JP2009210086A - スプライン結合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】環状部材及び軸部材の歯面同士の広い範囲にわたり塑性変形が必要とされる構造に対しても、両部材間の軸心の一致及び周方向位相の調整を高精度に行うことができ、かつ長尺のガイド部が不要なスプライン結合体を提供する。
【解決手段】内スプライン歯3を有する環状部材2と、外スプライン歯6を有しかつ歯高HGが徐々に増加するとともに外スプライン歯6に同一ピッチで連係するガイド歯7を有する軸部材5とからなり、環状部材2を軸部材5に挿入し、塑性変形させながら内スプライン歯3と外スプライン歯6とを噛合させるスプライン結合体1であって、環状部材2の内スプライン歯3の歯底寄りの歯厚T1は軸部材の外スプライン歯6の歯先寄りの歯溝幅G1よりも大とされ、かつ内スプライン歯3の両歯面の歯先寄りの部分が一部欠如した面取り部34となり、両面取り部34を結ぶ歯厚T2は外スプライン歯6の歯底寄りの歯溝幅G2よりも小とされている。
【選択図】図2

Description

本発明は車両用動力伝達装置の回転軸などに用いられるスプライン結合体に関し、より詳細には、環状部材を軸部材に組み付ける際に両部材の相対位置関係を矯正及び維持するガイド部に関する。
車両用の変速機やトランスファ装置に用いられる回転軸には、通常ギヤやハブなどが一体的に形成されている。ギヤやハブなどの環状部材は、まず別体として製作され、次に軸部材に組み付けられて一体的に結合される。この種の結合体の代表的なものがスプライン結合体である。スプライン結合体では、軸部材の外周に外スプライン歯が形成され、環状部材の内周に内スプライン歯が形成されて、環状部材が軸部材の一軸端側から挿入され、内外の両スプライン歯が噛合して一体化される。両スプライン歯は、部材寸法上オーバーラップするように形成され、組み付け時に塑性変形が生じることで強固に一体化される構造が一般的である。両部材の材質や、オーバーラップする部位及び寸法は、必要とされる強度などに応じて適宜設計されている。環状部材の内スプライン歯の歯底面及び軸部材の外スプライン歯の歯先面の少なくとも一方が塑性変形することにより径方向の強度が確保され、両方の歯面同士が塑性変形することにより周方向の強度が確保される場合が多い。
このスプライン結合体では、環状部材を軸部材に組み付ける際に両部材の軸心一致させて平行状態としかつ周方向の位相を揃える目的で、一方または両部材の端部にガイド部を設けることがある。ガイド部が適切な構造でないと、内外スプライン歯同士のすわりが安定せず、環状部材が軸部材に対し傾斜して挿入され、あるいは位相がずれた状態で挿入されて、かじりやバリなどが発生し、結合体としての性能に問題が生じるおそれがある。また、部材の破損や作業のやり直しなど、組み付け性が低下する。
このガイド部の構造に関する技術の例が特許文献1及び特許文献2に開示されている。特許文献1のスプラインフィッティングでは、軸の雄スプラインの山部端部の面取部に凹部が形成されるとともに凹部の両側に余肉部が形成され、嵌合する雌スプラインの端部には雄スプラインに合致する面取部が形成されている。そして、軸方向だけでなく周方向にも位置決めしやすく、迅速かつ確実に組み付けが行えるようになっている。また、特許文献2のスプライン結合構造では、雄部材の外周及び雌部材の内周にそれぞれ設けられるスプライン歯の少なくとも一方の端面に、滑らかな第1〜第3ガイド面が設けられている。そして、圧入結合時にかじりが生じること回避して、不具合の発生が防止されるようになっている。
実開平5−57449号公報 特開平7−83242号公報
ところで、特許文献1及び特許文献2では、面取部あるいは滑らかなガイド面により、環状部材と軸部材との相対的な姿勢が矯正されて、周方向の位相が揃えられ、また軸心が一致するように傾斜が規制される。しかしながら、両部材が当接したとき、回転位相及び軸心を瞬間的に矯正する必要があるため、必ずしも十分な精度での組み付けを行えるとは限らなかった。特に、当接した瞬間から圧接による塑性変形が開始される場合には、ただちに部材同士が噛み合うためやり直すことができず、瞬間的な矯正には限界があった。
また、軸部材に長尺のガイド部を設け、環状部材がガイド部を通る過程において徐々に両部材のクリヤランスを狭めるようにすることができるが、軸部材の軸方向長が増加するという難点があった。
さらには、周方向に大きな強度を確保する必要のある結合体では、両部材の対向する歯面同士の広い範囲にわたり塑性変形が必要となるため、適切なガイド部を形成することが難しく、相対位置関係の矯正及び維持が難しいという問題点は解決されていなかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、環状部材及び軸部材の歯面同士の広い範囲にわたり塑性変形が必要とされる構造に対しても、両部材間の軸心の一致及び周方向位相の調整を高精度に行うことができ、かつ長尺のガイド部が不要なスプライン結合体を提供する。
本発明のスプライン結合体は、内周に内スプライン歯を有する環状部材と、外周に外スプライン歯を有しかつ一軸端側から歯高が徐々に増加するとともに該外スプライン歯に同一ピッチで連係するガイド歯を有する軸部材とからなり、該環状部材を該軸部材の該一軸端から該ガイド歯を経由して挿入し、該内スプライン歯及び該外スプライン歯の少なくとも一方を塑性変形させながら、該内スプライン歯と該外スプライン歯とを噛合させるスプライン結合体であって、前記環状部材の前記内スプライン歯の歯底寄りの歯厚は前記軸部材の前記外スプライン歯の歯先寄りの歯溝幅よりも大とされ、かつ該内スプライン歯の両歯面の歯先寄りの部分が一部欠如した面取り部となり、両該面取り部を結ぶ歯厚は該外スプライン歯の歯底寄りの歯溝幅よりも小とされていることを特徴とする。
さらに、前記環状部材の前記内スプライン歯の歯底寄りの歯面及び前記軸部材の前記外スプライン歯の歯先寄りの歯面の少なくとも一方が塑性変形し、該内スプライン歯の歯先寄りの前記面取り部及び該外スプライン歯の歯底寄りの歯面は塑性変形しない、ことが好ましい。
本発明は、内スプライン歯を有する環状部材と外スプライン歯及びガイド歯を有する軸部材とを、歯面同士で塑性変形させながら噛合させて結合するスプライン結合体において、環状部材の内スプライン歯の歯面の歯先寄りに面取り部を設けて、組み付け時のガイド機能を向上したことを主旨としている。
環状部材は、例えば変速ギヤやハブとなる部材であって、内周に内スプライン歯を形成することができる。内スプライン歯の断面形状は、例えば台形とすることができ、これに限定されない。
軸部材は、例えば変速機やトランスファ装置の動力伝達軸となる部材であって、外周に外スプライン歯を形成することができる。外スプライン歯の断面形状は、例えば滑らかなインボリュート曲線形とすることができ、これに限定されない。軸部材にはさらにガイド歯を形成して、環状部材を組み付ける際に部材間の位置関係を規制しかつ挿入を容易にするためのガイド部とすることができる。ガイド歯は、一軸端側から歯高が徐々に増加するテーパ形状とし、かつ外スプライン歯に同一ピッチで連係している。つまり、ガイド歯は、外スプライン歯と同じ歯底面半径を有し、一軸端側で歯底面半径に等しかった歯先円半径が徐々に増加しながら外スプライン歯と同じ波先面半径にまで増加して、外スプライン歯に連続している。逆に言えば、軸方向に延びた外スプライン歯の一軸端側がテーパ状に欠如した部分をガイド歯と呼ぶことができる。
本発明では、環状部材の内スプライン歯の歯厚を、軸部材の外スプライン歯の歯溝幅よりも大とする。つまり、内スプライン歯及び外スプライン歯の歯面が寸法上オーバーラップするようにしておく。そしてさらに、内スプライン歯の両歯面の歯先寄りの部分が一部欠如した面取り部を設ける。面取り部は、例えば環状部材を製作した後に面取り加工を行って形成することができる。あるいは、鍛造や転造、鋳造など環状部材を製作するプロセスで造り込むこともできる。面取り部により、内スプライン歯の歯面の歯先寄りの部分が一部欠如して、両面取り部を結ぶ歯厚を外スプライン歯の歯底寄りの歯溝幅よりも小とすることができる。つまり、内外スプライン歯の寸法上のオーバーラップを部分的に解消することができる。
上述の環状部材を軸部材に挿入すると、寸法上のオーバーラップが解消された内スプライン歯の歯先寄りの部分は対向する外スプライン歯に圧接されず、したがって塑性変形しない。一方、内スプライン歯の歯底寄りの部分は、寸法上のオーバーラップにより対向する外スプライン歯に圧接されて、少なくとも一方が塑性変形する。つまり、内スプライン歯の歯面の途中から歯底にかけて、圧接及び塑性変形が行われる。この圧接及び塑性変形が始まる圧接開始点の半径を、圧接開始半径と呼ぶこととする。圧接開始半径は、内スプライン歯の歯先円半径よりも大で歯底円半径よりも小となり、かつ外スプライン歯の歯底円半径よりも大で歯先円半径よりも小となる。
次に、上述の環状部材を軸部材に組み付けるときの作用について説明する。環状部材を軸部材の一軸端から挿入すると、環状部材はまず軸部材の棒状部分を通り、次にガイド歯にさしかかる。ガイド歯の一軸端側の歯高が小さい部分の歯先円半径は、環状部材の内スプライン歯の歯先円半径よりも小さく、両部材の間には径方向クリヤランスがある。したがって、環状部材と軸部材との周方向位相差に関係なく挿入は行われる。ここで、挿入が進むと、ガイド歯の歯先円半径が内スプライン歯の歯先円半径に一致する当接開始点に達する。環状部材を当接開始点まで挿入する過程において、ガイド歯のテーパ形状により径方向クリヤランスは徐々に減少する。これにより、ガイド部としての機能が発揮されて、両部材の軸心を徐々に一致させ平行を維持することができる。
環状部材が当接開始点を通過した以降は、両部材の内外スプライン歯が周方向に嵌合して、周方向位相が規制されるようになる。このとき、内スプライン歯の歯先寄りの面取り部の歯幅はガイド歯の歯溝幅よりも小さく、周方向クリヤランスを有する。ここで、環状部材の挿入がさらに進むと、ガイド歯の歯先円半径が圧接開始半径に一致する圧接開始点に達する。環状部材を圧接開始点まで挿入する過程において、面取り部がガイド部の役割を果たして、周方向クリヤランスは徐々に減少する。圧接開始点では、内スプライン歯の歯幅がガイド歯の歯溝幅に一致して周方向クリヤランスがなくなり、以降は寸法上のオーバーラップが生じる。周方向クリヤランスが徐々に減少する過程で、両部材の位相が徐々に揃えられるので、正しい位置関係で圧接及び塑性変形を始めることができる。なお、当接開始点から圧接開始点までの間では、周方向の位相を揃えることに並行して、径方向の平行の矯正及び維持も継続して行われる。
環状部材が圧接開始点を通過した以降は、ガイド歯の歯高が増加するのに伴って塑性変形の範囲が拡がりながら、外スプライン歯にまで到達する。そして、環状部材の内スプライン歯と軸部材の外スプライン歯とは、面取り部を除いた歯面同士が圧接されて、少なくとも一方が塑性変形して結合され、組み付けが終了する。本発明によれば、面取り部を除いた歯面の広い範囲を塑性変形させることができるので、周方向のトルク伝達に対して強固なスプライン結合体を実現することができる。
次に、本発明の応用態様について説明する。前記軸部材の前記外スプライン歯及び前記ガイド歯の歯底円半径は、該軸部材の半径よりも大きい、ことでもよい。
軸部材の太さに対し、外スプライン歯及びガイド歯の歯底を太めに形成してもよい。この態様によれば、軸部材の一軸端側の歯が形成されていない細径部分は環状部材を容易に通すとともに、環状部材を平行状態に近付けて規制し、円滑にガイド歯に向かわせることができる。つまり、軸部材の一軸端側の細径部分は予備的なガイド部の作用を果たすことができる。
さらに、前記環状部材の前記内スプライン歯の歯底面及び、前記軸部材の前記外スプライン歯の歯先面の少なくとも一方が塑性変形する、ことでもよい。
歯面同士の塑性変形に加えて、内スプライン歯の歯底面及び外スプライン歯の歯先面で径方向に塑性変形するようにしてもよい。この態様では、周方向と径方向で塑性変形が行われるため、両部材の結合強度を極めて大きくすることができる。
本発明のスプライン結合体では、環状部材の内スプライン歯の歯先寄りに面取り部を設けて軸部材のガイド歯と組み合わせることにより、ガイド部としての機能を発揮させ、環状部材を挿入して組み付けるときに両部材間の径方向クリヤランス及び周方向クリヤランスが徐々に減少するようにした。したがって、クリヤランスが減少する過程で、高精度に両部材の軸心を一致させて平行に矯正、維持し、かつ周方向位相を調整することができる。さらには、面取り部を除いた歯面の広い範囲を塑性変形させたことにより周方向に強固なスプライン結合体とすることができる。また、長尺のガイド部を必要とせず、軸部材の短縮化に貢献することができる。
軸部材の外スプライン歯及びガイド歯の歯底円半径を軸部材の半径よりも大きくした態様では、軸部材の一軸端側の細径部分で予備的なガイド部の作用を果たすことができる。
歯面同士の塑性変形に加えて、内スプライン歯の歯底面及び外スプライン歯の歯先面で径方向に塑性変形するようにした態様では、周方向及び径方向の塑性変形により結合強度を極めて大きくしたスプライン結合体とすることができる。
本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図5を参考にして説明する。図1は、一般的なスプライン結合体の一例であるギヤ結合体を説明する図であり、(1)は部材単品断面図、(2)は結合状態断面図である。ギヤ結合体9は略軸対称であり、組み付け時に軸心AXを共有するギヤ部材91と回転軸95とにより構成されている。ギヤ部材91は、その外周に他のギヤに噛合して動力を伝達する歯92を有するとともに、その内周には内スプライン歯93を有している。回転軸95は軸半径R1であり、図中左側の一軸端96から右方向に入ったところから拡径されて拡大半径R2の拡径部97が形成されている。拡径部97の外周には外スプライン歯98が形成されている。そして、ギヤ部材91を回転軸95の一軸端96側から挿入することにより、内スプライン歯93と外スプライン歯98とを噛合させてギヤ結合体9を形成するようになっている。内スプライン歯93と外スプライン歯98とは一部寸法がオーバーラップしており、噛合に際して少なくとも一方が塑性変形して所定の結合強度が実現されるようになっている。
ギヤ部材91を回転軸95に挿入する組み付け工程において、両部材91、95の軸心AXを常に一致させ、さらには両部材91、95の周方向の位相を揃えることが重要である。軸心AXにずれを生じた状態や位相が揃っていない状態で無理に挿入を行うと、内外スプライン歯93、98にかじりなどの損傷が生じるおそれがある。このため、回転軸95の一軸端96からギヤ部材91を挿入する過程で軸心AXを共有できるように、拡径部97には十分な軸方向長LGが確保されてガイド部の機能を果たすようになっている。また、外スプライン歯98の図中左側の面取り端99により、両部材91、95の位相が揃うようになっている。
上述のようなスプライン結合体において、周方向に大きなトルクを伝達するために、環状部材及び軸部材の歯面同士の広い範囲にわたり塑性変形が必要とされる構造に対し、本発を実施することができる。図2は、本発明の実施例のスプライン結合体1を説明する図であり、(1)は結合体1の軸直交断面図、(2)は組み付け開始時の環状部材2及び軸部材5の軸方向断面図である。実施例のスプライン結合体1は略軸対称であり、環状部材2と軸部材5とが結合されて形成されている。図2(1)では、環状部材2の内スプライン歯3の歯溝の一箇所に軸部材5の外スプライン歯6の一歯が噛合した状態が拡大して示されている。また、(2)では、軸部材5の軸端51側から環状部材2を挿入し始めた状態が示されている。
環状部材2は、図2(1)に示されるように、その内周に内向する内スプライン歯3を有している。内スプライン歯3の形状は周方向左右に対称で軸方向に歯幅を有し、平らな波底面31と、波底面31の端からほぼ軸心方向に向かう歯底寄り歯面32と、歯底寄り歯面32の端から歯厚が減少する方向に傾斜する傾斜歯面33と、傾斜歯面33の歯先寄りの部分が一部欠如した面取り部34と、左右両側の面取り部34を周方向に結ぶ歯先面35と、で形成されている。内スプライン歯3の形状を代表して示すピッチ円半径RPは、波底面31の波底円半径R1と波先面35の波先円半径R2との中間的な大きさとなっている。面取り部34は、ピッチ円半径RPよりも小径の歯先寄りに形成されている。
一方、軸部材5は、図2(1)に示されるように、その外周に外向する外スプライン歯6を有している。外スプライン歯6の形状は周方向左右に対称で軸方向に歯幅を有し、平らな波先面61と、波先面61の端から歯厚が減少する方向に傾斜するスプライン曲線状の傾斜歯面62と、傾斜歯面63の歯底寄りの部分を周方向に結ぶ歯底面63と、で形成されている。また、図2(2)に示されるように、軸部材5は、軸端51と外スプライン歯6との間にガイド歯7を有している。詳述すると、軸部材は軸端51において半径RAであり、軸端51から図中右方にわずかに入った箇所から拡径されてガイド歯7が形成されている。ガイド歯7の歯底面半径は、外スプライン歯6の波底面半径R4と同一でありピッチも外スプライン歯6と同一とされ、波高HG及び歯先円半径RGが図中右方の軸方向に進むにつれて徐々に増加している。つまり、ガイド歯7の歯先面71は、図中右側が大径となるように傾斜して、外スプライン歯6の歯先面61に連係している。
また、軸部材5の外スプライン歯6の波先面61の波先円半径R3は、環状部材2の内スプライン歯3の波底円半径R1よりもわずかに大とされており、図中にハッチングで示される部分が寸法上オーバーラップしている。このオーバーラップ分だけ塑性変形が生じて、径方向の強度が確保されるようになっている。なお、外スプライン歯6(及びガイド歯7)の波底面63の波底円半径R4は、内スプライン歯3の波先円半径R3よりもわずかに小とされて、塑性変形が生じないようになっている。
さらに、環状部材2の内スプライン歯3の歯底寄り歯面32における歯厚T1は、対向する軸部材5の外スプライン歯6の傾斜歯面62の大部分でその歯溝幅G1よりも大とされて、図中にハッチングで示される部分が寸法上オーバーラップしている。内スプライン歯の歯先寄りの面取り部34における歯厚T2は、対向する外スプライン歯6の傾斜歯面62の歯底寄りの歯溝幅G2よりも小とされてクリヤランスを有し、塑性変形が生じないようになっている。
図2(2)に示されるように、環状部材2の内スプライン歯3の歯先面35は、軸方向に挿入されたときに、ガイド歯7の傾斜した歯先面71の途中に当接するようになっている。この当接ポイントが後述する当接点JTである。また、(1)に示されるように、内スプライン歯3の面取り部34の歯面は、その途中で外スプライン歯6の傾斜歯面62と交叉するようになっている。この交叉ポイントが後述する圧接開始点JBであり、圧接開始点JBの半径が圧接開始半径RJである。つまり、圧接開始半径RJよりも大径側で塑性変形が生じ、圧接開始半径RJよりも小径側では塑性変形が生じないようになっている。
次に、上述のように形成された環状部材2及び軸部材5の組み付けプロセス及び作用について、図2及び図3〜5を参考にして説明する。図3は環状部材2が当接点JTまで挿入されたときに図2(2)のA方向からみた断面図、図4は環状部材2が圧接開始点JBまで挿入されたときに図2(2)のB方向からみた断面図、図5は環状部材2がガイド歯7の奥まで挿入されて塑性変形しているときに図2(2)のC方向からみた断面図、である。
まず、図2(2)に示されるように、環状部材2を軸部材5の軸端51側から挿入すると、軸部材5の半径RAの領域では、両部材2、5の間に径方向クリヤランスC1(=R2−RA)がある。したがって、両部材2、5は互いに相対変位可能であり、軸心の傾き及び周方向の位相ずれが起きることもある。さらに挿入を進めると、環状部材2はガイド歯7にさしかかる。ガイド歯7の図中右側の挿入側に近い部分では、径方向クリヤランスC1(=R2−RG)が徐々に減少し、環状部材2の内スプライン歯3の波先円半径R2とガイド歯7の歯先円半径RGとが一致する当接点JTに達して、図3の状態になる。この径方向クリヤランスC1が減少する過程において、両部材2、5の軸心が傾いていれば部材間に接触が生じて、徐々に軸心が矯正されて揃ってゆく。
図3に示される当接点JTの状態では、環状部材2の内スプライン歯3の波先面35と軸部材5のガイド歯7の歯先面71とが同径となり、径方向クリヤランスC1がなくなる。したがって、以降は歯同士が噛合して、周方向の位相が規制されるようになる。本実施例では、ガイド歯7は外スプライン歯6と連係して同ピッチとされており、ガイド歯7の歯底寄りの歯溝幅は外スプライン歯6の歯溝幅G2と同一であるため、内スプライン歯3の波先寄りの面取り部34における歯厚T2と、対向するガイド歯7の歯溝幅G2との間には、周方向クリヤランスC2がある。したがって、両部材2、5は、周方向クリヤランスC2分だけ相対回転可能に規制される。
さらに挿入を進めると、ガイド歯7の歯先円半径RG増加して、周方向クリヤランスC2が減少する。そして、環状部材2の内スプライン歯3の歯厚T2と、ガイド歯7の歯溝幅G2とが一致する圧接開始点JBに達して、図4の状態になる。図4に示される圧接開始点JBの状態では、内スプライン歯3の歯厚T2とガイド歯7の歯溝幅G2とが同寸となり、周方向クリヤランスC2がなくなる。したがって、以降は歯同士が圧接されて塑性変形するようになる。
環状部材2が図3の当接点JTから図4の圧接開始点JBまで挿入される間に、周方向クリヤランスC2は徐々に減少する。この周方向クリヤランスC2が減少する過程において、両部材2、5の周方向の位相がずれていれば部材間に接触が生じて相対回転し、徐々に位相が矯正されて揃ってゆく。また、当接点JTでわずかな軸心のずれが残っていても、圧接開始点JTに到達するまでに矯正される。したがって、圧接開始点JBでは、環状部材2と軸部材5の軸心は一致するとともに位相も揃い、良好な位置関係で圧接及び塑性変形が開始される。
さらに挿入を進めると、ガイド歯7の歯先円半径RG増加して、図5に示されるように塑性変形の範囲が拡がる。図5において、塑性変形は、内スプライン歯3の傾斜歯面33の面取り部34を除くほぼ全域で生じるようになる。最終的に、環状部材2を外スプライン歯6まで挿入すると、図2(1)の結合体1完成状態となる。完成状態では、歯面33、62同士だけでなく、歯底面31と歯先面61との間でも塑性変形が生じて、周方向にも径方向にも強固な結合体となっている。
本実施例のスプライン結合体1では、環状部材2の内スプライン歯3の歯先寄りに面取り部34を設け、軸部材5のガイド歯7と組み合わせることでガイド部の機能をもたせ、組み付け時に径方向クリヤランスC1及び周方向クリヤランスG2が徐々に減少するようにした。したがって、両部材2、5間の軸心の一致及び回転位相の調整とを高精度に行うことができる。さらに、本実施例は、図1のギヤ結合体9における拡径部97を必要とせず、軸部材5の軸方向長を短縮することができる。
一般的なスプライン結合体の一例であるギヤ結合体を説明する図であり、(1)は部材単品断面図、(2)は結合状態断面図である。 本発明の実施例のスプライン結合体を説明する図であり、(1)は結合体の軸直交断面図、(2)は組み付け開始時の環状部材及び軸部材の軸方向断面図である。 環状部材が当接点まで挿入されたときに図2(2)のA方向からみた断面図である。 環状部材が圧接開始点まで挿入されたときに図2(2)のB方向からみた断面図である。 環状部材がガイド歯の奥まで挿入されて塑性変形しているときに図2(2)のC方向からみた断面図である。
符号の説明
1:スプライン結合体
2:軸部材
3:内スプライン歯
31:歯底面 32:歯底寄り歯面 33:傾斜歯面
34:面取り部 35:歯先面
5:軸部材
6:外スプライン歯
61:波先面 62:傾斜歯面 63:歯底面
7:ガイド歯 71:歯先面
9:ギヤ結合体(一般的なスプライン結合体)
91:ギヤ部材(環状部材) 93:内スプライン歯
95:回転軸(軸部材) 97:拡径部
98:外スプライン歯
R1:環状部材の内スプライン歯の波底円半径
R2:環状部材の内スプライン歯の波先円半径
R3:軸部材の外スプライン歯の波先円半径
R4:軸部材の外スプライン歯の波底円半径
RP:ピッチ円半径
RB:圧接開始半径
JT:当接点 JB:圧接開始点
HG:ガイド歯の歯高
RG:ガイド歯の波先円半径
C1:径方向クリヤランス C2:周方向クリヤランス

Claims (4)

  1. 内周に内スプライン歯を有する環状部材と、外周に外スプライン歯を有しかつ一軸端側から歯高が徐々に増加するとともに該外スプライン歯に同一ピッチで連係するガイド歯を有する軸部材とからなり、該環状部材を該軸部材の該一軸端から該ガイド歯を経由して挿入し、該内スプライン歯及び該外スプライン歯の少なくとも一方を塑性変形させながら、該内スプライン歯と該外スプライン歯とを噛合させるスプライン結合体であって、
    前記環状部材の前記内スプライン歯の歯底寄りの歯厚は前記軸部材の前記外スプライン歯の歯先寄りの歯溝幅よりも大とされ、かつ該内スプライン歯の両歯面の歯先寄りの部分が一部欠如した面取り部となり、両該面取り部を結ぶ歯厚は該外スプライン歯の歯底寄りの歯溝幅よりも小とされていることを特徴とするスプライン結合体。
  2. 前記環状部材の前記内スプライン歯の歯底寄りの歯面及び前記軸部材の前記外スプライン歯の歯先寄りの歯面の少なくとも一方が塑性変形し、該内スプライン歯の歯先寄りの前記面取り部及び該外スプライン歯の歯底寄りの歯面は塑性変形しない、請求項1に記載のスプライン結合体。
  3. 前記軸部材の前記外スプライン歯及び前記ガイド歯の歯底円半径は、該軸部材の半径よりも大きい請求項1または2のいずれか一項に記載のスプライン結合体。
  4. 前記環状部材の前記内スプライン歯の歯底面及び、前記軸部材の前記外スプライン歯の歯先面の少なくとも一方が塑性変形する請求項1〜3のいずれか一項に記載のスプライン結合体。
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