JP5649686B2 - タイヤ滑止装置 - Google Patents

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本発明は、自動車等のタイヤに装着され、雪路や凍結路等におけるタイヤのスリップ等を抑止できるタイヤ滑止装置(適宜単に「滑止装置」という。)に関する。
自動車等が雪路や凍結路を走行する場合、スリップ等を回避するために、スタッドレスタイヤへの換装や金属チェーンの装着がこれまでなされてきた。しかし、スタッドレスタイはコスト高であると共に夏用タイヤに比べて燃費性能が劣る。また従来の金属チェーンは、装着が容易ではなく、特に大型車両の場合、その装着が相当な重労働となっていた。このような従来の問題点を根本的に解決できる画期的なタイヤ滑止装置が、本発明者により既に提案されており、関連する記載が例えば下記の特許文献にある。
特開2012−228951号公報
特許文献1に記載された新タイプのタイヤ滑止装置は、雪路等における走破性、耐久性、燃費性等のあらゆる特性において、従来の金属チェーンを凌ぐ。もっとも、このように優れたタイヤ滑止装置であっても、極稀ではあるが、非常に雪深い斜路面上等においては、走破性が不十分となり得ることが新たにわかった。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、想定を超えるような雪深い斜路等においても、十分な走破性の安定的な確保を可能とし得るタイヤ滑止装置を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、新タイプのタイヤ滑止装置が備えるアーム(U形状部の横断部)間を金属チェーン等で架橋することを着想した。この着想を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《タイヤ滑止装置》
(1)本発明のタイヤ滑止装置(単に「滑止装置」という。)は、車両用のホイールに嵌装されたタイヤの内側サイドウォール部から該タイヤのトレッド部を跨ぎ該タイヤの外側サイドウォール部に至る第一U形状部と該内側サイドウォール部側で該第一U形状部から連なり該タイヤの前方周方向へ延在した内前延在部と該外側サイドウォール部側で該第一U形状部から連なり該タイヤの後方周方向へ延在した外後延在部とからなる第一本体と、該第一本体の内前延在部に枢設された第一内前連結具と、該第一本体の外後延在部に枢設された第一外後連結具と、該第一本体の前方周方向側にあって該内側サイドウォール部から該トレッド部を跨ぎ該外側サイドウォール部に至る第二U形状部と該内側サイドウォール部側で該第二U形状部から連なり該タイヤの後方周方向へ延在した内後延在部と該外側サイドウォール部側で該第二U形状部から連なり該タイヤの前方周方向へ延在した外前延在部とからなる第二本体と、該第二本体の内後延在部に枢設された第二内後連結具と、
該第二本体の外前延在部に枢設された第二外前連結具とを備え、該第一内前連結具と該第二内後連結具が連結されてなる単位ユニットから構成されるタイヤ滑止装置であって、前記単位ユニットは、さらに、前記第一U形状部の前記トレッド部に対応する第一横断部と前記第二U形状部の該トレッド部に対応する第二横断部との間に掛架される掛架部材と、該第一横断部へ該掛架部材の一方の端部である第一端部を掛止し得る第一掛止具と、該第二横断部へ該掛架部材の他方の端部である第二端部を掛止し得る第二掛止具とを備え、該第一掛止具または該第二掛止具は、該第一横断部または該第二横断部に対して該掛架部材を回転させ得ることを特徴とする。
(2)本発明の滑止装置によれば、第一U形状部の第一横断部と第二U形状部の第二横断部の間に掛架部材を設けたため、雪深い路面(特に斜路面)等においても十分な走破性を確保できるようになった。この掛架部材により優れた走破性が確保される理由は、必ずしも定かではないが、例えば次のように考えられる。
一般的な雪路や凍結路であれば、第一横断部または第二横断部がタイヤと路面の間に介在して、それら横断部が車重により雪路等へ食い込み、タイヤと一体的に回転する滑止装置により十分な走破性が確保される(図13A参照)。
しかし、雪深い路面等では、その横断部が車重により雪路等へ食い込んだ後に、第一横断部と第二横断部がその路面中へ埋没した状態となり、滑止装置が半ば雪路等にロックされた状態となり得ることが考えられる。このような状態になると、タイヤに装着された滑止装置とタイヤの間に生じる抵抗よりも、滑止装置と路面の間で生じる抵抗の方が大きくなり得る。その結果、滑止装置とタイヤの一体回転が阻害され、両者間で滑りを生じるようになる(図13B参照)。また雪深い急傾斜路等では、滑止装置とタイヤが一体回転するとしても、タイヤと斜路面の間に介在した横断部へ作用する荷重(車重の分力)が少なくなるため、滑止装置(横断部)とその斜路面の間で空転が生じ易くなり得る。
このような厳しい路面状況でも、第一横断部と第二横断部の間が本発明に係る掛架部材で架橋されていると、タイヤと掛架部材の間および掛架部材と路面の間で高い摩擦力が安定的に維持され、タイヤと滑止装置の間は勿論、滑止装置と路面の間でも滑りや空転等がより生じ難くなる。こうして本発明の滑止装置は、路面状況にかかわらず、タイヤと一体回転して、十分な走破性を発揮するようになると考えられる(図13C参照)。
なお、本発明の滑止装置は、雪深い急斜路等の路面状況が厳しい場合に限らず、例えば、タイヤのトレッド部が比較的柔らかく、その肉厚が横断部の外径に対して相対的に大きくて滑止装置の横断部がそのトレッド部へ食い込み易いような場合等にも、走破性の安定確保に有効となり得る。
いずれにしても本発明の滑止装置によれば、上述したような掛架部材を設けることにより、あらゆる路面において非常に高い走破性を確実に発揮し得る。なお、本発明の滑止装置は、装着されるタイヤの種類やサイズを問わないが、特に、トラック等の大型自動車や大型特殊自動車等に用いられる大径タイヤに装着されると好ましい。このような大径タイヤは、小型自動車に用いる小径タイヤなどと比較して、タイヤのトレッド部の肉厚が大きく路面に接する部分の変形も大きくなり易いため、本発明に係る掛架部材を設けないと、滑止装置の横断部がタイヤ内に埋没して走破性が低下し易くなるためである。
《タイヤ滑止装置用掛架部材》
本発明は滑止装置としてのみならず、上述したような掛架部材単体、すなわちタイヤ滑止装置用掛架部材としても把握することができる。特に掛架部材が、滑止装置の横断部に対して掛止または着脱が自在な場合である。なお、本明細書で単に掛架部材というときは、このような場合の掛架部材も含むものとする。
《その他》
(1)本明細書でいう「内側」とは車両側であり、「外側」はその反対側の非車両側、ホイールでいうと化粧面側となる。また「前方」、「後方」の区別は便宜的な区別に過ぎない。敢えていうと、車両の前進時にタイヤが回転する方向が「前方」となり、その反対方向が「後方」となる。
(2)本発明の滑止装置が装着される車両は、自動車(貨物車を含む)、産業車両等の他、二輪車等でもよい。なお、二輪車の場合、適宜、前述した「内側」を「右側」、「外側」を「左側」と読み替えればよい。
実施例に係るタイヤ滑止装置をタイヤに装着した様子を示す正面図である。 単位ユニットを示す斜視図である。 外側に配置される連結具および外連間調整具の一例を示す斜視図である。 その変形例を示す斜視図である。 内側に配置される連結具および内連間調整具の一例を示す斜視図である。 その変形例を示す斜視図である。 その別例を示す斜視図である。 本発明に係る掛架部材の一例である金属チェーンを設けた滑止装置を、タイヤへ装着した様子を示す斜視図である。 その金属チェーン付近を拡大して示した斜視図である。 金属チェーンを着脱式の掛止具で掛止した様子を部分的に示す斜視図である。 金属チェーンを回転式の掛止具で掛止した様子を部分的に示す斜視図である。 金属チェーンを着脱および回転が自在な掛止具で掛止した様子を部分的に示す斜視図である。 滑止装置の横断部が路面とタイヤの間に介在する様子を示す模式図である。 滑止装置の横断部へ車重が作用せずに横断部が雪路等に埋没した様子を示す模式図である。 本発明の滑止装置に係る横断部間に設けた掛架部材が路面とタイヤの間に介在する様子を示す模式図である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《掛架部材》
(1)本発明に係る掛架部材は、単位ユニットの一部を構成する第一横断部と第二横断部に掛架される部材である。この掛架部材は、本発明の滑止装置を構成するすべての単位ユニットに必ずしも設けられている必要はないが、滑止装置は回転体であるため、周方向に均等に設けられていると好ましい。従って、すべての単位ユニットの第一横断部と第二横断部に掛架部材を設けると好適である。
また、掛架部材はタイヤの全周を囲うように設けられている必要は必ずしもなく、タイヤの周方向に関して断続的または間欠的に設けられていればよい。例えば、二つの単位ユニットからなる滑止装置なら、左右対称な二つの掛架区間(第一横断部と第二横断部の間)のそれぞれに掛架部材を設ければよい。また三つの単位ユニットからなる滑止装置なら、周方向の均等な三つの掛架区間のそれぞれに掛架部材を設ければよい。勿論、異なる単位ユニット間(例えば、第一単位ユニットの第一横断部と第二単位ユニットの第二横断部の間)にそれぞれ掛架部材を設けるようにしてもよい。この場合、同一単位ユニット中に掛架部材を設けても、設けなくてもよい。但し、滑止装置のタイヤへの装着性を考慮すると、掛架部材は同一単位ユニット内にだけ設けるようにする方が好ましい。
(2)掛架部材の形態は種々考えられる。掛架部材は、路面上を転がるタイヤの外周側に装着されるため、掛架部材は本体(横断部)と同等な強度や耐久性があると好ましい。このような観点から、掛架部材は、金属チェーンなどの連鎖部材からなると好適である。勿論、掛架部材は、雪路や凍結路などへ食い込み易く、耐久性のあるワイヤやベルトなどでもよい。
また、一つの掛架区間当たりまたは一つの単位ユニット当たりに設ける掛架部材は、単数のみならず、複数(複筋、複条)でもよい。さらには、走行する路面状況(雪深さ、路面の斜度等)に応じて、掛架する掛架部材数を変更または調整してもよい。また掛架部材が金属チェーンのような線状の延在部材の場合、複数の掛架部材を平行に配設する他、交差等させて配設してもよい。なお、掛架部材数に応じて、適宜、後述する掛止具が必要数設けられると好ましい。
(3)掛架部材は、横断部に直接掛架されていても良いし、掛止具を介して横断部に掛架されていても良い。前者の場合なら、例えば、掛架部材の端部に設けたリングを横断部へ挿通等させればよい。掛架部材が金属チェーンの場合なら、端部にある金属リングを横断部へ挿通させておけばよい。
一方、後者の場合、本発明の滑止装置は、例えば、第一横断部へ掛架部材の一方の端部である第一端部を掛止し得る第一掛止具と、第二横断部へ掛架部材の他方の端部である第二端部を掛止し得る第二掛止具とを備えると好適である。これにより、掛架部材の自由度とは別に、掛架部材を横断部へ掛架する際の自由度も大きくすることができる。
また、第一掛止具または第二掛止具は、第一横断部または第二横断部に対して着脱し得るようにすると好ましい。これにより、路面状況に応じて掛架部材を滑止装置に装着するか、脱着するかを選択できるようになる。例えば、通常の雪路や凍結路を走行する場合なら、掛架部材を装着しない滑止装置をタイヤへ嵌装すればよい。一方、雪深い斜路等を走行する場合なら、掛架部材を装着した滑止装置をタイヤへ嵌装すればよい。その後、路面状態が改善すれば、掛架部材のみ、または滑止装置自体を脱着すればよい。
なお、着脱自在な掛止具を設ける場合、掛架部材の横断部への着脱は、滑止装置をタイヤに嵌装する前に行ってもよいし、滑止装置をタイヤに嵌装した後に行ってもよい。もっとも、本発明の滑止装置はタイヤへ極短時間で簡単に装着できるため、タイヤから外した滑止装置の横断部へ掛架部材を掛止した後、その滑止装置をタイヤへ嵌装する方が作業し易くて好ましい。
さらに、本発明に係る掛架部材は、横断部に掛架された状態で、その延在方向を軸として回転できると好ましい。これにより掛架部材の特定面のみが路面と接触して摩耗が偏在する状況が回避され、掛架部材の長寿命化や滑止効果の長期持続が可能となる。従って本発明に係る第一掛止具または第二掛止具は、第一横断部または第二横断部に対して掛架部材を回転させ得る構造であると好適である。
《内連間調整具》
本発明の滑止装置は、第一内前連結具と第二内後連結具の間隔を調整可能な内連間調整具を備えてもよい。これによりそれら連結具の間隔(内側連結長)調節が可能となる。内連間調整具の形態は種々が考えられ、本発明では滑止装置の使用に支障がない限り、いずれの形態でもよい。
(1)一例を挙げると、内連間調整具は、第一内前連結具から前方周方向に延設された第一調整部材と、第二内後連結具から後方周方向に延設された第二調整部材と、第一調整部材と第二調整部材を連結する連結部材とを備えてなる。なお、ここでいう「延設」とは、第一内前連結具と第一調整部材または第二内後連結具と第二調整部材が、一体的である場合でも、回動可能な状態(枢設状態)または回動不能な状態(固定状態)で連結または結合されている場合でも良い。
内側連結長の具体的な調整機構は、各調整部材と連結部材の形態により異なる。例えば、所定間隔(ピッチ)で複数配設した係合孔同士を連結することにより、内側連結長を簡便に調整できる。具体的にいうと、第一調整部材または第二調整部材の一方は、所定間隔で設けられた複数の第一係合孔を有し、第一調整部材または第二調整部材の他方は、第一係合孔に重合する第二係合孔を有し、連結部材は、重合した第一係合孔および第二係合孔に係合する係合部材とするとよい。
係合孔は、第一調整部材または第二調整部材の一方に複数あれば足るが、各調整部材に複数の係合孔があってもよい。配設する係合孔数や係合孔間隔(ピッチ)は問わないが、係合孔数が多いほど、内側連結長の調整幅(調節段数)を多くできる。例えば、想定外径に対応した基準設定位置と、基準設定位置に対して内側連結長が長くなる延長設定位置と、基準設定位置に対して内側連結長が短くなる短縮設定位置との少なくとも3段階で、内側連結長を調整できるように係合孔が配設されていると好ましい。勿論、係合孔数は、調節段数が4段以上となるように配設されてもよい。
内側連結長を簡易に調整できるように、重合する係合孔と係合部材は容易に係脱可能であると好ましい。そこで重合した第一係合孔と第二係合孔を係合する係合部材は、例えば、それら係合孔に嵌挿されるピンまたはねじとすると好適である。ピンやねじの形態は問わないが、割ピンやロック機構(ダブルナット等)を備えたねじ等を用いると好ましい。また、係合部材により連結された調整部材同士は、固定的でもよいが、ある程度の回動が可能であると、滑止装置の着脱、収納等が容易となり好ましい。なお、第一調整部材と第二調整部材の間で重合する係合孔は1セット(ペア)でも2セット(ペア)以上でもよい。
(2)別例として、内連間調整具は、第一内前連結具から前方周方向に延設された第一調整ねじと、第一調整ねじに対して逆ねじであり第二内後連結具から後方周方向に延設された第二調整ねじと、第一調整ねじに螺合する第一ねじ部と第二調整ねじに螺合する第二ねじ部とを有する引締ねじとを備えるものでもよい。
このような内連間調整具を用いると、引締ねじを回転させることにより、第一内前連結具と第二内後連結具の間隔(内側連結長)を、所定範囲内でほぼ無段階に容易に伸縮調整できる。なお、各調整ねじは引締ねじに螺合する部分がねじとなっていれば足り、その他の部分は単なる棒状(ロッド状)または板状等でもよい。
引締ねじは、調整ねじに螺合する一対の逆ねじが形成されていればよく、柱状でも筒状でも環状等でも良い。但し、全外周面が円周面等からなるよりも、少なくとも一部に偏平部や平行部等が設けてあると、引締ねじを回転させ易くなり、内側連結長の調整が容易となる。
さらに、上述した引締ねじは、タイヤに装着された際に内側サイドウォール部に当接して回転を規制し得る規制部を有すると好ましい。このような規制部を有する引締ねじは、滑止装置の使用に伴い生じる振動等によって回転力を受けても、タイヤの内側サイドウォール部に当接して自由な回転が阻止され得る。従って、このような内連間調整具により調整された内側連結長は、滑止装置の使用中も確実に保持され、ひいては滑止装置がタイヤに安定的に装着される。
このような規制部は、例えば、上述した第一ねじ部と第二ねじ部を架橋する偏平(さらには環状)な胴部とするとよい。このような引締ねじの具体例として、いわゆる周知なターンバックルがある。
(3)タイヤの外径変動を吸収しつつ、滑止装置をタイヤへ安定して装着するには、内側連結長の調整のみならず、タイヤの外側(車両外側、タイヤハウジングと反対側)に配置される二つの単位ユニット間で、第一外後連結具と第二外前連結具の間隔も調整可能であると好ましい。そこで本発明の滑止装置は、タイヤに装着された際に連結される第一外後連結具と第二外前連結具の間隔(外側連結長)を調整可能とする外連間調整具を備えると好ましい。外連間調整具の具体的な構造は問わないが、例えば、上述した内連間調整具と同様な構造や特許文献1に詳述された構造をとり得る。
もっとも外連間調整具は、内連間調整具と異なり、滑止装置をタイヤへ着脱する度に連結と解除が繰り返しなされる。従って外連間調整具は、内連間調整具よりも着脱性や操作性等に優れることが望まれる。そこで外連間調整具は、例えば、前記第一外後連結具または前記第二外前連結具の一方から延設されると共に所定間隔の第一連結孔が複数設けられた第一外側調整部材と、前記第一外後連結具または前記第二外前連結具の他方から延設されると共に該第一連結孔と重合する第二連結孔を有する第二外側調整部材と、重合した該第一連結孔および該第二連結孔に嵌挿される連結ピンと、該連結ピンを該第一外側調整部材と該第二外側調整部材の連結を保持する側に付勢する付勢体と、を備えると好適である。
この場合、第一外側調整部材と第二外側調整部材の連結・解除は、付勢体に抗して連結ピンをスライドさせるだけで行え、滑止装置の装着脱を迅速かつ簡便に行える。勿論、第一連結孔と第二連結孔の重合位置を変更することで、外側連結長の変更も容易である。このように、上述した内連間調整具のみならず、外連間調整具が協働することにより、タイヤの外径変動の吸収幅はより大きくなり、滑止装置の迅速かつ簡便な装着性はより安定して維持される。
《接触部材》
本発明に係る単位ユニットは、さらに、上述した各連結具や各調整部材の少なくとも一部を覆い、タイヤのサイドウォール部に接触し得る接触部材を有すると好ましい。この接触部材を設けることにより、滑止装置はタイヤとの密着度が全体的に高まり、タイヤに対してより安定して保持されるようになる。例えば、タイヤが回転中にサイドウォール部を拡縮させても、接触部材はそれに追従して滑止装置をタイヤに安定的に保持するようになる。また接触部材は緩衝材としての役割も果たし、滑止装置をタイヤに対してより柔軟的に保持させる。これにより、車両走行中に加わる種々の振動や衝撃等が接触部材で吸収されるようになり、車両走行中に滑止装置に発生する振動、騒音等が低減され、また滑止装置自体やタイヤへ加わるダメージ等も低減される。また接触部材は、連結具等がホイールに直接接触することを回避し、ホイールの損傷を防止する。
本発明の接触部材は、硬質金属からなる連結具等の緩衝材(クッション材)となり得るから、連結具等よりも軟質材からなると好適である。例えば、ゴム類、樹脂類等の弾性体からなると好ましい。
接触部材の形状は、連結具に嵌挿される筒状であると好適である。この際、連結具全体が接触部材で被覆されている必要はない。接触部材が、少なくともタイヤのサイドウォール部側に存在すれば足る。接触部材の形状は、単純な円筒状、円錐筒状、角筒状、角錐筒状等のいずれでもよい。その肉厚や長さ等も適宜調整される。この際、接触部材は、連結具に回転可能に保持されていると、接触部材の片減り等を防止できて好ましい。
《当接部材》
本発明の滑止装置は、上述した接触部材と共に当接部材を備えると好ましい。従って本発明のタイヤ滑止装置は、第一本体の内前延在部には内側サイドウォール部に当接する第一内側当接部材が設けられ、第一本体の外後延在部には外側サイドウォール部に当接する第一外側当接部材が設けられ、第二本体の内後延在部には内側サイドウォール部に当接する第二内側当接部材が設けられ、第二本体の外前延在部には外側サイドウォール部に当接する第二外側当接部材が設けられていると好適である。
《単位ユニット》
本発明の滑止装置は、第一本体、第一内前連結具および第一外後連結具(これらをまとめて適宜「第一群部材」という。)と、第二本体、第二内前連結具および第二外後連結具(これらをまとめて適宜「第二群部材」という。)とにより形成された単位ユニットが基本単位となる。この単位ユニットが2つ以上組み合わされて滑止装置が構成される。
その第一本体の第一横断部と第二本体の第二横断部との間に掛架される本発明に係る掛架部材は、その単位ユニットに含めて考えることができる。但し、着脱自在な掛架部材の場合は、その単位ユニットに付加可能なオプションとして考えることもできる。
通常、内側連結具同士(第一内前連結具と第二内後連結具)は、内側連結長を調整するとき以外は内連間調整具により連結されたままとなっている。つまり、滑止装置の着脱は、外側連結具同士(第一外後連結具と第二外前連結具さらには外連間調整具)の連結・解除によりなされる。
軽自動車などの小型車両用の滑止装置なら、例えば、2つの単位ユニットが一連となっており、外側連結具同士を一箇所で連結・解除することにより、滑止装置の取付け、取外しを行うことができる。これは単位ユニットが3つ以上の場合も同様である。勿論、産業用自動車などの大型車両用の滑止装置なら、例えば、3つの単位ユニットをそれぞれ分割できるようにしておき、外側連結具同士を三箇所で連結・解除することもできる。また普通車両用の滑止装置なら、例えば、2つの単位ユニットをそれぞれ分割できるようにしておき、外側連結具同士を二箇所で連結・解除してもよい。
なお、本発明の滑止装置が装着されるタイヤは、ノーマルタイヤ(サマータイヤ)に限らず、スタッドレスタイヤ(スノータイヤ)でもよい。スタッドレスタイヤ等により走行が困難な路面でも、掛架部材を有する本発明の滑止装置を用いることにより、高い走破性を得ることができる。
実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。先ず本発明の滑止装置の基本的な構成について詳しく説明した後、本発明に係る掛架部材をその滑止装置へ設ける場合について詳しく説明する。
《概要》
本発明の一実施例であるタイヤ滑止装置S(単に「滑止装置S」という。)が大型自動車用のタイヤTに装着されている様子を図1に示した。滑止装置Sは、3つの単位ユニット1、2、3からなる。単位ユニット1、2、3は、それぞれが同形態であり、ホイール(図略)の化粧面側であるタイヤTの外側(図1の紙面表側)で着脱可能に連結される。以下では、そのうちの一つである単位ユニット1について、その拡大図である図2、図3および図5も参照しつつ詳述する。
《単位ユニット》
単位ユニット1は、第一本体11と、第二本体12と、内側連結具13(131、132、133)と、外側連結具14(141、142(242)、143、144(244)、145(245))と、内側当接部材15(151、152)と、外側当接部材16(161、162(262))と、内側接触部材17(171、172)と、外側接触部材18(181、182(282))とからなる。
第一本体11は、内前延在部111と、第一U形状部112と、外後延在部113とからなる。第一U形状部112は、さらに、内延部112aと、横断部112bと、外延部112cとからなる。
内延部112aは、タイヤTの内側サイドウォール部に沿ってその拡径方向へ延びる。横断部112bは、内延部112aから緩やかに外側へ約90°屈曲して連なり、タイヤTのトレッド部を横断する。この横断部112bの外周には、つるまきバネ状の回転自在な複数に分割されたロータリースプリング112rが嵌挿されている。外延部112cは、横断部112bから緩やかに約90°屈曲して外側サイドウォール部に沿ってその縮径方向へ延びる。
内前延在部111は、第一U形状部112の内延部112aの端部から連なり緩やかに前方周方向へ約90°屈曲して内側サイドウォール部に沿って延在している。外後延在部113は、第一U形状部112の外延部112cの端部から連なり緩やかに後方周方向へ約90°屈曲して外側サイドウォール部に沿って延在している。
第二体12は、内後延在部121と、第二U形状部122と、外前延在部123とからなる。第二U形状部122は、さらに、内延部122aと、横断部122bと、外延部122cとからなる。
内延部122aは、タイヤTの内側サイドウォール部に沿ってその拡径方向へ延びる。横断部122bは、内延部122aから緩やかに外側へ約90°屈曲して連なり、タイヤTのトレッド部を横断する。この横断部122bの外周にも、つるまきバネ状の回転自在な複数に分割されたロータリースプリング122rが嵌挿されている。外延部122cは、横断部122bから緩やかに約90°屈曲して外側サイドウォール部に沿ってその縮径方向へ延びる。
内後延在部121は、第二U形状部122の内延部122aの端部から連なり緩やかに後方周方向へ約90°屈曲して内側サイドウォール部に沿って延在している。外前延在部123は、第二U形状部122の外延部122cの端部から連なり緩やかに前方周方向へ約90°屈曲して外側サイドウォール部に沿って延在している。
第一本体11の内前延在部111の端部には(第一)内前連結具131が枢設されている。第二本体12の内後延在部121の端部には(第二)内後連結具132が枢設されている。内前連結具131と内後連結具132は、それらの間隔(内側連結長)を調整できる内連間調整具133により連結されている。内連間調整具133は、少なくとも内前連結具131および内後連結具132により、内側サイドウォール部に沿った回動がある程度可能となっている。内連間調整具133の詳細は後述する。
第一本体11の外後延在部113の端部には(第一)外後連結具141が枢設されている。第二本体12の外前延在部123の端部には(第二)外前連結具142が枢設されている。さらに、外後連結具141の後端部には雄型連結器143(第一外側調整部材)が枢設され、外前連結具142の前端部には雌型連結器144(第二外側調整部材)が枢設されている。
雄型連結器143は、単位ユニット2の(第二)外前連結具242に枢設された雌型連結器244(第二外側調整部材)と、間隔(外側連結長)を調整した連結とその解除が容易になされ得る。同様に、雌型連結器144は、単位ユニット3の雄型連結器343(第一外側調整部材)と、間隔(外側連結長)を調整した連結とその解除が容易になされ得る。これらの連結機構(外連間調整具)の詳細についても後述する。
第一本体11の内前延在部111には硬質ゴムからなる円筒状の第一内側当接部材151が回転自在に嵌挿されている。第二本体12の内後延在部121には硬質ゴムからなる円筒状の第二内側当接部材152が回転自在に嵌挿されている。第一本体11の外後延在部113には硬質ゴムからなる円筒状の第一外側当接部材161が回転自在に嵌挿されている。第二本体12の外前延在部123には硬質ゴムからなる円筒状の第二外側当接部材162(262)が回転自在に嵌挿されている。これらからなる内側当接部材15(151、152)と外側当接部材16(161、162)をまとめて「当接部材15、16」と呼ぶ。なお、これらの当接部材は、全て同質で同形態である。
また、内前連結具131には硬質ゴムからなる円筒状の第一内側接触部材171が回転自在に嵌挿されている。内後連結具132には硬質ゴムからなる円筒状の第二内側接触部材172が回転自在に嵌挿されている。外後連結具141には硬質ゴムからなる円筒状の第一外側接触部材181が回転自在に嵌挿されている。外前連結具142には硬質ゴムからなる円筒状の第二外側接触部材182が回転自在に嵌挿されている。これらからなる内側接触部材17(171、172)と外側接触部材18(181、182)をまとめて「接触部材17、18」と呼ぶ。
これらの接触部材も、全て同質で同形態である。但し、接触部材17、18は、前述した当接部材15、16よりも、肉厚が少し薄い。このため、タイヤTの内外側のサイドウォール部には当接部材15、16が主に接触し、接触部材17、18は内外側のサイドウォール部に適宜、補助的に接触する。
《外側連結具・外連間調整具》
タイヤTの外側サイドウォール部で各単位ユニット同士が連結される様子を説明する。その一例として、単位ユニット1と単位ユニット2が、外後連結具141に枢設された雄型連結器143と外前連結具242に枢設された雌型連結器244と連結器245とにより連結される様子を図3に拡大して示した。なお、雄型連結器143、雌型連結器244および連結器245が、本明細書でいう外連間調整具の一例となる。
先ず、外後連結具141は、2枚の連結板141a、141bと、それらの両端部を連結する両端をかしめたピン141c、141d(枢軸)とからなる。連結板141a、141bの前方側で、ピン141cは外後延在部113の端部を枢支し、連結板141a、141bの後方側で、ピン141dは雄型連結器143の端部を枢支している。
同様に、外前連結具242も、2枚の連結板242a、242bと、それらの両端部を連結し枢軸となる両端をかしめたピン242c、242d(枢軸)とからなる。連結板242a、242bの後方側で、ピン242cは外前延在部223の端部を枢支し、連結板242a、242bの前方側で、ピン242dは雌型連結器244の端部を枢支している。
次に、雄型連結器143は、タイヤTの径方向に貫通した(第一)連結孔143bを複数(図3の場合なら前後方向に4つ)有する丸棒体143aからなる。また雌型連結器244は、タイヤTの径方向に貫通した(第二)連結孔244bとピン孔244cを有する円筒体244aからなる。
連結器245は、連結孔244bとピン孔244cに嵌挿される長さの異なる2本のピンが略U字状に連なった連結ピン245aと、連結ピン245aをタイヤTの拡径方向(遠心方向)へ付勢するコイルバネ(付勢体)245bと、連結ピン245aの一端部に設けた硬質ゴム製のボタン245cとからなる。コイルバネ245bは、円筒体244aの外周面とボタン245cの端面の間に介装されている。これにより、連結器245は雌型連結器244に弾性保持された状態となっている。
雄型連結器143と雌型連結器244の連結は、滑止装置SをタイヤTの外周側へ被せた後に次のようにしてなされる。先ず、連結器245のボタン245cを雌型連結器244の円筒体244aに対して、タイヤTの中心方向へ押し下げる。この状態の円筒体244aへ雄型連結器143の丸棒体143aを嵌挿して、連結孔244bを適当に選択した連結孔143bに重合させる。
この後、ボタン245cを離すと、連結ピン245aの短い側が、重合した連結孔143bと連結孔244bの両方に嵌挿されると共にコイルバネ245bによって弾性的に保持された状態が維持される。こうして雄型連結器143と雌型連結器244が確実に連結され、単位ユニット1および単位ユニット2の間に適当な外側連結長が確保されて、滑止装置Sの装着が完了する。なお、滑止装置Sを脱着する際は、ボタン245cを円筒体244aに対してタイヤTの中心方向へ押し下げた状態で、雄型連結器143を雌型連結器244から抜けばよい。
ちなみに、図3では、第一外側接触部材181または第二外側接触部材282が、それぞれ外後連結具141の連結板141aまたは外前連結具242の連結板242aのみに回転自在に嵌挿されている場合を示した。これに替えて、例えば図4に示すように、連結板141a、141bまたは連結板242a、242bの外周全体を囲繞する第一外側接触部材181’または第二外側接触部材282’を用いてもよい。
いずれの場合も、第一外側接触部材181、181’または第二外側接触部材282、282’は、タイヤTの外側サイドウォール部に緩く適時に接触して、外後連結具141、外前連結具242が外側サイドウォール部やホイールの化粧面に直接接触することを抑止する。なお、このような事情は、他の連結長や接触部材についても同様である。
《内側連結具・内連間調整具》
(1)各単位ユニットがタイヤTの内側サイドウォール部で連結される様子について説明する。その一例として、単位ユニット1の第一本体11と第二本体12が、内前連結具131に枢設された第一調整部材1331と内後連結具132に枢設された第二調整部材1332と連結部材1333、1334とにより連結された様子を図5に示した。なお、これら第一調整部材1331、第二調整部材1332および連結部材1333、1334(係合部材)により内連間調整具133が構成される。
先ず、内前連結具131は、2枚の連結板131a、131bと、それらの両端部を連結する両端をかしめたピン131c、131d(枢軸)とからなる。連結板131a、131bの後方側で、ピン131cは内前延在部111の端部を枢支し、連結板131a、131bの前方側で、ピン131dは第一調整部材1331の端部を枢支している。
同様に、内後連結具132も、2枚の連結板132a、132bと、それらの両端部を連結する両端をかしめたピン132c、132d(枢軸)とからなる。連結板132a、132bの前方側で、ピン132cは内後延在部121の端部を枢支し、連結板132a、132bの後方側で、ピン132dは第二調整部材1332の端部を枢支している。
次に、第一調整部材1331は、タイヤTの内側サイドウォール部にほぼ直交する方向に貫通した(第一)係合孔1331bを複数(図5の場合なら前後方向に5つ)有する板状体1331aからなる。第二調整部材1332は、タイヤTの内側サイドウォール部にほぼ直交する方向に貫通した(第二)係合孔1332bを複数(図5の場合なら前後方向に5つ)有する板状体1332aからなる。
連結部材1333、1334は、繰り返し使用できる割りピンからなり、2箇所の重合した係合孔1331b、1332bへそれぞれ嵌挿されている。本実施例では、タイヤTの損傷を避けるため、各割りピンの頭部をタイヤTの内側サイドウォール部側に配置し、その反対側に割りピンの開脚部を配置した。
この内連間調整具133によれば、連結部材1333、1334を嵌脱する係合孔1331bと係合孔1332bの重合位置を変更するだけで、第一本体11の内前連結具131と第二本体12の内後連結具132の間隔(内側連結長)を容易に多段階(図5の場合なら4段階)で調整できる。なお、連結部材1333、1334の配置は図5に示す場合には限らない。また本実施例では、第一調整部材1331と第二調整部材1332の係合に2本の割りピンを用いたが、その本数は適宜調整すればよい。
(2)上述した内連間調整具133を内連間調整具136に変更した例を図6に示した。内連間調整具136は、内前連結具131に枢設された第一調整部材1361と、内後連結具132に枢設された第二調整部材1362、1363と、それらを連結する連結部材1365、1366(係合部材)とにより構成される。なお、図6に示した場合と同様な構成については説明を省略する。
第一調整部材1361は、第一調整部材1331と同様に、タイヤTの内側サイドウォール部にほぼ直交する方向に貫通した(第一)係合孔1361bを複数(図6の場合なら前後方向に5つ)有する板状体1361aからなる。
第二調整部材1362、1363は、タイヤTの内側サイドウォール部にほぼ直交する方向に貫通した(第二)係合孔1362b、1363bを複数(図6の場合なら前後方向に5つ)有する2枚の板状体1362a、1363aからなる。なお、板状体1362a、1363aは、板状体1361aと同じ厚みのワッシャ1364を介装した状態でピン132dに枢支されている。
連結部材1365、1366は、それぞれ、重合した係合孔1361b、1362b、1363bへ嵌挿されるボルト1365a、1366aと、ボルト1365a、1366aに螺合するナット1365b、1366bと、ボルト1365a、1366aに螺合してナット1365b、1366bの緩みを防止するロックナット1365c、1366cとからなる。
この内連間調整具136によれば、係合孔1361b、1362b、1363bの重合位置を変更して各ボルトと各ナットおよび各ロックナットを締結するだけで、第一本体11の内前連結具131と第二本体12の内後連結具132の間隔(内側連結長)を容易に多段階(図6の場合なら4段階)で調整できる。この場合も、各ボルト等の配置や本数は適宜選択すればよいし、内側連結長の調整を繰り返し行える点は割りピンを用いた場合と同様である。
(3)上述した内連間調整具133、136を内連間調整具137に変更した例を図7に示した。内連間調整具137は、内前連結具131に枢設された第一調整部材1371と、内後連結具132に枢設された第二調整部材1372と、それらを連結する連結部材1375とにより構成されるターンバックルからなる。なお、図5または図6に示した場合と同様な構成については説明を省略する。
第一調整部材1371(第一調整ねじ)は、ピン131dに枢支される平環部1371aと、平環部1371aから前方側へ延在した丸棒状のロッド部1731bと、ロッド部1731bの先端部に形成されたねじ部1371cからなる。
第二調整部材1372(第二調整ねじ)は、ピン132dに枢支される平環部1372aと、平環部1372aから後方側へ延在した丸棒状のロッド部1732bと、ロッド部1732bの先端部に形成されたねじ部1372cからなる。なお、ねじ部1371cとねじ部1372cは相互に逆ねじとなっている。
連結部材1375(引締ねじ)は、第一調整部材1371のねじ部1371cに螺合するねじ部1375a(第一ねじ部)と、第二調整部材1372のねじ部1372cに螺合するねじ部1375b(第二ねじ部)と、ねじ部1375aおよびねじ部1375bを架橋する偏平環状な胴部1375cからなる。なお、ねじ部1375aとねじ部1375bも相互に逆ねじとなっている。
ねじ部1375aにねじ部1371cを螺合させると共にねじ部1375bにねじ部1372cを螺合させた状態で胴部1375cを回転させることにより、第一本体11の内前連結具131と第二本体12の内後連結具132の間隔(内側連結長)を容易に無段階で伸縮調整できる。
なお、本実施例では、胴部1375cをタイヤTの内側サイドウォール部に近接配置している。これにより偏平環状の胴部1375cは、滑止装置Sの装着時、内側サイドウォール部に当接し易くなり、僅かな角度しか回転できない。この結果、胴部1375cは、自ら回り止め機能を発揮する規制部ともなる。勿論、図7に示すように、ねじ部1371c、1372cに螺合するロックナット1377、1378を胴部1375cの外端両側に設けると、胴部1375cを定位置に固定でき、内側連結長を確実に一定化できる。
《掛架部材・掛止具》
(1)単位ユニット1の横断部112b(第一横断部)と横断部122b(第二横断部)の間に金属チェーン193(掛架部材、連鎖部材)を掛止した滑止装置SをタイヤTへ装着した様子を図8に、その拡大図を図9に示した。
金属チェーン193の一端側にある金属リング193aは、横断部112bへ嵌挿された瓢箪型閉環状の掛止具191を介して横断部112bに掛止されている。また金属チェーン193の他端側にある金属リング193bは、横断部122bへ嵌挿された瓢箪型閉環状の掛止具192を介して横断部122b掛止されている。
なお、掛止具191と掛止具192はそれぞれ、ロータリースプリング112rとロータリースプリング122rのほぼ中間に配設されている。また、掛止具191と掛止具192の外径は、ほぼ、ロータリースプリング112rとロータリースプリング122rの外径と同程度かそれ以下に設定されている。掛止具191と掛止具192の外周面が、ロータリースプリング112rとロータリースプリング122rの外周面よりも大幅に突出しないように設定されている。図8または図9に示した滑止装置Sは、金属チェーン193の着脱があまり必要ない場合を想定して、金属チェーン193を掛止具191および掛止具192を介して単位ユニット1内に予め組み込んだタイプである。この場合、掛止具191および掛止具192を用いずに、金属チェーン193の金属リング193aおよび金属リング193bを、横断部112bおよび横断部122bへ直接嵌挿させるようにしてもよい。
(2)上述した固定式の掛止具192を、着脱式の掛止具1921に変更した場合を図10に示した。この掛止具1921は、高強度なばね鋼等の弾性(板)材からなり、一部に切れ目がある開閉可能な環状をしている。掛止具1921は、通常は付勢力によって閉環状態となっているが、その金属リング193b側を付勢力に抗して内側へ強く押圧すると、切れ目が開いて開口する。こうしてできた掛止具1921の開口へ、横断部122bを掛合させた後、掛止具192の押圧を解除すると、金属チェーン193が掛止具1921を介して横断部122bへ装着された状態となる。
逆に、金属チェーン193を脱着する場合は、掛止具1921を押圧してできた開口から、掛止具1921を横断部122bより外せばよい。このような掛止具1921を用いることにより、金属チェーン193の横断部122bへ(ひいては滑止装置Sへ)の着脱を、走行する路面状態に応じて自在に変更できる。なお、ここでは金属チェーン193の一方側についてのみ説明したが、当然、他方側(金属リング193a側)についても同様である。
(3)掛止具192の別の変形例である掛止具1922を図11に示した。掛止具1922は、横断部122bに嵌挿された瓢箪型閉環状の第一リング1922aと、金属チェーン193の金属リング193bに嵌挿された第二リング1922bと、第一リング1922aと第二リング1922bを回転自在に連結する枢軸1922cとからなる。この掛止具1922を用いると、横断部122b(ひいては第二U形状部122)に対して、金属チェーン193はその延在方向周りに回転可能となる。これにより金属チェーン193の偏摩耗が回避され、その耐久性の向上を図れると共に、金属チェーン193による滑止性を長期的に確保できる。
(4)掛止具1922の変形例である掛止具1923を図12に示した。掛止具1923は、横断部122bへ着脱自在な瓢箪型の第一リング1923aと、金属チェーン193の金属リング193bに嵌挿された第二リング1923b(第二リング1922bと同等)と、第一リング1923aと第二リング1923bを回転自在に連結する枢軸1923c(枢軸1922cと同等)とからなる。この掛止具1923を用いると、横断部122b(ひいては第二U形状部122)に対して、金属チェーン193はその延在方向周りに回転自在にできると共に着脱自在にできる。従って、金属チェーン193の滑止装置Sへの装着を走行路面に応じて選択できると共に、金属チェーン193の長寿命化も図れる。
S タイヤ滑止装置
R 雪路
1 単位ユニット
11 第一本体
12 第二本体
131 (第一)内前連結具
132 (第二)内後連結具
133 内連間調整具
141 (第一)外後連結具
142 (第二)外前連結具
191 (第一)掛止具
192 (第二)掛止具
193 金属チェーン

Claims (3)

  1. 車両用のホイールに嵌装されたタイヤの内側サイドウォール部から該タイヤのトレッド部を跨ぎ該タイヤの外側サイドウォール部に至る第一U形状部と該内側サイドウォール部側で該第一U形状部から連なり該タイヤの前方周方向へ延在した内前延在部と該外側サイドウォール部側で該第一U形状部から連なり該タイヤの後方周方向へ延在した外後延在部とからなる第一本体と、
    該第一本体の内前延在部に枢設された第一内前連結具と、
    該第一本体の外後延在部に枢設された第一外後連結具と、
    該第一本体の前方周方向側にあって該内側サイドウォール部から該トレッド部を跨ぎ該外側サイドウォール部に至る第二U形状部と該内側サイドウォール部側で該第二U形状部から連なり該タイヤの後方周方向へ延在した内後延在部と該外側サイドウォール部側で該第二U形状部から連なり該タイヤの前方周方向へ延在した外前延在部とからなる第二本体と、
    該第二本体の内後延在部に枢設された第二内後連結具と、
    該第二本体の外前延在部に枢設された第二外前連結具とを備え、
    該第一内前連結具と該第二内後連結具が連結されてなる単位ユニットから構成されるタイヤ滑止装置であって、
    前記単位ユニットは、さらに、前記第一U形状部の前記トレッド部に対応する第一横断部と前記第二U形状部の該トレッド部に対応する第二横断部との間に掛架される掛架部材と、
    該第一横断部へ該掛架部材の一方の端部である第一端部を掛止し得る第一掛止具と、
    該第二横断部へ該掛架部材の他方の端部である第二端部を掛止し得る第二掛止具とを備え、
    該第一掛止具または該第二掛止具は、該第一横断部または該第二横断部に対して該掛架部材を回転させ得ることを特徴とするタイヤ滑止装置。
  2. 前記掛架部材は、連鎖部材からなる請求項1に記載のタイヤ滑止装置。
  3. 前記第一掛止具または前記第二掛止具は、前記第一横断部または前記第二横断部に対して着脱し得る請求項1または2に記載のタイヤ滑止装置。
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