて処理が終了したかを判定する(ステップS38)。全データについて処理が終了していなければ(ステップS38のNO),ハザードマップ作成部19は,ステップS32の処理に戻って,次のR波間隔の処理に移る。全データについて処理が終了していれば(ステップS38のYES),ハザードマップ作成部19は,処理を終了する。
ハザードマップ作成部19は,図7に示す地点候補抽出処理を,蓄積データ180の走行データごとに,全走行データについて実行する。なお,例えば直近の10回分の走行データについて地点候補抽出処理を行うなどの設計については,任意である。
ハザードマップ作成部19は,各走行データから抽出された地点に対する統計処理により,ハザードマップ140に記録する場所を決定する。各走行データから抽出された地点に対する統計処理には,様々な処理が考えられる。どのような統計処理を用いてハザードマップ140に記録する場所を抽出するかの設計は,任意である。
例えば,ハザードマップ作成部19は,各走行データから抽出された地点の分散状態を調べ,各走行データから抽出された地点の出現頻度が集中する領域を切り出して,ハザードマップ140に記録する場所とする。また,ハザードマップ作成部19は,このときの切り出された領域に属する地点の心拍変動率の分散を調べ,ハザードマップ140に記録する,該当場所における心拍変動率や占有率などを決定する。ハザードマップ作成部19は,決定された場所の位置情報,心拍変動率,占有率等の情報を,ハザードマップ140に記録する。
ハザードマップ作成部19は,完成したハザードマップ140で,ハザードマップ記憶部14に記憶された,該当ドライバのハザードマップ140を更新する。
このように,ハザードマップ140は,過去の車両走行時に収集したドライバの生体情報等の蓄積データ180に基づいて生成される。すなわち,ドライバの運転支援に使用されるハザードマップ140は,過去の車両走行時にドライバがいつも危険や不安を感じて慎重な運転を心がけた場所が記録された情報となる。
以上,本実施の形態について説明したが,本発明はその主旨の範囲において種々の変形が可能であることは当然である。
例えば,上述の実施の形態では,車両に搭載された1台のコンピュータ100によって,運転支援装置10が実現される例を説明したが,複数のコンピュータで運転支援装置10を実現してもよい。
図9は,本実施の形態による運転支援装置の実現例(1)を示す図である。
図9に示す例では,運転支援装置10が,車両側装置10−1とセンタ側装置10−2とで実現されている。
車両側装置10−1は,車両に搭載されたコンピュータで実現される,運転支援装置10の一部である。車両側装置10−1は,運転支援装置10が備える各機能部のうち,ドライバ認証部11,位置取得部12,生体情報取得部13,警告部16,情報収集部17を有する。
また,センタ側装置10−2は,複数の車両の車両側装置10−1で収集された情報を蓄積し,集中管理するセンタのコンピュータで実現される,運転支援装置10の一部である。センタ側装置10−2は,運転支援装置10が備える各機能部のうち,ハザードマップ記憶部14,危険状態判定部15,蓄積情報記憶部18,ハザードマップ作成部19を有する。
なお,車両側装置10−1とセンタ側装置10−2とは,ネットワーク(図示省略)を介して互いに通信が可能である。
車両側装置10−1では,ドライバが運転を開始すると,ドライバ認証部11がドライバを特定する。情報収集部17は,位置取得部12により取得された車両の位置情報や,生体情報取得部13により取得された車両を運転するドライバの生体情報などの情報を収集し,収集された情報にドライバを特定する情報等を付加して,センタ側装置10−2に送る。
センタ側装置10−2では,車両側装置10−1から受信した情報を,蓄積情報記憶部18に記憶された該当ドライバの蓄積データ180に記録する。センタ側装置10−2では,ハザードマップ作成部19が,蓄積情報記憶部18に記憶されたドライバごとの蓄積データ180から,ドライバごとのハザードマップ140を作成し,ハザードマップ記憶部14に記憶する。
また,センタ側装置10−2では,危険状態判定部15が,車両側装置10−1から受信した情報と,ハザードマップ記憶部14に記憶された該当ドライバのハザードマップ140とに基づいて,該当ドライバの状態が危険な状態であるかを判定する。危険状態判定部15は,該当ドライバの状態が危険な状態であると判定した場合に,その旨を示す通知を該当する車両側装置10−1に送る。
車両側装置10−1において,警告部16は,センタ側装置10−2からドライバの状態が危険な状態である旨の通知を受けると,ドライバに対して注意喚起の警告を行う。
このように,複数のコンピュータを用いて,運転支援装置10を実現することも可能である。なお,車両側装置10−1とセンタ側装置10−2とに対して,運転支援装置10の各機能部をどのように配置するかなどの設計は,任意である。
また,例えば,上述の実施の形態では,ハザードマップ140が個々のドライバごとにそれぞれ専用のものが用意されているが,複数のドライバの運転支援に使用する一般化したハザードマップ140を用意するようにしてもよい。
図10は,本実施の形態による運転支援装置の実現例(2)を示す図である。
図10に示す例では,運転支援装置10が,車両側装置10−1とセンタ側装置10−2とで実現されている。また,図10に示す例では,複数のドライバの蓄積データ180から,複数のドライバの運転支援に使用する一般化したハザードマップ140が作成されている。
車両側装置10−1は,車両に搭載されたコンピュータで実現される,運転支援装置10の一部である。車両側装置10−1は,運転支援装置10が備える各機能部のうち,ドライバ認証部11,位置取得部12,生体情報取得部13,ハザードマップ記憶部14−1,危険状態判定部15,警告部16,情報収集部17を有する。ハザードマップ記憶部14−1は,車両側装置10−1のハザードマップ記憶部14である。
また,センタ側装置10−2は,複数の車両の車両側装置10−1で収集された情報を蓄積し,集中管理するセンタのコンピュータで実現される,運転支援装置10の一部である。センタ側装置10−2は,運転支援装置10が備える各機能部のうち,ハザードマップ記憶部14−2,蓄積情報記憶部18,ハザードマップ作成部19を有する。ハザードマップ記憶部14−2は,センタ側装置10−2のハザードマップ記憶部14である。
なお,車両側装置10−1とセンタ側装置10−2とは,ネットワーク(図示省略)を介して互いに通信が可能である。
車両側装置10−1では,ドライバが運転を開始すると,ドライバ認証部11がドライバを特定する。情報収集部17は,位置取得部12により取得された車両の位置情報や,生体情報取得部13により取得された車両を運転するドライバの生体情報などの情報を収集し,収集した情報をセンタ側装置10−2に送る。
センタ側装置10−2では,車両側装置10−1から受信した情報を,蓄積情報記憶部18に記憶された該当ドライバの蓄積データ180に記録する。センタ側装置10−2では,ハザードマップ作成部19が,蓄積情報記憶部18に記憶された複数のドライバの蓄積データ180から,複数のドライバの運転支援に使用する一般化したハザードマップ140を作成し,ハザードマップ記憶部14−2に記憶する。ハザードマップ記憶部14−2に記憶されたハザードマップ140は,各車両の車両側装置10−1に送られる。
車両側装置10−1では,ハザードマップ記憶部14−1が,センタ側装置10−2から受信した,複数のドライバの運転支援に使用する一般化したハザードマップ140を記憶する。危険状態判定部15は,位置取得部12により取得された車両の位置情報と,生体情報取得部13により取得されたドライバの生体情報と,ハザードマップ記憶部14−1に記憶された一般化したハザードマップ140とに基づいて,ドライバの状態が危険な状態であるかを判定する。危険状態判定部15により,ドライバの状態が危険な状態であると判定された場合には,警告部16は,ドライバに対して注意喚起の警告を行う。
このように,運転支援装置10が,複数のドライバの過去の車両運転時に収集された情報から作成された,複数のドライバの運転支援に使用する一般化したハザードマップ140を使用して,ドライバへの運転支援を行うようにしてもよい。運転支援装置10が一般化したハザードマップ140を用いて,車両運転するドライバへの支援を行うようにすれば,そのドライバが初めて運転する場所でも,ドライバの危険な状態を検知することが可能となる。
また,例えば,運転支援装置10が,個々のドライバごとのハザードマップ140と,一般化したハザードマップ140とを組み合わせて使用し,車両を運転するドライバを支援するようにしてもよい。運転支援装置10が,車両を運転するドライバが頻繁に運転を行っている場所では,個々のドライバごとのハザードマップ140を使用し,車両を運転するドライバが初めて運転を行う場所では,一般化したハザードマップ140を使用する,といった実施も可能である。さらに,運転支援装置10が,従来の事故の発生やドライバからのヒアリングに基づいたハザードマップを併用して,ドライバへの運転支援を行うようにしてもよい。
また,上述の実施の形態では,ドライバの生体情報として心拍の情報1つのみを使用して,ドライバの状態が危険な状態であるかの判定を行っているが,複数の生体情報を組み合わせて,ドライバの状態が危険な状態であるかを判定してもよい。
なお,本実施の形態による運転支援装置10は,ドライブレコーダや,カーナビゲーションシステム,ドライバモニタリングシステムなど,様々なシステムに適用することが可能である。