JP4770110B2 - シザーズギア - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シザーズギアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、回転及びトルクを伝達する要素として歯車(ギア)が用いられている。
【0003】
一般的な歯車は、互いに噛合する歯車の歯面間に隙間(バックラッシュ)があるため、この隙間に起因する歯打音が問題となる。つまり、駆動トルク又は負荷トルク(以下単にトルクという)に変動が生じたときに、バックラッシュにより歯面が分離し、その後、再度歯面が接触するときに歯打音が生じるのである。エンジンのトルク伝達要素として歯車を用いた場合、この歯打音がエンジン騒音となり、品質を悪化させてしまう。
【0004】
そこで、バックラッシュを無くして歯打音を防止した歯車として、シザーズギアが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
シザーズギアの一例を図6及び図7に示す。
【0006】
図に示すように、シザーズギア101は、メインギア1とサブギア2との二つの歯車を有している。これらメインギア1及びサブギア2はそれぞれ、外周部に同形状の歯1a,2aを有しており、互いに同軸且つ相対回転可能に連結される。メインギア1とサブギア2との間には、これら両ギア1,2を周方向(回転方向)に互いに逆方向(相反する方向)に付勢する付勢手段(C字状バネ)3が設けられる。
【0007】
バネ3の一端はメインギア1の側部(連結面)に設けられたメインストッパ5と係合し、他端はサブギア2の側部に設けられたサブストッパ6と係合する。メインギア1は回転軸7(図7参照)に対して相対回転不可に結合され、サブギア2はバネ3によってメインギア1に対して回転方向前方又は後方側に付勢される。
【0008】
メインギア1及びサブギア2の側面(連結面)には、径方向の同位置に同径のピン穴8,9又はねじ穴(以下単にピン穴という)がそれぞれ形成されており、両ギア1,2のピン穴8,9内にピン10又はボルト(以下単にピンという)を挿入することで、メインギア1とサブギア2とを相対回転不可に固定できる。ピン穴8,9は、ピン10によりメインギア1とサブギア2とを固定したときに、それら両ギア1,2の歯1a,2aが同位相となるように配置される。
【0009】
係るシザーズギア101を組み付ける際には、まず、メインギア1及びサブギア2のピン穴8,9内にピン10を挿入して、両ギア1,2の歯1a,2aを同位相で固定する。その状態で、シザーズギア101を所定位置に組み付けて相手側の歯車(図示せず)と噛合させる。その後、ピン10を両ギア1,2のピン穴8,9から引き抜く。すると、バネ3の付勢力によりサブギア2がメインギア1に対して相対回転し、メインギア1と相手側の歯車との間のバックラッシュを吸収する。つまり、相手側の歯車の歯に対して、メインギア1とサブギア2の歯1a,2aが周方向両側から接触・係合することになり、バックラッシュに起因する歯打音を防止できる。
【0010】
【特許文献1】
特許第3273720号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のシザーズギア101では、シザーズギア101を組み付けた後に、ピン10を両ギア1,2のピン穴8,9から抜き取る必要があるため、シザーズギア101の組付位置において、シザーズギア101の側方に所定の引抜スペースを確保することが組み付けの条件となる。つまり、シザーズギア101を組み付けたときに、その側方のスペースがピン10の長さよりも短い(狭い)場合、ピン10を引き抜くことができないので組み付けることができない。このため、従来のシザーズギア101は組み付け可能な箇所に制限があった。
【0012】
例えば、エンジンなどは小型化が進んでいるため、エンジンのトルクをカムシャフト等に伝達する各歯車の側方に大きなスペースが存在しないことが多い。この場合、上記理由からシザーズギアを用いることができないため、通常の歯車を使用せざるを得ず、これがエンジン騒音の発生、品質低下につながっていた。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、組み付け後にピンを抜き取る必要がなく、狭隘なスペースにも組み付け可能なシザーズギアを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、回転軸に結合されるメインギアと、該メインギアと同形状の歯を有し、メインギアに対して同軸且つ相対回転可能に連結されたサブギアと、上記メインギアと上記サブギアとの間に設けられ、上記サブギアと上記メインギアとを、回転方向で相反する方向に付勢する付勢手段と、該付勢手段の一端を上記メインギアの側部に支持するメインストッパと、上記付勢手段の他端を上記サブギアの側部に支持するサブストッパと、上記メインストッパ及びサブストッパとは別の位置に設けられ、上記メインギア及びサブギアのどちらか一方の側部に固定されたピンと、上記メインギア及びサブギアの他方の側部に形成され、上記ピンが挿入されるピン穴とを備え、上記ピン穴の上記メインギア又はサブギアの周方向への長さが、上記ピンよりも長く形成され、上記ピンを上記ピン穴に挿入した状態で、上記ピンの移動により上記メインギアと上記サブギアとが所定の範囲で相対回転でき、上記所定の範囲のうち、相手歯車と完全に噛合した状態から、上記サブギアは上記メインギアに対して上記付勢手段の付勢方向と反対側に回動することができ、相手歯車と完全に噛合した状態のとき、上記サブギアの歯は上記メインギアの歯に対して上記付勢手段の付勢方向にバックラッシュと同じだけずれ、上記ピンが上記ピン穴における上記付勢手段の付勢方向と反対側の縁部まで移動したとき、上記サブギアの歯上記メインギアの歯に対して上記付勢手段の付勢方向と反対側に上記バックラッシュと同じだけずれるものである。
【0015】
ここで、上記メインギア及びサブギアの一方の側部に圧入穴が形成され、上記ピンが上記圧入穴に圧入されて固定されるようにしても良い。
【0016】
また、上記ピン穴及びピンの上記メインギア又はサブギアの周方向への長さは、上記サブギアが上記メインギアに対して上記付勢手段の付勢方向の回動限界に位置したときに、上記メインギアと上記サブギアとの歯先間隔が、それら両ギアと噛合する上記相手歯車の歯先厚以上となるように、設定されるようにしても良い。
【0017】
また本発明は回転軸に結合されるメインギアと、該メインギアと同形状の歯を有し、メインギアに対して同軸且つ相対回転可能に連結されたサブギアと、上記メインギアと上記サブギアとの間に設けられ、上記サブギアと上記メインギアとを、回転方向で相反する方向に付勢する付勢手段と、該付勢手段の一端を上記メインギアの側部に支持するメインストッパと、上記付勢手段の他端を上記サブギアの側部に支持するサブストッパと、上記メインストッパ及びサブストッパとは別の位置に設けられ、上記メインギア及びサブギアのどちらか一方の側部に固定されたピンと、上記メインギア及びサブギアの他方の側部に形成され、上記ピンが挿入されるピン穴とを備え、上記ピン穴の上記メインギア又はサブギアの周方向への長さが、上記ピンよりも長く形成され、上記ピンを上記ピン穴に挿入した状態で、上記ピンの移動により上記メインギアと上記サブギアとが所定の範囲で相対回転でき、上記所定の範囲のうち、相手歯車と完全に噛合した状態から、上記サブギアは上記メインギアに対して上記付勢手段の付勢方向と反対側に回動することができ、上記サブギアが上記付勢手段の付勢方向と反対側の回動限界に位置したときに、上記相手歯車の歯を上記相手歯車の周方向両側から挟み込む上記メインギアと上記サブギアとの周方向の歯先間隔が、上記相手歯車と完全に噛合したときの上記相手歯車の上記メインギア及びサブギアの歯の歯先が接触する部分の周方向の歯厚以下であり、上記ピン穴及び上記ピンが円形であり、上記ピン穴の直径は、上記ピン穴及びピンの中心が上記メインギア及びサブギアの歯先円上に位置し、かつ上記ピン穴とピンとが同心上に位置したときに上記メインギアとサブギアとが同位相に位置すると仮定し、ピン穴の直径をf、ピンの直径をe、相手歯車の歯先厚をa、メインギア及びサブギアの歯先厚をb、メインギア及びサブギアの歯先ピッチをc、メインギア及びサブギアと相手歯車とのバックラッシュをdとしたときに、次式、e+2(c−b−a)>f>e+2dを満たすものであり、実際のピン穴の直径は、上記式と、上記メインギア及びサブギアの歯先円の半径と上記メインギア及びサブギアの中心から実際のピン穴の中心までの距離との比とに基づいて設定されるものである
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0019】
図1は本実施形態のシザーズギアの部分破断正面図である。本実施形態のシザーズギア20の基本的な構成は、図6及び図7で示した従来のシザーズギア101と同様であるので、同様の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
本実施形態のシザーズギア20の特徴は、メインギア1及びサブギア2の側部(連結面)にそれぞれ設けられたピン穴21,22、及びピン穴21,22に挿入されるピン23にあるので、以下その点について説明する。
【0021】
本実施形態のピン穴21,22及びピン23はそれぞれ断面形状が円形であり、ピン穴21,22はメインギア1及びサブギア2の径方向の同位置に配置される。サブギア2のピン穴22は、円形のピン23とほぼ同径か若干小さい径に形成されており、ピン23をピン穴22内に圧入することで、ピン23をサブギア2に対して固定できるようになっている。従って、以下、サブギア2のピン穴22のことを圧入穴という。一方、メインギア1のピン穴21は、サブギア2の圧入穴22及びピン23よりも大径に形成されている。ピン23は、メインギア1の側方からピン穴21内に挿入され、ピン23は、その端部がメインギア1の側面から外側に突出しないような長さに設定される。なお、ピン23はサブギア2のピン穴(ネジ穴)22に螺合するボルトで形成しても良い。
【0022】
上述したように、メインギア1のピン穴21はピン23よりも大径であるので、ピン23をピン穴21内に挿入した状態で、サブギア2がメインギア1に対して所定の範囲で相対回転できる。つまり、サブギア2は、自身に固定されたピン23が、メインギア1のピン穴21の周縁と当接する範囲内で、メインギア1に対して相対回転できる。より具体的に説明すると、図1において時計回り方向をバネ3によるサブギア2の付勢方向とすると、ピン23がピン穴21における付勢方向前方側の縁部と当接(係合)したときのサブギア2の位置(位相)が、サブギア2のバネ付勢方向側の回動限界であり、逆に、ピン23がピン穴21におけるバネ付勢方向と反対側の縁部と当接したときのサブギア2の位置(位相)が、サブギア2のバネ付勢方向と反対側の回動限界である。
【0023】
本実施形態では、サブギア2のピン穴22及びそこに圧入されたピン23と、メインギア1のピン穴21とが同位相、つまり、同心上に位置したときに、メインギア1の歯1aとサブギア2の歯2aとが同位相で重なるようにピン穴21,22が配置される。
【0024】
このように、本実施形態のシザーズギア20は、ピン23をメインギア1のピン穴21内に挿入した状態で、サブギア2がメインギア1に対して所定の範囲で相対回転できるので、ピン23を引き抜かずに組み付けを行うことが可能となる。以下、この点について説明する。
【0025】
図2(a)は組み付け前のメインギア1及びサブギア2の歯1a,2aの位置関係を示しており、図2(b)は図2(a)に対応するピン23とピン穴21との位置関係を示している。なお、図中右側がバネ3(図1参照)によるサブギア2の付勢方向である。
【0026】
図に示すように、組み付け前の状態では、サブギア2は、バネ3の付勢力によって、付勢方向(図中右側)の回動限界に位置する。つまり、ピン23がピン穴21における付勢方向前方側の縁部と当接している。上述したように、ピン23とピン穴21とが同心上に位置したときに、メインギア1とサブギア2とが同位相に位置するので、この状態では、サブギア2の各歯2aがメインギア1の各歯1aに対して付勢方向に所定量(所定位相)だけずれる。
【0027】
この状態で、シザーズギア20を噛合させる相手側の歯車25(以下、相手歯車という)の歯25aを、シザーズギア20の径方向外側からメインギア1の歯1aとサブギア2の歯2aとの間に挿入していく。このとき、メインギア1の歯1aとサブギア2の歯2aとの歯先間隔wが、相手歯車25の歯25aの歯先厚aよりも小さいと、相手歯車25の歯25aをそれらの間に挿入することができない。従って、ピン穴21及びピン23のサイズ及び取付位置は、サブギア2がメインギア1に対してバネ3の付勢方向前方側の回動限界に位置したときに、メインギア1とサブギア2との歯先間隔wが、それら両ギア1,2と噛合する相手歯車25の歯先厚a以上となるように設定する必要がある。
【0028】
さて、相手歯車25の歯25aを、メインギア1の歯1aとサブギア2の歯2aとの間に挿入していくと、相手歯車25の歯25aの歯先がメインギア1及びサブギア2の歯1a,2aの歯面に接触し、バネ3の付勢力に対抗してサブギア2を付勢方向と反対側(図中左側)に回動させる。これにより、メインギア1の歯1aとサブギア2の歯2aとの間隔が大きくなり、相手歯車25の歯25aを更に挿入することが可能となる。
【0029】
図3は、相手歯車25の歯25aがメインギア1及びサブギア2の歯1a,2a間に完全に挿入され、相手歯車25とシザーズギア20とが噛合した状態を示している。このとき、サブギア2はメインギア1に対して付勢方向に、メインギア1と相手歯車25との間のバックラッシュdと同じだけずれる。言い換えれば、メインギア1とサブギア2との歯先間隔wが、相手歯車25の歯元厚gとほぼ等しくなる。なお、ここでいう「歯元厚g」とは、メインギア及びサブギア1,2の歯1a,2aの歯先が接触する部分の周方向の歯厚をいう。これにより、メインギア1と相手歯車25との間のバックラッシュdがサブギア2により吸収される。つまり、相手歯車25の歯25aに対して、メインギア1とサブギア2の歯1a,2aが周方向両側から挟み込むように接触・係合する。
【0030】
ところで、サブギア2がメインギア1に対して付勢方向と反対側の回動限界に位置したときに、メインギア1とサブギア2との歯先間隔wが、相手歯車25の歯25aの歯元厚gよりも小さいと、相手歯車25の歯25aを両ギア1,2の歯1a,2aの間に完全に挿入することができない。つまり、相手歯車25とシザーズギア20とを噛合させることができくなってしまう。従って、ピン穴21及びピン23のサイズ及び取付位置は、サブギア2がメインギア1に対して付勢方向と反対側の回動限界に位置したときに、メインギア1とサブギア2との歯先間隔wが、それら両ギア1,2と噛合する相手歯車25の歯元厚g以上となるように設定する必要がある。
【0031】
以上により、シザーズギア20の組み付けが終了する。
【0032】
つまり、本実施形態のシザーズギア20によれば、サブギア2に固定されたピン23をメインギア1のピン穴21内に挿入した状態で、サブギア2がメインギア1に対して所定の範囲で回動できるので、ピン23を引き抜くことなく、シザーズギア20の組み付けを行うことができる。従って、シザーズギア20の側方にピン23の引抜スペースを確保する必要がなく、狭隘なスペースにも組み付けることができる。
【0033】
このため、例えばエンジンのトルクをカムシャフト等に伝達するほぼ全ての歯車にシザーズギア20を適用することができ、エンジン騒音の低減、品質向上を達成できる。
【0034】
また、組み付け時のピン抜き工程を削除できるので、組立コストの低減が図れる。
【0035】
ところで、図3から分かるように、本実施形態では、相手歯車25とシザーズギア20とが完全に噛合したときに、サブギア2は付勢方向と反対側の回動限界にはまだ到達していない。つまり、ピン23と、ピン穴21の付勢方向反対側の縁部との間にはまだ隙間があり、サブギア2は、図3の状態から更にメインギア1に対して付勢方向と反対側に回動することができる。
【0036】
この理由を説明すると、万が一、バネ3の付勢力以上のトルク変動が生じたときに、サブギア2の回動を許容することでピン穴21及びピン23の破損を防止するためである。つまり、相手歯車25とシザーズギア20とが完全に噛合した状態でサブギア2が回動限界に位置するようにした場合、バネ3の付勢力以上のトルク変動が発生して、サブギア2をバネ付勢方向と反対方向に回動させる力が生じた場合、ピン穴21及びピン23に負荷がかかり、破損する虞れがある。これに対して、本実施形態では、相手歯車25とシザーズギア20とが噛合した状態から、サブギア2が付勢方向と反対方向に回動することができるので、ピン穴21及びピン23に負荷がかかることはない。
【0037】
図4に示すように、本実施形態では、サブギア2が付勢方向と反対側の回動限界に位置すると、サブギア2の歯2aが、メインギア1の歯1aに対して付勢方向と反対方向にバックラッシュdと同じだけずれる。つまり、この位置で、ピン23がピン穴21の付勢方向と反対側の縁部と当接する。この状態では、図3とは逆に、サブギア2の歯2aが、相手歯車25の歯25aに対して付勢方向前方側(図中右側)から当接し、メインギア1の歯1aが付勢方向と反対側から当接する。従って、図4の状態から更にサブギア2を付勢方向と反対方向に回動させるトルクが生じたとしても、そのトルクを相手歯車25の歯25aで受けることができる。従って、ピン穴21及びピン23に負荷が加わることはない。
【0038】
次に、ピン穴21及びピン23の直径の設定方法の一例を説明する。
【0039】
まず、メインギア1のピン穴21とピン23とが同位相、つまり同心上に位置したときに、メインギア1とサブギア2の歯1a,2aが同位相となるように、ピン穴21及び圧入穴22の形成位置を決定する。
【0040】
そして、メインギア1のピン穴21とピン23(サブギア2の圧入穴22)の中心が、シザーズギア20(メインギア1及びサブギア2)の歯先円上にあると仮定する。
【0041】
ここで、図5に示すように、ピン穴21の直径をf、ピン23の直径をe、相手歯車25の歯25aの歯先厚をa、シザーズギア20(メインギア1及びサブギア2)の歯1a,2aの歯先厚をb、シザーズギア20(メインギア1及びサブギア2)の歯先ピッチをc、シザーズギア20と相手歯車25との間のバックラッシュをd(図4参照)とすると、サブギア1がバネ付勢方向側の回動限界に位置したときに、サブギア1とメインギア2との歯先間隔wが相手歯車25の歯先厚aよりも大きくなるようにするためには、バネ付勢方向側の回動限界におけるサブギア2の歯2aのメインギア1の歯1aからの突出量iを、c−b−aよりも小さくする必要がある。つまり、ピン23とピン穴21とが同心上に位置したときに、ピン23からピン穴21のバネ付勢方向側の縁部までの間隔をc−b−aよりも小さくする必要がある。ここでは、ピン穴21が円形であるので、ピン穴21の直径fをe+2(c−b−a)よりも小さくすれば良い。
【0042】
次に、図4に示すように、サブギア2がバネ付勢方向と反対側の回動限界に位置したときに、サブギア2の歯2aがメインギア1の歯1aからバネ付勢方向と反対側に少なくともバックラッシュdと同じだけ突出するようにするためには、ピン23とピン穴21とが同心上に位置したときに、ピン23からピン穴21のバネ付勢方向反対側の縁部までの間隔をバックラッシュdよりも大きくする必要がある。ここでは、ピン穴21が円形であるので、ピン穴21の直径fをe+2dよりも大きくすれば良い。なお、図5中、hで示す線がシザーズギア20の歯先円である。
【0043】
以上から、ピン穴21及びピン23の中心がシザーズギア20の歯先円h上にあると仮定した場合、ピン穴21の直径f及びピン21の直径eを次式▲1▼を満たすように設定すれば良い。
【0044】
e+2(c−b−a)>f>e+2d・・・▲1▼
ところで、実際には、ピン穴21及びピン23をシザーズギア20の歯先円h上に形成することはなく、それよりも径方向内側の位置に形成することになる。そこで、上記式▲1▼に基づいて決定したピン穴径fを、歯先円hの半径と、シザーズギア20(メインギア及びサブギア1,2)の中心からピン穴21及びピン23の中心までの距離との比率に基づいて補正し、実際のピン穴21及びピン23の直径を決定する。
【0045】
本発明は上記実施形態に限定はされず、様々な変形例が考えられるものである。
【0046】
例えば、ピン穴21及びピン23の断面形状は円形に限定されない。つまり、ピン穴21の周方向長さ(メインギア1及びサブギア2の回転方向への長さ)がピン23の周方向長さよりも長ければ良い。例えば、ピン穴21を長穴状にすることなどが考えられる。
【0047】
また、ピン23をサブギア2のピン穴(圧入穴)22に圧入して固定するとしたが、ねじ込み等、他の方法により固定しても良いし、ピン23とサブギア2とを一体的に成形しても良い。
【0048】
更に、サブギア2にピン23を固定するとしたが、これとは逆に、メインギア1にピン23を固定し、サブギア2にピン23よりも周方向長さの長いピン穴を形成しても良い。要するに、メインギア1とサブギア2とが、所定の範囲で相対回転できれば良い。
【0049】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、狭隘なスペースにも組付可能なシザーズギアを提供できるという優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシザーズギアの部分破断正面図である。
【図2】(a)は、メインギア及びサブギアの部分拡大図であり、組み付け前の状態を示している。
(b)は、ピン穴及びピンの拡大図であり、組み付け前の状態を示している。
【図3】(a)は、メインギア及びサブギアの部分拡大図であり、組み付け後の状態を示している。
(b)は、ピン穴及びピンの拡大図であり、組み付け後の状態を示している。
【図4】(a)は、メインギア及びサブギアの部分拡大図であり、サブギアがバネ付勢方向と反対側の回動限界に位置した状態を示している。
(b)は、ピン穴及びピンの拡大図であり、サブギアがバネ付勢方向と反対側の回動限界に位置した状態を示している。
【図5】(a)は、メインギア、サブギア及び相手歯車の部分拡大図である。
(b)は、ピン穴及びピンの拡大図である。
【図6】従来のシザーズギアの部分破断正面図である。
【図7】従来のシザーズギアの展開図である。
【符号の説明】
1 メインギア
2 サブギア
3 バネ(付勢手段)
20 シザーズギア
21 ピン穴
22 ピン穴(圧入穴)
23 ピン
25 相手歯車

Claims (4)

  1. 回転軸に結合されるメインギアと、
    該メインギアと同形状の歯を有し、メインギアに対して同軸且つ相対回転可能に連結されたサブギアと、
    上記メインギアと上記サブギアとの間に設けられ、上記サブギアと上記メインギアとを、回転方向で相反する方向に付勢する付勢手段と、
    該付勢手段の一端を上記メインギアの側部に支持するメインストッパと、
    上記付勢手段の他端を上記サブギアの側部に支持するサブストッパと、
    上記メインストッパ及びサブストッパとは別の位置に設けられ、上記メインギア及びサブギアのどちらか一方の側部に固定されたピンと、
    上記メインギア及びサブギアの他方の側部に形成され、上記ピンが挿入されるピン穴とを備え、
    上記ピン穴の上記メインギア又はサブギアの周方向への長さが、上記ピンよりも長く形成され、上記ピンを上記ピン穴に挿入した状態で、上記ピンの移動により上記メインギアと上記サブギアとが所定の範囲で相対回転でき、
    上記所定の範囲のうち、相手歯車と完全に噛合した状態から、上記サブギアは上記メインギアに対して上記付勢手段の付勢方向と反対側に回動することができ、
    相手歯車と完全に噛合した状態のとき、上記サブギアの歯は上記メインギアの歯に対して上記付勢手段の付勢方向にバックラッシュと同じだけずれ、
    上記ピンが上記ピン穴における上記付勢手段の付勢方向と反対側の縁部まで移動したとき、上記サブギアの歯上記メインギアの歯に対して上記付勢手段の付勢方向と反対側に上記バックラッシュと同じだけずれる
    ことを特徴とするシザーズギア。
  2. 上記メインギア及びサブギアの一方の側部に圧入穴が形成され、上記ピンが上記圧入穴に圧入されて固定される請求項1記載のシザーズギア。
  3. 上記ピン穴及びピンの上記メインギア又はサブギアの周方向への長さは、
    上記サブギアが上記メインギアに対して上記付勢手段の付勢方向の回動限界に位置したときに、上記メインギアと上記サブギアとの歯先間隔が、それら両ギアと噛合する上記相手歯車の歯先厚以上となるように、
    設定される請求項1又は2記載のシザーズギア。
  4. 回転軸に結合されるメインギアと、
    該メインギアと同形状の歯を有し、メインギアに対して同軸且つ相対回転可能に連結されたサブギアと、
    上記メインギアと上記サブギアとの間に設けられ、上記サブギアと上記メインギアとを、回転方向で相反する方向に付勢する付勢手段と、
    該付勢手段の一端を上記メインギアの側部に支持するメインストッパと、
    上記付勢手段の他端を上記サブギアの側部に支持するサブストッパと、
    上記メインストッパ及びサブストッパとは別の位置に設けられ、上記メインギア及びサブギアのどちらか一方の側部に固定されたピンと、
    上記メインギア及びサブギアの他方の側部に形成され、上記ピンが挿入されるピン穴とを備え、
    上記ピン穴の上記メインギア又はサブギアの周方向への長さが、上記ピンよりも長く形成され、上記ピンを上記ピン穴に挿入した状態で、上記ピンの移動により上記メインギアと上記サブギアとが所定の範囲で相対回転でき、
    上記所定の範囲のうち、相手歯車と完全に噛合した状態から、上記サブギアは上記メインギアに対して上記付勢手段の付勢方向と反対側に回動することができ、
    上記サブギアが上記付勢手段の付勢方向と反対側の回動限界に位置したときに、上記相手歯車の歯を上記相手歯車の周方向両側から挟み込む上記メインギアと上記サブギアとの周方向の歯先間隔が、上記相手歯車と完全に噛合したときの上記相手歯車の上記メインギア及びサブギアの歯の歯先が接触する部分の周方向の歯厚以下であり、
    上記ピン穴及び上記ピンが円形であり、上記ピン穴の直径は、上記ピン穴及びピンの中心が上記メインギア及びサブギアの歯先円上に位置し、かつ上記ピン穴とピンとが同心上に位置したときに上記メインギアとサブギアとが同位相に位置すると仮定し、ピン穴の直径をf、ピンの直径をe、相手歯車の歯先厚をa、メインギア及びサブギアの歯先厚をb、メインギア及びサブギアの歯先ピッチをc、メインギア及びサブギアと相手歯車とのバックラッシュをdとしたときに、次式
    e+2(c−b−a)>f>e+2dを満たすものであり、
    実際のピン穴の直径は、上記式と、上記メインギア及びサブギアの歯先円の半径と上記メインギア及びサブギアの中心から実際のピン穴の中心までの距離との比とに基づいて設定される
    ことを特徴とするシザーズギア。
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