JP5649028B2 - ジルコニア膜の成膜方法 - Google Patents

ジルコニア膜の成膜方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5649028B2
JP5649028B2 JP2010009016A JP2010009016A JP5649028B2 JP 5649028 B2 JP5649028 B2 JP 5649028B2 JP 2010009016 A JP2010009016 A JP 2010009016A JP 2010009016 A JP2010009016 A JP 2010009016A JP 5649028 B2 JP5649028 B2 JP 5649028B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aerosol
film
zirconia
container
fine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010009016A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011102428A (ja
Inventor
英嗣 渕田
英嗣 渕田
Original Assignee
有限会社 渕田ナノ技研
有限会社 渕田ナノ技研
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 有限会社 渕田ナノ技研, 有限会社 渕田ナノ技研 filed Critical 有限会社 渕田ナノ技研
Priority to JP2010009016A priority Critical patent/JP5649028B2/ja
Priority to EP10772099.7A priority patent/EP2428592B1/en
Priority to CN201080019886.4A priority patent/CN102428212B/zh
Priority to US13/057,514 priority patent/US8137743B2/en
Priority to KR1020117002642A priority patent/KR101257177B1/ko
Priority to PCT/JP2010/000325 priority patent/WO2010128572A1/ja
Publication of JP2011102428A publication Critical patent/JP2011102428A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5649028B2 publication Critical patent/JP5649028B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Description

本発明は、エアロゾル化ガスデポジション法によるジルコニア膜の成膜方法に関する。
ジルコニア(酸化ジルコニウム)膜は高い耐熱性及び耐食性、低い熱及び電気伝導性等の特性を有し、耐熱用保護膜、耐食用保護膜、光学薄膜等として利用される。ジルコニア膜は、従来、ゾルゲル法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタリング法、溶射法等によって成膜されているが、成膜速度、成膜条件、膜質等の点においてそれぞれ難点があり、成膜方法について改善の余地が存する。
エアロゾル化ガスデポジション法は、エアロゾル化容器に収容された原料微粒子(エアロゾル原料)を、ガスによって巻上げてエアロゾル化し、エアロゾル化容器内と成膜室内との圧力差によるガス流によって搬送して基材に衝突させ、堆積させる成膜方法である。当該方法では、高速に加速された原料微粒子が有する運動エネルギーが局所的に熱エネルギーに変換され、成膜が成される。基材の加熱は局所的であるため基材はほとんど熱の影響を受けず(常温成膜)、また、成膜速度が他の成膜方法に比して高速であり、一般に、高密度、高密着性を有する膜を成膜することが可能である。
ジルコニア微粒子を原料とするエアロゾル化ガスデポジション法として、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載の方法が知られている。
特許文献1には、エアロゾル式ガスデポジション法により、ジルコニア微粒子を含む脆性材料微粒子を原料として、当該脆性材料からなる薄膜を形成する、「脆性材料微粒子成膜体の低温成形法」が開示されている。この方法によれば、非球形の不定形形状を有する微粒子をエアロゾル原料とすることにより、当該微粒子の尖った角に衝撃力が集中し、緻密かつ強固な結合力を持つ成膜体を得ることが可能とされている。
特許文献2には、エアロゾルデポジション法によりジルコニア質の表面層を形成する「電子部品用セラミックス焼成用道具材」が開示されている。この方法によれば、基材上に、基材とジルコニアの中間の値である線熱膨張係数を有する中間層を設け、ジルコニア質の表面層の剥離を防止することが可能とされている。
特開2003−73855号公報(段落[0010]、図1) 特開2008−137860号公報(段落[0021])
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の成膜方法では、良好な膜質を有するジルコニア膜を成膜することは困難であると考えられる。
特許文献1に記載の成膜方法では、脆性材料として複数種の材料(チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、窒化チタン等)が挙げられており、これらの粒子形状及び粒子径(0.1〜1μm)が規定されている。しかし、実施形態において開示されているのは、チタン酸ジルコン酸鉛をエアロゾル原料として成膜した場合の評価であり、物性値が異なるジルコニアに関して同様の条件が適用できるかは不明である。
また、特許文献2に記載の成膜方法では、ジルコニア粉末(平均粒径0.45μm)をエアロゾル原料として成膜する場合について言及されている。しかしながら、当該成膜方法では、ジルコニア膜は、基材上に形成された、剥離を防止するための中間層上に形成され、ジルコニア膜を基材上に直接成膜した場合、割れや剥離を生じるとされている。
以上のように、膜質が優れるジルコニア薄膜を、エアロゾル化ガスデポジション法により基材上に直接成膜する方法は知られていなかった。本発明者らは特に、エアロゾル原料であるジルコニア微粒子の粒子の性状(平均粒径、粒径分布等)に着目し検討を行ったが、上述の特許文献1及び特許文献2に記載の平均粒径を有するジルコニア微粒子を用いることによっても良好な膜質を有するジルコニア薄膜を得ることはできなかった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、エアロゾル化ガスデポジション法によって良好な膜質を得ることが可能なジルコニア膜の成膜方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るジルコニア膜の成膜方法は、平均粒子径が2μm以上4μm以下であり、かつ比表面積が4m/g以上7m/g以下であるジルコニア微粒子を密閉容器に収容することを含む。
上記ジルコニア微粒子のエアロゾルは、上記密閉容器にガスを導入することによって生成される。
上記エアロゾルは、上記密閉容器に接続された搬送管を介して、上記密閉容器よりも低圧に維持された成膜室に搬送される。
上記ジルコニア微粒子は、上記成膜室に収容された基材上に堆積される。
本発明の実施形態に係るエアロゾル化ガスデポジション装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るエアロゾル化ガスデポジション法による成膜の様子を示す図である。 本発明に係る実施例及び比較例の結果を示す表である。 実施例3に係るジルコニア微粒子の透過型電子顕微鏡像(4万倍)である。 実施例3に係るジルコニア微粒子の透過型電子顕微鏡像(20万倍)である。
本発明の一実施形態に係るジルコニア膜の成膜方法は、平均粒子径が2μm以上4μm以下であり、かつ比表面積が4m/g以上7m/g以下であるジルコニア微粒子を密閉容器に収容することを含む。
上記ジルコニア微粒子のエアロゾルは、上記密閉容器にガスを導入することによって生成される。
上記エアロゾルは、上記密閉容器に接続された搬送管を介して、上記密閉容器よりも低圧に維持された成膜室に搬送される。
上記ジルコニア微粒子は、上記成膜室に収容された基材上に堆積される。
平均粒子径が2μm以上4μm以下であり、かつ比表面積が4m/g以上7m/g以下であるジルコニア粒子をエアロゾル原料とすることによって、良好な膜質(高密度、高密着力等)を有するジルコニア膜を基材上に成膜することが可能である。通常、エアロゾル化ガスデポジション法のエアロゾル原料として用いられる原料微粒子は、粒径が0.1μm〜1μm程度のものが一般的である。これは、多くの材料が、この程度の粒径により良好に成膜されること、あるいは、この程度の粒径を有する原料微粒子がエアロゾル化し易いことによる。一方、本発明者らは、検討の結果、通常用いられる粒子径よりも大きい粒子径を有するジルコニア微粒子により、良好な膜質を有するジルコニア膜が成膜されることを見出した。同一の成膜条件においても、ジルコニア微粒子の平均粒子径が2μm未満の場合、あるいはまた比表面積が7m/gを超える場合には、緻密に堆積成膜することが困難であり、密度の低い圧粉体となる。平均粒子径が4μmより大きい場合は、密着力が弱く膜剥離が生じたり、圧粉体(粉末の圧縮体)が形成されたりして好ましくない。また、平均粒子径が2μm以上4μm以下である場合において、2.2μm以上3.5μm以下である場合が好適である。比表面積は、平均粒子径から著しく逸脱する粒子径を有する粒子が含まれない、即ち、粒径分布が均一であることを示す。
ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定法で測定した粒度分布の積算%が50%の値(D50)を意味する。また、平均粒子径の値は、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置「SALD2100」による測定値を用いた。また、「比表面積」は、島津製作所製「フローソーブII2300」による測定値を用いた。
上記ジルコニア膜の成膜方法は、上記ジルコニア微粒子を上記密閉容器に収容する工程の前に、上記ジルコニア微粒子を脱気する工程をさらに具備してもよい。
ジルコニア微粒子を脱気することにより、ジルコニア微粒子が水分により凝集し、あるいは薄膜に不純物が混入することを防止することが可能である。
上記エアロゾルを生成する工程は、上記密閉容器内に設置された、上記ジルコニア微粒子で被覆されているガス噴出体から上記ガスを噴出させることで、上記ジルコニア微粒子を上記容器内で巻き上げ、上記ガス中に混合させてもよい。
上述のように、本発明の実施形態に係るジルコニア微粒子は、粒子径が比較的大きいものであるが、ガスをジルコニア微粒子中から噴出させることによって、良好にエアロゾル化させることが可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエアロゾル化ガスデポジション装置1(以下、AGD装置1)の概略構成を示す図である。
同図に示すように、AGD装置1は、エアロゾル化容器2と、成膜チャンバ3と、排気系4と、ガス供給系5と、搬送管6とを具備する。エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3はそれぞれ独立した室を形成し、搬送管6によって接続されている。排気系4は、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3とに接続されている。ガス供給系5は、エアロゾル化容器2に接続されている。また、エアロゾル化容器2にはエアロゾル原料Pが収容されている。成膜チャンバ3には基材Sが収容されている。
エアロゾル化容器(密閉容器)2は、エアロゾル原料Pを収容し、その内部でエアロゾルを生成する。エアロゾル化容器2は密閉可能な構造を有し、また、エアロゾル原料Pを出し入れするための図示しない蓋部を有する。エアロゾル化容器2は、排気系4及びガス供給系5に接続されている。エアロゾル化容器2には、エアロゾル原料Pを攪拌するためにエアロゾル化容器2を振動させる振動機構、あるいはエアロゾル原料Pを脱気(水分等の除去)させるために加熱する加熱手段が設けられていてもよい。
成膜チャンバ3は、基材Sを収容する。成膜チャンバ3は内部の気圧を維持することが可能に構成されている。成膜チャンバ3は、排気系4に接続されている。また、成膜チャンバ3には、基材Sを保持するためのステージ7と、ステージ7を移動させるためのステージ駆動機構8が設けられている。ステージ7は、成膜前に基材Sを脱気させるために基材Sを加熱する加熱手段を有していてもよい。また、成膜チャンバ3には、内部の圧力を指示する真空計が設けられてもよい。
排気系4は、エアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を真空排気する。排気系4は、真空配管9と、第1バルブ10と、第2バルブ11と、真空ポンプ12とを有する。真空ポンプ12に接続された真空配管9は分岐され、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3に接続されている。第1バルブ10は真空配管9の分岐点とエアロゾル化容器2の間の真空配管9上に配置され、エアロゾル化容器2の真空排気を遮断することが可能に構成されている。第2バルブ11は真空配管9の分岐点と成膜チャンバ3の間の真空配管9上に配置され、成膜チャンバ3の真空排気を遮断することが可能に構成されている。真空ポンプ12の構成は特に限定されず、複数のポンプユニットからなるものとしてもよい。真空ポンプ12は例えば、直列に接続されたメカニカルブースターポンプとロータリーポンプとすることができる。
ガス供給系5は、エアロゾル化容器2に、エアロゾル化容器2の圧力を規定し、かつ、エアロゾルを形成するためのキャリアガスを供給する。キャリアガスは、例えば、N、Ar、He等である。ガス供給系5は、ガス配管13と、ガス源14と、第3バルブ15と、ガス流量計16と、ガス噴出体17とを有する。ガス源14とガス噴出体17はガス配管13によって接続され、ガス配管13上に第3バルブ15及びガス流量計16が配置されている。ガス源14は、例えばガスボンベであり、キャリアガスを供給する。ガス噴出体17は、エアロゾル化容器2内に配置され、ガス配管13から供給されたキャリアガスを均一に噴出させる。ガス噴出体17は、例えば、ガス噴出孔が多数設けられた中空体とすることができ、エアロゾル原料Pに被覆される位置に配置されることによりエアロゾル原料Pを有効に巻き上げ、エアロゾル化させることが可能となる。ガス流量計16は、ガス配管13中を流通するキャリアガスの流量を指示する。第3バルブ15は、ガス配管13中を流通するキャリアガスの流量を調節し、あるいは遮断することが可能に構成されている。
搬送管6は、エアロゾル化容器2内で形成されたエアロゾルを成膜チャンバ3内に搬送する。搬送管6は、一端はエアロゾル化容器2に接続され、他端にはノズル18が設けられている。ノズル18は小径の丸孔あるいはスリット状の開口を有し、後述するようにノズル18の開口径によってエアロゾルの噴出速度が規定される。ノズル18は、基材Sに対向する位置に設けられ、また、エアロゾルの基材Sに対する噴出距離あるいは噴出角度を規定するためにノズル18の位置及び角度を規定する、ノズル可動機構に接続されていてもよい。
基材Sは、ガラス、金属、セラミックス等の材料で構成される。上述のように、AGD法は常温成膜であり、また、化学的プロセスを得ない物理的成膜法であるため、幅広い材料を基材として選択することが可能である。また、基材Sは平面的なものに限られず、立体的なものであってもよい。
AGD装置1は、以上のように構成される。なお、AGD装置1の構成は上述のものに限られない。例えば、エアロゾル化容器2に接続された、ガス供給系5とは別系統のガス供給機構を設けることも可能である。上述の構成では、ガス供給系5によって供給されるキャリアガスによって、エアロゾル化容器2の圧力調整及びエアロゾル原料Pの巻上げによるエアロゾルの形成がされる。なお、当該別系統のガス供給手段から圧力調節を担うガスを別途供給することにより、エアロゾルの形成状態(形成量、主に巻き上げられる粒子径等)とは独立にエアロゾル化容器2内の圧力を調節することが可能である。
以下、エアロゾル原料Pについて説明する。
エアロゾル原料Pは、エアロゾル化容器2内でエアロゾル化され、基材S上に成膜される。エアロゾル原料Pは、湿式法によって作製されたジルコニアの微粒子であり、例えばZrO+HfO純度が99.50%以上の高純度ジルコニア微粒子が用いられる。ここで、湿式法とは、化学的気相析出法や液相合成法などのように原子や分子からビルドアップして合成する方法をいう。
エアロゾル原料Pは、平均粒子径が2μm以上4μm以下であり、かつ比表面積が4m/g以上7m/g以下であるジルコニア微粒子とされる。後述するが、粒子径が2μm以上4μm以下のジルコニア微粒子をエアロゾル原料とすることによって良好な特性(緻密性、基材Sへの密着性等)を有するジルコニア薄膜を形成することが可能である。ジルコニア微粒子の平均粒子径が2μm未満の場合は成膜することが困難であり、平均粒子径が4μmより大きい場合は、密着力が弱く剥離が生じたり、圧粉体(粉末の圧縮体)が形成されたりして好ましくない。
平均粒子径が2μm以上4μm以下であっても、粒径分布が不均一であり、粒子径が小さい粒子及び粒子径が大きい粒子が多量に含まれる場合は、比表面積が4m/g以上7m/g以下の範囲から逸脱する。なお、通常、AGD法に用いられるエアロゾル原料は、粒子径が0.1μm〜1μm程度のものが一般的であるのに対し、本実施形態に係るエアロゾル原料Pの粒子径はそれよりも大きい。
平均粒子径が2μm以上4μm以下であり、かつ比表面積が4m/g以上7m/g以下であるジルコニア微粒子としては、例えば、第一稀元素化学工業株式会社製、SPZ酸化ジルコニウム(製品名)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径2.5〜4μm、比表面積4〜9m/g)を用いることができる。
一方、比較的大きな粒径のジルコニア微粒子を破砕、分級することによって、上記範囲の粒子径を有するジルコニア微粒子を作製してもよい。ジルコニア微粒子の作製方法は、特に限定されず、例えば、湿式法、乾式法などの公知の手法を採用することができる。
以下、AGD装置1及びエアロゾル原料Pを用いるAGD法について説明する。図2は、本実施形態に係るAGD法によるジルコニア薄膜の成膜の態様を模式的に説明する図である。
エアロゾル化容器2内に所定量のエアロゾル原料Pを収容する。なお、事前にエアロゾル原料Pを加熱し、脱気処理をしてもよい。また、エアロゾル原料Pが収容されている状態でエアロゾル原料Pを脱気するために、エアロゾル化容器2を加熱してもよい。ジルコニア微粒子を脱気することにより、ジルコニア微粒子が水分により凝集し、あるいは薄膜に不純物が混入することを防止することが可能である。
次に、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を真空排気する。
真空ポンプ12が運転されている状態で、第1バルブ10及び第2バルブ11を開放し、エアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を十分に圧力が低下するまで真空排気する。エアロゾル化容器2が十分に減圧されたら、第1バルブ10を閉止する。なお、成膜チャンバ3は成膜中は真空排気されている。
次に、ガス供給系5によりエアロゾル化容器2にキャリアガスを導入する。第3バルブ15を開放し、キャリアガスをガス噴出体17からエアロゾル化容器2内に噴出させる。エアロゾル化容器2内に導入されたキャリアガスにより、エアロゾル化容器2内の圧力は上昇する。一方、成膜チャンバ3は真空排気が維持されているため、キャリアガスは、成膜チャンバ3に連通している搬送管6に向かって流動する。また、ガス噴出体17から噴出されたキャリアガスにより、図2に示すようにエアロゾル原料Pが巻き上げられ、エアロゾル化容器内に浮遊し、キャリアガス中にエアロゾル原料Pが分散したエアロゾル(図2にAで示す)が形成される。生成されたエアロゾルは、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の圧力差により、搬送管6に流入し、ノズル18から噴出される。第3バルブ15の開度を調節することにより、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の圧力差及び、エアロゾルの形成状態を制御することが可能である。
なお、本実施形態に係るエアロゾル原料P、即ちジルコニア微粒子は、通常用いられるエアロゾル原料に比べ大きく、巻き上がり難い。ここで、エアロゾル原料P中に配置されているガス噴出体17からキャリアガスを噴出させることにより、エアロゾル原料Pを有効に巻き上げ、分散させることが可能である。
ノズル18から噴出されるエアロゾル(図2にA’で示す)は、エアロゾル化容器2と成膜チャンバの圧力差及びノズル18の開口径によって規定される流速を持って噴出される。このエアロゾルは、基材Sの表面あるいは既成の膜上に到達し、エアロゾルに含まれるエアロゾル原料P、即ちジルコニア微粒子が基材Sの表面あるいは既成の膜上に衝突する。エアロゾル原料Pが有する運動エネルギーが局所的に熱エネルギーに変換され、粒子が全体的あるいは部分的に溶融して結合し、膜が形成される。このことから、エアロゾル原料Pの粒子径は、微粒子が有する運動エネルギーの大きさ、あるいは溶融の程度に大きな影響を与える。即ち、ジルコニア微粒子の粒子径により、形成される膜の品質が左右される。
基材Sを移動させることにより、基材S上の所定の範囲にジルコニア薄膜(図2にFで示す)が成膜される。ステージ7をステージ駆動機構8によって移動させることで、ノズル18に対する基材Sの相対位置が変化する。ステージ7を、基材Sの被成膜面に平行な一方向に移動させることにより、ノズル18の開口径と同一の幅を有する線状に薄膜を形成することができる。ステージ7を往復させることにより、既成の膜上にさらに成膜することが可能であり、これにより、所定の膜厚でジルコニア薄膜を形成することができる。また、ステージ7を2次元的に移動させることにより、所定の領域に薄膜が形成される。ノズル18の基材Sの被成膜面に対する角度は直角でもよく、斜めであってもよい。ノズル18を被成膜面に対して斜向させることにより、成膜品質を低下させる微粒子の凝集体が付着した場合であっても、その付着物を除去することが可能となる。
ジルコニア薄膜は以上のようにして形成される。上述のように、平均粒子径が2μm以上4μm以上であり、比表面積が4m/g以上7m/g以下であるジルコニア微粒子をエアロゾル原料Pとして用いることにより、緻密であり、基材Sに対する密着力が高いジルコニア薄膜を形成することが可能である。
以下、本発明に係る実施例及び比較例について説明する。実施例及び比較例の結果を図3に示す。なお、説明には上述のAGD装置1を用いる。
(実施例1)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、高純度ジルコニア微粒子(製品名「SPZ」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径2.7μm、比表面積6.5m/g)を50g用いた。ノズル18は、スリット長5mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃、1時間加熱することで、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量5L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約47kPa、成膜チャンバ3の圧力は240Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は47kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に成膜された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は15回、即ち、積層回数は30回(pass)とした。成膜には8分間を要した。幅5mm、長さ15mm、膜厚24μm(0.8μm/pass)の透光性を有する白色系のジルコニア薄膜が形成された。当該薄膜は緻密であり、基材Sとの密着性も良好(粘着テープによる剥離試験によっても剥離せず)であった。
(実施例2)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、高純度ジルコニア微粒子(製品名「SPZ」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径2.7μm、比表面積6.5m/g)を50g用いた。ノズル18は、スリット長5mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃、1時間加熱することで、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量3L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約30kPa、成膜チャンバ3の圧力は170Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は30kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に成膜された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は5回、即ち、積層回数は10回(pass)とした。成膜には3分間を要した。幅5mm、長さ15mm、膜厚6μm(0.6μm/pass)の透光性を有する白色系のジルコニア薄膜が形成された。当該薄膜は緻密であり、基材Sとの密着性も良好(粘着テープによる剥離試験によっても剥離せず)であった。
(実施例3)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、高純度ジルコニア微粒子(製品名「SPZ」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径3.5μm、比表面積4.5m/g)を70g用いた。図4及び図5に、当該ジルコニア微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscope)像を示す。図4は4万倍、図5は20万倍のTEM像である。図4に示す低倍率のTEM像から、当該ジルコニア微粒子は、小径の一次粒子が凝集、合体し、粒子径が数μmの二次粒子が形成されていることが解る。また、単独で存在する一次粒子はみられない。図5に示す高倍率のTEM像から、粒子径0.1〜0.2μm程度の一次粒子が凝集、合体している様子が解る。ノズル18は、スリット長30mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃、1時間加熱することで、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量8L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約30kPa、成膜チャンバ3の圧力は400Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は30kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に成膜された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は75回、即ち、積層回数は150回(pass)とした。成膜には38分間を要した。幅30mm、長さ15mm、膜厚20μm(0.13μm/pass)の透光性を有する白色系のジルコニア薄膜が形成された。当該薄膜は緻密であり、基材Sとの密着性も良好(粘着テープによる剥離試験によっても剥離せず)であった。
(実施例4)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、高純度ジルコニア微粒子(製品名「SPZ」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径3.5μm、比表面積4.5m/g)を70g用いた。ノズル18は、スリット長30mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃、1時間加熱することで、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量7L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約28kPa、成膜チャンバ3の圧力は360Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は28kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に成膜された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は25回、即ち、積層回数は50回(pass)とした。成膜には13分間を要した。幅30mm、長さ15mm、膜厚5μm(0.1μm/pass)の透光性を有する白色系のジルコニア薄膜が形成された。当該薄膜は緻密であり、基材Sとの密着性も良好(粘着テープによる剥離試験によっても剥離せず)であった。
(実施例5)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、高純度ジルコニア微粒子(製品名「SPZ」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径3.5μm、比表面積4.5m/g)を50g用いた。ノズル18は、スリット長30mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃、1時間加熱することで、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量8L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約30kPa、成膜チャンバ3の圧力は400Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は30kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(Ni基合金)S上に成膜された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は60回、即ち、積層回数は120回(pass)とした。成膜には30分間を要した。幅30mm、長さ15mm、膜厚20μm(0.17μm/pass)の透光性を有する白色系のジルコニア薄膜が形成された。当該薄膜は緻密であり、基材Sとの密着性も良好(粘着テープによる剥離試験によっても剥離せず)であった。
(実施例6)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、酸化ジルコニウム微粒子(製品名「EP−5」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径2.2μm、比表面積5.1m/g)を80g用いた。ノズル18は、スリット長30mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃、1時間加熱することで、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量8L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約27kPa、成膜チャンバ3の圧力は360Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は27kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に成膜された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は25回、即ち、積層回数は50回(pass)とした。成膜には13分間を要した。幅30mm、長さ15mm、膜厚2μm(0.04μm/pass)の透光性を有する白色系のジルコニア薄膜が形成された。当該薄膜は緻密であり、基材Sとの密着性も良好(粘着テープによる剥離試験によっても剥離せず)であった。
(実施例7)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、酸化ジルコニウム微粒子(製品名「EP−5」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径2.2μm、比表面積5.1m/g)を80g用いた。ノズル18は、スリット長30mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃、1時間加熱することで、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量12L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約34kPa、成膜チャンバ3の圧力は470Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は34kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に成膜された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は25回、即ち、積層回数は50回(pass)とした。成膜には13分間を要した。幅30mm、長さ15mm、膜厚4μm(0.08μm/pass)の透光性を有する白色系のジルコニア薄膜が形成された。当該薄膜は緻密であり、基材Sとの密着性も良好(粘着テープによる剥離試験によっても剥離せず)であった。
(比較例1)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、酸化ジルコニウム(製品名「UEP」)(ZrO+HfO純度99.80%以上、平均粒子径0.47μm、比表面積21.6m/g)を80g用いた。ノズル18は、スリット長5mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃に加熱して1時間維持し、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量5L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約47kPa、成膜チャンバ3の圧力は240Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は47kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に噴射された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は25回、即ち、積層回数は50回(pass)とした。成膜には13分間を要した。
基材上には、ジルコニア微粒子の圧粉体が形成された。当該圧粉体は拭取れる程度のポーラスなものであった。
(比較例2)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、酸化ジルコニウム(製品名「UEP」)(ZrO+HfO純度99.80%以上、平均粒子径0.58μm、比表面積82.7m/g)を50g用いた。ノズル18は、スリット長5mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをエアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。大気中での脱気処理は行わなかった。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量5L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約47kPa、成膜チャンバ3の圧力は240Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は47kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に噴射された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は10回、即ち、積層回数は20回(pass)とした。成膜には5分間を要した。
基材上には、ジルコニア微粒子の圧粉体が形成された。当該圧粉体は拭取れる程度のポーラスなものであった。
(比較例3)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、酸化ジルコニウム(製品名「EP」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径2.1μm、比表面積25m/g)を50g用いた。ノズル18は、スリット長5mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃に加熱して2時間維持し、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量7L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約59kPa、成膜チャンバ3の圧力は290Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は59kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に噴射された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は5回、即ち、積層回数は10回(pass)とした。成膜には3分間を要した。
基材上には、ジルコニア微粒子の圧粉体が形成された。当該圧粉体は拭取れる程度のポーラスなものであった。
(比較例4)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、酸化ジルコニウム(製品名「WG−8S」)(ZrO+HfO純度99.90%以上、平均粒子径6μm、比表面積12m/g)を50g用いた。ノズル18は、スリット長5mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃に加熱して1時間維持し、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量5L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約47kPa、成膜チャンバ3の圧力は240Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は47kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に噴射された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は25回、即ち、積層回数は50回(pass)とした。成膜には13分間を要した。堆積中の観察によれば、堆積膜は密着力が弱く、積層と共に、部分的に、堆積と層状剥離を繰り返していた。
(比較例5)
エアロゾル原料Pとして、第一稀元素化学工業株式会社製、酸化ジルコニウム微粒子(製品名「EP−7」)(ZrO+HfO純度99.50%以上、平均粒子径2.1μm、比表面積7.1m/g)を80g用いた。ノズル18は、スリット長30mm、スリット幅0.3mmのスリット状ノズルとした。
上記エアロゾル原料Pをアルミナトレーに入れ、大気中で500℃に加熱して1時間維持し、脱気処理した。その後、エアロゾル化容器2に収容し、排気系4によりエアロゾル化容器2及び成膜チャンバ3を10Pa以下まで真空排気した。なお、エアロゾル化容器2は、脱気を促進するため、成膜の間マントルヒーターを用いて150℃に維持した。
エアロゾル化容器2の真空排気を停止し、ガス供給系5からエアロゾル化容器2にNガス(キャリアガス)を流量12L/minで導入した。エアロゾル化容器2内の圧力は約35kPa、成膜チャンバ3の圧力は490Pa、エアロゾル化容器2と成膜チャンバ3の差圧は35kPaとなった。エアロゾル化容器2内のエアロゾル原料Pはエアロゾル化し、搬送管6を通過してノズル18から噴出し、基材(スライドグラス)S上に噴射された。
基材Sが載置されたステージ7を、ステージ駆動機構8によって1mm/sの速度で15mm駆動させ、ステージ7の駆動方向を反転させることを繰り返し、往復させた。往復回数は25回、即ち、積層回数は50回(pass)とした。成膜には13分間を要した。形成された堆積膜は密着力が弱く、膜剥離が生じ、緻密な膜は形成できなかった。
以上の実施例及び比較例から、平均粒子径が2μm以上4μm以下、特に、2.2μm以上3.5μm以下であり、比表面積が4m/g以上7m/g以下の条件を満たすジルコニア微粒子をエアロゾル原料としてエアロゾル化ガスデポジション法により成膜することで、緻密であり、基材に対する密着性が良好なジルコニア薄膜が形成された。一方、この条件から逸脱するジルコニア微粒子をエアロゾル原料として成膜した場合、ジルコニア薄膜は形成されなかった。
本発明は上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において変更され得る。
S 基材
1 エアロゾル化ガスデポジション装置
2 エアロゾル化容器
3 成膜チャンバ
4 排気系
5 ガス供給系
6 搬送管
7 ステージ
8 ステージ駆動機構
9 真空配管
10 第1バルブ
11 第2バルブ
12 真空ポンプ
13 ガス配管
14 ガス源
15 第3バルブ
16 ガス流量計
17 ガス噴出体
18 ノズル

Claims (3)

  1. 平均粒子径が2.2μm以上3.5μm以下であり、かつ比表面積が4.5/g以上6.5/g以下であり、ZrO +HfO 純度が99.5%以上である、湿式法で作製されたジルコニア微粒子を密閉容器に収容し、
    前記密閉容器にガスを導入することによって、前記ジルコニア微粒子のエアロゾルを生成させ、
    前記密閉容器に接続された搬送管を介して、前記密閉容器よりも低圧に維持された成膜室に前記エアロゾルを搬送し、
    前記成膜室に収容された基材上に前記ジルコニア微粒子を堆積させる
    ジルコニア膜の成膜方法。
  2. 請求項に記載のジルコニア膜の成膜方法であって、
    前記ジルコニア微粒子を前記密閉容器に収容する工程の前に、前記ジルコニア微粒子を脱気する工程をさらに具備する
    ジルコニア膜の成膜方法。
  3. 請求項に記載のジルコニア膜の成膜方法であって、
    前記エアロゾルを生成する工程は、前記密閉容器内に設置された、前記ジルコニア微粒子で被覆されているガス噴出体から前記ガスを噴出させることで、前記ジルコニア微粒子を前記容器内で巻き上げ、前記ガス中に混合させる
    ジルコニア膜の成膜方法。
JP2010009016A 2009-05-08 2010-01-19 ジルコニア膜の成膜方法 Active JP5649028B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010009016A JP5649028B2 (ja) 2009-05-08 2010-01-19 ジルコニア膜の成膜方法
EP10772099.7A EP2428592B1 (en) 2009-05-08 2010-01-21 Method for forming zirconia film
CN201080019886.4A CN102428212B (zh) 2009-05-08 2010-01-21 氧化锆膜的成膜方法
US13/057,514 US8137743B2 (en) 2009-05-08 2010-01-21 Method for forming zirconia film
KR1020117002642A KR101257177B1 (ko) 2009-05-08 2010-01-21 지르코니아 막의 성막 방법
PCT/JP2010/000325 WO2010128572A1 (ja) 2009-05-08 2010-01-21 ジルコニア膜の成膜方法

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009113317 2009-05-08
JP2009113317 2009-05-08
JP2009239665 2009-10-16
JP2009239665 2009-10-16
JP2010009016A JP5649028B2 (ja) 2009-05-08 2010-01-19 ジルコニア膜の成膜方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011102428A JP2011102428A (ja) 2011-05-26
JP5649028B2 true JP5649028B2 (ja) 2015-01-07

Family

ID=44192878

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010009016A Active JP5649028B2 (ja) 2009-05-08 2010-01-19 ジルコニア膜の成膜方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5649028B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102018009153B4 (de) 2017-11-22 2021-07-08 Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. Beschichtungsverfahren

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001152360A (ja) * 1999-11-25 2001-06-05 Ricoh Co Ltd セラミックス誘電体膜の形成方法、セラミックス誘電体膜/基板の積層構造体、及び電気−機械変換素子
JP4077372B2 (ja) * 2003-06-16 2008-04-16 富士通株式会社 成膜装置
JP4076991B2 (ja) * 2004-12-17 2008-04-16 有限会社 渕田ナノ技研 超微粒子の膜形成方法とその装置
JP2006175380A (ja) * 2004-12-24 2006-07-06 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 触媒、触媒の製造方法及び製造装置
JP2007023379A (ja) * 2005-06-15 2007-02-01 Fujifilm Corp 成膜方法及び構造物
JP2007146266A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Jfe Steel Kk 防食被覆鋼材及びその製造方法
JP2008081775A (ja) * 2006-09-27 2008-04-10 Ntn Corp アルミナ被膜形成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011102428A (ja) 2011-05-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2010128572A1 (ja) ジルコニア膜の成膜方法
KR101110371B1 (ko) 내플라즈마 결정질 세라믹 코팅막 및 그 제조방법
EP1046484B1 (en) Method of forming shaped body of brittle ultra fine particle at low temperature
JP6002888B2 (ja) 成膜方法
Kim et al. Effect of particle size on various substrates for deposition of NiO film via nanoparticle deposition system
JP5649026B2 (ja) ジルコニア膜の成膜方法
KR20100011576A (ko) 내 플라즈마성 갖는 세라믹 코팅체
JP5909737B2 (ja) イットリア膜の成膜方法
JP5649023B2 (ja) ジルコニア膜の成膜方法
Cho et al. Growth of Al2O3–PTFE composite film at room temperature by aerosol deposition method
JP2006131992A (ja) セラミックス膜およびその製造方法、セラミックス複合膜およびその製造方法ならびに切削工具
JP5649028B2 (ja) ジルコニア膜の成膜方法
KR101573010B1 (ko) 실리콘 카바이드 코팅층 형성방법 및 형성장치
JP2005279953A (ja) セラミックス構造物及びセラミックス構造物の製造方法
JP5246632B2 (ja) 成膜方法および成膜装置
JP6975972B2 (ja) Yf3成膜体の製造方法
WO2007105670A1 (ja) エアロゾルデポジション法による成膜体の製造方法
KR101986306B1 (ko) 진공 서스펜션 플라즈마 용사장치 및 진공 서스펜션 플라즈마 용사방법
KR101323106B1 (ko) 관형의 수소분리막모듈 제조방법
JP3850257B2 (ja) 脆性材料構造物の低温形成法
JP2002309383A (ja) 脆性材料複合構造物及びその作製方法
JP2019147995A (ja) 膜付き部材及びその製造方法
WO2007105674A1 (ja) エアロゾルデポジション法による成膜体の製造方法
US7179718B2 (en) Structure and method of manufacturing the same
JP2010084223A (ja) 金属ケイ酸塩膜とガラス基材の複合体、金属ケイ酸塩膜と被成膜体の複合体及びそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141007

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5649028

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250