JP5648960B2 - 巻真及び巻真の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、つづみ車を回転させる巻真及びこれの製造方法に関するものである。
一般的な機械式時計では、竜頭を引き出した状態で回すことで、時刻合わせや日付合わせ(カレンダー調整)を行うことができるように構成されている。時計の種類によっては、時刻合わせだけを行うもの、時刻合わせ及び日付合わせの両方を行うもの等があるが、いずれにしても竜頭を引き出した状態で回すことでこれらの調整が可能とされている。
この点について簡単に説明する。
竜頭には、図15に示す巻真100が取り付けられている。この巻真100は、竜頭とムーブメントとを機械的に連結させるための部材であり、時計の内部に向けて延在し、竜頭の回転操作に伴って回転すると共に、竜頭の引き出し操作や押し込み操作に伴って軸方向に移動自在とされている。
この巻真100には、断面四角形状に形成された回転伝達部101が形成されており、図15に示すように竜頭の引き出しによってつづみ車102の角孔103に入り込んで嵌合するようになっている。これにより、巻真100の回転力をつづみ車102に伝達することができ、つづみ車102を回すことが可能とされている。
なお、竜頭の引き出しによって巻真100が移動すると、図示しないおしどり及びかんぬきの働きによって、つづみ車102は日の裏車やカレンダー車等に連結される歯車に噛合した状態となる。これにより、つづみ車102の回転によって時刻合わせや日付合わせ等が可能とされている。
このように時刻合わせや日付合わせを行うには、巻真100をつづみ車102に確実に係合させて回転力を伝える必要がある。そのため、図16に示すように、回転伝達部101の角部101aが角孔103の突起部103aに確実に引っ掛かり、係合状態となることが重要とされている。
ここで、一般的に行われている巻真100の製造方法について簡単に説明する。
はじめに、円柱状の素材を旋盤加工や転造加工等によって加工して、回転伝達部101の基礎となる断面円形状の基礎部を形成する。その後、この基礎部の外周面を四方から切削加工することにより、角部101aを有する断面四角形状の回転伝達部101を形成する。このように、主に切削加工によって回転伝達部101を形成している。
ところがこの方法は、加工時間がかかるうえバリや切粉等が発生し易い。
そこで、別の方法として、加圧工具によるプレス成形で回転伝達部101を作製する方法が知られている。
この方法は、まず、円柱状の素材を旋盤加工や転造加工等によって加工し、図17に示すように、回転伝達部101となる断面円形状の基礎部110を形成する。その後、図18に示すように、加圧面が平坦面とされた加圧工具111を利用して、基礎部110を四方からプレス成形する。すると、このプレス成形によって基礎部110の素材が塑性変形し、角部101aを有する断面四角形状の回転伝達部101となる。
この方法によれば、上述した切削加工に比べて製造時間の短縮化を図ることができるうえ、バリや切粉等の発生を抑えることが可能とされている。
特に、このようなプレス成形で回転伝達部101を製造するにあたって、角部101aの形状精度を高めるために、プレス成形前の基礎部110の外形形状を段付きにしてプレス時における素材の塑性流動を制御した方法が知られている(特許文献1参照)。
特許第3480455号公報
しかしながら、従来のプレス成形による方法は、加圧面が平坦面となった加圧工具111を利用するので、断面円形状の基礎部110をプレス成形で断面四角形状の回転伝達部101とする際に、素材を四隅まで十分に塑性流動させることが難しい場合が多かった。そのため、回転伝達部101の角部101aを所望の形状精度で形成することが困難であった。
仮に、プレス成形前の基礎部110の外形形状を段付きにして、プレス時における素材の塑性流動を制御する方法を採用した場合には、角部101aの形状精度を若干高めることができるものの、加圧面が平坦面となった加圧工具111を使用している限り、依然として角部101aを所望の形状精度で形成することが難しかった。
そのため、図19に示すように、角部101aの外形形状が理想的な形状(実線で示すライン)よりも丸みを帯びた充填不足形状(点線で示すライン)になり易かった。
特にこの角部101aは、上述したように角孔103の突起部103aに係合して、巻真100の回転力をつづみ車102に伝える重要な役割を担っている。そのため、巻真100の製品機能上、厳しい幅寸法公差及び外径寸法公差を満たすように、回転伝達部111の角部101aには高い形状精度が要求されている。従って、上述したように角部101aが充填不足形状となってしまうと、つづみ車102の回転不良、即ち、時計の操作不良に繋がってしまうものであった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、回転伝達部の角部を角孔の突起部に確実に係合させることができ、つづみ車に効率良く回転力を伝えることができる巻真、及び、これの製造方法を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る巻真は、竜頭の回転操作に伴って回転し、その回転力をつづみ車に伝える巻真であって、軸線に沿って延在する巻真軸と、該巻真軸に一体的に設けられ、前記つづみ車の角孔に係合する断面角形状の回転伝達部と、を備え、前記回転伝達部が、プレス成形によって断面角形状に形成され、前記軸線を中心とする周方向に等間隔を開けながら巻真軸の径方向外側に突出するように形成され、前記角孔の突起部に係合する角部と、周方向に隣接する前記角部の間にて前記巻真軸の径方向内側に凹み形成された凹部と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る巻真の製造方法は、竜頭の回転操作に伴って回転し、その回転力をつづみ車に伝える巻真を製造する方法であって、軸線に沿って延在する巻真軸の一部に、該巻真軸の径方向外側に向けて断面円形状に膨らんだ基礎部を形成する形成工程と、前記基礎部の周囲を囲むように、前記軸線を中心とする周方向に沿って複数の加圧工具をセットするセット工程と、複数の前記加圧工具により前記基礎部を径方向外側からプレス成形して、前記つづみ車の角孔に係合する断面角形状の回転伝達部を形成するプレス工程と、を備え、前記加圧工具として、前記基礎部に押し付ける先端部が、平坦な加圧面と、前記軸線に沿って延在し、且つ、前記基礎部に向けて膨出した状態で前記軸線を中心とする周方向における前記加圧面の中央部に形成され、前記加圧面よりも先に前記基礎部に押し当たる膨出部と、を有する加圧工具を用いることを特徴とする。
本発明によれば、まず、巻真軸の一部に断面円形状に膨らんだ基礎部を形成する形成工程を行う。次いで、この基礎部の周囲を囲むように複数の加圧工具をセットするセット工程を行った後、これら複数の加圧工具により基礎部を径方向外側からプレス成形するプレス工程を行う。これにより、断面円形状の基礎部を塑性変形させて、断面角形状の回転伝達部に形成することができる。
特に、プレス工程の際に使用する加圧工具は、その先端部が単に平坦な加圧面だけでなく、この加圧面の中央部に形成された膨出部を有している。よって、プレス成形の初期段階では、加圧面よりも先に膨出部が基礎部に押し当たる。そして、プレス成形が進行するにつれて、膨出部によってプレスされた素材が膨出部に沿って塑性流動しはじめ、徐々に変形する。そして、膨出部に沿って塑性流動した素材は、さらなるプレスによって加圧面に達すると共に、膨出部から離れるように加圧面に沿って塑性流動する。
加圧面に沿って塑性流動した素材は、隣接する加圧工具の加圧面で流動が規制されると同時に、2つの加圧面で形成される空間形状に倣って塑性変形する。従って、この2つの加圧面によって塑性変形した部分は、巻真軸の径方向外側に突出した形状となり、つづみ車の角孔の突起部に係合する角部として機能する。一方、膨出部が押し当たった部分は、巻真軸の径方向内側に凹んだ凹部となる。
このように、膨出部を有する加圧工具で断面円形状の基礎部をプレス成形することにより、軸線を中心とする周方向に等間隔を開けて巻真軸の径方向外側に突出した角部と、周方向に隣接する角部の間にて巻真軸の径方向内側に凹んだ凹部と、で構成された断面角形状の回転伝達部を得ることができる。
特に、膨出部によって、素材を角部となる領域(2つの加圧面で囲まれる領域)側に積極的に塑性流動させることができるので、十分な量の素材で角部を作製することができ、従来のような充填不足形状を引き起こすことなく高い形状精度の角部とすることができる。従って、つづみ車の角孔の突起部に角部を確実に係合させることができ、つづみ車に効率良く回転力を伝えることができる。その結果、つづみ車の回転不良等を引き起こし難くすることができる。
本発明に係る巻真の製造方法は、上記本発明の巻真の製造方法において、前記加圧工具として、前記膨出部が断面円弧状に形成されている加圧工具を用いることを特徴とする。
本発明によれば、膨出部が断面円弧状であるので、プレス成形の初期段階でこの膨出部が基礎部に押し当たった際、線当たり(線接触)となる。従って、その線当たりの部分を中心として、素材の塑性流動がはじまるので良好な流動性を期待することができる。そのため、より効率良く角部となる領域に素材を塑性流動させることができ、角部の形状精度をさらに高めることができる。
本発明に係る巻真の製造方法は、上記本発明の巻真の製造方法において、前記加圧工具として、前記膨出部が断面三角状に形成されている加圧工具を用いることを特徴とする。
本発明によれば、膨出部が断面三角状であるので、プレス成形の初期段階でこの膨出部が基礎部に押し当たった際、線当たり(線接触)となる。従って、その線当たりの部分を中心として、素材の塑性流動がはじまるので良好な流動性を期待することができる。そのため、より効率良く角部となる領域に素材を塑性流動させることができ、角部の形状精度をさらに高めることができる。
また、膨出部の形状を断面三角状という単純な形状にできるので、加圧工具の製作が容易であるうえ製作コストを抑えることができる利点がある。
本発明に係る巻真の製造方法は、上記本発明の巻真の製造方法において、前記加圧工具として、前記膨出部が断面台形状に形成されている加圧工具を用いることを特徴とする。
本発明によれば、膨出部が断面台形状であるので、プレス成形の初期段階でこの膨出部が基礎部に押し当たった際、面当たり(面接触)となる。従って、プレス成形中、巻真軸の姿勢を安定化させることができる。特に、プレス成形の初期段階では、巻真軸の姿勢が不安定になり易いが、この加圧工具の場合は初期段階から膨出部が面当たりするので巻真軸の姿勢が安定する。従って、安定したプレス成形を行うことができ、角部の形状精度をさらに高めることができる。
本発明に係る巻真によれば、回転伝達部の角部を角孔の突起部に確実に係合させることができ、つづみ車に効率良く回転力を伝えることができる。
また、本発明に係る巻真の製造方法によれば、上記巻真をプレス成形という簡単な方法で時間をかけずに製造することができる。
本発明に係る巻真の実施形態を示す斜視図である。 図1に示す巻真の回転伝達部がつづみ車の角孔に係合している状態を示す斜視図である。 図2に示す矢印A−A線に沿った一部断面図である。 図1に示す巻真を製造する際の一工程図を示す図であって、巻真軸に、後に回転伝達部となる断面円形状の基礎部を作製した状態を示す斜視図である。 図4に示す基礎部をプレス成形する際に使用する加圧工具の斜視図である。 図5に示す加圧工具を基礎部の周囲を囲むようにセットした状態を示す断面図である。 図6に示す矢印B方向から見た側面図である。 図6に示す状態の後、加圧工具により基礎部を径方向外側からプレス成形した状態を示す断面図である。 本発明に係る変形例を示す図であって、断面三角形状の膨出部を有する加圧工具の斜視図である。 図9に示す加圧工具により基礎部を径方向外側からプレス成形した状態を示す断面図である。 図10に示すプレス成形によって作製された回転伝達部を有する巻真の斜視図である。 本発明に係る変形例を示す図であって、断面台形状の膨出部を有する加圧工具の斜視図である。 図12に示す加圧工具により基礎部を径方向外側からプレス成形した状態を示す断面図である。 図13に示すプレス成形によって作製された回転伝達部を有する巻真の斜視図である。 従来の巻真の斜視図であって、回転伝達部がつづみ車の角孔に係合している状態を示す図である。 図15に示す矢印C−C線に沿った一部断面図である。 図15に示す巻真を製造する際の一工程図を示す図であって、巻真軸に、後に回転伝達部となる断面円形状の基礎部を作製した状態を示す斜視図である。 図17に示す基礎部を加圧工具により径方向外側からプレス成形している状態を示す断面図である。 つづみ車の角孔の突起部と回転伝達部の角部との関係を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図1から図14を参照して説明する。なお、本実施形態では、巻真の一例として、時刻合わせ及び日付合わせの両方が調整可能な時計(腕時計や懐中時計等)に適用することができる巻真を例に挙げて説明する。
本実施形態の巻真1は、図1及び図2に示すように、竜頭2の回転に伴って回転し、その回転力をつづみ車3に伝えるものであって、軸線Lに沿って延在した巻真軸10と、この巻真軸10に一体的に設けられ、つづみ車3の角孔4に係合する2つの回転伝達部11、12と、を備えている。
なお、図1は、巻真1の斜視図である。図2は、一方の回転伝達部11がつづみ車3の角孔4に係合している状態を示す斜視図である。
巻真軸10は、ステンレス鋼等の金属鋼等の素材から形成された軸であり、図示しない時計の側面から時計内部に差し込まれるように取り付けられている。そして、この巻真軸10は、基端側が時計の側面に配設される竜頭2に固定されており、竜頭2の回転操作に伴って軸線L回りに回転すると共に、竜頭2の引き出し操作及び押し込み操作によって軸線L方向に移動可能とされている。
2つの回転伝達部11、12は、巻真軸10の軸線L方向に間隔を開けて設けられている。即ち、一方の回転伝達部11が、巻真軸10の先端側に設けられ、この回転伝達部11から基端側に離れた位置に他方の回転伝達部12が設けられている。これら2つの回転伝達部11、12は、共に巻真軸10の一部に設けられた後述する断面円形状の基礎部21、22をプレス成形することで断面角形状に形成された部分である。この点については、後の製造方法で詳細に説明する。
2つの回転伝達部11、12のうち他方の回転伝達部12は、時計の側面に接している通常位置(0段位置)から竜頭2を1段引き出したときに、図示しない日修正車の角孔に係合するようになっており、この日修正車に巻真軸10の回転力を伝達することが可能とされている。この際、日修正車は図示しない日車に噛合した状態となる。従って、竜頭2を1段引き出した状態で回転させることで、日付合わせ(カレンダー調整)を行えるようになっている。
また、一方の回転伝達部11は、竜頭2をさらにもう1段引き出したとき、即ち、通常位置から2段引き出したときに、図2に示すつづみ車3の角孔4に係合して巻真軸10の回転力を伝達することが可能とされている。この際、つづみ車3は図示しない歯車に噛合した状態となる。よって、竜頭2を2段引き出した状態で回転させることで、時刻合わせを行えるようになっている。
なお、竜頭2を通常位置から2段引き出した場合、他方の回転伝達部12は日修正車の角孔を通過するように移動するようになっている。つまり、他方の回転伝達部12は、竜頭2の引き出し操作に応じて、日修正車の表側(矢印M1方向)から角孔に入り込んだり、日修正車の裏側(矢印M2方向)から角孔に入り込んだりするようになっている。
これに対して、一方の回転伝達部11は、竜頭2を通常位置から2段引き出したときにだけつづみ車3に係合するので、該つづみ車3の表側(矢印M1方向)からのみ角孔4に入り込むようになっている。
ここで、回転伝達部11、12について詳細に説明する。なお、2つの回転伝達部11、12は、サイズが若干異なるだけで同じ構成である。従って、以下一方の回転伝達部11について説明し、他方の回転伝達部12については説明を省略する。
本実施形態の回転伝達部11は、図3に示すように、巻真軸10の軸線Lを中心とする周方向に等間隔を開けながら巻真軸10の径方向外側に突出するように形成され、つづみ車3の角孔4の4つの突起部4aに係合する4つの角部15と、周方向に隣接する角部15の間にて巻真軸10の径方向内側に断面円弧状に凹み形成された凹部16と、で構成されている。なお、図3は、図2に示す矢印A−A線に沿った一部断面図である。
4つの角部15は、プレス成形時、凹部16が形成される際に塑性流動してきた十分な量の素材の塑性変形によって高い形状精度で形成されている。よって、角孔4の突起部4aに対して確実に係合するようになっている。これにより、回転伝達部11が、角孔4内で空回りするようなことがなく、確実につづみ車3に回転力を伝達することが可能とされている。
ところで、回転伝達部11の側面(巻真軸10の基端側及び先端側に向いた面)17は、いずれも傾斜面とされている。従って、巻真軸10の軸線L方向への移動に伴って回転伝達部11がつづみ車3の角孔4に入り込む際に、引っ掛かりなくスムーズに案内されるようになっている。
特に、巻真軸10の先端側に位置する回転伝達部11は、上述したようにつづみ車3の表側から角孔4に入り込む場合があるが、この場合引っ掛かりなくスムーズに角孔4内に入り込むように設計されている。
また、他方の回転伝達部12の場合には、日修正車の表側からだけでなく裏側から角孔に入り込む場合があるが、いずれの場合であっても引っ掛かりなくスムーズに角孔内に入り込むように設計されている。
なお、本実施形態の巻真軸10には、2つの回転伝達部11、12以外に、巻真軸10の径方向外側に向けて断面円形状に膨らんだ複数の鍔部20が軸線L方向に間隔を開けて形成されている。これら鍔部20は、例えば、巻真軸10の移動の際におしどり等の他部品を作動させるために用いられる作動突起等として機能するものである。
次に、上述したように構成された巻真1の製造方法について説明する。
はじめに、円柱状の素材を旋盤加工や転造加工等によって加工し、図4に示すように、後に回転伝達部11、12となる断面円形状の基礎部21、22が一体的に設けられた巻真軸10を形成する。
この際、回転伝達部11、12のサイズに合わせて、巻真軸10の先端側に位置する一方の基礎部21の方が、他方の基礎部22よりも外径が小さくなるように形成する。また、基礎部21、22をそれぞれ形成する際、側面17が共に傾斜面となるように形成する。更に、基礎部21、22の形成と同時に複数の鍔部20を形成しておく。
そして、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、図5に示すプレス成形用の2つの加圧工具30、31をそれぞれ4つずつ用意する。一方の加圧工具30は、一方の基礎部21をプレス成形する際に使用するものであり、他方の加圧工具31は、他方の基礎部22をプレス成形する際に使用するものである。これら2つの加圧工具30、31は、サイズが異なるだけで共に同じように構成されている。
つまり、本実施形態で使用する加圧工具30、31は、基礎部21、22に押し付ける先端部35が、平坦な加圧面36と、膨出部37とで構成されている。膨出部37は、軸線Lに沿って延在し、且つ、基礎部21、22に向けて断面円弧状に膨出した状態で、軸線Lを中心とする周方向における加圧面36の中央部に形成されており、加圧面36よりも先に基礎部21、22に押し当たるようになっている。
上記のように構成された2つの加圧工具30、31を用意した後、図6及び図7に示すように、これら加圧工具30、31を基礎部21、22の周囲を囲むように軸線Lを中心とする周方向に沿って加圧工具30、31をそれぞれセットするセット工程を行う。具体的には、一方の基礎部21の周囲を囲むように加圧工具30を軸線L回りに90度毎、4つセットすると共に、他方の基礎部22の周囲を囲むように加圧工具31を軸線L回りに90度毎、4つセットする。
なお、図6は、基礎部21の周囲に加圧工具30をセットした状態の断面図である。図7は、図6に示す矢印B方向から見た側面図である。
次いで、巻真軸10の基端側を保持して該巻真軸10の姿勢を安定化させた後、図8に示すように、4つの加圧工具30を利用して一方の基礎部21を径方向外側から囲むようにプレス成形すると共に、4つの加圧工具31を利用して他方の基礎部22を径方向外側から囲むようにプレス成形するプレス工程を行う。この際、一方の基礎部21のプレスと、他方の基礎部22のプレスとを同時に行っても構わないし、別々のタイミングで行っても構わない。
いずれにしても、この工程により、断面円形状の基礎部21、22を塑性変形させて、4つの角部15及び凹部16で構成される断面角形状の回転伝達部11、12に形成することができる。
特に、プレス工程で使用する加圧工具30、31は、その先端部35が単に平坦な加圧面36だけでなく、この加圧面36の中央部に形成された膨出部37を有している。よって、プレス成形の初期段階では、加圧面36よりも先に膨出部37が基礎部21、22に押し当たる。そして、プレス成形が進行するにつれて、膨出部37によってプレスされた素材が膨出部37に沿って塑性流動しはじめ、徐々に変形する。そして、膨出部37に沿って塑性流動した素材は、さらなるプレスによって加圧面36に達すると共に、膨出部37から離れるように加圧面36に沿って塑性流動する。
加圧面36に沿って塑性流動した素材は、隣接する加圧工具30、31の加圧面36で流動が規制されると同時に、2つの加圧面36で形成される空間形状に倣って塑性変形する。従って、この2つの加圧面36によって塑性変形した部分が4つの角部15として機能する。一方、膨出部37が押し当たった部分が、断面円弧状に凹んだ凹部16となる。
このように、膨出部37を有する加圧工具30、31でプレス成形することにより、断面円形状の基礎部21、22を、4つの角部15及び凹部16で構成される断面角形状の回転伝達部11、12とすることができる。
特に、膨出部37によって素材を角部15となる領域(2つの加圧面36で囲まれる領域)に積極的に塑性流動させることができるので、十分な量の素材で角部15を作製することができ、従来のように充填不足形状を引き起こすことなく、高い形状精度の角部15とすることができる。従って、つづみ車3の角孔4の突起部4aに角部15を確実に係合させることができ、つづみ車3に効率良く回転力を伝えることができる。その結果、つづみ車3の回転不良等を引き起こし難くすることができる。
しかも、本実施形態では、膨出部37が断面円弧状の加圧工具30、31を用いるので、プレス成形の初期段階でこの膨出部37が基礎部21、22に押し当たった際、線当たり(線接触)となる。従って、その線当たりの部分を中心として、素材の塑性流動がはじまるので良好な流動性を期待することができる。そのため、より効率良く角部15となる領域に素材を塑性流動させることができ、角部15の形状精度をさらに高めることができる。
上述したように本実施形態による製造方法によれば、回転伝達部11、12の角部15を角孔4の突起部4aに確実に係合させることができ、つづみ車3に効率良く回転力を伝えることができる巻真1を、プレス成形という簡単方法で時間をかけずに製造することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、2つの回転伝達部11、12を利用して時刻合わせ及び日付合わせを行う場合を例に挙げて説明したが、この場合に場合されるものではなく、他の機能の修正等を行っても構わない。また、回転伝達部を1つだけ作製し、時刻合わせだけを行っても構わない。
また、上記実施形態では、4つの角部15及び凹部16を有する回転伝達部11、12を例に挙げて説明したが、この場合に限られず、角部15及び凹部16がそれぞれ3つや6つ形成された回転伝達部としても構わない。いずれにしても、複数の角部15及び凹部16により、断面角形状に形成されていれば構わない。
また、上記実施形態では、断面円弧状の膨出部37を有する加圧工具30、31を利用した場合を例に挙げて説明したが、この形状に限定されるものではなく、加圧面36から膨出していれば構わない。
例えば、図9に示すように、断面三角形状に膨出した膨出部42を有する加圧工具40、41を利用してプレス成形しても構わない。この場合には、図10及び図11に示すように、断面三角形状に凹んだ凹部43を有する回転伝達部11、12とすることができる。この場合の加圧工具40、41であっても、上記加圧工具30、31と同様の作用効果を奏することができ、高い形状精度で角部15を作製することができる。
しかも、この場合には膨出部42の形状を断面三角状という単純な形状にできるので、加圧工具40、41自身の製作が容易であり、製作コストを抑えることができる利点がある。
更には、図12に示すように、断面台形状に膨出した膨出部52を有する加圧工具50、51を利用してプレス成形しても構わない。この場合には、図13及び図14に示すように、断面台形状に凹んだ凹部53を有する回転伝達部11、12とすることができる。
この場合の加圧工具50、51は、膨出部52が断面台形状であるので、プレス成形の初期段階で膨出部52が基礎部21、22に押し当たった際に、面当たり(面接触)となる。従って、プレス成形中、巻真軸10の姿勢を安定化させることができる。特に、プレス成形の初期段階では、巻真軸10の姿勢が不安定になり易いが、この加圧工具50、51の場合には初期段階から膨出部52が面当たりするので、巻真軸10の姿勢が安定する。従って、安定したプレス成形を行うことができ、角部15の形状精度を高めることができる。
しかも、この場合には膨出部52の頂面を研磨加工する等して、頂面の微小な幅寸法調整を容易に行い易い。従って、プレス成形時の素材の流れを微調整し易く、角部15の形状精度のさらなる向上化に繋げることができる。
上述したように、膨出部の形状は自由に設計して良く、上述した以外にも根元側が台形で先端側が円弧状に膨出するといった複合形状でも構わない。
L…軸線
1…巻真
2…竜頭
3…つづみ車
4…角孔
4a…突起部
10…巻真軸
11、12…回転伝達部
15…角部
16、43、53…凹部
21、22…基礎部
30、31、40、41、50、51…加圧工具
35…加圧工具の先端部
36…加圧面
37、42、53…膨出部

Claims (5)

  1. 竜頭の回転操作に伴って回転し、その回転力をつづみ車に伝える巻真であって、
    軸線に沿って延在する巻真軸と、該巻真軸に一体的に設けられ、前記つづみ車の角孔に係合する断面角形状の回転伝達部と、を備え、
    前記回転伝達部は、プレス成形によって断面角形状に形成され、
    前記軸線を中心とする周方向に等間隔を開けながら巻真軸の径方向外側に突出するように形成され、前記角孔の突起部に係合する角部と、
    周方向に隣接する前記角部の間にて前記巻真軸の径方向内側に凹み形成された凹部と、を備えていることを特徴とする巻真。
  2. 竜頭の回転操作に伴って回転し、その回転力をつづみ車に伝える巻真を製造する方法であって、
    軸線に沿って延在する巻真軸の一部に、該巻真軸の径方向外側に向けて断面円形状に膨らんだ基礎部を形成する形成工程と、
    前記基礎部の周囲を囲むように、前記軸線を中心とする周方向に沿って複数の加圧工具をセットするセット工程と、
    複数の前記加圧工具により前記基礎部を径方向外側からプレス成形して、前記つづみ車の角孔に係合する断面角形状の回転伝達部を形成するプレス工程と、を備え、
    前記加圧工具として、前記基礎部に押し付ける先端部が、平坦な加圧面と、前記軸線に沿って延在し、且つ、前記基礎部に向けて膨出した状態で前記軸線を中心とする周方向における前記加圧面の中央部に形成され、前記加圧面よりも先に前記基礎部に押し当たる膨出部と、を有する加圧工具を用いることを特徴とする巻真の製造方法。
  3. 請求項2に記載の巻真の製造方法において、
    前記加圧工具として、前記膨出部が断面円弧状に形成されている加圧工具を用いること
    を特徴とする巻真の製造方法。
  4. 請求項2に記載の巻真の製造方法において、
    前記加圧工具として、前記膨出部が断面三角状に形成されている加圧工具を用いることを特徴とする巻真の製造方法。
  5. 請求項2に記載の巻真の製造方法において、
    前記加圧工具として、前記膨出部が断面台形状に形成されている加圧工具を用いることを特徴とする巻真の製造方法。
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